JP4275347B2 - 磁気検出素子 - Google Patents
磁気検出素子 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4275347B2 JP4275347B2 JP2002077749A JP2002077749A JP4275347B2 JP 4275347 B2 JP4275347 B2 JP 4275347B2 JP 2002077749 A JP2002077749 A JP 2002077749A JP 2002077749 A JP2002077749 A JP 2002077749A JP 4275347 B2 JP4275347 B2 JP 4275347B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- layer
- magnetic
- free magnetic
- magnetic layer
- antiferromagnetic
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B82—NANOTECHNOLOGY
- B82Y—SPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
- B82Y25/00—Nanomagnetism, e.g. magnetoimpedance, anisotropic magnetoresistance, giant magnetoresistance or tunneling magnetoresistance
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01R—MEASURING ELECTRIC VARIABLES; MEASURING MAGNETIC VARIABLES
- G01R33/00—Arrangements or instruments for measuring magnetic variables
- G01R33/02—Measuring direction or magnitude of magnetic fields or magnetic flux
- G01R33/06—Measuring direction or magnitude of magnetic fields or magnetic flux using galvano-magnetic devices
- G01R33/09—Magnetoresistive devices
- G01R33/093—Magnetoresistive devices using multilayer structures, e.g. giant magnetoresistance sensors
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B82—NANOTECHNOLOGY
- B82Y—SPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
- B82Y10/00—Nanotechnology for information processing, storage or transmission, e.g. quantum computing or single electron logic
-
- G—PHYSICS
- G11—INFORMATION STORAGE
- G11B—INFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
- G11B5/00—Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
- G11B5/127—Structure or manufacture of heads, e.g. inductive
- G11B5/33—Structure or manufacture of flux-sensitive heads, i.e. for reproduction only; Combination of such heads with means for recording or erasing only
- G11B5/39—Structure or manufacture of flux-sensitive heads, i.e. for reproduction only; Combination of such heads with means for recording or erasing only using magneto-resistive devices or effects
- G11B5/3903—Structure or manufacture of flux-sensitive heads, i.e. for reproduction only; Combination of such heads with means for recording or erasing only using magneto-resistive devices or effects using magnetic thin film layers or their effects, the films being part of integrated structures
-
- G—PHYSICS
- G11—INFORMATION STORAGE
- G11B—INFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
- G11B5/00—Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
- G11B5/127—Structure or manufacture of heads, e.g. inductive
- G11B5/33—Structure or manufacture of flux-sensitive heads, i.e. for reproduction only; Combination of such heads with means for recording or erasing only
- G11B5/39—Structure or manufacture of flux-sensitive heads, i.e. for reproduction only; Combination of such heads with means for recording or erasing only using magneto-resistive devices or effects
- G11B5/3903—Structure or manufacture of flux-sensitive heads, i.e. for reproduction only; Combination of such heads with means for recording or erasing only using magneto-resistive devices or effects using magnetic thin film layers or their effects, the films being part of integrated structures
- G11B5/3906—Details related to the use of magnetic thin film layers or to their effects
- G11B5/3909—Arrangements using a magnetic tunnel junction
-
- G—PHYSICS
- G11—INFORMATION STORAGE
- G11B—INFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
- G11B5/00—Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
- G11B2005/0002—Special dispositions or recording techniques
- G11B2005/0005—Arrangements, methods or circuits
- G11B2005/001—Controlling recording characteristics of record carriers or transducing characteristics of transducers by means not being part of their structure
- G11B2005/0013—Controlling recording characteristics of record carriers or transducing characteristics of transducers by means not being part of their structure of transducers, e.g. linearisation, equalisation
- G11B2005/0016—Controlling recording characteristics of record carriers or transducing characteristics of transducers by means not being part of their structure of transducers, e.g. linearisation, equalisation of magnetoresistive transducers
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Nanotechnology (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Manufacturing & Machinery (AREA)
- Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
- General Physics & Mathematics (AREA)
- Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
- Mathematical Physics (AREA)
- Theoretical Computer Science (AREA)
- Hall/Mr Elements (AREA)
- Measuring Magnetic Variables (AREA)
- Magnetic Heads (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、CPP(current perpendicular to the plane)型の磁気検出素子に係り、特にフリー磁性層の磁化制御を適切に行うことが可能な磁気検出素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
図31は従来における磁気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0003】
符号1は、下部電極であり、前記下部電極1の上にPtMnなどの第1反強磁性層2が形成されている。さらに前記第1反強磁性層2の上にはCoFeなどで形成された固定磁性層8が形成され、前記固定磁性層8の上にはCuなどで形成された非磁性材料層4が形成され、さらに前記非磁性材料層4の上にはNiFeなどで形成されたフリー磁性層5が形成されている。前記フリー磁性層5のトラック幅方向(図示X方向)の両側端部上には、PtMnなどの第2反強磁性層6が形成されている。図31に示すように前記フリー磁性層5及び第2反強磁性層6の上には上部電極7が形成されている。第2の反強磁性層6と上部電極7の間には絶縁層9が挿入されている。
【0004】
前記固定磁性層8の磁化は、前記第1反強磁性層2との交換結合磁界によって図示Y方向に固定される。一方、前記フリー磁性層5の両側端部の磁化は、その上に形成された第2反強磁性層6との間で発生する交換結合磁界によって図示X方向と逆方向に固定される。ただし前記フリー磁性層5の中央部の磁化は、外部磁界に対して磁化反転できる程度に弱く単磁区化された状態にある。
【0005】
図31に示す磁気検出素子は、電極1、7から流れる電流が、第1反強磁性層2からフリー磁性層5までの多層膜を膜厚方向(図示Y方向)に流れるCPP(current perpendicular to the plane)型と呼ばれる磁気検出素子である。
【0006】
CPP型の磁気検出素子は、電極から流れる電流が、第1反強磁性層2からフリー磁性層5までの多層膜を膜面と平行な方向(図示X方向)に流れるCIP(current in the plane)型の磁気検出素子に比べて、素子サイズの狭小化によって再生出力を大きくでき、CPP型は、今後の高記録密度化に伴う素子サイズの狭小化に適切に対応できるものと期待された。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら図31に示す磁気検出素子では以下のような問題点が指摘された。
【0008】
図32は図31に示すフリー磁性層5及びその上に形成された第2反強磁性層6の部分を真上から見た部分平面図である。
【0009】
図32に示すように、前記フリー磁性層5の中央部にセンス電流が今、図示Z方向とは逆の方向(すなわち紙面垂直下方向)に流れたとすると、このとき右ねじの法則によってセンス電流磁界Cが発生する。記録媒体との対向面側の領域Eの部分での前記センス電流磁界Cの向きは、フリー磁性層5の磁化方向(図示X方向と平行な方向であって図示左方向)と一致するので問題はないが、前記記録媒体との対向面の裏面側、すなわち後端面側の領域Dの部分のセンス電流磁界の向きは、前記フリー磁性層5の磁化方向とは逆向き(図示X方向と平行な方向であって図示右方向)であるため、この部分での前記フリー磁性層5の磁化が乱れやすくなり、ひいては素子全体の磁区制御に支障を来していた。
【0010】
またCPP型の磁気検出素子は、素子抵抗が小さいため、センス電流密度を上ないと大きな再生出力を取ることができないが、前記センス電流密度を大きくするほど、上記したフリー磁性層5の磁化の乱れの影響が大きくなってヒステリシスを持ってしまい、再生特性の悪化を招いた。
【0011】
また、図31及び図32に示す磁気検出素子とは異なって、前記フリー磁性層5の磁化を、前記フリー磁性層5の両側に形成された永久磁石製のハードバイアス層63によって制御する場合でも上記した問題は生じる。
【0012】
図33は、ハードバイアス層63によって前記フリー磁性層5の磁化制御を行う磁気検出素子の構造を、記録媒体との対向面側から見た部分断面図、図34は、前記フリー磁性層5及びその両側に形成されたハードバイアス層63を真上から見た部分平面図である。
【0013】
この磁気検出素子では、下部電極1の上に下地層61、フリー磁性層5、非磁性材料層4、固定磁性層8、第1反強磁性層2及び保護層62の順に積層されている。前記フリー磁性層5のトラック幅方向(図示X方向)の両側にはハードバイアス層63が対向して形成され、前記ハードバイアス層63の上下にはAl2O3などで形成された絶縁層60が形成されている。
