JP3973528B2 - 磁気検出素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハードディスク装置や磁気センサなどに用いられる磁気検出素子に係り、特に狭トラック化においても適切にフリー磁性層の磁化制御を行うことができ、再生特性に優れた磁気検出素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図39は特開平9−073611号公報(以下、特許文献1と言う)の図1に示す磁気検出素子を書き写したものであり、前記磁気検出素子を記録媒体との対向面側からみた断面図である。
【0003】
図39に示す磁気検出素子はいわゆるスピンバルブ型の磁気検出素子であり、Al23(酸化アルミニウム)などで形成された下部ギャップ層1の両側に所定のトラック幅Twを開けて反強磁性層2,2が形成されている。前記下部ギャップ層1のトラック幅Tw部分の上面には下地層9が形成される。
【0004】
そして、両側の反強磁性層2,2の上面および前記下地層9の上面にフリー磁性層3、非磁性材料層4、固定磁性層5、反強磁性層6、及び上地層10が形成されている。反強磁性層6の上にはCrなどからなる一対の電極層7,7が形成され、Al23(酸化アルミニウム)などで形成されさらに上部ギャップ層8が形成されている。
【0005】
フリー磁性層3及び固定磁性層5はNi−Fe(ニッケル−鉄)系合金で形成され、非磁性材料層4はCuで形成されている。
【0006】
反強磁性層2,2と反強磁性層6は、NiO(酸化ニッケル)、Ni−Mn(ニッケル−マンガン)合金、Pt−Mn(白金−マンガン)合金などの反強磁性材料により形成される。
【0007】
反強磁性層6は、固定磁性層5との間に交換異方性磁界を発生させて、固定磁性層の磁化方向を図示Y方向に固定するためのものである。
【0008】
また、反強磁性層2,2とフリー磁性層3と界面にも交換異方性磁界が発生し、フリー磁性層3の磁化方向を図示X方向に単磁区化している。
【0009】
図39に示される磁気検出素子に記録媒体からの洩れ磁界などの外部磁界が与えられると、フリー磁性層3の磁化方向が変化して、フリー磁性層3、非磁性材料層4、及び固定磁性層5からなる多層膜の電気抵抗が変化する。この抵抗変化を電圧変化または電流変化として取り出すことにより外部磁界を検出する。
【0010】
図39に示されるようなスピンバルブ型の磁気検出素子では、検出出力の線形性を高め、バルクハウゼンノイズを低減するために、フリー磁性層3を適切に単磁区化する必要がある。
【0011】
スピンバルブ型の磁気検出素子のフリー磁性層の磁化制御には、従来、フリー磁性層の両側部に硬磁性層を配置し、この硬磁性層とフリー磁性層の間に静磁界結合または強磁性結合を生じさせることにより、フリー磁性層の磁化方向をそろえるハードバイアス方式が好んで採用されていた。
【0012】
しかし、近年、磁気検出素子の狭トラック化及び狭ギャップ化の促進にともない、フリー磁性層の磁化制御には、図39に示されるような、フリー磁性層に一対の反強磁性層を重ねるエクスチェンジバイアス方式が採用されつつある。
【0013】
このエクスチェンジバイアス方式を用いた磁気検出素子は、前述のハードバイアス方式に比べて、
(1)フリー磁性層の光学的トラック幅内に、外部磁界によって磁化方向が変化しない不感領域がほとんど発生しない。
(2)フリー磁性層のトラック幅方向端部の反磁界の影響が低減でき、フリー磁性層の磁化を乱す現象(バックリング現象)を抑制できる。
【0014】
などの利点を有し、磁気検出素子の狭トラック化及び狭ギャップ化を促進するために適した縦バイアス方式である。
【0015】
【特許文献1】
特開平9−073611号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1によれば、図39に示す磁気検出素子の製造方法として、前記下部ギャップ層1のトラック幅Twの部分の下地層9上にのみレジスト層を設け、前記レジスト層に覆われていない領域の下地層9及び下部ギャップ層1を削り、前記削られた両側の下部ギャップ層1の上に前記反強磁性層2を形成するとしている。その後、前記レジスト層を除去し、前記反強磁性層2上を軽くクリーニングした後、前記反強磁性層2上にフリー磁性層3、非磁性材料層4・・・を連続して成膜していくと記載されている。
【0017】
しかしながら上記した製造方法では以下のような問題点がある。すなわち前記反強磁性層2の上面を例えばイオンミリングなどによってクリーニングすると、前記イオンミリング時に使用されるArなどの不活性ガスが露出した反強磁性層2の表面から内部に入り込みやすくなり、前記イオンミリングによるダメージによってフリー磁性層3の磁気特性が劣化しやすい。
【0018】
また上記した製造方法では、前記反強磁性層2とフリー磁性層3を連続して成膜しないため(すなわち前記反強磁性層2を成膜後、レジスト層の除去、クリーニング工程を経てフリー磁性層3の成膜を行うため)、前記反強磁性層2とフリー磁性層3間で適切な大きさの交換結合磁界が生じにくく、前記フリー磁性層3のトラック幅Twの部分から外れた両側領域を適切に磁化固定できずサイドリーディングなどを引き起こしやすくなっている。
【0019】
そこで図39に示す磁気検出素子は、例えば図40及び図41に示す製造工程を用いて製造されると好ましいと考えられた。図40及び図41は、磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0020】
図40に示す工程では、下部ギャップ層1上にリフトオフ用のレジスト層Rを形成し、イオンミリングによって、一対の凹部9,9をトラック幅寸法に等しい間隔を開けて形成する。そして、この凹部9,9内に反強磁性層2,2をスパッタ法などによって形成し、さらにフリー磁性層3の一部になる強磁性材料層10,10及び酸化防止用のTa膜11,11を形成する。
【0021】
次にレジスト層Rを除去し、Ta膜11,11の全部をイオンミリングですべて除去する(図41)。このときTa膜11,11下の強磁性材料層10,10も一部削られる(点線部分が削られる)。その後、残った強磁性材料層10,10上にさらに強磁性材料を成膜してフリー磁性層3を形成し、さらに、非磁性材料層4、固定磁性層5、反強磁性層6、電極層7,7、上部ギャップ層8を形成する。
【0022】
しかしながら図40及び図41に示す製造工程で形成された磁気検出素子でも以下のような課題が生じた。
【0023】
(1)まず第1に、図41に示す工程でのイオンミリング時に、Ta膜11,11のみならず、その下に形成された強磁性材料層10の一部までも削れてしまい、またイオンミリング時に使用されるArなどの不活性ガスが露出した強磁性材料層10表面から内部に入り込みやすくなり、以上のようなイオンミリングによるダメージによっての強磁性材料層10の表面部分10aの結晶構造が壊れたり、あるいは格子欠陥が発生しやすくなる(Mixing効果)。これによってフリー磁性層3の磁気特性が劣化しやすい。
【0024】
図41工程のイオンミリング時にTa膜11,11のみを削り、強磁性材料層10が削られないようにできれば最も好ましいが、実際にそのようにミリング制御することは難しい。
【0025】
その理由は、強磁性材料層10上に形成されたTa膜11,11の膜厚にある。Ta膜11,11の膜厚は成膜時で30Å〜50Å程度で形成される。この程度の厚い膜厚でなければ強磁性材料層10が酸化されるのを適切に防止できないからである。
【0026】
ところがTa膜11,11は、大気に曝されたり、強磁性材料層10と反強磁性層2,2間で交換結合磁界を発生させるための磁場中アニールによって酸化され、その酸化された部分の膜厚が膨張し、Ta膜11,11全体の膜厚は成膜段階よりも厚くなる。例えばTa膜11,11の膜厚が成膜時30Å程度であったとき、酸化によってTa膜11,11の膜厚は45Å程度にまで大きくなってしまう。
【0027】
従って酸化によって膜厚が大きくなったTa膜11,11を効果的にミリングで除去するには、高エネルギーのイオンミリングを使用する必要がある。高エネルギーのイオンミリングであるからミリングレートは速く、膜厚の厚いTa膜11,11をイオンミリングで除去した瞬間に、ミリングを止めることは不可能に近い。すなわち高エネルギーになればなるほどミリング止め位置のマージンを広く取る必要がある。このためTa膜11,11の下に形成された強磁性材料層10も一部削られてしまい、このとき高エネルギーのイオンミリングによって余計に強磁性材料層10は大きなダメージを受けやすく結果としてフリー磁性層3の磁気特性の劣化が顕著になる。
【0028】
(2)また図41に示すように強磁性材料層10の途中でイオンミリングを止めることは、高エネルギーのイオンミリングを使用することと合わせて、強磁性材料層10の膜厚が30Å〜40Å以下と薄く形成されることもあって難しい。すなわち最悪の場合、強磁性材料層10がすべてイオンミリングで除去されることもある。強磁性材料層10がすべて除去された後に、反強磁性層2,2上に強磁性材料からなる層を再び積層しても、この強磁性材料と反強磁性層2,2の間に交換異方性磁界はほとんど生じない。
【0029】
以上のように、強磁性材料層10上にTa膜11,11を形成し、Ta膜11,11を削って露出した強磁性材料層10上にさらに強磁性材料を成膜してフリー磁性層3を形成する磁気検出素子の構造では、依然としてフリー磁性層3の磁化制御を適切に行えず、狭トラック化に適切に対応可能な磁気検出素子を製造することができなかった。
【0030】
本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、エクスチェンジバイアス方式において、フリー磁性層の磁化制御を適切に行うことができ、狭トラック化に適切に対応可能な磁気検出素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下から順に積層された下部磁性層と非磁性材料層と固定磁性層を含み磁気抵抗効果を有する多層膜と、前記固定磁性層の磁化方向を前記下部磁性層の磁化方向と交叉する方向に揃える層と、前記下部磁性層の磁化方向をそろえる第1反強磁性層を有する磁気検出素子において、
前記下部磁性層の下層に、膜厚が10Å以上で50Å以下の第2反強磁性層が設けられ、さらに前記第2反強磁性層の下層に、貴金属元素、Re、あるいはCrのうち少なくともいずれか1種からなる非磁性層を介して、前記第1反強磁性層がトラック幅方向に間隔を開けて形成されており、
前記第1反強磁性層と前記非磁性層を介して対向する前記第2反強磁性層と重なる前記下部磁性層の両側端部は、磁化方向が固定され、前記第2反強磁性層のみと重なる前記下部磁性層の中央部は、外部磁界に対して磁化変動するフリー磁性層として機能していることを特徴とするものである。
【0032】
本発明では、前記下部磁性層と前記第1反強磁性層の間に前記非磁性層が形成されている。前記非磁性層は、前記非磁性層の下面に接する層、例えば、第1反強磁性層や第1反強磁性層の上に積層された強磁性層を大気暴露による酸化から防止するためのものである。非磁性層の下面に接する層は、前記第1磁性層の磁化方向をそろえるための縦バイアス磁界を供給する機能を有する。
【0033】
本発明では、前記非磁性層が貴金属元素、Re、あるいはCrのうち少なくともいずれか1種によって形成されている。貴金属元素、Re、Crは、酸化されにくい材質である。従来使用されていたTa膜は、貴金属材料に比べて酸化されやすいので好ましくない。本発明ではTa膜に代えて貴金属元素、Re、Crを使用することで、非磁性層の膜厚が薄くても十分な酸化防止効果を発揮するため、前記非磁性層の上層に前記下部磁性層を積層する前に、前記非磁性層表面の酸化層を除去するために低エネルギーのイオンミリングを使用でき、前記非磁性層の下層にあり、前記下部磁性層の磁化方向をそろえるための強磁性層や第1反強磁性層の磁気特性の劣化が抑えられ、狭トラック化に優れた磁気検出素子を得ることが可能になっている。
【0034】
また、前記第2反強磁性層の膜厚が10Å以上で50Å以下であり、これにより、前記第2反強磁性層を前記下部磁性層のトラック幅領域に重ねて形成した場合でも、前記第2反強磁性層は前記第1反強磁性層と重なるトラック幅領域の両側部でのみ反強磁性を有し、トラック幅領域(中央部)では非反強磁性の性質を有するので、下部磁性層の中央部のフリー磁性層の磁化方向の変化を妨げないようにできる。
【0035】
前記非磁性層、例えばRu、Re、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Rh、Cu、Crのいずれか1種または2種以上で形成されることが好ましい。
【0036】
また、本発明では、前記第1反強磁性層が、表面が平坦面である下部シールド層上または下部ギャップ層上にトラック幅方向に間隔を開けて形成されてもよい。
【0037】
ただし、前記下部磁性層の下層に、非磁性材料からなる下部ギャップ層または磁性材料からなる下部シールド層が形成され、この下部ギャップ層または下部シールド層の表面にトラック幅方向に間隔を開けて凹部が形成されて、前記凹部内に前記第1反強磁性層が形成されることが好ましい。
【0038】
前記凹部内に前記第1反強磁性層が形成されると、磁気検出素子を構成する多層膜のトラック幅領域と両側部に生じる段差の高さを小さくでき、前記多層膜の磁気抵抗効果特性が安定するので好ましい。
【0039】
なお、下部シールド層に形成された凹部内に前記第1反強磁性層が形成される場合には、前記第1反強磁性層と前記下部シールド層の間に絶縁層が設けられると、センス電流の分流損失を低減できるので好ましい。
【0040】
なお、前記第2反強磁性層と第1反強磁性層の間に、3Å以下の前記非磁性層が設けられるとが好ましい。これにより、前記第2反強磁性層と第1反強磁性層の間に反強磁性的な相互作用を生じさせ、前記第2反強磁性層と第1反強磁性層とを一体の反強磁性層のようにでき、下部磁性層の両側部の磁化を適切にトラック幅方向に固定することが可能になる。
なお、前記第2反強磁性層の膜厚が30Å以上で40Å以下であるとより好ましい。
【0041】
また、本発明では、前記固定磁性層は、非磁性中間層を介して積層された、単位面積あたりの磁気モーメントの大きさが異なる第1固定磁性層及び第2固定磁性層を有する、いわゆる人工フェリ固定磁性層であることが好ましい。
【0042】
また、本発明では、前記固定磁性層の磁化方向を前記下部磁性層の磁化方向と交叉する方向に揃える層は、例えば反強磁性材料からなる第3反強磁性層である。
【0043】
また本発明では、前記第3反強磁性層はトラック幅方向に所定間隔を空けた欠陥部を介して前記第1固定磁性層のトラック幅方向の両側端部上に接して設けられることが好ましい。このような形態にしても人工フェリ構造の固定磁性層を適切に磁化固定できると共に、再生出力を向上させることができ、また狭ギャップ化に適切に対応することができ、さらに静電破壊(ESD)にも強い磁気検出素子を製造することが可能になる。
【0044】
本発明では、前記下部磁性層は磁性層の3層構造で形成されることが好ましい。具体的には、前記下部磁性層は、CoFe/NiFe/CoFeの3層構造であることが好ましい。
【0045】
また、本発明の磁気検出素子の製造方法は以下の工程を有することを特徴とするものである。
【0046】
以下の工程を有することを特徴とする磁気検出素子の製造方法、
(a)基板上に、一対の第1反強磁性層をトラック幅方向に間隔を開けて形成し、前記第1反強磁性層上に、貴金属元素、Re、あるいはCrのうち少なくともいずれか1種からなる非磁性層を連続成膜する工程と、
(b)前記非磁性層を一部削る工程と、
(c)前記一対の第1反強磁性層の上に形成された前記非磁性層、及び前記一対の第1反強磁性層に挟まれる領域上に、下から順に、膜厚が10Å以上で50Å以下の第2反強磁性層、下部磁性層、非磁性材料層、第2固定磁性層、非磁性中間層まで連続成膜する工程と、
(d)第1の磁場中アニールを施して、前記第1反強磁性層と前記非磁性層を介して対向する前記第2反強磁性層の両側部と前記下部磁性層の両側端部間に交換結合磁界を発生させ、前記下部磁性層の両側端部の磁化方向を所定の方向に固定し、前記下部磁性層の中央部をフリー磁性層として磁化方向を所定の方向に揃える工程と、
(e)前記非磁性中間層を一部削る工程と、
(f)前記非磁性中間層上に第1固定磁性層、第3反強磁性層を連続成膜する工程と、
