JPH10177706A - スピンバルブ型薄膜素子 - Google Patents
スピンバルブ型薄膜素子Info
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- JPH10177706A JPH10177706A JP8334142A JP33414296A JPH10177706A JP H10177706 A JPH10177706 A JP H10177706A JP 8334142 A JP8334142 A JP 8334142A JP 33414296 A JP33414296 A JP 33414296A JP H10177706 A JPH10177706 A JP H10177706A
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- H01F10/3268—Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer the exchange coupling being asymmetric, e.g. by use of additional pinning, by using antiferromagnetic or ferromagnetic coupling interface, i.e. so-called spin-valve [SV] structure, e.g. NiFe/Cu/NiFe/FeMn
Abstract
れているが、さらに層の総数を増やし電子散乱の起こる
場所を増やせば抵抗変化率は向上すると推測される。し
かし、層の総数を増やせばスピンバルブ膜の膜厚は大き
くなり、磁気ギャップ長は大きくなる。従来では反強磁
性層にNiMn合金が使用されており、前記反強磁性層
の膜厚は数百オングストロームと大きくなっていた。ま
た、交換異方性磁界を発揮させるための熱処理温度が高
く、非磁性導電層と固定磁性層の界面の拡散を生じやす
くなっていた。 【解決手段】 スピンバルブ膜の反強磁性層4にPtM
n膜を使用する。これにより比較的低い熱処理温度で、
しかも前記反強磁性層4の膜厚を小さくしても十分な交
換異方性磁界を得ることができる。よってスピンバルブ
膜の層の総数を増やして抵抗変化率を大きくすることが
できると同時にスピンバルブ膜の総合膜厚h3を比較的
小さくできる。
Description
磁性層)の磁化の方向と外部磁界の影響を受けるフリー
磁性層の磁化の方向との関係で電気抵抗が変化するスピ
ンバルブ型薄膜素子に係り、スピンバルブ膜の構造及び
材質を改良して、検出感度を高め且つ高密度化記録に対
応できるようにしたスピンバルブ型薄膜素子に関する。
esistive)効果を発揮する多層構造には、スピンバルブ
方式やマルチレイヤ(Multilayer)GMR方式などがあ
る。図5はマルチレイヤGMR素子を示す断面図であ
る。マルチレイヤGMR素子は、下から強磁性材料の層
9と非磁性導電層2とが何層にも繰り返して積層された
構造となっている。なお、前記強磁性材料の層9には、
NiFe(ニッケル―鉄)系合金やCoFe(コバルト
―鉄)系合金などが用いられ、非磁性導電層2には、C
u(銅)が一般に使用される。
の層9が積層され、特に前記非磁性導電層2の膜厚が1
0〜20オングストローム程度で形成されると、RKK
Y相互作用により、上下の強磁性材料の層9の磁化方向
は反平行に単磁区化されて揃えられる。このマルチレイ
ヤGMR素子では、ハードディスクなどの記録媒体から
の洩れ磁界が与えられると、前記強磁性材料の層9の磁
化が洩れ磁界と同一方向に変化する。前記強磁性材料の
層9の磁化方向の変動により電気抵抗が変化し、この電
気抵抗値の変化に基づく電圧変化により、磁気記録媒体
からの洩れ磁界が検出される。
抵抗変化率は、外部磁界が数十Oeから数千Oeである
と約10〜30%程度になる。抵抗変化率が非常に大き
くなるのは、電子散乱を起す場所が非常に多いためであ
る。またこの抵抗変化率を引き出すために非常に大きい
外部磁界が必要になるが、これは、強磁性材料の層9の
磁化方向がRKKY相互作用により反平行となり強固に
固定されているためである。なお、この抵抗変化率から
面記録密度を計算してみたところ、100(Gb/in2)
程度までの面記録密度対応が可能であることがわかっ
た。ただし、数Oeの比較的弱い外部磁界が与えられた
場合には、マルチレイヤGMR素子の抵抗変化率は、ス
ピンバルブ型薄膜素子の抵抗変化率よりも小さくなるこ
とが確認されている。
断面図である。巨大磁気抵抗効果を発揮するスピンバル
ブ膜は、下から反強磁性層4、固定磁性層(ピン磁性
層)3、非磁性導電層2及びフリー磁性層1の4層で構
成されている。また、図7はデュアルスピンバルブ型薄
膜素子の断面図である。デュアルスピンバルブ型薄膜素
子におけるスピンバルブ膜は、フリー磁性層1を中心に