【0014】
図31に示すように、前記フリー磁性層5を図示Z方向とは逆方向(すなわち紙面垂直下方向)に流れるセンス電流には、右ねじの法則によってセンス電流磁界Cが発生し、図示X方向と平行な方向であって図示左方向に磁化されたフリー磁性層5には、後端面側の領域Dで、前記フリー磁性層5の磁化方向と逆方向に向く前記センス電流磁界が影響して前記フリー磁性層5の磁化が乱れてしまう。
【0015】
ハードバイアス層63を用いて前記フリー磁性層5の磁化制御を行う場合、前記ハードバイアス層63の膜厚を厚くして、前記フリー磁性層5に流入する図示左方向の縦バイアス磁界を強めることで、上記した問題を緩和することができるが、今度は、前記縦バイアス磁界が強すぎることで前記フリー磁性層5の磁化が固定されやすくなり、よって外部磁界に対して感度良く磁化反転しなくなり再生特性の劣化が問題となった。
【0016】
また上記の問題は、前記磁気検出素子の非磁性材料層4がCuなどの非磁性導電材料で形成された磁気検出素子の構造のみならず、前記非磁性材料層4がAl2O3などの絶縁層で形成された磁気検出素子の構造(このような構造の磁気検出素子をトンネル型磁気抵抗効果型素子という)の場合でも起こった。
【0017】
そこで本発明は上記課題を解決するためのものであり、特に第2反強磁性層等の形成位置を適正化することで、センス電流磁界によるフリー磁性層の磁化の乱れを緩和し、ヒステリシスが小さい再生特性に優れた磁気検出素子を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下から第1反強磁性層、固定磁性層、非磁性材料層及びフリー磁性層を有する多層膜が設けられ、前記多層膜の上下に電極が設けられ、前記多層膜の各層の膜面と垂直方向に電流が流れる磁気検出素子において、
前記フリー磁性層のトラック幅方向の両側端部上と、前記フリー磁性層のトラック幅方向の中央部であって、その後端部上とに第2反強磁性層が設けられ、
前記フリー磁性層の前記中央部の前端部上に上側電極が設けられることを特徴とするものである。
【0019】
本発明では前記フリー磁性層のトラック幅方向の両側端部上のみならず、前記フリー磁性層のトラック幅方向の中央部であって、その後端部(以下、中央後端部という)上にも第2反強磁性層が設けられている。
【0020】
これによって前記フリー磁性層のトラック幅方向の中央部であって、その前端部(以下、中央前端部という)のハイト側縁部付近は、前記中央後端部から強いバイアス磁界の影響を受けることになる。
【0021】
一方、前記フリー磁性層の中央前端部をセンス電流が膜厚方向に流れることでセンス電流磁界が発生し、特にこのセンス電流磁界は、前記フリー磁性層の中央前端部の各縁部に近づくほど強まる。
【0022】
本発明では上記したように、前記フリー磁性層の中央前端部のハイト側縁部では、フリー磁性層の中央後端部上に設けられた第2反強磁性層からのバイアス磁界によって、前記フリー磁性層の磁化方向と逆方向に向いているセンス電流磁界を打ち消して前記センス電流磁界の影響を弱めることができ、従来に比べて前記フリー磁性層の磁化の乱れを小さくでき、前記フリー磁性層の磁化制御を適切に行うことが可能になる。後述する実験によれば、本発明における磁気検出素子は、フリー磁性層の両側にのみハードバイアス層が設けられた従来構造の磁気検出素子(図33及び図34)に比べてヒステリシスを小さくでき、再生特性に優れたものであることがわかった。
【0023】
また本発明では、前記両側端部上及び前記中央後端部上に設けられた前記第2反強磁性層は一体で形成されていることが好ましい。
【0024】
また本発明では、前記第2反強磁性層上には絶縁層が設けられ、前記上側電極は、前記絶縁層上から前記フリー磁性層の前記中央前端部上にかけて形成されることが好ましい。これによって前記上部電極と下部電極間に流れる電流が前記第2反強磁性層に分流するのを防止でき、再生出力の大きい磁気検出素子を製造できる。
【0025】
また本発明では、前記絶縁層は、前記フリー磁性層の前記中央前端部上の一部にまで延びて形成され、前記上側電極は、前記絶縁層上から前記絶縁層に覆われていない前記フリー磁性層の前記中央前端部上にかけて形成されることが好ましい。すなわち前記絶縁層は、前記フリー磁性層の前記中央前端部上の一部にオーバーラップし、前記第2反強磁性層表面は前記絶縁層によって完全に覆われた状態になっている。これによってより適切に前記第2反強磁性層への電流の分流を防ぐことができ、再生出力の大きい磁気検出素子を製造することが可能になる。
【0032】
また本発明では、前記非磁性材料層は、非磁性導電材料で形成されるか、あるいは絶縁材料で形成されることが好ましい。
【0033】
さらに本発明では、前記多層膜の下側に形成された下側電極は下部シールド層であり、上側に形成された上側電極は上部シールド層であることが好ましい。これによって前記シールド層以外に余分に電極層を設ける必要性がなく、また下部シールド層から上部シールド層間のギャップ長Glを短くすることができ、高記録密度化に適切に対応可能な磁気検出素子を製造することが可能になる。
【0034】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1実施形態の磁気検出素子の全体構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。なお、図1ではX方向に延びる素子の中央部分のみを破断して示している。
【0035】
図1に示す磁気検出素子は、記録媒体に記録された信号を再生するためのものである。図示していないが、この磁気検出素子上に、記録用のインダクティブヘッドが積層されていてもよい。
【0036】
また前記磁気検出素子は、例えばアルミナ−チタンカーバイト(Al2O3−TiC)で形成されたスライダのトレーリング端面上に形成される。前記スライダは、記録媒体との対向面と逆面側で、ステンレス材などによる弾性変形可能な支持部材と接合され、磁気ヘッド装置が構成される。
【0037】
図1に示す符号10は、NiFe合金などの磁性材料で形成された下部シールド層10である。この実施形態では前記下部シールド層10が下部電極を兼ねている。
【0038】
前記下部シールド層10の上には非磁性材料で形成された下地層11が形成されている。前記下地層11が下部ギャップ層を兼ねている。前記下地層11は、Ta,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち少なくとも1種以上で形成されることが好ましい。前記下地層11は例えば50Å以下程度の膜厚で形成される。
【0039】
次に前記下地層11の上にはシードレイヤ12が形成される。前記シードレイヤ12を形成することで、前記シードレイヤ12上に形成される各層の膜面と平行な方向における結晶粒径を大きくでき、耐エレクトロマイグレーションの向上に代表される通電信頼性の向上や抵抗変化率(ΔR/R)の向上などをより適切に図ることができる。
【0040】
前記シードレイヤ12はNiFe合金、NiFeCr合金やCrなどで形成される。前記シードレイヤ12がNiFeCrで形成される場合、例えばその組成比は、(Ni0.8Fe0.2)60at%Cr40at%である。前記シードレイヤ12は、例えば30Å程度で形成される。前記シードレイヤ12は形成されていなくてもよい。
【0041】
次に前記シードレイヤ12上には第1反強磁性層13が形成される。前記第1反強磁性層13は、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成されることが好ましい。あるいは前記第1反強磁性層13は、元素Xと元素X′(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)とMnを含有する反強磁性材料により形成されることが好ましい。
【0042】
これらの反強磁性材料は、耐食性に優れしかもブロッキング温度も高く次に説明する固定磁性層64を構成する第2磁性層14との界面で大きな交換異方性磁界を発生し得る。また前記第1反強磁性層13は80Å以上で300Å以下の膜厚で形成されることが好ましい。
【0043】
次に前記第1反強磁性層13の上には固定磁性層64が形成されている。この実施形態では前記固定磁性層64は3層構造で形成されている。
【0044】
前記固定磁性層64を構成する符号14、16の層は磁性層であり、前記第2磁性層14と第1磁性層16との間に、Ruなどで形成された非磁性中間層15が介在し、この構成により、前記第2磁性層14と第1磁性層16の磁化方向は互いに反平行状態にされる。これはいわゆる積層フェリ構造と呼ばれる。なおこの明細書においては、積層フェリ構造において、非磁性材料層18と接する側の磁性層を第1磁性層と、もう一方の磁性層を第2磁性層と呼ぶ。前記非磁性中間層15は、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種またはこれらの2種以上の合金で形成されている。特に前記非磁性中間層15はRuによって形成されることが好ましい。
【0045】
前記第1反強磁性層13と前記固定磁性層64の前記第1反強磁性層13に接する第2磁性層14との間には磁場中熱処理によって交換異方性磁界が発生し、例えば前記第2磁性層14の磁化がハイト方向(図示Y方向)に固定された場合、もう一方の第1磁性層16はRKKY相互作用により、ハイト方向とは逆方向(図示Y方向と逆方向)に磁化され固定される。この構成により前記固定磁性層64の磁化を安定した状態にでき、また前記固定磁性層64の第2磁性層14と前記第1反強磁性層13との界面で発生する交換異方性磁界を見かけ上大きくすることができる。
【0046】
なお例えば、前記磁性層14、16の膜厚は10〜70Å程度、非磁性中間層15の膜厚は3Å〜10Å程度で形成で形成される。
【0047】
また前記第2磁性層14と第1磁性層16はそれぞれ単位面積当たりの磁気モーメントが異なっている。前記磁気モーメントは飽和磁化Ms×膜厚tで設定され、前記第2磁性層14と第1磁性層16の磁気モーメントを異ならせることで適切に前記第2磁性層14と第1磁性層16を積層フェリ構造にすることが可能である。
【0048】
前記固定第1磁性層16の上には非磁性材料層18が形成されている。前記非磁性材料層18は例えばCuなどの電気抵抗の低い導電性材料によって形成される。前記非磁性材料層18は例えば25Å程度の膜厚で形成される。
【0049】
次に前記非磁性材料層18の上にはフリー磁性層67が形成される。この実施形態では、前記フリー磁性層67は磁性層の2層構造で形成される。また前記フリー磁性層67の全体の膜厚は、20Å以上で100Å以下程度の膜厚で形成されることが好ましい。
【0050】
前記フリー磁性層67を構成する磁性層65、20は、CoFe合金、CoFeNi合金、NiFe合金、Coのいずれかの1種であることが好ましい。磁性層65はCoFe合金、磁性層20はNiFe合金で形成されることがより好ましい。
【0051】
図1に示すように前記フリー磁性層67上には、非磁性層26が形成されている。前記非磁性層26は図2に示すフリー磁性層67のトラック幅方向(図示X方向)の中央部であって、その前端部C(以下では中央前端部Cと言う)上のみに形成されている。図3(磁気検出素子のフリー磁性層の中央部部分を図1に示す3−3線からハイト方向(図示Y方向)へ切断し矢印方向から見た部分縦断面図)でも、前記非磁性層26がフリー磁性層67の中央前端部C上のみに形成されていることが示されている。なおここで「前端部」とは、ハイト方向(図示Y方向)と平行な方向であって、記録媒体との対向面側の領域を指している。
【0052】
前記非磁性層26は、Ru、Re、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Rhのいずれか1種または2種以上で形成されることが好ましい。
【0053】
図1に示すように、前記フリー磁性層67の両側端部A上に第2反強磁性層22が形成されている。この第2反強磁性層22は図2、3に示すように、前記フリー磁性層67の中央部の後端部B(以下、中央後端部Bと言う)上にも形成されている。ここで「後端部」とは、ハイト方向(図示Y方向)と平行な方向であって、記録媒体との対向面の裏面側、すなわち後端面側の領域を指している。
【0054】
前記第2反強磁性層22は、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成されることが好ましい。あるいは前記第2反強磁性層22は、元素Xと元素X′(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)とMnを含有する反強磁性材料により形成されることが好ましい。
【0055】
前記第2反強磁性層22とフリー磁性層67との間で交換結合磁界が発生すると前記フリー磁性層67の両側端部A、および中央後端部Bの磁化は、トラック幅方向(図示X方向)と平行な方向に固定される。この実施形態では前記フリー磁性層67は例えば図面左方向に磁化されている。一方、前記フリー磁性層67の中央前端部Cの磁化は、外部磁界に対し磁化反転できる程度に弱く単磁区化された状態になっている。
【0056】
前記第2反強磁性層22上にはAl2O3やSiO2などの絶縁材料で形成された絶縁層24が形成されている。従って前記絶縁層24は、図2に示すフリー磁性層67の両側端部A上及び中央後端部B上に形成される。
【0057】
図1、2に示す実施形態では前記絶縁層24上からフリー磁性層67の中央前端部C上にかけて上部シールド層66が形成される。前記上部シールド層66はNiFe合金などの磁性材料で形成される。この実施形態では前記上部シールド層66が上部電極としての役割を有し、また前記非磁性層26が上部ギャップ層としての役割を有している。
【0058】
図1に示す実施形態の磁気検出素子には、下地層11から非磁性層26までの多層膜の上下に電極を兼用したシールド層10、66が形成され、前記シールド層10、66間を流れる電流は、前記多層膜を膜厚方向(図示Z方向)に流れるCPP(current perpendicular to the plane)型となっている。図1に示す実施形態では、下地層11から非磁性層26までの膜厚方向(図示Z方向)の長さ寸法でギャップ長Glが決定される。
【0059】
本発明における磁気検出素子の特徴的部分について以下に説明する。本発明では図2に示すように前記第2反強磁性層22は、前記フリー磁性層67の両側端部A上、および中央後端部B上に形成される。すなわち前記第2反強磁性層22は前記フリー磁性層67の中央前端部C上を除いた全てのフリー磁性層67上を覆っているのである。
【0060】
これによって前記第2反強磁性層22とフリー磁性層67の両側端部A及び中央後端部B間に交換結合磁界が発生し、前記両側端部A及び中央後端部Bのフリー磁性層67の磁化は、例えば図示X方向と平行な方向であって図示左方向に固定される。一方、前記フリー磁性層67の中央前端部Cの磁化は図示左方向に揃えられ、外部磁界に対し磁化反転できる程度に弱く単磁区化された状態になっている。
【0061】