(g)第2の磁場中アニールを施して、前記第3反強磁性層と前記第1固定磁性層間に交換結合磁界を発生させ、前記第1固定磁性層、前記非磁性中間層、前記第2固定磁性層からなる前記固定磁性層の磁化方向を前記下部磁性層の磁化方向と交叉する方向に揃える工程。
【0047】
本発明では、前記第1反強磁性層上に積層される非磁性層に、貴金属元素、Re、あるいはCrのうち少なくともいずれか1種を使用することで、非磁性層の膜厚が薄くても十分な酸化防止効果を発揮するため、前記(b)工程で、低エネルギーのイオンミリングを使用でき、効果的に狭トラック化に優れた磁気検出素子を製造することが可能になっている。
【0048】
また、前記(c)工程において、前記第2反強磁性層を10Å以上50Å以下の膜厚で形成することにより、前記第2反強磁性層を前記下部磁性層のトラック幅領域に重ねて形成しても、前記第2反強磁性層は前記第1反強磁性層と重なるトラック幅領域の両側部でのみ反強磁性を有し、トラック幅領域では非反強磁性の性質を有するので、フリー磁性層となる下部磁性層の中央部の磁化方向の変化を妨げないようにできる。
【0049】
また、前記(b)工程において、前記非磁性層を3Å以下の膜厚となるように削ると、前記第2反強磁性層と第1反強磁性層の間に反強磁性的な相互作用を生じさせ、前記第2反強磁性層と第1反強磁性層とを一体の反強磁性層のようにできるので好ましい。
【0050】
なお、前記(g)程において、第2の磁場中アニールにおける熱処理温度を第1反強磁性層のブロッキング温度より低い温度に設定し、第2の磁場中アニールにおける第2の磁界の大きさを第1反強磁性層の交換異方性磁界より小さくすることにより、前記下部磁性層と前記固定磁性層の磁化方向を交叉させること或いは直交させることが可能になる。
【0051】
また、前記(a)工程の前に、
表面が平坦面である磁性材料からなる下部シールド層上を形成し、前記(a)工程において、この下部シールド層の上層に前記一対の第1反強磁性層を形成してもよい。
【0052】
ただし、前記(a)工程の前に、表面にトラック幅方向に間隔を開けて凹部が形成された、磁性材料からなる下部シールド層を形成し、前記(a)工程において、前記凹部内に前記第1反強磁性層を形成すると、磁気検出素子を構成する多層膜のトラック幅領域と両側部に生じる段差の高さを小さくでき、前記多層膜の磁気抵抗効果特性が安定するので好ましい。
【0053】
なお、下部シールド層に形成された凹部内に、前記第1反強磁性層が形成する場合には、前記(a)工程の前に、前記下部シールド層上に絶縁層を設け、前記(a)工程において、この絶縁層上に前記第1反強磁性層を形成すると、センス電流の分流損失を低減できる磁気検出素子を形成できるので好ましい。
【0054】
なお、前記(a)程において前記非磁性層を、また前記(c)工程において前記非磁性中間層を、Ru、Re、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Rhのいずれか1種または2種以上からなる貴金属で形成することが好ましい。
【0055】
また、本発明では、前記(a)程において、前記非磁性層を3Å以上10Å以下という薄い膜厚で形成することができる。
【0056】
【発明の実施の形態】
図1は、参考例の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。なお、図1ではX方向に延びる素子の中央部分のみを破断して示している。
【0057】
図1に示す磁気検出素子は、記録媒体に記録された外部信号を再生するためのMRヘッドである。記録媒体との対向面は、例えば磁気検出素子の構成する薄膜の膜面に垂直で且つ磁気検出素子のフリー磁性層の外部磁界が印加されていないときの磁化方向と平行な平面である。図1では、記録媒体との対向面はX−Z平面に平行な平面である。
【0058】
なお、磁気検出素子が浮上式の磁気ヘッドに用いられる場合、記録媒体との対向面とは、いわゆるABS面のことである。
【0059】
また磁気検出素子は、例えばアルミナ−チタンカーバイト(Al23−TiC)で形成されたスライダのトレーリング端面上に形成される。スライダは、記録媒体との対向面と逆面側で、ステンレス材などによる弾性変形可能な支持部材と接合され、磁気ヘッド装置が構成される。
【0060】
なお、トラック幅方向とは、外部磁界によって磁化方向が変動する領域の幅方向のことであり、例えば、フリー磁性層の外部磁界が印加されていないときの磁化方向、すなわち図示X方向である。
【0061】
なお、記録媒体は磁気検出素子の記録媒体との対向面に対向しており、図示Z方向に移動する。この記録媒体からの洩れ磁界方向は図示Y方向である。
【0062】
図1では、図示しない基板上に下部シールド層21が形成され、この下部シールド層21の表面にトラック幅方向に間隔を開けて一対の凹部21a,21aが形成されており、凹部21a,21aに挟まれた凸部21bの上面21b1上に下部ギャップ層22及びシード層23が積層されている。
【0063】
また、凹部21a,21a内には、絶縁層24,24が形成されており、凹部21a,21a内であって、絶縁層24,24上に第1反強磁性層25,25が形成されている。第1反強磁性層25,25上には、強磁性層26,26及び非磁性層27,27が積層されている。図1に示されるように、第1反強磁性層25,25、強磁性層26,26及び非磁性層27,27はトラック幅方向に間隔をあけて形成されており、トラック幅方向の第1反強磁性層25,25間及び強磁性層26,26間の最小距離が光学的トラック幅O−Twとなる。
【0064】
なお、絶縁層24,24上に、第1反強磁性層25,25の結晶配向を整えるために、NiFe、NiFeCr、Crなどからなるシード層を形成し、このシード層の上に第1反強磁性層25,25を形成してもよい。
【0065】
さらに、非磁性層27、27上及びシード層23上には、下から順に、フリー磁性層28、非磁性材料層29、第2固定磁性層30a、非磁性中間層30b、第1固定磁性層30cからなるシンセティックフェリピンド型の固定磁性層30からなる多層膜T1、及び第3反強磁性層31が積層されている。
【0066】
第3反強磁性層31の両側部には電極層32、32がトラック幅方向に間隔をあけて形成され、電極層32、32の間には、Taからなる保護層33が形成されている。
【0067】
電極層32、32上及び保護層33上には、上部ギャップ層34、上部シールド層35が積層されている。
【0068】
下部シールド層21及び上部シールド層35は、NiFeなどの磁性材料からなり、下部ギャップ層22及び上部ギャップ層34並びに絶縁層24、24はアルミナ(Al23)またはSiO2などの絶縁性材料から形成されている。
【0069】
シード層23は、結晶構造がbcc(体心立方格子)構造の非磁性材料、例えばCrまたはfcc(面心立方格子)構造のNiFeCr合金、または非晶質に近い構造のTaによって形成される。このシード層23によって、その上に積層されるフリー磁性層28の結晶配向を整え、フリー磁性層28の軟磁気特性を向上させるとともに比抵抗を低下させることができる。
【0070】
第1反強磁性層25,25及び第3反強磁性層31は、PtMn合金、または、X―Mn(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で、あるいはPt―Mn―X′(ただしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag,Os,Cr,Ni,Ar,Ne,Xe,Krのいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成する。
【0071】
これらの合金は、成膜直後の状態では、不規則系の面心立方構造(fcc)であるが、熱処理によってCuAuI型の規則型の面心正方構造(fct)に構造変態する。
【0072】
第1反強磁性層25,25及び第3反強磁性層31の膜厚は、80〜300Å、例えば200Åである。
【0073】
ここで、反強磁性層を形成するための、前記PtMn合金及び前記X−Mnの式で示される合金において、PtあるいはXが37〜63at%の範囲であることが好ましい。また、前記PtMn合金及び前記X−Mnの式で示される合金において、PtあるいはXが47〜57at%の範囲であることがより好ましい。特に規定しない限り、〜で示す数値範囲の上限と下限は以下、以上を意味する。
【0074】
また、Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’+Ptが37〜63at%の範囲であることが好ましい。また、前記Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’+Ptが47〜57at%の範囲であることがより好ましい。さらに、前記Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’が0.2〜10at%の範囲であることが好ましい。ただし、X’がPd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である場合には、X’は0.2〜40at%の範囲であることが好ましい。
【0075】
これらの合金を使用し、これを熱処理することにより、大きな交換結合磁界を発生する反強磁性層を得ることができる。特に、PtMn合金であれば、48kA/m以上、例えば64kA/mを越える交換結合磁界を有し、前記交換結合磁界を失うブロッキング温度が380℃と極めて高い優れた第1反強磁性層25,25及び第3反強磁性層31を得ることができる。
【0076】
なお、1反強磁性層25,25と第3反強磁性層31を同じ組成比の前記PtMn合金、前記X―Mn合金、あるいは前記Pt―Mn―X′合金で形成しても、フリー磁性層28と固定磁性層30の磁化方向を直交化することができる。
【0077】
強磁性層26、26は、NiFe合金、Co、CoFeNi合金、CoFe合金、CoNi合金などにより形成されるものであり、特にNiFe合金またはCoFe合金、CoFeNi合金により形成されることが好ましい。
【0078】
非磁性層27,27は、Ru、Re、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Rhのいずれか1種または2種以上といった貴金属材料によって形成される。特に、Ruで形成されることが好ましい。
【0079】
フリー磁性層28は、強磁性材料により形成されるもので、例えばNiFe合金、Co、CoFeNi合金、CoFe合金、CoNi合金などにより形成されるものであり、特にNiFe合金またはCoFe合金、CoFeNi合金により形成されることが好ましい。フリー磁性層28の膜厚は30Å〜50Å程度で形成されることが好ましい。またフリー磁性層28にCoFe合金が使用されるときの組成比は、例えばCoが90at%、Feが10at%である。
【0080】
非磁性材料層29は、固定磁性層30とフリー磁性層28との磁気的な結合を防止し、またセンス電流が主に流れる層であり、Cu,Cr,Au,Agなど導電性を有する非磁性材料により形成されることが好ましい。特にCuによって形成されることが好ましい。前記非磁性材料層29は例えば18〜30Å程度の膜厚で形成される。
【0081】
第1固定磁性層30c及び第2固定磁性層30aは、強磁性材料により形成されるもので、例えばNiFe合金、Co、CoFeNi合金、CoFe合金、CoNi合金などにより形成されるものであり、特にCoFe合金またはCoにより形成されることが好ましい。また、第1固定磁性層30c及び第2固定磁性層30aは同一の材料で形成されることが好ましい。
【0082】
また、非磁性中間層30bは、非磁性材料により形成されるもので、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種またはこれらの2種以上の合金で形成されている。特にRuによって形成されることが好ましい。
【0083】
第1固定磁性層30c及び第2固定磁性層30aは、それぞれ10〜70Å程度で形成される。また非磁性中間層30bの膜厚は3Å〜10Å程度で形成で形成される。
【0084】
また、第1固定磁性層30cと第2固定磁性層30aは磁気的膜厚(Ms×t;飽和磁化と膜厚の積)が異なっており、第1固定磁性層30c、非磁性中間層30b、第2固定磁性層30aの3層が、一つの固定磁性層30として機能する。
【0085】
第1固定磁性層30cは第3反強磁性層31と接して形成され、磁場中アニールが施されることにより、第1固定磁性層30cと第3反強磁性層31との界面にて交換結合による交換異方性磁界が生じ、第1固定磁性層30cの磁化方向が図示Y方向と反平行方向に固定される(第1固定磁性層30cの単位面積当たりの磁気モーメント<第2固定磁性層30aの単位面積当たりの磁気モーメントの場合)。第1固定磁性層30cの磁化方向が図示Y方向と反平行方向に固定されると、非磁性中間層30bを介して対向する第2固定磁性層30aの磁化方向が、第1固定磁性層30cの磁化方向と180°異なる反平行の状態で固定される。
【0086】
このように、第1固定磁性層30cと第2固定磁性層30aの磁化方向が、反平行となるフェリ磁性状態になっていると、第1固定磁性層30cと第2固定磁性層30aとが互いに他方の磁化方向を固定しあうので、全体として固定磁性層30の磁化方向を一定方向に強力に固定することができる。
【0087】
また、第1固定磁性層30cと第2固定磁性層30aが互いに端部の表面磁荷を打ち消し合うため、固定磁性層30からフリー磁性層28に与える静磁界の影響を低減できる。
【0088】
なお固定磁性層は上記したいずれかの磁性材料を使用した1層構造あるいは上記したいずれかの磁性材料からなる層とCo層などの拡散防止層の2層構造で形成されていても良い。
【0089】
電極層32.32はW,Ta,Cr,Cu,Rh,Ir,Ru,Auなどを材料として用いて形成することができる。電極層32,32の膜厚は300Å〜1000Åである。保護層33は、Taなどの非磁性材料によって形成される。
【0090】
図1に示された磁気検出素子は、いわゆるスピンバルブ型磁気検出素子であり、固定磁性層30の磁化方向が、適正に図示Y方向に平行な方向に固定され、しかもフリー磁性層28の磁化が適正に図示X方向に揃えられており、固定磁性層30とフリー磁性層28の磁化が直交関係にある。記録媒体からの洩れ磁界が磁気検出素子の図示Y方向に侵入し、フリー磁性層28のトラック幅領域Cにおける磁化が感度良く変動し、この磁化方向の変動と、固定磁性層30の固定磁化方向との関係で電気抵抗が変化し、この電気抵抗値の変化に基づく電圧変化または電流変化により、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。
【0091】
ただし、電気抵抗値の変化(出力)に直接寄与するのは第2固定磁性層30aの磁化方向とフリー磁性層28の磁化方向の相対角であり、これらの相対角が検出電流が通電されている状態かつ信号磁界が印加されていない状態で直交していることが好ましい。
【0092】
また、図1に示された磁気検出素子は、固定磁性層30の下層にフリー磁性層28が位置するトップスピン型の磁気検出素子である。トップスピン型の磁気検出素子は、フリー磁性層28のトラック幅領域Cの下層に非磁性材料層、固定磁性層、反強磁性層がないので、フリー磁性層28の磁気特性を好ましく制御することが容易である。
【0093】
なお、磁気検出素子の記録媒体との対向面に対向する記録媒体は、図示Z方向に移動する。
【0094】
図1に示された磁気検出素子では、第1反強磁性層25、25の上に強磁性層26、26、非磁性層27,27が積層されている。
【0095】
この場合は、強磁性層26,26と第1反強磁性層25,25の間に交換異方性磁界が発生して、強磁性層26,26の磁化方向がトラック幅方向(図示X方向)に固定される。フリー磁性層28はトラック幅領域Cの両側部S,Sで、強磁性層26,26と非磁性層27,27を介したRKKY相互作用によって磁気的に結合して、フリー磁性層28が単磁区化される。図1に示される磁気検出素子では、非磁性層27,27の膜厚t1は6Å〜11Åであり、フリー磁性層28の磁化方向はトラック幅方向(図示X方向)と反平行方向を向いている。なお、フリー磁性層28の磁化は両側部S,Sで強固に固定され、トラック幅領域Cの磁化方向は外部磁界(記録媒体からの漏れ磁界)によって変化する。
【0096】
