JP2008016738A - 磁気抵抗効果素子、磁気ヘッド、磁気記録再生装置、および磁気メモリ - Google Patents

磁気抵抗効果素子、磁気ヘッド、磁気記録再生装置、および磁気メモリ Download PDF

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Abstract

【課題】スピン注入磁化反転を抑制し、安定した歩留まりで製造することのできる磁気抵抗効果素子、ならびにこれを用いた磁気ヘッド、磁気記録再生装置および磁気ランダムアクセスメモリーを提供する。
【解決手段】磁化固着層、磁化自由層、及び非磁性中間層を有する磁気抵抗効果膜と、この磁気抵抗効果膜の膜面に対して略平行かつ磁化固着層の磁化に対して略垂直に、前記磁化自由層に縦バイアス磁界を加えるための縦バイアス機構部とを具え、前記磁化自由層の、縦バイアス磁界に略平行な方向の幅をMRT、縦バイアス磁界に略直角かつ前記信号磁界の方向に略平行な方向の幅をMRHとしたときに、
1.2≦MRH/MRT
なる関係式を満足するような垂直通電型の磁気抵抗効果素子を作製する。
【選択図】図1

Description

本発明は、膜面に対して垂直方向に電流を通電する構造の磁気抵抗効果素子、ならびにこれを用いた磁気ヘッド、磁気記録再生装置、および磁気メモリに関する。
巨大磁気抵抗効果(GMR効果,Giant Magnetoresistive Effect)を示すGMR素子を用いたGMRヘッドは、ハードディスクなどの磁気記録再生装置において、情報が記録されている磁気記録媒体の情報を再生する際に広く用いられている。
スピンバルブ(Spin Valve)型のGMR素子は、磁化の方向が実質的に一方に固着された磁性体膜を有する磁化固着層と、磁化の方向が外部磁界(例えば磁気記録媒体の信号磁界であり、通常は磁化固着層の磁化に対して平行または反平行である)に対して変化する磁性体膜を有する磁化自由層と、前記磁化自由層と前記磁化固着層との間に設けられた中間層を有する積層膜となっている。磁化固着層は反強磁性膜などで固着されている。
バルクハウゼンノイズを避けるために、縦バイアス機構(たとえばコバルト白金合金やコバルトクロム白金合金が好ましく用いられる磁区制御膜)を用い、磁気抵抗効果膜の膜面に対して略平行かつ磁化固着層の磁化に対して略垂直に磁化自由層に縦バイアス磁界を加える。これにより、信号磁界がない場合において、磁化固着層の磁化方向と磁化自由層の磁化方向は略垂直となる。
巨大磁気抵抗効果は,磁化固着層の磁化と磁化自由層の磁化との相対的な角度変化により発現する。
CIP(Current In Plane)−GMR素子は、この積層膜に対して略面内にセンス電流を通電させて磁気抵抗効果を検出する型の素子である。
最近さらなる記録密度の向上に対応するため、中間層にアルミ酸化物などの絶縁体を用い、積層膜に対して垂直に通電させて磁気抵抗効果を検出するTMR(Tunnel Magnetoresistive)素子を用いたTMRヘッドの開発が進められている。このTMRヘッドは、磁気抵抗効果が大きいという利点を持つが、絶縁体を用いているため抵抗が大きく、プリアンプのノイズなどが大きくなる、あるいは絶縁体を通電するデバイスにおいて特有に生じるショットノイズが大きいといった問題点を抱えている。
また、積層膜に対して略垂直方向に通電させて磁気抵抗効果を検出するCPP(Current Perpendicular to Plane)−GMR素子は、CIP−GMR素子に比較して微小なトラック幅とした場合であっても高出力が得られるため、記録密度の高密度化に対応できるという長所を有する。
CIP−GMR素子においては、積層膜の略面内にセンス電流を通電させるため、記録トラック幅に対応する幅が狭くなるに従い、巨大磁気抵抗効果が発現する部分が小さくなり、これに伴って抵抗変化量ΔRが小さくなってしまう。一方CPP−GMR素子は、積層方向にセンス電流を流すため、記録トラック幅が狭くなることに伴う抵抗変化量ΔRの減少が少なくなる。またTMR素子と異なり、絶縁体を電子伝導体として用いていないため、素子抵抗が小さくなるという利点がある。
一方、近年の記録密度の高密度化とともに、GMR素子のサイズはトラック幅方向・ハイト方向共にますます小さくなってきている。このようなCPP−GMR素子においては、スピン注入磁化反転と呼ばれている現象がおこる。
このスピン注入磁化反転という現象が生じることにより、センス電流を磁化自由層から磁化固着層へ通電させた場合には、磁化固着層の磁化の向きと磁化自由層の磁化の向きが実質的に平行に近づくようになる。また、またセンス電流を磁化固着層から磁化自由層へ通電させた場合には、磁化固着層の磁化の向きと磁化自由層の磁化の向きが実質的に反平行に近づくように、磁化自由層における磁化の方向が実質的に変化する。このため、外部磁界に対する磁化自由層の磁化の応答、すなわちCPP−GMR素子が示す抵抗変化量ΔRがなくなったり、あるいは小さくなったりする。
スピン注入磁化反転の現象は、単磁区化しやすくなるためエッジドメインなどの影響が少なくなる、トラック幅やハイト長が100nm以下の素子において顕著にあらわれる。近年のハードディスクなど磁気記録装置・磁気再生装置においては、トラック幅・ハイト長が100nm程度あるいはそれ以下になってきている。従って、スピン注入磁化反転の現象がおこらないようにCPP−GMR素子を作製することは、さらなる高密度記録のために必須である。