このとき、前記フリー磁性層67の中央前端部Cに図示Z方向とは逆方向(すなわち紙面垂直下方向)にセンス電流磁界が流れたとする。右ねじの法則によって発生するセンス電流磁界は、前記フリー磁性層67の中央前端部Cのハイト側(図示Y方向)領域Kで前記フリー磁性層67の磁化方向とは逆方向(すなわち右方向)に向いている。特に前記センス電流磁界は、フリー磁性層67の中央前端部Cの両側縁部C1、ハイト側縁部C2及び記録媒体対向面側縁部C3に近づくほど強くなることがわかっている。
【0062】
ここで前記フリー磁性層67の両側縁部C1付近は、前記フリー磁性層67の両側端部A上に形成されている第2反強磁性層22によるバイアス磁界が強い領域であるので、前記フリー磁性層67の磁化は乱れず適切に図示左方向に向いている。前記フリー磁性層67の記録媒体対向面側縁部C3付近では、前記センス電流磁界の向きは、図示左方向であるから、フリー磁性層67の磁化方向と一致しフリー磁性層67の磁化が乱れるといった心配はない。
【0063】
従来、問題となっていたフリー磁性層67のハイト側領域、図2では前記フリー磁性層67のハイト側縁部C2付近での磁化の乱れであるが、本発明では、前記フリー磁性層67の両側端部A上のみならず、中央後端部B上にも第2反強磁性層22を設けたことで、前記フリー磁性層67の中央後端部Bが磁化固定され、これによって前記フリー磁性層67の中央前端部Cのハイト側縁部C2付近に強いバイアス磁界Gが作用するため、前記フリー磁性層67の磁化方向と逆方向である前記センス電流磁界は、このバイアス磁界によって打ち消され、前記センス電流磁界による前記フリー磁性層67のハイト側縁部C2付近での磁化の乱れを適切に緩和することができ、後述する実験によれば、従来に比べてヒステリシスを小さくできることがわかった。
【0064】
特に後述する実験によれば、センス電流(センス電流密度)を大きくしてもほとんどR−H曲線(QST curveという)に変化はなく、ヒステリシスを小さく保てることができ、適切に再生出力の大きい磁気検出素子を製造できることがわかった。
【0065】
なお前記センス電流磁界が、前記フリー磁性層67の中央前端部Cのハイト側縁部C2付近で、フリー磁性層67の磁化方向と逆方向に向くように、センス電流の流れ方向、およびフリー磁性層67の磁化方向を調整しなければならない。例えば前記センス電流を図示Z方向(すなわち紙面垂直上方向)に流すと、前記センス電流磁界は、前記フリー磁性層67の中央前端部Cの記録媒体対向面側縁部C3付近で、フリー磁性層67の磁化方向と逆方向に向いてしまい、前記記録媒体対向面側縁部C3付近での磁化の乱れを距離的に遠くなる前記第2反強磁性層22で抑制することができず、ヒステリシスが大きくなってしまう。
【0066】
よって前記センス電流磁界を、前記フリー磁性層67の中央前端部Cのハイト側縁部C2付近で、フリー磁性層67の磁化方向と逆方向に向かせる必要があるのである。
【0067】
図2に示すフリー磁性層67の中央前端部Cはトラック幅領域と呼ばれる領域である。すなわち前記フリー磁性層67の中央前端部Cが磁気抵抗効果に寄与する領域であり、前記中央前端部Cのトラック幅方向(図示X方向)における幅寸法がトラック幅Twである。前記トラック幅Twは0.15μm以下であることが好ましく、また前記フリー磁性層67の中央前端部Cのハイト方向(図示Y方向)への長さ寸法(MRハイト)L1は0.15μm以上であることが好ましい。また前記フリー磁性層67全体のトラック幅方向における幅寸法T1は1〜100μmであることが好ましく、前記フリー磁性層67全体のハイト方向(図示Y方向)への長さ寸法L2は0.5〜50μmであることが好ましい。
【0068】
なお前記フリー磁性層67の中央後端部B上に第2反強磁性層22を設けることで、前記フリー磁性層67の後端部側は、すべて磁化固定される領域となるが、前記フリー磁性層67の後端部は、記録媒体から発生する記録磁界に対する感度にはあまり寄与せず、主として寄与するのは、記録媒体との対向面側の領域であるから、また、フリー磁性層67の後端部にはセンス電流が流れないから、前記フリー磁性層67の中央後端部B上に第2反強磁性層22を設けたことによって感度が犠牲になることはない。
【0069】
次に図2に示す実施形態では、前記フリー磁性層67の両側端部A上、および中央後端部B上に設けられた第2反強磁性層22は、一体で形成されている。すなわち図2に示すA1、A2及びBの領域に一体の第2反強磁性層22が形成されている。前記第2反強磁性層22が一体で形成されることで、前記第2反強磁性層22の製造工程を容易化できて好ましい。ただし本発明では前記フリー磁性層67の両側端部A上、および中央後端部B上に形成された第2反強磁性層22がそれぞれ別体で設けられていてもよい。さらに前記第2反強磁性層22は図2に示すフリー磁性層22の両側端部であって、その前端部A1上と、中央後端部B上のみに設けられていてもよい(すなわちA2領域に前記第2反強磁性層22が設けられない)。
【0070】
次に図1ないし図3に示す実施形態では、前記第2反強磁性層22上に絶縁層24が形成され、上部電極として機能する上部シールド層66は、前記絶縁層24上から前記フリー磁性層67の中央前端部C上の非磁性層26上にかけて形成されている。このように前記第2反強磁性層22上に絶縁層24が設けられたことで、前記上部シールド層66からフリー磁性層67下へ流れるセンス電流は、前記第2反強磁性層22に分流することがなく、前記下地層11から非磁性層26までの多層膜の中央前端部C内にのみ適切に流れる。よって再生出力の大きい磁気検出素子を製造することが可能になる。
【0071】
また図1、2に示す実施形態では、前記絶縁層24の内側端部24aは、前記フリー磁性層67の前記中央前端部C上の一部にまで延びて形成されている。すなわち前記絶縁層24は、前記中央前端部C上に一部オーバーラップして形成されている。図2では、前記絶縁層24のオーバーラップ領域が、点線で示されている。そして上部電極として機能する上部シールド層66は、前記絶縁層24上から前記絶縁層24に覆われていない前記フリー磁性層67の中央前端部C上にかけて形成される。
【0072】
このように前記絶縁層24の内側端部24aが前記フリー磁性層67の中央前端部C上に一部、オーバーラップして形成されることで、前記第2反強磁性層22の内側端面22aは、完全に前記絶縁層24によって覆われた状態になり、前記上部シールド層66からのセンス電流が前記第2反強磁性層22に分流するのを、より効果的に抑制でき再生出力の大きい磁気検出素子を製造することが可能である。
【0073】
図1に示す実施形態では、前記非磁性材料層18はCuなどの非磁性導電材料で形成されていたが、前記非磁性材料層18はAl2O3やSiO2などの絶縁材料で形成されていてもよい。前者はスピンバルブ型薄膜素子と呼ばれる膜構成であり、後者はトンネル型磁気抵抗効果型素子と呼ばれる膜構成である。
【0074】
トンネル型磁気抵抗効果型素子では、フリー磁性層67と固定磁性層64に電圧を印加すると、非磁性材料層18を電流(トンネル電流)が流れ、トンネル効果が発揮される。そして、外部磁界の影響を受けてフリー磁性層67の磁化が変動することにより、変化するトンネル電流を信号としてとらえ、記録媒体からの洩れ磁界が検出されるようになっている。
【0075】
また既に説明したように図1に示す実施形態では、下部シールド層10及び上部シールド層66がそれぞれ下部電極、上部電極としての役割を有している。前記シールド層10、66は、本来、磁気検出素子に侵入してくる目的とする媒体信号磁界以外の磁界等を遮断するために設けられたものであるが、これらシールド層10、66をシールドとしてのみでなく電極としても使用すれば、わざわざ電極を設ける必要性がなくなり製造工程の簡略化を図ることができるとともに、シールド層10、66間の間隔、すなわちギャップ長Glを短くすることができる。ただし前記シールド層10、66を電極として用いる場合には、下部シールド層10上に下部ギャップ層となる層(図1では下地層11)、上部シールド層66下に上部ギャップ層となる層(図1では非磁性層26)を設ける必要がある。
【0076】
また前記非磁性層26の形成位置であるが図1では、前記非磁性層26はフリー磁性層67の中央前端部C上のみに設けられていた。しかし前記非磁性層26は、前記フリー磁性層67の両側端部A上、および中央後端部B上に設けられていてもよく、ただし前記両側端部A及び中央後端部Bでの非磁性層26の膜厚は3Å以下の非常に薄い膜厚であることが好ましい。前記非磁性層26の膜厚が薄くないとフリー磁性層67と第2反強磁性層22間で適切な大きさの交換結合磁界を生じさせることができないからである。
【0077】
図4ないし図6では、図1と同様にフリー磁性層67の両側端部A上、および中央後端部B上に第2反強磁性層22が設けられているものの(図2を参照されたい)、図1とは若干、絶縁層24や第2反強磁性層22の形態が異なる。
【0078】
図2は本発明における第2実施形態の磁気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0079】
図2に示す実施形態では前記第2反強磁性層22上に形成された絶縁層24の内側端部24aは、前記フリー磁性層67の中央前端部C上の非磁性層26上にまで延出形成されていない。かかる場合でも上部電極として機能する上部シールド層66から前記第2反強磁性層22に分流するセンス電流の分流ロスを低減させることができ再生出力の大きい磁気検出素子を製造することが可能である。
【0080】
また図2に示す実施形態でも図1と同様に、第2反強磁性層22はフリー磁性層67の両側端部A上及び中央後端部B上に形成されており(図2を参照されたい)、前記フリー磁性層67の中央後端部Bが磁化固定され、これによって前記フリー磁性層67の中央前端部Cのハイト側縁部C2付近に強いバイアス磁界が作用し、フリー磁性層67の磁化方向と逆向きのセンス電流磁界を前記バイアス磁界で打ち消してハイト側縁部C2付近での磁化の乱れを緩和することができ、ヒステリシスの小さい磁気検出素子を製造することが可能になる。
【0081】
図5は本発明における第3実施形態の磁気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0082】
この実施形態における磁気検出素子は、図1、4に示す磁気検出素子と異なる製造方法によって形成されたものである。なお製造方法については後述する。
【0083】
図5に示す実施形態の磁気検出素子においても、第2反強磁性層22がフリー磁性層67の両側端部A上、および中央後端部B上に形成されており(図2を参照されたい)、前記フリー磁性層67の中央後端部Bが磁化固定され、これによって前記フリー磁性層67の中央前端部Cのハイト側縁部C2付近に強いバイアス磁界が作用し、フリー磁性層67の磁化方向と逆向きのセンス電流磁界を前記バイアス磁界で打ち消してハイト側縁部C2付近での磁化の乱れを緩和することができ、ヒステリシスの小さい磁気検出素子を製造することが可能になる。
【0084】
図5に示す実施形態では、前記第2反強磁性層22の内側端面22aが、前記フリー磁性層67の上面から垂直方向(図示Z方向)に延びて形成され、前記第2反強磁性層22の上面に絶縁層24が形成されている。ただし前記第2反強磁性層22の内側端面22aは、一点鎖線で示すように傾斜面あるいは湾曲面で形成され、前記内側端面22aが下面から上面に向う(図示Z方向)にしたがって徐々に中央前端部Cから遠ざかるように形成されていてもよい。
【0085】
また図5に示す実施形態では前記フリー磁性層67と上部電極30間に非磁性層26が形成されていないが、点線で示すように前記非磁性層26が前記フリー磁性層67の中央前端部上及び絶縁層24上の全面に形成されていてもかまわない。前記非磁性層26の有無は後述する製造方法に起因するものであり、前記非磁性層26が前記フリー磁性層67上に設けられる場合には、この非磁性層26を上部ギャップ層として機能させることができ、図1、4と同様に前記上部電極30を磁性材料で形成して上部シールド層と兼用させることが可能になる。非磁性層26が設けられておらず、且つ前記フリー磁性層67と上部電極30との間に上部ギャップ層となり得る層が無い場合には、前記フリー磁性層67の上に上部ギャップ層、および上部シールド層を設ける必要がある。
【0086】
図6は本発明における第4実施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0087】
図6に示す実施形態においても、図1、4及び5に示す実施形態と同様に第2反強磁性層22はフリー磁性層67の両側端部A上、及び中央後端部B上に形成されている(図2を参照されたい)。ただしこの実施形態では、前記第2反強磁性層22は前記フリー磁性層67の中央前端部C上にも形成されている。
【0088】
図6に示すように前記フリー磁性層67の中央前端部C上に形成された前記第2反強磁性層22の膜厚はH2であり、前記フリー磁性層67の両側端部A上及び中央後端部B上に形成された第2反強磁性層22の膜厚はH1であり、H1はH2よりも大きい。
【0089】
前記両側端部A上及び中央後端部B上に形成された第2反強磁性層22の膜厚H1は、80Å以上で300Å以下で形成されることが好ましい。この程度の厚い膜厚で形成されることにより前記第2反強磁性層22とフリー磁性層67間で適切に交換結合磁界が発生し、前記フリー磁性層67の両側端部A及び中央後端部Bが磁化固定される。
【0090】
一方、前記フリー磁性層67の中央前端部C上に形成された第2反強磁性層22の膜厚H2は50Å以下(ただし0Åを除く)で形成されることが好ましい。より好ましくは40Å以下である。この程度の薄い膜厚で前記第2反強磁性層22を形成することにより前記フリー磁性層67の中央前端部Cと第2反強磁性層22間で交換結合磁界が発生しないか、発生してもその値は小さく、前記フリー磁性層67の中央前端部Cが前記交換結合磁界によって磁化固定されるのを防ぐことができる。
【0091】
このように前記第2反強磁性層22の形成によって磁化固定されるのは、フリー磁性層67の両側端部Aと中央後端部Bであり(図2を参照されたい)、前記フリー磁性層67の中央後端部Bが磁化固定され、これによって前記フリー磁性層67の中央前端部Cのハイト側縁部C2付近に強いバイアス磁界が作用し、フリー磁性層67の磁化方向と逆向きのセンス電流磁界を前記バイアス磁界で打ち消してハイト側縁部C2付近での磁化の乱れを緩和することができ、ヒステリシスの小さい磁気検出素子を製造することが可能になる。
【0092】
図6に示す実施形態では、図5と同様に、前記第2反強磁性層22の内側端面22aが、前記フリー磁性層67の上面から垂直方向(図示Z方向)に延びて形成されているが、前記フリー磁性層67の内側端面22aは、一点鎖線で示すように傾斜面あるいは湾曲面で形成され、前記内側端面22aが下面から上面に向う(図示Z方向)にしたがって徐々に中央前端部Cから遠ざかるように形成されていてもよい。
【0093】
また図6に示す実施形態では前記フリー磁性層67と上部電極30間に非磁性層26が形成されていないが、中央前端部C上に残されたH2の厚みを有する第2反強磁性層22は反強磁性を示さず、非磁性層として機能するため、前記第2反強磁性層22の中央前端部Cを上部ギャップ層として機能させることができる。また点線で示すように前記非磁性層26が前記H2の厚さの第2反強磁性層22の中央前端部C上と絶縁層24上の全面に形成されていてもかまわない。前記非磁性層26が前記第2反強磁性層22の中央前端部C上に設けられる場合には、この非磁性層26と反強磁性層22のH2の厚みを合わせた層を上部ギャップ層として機能させることができ、図1、4と同様に前記上部電極30を磁性材料で形成して上部シールド層と兼用させることが可能になる。