して上下対象に、非磁性導電層2,2、固定磁性層(ピ
ン磁性層)3,3および反強磁性層4,4が積層されて
構成されている。また、図6及び図7に示すようにスピ
ンバルブ膜の両側には、ハードバイアス層5,5が形成
されている。なお、符号6,7はTa(タンタル)など
の非磁性材料で形成された下地層および保護層で、符号
8は導電層である。
して形成され、前記固定磁性層3は、前記反強磁性層4
との界面での交換結合による交換異方性磁界により、Y
方向に単磁区化され、磁化の方向がY方向に固定され
る。前記交換異方性磁界は、磁界を与えながら熱処理を
施すことにより前記反強磁性層4と前記固定磁性層3と
の界面において生じる。また、X方向に磁化されている
ハードバイアス層5の影響を受け前記フリー磁性層1の
磁化方向はX方向へ揃えられる。ハードバイアス層5に
よりフリー磁性層1が所定方向に単磁区化されることに
よって、バルクハウゼンノイズの発生を防止することが
できる。
としては、マルチレイヤGMR素子の強磁性材料の層9
と同じNiFe系合金やCoFe系合金、非磁性導電層
2としてはCu(銅)膜が一般に用いられる。また、反
強磁性層4を構成する反強磁性材料として、FeMn
(鉄―マンガン)合金膜が一般的であるが、前記FeM
n合金膜は、固定磁性層3の下に成膜されると、固定磁
性層3との界面において交換結合が十分に発揮できない
という性質を有している。そのため、反強磁性層4,4
が固定磁性層3,3の上と下の双方に成膜される構造と
なるデュアルスピンバルブ型薄膜素子では、反強磁性層
4,4が固定磁性層3,3に対して上下どちらに形成さ
れても交換異方性磁界を得ることができる反強磁性材料
を使用する必要がある。従来ではそのような反強磁性材
料としてNiMn(ニッケル―マンガン)合金が使用可
能であるとされていた。
ドディスクなどの記録媒体からの洩れ磁界がY方向に与
えられると、フリー磁性層1の磁化がX方向からY方向
へ向けて変化する。前記フリー磁性層1の磁化方向が変
化すると、フリー磁性層1と固定磁性層3との間で片方
の層から他方の層へ移動しようとする電子が、非磁性導
電層2とフリー磁性層1との界面、または非磁性導電層
2と固定磁性層3との界面で散乱を起すことにより電気
抵抗が変化し、この電気抵抗の変化に基づく電圧変化に
より、磁気記録媒体からの洩れ磁界が検出される。フリ
ー磁性層1の磁化の方向と固定磁性層3の磁化の方向と
の角度が最も大きくなったとき、すなわち反平行になっ
たときに、前記電気抵抗値は最大値を示し、前記フリー
磁性層1の磁化の方向と固定磁性層3の磁化の方向が同
じになったときに、前記電気抵抗値は最少値を示す。記
録媒体からの洩れ磁界が与えられたときに、抵抗変化率
{(最大電圧値―最少電圧値)/最少電圧値}が大きく
なればなるほど、薄膜磁気ヘッドの検出出力は大きくな
る。
流)の大きさにも依存し、前記定常電流が大きくなれば
なるほど、前記検出出力は大きくなる。ただし、フリー
磁性層1、非磁性導電層2及び固定磁性層3を流れる電
流密度があまりにも大きいとジュール熱による検出出力
の低下や信頼性及び耐久性などに問題が生じ、スピンバ
ルブ型薄膜素子の特性は低下する。スピンバルブ型薄膜
素子の特性を良好に保つことのできる定常電流の上限値
は、3×107(A/cm2)であるとされている。な
お、スピンバルブ膜の層の総数を増やすことにより、定
常電流の上限値を上げることができる。
磁性導電層2とフリー磁性層1の界面および非磁性導電
層2と固定磁性層3の界面が、それぞれ1箇所ずつあ
り、電子散乱を起す場所は合計2箇所である。一方、図
5に示すようなデュアルスピンバルブ型薄膜素子では、
非磁性導電層2とフリー磁性層1の界面および非磁性導
電層2と固定磁性層3の界面は、それぞれ2箇所ずつあ
り、電子散乱を起す場所は合計4箇所である。このた
め、デュアルスピンバルブ型薄膜素子の方がシングルス
ピンバルブ型薄膜素子に比べて抵抗変化率が大きくな
る。数Oe(エルステッド)の外部磁界を与えてやる
と、前記シングルスピンバルブ型薄膜磁気ヘッドの抵抗
変化率は3〜9%程度となり、前記デュアルスピンバル
ブ型薄膜磁気ヘッドの抵抗変化率は5〜13%程度とな
ることが確認されている。また、前記抵抗変化率から面
記録密度を計算してみると、シングルスピンバルブ型で
は、10(Gb/in2)程度までの面記録密度対応が可能
であり、デュアルスピンバルブ型では、20(Gb/i
n2)程度までの面記録密度対応が可能である。
るには、面記録密度を向上させることが重要である。前
記面記録密度を向上させるには、再生出力を高くするこ
とが必要であり、また前記再生出力を高くするには、前
記再生出力と比例の関係にある抵抗変化率を高くするこ
とが必要である。図5に示すマルチレイヤGMR素子の
場合、上述したように数千Oeの外部磁界を与えてやれ
ば、抵抗変化率を最高値で約30%にできるが、外部磁
