JP2002092825A - スピンバルブ型薄膜磁気素子及びその製造方法並びにこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッド - Google Patents

スピンバルブ型薄膜磁気素子及びその製造方法並びにこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッド

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JP2002092825A JP2000274060A JP2000274060A JP2002092825A JP 2002092825 A JP2002092825 A JP 2002092825A JP 2000274060 A JP2000274060 A JP 2000274060A JP 2000274060 A JP2000274060 A JP 2000274060A JP 2002092825 A JP2002092825 A JP 2002092825A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 薄膜磁気ヘッド用のスピンバブル型薄膜磁気
素子において、アシンメトリーを小さくして、再生波形
の安定性の向上を図り、サイドリーディングの発生しな
い高出力特性の薄膜磁気素子、及びその製造方法並びに
それを用いた薄膜磁気ヘッドを提供する。 【解決手段】 ボトムタイプのフェリフリースピンバブ
ル型薄膜磁気素子において、バイアス層7をフェリフリ
ー磁性層4の上面の一部にまで、延出して設けた構造と
する。さらに、電極層8もバイアス層7の延出部の上に
延出して設けた構造とする。製造方法は、1レジスト法
又は2レジスト法が利用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固定磁性層(ピン
(Pinned)磁性層)の固定磁化方向と外部磁界の影響を
受けるフリー(Free)磁性層の磁化方向との関係で電気
抵抗が変化するスピンバルブ型薄膜磁気素子およびその
製造方法並びにこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備え
た薄膜磁気ヘッドに関し、特に、アシンメトリーを減少
させ、バルクハウゼンノイズ発生の低減等、素子の安定
性を向上させ、フリー磁性層の磁区制御を良好に行うこ
とができるスピンバルブ型薄膜磁気素子に用いて好適な
技術に関する。
【0002】
【従来の技術】スピンバルブ型薄膜素子は、巨大磁気抵
抗効果を示すGMR(Giant Magnetoresistive)素子の
一種であり、ハードディスクなどの記録媒体から記録磁
界を検出するものである。前記スピンバルブ型薄膜素子
は、GMR素子の中で比較的構造が単純で、しかも、外
部磁界に対して抵抗変化率が高く、弱い磁界で抵抗が変
化するなどの優れた点を有している。
【0003】図16は、従来のスピンバルブ型薄膜素子
の一例を記録媒体との対向面(ABS面)側から見た場
合の構造を示した断面図である。図16に示すスピンバ
ルブ型薄膜素子は、基板上に反強磁性層101、固定磁
性層102、非磁性導電層103、フリー磁性層104
が一層ずつ形成された、いわゆるボトム型のシングルス
ピンバルブ型薄膜素子である。このスピンバルブ型薄膜
素子では、ハードディスクなどの磁気記録媒体の移動方
向は、図示Z方向であり、磁気記録媒体からの洩れ磁界
の方向は、Y方向である。
【0004】図16における従来のスピンバルブ型薄膜
素子は、基板上に、下から下地層106、反強磁性層1
01、固定磁性層(ピン(Pinned)磁性層)102、非
磁性導電層103、フリー(Free)磁性層104、およ
び保護層107で構成された積層体109と、この積層
体109の両側に形成された一対のバイアス層105,
105と、このバイアス層105,105の上に形成さ
れた一対の電極層108,108とで構成されている。
【0005】下地層106は、Ta(タンタル)等から
なり、反強磁性層101はNiO合金、FeMn合金、
NiMn合金等から形成されている。さらに、前記固定
磁性層102およびフリー磁性層104は、Co、Ni
Fe合金等から形成され、非磁性導電層103はCu
(銅)から形成され、また、バイアス層105は、Co
−Pt(コバルトー白金)合金で形成され、電極層10
8はTa等で形成されている。前記固定磁性層102
は、前記反強磁性層101に接して形成されているの
で、前記固定磁性層102と反強磁性層101との界面
にて交換結合磁界(交換異方性磁界)が発生し、前記固
定磁性層102の固定磁化は、例えば、図示Y方向に固
定されている。前記バイアス層105,105が図示X
1方向に磁化されているので、前記フリー磁性層104
の変動磁化は図示X1方向に揃えられている。これによ
り、前記フリー磁性層104の変動磁化と前記固定磁性
層102の固定磁化とが交差する関係となっている。電
極層108,108は、積層体109上側の検出トラッ
ク幅Twの外側に延出した延出(オーバーレイ)部10
8a,108aを有している。この延出部108a,1
08aにより、積層体109両端部付近に形成される不
感領域に起因する再生出力の低下を解決することが可能
となっている。
【0006】このスピンバルブ型薄膜素子では、バイア
ス層105の上に形成された電極層108から、フリー
(Free)磁性層104、非磁性導電層103、固定磁性
層102に検出電流(センス電流)が与えられる。ハー
ドディスクなどの磁気記録媒体の移動方向は、図示Z方
向であり、磁気記録媒体からの洩れ磁界がY方向に与え
られると、フリー磁性層104の磁化がX1方向からY
方向へ向けて変化する。このフリー磁性層104内での
磁化の方向の変動と、固定磁性層102の固定磁化方向
との関係で電気抵抗値が変化し、(これを磁気抵抗(M
R)効果という)、この電気抵抗値の変化に基づく電圧
変化により、磁気記録媒体からの漏れ磁界が検出され
る。ここで、積層体109のうち電極層108のオーバ
ーレイ部108aが重なる部分以外の中央部分が、実質
的に磁気記録媒体からの記録磁界の再生に寄与し、磁気
抵抗効果を発揮する感度領域であり、検出トラック幅T
wを規定している。そして、オーバーレイ部108a,
108a下側の積層体109の両側部分は、実質的に磁
気記録媒体からの記録磁界の再生に寄与しない不感領域
となっている。
【0007】このようなスピンバルブ型薄膜素子では、
その出力のアシンメトリーが小さいほうが好ましいが、
この出力のアシンメトリーはフリー磁性層104の変動
磁化の方向と固定磁性層102の固定磁化方向との関係
で規定される。このためフリー磁性層104の変動磁化
と固定磁性層102の固定磁化との関係は、90゜に近
いほど好ましく、理想的には90゜が良い。
【0008】ここで、出力のアシンメトリーに影響する
フリー磁性層104の変動磁化の方向について、図面に
基づいて説明する。図17は、フリー磁性層104の変
動磁化Mf の方向を規定する状態について説明する模式
説明図である。フリー磁性層104の変動磁化Mf の方
向に影響を与えるのは、次の3つの磁界である。つま
り、センス電流Jによるセンス電流磁界HJ と、固定磁
性層102の固定磁化による反磁界(双極子)磁界Hd
と、フリー磁性層104と固定磁性層102との層間相
互作用による相互作用磁界Hint とである。これらのフ
リー磁性層104の変動磁化Mf への寄与が少なけれ
ば、アシンメトリーが減少する。つまり、アシンメトリ
ーを減少するためには、外部磁界が印加されない状態
で、 HJ + Hd + Hint = 0・・・・・(1) となることが望ましい。
【0009】ところで、スピンバルブ型薄膜素子が作動
していない状態、つまり、センス電流Jが与えられてい
ない場合には、センス電流磁界HJ は発生していない。
この状態で、バイアス層105,105の磁界によっ
て、フリー磁性層104の変動磁化Mf は、その方向が
揃えられている。つまり、センス電流Jが与えられてい
ない場合、バイアス層105,105により規定される
フリー磁性層104の変動磁化Mf は、固定磁性層10
2の固定磁化Mp と直交しておらず、センス電流Jが流
れて初めてこれらが直交するように、センス電流Jの寄
与を見越して設定されている。このため、センス電流J
が与えられておらず、センス電流磁界HJ が発生してい
ない場合には、フリー磁性層104の変動磁化Mf は、
固定磁性層102の固定磁化Mp と反対側を向こうとす
る。
【0010】ここで、このスピンバルブ型薄膜素子は、
図16に示すように、バイアス層105,105の上に
形成された電極層108,108が積層体109の上側
に延出したオーバーレイ部108a,108aを有して
いる。これにより、電極層108からフリー磁性層10
4、固定磁性層102、非磁性導電層103に。検出電
流(センス電流J)を与えた場合、このセンス電流J
は、その大部分が、このオーバーレイ部108a先端か
ら積層体109に流入することになる。このため、フリ
ー磁性層104に、センス電流Jの流れる中央部分10
4aと、センス電流のほとんど流れない両側部分(電極
オーバーレイ部)104b,104bとが発生する。
【0011】センス電流Jが流れている中央部分104
aでは、上述したように、センス電流磁界HJ が発生し
ており、各磁界の寄与がバランスのとれた、HJ + H
d +Hint = 0 の状態となっている。このため、外
部磁界が印加されない状態で、この中央部分104aの
変動磁化Mf は、固定磁性層102の固定磁化Mpと直
交している。しかし、センス電流Jが流れていない両側
部分104b,104bでは、上述したように、センス
電流磁界HJ が発生していないため、この両側部分10
4b,104bの変動磁化Mf は、固定磁性層102の
固定磁化Mp と反対側を向こうとする。このため、外部
磁界が印加されない状態で、この両側部分104b,1
04bの変動磁化Mf は、固定磁性層102の固定磁化
p と直交していない。この結果、図18に示すよう
に、フリー磁性層104中において磁化方向のずれを生
じる。図18は、図16に示すスピンバルブ型薄膜素子
におけるセンス電流5mA印加時のマイクロマグネティ
ックシュミレーションによるフリー磁性層104の磁化
方向分布を示すベクトルマップである。この図から判る
ように、素子の中央部分104aの磁化方向と、電極両
側部分104b,104bの磁化方向とは大きく異な
る。すなわち、中央部104aでは磁化方向はほぼ一方
向に向いているのに対して、電極両側部分104bで
は、中央部分104aと隣接する部分で磁化の方向が傾
いたものとなっている。
【0012】このように、オーバーレイ部108a先端
付近においてフリー磁性層104が区分された状態が著
しい場合には、図19に示すように、フリー磁性層10
4内にあたかも磁壁104c,104cができたように
単磁区化が妨げられ、磁化の不均一が発生し、スピンバ
ルブ型薄膜素子において磁気記録媒体からの信号の処理
が不正確になる不安定性( instability ) の原因とな
るバルクハイゼンノイズ等が発生する可能性があった。
【0013】図20は、従来のスピンバルブ型薄膜素子
の他の例を記録媒体との対向面(ABS面)側から見た
場合の構造を示した断面図である。図20に示すスピン
バルブ型薄膜素子は、上述したスピンバルブ型薄膜素子
と同様に、反強磁性層122、固定磁性層123、非磁