【0094】
以上、図1ないし6に示す実施形態では、フリー磁性層67の磁化を第2反強磁性層22を用いて磁化制御する方法であったが、次の図7ないし図9に示す実施形態では、前記フリー磁性層67の磁化をハードバイアス層を用いて磁化制御する方法である。
【0095】
図7は本発明における第5実施形態の磁気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図であり、図8は、図7に示す磁気検出素子のフリー磁性層及びハードバイアス層の部分のみの部分平面図、図9は図7に示す磁気検出素子を9−9線からハイト方向に切断し、切断された磁気検出素子を矢印方向から見た部分縦断面図である。
【0096】
図7、9に示す実施形態では、下部電極を兼用する磁性材料製の下部シールド層10上の素子中央には、下から下部ギャップ層を兼用した下地層11、シードレイヤ12、第1反強磁性層13、積層フェリ構造の固定磁性層64、非磁性材料層18、及びフリー磁性層67が形成されている。各層の材質や膜厚等については図1と同様であるのでそちらを参照されたい。
【0097】
図7、9に示す前記フリー磁性層67上には非磁性材料製の保護層31が形成されている。この実施形態では前記保護層31が上部ギャップ層としても機能している。前記保護層31はTa,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち少なくとも1種以上で形成されることが好ましい。
【0098】
図7に示すように、下地層11から保護層31までの多層膜は、トラック幅方向(図示X方向)の両側端面が傾斜面あるいは湾曲面で形成されている。前記多層膜のトラック幅方向(図示X方向)への幅寸法は、下地層11から保護層31に向うにしたがって徐々に小さくなっている。前記フリー磁性層67の上面のトラック幅方向における幅寸法でトラック幅Twが決定される。
【0099】
前記多層膜のトラック幅方向(図示X方向)の両側であって、前記下部シールド層10上にはAl2O3やSiO2などの絶縁材料で形成された絶縁層32が形成されている。
【0100】
前記絶縁層32は、図9に示すように、前記多層膜の後端面側にも形成されている。ここで「後端面」とは「記録媒体との対向面」に対する裏面を意味する。前記絶縁層32は、前記多層膜の両側端面から後端面にかけて一体の層として形成されている。
【0101】
図7、図8及び図9に示すように、前記絶縁層32上には、ハードバイアス層33が形成される。前記ハードバイアス層33はCoPtCr合金、CoPt合金などの永久磁石で形成される。
【0102】
前記ハードバイアス層33は前記絶縁層32上に形成されるから、すなわち前記ハードバイアス層33は、図7ないし9に示すように前記多層膜35の両側端面のみならず、前記多層膜35の後端面にも設けられる。
【0103】
前記ハードバイアス層33はフリー磁性層67の磁化を図示X方向と平行な方向に揃えるためのものであるから、少なくとも前記ハードバイアス層33は、前記フリー磁性層67の両側端面の一部に対向して形成されていなければならない。この実施形態では前記絶縁層32の上面が前記フリー磁性層67の下面よりも下側に形成され、前記フリー磁性層67の両側端面全体に前記ハードバイアス層33が対向する状態になっている。前記フリー磁性層67の両側端面から前記ハードバイアス層33の縦バイアス磁界が流入することで、前記フリー磁性層67の磁化は図示X方向と逆方向に揃えられる。
【0104】
図7に示すように前記ハードバイアス層33の上にはAl2O3やSiO2などの絶縁材料で形成された絶縁層34が形成される。そして前記絶縁層34上から前記保護層31上にかけて上部シールド層66が形成される。前記上部シールド層66はこの実施形態では、上部電極として機能している。
【0105】
図7ないし9に示す磁気検出素子の特徴的部分について以下に説明する。図7ないし9に示す磁気検出素子では、前記フリー磁性層67の両側端面のみならず、前記フリー磁性層67の後端面にもハードバイアス層33が対向して設けられている。前記ハードバイアス層33と前記フリー磁性層67の両側端面間には、前記ハードバイアス層33の特性(保磁力Hcや角形比)を向上させるためのCrなどで形成されたバイアス下地層が設けられていてもよいが、このバイアス下地層は、前記ハードバイアス層33と前記フリー磁性層67の後端面間には設けられず、前記後端面側に形成されたハードバイアス層33は、前記フリー磁性層67の後端面に接して形成されている。前記ハードバイアス層33が前記フリー磁性層67の後端面に接して形成されることで、交換相互作用が生じ、前記フリー磁性層67の後端面付近は、前記ハードバイアス層33の磁化方向に強く磁化される。
【0106】
図8では前記ハードバイアス層33がトラック幅方向(図示X方向)と平行な方向であって図示左側に磁化されているので、前記フリー磁性層67の磁化は前記ハードバイアス層33からの縦バイアス磁界によって図示左方向に揃えられる。
【0107】
ここで前記フリー磁性層67にセンス電流が図示Z方向とは逆方向(すなわち紙面垂直下方向)に流れたとすると、図8に示すように、右ねじの法則によって発生するセンス電流磁界は、前記フリー磁性層67の後端面側で、前記フリー磁性層67の磁化方向とは逆方向(図示右方向)に向けられる。特に前記センス電流磁界は前記フリー磁性層67の後端面付近で強くなる。
【0108】
しかしながら、本発明では上記したように前記フリー磁性層67の後端面にハードバイアス層33が接して形成され、前記ハードバイアス層33との交換相互作用によって前記フリー磁性層67の後端面付近の磁化Lは図示左方向に強く磁化され、逆向きのセンス電流磁界を打ち消して前記センス電流磁界の影響を弱くすることが可能になり、従来に比べてヒステリシスの小さい磁気検出素子を製造することができる。
【0109】
ここで前記フリー磁性層67の後端面とハードバイアス層33間に、Crなどのバイアス下地層が介在せず、前記フリー磁性層67の後端面とハードバイアス層33とが接して形成(磁気的に接続)されなければならない理由は、もしCrなどのバイアス下地層が介在すると、前記ハードバイアス層33から発生する縦バイアス磁界は、スタティックな磁界のみとなるからである。
【0110】
このため図10のように前記フリー磁性層67の後端面とハードバイアス層33との間に隙間があると、図示左方向に磁化されていたハードバイアス層33からは、図示右方向の静磁界が前記フリー磁性層67内に流入し、益々、前記フリー磁性層67の後端面付近の磁化方向が、図示右方向に向きやすくなり、前記フリー磁性層67の磁化方向がよりいっそう乱れる結果になる。そうであるなら例えばセンス電流の流れ方向を図示Z方向(紙面垂直上方向)にすれば、センス電流磁界の向きと前記静磁界とをフリー磁性層67の後端面側で逆向きにできるが、今度は記録媒体との対向面側でも、フリー磁性層67の磁化方向(図示左方向)とセンス電流磁界方向(図示右方向)が逆向きとなり、結局、フリー磁性層67の磁化の乱れを緩和することができないのである。
【0111】
よって本発明のように前記フリー磁性層67の後端面に設けられるハードバイアス層33は、前記フリー磁性層67の後端面に接して形成されていなければならない。
【0112】
次に本発明では、図8に示すように前記フリー磁性層67の両側端面から後端面にかけて形成されるハードバイアス層33は一体の層として形成されることが好ましい。すなわち図8に示す領域D、E及びFの全ての領域に前記ハードバイアス層33が形成される。これによって前記ハードバイアス層33の形成を容易化することが可能である。
【0113】
ただし前記フリー磁性層67の両側端面、および前記フリー磁性層67の後端面に形成されるハードバイアス層33は別個に形成されていてもよい。例えば図8に示すように、前記フリー磁性層67の両側端面の領域Dと、前記フリー磁性層67の後端面の領域Eとにハードバイアス層33が設けられ、前記領域Dと領域E間を繋げる領域Fに前記ハードバイアス層33が形成されていなくても本発明の効果を発揮させることができる。
【0114】
また図7、9に示すように、前記ハードバイアス層33上には絶縁層34が設けられることが好ましい。これによって前記上部電極として機能する上部シールド層66から前記フリー磁性層67に流れるセンス電流が前記ハードバイアス層33に分流することを防ぐことができ、再生出力の大きい磁気検出素子を製造することが可能になる。
【0115】
また図7、9に示すように前記ハードバイアス層33下にも絶縁層32が設けられることが、より適切に前記ハードバイアス層33へのセンス電流の分流ロスを抑制できて好ましい。
【0116】
また図7ないし図9に示す磁気検出素子は、下からフリー磁性層67、非磁性材料層18、固定磁性層64、第1反強磁性層13の順に積層されていてもよい。
【0117】
図1ないし図9に示す本発明では、磁気検出素子は、電流がこの素子内を膜厚方向に流れるCPP(current perpendicular to the plane)型磁気素子に限っているが、本発明の構成を、電流が素子の膜面方向と平行な方向に流れるCIP(current in the plane)型磁気素子に使用すると再生出力が大きく低下してしまうため前記CIP型磁気素子に本発明の構成を用いることは好ましくない。
【0118】
本発明のようにフリー磁性層67の中央後端部B上に第2反強磁性層22を設けたり、また前記フリー磁性層67の後端面側にハードバイアス層33を設けたCIP型磁気素子であると、センス電流は、中央後端部B上の第2反強磁性層22や、前記フリー磁性層67の後端面側のハードバイアス層33にも分流するため、再生出力が低下してしまうのである。よって本発明の構成はCPP型磁気素子に効果的である。
【0119】
次に本発明におけるフリー磁性層67の形態について説明する。
【0120】
図1ないし図9に示す磁気検出素子では、すべてフリー磁性層67は2層構造であり、非磁性材料層18と接する側の層が、CoFeやCoなどの拡散防止層65となっている。磁性材料層20はNiFe合金などの磁性材料で形成されている。
【0121】
前記フリー磁性層67は磁性材料の単層で形成されていてもよい。磁性材料としてはNiFe合金、CoFe合金、CoFeNi合金、Co、CoNi合金などを選択できる。このうち特に前記フリー磁性層67をCoFeNi合金で形成することが好ましい。
【0122】
図11は、前記フリー磁性層67の部分を中心に図示した部分拡大断面図である。断面は記録媒体との対向面側から見ている。
【0123】
図11に示す形態ではフリー磁性層67は3層構造である。前記フリー磁性層67を構成する符号36、37、38の各層はすべて磁性材料の層であり、磁性材料層36は、非磁性材料層18との間で元素の拡散を防止するための拡散防止層である。前記磁性材料層36はCoFeやCoなどで形成される。
【0124】
磁性材料層38は、第2反強磁性層22と接して形成されている。前記磁性材料層38は、CoFe合金で形成されることが好ましく、これによって前記磁性材料層38と前記第2反強磁性層22間で発生する交換結合磁界を大きくできる。
【0125】
図11に示す3層構造の材質の組合わせとしては、例えば磁性材料層36:CoFe/磁性材料層37:NiFe/磁性材料層38:CoFeを提示できる。
【0126】
磁性材料のみで形成されたフリー磁性層67の膜厚は30Å〜40Å程度で形成されることが好ましい。またフリー磁性層67に使用されるCoFe合金の組成比は、例えばCoが90at%、Feが10at%である。
【0127】
図12は、前記フリー磁性層67の別の実施形態を示す部分拡大断面図である。図12に示すフリー磁性層67は積層フェリ構造と呼ばれる構造である。これにより前記フリー磁性層67の物理的な厚みを極端に薄くすることなしに、磁気的な実効的フリー磁性層の膜厚を薄くでき、外部磁界に対する感度を向上させることができる。
【0128】
符号39、41の層は磁性層であり、符号40の層は非磁性中間層である。磁性層39および磁性層41は、例えばNiFe合金、CoFe合金、CoFeNi合金、Co、CoNi合金などの磁性材料で形成される。このうち特に前記磁性層39及び/または磁性層41は、CoFeNi合金で形成されることが好ましい。組成比としては、Feが9at%以上で17at%以下、Niが0.5at%以上で10at%以下、残りがCoのat%であることが好ましい。
【0129】
これにより前記磁性層39、41間に働くRKKY相互作用による結合磁界を大きくできる。具体的にはスピンフロップ磁界(Hsf)を約293(kA/m)以上にできる。以上により、磁性層39と磁性層41との磁化を適切に反平行状態にできる。また上記した組成範囲内であると、フリー磁性層67の磁歪を−3×10-6から3×10-6の範囲内に収めることができ、また保磁力を790(A/m)以下に小さくできる。
【0130】
さらに、前記フリー磁性層67の軟磁気特性の向上、非磁性材料層18間でのNiの拡散による抵抗変化量(ΔR)や抵抗変化率(ΔR/R)の低減の抑制を適切に図ることが可能である。
【0131】
また前記非磁性中間層40は、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種または2種以上で形成されることが好ましい。
【0132】
前記磁性層39の膜厚は例えば35Å程度で、非磁性中間層40は例えば9Å程度で、前記磁性層41の膜厚は例えば15Å程度で形成される。
【0133】
上記したフリー磁性層67が積層フェリ構造で形成されたとき、前記フリー磁性層67の中央前端部Cでは、前記磁性層41まで完全に除去され、前記中央前端部Cからは非磁性中間層40が露出するように構成することもできる。これにより中央前端部Cでの前記フリー磁性層67は積層フェリ構造ではなく、通常の磁性層のみで形成されたフリー磁性層として機能し、一方、両側端部A及び中央後端部Bのフリー磁性層67は積層フェリ構造となり、一方向性バイアス磁界を増強し、より確実に両側端部A及び中央後端部Bのフリー磁性層67をトラック幅方向に固定させ、サイドリーディングの発生を防ぐことができる。
【0134】
また前記磁性層39と非磁性材料層18との間には、CoFe合金やCoで形成された拡散防止層が設けられていてもよい。さらには、前記磁性層41上にCoFe合金で形成された磁性層が形成されていてもよい。
【0135】
かかる場合、磁性層39及び/または磁性層41がCoFeNi合金で形成されるとき、前記CoFeNi合金のFeの組成比は7原子%以上で15原子%以下で、Niの組成比は5原子%以上で15原子%以下で、残りの組成比はCoであることが好ましい。
【0136】
これにより前記磁性層39、41間で発生するRKKY相互作用における交換結合磁界を強くすることができる。具体的には、スピンフロップ磁界(Hsf)を約293(kA/m)にまで大きくすることができる。よって磁性層39、41の磁化を適切に反平行状態にすることができる。
【0137】
また上記した組成範囲内であると、フリー磁性層67の磁歪を−3×10-6から3×10-6の範囲内に収めることができ、また保磁力を790(A/m)以下に小さくできる。さらに、前記フリー磁性層67の軟磁気特性の向上を図ることができる。
【0138】