界が非常に小さいと、マルチレイヤGMR素子の抵抗変
化率は、スピンバルブ型薄膜素子の抵抗変化率よりも小
さくなってしまう。
スピンバルブ型薄膜素子のようにハードバイアス層を設
けることはできず、バルクハウゼンノイズの発生を低減
させることはできない。これは、仮にハードバイアス層
を設けると、前記ハードバイアス層の磁化方向に全ての
強磁性材料の層の磁化方向が揃えられ、従ってマルチレ
イヤGMR素子に外部磁界を与えても電気抵抗が変化せ
ず記録媒体の洩れ磁界が検出できなくなるためである。
ては、上述したようにシングルスピンバルブ型(図6)
よりデュアルスピンバルブ型(図7)の方が抵抗変化率
が高くなる。これは、電子散乱が起こる場所が、デュア
ルスピンバルブ型ではシングルスピンバルブ型の2倍存
在するからである。ただし、デュアルスピンバルブ型の
抵抗変化率は、シングルスピンバルブ型の抵抗変化率の
2倍にまでにはならない。
型において電子錯乱が起こる場所は、フリー磁性層1と
非磁性導電層2との界面(B)および界面(C)、固定
磁性層3と非磁性導電層2との界面(A)および界面
(D)の合計4箇所存在する。これに対し図6に示すよ
うに、シングルスピンバルブ型において電子散乱が起こ
る場所は、界面(A)と界面(B)の2箇所のみであ
る。しかし、デュアルスピンバルブ型の界面(B)で起
こる電子散乱は、シングルスピンバルブ型の界面(B)
で起こる電子散乱より弱くなっていると考えられる。こ
れは、デュアルスピンバルブ型の場合、1層の前記フリ
ー磁性層1が界面(B)と界面(C)の双方で電子錯乱
を起こしているためである。従ってデュアルスピンバル
ブ型の抵抗変化率は、シングルスピンバルブ型の抵抗変
化率より大きくなるものの、2倍までには至らない。
ルブ型では、反強磁性層4として、前記反強磁性層4の
上下どちらに固定磁性層3が積層されても交換異方性磁
界を発生できる反強磁性材料を使用することが好まし
い。このような反強磁性材料としてNiMn合金を例示
できる。しかしこの従来のスピンバルブ型薄膜素子に
は、以下の問題点がある。反強磁性層4としてNiMn
系合金膜を用いると、前記NiMn系合金膜とFeNi
系合金膜(固定磁性層3)との間で有効な交換結合を発
揮させるためには、250℃以上の比較的高い温度での
加熱処理(アニール)が必要になる。
行なうと、NiFe合金膜で形成されているフリー磁性
層1と固定磁性層3と、Cuで形成されている非磁性導
電層2の界面において、金属元素の拡散が発生し、フリ
ー磁性層1と非磁性導電層2の界面および、固定磁性層
3と非磁性導電層2との界面での電子拡散による磁気抵
抗効果に影響が出て、外部磁界に対する抵抗変化率が低
下する問題がある。また、高密度化記録に対応するに
は、面記録密度を向上させると同時に磁気ギャップ長G
lを小さくすることも重要であるが、NiMn系合金膜
で反強磁性層を形成すると、前記反強磁性層の膜厚を数
百オングストローム程度にしなければ良好な交換異方性
磁界を得ることができない。したがって、図5に示す多
層膜の厚さ寸法h′が大きくなることを避けることがで
きず、磁気ギャップ長Glを小さくすることができな
い。ちなみに、フリー磁性層1、非磁性導電層2および
固定磁性層3の膜厚はそれぞれ数十オングストローム程
度である。
よび従来のシングルスピンバルブ型薄膜素子、デュアル
スピンバルブ型薄膜素子の問題点を解決し、マルチレイ
ヤGMR素子に比べて小さい外部磁界でも十分な抵抗変
化率が得られるようにし、さらにシングルスピンバルブ
型薄膜素子やデュアルスピンバルブ型薄膜素子よりも大
きな抵抗変化率を得られるようにして、小さい外部磁界
に対して高感度であり、且つ高い検出出力を得ることが
できるスピンバルブ型薄膜素子を提供することを目的と
している。
めのものであり、反強磁性層をPtMn(白金−マンガ
ン)合金などで形成することにより、反強磁性層による
交換結合を発揮させるための熱処理温度を低くできるよ
うにし、しかも反強磁性層の膜厚を小さくしても有効な
交換異方性磁界を得ることができるようにして小ギャッ
プ化が可能なスピンバルブ型薄膜素子を提供することを
目的としている。
性層との交換異方性結合により磁化が一定の方向に固定
される固定磁性層と、磁気記録媒体からの洩れ磁界によ
り磁化の方向が変動するフリー磁性層とを有するスピン
バルブ型薄膜素子において、フリー磁性層の上に非磁性
導電層、固定磁性層が連続して積層された第1の多層膜
と、固定磁性層の上に非磁性導電層、フリー磁性層が連
続して積層された第2の多層膜とを有し、前記第1の多
層膜の上に反強磁性層を介して前記第2の多層膜が積層
されており、前記第1の多層膜と第2の多層膜に定常電
流を与える導電層が設けられていることを特徴とするも
のである。
る。このスピンバルブ型薄膜素子は、シングル型のスピ
ンバルブ膜(ハ)上に反強磁性層を共有してシングル型