性導電層124、フリー磁性層125が一層ずつ形成さ
れているが積層順序が逆になっており、いわゆるトップ
型のシングルスピンバルブ型薄膜素子である。このスピ
ンバルブ型薄膜素子では、ハードディスクなどの磁気記
録媒体の移動方向は、図示Z方向であり、磁気記録媒体
からの洩れ磁界の方向は、Y方向である。
【0014】図20において、符号121は、基板上に
設けられている下地層を示している。この下地層121
の上には、フリー磁性層125が形成され、さらに前記
フリー磁性層125の上には、非磁性導電層124が形
成されている。この非磁性導電層124の上には、固定
磁性層123が形成され、前記固定磁性層123の上に
は、反強磁性層122が形成されている。さらに、前記
反強磁性層122の上には、保護層127が形成されて
いる。また、符号126、126は、バイアス層を、符
号128、128は、電極層を、符号129は、積層体
を示している。さらに、このスピンバルブ型薄膜素子で
は、固定磁性層123の磁化方向は、Y方向と反対方向
に固定されている。
【0015】下地層121は、Ta(タンタル)等から
なり、反強磁性層122が、IrMn合金、FeMn合
金、NiMn合金等から形成されている。さらに、前記
固定磁性層123およびフリー磁性層125は、Co、
NiFe合金等から形成され、非磁性導電層124はC
u(銅)で形成され、また、バイアス層126,126
はCo−Pt(コバルトー白金)合金で形成され、電極
層128,128はCu等で形成されている。
【0016】また、バイアス層126,126の上に形
成された電極層128,128は、積層体129上側の
検出トラック幅Twの外側に延出したオーバーレイ部1
28a,128aを有している。このオーバーレイ部1
28a,128aにより、積層体129の両端部付近に
形成される不感領域に起因する再生出力の低下を解決す
ることが可能となっている。ここで、積層体129のオ
ーバーレイ部128a,128a以外の中央部分が、実
質的に磁気記録媒体からの記録磁界の再生に寄与し、磁
気抵抗効果を発揮する感度領域であり、検出トラック幅
Twを規定している。そして、オーバーレイ部128
a,128a下側の積層体129の両側部分は、実質的
に磁気記録媒体からの記録磁界の再生に寄与しない不感
領域となっている。
【0017】このスピンバルブ型薄膜素子においても、
上述した図16に示す例と同様に、電極層128,12
8から、固定磁性層123、非磁性導電層124、フリ
ー磁性層125、付近に検出電流(センス電流J)を与
えた場合、このセンス電流Jの大部分を、このオーバー
レイ部128aから積層体129に流入することを目的
としている。しかし、このスピンバルブ型薄膜素子にお
いては、オーバーレイ部128a,128aに接する積
層体129の上側に反強磁性層122が位置し、この反
強磁性層122の下に固定磁性層123およびフリー磁
性層125が存在する。このため、オーバーレイ部12
8aから固定磁性層123、非磁性導電層124、フリ
ー磁性層125付近に、センス電流Jが流れるために
は、反強磁性層122付近を経由することが必要であ
る。
【0018】この反強磁性層122には、比抵抗の高い
IrMn合金、FeMn合金、NiMn合金等が用いら
れている。例えば、このIrMn合金、FeMn合金、
NiMn合金の比抵抗は、いずれも200μΩcm程度
であり、これは、10μΩcmオーダー程度である固定
磁性層123およびフリー磁性層125を構成するNi
Fe合金等の比抵抗に比べて一桁大きく、また、1μΩ
cmオーダー程度である非磁性導電層124を構成する
Cuの比抵抗に比べてさらに一桁大きい。このように、
反強磁性層122の比抵抗が大きいため、オーバーレイ
部128aから流れ込むセンス電流Jが大きな抵抗を受
け、これ以外に図20に示すように、バイアス層126
を経由して反強磁性層122の下側に直接流れ込む分流
J’の成分が無視できない大きさになる。
【0019】この結果、オーバーレイ部128a,12
8a下方の積層体129における図20にQで示す領域
において、センス電流が流れるようになる。そのため、
不感領域であるべきこの領域Qが、外部磁界に対して磁
気抵抗変化を起こしてしまい、感度領域の再生出力に対
して余計な信号を出力してしまう結果を招く。特に、磁
気記録媒体における記録密度の高密度化にともない、磁
気記録媒体における記録トラック幅および記録トラック
間隔を減少させて狭トラック化を図った場合、本来感度
領域で読み出すべき磁気記録トラックに対して、隣接す
る磁気記録トラックの情報を、上記Q領域において読み
出してしまうというサイドリーディングが発生し、これ
が出力信号に対してノイズとなりエラーを招く結果とな
る。
【0020】図21に従来のその他の例のスピンバルブ
型薄膜素子を示す。このスピンバルブ型薄膜素子が図1
6及び図20に示したスピンバルブ型薄膜素子と特に異
なるところは、固定磁性層の構造とフリー磁性層の構造
である。図21に示すスピンバルブ型薄膜素子は、下地
層121上に反強磁性層122が形成され、該反強磁性
層122上に固定磁性層153が形成され、さらに固定
磁性層153上に非磁性導電層124が形成され、該非
磁性導電層124上にフリー磁性層175が形成され、
さらにフリー磁性層175上に保護層127が形成さ
れ、これらの各層により積層体160が形成されている
ものである。
【0021】このスピンバルブ型薄膜素子の固定磁性層
153は、非磁性中間層154と、この非磁性中間層1
54を挟む第1の固定磁性層155と第2の固定磁性層
156から構成されている。第1固定磁性層155は、
非磁性中間層154より反強磁性層122側に設けら
れ、第2の固定磁性層156は、非磁性中間層154よ
り非磁性導電層124側に設けられている。第1の固定
磁性層155及び第2の固定磁性層156は、NiFe
合金等より形成されている。また、非磁性中間層154
は、Ru等の非磁性材料より形成されている。第1の固
定磁性層155と第2の固定磁性層156の厚さは、異
なる厚さとすることが好ましく、図21では、第2の固
定磁性層156の厚さが第1の固定磁性層155の厚さ
よりも厚くなっている。
【0022】第1の固定磁性層155と反強磁性層12
2との界面では交換結合磁界(交換異方性磁界)が発生
し、第1の固定磁性層155の磁化方向は反強磁性層1
22との交換結合磁界により図示Y方向の反対方向に固
定され、第2の固定磁性層156は第1の固定磁性層1
55と反強磁性的に結合してその磁化方向が図示Y方向
に固定されている。第1、第2の固定磁性層155、1
56の磁化方向が互いに反平行になっているので、第
1、第2の固定磁性層155、156の磁気モーメント
が相互に打ち消し合う関係にあるが、第2の固定磁性層
156の厚さが第1の固定磁性層155より大きく、こ
の第2の固定磁性層156に起因する自発磁化が僅かに
残る結果となり、固定磁性層153が人工的なフェリ磁
性状態となっている。そしてこの小さな自発磁化によっ
て反強磁性層122との交換結合磁界が更に増幅され、
固定磁性層153の磁化方向が図示Y方向に固定され
る。
【0023】また、このスピンバルブ型薄膜素子のフリ
ー磁性層175は、非磁性中間層176と、この非磁性
中間層176を挟む第1のフリー磁性層177と第2の
フリー磁性層178から構成されている。第1のフリー
磁性層177は、非磁性中間層176より保護層127
側に設けられ、第2のフリー磁性層178は、非磁性中
間層176より非磁性導電層124側に設けられてい
る。また、第1のフリー磁性層177は、NiFe合金
等の強磁性材料により形成され、非磁性中間層176は
Ru等の非磁性材料により形成されている
【0024】第2のフリー磁性層178の厚さt2は、
第1のフリー磁性層177の厚さt1よりも厚く形成さ
れている。また、第1のフリー磁性層177及び第2の
フリー磁性層178の飽和磁化をそれぞれM1、M2とし
たとき、第1のフリー磁性層177及び第2のフリー磁
性層178の磁気的膜厚はそれぞれM1・t1、M2・t2
となる。
【0025】そしてこのフリー磁性層175は、第1の
フリー磁性層177と第2のフリー磁性層178との磁
気的膜厚の関係を、M2・t2>M1・t1とするように構
成されている。また、第1のフリー磁性層177及び第
2のフリー磁性層178は、相互に反強磁性的に結合自
在とされている。即ち、第2フリー磁性層178の磁化
方向がバイアス層126、126により図示X1 方向に
揃えられた場合、第1フリー磁性層177の磁化方向
は、図示X1方向の反対方向に揃えられる。また、第
1、第2のフリー磁性層177、178の磁気的膜厚の
関係がM2・ t2>M1・t1 であることから、第2のフ
リー磁性層178の磁化が残存した状態となり、フリー
磁性層175全体の磁化方向が図示X1 と反対方向の方
向に揃えられる。このときのフリー磁性層175の実効
膜厚は、(M2・t2−M1・t1)となる。このように、
第1のフリー磁性層177と第2のフリー磁性層178
は、それぞれの磁化方向が反平行方向となるように反強
磁性的に結合され、かつ磁気的膜厚の関係がM2・t2
1・t1であるので、人工的なフェリ磁性状態となって
いる。またこれによりフリー磁性層175の磁化方向と
固定磁性層153の磁化方向とが交差する関係となる。
【0026】このスピンバルブ型薄膜素子では、ハード
ディスクなどの記録媒体からの洩れ磁界により、図示X
1 方向に揃えられたフリー磁性層175の磁化方向が変
動すると、図示Y方向に固定された固定磁性層153の
磁化との関係で電気抵抗が変化し、この電気抵抗値の変
化に基づく電圧変化により、記録媒体からの洩れ磁界が
検出される。またフリー磁性層175は、相互に反強磁
性的に結合した第1、第2のフリー磁性層177、17
8から構成されているので、フリー磁性層175全体の
磁化方向が僅かな大きさの外部磁界によって変動し、ス
ピンバルブ型薄膜磁気素子の感度が高くなる効果を有し
ている。しかしながら、このスピンバルブ型薄膜磁気素
子においても上記バイアス層126,126の積層体1
60の側面上部に接合されている部分の断面形状は、上
記側面上部の上端に近づくにつれて厚さが薄くなってい
る。そして、積層体160の側面上端に接合されている
先端部126a,126aは尖った断面形状となってい
る。このため、第1のフリー磁性層177の中央部では
磁化の方向が第2のフリー磁性層178の磁化の向きと
逆向き(X1方向の逆向き)の揃っているものの、第1
のフリー磁性層177の両端部では磁化の方向が乱れて
しまうという欠点がある。これは第2のフリー磁性層が
X1方向に磁化されることにより、第2のフリー磁性層
と反平行に結合された第1のフリー磁性層がX1方向と
逆向きに磁化され、第1のフリー磁性層の端部でバイア
ス層126からの磁界と逆向きとなることで、フラスト
レーションを生じることによっている。第1のフリー磁
性層の磁化分布がトラック両端部で乱れることにより、
これと結合状態にある第2のフリー磁性層の磁化分布も
トラック両端部で乱れることになり、再生波形の歪みや
不安定性の原因となる。図22にフリー磁性層の磁化方
向分布を示す。
【0027】次に、薄膜磁気へッドについて説明する。
図23は、薄膜磁気ヘッドの一例を示した斜視図であ
る。この薄膜磁気ヘッドは、ハードディスク装置などの
磁気記録媒体に搭載される浮上式のものである。この薄
膜磁気ヘッドのスライダ251は、図23において符号
