JP3325852B2 - スピンバルブ型薄膜磁気素子及び薄膜磁気ヘッド及びスピンバルブ型薄膜磁気素子の製造方法 - Google Patents

スピンバルブ型薄膜磁気素子及び薄膜磁気ヘッド及びスピンバルブ型薄膜磁気素子の製造方法

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JP3325852B2 JP10064299A JP10064299A JP3325852B2 JP 3325852 B2 JP3325852 B2 JP 3325852B2 JP 10064299 A JP10064299 A JP 10064299A JP 10064299 A JP10064299 A JP 10064299A JP 3325852 B2 JP3325852 B2 JP 3325852B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フリー磁性層に固
定磁性層と反強磁性層とが積層されてなるスピンバルブ
型薄膜磁気素子及びこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を
備えた薄膜磁気ヘッド及びスピンバルブ型薄膜磁気素子
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気抵抗効果型の磁気ヘッドには、磁気
抵抗効果を示す素子を備えたMR(Magnetoresistive)
ヘッドと巨大磁気抵抗効果を示す素子を備えたGMR
(GiantMagnetoresistive)ヘッドとがある。MRヘッ
ドにおいては、磁気抵抗効果を示す素子が磁性体からな
る単層構造とされている。一方、GMRヘッドにおいて
は、磁気抵抗効果を示す素子が複数の材料が積層されて
なる多層構造とされている。巨大磁気抵抗効果を生み出
す構造にはいくつかの種類があるが、比較的構造が単純
で、外部磁界に対して抵抗変化率が高いものとしてスピ
ンバルブ型薄膜磁気素子がある。スピンバルブ型薄膜磁
気素子には、シングルスピンバルブ薄膜磁気素子とデュ
アルスピンバルブ型薄膜磁気素子とがある。
【0003】図28は、従来のスピンバルブ型薄膜磁気
素子を磁気記録媒体側からみた断面図である。この従来
のスピンバルブ型薄膜磁気素子の上下には、ギャップ層
を介してシールド層が形成されており、前記スピンバル
ブ型薄膜磁気素子、ギャップ層、及びシールド層で、再
生用のGMRヘッドが構成されている。なお前記再生用
のGMRへッドの上に、記録用のインダクティブヘッド
が積層されていてもよい。このGMRヘッドは、インダ
クティブヘッドと共に浮上式スライダのトレーリング側
端部などに設けられて薄膜磁気ヘッドを構成し、ハード
ディスク等の磁気記録媒体の記録磁界を検出するもので
ある。なお、図28において、磁気記録媒体の移動方向
は図示Z方向であり、磁気記録媒体からの漏れ磁界の方
向はY方向である。
【0004】図28において、符号73はスピンバルブ
型薄膜磁気素子を示している。このスピンバルブ型薄膜
磁気素子73は、フリー磁性層、非磁性導電層、固定磁
性層及び反強磁性層が一層ずつ順に積層された、いわゆ
るトップ型のシングルスピンバルブ型薄膜磁気素子であ
る。図28において符号111は、例えばTa(タンタ
ル)などで形成された下地層を示している。この下地層
111の上には、フリー磁性層112が積層され、さら
に前記フリー磁性層112の上には、Cuなどで形成さ
れた非磁性導電層113が積層され、前記非磁性導電層
113の上には、固定磁性層114が積層され、固定磁
性層114の上には、反強磁性層118が積層され、こ
の反強磁性層118の上には、Taなどで形成された保
護層119が積層されている。このように、下地層11
1から保護層119までが順次積層されて積層体110
を構成している。反強磁性層118は、固定磁性層11
4に接して積層され、固定磁性層114と反強磁性層1
18との界面にて交換結合磁界(交換異方性磁界)が発
生し、固定磁性層114の磁化方向が図示Y方向に固定
される。
【0005】積層体110の両側には、例えばCo−P
t(コバルト−白金)合金からなるバイアス層116、
116が形成されている。このバイアス層116、11
6は、フリー磁性層112の磁化方向を図示X1方向に
揃えてフリー磁性層112を単磁区化させ、バルクハウ
ゼンノイズを抑制するためのものである。これにより、
前記フリー磁性層112の磁化方向と前記固定磁性層1
14の磁化方向とが交差する関係となる。
【0006】なお、符号120は、Cuなどで形成され
た導電層を示している。また、バイアス層116と基板
7との間、及び、バイアス層116と積層体110との
間には、例えば非磁性金属であるCrからなるバイアス
下地層117が設けられている。更に、バイアス層11
6と導電層120との間には、例えば非磁性金属である
Ta若しくはCrからなる中間層115が設けられてい
る。
【0007】このスピンバルブ型薄膜磁気素子73で
は、ハードディスクなどの記録媒体からの洩れ磁界によ
り、図示X1方向に揃えられたフリー磁性層112の磁
化方向が変動すると、図示Y方向に固定された固定磁性
層114の磁化との関係で電気抵抗が変化し、この電気
抵抗値の変化に基づく電圧変化により、記録媒体からの
洩れ磁界が検出される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のスピ
ンバルブ型薄膜磁気素子73においては、前記バイアス
層116、116の一部分が、バイアス下地層117を
介して積層体110の傾斜側面110aに乗り上げて、
基板7から離れる方向に向けて突出している。この部分
の断面形状は、基板7から離れるにつれて厚さが薄くな
り、そして積層体110の上面付近にあるバイアス層1
16、116の先端部116a、116aは、尖った断
面形状となっている。
【0009】このため、図29に示すように、一方のバ
イアス層116の先端部116aからの漏れ磁束が、ス
ピンバルブ型薄膜磁気素子73上に積層されている上部
シールド層を経て、もう一方のバイアス層116に至る
磁界(図示矢印A)となりやすく、フリー磁性層112
に印加される有効磁界が減少するという不都合があっ
た。このため、フリー磁性層112の磁区制御を良好に
行うことが困難で、安定性が悪いことが問題となってい
た。
【0010】また、バイアス層116、116の先端部
116a、116aからの別の漏れ磁界が、前記バイア
ス層116の反磁界(図示矢印B及び矢印C)となって
フリー磁性層112の両端に印加され、この反磁界(矢
印B及び矢印C)の方向は、バイアス層116、116
により揃えられたフリー磁性層112の磁化の方向(図
示矢印D)と異なるので、フリー磁性層112が多磁区
化されてバルクハウゼンノイズが増加してしまい、問題
となっていた。
【0011】本発明は、前記事情に鑑みてなされたもの
で、フリー磁性層に印加される有効磁界の減少が起こり
にくく、また、フリー磁性層が多磁区化されることがな
く、フリー磁性層の磁区制御を良好に行うことができる
安定性に優れたスピンバルブ型薄膜磁気素子を提供する
ことを目的する。また、このスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法を提供することを目的とする。さらに、こ
のスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッド
を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成を採用した。本発明のスピン
バルブ型薄膜磁気素子は、基板上にフリー磁性層と非磁
性導電層と固定磁性層が少なくとも積層されてなる断
面視略台形状の積層体と、前記基板上に設けられ、前記
積層体の両側に位置して前記フリー磁性層の磁化方向を
一方向に揃える一対のバイアス層と、前記積層体及び前
記一対のバイアス層上に設けられる強磁性薄膜と、前記
強磁性薄膜に接して、交換結合磁界により前記固定磁性
層の磁化方向を前記フリー磁性層の磁化方向に対して交
差する方向に固定する反強磁性層と、前記フリー磁性層
に検出電流を与える一対の導電層とを具備してなり、前
記一対のバイアス層が、前記基板を基準として前記積層
体と同じ階層に位置して設けられるとともに、その上面
が前記積層体の上面とほぼ同一面を構成するように形成
され、前記強磁性薄膜及び前記反強磁性層が、前記バイ
アス層の上面と前記積層体の上面により形成される略同
一面上に積層されていることを特徴とする。また本発明
のスピンバルブ型薄膜磁気素子は、基板上にフリー磁性
層と非磁性導電層と固定磁性層と反強磁性薄膜とが少な
くとも積層されてなる断面視略台形状の積層体と、前記
基板上に設けられ、前記積層体の両側に位置して前記フ
リー磁性層の磁化方向を一方向に揃える一対のバイアス
層と、前記反強磁性薄膜に接して、交換結合磁界により
前記固定磁性層の磁化方向を前記フリー磁性層の磁化方
向に対して交差する方向に固定する反強磁性層と、前記
フリー磁性層に検出電流を与える一対の導電層とを具備
してなり、前記一対のバイアス層が、前記基板を基準と
して前記積層体と同じ階層に位置して設けられるととも
に、その上面が前記積層体の上面とほぼ同一面を構成す
るように形成され、前記反強磁性層が、前記バイアス層
上面と前記積層体の上面により形成される略同一面上
積層されていることを特徴とする前記反強磁性層
は、前記ハードバイアス層全体と前記積層体とに積層さ
れていることが好ましい。また、前記反強磁性層は、前
記積層体の上面に接して前記積層体よりも幅広に形成さ
れ、かつ前記一対のバイアス層の一部に積層されていて
もよい。
【0013】上記のスピンバルブ型薄膜磁気素子におい
ては、バイアス層が前記積層体と同じ階層に位置し、ま
たその上面が前記積層体の上面とほぼ同一面を構成し、
更に反強磁性層が前記バイアス層及び前記積層体の上に
積層されているため、従来のスピンバルブ型薄膜磁気素
子のように、バイアス層の一部の断面形状が突出して尖
ったものとはならず、バイアス層からの漏れ磁界によっ
てフリー磁性層が多磁区化されることがないので、フリ
ー磁性層のバルクハウゼンノイズを低減することが可能
になる。なお、ここで、「バイアス層が前記積層体と同
じ階層に位置し、」とは、バイアス層及び積層体が、基
板を基準としてほぼ同じ階層に積層されていることを意
味し、また、バイアス層の厚さが積層体の厚さより薄い
場合も含まれる。
【0014】また、反強磁性薄膜と他方の反強磁性層を
構成する材料は、同一の組成からなるものであることが
好ましい。
【0015】上記のスピンバルブ型薄膜磁気素子におい
ては、固定磁性層と反強磁性薄膜が予め同時に積層され
るのでこれらの界面に不純物が混入することがなく、こ
の反強磁性薄膜と反強磁性層とが一体化すれば、固定磁
性層と反強磁性薄膜との界面にて交換結合磁界が容易に
発現して固定磁性層の磁化方向を所定の方向に強固に固
定することが可能になる。
【0016】
【0017】また上記のスピンバルブ型薄膜磁気素子に
おいては、強磁性薄膜と反強磁性層とが同時に積層され
るのでこれらの界面に不純物が混入することがなく、ま
たこの強磁性薄膜は固定磁性層と接しているので、反強
磁性層と強磁性薄膜との間で交換結合磁界が容易に発現
し、この交換結合磁界が強磁性薄膜を介して固定磁性層
に印加されて、固定磁性層の磁化方向を所定の方向に固
定することが可能になる。
【0018】前記反強磁性層は、X−Mn(ただし、X
は、Pt、Pd、Ru、Ir、Rh、Osのうちから選
択される1種の元素を示す。)の式で示される合金から
なり、Xが37原子%以上63原子%以下の範囲である
ことが好ましい。また、前記反強磁性層は、X’−Pt
−Mn(ただし、X’は、Pd、Cr、Ru、Ni、I
r、Rh、Os、Au、Agのうちから選択される1種
または2種以上の元素を示す。)の式で示される合金か
らなり、X’とPtの合計量が37原子%以上63原子
%以下の範囲であっても良い。更に、前記反強磁性薄膜
は、X−Mn(ただし、Xは、Pt、Pd、Ru、I
r、Rh、Osのうちから選択される1種の元素を示
す。)の式で示される合金からなり、Xが37原子%以
上63原子%以下の範囲であることが好ましい。更に、
前記反強磁性薄膜は、X’−Pt−Mn(ただし、X’
は、Pd、Cr、Ru、Ni、Ir、Rh、Os、A
u、Agのうちから選択される1種または2種以上の元
素を示す。)の式で示される合金からなり、X’とPt
の合計量が37原子%以上63原子%以下の範囲であっ
ても良い。
【0019】反強磁性層及び反強磁性薄膜に、X−Mn
の式で示される合金またはX’−Pt−Mnの式で示さ
れる合金を用いたスピンバルブ型薄膜磁気素子とするこ
とで、反強磁性層に従来から使用されているNiO合
金、FeMn合金、NiMn合金などを用いたものと比
較して、交換結合磁界が大きく、またブロッキング温度
が高く、さらに耐食性に優れているなどの優れた特性を
有するスピンバルブ型薄膜磁気素子とすることが可能に
なる。
【0020】本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子は、
先に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子であり、前記反
強磁性層が、前記バイアス層全体及び前記積層体に積層
され、前記一対の導電層が、互いに離間して前記反強磁
性層上に積層されてなることを特徴とする。この導電層
は、積層体と重ならない位置に積層されることが好まし
い。一対の導電層が、積層体に重ならない位置にて互い
に離間されて積層されれば、検出電流を確実に積層体に
印加することが可能になる。
【0021】また、前記反強磁性層が、前記積層体の上
面に接して前記積層体よりも幅広に形成され、かつ前記
一対のバイアス層の一部に積層され、前記一対の導電層
が、前記反強磁性層の両側に隣接し、かつ前記バイアス
層に積層されてなるものであっても良く、この場合に
は、導電層とバイアス層が隣接し、バイアス層は非磁性
導電層を含む積層体と隣接しているので、導電層からの
検出電流を、比抵抗の大きい反強磁性層を介さずに非磁
性導電層に与えることが可能となり、外部磁界による磁
気抵抗の変化量を大きくしてスピンバルブ型薄膜磁気素
子の検出感度を高くすることが可能になる。
【0022】また、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子は、先に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子であり、
前記バイアス層と前記導電層との間および/または前記
バイアス層と前記反強磁性層との間に、TaまたはCr
からなる中間層が設けられたことを特徴とする。Ta、
Crのような非磁性体からなる中間層を設けることによ
り、バイアス層と反強磁性層との間で磁気結合が発生す
ることなく、フリー磁性層の単磁区化に必要なバイアス
磁界を増大させることができる。また、後工程であるイ
ンダクティブヘッドの製造工程での熱処理(UVキュ
ア)により起きる導電層とバイアス層の間での熱拡散を
防止して、バイアス層の磁気特性の劣化を防止すること
ができる。
【0023】更に、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子は、先に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子であり、
前記バイアス層と前記積層体との間および前記バイアス
層と前記基板との間に、Crからなるバイアス下地層が