のスピンバルブ膜(ロ)が積層された構造となってい
る。このためこのスピンバルブ型薄膜素子の抵抗変化率
は、シングルスピンバルブ型薄膜素子(図6)の抵抗変
化率(3〜9%)よりも高くなり、またデュアルスピン
バルブ型薄膜素子(図7)の抵抗変化率(5〜13%)
よりも高くなる。また定常電流の上限値を上げることが
できるため、シングルスピンバルブ型薄膜素子及びデュ
アルスピンバルブ型薄膜素子よりも高い磁気検出出力を
期待できる。
性結合により磁化が一定の方向に固定される固定磁性層
と、磁気記録媒体からの洩れ磁界により磁化の方向が変
動するフリー磁性層とを有するスピンバルブ型薄膜素子
において、フリー磁性層の上に非磁性導電層、固定磁性
層が連続して積層された第1の多層膜と、固定磁性層の
上に非磁性導電層、フリー磁性層が連続して積層された
第2の多層膜と、固定磁性層の上に、非磁性導電層、フ
リー磁性層、非磁性導電層、および固定磁性層が積層さ
れた5層から成る第3の多層膜とを有し、前記第1の多
層膜の上に反強磁性層を介して前記第3の多層膜が積層
され、この第3の多層膜の上に反強磁性層を介して前記
第2の磁性層が積層されており、前記第1の多層膜と第
2の多層膜および第3の多層膜に定常電流を与える導電
層が設けられていることを特徴とするものである。
る。このスピンバルブ膜は、シングル型のスピンバルブ
膜(ハ)上に反強磁性層を共有してデュアル型のスピン
バルブ膜(イ)が積層され、さらに前記スピンバルブ膜
(イ)上に反強磁性層を共有してシングル型のスピンバ
ルブ膜(ロ)が積層された構造となっている。よって、
このスピンバルブ型薄膜素子の抵抗変化率はデュアル型
のスピンバルブ素子よりも高くなる。また、このスピン
バルブ型薄膜素子の再生出力は、抵抗変化率が高くなる
ことと、定常電流の上限値が上げられることにより、シ
ングルスピンバルブ型薄膜素子の再生出力の約3倍程度
あるいはそれ以上を期待できる。
性結合により磁化が一定の方向に固定される固定磁性層
と、磁気記録媒体からの洩れ磁界により磁化の方向が変
動するフリー磁性層とを有するスピンバルブ型薄膜素子
において、固定磁性層の上に、非磁性導電層、フリー磁
性層、非磁性導電層、および固定磁性層が積層された5
層から成る多層膜(第3の多層膜)を有し、前記多層膜
が反強磁性層を介して複数段に積層され、且つ最下段の
多層膜の最下層となる固定磁性層の下側と、最上段の多
層膜の最上層となる固定磁性層の上側とに反強磁性層が
積層されており、前記各多層膜に定常電流を与える導電
層が設けられていることを特徴とするものである。
これはデュアル型のスピンバルブ膜(イ)を、複数段重
ね、それぞれのデュアル型のスピンバルブ膜間で反強磁
性層を共有した形状である。このスピンバルブ型薄膜素
子の抵抗変化率は、従来のデュアル型スピンバルブ薄膜
素子の抵抗変化率よりも高くなり、またこのスピンバル
ブ型薄膜素子の再生出力は、抵抗変化率が高くなること
と、定常電流の上限値を上げられることからデュアル型
スピンバルブ薄膜素子の再生出力の2倍以上を期待でき
る。
も反強磁性層との交換異方性結合により、固定磁性層の
磁化が固定され、磁気記録媒体からの洩れ磁界のような
外部磁界によりフリー磁性層の磁化の方向が変化して抵
抗変化率が得られるものとなっているため、従来のシン
グルスピンバルブ型やデュアルスピンバルブ型と同様に
数Oeの磁界により抵抗変化を起こさせることができ、
数十〜数千Oeの外部磁界を与えないと抵抗変化を得る
ことのできないマルチレイヤGMR素子よりも実用性が
ある。
膜素子において、フリー磁性層の磁化方向を前記固定磁
性層と交叉する方向に揃えるバイアス層をスピンバルブ
膜の多層膜の両側部に形成することが好ましい。ハード
バイアス層が形成されることでバルクハウゼンノイズの
発生を抑制することができる。バイアス層を設けてバル
クハウゼンノイズを低減させた薄膜素子は、ハードディ
スクなどの磁気記録媒体からの洩れ磁界を検出する磁気
ヘッドに用いることができる。また本発明では必ずバイ
アス層を設ける必要がなく、バイアス層の無いものは、
バルクハウゼンノイズの影響を気にしないでよい磁気セ
ンサなどとして用いることができる。
ガン)合金で形成されることが好ましいが、前記PtM
n合金に代えて、Pt―Mn―X(ただし、Xは、N
i,Pd,Rh,Ru,Ir,Cr,Fe,Coのいず
れか)合金、あるいはPdMn合金で形成してもよい。
またはPdMn合金膜を使用すると、固定磁性層が反強
磁性層の上に成膜されたときと下に成膜されたときの双
方で交換異方性結合ができ、反強磁性層の上下に位置す
る固定磁性層の磁化を固定できる。さらに成膜後の熱処
理温度が230℃以下でも十分な交換異方性磁界を得る
ことができる。そのため、前記熱処理において、非磁性
導電層と、固定磁性層及びフリー磁性層との界面での拡
散を防止でき、外部磁界に対して高い抵抗変化率を得る