235で示す側がディスク面の移動方向の上流側に向く
リーディング側で、符号236で示す側がトレーリング
側である。このスライダ251のディスクに対向する面
では、レール状のABS面(エアーベアリング面:レー
ル部の浮上面)251a、251bと、エアーグルーブ
251cとが形成されている。そして、このスライダ2
51のトレーリング側の端面251dには、磁気コア部
250が設けられている。
【0028】この例で示す薄膜磁気ヘッドの磁気コア部
250は、図24および図25に示す構造の複合型磁気
ヘッドであり、スライダ251のトレーリング側端面2
51d上に、MRヘッド(読出ヘッド)h1と、インダ
クティブヘッド(書込ヘッド)h2とが順に積層されて
構成されている。
【0029】図24に示すように、この例のMRヘッド
h1は、基板を兼ねるスライダ251のトレーリング側
端部に形成された磁性合金からなる下部シールド層25
3上に、下部ギャップ層254が設けられている。そし
て、下部ギャップ層254上には、磁気抵抗効果素子層
245が積層されている。この磁気抵抗効果素子層24
5上には、上部ギャップ層256が形成され、その上に
上部シールド層257が形成されている。この上部シー
ルド層257は、その上に設けられるインダクティブヘ
ッドh2の下部コア層と兼用にされている。このMRヘ
ッドh1は、ハードディスクのディスクなどの磁気記録
媒体からの微小の漏れ磁界の有無により、磁気抵抗効果
素子層245の抵抗を変化させ、この抵抗変化を読み取
ることで記録媒体の記録内容を読み取るものである。
【0030】前記MRヘッドh1に設けられている磁気
抵抗効果素子層245には、前述したスピンバルブ型薄
膜素子が備えられている。前述のスピンバルブ型薄膜素
子は、薄膜磁気へッド(再生用ヘッド)を構成する最も
重要なものである。
【0031】また、インダクティブヘッドh2は、下部
コア層257の上に、ギャップ層264が形成され、そ
の上に平面的に螺旋状となるようにパターン化されたコ
イル層266が形成されている。前記コイル層266
は、第1の絶縁材料層267Aおよび第2の絶縁材料層
267Bに囲まれている。第2絶縁材料層267Bの上
に形成された上部コア層268は、ABS面251bに
て、その磁極端部268aを下部コア層257に、磁気
ギャップGの厚みをあけて対向させ、図24および図2
5に示すように、その基端部268bを下部コア層25
7と磁気的に接続させて設けられている。また、上部コ
ア層268の上には、アルミナなどからなる保護層26
9が設けられている。
【0032】このようなインダクティブヘッドh2で
は、コイル層266に記録電流が与えられ、コイル層2
66からコア層に記録磁束が与えられる。そして、前記
インダクティブヘッドh2は、磁気ギャップGの部分で
の下部コア層257と上部コア層268の先端部からの
漏れ磁界により、ハードディスクなどの磁気記録媒体に
磁気信号を記録するものである。
【0033】このような薄膜磁気へッドを製造するに
は、まず、図24に示す磁性材料製の下部シールド層2
53上に下部ギャップ層254を形成した後、磁気抵抗
効果素子層254を構成する前記スピンバルブ型薄膜素
子を形成する。その後、前記スピンバルブ型薄膜素子の
上に、上部ギヤップ層256を介して上部シールド層2
57を形成すると、MRヘッド(読出ヘッド)h1が完
成する。続いて、前記MRヘッドh1の上部シールド層
257と兼用である下部コア層257の上に、ギャップ
層264を形成し、その上に螺旋状のコイル層266
を、第1の絶縁材料層267Aおよび第2の絶縁材料層
267Bで囲むように形成する。さらに、第2絶縁材料
層267Bの上に上部コア層268を形成し、上部コア
層268の上に、保護層269を設けることによって薄
膜磁気へッドが完成する。
【0034】このような薄膜磁気へッドは、前述したス
ピンバルブ型薄膜素子が備えられた薄膜磁気へッドであ
るので、耐熱性、信頼性に優れ、アシンメトリーの小さ
い薄膜磁気へッドとなる利点を有している。
【0035】
【発明が解決しようとする課題】前述の通り、図16に
示したような電極オーバーレイ部104b,104bを
有する構造のスピンバルブ型薄膜素子においては、図1
8に示すようにフリー磁性層104中において磁化方向
のずれが生じ、素子の中央部分104aの磁化方向の分
布と電極オーバーレイ部104b,104bの磁化方向
の分布とは大きく異なったものとなる。
【0036】このように、オーバーレイ部108a先端
付近においてフリー磁性層104が区分された状態が著
しい場合には、磁化の不均一が発生し、スピンバルブ型
薄膜素子において磁気記録媒体からの信号の処理が不正
確になる不安定性(instability)の原因となるバルク
ハイゼンノイズが発生する。
【0037】図20に示すトップ型のスピンバルブ型薄
膜素子においては、オーバーレイ部128a,128a
に接する積層体129の上側に反強磁性層122が位置
し、この反強磁性層122の下に固定磁性層123およ
びフリー磁性層125が存在するため、オーバーレイ部
128aから固定磁性層123、非磁性導電層124、
フリー磁性層125付近にセンス電流Jが流れるために
は、反強磁性層122付近を経由することが必要であ
る。
【0038】この反強磁性層122には、比抵抗の高い
合金が使用されているため、オーバーレイ部128aか
ら流れ込むセンス電流Jが大きな抵抗を受け、これ以外
に、バイアス層126を経由して反強磁性層122の下
側に直接流れ込む分流J’の成分が大きくなる。
【0039】この結果、オーバーレイ部128a,12
8a下方の積層体129の領域において、センス電流が
流れるようになる。そのため、不感領域であるべきこの
領域Qが、外部磁界に対して磁気抵抗変化を起こしてし
まい、感度領域の再生出力に対して余計な信号を出力し
てしまう欠点がある。特に、磁気記録媒体における記録
密度の高密度化にともない、磁気記録媒体における記録
トラック幅および記録トラック間隔を減少させて狭トラ
ック化を図った場合、本来感度領域で読み出すべき磁気
記録トラックに対して、隣接する磁気記録トラックの情
報を、上記Q領域において読み出してしまうというサイ
ドリーディングが発生し、これが出力信号に対してノイ
ズとなりエラーを招くという問題点がある。このように
従来のスピンバルブ型薄膜素子に対しては、根本的によ
り一層の出力特性の向上、並びに感度の向上を図りたい
という要求が存在していた。これらの問題点が解決され
れば、薄膜磁気ヘッドの性能もさらに向上することにな
る。
【0040】また、図21に示した2層のフリー磁性層
を有する構造のスピンバルブ型薄膜素子では、バイアス
層126、126は、積層体160の側面と接合して形
成されている。上記バイアス層126、126の積層体
160の側面上部に接合されている部分の断面形状は、
上記側面上部の上端に近づくにつれて、厚さが薄くなっ
ている。そして、積層体160の側面上端に接合されて
いる先端部126a、126aは、尖った断面形状とな
っている。
【0041】このため、積層体160の側面上端に接合
されているバイアス層126、126からの漏れ磁束
が、先端部126a、126aからスピンバルブ型薄膜
素子上に設けられている上部シールド層257に吸われ
て、図21の矢印Nで示す磁束の流れとなりやすく、フ
リー磁性層175に加わる有効磁界が減少するという不
都合があった。このため、フリー磁性層175の磁区制
御を良好に行うことが困難で、安定性が悪いことが問題
となっていた。
【0042】また、図21に示した2層のフリー磁性層
を有する構造のスピンバルブ型薄膜素子においては、積
層体160の側面上端付近でのバイアス層126、12
6の先端部126a、126aから第1のフリー磁性層
177に与えられる磁場が強く、しかもこの磁場は第1
のフリー磁性層177に付与したい磁化方向と逆向きの
磁化を作用させる磁場である。このため、バイアス層1
26、126の磁界がスピンフロップ磁界(Hsf)より
大きくなると、本来第1のフリー磁性層177に付与し
たい磁化方向と逆向きに作用させる磁場を、第1のフリ
ー磁性層177の両端部(各バイアス層126の近傍部
分)に作用させることとなり、第1のフリー磁性層17
7の中央部では磁化の方向が第2のフリー磁性層178
の磁化の向きの逆向き(X1 方向の逆向き)に揃ってい
るものの、第1のフリー磁性層177の両端部では磁化
の方向が乱れてしまう。
【0043】このように第1のフリー磁性層177の両
端部の磁化の方向が乱れると、磁化の向きが第1のフリ
ー磁性層177の磁化の方向と反平行方向(X1 方向)
に揃えられる第2のフリー磁性層178は、中央部の磁
化の方向が第1のフリー磁性層177の磁化の向きと逆
向き(X1 方向)に揃っているものの、両端部の磁化の
方向が乱れてしまい、第1、第2のフリー磁性層17
7、178の両端部の磁化の方向がいずれも反平行に揃
わなくなり、トラック幅Twの両端のところで、再生波
形不安定性の原因となり、サーボエラー等を引き起こ
し、問題となっていた。
【0044】本来、感度向上のために磁気的膜厚を薄く
する手段として積層フェリフリー構造を採用しても、第
1のフリー磁性層がバイアス層と隣接する部分で磁化方
向の乱れが誘発され、再生信号に悪影響を及ぼす。すな
わち、トラックの端部でアシンメトリーが合わなくな
り、サーボエラー等を引き起こす原因となる。
【0045】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
ので、要約すれば以下の目的を達成しようとするもので
ある。 1)スピンバルブ型薄膜素子における出力特性の向上を
図ること。 2)アシンメトリーを小さくすること。 3)再生波形の安定性(stability)の向上を図るこ
と。 4)サイドリーディング発生の防止を図ること。 5)上記のようなスピンバルブ型薄膜素子の製造方法を
提供すること。 6)上記のようなスピンバルブ型薄膜素子を備えた薄膜
磁気ヘッドを提供することを目的とするものである。
【0046】
【課題を解決するための手段】本発明のスピンバルブ型
薄膜素子では、バイアス層の一部をフリー磁性層の一部
にオーバーラップさせて設けることにより、トラック端
部において磁化方向の乱れ抑制することにより、上記問
題を解決した。すなわち、本発明のスピンバルブ型薄膜
素子は、基板上に形成された反強磁性層と、この反強磁
性層と接して形成された固定磁性層と、前記固定磁性層
に非磁性導電層を介して形成されたフリー磁性層と、前
記フリー磁性層の表面に接して形成された非磁性保護層
とからなる積層体を有し、この積層体の両側に形成され
た1対のバイアス層と、前記バイアス層上に形成された
1対の電極層から構成されており、前記フリー磁性層は
非磁性中間層によって分断されていて、前記非磁性保護
層側に配置された第1のフリー磁性層と前記非磁性導電
層側に配置された第2のフリー磁性層とからなり、さら
に前記バイアス層が非磁性層を介して前記フリー磁性層
の上方の一部にまで延出して形成した構造のものであ
る。
【0047】このような積層順序のボトム型の積層体と
することで、比抵抗の高い反強磁性層を介さずに積層体
に与えるセンス電流の割合を向上することができ、基板
側から、フリー磁性層、非磁性導電層、固定磁性層、反
強磁性層の順で積層されたトップ型積層体において発生
していた、バイアス層を経由して反強磁性層の下側に位
置する固定磁性層、非磁性導電層、フリー磁性層付近に
直接流れ込む検出電流(センス電流)の分流成分を低減