一方、最近、縦バイアス磁界が加わった場合におけるスピン注入磁化反転が、センス電流の方向とバイアスポイントを適宜選択すると抑制されるということが報告されている。しかしながら、バイアスポイントの制御は難しく、素子ごとに非常にバラツキが多くなり、歩留まりが劣化するという問題が生じていた。したがって、バイアスポイントに依存しないでスピン注入磁化反転を抑制できるような新規な方法を得、設計どおりのバイアスポイントが得ることができ、安定した歩留まりで磁気抵抗効果素子を得ることが望まれていた。
本発明の目的は、スピン注入磁化反転を抑制し、安定した歩留まりで製造することのできる磁気抵抗効果素子、ならびにこれを用いた磁気ヘッド、磁気記録再生装置および磁気ランダムアクセスメモリーを提供することにある。
上記目的を達成すべく、本発明の一態様は、
磁化の方向が実質的に一方に固着された磁性体膜を有する磁化固着層、磁気記録媒体からの信号磁界に応じて磁化の方向が変化する磁性体膜を有する磁化自由層、及び前記磁化自由層と前記磁化固着層との間に設けられた金属的伝導を示す非磁性中間層を有する磁気抵抗効果膜と、
前記磁気抵抗効果膜の膜面に対して略平行かつ磁化固着層の磁化に対して略垂直に、前記磁化自由層に縦バイアス磁界を加えるための縦バイアス機構部と、
前記磁気抵抗効果膜の膜面に対して垂直方向に通電するために前記磁気抵抗効果膜に電気的に接続された一対の電極とを具え、
前記磁化自由層の、縦バイアス磁界に略平行な方向の幅をMRT、縦バイアス磁界に略直角かつ前記信号磁界の方向に略平行な方向の幅をMRHとしたときに、
1.2≦MRH/MRT
なる関係式を満足し、
前記磁化固着層から前記磁化自由層の方向に電流を通電して用いるように構成したことを特徴とする、磁気抵抗効果素子に関する。
また、本発明の一態様は、上記磁気抵抗効果素子を含む磁気ヘッドに関する。
さらに、本発明の一態様は、上記磁気ヘッドと、磁気記録媒体とを具える磁気記録再生装置に関する。
また、本発明の一態様は、上記磁気ヘッドを含む磁気メモリに関する。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を実施した。その結果、縦バイアス磁界が加わった状態のスピン注入磁化反転は、バイアスポイントに依存して大きく変わるが、MRH/MRTが大きくなると共にスピン注入磁化反転の効果が抑制されることを見出した。特にMRH/MRT≧1.2にすると、スピン注入磁化反転の効果がバイアスポイントにほぼ依存しなくなることを見出した。したがって、本発明の磁気抵抗効果素子によれば、バイアスポイントに依存することなくスピン注入磁化反転の効果が減少する。したがって、歩留まりを改善した磁気抵抗効果素子を提供することができるようになる。
また、高密度記録のためには上記磁気抵抗効果素子のサイズはMRH及びMRT共に100nm以下になってきているが、このような小さな素子では、素子をつくること自体が大変難しい。特にこのような微小なスケールにおいては、MRHを短くするのは非常に難しい。しかしながら、上述した本発明の磁気抵抗効果素子はMRHをMRTに比較して長く設定することを要求しているので、上述のような微小スケールの磁気抵抗効果素子の製造に関しても、本発明はその製造歩留まりを向上させることができるという追加の効果を有する。
なお、本発明者らの考察によれば、磁気抵抗効果素子のサイズを小さくすれば、エッジドメインが発生しなくなるためスピン注入磁化反転がおこりやすくなるということも予想される。実際、我々の研究開発によると、縦バイアス磁界のないMRTおよびMRHが100nmを越えるような素子については確かにその予想通りである。しかしながら、MRTおよびMRHが100nmを下回るような素子についても、本発明のような縦バイアス磁界機構を設け、MRH/MRTの比を高く、具体的には1.2以上とすることによりスピン注入磁化反転の効果を抑制することができる。
また、従来においては、MRH/MRTの比は1あるいはそれより小さくするというのが常識であった。磁気記録媒体からの磁界は、磁気抵抗効果素子の、記録媒体対抗面側が最も大きく、対抗面からMRH方向に入るに従って上部シールド層・下部シールド層のため小さくなる。このためMRHはあまり大きくしないのが一般的であった。また、MRH/MRTの比が1より大きいと、MRH方向の反磁界係数がMRT方向のそれより大きくなってしまうために、縦バイアス磁界がかかりにくくなるという問題があった。しかし本発明では、逆にMRH/MRTの比を大きくしたほうが、スピン注入磁化反転の効果を抑制するためには良いということを明らかにした。本発明はこの常識を打ち破るものである。
なお、特開2002-208120号公報、特開2000-137906号公報、USP6,338,899B1公報、及びUS2004/0121185A1公報には、本発明と類似の技術が開示されているが、いずれもCIP型である。一方、本発明の磁気抵抗効果素子は、縦方向に積層された磁化固着層から磁化自由層の方向に電流を通電して用いるのでいわゆるCPP型である。したがって、これらの先行技術と本発明とは、同じ磁気抵抗効果素子を対象とはしているが、両者の原理は上述した「背景技術」でも述べたように全く異なるものであって、当業者においては、CIP型の磁気抵抗効果素子とCPP型の磁気抵抗効果素子とは全く異なるものであって、互いの技術を単に転用することはできない。
また、CIP型の磁気抵抗効果素子においては、スピン注入磁化反転という現象自体が生じないため、この磁気抵抗効果素子に開示された技術を、本発明のCPP型の磁気抵抗効果素子に転用するに足る動機付けは全く存在しない。
特開2002-208120号 特開2000-137906号 USP6,338,899B1 US2004/0121185A1
