JP2004221303A - 磁気検出素子及びその製造方法 - Google Patents

磁気検出素子及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004221303A
JP2004221303A JP2003006633A JP2003006633A JP2004221303A JP 2004221303 A JP2004221303 A JP 2004221303A JP 2003006633 A JP2003006633 A JP 2003006633A JP 2003006633 A JP2003006633 A JP 2003006633A JP 2004221303 A JP2004221303 A JP 2004221303A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
antiferromagnetic
magnetic
free magnetic
sensing element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Ceased
Application number
JP2003006633A
Other languages
English (en)
Inventor
Naoya Hasegawa
直也 長谷川
Eiji Umetsu
英治 梅津
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Alps Electric Co Ltd filed Critical Alps Electric Co Ltd
Priority to JP2003006633A priority Critical patent/JP2004221303A/ja
Priority to US10/755,698 priority patent/US7212383B2/en
Publication of JP2004221303A publication Critical patent/JP2004221303A/ja
Ceased legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B5/127Structure or manufacture of heads, e.g. inductive
    • G11B5/33Structure or manufacture of flux-sensitive heads, i.e. for reproduction only; Combination of such heads with means for recording or erasing only
    • G11B5/39Structure or manufacture of flux-sensitive heads, i.e. for reproduction only; Combination of such heads with means for recording or erasing only using magneto-resistive devices or effects
    • G11B5/3903Structure or manufacture of flux-sensitive heads, i.e. for reproduction only; Combination of such heads with means for recording or erasing only using magneto-resistive devices or effects using magnetic thin film layers or their effects, the films being part of integrated structures
    • G11B5/3906Details related to the use of magnetic thin film layers or to their effects
    • G11B5/3929Disposition of magnetic thin films not used for directly coupling magnetic flux from the track to the MR film or for shielding
    • G11B5/3932Magnetic biasing films
    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B5/127Structure or manufacture of heads, e.g. inductive
    • G11B5/33Structure or manufacture of flux-sensitive heads, i.e. for reproduction only; Combination of such heads with means for recording or erasing only
    • G11B5/39Structure or manufacture of flux-sensitive heads, i.e. for reproduction only; Combination of such heads with means for recording or erasing only using magneto-resistive devices or effects
    • G11B5/3903Structure or manufacture of flux-sensitive heads, i.e. for reproduction only; Combination of such heads with means for recording or erasing only using magneto-resistive devices or effects using magnetic thin film layers or their effects, the films being part of integrated structures
    • G11B5/3906Details related to the use of magnetic thin film layers or to their effects
    • G11B5/3929Disposition of magnetic thin films not used for directly coupling magnetic flux from the track to the MR film or for shielding
    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B5/127Structure or manufacture of heads, e.g. inductive
    • G11B5/33Structure or manufacture of flux-sensitive heads, i.e. for reproduction only; Combination of such heads with means for recording or erasing only
    • G11B5/39Structure or manufacture of flux-sensitive heads, i.e. for reproduction only; Combination of such heads with means for recording or erasing only using magneto-resistive devices or effects
    • G11B2005/3996Structure or manufacture of flux-sensitive heads, i.e. for reproduction only; Combination of such heads with means for recording or erasing only using magneto-resistive devices or effects large or giant magnetoresistive effects [GMR], e.g. as generated in spin-valve [SV] devices