図1に示される構造を有する磁気検出素子では、強磁性層26,26の上に、Ru、Re、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Rhのいずれか1種または2種以上といった貴金属材料からなる非磁性層27,27が積層される。これらの貴金属材料は、酸化されにくい材質である。従来使用されていたTa膜は、貴金属材料に比べて酸化されやすいので好ましくない。本発明ではTa膜に代えて貴金属材料を使用することで、非磁性層27,27の膜厚が薄くても十分な酸化防止効果を発揮するため、非磁性層27,27の上層にフリー磁性層28を積層する前に、非磁性層27,27表面の酸化層を除去するために低エネルギーのイオンミリングを使用できる。または非磁性層27,27表面をイオンミリングによって削らなくてもよくなる。
【0097】
低エネルギーのイオンミリングはミリングレートが遅く、ミリング止め位置のマージンを狭くすることが可能になるので、非磁性層27,27の途中でミリングを止めることが容易になり、強磁性層26,26の受けるダメージを小さくできる。
【0098】
なお、強磁性層26,26の受けるダメージとは、例えば、イオンミリング時に使用されるArなどの不活性ガスが露出した強磁性層26,26の表面から内部に入り込むことや、強磁性層26,26の表面部分の結晶構造が壊れ、格子欠陥が発生する(Mixing効果)ことである。これらのダメージによって強磁性層26,26の表面部分の磁気特性が劣化しやすい。
【0099】
このため強磁性層26,26上に非磁性層27,27を介して積層されるフリー磁性層28との間の磁気的な結合は強くなり、強磁性層26,26の膜厚を薄く形成することができる。
【0100】
強磁性層26,26の膜厚を薄くすると第1反強磁性層25,25と強磁性層間26,26で発生する交換結合磁界が強くなり、フリー磁性層28の両側部S,Sを強固に磁化固定できるようになる。すなわち、サイドリーディングを抑え、狭トラック化に適切に対応可能な磁気検出素子を製造できる。
【0101】
また強磁性層26,26を薄くすると、強磁性層26,26の内側側面からフリー磁性層28のトラック幅領域Cに余分な静磁界が入り込むことも抑制でき、磁化反転可能なフリー磁性層28のトラック幅領域Cにおける外部磁界に対する感度の低下を防止できる。磁性層26,26の膜厚t2を5Å〜50Åに設定することができる。
【0102】
なお、低エネルギーのイオンミリングとは、ビーム電圧(加速電圧)が1000V未満のイオンビームを用いたイオンミリングであると定義される。例えば、100V〜500Vのビーム電圧が用いられる。本態では、200Vの低ビーム電圧のアルゴン(Ar)イオンビームを用いている。
【0103】
また、図1に示される本態のように、凹部21a,21a内に第1反強磁性層25,25が形成されると、多層膜T1のトラック幅領域Cと両側部S,Sに生じる段差の高さDを小さくでき、多層膜T1の磁気抵抗効果特性が安定する。
【0104】
また、第1反強磁性層25,25と下部シールド層21の間に絶縁層24,24が設けられると、センス電流の分流損失を低減できる。
【0105】
また、トラック幅領域Cの近傍における第1反強磁性層25,25の膜厚が大きい方が、サイドリーディングをより低減できる。このためには、下部シールド層21に形成された凹部21aの底面と側面のなす角θ1の範囲を90°以上120°以下にすることが好ましい。
【0106】
図1に示される磁気検出素子では、フリー磁性層28の磁化方向はトラック幅方向(図示X方向)と反平行方向を向いている。しかし、非磁性層27,27の膜厚t1を0.5Å〜6Åにすることにより、図2に示される態の磁気検出素子ように、フリー磁性層28の磁化方向を強磁性層26,26の磁化方向と平行な方向、図2ではトラック幅方向(図示X方向)に向かせることができる。なお、図2に示される磁気検出素子は、図1に示される磁気検出素子と非磁性層27,27の膜厚t1の値が異なるだけである。
【0107】
なお、図1及び図2では、第1反強磁性層25,25が埋め込まれる凹部が下部シールド層21に形成された凹部21a,21aである。ただし下部シールド層21の表面に凹部が形成されず、下部ギャップ層22がトラック幅領域Cの両側部S,Sまで延ばされて、下部ギャップ層の両側部S,Sの表面にトラック幅方向に間隔をあけて一対の凹部が形成されて、この凹部に第1反強磁性層が形成されてもよい。
【0108】
図3は、参考例の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。なお、図3ではX方向に延びる素子の中央部分のみを破断して示している。
【0109】
図3に示される磁気検出素子では、第1反強磁性層44,44が、表面が平坦面である下部シールド層41上及び下部ギャップ層42上にトラック幅方向に間隔を開けて形成されている。
【0110】
一対の第1反強磁性層44,44間のトラック幅方向(図示X方向)における最小間隔は、光学的トラック幅O−Twの間隔であり、前記第1の反強磁性層44、44の側面は傾斜面44a,44aである。また、トラック幅領域Cの近傍における第1反強磁性層44,44の膜厚が大きい方が、サイドリーディングをより低減できる。このためには、第1反強磁性層44の底面44bと傾斜面44aのなす角θ2を大きくすることが好ましい。具体的には、θ2が60°以上90°以下であることが好ましい。
【0111】
第1反強磁性層44,44上には、強磁性層45,45及び非磁性層46,46が積層されている。図3に示されるように、強磁性層45,45及び非磁性層46,46はトラック幅方向に間隔をあけて形成されている。
【0112】
非磁性層46,46上及びシード層43上には、下から順に、フリー磁性層47、非磁性材料層48、第2固定磁性層49a、非磁性中間層49b、第1固定磁性層49cからなるシンセティックフェリピンド型の固定磁性層49からなる多層膜T2、及び第3反強磁性層50が積層されている。
【0113】
第3反強磁性層50の両側部には電極層51,51がトラック幅方向に間隔をあけて形成され、電極層51,51の間には、Taからなる保護層52が形成されている。
【0114】
電極層51,51上及び保護層52上には、上部ギャップ層53、上部シールド層54が積層されている。
【0115】
下部ギャップ層42、シード層43、第1反強磁性層44,44、強磁性層45,45、非磁性層46,46、フリー磁性層47、非磁性材料層48、第2固定磁性層49a、非磁性中間層49b、第1固定磁性層49c、第3反強磁性層50、電極層51,51、保護層52、上部ギャップ層53、上部シールド層54は、それぞれ図1に示された磁気検出素子の同じ名称の層と同じ材料、同じ膜厚で形成されるので説明を省略する。
【0116】
図3に示された磁気検出素子も、固定磁性層49の磁化方向が、第3反強磁性層50との間の交換異方性磁界によって適正に図示Y方向に平行な方向または反平行な方向に固定され、しかもフリー磁性層47の磁化が適正に図示X方向に揃えられており、固定磁性層49とフリー磁性層47の磁化が直交関係にある。記録媒体からの洩れ磁界が磁気検出素子の図示Y方向に侵入し、フリー磁性層47のトラック幅領域Cにおける磁化が感度良く変動して電気抵抗値が変化することに基づく電圧変化または電流変化により、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。
【0117】
図3に示された磁気検出素子でも、第1反強磁性層44,44の上に強磁性層45,45、非磁性層46,46が積層されている。
【0118】
この場合は、強磁性層45,45と第1反強磁性層44,44の間に交換異方性磁界が発生して、強磁性層45,45の磁化方向がトラック幅方向(図示X方向)に固定される。フリー磁性層47はトラック幅領域Cの両側部S,Sで、強磁性層45,45と非磁性層46,46を介したRKKY相互作用によって磁気的に結合して、フリー磁性層47が単磁区化される。図1に示される磁気検出素子では、非磁性層46,46の膜厚t5は6Å〜11Åであり、フリー磁性層47の磁化方向はトラック幅方向(図示X方向)と反平行方向を向いている。
【0119】
なお、フリー磁性層47の磁化は両側部S,Sで強固に固定され、トラック幅領域Cの磁化方向は外部磁界(記録媒体からの漏れ磁界)によって変化する。
【0120】
図3に示される構造を有する磁気検出素子では、強磁性層45,45の上に、Ru、Re、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Rhのいずれか1種または2種以上といった貴金属材料からなる非磁性層46,46が積層される。従って、非磁性層46,46の膜厚が薄くても十分な酸化防止効果を発揮するため、非磁性層46,46の上層にフリー磁性層47を積層する前に、非磁性層46,46表面の酸化層を除去するために低エネルギーのイオンミリングを使用できる。または非磁性層46,46表面をイオンミリングによって削らなくてもよくなる。
【0121】
低エネルギーのイオンミリングはミリングレートが遅く、ミリング止め位置のマージンを狭くすることが可能になるので、非磁性層46,46の途中でミリングを止めることが容易になり、強磁性層45,45の受けるダメージを小さくできる。
【0122】
なお、強磁性層45,45の受けるダメージとは、例えば、イオンミリング時に使用されるArなどの不活性ガスが露出した強磁性層45,45の表面から内部に入り込むことや、強磁性層45,45の表面部分の結晶構造が壊れ、格子欠陥が発生する(Mixing効果)ことである。これらのダメージによって強磁性層45,45の表面部分の磁気特性が劣化しやすい。
【0123】
このため強磁性層45,45上に非磁性層46,46を介して積層されるフリー磁性層47との間の磁気的な結合は強くなり、強磁性層45,45の膜厚を薄く形成することができる。
【0124】
強磁性層45,45の膜厚を薄くすると第1反強磁性層44,44と強磁性層間26,26で発生する交換結合磁界が強くなり、フリー磁性層47の両側部S,Sを強固に磁化固定できるようになる。すなわち、サイドリーディングを抑え、狭トラック化に適切に対応可能な磁気検出素子を製造できる。
【0125】
また強磁性層45,45を薄くすると、強磁性層45,45の内側側面からフリー磁性層47のトラック幅領域Cに余分な静磁界が入り込むことも抑制でき、磁化反転可能なフリー磁性層47のトラック幅領域C外部磁界に対する感度の低下を防止できる。磁性層45,45の膜厚t4を5Å〜50Åに設定することができる。
【0126】
なお、低エネルギーのイオンミリングとは、ビーム電圧(加速電圧)が1000V未満のイオンビームを用いたイオンミリングであると定義される。例えば、150V〜500Vのビーム電圧が用いられる。本態では、200Vの低ビーム電圧のアルゴン(Ar)イオンビームを用いている。
【0127】
図3に示される磁気検出素子では、フリー磁性層47の磁化方向はトラック幅方向(図示X方向)と反平行方向を向いている。しかし、非磁性層46,46の膜厚t5を0.5Å〜6Åにすることにより、図4に示される態の磁気検出素子ように、フリー磁性層47の磁化方向を強磁性層45,45の磁化方向と平行な方向、図4ではトラック幅方向(図示X方向)に向かせることができる。なお、図4に示される磁気検出素子は、図3に示される磁気検出素子と非磁性層46,46の膜厚t5の値が異なるだけである。
【0128】
図5は、参考例の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。なお、図5ではX方向に延びる素子の中央部分のみを破断して示している。
【0129】
図5に示される磁気検出素子でも、第1反強磁性層61,61が、表面が平坦面である下部シールド層41上及び下部ギャップ層42上並びにシード層43上にトラック幅方向に間隔を開けて形成されている。
【0130】
一対の第1反強磁性層61,61間のトラック幅方向への最小間隔は光学的トラック幅O−Twの間隔であり、前記第1の反強磁性層61,61の側面は曲面61a,61aである点で図3及び図4に示された磁気検出素子と異っている。
【0131】
第1反強磁性層61,61上には、強磁性層62,62及び非磁性層63,63が積層されている。
【0132】
非磁性層63,63上及びシード層43上には、下から順に、フリー磁性層64、非磁性材料層65、第2固定磁性層66a、非磁性中間層66b、第1固定磁性層66cからなるシンセティックフェリピンド型の固定磁性層66からなる多層膜T3、及び第3反強磁性層67が積層されている。
【0133】
第3反強磁性層67の両側部には電極層68,68がトラック幅方向に間隔をあけて形成され、電極層68,68の間には、保護層69が形成されている。
【0134】
電極層68,68上及び保護層69上には、上部ギャップ層70、上部シールド層71が積層されている。
【0135】
第1反強磁性層61,61、強磁性層62,62、非磁性層63,63、フリー磁性層64、非磁性材料層65、第2固定磁性層66a、非磁性中間層66b、第1固定磁性層66c、第3反強磁性層67、電極層68,68、保護層69、上部ギャップ層70、上部シールド層71は、それぞれ図1に示された磁気検出素子の同じ名称の層と同じ材料、同じ膜厚で形成されるので説明を省略する。
【0136】
図5に示された磁気検出素子も、固定磁性層66の磁化方向が、第3反強磁性層67との間の交換異方性磁界によって適正に図示Y方向に平行な方向または反平行な方向に固定され、しかもフリー磁性層64の磁化が適正に図示X方向に揃えられており、固定磁性層66とフリー磁性層64の磁化が直交関係にある。記録媒体からの洩れ磁界が磁気検出素子の図示Y方向に侵入し、フリー磁性層64のトラック幅領域Cにおける磁化が感度良く変動して電気抵抗値が変化することに基づく電圧変化または電流変化により、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。
【0137】
図5に示された磁気検出素子でも、第1反強磁性層61,61の上に強磁性層62,62、非磁性層63,63が積層されている。
【0138】
この場合は、強磁性層62,62と第1反強磁性層61,61の間に交換異方性磁界が発生して、強磁性層62,62の磁化方向がトラック幅方向(図示X方向)に固定される。フリー磁性層64はトラック幅領域Cの両側部S,Sで、強磁性層62,62と非磁性層63,63を介したRKKY相互作用によって磁気的に結合して、フリー磁性層64が単磁区化される。図5に示される磁気検出素子では、非磁性層63,63の膜厚t6は6Å〜11Åであり、フリー磁性層64の磁化方向はトラック幅方向(図示X方向)と反平行方向を向いている。
【0139】
図5に示される構造を有する磁気検出素子では、強磁性層62,62の上に、Ru、Re、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Rhのいずれか1種または2種以上といった貴金属材料からなる非磁性層63,63が積層される。従って、非磁性層63,63の膜厚が薄くても十分な酸化防止効果を発揮するため、非磁性層63,63の上層にフリー磁性層64を積層する前に、非磁性層63,63表面の酸化層を除去するために低エネルギーのイオンミリングを使用できる。または非磁性層63,63表面をイオンミリングによって削らなくてもよくなる。
【0140】
従って、図3に示される磁気検出素子と同様に、強磁性層62,62の膜厚を薄く形成することができ、サイドリーディングを抑え、狭トラック化に適切に対応可能な磁気検出素子を製造できる。
【0141】
また、強磁性層62,62の内側側面からフリー磁性層64のトラック幅領域Cに余分な静磁界が入り込むことも抑制でき、磁化反転可能なフリー磁性層64のトラック幅領域Cにおける外部磁界に対する感度の低下を防止できる。磁性層62,62の膜厚を5Å〜50Åに設定することができる。
【0142】
図5に示される磁気検出素子でも、非磁性層63,63の膜厚を調節することによりフリー磁性層64の磁化方向をトラック幅方向(図示X方向)と反平行方向にするか、強磁性層62,62の磁化方向と平行な方向にするかを規定できる。
【0143】
なお、図3及び図4と、図5に示される磁気検出素子の第1反強磁性層の形状の違いは後述するそれぞれの磁気検出素子の製造方法の違いに由来するものである。
【0144】
図6は、参考例の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。なお、図6ではX方向に延びる素子の中央部分のみを破断して示している。
【0145】
図6に示される磁気検出素子は、図1に示される磁気検出素子とほとんど同じ構造であり、第1反強磁性層25,25上に積層された強磁性層26、非磁性層27の上に、さらに、強磁性層81、非磁性層82が積層されている点で図1に示される磁気検出素子と異なっている。