ことができる。
膜厚が100オングストローム程度と非常に小さくて
も、300Oe(エルステッド)程度の交換異方性磁界
を得られることが確認されている。よって多層構造のス
ピンバルブ膜を薄型化することが可能である。
やNiMn合金膜に比べて耐食性が優れており、スピン
バルブ型薄膜素子の製造工程における各種の溶剤や洗浄
剤においても腐食が全く進行せず、過酷な環境下での薄
膜磁気ヘッドの動作においても化学的に安定している。
接することにより得られた交換異方性磁界は熱的に極め
て安定であり、ブロッキング温度が380℃程度に高
く、よって薄膜磁気ヘッドの動作時の温度が高くても、
安定した交換異方性磁界を発生でき、読み取り精度が安
定する。
材料にPtMn合金膜を使用することにより、反強磁性
層の膜厚を従来より小さくできる。従ってスピンバルブ
膜の層の総数を増やしても、前記スピンバルブ膜の総合
膜厚が極端に大きくなることがなく、磁気ギャップ長G
lの狭小化を実現できる。
薄膜素子の構造を示す断面図である。この薄膜素子は、
ハードディスク装置に設けられるスライダのトレーリン
グ側端部などに設けられるものであり、ハードディスク
などの磁気記録媒体の移動方向はZ方向であり、磁気記
録媒体からの洩れ磁界の方向はY方向である。図1の最
も下に形成されているのはTa(タンタル)などの非磁
性材料で形成された下地層6である。この下地層6上
に、7つの層で構成されるスピンバルブ膜が積層されて
いる。なお、符号7はTaで形成された保護層である。
(ニッケル―鉄)系合金で形成されたフリー磁性層1、
Cu(銅)などで形成された非磁性導電層2、NiFe
系合金で形成された固定磁性層3、及びPtMn(白金
―マンガン)合金で形成された反強磁性層4が連続して
積層され、その上に、固定磁性層3、非磁性導電層2及
びフリー磁性層1が連続して積層されて構成されてい
る。前記において、フリー磁性層1上に非磁性導電層2
及び固定磁性層3が連続して積層され3層を第1の多層
膜(a)、固定磁性層3上に非磁性導電層2及びフリー
磁性層1が連続して積層された3層を第2の多層膜
(b)とすれば、前記スピンバルブ膜は、第1の多層膜
(a)上に、反強磁性層4を共有して第2の多層膜
(b)が積層された構造となっている。
ときには、高透磁率の磁性材料の下部シールド層(図示
しない)の上に非磁性材料の下部ギャップ層(図示しな
い)が形成され、この下部ギャップ層の上に図1に示す
各層が形成され、さらにその上に非磁性材料の上部ギャ
ップ層(図示しない)および高透磁率の磁性材料で上部
シールド層(図示しない)が形成される。そして、前記
下部シールド層と前記上部シールド層との間隔により磁
気ギャップ長Glが決定される。前記反強磁性層4と固
定磁性層3とが積層された後に、Y方向へ磁界中で熱処
理(アニール処理)を施すことにより、前記両層の界面
で交換異方性磁界が得られ、前記固定磁性層の磁化の方
向がy方向に単磁区化され固定される。なお、前記固定
磁性層3をCo(コバルト),Fe―Co(鉄―コバル
ト)合金,Fe―Co―Ni(鉄―コバルト―ニッケ
ル)合金で形成してもよい。
ッタにより成膜され、所定断面形状にエッチングされた
後に、前記フリー磁性層1にX方向の縦バイアス磁界を
与えるハードバイアス層5が形成される。前記ハードバ
イアス層5はX方向に磁化され、このハードバイアス層
5から与えられる磁界によりフリー磁性層1の磁化がX
方向に揃えられる。この、ハードバイアス層5を設ける
ことにより、バルクハウゼンノイズの発生を低減させる
ことができる。また、ハードバイアス層5,5の上にW
(タングステン),Cu(銅)などにより形成された導
電層8,8が形成される。
薄膜素子では、導電層8からフリー磁性層1、非磁性導
電層2及び固定磁性層3に定常電流(センス電流)が与
えられ、しかも記録媒体からY方向へ磁界が与えられる
と、フリー磁性層1の磁化の方向がX方向からY方向へ
向けて変化する。このとき、フリー磁性層1と固定磁性
層3のうち片方の層から他方へ移動しようとする電子
が、非磁性導電層2とフリー磁性層1との界面、または
非磁性導電層2と固定磁性層3との界面で散乱を起こ
し、電気抵抗が変化する。よって定常電流が変化し、検
出出力を得ることができる。
ブ膜は7層で構成されており、これは図5に示すデュア
ルスピンバルブ型薄膜素子におけるスピンバルブ膜の層
の総数と同じである。しかし図1に示す7層のスピンバ
ルブ膜の総合膜厚h1は、図5の7層のスピンバルブ膜
の総合膜厚h′よりも小さくなっている。これは、フリ
ー磁性層1、非磁性導電層2及び固定磁性層3の膜厚に
比べて膜厚の大きい反強磁性層4が、図5では2層形成
されているのに対し、図1では1層しか形成されていな
いためである。総合膜厚h1が小さくなることにより、
磁気ギャップ長Glの狭小化を実現できる。
型のスピンバルブ膜(ハ)上に反強磁性層4を共有して