Abstract

【課題】サイドリーディング防止、再生感度向上、さら狭ギャップ化を図れる磁気検出素子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】第1材料層28と第1フリー磁性層29を連続成膜できるため交換結合磁界を強くでき、サイドリーディングを防止できる。また、他の強磁性層が素子両側端部S,Sに設けられていないため再生感度を向上することができ、素子中央部Cに厚い反強磁性層がないため、狭ギャップ化に対応できる。また、前記非磁性中間層30が平坦化された前記第1フリー磁性層29の上に均一な膜厚で薄く形成されているので、抵抗変化率が向上し、第1フリー磁性層29および第2フリー磁性層31の軟磁気特性を良好に保つことができ、再生波形の安定性と素子の再生感度を向上することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハードディスク装置や磁気センサなどに用いられる磁気検出素子に係り、特にサイドリーディングの防止、再生感度の向上さらには狭ギャップ化を図ることができるとともに、これらの効果を得ることができる磁気検出素子を容易に且つ適切に製造することが可能な磁気検出素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
以下の特許文献1には、複数の強磁性層と前記強磁性層間に介在するスペーサ層とが膜厚方向に積層され、各強磁性層の磁化制御手段として、前記強磁性層のうち最上部および最下部の強磁性層に交換結合層を隣接させた磁気トランスデューさが開示されている。
【0003】
この特許文献1によれば前記交換結合層はFeMnやNiMnなどである。前記交換結合層と最上部および最下部の強磁性層間で交換結合磁界を生じさせて各強磁性層の磁化方向を制御している。
【0004】
前記交換結合層は基板上に所定の間隔を開けて形成され、基板表面よりも盛り上がった前記交換結合層上から前記基板上にかけて前記強磁性層が積層され、さらにその上にスペーサ層および強磁性層が交互に積層されている。
【0005】
すなわち特許文献1によれば前記強磁性層およびスペーサ層は起伏のある表面に積層されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−128714号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記のように前記強磁性層およびスペーサ層を起伏のある表面に形成すると、前記強磁性層およびスペーサ層を所定膜厚で形成できないばかりか、特に次のような問題が発生する。
【0008】
すなわち前記交換結合層間に挟まれた中央部分の前記強磁性層も、その側面で隣接する前記交換結合層からの余分な静磁界によって磁化が固定されやすくなってしまい、外部磁界に対する感度が低下しやすいといった問題がある。
【0009】
あるいは特許文献1の磁気トランスデューサの構造では、本来、磁化が強固に固定されるべき交換結合層上の前記強磁性層の磁化が外部磁界に対して動きやすくなっている可能性もある。
【0010】
特許文献1では、具体的な製造方法についての開示がないが、この特許文献1の磁気トランスデューサの構造からすると、まず基板上にトラック幅方向に所定の間隔を空けた交換結合層を形成する工程を施した後、別の工程に移して強磁性層、スペーサ層の積層を行う必要があると考えられる。すなわち前記交換結合層と前記強磁性層との形成を同じチャンバ内で連続して成膜することができず、このため、前記交換結合層と前記強磁性層との間で発生する交換結合磁界は弱いものとなる。そのため、本来、磁化が強固に固定されるべき前記強磁性層の両側端部の磁化が外部磁界に対して動きやすくなり、この結果、サイドリーディングが発生しやすいといった問題が生じる可能性がある。
【0011】
また上記したように特許文献1には、磁気トランスデューサの具体的な製造方法についての開示がないが、単純に各層を積層しただけでは各強磁性層の磁化制御を適切に行うことはできないと考えられ、すなわち特許文献1の内容では磁気トランスデューサを如何にして実用化するかが不明である。
【0012】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、特にサイドリーディングの防止、再生感度の向上さらには狭ギャップ化を図ることができるとともに、これらの効果を得ることができる磁気検出素子を容易に且つ適切に製造することが可能な磁気検出素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気検出素子は、トラック幅方向に所定間隔の間欠部を有して形成された一対の第1反強磁性層と、前記間欠部に前記第1反強磁性層と同じ組成で且つ前記第1反強磁性層よりも薄い膜厚で形成された不規則結晶構造を有する第1材料層と、前記第1反強磁性層および第1材料層上に下から順に積層された第1フリー磁性層と非磁性中間層と第2フリー磁性層と、前記第2フリー磁性層の上にトラック幅方向に所定間隔の間欠部を介して形成された一対の第2反強磁性層と、を有し、
前記第1反強磁性層および第1材料層の上面は連続面であり、この連続面上に前記第1フリー磁性層が設けられており、
外部磁界により前記第1フリー磁性層および第2フリー磁性層の磁化方向が変わることによって抵抗値が変化することを特徴とするものである。
【0014】
本発明の磁気検出素子では、第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層の磁化方向をそろえるための一対の第1反強磁性層及び一対の第2反強磁性層が、それぞれトラック幅方向に所定間隔の間欠部を介して形成されている。一対の前記第1反強磁性層に挟まれる前記第1フリー磁性層のトラック幅方向の中央部、及び一対の前記第2反強磁性層に挟まれる前記第2フリー磁性層のトラック幅方向の中央部は、外部磁界によって磁化方向が変動する。
【0015】
前記第1反強磁性層間に形成された間欠部には、前記第1反強磁性層と同じ組成で且つ前記第1反強磁性層よりも薄い膜厚で形成された不規則結晶構造の第1材料層が形成されている。前記第1フリー磁性層間の間欠部に前記第1材料層を設けたことで特に製造方法で説明するように、前記第1反強磁性層とその上に形成された第1フリー磁性層の両側端部間に適切な大きさの交換結合磁界を生じさせることができ、この結果、サイドリーディングの発生を抑制できる。また本発明では、従来のスピンバルブ型薄膜素子のように固定磁性層の磁化を固定するための反強磁性層、固定磁性層、非磁性材料層およびフリー磁性層を積層した多層膜構造ではなく、前記第1フリー磁性層および第2フリー磁性層の中央部の上下に膜厚の厚い反強磁性層を設けない構成とした結果、狭ギャップ化を適切に図ることが可能になっている。
【0016】
また、一対の第2反強磁性層の間に形成された間欠部には、前記第2反強磁性層と同じ組成の第2材料層が前記第2フリー磁性層と接して形成されており、前記第2材料層は、前記第2反強磁性層よりも薄い膜厚で形成された不規則結晶構造の層であるものとして構成することもできる。
【0017】
この場合、前記第1材料層の膜厚は5Å以上で50Å以下であるものとして構成することが好ましく、また前記第2材料層の膜厚は5Å以上で50Å以下であるものとして構成することが好ましい。
【0018】
このように、前記第1材料層や第2材料層を前記膜厚で構成すると、磁場中熱処理を施しても前記間欠部では不規則格子から規則格子に変態できず、前記第1間欠部または前記第2間欠部で反強磁性を発揮しない不規則結晶構造の層の状態を維持することができる。
【0019】
また、前記第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層のハイト方向後方に、絶縁層を介して、硬磁性材料からなるバイアス層が形成されているものとして構成することができる。
【0020】
このように構成すると、前記第1フリー磁性層と前記第2フリー磁性層の磁化方向を、互いに交叉する方向に揃えることが容易になり、磁気検出素子の出力の対称性(シンメトリー)が良好になり、また磁界検出感度を向上することができる。
【0021】
また、前記連続面は平坦化面であるものとして構成することが好ましい。
このように構成すると、連続面に形成された前記第1反強磁性層および前記第1材料層の上面に前記第1フリー磁性層が設けられるため、この第1フリー磁性層および前記第1フリー磁性層の上に積層される第2フリー磁性層を平坦に形成することができ、前記第1フリー磁性層の中央部には余分な静磁界等が流入せず前記第1フリー磁性層の中央部は外部磁界に対し感度良く磁化回転する。
【0022】
また本発明の磁気検出素子の製造方法は、以下の工程を有することを特徴とするものである。
(a)基板のトラック幅方向における両側に所定深さの凹部を設ける工程と、
(b)前記凹部内に第1反強磁性層を形成し、前記第1反強磁性層上に貴金属および/またはCrからなる第1非磁性層を連続成膜する工程と、
(c)前記第1非磁性層を除去して、前記第1反強磁性層の上面と前記第1反強磁性層間の基板上面を露出し、前記第1反強磁性層の上面から前記基板の上面にかけて前記第1の反強磁性層と同じ組成でありかつ不規則結晶構造の第1材料層を前記第1反強磁性層の膜厚よりも薄い膜厚で形成し、前記第1反強磁性層の上に重ねられた第1材料層を前記第1反強磁性層の一部として構成し、
(d)前記第1材料層および第1反強磁性層上に下から第1フリー磁性層、非磁性中間層、第2フリー磁性層の順に形成するとともに、第1の磁場中アニールにより、前記第1反強磁性層と前記第1フリー磁性層間に交換結合磁界を生じさせ、前記第1フリー磁性層の磁化方向を所定の方向に揃える工程と、
(e)前記第2フリー磁性層の上に、トラック幅方向に所定の間隔の間欠部を介して形成された一対の第2反強磁性層を形成するとともに、第2の磁場中アニールにより、前記第2フリー磁性層の磁化を前記第1フリー磁性層の磁化方向と反平行方向、または交叉する方向に揃える工程
本発明によって製造された磁気検出素子では、第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層の磁化方向をそろえるための一対の第1反強磁性層及び一対の第2反強磁性層が、それぞれトラック幅方向に所定間隔の間欠部を介して形成される。前記間欠部と膜厚方向で対向する位置に設けられた前記第1フリー磁性層のトラック幅方向の中央部、及び前記第2フリー磁性層のトラック幅方向の中央部は、外部磁界によって磁化方向が変動する。
【0023】
また本発明の製造方法では、前記第1反強磁性層の上に前記第1非磁性層を成膜した後に、前記第1非磁性層で前記第1反強磁性層を酸化から保護し、そして、前記第1非磁性層を除去した後、連続して前記第1反強磁性層上に前記第1材料層、および第1フリー磁性層を成膜している。前記第1反強磁性層上に形成された前記第1材料層の両側端部は前記第1反強磁性層と一体化し、第1の磁場中アニールによって前記第1反強磁性層と前記第1フリー磁性層の両側端部間には適切な大きさの交換結合磁界を生じさせることができる。
【0024】
上記した本発明の製造方法によれば、再生感度に優れ、サイドリーディングの発生を抑制でき、さらに狭ギャップ化に対応可能な磁気検出素子を容易に且つ適切に製造することが可能になっている。
【0025】
なお前記製造方法で製造された磁気検出素子では、前記第1反強磁性層の上から前記間欠部の上面にかけて形成される前記第1材料層は、前記第1反強磁性層よりも薄い膜厚で形成される。前記第1材料層は磁場中熱処理を施されることで、前記第1反強磁性層の上では、前記第1反強磁性層とともに少なくとも一部の不規則格子が規則格子に変態し、反強磁性を発揮する。一方、前記間欠部では、前記第1材料層の膜厚は非常に薄いために、磁場中熱処理を施しても不規則格子から規則格子に変態できず、反強磁性を発揮しない不規則結晶構造の層の状態を維持する。
【0026】
この場合、前記(d)工程で、前記第2フリー磁性層の上に、前記第2反強磁性層と同じ組成で形成される不規則結晶構造の第2材料層を前記第2反強磁性層よりも薄い膜厚で形成し、さらに前記第2材料層の上に貴金属および/またはCrからなる第2非磁性層を形成した後、前記第1の磁場中アニールを施し、
前記(e)工程で、前記第2非磁性層を除去した後、前記第2材料層上に少なくとも第2反強磁性層を形成し、前記第2反強磁性層の上に直接的にあるいは他の層を介してトラック幅方向に所定の間隔を空けたマスク層を形成し、このマスク層に覆われていない前記第2反強磁性層を除去して、その除去された間隔内から前記第2材料層を露出させ、その後、前記第2の磁場中アニールを施すものとして構成することもできる。
【0027】
また、前記(b)工程および/または前記(d)工程での前記貴金属を、Ru、Re、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Rh、Cuのいずれか1種または2種以上から選択するものとして構成することができる。
【0028】
本発明では、前記(b)工程で前記第1反強磁性層上に積層される第1非磁性層、または前記(d)工程で前記第2反強磁性層上に積層される第2非磁性層を前記貴金属および/またはCrによって形成するため、非磁性層の膜厚が薄くても十分な酸化防止効果を発揮する。
【0029】
したがって、前記(b)工程および/または前記(d)工程での、前記第1非磁性層および第2非磁性層を3Å以上10Å以下の膜厚で形成することが可能となる。
【0030】
また、前記(c)工程および(d)工程での、前記第1材料層および第2材料層を5Å以上50Å以下の膜厚で形成することができる。
【0031】
このように、前記第1材料層および第2材料層を前記膜厚で構成すると、磁場中熱処理を施しても前記間欠部では不規則格子から規則格子に変態できず、前記間欠部で反強磁性を発揮しない不規則結晶構造の層の状態を維持することができる。
【0032】
また、前記(e)工程の後、前記第1フリー磁性層および第2フリー磁性層のハイト方向後方に、絶縁層を介して、硬磁性材料からなるバイアス層を形成する工程を有するものとして構成することができる。
【0033】
このような方法によって製造された磁気検出素子では、前記第1フリー磁性層と前記第2フリー磁性層の磁化方向を、互いに交叉する方向に揃えることが容易になり、磁気検出素子の出力の対称性(シンメトリー)が良好になり、また磁界検出感度を向上することができる。
【0034】
また、前記(c)工程で、露出した前記第1反強磁性層の上面および前記第1反強磁性層間の基板の上面を連続した平坦面に形成するものとして構成することが好ましい。
【0035】
このように構成すると、この平坦化された面上に積層される前記第1材料層は平坦に形成され、前記第1フリー磁性層およびこの第1フリー磁性層の上に形成される第2フリー磁性層も平坦に形成することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明における第1の実施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0037】
図1に示す磁気検出素子20は、記録媒体に記録された外部信号を再生するためのMRヘッドである。記録媒体との対向面は、例えば前記磁気検出素子20の構成する薄膜の膜面に垂直で且つ磁気検出素子のトラック幅方向と平行な平面である。図1では、記録媒体との対向面はX−Z平面に平行な平面である。
【0038】
なお、前記磁気検出素子20が浮上式の磁気ヘッドに用いられる場合、記録媒体との対向面とは、いわゆるABS面のことである。
【0039】
また前記磁気検出素子20は、例えばアルミナ−チタンカーバイト(Al−TiC)で形成されたスライダのトレーリング端面上に形成される。スライダは、記録媒体との対向面と逆面側で、ステンレス材などによる弾性変形可能な支持部材と接合され、磁気ヘッド装置が構成される。
【0040】
なお、トラック幅方向とは、外部磁界によって磁化方向が変動する領域の幅方向のことであり、すなわち図示X方向である。
【0041】
なお、記録媒体は磁気検出素子20の記録媒体との対向面に対向しており、図示Z方向に移動する。この記録媒体からの洩れ磁界方向は図示Y方向である。
【0042】
また、図1に示した再生用のMRヘッドの上に、記録用のインダクティブヘッドが積層されてもよい。
【0043】
図1に示す磁気検出素子20では、下部シールド層21が形成され、この下部シールド層21の表面にトラック幅方向に所定間隔を開けて一対の凹部21a,21aが形成されており、凹部21a,21aに挟まれた凸部21bの上面21b1上に下部ギャップ層22及びシード層23が積層されている。
【0044】
また、凹部21a,21a内には、絶縁層24,24およびシード層25,25が形成されている。前記シード層25,25上に、第1反強磁性層26,26が所定間隔の第1間欠部27を介して形成されている。前記第1反強磁性層26の上面は前記シード層23の上面よりも高い位置にある。
【0045】
また、磁気検出素子20の中央部(トラック幅領域)Cの近傍における第1反強磁性層26,26の膜厚が大きい方が、サイドリーディングをより低減できる。このためには、下部シールド層21に形成された凹部21aの底面と側面のなす角θ1の範囲を90°以上120°以下にすることが好ましい。
【0046】
一対の第1反強磁性層26,26間に形成された第1間欠部27には、前記第1反強磁性層26,26と同じ組成で前記第1反強磁性層26よりも膜厚が薄くしかも不規則結晶構造を有する第1材料層28が前記シード層23上に形成されている。図1に示されるように、第1反強磁性層26,26はトラック幅方向(図示X方向)に前記第1間欠部27をあけて形成されており、トラック幅方向の第1反強磁性層26,26間距離が光学的トラック幅O−Twとなる。
【0047】
前記第1材料層28の上面および第1反強磁性層26の上面は連続した平坦化面であり、前記第1材料層28の上面および第1反強磁性層26の上面には、下から順に、第1フリー磁性層29、非磁性中間層30および第2フリー磁性層31が積層されている。
【0048】
第2フリー磁性層31上には、所定間隔の第2間欠部33を介して、一対の第2反強磁性層34,34が形成され、前記第2間欠部33には、前記第2反強磁性層34と同じ組成で且つ前記第2反強磁性層34よりも薄い膜厚で形成された不規則結晶構造を有する第2材料層32が形成されている。なお前記第2間欠部33に前記第2材料層32が形成されていなくてもよい。
【0049】
前記第2反強磁性層34,34の上にストッパ層35、35、保護層36,36および電極層37,37が形成されている。
【0050】
電極層37,37上には、保護層38を介して上部ギャップ層39、上部シールド層40が積層されている。なお、前記第2反強磁性層34,34間のトラック幅方向の幅寸法は光学的トラック幅O−Twに等しくなっている。
【0051】
前記下部シールド層21及び上部シールド層40は、NiFeなどの磁性材料からなり、下部ギャップ層22及び上部ギャップ層39並びに絶縁層24、24はアルミナ(Al)またはSiOなどの絶縁性材料から形成されている。
【0052】
シード層23、25、25は、結晶構造がbcc(体心立方格子)構造の非磁性材料、例えばCrまたはfcc(面心立方格子)構造のNiFeCr合金、または非晶質に近い構造のTa、によって形成される。このシード層23、25,25によって、その上に積層される第1材料層28、第1フリー磁性層29、または第1反強磁性層26,26の結晶配向を整え、第1フリー磁性層29の軟磁気特性を向上させるとともに比抵抗を低下させることができる。また、第1反強磁性層26,26の結晶粒径を大きくし、ブロッキング温度の分布を改善することができる。
【0053】
第1反強磁性層26,26及び第2反強磁性層34,34は、PtMn合金、または、X―Mn(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ru,Os,のいずれか1種または2種以上の元素である)合金で、あるいはPt―Mn―X′(ただしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag,Os,Cr,Ni,Ar,Ne,Xe,Krのいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成する。
【0054】
これらの合金は、成膜直後の状態では、不規則系の面心立方構造(fcc)であるが、熱処理によってCuAuI型の規則型の面心正方構造(fct)に構造変態する。
【0055】
第1反強磁性層26,26及び第2反強磁性層34,34の膜厚は、80〜300Å、例えば200Åである。
【0056】
ここで、反強磁性層を形成するための、前記PtMn合金及び前記X−Mnの式で示される合金において、PtあるいはXが37〜63at%の範囲であることが好ましい。また、前記PtMn合金及び前記X−Mnの式で示される合金において、PtあるいはXが47〜57at%の範囲であることがより好ましい。特に規定しない限り、〜で示す数値範囲の上限と下限は以下、以上を意味する。
【0057】
また、Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’+Ptが37〜63at%の範囲であることが好ましい。また、前記Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’+Ptが47〜57at%の範囲であることがより好ましい。さらに、前記Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’が0.2〜10at%の範囲であることが好ましい。ただし、X’がPd,Ir,Rh,Ru,Osのいずれか1種または2種以上の元素である場合には、X’は0.2〜40at%の範囲であることが好ましい。
【0058】
これらの合金を使用し、これを熱処理することにより、大きな交換結合磁界を発生する反強磁性層を得ることができる。特に、PtMn合金であれば、48kA/m以上、例えば64kA/mを越える交換結合磁界を有し、前記交換結合磁界を失うブロッキング温度が380℃と極めて高い優れた第1反強磁性層25,25及び第2反強磁性層34,34を得ることができる。
【0059】
なお、本発明では、第1反強磁性層26,26と第2反強磁性層34,34を同じ組成比の前記PtMn合金、前記X―Mn合金、あるいは前記Pt―Mn―X′合金で形成しても、第1フリー磁性層29と第2フリー磁性層31の磁化方向を反平行方向あるいは交差する方向にすることができる。
【0060】
前記第1材料層28の膜厚は、前記第1反強磁性層26の膜厚よりも薄く形成されている。この膜厚は例えば5Å以上で50Å以下が好ましい。前記第1材料層28を前記膜厚で形成すると、前記第1材料層28の膜厚は非常に薄いために、前記第1間欠部27に形成された前記第1材料層28は、磁場中熱処理を施しても不規則格子から規則格子に変態できず、反強磁性を発揮しない不規則結晶構造の層の状態を維持する。
【0061】
前記第1フリー磁性層29及び第2フリー磁性層31は、強磁性材料により形成され、例えばNiFe合金、Co、CoFeNi合金、CoFe合金、CoNi合金などにより形成されるものであり、特にNiFe合金またはCoFe合金、CoFeNi合金により形成されることが好ましい。第1フリー磁性層29及び第2フリー磁性層31の膜厚は30Å〜50Å程度で形成されることが好ましい。また第1フリー磁性層29及び第2フリー磁性層31にCoFe合金が使用されるときの組成比は、例えばCoが90at%、Feが10at%である。
【0062】
また、第1フリー磁性層29及び第2フリー磁性層31は磁性層の2層または3層構造で形成されることが好ましい。2層構造のときは、例えば、NiFe/CoFe構造にして非磁性中間層30側にCoFeからなる層を設ける。3層構造の材質の組合わせとしては、例えばCoFe/NiFe/CoFeを提示できる。
【0063】
あるいは、第1フリー磁性層29及び第2フリー磁性層31が、非磁性中間層を介して積層された磁気的膜厚(Ms×t;飽和磁化と膜厚の積)が異なる磁性層からなる積層フェリ型のフリー磁性層であってもよい。
【0064】
前記非磁性中間層30は、第1フリー磁性層29と第2フリー磁性層31との磁気的な結合を防止する層であり、Cu,Cr,Au,Agなど導電性を有する非磁性材料により形成されることが好ましい。特にCuによって形成されることが好ましい。前記非磁性中間層30は例えば18〜30Å程度の膜厚で形成される。
【0065】
前記ストッパ層35,35はCrなどで形成され、前記保護層36,36はTaなどで形成される。
【0066】
前記電極層37,37はW,Ta,Cr,Cu,Rh,Ir,Ru,Auなどを材料として用いて形成することができる。電極層37,37の膜厚は300Å〜1000Åである。
【0067】
図1に示す磁気検出素子では、第1反強磁性層26、26の上に形成された第1フリー磁性層29の両側方部S、Sでは、前記第1反強磁性層26,26と前記第1フリー磁性層29の両側方部Sとの間に磁場中アニールにより交換異方性磁界が発生し、前記第1フリー磁性層29の両側方部Sの磁化方向がトラック幅方向(図示X方向)またはX方向と45°の角度をなす方向に固定されている。しかし、前記第1間欠部27、すなわち前記中央部Cでは、前記第1反強磁性層26が形成されておらず、前記第1材料層28が、不規則結晶構造を維持する膜厚で形成されており、反強磁性を発揮しない。したがって、前記第1フリー磁性層29は、前記素子両側部S、Sにおいては磁化が強固に固定されているが、前記中央部Cでの磁化は外部磁界によって磁化方向が変化するように揃えられている。
【0068】
また第2反強磁性層34、34の下に形成された第2フリー磁性層31の両側方部S,Sでは、前記第2反強磁性層34,34と第2フリー磁性層31の両側方部Sとの間に磁場中アニールにより交換結合磁界が発生し、前記第2フリー磁性層31の磁化方向が図示X方向と反平行方向またはX方向の反平行方向と45°の角度をなす方向に固定されている。しかし、前記第2間欠部33、すなわち前記中央部Cでは、前記第2反強磁性層34が形成されておらず、前記第2材料層32が、不規則結晶構造を維持する膜厚で形成されており、反強磁性を発揮しない。したがって、前記第2フリー磁性層31は、前記素子両側部S、Sにおいては磁化が強固に固定されているが、前記中央部での磁化は外部磁界によって磁化方向が変化するように揃えられている。
【0069】
図1に示される磁気検出素子では、第1フリー磁性層29の磁化方向はX方向と反平行方向を向いている。また、第2フリー磁性層31の磁化方向はX方向を向いている。図1に示す磁気検出素子20では、前記第1材料層28の上面および第1反強磁性層26の上面は連続した平坦化面で形成されており、従って前記第1材料層28の上面および第1反強磁性層26の上面に形成される前記第1フリー磁性層29およびこの第1フリー磁性層29の上に積層される第2フリー磁性層31を平坦化面上に形成することができる。仮に、前記第1フリー磁性層29および第2フリー磁性層31が平坦ではなく湾曲して形成されていると、湾曲部の側面付近で前記第1フリー磁性層29および前記第2フリー磁性層31の軟磁気特性が損われ易くなってしまう。
【0070】
また、前記磁気検出素子20の素子両側部S,Sでは、前記第1フリー磁性層29が前記第1反強磁性層26,26に直接接触しており、他の強磁性層を介して形成されておらず、また前記第1フリー磁性層29の上に積層される第2フリー磁性層31が前記第2反強磁性層34,34に直接接触しており、他の強磁性層を介して形成されていないため、前記第1フリー磁性層29および第2フリー磁性層31は、前記中央部Cでの磁化が前記他の強磁性層から余分な静磁界等を受けることがなく、前記中央部Cでの磁化は固定され難くなり、再生感度の向上を図ることが可能となる。
【0071】
また図1に示される磁気検出素子20では、後述する製造方法で詳しく説明するように、前記第1反強磁性層26はまず凹部21a内に埋め込み形成され、前記第1反強磁性層26の上面とシード層23上面とを平坦化した後、前記第1反強磁性層26上からシード層23上にかけて第1材料層28の成膜を行う。前記第1材料層28のうち、前記第1反強磁性層26の上面に形成された材料層28は磁場中アニールによって不規則格子から規則格子に変態して反強磁性を帯び、前記第1反強磁性層26と一体化する。ところで前記第1材料層28は前記第1フリー磁性層29と連続成膜されるものであるから、前記第1反強磁性層26の上に形成された第1材料層28は前記第1反強磁性層26と一体化して反強磁性層となるとともに、前記第1反強磁性層26と第1フリー磁性層29の両側方部S間に適度な大きさの交換結合磁界を生じさせることが可能になり、前記第1フリー磁性層29の両側方部Sの磁化をトラック幅方向に強固に固定することが可能になり、サイドリーディングの発生を抑制することが可能な磁気検出素子を製造することができる。
【0072】
また図1に示す磁気検出素子20では、素子中央部Cに膜厚の厚い反強磁性層が存在せず、さらに前記第1フリー磁性層29の上に形成される第1非磁性中間層30も、平坦化された前記第1フリー磁性層29の上に均一な膜厚で形成できるので、素子中央部Cにおける磁気検出素子全体での膜厚を薄くでき、ギャップ長G1を小さくできる。なお、ギャップ長G1とは、中央部Cにおける下部シールド層21と上部シールド層40間距離である。
【0073】
図2は、第1フリー磁性層29と第2フリー磁性層31の前記素子中央部Cの模式的な平面図である。外部磁界が印加されていない状態で、第1フリー磁性層29と第2フリー磁性層31の中央部Cの磁化方向は点線で示されるJ1及びJ2方向を向いており、互いに反平行方向に揃えられている。
【0074】
外部磁界Hが図示Y方向に与えられると、中央部Cにおいて第1フリー磁性層29の磁化方向と第2フリー磁性層31の磁化方向の両方が外部磁界によって変動してそれぞれ図示J1a方向及び図示J2a方向を向く。このように、第1フリー磁性層29の磁化方向と第2フリー磁性層31の磁化方向の相対角度が変化すると、磁気検出素子の電気抵抗値が変化する。磁気検出素子の電気抵抗値変化を電流変化または電圧変化として取り出すことにより、外部磁界を検出する。
【0075】
ただし、外部磁界が印加されていない状態の第1フリー磁性層29と第2フリー磁性層31の磁化方向は、図3に示されるように交差している方が、出力の対称性(シンメトリー)及び大きさが良好になるので好ましい。
【0076】
第1フリー磁性層29と第2フリー磁性層31の磁化方向を交差させる方法として、硬磁性材料からなるバイアス層を用いる方法がある。
【0077】
図4は、第1フリー磁性層29、非磁性中間層30及び第2フリー磁性層31の積層部をAとして、この積層部Aと、積層部Aのハイト方向後方(図示Y方向)に形成された硬磁性材料からなるハードバイアス層41を図1の上方向からみた平面図である。また、図5は、積層部A及びハードバイアス層41と、その上下に形成されている層の縦断面図である。なお、図5では、シード層23の図示を省略している。
【0078】
積層部Aとハードバイアス層41の間には、アルミナやSiOからなる絶縁層42が介在している。積層部Aに、ハードバイアス層41から静磁界が与えられて、第1フリー磁性層29の中央部Cの磁化方向と、第2フリー磁性層31の中央部Cの磁化方向が図示Y方向に回転して、互いに交差した状態になる。
【0079】
ハードバイアス層41は、少なくとも第1フリー磁性層29と第2フリー磁性層31の中央部Cの後方に形成されていることが好ましい。図4では、第1フリー磁性層29と第2フリー磁性層31の中央部Cの両側端部S,Sの後方にも形成されている。ただし、ハードバイアス層41を第1フリー磁性層29と第2フリー磁性層31の両側端部S,Sの後方にも形成するときには、ハードバイアス層41と電極層37,37間の電気的絶縁をとる必要がある。
【0080】
ところで図1に示す磁気検出素子20は、電極層37,37から磁気検出素子内に流れる電流が、各層の膜面に対して平行な方向に流れるCIP(current in the plane)型の磁気検出素子と呼ばれる構造である。
【0081】
一方、本発明の磁気検出素子には、磁気検出素子の上下に電極層が設けられ、前記電極層から磁気検出素子内に流れる電流が各層の膜面に対し垂直方向に流れるCPP(current perpendicular to the plane)型と呼ばれる構造のものも含まれる。
【0082】
図6は、図1に示された磁気検出素子20と同じ積層構造を有するCPP型の磁気検出素子を示す図である。
【0083】
図6に示される磁気検出素子120が図1に示される磁気検出素子20と異なる点は以下に示す2点である。すなわち、下部ギャップ層22が形成されずに、下部シールド層21がシード層23を介して第1フリー磁性層29と導通しており、この下部シールド層21が電極層を兼ねていることと、第2反強磁性層34、34の上に形成されたストッパ層35,35および保護層36,36を介してトラック幅方向に間隔を開けて一対の絶縁層150,150が積層されたその上に上部ギャップ層を介さずに上部シールド層40が積層されて、この上部シールド層40が電極層を兼ねている点である。
【0084】
CPP型の磁気検出素子は、光学的トラック幅を0.1μm以下にしても高い磁気抵抗効果を発揮すると考えられており、狭トラック化に適した構造である。
【0085】
なお、図1または図6に示された磁気検出素子20,120の第1フリー磁性層29の磁化方向と第2フリー磁性層31の磁化方向が、トラック幅方向から角度を持った方向にそろえられつつ、互いに交叉していてもよい。
【0086】
次に、図1に示された磁気検出素子の製造方法を説明する。
図7から図13は図1の磁気検出素子の製造工程を示す工程図であり、各工程は記録媒体との対向面側から見た部分断面図で示されている。なお、図7から図13において、図1の各層と同一の符号をつけられた層は、同一の材料で作られている。
【0087】
図7に示される工程では、下部シールド層21、下部ギャップ層22上にシード層23を成膜し、前記シード層23の上に保護層60を成膜する。この保護層60は前記シード層23などを酸化から防止するためのものであり、例えばCrなどで形成できる。この保護層60は3Å〜10Å程度の膜厚で形成できる。ただし、前記保護層60は形成しなくても良いが、この場合には、後記する図9に示す工程でミリングされる分を見込んで、前記シード層23を厚めに成膜する。
【0088】
次に、シード層23の中央部(トラック幅領域)C上を覆うリフトオフ用のレジスト層R1を形成する。このとき大気に暴露されるが、前記保護層60によって前記シード層23などが大気による酸化から保護される。また、前記保護層60を成膜していない場合には、前記シード層23の表面が酸化される。
【0089】
次に、イオンミリングによってシード層23、下部ギャップ層22及び下部シールド層21の両側端部S,Sを図7に示される点線に沿って削り、下部シールド層21に凹部21a,21aを形成する。下部シールド層21に形成される凹部21a,21aの側面と底面のなす角θ1は90°より大きく120°以下であることが好ましい。
【0090】
なお、図7工程におけるイオンミリングの入射角度は、シード層の表面に対して、例えば70°〜90°である。
【0091】
次に、図8工程では、レジスト層R1を前記保護層60上に残したまま、下部シールド層21に形成された凹部21a,21a内に絶縁層24,24、シード層25,25、第1反強磁性層26b,26b、および第1非磁性層61をスパッタ法によって連続成膜する。したがって、前記第1反強磁性層26b,26bは前記凹部21a,21aの間に形成された第1間欠部27を介して一対に形成されることになる。スパッタ法には、イオンビームスパッタ法、ロングスロースパッタ法、あるいはコリメーションスパッタ法のいずれか1種以上が使える。なお、この際前記レジスト層R1にも、絶縁層24、シード層25、第1反強磁性層26bおよび第1非磁性層61が付着する。
【0092】
絶縁層24,24、およびシード層25,25の成膜時のスパッタ入射角度は、シード層23の表面(または前記基板の表面)に対して、例えば30°〜70°であり、第1反強磁性層26b,26b成膜時のスパッタ入射角度は、シード層23の表面(または前記基板の表面)に対して、例えば50°〜90°である。
【0093】
前記第1非磁性層61は、次の図9に述べる工程まで、前記第1反強磁性層26b,26bを酸化から防止するための保護層として機能するものであり、Ru、Re、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Rh、Cuのいずれか1種または2種以上から成る貴金属および/またはCrからなる。この第1非磁性層61は3Å〜10Å程度の膜厚で形成することができる。
【0094】
次に図9に示す工程では、レジスト層R1を除去し、前記保護層60および前記第1非磁性層61を、イオンミリングで削り、前記シード層23の表面及び是記第1反強磁性層26b,26bの表面を露出させる。このイオンミリング工程では、低エネルギーのイオンミリングを使用できる。その理由は、前記保護層60および前記第1非磁性層61が3Å〜10Å程度の非常に薄い膜厚で形成されているため、前記保護層60および前記第1非磁性層61のみを除去するように制御し易くするためである。
【0095】
低エネルギーのイオンミリングとは、ビーム電圧(加速電圧)が1000V未満のイオンビームを用いたイオンミリングであると定義される。例えば、100V〜500Vのビーム電圧が用いられる。本実施の形態では、200Vの低ビーム電圧のアルゴン(Ar)イオンビームを用いている。
【0096】
なお、前記図7に示す工程で前記保護層60を成膜していない場合には、前記第1非磁性層61をミリングする際に、前記シード層23の表面をミリングする。このシード層23はNiFeCr合金、bcc(体心立方格子)構造の結晶構造、または非晶質に近い構造のCrによって形成されており酸化され難い、若しくは酸化されても酸化が深く進行しないため、前記第1非磁性層61をミリングする際に前記シード層23の表面に形成された酸化層も除去される。
【0097】
前記低エネルギーイオンミリングによって露出された前記第1反強磁性層26b,26bの上面26a,26a、および前記シード層23の上面23aは平坦に形成される。
【0098】
次に、前記低エネルギーイオンミリングから真空状態を保持したまま、図10に示すように、第1材料層28、第1フリー磁性層29、非磁性中間層30、第2フリー磁性層31、第2材料層32および第2非磁性層62を連続成膜する。前記第1材料層28の膜厚は、前記第1反強磁性層26bの膜厚よりも薄く形成されている。同様に第2材料層32の膜厚は後述する第2反強磁性層34bの膜厚よりも薄く形成される。具体的には前記第1材料層28および第2材料層32の膜厚は5Å以上で50Å以下の範囲内であることが好ましい。前記第1材料層28は、前記第1反強磁性層26bと同じ組成で、前記第2材料層32は後述する第2反強磁性層34bと同じ組成で形成される。
【0099】
前記第2非磁性層62は、Ru、Re、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Rh、Cuのいずれか1種または2種以上から成る貴金属および/またはCrからなる。前記第2非磁性層62の膜厚は3Å〜10Åの範囲内である。
【0100】
前記第1材料層28は、前記第1反強磁性層26b,26bの上面26a,26a、および前記シード層23の上面23aによって形成された平坦面の上に形成されるため、前記第1材料層28の上面28aも平坦に形成される。従って、前記第1材料層28の上に形成される第1フリー磁性層29や第2フリー磁性層31も平坦に形成される。さらに、非磁性中間層30も平坦に形成される。
【0101】
また、前記第1フリー磁性層29の上に形成される非磁性中間層30も、平坦化された前記第1フリー磁性層29の上に均一な膜厚で形成できるので、素子中央部Cでの磁気検出素子全体での膜厚を小さく抑えることができる。
【0102】
その後、第1の磁場中アニールを行う。トラック幅方向(図示X方向)に第1の磁界を印加しつつ、第1の熱処理温度で熱処理を行う。このとき、前記第1材料層28は磁場中熱処理を施されることで、前記第1反強磁性層26b、26bの上、すなわち前記両側方部S、Sでは、前記第1反強磁性層26b,26bとともに少なくとも一部の不規則格子が規則格子に変態し、反強磁性を帯びる。
【0103】
すなわち前記第1の磁場中アニールを施すことで、前記第1反強磁性層26b上に形成された第1材料層28は前記第1反強磁性層26bと一体化し、第1反強磁性層26bと第1材料層28を合わせた第1反強磁性層26が構成され、前記第1反強磁性層26と前記第1フリー磁性層29との間で交換結合磁界Hexが生じ、前記第1フリー磁性層29の前記第1反強磁性層26と接する両側方部Sの磁化はトラック幅方向またはX方向と45°の角度をなす方向に固定される。なお例えば第1の熱処理温度を270℃とし、磁界の大きさを800k(A/m)とする。
【0104】
なお、前記第1間欠部27、すなわち素子中央部Cでは、前記第1材料層28の膜厚は50Å以下と非常に薄いために、第1の磁場中アニールを施しても不規則格子から規則格子に変態できず、反強磁性を発揮しない不規則結晶構造の層の状態を維持する。したがって、前記両側方部S,Sでは前記第1材料層28が第1反強磁性層26bとともに規則化変態して一体化した第1反強磁性層26,26と前記第1フリー磁性層29との間に交換異方性磁界を発生させ、前記第1フリー磁性層29の磁化方向がトラック幅方向またはトラック幅方向と45°の角度をなす方向に固定されるものの、前記第1間欠部27、すなわち前記素子中央部Cでは、前記第1反強磁性層26bが形成されておらず、前記第1材料層28のみが、不規則結晶構造を維持する膜厚で形成されており、反強磁性を発揮しないため、前記第1フリー磁性層29は、前記素子両側部S、Sにおいては磁化が強固に固定されているが、前記素子中央部Cでの磁化は外部磁界によって磁化方向が変化するように揃えられる。
【0105】
図10工程では、前記第1材料層28と前記第1フリー磁性層29とが連続成膜される。ここで、一般的に、反強磁性層と強磁性層(フリー磁性層)との間で交換結合磁界を発生させるには、両層の原子が原子レベルの接触をしていることが必用であり、両層の界面に余分な物質原子が存在していないことが必要である。しかし、反強磁性層の上に強磁性層(フリー磁性層)を成膜する際に、連続して行わず、反強磁性層を大気に暴露させた後に強磁性層(フリー磁性層)を成膜すると、両層の界面には酸化物などの余分な物質原子が存在することとなるため、両層の間に良好な交換結合磁界を発生させることができない。
【0106】
本発明の製造方法では、前記第1反強磁性層26b,26bの上に前記第1非磁性層61を成膜した後に、前記第1非磁性層61で前記第1反強磁性層26b,26bを酸化から保護し、その後真空中で前記第1非磁性層61を除去した後、連続して前記第1材料層28および第1フリー磁性層29を成膜でき、磁場中アニールによって前記第1反強磁性層26b上に形成された第1材料層28に反強磁性を帯びさせることができるため、第1フリー磁性層29の両側方部Sとの間で適切な大きさの交換結合磁界を生じさせることが可能になる。
【0107】
次に図11に示す工程では、前記第2非磁性層62をイオンミリングで削り、前記第2材料層32の表面を露出させる。このイオンミリング工程では、低エネルギーのイオンミリングを使用できる。その理由は、前記第2非磁性層62が3Å〜10Å程度の非常に薄い膜厚で形成されているため、前記第2非磁性層62のみを除去するように制御し易くするためである。
【0108】
低エネルギーのイオンミリングとは、ビーム電圧(加速電圧)が1000V未満のイオンビームを用いたイオンミリングであると定義される。例えば、100V〜500Vのビーム電圧が用いられる。本実施の形態では、200Vの低ビーム電圧のアルゴン(Ar)イオンビームを用いている。
【0109】
次に、前記低エネルギーイオンミリングから真空状態を保持したまま、図12に示すように、前記第2反強磁性層34b、ストッパ層35、保護層36、電極層37、および保護層38を連続成膜する。このとき、前記第2反強磁性層34bの膜厚は、前記第2材料層32の膜厚よりも厚く形成される。
【0110】
次に、図13に示す工程では、前記保護層38のトラック幅方向の両側端部上に、所定間隔Dを空けて一対のマスク層63、63を設ける。前記マスク層63、63はCrなどのメタル層であってもよいし、レジスト層であってもよい。
【0111】
図13に示すように、前記マスク層63と63間のトラック幅方向における間隔内から露出する保護層38、電極層37及び保護層36を、図示破線で示すようにリアクティブ・イオン・エッチング(RIE)で除去する。エッチングガスとして、CFやCあるいはArとCFの混合ガス、またはCとArとの混合ガスを使用する。前記RIEにより、前記電極層37は磁気検出素子20のトラック幅方向における両側端部にのみ残される。前記RIE工程はストッパ層35が前記間隔D内から露出すると終了される。
【0112】
次に、露出しているストッパ層35、第2の反強磁性層34bを、図示破線で示すようにイオンミリングで除去し、前記第2材料層32の表面を露出させる。このイオンミリング時の削り込み量はSIMS分析計によって制御することが可能である。前記第2材料層32が露出した時点でイオンミリングを止める。なお前記イオンミリングは前記第2フリー磁性層31の上面が露出するまで行ってもよい。なおこのイオンミリング工程でマスク層63も削られる。このイオンミリング工程で、前記第2反強磁性層34bはトラック幅方向に所定間隔の第2間欠部33を介して、前記側端部S,Sに残される。
【0113】
その後に図1に示す上部ギャップ層39や上部シールド層40を成膜し、第2の磁場中アニールを行う。トラック幅方向と反平行、またはトラック幅方向の反平行方向と45°の角度をなす方向に第2の磁界を印加しつつ、第2の熱処理温度で熱処理を行う。これにより前記第2反強磁性層34b下の第2材料層32は、前記第2反強磁性層34bとともに不規則格子から規則化変態し、前記第2反強磁性層34bと第2材料層32とが一体化した第2反強磁性層34となる。前記第2の磁場中アニールによって、第2反強磁性層34bと第2材料層32とが一体化した第2反強磁性層34と前記第2フリー磁性層31との間には交換結合磁界が生じ、前記第2フリー磁性層31の磁化をトラック幅方向と反平行またはトラック幅方向に反平行方向と45°の角度をなす方向に固定することができる。なお例えば第2の熱処理温度を270℃とし、磁界の大きさを8から30k(A/m)、例えば24k(A/m)とする。このように、第2の磁場中アニールでの磁界の大きさは、前記第1の磁場中アニールでの磁界よりも小さくすることが好ましい。このようにすることで、第2の磁場中アニールの際、前記第1の磁場中アニールで固定した前記第1フリー磁性層29の磁化方向を変化させることなく固定させておくことができる。
【0114】
なお前記第2間欠部33、すなわち前記素子中央部Cでの前記第2材料層32の膜厚は非常に薄いために、第2の磁場中アニールを施しても不規則格子から規則格子に変態できず、反強磁性を発揮しない不規則結晶構造の層の状態を維持する。したがって、前記両側方部S、Sでは第2反強磁性層34b,34bと第2材料層32とが一体化した第2反強磁性層34と前記第2フリー磁性層31との間に交換異方性磁界を発生させて、前記第2フリー磁性層31の磁化方向をトラック幅方向と反平行、またはトラック幅方向に反平行方向と45°の角度をなす方向に固定できるとともに、前記第2間欠部33、すなわち前記素子中央部Cでは、前記第2反強磁性層34が形成されておらず、前記第2材料層32のみが、不規則結晶構造を維持する膜厚で形成されており、反強磁性を発揮しないため、前記第2フリー磁性層31の前記中央部Cでの磁化を外部磁界によって磁化方向が変化するように弱く単磁区化することができる。
【0115】
本発明の製造方法では、前記第2フリー磁性層31と前記第2材料層32とを真空中で連続して成膜した後に、前記第2非磁性層62で前記第2材料層32を酸化から保護し、その後真空中で前記第2非磁性層62を除去した後、前記第2材料層32上に第2反強磁性層34bを成膜しており、磁場中アニールによって第2フリー磁性層31の両側方部S上に形成された第2材料層32に反強磁性を帯びさせることができるため、前記第2フリー磁性層31の両側方部Sとの間で適切な大きさの交換結合磁界を生じさせることが可能となる。
【0116】
以上図1に示す磁気検出素子20の製造方法について説明したが、図6に示すCPP型の磁気検出素子120を製造するには、図7に示す工程で前記下部ギャップ層22を成膜せずに、前記下部シールド層21の上に前記シード層23を成膜し、図12に示す工程で前記電極層37および保護層38を成膜せず、さらに図13に示す工程で前記保護層36、36の上から前記第2反強磁性層34,34の側面34a,34aにかけて絶縁層150を形成した後、電極層を兼ねた上部シールド層40を形成すれば良い。
【0117】
なお、図1に示す前記磁気検出素子20や図6に示す磁気検出素子120では、前記第1反強磁性層26,26および前記第1材料層28の上面が連続した平坦面である場合を例にして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、前記第1反強磁性層26,26および前記第1材料層28の上面が湾曲した連続面に形成されるものであっても良い。
【0118】
このように前記磁気検出素子20,120を構成しても、前記第1材料層28が前記第1フリー磁性層29と連続成膜されるため、前記第1反強磁性層26の上に形成された第1材料層28は前記第1反強磁性層26と一体化して反強磁性層となるとともに、前記第1反強磁性層26と第1フリー磁性層29の両側方部S間に適度な大きさの交換結合磁界を生じさせることが可能になり、前記第1フリー磁性層29の両側方部S,Sの磁化をトラック幅方向に強固に固定することが可能になり、サイドリーディングの発生を抑制することが可能な磁気検出素子を製造することができる。また素子中央部Cに膜厚の厚い反強磁性層が存在しないため、素子中央部Cにおける磁気検出素子全体での膜厚を薄くでき、ギャップ長G1を小さくできる。
【0119】
【発明の効果】
以上詳細に説明した本発明の磁気検出素子は、第1反強磁性層の上面および前記第1間欠部の上面と前記第1フリー磁性層の下面との間には、前記第1反強磁性層と同じ組成の第1材料層が前記第1反強磁性層よりも薄い膜厚により形成されているため、第1材料層と第1フリー磁性層を連続して成膜できることから交換結合磁界を強くすることができる。また、第1材料層の上面を平坦に形成し、前記第1フリー磁性層およびこの第1フリー磁性層の上に積層される第2フリー磁性層も平坦に形成することができる。したがって、サイドリーディングを防止することができるとともに再生感度の向上を図れ、狭ギャップ化に適切に対応可能な磁気検出素子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の磁気検出素子の部分断面図、
【図2】本発明の磁気検出素子の動作原理を説明するための模式図、
【図3】本発明の磁気検出素子の動作原理を説明するための模式図、
【図4】ハードバイアス層が設けられた本発明の磁気検出素子の部分平面図、
【図5】ハードバイアス層が設けられた本発明の磁気検出素子の部分断面図、
【図6】本発明の第2の実施の形態の磁気検出素子の部分断面図、
【図7】図1に示す磁気検出素子の製造方法を示す一工程図、
【図8】図7の次に行なわれる一工程図、
【図9】図8の次に行なわれる一工程図、
【図10】図9の次に行なわれる一工程図、
【図11】図10の次に行なわれる一工程図、
【図12】図11の次に行なわれる一工程図、
【図13】図12の次に行なわれる一工程図、
【符号の説明】
20 磁気検出素子
21 下部シールド層
22 下部ギャップ層
23 シード層
26 第1反強磁性層
27 第1間欠部
28 第1材料層
28a 上面
29 第1フリー磁性層
30 非磁性中間層
31 第2フリー磁性層
32 第2材料層
33 第2間欠部
34 第2反強磁性層
37 電極層
39 上部ギャップ層
40 上部シールド層
60 保護層
61 第1非磁性層
62 第2非磁性層
120 磁気検出素子
150 絶縁層
C 中央部
S 両側端部