【0146】
すなわち、非磁性層82,82と第1反強磁性層25,25の間に、複数の強磁性層81、26が非磁性中間層27を介して積層されている。なお、強磁性層81の膜厚及び材料は強磁性層26と同じであり、非磁性層82の膜厚及び材料は非磁性層27と同じである。このような構成であると、強磁性層81と強磁性層26が人工フェリ状態になり、フリー磁性層28の両側部S,Sを図1に示される磁気検出素子より強固に磁化固定できる。また、強磁性層26と強磁性層81の合成の磁化を極めて小さくでき、強磁性層からのトラック幅領域Cへの静磁界の悪影響を抑えることができる。
【0147】
図6では、強磁性層26と強磁性層81の磁化方向は反平行方向を向き、強磁性層81とフリー磁性層28の磁化方向も反平行方向を向いている。従って、強磁性層26とフリー磁性層28の磁化方向は平行方向を向いている。
【0148】
なお、強磁性層26と強磁性層81の磁化方向の関係は、非磁性層27の膜厚を調節することにより、平行方向にすることもできる。また、強磁性層81とフリー磁性層28の磁化方向の関係は、非磁性層82の膜厚を調節することにより平行方向にすることもできる。
【0149】
図7は、本発明における施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。なお、図7ではX方向に延びる素子の中央部分のみを破断して示している。
【0150】
図7に示される磁気検出素子では、非磁性層27,27とフリー磁性層28の間に第2反強磁性層90が積層されている。第2反強磁性層90の材料は、第1反強磁性層25と同じである。そして、非磁性層27,27と第1反強磁性層25,25の間に強磁性層が積層されていない。後述する磁気検出素子の製造方法を用いることにより、非磁性層27,27と第1反強磁性層25,25の間に強磁性層が積層されない図7に示されるような磁気検出素子を形成することができる。
【0151】
なお、第2反強磁性層90と第1反強磁性層25の間の非磁性層27の膜厚は3Å以下であることが好ましい。あるいは、非磁性層27が存在せず、第2反強磁性層90の両側部S,Sと第1反強磁性層25,25が直接接していてもよい。これにより、第2反強磁性層90と第1反強磁性層25の間に反強磁性的な相互作用を生じさせ、第2反強磁性層90と第1反強磁性層25とを一体の反強磁性層のようにでき、第2反強磁性層90とフリー磁性層28の両側部S.S間に交換異方性磁界を発生させて、フリー磁性層28の両側部S,Sの磁化を適切にトラック幅方向に固定することが可能になる。
【0152】
また、第2反強磁性層90の膜厚が10Å以上で50Å以下であると、第2反強磁性層90をフリー磁性層28のトラック幅領域Cに重ねて形成した場合でも、第2反強磁性層90は第1反強磁性層25と重なるトラック幅領域Cの両側部S,Sでのみ反強磁性を有し、トラック幅領域Cでは非反強磁性の性質を有するので、フリー磁性層28の磁化方向の変化を妨げないようにできる。
なお、第2反強磁性層90の膜厚が30Å以上で40Å以下であるとより好ましい。
【0153】
図8及び図9は、本発明における施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。なお、図8及び図9ではX方向に延びる素子の中央部分のみを破断して示している。
【0154】
図8に示される磁気検出素子では、非磁性層46,46とフリー磁性層47の間に第2反強磁性層91が積層されている。図9に示される磁気検出素子では、非磁性層63,63とフリー磁性層64の間に第2反強磁性層92が積層されている。第2反強磁性層91及び第2反強磁性層92の材料は、それぞれ第1反強磁性層44及び第1反強磁性層61の材料と同じである。そして、非磁性層46,46と第1反強磁性層44,44の間、及び非磁性層63,63と第1反強磁性層61,61の間に強磁性層が積層されていない。後述する磁気検出素子の製造方法を用いることにより、図8及び図9に示されるような磁気検出素子を形成することができる。
【0155】
なお、非磁性層46及び非磁性層63の膜厚は3Å以下であることが好ましい。あるいは、非磁性層46及び非磁性層63が存在せず、第2反強磁性層91の両側部S,Sと第1反強磁性層44,44または第2反強磁性層92の両側部S,Sと第1反強磁性層61,61が直接接していてもよい。これにより、第2反強磁性層91と第1反強磁性層44の間及び第2反強磁性層92と第1反強磁性層61に反強磁性的な相互作用を生じさせ、第2反強磁性層91と第1反強磁性層44を、また第2反強磁性層92と第1反強磁性層61とを一体の反強磁性層のようにでき、フリー磁性層47及びフリー磁性層64の両側部S,Sの磁化を交換異方性磁界によって適切にトラック幅方向に固定することが可能になる。
【0156】
また、第2反強磁性層91及び第2反強磁性層92の膜厚が10Å以上で50Å以下であると、第2反強磁性層91をフリー磁性層47のトラック幅領域Cに、第2反強磁性層92をフリー磁性層64のトラック幅領域Cに重ねて形成した場合でも、第2反強磁性層91及び第2反強磁性層92は第1反強磁性層44及び第1反強磁性層61と重なる両側部S,Sでのみ反強磁性を有し、トラック幅領域Cでは非反強磁性の性質を有するので、フリー磁性層47及びフリー磁性層64の磁化方向の変化を妨げないようにできる。
【0157】
なお、第2反強磁性層91及び第2反強磁性層92の膜厚が30Å以上で40Å以下であるとより好ましい。
【0158】
図1から図9に示される磁気検出素子では、電極層32,51、68は保護層33、52、69を成膜して第2の磁場中アニールを行い固定磁性層30、49、66の磁化方向を固定した後、保護層33、52、69のトラック幅領域Cの上をリフトオフ用のレジストでマスクした上で導電性材料をスパッタ成膜することによって形成されている。従って、電極層32,51、68のトラック幅領域Cに対向する側面は曲面形状をとりやすい。
【0159】
電極層の形成の方法には、そのほかに、第3反強磁性層31、50、67を成膜した後、第3反強磁性層31、50、67の上全面に導電性材料を真空中で連続成膜し、トラック幅領域をエッチングによって除去するという方法がある。
【0160】
図10に示される磁気検出素子はこの方法で作られた電極層93,93を有するものである。
【0161】
図10の磁気検出素子では、第3の反強磁性層31のトラック幅領域Cの両側部S,Sの上面が削られることがない。また、電極層93,93のトラック幅領域に対向する側面93a,93aは、第3反強磁性層31の上面に対する角度が大きい直線状の傾斜面になりやすく、トラック幅領域Cの近傍の電極層93,93の膜厚を厚くすることが容易になる。
【0162】
図11は、参考例の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。なお、図11ではX方向に延びる素子の中央部分のみを破断して示している。
【0163】
図11に示す磁気検出素子は図10に示す磁気検出素子を改良したものであり、図10と同じ符号が付けられている層は図10と同じ層を示している。
【0164】
図10と図11とでは特に第3反強磁性層31の形態が異なっている。図10では前記第3反強磁性層31は前記固定磁性層30の上全面に形成されていたが、図11では、前記第3反強磁性層31が、トラック幅方向(図示X方向)に所定間隔を空けた間欠部Eを介して、前記第1固定磁性層30cの両側端部30c1上に接して形成されている。
【0165】
図11に示すように、前記第3反強磁性層31の上にはCrなどで形成されたストッパ層100が形成され、前記ストッパ層100の上にはTaなどで形成された保護層101が形成されている。そして前記保護層101上には例えばAu、Pd、Cr、Rh、Ru、Ta、Wなどの非磁性導電材料で形成された電極層93が形成され、さらに前記電極層93上にTaなどで形成された保護層102が形成されている。
【0166】
図11に示すように前記保護層102上から、前記第3反強磁性層31、ストッパ層100、保護層101,102、電極層93の内側端面、及び前記間欠部E内から露出する第1固定磁性層30c上にかけて上部ギャップ層34が形成され、前記上部ギャップ層34上に上部シールド層35が形成されている。
【0167】
図11に示す態では、前記固定磁性層30が、第3反強磁性層31と接する側の第1固定磁性層30cと、前記第1固定磁性層30cと膜厚方向で対向する第2固定磁性層30aと、前記第1固定磁性層30cと第2固定磁性層30a間に介在する非磁性中間層30bとの3層構造で構成されている。前記第1固定磁性層30cと第2固定磁性層30a間にはRKKY相互作用による反平行結合磁界が生じるため、両磁性層30c、30aの磁化は反平行状態になっている。
【0168】
前記第3反強磁性層31は、前記第1固定磁性層30cの両側端部30c1上にのみ設けられ、前記第1固定磁性層30cの中央部30c2上には設けられていない。このため交換結合磁界は前記第1固定磁性層30cの両側端部30c1との間でのみ生じ、前記第1固定磁性層30cの中央部30c2との間には生じていない。したがって前記第1固定磁性層30c及び第2固定磁性層30aの両側端部30c1、30a1の磁化は前記交換結合磁界とRKKY相互作用等により反平行状態を保ちながらハイト方向(図示Y方向)と平行な方向に固定されている。
【0169】
一方、前記第1固定磁性層30c及び第2固定磁性層30aの中央部30c2、30a2では前記交換結合磁界が得られないが、前記中央部30c2、30a2では各磁性層内部の交換相互作用により媒介されたバイアス磁界や上記したRKKY相互作用によって反平行状態を保ってハイト方向(図示Y方向)と平行な方向に固定され、図11に示す態であれば、前記固定磁性層30の磁化固定を適切に行うことが可能である。
【0170】
すなわち図11のように固定磁性層30上に設けられた第3反強磁性層31は、前記固定磁性層30のトラック幅方向における両側端部上に設けられ、この両側端部でのみ交換結合磁界が生じるが、前記第3反強磁性層31の構造に対して、前記固定磁性層30を人工フェリ構造にすることで、前記固定磁性層30全体の磁化を適切にハイト方向に磁化固定できるのである。
【0171】
そして図11に示す構造の磁気検出素子であれば前記固定磁性層30の磁化を確実に固定できる上、以下のような効果を期待できる。まず前記第1固定磁性層30cの中央部30c2上には前記第3反強磁性層31が設けられていないので、前記電極層93から主に非磁性材料層29を中心として流れるセンス電流が、前記第3反強磁性層31に分流することが少なくなり、分流ロスを軽減できる結果、再生出力の向上を図ることが可能である。
【0172】
また前記第1固定磁性層30cの中央部30c2上に前記第3反強磁性層31を設けないことで、素子中央部でのシールド層21、35の膜厚方向(図示Z方向)への間隔は狭まり、いわゆる狭ギャップ化を図ることが可能である。フリー磁性層28の中央部28aが再生感度を持つ領域であるから、素子中央部でのギャップ長を短くできれば、再生波形のパルス幅(PW50)の広がりや分解能の低下を適切に防止でき、今後の高記録密度化に適切に対応可能な磁気検出素子を製造することが可能である。
【0173】
さらに前記第1固定磁性層30cの中央部30c2上に前記第3反強磁性層31を設けないことで、前記固定磁性層30の素子中央部での磁気的な静電破壊(soft ESD)は起こりにくくなる。従来では、前記第3反強磁性層は固定磁性層上全体に設けられていたから、前記第3反強磁性層のブロッキング温度を超える高い熱の発生等により、交換結合磁界が弱まり素子中央部での固定磁性層の磁化固定状態が崩れて再生特性の劣化を招いたが、図11のように第1固定磁性層30cの中央部30c2上に前記第3反強磁性層31を設けなければ、そもそも固定磁性層30の中央部にて前記第3反強磁性層31のブロッキング温度と発熱との温度関係等を気にする必要がなく、上記した静電破壊の発生を未然に防ぐことができる。
【0174】
また両側端部の反強磁性層31には比抵抗が小さく厚い膜厚の電極層93が重ねられているとともに両側端部におけるハイト方向の寸法を、中央部における磁気検出素子のハイト方向への寸法に比べて大きくすることができるために両側端部の電流密度は中央部に比べてはるかに低く、そのためジュール熱による温度上昇ははるかに小さく、よって前記両側端部で静電破壊は元々起こりにくい構造となっている。
【0175】
このように、図11に示す磁気検出素子の構造では、固定磁性層30の磁化を適切にハイト方向に磁化固定できるとともに、再生出力の向上や狭ギャップ化及び静電破壊の抑制をも図ることができ、今後の更なる高記録密度化に適切に対応可能な磁気検出素子を提供することができる。
【0176】
また図11に示す磁気検出素子では、前記第1反強磁性層25間のトラック幅方向における最小間隔はWf1である(図11の態では前記最小幅寸法Wf1は光学的トラック幅O−Twと同じ寸法である)。
【0177】
また前記第3反強磁性層31間に形成された間欠部Eはトラック幅方向に最小寸法WPで形成される。
【0178】
そして図11に示す態では、前記最小幅寸法Wf1は最小寸法WPと同じかあるいはそれよりも小さくなっている。このように最小幅寸法Wf1を最小寸法WPと同じかあるいはそれよりも小さくすることで、フリー磁性層28の中央部28aは確実にシールド層21、35の膜厚方向への間隔(いわゆるギャップ長)が最も狭い間に位置し、再生パルス幅(PW50)の広がりや分解能の低下を抑制できる。前記フリー磁性層28の中央部28aは再生感度に優れた部分で、この部分が実質的に磁気抵抗効果に寄与する部分であるから、前記フリー磁性層28の中央部28aの上下に設けられるシールド層21、35の間隔が最も狭くなるようにして、余分な外部磁界が前記中央部28a内に入り込まないようにすることが必要である。
【0179】
なお前記第3反強磁性層31間の最小寸法WPは0.3μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.2μm以下である。前記最小寸法WPを狭くすることで固定磁性層30の一方向性交換バイアス磁界を大きくでき、さらに再生出力を大きくできることがわかった。前記最小寸法WPを狭くするほど、前記第1固定磁性層30cと第2固定磁性層30aの磁化を効果的に反平行状態に磁化固定できるからである。
【0180】
次に前記固定磁性層30を構成する第1固定磁性層30cと第2固定磁性層30aの単位面積当たりの磁気モーメントについて説明する。
【0181】
前記第2固定磁性層30aの単位面積当たりの磁気モーメント(飽和磁化Ms×膜厚t)から第1固定磁性層30cの単位面積当たりの磁気モーメントを引いた単位面積当たりの合成磁気モーメントは−6(T・nm)以上で2.6(T・nm)以下の範囲内であると、第3反強磁性層31が上に形成されていない前記固定磁性層30の素子中央部がトラック幅方向の外部磁界に対し回転せず、回転してもcos≧0.8となる角度θに抑えることができる。
【0182】
なおより好ましくは、前記合成磁気モーメントは0(T.nm)より大きく2.6(T.nm)以下であり、前記固定磁性層30のスピンフロップ磁界を大きくでき、前記固定磁性層30を磁化制御する際の前記磁場中アニール時の磁場強度のマージンを広く取ることが可能になり、前記固定磁性層30の第1固定磁性層30cと第2固定磁性層30aを適切にハイト方向と平行な方向であって且つ反平行に磁化固定しやすい。
【0183】
なお前記第2固定磁性層30aの膜厚から第1固定磁性層30cの膜厚を引いた膜厚差は−30Å以上で30Å以下の範囲内であることが好ましい。これにより第3反強磁性層31が上に形成されていない前記固定磁性層30の素子中央部がトラック幅方向の外部磁界に対して回転せず、回転してもcos≧0.8となる角度θに抑えることができる。また前記膜厚差は0Å以上で30Å以下の範囲内であることがより好ましく、前記固定磁性層30のスピンフロップ磁界を大きくでき、前記固定磁性層30を磁化制御する際の前記磁場中アニール時の磁場強度のマージンを広く取ることが可能になる。
【0184】
次に図11に示す態では、前記第3反強磁性層31の上に電極層93が設けられ、前記電極層93から、固定磁性層30、非磁性材料層29及びフリー磁性層28の多層膜T1へ向けて流れるセンス電流は各層を膜面と平行な方向(図示X方向)に流れる。このとき前記センス電流を流すことによって形成されるセンス電流磁界の向きは、前記固定磁性層30を構成する第1固定磁性層30cと第2固定磁性層30aとの合成磁気モーメントの向きと一致していることが前記固定磁性層30の磁化固定をさらに強固なものにできて好ましい。