図13は本発明におけるフリー磁性層67の別の形態を示す部分拡大断面図である。図13に示すフリー磁性層67には、磁性材料層42、44間にスペキュラー膜43が形成されている。前記スペキュラー膜43には、図13に示すように欠陥部(ピンホール)Gが形成されていてもよい。また図13に示す実施形態ではスペキュラー膜(鏡面反射層)43を挟んだ磁性材料層42及び磁性材料層44は同じ方向(矢印方向)に磁化されている。
【0139】
磁性材料層42、44にはNiFe合金、CoFe合金、CoFeNi合金、Co、CoNi合金などの磁性材料が使用される。
【0140】
図13のようにスペキュラー膜43がフリー磁性層67内に形成されていると前記スペキュラー膜43に達した伝導電子(例えばアップスピンを持つ伝導電子)は、そこでスピン状態(エネルギー、量子状態など)を保持したまま鏡面反射する。そして鏡面反射した前記アップスピンを持つ伝導電子は、移動向きを変えてフリー磁性層内を通り抜けることが可能になる。
【0141】
このため本発明では、スペキュラー膜43を設けることで、前記アップスピンを持つ伝導電子の平均自由行程λ+を従来に比べて伸ばすことが可能になり、よって前記アップスピンを持つ伝導電子の平均自由行程λ+と、ダウンスピンを持つ伝導電子の平均自由行程λ−との差を大きくすることができ、従って抵抗変化率(ΔR/R)の向上とともに、再生出力の向上を図ることが可能になる。
【0142】
前記スペキュラー膜43の形成は、例えば磁性材料層42までを成膜し、前記磁性材料層42表面を酸化する。この酸化層をスペキュラー膜43として機能させることができる。そして前記スペキュラー膜43上に磁性材料層44を成膜する。
【0143】
前記スペキュラー膜43の材質としては、Fe−O、Ni−O、Co−O、Co−Fe−O、Co−Fe−Ni−O、Al−O、Al−Q−O(ここでQはB、Si、N、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選択される1種以上)、R−O(ここでRはCu、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上)の酸化物、Al−N、Al−Q−N(ここでQはB、Si、O、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選択される1種以上)、R−N(ここでRはTi、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上)の窒化物、半金属ホイッスラー合金などを提示できる。
【0144】
図14は本発明におけるフリー磁性層67の別の形態を示す部分拡大断面図である。
【0145】
図14に示すフリー磁性層67は、磁性層45とバックド層46との積層構造である。前記バックド層46は例えばCu、Au、Cr、Ruなどで形成される。前記磁性層45はNiFe合金、CoFe合金、CoFeNi合金、Co、CoNi合金などの磁性材料で形成される。
【0146】
前記バックド層46が形成されることによって、磁気抵抗効果に寄与するアップスピンの伝導電子(上向きスピン:up spin)における平均自由行程(mean free path)を延ばし、いわゆるスピンフィルター効果(spin filter effect)によりスピンバルブ型磁気素子において、大きな抵抗変化率が得られ、高記録密度化に対応できるものとなる。また前記バックド層46は交換結合を媒介する作用も有するため、第2反強磁性層22と磁性層45間の交換結合磁界は若干、減少するものの十分な値に保たれる。
【0147】
図15ないし図21は図1に示す磁気検出素子の製造方法を示す一工程図である。図15、16、18、20に示す各工程は記録媒体との対向面側から見た部分断面図、図17は図16に示す16−16線から製造中の磁気検出素子をハイト方向に切断し、その切断された磁気検出素子を矢印方向から見た部分縦断面図、図19は、図18に示す19−19線から製造中の磁気検出素子をハイト方向に切断し、その切断された磁気検出素子を矢印方向から見た部分縦断面図、図21は、図20に示す21−21線から製造中の磁気検出素子をハイト方向に切断し、その切断された磁気検出素子を矢印方向から見た部分縦断面図である。
【0148】
図15に示す工程では、下部シールド層10上に、下地層11、シードレイヤ12、第1反強磁性層13、固定磁性層64、非磁性材料層18、フリー磁性層67および非磁性層26を連続成膜する。成膜にはスパッタや蒸着法が使用される。図15に示す固定磁性層64は、例えばCoFe合金などで形成された第2磁性層14と第1磁性層16と、両磁性層14、16間に介在するRuなどの非磁性中間層15との積層フェリ構造である。前記フリー磁性層67は、CoFe合金などの拡散防止層65とNiFe合金などの磁性材料層20との積層構造である。
【0149】
本発明では前記第1反強磁性層13を、PtMn合金、または、X―Mn(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で、あるいはPt―Mn―X′(ただしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag,Os,Cr,Ni,Ar,Ne,Xe,Krのいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成することが好ましい。
【0150】
また前記PtMn合金及び前記X−Mnの式で示される合金において、PtあるいはXが37〜63at%の範囲であることが好ましい。また、前記PtMn合金及び前記X−Mnの式で示される合金において、PtあるいはXが47〜57at%の範囲であることがより好ましい。特に規定しない限り、〜で示す数値範囲の上限と下限は以下、以上を意味する。
【0151】
また、Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’+Ptが37〜63at%の範囲であることが好ましい。また、前記Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’+Ptが47〜57at%の範囲であることがより好ましい。さらに、前記Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’が0.2〜10at%の範囲であることが好ましい。ただし、X’がPd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である場合には、X’は0.2〜40at%の範囲であることが好ましい。
【0152】
また本発明では前記第1反強磁性層13の膜厚を80Å以上で300Å以下で形成することが好ましい。この程度の厚い膜厚で前記第1反強磁性層13を形成することにより磁場中アニールで、前記第1反強磁性層13と固定磁性層64の磁性層14間に大きな交換結合磁界を発生させることができる。具体的には、48kA/m以上、例えば64kA/mを越える交換結合磁界を発生させることができる。
【0153】
図15工程のように前記フリー磁性層67上に非磁性層26を形成することで、図15に示す多層膜が大気暴露されても前記フリー磁性層67が酸化されるのを適切に防止できる。
【0154】
ここで前記非磁性層26は大気暴露によって酸化されにくい緻密な層である必要がある。また熱拡散などにより前記非磁性層26を構成する元素が後工程で形成する第2反強磁性層22内部に侵入しても反強磁性層としての性質を劣化させない材質である必要がある。
【0155】
本発明では前記非磁性層26をRu、Re、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Rhのいずれか1種または2種以上からなる貴金属で形成することが好ましい。
【0156】
Ruなどの貴金属からなる非磁性層26は大気暴露によって酸化されにくい緻密な層である。したがって前記非磁性層26の膜厚を薄くしてもフリー磁性層67が大気暴露によって酸化されるのを適切に防止できる。
【0157】
本発明では前記非磁性層26を3Å以上で10Å以下で形成することが好ましい。この程度の薄い膜厚の非磁性層26によっても適切に前記フリー磁性層67が大気暴露によって酸化されるのを適切に防止することが可能である。
【0158】
図15に示すように下部シールド層10上に非磁性層26までの各層を積層した後、第1の磁場中アニールを施す。トラック幅Tw(図示X方向)と直交する方向である第1の磁界(図示Y方向)を印加しつつ、第1の熱処理温度で熱処理し、第1反強磁性層13と固定磁性層64を構成する第2磁性層14との間に交換結合磁界を発生させて、前記第2磁性層14の磁化を図示Y方向に固定する。もう一方の磁性層16の磁化は、前記第2磁性層14との間で働くRKKY相互作用による交換結合によって図示Y方向とは逆方向に固定される。なお例えば前記第1の熱処理温度を270℃とし、磁界の大きさを800k(A/m)とする。
【0159】
次に図16に示す工程では前記非磁性層26の上面にレジスト層を形成し、このレジスト層を露光現像することによって図16に示す形状のレジスト層49を前記非磁性層26上に残す。前記レジスト層49は例えばリフトオフ用のレジスト層である。
【0160】
前記レジスト層49は、図16及び図17に示すように非磁性層26の中央前端部C上のみに形成される。
【0161】
次に前記レジスト層49に覆われていない前記非磁性層26の両側端部26a及び中央後端部26bを図16、図17に示す矢印H方向からのイオンミリングで削る(図16、図17に示す点線部分の非磁性層26が除去される)。
【0162】
ここで前記非磁性層26の両側端部26a及び中央後端部26bを削る理由は、次工程で形成される第2反強磁性層22とフリー磁性層67間で適切に交換結合磁界を発生させるためである。
【0163】
なお前記非磁性層26の両側端部26a及び中央後端部26bは一部残されてもよい。本発明では、前記非磁性層26の両側端部26a及び中央後端部26bの膜厚を3Å以下にすることが好ましい。この程度にまで前記非磁性層26の両側端部26a及び中央後端部26bの膜厚を薄くすることで、第2反強磁性層22とフリー磁性層67間で適切な大きさの交換結合磁界を生じさせることができる。
【0164】
図16に示すイオンミリング工程では、低エネルギーのイオンミリングを使用できる。その理由は、前記非磁性層26が成膜段階で3Å〜10Å程度の非常に薄い膜厚で形成されているからである。
【0165】
本発明では、Ruなどで形成された非磁性層26は成膜段階で3Å〜10Å程度の薄い膜厚であり、よって低エネルギーのイオンミリングにより前記非磁性層26の途中でミリングを止めるようにミリング制御しやすい。
【0166】
次に図18及び図19工程を施す。図18及び図19工程では、前記レジスト層49が形成されていない、前記フリー磁性層67の両側端面A上及び中央後端面B上に第2反強磁性層22を矢印I方向からスパッタ法あるいは蒸着法で成膜する。前記第2反強磁性層22の内側端面22aは、下面から上面に向うにしたがって徐々に中央前端部Cから遠ざかる湾曲面あるいは傾斜面として形成される。この実施形態ではフリー磁性層67の両側端部A上に形成された前記第2反強磁性層22の下面間の間隔でトラック幅Twが規定される。
【0167】
本発明では前記第2反強磁性層22を、PtMn合金、または、X―Mn(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で、あるいはPt―Mn―X′(ただしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag,Os,Cr,Ni,Ar,Ne,Xe,Krのいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成することが好ましい。
【0168】
また前記PtMn合金及び前記X−Mnの式で示される合金において、PtあるいはXが37〜63at%の範囲であることが好ましい。また、前記PtMn合金及び前記X−Mnの式で示される合金において、PtあるいはXが47〜57at%の範囲であることがより好ましい。特に規定しない限り、〜で示す数値範囲の上限と下限は以下、以上を意味する。
【0169】
また、Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’+Ptが37〜63at%の範囲であることが好ましい。また、前記Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’+Ptが47〜57at%の範囲であることがより好ましい。さらに、前記Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’が0.2〜10at%の範囲であることが好ましい。ただし、X’がPd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である場合には、X’は0.2〜40at%の範囲であることが好ましい。
【0170】
また図18に示す工程では、前記第2反強磁性層22の膜厚を80Å以上で300Å以下で形成することが好ましい。
【0171】
また前記第2反強磁性層22を形成する際の成膜角度は、フリー磁性層67表面に対して垂直方向か、あるいはやや前記垂直方向から傾いた角度を有していることが好ましい。前記成膜角度を前記垂直方向からやや傾いた角度にすることで、前記レジスト層49の下方に形成された窪み49a内にも前記第2反強磁性層22を形成しやすくできて狭トラック化に対応でき、また前記第2反強磁性層22の内側端面22aを傾斜面あるいは湾曲面として形成することができる。
【0172】
図20及び図21に示す工程では、前記第2反強磁性層22上にAl2O3やSiO2などの絶縁材料からなる絶縁層24をスパッタあるいは蒸着法によって成膜する。この工程では、前記絶縁層24を矢印J方向からスパッタ等により成膜するが、このとき成膜角度を、図18及び図19工程で第2反強磁性層22を成膜する際の成膜角度より、フリー磁性層67表面の垂直方向(図示Z方向)に対してより傾いた角度にし、前記絶縁層24が前記第2反強磁性層22上のみならず、中央前端部Cのフリー磁性層67上に形成された非磁性層26上にも一部、オーバーラップするようにする。これによって前記第2反強磁性層22の内側端面22aは完全に前記絶縁層24によって覆われた状態になる。そして前記レジスト層49を除去する。
【0173】
次に第2の磁場中アニールを施す。このときの磁場方向は、トラック幅方向(図示X方向)である。なおこの第2の磁場中アニールは、第2の印加磁界を、第1反強磁性層13の交換異方性磁界よりも小さく、しかも熱処理温度を、前記第1反強磁性層13のブロッキング温度よりも低くする。これによって前記第1反強磁性層13の交換異方性磁界の方向をハイト方向(図示Y方向)に向けたまま、前記第2反強磁性層22の交換異方性磁界をトラック幅方向(図示X方向)に向けることができる。なお第2の熱処理温度は例えば250℃であり、磁界の大きさは24k(A/m)である。
【0174】
上記の第2の磁場中アニールによって、前記第2反強磁性層22とフリー磁性層67間で交換結合磁界が生じ、前記フリー磁性層67の両側端部A及び中央後端部Bは、トラック幅方向(図示X方向)に磁化固定され、一方、前記フリー磁性層67の中央前端部Cは、外部磁界に対し磁化反転できる程度にトラック幅方向(図示X方向)に弱く単磁区化された状態になる。