なお、本発明の他の態様においては、前記前記磁化自由層の、縦バイアス磁界に略平行な方向の幅MRT及び縦バイアス磁界に略直角かつ前記信号磁界の方向に略平行な方向の幅MRHが、
1.2≦MRH/MRT≦2.5
なる関係式を満足するようにする。MRH/MRTの比を高くしすぎると、MRT方向の反磁界が大きくなりすぎ、縦バイアス磁界がうまくかからなくなってくるという問題がある。しかしながら、上述のようにMRH/MRTを2.5以下とすることにより、上述した問題を回避することができるようになる。
また、本発明のその他の態様においては、前記磁化固着層から前記磁化自由層の方へセンス電流を流す。この場合、前記磁化自由層の磁化を反転させてスピン注入磁化反転を生ぜしめるようなスピン成分の電子の割合が減少する。したがって、前記スピン注入磁化反転をより効果的に抑制することができる。
以上、本発明によれば、スピン注入磁化反転を抑制し、高い歩留まりで製造することのできる磁気抵抗効果素子、ならびにこれを用いた磁気ヘッド、磁気記録再生装置および磁気ランダムアクセスメモリーを提供することができる。
以下、本発明のその他の特徴及び利点について、発明を実施するための最良の形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の磁気抵抗効果素子の一例の断面図である。図1において、対象となる磁気抵抗効果素子は、情報の読み出し対象となる磁気記録媒体と対向する記録媒体対向面から眺めた場合の断面図を示している。垂直通電型磁気抵抗効果素子1100は、多層膜からなるスピンバルブ膜1200と、このスピンバルブ膜1200に関し、記録トラック幅方向に対応する方向に挟んで対向するように配置された一対の磁区制御膜1120と、これら磁区制御膜1120とスピンバルブ膜1200とを積層方向に沿って挟むように形成された下部シールド層1110および上部シールド層1140とを有している。
スピンバルブ膜1200と一対の磁区制御膜1120との間には、一対の絶縁層1150が形成されている。スピンバルブ膜1120は、下部シールド層1110の側から順に、下地層1310、反強磁性層1320、強磁性層1344、磁気結合層1343、磁化固着層1342、中間層1341、磁化自由層1340及び保護層1350を具えている。
なお、本例においては、磁化固着層1342の磁化は紙面に垂直に向いており、一対の磁区制御膜1120からは磁化自由層1340に対して左右方向から、垂直通電型磁気抵抗効果素子1100の各膜面に略平行となるようにして縦バイアスが印加されるようになる。したがって、本例において、磁化自由層1340の、縦バイアス磁界に略平行な方向の幅MRT及び縦バイアス磁界に略直角かつ前記信号磁界の方向に略平行な方向の幅MRHは、図2において簡略化して示すように、それぞれ磁化自由層1340の図面の横方向における幅及び奥行きに相当するものである。
本例においては、MRH/MRT≧1.2となるようにする。これによって、特にMRTおよびMRHが100nmを下回るような場合でも、スピン注入磁化反転の効果がバイアスポイントにほぼ依存しなくなり、垂直通電型磁気抵抗効果素子1100を高い歩留まりで製造することができるようになる。なお、好ましくは、MRH/MRT≧1.5とする。
また、本例において、1.2≦MRH/MRT≦2.5なる関係式を満足するようにすることが好ましい。MRH/MRTの比を高くしすぎると、MRT方向の反磁界が大きくなりすぎ、縦バイアス磁界がうまくかからなくなってくるという問題がある。しかしながら、上述のようにMRH/MRTを2.5以下とすることにより、上述した問題を回避することができるようになる。
さらに、本例においては、磁化固着層1342から磁化自由層1340の方へセンス電流を流すようにすることが好ましい。この場合、磁化自由層1340の磁化を反転させてスピン注入磁化反転を生ぜしめるようなスピン成分の電子の割合が減少する。したがって、前記スピン注入磁化反転をより効果的に抑制することができる。
下部シールド層1110と上部シールド層1140はNiFe合金などで作製され、それぞれ下部電極および上部電極としての働きを兼ねる。下地層1310は例えばTaなどからなり、反強磁性層1320と強磁性層1344との交換結合が良好になるようにしたり、あるいはスピンバルブ膜全体の結晶性を向上させたりするなどの機能を持つ。
反強磁性層1320は、PtMn合金またはX-Mn(ただしXはPd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素)合金で、あるいはPt-Mn-X’(ただしX’はPd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag,Os,Cr,Ni,Ar,Ne,Xe,Krのいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成する。これらの合金を使用して熱処理することにより、大きな交換結合磁界を発生する反強磁性層1320を得ることが出来る。
強磁性層1344,磁気結合層1343,および磁化固着層1342は、いわゆるシンセティックアンティフェロマグネット(SyAF)を形成している。強磁性層1344および磁化固着層1342は、通常Fe,Co,Ni,Mnのうちの少なくとも一つを含む材料を基板材料として構成される。強磁性層1344および磁化固着層1342のいずれも単層構造としても良いし、積層構造としても良い。たとえばCoFe合金とCuを積層するといった手法が好ましく用いられる。磁気結合層は銅,金,Ru,Rh,Irなどの非磁性金属材料からなる。