【0185】
なお前記第3反強磁性層31は前記第1固定磁性層30cの両側端部30c1との間に交換結合磁界を発生させるために、磁場中で熱処理が施される。前記第3反強磁性層31は熱処理前ではその結晶構造が不規則格子であるが、熱処理後では少なくとも一部の結晶構造が規則格子となる。例えばX―Mn合金では、前記熱処理前は結晶構造がX原子、Mn原子の配列が不規則な面心立方格子であるが、前記熱処理後では少なくとも一部において、X原子、Mn原子の配列が規則的になり、L10型(CuAuI型)の面心立方格子の結晶構造に変態する。
【0186】
一方、前記第3反強磁性層31間に形成された欠陥部Eには、前記第3反強磁性層31と同じ組成の材料層が形成されてもよい。ただしかかる場合、前記材料層は50Åよりも薄い膜厚であることが好ましく、これにより上記した磁場中熱処理を施しても前記材料層の結晶構造は不規則格子のままで規則格子に変態せず、前記材料層と前記第1固定磁性層30cの中央部30c2間で交換結合磁界は生じない。そしてかかる場合でも前記固定磁性層30の磁化固定を可能にするとともに、適切に再生出力を向上でき、狭ギャップ化を図ることができ、及び静電破壊に強い磁気検出素子を製造することができる。
【0187】
なお図11に示す第3反強磁性層31の形態は、図11とフリー磁性層28下の形態が異なる図2ないし図9においても適用することができる。
【0188】
ところで図1ないし図11に示す磁気検出素子は、電極層32,51、68、93から多層膜T1、T2、T3内に流れる電流が、多層膜T1、T2、T3内を各層の膜面に対して平行な方向に流れるCIP(current in the plane)型の磁気検出素子と呼ばれる構造である。
【0189】
一方、本形態の磁気検出素子には、多層膜T1、T2、T3の上下に電極層が設けられ、前記電極層から多層膜T1、T2、T3内に流れる電流が、多層膜T1、T2、T3の各層の膜面に対し垂直方向に流れるCPP(current perpendicular to the plane)型と呼ばれる構造のものも含まれる。
【0190】
図12は、図1に示された磁気検出素子と同じ積層構造を有するCPP型の磁気検出素子を示す図であり、図13は図3に示された磁気検出素子と同じ積層構造を有するCPP型の磁気検出素子を示す図である。
【0191】
図12に示される磁気検出素子が図1に示される磁気検出素子と異なる点は以下に示す2点である。すなわち、下部ギャップ層22が形成されずに、下部シールド層21がシード層23を介して多層膜T1と導通しており、この下部シールド層21が電極層を兼ねていることと、第3反強磁性層31の上にトラック幅方向に間隔を開けて一対の絶縁層94,94が積層されたその上に上部ギャップ層を介さずに上部シールド層95が積層されて、この上部シールド層が電極層を兼ねている点である。
【0192】
同様に、図13に示される磁気検出素子が図3に示される磁気検出素子と異なる点は以下に示す3点である。すなわち、下部ギャップ層42が形成されずに、下部シールド層41がシード層43を介して多層膜T2と導通しており、この下部シールド層41が電極層を兼ねている点。シード43と第1反強磁性層44,44の間にトラック幅方向に間隔をあけて絶縁層96,96が形成されている点。第3反強磁性層50の上にトラック幅方向に間隔を開けて一対の絶縁層97,97が積層されたその上に上部ギャップ層を介さずに上部シールド層98が積層されて、この上部シールド層98が電極層を兼ねている点である。
【0193】
絶縁層96、絶縁層97は、例えばAl23、SiO2、AlN、Ta25、TiO2、Al−Si−Oなどの絶縁材料で形成される。
【0194】
このように図12及び図13に示す磁気検出素子では多層膜T1またはT2の上下に電極を兼ねた下部シールド層21及び上部シールド層95または下部シールド層41及び上部シールド層98が設けられ、下部シールド層21及び上部シールド層95間または下部シールド層41及び上部シールド層98間に流れる電流は、多層膜T1またはT2内を膜面に対し垂直な方向に流れるようになっている。
【0195】
図12に示す磁気検出素子では、第1反強磁性層25,25の下面及び側面が絶縁層24,24によって覆われ、第3反強磁性層の両側部S,S上が絶縁層94、94に覆われている。また、図13に示す磁気検出素子では、第1反強磁性層44,44の下面が絶縁層96,96によって覆われ、第3反強磁性層97,97の両側部S,S上が絶縁層97、97に覆われている。従って、下部シールド層21及び上部シールド層95間または下部シールド層41及び上部シールド層98間に流れる電流は、第1反強磁性層25,25及び第3反強磁性層31または第1反強磁性層44,44及び第3反強磁性層50等に分流することを抑制される。
【0196】
よって図12及び図13に示す構造の磁気検出素子であれば、電流経路がトラック幅Twから広がるのを抑制でき再生出力の大きいCPP型の磁気検出素子を製造することが可能になる。
【0197】
なお、図12の磁気検出素子の光学的トラック幅O−Twは、第1反強磁性層25,25のトラック幅方向の最小間隔、絶縁層24、24のトラック幅方向の最小間隔、絶縁層94、94のトラック幅方向の最小間隔のうち、もっとも狭い間隔になる。図13の磁気検出素子の光学的トラック幅O−Twも同様にして決められる。
【0198】
なお、絶縁層24,24及び絶縁層94,94はどちらか一方だけが形成されていてもよい。また、図12の磁気検出素子から、絶縁層24,24及び絶縁層94,94の両方が除かれた磁気検出素子でも、CPP型の磁気検出素子として機能することはできる。また、図13に示される磁気検出素子において、絶縁層96,96及び絶縁層97,97のいずれか一方または両方が除かれても、CPP型の磁気検出素子として機能することはできる。
【0199】
また、上部シールド層95と第3反強磁性層31の間、上部シールド層98と第3反強磁性層50間に非磁性導電性層が形成されてもよい。
【0200】
また、シード層23、43が形成されず、フリー磁性層28と下部シールド層21またはフリー磁性層47と下部シールド層41が直接接してもよい。ただし、その場合はフリー磁性層47と下部シールド層41を磁気的に分離する必要があり、下部シールド層41とフリー磁性層27との間に非磁性導電層が形成されていることが好ましい。
【0201】
CPP型の磁気検出素子は、光学トラック幅Twを0.1μm以下、特に0.06μm以下にして、200Gbit/in2以上の記録密度に対応することが容易にできる。
【0202】
なお、非磁性材料層29、または非磁性材料層48がAl23やSiO2などの絶縁材料で形成されてもよい。この磁気検出素子はトンネル型磁気抵抗効果型素子と呼ばれる構造である。
【0203】
トンネル型磁気抵抗効果型素子は、トンネル効果を利用して抵抗変化を生じさせるものであり、第2固定磁性層30aとフリー磁性層28または第2固定磁性層49aとフリー磁性層47との磁化が反平行のとき、最も非磁性材料層29または非磁性材料層48を介してトンネル電流が流れにくくなって、抵抗値は最大になる。一方、第2固定磁性層30aとフリー磁性層28または第2固定磁性層49aとフリー磁性層47との磁化が平行のとき、最もトンネル電流は流れ易くなり抵抗値は最小になる。
【0204】
この原理を利用し、外部磁界の影響を受けてフリー磁性層28またはフリー磁性層47の磁化が変動することにより、変化する電気抵抗を電圧変化または電流変化としてとらえ、記録媒体からの洩れ磁界が検出されるようになっている。
【0205】
図1ないし図13では、フリー磁性層28、47、64は磁性材料の単層で形成されている。磁性材料としてはNiFe合金、CoFe合金、CoFeNi合金、Co、CoNi合金などを選択できる。このうち特にフリー磁性層28をCoFeNi合金で形成することが好ましい。
【0206】
また、フリー磁性層28、47、64は2層構造で、非磁性材料層と接する側の層が、CoFeやCoなどの拡散防止層となっているものであってもよい。
【0207】
図14は、図1の磁気検出素子のフリー磁性層28の部分を中心に図示した部分拡大断面図である。断面は記録媒体との対向面側から見ている。
【0208】
図14に示す形態ではフリー磁性層28は3層構造である。フリー磁性層28を構成する符号201、202、203の各層はすべて磁性材料の層であり、磁性材料層203は、非磁性材料層29との間で元素の拡散を防止するための拡散防止層である。磁性材料層203はCoFeやCoなどで形成される。
【0209】
磁性材料層201は、非磁性層27及びシード層23と接して形成されている(図14ではシード層23と接している部分のみ図示している)。磁性材料層201は、CoFe合金で形成されることが好ましい。
【0210】
図14に示す3層構造の材質の組合わせとしては、例えば磁性材料層201:CoFe/磁性材料層202:NiFe/磁性材料層203:CoFeを提示できる。
【0211】
図15は、フリー磁性層28の別の実施形態を示す部分拡大断面図である。図15に示すフリー磁性層28は積層フェリ構造と呼ばれる構造である。これによりフリー磁性層28の物理的な厚みを極端に薄くすることなしに、磁気的な実効的フリー磁性層の膜厚を薄くでき、外部磁界に対する感度を向上させることができる。
【0212】
符号205、207の層は磁性層であり、符号206の層は非磁性中間層である。磁性層205および磁性層207は、例えばNiFe合金、CoFe合金、CoFeNi合金、Co、CoNi合金などの磁性材料で形成される。このうち特に磁性層205及び/または磁性層207は、CoFeNi合金で形成されることが好ましい。組成比としては、Feが9at%以上で17at%以下、Niが0.5at%以上で10at%以下、残りがCoのat%であることが好ましい。
【0213】
これにより磁性層205、207間に働くRKKY相互作用による結合磁界を大きくできる。具体的にはスピンフロップ磁界(Hsf)を約293(kA/m)以上にできる。以上により、磁性層205と磁性層207との磁化を適切に反平行状態にできる。また上記した組成範囲内であると、フリー磁性層28の磁歪を−3×10-6から3×10-6の範囲内に収めることができ、また保磁力を790(A/m)以下に小さくできる。
【0214】
さらに、フリー磁性層28の軟磁気特性の向上、非磁性材料層29へのNiの拡散による抵抗変化量(ΔR)や抵抗変化率(ΔR/R)の低減の抑制を適切に図ることが可能である。
【0215】
また非磁性中間層206は、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種または2種以上で形成されることが好ましい。
【0216】
磁性層207の膜厚は例えば35Å程度で、非磁性中間層206は例えば9Å程度で、磁性層205の膜厚は例えば15Å程度で形成される。
【0217】
また磁性層207と非磁性材料層29との間には、CoFe合金やCoで形成された拡散防止層が設けられていてもよい。
【0218】
かかる場合、磁性層205及び/または磁性層207がCoFeNi合金で形成されるとき、CoFeNi合金のFeの組成比は7原子%以上で15原子%以下で、Niの組成比は5原子%以上で15原子%以下で、残りの組成比はCoであることが好ましい。
【0219】
これにより磁性層205、207間で発生するRKKY相互作用における交換結合磁界を強くすることができる。具体的には、スピンフロップ磁界(Hsf)を約293(kA/m)にまで大きくすることができる。よって磁性層205、207の磁化を適切に反平行状態にすることができる。
【0220】
また上記した組成範囲内であると、フリー磁性層28の磁歪を−3×10-6から3×10-6の範囲内に収めることができ、また保磁力を790(A/m)以下に小さくできる。さらに、フリー磁性層28の軟磁気特性の向上を図ることができる。
【0221】
図16は本発明におけるフリー磁性層28の別の形態を示す部分拡大断面図である。図16に示すフリー磁性層28には、磁性層210、212間にスペキュラー膜211が形成されている。スペキュラー膜211には、図16に示すように欠陥部(ピンホール)Gが形成されていてもよい。また図16に示す実施形態ではスペキュラー膜(鏡面反射層)211を挟んだ磁性層210及び磁性層212は同じ方向(矢印方向)に磁化されている。
【0222】
磁性層210、212にはNiFe合金、CoFe合金、CoFeNi合金、Co、CoNi合金などの磁性材料が使用される。
【0223】
図16のようにスペキュラー膜211がフリー磁性層28内に形成されているとスペキュラー膜211に達した伝導電子(例えばアップスピンを持つ伝導電子)は、そこでスピン状態(エネルギー、量子状態など)を保持したまま鏡面反射する。そして鏡面反射したアップスピンを持つ伝導電子は、移動向きを変えてフリー磁性層内を通り抜けることが可能になる。
【0224】
このため本発明では、スペキュラー膜211を設けることで、アップスピンを持つ伝導電子の平均自由行程λ+を従来に比べて伸ばすことが可能になり、よってアップスピンを持つ伝導電子の平均自由行程λ+と、ダウンスピンを持つ伝導電子の平均自由行程λ-との差を大きくすることができ、従って抵抗変化率(ΔR/R)の向上とともに、再生出力の向上を図ることが可能になる。
【0225】
スペキュラー膜211の形成は、例えば磁性層210までを成膜し、磁性層210表面を酸化する。この酸化層をスペキュラー膜211として機能させることができる。そしてスペキュラー膜211上に磁性層212を成膜する。
【0226】
スペキュラー膜211の材質としては、Fe−O、Ni−O、Co−O、Co−Fe−O、Co−Fe−Ni−O、Al−O、Al−Q−O(ここでQはB、Si、N、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選択される1種以上)、R−O(ここでRはCu、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上)の酸化物、Al−N、Al−Q−N(ここでQはB、Si、O、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選択される1種以上)、R−N(ここでRはTi、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上)の窒化物、半金属ホイッスラー合金などを提示できる。
【0227】
スペキュラー膜211をスパッタ成膜するときは、例えば磁気検出素子が形成される基板の温度を0〜100℃とし、前記基板とスペキュラー膜211の材料のターゲット間の距離を100〜300mmとし、Arガス圧を10-5〜10-3Torr(1.3×10-3〜0.13Pa)とする。
【0228】
図17は本発明におけるフリー磁性層28の別の形態を示す部分拡大断面図である。
図17に示すフリー磁性層28は、強磁性層216の非磁性材料層29と接する面と反対側の面に対向してバックド層215が形成されている。バックド層215は例えばCu、Au、Cr、Ruなどで形成される。強磁性層216はNiFe合金、CoFe合金、CoFeNi合金、Co、CoNi合金などの磁性材料で形成される。
【0229】
バックド層215が形成されることによって、磁気抵抗効果に寄与するアップスピンの伝導電子(上向きスピン:up spin)における平均自由行程(mean free path)を延ばし、いわゆるスピンフィルター効果(spin filter effect)によりスピンバルブ型磁気素子において、大きな抵抗変化率が得られ、高記録密度化に対応できるものとなる。
【0230】
図14から図17に示されたフリー磁性層の構造は、図2から図13に示された磁気検出素子のフリー磁性層の構造として用いることも可能である。
【0231】
なお、上述した態の磁気検出素子において、固定磁性層30、49、66が単層の強磁性材料層として形成されてもよい。
【0232】
図1に示された磁気検出素子の製造方法を説明する。図18から図24は図1の磁気検出素子の製造工程を示す製造方法を示す工程図であり、各工程は記録媒体との対向面側から見た部分断面図で示されている。なお、図18から図24において、図1の各層と同一の符号をつけられた層は、同一の材料で作られている。
【0233】