もう1つのシングル型のスピンバルブ膜(ロ)が積層さ
れた構造となっているため、図1のスピンバルブ型薄膜
素子の抵抗変化率及び再生出力は、シングルスピンバル
ブ型薄膜素子の抵抗変化率(3〜9%)及び再生出力よ
りも十分に大きくなり、さらに図5に示すデュアルスピ
ンバルブ型薄膜素子の抵抗変化率(5〜13%)よりも
大きな抵抗変化率、及び再生出力を期待できる。
磁性層1が2層設けられており、それぞれのフリー磁性
層1が非磁性導電層2と界面(B)(C)を形成してい
る。これに対し、図5のスピンバルブ膜では、フリー磁
性層1が1層で非磁性導電層2と界面(B)(C)を形
成しており、1層のフリー磁性層1が界面(B)(C)
における双方の電子散乱に関与している。このため、図
1の界面(B)(C)で起こる電子散乱は、図5の界面
(B)(C)で起こる電子散乱に比べて強くなってお
り、従って図1におけるスピンバルブ型薄膜素子の抵抗
変化率は、図5のデュアルスピンバルブ型薄膜素子の抵
抗変化率に比べて大きくなることが予測できる。また、
抵抗変化率と定常電流の上限値から面記録密度を計算し
てみると、図1におけるスピンバルブ型薄膜素子の面記
録密度は20(Gb/in2)以上を期待できることがわか
った。
ピンバルブ膜の構造を示す正面図である。なお図2は成
膜後のスピンバルブ膜を示しており、図1で説明したよ
うにこの後に、前記スピンバルブ膜が所定形状にエッチ
ングされ、ハードバイアス層5や導電層8が形成され
る。また図2では、下地膜(図1の符号6)および保護
膜(図1の符号7)も省略している。図2に示すスピン
バルブ膜は13層で構成されている。下部には図1で説
明した第1の多層膜(a)が、上部に第2の多層膜
(b)が設けられている。また、下から固定磁性層3、
非磁性導電層2、フリー磁性層1、非磁性導電層2、固
定磁性層3が積層された5層構造の第3の多層膜(c)
が設けられている。そして、第1の多層膜(a)の上に
反強磁性層4を介して第3の多層膜(c)が積層され、
さらにその上に反強磁性層4を介して第2の多層膜
(b)が積層されている。
3は、必ず反強磁性層4の上面または下面に接して形成
され、前記固定磁性層3の磁化は前記反強磁性層4との
界面にて発生する交換異方性磁界によりY方向へ単磁区
化されている。また、フリー磁性層1の磁化はハードバ
イアス層5のバイアス磁界により、前記固定磁性層3の
磁化方向と交叉するX方向へ揃えられている。反強磁性
層4を構成する反強磁性材料には、PtMn合金膜が使
用される。反強磁性層4としてPtMn合金膜を使用す
ることにより、成膜後の熱処理温度が230℃以下でも
十分な交換異方性磁界を得ることができ、且つ前記反強
磁性層4の膜厚を100オングストローム程度にして
も、300Oe(エルステッド)程度の交換異方性磁界
を得ることが可能となる。反強磁性層4の膜厚を100
オングストローム程度にできるため、スピンバルブ膜の
総合膜厚h2が極端に大きくなることはない。なお、図
1に示す反強磁性層4もPtMn合金膜で形成されるこ
とが好ましく、この反強磁性材料を用いることにより、
図1に示す膜厚h1も小さくできる。
ピンバルブ膜(ハ)上に反強磁性層4を共有してデュア
ル型のスピンバルブ膜(イ)が積層され、さらに前記ス
ピンバルブ膜(イ)上に反強磁性層4を共有してシング
ル型のスピンバルブ膜(ロ)が積層された構造となって
いる。つまり、フリー磁性層1と非磁性導電層2との界
面、及び固定磁性層3と非磁性導電層2との界面はそれ
ぞれ4箇所あり、電子散乱が起こる場所は合計8箇所あ
る。
素子の抵抗変化率及び再生出力は、従来のシングルスピ
ンバルブ型薄膜素子の抵抗変化率及び再生出力の約4倍
程度、従来のデュアルスピンバルブ型薄膜素子の抵抗変
化率及び再生出力の約2倍程度を期待できる。また抵抗
変化率及び定常電流の上限値から可能な面記録密度を計
算してみると、図2におけるスピンバルブ膜を使用した
スピンバルブ型薄膜素子の面記録密度は最高値で50
(Gb/in2)程度を期待できることがわかった。
ピンバルブ膜の構造を示す正面図である。なお図3は成
膜後のスピンバルブ膜を示しており、図1で説明したよ
うにこの後に、前記スピンバルブ膜が所定形状にエッチ
ングされ、ハードバイアス層5や導電層8が形成され
る。また図3では、下地膜6と保護膜7も省略してい
る。図3に示すスピンバルブ膜は、図2において説明し
た5層構造の第3の多層膜(c)が複数段に設けられて
いる。それぞれの多層膜(c)間には反強磁性層4が挟
まれ、上下の多層膜の固定磁性層3の上面および下面に
はそれぞれ反強磁性層4が形成され、全体では、前記反
強磁性層4が4回、多層膜(c)が3回連続して積層さ
れた構造となっている。
おり、前記反強磁性層4の膜厚は100オングストロー
ム程度となっている。このため、スピンバルブ膜の総合
膜厚h3は極端に大きくなっていない。また、前記スピ