強磁性層1344,磁気結合層1343は磁化固着層1342を介して互いに反強磁性的な結合をしており、強磁性層1344の磁化の向きは反強磁性層1320により固着される。
中間層1341は、例えば銅や金などの高い電気伝導率を有する非磁性金属材料からなる。このほか、Mn(マンガン),Re(レニウム),Ru(ルテニウム),Pd(パラジウム),Pt(白金),Ag(銀),Al(アルミニウム),Sc(スカンジウム),Zn(亜鉛),Ga(ガリウム),Ge(ゲルマニウム),Zr(ジルコニウム),Hf(ハフニウム),Y(イットリウム),Tc(テクネチウム),In(インジウム),Sn(スズ),Ca(カルシウム),Sr(ストロンチウム),Ba(バリウム)も好ましく用いることが出来る。あるいは、特許文献5に開示されているような、絶縁体(Al2O3)の内部に導電体(CuやFe,Co,Ni,あるいはその合金)を設けるようなものも有効である。
前記導電体としては、Mn(マンガン),Re(レニウム),Ru(ルテニウム),Pd(パラジウム),Pt(白金),Ag(銀),Al(アルミニウム),Sc(スカンジウム),Zn(亜鉛),Ga(ガリウム),Ge(ゲルマニウム),Zr(ジルコニウム),Hf(ハフニウム),Y(イットリウム),Tc(テクネチウム),In(インジウム),Sn(スズ),Ca(カルシウム),Sr(ストロンチウム),Ba(バリウム)も好ましく用いることが出来る。中間層1341は、主に磁化自由層1340と磁化固着層1342との磁気結合を切り離すように機能する。
特開2005-109378号
磁化自由層1340は、例えばNiFe合金や、NiFe合金とCoFe合金との多層膜から構成されており、外部磁界の向きに応じて磁化の向きが変化する層である。保護層1350はたとえばCuやTaやRuから構成され、製造過程において成膜後のスピンバルブ膜1200を保護する。
磁区制御膜1120(CoPt合金やCoCrPt合金などが好ましく用いられる)は絶縁層1150(Al2O3やAlNなどが好ましく用いられる)の上に形成される。上述したように、磁区制御膜1120は縦バイアス機構部として働き、磁気抵抗効果膜の膜面に対して略平行かつ磁化固着層の磁化に対して略垂直に、前記磁化自由層に縦バイアス磁界を加える。
垂直通電磁気抵抗効果素子として用いる以上、バイアスポイントについては、20%以上80%以下であることが実用上きわめて好ましい。あまりバイアスポイントが大きすぎたり小さすぎたりすると、片一方の向きの信号磁界に対して垂直通電磁気抵抗効果素子の出力が変化しなくなってしまう。また、予期せぬノイズが生じることがある。より好ましい範囲は、35%以上65%以下である。
図3は、本発明の磁気抵抗効果素子の他の例を示す断面図である。本例に示す垂直通電型磁気抵抗効果素子1100においては、図1で示した磁区制御膜1120と絶縁体1150が絶縁体1130で置き換えられている点、保護層1350と上部シールド層1140との間にエクスチェンジバイアス層1345および上部電極層1346が形成されている点が異なっている。なお、図1に示す構成要素と同一あるいは類似のものに関しては同一の参照数字を用いて表している。
エクスチェンジバイアス層1345は、反強磁性層1320と同様、PtMn合金またはX-Mn(ただしXはPd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素)合金で、あるいはPt-Mn-X’(ただしX’はPd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag,Os,Cr,Ni,Ar,Ne,Xe,Krのいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成する。この場合はエクスチェンジバイアス層1345が縦バイアス機構部として働き、交換結合磁界により、磁気抵抗効果素子1100の各膜面に対して略平行かつ磁化固着層1342の磁化に対して略垂直となるように、磁化自由層1340に縦バイアス磁界を加える。
なお、エクスチェンジバイアス層1345と磁化自由層1350との間に強磁性材料からなる強磁性層や軟磁性材料からなる層や非磁性材料からなる層を形成することもできる。
本例においても、磁化固着層1342の磁化は例えば紙面に垂直に向いており、磁化自由層1340の、縦バイアス磁界に略平行な方向の幅MRT及び縦バイアス磁界に略直角かつ前記信号磁界の方向に略平行な方向の幅MRHは、図2において簡略化して示すように、それぞれ磁化自由層1340の図面の横方向における幅及び奥行きに相当するものとして考えることができる。
本例においても、MRH/MRT≧1.2となるようにする。これによって、特にMRTおよびMRHが100nmを下回るような場合でも、スピン注入磁化反転の効果がバイアスポイントにほぼ依存しなくなり、垂直通電型磁気抵抗効果素子1100を高い歩留まりで製造することができるようになる。なお、好ましくは、MRH/MRT≧1.5とする。
また、本例において、1.2≦MRH/MRT≦2.5なる関係式を満足するようにすることが好ましい。MRH/MRTの比を高くしすぎると、MRT方向の反磁界が大きくなりすぎ、縦バイアス磁界がうまくかからなくなってくるという問題がある。しかしながら、上述のようにMRH/MRTを2.5以下とすることにより、上述した問題を回避することができるようになる。
さらに、本例においては、磁化固着層1342から磁化自由層1340の方へセンス電流を流すようにすることが好ましい。この場合、磁化自由層1340の磁化を反転させてスピン注入磁化反転を生ぜしめるようなスピン成分の電子の割合が減少する。したがって、前記スピン注入磁化反転をより効果的に抑制することができる。