図18に示される工程では、図示しない基板上に下部シールド層21、下部ギャップ層22、シード層23をベタ膜状に成膜し、さらにシード層23のトラック幅領域C上を覆うリフトオフ用のレジストR1を形成している。
【0234】
次に、イオンミリングによってシード層23、下部ギャップ層22及び下部シールド層21の両側部S,Sを図18に示される点線に沿って削り、下部シールド層21に凹部を形成する。下部シールド層21に形成される凹部の側面と底面のなす角θ1は90°より大きく120°以下であることが好ましい。
【0235】
なお、図18工程におけるイオンミリングの入射角度は、シード層の表面に対して、例えば70°〜90°である。
【0236】
次に、図19工程では、レジスト層R1をシード層23上に残したまま、下部シールド層21に形成された凹部21a,21a内に絶縁層24,24、第1反強磁性層25,25、強磁性層26,26、非磁性層27,27をスパッタ法によって連続成膜する。スパッタ法には、イオンビームスパッタ法、ロングスロースパッタ法、あるいはコリメーションスパッタ法のいずれか1種以上が使える。
【0237】
なお、絶縁層24,24成膜時のスパッタ入射角度は、シード層23の表面(または前記基板の表面)に対して、例えば30°〜70°であり、第1反強磁性層25,25成膜時のスパッタ入射角度は、シード層23の表面(または前記基板の表面)に対して、例えば50°〜90°である。強磁性層26,26成膜時のスパッタ入射角度は、シード層23の表面(または前記基板の表面)に対して、例えば50°〜90°であり、非磁性層27,27成膜時のスパッタ入射角度は、シード層23の表面(または前記基板の表面)に対して、例えば50°〜90°である。
【0238】
また、絶縁層24,24の膜厚は50Å〜300Å、第1反強磁性層25,25の膜厚は80Å〜300Å、強磁性層26,26の膜厚は5Å〜50Å、非磁性層27,27の膜厚は3Å〜15Åである。
【0239】
非磁性層27の成膜後に、レジスト層R1を除去し、その後第1の磁場中アニールを行う。トラック幅方向(図示X方向)方向に第1の磁界を印加しつつ、第1の熱処理温度で熱処理し、第1反強磁性層25と強磁性層26との間に交換結合磁界を発生させて、強磁性層26の磁化を図示X方向に固定する。なお例えば第1の熱処理温度を270℃とし、磁界の大きさを800k(A/m)とする。
【0240】
また上記した第1の磁場中アニールによって、非磁性層27を構成するRuなどの貴金属元素が、強磁性層26内部に拡散するものと考えられる。従って熱処理後における強磁性層26の表面近くの構成元素は、強磁性層を構成する元素と貴金属元素とから構成される。また強磁性層26内部に拡散した貴金属元素は、強磁性層26の下面側よりも強磁性層26の表面側の方が多く、拡散した貴金属元素の組成比は、強磁性層26の表面から下面に向うに従って徐々に減るものと考えられる。このような組成変調は、SIMS分析装置など薄膜の化学組成を分析する装置で確認することが可能である。
【0241】
次に図20工程において、シード層23の表面及び非磁性層27表面の酸化された部分を、図20に示す矢印H方向からのイオンミリングで削って除去する。
【0242】
図20に示すイオンミリング工程では、低エネルギーのイオンミリングを使用できる。その理由は、非磁性層27が3Å〜10Å程度の非常に薄い膜厚で形成されているからである。
【0243】
低エネルギーのイオンミリングとは、ビーム電圧(加速電圧)が1000V未満のイオンビームを用いたイオンミリングであると定義される。例えば、100V〜500Vのビーム電圧が用いられる。本態では、200Vの低ビーム電圧のアルゴン(Ar)イオンビームを用いている。
【0244】
これに対し、例えば図40及び図41に示す従来例のようにTa膜11を使用すると、このTa膜11自体、大気暴露によって酸化されるので、30Å〜50Å程度の厚い膜厚で形成しないと、十分にその下の層を酸化から保護できず、しかもTa膜11は酸化によって体積が大きくなり、Ta膜11の膜厚は約50Å以上にまで膨れ上がる。
【0245】
このような厚い膜厚のTa膜11をイオンミリングで除くには、高エネルギーのイオンミリングでTa膜11を除去する必要があり、高エネルギーのイオンミリングを使用すると、Ta膜11のみが除去されるようにミリング制御することは非常に難しい。
【0246】
従って、Ta膜11の下に形成されている強磁性材料層10も深く削られ、イオンミリング時に使用されるArなどの不活性ガスが露出した強磁性材料層10の表面から内部に入り込んだり、強磁性材料層10の表面部分の結晶構造が壊れ、格子欠陥が発生(Mixing効果)する。これらのダメージによって強磁性材料層10の磁気特性が劣化しやすい。また、約50Å以上の膜厚を有するTa膜11を低エネルギーのイオンミリングで削ると処理時間がかかりすぎて実用的でなくなる。また、Taは前記貴金属に比べると、成膜時に強磁性材料層10に拡散浸入しやすく、Ta膜11のみを削って除去できたとしても、露出した強磁性材料層10表面には、Taが混入する。Taが混入した強磁性材料層10は、磁気特性が劣化する。
【0247】
一方、本発明では、低エネルギーのイオンミリングによって非磁性層27を削ることができる。低エネルギーのイオンミリングはミリングレートが遅く、ミリング止め位置のマージンを狭くすることが可能になる。特に、非磁性層27をイオンミリングで除去した瞬間にミリングを止めることも可能になる。従って、強磁性層27はイオンミリングによって大きなダメージを受けなくなる。なお、図20工程におけるイオンミリングの入射角度は、シード層23表面(または前記基板の表面)に対する法線方向から30°〜70°にすることが好ましい。また、イオンミリングの処理時間は数秒から1分程である。
【0248】
このため、強磁性層26の膜厚を5Åから50Åと薄くすることができ、強磁性層26と第1反強磁性層25との間の交換異方性磁界を大きくすることができる。
【0249】
なお、シード層23はTaによって形成されているが、この場合Taの表面に3Åから8Åのごく薄いRuなどの非磁性貴金属層をTaと連続であらかじめ成膜しておくと、Taの酸化を防げ、上記のイオンミリング工程で非磁性貴金属層を適切に除去できる。
【0250】
また、シード層がNiFeやNiFeCrで形成される場合はTaほどは酸化層が厚く成長しないので上記非磁性貴金属層を省略することができる。
【0251】
非磁性層27表面及びシード層23表面を削った後、フリー磁性層28、非磁性材料層29、第2固定磁性層30a、非磁性中間層30b、第1固定磁性層30cからなるシンセティックフェリピンド型の固定磁性層30からなる多層膜T1、及び第3反強磁性層31、保護層33を真空中で連続成膜する。
【0252】
図21の状態では、フリー磁性層28はトラック幅領域Cの両側部S,Sで、強磁性層26,26と非磁性層27,27を介したRKKY相互作用によって磁気的に結合して、フリー磁性層28が単磁区化される。図20工程において、非磁性層27,27の膜厚t1が6Å〜11Åにされると、フリー磁性層28の磁化方向はトラック幅方向(図示X方向)と反平行方向を向く。また、図20工程において、非磁性層27,27の膜厚t1が0.5Å〜6Åにされると、図2に示される磁気検出素子のようにフリー磁性層28の磁化方向はトラック幅方向(図示X方向)と平行方向を向く。
【0253】
なお、例えばフリー磁性層28の膜厚は30Å〜50Å、非磁性材料層29の膜厚は16Å〜30Å、第2固定磁性層30aの膜厚は15Å〜30Å、非磁性中間層30bの膜厚は6Å〜11Å、第1固定磁性層30cの膜厚は10Å〜25Å、第3反強磁性層31の膜厚は80Å〜300Å、保護層33の膜厚は10Å〜30Åである。
【0254】
保護層33の成膜後、第2の磁場中アニールを行う。このときの磁場方向は、トラック幅方向に垂直なハイト方向(図示Y方向)である。なおこの第2の磁場中アニールは、第2の印加磁界を、第1反強磁性層25と強磁性層26間の交換異方性磁界よりも小さく、しかも熱処理温度を、第1反強磁性層25のブロッキング温度よりも低くする。
【0255】
特に、第2の磁場中アニール時の第2の磁界の大きさは、第1固定磁性層30c及び第2固定磁性層30aの飽和磁界、及び第1固定磁性層30c及び第2固定磁性層30aの反磁界より大きく、第1固定磁性層30c及び第2固定磁性層30aの間の反平行結合が崩れるスピンフロップ磁界より小さいことが好ましい。
【0256】
これによって第1反強磁性層25と強磁性層26間の交換異方性磁界の方向をトラック幅方向(図示X方向)に向けたまま、第3反強磁性層31と第1固定磁性層30c間の交換異方性磁界をハイト方向(図示Y方向)と180°異なる方向に向けることができる(第1固定磁性層30cの単位面積当たりの磁気モーメント<第2固定磁性層30aの単位面積当たりの磁気モーメントの場合)。なお第2の熱処理温度は例えば270℃であり、磁界の大きさは8〜30(kA/m)、例えば24k(A/m)である。
【0257】
第2の磁場中アニール後、第1固定磁性層30cの磁化が図示Y方向と180°異なる方向を向き、第2固定磁性層30aの磁化は、第1固定磁性層30cとの間で働くRKKY相互作用による交換結合によって図示Y方向に固定される。
【0258】
次に、図22工程では、保護層33のトラック幅領域を覆うリフトオフ用のレジスト層R2を形成し、保護層33と第3反強磁性層31のレジスト層R2に覆われない両側部S,Sをイオンミリングによって削って、図23に示される状態にした後、削り残された第3反強磁性層31の両側部S,S上に電極層32,32をスバッタ成膜する。このとき、電極層32、32のトラック幅領域に対向する側面32a32aは曲面状になりやすい。前記電極層32,32の膜厚は300Å〜1000Åである。
【0259】
電極層32,32の形成後、レジスト層R2を除去し、上部ギャップ層34及び上部シールド層35を積層すると図1に示される磁気検出素子が得られる。
【0260】
なお、本形態では、図20工程のイオンミリングによって非磁性層27、27を完全に除去した上で、強磁性層26,26上に直接フリー磁性層28を積層してもよい。この製造方法を用いると図25に示される磁気検出素子が得られる。
【0261】
図25では、強磁性層26,26とフリー磁性層28の境界を点線で表しているが、実際には強磁性層26,26とフリー磁性層28は一体のフリー磁性層と化しており、強磁性層26と第1反強磁性層25間に生じる交換異方性磁界によって、強磁性層26,26とフリー磁性層28の磁化方向は両方ともトラック幅方向を向く。
【0262】
次に、図3に示された磁気検出素子の製造方法を説明する。図26及び図27は図3の磁気検出素子の製造工程を示す製造方法を示す工程図であり、各工程は記録媒体との対向面側から見た部分断面図で示されている。なお、図26及び図27において、図3の各層と同一の符号をつけられた層は、同一の材料で作られている。
【0263】
図26に示される工程では、図示しない基板上に下部シールド層41、下部ギャップ層42、シード層43、第1反強磁性層44、強磁性層45、非磁性層46をベタ膜状に成膜する。
【0264】
非磁性層46の成膜後、第1の磁場中アニールを行う。トラック幅方向(図示X方向)方向に第1の磁界を印加しつつ、第1の熱処理温度で熱処理し、第1反強磁性層44と強磁性層45との間に交換結合磁界を発生させて、強磁性層45の磁化を図示X方向に固定する。なお例えば第1の熱処理温度を270℃とし、磁界の大きさを800k(A/m)とする。
【0265】
また上記した第1の磁場中アニールによって、非磁性層46を構成するRuなどの貴金属元素が、強磁性層45内部に拡散するものと考えられる。従って熱処理後における強磁性層45の表面近くの構成元素は、強磁性層を構成する元素と貴金属元素とから構成される。また強磁性層45内部に拡散した貴金属元素は、強磁性層45の下面側よりも強磁性層45の表面側の方が多く、拡散した貴金属元素の組成比は、強磁性層45の表面から下面に向うに従って徐々に減るものと考えられる。このような組成変調は、SIMS分析装置など薄膜の化学組成を分析する装置で確認することが可能である。
【0266】
次に、図27に示されるごとく、非磁性層46上に、トラック幅方向に間隔をあけて一対のレジストR3を形成する。
【0267】
次に、イオンミリングあるいは反応性イオンエッチング(RIE)によって非磁性層46、強磁性層45、第1反強磁性層44のレジスト層R3に挟まれた領域を点線に沿って削る。第1反強磁性層44,44のトラック幅方向の間隔で光学的トラック幅O−Twが決められる。
【0268】
すなわち、レジスト層R3,R3のトラック幅方向間隔とレジスト層R3の側面R3a、R3aの形状とイオンミリングの入射角度を調節することにより光学的トラック幅O−Twを任意に設定することができる。
【0269】
この方法を用いると、第1反強磁性層44の側面44aと底面44bの角度θ2を大きくすることが容易になり、両側部S,Sのほぼ全ての領域で第1反強磁性層44の膜厚を厚くすることができて、フリー磁性層47の両側部S,Sの磁化方向を強固に一方向に固定することができる。すなわち、サイドリーディングを低減できる。具体的には、θ2は60°以上90°以下であることが好ましい。
【0270】
次にレジスト層R3,R3を除去した後、シード層43の表面及び非磁性層46表面の酸化された部分を、イオンミリングで削って除去する。
【0271】
このイオンミリング工程では、低エネルギーのイオンミリングを使用できる。その理由は、非磁性層46が3Å〜10Å程度の非常に薄い膜厚で形成されているからである。
【0272】
低エネルギーのイオンミリングとは、ビーム電圧(加速電圧)が1000V未満のイオンビームを用いたイオンミリングであると定義される。例えば、100V〜500Vのビーム電圧が用いられる。本態では、200Vの低ビーム電圧のアルゴン(Ar)イオンビームを用いている。
【0273】
低エネルギーのイオンミリングはミリングレートが遅く、ミリング止め位置のマージンを狭くすることが可能になる。特に、非磁性層46をイオンミリングで除去した瞬間にミリングを止めることも可能になる。従って、強磁性層45はイオンミリングによって大きなダメージを受けなくなる。なお、イオンミリングの入射角度は、非磁性層46表面(または前記基板の表面)に対する法線方向から30°〜70°にすることが好ましい。また、イオンミリングの処理時間は数秒から1分程である。
【0274】
このため、強磁性層45の膜厚を5Åから50Åと薄くすることができ、強磁性層45と第1反強磁性層44との間の交換異方性磁界を大きくすることができる。
【0275】
非磁性層46表面及びシード層43表面を削った後、フリー磁性層47、非磁性材料層48、第2固定磁性層49a、非磁性中間層49b、第1固定磁性層49cからなるシンセティックフェリピンド型の固定磁性層49からなる多層膜T2、及び第3反強磁性層50、保護層52を真空中で連続成膜する。
【0276】
フリー磁性層47はトラック幅領域Cの両側部S,Sで、強磁性層45,45と非磁性層46,46を介したRKKY相互作用によって磁気的に結合して、フリー磁性層47が単磁区化されている。先のイオンミリング工程で、非磁性層46,46の膜厚t5が6Å〜11Åにされると、フリー磁性層47の磁化方向はトラック幅方向(図示X方向)と反平行方向を向く。また、非磁性層46,46の膜厚t5が0.5Å〜6Åにされると、図4に示される磁気検出素子のようにフリー磁性層47の磁化方向はトラック幅方向(図示X方向)と平行方向を向く。
【0277】
なお、フリー磁性層47、非磁性材料層48、第2固定磁性層49a、非磁性中間層49b、第1固定磁性層49c、第3反強磁性層50、保護層52の膜厚はそれぞれ図1に示される磁気検出素子の製造方法における同じ名称の層の膜厚と同じである。
【0278】
保護層52の成膜後、第2の磁場中アニールを行う。このときの磁場方向は、トラック幅方向に垂直なハイト方向(図示Y方向)である。なおこの第2の磁場中アニールは、第2の印加磁界を、第1反強磁性層44の交換異方性磁界よりも小さく、しかも熱処理温度を、第1反強磁性層44のブロッキング温度よりも低くする。
【0279】
特に、第2の磁場中アニール時の第2の磁界の大きさは、第1固定磁性層49c及び第2固定磁性層49aの飽和磁界、及び第1固定磁性層49c及び第2固定磁性層49aの反磁界より大きく、第1固定磁性層49c及び第2固定磁性層49aの間の反平行結合が崩れるスピンフロップ磁界より小さいことが好ましい。
【0280】