することができる。このため、サイドリーディングを防
止することができ、磁気記録密度の高密度化により一層
対応することが可能となる。
【0048】また、フリー磁性層が非磁性中間層を介し
て2つに分断された構造としたので、2つに分断された
フリー磁性層同士の間に交換結合磁界が発生し、フェリ
磁性状態となり、磁気的な膜厚が減少するので外部磁界
に対して感度よく反転できるものとなる。このようなフ
リー磁性層の構造を採用することにより、第1のフリー
磁性層に付与したい磁化方向と逆向きに作用させる強い
磁場が積層体の側面上端付近でのバイアス層の先端部か
らかかるのを回避でき、第1のフリー磁性層の両端部の
磁化の方向が乱れるのを改善でき、第1のフリー磁性層
の両端部の磁化の方向が乱れることに起因して、磁化の
向きが第1のフリー磁性層の磁化の向きと逆向きに揃え
られる、第2のフリー磁性層の両端部の磁化の方向が乱
れることを防止でき、第1、第2のフリー磁性層の反強
磁的な結合を安定して維持させてフリー磁性層のフェリ
磁性状態を保つことができる。従って、スピンバルブ型
薄膜素子の感度を低下させることなく、トラック幅の両
端の再生波形に異常が生じるのを防止でき、再生波形の
安定性を向上させることができる。
【0049】また、前記バイアス層の主要部分が、前記
積層体の側面と接合されていることにより、バイアス層
からの漏れ磁束が、積層体上部に位置する層、例えば、
上部シールド層等に吸われることによるフリー磁性層に
加わる有効磁界の減少が起こりにくいものとなり、フリ
ー磁性層が単磁区化されやすくなるため、前記フリー磁
性層の磁区制御を良好に行うことができる安定性に優れ
たスピンバルブ型薄膜素子とすることができる。また、
フリー磁性層に対して、強いバイアス磁界を与えやすく
なり、フリー磁性層を単磁区化しやすく、バルクハウゼ
ンノイズの発生を低減させることができる。
【0050】さらに、前記バイアス層の一部分が、非磁
性層を介して前記フリー磁性層の上方の一部分にまで延
出して形成してあるので、さらに強くバイアス層の磁化
方向の影響をフリー磁性層に及ぼすことになる。バイア
ス層7,7の延出部7a,7aの影響を受けて、第1の
フリー磁性層には双極子磁界(外部反磁界)Hxが発生
し、第1のフリー磁性層の磁化方向と揃うように作用す
る。このため第1のフリー磁性層の磁化方向の乱れが抑
制され、それに伴って第2のフリー磁性層の磁化方向の
乱れも少なくなる効果を有する。このため、フリー磁性
層の変動磁化の方向を所望の方向に補正し、フリー磁性
層の変動磁化の方向を制御することがより容易になり、
アシンメトリーの小さい優れたスピンバルブ型薄膜素子
とすることが、より容易となる。
【0051】また、本発明のスピンバルブ型薄膜素子
は、前記固定磁性層を前記反強磁性層との交換異方性磁
界により磁化方向が固定される第1の固定磁性層と、前
記第1の固定磁性層に非磁性中間層を介して形成され、
前記第1の固定磁性層の磁化方向と反平行に磁化方向が
揃えられた第2の固定磁性層とからなる構造とすること
ができる。
【0052】この構造は、いわゆるシンセティックフェ
リピンド型(synthetic-ferri-pinned type )であり、
固定磁性層の固定磁化による反磁界(双極子磁界)を、
第1の固定磁性層の静磁結合磁界と第2の固定磁性層の
静磁結合磁界とにより、相互に打ち消してキャンセルす
ることができる。これにより、フリー磁性層の変動磁化
の方向に影響を与える固定磁性層の固定磁化による反磁
界(双極子磁界)からの、フリー磁性層の変動磁化への
寄与を減少することができる。また、このように、固定
磁性層が非磁性中間層を介して2つに分断されたスピン
バルブ型薄膜素子とした場合、2つに分断された固定磁
性層のうち一方が他方の固定磁性層を適正な方向に固定
する役割を担い、固定磁性層の状態を非常に安定した状
態に保つことが可能となる。ここで、本発明のスピンバ
ルブ型薄膜素子は、前記第1と第2のフリー磁性層が、
反平行に磁化されていることが好ましい。
【0053】また、上記のスピンバルブ型薄膜素子にお
いて、前記第2のフリー磁性層の磁気的膜厚が前記第1
のフリー磁性層の磁気的膜厚よりも大きいことが好まし
い。このようなスピンバルブ型薄膜素子とすることによ
り、フリー磁性層に対してより一層強いバイアス磁界を
与え易くなり、フリー磁性層を単磁区化し易くなるた
め、バルクハウゼンノイズの発生をより一層低減させる
ことができる。ここで、第1のフリー磁性層と第2のフ
リー磁性層の磁気的膜厚の差分がフリー磁性層の磁気的
な実効膜厚となる。従って、第1、第2のフリー磁性層
の膜厚を適宜調整してフリー磁性層の実効膜厚を薄くす
ることにより、フリー磁性層の磁化方向を僅かな大きさ
の外部磁界により変動させることができ、スピンバルブ
型薄膜磁気素子の感度を高くすることが可能となる。ま
た、フリー磁性層全体の厚さをある程度厚くできるの
で、抵抗変化率が極端に小さくなることがなく、スピン
バルブ型薄膜素子の感度を高くすることが可能となる。
上記バイアス層の上面は、上記第2のフリー磁性層の上
面から下面までの間と同じ階層位置で上記積層体の側面
と接合されていることが好ましい。
【0054】また、本発明のスピンバルブ型薄膜素子
は、前記バイアス層がフリー磁性層の上部へ延出してい
る部分の長さが、0.01〜0.1μmであることが好
ましい。この程度の延出部の長さがあれば、バイアス層
の磁化方向の影響をフリー磁性層に及ぼし、反磁界を有
効に作用させてトラック端部におけるフリー磁性層の磁
化方向の乱れを抑制することができる。また、延出部の
厚さは3nm程度あれば充分である。
【0055】また、本発明のスピンバルブ型薄膜素子
は、前記電極層が、前記バイアス層の前記第1のフリー
磁性層上部の延出部分にも延出しているものとすること
ができる。さらに、第1のフリー磁性層の上部でバイア
ス層が延出していない部分にまで前記電極層が延出して
いるものであっても良い。このようなスピンバルブ型薄
膜素子とすることで、電極層からのセンス電流が、バイ
アス層と積層体との接合部分に流れにくくなり、このバ
イアス層を介さずに、直接、積層体にセンス電流を流す
割合を多くできる。しかも、この場合、積層体と電極層
との接合面積を増大することにより、磁気抵抗効果に寄
与しない接合抵抗を下げることができ、再生特性を向上
することができる。
【0056】また、本発明のスピンバルブ型薄膜素子
は、前記電極層がCr、Au、Ta、Wから選択される
1種以上の金属からなることが好ましい。電極層とし
て、Crを用いた場合は、Taの中間層を設けることに
より、後工程のレジスト硬化などの熱プロセスに対して
拡散バリアーとして機能し、バイアス層の磁気特性の劣
化を防ぐことができる。また、電極層としてTaを用い
る場合は、Crの中間層を設けることにより、Crの上
に堆積するTaの結晶を、より低抵抗の体心立方構造と
しやすくする効果がある。
【0057】単層膜もしくはその多層膜で形成されたこ
とにより、抵抗値を低減する。特に、この電極層として
Crが選択されてTa上にエピタキシャル成長するこに
より形成されることにより、より一層電気抵抗値を低減
できる。さらに、前記電極層が、軟性のAuと、硬性の
TaまたはWとが交互に積層された多層膜からなる場合
は、後工程における研磨、研削工程あるいは切断工程等
において、この電極層のAuが延びてしまい、シールド
等とこの電極層との間で電気的に短絡する現象、いわゆ
るスメアを防止することができる。
【0058】また、本発明のスピンバルブ型薄膜素子
は、前記反強磁性層と前記バイアス層との間に、Taま
たはCrからなる下地層が設けられたものであっても良
い。さらに、本発明のスピンバルブ型薄膜素子は、前記
バイアス層と前記電極層との間に、TaまたはCrから
なる中間層が設けられたものであっても良い。これら下
地層と中間層が設けられたことにより、後工程のインダ
クティブヘッド(書込ヘッド)の製造プロセスでおこな
う絶縁レジストの硬化工程(UVキュアまたはハードベ
ーク)等で高温に曝される場合に、Cr等からなる電極
層とCoPt合金等からなるバイアス層との間で熱拡散
がおこり、バイアス層の膜特性が劣化することを防止す
ることができる。
【0059】電極層として、Crを用いた場合は、Ta
の中間層を設けることにより、後工程のレジスト硬化な
どの熱プロセスに対して拡散バリアーとして機能し、バ
イアス層の磁気特性の劣化を防ぐことができる。また、
電極層としてTaを用いる場合は、Crの中間層を設け
ることにより、Crの上に堆積するTaの結晶を、より
低抵抗の体心立方構造としやすくする効果がある。
【0060】また、本発明のスピンバルブ型薄膜素子
は、前記反強磁性層が、X−Mn合金又はPt−Mn−
X’合金(ただし前記組成式において、XはPt,P
d,Ir,Rh,Ru、Osの中から選択される1種を
示し、X’はPd、Cr、Ru、Ni、Ir、Rh、O
s、Au、Ag、Ne、Ar、Xe、Krの中から選択
される1種または2種以上を示す)のいずれかからなる
ことが好ましい。反強磁性層に、X−Mnの式で示され
る合金またはX’−Pt−Mnの式で示される合金を用
いたスピンバルブ型薄膜素子とすることで、上記反強磁
性層に従来から使用されているNiO合金、FeMn合
金、NiMn合金などを用いたものと比較して、交換結
合磁界が大きく、またブロッキング温度が高く、さらに
耐食性に優れているなどの優れた特性を有するスピンバ
ルブ型薄膜素子とすることができる。
【0061】次に、本発明のスピンバルブ型薄膜素子の
製造方法について説明する。本発明の第1のスピンバル
ブ型薄膜素子の製造方法は、上記のスピンバルブ型薄膜
素子を製造するに当たり、基板上に、反強磁性層と、こ
の反強磁性層と接して形成した固定磁性層と、前記固定
磁性層に非磁性導電層を介して形成した第2のフリー磁
性層と、前記第2のフリー磁性層に非磁性導電層を介し
て形成した第1のフリー磁性層を少なくとも有する積層
体を形成する工程と、前記積層体の上に前記積層体に対
向する下面に切り込み部の形成されたリフトオフ用レジ
ストを形成する工程と、前記リフトオフ用レジストに覆
われていない部分をイオンミリングにより除去し、台形
状の積層体を形成する工程と、前記積層体上の前記リフ
トオフ用レジストの切り込み部分及び前記積層体の両側
に、バイアス層用のスパッタターゲットと前記基板との
角度を傾斜させた状態で対向させて、スパッタ法により
前記バイアス層を形成する工程と、前記バイアス層上の
平面投影で前記リフトオフ用レジストで覆われない部分
に、電極層用のスパッタターゲットと前記基板とを傾斜
させて対向させ、スパッタ法により前記電極層を形成す
る工程とを有する方法とすることにより、高性能のスピ
ンバルブ型薄膜素子を容易に製造し得ることを可能にし
たものである。
【0062】本発明のスピンバルブ型薄膜素子の製造方
法においては、上記積層体を形成する工程において、前
記固定磁性層を第1の固定磁性層と、該第1の固定磁性
層の上に非磁性中間層を介して形成した第2の固定磁性
層とからなる、いわゆるシンセティックフェリピンド型
に形成したものであっても良い。あるいはまた、本発明
のスピンバルブ型薄膜素子の製造方法は、前記バイアス
層上に前記電極層を形成する工程において、バイアス層
を形成する際と同様に、前記積層体の上に前記積層体に
対向する下面に切り込み部の形成されたリフトオフ用レ
ジストを用い、電極層用のスパッタターゲットと前記基
板との角度を傾斜させた状態で対向させてスパッタし、