エクスチェンジバイアス層1345内において反強磁性に磁気秩序をおこしている磁気モーメントの角度は、基本的に磁化固着層1342の磁化に対して略垂直である。したがって、前記角度を垂直からずらすことにより、上述したバイアスポイントを調整することが出来る。
なお、本例の変形例として、エクスチェンジバイアス層1345の他に上述した磁区制御膜を形成し、これら両方の縦バイアス機構を用い、さらにエクスチェンジバイアス層1345の磁気モーメントの角度をずらすことによってバイアスポイントを調整できる。
素子作成にあたっては、エクスチェンジバイアス1345層に用いる材料に、反強磁性層1320に用いる材料よりもブロッキング温度(強磁性層と反強磁性体との交換結合が切れる温度)の低いものを選ぶ。ひとつの典型としては、反強磁性層1320にPtMn、エクスチェンジバイアス層1345にIrMnを選ぶことが挙げられる。交換結合磁界は膜内の結晶粒径分布や成膜時の真空度によって異なる。また、PtMnについては膜厚増加と共に交換結合磁界が増加するが、IrMnについては逆に減少する。
上記交換結合磁界を与えるためには、上記反強磁性などを含む磁気抵抗効果素子1100に対して熱処理を加える。第一の熱処理温度では反強磁性層熱処理磁場を加えて熱処理する。次に第二の熱処理温度(第一の熱処理温度より低い)では反強磁性層熱処理磁場に対して角度をつけてエクスチェンジバイアス層熱処理磁場を加えて熱処理をする。一般的に、反強磁性層熱処理磁場とエクスチェンジバイアス層熱処理磁場の磁場は略垂直である。しかし上述のようにこの角度を垂直からずらすことにより、バイアスポイントを調整することが出来る。
図4は、本発明の磁気抵抗効果素子のその他の例を示す断面図である。本例における垂直通電型磁気抵抗効果素子1100は、図3で示したエクスチェンジバイアス層1345と上部電極1346の代わりに、分離層1347を挟んで硬磁性材料からなるインスタックバイアス層1348(CoPt合金やCoCrPt合金などが好ましく用いられる)が形成されている。なお、図1及び3に示す構成要素と同一あるいは類似のものに関しては同一の参照数字を用いて表している。
本例においては、分離層1347とインスタックバイアス層1348が縦バイアス機構として働き、インスタックバイアス層1348と磁化自由層1350の端部間に静磁界的な結合MおよびM’ が発生し、磁化自由層の磁化が磁気抵抗効果膜の膜面に対して略平行かつ磁化固着層の磁化に対して略垂直に揃えられる。
本例においても、磁化固着層1342の磁化は例えば紙面に垂直に向いており、磁化自由層1340の、縦バイアス磁界に略平行な方向の幅MRT及び縦バイアス磁界に略直角かつ前記信号磁界の方向に略平行な方向の幅MRHは、図2において簡略化して示すように、それぞれ磁化自由層1340の図面の横方向における幅及び奥行きに相当するものとして考えることができる。
また、本例においても、MRH/MRT≧1.2となるようにする。これによって、特にMRTおよびMRHが100nmを下回るような場合でも、スピン注入磁化反転の効果がバイアスポイントにほぼ依存しなくなり、垂直通電型磁気抵抗効果素子1100を高い歩留まりで製造することができるようになる。なお、好ましくは、MRH/MRT≧1.5である。
さらに、本例において、1.2≦MRH/MRT≦2.5なる関係式を満足するようにすることが好ましい。MRH/MRTの比を高くしすぎると、MRT方向の反磁界が大きくなりすぎ、縦バイアス磁界がうまくかからなくなってくるという問題がある。しかしながら、上述のようにMRH/MRTを2.5以下とすることにより、上述した問題を回避することができるようになる。
また、本例においては、磁化固着層1342から磁化自由層1340の方へセンス電流を流すようにすることが好ましい。この場合、前記センス電流が磁化固着層1342を通過した後に、磁化自由層1340の磁化を反転させてスピン注入磁化反転を生ぜしめるようなスピン成分の電子の割合が減少する。したがって、前記スピン注入磁化反転をより効果的に抑制することができる。
インスタックバイアス層内において反強磁性に磁気秩序をおこしている磁気モーメントの角度は、基本的に磁化固着層の磁化に対して略垂直である。しかしながら、前記角度を垂直からずらすことにより、バイアスポイントを調整することが出来る。
また、本例の変形例として、インスタックバイアス層と磁区制御膜の両方を縦バイアス機構として用い、インスタックバイアス層の磁気モーメントの角度をずらすことによってバイアスポイントを調整できる。
なお、上述したいずれの例においても、強磁性層の磁気的膜厚と磁化固着層の磁気的膜厚とを互いに異なるようにし、漏れた静磁界を磁化自由層に加えることによってバイアスポイントを調整するようにすることもできる。また、この方法は、上述した角度変化によるバイアスポイントの調整方法と併用することもできる。
磁気的膜厚をずらす方法としては実際に層の厚さを変えることによって実施することもできるが、層組成を変えることによっても実施することができる。たとえばCo90Fe10に代えてCo80Fe20やCoを用いれば、実質的な磁気的膜厚を変化させることができる。
また、バイアスポイントの調整は、磁化自由層と磁化固着層との間の大きなインターレイヤーカップリング磁界を用いるという手法がある。通常、磁区制御膜1120の磁気膜厚は3.0memu/cm2程度であるが、これを1.5memu/cm2程度に弱めて、インターレイヤーカップリング磁界を150 Oeより大きくするということも可能である。
次に、図1に示した磁気抵抗効果素子を例にとり、素子の作製について述べる。まず図5及び6は、前記素子の製造工程を示す図である。