設けられたことを特徴とする。体心立方構造(bcc構
造)であるCrからなるバイアス下地層を設けることに
より、前記バイアス層がバイアス下地層上でエピタキシ
ャル成長して、バイアス層の磁化容易軸を所定の方向に
揃えることが可能になって、バイアス層の保磁力および
角形比が大きくなり、フリー磁性層の単磁区化に必要な
バイアス磁界を増大させることができる。
【0024】また、前記フリー磁性層は、非磁性中間層
と、前記非磁性中間層を挟む第1フリー磁性層及び第2
フリー磁性層とからなり、前記第1フリー磁性層と前記
第2フリー磁性層が互いに反強磁性的に結合されて、前
記第1フリー磁性層の磁化方向と前記第2フリー磁性層
の磁化方向が互いに反平行とされているものであっても
良い。このとき、第1、第2フリー磁性層の厚さは、僅
かに異なる厚さとすることが好ましい。更に、前記固定
磁性層は、別の非磁性中間層と、前記別の非磁性中間層
を挟む第1固定磁性層及び第2固定磁性層とからなり、
前記第1固定磁性層と前記第2固定磁性層が互いに反強
磁性的に結合されて、前記第1固定磁性層の磁化方向と
前記第2固定磁性層の磁化方向が互いに反平行とされて
いるものであっても良い。このとき、第1、第2固定磁
性層の厚さは、僅かに異なる厚さとすることが好まし
い。
【0025】フリー磁性層が、非磁性中間層を介して反
強磁性的に結合された第1、第2フリー磁性層からなる
場合、第1、第2フリー磁性層が交換結合磁界によって
磁気的に結合されてフェリ磁性状態となる。この時例え
ば、第1フリー磁性層の厚さを、第2フリー磁性層より
も僅かに大とすると、第1フリー磁性層の磁化方向がバ
イアス層の磁化によって一定方向に揃えられ、第2フリ
ー磁性層の磁化方向が第1フリー磁性層の磁化方向の反
対方向とされる。従って、第1、第2フリー磁性層の磁
気モーメントが相互に打ち消し合うことになるが、第1
フリー磁性層の厚さが第2フリー磁性層より大とされて
いるので、この厚さの差分に相当する磁化がフリー磁性
層の磁化となり、この磁化が小さくなるので、外部磁界
の変化によってフリー磁性層の磁化方向が感度よく変動
するものとなる。
【0026】また、固定磁性層が、非磁性中間層を介し
て反強磁性的に結合された第1、第2固定磁性層からな
る場合、第1、第2固定磁性層が交換結合磁界によって
磁気的に結合されてフェリ磁性状態となる。このとき、
第1、第2固定磁性層の厚さを僅かに異ならしめると、
第1、第2固定磁性層の磁気モーメントが相互に打ち消
し合っても、固定磁性層の自発磁化が僅かに残り、この
自発磁化が反強磁性層との交換結合磁界によって更に増
幅され、固定磁性層の磁化方向を強固に固定することが
可能になる。
【0027】また、本発明の薄膜磁気ヘッドは、スライ
ダに、請求項1ないし請求項14のいずれかに記載のス
ピンバルブ型薄膜磁気素子が備えられてなることを特徴
とする。
【0028】次に本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子
の製造方法は、基板上に、少なくともフリー磁性層と非
磁性導電層と固定磁性層と反強磁性薄膜とを積層して積
層前駆体を形成し、前記積層前駆体上に第1リフトオフ
レジストを形成し、前記第1リフトオフレジストに覆わ
れていない前記積層前駆体を除去して前記基板を露出さ
せることにより断面視略台形状の積層体を形成し、露出
された前記基板上であって前記基板を基準として前記積
層体と同じ階層にバイアス層を積層して、該バイアス層
の上面を前記積層体の上面とほぼ同一面とし、前記第1
リフトオフレジストを除去し、前記バイアス層及び前記
積層体の前記反強磁性薄膜上に反強磁性層を積層し、前
記反強磁性層に接触させて一対の導電層を形成すること
を特徴とする。
【0029】また、上記の製造法においては、反強磁性
層を積層する前に、積層体の上面(この場合は反強磁性
の上面)の酸化層をイオンミリングまたは逆スパッタ
等の手段によりエッチングすることが好ましい。また、
反強磁性薄膜と反強磁性層の材質は、同一のものである
ことが好ましい。
【0030】上記の製造方法においては、積層体の両側
にバイアス層を形成する際に、バイアス層の上面が積層
体の上面とほぼ同じ位置になるようにバイアス層を積層
し、この上に反強磁性薄膜と反強磁性層を積層するの
で、従来のようにバイアス層の一部の断面形状が突出し
て尖ったものとはならず、バイアス層からの漏れ磁界に
よってフリー磁性層が多磁区化されることがなく、フリ
ー磁性層が単磁区化されたスピンバルブ型薄膜磁気素子
を製造することが可能になる
【0031】
【0032】また、上記の製造方法においては、固定磁
性層と反強磁性薄膜とを同時に積層するためにこれらの
界面には酸素等の不純物が混入せず、また反強磁性薄膜
に反強磁性層を積層してこれらを一体化することによっ
て反強磁性薄膜が実質的に反強磁性層に含まれることに
なるので、固定磁性層と反強磁性薄膜との界面にて交換
結合磁界が発現し、この交換結合磁界により磁化方向が
強固に固定された固定磁性層を備えたスピンバルブ型薄
膜磁気素子を製造することができる。また、反強磁性層
の積層前に積層体(反強磁性薄膜)の上面をエッチング
することにより、酸素などの不純物が除去され、反強磁
性薄膜と反強磁性層とを一体化されて交換結合磁界の劣
化が防止される。
【0033】また、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法は、基板上に、少なくともフリー磁性層と
非磁性導電層と固定磁性層とを積層して積層前駆体を形
成し、前記積層前駆体上に第1リフトオフレジストを形
成し、前記第1リフトオフレジストに覆われていない前
記積層前駆体を除去して前記基板を露出させることによ
り断面視略台形状の積層体を形成し、露出された前記基
板上であって前記基板を基準として前記積層体と同じ階
層にバイアス層を積層して、該バイアス層の上面を前記
積層体の上面とほぼ同一面とし、前記第1リフトオフレ
ジストを除去し、前記バイアス層及び前記積層体の上に
強磁性薄膜及び反強磁性層を順次積層し、前記反強磁性
層に接触させて一対の導電層を形成することを特徴とす
。このとき、積層体の上面を構成する固定磁性層及び
強磁性薄膜の材質は、同一であることが好ましい。また
この場合には、強磁性薄膜を積層する前に、積層体の上
面(この場合は固定磁性層の上面)をスパッタ等の手段
によりエッチングすることが好ましい。
【0034】上記の製造方法においては、強磁性薄膜と
反強磁性層とを同時に形成するためにこれらの界面には
酸素等の不純物が混入せず、強磁性薄膜と反強磁性層と
の界面にて交換結合磁界が発現しやすくなり、またこの
強磁性薄膜が固定磁性層上に積層されてこれらが一体化
して強磁性薄膜が実質的に固定磁性層に含まれることに
なるので、発現した交換結合磁界が固定磁性層の磁化方
向を強固に固定することが可能になる。また、強磁性薄
膜の積層前に、積層体(固定磁性層)の上面をエッチン
グすることにより、酸素などの不純物が除去されて固定
磁性層と強磁性薄膜とを実質的に一体化し、固定磁性層
の磁化方向を強固に固定することが可能になる。
【0035】また、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法は、先に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法であって、前記反強磁性層上に第2リフト
オフレジストを形成し、前記第2リフトオフレジストに
覆われていない前記反強磁性層上に前記一対の導電層を
積層し、前記第2リフトオフレジストを除去することを
特徴とする。ここで第2リフトオフレジストは、積層体
と重なるように形成することが好ましい。
【0036】上記の製造方法においては、導電層を積層
した後に第2リフトオフレジストを除去するので、導電
層を、第2リフトオフレジストが形成されなかった部分
のみに積層することができる。特に、第2リフトオフレ
ジストを積層体と重なる位置に形成すれば、導電層を積
層体の両側に位置するように形成することが可能とな
る。
【0037】更に、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法は、先に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法であって、前記反強磁性層上に第3リフト
オフレジストを形成し、前記第3リフトオフレジストに
覆われていない前記反強磁性層を除去し、残存した前記
反強磁性層の両側に前記一対の導電層を積層し、前記第
3リフトオフレジストを除去することを特徴とする。こ
こで第3リフトオフレジストは、積層体と重なるように
形成することが好ましい。
【0038】上記の製造方法においては、第3リフトオ
フレジストを用いて反強磁性層の一部を除去してバイア
ス層を露出させ、ここに導電層を積層するので、導電層
を反強磁性層の両側に隣接させ、しかもバイアス層上に
積層することが可能となり、導電層からの検出電流を、
比抵抗が大きい反強磁性層を介さずに非磁性導電層に与
えることができ、外部磁界による磁気抵抗の変化量が大
きくなって検出感度が高いスピンバルブ型薄膜磁気素子
を製造することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して詳細に説明する。 (第1の実施形態)図1及び図2に本発明の第1の実施
形態であるスピンバルブ型薄膜磁気素子の断面図を示
し、図3及び図4に本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子を備えた薄膜磁気ヘッドを示す。
【0040】図3に示す薄膜磁気ヘッド150は、スラ
イダ151と、スライダ151の端面151dに備えら
れたGMRヘッドh1及びインダクティブヘッドh2を
主体として構成されている。符号155は、スライダ1
51の磁気記録媒体の移動方向の上流側であるリーディ
ング側を示し、符号156は、トレーリング側を示す。
このスライダ151の媒体対向面152には、レール1
51a、151a、151bが形成され、各レール同士
間は、エアーグルーブ151c、151cとされてい
る。
【0041】図4に示すように、GMRヘッドh1は、
スライダ151の端面151d上に形成された磁性合金
からなる下部シールド層163と、下部シールド層16
3に積層された下部ギャップ層164と、媒体対向面1
52から露出する本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子
1と、スピンバルブ型薄膜磁気素子1及び下部ギャップ
層164を覆う上部ギャップ層166と、上部ギャップ
層166を覆う上部シールド層167とから構成されて
いる。上部シールド層167は、インダクティブヘッド
h2の下部コア層と兼用とされている。
【0042】インダクティブヘッドh2は、下部コア層
(上部シールド層)167と、下部コア層167に積層
されたギャップ層174と、コイル176と、コイル1
76を覆う上部絶縁層177と、ギャップ層174に接
合され、かつコイル176側にて下部コア層167に接
合される上部コア層178とから構成されている。コイ
ル176は、平面的に螺旋状となるようにパターン化さ
れている。また、コイル176のほぼ中央部分にて上部
コア層178の基端部178bが下部コア層167に磁
気的に接続されている。また、上部コア層178には、
アルミナなどからなる保護層179が積層されている。
【0043】本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子1
は、フリー磁性層、非磁性導電層、固定磁性層及び反強
磁性層が1層づつ積層された、いわゆるトップ型のシン
グルスピンバルブ型薄膜磁気素子である。図1に示すス
ピンバルブ型薄膜磁気素子1において、符号11は、基
板7上に設けられたTa(タンタル)等からなる下地層
を示している。この下地層11の上にはフリー磁性層1
2が積層され、さらにフリー磁性層12の上にはCu等
からなる非磁性導電層13が積層され、非磁性導電層1
3の上には固定磁性層14が積層されている。このよう
に、下地層11から固定磁性層14までが順次積層され
て積層体10を構成している。積層体10は断面視略台
形状とされ、積層体10の図示X1方向(トラック幅方
向)両側は2つの傾斜側面10a、10aとされてい
る。傾斜側面10a、10aは、基板7から離れる方
向、即ち図示Z方向に向けて互いに接近するように傾斜
している。なお、図1及び図2において、図示Z方向は
磁気記録媒体の移動方向を示し、図示Y方向は磁気記録
媒体からの洩れ磁界の方向を示す。
【0044】積層体10の図示X1方向両側には、バイ
アス下地層15、15を介して一対のバイアス層16、
16が隣接している。バイアス層16、16は、バイア
ス下地層15、15を介して基板7上に設けられて積層
体10と同じ階層に位置し、その上面16b、16bが
積層体10の上面10bと略同一面を構成し、かつその
一部が積層体10の傾斜側面10a、10aに乗り上げ
ている。また、積層体10及びバイアス層16、16の
上には、反強磁性層18が積層されている。反強磁性層
18は、固定磁性層14と接して積層されている。
【0045】なお、ここで、「バイアス層16、16が
積層体10と同じ階層に位置し、」とは、バイアス層1
6、16及び積層体10が、基板7を基準としてZ方向
に対してほぼ同じ階層に積層されていることを意味し、
また、バイアス層16、16の厚さが積層体10の厚さ
より薄い場合も含まれる。
【0046】尚、図1においては、バイアス層16、1
6の上面16b、16bが積層体10の上面10bより
も基板7側に位置しているように見えるが、これはバイ
アス層16、16上に積層された中間層17、17を図
示しているためであり、実際の中間層17、17の厚さ
はバイアス層16、16の厚さの5分の1程度であって
その厚さが極めて薄く、バイアス層16、16の上面1
6b、16bと積層体10の上面10bは、基板7から
ほぼ同じ距離だけ離れて位置しており、これらの上面1
0b、16b、16bにより略同一平面が構成される。
従って反強磁性層18は、中間層17、17を介して上
述の略同一平面上に積層されることになる。よって、図
1に示すバイアス層16、16は、その一部が積層体1
0の傾斜側面10a、10aに乗り上げているものの、
従来のスピンバルブ型薄膜磁気素子のように、図示Z方
向に向けて突出した形状にはならない。
【0047】従って、図2に示すように、一方のバイア
ス層16(図中右側のバイアス層)からの磁束(矢印
E)が、フリー磁性層12を通過して他方のバイアス層
16(図示左側のバイアス層)に入り(矢印F)、これ
らのバイアス層16、16のバイアス磁界によってフリ
ー磁性層12の磁化方向が図示X1方向に揃えられ(矢
印G)、フリー磁性層12が単磁区化される。バイアス
層16、16の傾斜側面10a、10aに乗り上げてい
る部分は、他の部分より突出していないので、バイアス
層16、16の反磁界がフリー磁性層12に印加される
ことがなく、フリー磁性層12が多磁区化されることが
ない。
【0048】反強磁性層18は、PtMn合金で形成さ
れていることが好ましい。PtMn合金は、従来から反
強磁性層として使用されているNiMn合金やFeMn
合金などに比べて耐食性に優れ、しかもブロッキング温
度が高く、交換結合磁界も大きい。また、PtMn合金
に代えて、X−Mn(ただし、Xは、Pd、Ru、I
r、Rh、Osのうちから選択される1種の元素を示
す。)の式で示される合金あるいはX’−Pt−Mn
(ただし、X’は、Pd、Ru、Ir、Rh、Os、A
u、Agのうちから選択される1種または2種以上の元
素を示す。)の式で示される合金で形成されていてもよ
い。
【0049】また、前記PtMn合金および前記X−M
nの式で示される合金において、PtあるいはXが37
〜63原子%の範囲であることが望ましい。より好まし
くは、47〜57原子%の範囲である。さらにまた、
X’−Pt−Mnの式で示される合金において、X’+
Ptが37〜63原子%の範囲であることが望ましい。
より好ましくは、47〜57原子%の範囲である。さら
に、前記X’−Pt−Mnの式で示される合金として
は、X’が0.2〜10原子%の範囲であることが望ま
しい。反強磁性層18として、上記した適正な組成範囲
の合金を使用し、これをアニール処理することで、大き
な交換結合磁界を発生する反強磁性層18を得ることが
できる。とくに、PtMn合金であれば、800(O
e)を越える交換結合磁界を有し、交換結合磁界を失う
ブロッキング温度が380℃と極めて高い優れた反強磁
性層18を得ることができる。
【0050】反強磁性層18は固定磁性層14に接して
積層されるので、反強磁性層18と固定磁性層14との
界面にて交換結合磁界(交換異方性磁界)が発現し、固
定磁性層14の磁化方向が図示Y方向に固定される。従
って、フリー磁性層12の磁化方向と固定磁性層14の
磁化方向は、交差する関係となる。
【0051】固定磁性層14は、強磁性体の薄膜からな
り、例えば、Co、NiFe合金、CoNiFe合金、
CoFe合金、CoNi合金などで形成されることが好
ましい。また、非磁性導電層13は、Cu、Cr、A
u、Agなどに代表される非磁性体からなることが好ま
しい。フリー磁性層12は、固定磁性層14と同様の材
質で形成されることが好ましい。尚、図1においてはフ
リー磁性層12は単一層とされているが、Co膜、Ni
Fe合金膜を積層してなる多層構造であっても良い。非
磁性導電層13を固定磁性層14とフリー磁性層12と
で挟む構造の巨大磁気抵抗効果発生機構にあっては、固
定磁性層14とフリー磁性層12を同種の材質で構成す
る方が、異種の材質で構成するよりも、伝導電子のスピ
ン依存散乱以外の因子が生じる可能性が低く、より高い
磁気抵抗効果を得ることが可能である。また、バイアス
層16、16は、Co−Pt合金やCo−Cr−Pt合
金等からなることが好ましい。
【0052】反強磁性層18には、例えばTaなどから
なる保護層19が積層され、保護層19には、Cr、T
a、Au、Cuなどからなる一対の導電層20、20が
積層されている。導電層20、20は、積層体10と重
ならない位置に配置されて互いに離間して積層されるこ
とが好ましい。このように一対の導電層20、20が積
層体10の両側に位置するように積層されれば、検出電
流を確実に積層体10の非磁性導電層13に印加するこ
とが可能になる。
【0053】また、バイアス層16、16と基板7との
間、及び、バイアス層16、16と積層体10との間に
は、例えば非磁性金属であるCrからなるバイアス下地
層15、15が設けられている。体心立方構造(bcc
構造)であるCrからなるバイアス下地層15、15を
設けることにより、バイアス層16、16がバイアス下
地層15、15上でエピタキシャル成長してバイアス層
16、16の磁化容易軸を所定の方向に揃えることが可
能になり、これによりバイアス層16、16の保磁力及
び角形比が大きくなり、フリー磁性層12を単磁区化す
るためのバイアス磁界を増大させることができる。
【0054】更に、バイアス層16、16と反強磁性層
18との間には、例えば非磁性金属であるTa若しくは
Crからなる中間層17、17が設けられている。中間
層17、17を設けることにより、バイアス層16、1
6と反強磁性層18との間で磁気結合が生じることがな
く、フリー磁性層12を単磁区化するためのバイアス磁
界を増大させることができる。
【0055】このスピンバルブ型薄膜磁気素子1では、
ハードディスクなどの記録媒体からの洩れ磁界によって
フリー磁性層12の磁化方向が変動すると、図示Y方向
に固定された固定磁性層14の磁化との関係で電気抵抗
が変化し、この電気抵抗値の変化に基づく電圧変化によ
り、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。
【0056】次に、上記のスピンバルブ型薄膜磁気素子
1の製造方法を図16〜図23を参照して説明する。ま
ず、図16に示すように、基板7上に積層前駆体10c
を形成する。この積層前駆体10cは、下地層、フリー
磁性層、非磁性導電層、固定磁性層を順に積層してなる
ものである。次に図17に示すように、積層前駆体10
c上に第1リフトオフレジスト80を形成する。第1リ
フトオフレジスト80は、PEB(Post Expose Bake)
法などの手段により形成することが好ましい。次に図1
8に示すように、第1リフトオフレジスト80に覆われ
ていない部分を、イオンミリング法(物理的イオンビー
ムエッチング法)により除去して基板7を露出させて、
傾斜側面10a、10aを具備する断面視略台形状の積
層体10を形成する。
【0057】次に、図19に示すように、バイアス下地
層15、15、バイアス層16、16及び中間層17、
17を、先の工程で露出させた基板7と傾斜側面10
a、10aと第1リフトオフレジスト80とに順次積層
する。ここで、第1リフトオフレジスト80の周囲に
は、バイアス下地層15、バイアス層16及び中間層1
7の各層の構成材料の付着層80aが付着する。バイア
ス層16、16は、その一部が傾斜側面10a、10a
に乗り上げると共に、その上面16b、16bが積層体
10の上面10bとほぼ同じ位置になるように形成する
ことが好ましい。また、これらの各層15、16、17
は、スパッタリング法にて積層することが好ましい。
【0058】次に、第1リフトオフレジスト80を除去
可能なエッチング液に全体を侵漬して第1リフトオフレ
ジスト80と積層体10とが接合されている境界部分に
エッチング液を侵入させて第1リフトオフレジスト80
と積層体10とを分離させて、図20に示すように、第
1リフトオフレジスト80を除去する。尚、第1リフト
オフレジスト80を形成する場合にその底部周縁に溝部
80bを形成しておくならば、この溝部80bにエッチ
ング液が侵入して第1リフトオフレジスト80を確実に
除去できる。次に、図21に示すように、積層体10及
び中間層17、17に、反強磁性層18及び保護層19
を順次積層する。尚、反強磁性層18を積層する前に、
積層体10の上面10bをスパッタリング等の手段によ
りエッチングする必要がある。これは、先の第1リフト
オフレジスト80の除去工程をスパッタリング装置等の
外部にてエッチング処理にて行うために、基板7等が一
時的に大気圧雰囲気に曝され、このとき雰囲気中の酸素
等の不純物により積層体10(固定磁性層14)の上面
10bが汚染される。そして、この汚染された固定磁性
層14の上面に反強磁性層18を積層しても、これらの
層の界面では交換結合磁界が発現し得ないので、反強磁
性層18を積層する前に積層体10(固定磁性層14)
の上面10bをエッチングして不純物を除去する必要が
あるからである。
【0059】次に、図22に示すように、保護層19上
に第2リフトオフレジスト81を形成し、続いて保護層
19及び第2リフトオフレジスト81に導電層20を積
層する。ここで、第2リフトオフレジスト81の周囲に
は、導電層20の構成材料の付着層81aが付着する。
第2リフトオフレジスト81は、積層体10と重なる位
置に形成することが、積層体10の両側に導電層20を
位置させることができる点で好ましい。そして図23に
示すように、第2リフトオフレジスト81を除去して、
図1に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子1が得られる。
【0060】上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子1にお
いては、バイアス層16、16が、基板7上に設けられ
て積層体10と同じ階層に位置し、その上面16b、1
6bと積層体10の上面10bとが略同一面を構成し、
また反強磁性層18がこのバイアス層16、16及び積
層体10の上に積層されているので、バイアス層16、
16の一部が図示Z方向に突出することがなく、バイア
ス層16、16の反磁界がフリー磁性層12を多磁区化
することがなく、バルクハウゼンノイズの発生が抑制さ
れてスピンバルブ型薄膜磁気素子1の感度を高くするこ
とができる。
【0061】また、反強磁性層18は、PtMn合金ま
たはX−Mn(ただし、Xは、Pd、Ru、Ir、R
h、Osのうちから選択される1種の元素を示す。)の
式で示される合金あるいはX’−Pt−Mn(ただし、
X’は、Pd、Ru、Ir、Rh、Os、Au、Agの
うちから選択される1種または2種以上の元素を示
す。)の式で示される合金で形成されているので、大き
な交換結合磁界を発生する反強磁性層18を得ることが
でき、特にPtMn合金であれば、800(Oe)を越
える交換結合磁界を有し、交換結合磁界を失うブロッキ
ング温度が380℃と極めて高い優れた反強磁性層18
を得ることができる。
【0062】また、上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子
の製造方法においては、バイアス層16、16を、その
上面16b、16bが積層体10の上面10bとほぼ同
じ位置になるように形成するので、バイアス層16、1
6の一部が突出することがなく、バイアス層16、16
からの反磁界がフリー磁性層12に印加されることな
く、フリー磁性層12が単磁区化されたスピンバルブ型
薄膜磁気素子1を製造することができる。
【0063】また、第2リフトオフレジスト81を積層
体10と重ならない位置に形成し、続いて導電層20、
20を積層した後に、第2リフトオフレジスト81を除
去するので、導電層20、20を積層体10の両側に位
置するように形成することができる。
【0064】(第2の実施形態)図5に本発明の第2の
実施形態であるスピンバルブ型薄膜磁気素子の断面図を
示を示す。尚、図5において、前述した図1及び図2に
示した構成要素と同一の構成要素には同一符号を付し、
当該構成要素については簡略に説明する。
【0065】図5に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子2
には、下地層11とフリー磁性層12と非磁性導電層1
3と固定磁性層14と反強磁性薄膜18aが順次積層さ
れてなる積層体60が備えられている。積層体60は断
面視略台形状とされ、積層体60の図示X1方向両側は
2つの傾斜側面60a、60aとされ、この傾斜側面6
0a、60aは、基板7から離れる方向、即ち図示Z方
向に向けて互いに接近するように傾斜している。なお、
図5において、図示Z方向は磁気記録媒体の移動方向を
示し、図示Y方向は磁気記録媒体からの洩れ磁界の方向
を示す。
【0066】積層体60の図示X1方向両側には、バイ
アス下地層15、15を介して一対のバイアス層16、
16が隣接している。バイアス層16、16はバイアス
下地層15、15を介して基板7上に設けられて、積層
体60と同じ階層に位置し、その上面16b、16bが
積層体60の上面60bと略同一面を構成し、かつその
一部が積層体60の傾斜側面60a、60aに乗り上げ
ている。また、積層体60及びバイアス層16、16の
上には、反強磁性層18が積層されている。反強磁性層
18は、反強磁性薄膜18aと接して積層されている。
反強磁性薄膜18aと反強磁性層18は、同一の組成か
らなる合金からなることが好ましい。
【0067】図5に示すバイアス層16、16は、その
一部が積層体60の傾斜側面60aに乗り上げているも
のの、従来のスピンバルブ型薄膜磁気素子のように、図
示Z方向に向けて突出した形状にはならない。また、反
強磁性層18には、例えばTaなどからなる保護層19
が積層され、その上には、一対の導電層20、20が積
層されている。
【0068】反強磁性層18が反強磁性薄膜18aに接
して積層されることにより、反強磁性層18と反強磁性
薄膜18aとが一体化し、これら反強磁性層18と反強
磁性薄膜18aとが同時にアニール処理されることによ
って反強磁性薄膜18aと固定磁性層14との界面にて
交換結合磁界が発現し、固定磁性層14の磁化方向が図
示Y方向に固定される。
【0069】上述のように、反強磁性薄膜18aは、反
強磁性層18と同一組成の合金からなることが好まし
く、PtMn合金で形成されていることが好ましい。P
tMn合金は、従来から反強磁性層として使用されてい
るNiMn合金やFeMn合金などに比べて耐食性に優
れ、しかもブロッキング温度が高く、交換結合磁界も大
きい。また、PtMn合金に代えて、X−Mn(ただ
し、Xは、Pd、Ru、Ir、Rh、Osのうちから選
択される1種の元素を示す。)の式で示される合金ある
いはX’−Pt−Mn(ただし、X’は、Pd、Ru、
Ir、Rh、Os、Au、Agのうちから選択される1
種または2種以上の元素を示す。)の式で示される合金
で形成されていてもよい。
【0070】また、前記PtMn合金および前記X−M
nの式で示される合金において、PtあるいはXが37
〜63原子%の範囲であることが望ましい。より好まし
くは、47〜57原子%の範囲である。さらにまた、
X’−Pt−Mnの式で示される合金において、X’+
Ptが37〜63原子%の範囲であることが望ましい。
より好ましくは、47〜57原子%の範囲である。さら
に、前記X’−Pt−Mnの式で示される合金として
は、X’が0.2〜10原子%の範囲であることが望ま
しい。反強磁性薄膜18aとして、上記した適正な組成
範囲の合金を使用し、また反強磁性層18にも反強磁性
薄膜18aと同一組成の合金を使用し、これらをアニー
ル処理することで、大きな交換結合磁界を発現させるこ
とができる。とくにPtMn合金であれば、800(O
e)を越える交換結合磁界が発現し、交換結合磁界を失
うブロッキング温度を380℃と極めて高温にしてスピ
ンバルブ型薄膜磁気素子2の熱安定性を高めることがで
きる。
【0071】上記のスピンバルブ型薄膜磁気素子2の製
造方法は、先に説明したスピンバルブ型薄膜磁気素子1
の製造方法ほぼ同じであるが、下地層とフリー磁性層と
非磁性導電層と固定磁性層とに加えて、反強磁性薄膜を
も積層して積層前駆体とする点が前述のスピンバルブ型
薄膜磁気素子1の場合と異なる。これ以降の製造工程は
図17〜図23とほぼ同じであり、積層前駆体上に第1
リフトオフレジストを形成し、第1リフトオフレジスト
に覆われていない部分をイオンミリング法により除去し
て基板を露出させて積層体を形成する。次に、露出され
た基板と傾斜側面と第1リフトオフレジストとに、バイ
アス下地層、バイアス層及び中間層を順次積層し、第1
リフトオフレジストを除去する。
【0072】次に、積層体及び中間層に、反強磁性層及
び保護層を積層する。尚、反強磁性層を積層する前に、
積層体の上面をイオンミリングまたは逆スパッタ等の手
段によりエッチングする必要がある。これは、先の第1
リフトオフレジストの除去工程をスパッタリング装置等
の外部にて行うために、基板等が一時的に大気圧雰囲気
に曝され、このとき雰囲気中の酸素等の不純物により積
層体(反強磁性薄膜)の上面が汚染されるため、この汚
染された反強磁性薄膜の上に反強磁性層を積層しても、
これら反強磁性薄膜と反強磁性層を一体化させることが
できず、固定磁性層の磁化方向を固定するに足りる十分