バイアス層の延出部の上に重ねて電極層を形成する方法
であっても良い。
【0063】このようなスピンバルブ型薄膜素子の製造
方法によれば、形成した積層体に、切り込み部の形成さ
れたリフトオフ用レジストを1回形成する1レジスト工
程により、レジストパターンを形成してイオンミリング
により積層体をエッチングし、イオンビームスパッタ
法、ロングスロースパッタ法、コリメーションスパッタ
法のいずれかまたはそれらを組み合わせたスパッタ法に
より、ターゲットと基板との角度を傾斜させないかまた
は傾斜させた状態で対向させることを選択し、かつこの
傾斜角度を設定して、バイアス層および電極層を所望の
形状にフリー磁性層上に延出して形成し、上記のスピン
バルブ型薄膜素子を得ることができる。
【0064】ここで、リフトオフ用レジストの切り込み
部の幅寸法、言い換えると、上記リフトオフレジストの
上記積層体両側方向における幅寸法に対して、上記切り
込み部における、上記積層体に接触していない上記積層
体両側方向における幅寸法、つまり、トラック幅方向の
寸法及び前記スパッタ時の傾斜角度を設定することによ
り、この切り込み部内に形成されるバイアス層あるいは
電極層の部分、つまり、バイアス層あるいは電極層が積
層体の両側からこの積層体の中央部分に向けて積層体表
面に延出して形成される延出(オーバーレイ)部の長さ
寸法を設定することができる。 これにより、フォ
トレジスト(リフトオフ用レジスト)を1回形成するの
みで、積層体、バイアス層、および、電極層を所望の形
状に形成することができ、かつ、ターゲットと基板との
角度を傾斜させないかまたは傾斜させた状態で対向させ
ることを選択したスパッタ法により、バイアス層および
電極層を所望の形状に形成し、工程数の少ない状態で、
上記のスピンバルブ型薄膜素子を容易に得ることができ
る。
【0065】また、本発明の第2のスピンバルブ型薄膜
素子の製造方法は、基板上に、反強磁性層と、この反強
磁性層と接して形成した固定磁性層と、前記固定磁性層
に非磁性導電層を介して形成した第2のフリー磁性層
と、前記第2のフリー磁性層に非磁性導電層を介して形
成した第1のフリー磁性層を少なくとも有する積層体を
形成する工程と、前記積層体の上に前記積層体に対向す
る下面に切り込み部の形成された第1のリフトオフ用レ
ジストを形成する工程と、前記第1のリフトオフ用レジ
ストに覆われていない部分をイオンミリングにより除去
し、台形状の積層体を形成する工程と、前記積層体上の
前記リフトオフ用レジストの切り込み部分及び前記積層
体の両側に、スパッタターゲットと基板との角度を傾斜
させた状態で対向させて、スパッタ法により前記バイア
ス層を形成する工程と、前記第1のリフトオフレジスト
を剥離する工程と、前記第1のリフトオフ用レジストの
前記バイアス層側方向の寸法よりも寸法が幅狭に設定さ
れた第2のリフトオフ用レジストを、前記積層体の上に
形成する工程と、前記積層体上の第2のリフトオフ用レ
ジストに覆われていない部分と、先に形成したバイアス
層の上に、電極層用のスパッタターゲットと前記基板を
傾斜させて対向させて、スパッタ法により前記電極層を
形成する工程を有する方法を採用することとした。この
方法を採用することにより、高性能のスピンバルブ型薄
膜素子を容易に得ることを可能にした。
【0066】このようなスピンバルブ型薄膜素子の製造
方法によれば、形成した積層体に、幅寸法の異なる、切
り込み部の形成された2種類のリフトオフ用レジストを
2回形成する2レジスト工程により、積層体およびバイ
アス層を形成する。形成方法は、ターゲットと基板との
角度を傾斜させた状態で対向させて、スパッタ法により
バイアス層及び電極層をフリー磁性層上のみならず、積
層体上にも延出して所望の形状に形成することができ
る。
【0067】ここで、第1のリフトオフ用レジストにお
いて、切り込み部のトラック幅方向寸法、言い換える
と、上記リフトオフレジストの上記積層体両側方向にお
ける幅寸法に対して、上記切り込み部における、上記積
層体に接触していない上記積層体両側方向における幅寸
法、つまり、積層体の上に延出するバイアス層の延出長
さ寸法を設定することができる。同様にして、第2のリ
フトオフ用レジストにおいて、この第2のリフトオフ用
レジストにおけるトラック幅方向寸法を設定することに
より、電極層の部分、つまり、電極層が積層体の両側か
らこの積層体の中央部分に向けて積層体表面に延出して
形成されるオーバーレイ部の延出長さ寸法を設定するこ
とができる。
【0068】本発明のスピンバルブ型薄膜素子の第2の
製造方法においても前記と同様に、上記積層体を形成す
る工程において、まず反強磁性層と接して第1の固定磁
性層を形成し、次いで前記第1の固定磁性層に非磁性中
間層を介して第2の固定磁性層と形成して、シンセティ
ックフェリピンド型積層構造の固定磁性層としても良
い。
【0069】また、本発明のスピンバルブ型薄膜素子の
製造方法においては、上記のいずれかのスピンバルブ型
薄膜素子の製造方法において、前記スパッタ法として、
イオンビームスパッタ法、ロングスロースパッタ法、コ
リメーションスパッタ法のいずれかまたはそれらを組み
合わせた方法を採用することが可能である。
【0070】さらにまた、上記課題は、上記のスピンバ
ルブ型薄膜素子が備えられてなることを特徴とする薄膜
磁気ヘッドによって解決できる。薄膜磁気ヘッドの構造
は従来通りの構造でよい。磁気抵抗効果素子として本発
明によるスピンバルブ型薄膜素子を備えていれば良い。
このような薄膜磁気へッドとすることで、フリー磁性層
の磁区制御を良好に行うことができ、アシンメトリーや
バルクハウゼンノイズの低減した、安定性に優れ高感度
の薄膜磁気へッドとすることができる。
【0071】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るスピンバルブ
型薄膜磁気素子の第1実施形態を、図面に基づいて説明
する。 (第1実施形態)図1は、本発明の第1の実施形態のス
ピンバルブ型薄膜素子を記録媒体との対向面側から見た
場合の構造を示した断面図である。本発明のスピンバル
ブ型薄膜素子は、巨大磁気抵抗効果を利用したGMR
(giant magnetoresitive )素子の一種である。このス
ピンバルブ型薄膜素子は、後述するように、ハードディ
スク装置に設けられた浮上式スライダーのトレーリング
側端部などに設けられて、ハードディスクなどの記録磁
界を検出するものである。なお、ハードディスクなどの
磁気記録媒体の移動方向は図においてZ方向であり、磁
気記録媒体からの漏れ磁界方向はY方向である。本発明
の第1の実施形態のスピンバルブ型薄膜素子は、基板1
0側から反強磁性層1、固定磁性層2、非磁性導電層
3、フリー磁性層4、保護層5が形成された、いわゆる
ボトム型(Bottom type )であり、さらに、フリー磁性
層4が、第1のフリー磁性層4Aと、前記第1のフリー
磁性層4Aに非磁性中間層4Bを介して形成され、前記
第1のフリー磁性層4Aの磁化方向と反平行に磁化方向
が揃えられた第2のフリー磁性層4Cとを有し、フリー
磁性層が合成フェリ磁性状態となっている、いわゆるシ
ンセティックフェリフリー型(synthetic-ferri-freety
pe )のシングルスピンバルブ型薄膜素子の一種であ
る。
【0072】図1において、符号1は、基板10上に設
けられた反強磁性層である。この反強磁性層1の上に
は、固定磁性層2が形成されている。この固定磁性層2
の上には、Cu(銅)等からなる非磁性導電層3が形成
され、さらに、前記非磁性導電層3の上には、フリー磁
性層4が形成されている。フリー磁性層4は、非磁性中
間層4Bを介して2つに分断された第1、第2のフリー
磁性層4A,4Cから形成されており、分断されたフリ
ー磁性層4A,4C同士で磁化の向きが180゜異なる
フェリ磁性状態になっている。前記第1のフリー磁性層
4Aの上には、Taなどで形成された保護層5が形成さ
れている。図1に示すように、これら反強磁性層1の一
部から保護層5までの各層により、略台形状の断面形状
を有する積層体6が構成されている。
【0073】また、符号7,7はバイアス層を、符号
8,8は電極層を示している。 これら、バイアス層
7,7の主要部分は積層体6の両側位置に張り出してい
る反強磁性層1上に、非磁性の中間層9を介して形成さ
れており、台形の積層体6の両側面に接合して設けられ
ている。また、バイアス層7,7の一部は、積層体6の
図1の上面の一部(保護層5のトラック幅方向端部)に
まで延出して形成されている。このバイアス層7,7上
には、TaまたはCrからなる中間層19を介して電極
層8,8が形成されている。このような順序で各層を積
層したボトムタイプ(Bottom type )とすることによ
り、比抵抗の高い反強磁性層1を介さずに積層体6に与
えるセンス電流の割合を向上させることができる。この
ため、サイドリーディングを防止することができ、磁気
記録密度の高密度化により一層対応することが可能とな
る。
【0074】さらに詳細に説明すると、本発明の第1の
実施形態のスピンバルブ型薄膜素子では、前記反強磁性
層1は、積層体6の中央部分において、8〜11nm
(80〜110オングストローム)程度の厚さに形成さ
れ、PtMn合金で形成することが好ましい。PtMn
合金は、従来から反強磁性層として使用されているNi
Mn合金やFeMn合金などに比べて耐食性に優れ、し
かもブロッキング温度が高く、交換結合磁界(交換異方
性磁界)も大きいからである。また、前記PtMn合金
に代えて、X−Mn(ただし、Xは、Pd、Ru、I
r、Rh、Osのうちから選択される1種の元素を示
す。)の式で示される合金、あるいは、X’−Pt−M
n(ただし、X’は、Pd、Ru、Ir、Rh、Os、
Au、Ag、Cr、Ni、Ar、Ne、Xe、Krのう
ちから選択される1種または2種以上の元素を示す。)
の式で示される合金で形成されていてもよい。
【0075】また、前記PtMn合金および前記X−M
nの式で示される合金において、PtあるいはXが37
〜63原子%の範囲であることが望ましい。より好まし
くは、47〜57原子%の範囲である。さらにまた、
X’−Pt−Mnの式で示される合金において、X’+
Ptが37〜63原子%の範囲であることが望ましい。
より好ましくは、47〜57原子%の範囲である。さら
に、前記X’−Pt−Mnの式で示される合金として
は、X’が0.2〜10原子%の範囲であることが望ま
しい。ただし、X’がPd、Ru、Ir、Rh、Osの
1種以上の場合は、X’は0.2〜40原子%の範囲で
あることが望ましい。前記反強磁性層1として、上記の
組成範囲の合金を使用し、これをアニール処理すること
で、大きな交換結合磁界を発生する反強磁性層1を得る
ことができる。とくに、PtMn合金であれば、800
(Oe)を越える交換結合磁界を有し、前記交換結合磁
界を失うブロッキング温度が380℃と極めて高い優れ
た反強磁性層1を得ることができる。
【0076】固定磁性層2は強磁性体の薄膜からなり、
例えばCo、NiFe合金、CoNiFe合金、CoF
e合金、CoNi合金等で形成し、4nm(40オング
ストローム)程度の厚さとすることが好ましい。この固
定磁性層2は、反強磁性層1に接して形成され、磁場中
アニール(熱処理)を施すことにより、前記固定磁性層
2と反強磁性層1との界面にて交換結合磁界(交換異方
性磁界)が発生し、例えば図1に示すように、前記固定
磁性層2の磁化方向は図示Y方向に固定される。非磁性
導電層3は、Cu(銅)等からなり、その膜厚は、2.