【0175】
また上記の第2の磁場中アニールで、非磁性層26を構成するRuなどの貴金属元素が、第2反強磁性層22内部に拡散し、前記第2反強磁性層22の下面付近では、前記非磁性層26の元素を含んだ組成(例えば第2反強磁性層22がPtMn合金で形成され、非磁性層26がRuであるときは、前記第2反強磁性層22の下面付近の組成はPtMnRuとなる)になるものと考えられる。ただし、このように組成元素が混合しても前記第2反強磁性層22の反強磁性材料としての性質は失われず、前記第2反強磁性層22とフリー磁性層67間で大きな交換結合磁界を発生させることができる。
【0176】
前記第2の磁場中アニール後、前記絶縁層24上からフリー磁性層67の中央前端部C上に形成された非磁性層26上にかけて磁性材料製の上部シールド層66をメッキ法などで形成する。
【0177】
以上の製造工程によって図1に示す磁気検出素子を製造することが可能である。図4に示す磁気検出素子を製造するには、図20及び図21に示す工程で、前記絶縁層24を成膜するとき、その成膜角度を、例えば図18及び図19工程における第2反強磁性層22を成膜するときの成膜角度と同等にすることで達成することができる。
【0178】
図22ないし図25は、図5及び図6に示す磁気検出素子の製造方法を示す一工程図である。図22ないし図25に示す各工程は記録媒体との対向面側から見た部分断面図、図25は図24に示す25−25線から製造中の磁気検出素子をハイト方向に切断し、その切断された磁気検出素子を矢印方向から見た部分縦断面図である。
【0179】
まず図22工程では、下部シールド層10上に下地層11、シードレイヤ12、第1反強磁性層13、固定磁性層64、非磁性材料層18、フリー磁性層67、及び非磁性層26を連続成膜する。成膜にはスパッタや蒸着法が使用される。図22に示す固定磁性層64は、例えばCoFe合金などで形成された第2磁性層14と第1磁性層16と、両磁性層14、16間に介在するRuなどの非磁性中間層15との積層フェリ構造である。前記フリー磁性層67は、CoFe合金などの拡散防止層65とNiFe合金などの磁性材料層20との積層構造である。
【0180】
本発明では前記第1反強磁性層13を、PtMn合金、または、X―Mn(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で、あるいはPt―Mn―X′(ただしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag,Os,Cr,Ni,Ar,Ne,Xe,Krのいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成することが好ましい。
【0181】
また前記PtMn合金及び前記X−Mnの式で示される合金において、PtあるいはXが37〜63at%の範囲であることが好ましい。また、前記PtMn合金及び前記X−Mnの式で示される合金において、PtあるいはXが47〜57at%の範囲であることがより好ましい。特に規定しない限り、〜で示す数値範囲の上限と下限は以下、以上を意味する。
【0182】
また、Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’+Ptが37〜63at%の範囲であることが好ましい。また、前記Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’+Ptが47〜57at%の範囲であることがより好ましい。さらに、前記Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’が0.2〜10at%の範囲であることが好ましい。ただし、X’がPd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である場合には、X’は0.2〜40at%の範囲であることが好ましい。
【0183】
また本発明では前記第1反強磁性層13の膜厚を80Å以上で300Å以下で形成することが好ましい。この程度の厚い膜厚で前記第1反強磁性層13を形成することにより磁場中アニールで、前記第1反強磁性層13と固定磁性層64を構成する磁性層14間に大きな交換結合磁界を発生させることができる。具体的には、48kA/m以上、例えば64kA/mを越える交換結合磁界を発生させることができる。
【0184】
図22工程のように前記フリー磁性層67上に非磁性層26を形成することで、図22に示す多層膜が大気暴露されても前記フリー磁性層67が酸化されるのを適切に防止できる。
【0185】
ここで前記非磁性層26は大気暴露によって酸化されにくい緻密な層である必要がある。本発明では前記非磁性層26をRu、Re、Pd、Os、Irのいずれか1種または2種以上からなる貴金属で形成することが好ましい。
【0186】
Ruなどの貴金属からなる非磁性層26は大気暴露によって酸化されにくい緻密な層である。したがって前記非磁性層26の膜厚を薄くしても前記フリー磁性層67が大気暴露によって酸化されるのを適切に防止できる。
【0187】
本発明では前記非磁性層26を3Å以上で10Å以下で形成することが好ましい。この程度の薄い膜厚の非磁性層26によっても適切に前記フリー磁性層26が大気暴露によって酸化されるのを適切に防止することが可能である。
【0188】
図22に示すように非磁性層26までの各層を積層した後、第1の磁場中アニールを施す。トラック幅Tw(図示X方向)と直交する方向である第1の磁界(図示Y方向)を印加しつつ、第1の熱処理温度で熱処理し、第1の反強磁性層13と固定磁性層64を構成する第2磁性層14との間に交換結合磁界を発生させて、前記第2磁性層14の磁化を図示Y方向に固定する。もう一方の第1磁性層16の磁化は、前記第2磁性層14との間で働くRKKY相互作用による交換結合によって図示Y方向とは逆方向に固定される。なお例えば前記第1の熱処理温度を270℃とし、磁界の大きさを800k(A/m)とする。
【0189】
次に図22工程で前記非磁性層26の表面全体をイオンミリングして削る。このとき前記非磁性層26をすべて削ってもよいが、一部残してもよい。ここで前記非磁性層26表面を削る理由は、できる限り前記非磁性層26の膜厚を薄くしておかないと前記フリー磁性層67と次工程で形成される第2反強磁性層22間で適切な大きさの交換結合磁界を発生させることができないからである。
【0190】
本発明では、このイオンミリング工程で、前記非磁性層26の膜厚を3Å以下にすることが好ましい。
【0191】
また図22に示すイオンミリング工程では、低エネルギーのイオンミリングを使用できる。その理由は、成膜段階で前記非磁性層26が3Å〜10Å程度の非常に薄い膜厚で形成されているからである。このため本発明では、低エネルギーのイオンミリングによって前記非磁性層26の途中でミリングを止めやすく、あるいはすべて削っても前記フリー磁性層67にミリングダメージを与えるといった不具合を低減させることができる。
【0192】
次に図23に示す工程では、前記非磁性層26上に第2反強磁性層22を成膜し、さらに連続して前記第2反強磁性層22の上にAl2O3やSiO2などで形成された絶縁層24を成膜する。
【0193】
前記第2反強磁性層22をPtMn合金、または、X―Mn(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で、あるいはPt―Mn―X′(ただしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag,Os,Cr,Ni,Ar,Ne,Xe,Krのいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成することが好ましい。
【0194】
また前記PtMn合金及び前記X−Mnの式で示される合金において、PtあるいはXが37〜63at%の範囲であることが好ましい。また、前記PtMn合金及び前記X−Mnの式で示される合金において、PtあるいはXが47〜57at%の範囲であることがより好ましい。特に規定しない限り、〜で示す数値範囲の上限と下限は以下、以上を意味する。
【0195】
また、Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’+Ptが37〜63at%の範囲であることが好ましい。また、前記Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’+Ptが47〜57at%の範囲であることがより好ましい。さらに、前記Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’が0.2〜10at%の範囲であることが好ましい。ただし、X’がPd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である場合には、X’は0.2〜40at%の範囲であることが好ましい。
【0196】
また図23に示す工程では、前記第2反強磁性層22の膜厚を80Å以上で300Å以下で形成することが好ましい。
【0197】
また上記した図22および図23の工程と若干異なる以下の工程を使用してもよい。どちらかというと、以下の工程を使用した方が、第2反強磁性層22とフリー磁性層67間で発生する交換結合磁界を強めることができる。
【0198】
すなわちまず図22工程で、フリー磁性層67まで連続成膜した後、前記フリー磁性層67に薄い膜厚(好ましくは50Å以下)の反強磁性層を形成する。そして前記反強磁性層上に非磁性層26を形成する。
【0199】
この時点で、上記した磁場中アニールを施し、前記第1反強磁性層13と固定磁性層64を構成する磁性層14間に交換結合磁界を発生させる。このとき、前記フリー磁性層57とその上に形成された反強磁性層との間には、前記反強磁性層の膜厚が薄いため、前記フリー磁性層57と反強磁性層間には交換結合磁界が発生せず、あるいは発生しても前記フリー磁性層57の磁化を固定してしまうほど強いものではない。
【0200】
次に、前記非磁性層26を上記した低エネルギーのイオンミリングで削り込む。このとき前記非磁性層26をすべて削り込み前記フリー磁性層67の上に形成された反強磁性層を露出させてもよいが、前記非磁性層26の膜厚が3Å以下で残されるなら、前記非磁性層26を前記反強磁性層上に残してもよい。
【0201】
そして図23工程で前記反強磁性層の上(あるいは非磁性層26が一部の残されている場合には、前記非磁性層26の上)にさらに反強磁性層をスパッタ成膜し、予め図22工程でフリー磁性層67の上に成膜されていた反強磁性層と、図23工程で成膜された反強磁性層とで第2反強磁性層22を構成する。
【0202】
次に図24及び図25に示す工程では、前記絶縁層24の両側端部A上及び中央後端部B上にレジスト層50を形成する。すなわち前記レジスト層50を前記絶縁層24の中央前端部C上には形成せずそれ以外の領域上に前記レジスト層50を形成する。
【0203】
図24及び図25に示す工程では、前記レジスト層50に覆われていない中央前端部Cから露出する絶縁層24をRIEやイオンミリングによって削り、さらに前記絶縁層24下の第2反強磁性層22を点線Mの位置まで削り込む。このとき点線M下の第2反強磁性層22の膜厚H2が50Å以下になるまで前記第2反強磁性層22を削り込むことが好ましい。より好ましくは40Å以下である。そうしないと、前記第2反強磁性層22の中央前端部Cが反強磁性の性質を残してしまい、次工程の第2磁場中アニールで、前記第2反強磁性層22の中央前端部Cとフリー磁性層67間で交換結合磁界が発生し、前記フリー磁性層67の中央前端部Cの磁化が強固に固定されてしまうからである。
【0204】
図24及び図25の点線Mのように第2反強磁性層22の途中まで削り込み、フリー磁性層67の中央前端部C上に前記第2反強磁性層22を一部残す場合、図6に示す磁気検出素子を製造することができる。
【0205】
また前記中央前端部Cの第2反強磁性層22をすべて除去し、フリー磁性層67を前記中央前端部Cから露出させてもよい。あるいは非磁性層26が前記フリー磁性層67上に残されているときは、前記非磁性層26上の第2反強磁性層22までを削り込み、前記中央前端部Cから前記非磁性層26を露出させてもよい。これによって図5に示す磁気検出素子を形成することができる。なお図24のように前記中央前端部Cのフリー磁性層67が一点鎖線Nまで若干削り込まれてもよい。
【0206】
また図24、25に示すように前記レジスト層50の内側端面50aが、下面から上面に向けて徐々に前記中央前端部Cから遠ざかる傾斜面あるいは湾曲面で形成されているときは、イオンミリング等によって削り込まれる前記中央前端部Cの第2反強磁性層22等の内側側面も、前記レジスト層50の内側側面50aに沿って傾斜面あるいは湾曲面として形成される。
【0207】
上記したRIEやイオンミリング工程が終了した後、レジスト層50を除去し、さらに第2の磁場中アニールを施す。このときの磁場方向は、トラック幅方向(図示X方向)である。なおこの第2の磁場中アニールは、第2の印加磁界を、第1反強磁性層13の交換異方性磁界よりも小さく、しかも熱処理温度を、前記第1反強磁性層13のブロッキング温度よりも低くする。これによって前記第1反強磁性層13の交換異方性磁界の方向をハイト方向(図示Y方向)に向けたまま、前記第2反強磁性層22の両側端部A及び中央後端部Bの交換異方性磁界をトラック幅方向(図示X方向)に向けることができる。なお第2の熱処理温度は例えば250℃であり、磁界の大きさは24k(A/m)である。
【0208】
上記の第2の磁場中アニールによって、前記第2反強磁性層22の両側端部A及び中央後端部Bは規則化変態し、前記第2反強磁性層22の両側端部A及び中央後端部Bとフリー磁性層67の両側端部A及び中央後端部Bとの間に大きな交換結合磁界が発生する。これによって前記フリー磁性層67の両側端部A及び中央後端部Bの磁化は、トラック幅方向(図示X方向)に固定される。一方、前記フリー磁性層67の中央前端部Cの磁化は外部磁界に対し磁化反転できる程度に弱く単磁区化された状態である。
【0209】
上記の磁場中アニール後、前記絶縁層24上から中央前端部Cのフリー磁性層67上(あるいは図6のような形態の場合には第2反強磁性層22上)にかけて上部電極30(あるいは上部シールド層)をメッキなどによって形成する。
【0210】
上記した製造方法によれば、前記フリー磁性層67の両側端部A上及び中央後端部B上に第2反強磁性層22を形成でき、また前記第2反強磁性層22とフリー磁性層67間で適切な大きさの交換結合磁界を生じさせることができる。よって前記フリー磁性層67の両側端部A及び中央後端部Bを適切に磁化固定でき、前記フリー磁性層67の中央前端部Cの磁化の乱れを緩和し、ヒステリシスの小さい磁気検出素子を製造することが可能である。
【0211】
また図7ないし図9に示す磁気検出素子は、ハードバイアス方式の一般的な製造方法を適用すればよく、前記ハードバイアス層33を形成する際に、前記多層膜35の後端面側にもハードバイアス層33を成膜する点が従来と異なる。
【0212】
なお本発明における磁気検出素子は、ハードディスク装置に搭載される薄膜磁気ヘッドにのみ使用可能なものではなく、テープ用磁気ヘッドや磁気センサなどにも使用可能なものである。
【0213】
【実施例】