ンバルブ膜は、デュアル型のスピンバルブ膜(イ)上に
反強磁性層4を共有してデュアル型のスピンバルブ膜
(イ)が積層され、さらに前記スピンバルブ膜(イ)上
に反強磁性層4を共有してデュアル型のスピンバルブ膜
(イ)が積層されている。つまり、3つのデュアル型の
スピンバルブ膜(イ)が連続して積層されたような構造
となっている。
の界面、及び固定磁性層3と非磁性導電層2との界面は
それぞれ6箇所あり、電子散乱が起こる場所は合計12
箇所ある。このため図3におけるスピンバルブ型薄膜素
子の抵抗変化率及び再生出力は、従来のシングルスピン
バルブ型薄膜素子及びデュアルスピンバルブ型薄膜素子
の抵抗変化率及び再生出力よりもかなり高くなってい
る。また、図3に示すスピンバルブ型薄膜素子の抵抗変
化率は、マルチレイヤGMR素子の抵抗変化率より低く
なるものの、マルチレイヤGMR素子の場合、高い抵抗
変化率を引き出すには、数千Oe程度の外部磁界が必要
であったのに対し、図3に示すスピンバルブ膜であれ
ば、非常に小さい外部磁界で比較的高い抵抗変化率を引
きだすことができる。
得られる理由は、フリー磁性層1の磁化が、強固に固定
されていないためであり、よって小さい外部磁界でもフ
リー磁性層1の磁化の方向は変動し、このフリー磁性層
1内の磁化の変動と固定磁性層3の固定磁化方向との関
係で電気抵抗値が変化し、この電気抵抗値に基づく電圧
変化により磁気記録媒体からの洩れ磁界が検出される。
またマルチレイヤGMR素子の場合、ハードバイアス層
を設けることが不可能であったが、図3に示すスピンバ
ルブ膜には前記ハードバイアス層を設けることができ、
バルクハウゼンノイズの発生を低減させることができ
る。また、本発明において、さらに抵抗変化率及び再生
出力を向上させるために、図3に示すスピンバルブ膜の
上にさらにデュアル型のスピンバルブ膜(イ)を何層か
積層していくことが可能である。
3には上限値があり、それは予め決められた下部シール
ド層(図示しない)と上部シールド(図示しない)との
間の間隔により決定される。そこで、下部シールドと上
部シールドとの間隔の上限値まで、図3に示すスピンバ
ルブ膜にさらにデュアル型のスピンバルブ膜(イ)を積
層していくと、前記スピンバルブ膜の抵抗変化率及び再
生出力を更に高めることが可能である。なお、抵抗変化
率と定常電流の上限値から可能な面記録密度を計算して
みると、図3におけるスピンバルブ膜を使用したスピン
バルブ型薄膜素子の面記録密度は50(Gb/in2)から
100(Gb/in2)程度となり、マルチレイヤGMR素
子と同程度の面記録密度を期待することができる。。
料と、固定磁性層3を形成する強磁性材料との交換結合
についての実施例を説明する。まず以下に記載する構造
の多層膜をDCマグネトロンスパッタ及びRFコンベン
ショナルスパッタにより(シリコン(Si)/アルミナ
(Al2O3)基板上に形成した。反強磁性層には、組成
比がPt50原子%(at%)、Mn50原子%(at
%)となるPtMn膜を使用し、 下からTa/Co(30オングストローム)/PtM
n(X)/Taの順に成膜され、PtMnの膜厚Xは1
00,150,200,300,500(オングストロ
ーム)で構成される5種類の多層膜。 下からTa/PtMn(X)/Co(30オングスト
ローム)/Taの順に成膜され、PtMnの膜厚Xは1
00,150,200,300,500(オングストロ
ーム)で構成される5種類の多層膜。
0原子%(at%)、Mn50原子%(at%)となる
NiMn膜を使用し、 下からTa/Co(30オングストローム)/NiM
n(X)/Taの順に構成され、NiMnの膜厚Xは1
00,150,200,300,500,(オングスト
ローム)で構成される5種類の多層膜。 下からTa/NiMn(X)/Co(30オングスト
ローム)/Taの順に成膜され、NiMnの膜厚Xは1
00,150,200,300,500,(オングスト
ローム)で構成される5種類の多層膜。
磁性材料のCo膜との間の交換結合を得るために、23
0℃の温度で4時間熱処理を行った。交換異方性磁界
(HeX)の測定は真空加熱機構付VSMにより行っ
た。なお、反強磁性層として使用されたPtMn膜及び
NiMn膜の比抵抗値は、いづれも200(μΩ・c
m)程度であった。
と交換異方性磁界(HeX)との関係を示すグラフであ
る。図に示すように、PtMn膜の膜厚が大きくなる
と、交換異方性磁界(HeX)も大きくなることがわか
る。また、PtMn膜をCo膜の下に形成した場合の方
が、PtMn膜をCo膜の上に形成した場合に比べて交
換異方性磁界がやや大きくなっている。またPtMn膜
の膜厚が100オングストローム程度であっても、約3
00Oe(エルステッド)と比較的大きい交換異方性磁
界を得られることが確認された。
も、交換異方性磁界(HeX)は非常に小さいままであ