0〜2.5nm(20〜25オングストローム)に設定
される。
【0077】フリー磁性層4は、第1、第2のフリー磁
性層4A,4Cが非磁性中間層4Bを介して2つに分断
されており、分断された層4A,4C同士で磁化の向き
が180゜異なるフェリ磁性状態に形成されている。第
1のフリー磁性層4Aは、保護層5側に設けられ、第2
のフリー磁性層4Cは非磁性導電層3側に設けられてい
る。第1,第2のフリー磁性層4A,4Cは、例えばC
o、NiFe合金、CoNiFe合金、CoFe合金、
CoNi合金等で形成するのが好ましい。非磁性中間層
4Bは、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1
種あるいは2種以上の合金で形成することが好ましい。
ここで、第1のフリー磁性層4Aと第2のフリー磁性層
4Cの厚さは異なって形成されている。
【0078】フリー磁性層4においては、第2のフリー
磁性層4Cの磁化方向がバイアス層7,7の磁束によっ
て図示X1方向に固定され、第1のフリー磁性層4Aの
磁化方向が図示X1方向と反対方向に固定されている。
第1のフリー磁性層4Aは、交換結合磁界(RKKY相
互作用)によって第2のフリー磁性層4Cと磁気的に結
合されて、図示X1方向の反対方向に磁化された状態と
なっている。第1のフリー磁性層4Aおよび第2のフリ
ー磁性層4Cの磁化方向は、フェリ状態を保ちながら、
外部磁界の影響を受けて回転自在とされてる。即ち、第
2のフリー磁性層4Cの磁化方向がバイアス層7,7に
より図示X1 方向に揃えられると、第1のフリー磁性層
4Aの磁化方向が図示X1 方向の反対方向に揃えられ
る。
【0079】また、通常第1,第2のフリー磁性層の厚
さは2〜5nm(20〜50オングストローム)程度の
厚さが適当で、第2のフリー磁性層4Cの厚さt2 は、
第1のフリー磁性層4Aの厚さt1 よりも厚く形成され
ている。また、第1のフリー磁性層4A及び第2のフリ
ー磁性層4Cの飽和磁化をそれぞれM1、M2としたと
き、第1のフリー磁性層4A及び第2のフリー磁性層4
Cの磁気的膜厚はそれぞれM1・t1、M2・t2となる。
そしてフリー磁性層4は、第1のフリー磁性層4Aと第
2のフリー磁性層4Cとの磁気的膜厚の関係を、M2
2>M1・t1とするように構成されている。第1、第
2のフリー磁性層4A,4Cの磁気的膜厚の関係がM2
・t2>M1・t1とされていることから、第2のフリー
磁性層4Cの磁化が残存した状態となり、フリー磁性層
4全体の磁化方向が図示X1 方向に揃えられる。このと
きのフリー磁性層4の実効膜厚は、(M2・t2−M1
1)となる。
【0080】また、第1のフリー磁性層4Aと第2のフ
リー磁性層4Cは、それぞれの磁化方向が反平行方向と
なるように反強磁性的に結合され、かつ磁気的膜厚の関
係がM2・t2>M1・t1とされていることから、人工的
なフェリ磁性状態となっている。またこれにより、フリ
ー磁性層4の磁化方向と固定磁性層2の磁化方向とが交
差する関係となっている。本実施形態のスピンバルブ型
薄膜素子では、第2のフリー磁性層4Cの磁気的膜厚
を、第1のフリー磁性層4Aの磁気的膜厚よりも大きく
することにより、これら第1、第2のフリー磁性層の磁
気的膜厚の差分がフリー磁性層の磁気的な実効膜厚とな
る。従って、第1、第2のフリー磁性層4A,4Cの膜
厚を適宜調整してフリー磁性層4の実効膜厚を薄くする
ことにより、フリー磁性層4の磁化方向を僅かな大きさ
の外部磁界により変動させることができ、スピンバルブ
型薄膜磁気素子(スピンバルブ型薄膜素子)の感度を高
くすることが可能となる。また、フリー磁性層4全体の
厚さをある程度厚くできるので、抵抗変化率が極端に小
さくなることがなく、スピンバルブ型薄膜素子の感度を
高くすることが可能となる。フリー磁性層4の上には、
Taなどで形成された保護層5が形成される。図1に示
すように、上記反強磁性層1の一部から保護層5までの
各層により、略台形状の断面形状を有する積層体6が構
成されている。
【0081】台形状の積層体6の底辺近傍の反強磁性層
1の上には、非磁性の中間層9を介してバイアス層7が
形成されている。バイアス層7,7の主要部分は、第1
および第2のフリー磁性層4A,4Cの間と同じ階層位
置で積層体6の側面と接合されている。これにより第2
のフリー磁性層4AにX1方向に強い磁場を作用させる
ことができる、第2のフリー磁性層4Cの磁区をX1方
向に安定させることができる。これにより再生波形の安
定性を向上させることができる。
【0082】前記バイアス層7,7は、通常、20〜5
0nm(200〜500オングストローム)程度の厚さ
が好ましく、例えばCo−Pt合金やCo−Cr−Pt
合金あるいはCo−Cr−Ta(コバルト−クロム−タ
ンタル)合金などで形成されることが好ましい。また、
前記バイアス層7,7が、図示X1方向に磁化されてい
ることで、前記第2のフリー磁性層4Cの磁化が、図示
X1方向に揃えられている。これにより、前記フリー磁
性層4の変動磁化と前記固定磁性層2の固定磁化とが9
0度で交差する関係となっている。
【0083】また、バイアス層7,7の上面は積層体6
上の一部にオーバーラップして形成され、バイアス層の
延出部7a,7aを形成している。バイアス層のオーバ
ーラップ部7a,7aの長さEは0.01〜0.1μ
m、厚さは30オングストローム程度あれば十分であ
る。これによりバイアス層の延出部7a,7aからより
強い反磁界を第1のフリー磁性層4Aに与えることで、
図1に示すように第1のフリー磁性層4Aの端部に回り
込む磁界Hxが発生し、この回り込む磁界Hxは第1の
フリー磁性層4Aの磁化方向と同じ方向であるため、第
1のフリー磁性層4Aの磁化方向の乱れを抑制すること
ができる。それに伴って第2のフリー磁性層4Cの磁化
方向の乱れも少なくすることが可能となる。その結果、
トラック幅の両端の再生波形に異常が生じるのを防止で
き、再生波形の安定性を向上できる。
【0084】バイアス層7,7aの上には、非磁性金属
からなる中間層19を介して電極層8が形成されてい
る。中間層19は緩衝膜および配向膜の役割をするもの
であり、Cr又はTa等で形成されることが好ましく、
例えば、2〜5nm(20〜50オングストローム)程
度、好ましくは3.5nm(35オングストローム)程
度の厚が良い。非磁性の中間層9及び19により、後工
程のインダクティブヘッド(書込ヘッド)の製造プロセ
スでおこなう絶縁レジストの硬化工程(UVキュアまた
はハードベーク)等で高温に曝される場合に、拡散バリ
アーとして機能し、バイアス層7,7と周辺層の間で熱
拡散が起こり、バイアス層7,7の磁気特性が劣化する
ことを防止することができる。
【0085】電極層8,8は、前記バイアス層7,7の
積層体6の幅の延長線上まで形成されている。電極層
8,8は、Cr、Au、Ta、Wから選択される1種ま
たはそれ以上からなる単層膜もしくはその多層膜で形成
することが好ましい。これにより抵抗値を低減すること
ができる。ここでは、電極層8,8としてCrが選択さ
れて、Taからなる中間層19上にエピタキシャル成長
させて形成することにより、電気抵抗値をさらに低減さ
せることができる。
【0086】図1に示す構造のスピンバルブ型薄膜素子
においては、電極層8,8から積層体6にセンス電流が
与えられる。磁気記録媒体から図1に示す図示Y方向に
磁界が与えられると、フリー磁性層4の磁化方向は、図
示X1方向からY方向に変動する。このときの非磁性導
電層3とフリー磁性層4との界面及び固定磁性層2と非
磁性導電層3の界面で、いわゆるGMR効果によってス
ピンに依存した伝導電子の散乱が起こることにより、電
気抵抗が変化し、記録媒体からの洩れ磁界が検出され
る。
【0087】ところで、図1に示す構造のように形成さ
れた積層体6においては、実際にはこの積層体6の全幅
で磁気抵抗効果を発揮するのではなく、その中央領域の
みが再生感度に優れ、実質的に磁気抵抗効果を発揮する
感度領域である。この再生感度に優れた積層体の領域を
感度領域T1と呼び、感度領域の両側にある再生感度の
悪い領域を不感領域T0と呼ぶ。積層体に占める感度領
域及び不感領域はマイクロトラッププロファイル法によ
って測定される。
【0088】フリー磁性層4の磁化方向の乱れはマイク
ロマグネティックシュミレーションに依って調べること
ができる。本実施の態様によるスピンバルブ型薄膜磁気
素子についてマイクロマグネティックシュミレーション
により調べた結果を図2に示す。ここでのスピンバルブ
型薄膜素子のX1方向の幅の寸法は0.6μmである。
また、この積層体6の各層の膜厚は、下から反強磁性
層:PtMn 150/固定磁性層:Co 20/非磁
性導電層:Cu 27/第2のフリー磁性層:NiFe
40/非磁性中間層:Ru 8/第1のフリー磁性
層:NiFe 25/保護層:Ta 20(各数字はそ
れぞれの膜厚のÅ単位に対応する)とした。第1のフリ
ー磁性層の磁気的膜厚は、2.67(T・nm)、第2
のフリー磁性層の磁気的膜厚は、4.27(T・n
m)、第1と第2のフリー磁性層間の反平行結合磁界は
98.6kA/mとした。また、この積層体6の両側の
CoPtからなるバイアス層の厚みは、約30nm(3
00Å)、各バイアス層上に設けられたCrからなる電
極層の厚みは、100nm(1000Å)とした。バイ
アス層の磁気的膜厚は、28.3(T・nm)である。
また、バイアス層の積層体上面への延出部の長さEは
0.05μm、厚さは30Åとした。電極層は積層体上
面へは延出しておらず、積層体の両側のバイアス層上の
みに形成されているものとした。
【0089】図2に示した結果から、バイアス層が積層
体の上面の一部に延出した本実施形態のスピンバルブ型
薄膜素子においては、図18又は図22に示す従来のよ
うにバイアス層が積層体の上面に延出していないものに
比較して、第1のフリー磁性層のトラック幅両端におい
て磁化方向の乱れが小さくなっているのが認められる
(図2(a)のトラック幅両端各3個の矢印の方向参
照)。これに伴って、第2のフリー磁性層のトラック幅
両端においても磁化方向の乱れが小さくなっているのが
認められる(図2(b)のトラック幅両端各3個の矢印
の方向参照)。
【0090】以上説明したように、本発明のスピンバル
ブ型薄膜素子では、上記フリー磁性層の磁区制御を良好
に行うことができる安定性に優れたスピンバルブ型薄膜
素子とすることができる。また、上記バイアス層が、フ
リー磁性層に対して強いバイアス磁界を与え易くなり、
フリー磁性層を単磁区化し易く、バルクハウゼンノイズ
の発生を低減させることができる。
【0091】(第2の実施形態)前記電極層8,8は、
積層体6の上面において、延出しているバイアス層の延