図1に示す磁気検出素子とほぼ同様の膜構成からなる実験用の磁気検出素子を製造し、この磁気検出素子を用いてR−H曲線(QST curvesともいう)を描いた。
【0214】
実験に使用した磁気検出素子の膜構成について図1を用いて以下に説明する。実験用の磁気検出素子では、下部シールド層10の代わりにCr/Taからなる下部電極を用い、この下部電極の上に、(Ni0.8Fe0.2)Cr40at%(60Å)からなるシードレイヤ12を形成した。前記シードレイヤ12上にPtMn(150Å)からなる第1反強磁性層13、Co90at%Fe10at%(20Å)/Ru(20Å)/Co90at%Fe10at%(30Å)の積層フェリ構造からなる固定磁性層64、Cu(25Å)からなる非磁性材料層18、CoFe(50Å)の単層構造からなるフリー磁性層67を形成した。さらに図2のように前記フリー磁性層67の中央前端部C以外の、両側端部A及び中央後端部B上にPtMn(300Å)からなる第2反強磁性層22、およびAl2O3(500Å)からなる絶縁層24を形成し、前記絶縁層24上から前記フリー磁性層67の中央前端部C上にかけてTi/Auからなる上部電極を形成した。
【0215】
図2における前記フリー磁性層67の中央前端部Cのトラック幅方向(図示X方向)の幅寸法(すなわちトラック幅Tw)を0.25μmとし、前記中央前端部Cのハイト方向(図示Y方向)への長さ寸法L1(これをMRハイトという)を0.30μmとした。
【0216】
フリー磁性層67はトラック幅方向(図示X方向)と平行な図示左方向に、固定磁性層64はハイト方向(図示Y方向)に磁化されている。センス電流を上部電極から下部電極にかけてシードレイヤからフリー磁性層の多層膜内に膜厚方向へ流す。
【0217】
実験では前記センス電流を10mA(センス電流密度は13MA/cm2)、20mA(センス電流密度は27MA/cm2)、30mA(センス電流密度は40MA/cm2)として、それぞれのセンス電流の大きさに対してR−H曲線を描いた。
【0218】
その実験結果は図26ないし図28に図示されている。図26は、センス電流を10mA(センス電流密度は13MA/cm2)として実験を行ったときのR−H曲線、図27は、センス電流を20mA(センス電流密度は27MA/cm2)として実験を行ったときのR−H曲線、図28は、センス電流を30mA(センス電流密度は40MA/cm2)として実験を行ったときのR−H曲線である。
【0219】
図26ないし図28の実験結果を見てわかるように、ほとんどヒステリシスがないことがわかる。特にセンス電流を大きくしても(すなわちセンス電流密度を大きくしても)R−H曲線に大きな変化はなく、本発明における磁気検出素子の構造では、センス電流を大きくしてもヒステリシスのない磁気検出素子を製造できることがわかる。
【0220】
一方、図29及び図30に示す実験結果(比較例)は、図33及び図34
に示す膜構造の従来の磁気検出素子を用いて実験を行ったR−H曲線である。
【0221】
図33及び図34に示す磁気検出素子はハードバイアス層を用いてフリー磁性層の磁化制御を行う構造であり、実験に使用した磁気検出素子のトラック幅Twを0.25μm、ハイト方向への長さ寸法(MRハイト)を0.30μm、ハードバイアス層のMr・t(残留磁化・膜厚)/フリー磁性層のMs・t(飽和磁化・膜厚)を3.1とした。
【0222】
実験は、センス電流密度を16MA/cm2、27MA/cm2として行いR−H曲線を描いた。図29は、センス電流密度を16MA/cm2として実験を行ったときのR−H曲線、図30はセンス電流密度を27MA/cm2として実験を行ったときのR−H曲線である。
【0223】
図29及び図30に示すように、共にヒステリシスを持ち、特にセンス電流密度が大きい図30の実験結果の方が図29に比べてヒステリシスが大きくなっていることがわかる。図30のR−H曲線は、図27に示す実施例のR−H曲線と同じセンス電流密度での実験結果であるが、実施例の図27ではまったくヒステリシスがないのに対し比較例の図30では、大きなヒステリシスを有していることがわかる。
【0224】
以上の実験結果から、本発明のようにフリー磁性層の両側端部上のみならず中央後端部上にも第2反強磁性層を設けることで、センス電流磁界によるフリー磁性層の磁化の乱れを適切に緩和でき、ヒステリシスの小さい磁気検出素子を製造できることがわかった。
【0225】
【発明の効果】
以上詳述した本発明によれば、フリー磁性層のトラック幅方向の両側端部上のみならず、前記フリー磁性層の中央後端部上にも第2反強磁性層が設けられている。
【0226】
本発明では前記フリー磁性層の中央前端部のハイト側縁部では、フリー磁性層の中央後端部上に設けられた第2反強磁性層からのバイアス磁界によって、前記フリー磁性層の磁化方向と逆向きのセンス電流磁界を打ち消して前記センス電流磁界の影響を弱めることができ、従来に比べて前記フリー磁性層の磁化の乱れを小さくでき、前記フリー磁性層の磁化制御を適切に行うことが可能になり、従来に比べてヒステリシスの小さい磁気検出素子を製造することが可能になる。
【0227】
また本発明では、フリー磁性層の両側端面及び後端面にハードバイアス層を対向して設け、このとき前記ハードバイアス層を前記フリー磁性層の後端面に接して形成しても、前記ハードバイアス層との交換相互作用により前記フリー磁性層の後端面付近での磁化固定を強めることができ、よって前記フリー磁性層の磁化方向と逆向きのセンス電流磁界を打ち消して前記センス電流磁界の影響を弱めることができ、従来に比べて前記フリー磁性層の磁化の乱れを小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における第1の実施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図2】図1に示す磁気検出素子のフリー磁性層及び第2反強磁性層を真上から見た部分平面図、
【図3】図1に示す3−3線からハイト方向へ磁気検出素子を切断し、切断した磁気検出素子を矢印方向から見た部分縦断面図、
【図4】本発明における第2の実施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図5】本発明における第3の実施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図6】本発明における第4の実施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図7】本発明における第5の実施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図8】図7に示す磁気検出素子のフリー磁性層及びハードバイアス層を真上から見た部分平面図、
【図9】図7に示す9−9線からハイト方向へ磁気検出素子を切断し、切断した磁気検出素子を矢印方向から見た部分縦断面図、
【図10】好ましくない形態を示すフリー磁性層及びハードバイアス層の部分平面図、
【図11】本発明におけるフリー磁性層の形態を記録媒体との対向面側から見た部分拡大断面図、
【図12】本発明におけるフリー磁性層の別の形態を記録媒体との対向面側から見た部分拡大断面図、
【図13】本発明におけるフリー磁性層の別の形態を記録媒体との対向面側から見た部分拡大断面図、
【図14】本発明におけるフリー磁性層の別の形態を記録媒体との対向面側から見た部分拡大断面図、
【図15】図1の形態の磁気検出素子の製造工程を示す一工程図
【図16】図15の次に行なわれる一工程図、
【図17】図15の製造中の磁気検出素子を17−17線からハイト方向に切断し、切断した磁気検出素子を矢印方向から見た部分縦断面図、
【図18】図16の次に行なわれる一工程図、
【図19】図18の製造中の磁気検出素子を19−19線からハイト方向に切断し、切断した磁気検出素子を矢印方向から見た部分縦断面図、
【図20】図18の次に行なわれる一工程図、
【図21】図20の製造中の磁気検出素子を21−21線からハイト方向に切断し、切断した磁気検出素子を矢印方向から見た部分縦断面図、
【図22】図5、6の形態の磁気検出素子の製造工程を示す一工程図
【図23】図22の次に行なわれる一工程図、
【図24】図23の次に行なわれる一工程図、
【図25】図24の製造中の磁気検出素子を25−25線からハイト方向に切断し、切断した磁気検出素子を矢印方向から見た部分縦断面図、
【図26】実施例における磁気検出素子を用いて、センス電流を10mA(センス電流密度は13MA/cm2)として実験を行ったときのR−H曲線、
【図27】実施例における磁気検出素子を用いて、センス電流を20mA(センス電流密度は27MA/cm2)として実験を行ったときのR−H曲線、
【図28】実施例における磁気検出素子を用いて、センス電流を30mA(センス電流密度は40MA/cm2)として実験を行ったときのR−H曲線、
【図29】比較例における磁気検出素子を用いて、センス電流密度を16MA/cm2として実験を行ったときのR−H曲線、
【図30】比較例における磁気検出素子を用いて、センス電流密度を27MA/cm2として実験を行ったときのR−H曲線、
【図31】従来における磁気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図32】図31における磁気検出素子のフリー磁性層及び第2反強磁性層を真上から見た部分平面図、
【図33】従来における別の磁気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図34】図33における磁気検出素子のフリー磁性層及びハードバイアス層を真上から見た部分平面図、
【符号の説明】
10 下部シールド層
13 第1反強磁性層
18 非磁性材料層
22 第2反強磁性層
24、32、34 絶縁層
33 ハードバイアス層
26 非磁性層
30 上部電極
49、50 レジスト層
64 固定磁性層
66 上部シールド層
67 フリー磁性層
A 両側端部
B 中央後端部
C 中央前端部
Claims (7)
- 下から第1反強磁性層、固定磁性層、非磁性材料層及びフリー磁性層を有する多層膜が設けられ、前記多層膜の上下に電極が設けられ、前記多層膜の各層の膜面と垂直方向に電流が流れる磁気検出素子において、
前記フリー磁性層のトラック幅方向の両側端部上と、前記フリー磁性層のトラック幅方向の中央部であって、その後端部上とに第2反強磁性層が設けられ、
前記フリー磁性層の前記中央部の前端部上に上側電極が設けられることを特徴とする磁気検出素子。 - 前記両側端部上及び前記中央後端部上に設けられた前記第2反強磁性層は一体で形成されている請求項1記載の磁気検出素子。
- 前記第2反強磁性層上には絶縁層が設けられ、前記上側電極は、前記絶縁層上から前記フリー磁性層の前記中央前端部上にかけて形成される請求項1または2に記載の磁気検出素子。
- 前記絶縁層は、前記フリー磁性層の前記中央前端部上の一部にまで延びて形成され、前記上側電極は、前記絶縁層上から前記絶縁層に覆われていない前記フリー磁性層の前記中央前端部上にかけて形成される請求項3記載の磁気検出素子。
- 前記非磁性材料層は、非磁性導電材料で形成される請求項1ないし4のいずれかに記載の磁気検出素子。
- 前記非磁性材料層は、絶縁材料で形成される請求項1ないし4のいずれかに記載の磁気検出素子。
- 前記多層膜の下側に形成された下側電極は下部シールド層であり、上側に形成された上側電極は上部シールド層である請求項1ないし6のいずれかに記載の磁気検出素子。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002077749A JP4275347B2 (ja) | 2002-03-20 | 2002-03-20 | 磁気検出素子 |
US10/389,412 US6952328B2 (en) | 2002-03-20 | 2003-03-14 | Magnetic sensing element having second antiferromagnetic layer on edge sections and rear end of a middle section of free magnetic layer |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002077749A JP4275347B2 (ja) | 2002-03-20 | 2002-03-20 | 磁気検出素子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003282997A JP2003282997A (ja) | 2003-10-03 |
JP4275347B2 true JP4275347B2 (ja) | 2009-06-10 |
Family
ID=28035536
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002077749A Expired - Fee Related JP4275347B2 (ja) | 2002-03-20 | 2002-03-20 | 磁気検出素子 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US6952328B2 (ja) |
JP (1) | JP4275347B2 (ja) |
Families Citing this family (33)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7134184B2 (en) * | 2003-11-12 | 2006-11-14 | Headway Technologies, Inc. | Process of manufacturing a narrow track CCP head with bias cancellation |
US7083988B2 (en) * | 2004-01-26 | 2006-08-01 | Micron Technology, Inc. | Magnetic annealing sequences for patterned MRAM synthetic antiferromagnetic pinned layers |
US7323215B2 (en) * | 2004-05-14 | 2008-01-29 | Headway Technologies, Inc. | Free layer design for CPP GMR enhancement |
US7382588B2 (en) * | 2004-05-28 | 2008-06-03 | Hitachi Global Storage Technologies Netherlands B.V. | Read sensor having a self-pinned layer formed in both central and side regions for increased thermal stability |
US7570461B2 (en) * | 2005-02-28 | 2009-08-04 | Seagate Technology Llc | Magnetic sensor with in-stack biasing |