り、230℃の熱処理温度では、NiMn膜を使用でき
ないことがわかる。NiMn膜を使用した場合、熱処理
温度が250℃以上であれば、図4に示すPtMn膜の
曲線と同じような挙動を示すことが確認されている。し
かし、250℃以上になると、非磁性導電層2と固定磁
性層3及びフリー磁性層1との界面で金属元素が拡散す
るという問題が生じるため、熱処理温度を230℃程度
にすることが必要である。
を使用したが、Co膜に代えてNiFe膜を使用して
も、本実験と同様の結果を得られる。以上により、反強
磁性層としてPtMn膜を使用すれば、230℃程度の
熱処理温度でも交換異方性磁界を得ることが可能であ
り、特に膜厚を100オングストローム程度にしても約
300Oeの交換異方性磁界を得ることが可能である。
層がPtMn合金またはこれと同種の性質を持つPdM
n合金、あるいはPt―Mn―X(XがNi,Pd,R
h,Ru,Ir,Cr,Fe,Coのいずれか)合金で
形成されることによって、比較的低い熱処理温度で、し
かも比較的膜厚を小さくしても効果的な交換異方性磁界
を得ることができる。
デュアルスピンバルブ型薄膜素子、及びマルチレイヤ型
GMR素子の構造を改良して、巨大磁気効果を発揮する
スピンバルブ膜の層の総数を従来よりも多くしても、反
強磁性層にPtMn膜を使用すれば、前記スピンバルブ
膜の総合膜厚を小さくでき、従って磁気ギャップ長Gl
の狭小化を実現できる。
て、電子散乱の起こる場所を増やせば、抵抗変化率及び
再生出力を大きくすることができ、従って面記録密度を
向上させることができる。
素子の断面図、
面図、
面図、
換異方性磁界との関係を示すグラフ、
Claims (7)
- 【請求項1】 反強磁性層との交換異方性結合により磁
化が一定の方向に固定される固定磁性層と、磁気記録媒
体からの洩れ磁界により磁化の方向が変動するフリー磁
性層とを有するスピンバルブ型薄膜素子において、フリ
ー磁性層の上に非磁性導電層、固定磁性層が連続して積
層された第1の多層膜と、固定磁性層の上に非磁性導電
層、フリー磁性層が連続して積層された第2の多層膜と
を有し、前記第1の多層膜の上に反強磁性層を介して前
記第2の多層膜が積層されており、前記第1の多層膜と
第2の多層膜に定常電流を与える導電層が設けられてい
ることを特徴とするスピンバルブ型薄膜素子。 - 【請求項2】 反強磁性層との交換異方性結合により磁
化が一定の方向に固定される固定磁性層と、磁気記録媒
体からの洩れ磁界により磁化の方向が変動するフリー磁
性層とを有するスピンバルブ型薄膜素子において、フリ
ー磁性層の上に非磁性導電層、固定磁性層が連続して積
層された第1の多層膜と、固定磁性層の上に非磁性導電
層、フリー磁性層が連続して積層された第2の多層膜
と、固定磁性層の上に、非磁性導電層、フリー磁性層、
非磁性導電層、および固定磁性層が積層された5層から
成る第3の多層膜とを有し、前記第1の多層膜の上に反
強磁性層を介して前記第3の多層膜が積層され、この第
3の多層膜の上に反強磁性層を介して前記第2の磁性層
が積層されており、前記第1の多層膜と第2の多層膜お
よび第3の多層膜に定常電流を与える導電層が設けられ
ていることを特徴とするスピンバルブ型薄膜素子。 - 【請求項3】 反強磁性層との交換異方性結合により磁
化が一定の方向に固定される固定磁性層と、磁気記録媒
体からの洩れ磁界により磁化の方向が変動するフリー磁
性層とを有するスピンバルブ型薄膜素子において、固定
磁性層の上に、非磁性導電層、フリー磁性層、非磁性導
電層、および固定磁性層が積層された5層から成る多層
膜を有し、前記多層膜が反強磁性層を介して複数段に積
層され、且つ最下段の多層膜の最下層となる固定磁性層
の下側と、最上段の多層膜の最上層となる固定磁性層の
上側とに反強磁性層が積層されており、前記各多層膜に
定常電流を与える導電層が設けられていることを特徴と
するスピンバルブ型薄膜素子。 - 【請求項4】 フリー磁性層の磁化方向を、前記固定磁
性層の磁化方向と交叉する方向に揃えるバイアス層が多
層膜の両側部に形成されている請求項1ないし3のいず
れかに記載のスピンバルブ型薄膜素子。 - 【請求項5】 反強磁性層はPtMn(白金―マンガ
ン)合金で形成される請求項1ないし4のいずれかに記
載のスピンバルブ型薄膜素子。 - 【請求項6】 反強磁性層は、Pt―Mn―X(XはN
i,Pd,Rh,Ru,Ir,Cr,Fe,Coのいず
れか)合金で形成される請求項1ないし4のいずれかに
記載のスピンバルブ型薄膜素子。 - 【請求項7】 反強磁性層は、PdMn(パラジウム−
マンガン)合金で形成される請求項1ないし4のいずれ
かに記載のスピンバルブ型薄膜素子。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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