これによって第1反強磁性層44と強磁性層45間の交換異方性磁界の方向をトラック幅方向(図示X方向)に向けたまま、第3反強磁性層50と第1固定磁性層49c間の交換異方性磁界をハイト方向(図示Y方向)と180°異なる方向に向けることができる(第1固定磁性層49cの単位面積当たりの磁気モーメント<第2固定磁性層49aの単位面積当たりの磁気モーメントの場合)。なお第2の熱処理温度は例えば270℃であり、磁界の大きさは8〜30(kA/m)、例えば24k(A/m)である。
【0281】
第2の磁場中アニール後、第1固定磁性層49cの磁化が図示Y方向と180°異なる方向を向き、第2固定磁性層49aの磁化は、第1固定磁性層49cとの間で働くRKKY相互作用による交換結合によって図示Y方向に固定される。
【0282】
さらに、図22から図24工程と同様の工程によって、第3反強磁性層50上にトラック幅方向に間隔をあけて一対の電極層51,51を成膜する。電極層51,51の膜厚は300Å〜1000Åである。
【0283】
電極層51,51の形成後、上部ギャップ層53及び上部シールド層54を積層すると図3に示される磁気検出素子が得られる。
【0284】
なお、本形態では、非磁性層46、46を完全に除去した上で、強磁性層45,45上に直接フリー磁性層47を積層してもよい。この製造方法を用いると図28に示される磁気検出素子が得られる。
【0285】
図28では、強磁性層45,45とフリー磁性層47の境界を点線で表しているが、実際には強磁性層45,45とフリー磁性層47は一体のフリー磁性層と化しており、強磁性層45と第1反強磁性層44間に生じる交換異方性磁界によって、強磁性層45,45とフリー磁性層47の磁化方向は両方ともトラック幅方向を向く。
【0286】
図5に示される磁気検出素子を形成するときには、図示しない基板上に下部シールド層41、下部ギャップ層42、シード層43をベタ膜状に成膜した後、シード層43上に図29に示すようにトラック幅領域Cを覆うリフトオフ用のレジスト層R4を形成し、レジスト層R4に覆われていないシード層43上に第1反強磁性層61,61、強磁性層62,62、及び非磁性層63、63をスパッタ成膜する。
【0287】
後は、図3に示される磁気検出素子の製造方法と同様に、第1の磁場中アニール、非磁性層63表面の低エネルギーイオンミリング、フリー磁性層64、非磁性材料層65、第2固定磁性層66a、非磁性中間層66b、第1固定磁性層66cからなるシンセティックフェリピンド型の固定磁性層66からなる多層膜T3、及び第3反強磁性層67、保護層69の連続成膜、第2の磁場中アニール、電極層68,68、上部ギャップ層70、上部シールド層71の形成を行うと、図5に示される磁気検出素子が得られる。
【0288】
上述した製造方法で形成された磁気検出素子の第1反強磁性層61,61、強磁性層62,62、及び非磁性層63、63のトラック幅領域に対向する側面は曲面状になりやすい。
【0289】
図10に示される磁気検出素子を形成する際には、第3反強磁性層31を成膜した後、第3反強磁性層31の上全面に導電性材料を真空中で連続成膜してから、図30に示すように、トラック幅領域以外の領域(両側部)をレジスト層R5,R5によってマスクする。さらに、電極層93のトラック幅領域をイオンミリングや反応性イオンエッチング(RIE)などで削る。
【0290】
図7に示された磁気検出素子の製造方法を説明する。図31ないし図33は図7の磁気検出素子の製造工程を示す製造方法を示す工程図であり、各工程は記録媒体との対向面側から見た部分断面図で示されている。なお、図31ないし図33において、図7の各層と同一の符号をつけられた層は、同一の材料で作られている。
【0291】
図31に示される工程では、図示しない基板上に下部シールド層21、下部ギャップ層22、シード層23をベタ膜状に成膜し、さらにシード層23のトラック幅領域上を覆うリフトオフ用のレジスト層R1を形成している。
【0292】
次に、イオンミリングによってシード層23、下部ギャップ層22及び下部シールド層21の両側部S,Sを削り、下部シールド層21に凹部21a,21aを形成する。下部シールド層21に形成される凹部21a,21aの側面と底面のなす角θ1は90°より大きく120°以下であることが好ましい。なお、このイオンミリングの入射角度は、シード層の表面に対して、例えば70°〜90°である。
【0293】
次に、レジスト層R1をシード層23上に残したまま、イオンミリングによって下部シールド層21に形成された凹部21a,21a内に絶縁層24,24、第1反強磁性層25,25、非磁性層27,27をスパッタ法によって連続成膜する。スパッタ法には、イオンビームスパッタ法、ロングスロースパッタ法、あるいはコリメーションスパッタ法のいずれか1種以上が使える。
【0294】
なお、絶縁層24,24成膜時のスパッタ入射角度は、シード層23の表面(または前記基板の表面)に対して、例えば30°〜70°であり、第1反強磁性層25,25成膜時のスパッタ入射角度は、シード層23の表面(または前記基板の表面)に対して、例えば50°〜90°である。非磁性層27,27成膜時のスパッタ入射角度は、シード層23の表面(または前記基板の表面)に対して、例えば50°〜90°である。
【0295】
また、絶縁層24,24の膜厚は50Å〜300Å、第1反強磁性層25,25の膜厚は80Å〜300Å、非磁性層27,27の膜厚は3Å〜15Åである。
【0296】
次に、レジスト層R1を剥離した後、図32に示されるように、非磁性層27,27の表面を低エネルギーのイオンミリングで削る。このとき、非磁性層27,27が3Å以下の膜厚となるように削るかまたは非磁性層27,27を完全に除去することが好ましい。
【0297】
次に、図33工程では、第2反強磁性層90、フリー磁性層28、非磁性材料層29、第2固定磁性層30a、非磁性中間層30b、第1固定磁性層30c、下側第3反強磁性層31c及び非磁性層103を真空中で連続スパッタ成膜する。
【0298】
第2反強磁性層90は、第1反強磁性層25,25と同じ材料、同じ組成比の反強磁性層材料を用いて形成することができる。
【0299】
なお、第2反強磁性層90を10Å以上50Å以下で形成することが好ましい。より好ましくは第2反強磁性層90を30Å以上40Å以下の膜厚で形成することである。第2反強磁性層90をこのような膜厚で形成すると、第2反強磁性層90とフリー磁性層28がトラック幅領域Cで重ねられても、第2反強磁性層90はトラック幅領域Cでは非反強磁性の性質を有するので、外部磁界(記録媒体からの漏れ磁界)によるフリー磁性層28の磁化方向の変化を妨げないようにすることができる。
【0300】
一方、トラック幅領域Cの両側部S,Sでは、第1反強磁性層25,25と第2反強磁性層90が3Å以下の非磁性層を介して、または直接接して積層されるので、第2反強磁性層90と第1反強磁性層25,25の間に反強磁性的な相互作用が生じ、第2反強磁性層90と第1反強磁性層25,25が一体の反強磁性層のように機能する。
【0301】
また、非磁性層27,27、103及び非磁性中間層30bは、Ru、Re、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Rh、Cuのいずれか1種または2種以上からなる貴金属またはCrで形成される。
【0302】
また下側第3反強磁性層31aは10Å以上50Å以下、好ましくは30Å以上40Å以下の薄い膜厚で形成される。
【0303】
前記非磁性層103の成膜後に、第1の磁場中アニールを行う。トラック幅方向(図示X方向)方向に第1の磁界を印加しつつ、第1の熱処理温度で熱処理し、トラック幅領域Cの両側部S,Sにおいて、第2反強磁性層90とフリー磁性層25の間に交換結合磁界を発生させて、フリー磁性層28の両側部S,Sの磁化を図示X方向に固定する。なお例えば第1の熱処理温度を270℃とし、磁界の大きさを800k(A/m)とする。
【0304】
また上記した第1の磁場中アニールによって、非磁性層27を構成するRuなどの貴金属元素が、第1反強磁性層25,25内部及び第2反強磁性層90内部に拡散するものと考えられる。従って熱処理後における第1反強磁性層25,25及び第2反強磁性層90の非磁性層と接する面近くの構成元素は、反強磁性材料と貴金属元素とから構成される。また第1反強磁性層25,25内部及び第2反強磁性層90内部に拡散した貴金属元素は、非磁性層27との接触面側の方が反対の面側より多く、拡散した貴金属元素の組成比は、非磁性層27との接触面から離れるに従って徐々に減るものと考えられる。このような組成変調は、SIMS分析装置など薄膜の化学組成を分析する装置で確認することが可能である。
【0305】
また、非磁性層27が上述したRu、Re、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Rhのいずれか1種または2種以上からなる貴金属で形成されると、これらの貴金属材料が第1反強磁性層25,25内部及び第2反強磁性層90内部に拡散しても、拡散によって生じた混合物は反強磁性を示すものになり、第1反強磁性層25,25及び第2反強磁性層90の反強磁性の低下が抑制される。
【0306】
また、トラック幅領域Cの両側部S,Sでは、第1反強磁性層25,25と第2反強磁性層90の合計膜厚が80〜500Å、好ましくは100〜300Åと厚く形成され、この結果、第2反強磁性層90の両側部S,Sは反強磁性の性質を有している。
【0307】
従って、第1の磁場中アニールによって第2反強磁性層90の両側部S,Sは規則化変態し、第2反強磁性層90の両側部S,Sとフリー磁性層28の両側部S,S間で適切な大きさの交換結合磁界が発生し、これによって、フリー磁性層28の両側部S,Sはトラック幅方向に強固に固定された状態になる。
【0308】
一方、トラック幅領域Cでは、第2反強磁性層90は規則化変態しづらくフリー磁性層28と第2反強磁性層間に交換結合磁界が発生せず、フリー磁性層28の磁化がトラック幅方向に強固に固定されることが無く、外部磁界に対し磁化反転できる。
【0309】
また図33工程では、前記第1固定磁性層30cの上に第3反強磁性層と同じ組成の材料層31aを成膜しているものの、前記材料層31aは50Å以下の薄い膜厚であり、前記の磁場中アニールによって、前記第1固定磁性層30cと前記材料層31aとの間で交換結合磁界が生じず、あるいは生じても前記第1固定磁性層30cの磁化がハイト方向に強固に磁化固定されない程度の弱い交換結合磁界が発生するだけである。
【0310】
第1の磁場中アニール後、前記非磁性層103を、図33に示す矢印方向からのイオンミリングで削って除去する。
【0311】
図33に示すイオンミリング工程では、低エネルギーのイオンミリングを使用できる。その理由は、非磁性層103が前述の貴金属で形成され、しかも、膜厚が3Å〜10Å程度の非常に薄く形成されているからである。
【0312】
低エネルギーのイオンミリングとは、ビーム電圧(加速電圧)が1000V未満のイオンビームを用いたイオンミリングであると定義される。例えば、100V〜500Vのビーム電圧が用いられる。本実施の形態では、200Vの低ビーム電圧のアルゴン(Ar)イオンビームを用いている。
【0313】
本発明では、低エネルギーのイオンミリングによって非磁性層103を削ることができる。低エネルギーのイオンミリングはミリングレートが遅く、ミリング止め位置のマージンを狭くすることが可能になる。なお、図33工程におけるイオンミリングの入射角度は、シード層23表面(または前記基板の表面)に対する法線方向から30°〜70°にすることが好ましい。また、イオンミリングの処理時間は数秒から1分程である。また、イオンミリング工程を省略することができる。
【0314】
非磁性層103を削った後、露出した下側第3反強磁性層31aの上に、上側反強磁性層を付け足して、膜厚の厚い第3反強磁性層31とし、前記第3反強磁性層31の上に保護層33を真空中で連続成膜する。
【0315】
保護層33の成膜後に、第2の磁場中アニールを行う。このときの磁場方向は、トラック幅方向に垂直なハイト方向(図示Y方向)である。なおこの第2の磁場中アニールは、第2の印加磁界を、第1反強磁性層25の交換異方性磁界よりも小さく、しかも熱処理温度を、第1反強磁性層25のブロッキング温度よりも低くする。
【0316】
特に、第2の磁場中アニール時の第2の磁界の大きさは、第1固定磁性層30c及び第2固定磁性層30aの飽和磁界、及び第1固定磁性層30c及び第2固定磁性層30aの反磁界より大きく、第1固定磁性層30c及び第2固定磁性層30aの間の反平行結合が崩れるスピンフロップ磁界より小さいことが好ましい。
【0317】
これによって第2反強磁性層90の両側部Sとフリー磁性層28間の交換異方性磁界の方向をトラック幅方向(図示X方向)に向けたまま、第3反強磁性層31と第1固定磁性層30c間の交換異方性磁界をハイト方向(図示Y方向)と180°異なる方向に向けることができる(第1固定磁性層30cの単位面積当たりの磁気モーメント<第2固定磁性層30aの単位面積当たりの磁気モーメントの場合)。なお第2の熱処理温度は例えば270℃であり、磁界の大きさは8〜30(kA/m)、例えば24k(A/m)である。
【0318】
第2の磁場中アニール後、第1固定磁性層30cの磁化が図示Y方向と180°異なる方向を向き、第2固定磁性層30aの磁化は、第1固定磁性層30cとの間で働くRKKY相互作用による交換結合によって図示Y方向に固定される。
【0319】
なお、例えば、フリー磁性層28の膜厚は30Å〜50Å、非磁性材料層29の膜厚は16Å〜30Å、第2固定磁性層30aの膜厚は15Å〜30Å、非磁性中間層30bの膜厚は6Å〜11Å、第1固定磁性層30cの膜厚は10Å〜25Å、第3反強磁性層31の膜厚は80Å〜300Å、保護層33の膜厚は10Å〜30Åである。
【0320】
次に、保護層33のトラック幅領域を覆うリフトオフ用のレジスト層を形成し、保護層33と第3反強磁性層31のレジスト層に覆われない両側部S,Sをイオンミリングによって削って、削り残された第3反強磁性層31の両側部S,S上に電極層32,32をスバッタ成膜する。このとき、電極層32、32のトラック幅領域に対向する側面32a、32aは曲面状になりやすい。前記電極層32,32の膜厚は300Å〜1000Åである。
【0321】
電極層32,32の形成後、レジスト層を除去し、上部ギャップ層34及び上部シールド層35を積層すると図7に示される磁気検出素子が得られる。
【0322】
図8に示される磁気検出素子を形成するときには、図34に示されるように、図示しない基板上に下部シールド層41、下部ギャップ層42、シード層43、第1反強磁性層44、非磁性層46をベタ膜状に成膜した後、非磁性層46上に、トラック幅方向に間隔をあけて一対のレジストR3,R3を形成する。
【0323】
次に、イオンミリングによって非磁性層46、第1反強磁性層44のレジスト層R3,R3に挟まれた領域を点線に沿って削る。
【0324】
レジスト層R3,R3を除去した後、図33と同様に成膜し、第1の磁場中アニール、低エネルギーイオンミリング、第3反強磁性層50の付けたし、保護層52の成膜、第2の磁場中アニール、電極層51,51、上部ギャップ層53、上部シールド層54の形成を行って図8に示される磁気検出素子を得ることができる。
【0325】
また、図9に示される磁気検出素子を形成するときには、図35に示されるように、図示しない基板上に下部シールド層41、下部ギャップ層42、シード層43、をベタ膜状に成膜した後、シード層43上に図29に示すようにトラック幅領域Cを覆うリフトオフ用のレジスト層R4を形成し、レジスト層R4に覆われていないシード層43上に第1反強磁性層61,61及び非磁性層63、63をスパッタ成膜する。
【0326】
後は、図8に示される磁気検出素子の製造方法と同様の工程を施せば、図9に示される磁気検出素子を得ることができる。
【0327】
図36ないし図38は、図11に示す磁気検出素子の製造方法を示す一工程図であり、各図は製造工程中の磁気検出素子を記録媒体との対向面から見た部分断面図である。
【0328】
図11に示す磁気検出素子の製造方法には基本的に図18ないし図20と同様の工程を用いる。異なるのは図21工程以降の工程を図36ないし図38工程を用いて行う点である。
【0329】
図36工程では、前記第3反強磁性層31上に、Crなどで形成されたストッパ層100を成膜し、さらに前記ストッパ層100上にTaなどで形成された保護層101を成膜し、前記保護層101の上にAuなどで形成された電極層93を成膜し、前記電極層93の上にTaなどで形成された保護層102を成膜する。
【0330】