US7369374B2 (en) * | 2005-04-18 | 2008-05-06 | Hitachi Global Storage Technologies Netherlands B.V. | Current in plane magnetoresistive sensor having a contiguous hard bias layer located at back edge of stripe height |
JP4088641B2 (ja) * | 2005-07-22 | 2008-05-21 | Tdk株式会社 | 磁気抵抗効果素子、薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリ、磁気ディスク装置、磁気メモリセルおよび電流センサ |
US7333305B2 (en) * | 2005-07-22 | 2008-02-19 | Hitachi Global Storage Technologies Netherlands B.V. | Magnetoresistive sensor with in-stack bias layer pinned at the back edge of the sensor stripe |
US7522391B2 (en) * | 2005-12-14 | 2009-04-21 | Hitachi Global Storage Technologies Netherlands B.V. | Current perpendicular to plane magnetoresistive sensor having a shape enhanced pinned layer and an in stack bias structure |
JP5247002B2 (ja) * | 2006-02-14 | 2013-07-24 | エイチジーエスティーネザーランドビーブイ | 磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法 |
US7405909B2 (en) * | 2006-03-14 | 2008-07-29 | Hitachi Global Storage Technologies Netherlands B.V. | Current perpendicular to plane (CPP) magnetoresistive sensor with free layer biasing by exchange pinning at back edge |
JP2008016738A (ja) * | 2006-07-07 | 2008-01-24 | Toshiba Corp | 磁気抵抗効果素子、磁気ヘッド、磁気記録再生装置、および磁気メモリ |
JP2008021360A (ja) * | 2006-07-12 | 2008-01-31 | Tdk Corp | 薄膜磁気ヘッド、磁気ヘッドアセンブリ、磁気ディスクドライブ装置及び薄膜磁気ヘッドの製造方法 |
JP4923896B2 (ja) * | 2006-09-15 | 2012-04-25 | 富士通株式会社 | 交換結合膜及び磁気デバイス |
JP2008243920A (ja) * | 2007-03-26 | 2008-10-09 | Toshiba Corp | 磁気抵抗効果再生素子、磁気ヘッド、および磁気再生装置 |
JP4970113B2 (ja) * | 2007-03-30 | 2012-07-04 | 株式会社東芝 | 磁気抵抗素子及び磁気メモリ |
JP2008299995A (ja) * | 2007-06-01 | 2008-12-11 | Sharp Corp | 磁気再生素子 |
US20090061258A1 (en) * | 2007-08-30 | 2009-03-05 | Tomohito Mizuno | Cpp-type magnetoresistance effect element having characteristic free layers |
US8085512B2 (en) * | 2007-08-30 | 2011-12-27 | Tdk Corporation | CPP-type magnetoresistance effect element having a pair of free layers |
US8077436B2 (en) * | 2008-03-20 | 2011-12-13 | Tdk Corporation | CPP-type magnetoresistance effect element having three magnetic layers |
CN103262276A (zh) * | 2010-12-16 | 2013-08-21 | 阿尔卑斯电气株式会社 | 磁传感器以及磁传感器的制造方法 |
US8675318B1 (en) | 2011-11-22 | 2014-03-18 | Western Digital (Fremont), Llc | Method and system for providing a read transducer having a reduced shield-to-shield spacing |
US8711528B1 (en) | 2012-06-29 | 2014-04-29 | Western Digital (Fremont), Llc | Tunnel magnetoresistance read head with narrow shield-to-shield spacing |
US9269382B1 (en) | 2012-06-29 | 2016-02-23 | Western Digital (Fremont), Llc | Method and system for providing a read transducer having improved pinning of the pinned layer at higher recording densities |
US8760822B1 (en) | 2012-11-28 | 2014-06-24 | Western Digital (Fremont), Llc | Method and system for providing a read transducer having an extended pinned layer and soft magnetic bias structures with improved stability |
US9318130B1 (en) | 2013-07-02 | 2016-04-19 | Western Digital (Fremont), Llc | Method to fabricate tunneling magnetic recording heads with extended pinned layer |
US9214172B2 (en) | 2013-10-23 | 2015-12-15 | Western Digital (Fremont), Llc | Method of manufacturing a magnetic read head |
US9099123B1 (en) * | 2014-02-11 | 2015-08-04 | HGST Netherlands B.V. | Magnetic sensor having optimal free layer back edge shape and extended pinned layer |
JP6204391B2 (ja) * | 2015-02-12 | 2017-09-27 | アルプス電気株式会社 | 磁気センサおよび電流センサ |
US9147404B1 (en) | 2015-03-31 | 2015-09-29 | Western Digital (Fremont), Llc | Method and system for providing a read transducer having a dual free layer |
US10777345B2 (en) * | 2018-02-21 | 2020-09-15 | Allegro Microsystems, Llc | Spin valve with bias alignment |
JP6958453B2 (ja) * | 2018-03-23 | 2021-11-02 | Tdk株式会社 | 磁気抵抗効果装置 |
US11875828B2 (en) * | 2021-10-14 | 2024-01-16 | Seagate Technology Llc | Magnetic storage reader having a bridge to align magnetic moments |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6040961A (en) * | 1997-10-27 | 2000-03-21 | International Business Machines Corporation | Current-pinned, current resettable soft AP-pinned spin valve sensor |
US6542342B1 (en) * | 1998-11-30 | 2003-04-01 | Nec Corporation | Magnetoresistive effect transducer having longitudinal bias layer directly connected to free layer |
US6466419B1 (en) * | 2000-03-31 | 2002-10-15 | Seagate Technology Llc | Current perpendicular to plane spin valve head |
US6700760B1 (en) * | 2000-04-27 | 2004-03-02 | Seagate Technology Llc | Tunneling magnetoresistive head in current perpendicular to plane mode |
-
2002
- 2002-03-20 JP JP2002077749A patent/JP4275347B2/ja not_active Expired - Fee Related
-
2003
- 2003-03-14 US US10/389,412 patent/US6952328B2/en not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US20030179520A1 (en) | 2003-09-25 |
US6952328B2 (en) | 2005-10-04 |
JP2003282997A (ja) | 2003-10-03 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4275347B2 (ja) | 磁気検出素子 | |
US6980403B2 (en) | Magnetic sensing element with side shield layers | |
JP3961497B2 (ja) | Cpp型巨大磁気抵抗効果ヘッド | |
US20020167768A1 (en) | CPP magnetoresistive sensors with in-stack longitudinal biasing and overlapping magnetic shield | |
US6714388B2 (en) | Magnetic sensing element having improved magnetic sensitivity | |
JP3908557B2 (ja) | 磁気検出素子の製造方法 | |
JP4245318B2 (ja) | 磁気検出素子 | |
JP2003298139A (ja) | 磁気検出素子 | |
JP3973442B2 (ja) | 磁気検出素子及びその製造方法 | |
US20040004792A1 (en) | GMR magnetic sensing element provided with second free layer extended to outside of track width and method for manufacturing the same | |
JP3908620B2 (ja) | 磁気検出素子及びその製造方法 | |
JP4229618B2 (ja) | 磁気検出素子及びその製造方法 | |
JP3699000B2 (ja) | スピンバルブ型薄膜素子およびその製造方法 | |
JP3939514B2 (ja) | 磁気検出素子の製造方法 | |
JP3970526B2 (ja) | 磁気抵抗効果素子、磁気再生ヘッド、磁気再生装置、磁気記憶装置、及び磁気抵抗効果膜の抵抗検知方法 | |
JP3774375B2 (ja) | 磁気検出素子及びその製造方法、ならびに前記磁気検出素子を用いた薄膜磁気ヘッド | |
JP4226280B2 (ja) | 磁気検出素子及びその製造方法 | |
JP2004039769A (ja) | 磁気検出素子及びその製造方法 | |
JP3823034B2 (ja) | 磁気検出素子及びその製造方法 | |
JP3774374B2 (ja) | 磁気検出素子及びその製造方法 | |
JP3859959B2 (ja) | スピンバルブ型薄膜磁気素子およびこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッド | |
JP3872958B2 (ja) | 磁気抵抗効果素子及びその製造方法 | |
JP2004119755A (ja) | 磁気検出素子及びその製造方法 | |
JP3854167B2 (ja) | 磁気検出素子の製造方法 | |
JP3973528B2 (ja) | 磁気検出素子及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20041220 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070816 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20080108 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20080111 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20080111 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080715 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080911 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090303 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090304 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120313 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |