JP2003086861A - 磁気検出素子及びその製造方法 - Google Patents

磁気検出素子及びその製造方法

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JP2003086861A JP2001279195A JP2001279195A JP2003086861A JP 2003086861 A JP2003086861 A JP 2003086861A JP 2001279195 A JP2001279195 A JP 2001279195A JP 2001279195 A JP2001279195 A JP 2001279195A JP 2003086861 A JP2003086861 A JP 2003086861A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハードバイアス層によってフリー磁性層に縦
バイアス磁界を与えるCPP型の磁気検出素子におい
て、スピンバルブ多層膜とハードバイアス層の電気的絶
縁を確実にとることのできる磁気検出素子を提供する。 【解決手段】 多層膜T1のトラック幅方向における側
端面T1s,T1sに、ハードバイアス層(縦バイアス
層)と多層膜T1を電気的に絶縁する絶縁酸化膜32,
32を設けることにより、縦バイアス層と多層膜T1の
側端面T1s,T1sの電気的絶縁を確実にとることが
でき、磁気検出素子の出力を容易に向上させることがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、CPP(current
perpendicular to the plane)型の磁気検出素子に
係り、特に、検出電流の分流を防いで、磁界検出感度を
向上させることのできる磁気検出素子及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】図16は従来の磁気検出素子を記録媒体
からの対向面側からみた断面図である。
【0003】基板(図示せず)上に、NiFeなどから
なる下部シールド層1、Cuなどからなる下部電極層2
が形成されている。さらに、下部電極層2の上に、下地
層3、シード層4、反強磁性層5、第1固定磁性層6
a、非磁性中間層6b、第2固定磁性層6cからなる固
定磁性層6、非磁性材料層7、第2フリー磁性層8a、
非磁性中間層8b、第1フリー磁性層8cからなるフリ
ー磁性層8、及び保護層9からなる多層膜Tが積層され
ている。
【0004】第1フリー磁性層8c、第2フリー磁性層
8a、第1固定磁性層6a、第2固定磁性層6cは、N
iFeなどの磁性材料で形成される。また、非磁性材料
層7はCuなどの導電性材料で形成され、非磁性中間層
6b及び8bはRuなどで形成される。
【0005】また、下地層3及び保護層9はTa等、シ
ード層4はNiFe等、反強磁性層5はPtMnによっ
て形成されている。
【0006】多層膜Tの上層には、Cuなどからなる上
部電極層10及びNiFeなどからなる上部シールド層
11が積層されている。
【0007】多層膜Tの両側領域には、フリー磁性層8
に対向する位置にCoPtなどの硬磁性材料からなるハ
ードバイアス層13,13が形成されている。ハードバ
イアス層13,13の上層と下層には、絶縁層12,1
2及び絶縁層14,14が形成されており、下部電極層
2及び上部電極層10と多層膜Tの側端面Ts,Ts間
の電気的絶縁をとっている。
【0008】図16に示される磁気検出素子は、いわゆ
るCPP(current perpendicularto the plane)型
の磁気検出素子であり、センス電流が多層膜Tの各膜面
に対し垂直方向に流されるものである。
【0009】検出対象の磁界(外部磁界)が磁気検出素
子に印加される前の状態において、固定磁性層6の磁化
方向とフリー磁性層8の磁化方向は、所定の角度をなし
ている。この状態の磁気検出素子に外部磁界が印加され
ると、フリー磁性層8の磁化方向が回転し、固定磁性層
6の磁化方向とフリー磁性層8の磁化方向の相対角度が
変化して、磁気検出素子の直流抵抗値及び出力電圧が変
化する。
【0010】CPP型の磁気検出素子は、多層膜Tの各
膜面に対しほぼ水平方向にセンス電流が流されるCIP
(current in the plane)型の磁気検出素子と比べ
て、発熱量(P)を一定として、前記多層膜Tの各膜面
の面積を小さくしたときの、抵抗変化量ΔR及び出力Δ
Vを大きくすることができる。
【0011】すなわち、素子サイズを小さくしていく
と、CIP型よりもCPP型にする方が出力を大きくで
き、CPP型は、今後の高記録密度化に伴う素子サイズ
の狭小化に適切に対応できる構造であると期待されてい
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】CPP型の磁気検出素
子は、多層膜Tを構成する各層の膜面垂直方向に検出電
流を流す構造のため、多層膜Tの側端面Ts,Tsから
検出電流が洩れて分流すると、検出電流の電流密度が減
少し、磁気検出素子の出力を向上させることが困難にな
る。従って、多層膜Tの側端面Ts,Tsは電気的に絶
縁されていることが好ましい。
【0013】しかし、図16に示されるように、一対の
ハードバイアス層13,13によって、フリー磁性層8
に縦バイアス磁界を与える磁気検出素子では、多層膜T
の側端面Ts,Tsのうち絶縁層12,12及び絶縁層
14,14と接している部分は電気的に絶縁されている
ものの、導電性の材料からなるハードバイアス層13,
13に接している部分から検出電流が分流して、出力が
低下してしまう。
【0014】上述のように、CPP型の磁気検出素子は
素子の膜面面積を小さくしたときに特に出力を大きくで
きるものであるが、素子の膜面面積を小さくしていくと
素子の膜面面積に対する素子の側面面積の比率が大きく
なり、多層膜Tの側端面Ts,Tsから検出電流が洩れ
て分流することの磁気検出素子の出力への影響が大きく
なる。
【0015】本発明は、上記従来の課題を解決するため
のものであり、磁気検出素子を構成する多層膜の側端面
の電気的絶縁を確実にとることができ、磁気検出素子の
出力を容易に向上させることができる磁気検出素子及び
その製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、固定磁性層、
非磁性材料層及びフリー磁性層を有する多層膜、硬磁性
材料からなり前記多層膜の前記フリー磁性層のトラック
幅方向における側端面に対向する一対の縦バイアス層、
並びに前記多層膜の上面に電気的に接続された上部電極
層及び前記多層膜の下面に電気的に接続された下部電極
層を有し、前記多層膜の各層の膜面と垂直方向に電流を
供給する磁気検出素子において、前記多層膜のトラック
幅方向における側端面に、前記縦バイアス層と前記多層
膜を電気的に絶縁する絶縁酸化膜が設けられていること
を特徴とするものである。
【0017】本発明の磁気検出素子では、前記多層膜の
トラック幅方向における側端面に、前記縦バイアス層と
前記多層膜を電気的に絶縁する絶縁酸化膜が設けられて
いる。従って、前記多層膜の前記フリー磁性層のトラッ
ク幅方向における側端面に対向する一対の縦バイアス層
を形成しても、前記多層膜の側端面の電気的絶縁を確実
にとることができ、前記多層膜の側端面からの検出電流
の分流を防いで、磁気検出素子の出力を容易に向上させ
ることができる。
【0018】前記絶縁酸化膜は、例えば、前記多層膜を
構成する各層の材料が酸化されて形成された層、前記下
部電極層の材料が酸化されて形成された層、金属材料又
は半導体材料の酸化物層のうち1つまたは2つ以上を有
するものとできる。
【0019】本発明の磁気検出素子は、前記一対の縦バ
イアス層(ハードバイアス層)によって、前記フリー磁
性層に縦バイアス磁界を供給するものである。従って、
前記多層膜の側端面に形成された前記絶縁酸化膜の膜厚
が厚すぎると、前記フリー磁性層に適切な大きさの縦バ
イアス磁界を供給することができなくなる。一方、前記
絶縁酸化膜の膜厚が薄すぎると前記多層膜の側端面の電
気的絶縁を確実にとることができなくなる。従って、前
記絶縁酸化膜の膜厚を薄くすることと、前記多層膜の側
端面の電気的絶縁を確実にとることを両立させることが
必要になる。
【0020】本発明では、アルミナ等の金属酸化物や酸
化ケイ素などの半導体酸化物からなるターゲットを用い
たスパッタ成膜によって、前記絶縁酸化膜を成膜するこ
とも可能である。しかし、アルミナ等の金属酸化物や酸
化ケイ素などの半導体酸化物をターゲットとして用いる
と、形成された絶縁酸化膜にピンホールが生じやすくな
り、前記多層膜の側端面の電気的絶縁を確実にとること
が難しくなる。
【0021】そこで、本発明では、後述する製造方法の
説明のところで詳述するように、前記絶縁酸化膜を形成
する方法として、前記多層膜のトラック幅方向における
側端面から所定の厚さの部分や前記多層膜の側端面に付
着した金属層(前記多層膜を構成する各層の材料や前記
下部電極層の材料からなる層)を、自然酸化或いはプラ
ズマ酸化やラジカル酸化などの陽極酸化によって酸化さ
せたり、前記多層膜の側端面上に、アルミニウム(A
l)などの金属材料やケイ素(Si)などの半導体材料
をスパッタ成膜した後、この金属材料や半導体材料を自
然酸化或いはプラズマ酸化やラジカル酸化などの陽極酸
化によって酸化させる方法を用いることができる。
【0022】前記多層膜の側端面上にまず金属や半導体
を付着させ、後からこの金属や半導体を酸化させる方法
を用いると、膜厚が薄くしかもピンホールの数が少ない
前記絶縁酸化膜を形成することが容易になる。
【0023】本発明では、前記絶縁酸化膜の膜厚を3n
m〜20nmとしてもピンホールが少なく前記多層膜の
側端面の電気的絶縁を確実にとることができる磁気検出
素子を提供できる。
【0024】なお、前記絶縁酸化膜が、前記多層膜内を
流れる伝導電子のスピン状態(エネルギー、量子状態な
ど)を保持したまま鏡面反射するスペキュラー膜(鏡面
反射膜)であることが好ましい。
【0025】ここで前記スペキュラー膜(鏡面反射膜)
を用いることによる鏡面反射効果について図5を参照し
ながら説明する。図5は本発明における磁気検出素子の
構造の一部を模式図的に示したものである。
【0026】アップスピン電子(図では上向き矢印で示
している)は、固定磁性層の磁化とフリー磁性層の磁化
が平行となる状態では、固定磁性層、非磁性材料層を通
りぬけて、前記フリー磁性層の内部を移動できる。
【0027】ここでトラック幅Twの狭小化が進み特に
素子面積が60nm角以下になると、前記アップスピン
電子の一部は、前記フリー磁性層の内部を通過する前
に、多層膜の側端面に衝突しやすくなるが、前記多層膜
の側端面にスペキュラー膜を設けると、前記多層膜の側
端面に到達した前記アップスピン電子は、そこでスピン
状態(エネルギー、量子状態など)を保持したまま鏡面
反射する。そして鏡面反射したアップスピン電子の伝導
電子は、移動向きを変えて前記フリー磁性層内を通り抜
けることが可能になる。
【0028】このため、素子面積の狭小化においても前
記アップスピン電子を持つ伝導電子の平均自由行程λ+
を従来に比べて伸ばすことが可能になり、よって前記ア
ップスピン電子を持つ伝導電子の平均自由行程λ+と、
ダウンスピン電子を持つ伝導電子の平均自由行程λ-
の差を大きくすることができ、従って再生出力の向上と
ともに、抵抗変化率(ΔR/R)の向上を図ることが可
能になる。
【0029】なお、スペキュラー膜の形成により伝導電
子が鏡面反射する理由は、フリー磁性層、非磁性材料
層、固定磁性層の側壁とスペキュラー膜との界面付近に
ポテンシャル障壁が形成されるためであると考えられ
る。
【0030】特に、磁気検出素子のトラック幅寸法が小
さくなると、前記アップスピン電子を持つ伝導電子が多
層膜の側端面に到達する回数が増え、スペキュラー膜の
持つ鏡面反射効果を有効に機能させることができ、抵抗
変化率の向上を図ることができる。
【0031】前述のように、前記絶縁酸化膜は、例え
ば、前記多層膜を構成する各層の材料が酸化されて形成
された層、前記下部電極層の材料が酸化されて形成され
た層、金属材料又は半導体材料の酸化物層のうち1つま
たは2つ以上を有するものである。これらの層を適切な
酸化膜とすることで、前記絶縁酸化膜をスペキュラー膜
として機能させることができる。
【0032】特に、前記金属材料又は本導体材料の酸化
物層を以下の材料からなる層として形成すると、前記絶
縁酸化膜を確実にスペキュラー膜として機能させること
が容易になるので好ましい。
【0033】Fe−O、Ni−O、Co−O、Co−F
e−O、Co−Fe−Ni−O、Al−O、Al−Q−
O(ここでQはB、Si、N、Ti、V、Cr、Mn、
Fe、Co、Niから選択される1種以上)、R−O
(ここでRはCu、Ti、V、Cr、Zr、Nb、M
o、Hf、Ta、Wから選択される1種以上)のいずれ
か1種あるいは2種以上の酸化物。
【0034】なお例えばFe−Oの中でもα−Fe
23、Ni−Oの中でもNiO、Al−Q−Oの中でも
AlQO、R−Oの中でもROとなる組成式を満たすこ
とが好ましい。
【0035】これら酸化物の形成は、構成元素のターゲ
ットを用いてスパッタ成膜するか、酸素以外の構成元素
のターゲットを用意し、多層膜の側端面に酸素以外の構
成元素の膜をスパッタ成膜した後、自然酸化、プラズマ
酸化、あるいはラジカル酸化などによって、前記酸素以
外の構成元素からなる膜を酸化させることによる。なお
前記酸素以外の構成元素の膜すべてを酸化させないと適
切に鏡面反射効果を有するスペキュラー膜を形成するこ
とはできない。
【0036】また上記の酸化方法によって形成されたス
ペキュラー膜は、化学量論的な組成を有していた方が良
いが有していなくても鏡面反射効果を発揮させることが
できる。
【0037】上記のように化学量論的な組成を有さなく
ても十分な絶縁性を有するスペキュラー膜では、前記多
層膜の側端面との界面付近に適切にポテンシャル障壁が
形成され、鏡面反射効果を発揮することが可能になる。
【0038】例えばスペキュラー膜をAl−Oで形成す
るとき、Al23で形成されたターゲットでスペキュラ
ー膜をスパッタ成膜すると、化学量論的な組成を有する
スペキュラー膜を形成することができないが、極端に酸
素が少なくなければ前記スペキュラー膜と前記多層膜の
側端面との界面付近に適切なポテンシャル障壁を形成で
き、鏡面反射効果を有効に発揮させることができる。
【0039】あるいは前記金属材料又は本導体材料の酸
化物層の代わりに、Al−N、Al−Q−N(ここでQ
はB、Si、O、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、
Niから選択される1種以上)、R−N(ここでRはT
i、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから
選択される1種以上)の窒化物の層を形成してもよい。
【0040】なおAl−Nの中でもAlN、Al−Q−
Nの中でもAlQN、R−Nの中でもRNとなる組成式
を満たすことが好ましい。
【0041】これら窒化物の形成は、構成元素のターゲ
ットを用いてスパッタ成膜するか、例えば窒素以外の構
成元素のターゲットを用意し、多層膜の側端面に窒素以
外の構成元素の膜をスパッタ成膜した後、前記窒素以外
の構成元素からなる膜を窒化させることによる。
【0042】または、前記金属材料又は本導体材料の酸
化物層の代わりに、半金属ホイッスラー合金からなる層
を形成してもよい。前記半金属ホイッスラー金属には、
NiMnSb、PtMnSbなどを選択できる。
【0043】本発明では、前記多層膜を、前記固定磁性
層に接する反強磁性層を有し、下から、反強磁性層、固
定磁性層、非磁性材料層、フリー磁性層の順序で積層さ
れる、いわゆるボトム型のスピンバルブ型磁気検出素子
として形成することができる。または、前記多層膜を、
前記固定磁性層に接する反強磁性層を有し、下から、フ
リー磁性層、非磁性材料層、固定磁性層及び反強磁性層
の順序で積層されるいわゆるトップ型のスピンバルブ型
磁気検出素子として形成することができる。
【0044】また、本発明では、前記下部電極層の下層
に下部シールド層が形成され、前記上部電極層の上層に
上部シールド層が形成されてもよい。あるいは、前記下
部電極層及び前記上部電極層が磁性材料によって形成さ
れ、前記下部電極層及び前記上部電極層がそれぞれ、下
部シールド層及び上部シールド層の機能を有してもよ
い。
【0045】本発明の磁気検出素子の製造方法は、以下
の工程を有することを特徴とするものである。 (a)基板上に下部電極層を形成し、前記下部電極層の
表面上に、固定磁性層、非磁性材料層、フリー磁性層を
有する多層膜を形成する工程と、(b)前記多層膜上に
レジスト層を形成し、前記多層膜の、前記レジスト層に
覆われずに表面が露出している部分を除去する工程と、
(c)前記レジスト層に覆われて除去されずに残された
前記多層膜のトラック幅方向における側端面に付着した
金属層を酸化させる工程、及び/又は前記多層膜を側端
面から所定の厚さ酸化させる工程と、(d)前記多層膜
の前記フリー磁性層のトラック幅方向における側端面に
対向する一対の縦バイアス層を、硬磁性材料を用いて形
成する工程と、(e)前記レジスト層を除去する工程
と、(f)前記多層膜の上面と電気的に接続される上部
電極層を形成する工程。
【0046】本発明では、前記(c)の工程において、
前記(b)の工程で除去されずに残された前記多層膜の
トラック幅方向における側端面に付着した金属層や前記
多層膜の側端面から所定の厚さの部分を酸化させること
により、前記多層膜の側端面に絶縁酸化膜を形成するこ
とができ、この絶縁酸化膜を介して、前記フリー磁性層
の側端面と前記一対の縦バイアス層を対向させることが
できる。
【0047】前記金属層や前記多層膜を後から酸化させ
ることにより均一で高密度の絶縁酸化膜を形成できるの
で、前記フリー磁性層に十分な縦バイアス磁界を供給で
きるように前記絶縁酸化膜を薄くしても、前記絶縁酸化
膜のピンホールを少なくして、前記多層膜の側端面の電
気的絶縁を確実にとることができるようになる。
【0048】また、本発明では、前記(b)の工程と前
記(c)の工程の間に、(g)前記(b)の工程で、除
去されずに残された多層膜のトラック幅方向の側端面に
付着した金属層を削る工程を有することができるので好
ましい。
【0049】本発明では、さらに、前記(c)の工程と
前記(d)の工程の間に(h)前記多層膜のトラック幅
方向における側端面上に、金属材料又は半導体材料の酸
化物層を形成する工程を有することが好ましい。
【0050】本発明では、前記(c)工程において、前
記金属層又は前記多層膜の側端面から所定の厚さの部分
を酸化させて形成した層と、前記(h)工程で形成した
酸化物層からなる多層構造の絶縁酸化膜を、前記多層膜
の側端面に形成することができるので、前記多層膜の側
端面と前記一対の縦バイアス層の電気的絶縁をより確実
にとることができるようになる。
【0051】前記金属材料又は半導体材料の酸化物層を
形成するときに、本発明では、アルミナ等の金属酸化物
からなるターゲットを用いたスパッタ成膜によって成膜
することも可能である。また、酸化ケイ素などの半導体
材料の酸化物からなるターゲットを用いたスパッタ成膜
によって成膜することも可能である。
【0052】ただし、アルミナ等の金属酸化物や酸化ケ
イ素などの半導体酸化物をターゲットとして用いると、
形成された前記酸化物層の膜厚や組成が不均一になりや
すく、ピンホールなどが生じやすくなって局所的に絶縁
特性の弱い部分ができやすい。すると、絶縁特性の弱い
部分に電流が集中して洩れ電流が発生したり、絶縁破壊
が起きて、前記多層膜の側端面と前記一対の縦バイアス
層が完全に導通して磁気検出素子の出力が著しく低下し
てしまう。
【0053】本発明では前記多層膜の側端面上に、アル
ミニウム(Al)などの金属材料やケイ素(Si)など
の半導体材料をスパッタ成膜した後、この金属材料や半
導体材料を酸化させる方法を用いることができる。
【0054】金属や半導体は、前記多層膜の側端面上に
緻密に付着させやすい。また、金属や半導体を前記多層
膜の側端面上に付着させた段階で、多少のピンホールが
形成されても、この金属や半導体を酸化させる段階でこ
れらのピンホールが埋められるので、形成された前記絶
縁酸化膜は、ピンホールが少なく前記多層膜の側端面の
電気的絶縁を確実にとることができるものとなる。
【0055】しかも、前記絶縁酸化膜の膜厚を薄くする
ことができる。具体的には、前記絶縁酸化膜の膜厚を3
nm〜20nmとすることができる。
【0056】本発明では、前記(c)の工程並びに/或
いは前記(h)の工程において、前記金属層及び/又は
前記多層膜、並びに/或いは、金属材料又は半導体材料
を自然酸化、プラズマ酸化あるいはラジカル酸化のうち
1種以上の酸化方法で酸化させることができる。
【0057】なお、前記(h)の工程を、複数回繰り返
して、前記酸化物層を多重構造とすることにより、前記
多層膜の側端面と前記一対の縦バイアス層の電気的絶縁
をより確実にとることができるようにすることもでき
る。
【0058】なお、本発明では、前記(h)の工程にお
いて、前記酸化物層の膜厚を調節することにより、前記
多層膜の側端面と前記一対の縦バイアス層の距離を調節
し、前記フリー磁性層に供給される縦バイアス磁界の大
きさを調節することができる。本発明では、前記多層膜
の有効幅は、前記(c)工程において、前記金属層や前
記多層膜の側端面から所定の厚さの部分を酸化させた段
階で決定されるので、前記(h)の工程を複数回繰り返
しても前記多層膜の有効幅が変化することを防止でき
る。
【0059】前記(h)の工程において、前記金属材料
の酸化物層に、Fe−O、Ni−O、Co−O、Co−
Fe−O、Co−Fe−Ni−O、Al−O、Al−Q
−O(ここでQはB、Si、N、Ti、V、Cr、M
n、Fe、Co、Niから選択される1種以上)、R−
O(ここでRはCu、Ti、V、Cr、Zr、Nb、M
o、Hf、Ta、Wから選択される1種以上)の酸化物
を含ませることが好ましい。
【0060】また、前記(c)の工程並びに/或いは前
記(h)の工程において、前記金属層及び/又は前記多
層膜が酸化された層、並びに/或いは、前記金属材料又
は半導体材料の酸化物層を、スペキュラー膜として機能
する前記絶縁酸化膜とすることが好ましい。
【0061】本発明では、前記(a)の工程において、
前記多層膜を前記固定磁性層に接する反強磁性層を有す
るものとして形成し、下から、反強磁性層、固定磁性
層、非磁性材料層、フリー磁性層の順序で積層してもよ
いし、前記多層膜を前記固定磁性層に接する反強磁性層
を有するものとして形成し、下から、フリー磁性層、非
磁性材料層、固定磁性層及び反強磁性層の順序で積層し
てもよい。
【0062】本発明では、前記(a)の工程において、
前記下部電極層の下層に下部シールド層を形成し、前記
(f)の工程の後で、前記上部電極層の上層に上部シー
ルド層を形成することができる。
【0063】あるいは、前記(a)の工程において前記
下部電極層を、前記(f)の工程において前記上部電極
層を、それぞれ磁性材料によって形成することにより、
前記下部電極層及び前記上部電極層が、それぞれ、下部
シールド層及び上部シールド層の機能を有するようにし
てもよい。
【0064】
【発明の実施の形態】図1は、本発明における第1の実
施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た
部分断面図である。
【0065】図1に示す磁気検出素子は、記録媒体に記
録された記録信号を再生するためのMRヘッドである。
記録媒体との対向面は、例えば磁気検出素子を構成する
薄膜の膜面に垂直で且つ磁気検出素子のフリー磁性層の
外部磁界(記録信号磁界)が印加されていないときの磁
化方向と平行な平面である。図1では、記録媒体との対
向面はX−Z平面に平行な平面である。
【0066】なお、磁気検出素子が浮上式の磁気ヘッド
に用いられる場合、記録媒体との対向面とは、いわゆる
ABS面のことである。
【0067】また磁気検出素子は、例えばアルミナ−チ
タンカーバイト(Al23−TiC)で形成されたスラ
イダのトレーリング端面上に形成される。スライダは、
記録媒体との対向面と逆面側で、ステンレス材などによ
る弾性変形可能な支持部材と接合され、磁気ヘッド装置
が構成される。
【0068】なお、トラック幅方向とは、外部磁界によ
って磁化方向が変動する領域の幅方向のことであり、例
えば、フリー磁性層の外部磁界が印加されていないとき
の磁化方向、すなわち図示X方向である。トラック幅方
向のフリー磁性層の幅寸法が磁気検出素子のトラック幅
Twを規定する。
【0069】なお、記録媒体は磁気検出素子の記録媒体
との対向面に対向しており、図示Z方向に移動する。こ
の記録媒体からの洩れ磁界方向は図示Y方向である。
【0070】図1では、下から順に、下地層23、シー
ド層24、反強磁性層25、第1固定磁性層26a、非
磁性中間層26b、第2固定磁性層26cからなるシン
セティックフェリピンド型の固定磁性層26、非磁性材
料層27、第2フリー磁性層28a、非磁性中間層28
b、第1フリー磁性層28cからなるシンセティックフ
ェリフリー型のフリー磁性層28、保護層29が下から
順に積層された多層膜T1が形成されている。
【0071】多層膜T1の下層には、基板(図示せず)
上に、アルミナなどの絶縁性材料からなる下地層(図示
せず)を介して、下部シールド層21、下部電極層22
が成膜されており、多層膜T1の上層には、上部電極層
30、上部シールド層31が形成されている。
【0072】下部電極層22は多層膜T1の下面と電気
的に接続されており、上部電極層30は多層膜T1の上
面と電気的に接続されている。
【0073】多層膜T1の両側領域の下部電極層22上
と、多層膜T1の側端面T1s,T1s上には、絶縁酸
化膜32,32が積層されている。この絶縁酸化膜3
2,32によって、多層膜T1のトラック幅方向におけ
る側端面T1s,T1sと下部電極層22、上部電極層
30、ハードバイアス層35,35及びバイアス下地層
34,34が電気的に絶縁されている。
【0074】絶縁酸化膜32,32上には、絶縁層3
3,33が積層されている。絶縁層33,33上に、バ
イアス下地層34,34を介して、縦バイアス層である
ハードバイアス層35,35が積層されている。ハード
バイアス層35,35上には絶縁層36,36が積層さ
れている。この絶縁層36,36によって、上部電極層
30と、多層膜T1の側端面T1s,T1s、ハードバ
イアス層35,35及びバイアス下地層34,34が絶
縁されている。
【0075】図1に示すように上記した下地層23から
保護層29の各層で構成される多層膜T1は、トラック
幅方向(図示X方向)における側端面T1s,T1s
が、フリー磁性層28の下面から保護層29の上面まで
連続した傾斜面となっており、例えば多層膜T1は図1
に示すような略台形状で形成される。
【0076】図1に示される磁気検出素子は、いわゆる
ボトム型のスピンバルブ型磁気検出素子であり、固定磁
性層26の磁化方向が、適正に図示Y方向に平行な方向
に固定され、しかもフリー磁性層28の磁化が適正に図
示X方向に揃えられており、固定磁性層26とフリー磁
性層28の磁化が交叉している。記録媒体からの洩れ磁
界が磁気検出素子の図示Y方向に侵入し、フリー磁性層
28の磁化が感度良く変動し、この磁化方向の変動と、
固定磁性層26の固定磁化方向との関係で電気抵抗が変
化し、この電気抵抗値の変化に基づく電圧変化により、
記録媒体からの洩れ磁界(記録信号磁界)が検出され
る。
【0077】ただし、電気抵抗値の変化(出力)に直接
寄与するのは第2固定磁性層26cの磁化方向と第2フ
リー磁性層28aの磁化方向の相対角であり、これらの
相対角が検出電流が通電されている状態かつ記録信号磁
界が印加されていない状態で直交していることが好まし
い。
【0078】この実施形態では、例えば上部電極層30
から下部電極層22に向けてセンス電流が流れるため、
センス電流は、多層膜内の各層を膜面と垂直方向に流れ
る。センス電流が、多層膜内の各層を膜面と垂直方向に
流れる磁気検出素子をCPP型の磁気検出素子という。
【0079】なお本発明では、トラック幅は約10nm
以上で100nm以下であることが好ましい。より好ま
しくは60nm以下であることが好ましい。トラック幅
が、上記数値範囲程度に狭小化されると、さらなる再生
出力の向上を図ることができる。
【0080】下部シールド層21、下部電極層22、下
地層23、シード層24、反強磁性層25、固定磁性層
26、非磁性材料層27、フリー磁性層28、保護層2
9、上部電極層30、上部シールド層31、絶縁酸化膜
32,32、絶縁層33,33、バイアス下地層34,
34、ハードバイアス層35,35、絶縁層36,36
はスパッタ法や蒸着法などの薄膜形成プロセスによって
形成される。
【0081】下部シールド層21及び上部シールド層3
1はNiFeなどの磁性材料を用いて形成される。な
お、下部シールド層21及び上部シールド層31は磁化
容易軸がトラック幅方向(図示X方向)を向いているこ
とが好ましい。下部シールド層21及び上部シールド層
31は、電解メッキ法によって形成されてもよい。
【0082】反強磁性層25は、PtMn合金、また
は、X―Mn(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ru,
Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素
である)合金で、あるいはPt―Mn―X′(ただし
X′は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag,Os,
Cr,Ni,Ar,Ne,Xe,Krのいずれか1また
は2種以上の元素である)合金で形成する。
【0083】これらの合金は、成膜直後の状態では、不
規則系の面心立方構造(fcc)であるが、熱処理によ
ってCuAuI型の規則型の面心正方構造(fct)に
構造変態する。
【0084】反強磁性層25の膜厚は、トラック幅方向
の中心付近において80〜300Å、例えば200Åで
ある。
【0085】ここで、反強磁性層25を形成するため
の、PtMn合金及びX−Mnの式で示される合金にお
いて、PtあるいはXが37〜63at%の範囲である
ことが好ましい。また、PtMn合金及びX−Mnの式
で示される合金において、PtあるいはXが47〜57
at%の範囲であることがより好ましい。特に規定しな
い限り、〜で示す数値範囲の上限と下限は以下、以上を
意味する。
【0086】また、Pt−Mn−X’の式で示される合
金において、X’+Ptが37〜63at%の範囲であ
ることが好ましい。また、Pt−Mn−X’の式で示さ
れる合金において、X’+Ptが47〜57at%の範
囲であることがより好ましい。さらに、Pt−Mn−
X’の式で示される合金において、X’が0.2〜10
at%の範囲であることが好ましい。ただし、X’がP
d,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1
種または2種以上の元素である場合には、X’は0.2
〜40at%の範囲であることが好ましい。
【0087】これらの合金を使用し、これを熱処理する
ことにより、大きな交換結合磁界を発生する反強磁性層
25を得ることができる。特に、PtMn合金であれ
ば、48kA/m以上、例えば64kA/mを越える交
換結合磁界を有し、交換結合磁界を失うブロッキング温
度が380℃と極めて高い優れた反強磁性層25を得る
ことができる。
【0088】第1固定磁性層26a及び第2固定磁性層
26cは、強磁性材料により形成されるもので、例えば
NiFe合金、Co、CoFeNi合金、CoFe合
金、CoNi合金などにより形成されるものであり、特
にCoFe合金またはCoにより形成されることが好ま
しい。また、第1固定磁性層26a及び第2固定磁性層
26cは同一の材料で形成されることが好ましい。
【0089】また、非磁性中間層26bは、非磁性材料
により形成されるもので、Ru、Rh、Ir、Cr、R
e、Cuのうち1種またはこれらの2種以上の合金で形
成されている。特にRuによって形成されることが好ま
しい。
【0090】第1固定磁性層26a及び第2固定磁性層
26cは、それぞれ10〜70Å程度で形成される。ま
た非磁性中間層の膜厚は3Å〜10Å程度で形成で形成
される。
【0091】なお固定磁性層26は上記したいずれかの
磁性材料を使用した1層構造あるいは上記したいずれか
の磁性材料からなる層とCo層などの拡散防止層の2層
構造で形成されていても良い。
【0092】非磁性材料層27は、固定磁性層26とフ
リー磁性層28との磁気的な結合を防止する層であり、
Cu,Cr,Au,Agなど導電性を有する非磁性材料
により形成されることが好ましい。特にCuによって形
成されることが好ましい。非磁性材料層27は例えば1
8〜30Å程度の膜厚で形成される。
【0093】また非磁性材料層27は、Al23やSi
2などの絶縁材料で形成されていてもよいが、本発明
のようにCPP型の磁気検出素子の場合には、非磁性材
料層27内部にも、膜面と垂直方向にセンス電流が流れ
るようにしなければならないので、非磁性材料層27が
絶縁物であるときは、非磁性材料層27の膜厚を50Å
に薄くして形成して絶縁耐圧を低下させる必要がある。
また非磁性材料層2727をAl23やTaO2などの
鏡面反射効果を有する材質で形成したときは、非磁性材
料層27をスペキュラー膜や実効的な素子面積を低減さ
せる電流制限層として機能させることもできる。
【0094】第1フリー磁性層28c及び第2フリー磁
性層28aは、強磁性材料により形成されるもので、例
えばNiFe合金、Co、CoFeNi合金、CoFe
合金、CoNi合金などにより形成されるものであり、
特にNiFe合金またはCoFe合金、CoFeNi合
金により形成されることが好ましい。
【0095】非磁性中間層26bは、非磁性材料により
形成されるもので、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、C
uのうち1種またはこれらの2種以上の合金で形成され
ている。特にRuによって形成されることが好ましい。
【0096】第1フリー磁性層28c及び第2フリー磁
性層28aは、それぞれ10〜70Å程度で形成され
る。また非磁性中間層26bの膜厚は3Å〜10Å程度
で形成で形成される。
【0097】なお、第2フリー磁性層28aが2層構造
で形成され、非磁性材料層27と対向する側にCo膜が
形成されていることが好ましい。これにより非磁性材料
層27との界面での金属元素等の拡散を防止でき、抵抗
変化率(ΔR/R)を大きくすることができる。
【0098】なおフリー磁性層28は上記したいずれか
の磁性材料を使用した1層構造で形成されていても良
い。
【0099】また本実施の形態では、第1フリー磁性層
28c及び第2フリー磁性層28aの少なくとも一方
を、以下の組成を有する磁性材料で形成することが好ま
しい。
【0100】組成式がCoFeNiで示され、Feの組
成比は9原子%以上で17原子%以下で、Niの組成比
は0.5原子%以上で10原子%以下で、残りの組成は
Co。
【0101】これにより第1フリー磁性層28cと第2
フリー磁性層28a間で発生するRKKY相互作用にお
ける交換結合磁界を強くすることができる。具体的に
は、反平行状態が崩れるときの磁界、すなわちスピンフ
ロップ磁界(Hsf)を約293(kA/m)にまで大
きくすることができる。
【0102】よって、第1フリー磁性層28c及び第2
フリー磁性層28aの磁化を適切に反平行状態にでき
る。
【0103】なお第1フリー磁性層28c及び第2フリ
ー磁性層28aの双方をCoFeNi合金で形成するこ
とが好ましい。これにより、より安定して高いスピンフ
ロップ磁界を得ることができ、第1フリー磁性層28c
と第2フリー磁性層28aとを適切に反平行状態に磁化
できる。
【0104】また上記した組成範囲内であると、第1フ
リー磁性層28cと第2フリー磁性層28aの磁歪を−
3×10-6から3×10-6の範囲内に収めることがで
き、また保磁力を790(A/m)以下に小さくでき
る。
【0105】さらに、フリー磁性層28の軟磁気特性の
向上、フリー磁性層28と非磁性材料層27間でのNi
の拡散による抵抗変化量(ΔR)や抵抗変化率(ΔR/
R)の低減の抑制を適切に図ることが可能である。
【0106】なお、第2フリー磁性層28aと非磁性材
料層27間にCoなどからなる拡散防止層を設け、第1
フリー磁性層28c及び第2フリー磁性層28aの少な
くとも一方をCoFeNi合金で形成するとき、CoF
eNi合金のFeの組成比を7原子%以上で15原子%
以下、Niの組成比を5原子%以上で15原子%以下、
残りの組成比をCoにすることが好ましい。
【0107】また、図1では、磁気的膜厚(Ms×t;
飽和磁化と膜厚の積)が異なる第1固定磁性層26aと
第2固定磁性層26cが、非磁性中間層26bを介して
積層されたものが、一つの固定磁性層26として機能す
る。
【0108】第1固定磁性層26aは反強磁性層25と
接して形成され、磁場中アニールが施されることによ
り、第1固定磁性層26aと反強磁性層25との界面に
て交換結合による交換異方性磁界が生じ、第1固定磁性
層26aの磁化方向が図示Y方向に固定される。第1固
定磁性層26aの磁化方向が図示Y方向に固定される
と、非磁性中間層26bを介して対向する第2固定磁性
層26cの磁化方向が、第1固定磁性層26aの磁化方
向と反平行の状態で固定される。
【0109】このように、第1固定磁性層26aと第2
固定磁性層26cの磁化方向が、反平行となるフェリ磁
性状態になっていると、第1固定磁性層26aと第2固
定磁性層26cとが互いに他方の磁化方向を固定しあう
ので、全体として固定磁性層26の磁化方向を一定方向
に強力に固定することができる。
【0110】なお、第1固定磁性層26aの磁気的膜厚
(Ms×t)と第2固定磁性層26cの磁気的膜厚(M
s×t)を足し合わせた合成の磁気的膜厚(Ms×t)
の方向が固定磁性層26の磁化方向となる。
【0111】図1では、第1固定磁性層26a及び第2
固定磁性層26cを同じ材料を用いて形成し、さらに、
それぞれの膜厚を異ならせることにより、それぞれの磁
気的膜厚(Ms×t)を異ならせている。
【0112】また、第1固定磁性層26a及び第2固定
磁性層26cの固定磁化による反磁界(双極子磁界)
を、第1固定磁性層26a及び第2固定磁性層26cの
静磁界結合同士が相互に打ち消し合うことによりキャン
セルできる。これにより、固定磁性層26の固定磁化に
よる反磁界(双極子磁界)からの、フリー磁性層28の
変動磁化への寄与を減少させることができる。
【0113】従って、フリー磁性層28の変動磁化の方
向を所望の方向に補正することがより容易になり、アシ
ンメトリーの小さい対称性の優れたスピンバルブ型薄膜
磁気素子を得ることが可能になる。
【0114】ここで、アシンメトリーとは、再生出力波
形の非対称性の度合いを示すものであり、再生出力波形
が与えられた場合、波形が対称であればアシンメトリー
が小さくなる。従って、アシンメトリーが0に近づく程
再生出力波形が対称性に優れていることになる。
【0115】アシンメトリーは、フリー磁性層28の磁
化の方向と固定磁性層26の固定磁化の方向とが直交し
ているときに0となる。アシンメトリーが大きくずれる
とメディアからの情報の読み取りが正確にできなくな
り、エラーの原因となる。このため、アシンメトリーが
小さいものほど、再生信号処理の信頼性が向上すること
になり、スピンバルブ薄膜磁気素子として優れたものと
なる。
【0116】また、固定磁性層26の固定磁化による反
磁界(双極子磁界)Hdは、フリー磁性層28の素子高
さ方向において、その端部で大きく中央部で小さいとい
う不均一な分布を持ち、フリー磁性層28内における単
磁区化が妨げられる場合があるが、固定磁性層26を上
記の積層構造とすることにより双極子磁界Hdを小さく
することができ、これによってフリー磁性層28内に磁
壁ができて磁化の不均一が発生しバルクハウゼンノイズ
などが発生することを防止することができる。
【0117】フリー磁性層28は、磁気的膜厚(Ms×
t;飽和磁化と膜厚の積)の大きさが異なる第2フリー
磁性層28aと第1フリー磁性層28cが、非磁性中間
層26bを介して積層され、第2フリー磁性層28aと
第1フリー磁性層28cの磁化方向が反平行となるフェ
リ磁性状態である。このとき、磁気的膜厚(Ms×t)
が大きい方、例えば、第2フリー磁性層28aの磁化方
向が、ハードバイアス層から発生する磁界の方向(図示
X方向)に向き、第1フリー磁性層28cの磁化方向
が、180度反対方向(図示X方向と反平行方向)に向
いた状態になる。
【0118】第2フリー磁性層28aと第1フリー磁性
層28cの磁化方向が180度異なる反平行のフェリ磁
性状態になると、フリー磁性層の膜厚を薄くすることと
同等の効果が得られ、単位面積あたりの実効的な磁気モ
ーメントが小さくなり、フリー磁性層28の磁化が変動
しやすくなって、磁気検出素子の磁界検出感度が向上す
る。
【0119】第2フリー磁性層28aの磁気的膜厚(M
s×t)と第1フリー磁性層28cの磁気的膜厚(Ms
×t)を足し合わせた合成の磁気的膜厚(Ms×t)の
方向がフリー磁性層28の磁化方向となる。
【0120】ただし、固定磁性層26の磁化方向との関
係で出力に寄与するのは第2フリー磁性層28aの磁化
方向のみである。
【0121】保護層29は、Ta,Hf,Nb,Zr,
Ti,Mo,Wのうち少なくとも1種以上で形成され
る。保護層29の膜厚は30Å程度である。
【0122】ハードバイアス層35,35は、Co−P
t(コバルト−白金)合金やCo−Cr−Pt(コバル
ト−クロム−白金)合金などの硬磁性材料で形成され
る。これら合金の結晶構造は一般的にはバルクにおい
て、面心立方構造(fcc)と稠密六方構造(hcp)
の混相となる組成付近の膜組成に設定されている。
【0123】バイアス下地層34,34は、Cr,T
i,W,Mo,V,Mn,Nb,Taのいずれか1種ま
たは2種以上の非磁性元素で形成されることが好まし
い。例えば、CrやW50Mo50によって形成される。バ
イアス下地層34,34を結晶構造がbcc(体心立方
格子)構造であるCrなどを用いて形成すると、ハード
バイアス層35,35の保磁力及び角形比が大きくなり
バイアス磁界を大きくできる。
【0124】ここで上記の金属で形成されたバイアス下
地層34,34とハードバイアス層35,35を構成す
るCoPt系合金のhcp構造の格子定数は近い値とな
るために、CoPt系合金はfcc構造を形成しづらく
hcp構造で形成されやすくなる。このときhcp構造
のc軸はCoPt系合金とバイアス下地層34,34の
境界面内に優先配向される。hcp構造はfcc構造に
比べてc軸方向に大きな磁気異方性を生じるため、ハー
ドバイアス層35,35に磁界を与えたときの保磁力H
cは大きくなる。さらにhcpのc軸はCoPt系合金
とバイアス下地層34,34との境界面内で優先配向と
なっているため、残留磁化が増大し、残留磁化/飽和磁
化で求められる角形比Sは大きくなる。その結果、ハー
ドバイアス層35,35の特性を向上させることがで
き、ハードバイアス層35,35から発生するバイアス
磁界を増大させることができる。
【0125】なお、下部電極層22及び上部電極層30
はW,Ta,Cr,Cu,Rh,Ir,Ru,Auなど
の導電性材料を用いて形成することができる。
【0126】なお、下部電極層22、上部電極層30と
してTaを用いる場合には、下部電極層22、上部電極
層30の下層に、Crの中間層を設けることによってC
rの上層に積層されるTaの結晶構造を低抵抗の体心立
方構造にしやすくなる。
【0127】また、下部電極層22、上部電極層30と
してCrを用いる場合には、下部電極層22、上部電極
層30の下層にTaの中間層を設けることにより、Cr
がエピタキシャルに成長して、抵抗値を低減できる。
【0128】絶縁層33,33と絶縁層36,36は、
アルミナ(Al23)や酸化ケイ素(SiO2)やAl
−Si−Oなどの絶縁性材料を用いて形成することがで
きる。
【0129】なお、下地層23は、Ta,Hf,Nb,
Zr,Ti,Mo,Wのうち少なくとも1種以上で形成
されることが好ましい。下地層23は50Å以下程度の
膜厚で形成される。なおこの下地層23は形成されてい
なくても良い。
【0130】シード層24は、NiFe、NiFeCr
やCrなどを用いて形成する。なお、図1に示される磁
気検出素子は各層の膜面と垂直方向にセンス電流が流れ
るCPP型であるため、シード層24にも適切にセンス
電流が流れる必要性がある。よってシード層24は比抵
抗の高い材質でないことが好ましい。従って、CPP型
ではシード層24はNiFe合金、Crなどの比抵抗の
低い材質で形成されることが好ましい。なおシード層2
4は形成されなくても良い。
【0131】図1に示される本実施の形態の磁気検出素
子では、多層膜T1のトラック幅方向(図示X方向)に
おける側端面T1s,T1sに、縦バイアス層であるハ
ードバイアス層35,35と多層膜T1を電気的に絶縁
する絶縁酸化膜32,32が設けられている。
【0132】従って、多層膜T1の側端面T1s,T1
sの電気的絶縁を確実にとることができ、多層膜T1の
導電性の材料からなるハードバイアス層35,35に接
している部分から検出電流が分流することを防止して、
磁気検出素子の出力を向上させることが容易になる。
【0133】絶縁酸化膜32,32は、例えば、多層膜
T1を構成する各層の材料が酸化されて形成された層、
下部電極層の材料が酸化されて形成された層、金属材料
又は半導体材料の酸化物層のうち1つまたは2つ以上を
有するものとできる。
【0134】図1では、多層膜T1が側端面T1s,T
1sから所定の厚さ酸化されて形成された層、多層膜T
1を構成する各層の材料が多層膜T1のミリング形成時
に再付着したものが酸化されて形成された層と下部電極
層の材料が酸化されて形成された層を合わせて第1酸化
層F’,F’とし、第1酸化層F’,F’の上に、アル
ミニウム又はケイ素などの金属材料又は半導体材料の酸
化物層である第2酸化層M’,M’が積層されている。
【0135】なお、多層膜T1の側端面T1s,T1s
から所定の厚さ酸化された層の、側端面T1s,T1s
からの厚さ寸法(前記所定の厚さ)は、1nm〜5nm
である。
【0136】なお、図1では、下部電極層22の多層膜
T1の両側領域が一部削られており、下部電極層22の
多層膜T1の下面と接続されている部分が図示上方に突
出した形状になっている。下部電極層22が凸型形状で
あると、下部電極層22と多層膜T1の側端面T1s,
T1sの電気的短絡を確実に防ぐことが容易になり、磁
気検出素子のトラック幅を一定に揃えることが容易にな
る。
【0137】ただし、下部電極層22の多層膜T1の両
側領域が削られず、下部電極層22が点線A,Aで示さ
れる平坦な上面を持つようにしても良い。また、下部電
極層22の多層膜T1の両側領域に延びている部分の表
面が酸化されて第1酸化層F’,F’の一部となっても
よい。
【0138】図1に示された磁気検出素子は、一対のハ
ードバイアス層35,35によって、フリー磁性層28
に縦バイアス磁界を供給するものである。従って、多層
膜T1の側端面T1s,T1sに形成された絶縁酸化膜
32,32の膜厚が厚すぎると、フリー磁性層28に適
切な大きさの縦バイアス磁界を供給することができなく
なる。一方、絶縁酸化膜32,32の膜厚が薄すぎると
多層膜T1の側端面T1s,T1sの電気的絶縁を確実
にとることができなくなり、ハードバイアス層35,3
5への分流が発生して磁気検出素子の出力が低下する。
従って、絶縁酸化膜32,32の膜厚を薄くすること
と、多層膜T1の側端面T1s,T1sの電気的絶縁を
確実にとることを両立させることが必要になる。
【0139】本発明では、アルミナ等の金属酸化物や酸
化ケイ素などの半導体酸化物からなるターゲットを用い
たスパッタ成膜によって、絶縁酸化膜32,32を成膜
することも可能である。しかし、アルミナ等の金属酸化
物や酸化ケイ素などの半導体酸化物をターゲットとして
用いると、形成された絶縁酸化膜32,32にピンホー
ルが生じやすくなり、多層膜T1の側端面T1s,T1
sの電気的絶縁を確実にとることが難しくなる。
【0140】そこで、図1では、絶縁酸化膜32,32
を多層膜T1のトラック幅方向における側端面T1s,
T1sに付着した金属層(多層膜T1を構成する各層の
材料や下部電極層22の材料からなる層)や多層膜T1
を側端面T1s,T1sから所定の厚さ、自然酸化或い
はプラズマ酸化やラジカル酸化などの陽極酸化によって
酸化させて形成した第1酸化層F’,F’と、第1酸化
層F’,F’上に、アルミニウム(Al)などの金属材
料やケイ素(Si)などの半導体材料をスパッタ成膜し
た後、この金属材料や半導体材料を自然酸化或いはプラ
ズマ酸化やラジカル酸化などの陽極酸化によって酸化さ
せて形成した第2酸化層M’,M’の多層構造を有する
ものとして示している。
【0141】多層膜T1の側端面T1s,T1s上にま
ず金属や半導体を付着させ、後からこの金属や半導体を
酸化させる方法を用いると、膜厚が薄くしかもピンホー
ルの数が少ない絶縁酸化膜32,32を形成することが
容易になる。
【0142】本発明では、絶縁酸化膜32,32の膜厚
tを3nm〜20nmとしてもピンホールが少なく多層
膜T1の側端面T1s,T1sの電気的絶縁を確実にと
ることができる磁気検出素子を提供できる。
【0143】多層膜T1の側端面T1s,T1sとハー
ドバイアス層35,35の距離を調節して、フリー磁性
層28に供給される縦バイアス磁界の大きさを調節した
いときには、第2酸化層M’,M’の厚さを調節するこ
とにより絶縁酸化膜32,32の膜厚tを調節すればよ
い。
【0144】なお、絶縁酸化膜32,32が、多層膜T
1内を流れる伝導電子のスピン状態(エネルギー、量子
状態など)を保持したまま鏡面反射するスペキュラー膜
(鏡面反射膜)であることが好ましい。
【0145】前述のように、絶縁酸化膜32,32は、
例えば、多層膜T1を構成する各層の材料が酸化されて
形成された層、下部電極層の材料が酸化されて形成され
た層、金属材料又は半導体材料の酸化物層のうち1つま
たは2つ以上を有するものである。これらの層を適切な
酸化膜とすることで、絶縁酸化膜32,32をスペキュ
ラー膜として機能させることができる。
【0146】特に、第2酸化層M’,M’を以下の材料
からなる層として形成すると、絶縁酸化膜32,32を
確実にスペキュラー膜として機能させることができるの
で好ましい。
【0147】Fe−O、Ni−O、Co−O、Co−F
e−O、Co−Fe−Ni−O、Al−O、Al−Q−
O(ここでQはB、Si、N、Ti、V、Cr、Mn、
Fe、Co、Niから選択される1種以上)、R−O
(ここでRはCu、Ti、V、Cr、Zr、Nb、M
o、Hf、Ta、Wから選択される1種以上)のいずれ
か1種あるいは2種以上の酸化物。
【0148】なお例えばFe−Oの中でもα−Fe
23、Ni−Oの中でもNiO、Al−Q−Oの中でも
AlQO、R−Oの中でもROとなる組成式を満たすこ
とが好ましい。
【0149】これら酸化物の形成は、構成元素のターゲ
ットを用いてスパッタ成膜するか、酸素以外の構成元素
のターゲットを用意し、多層膜T1の側端面T1s,T
1sに酸素以外の構成元素の膜をスパッタ成膜した後、
自然酸化、プラズマ酸化、あるいはラジカル酸化などに
よって、酸素以外の構成元素からなる膜を酸化させるこ
とによる。なお酸素以外の構成元素の膜すべてを酸化さ
せないと適切に鏡面反射効果を有するスペキュラー膜を
形成することはできない。
【0150】また上記の酸化方法によって形成されたス
ペキュラー膜は、化学量論的な組成を有していた方が良
いが有していなくても鏡面反射効果を発揮させることが
できる。
【0151】上記のように化学量論的な組成を有さなく
ても十分な絶縁性を有するスペキュラー膜では、多層膜
T1の側端面T1s,T1sとの界面付近に適切にポテ
ンシャル障壁が形成され、鏡面反射効果を発揮すること
が可能になる。
【0152】例えばスペキュラー膜をAl−Oで形成す
るとき、Al23で形成されたターゲットでスペキュラ
ー膜をスパッタ成膜すると、化学量論的な組成を有する
スペキュラー膜を形成することができないが、極端に酸
素が少なくなければスペキュラー膜と多層膜T1の側端
面T1s,T1sとの界面付近に適切なポテンシャル障
壁を形成でき、鏡面反射効果を有効に発揮させることが
できる。
【0153】あるいは第2酸化層M’,M’の代わり
に、Al−N、Al−Q−N(ここでQはB、Si、
O、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選択
される1種以上)、R−N(ここでRはTi、V、C
r、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される
1種以上)の窒化物からなる層を形成してもよい。
【0154】なおAl−Nの中でもAlN、Al−Q−
Nの中でもAlQN、R−Nの中でもRNとなる組成式
を満たすことが好ましい。
【0155】これら窒化物の形成は、構成元素のターゲ
ットを用いてスパッタ成膜するか、例えば窒素以外の構
成元素のターゲットを用意し、多層膜T1の側端面T1
s,T1sに窒素以外の構成元素の膜をスパッタ成膜し
た後、窒素以外の構成元素からなる膜を窒化させること
による。
【0156】または、第2酸化層M’,M’の代わり
に、半金属ホイッスラー合金からなる層を形成してもよ
い。半金属ホイッスラー金属には、NiMnSb、Pt
MnSbなどを選択できる。
【0157】絶縁酸化層32,32がスペキュラー膜と
して機能すると、素子面積の狭小化においてもアップス
ピン電子を持つ伝導電子の平均自由行程λ+を従来に比
べて伸ばすことが可能になり、よってアップスピン電子
を持つ伝導電子の平均自由行程λ+と、ダウンスピン電
子を持つ伝導電子の平均自由行程λ-との差を大きくす
ることができ、従って再生出力の向上とともに、抵抗変
化率(ΔR/R)の向上を図ることが可能になる。
【0158】特に、磁気検出素子のトラック幅寸法が小
さくなると、アップスピン電子を持つ伝導電子が多層膜
T1の側端面T1s,T1sに到達する回数が増え、ス
ペキュラー膜の持つ鏡面反射効果を有効に機能させるこ
とができ、抵抗変化率の向上を図ることができる。
【0159】なお、図1では、絶縁酸化膜32,32を
第1酸化層F’,F’と第2酸化層M’,M’の2層構
造を有するものとして示しているが、本発明では絶縁酸
化膜32,32を第1酸化層F’,F’だけからなるも
のとしてもよい。絶縁酸化膜32,32が第1酸化層
F’,F’だけからなるときでも、第1酸化層F’,
F’がスペキュラー膜として機能することが望ましい。
【0160】または、絶縁酸化膜32,32を第2酸化
層M’,M’だけからなるものとしてもよい。絶縁酸化
膜32,32が第2酸化層M’,M’だけからなるとき
でも、第2酸化層M’,M’がスペキュラー膜として機
能することが望ましい。
【0161】また、第1酸化層F’,F’は、多層膜T
1が側端面T1s,T1sから所定の厚さ酸化されて形
成された層、多層膜T1を構成する各層の材料が多層膜
T1のミリング形成時に再付着したものが酸化されて形
成された層と下部電極層の材料が酸化されて形成された
層のうち一つの層だけからなるものであってもよいし、
2つ以上の層からなっていてもよい。
【0162】なお、ハードバイアス層35,35は、フ
リー磁性層28を構成する第2フリー磁性層28aと第
1フリー磁性層28cのうち、一方の磁化方向を揃える
だけでよい。図1では、ハードバイアス層35,35は
第2フリー磁性層28aの側端面のみと対向するように
形成され、第2フリー磁性層28aの磁化方向のみをそ
ろえている。第2フリー磁性層28aの磁化方向が一定
方向に揃えられると、第1フリー磁性層28cは磁化方
向が反平行となるフェリ磁性状態となり、フリー磁性層
全体の磁化方向が一定方向に揃えられる。
【0163】第1フリー磁性層28cの磁化方向とハー
ドバイアス層35,35からの縦バイアス磁界方向は1
80°異なる向きであるが、本実施の形態では、ハード
バイアス層35,35からの縦バイアス磁界が直接第1
フリー磁性層28cに影響を及ぽす程度が小さいので、
第1フリー磁性層28cの磁化方向の乱れを抑えること
ができる。
【0164】図1に示される磁気検出素子では、ハード
バイアス層35,35と下部電極層22の間に絶縁層3
3,33が形成されている。絶縁層33,33が形成さ
れると、多層膜Tの側端面T1s,T1sからの洩れ電
流の発生を抑えることが容易になると同時に、ハードバ
イアス層35,35を平坦な層として形成することがで
き、安定した縦バイアス磁界を発生させることができる
ようになる。
【0165】また、下部電極層22及び上部電極層30
が磁性材料によって形成され、下部電極層22及び上部
電極層30がそれぞれ、下部シールド層及び上部シール
ド層の機能を有してもよい。
【0166】図2は、本発明における第2の実施形態の
磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面
図である。
【0167】図2に示される磁気検出素子は、第1酸化
層F’,F’だけが多層膜T1の側端面T1s,T1s
の全面上に成膜され、第2酸化層M’,M’は多層膜T
1の側端面T1s,T1sのハードバイアス層35,3
5に対向する部分とその上下周辺でのみ多層膜T1とハ
ードバイアス層35,35間の絶縁をとる構造である点
で図1に示された磁気検出素子と異なっている。
【0168】図2に示される本実施の形態の磁気検出素
子でも、多層膜T1の側端面T1s,T1sのハードバ
イアス層35,35に対向する部分とその上下周辺で
は、絶縁酸化膜32,32が第1酸化層F’,F’と第
2酸化層M’,M’の2層構造となっているので、多層
膜T1の側端面T1s,T1sとハードバイアス層3
5,35の電気的絶縁を確実にとることができ、多層膜
T1の導電性の材料からなるハードバイアス層35,3
5に接している部分から検出電流が分流することを防止
して、磁気検出素子の出力を向上させることが容易にな
る。
【0169】なお、図2でも、多層膜T1が側端面T1
s,T1sから所定の厚さ酸化されて形成された層、多
層膜T1を構成する各層の材料が多層膜T1のミリング
形成時に再付着したものが酸化されて形成された層と下
部電極層の材料が酸化されて形成された層を合わせて第
1酸化層F’,F’とし、アルミニウム又はケイ素など
の金属材料又は半導体材料の酸化物層を第2酸化層
M’,M’としている。
【0170】図2の磁気検出素子でも、第1酸化層
F’,F’と第2酸化層M’,M’は、図1の磁気検出
素子と同じ材料、同じ酸化方法で形成される。ただし、
図1の磁気検出素子では、第1酸化層F’,F’、第2
酸化層M’,M’、絶縁層33,33の順序で成膜して
いくが、図2の磁気検出素子では、第1酸化層F’,
F’、絶縁層33,33、第2酸化層M’,M’の順序
で積層していく。
【0171】図2の磁気検出素子では、第1酸化層
F’,F’と第2酸化層M’,M’が重なっている部分
で、第1酸化層F’,F’の膜厚と第2酸化層M’,
M’の膜厚の和tを3nm〜20nmとすると、多層膜
T1の側端面T1s,T1sの電気的絶縁を確実にとる
ことができ、なおかつフリー磁性層28に十分な大きさ
の縦バイアス磁界を供給できる磁気検出素子を提供でき
る。
【0172】図3は、本発明における第3の実施形態の
磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面
図である。
【0173】図3に示される磁気検出素子は、ハードバ
イアス層35,35と下部電極層22の間に絶縁層3
3,33が形成されずに、下部電極層22上に第1酸化
層F’,F’と第2酸化層M’,M’からなる絶縁酸化
膜32,32のみを介してバイアス下地層34,34及
びハードバイアス層35,35が積層されている点で図
1の磁気検出素子と異なっている。
【0174】図3の磁気検出素子では、多層膜T1とハ
ードバイアス層35,35間の電気的絶縁性及び下部電
極層22とハードバイアス層35,35間の電気的絶縁
性は絶縁酸化膜32,32の絶縁耐圧に依存している。
【0175】図3に示される磁気検出素子でも、絶縁酸
化膜32,32を第1酸化層F’,F’と第2酸化層
M’,M’の2層構造を有するものとしているので、多
層膜T1とハードバイアス層35,35間の電気的絶縁
を確実にとることができる。
【0176】なお、図3でも、多層膜T1が側端面T1
s,T1sから所定の厚さ酸化されて形成された層、多
層膜T1を構成する各層の材料が多層膜T1のミリング
形成時に再付着したものが酸化されて形成された層と下
部電極層の材料が酸化されて形成された層を合わせて第
1酸化層F’,F’とし、アルミニウム又はケイ素など
の金属材料又は半導体材料の酸化物層を第2酸化層
M’,M’としている。
【0177】また、第2酸化層M’,M’をアルミニウ
ム(Al)などの金属材料やケイ素(Si)などの半導
体材料をスパッタ成膜した後、この金属材料や半導体材
料を自然酸化或いはプラズマ酸化やラジカル酸化などの
陽極酸化によって酸化させて形成することにより、膜厚
が薄くしかもピンホールの数が少ない絶縁酸化膜32,
32を形成することが容易になる。
【0178】本発明では、絶縁酸化膜32,32の膜厚
tを3nm〜20nmとしてもピンホールが少なく多層
膜T1の側端面T1s,T1sの電気的絶縁を確実にと
り、なおかつフリー磁性層28に十分な大きさの縦バイ
アス磁界を供給できる磁気検出素子を提供できる。
【0179】また、アルミナなどの酸化物ターゲットを
用いて絶縁酸化膜32,32をスパッタ成膜すると、多
層膜T1の下面付近の屈曲部K,Kの周囲に十分な厚さ
の絶縁酸化膜32,32を堆積させることが難しいとい
う問題が生じるが、第2酸化層M’,M’を金属材料ま
たは半導体材料の自然酸化あるいは陽極酸化によって形
成することにより、屈曲部K,Kの周囲の絶縁耐圧を向
上させることができる。
【0180】また、図3では、下部電極層22の多層膜
T1の両側領域に延びている部分の表面が酸化されて第
1酸化層F’,F’の一部となっており、下部電極層2
2とハードバイアス層35,35間の電気的絶縁性が向
上している。
【0181】図4は、本発明における第4の実施形態の
磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面
図である。
【0182】図4に示される磁気検出素子は、下から順
に、フリー磁性層28、非磁性材料層27、固定磁性層
26、及び反強磁性層25が積層されている、いわゆる
トップスピンバルブ型の磁気検出素子である点で図3に
示された磁気検出素子と異なっている。
【0183】図4に示される磁気検出素子でも、多層膜
T2とハードバイアス層35,35間の電気的絶縁性及
び下部電極層22とハードバイアス層35,35間の電
気的絶縁性は絶縁酸化膜32,32の絶縁耐圧に依存し
ている。
【0184】図4に示される磁気検出素子でも、絶縁酸
化膜32,32を第1酸化層F’,F’と第2酸化層
M’,M’の2層構造を有するものとしているので、多
層膜T1とハードバイアス層35,35間の電気的絶縁
を確実にとることができる。
【0185】なお、図4でも、多層膜T1が側端面T1
s,T1sから所定の厚さ酸化されて形成された層、多
層膜T1を構成する各層の材料が多層膜T1のミリング
形成時に再付着したものが酸化されて形成された層と下
部電極層の材料が酸化されて形成された層を合わせて第
1酸化層F’,F’とし、アルミニウム又はケイ素など
の金属材料又は半導体材料の酸化物層を第2酸化層
M’,M’としている。
【0186】また、第2酸化層M’,M’をアルミニウ
ム(Al)などの金属材料やケイ素(Si)などの半導
体材料をスパッタ成膜した後、この金属材料や半導体材
料を自然酸化或いはプラズマ酸化やラジカル酸化などの
陽極酸化によって酸化させて形成することにより、膜厚
が薄くしかもピンホールの数が少ない絶縁酸化膜32,
32を形成することが容易になる。
【0187】本発明では、絶縁酸化膜32,32の膜厚
tを3nm〜20nmとしてもピンホールが少なく多層
膜T2の側端面T2s,T2sの電気的絶縁を確実にと
り、なおかつフリー磁性層28に十分な大きさの縦バイ
アス磁界を供給できる磁気検出素子を提供できる。
【0188】また、アルミナなどの酸化物ターゲットを
用いて絶縁酸化膜32,32をスパッタ成膜すると、多
層膜T2の下面付近の屈曲部K2,K2の周囲に十分な
厚さの絶縁酸化膜32,32を堆積させることが難しい
という問題が生じるが、第2酸化層M’,M’を金属材
料または半導体材料の自然酸化あるいは陽極酸化によっ
て形成することにより、屈曲部K2,K2の周囲の絶縁
耐圧を向上させることができる。
【0189】また、図4に示される磁気検出素子では、
絶縁酸化膜32,32の膜厚、特に第2酸化層M’,
M’を薄くしつつ、下部電極層22とハードバイアス層
35,35間の電気的絶縁をとることができるので、フ
リー磁性層28が多層膜T2の下側に積層される場合で
も、ハードバイアス層35,35をフリー磁性層28に
確実に対向させることができる。
【0190】図1に示された磁気検出素子の製造方法を
説明する。まず、図6に示されるように、図示しない基
板上に、アルミナなどの下地層(図示せず)を介して、
下部シールド層21、下部電極層22、並びに下地層2
3、シード層24、反強磁性層25、第1固定磁性層2
6a、非磁性中間層26b、第2固定磁性層26c、非
磁性材料層27、第2フリー磁性層28a、非磁性中間
層28b、第1フリー磁性層28c、及び保護層29か
らなる多層膜T1を成膜する。各層の材料は、図1に示
された磁気検出素子の同じ符号をつけた層の材料と同じ
なので説明を省略する。
【0191】各層の形成は例えばスパッタ成膜である。
スパッタ成膜では、例えばDCマグネトロンスパッタ
法、RFマグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッ
タ法、ロングスロースパッタ法、コリメーションスパッ
タ法のいずれか、またはそれらを組み合せたスパッタ法
などを使用できる。
【0192】さらに、保護層29の上にレジスト層R1
を形成する。レジスト層R1のトラック幅方向(図示X
方向)における幅寸法を、フリー磁性層の上面の幅寸法
で決定されるトラック幅と同程度で形成することが好ま
しい。
【0193】そして図7に示す工程では、保護層29か
ら下地層23までの各層で構成される多層膜T1のレジ
スト層R1に覆われずに表面が露出している領域及び下
部電極層22の一部をイオンミリングなどで除去する。
図7に示す工程におけるイオンミリングの、多層膜T1
の上面T1aの法線方向(前記基板の表面の法線方向)
に対する入射角度θ1は、5°〜20°である。
【0194】図7に示されるイオンミリング工程で、レ
ジスト層R1に覆われることにより除去されずに残され
た多層膜T1のトラック幅方向の側端面T1s,T1s
に金属層H,Hが付着する。この金属層H,Hは多層膜
T1の材料及び下部電極層22の材料が前記ミリング工
程時に再付着したものである。
【0195】金属層H,Hの厚さは多層膜T1の上層に
行く程厚くなる。本発明では、多層膜T1の最上部での
金属層H,Hの厚さは5nm〜10nmである。
【0196】次に、図8に示すように、多層膜T1の表
面に対する法線方向(前記基板の表面の法線方向)から
角度θ2だけ傾いた入射角度のイオンミリングを行う。
【0197】角度θ2は前述の角度θ1より大きく、例
えば45°〜70°である。角度θ2のイオンミリング
を行うと、図8に示されるように、多層膜T1の側端面
T1s,T1sをサイドミリングして、金属層H,Hを
削って薄くできる。
【0198】なお、金属層H,Hが完全に除去されるま
でイオンミリングを行うと、多層膜T1の側端面T1
s,T1sにミリング粒子が打ち込まれて磁気検出素子
の磁界検出特性が低下する。従って、図8に示される工
程では、金属層H,Hをわずかに残すように削り、多層
膜T1の側端面T1s,T1sが損傷しないようにする
ことが好ましい。
【0199】次に、多層膜T1の側端面T1s,T1s
に残った金属層H,H及び多層膜T1を側端面T1s,
T1sから所定の厚さ酸化させて第1酸化層F’,F’
にさせる(図9)。
【0200】なお、多層膜T1を側端面T1s,T1s
から酸化させるときの前記所定の厚さは、1nm〜5n
mである。
【0201】また、下部電極層22の多層膜T1の両側
領域に延びている部分の表面も酸化されて第1酸化層
F’,F’の一部となる。
【0202】酸化には自然酸化、或いはプラズマ酸化又
はラジカル酸化などの陽極酸化のうちいずれか1種以上
の酸化方法を用いることが好ましい。ただし、これ以外
の酸化方法であっても良い。特に、酸化速度が速いこと
と酸化工程における膜の損傷度が低いことからラジカル
酸化を用いることが好ましい。
【0203】金属層H,H及び多層膜T1の側端面T1
s,T1sから所定の厚さの部分を酸化させることによ
り、多層膜T1を構成する各層の電気的絶縁、特にフリ
ー磁性層28と固定磁性層26間の電気的絶縁をとるこ
とができる。
【0204】また、第1酸化層F’,F’は図1に示さ
れた磁気検出素子の絶縁酸化膜32,32の構成要素に
なるものである。金属層H,H及び多層膜T1を後から
酸化させることにより均一で高密度の第1酸化層F’,
F’を形成できるので、後の工程で形成されるハードバ
イアス層35,35からフリー磁性層28に十分な縦バ
イアス磁界を供給できるように第1酸化層F’,F’を
薄くしても、第1酸化層F’,F’のピンホールを少な
くして、多層膜T1の側端面T1s,T1sの電気的絶
縁を確実にとることができるようになる。
【0205】図8に示されたサイドミリング工程によっ
て、金属層H,Hを薄くすると、金属H,Hを一回の酸
化工程で完全に酸化させることも可能である。ただし、
金属層H,Hを一回の酸化工程で完全に酸化できないと
きは、酸化工程を繰り返し行なっても良い。
【0206】なお、金属層H,Hを削って薄くする工程
を省略して、多層膜T1を削り出し形成した後、すぐに
金属層H,Hを酸化させてもよい。
【0207】または、金属層H,Hを完全に除去してし
まい、多層膜T1を側端面T1s,T1sから所定の厚
さ酸化させて第1酸化層F’,F’としてもよい。
【0208】第1酸化層F’,F’の形成後、図10に
示すように、第1酸化層F’,F’上及び下部電極層2
2上に、アルミニウムなどの金属材料またはケイ素など
の半導体材料を、スパッタ粒子の入射方向が等方的であ
るスパッタ成膜法によって成膜し、金属材料層(または
半導体材料層)M,Mを形成する。
【0209】次に、図11に示す工程において、金属材
料層(または半導体材料層)M,Mを酸化させて第2酸
化層M’,M’にさせる。酸化には、自然酸化、或いは
プラズマ酸化又はラジカル酸化などの陽極酸化のうちい
ずれか1種以上の酸化方法を用いることが好ましい。特
に、酸化速度が速いことと酸化工程における膜の損傷度
が低いことからラジカル酸化を用いることが好ましい。
ただし、これ以外の酸化方法であっても良い。
【0210】金属材料や半導体材料は、多層膜T1の側
端面T1s,T1s上に緻密に付着させることが容易で
ある。また、前記金属材料や前記半導体材料を多層膜T
1の側端面T1s,T1s上に付着させた段階で、多少
のピンホールが形成されても、前記金属材料や前記半導
体材料を酸化させる段階でこれらのピンホールが埋めら
れるので、形成された第2酸化層M’,M’はピンホー
ルが少なくなり、多層膜T1の側端面T1s,T1sの
電気的絶縁を確実にとることができるものとなる。
【0211】本発明では、第1酸化層F’,F’と第2
酸化層M’,M’からなる多層構造を有する絶縁酸化膜
32,32を、多層膜T1の側端面T1s,T1sに形
成することができるので、多層膜T1の側端面T1s,
T1sと前記一対の縦バイアス層の電気的絶縁をより確
実にとることができるようになる。
【0212】しかも、第1酸化層F’,F’と第2酸化
層M’,M’の膜厚を薄くしても必要な絶縁耐圧を有す
る層とすることができる。
【0213】従って、第1酸化層F’,F’と第2酸化
層M’,M’からなる絶縁酸化膜32,32の膜厚を薄
くでき、後の工程で形成されるハードバイアス層35,
35からフリー磁性層28に十分な縦バイアス磁界を供
給できる。具体的には、前記絶縁酸化膜の膜厚を3nm
〜20nmとすることができる。
【0214】なお、第2酸化層M’,M’を形成すると
きに、本発明では、アルミナ等の金属酸化物からなるタ
ーゲットを用いたスパッタ成膜によって成膜することも
可能である。また、酸化ケイ素などの半導体材料の酸化
物からなるターゲットを用いたスパッタ成膜によって成
膜することも可能である。
【0215】ただし、アルミナ等の金属酸化物や酸化ケ
イ素などの半導体酸化物をターゲットとして用いると、
形成された第2酸化層M’,M’の膜厚や組成が不均一
になりやすく、ピンホールなどが生じやすくなって局所
的に絶縁特性の弱い部分ができやすい。すると、絶縁特
性の弱い部分に電流が集中して洩れ電流が発生したり、
絶縁破壊が起きて、前記多層膜の側端面と前記一対の縦
バイアス層が完全に導通して磁気検出素子の出力が著し
く低下してしまうことがある。従って、上述したよう
に、先に金属材料層(または半導体材料層)M,Mを成
膜してから、酸化させて第2酸化層M’,M’にさせる
方が望ましい。
【0216】図11では、絶縁酸化膜32,32を構成
する第1酸化層F’,F’と第2酸化層M’,M’が分
離している様子を図示している。ただし、実際に形成さ
れた絶縁酸化膜32,32において、第1酸化層F’,
F’と第2酸化層M’,M’が明確に分離した状態にあ
るとは限らない。
【0217】なお、第1酸化層F’,F’と第2酸化層
M’,M’を適切な酸化膜とすることにより、絶縁酸化
膜32,32を、多層膜T1内を流れる伝導電子のスピ
ン状態(エネルギー、量子状態など)を保持したまま鏡
面反射するスペキュラー膜(鏡面反射膜)とすることが
好ましい。
【0218】本実施の形態では、絶縁酸化膜32,32
を構成する第1酸化層F’,F’と第2酸化層M’,
M’を、金属材料または半導体材料の自然酸化または陽
極酸化(プラズマ酸化、ラジカル酸化)によって形成す
るので、均一で高密度な酸化膜として形成することがで
きる。従って、絶縁酸化膜32,32の鏡面反射効果を
増大させて磁気検出素子の出力を大きくすることができ
る。
【0219】特に、第2酸化層M’,M’を以下の材料
からなる層として形成すると、絶縁酸化膜32,32を
スペキュラー膜として機能させることが容易になるので
好ましい。
【0220】Fe−O、Ni−O、Co−O、Co−F
e−O、Co−Fe−Ni−O、Al−O、Al−Q−
O(ここでQはB、Si、N、Ti、V、Cr、Mn、
Fe、Co、Niから選択される1種以上)、R−O
(ここでRはCu、Ti、V、Cr、Zr、Nb、M
o、Hf、Ta、Wから選択される1種以上)のいずれ
か1種或いは2種以上の酸化物。
【0221】なお例えばFe−Oの中でもα−Fe
23、Ni−Oの中でもNiO、Al−Q−Oの中でも
AlQO、R−Oの中でもROとなる組成式を満たすこ
とが好ましい。
【0222】上記した第2酸化層M’,M’を形成する
際、酸化物ターゲットを用いて直接酸化膜を堆積させて
もよいが、まず上記各化合物の酸素を除いた元素からな
るターゲットを用意し、このターゲットを用いて多層膜
の側端面にかけて、各化合物の酸素を除いた元素からな
る膜を成膜する。具体的に言えば、例えば酸化物層O,
OをTaOで形成する場合、まずTa膜を多層膜の側端
面にかけて成膜する。次に、前記Ta膜を酸化する。酸
化には自然酸化、プラズマ酸化、ラジカル酸化のうちい
ずれか1種以上の酸化方法を用いることが好ましい。ま
たこれ以外の酸化方法であっても良い。
【0223】なお上記した酸化工程で酸素を除いた元素
から成る膜をすべて酸化し、これによって形成された酸
化物層(スペキュラー膜)は化学量論的な組成に近く、
隣接する多層膜との間に、十分なポテンシャル障壁を形
成することが可能となる。この結果、十分な鏡面反射効
果を得ることが可能になる。
【0224】また上記した第2酸化層M’,M’の代わ
りに、Al−N、Al−Q−N(ここでQはB、Si、
O、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選択
される1種以上)、R−N(ここでRはTi、V、C
r、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される
1種以上)の窒化物の層を形成してもよい。
【0225】なおAl−Nの中でもAlN、Al−Q−
Nの中でもAlQN、R−Nの中でもRNとなる組成式
を満たすことが好ましい。
【0226】かかる場合、上記の窒化物の窒素を除いた
元素から成る膜を、スパッタ成膜した後、前記膜を窒化
させることで窒化物から成るスペキュラー膜を形成する
ことができる。
【0227】あるいは、第2酸化層M’,M’の代わり
に半金属ホイッスラー合金の層を形成してもよい。金属
ホイッスラー合金には、NiMnSb、PtMnSbな
どを選択できる。これら半金属ホイッスラー合金を、ス
パッタ成膜することが好ましい。
【0228】なお上記した第2酸化層M’,M’の成膜
の際におけるスパッタ条件は、例えば磁気検出素子を形
成する基板の温度を20℃〜100℃とし、前記基板と
ターゲット間の距離を100〜300mmとし、Arガ
ス圧を10-5〜10-3Torr(1.3×10-3〜0.
13Pa)とする。
【0229】次に図12に示されるように、絶縁酸化膜
32,32上に、絶縁層33,33、バイアス下地層3
4,34及びハードバイアス層35,35をスパッタ成
膜する。ハードバイアス層35,35は少なくともフリ
ー磁性層28のトラック幅方向における側端面に対向す
るように形成される。
【0230】バイアス下地層34,34、ハードバイア
ス層35,35のスパッタ時におけるスパッタ粒子の入
射角度は、例えば、多層膜T1上面に対する法線方向か
ら5°〜45°である。
【0231】ハードバイアス層35,35からフリー磁
性層28に縦バイアス磁界が供給されて、フリー磁性層
28の磁化は適切にトラック幅方向(図示X方向)に単
磁区化される。
【0232】次にハードバイアス層35,35上に絶縁
層36,36をスパッタ成膜する。絶縁層36,36の
膜厚は50〜200Å程度であることが好ましい。これ
により上部電極層30から流れるセンス電流がハードバ
イアス層35,35に分流するのを抑制することが可能
である。
【0233】また絶縁層36,36のスパッタ時におけ
るスパッタ粒子の入射角度は、例えば、多層膜T1上面
に対する法線方向から5°〜60°である。
【0234】絶縁層33,33、バイアス下地層34,
34、ハードバイアス層35,35、及び絶縁層36,
36の材料は、図1に示された磁気検出素子と同じなの
で説明を省略する。
【0235】なお、絶縁層33,33、バイアス下地層
34,34、ハードバイアス層35,35及び絶縁層3
6,36の材料の層が、レジスト層R1の上面や側端面
に付着する。
【0236】そしてレジスト層R1を除去する。図12
に示すように、レジスト層R1の上面や側面には、絶縁
層36,36の材料などの層が付着しているからレジス
ト層R1を溶剤に浸して除去することは難しい。
【0237】このため、スクラブ洗浄によって、レジス
ト層R1の上面などに付着した絶縁層36,36の材料
などの層を一部除去してレジスト層R1の一部の表面を
露出させた後、レジスト層R1を溶剤に浸しレジスト層
R1を溶かして除去する。
【0238】なおスクラブ洗浄には、例えばドライアイ
スの粒子を、レジスト層R1の表面に付着した絶縁材料
などの層に衝突させて、絶縁材料などの層の一部を除去
する方法などがある。
【0239】レジスト層R1の除去後、多層膜T1の上
面と電気的に接続される上部電極層30及び上部磁極層
31を積層すると図1に示される磁気検出素子を形成で
きる。
【0240】なお、図10に示される工程と図11に示
される工程を繰り返し行い、第2酸化層M’,M’を多
重構造とすることにより、多層膜T1の側端面T1s,
T1sとハードバイアス層35,35の電気的絶縁をよ
り確実にとることができる。
【0241】また、図10に示される工程において第2
酸化層M’,M’の膜厚を調節するか、または、図10
に示される工程と図11に示される工程を繰り返し行
い、第2酸化層M’,M’を多重構造として全体の膜厚
を調節することにより、多層膜T1の側端面T1s,T
1sとハードバイアス層35,35の距離を調節し、フ
リー磁性層28に供給される縦バイアス磁界の大きさを
調節することができる。多層膜T1の有効幅は、図9に
示された工程において、第1酸化層F’,F’を形成し
た段階で決定されるので、第2酸化層M’,M’の膜厚
を変化させても、前記多層膜の有効幅が変化することを
防止できる。
【0242】図2に示される磁気検出素子を形成すると
きには、図8に示される工程の後、第1酸化層F’,
F’、絶縁層33,33、第2酸化層M’,M’の順序
で形成すればよい。
【0243】図3に示される磁気検出素子を形成すると
きには、図11に示される工程の後、第2酸化層M’,
M’上に直接バイアス下地層34,34を積層すればよ
い。
【0244】図4に示される磁気検出素子を形成すると
きには、図6に示される工程において多層膜T1の代わ
りに、下から第1フリー磁性層28c、非磁性中間層2
8b、第2フリー磁性層28a、非磁性材料層27、第
2固定磁性層26c、非磁性中間層26b、第1固定磁
性層26a、反強磁性層25、及び保護層29が下から
順に積層された多層膜T2を形成すればよい。
【0245】また、図6に示された工程において下部電
極層22を、図12に示された工程の後において上部電
極層30を、それぞれ磁性材料によって形成することに
より、下部電極層22及び上部電極層30が、それぞ
れ、下部シールド層及び上部シールド層の機能を有する
ようにしてもよい。
【0246】図13は、図1に示された磁気検出素子の
絶縁酸化膜32の拡大部分断面図である。
【0247】絶縁酸化膜32は、多層膜を側端面から所
定の厚さ酸化して形成された層O、ミリング工程時に再
付着した多層膜を構成する各層の材料が酸化された層G
及び下部電極層22の材料が酸化されて形成された層L
からなる第1酸化層F’、並びに第2酸化層M’から構
成されている。
【0248】ただし、実際に形成された絶縁酸化膜32
において、これらの各層が明確に分離した状態にあると
は限らない図14及び図15は、本発明の磁気検出素子
を備えた磁気ヘッドを示した図である。なお図14はス
ライダを記録媒体との対向面側から見た斜視図、図15
は図14に示すD−D線から切断し矢印方向から見た縦
断面図である。
【0249】図14及び図15に示すように、前記磁気
検出素子を具備してなるGMRヘッドh1は、インダク
ティブヘッドh2と共にスライダのトレーリング側端部
50aに設けられて磁気ヘッドを構成し、ハードディス
ク等の磁気記録媒体の記録磁界を検出及び記録すること
が可能になっている。
【0250】図14に示すように、スライダ50の記録
媒体との対向面(ABS面)52には、レール52a、
52a,52aが形成され、各レール同士間は、エアー
グルーブ52b、52bを構成している。
【0251】図15に示すように、GMRヘッドh1
は、スライダ50の側端部50a上に形成された磁性合
金からなる下部シールド層53と、下部シールド層53
に積層された下部電極層54と、記録媒体との対向面5
2から露出する本発明の磁気検出素子55と、上部電極
層56と、上部シールド層57とから構成されている。
【0252】上部シールド層57は、インダクティブヘ
ッドh2の下部コア層と兼用とされている。
【0253】インダクティブヘッドh2は、下部コア層
(上部シールド層)57と、下部コア層57に積層され
たギャップ層58と、コイル59と、記録媒体との対向
面でギャップ層58上に接合され、かつ基端部60aに
て下部コア層57に接合される上部コア層60とから構
成されている。
【0254】また、上部コア層60上には、アルミナな
どからなる保護層61が積層されている。
【0255】なお、図14及び図15において、図示X
方向がトラック幅方向、図示Y方向が記録媒体からの洩
れ磁界方向(ハイト方向)、図示Z方向が記録媒体の移
動方向である。
【0256】また本発明では、多層膜をトンネル型磁気
抵抗効果型素子と呼ばれる磁気検出素子とすることもで
きる。トンネル型磁気抵抗効果型素子では、非磁性材料
層24がAl23やSiO2などの絶縁材料で形成され
る。
【0257】なお本発明における磁気検出素子は、ハー
ドディスク装置に搭載される磁気ヘッドにのみ使用可能
なものではなく、テープ用磁気ヘッドや磁気センサなど
にも使用可能なものである。
【0258】以上本発明をその好ましい実施例に関して
述べたが、本発明の範囲から逸脱しない範囲で様々な変
更を加えることができる。