出部7a,7aの上に延出して、電極層の延出部8a,
8aを形成していても良い。この例を図3に示す。図3
において、積層体6の上面におけるバイアス層延出部7
a,7a又は電極層の延出部8a,8aが形成されてい
ないトラック幅方向(図1ではX1方向)の寸法が、光
学的トラック幅寸法O−Twであり、これにより感度領
域の幅寸法で磁気的トラック幅寸法MーTwが規定され
る。本実施形態では、光学的トラック幅寸法O−Twと
磁気的トラック幅寸法MーTwとは、ほぼ同じ寸法に設
定されるか、あるいは、磁気的トラック幅寸法MーTw
が、光学的トラック幅寸法O−Twよりやや大きい寸法
に設定されている。
【0092】これにより、電極層8,8から積層体6へ
与えるセンス電流が、バイアス層7,7を介して積層体
6に流れにくくなり、このバイアス層7,7の主要部を
介さずに、薄いバイアス層の延出部7a,7aを通して
積層体6にセンス電流を流す割合を多くできる。しか
も、この場合、バイアス層7,7と電極層8,8との接
合面積を増大できることにより、磁気抵抗効果に寄与し
ない接合抵抗を下げることができ、素子の再生特性を向
上することができる。
【0093】(第3の実施形態)さらにまた、本発明の
スピンバルブ型薄膜素子は、図4に示すように、前記固
定磁性層を前記反強磁性層との交換異方性磁界により磁
化方向が固定される第1の固定磁性層と、前記第1の固
定磁性層に非磁性中間層を介して形成され、前記第1の
固定磁性層の磁化方向と反平行に磁化方向が揃えられた
第2の固定磁性層とからなる、いわゆるシンセティック
フェリピンド型構造とすることができる。
【0094】この構造は固定磁性層の固定磁化による反
磁界(双極子)磁界を、第1の固定磁性層の静磁結合磁
界と第2の固定磁性層の静磁結合磁界とにより、相互に
打ち消してキャンセルすることができる。これにより、
フリー磁性層の変動磁化の方向に影響を与える固定磁性
層の固定磁化による反磁界(双極子)磁界からの、フリ
ー磁性層の変動磁化への寄与を減少することができる。
また、このように、固定磁性層が非磁性中間層を介して
2つに分断されたスピンバルブ型薄膜素子とした場合、
2つに分断された固定磁性層のうち一方が他方の固定磁
性層を適正な方向に固定する役割を担い、固定磁性層の
状態を非常に安定した状態に保つことが可能となる。
【0095】次に、図5〜図9を参照して、図1、図3
もしくは図4に示すスピンバルブ型薄膜素子の第1の製
造方法の一例を詳しく説明する。図1と図3との違いは
電極層8の延出部8a,8aの有無である。また、図3
と図4との違いは固定磁性層2の構造である。まず、図
5に示すように、基板10上に下地層(図示省略)を介
して反強磁性層1、固定磁性層2、非磁性導電層3、第
1のフリー磁性層4A、非磁性中間層4B、第2のフリ
ー磁性層4C、保護層5を順次成膜して積層体6aを形
成した後、上記積層体6a上にリフトオフ用レジスト3
70を形成する。リフトオフ用レジスト370の幅R1
は、形成すべきスピンバルブ型薄膜素子の積層体6の部
分と同じ幅に設定しておく。リフトオフ用レジスト37
0はその下部の前記積層体に対向する面に切り込み部分
370a,370aが設けられ、上部の幅R1よりやや
狭く、R2となっている。次いで、図6に示すように上
記リフトオフ用レジスト370に覆われていない部分
を、イオンミリングにより反強磁性層1の中程迄除去し
て、図1に示すように側面となる傾斜面を形成して等脚
台形状の積層体6を形成する。
【0096】ついで、図7に示すように上記積層体6の
両側及び上記積層体6の上記リフトオフ用レジスト37
0に覆われていない部分に、バイアス層7、7を形成す
る。この際、例えばバイアス層用のスパッタターゲット
373と基板との角度を傾斜させた状態で対向させて、
イオンビームスパッタ法、ロングスロースパッタ法、コ
リメーションスパッタ法のいずれかまたはそれらを組み
合わせたスパッタ法などによって成膜すれば、上記積層
体6の上記リフトオフ用レジスト370に覆われていな
い部分に、バイアス層を延出させて形成し、バイアス層
の延出部7a,7aを形成することができる。また、従
来のスパッタ法などの角度分布の広いスパッタ法などに
よっても好ましく形成される。
【0097】ついで、図8に示すように上記積層体6の
両側のバイアス層7、7の上に電極層8,8を形成す
る。上記電極層8,8は、図8に示すように、電極用の
スパッタターゲット374と基板とを平行に配置してス
パッタ成膜を行い、スパッタされた粒子のうちリフトオ
フ用レジスト370によって遮られないスパッタ粒子に
よって形成する。このとき、スパッタされたスパッタ粒
子の角度分布が狭く、直進性がよいとリフトオフ用レジ
スト370の端部の真下よりも内側に入り込むスパッタ
粒子が少なくなる。この電極層8,8の形成も、例えば
イオンビームスパッタ法、ロングスロースパッタ法、コ
リメーションスパッタ法のいずれかまたはそれらを組み
合わせたスパッタ法などによって行うのが好ましい。こ
の実施態様においては、上記電極層8,8は上記積層体
6の両側のバイアス層7、7の上にのみ形成した例を示
している。続いて、上記リフトオフ用レジスト370を
除去することにより、図1に示すスピンバルブ型薄膜素
子が得られる。
【0098】また、第2の実施形態として図3に示すよ
うに、上記電極層8, 8は上記積層体6の上面のバイア
ス層の延出部7a, 7aの上に形成したものであっても
同様にして製造可能である。バイアス層の延出部7a,
7aの上に上記電極層8, 8を形成するには、前記バイ
アス層7, 7の形成の場合と同様に、例えば図9に示す
ように、電極用のスパッタターゲット374と基板との
角度を傾斜させた状態で対向させて、イオンビームスパ
ッタ法、ロングスロースパッタ法、コリメーションスパ
ッタ法のいずれかまたはそれらを組み合わせたスパッタ
法などによって成膜すれば、バイアス層の延出部7a,
7aの上に上記電極層を延出させて、電極層の延出部8
a, 8aを形成することができる。
【0099】さらにまた、本発明の第3の実施形態であ
る、図4に示すシンセティックフェリピンド型構造のス
ピンバルブ型薄膜素子を製造するには、前記第1の実施
の形態において、積層体6を形成する際に、前記固定磁
性層を第1の固定磁性層と、前記第1の固定磁性層上の
非磁性中間層と、前記非磁性中間層上の第2の固定磁性
層とからなる、3層構造に形成すれば良い。他の工程は
前記第1の製造方法で述べたとおりでよい。
【0100】次に、本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁
気素子の第4の実施形態を、図面に基づいて説明する。 (第4の実施形態)図10は、本発明の第4の実施形態
のスピンバルブ型薄膜素子を記録媒体との対向面側から
見た場合の構造を示した断面図である。第4の実施形態
のスピンバルブ型薄膜素子が第1実施形態のスピンバル
ブ型薄膜素子と異なる点は、固定磁性層2が非磁性中間
層を介して2分された、いわゆるシンセティックフェリ
ピンド型( synthetic-ferri-pinned spin-valves )と
なっている点、及び電極層8,8が積層体6の上面の一
部にまで延出し、電極層の延出部8a’,8a’を形成
している点である。本発明の第4の実施形態のスピンバ
ルブ型薄膜素子は、基板10側から反強磁性層1、第1
の固定磁性層2A、非磁性中間層2B、第2の固定磁性
層2C、非磁性導電層3、フリー磁性層4、保護層5が
形成された、いわゆるボトム型(Bottom type )であ
る。さらに、フリー磁性層4が、第1のフリー磁性層4
Aと、前記第1のフリー磁性層4Aに非磁性中間層4B
を介して形成され、前記第1のフリー磁性層4Aの磁化
方向と反平行に磁化方向が揃えられた第2のフリー磁性
層4Cとを有する、フリー磁性層が合成フェリ磁性状態
となっている、いわゆるシンセティックフェリフリー型
(synthetic-ferri-free type )のシングルスピンバル
ブ型薄膜素子の一種である。
【0101】図10において、符号1は、基板10上に
設けられた反強磁性層である。この反強磁性層1の上に
は、固定磁性層2が形成されている。この固定磁性層2
は、第1の固定磁性層2Aと、第1の固定磁性層2Aの
上に非磁性中間層2Bを介して形成され、第1の固定磁
性層2Aの磁化方向と反平行に磁化方向が揃えられた第
2の固定磁性層2Cとからなっている。この固定磁性層
2の上には、Cu(銅)等からなる非磁性導電層3が形
成され、さらに、前記非磁性導電層3の上には、フリー
磁性層4が形成されている。フリー磁性層4は、非磁性
中間層4Bを介して2つに分断された第1、第2のフリ
ー磁性層4A,4Cから形成されており、分断されたフ
リー磁性層4A,4C同士で磁化の向きが180゜異な
るフェリ磁性状態になっている。前記第1のフリー磁性
層4Aの上には、Taなどで形成された保護層5が形成
されている。図10に示すように、これら反強磁性層1
の一部から保護層5までの各層により、略台形状の断面
形状を有する積層体6が構成されている。
【0102】また、符号7,7はバイアス層を、符号
8,8、電極層を示している。 これら、バイアス層
7,7の主要部分はは積層体6の両側位置に張り出して
いる反強磁性層1上に、中間層9を介して形成されてお
り、台形の積層体6の両側面に接合して設けられてい
る。このバイアス層7,7上には、TaまたはCrから
なる中間層19を介して電極層8,8が形成されてい
る。このような順序で各層を積層したボトムタイプ(Bo
ttom type )とすることにより、比抵抗の高い反強磁性
層1を介さずに積層体6に与えるセンス電流の割合を向
上させることができる。このため、サイドリーディング
を防止することができ、磁気記録密度の高密度化により
一層対応することが可能となる。
【0103】さらに詳細に説明すると、本発明の第4の
実施形態のスピンバルブ型薄膜素子では、第1の実施形
態と同様に、前記反強磁性層1は積層体6の中央部分に
おいて、8〜11nm(80〜110オングストロー
ム)程度の厚さに形成され、PtMn合金で形成するこ
とが好ましい。PtMn合金は、従来から反強磁性層と
して使用されているNiMn合金やFeMn合金などに
比べて耐食性に優れ、しかもブロッキング温度が高く、
交換結合磁界(交換異方性磁界)も大きいからである。
また、前記PtMn合金に代えて、X−Mn(ただし、
Xは、Pd、Ru、Ir、Rh、Osのうちから選択さ
れる1種の元素を示す。)の式で示される合金、あるい
は、X’−Pt−Mn(ただし、X’は、Pd、Ru、
Ir、Rh、Os、Au、Ag、Cr、Ni、Ar、N
e、Xe、Krのうちから選択される1種または2種以
上の元素を示す。)の式で示される合金で形成されてい