な交換結合磁界を発現させることができなくなるので、
積層体(反強磁性薄膜)の上面をエッチングして不純物
を除去する必要があるからである。
【0073】次に、第2リフトオフレジストを保護層上
に形成し、導電層を積層し、最後に第2リフトオフレジ
ストを除去することにより、図5に示すスピンバルブ型
薄膜磁気素子2が得られる。
【0074】上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子2にお
いては、前述したスピンバルブ型薄膜磁気素子1と同様
な効果に加えて以下の効果が得られる。即ち、スピンバ
ルブ型薄膜磁気素子2においては、固定磁性層14と反
強磁性薄膜18aとが同時に積層されるので固定磁性層
14と反強磁性薄膜18aの界面に不純物等が混入する
ことがなく、またこの反強磁性薄膜18aと反強磁性層
18とが一体化すれば、固定磁性層14と反強磁性薄膜
18aとの界面にて大きな交換結合磁界が容易に発現し
て固定磁性層14の磁化方向を図示Y方向に強固に固定
することができる。
【0075】また、上述の製造方法においては、固定磁
性層14と反強磁性薄膜18aとを同時に形成するため
にこれらの界面には酸素等の不純物が混入せず、また反
強磁性薄膜18aに反強磁性層18を積層してこれらを
一体化することにより、反強磁性薄膜18aが実質的に
反強磁性層18に含まれることになり、固定磁性層14
と反強磁性薄膜18aとの界面にて交換結合磁界が発現
しやすくなり、固定磁性層14の磁化方向が強固に固定
されたスピンバルブ型薄膜磁気素子2を製造することが
できる。
【0076】(第3の実施形態)図6に本発明の第3の
実施形態であるスピンバルブ型薄膜磁気素子の断面図を
示す。尚、図6において、前述した図1及び図2に示し
た構成要素と同一の構成要素には同一符号を付し、当該
構成要素については簡略に説明する。
【0077】図6に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子3
には、下地層11とフリー磁性層12と非磁性導電層1
3と固定磁性層14とが順次積層されてなる積層体10
が備えられている。積層体10の図示X1方向両側に
は、バイアス下地層15、15を介して一対のバイアス
層16、16が隣接している。バイアス層16、16
は、バイアス下地層15、15を介して基板7上に設け
られ、積層体10と同じ階層に位置し、その上面16
b、16bが積層体10の上面10bと略同一面を構成
し、かつその一部が積層体10の傾斜側面10a、10
aに乗り上げている。よって、図6に示すバイアス層1
6、16は、その一部が積層体10の傾斜側面10a、
10aに乗り上げているものの、従来のスピンバルブ型
薄膜磁気素子のように、図示Z方向に向けて突出した形
状にはならない。
【0078】バイアス層16、16には中間層17、1
7が積層され、中間層17、17と積層体10の上面1
0bには強磁性薄膜14aが積層されている。強磁性薄
膜14aには反強磁性層18と保護層19が積層されて
いる。また、保護層19上には、一対の導電層20、2
0が積層されている。
【0079】反強磁性層18が強磁性薄膜14aに接し
て積層されることにより、強磁性薄膜14aと反強磁性
層18との界面にて交換結合磁界が発現する。この強磁
性薄膜14aは固定磁性層14に積層されているので、
強磁性薄膜14aと反強磁性層18との界面にて発現し
た交換結合磁界は固定磁性層14に印加され、固定磁性
層14の磁化方向が図示Y方向に固定される。強磁性薄
膜14aは、固定磁性層14と同一の材料からなること
が好ましく、例えば、強磁性体であるCo、NiFe合
金、CoNiFe合金、CoFe合金、CoNi合金な
どからなることが好ましい。
【0080】上記のスピンバルブ型薄膜磁気素子3の製
造方法は、先に説明したスピンバルブ型薄膜磁気素子1
の製造方法ほぼ同じであるが、積層体とバイアス層に強
磁性薄膜を積層した後に反強磁性層を積層する点が前述
のスピンバルブ型薄膜磁気素子1の場合と異なる。
【0081】上記以外の点は図16〜図23に示す製造
方法とほぼ同じであり、基板上に積層前駆体を形成し、
積層前駆体上に第1リフトオフレジストを形成し、第1
リフトオフレジストに覆われていない部分をイオンミリ
ング法により除去して基板を露出させて積層体を形成す
る。次に、露出した基板と傾斜側面と第1リフトオフレ
ジストとに、バイアス下地層、バイアス層及び中間層を
順次積層し、第1リフトオフレジストを除去する。
【0082】次に、積層体及び中間層に、強磁性薄膜と
反強磁性層と保護層を積層する。尚、強磁性薄膜を積層
する前に、積層体の上面をスパッタリング等の手段によ
りエッチングする必要がある。これは、先の第1リフト
オフレジストの除去工程をスパッタリング装置等の外部
にて行うために、基板等が一時的に大気圧雰囲気に曝さ
れ、このとき雰囲気中の酸素等の不純物により積層体
(固定磁性層)の上面が汚染されるので、積層体(固定
磁性層)の上面をエッチングすることにより不純物が除
去されて固定磁性層と強磁性薄膜とが実質的に一体化さ
れ、固定磁性層の磁化方向を強固に固定することが可能
になるからである。
【0083】次に、第2リフトオフレジストを保護層上
に形成し、導電層を積層し、最後に第2リフトオフレジ
ストを除去することにより、図6に示すスピンバルブ型
薄膜磁気素子3が得られる。
【0084】上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子3にお
いては、前述したスピンバルブ型薄膜磁気素子1と同様
な効果に加えて以下の効果が得られる。即ち、上述のス
ピンバルブ型薄膜磁気素子3においては、強磁性薄膜1
4aと反強磁性層18とが同時に積層されるので強磁性
薄膜14aと反強磁性層18の界面に不純物等が混入す
ることがなく、更にこの強磁性薄膜14aが固定磁性層
14に接しているので、反強磁性層18と強磁性薄膜1
4aとの界面にて発現した交換結合磁界が固定磁性層1
4に印加されて、固定磁性層14の磁化方向を図示Y方
向に固定することができる。
【0085】また、上述の製造方法においては、強磁性
薄膜14aと反強磁性層18とを同時に積層するために
これらの界面には酸素等の不純物が混入せず、強磁性薄
膜14aと反強磁性層18との界面にて交換結合磁界が
発現しやすくなり、またこの強磁性薄膜14aが固定磁
性層14上に積層されてこれらが一体化して強磁性薄膜
14aが実質的に固定磁性層14に含まれることになる
ので、固定磁性層14の磁化方向が強固に固定されたス
ピンバルブ型薄膜磁気素子3を製造することができる。
【0086】(第4の実施形態)図7に本発明の第4の
実施形態であるスピンバルブ型薄膜磁気素子の断面図を
示を示す。尚、図7において、前述した図1に示した構
成要素と同一の構成要素には同一符号を付し、当該構成
要素については簡略に説明する。
【0087】図7に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子4
には、下地層11とフリー磁性層12と非磁性導電層1
3と固定磁性層24とが順次積層されてなる積層体30
が備えられている。
【0088】固定磁性層24は、非磁性中間層22と、
非磁性中間層22を挟む第1固定磁性層21及び第2固
定磁性層23とからなる。また、第1、第2固定磁性層
21、23の厚さは、僅かに異なる厚さとすることが好
ましく、図7においては、第1固定磁性層21の膜厚が
第2固定磁性層23より大とされている。また、反強磁
性層18が、第2固定磁性層23に接して積層体30及
び中間層17、17を覆うように積層されている。
【0089】固定磁性層24の第2固定磁性層23の磁
化方向は、反強磁性層18との交換結合磁界により図示
Y方向に固定され、第1固定磁性層21は、第2固定磁
性層23と反強磁性的に結合してその磁化方向が図示Y
方向の反対方向に固定されている。第1、第2固定磁性
層21、23の磁化方向が互いに反平行とされているの
で、第1、第2固定磁性層21、23の磁気モーメント
が相互に打ち消し合う関係にあるが、第1固定磁性層2
1の厚さが僅かに大きいために、固定磁性層24自体の
自発磁化が僅かに残る結果となり、この自発磁化が反強
磁性層18との交換結合磁界によって更に増幅され、固
定磁性層24の磁化方向が図示Y方向の反対方向に固定
される。
【0090】第1固定磁性層21及び第2固定磁性層2
3は、例えば、Co、NiFe合金、CoFe合金、あ
るいはCoNiFe合金、CoNi合金などで形成され
ていることが好ましい。また、第1固定磁性層21と第
2固定磁性層23に挟まれている非磁性中間層22は、
Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種あるい
は2種以上の合金で形成されていることが好ましい。
【0091】積層体30の図示X1方向両側には、バイ
アス下地層15、15を介して一対のバイアス層16、
16が隣接している。バイアス層16、16は、積層体
30と同じ階層に位置し、その上面16b、16bが積
層体30の上面30bと略同一面を構成し、かつその一
部が積層体30の傾斜側面30a、30aに乗り上げて
いる。よって、図7に示すバイアス層16、16は、そ
の一部が積層体30の傾斜側面30aに乗り上げている
ものの、従来のスピンバルブ型薄膜磁気素子のように、
図示Z方向に向けて突出した形状にはならない。また反
強磁性層18には保護層19が積層され、保護層19に
は一対の導電層20、20が積層されている。
【0092】上記のスピンバルブ型薄膜磁気素子4は、
基板上に下地層とフリー磁性層と非磁性導電層と第1固
定磁性層と非磁性中間層と第2固定磁性層とが積層され
て積層前駆体が形成される以外は、前述したスピンバル
ブ型薄膜磁気素子1と同様にして製造される。
【0093】上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子4にお
いては、前述したスピンバルブ型薄膜磁気素子1と同様
な効果に加えて以下の効果が得られる。即ち、上述のス
ピンバルブ型薄膜磁気素子4においては、固定磁性層2
4が非磁性中間層22と第1固定磁性層21及び第2固
定磁性層23からなり、第2固定磁性層23の磁化方向
が図示Y方向に固定され、第1固定磁性層21の磁化方
向が図示Y方向の反対方向に固定されているので、第
1、第2固定磁性層21、23の磁気モーメントが相互
に打ち消し合う関係にあるが、第1固定磁性層21の厚
さが僅かに大きく、固定磁性層24自体の自発磁化が僅
かに残る結果となり、この自発磁化が反強磁性層18と
の交換結合磁界によって更に増幅され、固定磁性層24
の磁化方向が図示Y方向の反対方向に強固に固定され、
スピンバルブ型薄膜磁気素子4の安定性を向上させるこ
とができる。
【0094】(第5の実施形態)図8に本発明の第5の
実施形態であるスピンバルブ型薄膜磁気素子の断面図を
示を示す。尚、図8において、前述した図1及び図7に
示した構成要素と同一の構成要素には同一符号を付し、
当該構成要素については簡略に説明する。
【0095】図8に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子5
には、下地層11とフリー磁性層12と非磁性導電層1
3と固定磁性層24と反強磁性薄膜18aとが順次積層
されてなる積層体61が備えられている。
【0096】固定磁性層24は、非磁性中間層22と、
非磁性中間層22を挟む第1固定磁性層21及び第2固
定磁性層23とからなる。また、第1、第2固定磁性層
21、23の厚さは、僅かに異なる厚さとすることが好
ましく、図8においては、第1固定磁性層21の膜厚が
第2固定磁性層23より大とされている。また、反強磁
性層18が、反強磁性薄膜18aに接して積層体61及
び中間層17、17を覆うように積層されている。
【0097】反強磁性層18が反強磁性薄膜18aに接
して積層されることにより、反強磁性層18と反強磁性
薄膜18aとが一体化し、これら反強磁性層18と反強
磁性薄膜18aとが同時にアニール処理されて反強磁性
薄膜18aと第2固定磁性層23との界面にて交換結合
磁界が発現し、第2固定磁性層23の磁化方向が図示Y
方向に固定される。また、第1固定磁性層21は、第2
固定磁性層23と反強磁性的に結合してその磁化方向が
図示Y方向の反対方向に固定される。第1、第2固定磁
性層21、23の磁化方向が互いに反平行とされている
ので、第1、第2固定磁性層21、23の磁気モーメン
トが相互に打ち消し合う関係にあるが、第1固定磁性層
21の厚さが僅かに大きいために、固定磁性層24自体
の自発磁化が僅かに残る結果となり、この自発磁化が反
強磁性層18との交換結合磁界によって更に増幅され、
固定磁性層24の磁化方向が図示Y方向の反対方向に固
定される。
【0098】積層体61の図示X1方向両側には、バイ
アス下地層15、15を介して一対のバイアス層16、
16が隣接している。バイアス層16、16は、積層体
61と同じ階層に位置し、その上面16b、16bが積
層体61の上面61bと略同一面を構成し、かつその一
部が積層体61の傾斜側面61a、61aに乗り上げて
いる。よって、図8に示すバイアス層16、16は、そ
の一部が積層体61の傾斜側面61aに乗り上げている
ものの、従来のスピンバルブ型薄膜磁気素子のように、
図示Z方向に向けて突出した形状にはならない。
【0099】反強磁性層18には保護層19が積層さ
れ、保護層19上には一対の導電層20、20が積層さ
れている。
【0100】上記のスピンバルブ型薄膜磁気素子5は、
基板上に下地層とフリー磁性層と非磁性導電層と第1固
定磁性層と非磁性中間層と第2固定磁性層とが積層され
て積層前駆体が形成される以外は、前述したスピンバル
ブ型薄膜磁気素子2と同様にして製造される。
【0101】上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子5にお
いては、前述したスピンバルブ型薄膜磁気素子1と同様
な効果に加えて以下の効果が得られる。即ち、上述のス
ピンバルブ型薄膜磁気素子5においては、第2固定磁性
層23と反強磁性薄膜18aとが同時に積層されてこれ
らの各層の界面にて交換結合磁界が発現し、第2固定磁
性層23の磁化方向を図示Y方向の反対方向に強固に固
定すると共に、固定磁性層24自体の自発磁化が反強磁
性層18との交換結合磁界によって更に増幅されるの
で、固定磁性層24の磁化方向を図示Y方向の反対方向
に強固に固定でき、スピンバルブ型薄膜磁気素子5の安
定性をより高めることができる。
【0102】(第6の実施形態)図9に本発明の第6の
実施形態であるスピンバルブ型薄膜磁気素子の断面図を
示を示す。尚、図9において、前述した図1及び図7に
示した構成要素と同一の構成要素には同一符号を付し、
当該構成要素については簡略に説明する。
【0103】図9に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子6
には、下地層11とフリー磁性層12と非磁性導電層1
3と固定磁性層24とが順次積層されてなる積層体30
が備えられている。
【0104】固定磁性層24は、非磁性中間層22と、
非磁性中間層22を挟む第1固定磁性層21及び第2固
定磁性層23とからなる。また、第1、第2固定磁性層
21、23の厚さは、僅かに異なる厚さとすることが好
ましく、図9においては、第1固定磁性層21の膜厚が
第2固定磁性層23より大とされている。
【0105】積層体30の図示X1方向両側には、バイ
アス下地層15、15を介して一対のバイアス層16、