次に図36に示すように前記保護層102のトラック幅方向(図示X方向)の両側端部上に、マスク層104を設ける。前記マスク層104はメタル層であってもよいし、レジスト層であってもよい。
【0331】
図37に示すように前記マスク層104のトラック幅方向に形成された所定の間隔104a内から露出する保護層102、電極層93及び保護層101をリアクティブ・イオン・エッチング(RIE)で除去する。エッチングガスとして、CF4やC38あるいはArとCF4の混合ガス、またはC38とArとの混合ガスを使用する。そうすると図37に示すように前記電極層93は磁気検出素子のトラック幅方向における両側端部にのみ残され、前記電極層93間に間欠部Eが形成される。前記RIE工程はストッパ層100が前記間欠部E内から露出すると終了される。
【0332】
図38に示す工程では、間欠部E内に露出するストッパ層100、第3反強磁性層31をイオンミリングで除去する。このイオンミリング時の削り込み量はSIMS分析計によって制御することが可能である。前記間欠部E内から第1固定磁性層30cが露出した瞬間にイオンミリングを止める。なお前記マスク層104がCrなどのメタル層である場合、このイオンミリング工程でマスク層104も削られる。
【0333】
前記第3反強磁性層31と第1固定磁性層30c間に交換結合磁界を生じさせるための第2の磁場中アニールの磁場方向は、トラック幅方向と直交する方向(図示Y方向)である。なおこの第2の磁場中アニールは、第2の印加磁界を、第1反強磁性層25の交換異方性磁界よりも小さく、また第1固定磁性層30c及び第2固定磁性層30aのスピンフロップ磁界よりも小さく、さらに前記第1固定磁性層30c及び第2固定磁性層30aの保磁力や異方性磁界よりも大きい値とする。なお前記第2固定磁性層30aの単位面積当たりの磁気モーメントを前記第1固定磁性層30cの単位面積当たりの磁気モーメントよりも大きくすると前記スピンフロップ磁界を大きくできるので、印加磁場のマージンを広くとることができ、製造工程を容易化できて好ましい。
【0334】
また熱処理温度を、前記第1反強磁性層25のブロッキング温度よりも低くする。これによって、前記第1反強磁性層25と第3反強磁性層31を共に、上記したPtMn合金やPtMnX合金等で形成しても、前記第1反強磁性層25の交換異方性磁界の方向をトラック幅方向(図示X方向)に向けたまま、前記第3反強磁性層31の交換異方性磁界をハイト方向(図示Y方向)に向けることができる。なお前記第3反強磁性層31に、前記第1反強磁性層25よりもブロッキング温度の低いIrMn合金などを使用してもよい。
【0335】
上記の第2の磁場中アニールによって、前記第3反強磁性層31は適切に規則化変態し、前記第3反強磁性層31と第1固定磁性層30cの両側端部30c1間に適切な大きさの交換結合磁界が発生し、これによって前記第1固定磁性層30cの両側端部30c1の磁化は、トラック幅方向と直交する方向(図示Y方向)に固定される。
【0336】
また前記第1固定磁性層30cと第2固定磁性層30a間にはRKKY相互作用による反平行結合磁界が生じるため、前記第2固定磁性層30aは前記第1固定磁性層30cとは反平行状態で磁化固定される。また前記第1固定磁性層30cと第2固定磁性層30aの中央部30c2、30a2の磁化は、前記RKKY相互作用による反平行結合磁界と各磁性層内部の交換相互作用により媒介されたバイアス磁界によって反平行状態を保って固定される。上記した工程を施すことで図11に示す磁気検出素子が完成する。
【0337】
なお図7や図8に示すように強磁性層26を用いずに第2反強磁性層90を用い、且つ第3反強磁性層31を図11と同じ形態にする場合には、図33工程後、図36ないし図38工程を用いればよい。
【0338】
以上本発明をその好ましい実施例に関して述べたが、本発明の範囲から逸脱しない範囲で様々な変更を加えることができる。
【0339】
なお、上述した実施例はあくまでも例示であり、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。
【0340】
【発明の効果】
以上詳細に説明した本発明では、前記フリー磁性層と前記第1反強磁性層の間に前記非磁性層が形成されている。前記非磁性層は、、前記フリー磁性層の磁化方向をそろえるための縦バイアス磁界を供給する機能を有し前記非磁性層の下面に位置する層、例えば、第1反強磁性層や第1反強磁性層の上に積層された強磁性層を大気暴露による酸化から防止する。
【0341】
本発明では、前記非磁性層が貴金属材料によって形成されているため、非磁性層の膜厚が薄くても十分な酸化防止効果を発揮するため、前記非磁性層の上層に前記フリー磁性層または第2反強磁性層を積層する前に、前記非磁性層表面の酸化層を除去するために低エネルギーのイオンミリングを使用でき、前記フリー磁性層の磁化方向をそろえるための強磁性層や第1反強磁性層の磁気特性の劣化が抑えられ、狭トラック化に適した磁気検出素子を得ることが可能になっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例の磁気検出素子の断面図、
【図2】参考例の磁気検出素子の断面図、
【図3】参考例の形態の磁気検出素子の断面図、
【図4】参考例の磁気検出素子の断面図、
【図5】参考例の磁気検出素子の断面図、
【図6】参考例の磁気検出素子の断面図、
【図7】本施の形態の磁気検出素子の断面図、
【図8】本施の形態の磁気検出素子の断面図、
【図9】本施の形態の磁気検出素子の断面図、
【図10】参考例の磁気検出素子の断面図、
【図11】参考例の磁気検出素子の断面図、
【図12】参考例の磁気検出素子の断面図、
【図13】参考例の磁気検出素子の断面図、
【図14】気検出素子のフリー磁性層の構成の一例を示す断面図、
【図15】気検出素子のフリー磁性層の構成の一例を示す断面図、
【図16】気検出素子のフリー磁性層の構成の一例を示す断面図、
【図17】気検出素子のフリー磁性層の構成の一例を示す断面図、
【図18】参考例の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図19】参考例の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図20】参考例の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図21】参考例の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図22】参考例の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図23】参考例の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図24】参考例の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図25】参考例の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図26】参考例の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図27】参考例の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図28】参考例の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図29】参考例の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図30】参考例の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図31】本実施形態の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図32】本実施形態の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図33】本実施形態の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図34】本実施形態の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図35】本実施形態の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図36】参考例の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図37】参考例の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図38】参考例の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図39】従来(特開平9−073611号公報の図1)の磁気検出素子を示す断面図、
【図40】従来の磁気検出素子の製造方法を示す一工程図、
【図41】従来の磁気検出素子の製造方法を示す一工程図、
【符号の説明】
21 下部シールド層
22 下部ギャップ層
23 シード層
24 絶縁層
25 第1反強磁性層
26 強磁性層
27 非磁性層
28 フリー磁性層
29 非磁性材料層
30 固定磁性層
30a 第2固定磁性層
30b 非磁性中間層
30c 第1固定磁性層
31 第3反強磁性層
32 電極層
33 保護層
34 上部ギャップ層
35 上部シールド層
C トラック幅領域
S 両側部

Claims (22)

  1. 下から順に積層された下部磁性層と非磁性材料層と固定磁性層を含み磁気抵抗効果を有する多層膜と、前記固定磁性層の磁化方向を前記下部磁性層の磁化方向と交叉する方向に揃える層と、前記下部磁性層の磁化方向をそろえる第1反強磁性層を有する磁気検出素子において、
    前記下部磁性層の下層に、膜厚が10Å以上で50Å以下の第2反強磁性層が設けられ、さらに前記第2反強磁性層の下層に、貴金属元素、Re、あるいはCrのうち少なくともいずれか1種からなる非磁性層を介して、前記第1反強磁性層がトラック幅方向に間隔を開けて形成されており、
    前記第1反強磁性層と前記非磁性層を介して対向する前記第2反強磁性層と重なる前記下部磁性層の両側端部は、磁化方向が固定され、前記第2反強磁性層のみと重なる前記下部磁性層の中央部は、外部磁界に対して磁化変動するフリー磁性層として機能していることを特徴とする磁気検出素子。
  2. 前記非磁性層は、Ru、Re、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Rh、Cu、Crのいずれか1種または2種以上で形成される請求項1記載の磁気検出素子。
  3. 前記第1反強磁性層は、表面が平坦面である下部シールド層上または下部ギャップ層上にトラック幅方向に間隔を開けて形成されている請求項1または2記載の磁気検出素子。
  4. 前記下部磁性層の下側には非磁性材料からなる下部ギャップ層が形成され、この下部ギャップ層の表面にトラック幅方向に間隔を開けて凹部が形成されて、前記凹部内に前記第1反強磁性層が形成されている請求項1または2記載の磁気検出素子。
  5. 前記下部磁性層の下側には、磁性材料からなる下部シールド層が形成されこの下部シールド層の表面にトラック幅方向に間隔を開けて凹部が形成されて、前記凹部内に前記第1反強磁性層が形成されている請求項1または2記載の磁気検出素子。
  6. 前記第1反強磁性層と前記下部シールド層の間に絶縁層が積層されている請求項5記載の磁気検出素子。
  7. 前記第2反強磁性層と第1反強磁性層の間に、3Å以下の前記非磁性層が設けられる請求項1ないし6のいずれかに記載の磁気検出素子。
  8. 前記第2反強磁性層の膜厚は30Å以上で40Å以下である請求項1ないし7のいずれかに記載の磁気検出素子。
  9. 前記固定磁性層は、非磁性中間層を介して積層された、単位面積あたりの磁気モーメントの大きさが異なる第1固定磁性層及び第2固定磁性層を有するものである請求項1ないし8のいずれかに記載の磁気検出素子。
  10. 前記固定磁性層の磁化方向を前記下部磁性層の磁化方向と交叉する方向に揃える層は、反強磁性材料からなる第3反強磁性層である請求項1ないし9のいずれかに記載の磁気検出素子。
  11. 前記第3反強磁性層はトラック幅方向に所定間隔を空けた欠陥部を介して前記第1固定磁性層のトラック幅方向の両側端部上に接して設けられる請求項10記載の磁気検出素子。
  12. 前記下部磁性層は磁性層の3層構造で形成される請求項1ないし11のいずれかに記載の磁気検出素子。
  13. 前記下部磁性層は、CoFe/NiFe/CoFeの3層構造である請求項12記載の磁気検出素子。
  14. 以下の工程を有することを特徴とする磁気検出素子の製造方法、
    (a)基板上に、一対の第1反強磁性層をトラック幅方向に間隔を開けて形成し、前記第1反強磁性層上に、貴金属元素、Re、あるいはCrのうち少なくともいずれか1種からなる非磁性層を連続成膜する工程と、
    (b)前記非磁性層を一部削る工程と、
    (c)前記一対の第1反強磁性層の上に形成された前記非磁性層上、及び前記一対の第1反強磁性層に挟まれる領域上に、下から順に、膜厚が10Å以上で50Å以下の第2反強磁性層、下部磁性層、非磁性材料層、第2固定磁性層、非磁性中間層まで連続成膜する工程と、
    (d)第1の磁場中アニールを施して、前記第1反強磁性層と前記非磁性層を介して対向する前記第2反強磁性層の両側部と前記下部磁性層の両側端部間に交換結合磁界を発生させ、前記下部磁性層の両側端部の磁化方向を所定の方向に固定し、前記下部磁性層の中央部をフリー磁性層として磁化方向を所定の方向に揃える工程と、
    (e)前記非磁性中間層を一部削る工程と、
    (f)前記非磁性中間層上に第1固定磁性層、第3反強磁性層を連続成膜する工程と、
    (g)第2の磁場中アニールを施して、前記第3反強磁性層と前記第1固定磁性層間に交換結合磁界を発生させ、前記第1固定磁性層、前記非磁性中間層、前記第2固定磁性層からなる前記固定磁性層の磁化方向を前記下部磁性層の磁化方向と交叉する方向に揃える工程。
  15. 前記(b)工程において、前記非磁性層を3Å以下の膜厚となるように削る請求項14に記載の磁気検出素子の製造方法。
  16. 前記(g)工程において、第2の磁場中アニールにおける熱処理温度を第1反強磁性層のブロッキング温度より低い温度に設定する請求項14又は15に記載の磁気検出素子の製造方法。
  17. 前記(g)工程において、第2の磁場中アニールにおける第2の磁界の大きさを第1反強磁性層の交換異方性磁界より小さくする請求項14ないし16のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  18. 前記(a)工程の前に、
    表面が平坦面である磁性材料からなる下部シールド層を形成し、前記(a)工程において、この下部シールド層の上層に前記一対の第1反強磁性層を形成する請求項14ないし17のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  19. 前記(a)工程の前に、表面にトラック幅方向に間隔を開けて凹部が形成された、磁性材料からなる下部シールド層を形成し、前記(a)工程において、前記凹部内に前記第1反強磁性層を形成する請求項14ないし17のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  20. 前記(a)工程の前に、前記下部シールド層上に絶縁層を設け、前記(a)工程において、この絶縁層上に前記第1反強磁性層を形成する請求項19記載の磁気検出素子の製造方法。
  21. 前記(a)工程において前記非磁性層を、また前記(c)工程において前記非磁性中間層を、Ru、Re、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Rhのいずれか1種または2種以上からなる貴金属で形成する請求項14ないし20のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  22. 前記(a)工程において、前記非磁性層を3Å以上10Å以下の膜厚で形成する請求項14ないし21のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
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