Claims (13)

  1. トラック幅方向に所定間隔の間欠部を有して形成された一対の第1反強磁性層と、前記間欠部に前記第1反強磁性層と同じ組成で且つ前記第1反強磁性層よりも薄い膜厚で形成された不規則結晶構造を有する第1材料層と、前記第1反強磁性層および第1材料層上に下から順に積層された第1フリー磁性層と非磁性中間層と第2フリー磁性層と、前記第2フリー磁性層の上にトラック幅方向に所定間隔の間欠部を介して形成された一対の第2反強磁性層と、を有し、
    前記第1反強磁性層および第1材料層の上面は連続面であり、この連続面上に前記第1フリー磁性層が設けられており、
    外部磁界により前記第1フリー磁性層および第2フリー磁性層の磁化方向が変わることによって抵抗値が変化することを特徴とする磁気検出素子。
  2. 一対の第2反強磁性層の間に形成された間欠部には、前記第2反強磁性層と同じ組成の第2材料層が前記第2フリー磁性層と接して形成されており、前記第2材料層は、前記第2反強磁性層よりも薄い膜厚で形成された不規則結晶構造の層である請求項1記載の磁気検出素子。
  3. 前記第1材料層の膜厚は5Å以上で50Å以下である請求項2記載の磁気検出素子。
  4. 前記第2材料層の膜厚は5Å以上で50Å以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の磁気検出素子。
  5. 前記第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層のハイト方向後方に、絶縁層を介して、硬磁性材料からなるバイアス層が形成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の磁気検出素子。
  6. 前記連続面は平坦化面である請求項1ないし5のいずれかに記載の磁気検出素子。
  7. 以下の工程を有することを特徴とする磁気検出素子の製造方法、
    (a)基板のトラック幅方向における両側に所定深さの凹部を設ける工程と、
    (b)前記凹部内に第1反強磁性層を形成し、前記第1反強磁性層上に貴金属および/またはCrからなる第1非磁性層を連続成膜する工程と、
    (c)前記第1非磁性層を除去して、前記第1反強磁性層の上面と前記第1反強磁性層間の基板上面を露出し、前記第1反強磁性層の上面から前記基板の上面にかけて前記第1の反強磁性層と同じ組成でありかつ不規則結晶構造の第1材料層を前記第1反強磁性層の膜厚よりも薄い膜厚で形成し、前記第1反強磁性層の上に重ねられた第1材料層を前記第1反強磁性層の一部として構成し、
    (d)前記第1材料層および第1反強磁性層上に下から第1フリー磁性層、非磁性中間層、第2フリー磁性層の順に形成するとともに、第1の磁場中アニールにより、前記第1反強磁性層と前記第1フリー磁性層間に交換結合磁界を生じさせ、前記第1フリー磁性層の磁化方向を所定の方向に揃える工程と、
    (e)前記第2フリー磁性層の上に、トラック幅方向に所定の間隔の間欠部を介して形成された一対の第2反強磁性層を形成するとともに、第2の磁場中アニールにより、前記第2フリー磁性層の磁化を前記第1フリー磁性層の磁化方向と反平行方向、または交叉する方向に揃える工程。
  8. 前記(d)工程で、前記第2フリー磁性層の上に、前記第2反強磁性層と同じ組成で形成される不規則結晶構造の第2材料層を前記第2反強磁性層よりも薄い膜厚で形成し、さらに前記第2材料層の上に貴金属および/またはCrからなる第2非磁性層を形成した後、前記第1の磁場中アニールを施し、
    前記(e)工程で、前記第2非磁性層を除去した後、前記第2材料層上に少なくとも第2反強磁性層を形成し、前記第2反強磁性層の上に直接的にあるいは他の層を介してトラック幅方向に所定の間隔を空けたマスク層を形成し、このマスク層に覆われていない前記第2反強磁性層を除去して、その除去された間隔内から前記第2材料層を露出させ、その後、前記第2の磁場中アニールを施す請求項7記載の磁気検出素子の製造方法。
  9. 前記(b)工程および/または前記(d)工程での前記貴金属を、Ru、Re、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Rh、Cuのいずれか1種または2種以上から選択する請求項7または8に記載の磁気検出素子の製造方法。
  10. 前記(b)工程および/または前記(d)工程での、前記第1非磁性層および第2非磁性層を3Å以上10Å以下の膜厚で形成する請求項7ないし9のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  11. 前記(c)工程および(d)工程での、前記第1材料層および第2材料層を5Å以上50Å以下の膜厚で形成する請求項7ないし10のいずれかに記載の磁気検出素子。
  12. 前記(e)工程の後、前記第1フリー磁性層および第2フリー磁性層のハイト方向後方に、絶縁層を介して、硬磁性材料からなるバイアス層を形成する工程を有する請求項7ないし11のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  13. 前記(c)工程で、露出した前記第1反強磁性層の上面および前記第1反強磁性層間の基板の上面を連続した平坦化面に形成する請求項7ないし12のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
JP2003006633A 2003-01-15 2003-01-15 磁気検出素子及びその製造方法 Ceased JP2004221303A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003006633A JP2004221303A (ja) 2003-01-15 2003-01-15 磁気検出素子及びその製造方法
US10/755,698 US7212383B2 (en) 2003-01-15 2004-01-12 Magnetic sensing element including a pair of antiferromagnetic layers separated by spacer section in track width direction and method for fabricating same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003006633A JP2004221303A (ja) 2003-01-15 2003-01-15 磁気検出素子及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004221303A true JP2004221303A (ja) 2004-08-05