16が隣接している。バイアス層16、16は、積層体
30と同じ階層に位置し、その上面16b、16bが積
層体30の上面30bと略同一面を構成し、かつその一
部が積層体30の傾斜側面30a、30aに乗り上げて
いる。よって、図9に示すバイアス層16、16は、そ
の一部が積層体30の傾斜側面30aに乗り上げている
ものの、従来のスピンバルブ型薄膜磁気素子のように、
図示Z方向に向けて突出した形状にはならない。
【0106】バイアス層16、16には中間層17、1
7が積層され、中間層17、17と積層体30の上面3
0bには強磁性薄膜14aが積層されている。強磁性薄
膜14aには反強磁性層18と保護層19が積層されて
いる。また、保護層19上には、一対の導電層20、2
0が積層されている。
【0107】反強磁性層18が強磁性薄膜14aに接し
て積層されることにより、強磁性薄膜14aと反強磁性
層18との界面にて交換結合磁界が発現する。この強磁
性薄膜14aは第2固定磁性層23に積層されているの
で、強磁性薄膜14aと反強磁性層18との界面にて発
現した交換結合磁界は第2固定磁性層23に印加されて
その磁化方向が図示Y方向に固定される。また、第1固
定磁性層は、第2固定磁性層23と反強磁性的に結合し
てその磁化方向が図示Y方向の反対方向に固定される。
【0108】第1、第2固定磁性層21、23の磁化方
向が互いに反平行とされているので、第1、第2固定磁
性層21、23の磁気モーメントが相互に打ち消し合う
関係にあるが、第1固定磁性層21の厚さが僅かに大き
いために、固定磁性層24自体の自発磁化が僅かに残る
結果となり、この自発磁化が反強磁性層18との交換結
合磁界によって更に増幅され、固定磁性層24の磁化方
向が図示Y方向の反対方向に固定される。
【0109】強磁性薄膜14aは、第2固定磁性層24
と同一の材料からなることが好ましく、例えば、強磁性
体であるCo、NiFe合金、CoNiFe合金、Co
Fe合金、CoNi合金などからなることが好ましい。
【0110】上記のスピンバルブ型薄膜磁気素子6は、
基板上に下地層とフリー磁性層と非磁性導電層と第1固
定磁性層と非磁性中間層と第2固定磁性層とが積層され
て積層前駆体が形成される以外は、前述したスピンバル
ブ型薄膜磁気素子3と同様にして製造される。
【0111】上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子6にお
いては、前述したスピンバルブ型薄膜磁気素子1と同様
な効果に加えて以下の効果が得られる。即ち、上述のス
ピンバルブ型薄膜磁気素子6においては、強磁性薄膜1
4aと反強磁性層18とが不純物を等を介することなく
互いに接し、更にこの強磁性薄膜14aが第2固定磁性
層23に接しているので、反強磁性層18と強磁性薄膜
14aとの間で発現した交換結合磁界が第2固定磁性層
14に印加され、第2固定磁性層23の磁化方向が図示
Y方向に固定され、これにより第1固定磁性層21の磁
化方向が図示Y方向の反対方向とされて、固定磁性層2
4自体の自発磁化が僅かに残る結果となり、この自発磁
化が反強磁性層18との交換結合磁界によって更に増幅
され、固定磁性層24の磁化方向を図示Y方向の反対方
向に強固に固定でき、スピンバルブ型薄膜磁気素子6の
安定性をより高めることができる。
【0112】(第7の実施形態)図10に本発明の第7
の実施形態であるスピンバルブ型薄膜磁気素子の断面図
を示を示す。尚、図10において、前述した図1及び図
7に示した構成要素と同一の構成要素には同一符号を付
し、当該構成要素については簡略に説明する。
【0113】図10に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子
7には、下地層11とフリー磁性層28と非磁性導電層
13と固定磁性層24とが順次積層されてなる積層体5
0が備えられている。
【0114】積層体50の図示X1方向両側には、バイ
アス下地層15、15を介して一対のバイアス層16、
16が隣接している。バイアス層16、16は、積層体
50と同じ階層に位置し、その上面16b、16bが積
層体50の上面50bと略同一面を構成し、かつその一
部が積層体50の傾斜側面50a、50aに乗り上げて
いる。よって、図10に示すバイアス層16、16は、
その一部が積層体50の傾斜側面50aに乗り上げてい
るものの、従来のスピンバルブ型薄膜磁気素子のよう
に、図示Z方向に向けて突出した形状にはならない。
【0115】固定磁性層24は、非磁性中間層22と、
非磁性中間層22を挟む第1固定磁性層21及び第2固
定磁性層23とからなる。また、第1、第2固定磁性層
21、23の厚さは、僅かに異なる厚さとすることが好
ましく、図10においては、第1固定磁性層21の膜厚
が第2固定磁性層23より大とされている。また、反強
磁性層18が、第2固定磁性層23に接して積層体50
及び中間層17、17を覆うように積層されている。ま
た、反強磁性層18には保護層19が積層され、保護層
19上には一対の導電層20、20が積層されている。
【0116】第2固定磁性層23の磁化方向は、反強磁
性層18との交換結合磁界により図示Y方向に固定さ
れ、第1固定磁性層21は、第2固定磁性層23と反強
磁性的に結合してその磁化方向が図示Y方向の反対方向
に固定されている。第1、第2固定磁性層21、23の
磁化方向が互いに反平行とされているので、第1、第2
固定磁性層21、23の磁気モーメントが相互に打ち消
し合う関係にあるが、第1固定磁性層21の厚さが僅か
に大きいために、固定磁性層24自体の自発磁化が僅か
に残る結果となり、この自発磁化が反強磁性層18との
交換結合磁界によって更に増幅され、固定磁性層24の
磁化方向が図示Y方向の反対方向に固定される。
【0117】フリー磁性層28は、非磁性中間層26
と、非磁性中間層26を挟む第1フリー磁性層25及び
第2フリー磁性層27とからなる。また、第1、第2フ
リー磁性層25、27の厚さは、僅かに異なる厚さとす
ることが好ましく、図10においては、第1フリー磁性
層25の膜厚が第2フリー磁性層27より大とされてい
る。
【0118】第1、第2フリー磁性層25、27は、交
換結合磁界によって相互に磁気的に結合されてフェリ磁
性状態となる。即ち、第1フリー磁性層25の磁化方向
はバイアス層16、16の磁化によって図示X1方向に
揃えられ、第2フリー磁性層27は、第1フリー磁性層
25と反強磁性的に結合してその磁化方向が図示X1方
向の反対方向に揃えられる。第1、第2フリー磁性層2
5、27の磁化方向が互いに反平行とされているので、
第1、第2フリー磁性層の磁気モーメントが相互に打ち
消し合う関係にあるが、第1フリー磁性層25の厚さが
第2フリー磁性層27より大とされているので、この厚
さの差分に相当する磁化がフリー磁性層28全体の磁化
となり、フリー磁性層28の磁化方向が図示X1方向に
揃えられ、またこの磁化の大きさが小さくなるので、外
部磁界の変化によってフリー磁性層28の磁化方向が感
度よく変動するものとなる。
【0119】第1フリー磁性層25及び第2フリー磁性
層27は、例えば、Co、NiFe合金、CoFe合
金、あるいはCoNiFe合金、CoNi合金等からな
ることが好ましい。また、非磁性中間層26は、Ru、
Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種あるいは2種
以上の合金からなることが好ましい。
【0120】上記のスピンバルブ型薄膜磁気素子7は、
基板上に下地層と第1フリー磁性層と非磁性中間膜と第
2フリー磁性層と非磁性導電層と第1固定磁性層と別の
非磁性中間層と第2固定磁性層とが積層されて積層前駆
体が形成される以外は、前述したスピンバルブ型薄膜磁
気素子1と同様にして製造される。
【0121】上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子7にお
いては、前述したスピンバルブ型薄膜磁気素子1と同様
な効果に加えて以下の効果が得られる。即ち、上述のス
ピンバルブ型薄膜磁気素子7においては、固定磁性層2
4が非磁性中間層22と第1固定磁性層21及び第2固
定磁性層23からなり、第2固定磁性層23の磁化方向
が図示Y方向に固定され、第1固定磁性層21の磁化方
向が図示Y方向の反対方向に固定されているので、第
1、第2固定磁性層21、23の磁気モーメントが相互
に打ち消し合う関係にあるが、第1固定磁性層21の厚
さが僅かに大きく、固定磁性層24自体の自発磁化が僅
かに残る結果となり、この自発磁化が反強磁性層18と
の交換結合磁界によって更に増幅され、固定磁性層24
の磁化方向が図示Y方向の反対方向に強固に固定され、
スピンバルブ型薄膜磁気素子7の安定性を向上させるこ
とができる。
【0122】また、第1、第2フリー磁性層25、27
が、反強磁性的に結合されてフェリ磁性状態となり、第
1、第2フリー磁性層の磁気モーメントが相互に打ち消
し合うことになるが、第1フリー磁性層25と第2フリ
ー磁性層27の厚さの差分に相当する磁化がフリー磁性
層28全体の磁化となり、この磁化が小さくなるので、
フリー磁性層28の磁化方向を外部磁界の変化に対して
感度よく変動させることができ、スピンバルブ型薄膜磁
気素子7の感度を向上させることができる。
【0123】(第8の実施形態)図11に本発明の第8
の実施形態であるスピンバルブ型薄膜磁気素子の断面図
を示を示す。尚、図11において、前述した図1及び図
8に示した構成要素と同一の構成要素には同一符号を付
し、当該構成要素については簡略に説明する。
【0124】図11に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子
8には、下地層11とフリー磁性層28と非磁性導電層
13と固定磁性層24と反強磁性薄膜18aが順次積層
されてなる積層体62が備えられている。
【0125】固定磁性層24は、非磁性中間層22と、
非磁性中間層22を挟む第1固定磁性層21及び第2固
定磁性層23とからなる。また、第1、第2固定磁性層
21、23の厚さは、僅かに異なる厚さとすることが好
ましく、図11においては、第1固定磁性層21の膜厚
が第2固定磁性層23より大とされている。フリー磁性
層28は、非磁性中間層26と、非磁性中間層26を挟
む第1フリー磁性層25及び第2フリー磁性層27とか
らなる。また、第1、第2フリー磁性層25、27の厚
さは、僅かに異なる厚さとすることが好ましく、図11
においては、第1フリー磁性層25の膜厚が第2フリー
磁性層27より大とされている。
【0126】積層体62の図示X1方向両側には、バイ
アス下地層15、15を介して一対のバイアス層16、
16が隣接している。バイアス層16、16は、積層体
62と同じ階層に位置し、その上面16b、16bが積
層体62の上面62bと略同一面を構成し、かつその一
部が積層体62の傾斜側面62a、62aに乗り上げて
いる。よって、図11に示すバイアス層16、16は、
その一部が積層体62の傾斜側面62aに乗り上げてい
るものの、従来のスピンバルブ型薄膜磁気素子のよう
に、図示Z方向に向けて突出した形状にはならない。
【0127】また、反強磁性層18が、反強磁性薄膜1
8aに接して積層体62及び中間層17、17を覆うよ
うに積層されている。また、反強磁性層18には保護層
19が積層され、保護層19上には一対の導電層20、
20が積層されている。反強磁性層18が反強磁性薄膜
18aに接して積層されることにより、反強磁性層18
と反強磁性薄膜18aとが一体化し、これら反強磁性層
18と反強磁性薄膜18aとが同時にアニール処理され
て反強磁性薄膜18aと第2固定磁性層23との界面に
て交換結合磁界が発現し、第2固定磁性層23の磁化方
向が図示Y方向に固定される。また、第1固定磁性層2
1は、第2固定磁性層23と反強磁性的に結合してその
磁化方向が図示Y方向の反対方向に固定される。第1、
第2固定磁性層21、23の磁化方向が互いに反平行と
されているので、第1、第2固定磁性層21、23の磁
気モーメントが相互に打ち消し合う関係にあるが、第1
固定磁性層21の厚さが僅かに大きいために、固定磁性
層24自体の自発磁化が僅かに残る結果となり、この自
発磁化が反強磁性層18との交換結合磁界によって更に
増幅され、固定磁性層24の磁化方向が図示Y方向の反
対方向に固定される。
【0128】第1、第2フリー磁性層25、27は、交
換結合磁界によって相互に磁気的に結合されてフェリ磁
性状態となる。即ち、第1フリー磁性層25の磁化方向
はバイアス層16、16の磁化によって図示X1方向に
揃えられ、第2フリー磁性層27は、第1フリー磁性層
25と反強磁性的に結合してその磁化方向が図示X1方
向の反対方向に揃えられる。第1、第2フリー磁性層2
5、27の磁化方向が互いに反平行とされているので、
第1、第2フリー磁性層の磁気モーメントが相互に打ち
消し合う関係にあるが、第1フリー磁性層25の厚さが
第2フリー磁性層27より大とされているので、この厚
さの差分に相当する磁化がフリー磁性層28全体の磁化
となり、フリー磁性層28の磁化方向が図示X1方向に
揃えられ、またこの磁化の大きさが小さくなるので、外
部磁界の変化によってフリー磁性層28の磁化方向が感
度よく変動するものとなる。
【0129】上記のスピンバルブ型薄膜磁気素子8は、
基板上に下地層と第1フリー磁性層と非磁性中間膜と第
2フリー磁性層と非磁性導電層と第1固定磁性層と別の
非磁性中間層と第2固定磁性層と反強磁性薄膜が積層さ
れて積層前駆体が形成される以外は、前述したスピンバ
ルブ型薄膜磁気素子2と同様にして製造される。
【0130】上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子8にお
いては、前述したスピンバルブ型薄膜磁気素子1と同様
な効果に加えて以下の効果が得られる。即ち、上述のス
ピンバルブ型薄膜磁気素子8においては、固定磁性層2
4が非磁性中間層22と第1固定磁性層21及び第2固
定磁性層23からなり、第2固定磁性層23の磁化方向
が図示Y方向に固定され、第1固定磁性層21の磁化方
向が図示Y方向の反対方向に固定されているので、第
1、第2固定磁性層21、23の磁気モーメントが相互
に打ち消し合う関係にあるが、第1固定磁性層21の厚
さが僅かに大きく、固定磁性層24自体の自発磁化が僅
かに残る結果となり、この自発磁化が反強磁性層18と
の交換結合磁界によって更に増幅され、固定磁性層24
の磁化方向が図示Y方向の反対方向に強固に固定され、
スピンバルブ型薄膜磁気素子8の安定性を向上させるこ
とができる。
【0131】また、第2固定磁性層23と反強磁性薄膜
18aとが同時に積層されるので、第2固定磁性層23
と反強磁性薄膜18aの界面に不純物等が混入すること
がなく、この反強磁性薄膜18aと反強磁性層18とが
一体化すれば、第2固定磁性層23と反強磁性薄膜18
aとの界面にて交換結合磁界が容易に発現して第2固定
磁性層23の磁化方向を図示Y方向に固定することがで
きる。
【0132】また、第1、第2フリー磁性層25、27
が、反強磁性的に結合されてフェリ磁性状態となり、第
1、第2フリー磁性層の磁気モーメントが相互に打ち消
し合うことになるが、第1フリー磁性層25と第2フリ
ー磁性層27の厚さの差分に相当する磁化がフリー磁性
層28全体の磁化となり、この磁化が小さくなるので、
フリー磁性層28の磁化方向を外部磁界の変化に対して
感度よく変動させることができ、スピンバルブ型薄膜磁
気素子8の感度を向上させることができる。
【0133】(第9の実施形態)図12に本発明の第9
の実施形態であるスピンバルブ型薄膜磁気素子の断面図