【0259】なお、上述した実施例はあくまでも例示で
あり、本発明の特許請求の範囲を限定するものではな
い。
【0260】
【発明の効果】以上詳細に説明した本発明の磁気検出素
子では、前記多層膜のトラック幅方向における側端面
に、前記縦バイアス層と前記多層膜を電気的に絶縁する
絶縁酸化膜が設けられている。従って、前記多層膜の前
記フリー磁性層のトラック幅方向における側端面に対向
する一対の縦バイアス層を形成しても、前記多層膜の側
端面の電気的絶縁を確実にとることができ、磁気検出素
子の出力を容易に向上させることができる。
【0261】前記絶縁酸化膜は、例えば、前記多層膜を
構成する各層の材料が酸化されて形成された層、前記下
部電極層の材料が酸化されて形成された層、金属材料又
は半導体材料の酸化物層のうち1つまたは2つ以上を有
するものとできる。
【0262】前記絶縁酸化膜を形成する方法として、前
記多層膜のトラック幅方向における側端面に付着した金
属層(前記多層膜を構成する各層の材料や前記下部電極
層の材料からなる層)や前記多層膜を、自然酸化或いは
プラズマ酸化やラジカル酸化などの陽極酸化によって酸
化させたり、前記多層膜の側端面上に、アルミニウム
(Al)などの金属材料やケイ素(Si)などの半導体
材料をスパッタ成膜した後、この金属材料や半導体材料
を自然酸化或いはプラズマ酸化やラジカル酸化などの陽
極酸化によって酸化させる方法を用いることができる。
【0263】前記多層膜の側端面上にまず金属や半導体
を付着させ、後からこの金属や半導体を酸化させる方法
を用いると、前記絶縁酸化膜の膜厚を薄くして前記フリ
ー磁性層に適切な大きさの縦バイアス磁界を供給するこ
とと、前記絶縁酸化膜のピンホールの数を少なくし前記
多層膜の側端面の電気的絶縁を確実にとることを両立さ
せることが容易になる。
【0264】本発明では、前記絶縁酸化膜の膜厚を3n
m〜20nmとしてもピンホールが少なく前記多層膜の
側端面の電気的絶縁を確実にとることができる磁気検出
素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の磁気検出素子の断
面図、
【図2】本発明の第2の実施の形態の磁気検出素子の断
面図、
【図3】本発明の第3の実施の形態の磁気検出素子の断
面図、
【図4】本発明の第4の実施の形態の磁気検出素子の断
面図、
【図5】スペキュラー膜による鏡面反射効果を説明する
ための様式説明図、
【図6】本発明の磁気検出素子の製造方法の実施の形態
を示す一工程図、
【図7】本発明の磁気検出素子の製造方法の実施の形態
を示す一工程図、
【図8】本発明の磁気検出素子の製造方法の実施の形態
を示す一工程図、
【図9】本発明の磁気検出素子の製造方法の実施の形態
を示す一工程図、
【図10】本発明の磁気検出素子の製造方法の実施の形
態を示す一工程図、
【図11】本発明の磁気検出素子の製造方法の実施の形
態を示す一工程図、
【図12】本発明の磁気検出素子の製造方法の実施の形
態を示す一工程図、
【図13】図1に示された磁気検出素子の絶縁酸化膜3
2の拡大部分断面図、
【図14】本発明の磁気検出素子が取りつけられた磁気
ヘッドの斜視図、
【図15】図15に示された磁気ヘッドの断面図、
【図16】従来の磁気検出素子を示す断面図、
【符号の説明】
21 下部シールド層 22 下部電極層 23 下地層 24 シード層 25 反強磁性層 26 固定磁性層 26a 第1固定磁性層 26b 非磁性中間層 26c 第2固定磁性層 27 非磁性材料層 28 フリー磁性層 28a 第2フリー磁性層 28b 非磁性中間層 28c 第1フリー磁性層 29 保護層 30 上部電極層 31 上部シールド層 32 絶縁酸化膜 33、36 絶縁層 34 バイアス下地層 35 ハードバイアス層 R1 レジスト層 F’ 第1酸化層 M’ 第2酸化層 T1、T2 多層膜

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定磁性層、非磁性材料層及びフリー磁
    性層を有する多層膜、硬磁性材料からなり前記多層膜の
    前記フリー磁性層のトラック幅方向における側端面に対
    向する一対の縦バイアス層、並びに前記多層膜の上面に
    電気的に接続された上部電極層及び前記多層膜の下面に
    電気的に接続された下部電極層を有し、前記多層膜の各
    層の膜面と垂直方向に電流を供給する磁気検出素子にお
    いて、前記多層膜のトラック幅方向における側端面に、
    前記縦バイアス層と前記多層膜を電気的に絶縁する絶縁
    酸化膜が設けられていることを特徴とする磁気検出素
    子。
  2. 【請求項2】 前記絶縁酸化膜は、前記多層膜を構成す
    る各層の材料が酸化されて形成された層を有する請求項
    1に記載の磁気検出素子。
  3. 【請求項3】 前記絶縁酸化膜は、前記下部電極層の材
    料が酸化されて形成された層を有する請求項1または2
    に記載の磁気検出素子。
  4. 【請求項4】 前記絶縁酸化膜は、金属材料又は半導体
    材料の酸化物層を有する請求項1ないし3のいずれかに
    記載の磁気検出素子。
  5. 【請求項5】 前記絶縁酸化膜の膜厚が3nm〜20n
    mである請求項1ないし4のいずれかに記載の磁気検出
    素子。
  6. 【請求項6】 前記絶縁酸化膜がスペキュラー膜として
    機能する請求項1ないし5のいずれかに記載の磁気検出
    素子。
  7. 【請求項7】 前記絶縁酸化膜は、Fe−O、Ni−
    O、Co−O、Co−Fe−O、Co−Fe−Ni−
    O、Al−O、Al−Q−O(ここでQはB、Si、
    N、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選択
    される1種以上)、R−O(ここでRはCu、Ti、
    V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択
    される1種以上)の酸化物を含む請求項1ないし6のい
    ずれかに記載の磁気検出素子。
  8. 【請求項8】 前記多層膜は、前記固定磁性層に接する
    反強磁性層を有し、下から、反強磁性層、固定磁性層、
    非磁性材料層、フリー磁性層の順序で積層されている請
    求項1ないし7のいずれかに記載の磁気検出素子。
  9. 【請求項9】 前記多層膜は、前記固定磁性層に接する
    反強磁性層を有し、下から、フリー磁性層、非磁性材料
    層、固定磁性層及び反強磁性層の順序で積層されている
    請求項1ないし7のいずれかに記載の磁気検出素子。
  10. 【請求項10】 前記下部電極層の下層に下部シールド
    層が形成され、前記上部電極層の上層に上部シールド層
    が形成されている請求項1ないし9のいずれかに記載の
    磁気検出素子。
  11. 【請求項11】 前記下部電極層及び前記上部電極層が
    磁性材料によって形成されている請求項1ないし9のい
    ずれかに記載の磁気検出素子。
  12. 【請求項12】 以下の工程を有することを特徴とする
    磁気検出素子の製造方法。 (a)基板上に下部電極層を形成し、前記下部電極層の
    表面上に、固定磁性層、非磁性材料層、フリー磁性層を
    有する多層膜を形成する工程と、(b)前記多層膜上に
    レジスト層を形成し、前記多層膜の、前記レジスト層に
    覆われずに表面が露出している部分を除去する工程と、
    (c)前記レジスト層に覆われて、除去されずに残され
    た前記多層膜のトラック幅方向における側端面に付着し
    た金属層を酸化させる工程、及び/又は前記多層膜を側
    端面から所定の厚さ酸化させる工程と、(d)前記多層
    膜の前記フリー磁性層のトラック幅方向における側端面
    に対向する一対の縦バイアス層を、硬磁性材料を用いて
    形成する工程と、(e)前記レジスト層を除去する工程
    と、(f)前記多層膜の上面と電気的に接続される上部
    電極層を形成する工程。
  13. 【請求項13】 前記(b)の工程と前記(c)の工程
    の間に、(g)前記(b)の工程で、除去されずに残さ
    れた多層膜のトラック幅方向の側端面に付着した金属層
    を削る工程を有する請求項12に記載の磁気検出素子の
    製造方法。
  14. 【請求項14】 前記(c)の工程と前記(d)の工程
    の間に(h)前記多層膜のトラック幅方向における側端
    面上に、金属材料又は半導体材料の酸化物層を形成する
    工程を有する請求項12または13に記載の磁気検出素
    子の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記(c)の工程並びに/或いは前記
    (h)の工程において、前記金属層及び/又は前記多層
    膜、並びに/或いは、前記金属材料又は半導体材料を自
    然酸化、プラズマ酸化あるいはラジカル酸化のうち1種
    以上の酸化方法で酸化させる請求項12ないし14のい
    ずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記(h)の工程を複数回繰り返す請
    求項14または15に記載の磁気検出素子の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記(h)の工程において、前記金属
    材料の酸化物層に、Fe−O、Ni−O、Co−O、C
    o−Fe−O、Co−Fe−Ni−O、Al−O、Al
    −Q−O(ここでQはB、Si、N、Ti、V、Cr、
    Mn、Fe、Co、Niから選択される1種以上)、R
    −O(ここでRはCu、Ti、V、Cr、Zr、Nb、
    Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上)の酸化
    物を含ませる請求項14ないし16のいずれかに記載の
    磁気検出素子の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記(c)の工程並びに/或いは前記
    (h)の工程において、前記金属層及び/又は前記多層
    膜が酸化された層、並びに/或いは、前記金属材料又は
    半導体材料の酸化物層を、スペキュラー膜として機能す
    る前記絶縁酸化膜とする請求項12ないし17のいずれ
    かに記載の磁気検出素子の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記(a)の工程において、前記多層
    膜を前記固定磁性層に接する反強磁性層を有するものと
    して形成し、下から、反強磁性層、固定磁性層、非磁性
    材料層、フリー磁性層の順序で積層する請求項12ない
    し18のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記(a)の工程において、前記多層
    膜を前記固定磁性層に接する反強磁性層を有するものと
    して形成し、下から、フリー磁性層、非磁性材料層、固
    定磁性層及び反強磁性層の順序で積層する請求項12な
    いし18のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記(a)の工程において、前記下部
    電極層の下層に下部シールド層を形成し、前記(f)の
    工程の後で、前記上部電極層の上層に上部シールド層を
    形成する請求項12ないし20のいずれかに記載の磁気
    検出素子の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記(a)の工程において前記下部電
    極層を、前記(f)の工程において前記上部電極層を、
    それぞれ磁性材料によって形成する請求項12ないし2
    0のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
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