最初に、図5に示すように、図示しない基板上に、下部シールド層1110、下地層1310、反強磁性層1320、強磁性層1344、磁気結合層1343、磁化固着層1342、中間層1341、磁化自由層1340,及び保護層1350を成膜する。
各層の形成には、例えばスパッタ装置による成膜が用いられる。スパッタ成膜では、DCマグネトロンスパッタ法、RFマグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法、ロングスロースパッタ法、コリメーションスパッタ法のいずれか、またはそれらを組み合わせたスパッタ法などを使用できる。
次いで、その上にレジスト層1360を形成した後、図6に示すように、イオンミリングで成膜を下地層1310の一部まで除去する。除去された部分に、絶縁層1150、磁区制御膜1120を成膜する。次いで、レジスト層1360を除去した後、上部シールド層1140を成膜して目的とする垂直通電型磁気抵抗効果素子1100を得る。
なお、上記具体例においては、垂直通電型磁気抵抗効果素子1100はすべて下から磁化固着層、中間層、磁化自由層の順序で積層されるボトム型磁気抵抗効果素子であるが、下から磁化自由層、中間層、磁化固着層の順に積層されるトップ型磁気抵抗効果素子とすることもできる。
また、上記具体例におけるバイアスポイントは、以下のようにして定義することができる。図7は、バイアスポイントを説明するための図である。グラフに示されたのは、信号磁界Hに対する垂直通電型磁気抵抗効果素子の出力Vの変化であり、俗にトランスファーカーブともよばれる。
素子にかかる電圧を十分に低い状態にする(数mVから高々40mV程度がのぞましい)と、信号磁界が十分に低いときは磁化固着層の磁化方向と磁化自由層の磁化方向は平行に近いため出力はVAとなり低く、一方信号磁界が十分に高いときは磁化固着層の磁化方向と磁化自由層の磁化方向が反平行に近いため出力はVBのように高くなる。また、信号磁界がゼロのときの出力VCはVAとVBの間となる。したがって、このときバイアスポイントBPは以下の式で計算することができ。
BP = (VC - VA)/(VB - VA)×100 = (VB - VC)/(VB - VA)×100 (%)
また、十分に信号磁界が低いときの抵抗値をRA、十分に信号磁界が高いときの抵抗値をRB、信号磁界がゼロのときの抵抗値をRCとする。このときにバイアスポイントは以下のように見積もることができる。
BP = (RC - RA)/(RB - RA)×100 = (RB - RC)/(RB - RA)×100 (%)
バイアスポイントを確定するその他の方法としては、一定の信号磁界中における出力電圧V(または抵抗R)のセンス電流変化を、様々な磁場において測定するという方法がある。センス電流が小さいときにおいて、信号磁界がゼロのときの出力が、信号磁界がある特定の正の磁場における出力に近いか、それとも特定の負の磁場における出力に近いかを調べる。たとえば特定の正の磁場を+400 Oeと決めたら、特定の負の磁場は、磁界強度の絶対値が同じで向きが反対の、−400 Oeと決める。この際のバイアスポイントは上記式のいずれかを用いて示すことができる。なお、本例において、実際に使用する磁場の絶対値の大きさが大きいほど正確にバイアスポイントが見積もられ、具体的には400 Oe以上が望ましい。
次に、本発明の磁気抵抗効果素子を搭載した磁気再生装置について説明する。本発明の磁気抵抗効果素子は、例えば、記録再生一体型の磁気ヘッドアセンブリに組み込まれ、磁気記録再生装置に搭載することができる。
図8は、このような磁気記録再生装置の概略構成を例示する要部斜視図である。すなわち、本発明の磁気記録再生装置150は、ロータリーアクチュエータを用いた形式の装置である。同図において、磁気記録用媒体ディスク200は、スピンドル152に装着され、図示しない駆動装置制御部からの制御信号に応答する図示しないモータにより矢印Aの方向に回転する。本発明の磁気記録再生装置150は、複数の媒体ディスク200を備えたものとしてもよい。また、媒体ディスク200は、記録ビットの磁化方向がディスク面と略平行ないわゆる「面内記録方式」でも良く、あるいは、記録ビットの磁化方向がディスク面に対して略垂直な「垂直記録方式」でも良い。
媒体ディスク200に格納する情報の記録再生を行うヘッドスライダ153は、薄膜状のサスペンション154の先端に取り付けられている。ここで、ヘッドスライダ153は、例えば、前述したいずれかの実施の形態にかかる磁気抵抗効果素子あるいは磁気ヘッドをその先端付近に搭載している。
媒体ディスク200が回転すると、ヘッドスライダ153の媒体対向面(ABS)は媒体ディスク200の表面から所定の浮上量をもって保持される。あるいはスライダが媒体ディスク200と接触するいわゆる「接触走行型」であってもよい。サスペンション154は、図示しない駆動コイルを保持するボビン部などを有するアクチュエータアーム155の一端に接続されている。アクチュエータアーム155の他端には、リニアモータの一種であるボイスコイルモータ156が設けられている。ボイスコイルモータ156は、アクチュエータアーム155のボビン部に巻き上げられた図示しない駆動コイルと、このコイルを挟み込むように対向して配置された永久磁石および対向ヨークからなる磁気回路とから構成される。
アクチュエータアーム155は、スピンドル157の上下2箇所に設けられた図示しないボールベアリングによって保持され、ボイスコイルモータ156により回転摺動が自在にできるようになっている。