を示を示す。尚、図12において、前述した図1及び図
9に示した構成要素と同一の構成要素には同一符号を付
し、当該構成要素については簡略に説明する。
【0134】図12に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子
9には、下地層11とフリー磁性層28と非磁性導電層
13と固定磁性層24とが順次積層されてなる積層体5
0が備えられている。
【0135】固定磁性層24は、非磁性中間層22と、
非磁性中間層22を挟む第1固定磁性層21及び第2固
定磁性層23とからなる。また、第1固定磁性層21の
膜厚が第2固定磁性層23より大とされている。フリー
磁性層28は、非磁性中間層26と、非磁性中間層26
を挟む第1フリー磁性層25及び第2フリー磁性層27
とからなる。また、第1、第2フリー磁性層25、27
の厚さは、僅かに異なる厚さとすることが好ましく、図
12においては、第1フリー磁性層25の膜厚が第2フ
リー磁性層27より大とされている。
【0136】積層体50の図示X1方向両側には、バイ
アス下地層15、15を介して一対のバイアス層16、
16が隣接している。バイアス層16、16は、積層体
50と同じ階層に位置し、その上面16b、16bが積
層体50の上面50bと略同一面を構成し、かつその一
部が積層体50の傾斜側面50a、50aに乗り上げて
いる。よって、図12に示すバイアス層16、16は、
その一部が積層体50の傾斜側面50aに乗り上げてい
るものの、従来のスピンバルブ型薄膜磁気素子のよう
に、図示Z方向に向けて突出した形状にはならない。
【0137】バイアス層16、16には中間層17、1
7が積層され、中間層17、17と積層体50の上面5
0bには強磁性薄膜14aが積層されている。強磁性薄
膜14aには反強磁性層18と保護層19が積層されて
いる。また、反強磁性層18には保護層19が積層さ
れ、保護層19上には一対の導電層20、20が積層さ
れている。
【0138】反強磁性層18が強磁性薄膜14aに接し
て積層されることにより、強磁性薄膜14aと反強磁性
層18との界面にて交換結合磁界が発現する。この強磁
性薄膜14aは第2固定磁性層23に積層されているの
で、強磁性薄膜14aと反強磁性層18との界面にて発
現した交換結合磁界は第2固定磁性層23に印加されて
その磁化方向が図示Y方向に固定される。また、第1固
定磁性層は、第2固定磁性層23と反強磁性的に結合し
てその磁化方向が図示Y方向の反対方向に固定される。
【0139】第1、第2固定磁性層21、23の磁化方
向が互いに反平行とされているので、第1、第2固定磁
性層21、23の磁気モーメントが相互に打ち消し合う
関係にあるが、第1固定磁性層21の厚さが僅かに大き
いために、固定磁性層24自体の自発磁化が僅かに残る
結果となり、この自発磁化が反強磁性層18との交換結
合磁界によって更に増幅され、固定磁性層24の磁化方
向が図示Y方向の反対方向に固定される。
【0140】第1、第2フリー磁性層25、27は、交
換結合磁界によって相互に磁気的に結合されてフェリ磁
性状態となる。即ち、第1フリー磁性層25の磁化方向
はバイアス層16、16の磁化によって図示X1方向に
揃えられ、第2フリー磁性層27は、第1フリー磁性層
25と反強磁的に結合してその磁化方向が図示X1方向
の反対方向に揃えられる。第1、第2フリー磁性層2
5、27の磁化方向が互いに反平行とされているので、
第1、第2フリー磁性層の磁気モーメントが相互に打ち
消し合う関係にあるが、第1フリー磁性層25の厚さが
第2フリー磁性層27より大とされているので、この厚
さの差分に相当する磁化がフリー磁性層28全体の磁化
となり、フリー磁性層28の磁化方向が図示X1方向に
揃えられ、またこの磁化の大きさが小さくなるので、外
部磁界の変化によってフリー磁性層28の磁化方向が感
度よく変動するものとなる。
【0141】上記のスピンバルブ型薄膜磁気素子9は、
基板上に下地層と第1フリー磁性層と非磁性中間膜と第
2フリー磁性層と非磁性導電層と第1固定磁性層と別の
非磁性中間層と第2固定磁性層とが積層されて積層前駆
体が形成される以外は、前述したスピンバルブ型薄膜磁
気素子3と同様にして製造される。
【0142】上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子9にお
いては、前述したスピンバルブ型薄膜磁気素子1と同様
な効果に加えて以下の効果が得られる。即ち、上述のス
ピンバルブ型薄膜磁気素子9においては、強磁性薄膜1
4aと反強磁性層18とが不純物を等を介することなく
互いに密着し、更にこの強磁性薄膜14aが第2固定磁
性層23に接しているので、反強磁性層18と強磁性薄
膜14aとの間で発現した交換結合磁界が第2固定磁性
層23に印加され、第2固定磁性層23の磁化方向が図
示Y方向に固定され、これにより第1固定磁性層21の
磁化方向が図示Y方向の反対方向とされて、固定磁性層
24自体の自発磁化が僅かに残る結果となり、この自発
磁化が反強磁性層18との交換結合磁界によって更に増
幅され、固定磁性層24の磁化方向を図示Y方向の反対
方向に強固に固定でき、スピンバルブ型薄膜磁気素子9
の安定性をより高めることができる。
【0143】また、第1、第2フリー磁性層25、27
が、反強磁性的に結合されてフェリ磁性状態となり、第
1、第2フリー磁性層の磁気モーメントが相互に打ち消
し合うことになるが、第1フリー磁性層25と第2フリ
ー磁性層27の厚さの差分に相当する磁化がフリー磁性
層28全体の磁化となり、この磁化が小さくなるので、
フリー磁性層28の磁化方向を外部磁界の変化に対して
感度よく変動させることができ、スピンバルブ型薄膜磁
気素子9の感度を向上させることができる。
【0144】(第10の実施形態)図13に本発明の第
10の実施形態であるスピンバルブ型薄膜磁気素子の断
面図を示す。尚、図13において、前述した図1に示し
た構成要素と同一の構成要素には同一符号を付し、当該
構成要素については簡略に説明する。
【0145】図13に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子
70には、下地層11とフリー磁性層12と非磁性導電
層13と固定磁性層14とが順次積層されてなる積層体
10が備えられている。積層体10の図示X1方向両側
には、バイアス下地層15、15を介して一対のバイア
ス層16、16が隣接している。バイアス層16、16
は、積層体10と同じ階層に位置し、その上面16b、
16bが積層体10の上面10bと略同一面を構成し、
かつその一部が積層体10の傾斜側面10a、10aに
乗り上げている。よって、図13に示すバイアス層1
6、16は、その一部が積層体10の傾斜側面10a、
10aに乗り上げているものの、従来のスピンバルブ型
薄膜磁気素子のように、図示Z方向に向けて突出した形
状にはならない。
【0146】バイアス層16、16には中間層17、1
7が積層され、中間層17、17の一部及び積層体10
の上面10bには反強磁性層31が積層されている。反
強磁性層31は、積層体10と同様に断面視略台形状に
形成されて、反強磁性層31の図示X1方向両側は2つ
の傾斜側面31a、31aとされている。傾斜側面31
a、31aは、基板7から離れる方向、即ち図示Z方向
に向けて互いに接近するように傾斜している。反強磁性
層31は、その図示X1方向の長さが積層体10とほぼ
同じ長さとなるように形成されている。この反強磁性層
31は、図1における反強磁性層18と同様の材質から
なるものである。また、反強磁性層31には、例えばT
aからなる保護層32が積層されている。
【0147】反強磁性層31の図示X1方向両側には、
一対の導電層33、33が配置されている。この導電層
33、33は、中間層17、17の上に積層されると共
に、反強磁性層31の傾斜側面31a、31aに接して
形成されている。
【0148】次に、上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子
70の製造方法を図16〜図20及び図24〜図27を
参照して説明する。尚、ここでの図16〜図20の説明
は、前述したスピンバルブ型薄膜磁気素子1の製造方法
における図16〜図20の説明と全く同一なので、ここ
では図24〜図27についてのみ説明する。
【0149】図24に示す工程の前工程は図20に示し
た通りであり、図24の説明を容易ならしめるために再
度図20を説明すると、図20には、積層体10の両側
にバイアス下地層15、15とバイアス層16と中間層
17、17とを順次積層して第1リフトオフレジスト8
0を除去した後の状態を示している。続いて図24にお
いて、積層体10及び中間層17、17に、反強磁性層
31及び保護層32を積層する。尚、反強磁性層31を
積層する前に、積層体10の上面10bをイオンミリン
グまたは逆スパッタ等の手段によりエッチングする必要
がある。これは、先の第1リフトオフレジスト80の除
去工程をスパッタリング装置等の外部にて行うために、
基板7等が一時的に大気圧雰囲気に曝され、このとき雰
囲気中の酸素等の不純物により積層体10(固定磁性
層)の上面10bが汚染されるため、この汚染された固
定磁性層14の上面に反強磁性層18を積層しても、こ
れらの層の界面では交換結合磁界が発現し得ないので、
反強磁性層18を積層する前に積層体10(固定磁性
層)の上面10bをエッチングして不純物を除去する必
要があるからである。
【0150】次に、図25に示すように、保護層32上
に第3リフトオフレジスト82を形成し、第3リフトオ
フレジスト82に覆われていない部分をイオンミリング
法(物理的イオンビームエッチング法)により除去して
中間層17、17を露出させて、反強磁性層31及び保
護層32を断面視略台形状に加工する。このとき、反強
磁性層31には傾斜側面31a、31aが形成される。
第3リフトオフレジスト82を積層体10と重なる位置
に形成することが、積層体10に接する部分の反強磁性
層31のみを残存させることができる点で好ましい。
【0151】次に、図26に示すように、中間層17、
17、傾斜側面31a、31a及び第3リフトオフレジ
スト82に導電層33を積層する。中間層17、17上
に積層された導電層33は、傾斜側面31a、31aと
接すると共にその上に乗り上げて積層される。第3リフ
トオフレジスト82には、導電層33の構成材料の付着
層82aが付着する。そして最後に、図27に示すよう
に、第3リフトオフレジスト82を除去して、図13に
示すスピンバルブ型薄膜磁気素子70が得られる。
【0152】上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子70に
おいては、前述したスピンバルブ型薄膜磁気素子1と同
様な効果に加えて以下の効果が得られる。即ち、スピン
バルブ型薄膜磁気素子70においては、導電層33、3
3が、中間層17、17を介してバイアス層16、16
上に積層されると共に、反強磁性層31の傾斜側壁面3
1a、31aに接しているので、導電層33、33とバ
イアス層16、16が中間層17、17を介して隣接す
ることになり、このバイアス層16、16は非磁性導電
層13を含む積層体10と隣接しているので、導電層3
3、33からの検出電流を、比抵抗の大きい反強磁性層
31を介さずに非磁性導電層13に与えることが可能と
なり、外部磁界による磁気抵抗の変化量を大きくしてス
ピンバルブ型薄膜磁気素子70の検出感度を高くするこ
とができる。また、導電層33、33とバイアス層1
6、16の間に中間層17、17が設けられているの
で、後工程であるインダクティブヘッドの製造工程での
熱処理(UVキュア)により起きる導電層20とバイア
ス層16の間での熱拡散が防止されて、バイアス層1
6、16の磁気特性の劣化を防止することができる。
【0153】また、上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子
70の製造方法においては、積層体10と重なる部分の
反強磁性層31を残存させ、この反強磁性層31の両側
に隣接してしかもバイアス層上に積層された導電層3
3、33を形成するので、導電層33、33からの検出
電流を、比抵抗が大きい反強磁性層32を介さずに非磁
性導電層13に与えることができ、外部磁界による磁気
抵抗の変化量が大きくなって検出感度が高いスピンバル
ブ型薄膜磁気素子70を製造することができる。
【0154】(第11の実施形態)図14に本発明の第
11の実施形態であるスピンバルブ型薄膜磁気素子の断
面図を示す。尚、図14において、前述した図4及び図
13に示した構成要素と同一の構成要素には同一符号を
付し、当該構成要素については簡略に説明する。
【0155】図14に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子
71には、下地層11とフリー磁性層12と非磁性導電
層13と固定磁性層24とが順次積層されてなる積層体
30が備えられている。
【0156】積層体30の図示X1方向両側には、バイ
アス下地層15、15を介して一対のバイアス層16、
16が隣接している。バイアス層16、16は、積層体
30と同じ階層に位置し、その上面16b、16bが積
層体30の上面30bと略同一面を構成し、かつその一
部が積層体30の傾斜側面30a、30aに乗り上げて
いる。よって、図14に示すバイアス層16、16は、
その一部が積層体30の傾斜側面30aに乗り上げてい
るものの、従来のスピンバルブ型薄膜磁気素子のよう
に、図示Z方向に向けて突出した形状にはならない。
【0157】固定磁性層24は、非磁性中間層22と、
非磁性中間層22を挟む第1固定磁性層21及び第2固
定磁性層23とからなる。また、第1、第2固定磁性層
21、23の厚さは、僅かに異なる厚さとすることが好
ましく、図14においては、第1固定磁性層21の膜厚
が第2固定磁性層23より大とされている。
【0158】バイアス層16、16には中間層17、1
7が積層され、中間層17、17の一部及び積層体30
の上面30bには反強磁性層31が積層されている。反
強磁性層31は、積層体30と同様に断面視略台形状に
形成されて、反強磁性層31の図示X1方向両側は2つ
の傾斜側面31a、31aとされている。傾斜側面31
a、31aは、基板7から離れる方向、即ち図示Z方向
に向けて互いに接近するように傾斜している。また、反
強磁性層31には、例えばTaからなる保護層32が積
層されている。
【0159】第2固定磁性層23の磁化方向は、反強磁
性層31との交換結合磁界により図示Y方向に固定さ
れ、第1固定磁性層21は、第2固定磁性層23と反強
磁性的に結合してその磁化方向が図示Y方向の反対方向
に固定されている。第1、第2固定磁性層21、23の
磁化方向が互いに反平行とされているので、第1、第2
固定磁性層21、23の磁気モーメントが相互に打ち消
し合う関係にあるが、第1固定磁性層21の厚さが僅か
に大きいために、固定磁性層24自体の自発磁化が僅か
に残る結果となり、この自発磁化が反強磁性層31との
交換結合磁界によって更に増幅され、固定磁性層24の
磁化方向が図示Y方向の反対方向に固定される。
【0160】反強磁性層31の図示X1方向両側には、
1対の導電層33、33が形成されている。この導電層
33、33は、反強磁性層31の傾斜側面31a、31
aに接して中間層17、17上に積層されている。
【0161】上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子71
は、基板上に下地層とフリー磁性層と非磁性導電層と第