Family

ID=32709081

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003006633A Ceased JP2004221303A (ja) 2003-01-15 2003-01-15 磁気検出素子及びその製造方法

Country Status (2)

Country Link
US (1) US7212383B2 (ja)
JP (1) JP2004221303A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7916429B2 (en) 2007-07-30 2011-03-29 Tdk Corporation Magnetic field detecting element having thin stack with a plurality of free layers and thick bias magnetic layer
JP2013062017A (ja) * 2011-09-13 2013-04-04 Seagate Technology Llc 傾斜した一軸異方性が調整された装置およびセンサ、ならびに傾斜した一軸異方性を調整する方法

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4016857B2 (ja) * 2002-10-18 2007-12-05 ヤマハ株式会社 磁気センサ及びその製造方法
JP2005259976A (ja) * 2004-03-11 2005-09-22 Toshiba Corp 磁気抵抗効果素子、磁気ヘッドおよび磁気記録再生装置
US7324310B2 (en) * 2004-04-30 2008-01-29 Hitachi Global Storage Technologies Netherlands B.V. Self-pinned dual CPP sensor exchange pinned at stripe back-end to avoid amplitude flipping
US8582250B2 (en) * 2009-12-04 2013-11-12 Seagate Technology Llc Double biasing for trilayer MR sensors
JP2014157649A (ja) * 2013-02-18 2014-08-28 Toshiba Corp 磁気抵抗効果素子、磁気ヘッド、磁気ヘッドアセンブリ及び磁気記録再生装置
GB2516617B (en) 2013-06-12 2018-02-21 Analog Devices Global Communication unit or method for identifying a connectivity relationship between a logical channel and an antenna element of an active antenna system

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6134090A (en) 1998-03-20 2000-10-17 Seagate Technology Llc Enhanced spin-valve/GMR magnetic sensor with an insulating boundary layer
US6023395A (en) 1998-05-29 2000-02-08 International Business Machines Corporation Magnetic tunnel junction magnetoresistive sensor with in-stack biasing
US6411478B1 (en) 1999-02-11 2002-06-25 Seagate Technology Llc Spin tunnel junction recording heads using an edge junction structure with CIP
US6396668B1 (en) 2000-03-24 2002-05-28 Seagate Technology Llc Planar double spin valve read head

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7916429B2 (en) 2007-07-30 2011-03-29 Tdk Corporation Magnetic field detecting element having thin stack with a plurality of free layers and thick bias magnetic layer
JP2013062017A (ja) * 2011-09-13 2013-04-04 Seagate Technology Llc 傾斜した一軸異方性が調整された装置およびセンサ、ならびに傾斜した一軸異方性を調整する方法
US8755154B2 (en) 2011-09-13 2014-06-17 Seagate Technology Llc Tuned angled uniaxial anisotropy in trilayer magnetic sensors

Also Published As

Publication number Publication date
US20040141257A1 (en) 2004-07-22
US7212383B2 (en) 2007-05-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4002909B2 (ja) Cpp型巨大磁気抵抗効果ヘッド
JP3961496B2 (ja) Cpp型巨大磁気抵抗効果ヘッド
JP3961497B2 (ja) Cpp型巨大磁気抵抗効果ヘッド
JP3974587B2 (ja) Cpp型巨大磁気抵抗効果ヘッド
JP3793725B2 (ja) 磁気検出素子及びその製造方法並びに前記磁気検出素子を用いた磁気検出装置
JPH10112562A (ja) 磁気抵抗効果型センサおよびその製造方法とそのセンサを備えた磁気ヘッド
JP3908557B2 (ja) 磁気検出素子の製造方法
JP2003332649A (ja) 磁気検出素子
JP2004186659A (ja) 磁気検出素子
US7045224B2 (en) Magnetic detecting element having antiferromagnetic film having predetermined space in track width direction and method for manufacturing the same
JP3973495B2 (ja) 磁気ヘッド及びその製造方法
JP2004031547A (ja) 磁気検出素子及びその製造方法
JP2004054962A (ja) 磁気検出素子及びその製造方法
JP2004221303A (ja) 磁気検出素子及びその製造方法
JP3699000B2 (ja) スピンバルブ型薄膜素子およびその製造方法
JP2005101423A (ja) 磁気検出素子およびその製造方法
JP4226280B2 (ja) 磁気検出素子及びその製造方法
JP3872958B2 (ja) 磁気抵抗効果素子及びその製造方法
JP2004119755A (ja) 磁気検出素子及びその製造方法
JP4303920B2 (ja) 磁気検出素子及びその製造方法
JP3889276B2 (ja) 磁気検出素子
JP2006114530A (ja) 磁気検出素子、およびその製造方法
JP3973528B2 (ja) 磁気検出素子及びその製造方法
JP2001084530A (ja) 磁気抵抗効果素子及びその製造方法
JP4204267B2 (ja) 磁気検出素子及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051202

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20080108

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20080111

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20080111

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090106

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090306

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090331

A045 Written measure of dismissal of application [lapsed due to lack of payment]

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A045

Effective date: 20090728