図9は、アクチュエータアーム155から先の磁気ヘッドアセンブリをディスク側から眺めた拡大斜視図である。すなわち、磁気ヘッドアッセンブリ160は、例えば駆動コイルを保持するボビン部などを有するアクチュエータアーム155を有し、アクチュエータアーム155の一端にはサスペンション154が接続されている。サスペンション154の先端には、前述したような本発明の磁気抵抗効果素子を具備するヘッドスライダ153が取り付けられている。サスペンション154は信号の書き込みおよび読み取り用のリード線164を有し、このリード線164とヘッドスライダ153に組み込まれた磁気ヘッドの各電極とが電気的に接続されている。図中165は磁気ヘッドアッセンブリ160の電極パッドである。
本発明によれば、前述したような磁気抵抗効果素子を具備することにより、従来よりも高い記録密度で磁気記録媒体ディスク200に磁気的に記録された情報を確実に読みとることが可能となる。
本例では、図1に示すような垂直通電型磁気抵抗効果素子を作製し、スピン注入磁化反転とバイアスポイントとの関係を調べた。
前記磁気抵抗効果素子の下地層1310にはTa5nm,反強磁性層1320にはPtMn15nm,強磁性層1344にはCo90Fe10を3.4nm,非磁性結合層1343にはRuを0.85nm,磁化固着層1342にはFe50Co50を3nm,中間層1341には厚さ5nmのAl2O3内にCuの通電パスが空いた構造を用いた。磁化自由層1340にはCo90Fe101nm / Ni83Fe173.5nm,保護層1350にはCu5nmを用いた。縦バイアス機構はCoCrPt合金を用いた磁区制御膜とした。反強磁性層の着磁方向は、磁区制御膜の磁化と略垂直になるようにした。MRTとMRHを変化させた素子について、センス電流を磁化自由層側から磁化固着層側に通電させた場合のトランスファーカーブを測定した。
なお、以後において、センス電流およびバイアス電圧の正負は、センス電流を磁化自由層側から磁化固着層側に通電させた場合を正とする。
また、バイアス電圧が+40mV,+80mVおよび+120mVにおける磁気抵抗変化と、バイアス電圧が-40mVのときの磁気抵抗変化との比をとり、そのバイアスポイント依存性を測定した。バイアスポイントはばらついており、20%付近から80%付近まで分布していた。傾向を正しく明らかにするために同一のMRTおよびMRHを持つ素子について40個測定をおこない、それらについて最小2乗法による直線フィッティングをおこなった。その結果を図10〜13に示す。
これらの図から明らかなように、MRHが大きくかつMRTが小さくなるに従って、バイアスポイント依存性が小さくなることがわかる。その傾向は、バイアス電圧が増加するすなわちスピン注入の量が増加するに従って顕著となる。またこれらの図から、バイアスポイントが20%以上50%以下であるときは磁気抵抗比がさらに増加するため、より好ましいことがわかる。
なお、これらの素子について、一つのサイズの素子につき40個の素子の磁気抵抗変化を測定して平均をとったところ、MRH=50nm, MRT=80nmの素子(MRH/MRT=0.63)は1.7%,MRH=50nm, MRT=64nmの素子(MRH/MRT=0.78)は1.6%,MRH=100nm, MRT=83nmの素子(MRH/MRT=1.2)は2.8%,MRH=100nm, MRT=64nmの素子(MRH/MRT=1.56)は2.4%であった。
素子サイズが小さくなるに従って磁気抵抗変化が小さくなるのは、磁性体の磁化の熱安定性を評価する指標として用いられるKuV/kBT(Kuは磁気異方性定数,Vは磁性体の体積,kBはボルツマン定数,Tは絶対温度)が、サイズ減少と共に小さくなり、熱安定性が悪くなるためである。しかしながら、本発明の要件を満足する図12及び13に関する素子については、素子サイズが小さくなっても、素子の磁気抵抗変化が2%以上の比較的大きな値を示すようになる。
一方、高密度記録のためには、媒体のトラック幅に対応する側のMRTは小さくせざるを得ない。MRTを小さくして大きな磁気抵抗変化を得るためには、MRHを大きくすることが良いことがわかる。すなわち、MRH/MRTの比を大きくすることにより、大きな磁気抵抗変化が得られる点でも本発明は非常に好ましいといえる。
また、図14にMRH=80nm, MRT=200nm(MRH/MRT=2.5)として作製した垂直通電型磁気抵抗効果素子の抵抗Rの磁場変化を、図15と図16にMRH=80nm, MRT=250nmとして作製した(MRH/MRT=3.1)垂直通電型磁気抵抗効果素子の抵抗Rの磁場変化を示した。なお、この場合においても、センス電流を磁化自由層側から磁化固着層側に通電させた。
図14から明らかなように、MRH/MRTが2.5以下の場合は、信号磁界Hに対する垂直通電型磁気抵抗効果素子の抵抗Rの変化が緩やかな曲線となり、信号磁界Hにほぼ比例した出力を得ることができる。一方、図15及び16から明らかなように、MRH/MRTが2.5を超えると、前記素子に対して縦バイアス磁界が効果的に作用しなくなってしまい、信号磁界Hに対する垂直通電型磁気抵抗効果素子の抵抗Rの変化が階段状を呈して急激なものとなる。したがって、信号磁界Hに比例した出力を得ることができなくなる。結果的に、MRH/MRTは2.5以下であることが好ましいことが分かる。
以上、本発明を上記具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