1固定磁性層と非磁性中間層と第2固定磁性層とが積層
されて積層前駆体が形成される以外は、前述したスピン
バルブ型薄膜磁気素子70と同様にして製造される。
【0162】上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子71に
おいては、前述したスピンバルブ型薄膜磁気素子70と
同様な効果に加えて以下の効果が得られる。即ち、スピ
ンバルブ型薄膜磁気素子71においては、固定磁性層2
4が非磁性中間層22と第1固定磁性層21及び第2固
定磁性層23からなり、第2固定磁性層23の磁化方向
が図示Y方向に固定され、第1固定磁性層21の磁化方
向が図示Y方向の反対方向に固定されているので、第
1、第2固定磁性層21、23の磁気モーメントが相互
に打ち消し合う関係にあるが、第1固定磁性層21の厚
さが僅かに大きく、固定磁性層24自体の自発磁化が僅
かに残る結果となり、この自発磁化が反強磁性層31と
の交換結合磁界によって更に増幅され、固定磁性層24
の磁化方向が図示Y方向の反対方向に強固に固定され、
スピンバルブ型薄膜磁気素子71の安定性を向上させる
ことができる。
【0163】(第12の実施形態)図15に本発明の第
12の実施形態であるスピンバルブ型薄膜磁気素子の断
面図を示す。尚、図15において、前述した図5及び図
13に示した構成要素と同一の構成要素には同一符号を
付し、当該構成要素については簡略に説明する。
【0164】図15に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子
72には、下地層11とフリー磁性層28と非磁性導電
層13と固定磁性層24とが順次積層されてなる積層体
50が備えられている。積層体50の図示X1方向両側
には、バイアス下地層15を介して一対のバイアス層1
6、16が隣接している。バイアス層16、16は、積
層体50と同じ階層に位置し、その上面16b、16b
が積層体50の上面50bと略同一面を構成し、かつそ
の一部が積層体50の傾斜側面50a、50aに乗り上
げている。 よって、図15に示すバイアス層16、1
6は、その一部が積層体50の傾斜側面50aに乗り上
げているものの、従来のスピンバルブ型薄膜磁気素子の
ように、図示Z方向に向けて突出した形状にはならな
い。
【0165】固定磁性層24は、非磁性中間層22と、
非磁性中間層22を挟む第1固定磁性層21及び第2固
定磁性層23とからなる。また、第1、第2固定磁性層
21、23の厚さは、僅かに異なる厚さとすることが好
ましく、図15においては、第1固定磁性層21の膜厚
が第2固定磁性層23より大とされている。
【0166】バイアス層16、16には中間層17、1
7が積層され、中間層17、17の一部及び積層体50
の上面50bには反強磁性層31が積層されている。反
強磁性層31は、積層体50と同様に断面視略台形状に
形成されて、反強磁性層31の図示X1方向両側は2つ
の傾斜側面31a、31aとされている。傾斜側面31
a、31aは、基板7から離れる方向、即ち図示Z方向
に向けて互いに接近するように傾斜している。また、反
強磁性層31には、例えばTaからなる保護層32が積
層されている。
【0167】第2固定磁性層23の磁化方向は、反強磁
性層31との交換結合磁界により図示Y方向に固定さ
れ、第1固定磁性層21は、第2固定磁性層23と反強
磁性的に結合してその磁化方向が図示Y方向の反対方向
に固定されている。第1、第2固定磁性層21、23の
磁化方向が互いに反平行とされているので、第1、第2
固定磁性層21、23の磁気モーメントが相互に打ち消
し合う関係にあるが、第1固定磁性層21の厚さが僅か
に大きいために、固定磁性層24自体の自発磁化が僅か
に残る結果となり、この自発磁化が反強磁性層31との
交換結合磁界によって更に増幅され、固定磁性層24の
磁化方向が図示Y方向の反対方向に固定される。
【0168】フリー磁性層28は、非磁性中間層26
と、非磁性中間層26を挟む第1フリー磁性層25及び
第2フリー磁性層27とからなる。また、第1、第2フ
リー磁性層25、27の厚さは、僅かに異なる厚さとす
ることが好ましく、図15においては、第1フリー磁性
層25の膜厚が第2フリー磁性層27より大とされてい
る。
【0169】第1、第2フリー磁性層25、27は、交
換結合磁界によって相互に磁気的に結合されてフェリ磁
性状態となる。即ち、第1フリー磁性層25の磁化方向
はバイアス層16、16の磁化によって図示X1方向に
揃えられ、第2フリー磁性層27は、第1フリー磁性層
25と反強磁的に結合してその磁化方向が図示X1方向
の反対方向に揃えられる。第1、第2フリー磁性層2
5、27の磁化方向が互いに反平行とされているので、
第1、第2フリー磁性層の磁気モーメントが相互に打ち
消し合う関係にあるが、第1フリー磁性層25の厚さが
第2フリー磁性層27より大とされているので、この厚
さの差分に相当する磁化がフリー磁性層28全体の磁化
となり、フリー磁性層28の磁化方向が図示X1方向に
揃えられ、またこの磁化の大きさが小さくなるので、外
部磁界の変化によってフリー磁性層28の磁化方向が感
度よく変動するものとなる。
【0170】反強磁性層31の図示X1方向両側には、
1対の導電層33、33が形成されている。この導電層
33、33は、反強磁性層31の傾斜側面31a、31
aに接して中間層17、17上に積層されている。
【0171】上記のスピンバルブ型薄膜磁気素子72
は、基板上に下地層と第1フリー磁性層と非磁性中間膜
と第2フリー磁性層と非磁性導電層と第1固定磁性層と
別の非磁性中間層と第2固定磁性層とが積層されて積層
前駆体が形成される以外は、前述したスピンバルブ型薄
膜磁気素子70と同様にして製造される。
【0172】上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子72に
おいては、前述したスピンバルブ型薄膜磁気素子71と
同様な効果に加えて以下の効果が得られる。即ち、上述
のスピンバルブ型薄膜磁気素子72においては、第1、
第2フリー磁性層25、27が、反強磁性的に結合され
てフェリ磁性状態となり、第1、第2フリー磁性層2
5、27の磁気モーメントが相互に打ち消し合うことに
なるが、第1フリー磁性層25と第2フリー磁性層27
の厚さの差分に相当する磁化がフリー磁性層28全体の
磁化となり、この磁化が小さくなるので、フリー磁性層
28の磁化方向を外部磁界の変化に対して感度よく変動
させることができ、スピンバルブ型薄膜磁気素子72の
感度を向上させることができる。
【0173】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
スピンバルブ型薄膜磁気素子においては、積層体に2つ
の傾斜側面が設けられ、バイアス層が前記積層体と同じ
階層に配置されてその一部が前記傾斜側面上に乗り上
げ、かつその上面が前記積層体の上面とほぼ同じ位置に
なるように形成され、前記反強磁性層は、前記バイアス
層の少なくとも一部と前記積層体を覆って積層されてい
るので、従来のスピンバルブ型薄膜磁気素子のように、
積層体の傾斜側面に乗り上げたバイアス層の断面形状が
突出して尖ったものとはならず、バイアス層からの漏れ
磁界によってフリー磁性層が多磁区化されることがない
ので、フリー磁性層のバルクハウゼンノイズを低減する
ことができる。
【0174】また、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子においては、前記反強磁性層が前記反強磁性薄膜に接
して前記反強磁性薄膜と一体となるように構成されてい
るので、これらの界面に不純物が混入することがなく、
この反強磁性薄膜と反強磁性層とが一体化すれば、固定
磁性層と反強磁性薄膜との界面にて交換結合磁界が容易
に発現して固定磁性層の磁化方向を所定の方向に強固に
固定することが可能になる。
【0175】また、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子においては、少なくとも前記積層体と前記反強磁性層
との間に、強磁性薄膜が設けられているので、これらの
界面に不純物が混入することがなく、またこの強磁性薄
膜は固定磁性層と接しているので、反強磁性層と強磁性
薄膜との間で交換結合磁界が容易に発現し、この交換結
合磁界が強磁性薄膜を介して固定磁性層に印加されて、
固定磁性層の磁化方向を所定の方向に固定することがで
きる。
【0176】また、反強磁性層及び反強磁性薄膜に、X
−Mnの式で示される合金またはX’−Pt−Mnの式
で示される合金を用いたスピンバルブ型薄膜磁気素子と
することで、反強磁性層に従来から使用されているNi
O合金、FeMn合金、NiMn合金などを用いたもの
と比較して、交換結合磁界が大きく、またブロッキング
温度が高く、さらに耐食性に優れているなどの優れた特
性を有するスピンバルブ型薄膜磁気素子とすることが可
能になる。
【0177】本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子にお
いては、前記一対の導電層が互いに離間して前記反強磁
性層上に積層されているので、検出電流を確実に積層体
に印加することができる。
【0178】また、前記一対の導電層は、前記反強磁性
層の両側に隣接して前記バイアス層に積層されてなるも
のであっても良く、この場合には、導電層とバイアス層
が隣接し、バイアス層は非磁性導電層を含む積層体と隣
接しているので、導電層からの検出電流を、比抵抗の大
きい反強磁性層を介さずに非磁性導電層に与えることが
可能となり、外部磁界による磁気抵抗の変化量を大きく
してスピンバルブ型薄膜磁気素子の検出感度を高くする
ことができる。
【0179】また、Ta、Crのような非磁性体からな
る中間層を設けることにより、バイアス層と反強磁性層
との間で磁気結合が発生することなく、フリー磁性層の
単磁区化に必要なバイアス磁界を増大させることができ
る。また、後工程であるインダクティブヘッドの製造工
程での熱処理(UVキュア)により起きる導電層とバイ
アス層の間での熱拡散を防止して、バイアス層の磁気特
性の劣化を防止することができる。更に、体心立方構造
(bcc構造)であるCrからなるバイアス下地層を設
けることにより、前記バイアス層がバイアス下地層上で
エピタキシャル成長して、バイアス層の磁化容易軸を所
定の方向に揃えることが可能になって、バイアス層の保
磁力および角形比が大きくなり、フリー磁性層の単磁区
化に必要なバイアス磁界を増大させることができる。
【0180】また、フリー磁性層が、非磁性中間層を介
して反強磁性的に結合された第1、第2フリー磁性層か
らなる場合、第1、第2フリー磁性層が交換結合磁界に
よって磁気的に結合されてフェリ磁性状態となり、この
時例えば、第1フリー磁性層の厚さを、第2フリー磁性
層よりも僅かに大とすると、第1フリー磁性層の磁化方
向がバイアス層の磁化によって一定方向に揃えられ、第
2フリー磁性層の磁化方向が第1フリー磁性層の磁化方
向の反対方向とされ、第1、第2フリー磁性層の磁気モ
ーメントが相互に打ち消し合うことになるが、第1フリ
ー磁性層の厚さが第2フリー磁性層より大とされている
ので、この厚さの差分に相当する磁化がフリー磁性層の
磁化となり、この磁化が小さくなるので、外部磁界の変
化によってフリー磁性層の磁化方向が感度よく変動し、
スピンバルブ型薄膜磁気素子の検出感度を大きくするこ
とができる。
【0181】また、固定磁性層が、非磁性中間層を介し
て反強磁性的に結合された第1、第2固定磁性層からな
る場合、第1、第2固定磁性層が交換結合磁界によって
磁気的に結合されてフェリ磁性状態となり、第1、第2
固定磁性層の厚さを僅かに異ならしめると、第1、第2
固定磁性層の磁気モーメントが相互に打ち消し合って
も、固定磁性層の自発磁化が僅かに残り、この自発磁化
が反強磁性層との交換結合磁界によって更に増幅され、
固定磁性層の磁化方向を強固に固定することが可能とな
って、スピンバルブ型薄膜磁気素子の安定性を高くする
ことができる。
【0182】本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の製
造方法は、基板上に積層体を形成し、この積層体の両側
にバイアス層を形成し、このバイアス層の上面を積層体
の上面とほぼ同じ位置とし、この上に反強磁性層を積層
するので、従来のように積層体の傾斜側面に乗り上げた
バイアス層の断面形状が突出して尖ったものとはなら
ず、バイアス層からの漏れ磁界によってフリー磁性層が
多磁区化されることがなく、フリー磁性層が単磁区化さ
れたスピンバルブ型薄膜磁気素子を製造することができ
る。
【0183】また、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法においては、前記積層前駆体を、前記フリ
ー磁性層と前記非磁性導電層と前記固定磁性層と反強磁
性薄膜を積層して形成し、前記反強磁性層を前記反強磁
性薄膜に接して積層しても良く、この場合には、固定磁
性層と反強磁性薄膜とを同時に積層するためにこれらの
界面には酸素等の不純物が混入せず、また反強磁性薄膜
に反強磁性層を積層してこれらを一体化することによっ
て反強磁性薄膜が実質的に反強磁性層に含まれることに
なるので、固定磁性層と反強磁性薄膜との界面にて交換
結合磁界が発現し、この交換結合磁界により磁化方向が
強固に固定された固定磁性層を備えたスピンバルブ型薄
膜磁気素子を製造することができる。
【0184】更に、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法においては、前記第1リフトオフレジスト
を除去した後に、少なくとも前記積層体上に強磁性薄膜
を形成し、該強磁性薄膜に前記反強磁性層を積層しても
良く、この場合には、強磁性薄膜と反強磁性層とを同時
に形成するためにこれらの界面には酸素等の不純物が混
入せず、強磁性薄膜と反強磁性層との界面にて交換結合
磁界が発現しやすくなり、またこの強磁性薄膜が固定磁
性層上に積層されてこれらが一体化して強磁性薄膜が実
質的に固定磁性層に含まれることになるので、発現した
交換結合磁界が固定磁性層の磁化方向を強固に固定する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態であるスピンバルブ
型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から見た場合の
構造を示した断面図である。
【図2】 図1に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子のバ
イアス層とフリー磁性層の磁化の方向を説明するための
模式図である。
【図3】 本発明の第1の実施形態であるスピンバルブ
型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッドの斜視図であ
る。
【図4】 図3に示す薄膜磁気ヘッドの要部の断面図で
ある。
【図5】 本発明の第2の実施形態であるスピンバルブ
型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から見た場合の
構造を示した断面図である。
【図6】 本発明の第3の実施形態であるスピンバルブ
型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から見た場合の
構造を示した断面図である。
【図7】 本発明の第4の実施形態であるスピンバルブ
型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から見た場合の
構造を示した断面図である。
【図8】 本発明の第5の実施形態であるスピンバルブ
型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から見た場合の
構造を示した断面図である。
【図9】 本発明の第6の実施形態であるスピンバルブ
型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から見た場合の
構造を示した断面図である。
【図10】 本発明の第7の実施形態であるスピンバル
ブ型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から見た場合
の構造を示した断面図である。
【図11】 本発明の第8の実施形態であるスピンバル
ブ型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から見た場合
の構造を示した断面図である。
【図12】 本発明の第9の実施形態であるスピンバル
ブ型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から見た場合
の構造を示した断面図である。
【図13】 本発明の第10の実施形態であるスピンバ
ルブ型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から見た場
合の構造を示した断面図である。
【図14】 本発明の第11の実施形態であるスピンバ
ルブ型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から見た場
合の構造を示した断面図である。
【図15】 本発明の第12の実施形態であるスピンバ
ルブ型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から見た場
合の構造を示した断面図である。
【図16】 本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の製
造方法を説明するための工程図である。
【図17】 本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の製
造方法を説明するための工程図である。
【図18】 本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の製
造方法を説明するための工程図である。
【図19】 本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の製
造方法を説明するための工程図である。
【図20】 本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の製
造方法を説明するための工程図である。
【図21】 本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の製
造方法を説明するための工程図である。
【図22】 本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の製
造方法を説明するための工程図である。
【図23】 本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の製
造方法を説明するための工程図である。
【図24】 本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の他
の製造方法を説明するための工程図である。
【図25】 本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の他
の製造方法を説明するための工程図である。
【図26】 本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の他
の製造方法を説明するための工程図である。
【図27】 本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の他
の製造方法を説明するための工程図である。
【図28】 従来のスピンバルブ型薄膜磁気素子を記録
媒体との対向面側から見た場合の構造を示した断面図で
ある。
【図29】 図28に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子
のバイアス層とフリー磁性層の磁化の方向を説明するた
めの模式図である。
【符号の説明】
1 スピンバルブ型薄膜磁気素子 7 基板 10、30、50、60、61、62 積層体 11 下地層 12、28 フリー磁性層 13 非磁性導電層 14、24 固定磁性層 14a 強磁性薄膜 15 バイアス下地層 16 バイアス層 17 中間層 18、31 反強磁性層 18a 反強磁性薄膜 19、32 保護層 20、33 導電層 80 第1リフトオフレジスト 81 第2リフトオフレジスト 82 第3リフトオフレジスト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/39

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上にフリー磁性層と非磁性導電層と
    固定磁性層が少なくとも積層されてなる断面視略台形
    状の積層体と、 前記基板上に設けられ、前記積層体の両側に位置して前
    記フリー磁性層の磁化方向を一方向に揃える一対のバイ
    アス層と、前記積層体及び前記一対のバイアス層上に設
    けられる強磁性薄膜と、 前記強磁性薄膜に接して、交換結合磁界により前記固定
    磁性層の磁化方向を前記フリー磁性層の磁化方向に対し
    て交差する方向に固定する反強磁性層と、 前記フリー磁性層に検出電流を与える一対の導電層とを
    具備してなり、 前記一対のバイアス層が、前記基板を基準として前記積
    層体と同じ階層に位置して設けられるとともに、その上
    面が前記積層体の上面とほぼ同一面を構成するように形
    成され、前記強磁性薄膜及び 前記反強磁性層が、前記バイアス層
    上面と前記積層体の上面により形成される略同一面上
    積層されていることを特徴とするスピンバルブ型薄膜
    磁気素子。
  2. 【請求項2】 基板上にフリー磁性層と非磁性導電層と
    固定磁性層と反強磁性薄膜とが少なくとも積層されてな
    る断面視略台形状の積層体と、 前記基板上に設けられ、前記積層体の両側に位置して前
    記フリー磁性層の磁化方向を一方向に揃える一対のバイ
    アス層と、 前記反強磁性薄膜に接して、交換結合磁界により前記固
    定磁性層の磁化方向を前記フリー磁性層の磁化方向に対
    して交差する方向に固定する反強磁性層と、 前記フリー磁性層に検出電流を与える一対の導電層とを
    具備してなり、 前記一対のバイアス層が、前記基板を基準として前記積
    層体と同じ階層に位置して設けられるとともに、その上
    面が前記積層体の上面とほぼ同一面を構成するように形
    成され、 前記反強磁性層が、前記バイアス層の上面と前記積層体
    の上面により形成される略同一面上に積層されているこ
    とを特徴とするスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  3. 【請求項3】 前記反強磁性層が、前記バイアス層全体
    及び前記積層体に積層されていることを特徴とする請求
    項1ないし2のいずれかに記載のスピンバルブ型薄膜磁
    気素子。
  4. 【請求項4】 前記反強磁性層が、前記積層体の上面に
    接して前記積層体よりも幅広に形成され、かつ前記一対
    のバイアス層の一部に積層されていることを特徴とする
    請求項1ないし2のいずれかに記載のスピンバルブ型薄
    膜磁気素子。
  5. 【請求項5】 前記反強磁性層は、X−Mn(ただし、
    Xは、Pt、Pd、Ru、Ir、Rh、Osのうちから
    選択される1種の元素を示す。)の式で示される合金か
    らなり、Xが37原子%以上63原子%以下の範囲であ
    ることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか
    に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  6. 【請求項6】 前記反強磁性層は、X’−Pt−Mn
    (ただし、X’は、Pd、Cr、Ru、Ni、Ir、R
    h、Os、Au、Agのうちから選択される1種または
    2種以上の元素を示す。)の式で示される合金からな
    り、X’とPtの合計量が37原子%以上63原子%以
    下の範囲であることを特徴とする請求項1ないし請求項
    4のいずれかに記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  7. 【請求項7】 前記反強磁性薄膜は、X−Mn(ただ
    し、Xは、Pt、Pd、Ru、Ir、Rh、Osのうち
    から選択される1種の元素を示す。)の式で示される合
    金からなり、Xが37原子%以上63原子%以下の範囲
    であることを特徴とする請求項2記載のスピンバルブ型
    薄膜磁気素子。
  8. 【請求項8】 前記反強磁性薄膜は、X’−Pt−Mn
    (ただし、X’は、Pd、Cr、Ru、Ni、Ir、R
    h、Os、Au、Agのうちから選択される1種または
    2種以上の元素を示す。)の式で示される合金からな
    り、X’とPtの合計量が37原子%以上63原子%以
    下の範囲であることを特徴とする請求項2記載のスピン
    バルブ型薄膜磁気素子。
  9. 【請求項9】 前記反強磁性層は、前記バイアス層全体
    及び前記積層体に積層され、前記一対の導電層は、互い
    に離間して前記反強磁性層上に積層されてなることを特
    徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のス
    ピンバルブ型薄膜磁気素子。
  10. 【請求項10】 前記反強磁性層は、前記積層体の上面
    に接して前記積層体よりも幅広に形成され、かつ前記一
    対のバイアス層の一部に積層され、前記一対の導電層
    は、前記反強磁性層の両側に隣接し、かつ前記バイアス
    層に積層されてなることを特徴とする請求項1ないし請
    求項8のいずれかに記載のスピンバルブ型薄膜磁気素
    子。
  11. 【請求項11】 前記バイアス層と前記導電層との間お
    よび/または前記バイアス層と前記反強磁性層との間
    に、TaまたはCrからなる中間層が設けられたことを
    特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれかに記載
    のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  12. 【請求項12】 前記バイアス層と前記積層体との間お
    よび前記バイアス層と前記基板との間に、Crからなる
    バイアス下地層が設けられたことを特徴とする請求項1
    ないし請求項10のいずれかに記載のスピンバルブ型薄
    膜磁気素子。
  13. 【請求項13】 前記フリー磁性層は、非磁性中間層
    と、前記非磁性中間層を挟む第1フリー磁性層及び第2
    フリー磁性層とからなり、前記第1フリー磁性層と前記
    第2フリー磁性層が互いに反強磁性的に結合されて、前
    記第1フリー磁性層の磁化方向と前記第2フリー磁性層
    の磁化方向が互いに反平行とされていることを特徴とす
    る請求項1ないし請求項12のいずれかに記載のスピン
    バルブ型薄膜磁気素子。
  14. 【請求項14】 前記固定磁性層は、別の非磁性中間層
    と、前記別の非磁性中間層を挟む第1固定磁性層及び第
    2固定磁性層とからなり、前記第1固定磁性層と前記第
    2固定磁性層が互いに反強磁性的に結合されて、前記第
    1固定磁性層の磁化方向と前記第2固定磁性層の磁化方
    向が互いに反平行とされていることを特徴とする請求項
    1ないし請求項12のいずれかに記載のスピンバルブ型
    薄膜磁気素子。
  15. 【請求項15】 スライダに請求項1ないし請求項14
    のいずれかに記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子が備え
    られてなることを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  16. 【請求項16】 基板上に、少なくともフリー磁性層と
    非磁性導電層と固定磁性層と反強磁性薄膜とを積層して
    積層前駆体を形成し、 前記積層前駆体上に第1リフトオフレジストを形成し、 前記第1リフトオフレジストに覆われていない前記積層
    前駆体を除去して前記基板を露出させることにより断面
    視略台形状の積層体を形成し、 露出された前記基板上であって前記基板を基準として前
    記積層体と同じ階層にバイアス層を積層して、該バイア
    ス層の上面を前記積層体の上面とほぼ同一面とし、 前記第1リフトオフレジストを除去し、前記バイアス層
    及び前記積層体の前記反強磁性薄膜上に反強磁性層を積
    層し、 前記反強磁性層に接触させて一対の導電層を形成するこ
    とを特徴とするスピンバルブ型薄膜磁気素子の製造方
    法。
  17. 【請求項17】 基板上に、少なくともフリー磁性層と
    非磁性導電層と固定磁性層とを積層して積層前駆体を形
    成し、 前記積層前駆体上に第1リフトオフレジストを形成し、 前記第1リフトオフレジストに覆われていない前記積層
    前駆体を除去して前記基板を露出させることにより断面
    視略台形状の積層体を形成し、 露出された前記基板上であって前記基板を基準として前
    記積層体と同じ階層にバイアス層を積層して、該バイア
    ス層の上面を前記積層体の上面とほぼ同一面とし、 前記第1リフトオフレジストを除去し、前記バイアス層
    及び前記積層体の上に強磁性薄膜及び反強磁性層を順次
    積層し、 前記反強磁性層に接触させて一対の導電層を形成するこ
    とを特徴とするスピンバルブ型薄膜磁気素子の製造方
    法。
  18. 【請求項18】 前記反強磁性層上に第2リフトオフレ
    ジストを形成し、 前記第2リフトオフレジストに覆われていない前記反強
    磁性層上に前記一対の導電層を積層し、 前記第2リフトオフレジストを除去することを特徴とす
    る請求項16または請求項17に 記載のスピンバルブ型
    薄膜磁気素子の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記反強磁性層上に第3リフトオフレ
    ジストを形成し、 前記第3リフトオフレジストに覆われていない前記反強
    磁性層を除去し、 残存した前記反強磁性層の両側に前記一対の導電層を積
    層し、 前記第3リフトオフレジストを除去することを特徴とす
    る請求項16または請 求項17に記載 のスピンバルブ型
    薄膜磁気素子の製造方法。
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