本発明の磁気抵抗効果素子の一例の断面図である。 本発明の磁気抵抗効果素子における磁化自由層の、縦バイアス磁界に略平行な方向の幅MRT及び縦バイアス磁界に略直角かつ前記信号磁界の方向に略平行な方向の幅MRHを概略的に示す図である。 本発明の磁気抵抗効果素子の他の例を示す断面図である。 本発明の磁気抵抗効果素子のその他の例を示す断面図である。 図1に示す磁気抵抗効果素子の製造工程を示す図である。 同じく、図1に示す磁気抵抗効果素子の製造工程を示す図である。 本発明におけるバイアスポイントを説明するための図である。 磁気記録再生装置の概略構成を例示する要部斜視図である。 図8に示す磁気記録再生装置の、アクチュエータアームから先の磁気ヘッドアセンブリをディスク側から眺めた場合の拡大斜視図である。 磁気抵抗効果素子の一態様に対して、センス電流を磁化自由層側から磁化固着層側に通電させた場合の、磁気抵抗比のバイアスポイント依存性を示すグラフである。 同じく、磁気抵抗効果素子の一態様に対して、センス電流を磁化自由層側から磁化固着層側に通電させた場合の、磁気抵抗比のバイアスポイント依存性を示すグラフである。 同じく、磁気抵抗効果素子の一態様に対して、センス電流を磁化自由層側から磁化固着層側に通電させた場合の、磁気抵抗比のバイアスポイント依存性を示すグラフである。 同じく、磁気抵抗効果素子の一態様に対して、センス電流を磁化自由層側から磁化固着層側に通電させた場合の、磁気抵抗比のバイアスポイント依存性を示すグラフである。 磁気抵抗効果素子の一態様に対して、センス電流を磁化自由層側から磁化固着層側に通電させた場合の、磁気抵抗の信号磁界依存性を示すグラフである。 同じく、磁気抵抗効果素子の一態様に対して、センス電流を磁化自由層側から磁化固着層側に通電させた場合の、磁気抵抗の信号磁界依存性を示すグラフである。 同じく、磁気抵抗効果素子の一態様に対して、センス電流を磁化自由層側から磁化固着層側に通電させた場合の、磁気抵抗の信号磁界依存性を示すグラフである。
符号の説明
150 磁気記録再生装置
152 スピンドル
153 ヘッドスライダ
154 サスペンション
155 アクチュエータアーム
156 ボイスコイルモータ
157 スピンドル
160 磁気ヘッドアッセンブリ
164 リード線
200 磁気記録媒体ディスク
1100 垂直通電型磁気抵抗効果素子
1110 下部シールド層
1120 磁区制御膜
1130 絶縁体
1140 上部シールド層
1150 絶縁層
1200 スピンバルブ膜
1310 下地層
1320 反強磁性層
1340 磁化自由層
1341 中間層
1342 磁化固着層
1343 磁気結合層
1344 強磁性層
1345 エクスチェンジバイアス層
1346 エクスチェンジバイアス層内上部電極
1347 分離層
1348 インスタックバイアス層
1350 保護層
1360 レジスト層

Claims (11)

  1. 磁化の方向が実質的に一方に固着された磁性体膜を有する磁化固着層、磁気記録媒体からの信号磁界に応じて磁化の方向が変化する磁性体膜を有する磁化自由層、及び前記磁化自由層と前記磁化固着層との間に設けられた金属的伝導を示す非磁性中間層を有する磁気抵抗効果膜と、
    前記磁気抵抗効果膜の膜面に対して略平行かつ磁化固着層の磁化に対して略垂直に、前記磁化自由層に縦バイアス磁界を加えるための縦バイアス機構部と、
    前記磁気抵抗効果膜の膜面に対して垂直方向に通電するために前記磁気抵抗効果膜に電気的に接続された一対の電極とを具え、
    前記磁化自由層の、縦バイアス磁界に略平行な方向の幅をMRT、縦バイアス磁界に略直角かつ前記信号磁界の方向に略平行な方向の幅をMRHとしたときに、
    1.2≦MRH/MRT
    なる関係式を満足し、
    前記磁化固着層から前記磁化自由層の方向に電流を通電して用いるように構成したことを特徴とする、磁気抵抗効果素子。
  2. 前記磁化自由層の、縦バイアス磁界に略平行な方向の幅MRT及び縦バイアス磁界に略直角かつ前記信号磁界の方向に略平行な方向の幅MRHが、
    1.2≦MRH/MRT≦2.5
    なる関係式を満足することを特徴とする、請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 前記磁化固着層から前記磁化自由層の方へセンス電流を流すことを特徴とする、請求項1又は2に記載の磁気抵抗効果素子。
  4. バイアスポイントが20%以上80%以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 前記縦バイアス機構部は、少なくとも前記磁化固着層の端部に接触するようにして設けられた、硬磁性材料からなるバイアス層を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 前記縦バイアス機構部は、前記磁化固着層の上方において前記磁化固着層と磁気的に結合したバイアス層を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 前記バイアス層は反強磁性材料からなり、前記磁化固着層に対して交換結合を介して磁気的に結合していることを特徴とする、請求項6に記載の磁気抵抗効果素子。
  8. 前記バイアス層は硬磁性材料からなり、前記磁化固着層に対して静磁界的に結合していることを特徴とする、請求項6に記載の磁気抵抗効果素子。
  9. 請求項1〜8のいずれか一に記載の磁気抵抗効果素子を具えることを特徴とする、磁気ヘッド。
  10. 磁気記録媒体と、請求項9に記載の磁気ヘッドとを具えることを特徴とする、磁気記録再生装置。
  11. 請求項1〜8のいずれか一に記載の磁気抵抗効果素子を具えることを特徴とする磁気メモリ。
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