てもよい。
【0104】また、前記PtMn合金および前記X−M
nの式で示される合金において、PtあるいはXが37
〜63原子%の範囲であることが望ましい。より好まし
くは、47〜57原子%の範囲である。さらにまた、
X’−Pt−Mnの式で示される合金において、X’+
Ptが37〜63原子%の範囲であることが望ましい。
より好ましくは、47〜57原子%の範囲である。さら
に、前記X’−Pt−Mnの式で示される合金として
は、X’が0.2〜10原子%の範囲であることが望ま
しい。ただし、X’がPd、Ru、Ir、Rh、Osの
1種以上の場合は、X’は0.2〜40原子%の範囲で
あることが望ましい。前記反強磁性層1として、上記の
組成範囲の合金を使用し、これをアニール処理すること
で、大きな交換結合磁界を発生する反強磁性層1を得る
ことができる。とくに、PtMn合金であれば、800
(Oe)を越える交換結合磁界を有し、前記交換結合磁
界を失うブロッキング温度が380℃と極めて高い優れ
た反強磁性層1を得ることができる。
【0105】第1および第2の固定磁性層2A,2Cは
強磁性体の薄膜からなり、例えば、Co、NiFe合
金、CoNiFe合金、CoFe合金、CoNi合金等
で形成され、10〜30Å程度の厚さにするのがが好ま
しく、第1の固定磁性層2Aは、例えばCoからなりそ
の膜厚が1.3〜1.5nm(13〜15Å)に設定さ
れ、第2の固定磁性層2Cは、例えばCoからなりその
膜厚が2〜2.5nm(20〜25Å)に設定される。
また、非磁性中間層2Bは、Ru、Rh、Ir、Cr、
Re、Cuのうち1種あるいは2種以上の合金で形成さ
れていることが好ましく、通常、0.8nm(8Å)程
度の厚さに形成する。
【0106】この第1の固定磁性層2Aは、反強磁性層
1に接して形成され、磁場中アニール(熱処理)を施す
ことにより、第1の固定磁性層2Aと反強磁性層1との
界面にて交換結合磁界(交換異方性磁界)が発生し、例
えば図10に示すように、第1の固定磁性層2Aの磁化
方向が、図示Y方向と逆方向に固定される。また、第1
の固定磁性層2Aの磁化方向が、図示Y方向の逆方向に
固定されると、非磁性中間層2Bを介して対向する第2
の固定磁性層2Cの磁化方向は、第1の固定磁性層2A
の磁化と反平行の状態、つまり、図示Y方向に固定され
る。
【0107】交換結合磁界が大きいほど、第1の固定磁
性層2Aの磁化方向と第2の固定磁性層2Cの磁化方向
を安定して反平行状態に保つことが可能となり、特に、
反強磁性層1としてブロッキング温度が高く、しかも第
1の固定磁性層2Aとの界面で大きい交換結合磁界(交
換異方性磁界)を発生させるPtMn合金を使用するこ
とで、第1の固定磁性層2Aおよび第2の固定磁性層2
Cの磁化状態を熱的にも安定して保つことができる。
【0108】本実施形態では、第1の固定磁性層2Aと
第2の固定磁性層2Cとの膜厚比を適正な範囲内に収め
ることによって、交換結合磁界(Hex)を大きくで
き、第1の固定磁性層2Aと第2の固定磁性層2Cとの
磁化方向を、熱的にも安定した反平行状態(フェリ状
態)に保つことができ、しかも、△R/R(抵抗変化
率)を従来と同程度に確保することが可能である。さら
に熱処理中の磁場の大きさおよびその方向を適正に制御
することによって、第1の固定磁性層2Aおよび第2の
固定磁性層2Cの磁化方向を、所望の方向に制御するこ
とが可能になる。
【0109】フリー磁性層4は第1の実施態様と同様
に、第1、第2のフリー磁性層4A,4Cが非磁性中間
層4Bを介して2つに分断されており、分断された層4
A,4C同士で磁化の向きが180゜異なるフェリ磁性
状態に形成されている。第1のフリー磁性層4Aは、保
護層5側に設けられ、第2のフリー磁性層4Cは非磁性
導電層3側に設けられている。第1,第2のフリー磁性
層4A,4Cは、例えばCo、NiFe合金、CoNi
Fe合金、CoFe合金、CoNi合金等で形成するの
が好ましい。非磁性中間層4Bは、Ru、Rh、Ir、
Cr、Re、Cuのうち1種あるいは2種以上の合金で
形成することが好ましい。
【0110】フリー磁性層4においては、第2のフリー
磁性層4Cの磁化方向がバイアス層7,7の磁束によっ
て図示X1方向に固定され、第1のフリー磁性層4Aの
磁化方向が図示X1方向と反対方向に固定されている。
第1のフリー磁性層4Aは、交換結合磁界(RKKY相
互作用)によって第2のフリー磁性層4Cと磁気的に結
合されて、図示X1方向の反対方向に磁化された状態と
なっている。第1のフリー磁性層4Aおよび第2のフリ
ー磁性層4Bの磁化方向は、フェリ状態を保ちながら、
外部磁界の影響を受けて回転自在とされてる。即ち、第
2のフリー磁性層4Cの磁化方向がバイアス層7,7に
より図示X1 方向に揃えられると、第1のフリー磁性層
4Aの磁化方向が図示X1 方向の反対方向に揃えられ
る。
【0111】また、通常第1,第2のフリー磁性層の厚
さは2〜5nm(20〜50オングストローム)程度の
厚さが適当で、第2のフリー磁性層4Cの厚さt2 は、
第1のフリー磁性層4Aの厚さt1よりも厚く形成され
ている。また、第1のフリー磁性層4A及び第2のフリ
ー磁性層4Cの飽和磁化をそれぞれM1、M2としたと
き、第1のフリー磁性層4A及び第2のフリー磁性層4
Cの磁気的膜厚はそれぞれM1・t1、M2・t2となる。
そしてフリー磁性層4は、第1のフリー磁性層4Aと第
2のフリー磁性層4Cとの磁気的膜厚の関係を、M2
2>M1・t1とするように構成されている。第1、第
2のフリー磁性層4A,4Cの磁気的膜厚の関係がM2
・t2>M1・t1とされていることから、第2のフリー
磁性層4Cの磁化が残存した状態となり、フリー磁性層
4全体の磁化方向が図示X1 方向に揃えられる。このと
きのフリー磁性層4の実効膜厚は、(M2・t2−M1
1)となる。
【0112】また、第1のフリー磁性層4Aと第2のフ
リー磁性層4Cは、それぞれの磁化方向が反平行方向と
なるように反強磁性的に結合され、かつ磁気的膜厚の関
係がM2・t2>M1・t1とされていることから、人工的
なフェリ磁性状態となっている。またこれにより、フリ
ー磁性層4の磁化方向と固定磁性層2の磁化方向とが交
差する関係となっている。本実施形態のスピンバルブ型
薄膜素子では、第2のフリー磁性層4Cの磁気的膜厚
を、第1のフリー磁性層4Aの磁気的膜厚よりも大きく
することにより、これら第1、第2のフリー磁性層の磁
気的膜厚の差分がフリー磁性層の磁気的な実効膜厚とな
る。従って、第1、第2のフリー磁性層4A,4Cの膜
厚を適宜調整してフリー磁性層4の実効膜厚を薄くする
ことにより、フリー磁性層4の磁化方向を僅かな大きさ
の外部磁界により変動させることができ、スピンバルブ
型薄膜磁気素子(スピンバルブ型薄膜素子)の感度を高
くすることが可能となる。また、フリー磁性層4全体の
厚さをある程度厚くできるので、抵抗変化率が極端に小
さくなることがなく、スピンバルブ型薄膜素子の感度を
高くすることが可能となる。
【0113】フリー磁性層4の上には、Taなどで形成
された保護層5が形成される。保護層5は拡散防止膜お
よび酸化防止膜の役割をするものであり、Cr、Ta等
で形成されることが好ましく、例えば、2〜5nm(2
0〜50オングストローム)程度、好ましくは3.5n
m(35オングストローム)程度の厚が良い。保護層5
により、後工程のインダクティブヘッド(書込ヘッド)
の製造プロセスでおこなう絶縁レジストの硬化工程(U
Vキュアまたはハードベーク)等で高温に曝される場合
に、拡散バリアーとして機能し、ギャップ絶縁膜と周辺
層の間で熱拡散が起こり、スピンバルブ積層体の磁気特
性が劣化することを防止することができる。図10に示
すように、上記反強磁性層1の一部から保護層5までの
各層により、略台形状の断面形状を有する積層体6が構
成されている。
【0114】バイアス層7,7の主要部分は、第1およ
び第2のフリー磁性層4A,4Cの間と同じ階層位置で
積層体6の側面と接合されている。これにより第2のフ
リー磁性層4AにX1方向に強い磁場を作用させること
ができ、第2のフリー磁性層4Cの磁区をX1方向に安
定化させることができる。これにより再生波形の安定性
を向上させることができる。
【0115】前記バイアス層7,7は、通常、20〜5
0nm(200〜500オングストローム)程度の厚さ
が好ましく、例えばCo−Pt合金やCo−Cr−Pt
合金あるいはCo−Cr−Ta(コバルト−クロム−タ
ンタル)合金などで形成されることが好ましい。また、
前記バイアス層7,7が、図示X1方向に磁化されてい
ることで、前記第2のフリー磁性層4Cの磁化が、図示
X1方向に揃えられている。これにより、前記フリー磁
性層4の変動磁化と前記固定磁性層2の固定磁化とが9
0度で交差する関係となっている。
【0116】また、バイアス層7,7の上面は積層体6
上の一部に延出して形成され、バイアス層の延出部7
a,7aを形成している。バイアス層の延出部7a,7
aの長さは0.01〜0.1μm、厚さは30オングス
トローム程度あれば十分である。これによりバイアス層
の延出部7a,7aでより強い反磁界を第1のフリー磁
性層4Aに与えることで、第1のフリー磁性層4Aの磁
化方向の乱れを抑制することができ、それに伴って第2
のフリー磁性層4Cの磁化方向の乱れも少なくすること
が可能となる。その結果、トラック幅の両端の再生波形
に異常が生じるのを防止でき、再生波形の安定性を向上
させることができる。
【0117】電極層8,8は、Cr、Au、Ta、Wか
ら選択される1種またはそれ以上からなる単層膜もしく
はその多層膜で形成することが好ましい。これにより抵
抗値を低減することができる。ここでは、電極層8,8
としてCrが選択されて、Taからなる中間層19上に
エピタキシャル成長させて形成することにより、電気抵
抗値をさらに低減させることができる。
【0118】電極層8,8は、積層体6の上面におい
て、延出しているバイアス層の延出部7a,7aの上に
延出し、さらに積層体6の表面の一部にまで延出して、
電極層の延出部8a’,8a’を形成したものであって
も良い。電極層の延出部8a’,8a’の長さFは、
0.02〜0.2μm、厚さは30オングストローム程
度あれば良い。ここで、積層体6の上面において、バイ
アス層延出部7a,7a及び電極層の延出部8a,8a
が形成されていないトラック幅方向(図1ではX1方
向)の寸法が、光学的トラック幅寸法O−Twであり、
これにより感度領域の幅寸法で磁気的トラック幅寸法M
ーTwが規定される。本実施形態では、光学的トラック
幅寸法O−Twと磁気的トラック幅寸法MーTwとは、
ほぼ同じ寸法に設定されるか、あるいは、磁気的トラッ
ク幅寸法MーTwが、光学的トラック幅寸法O−Twよ
りやや大きい寸法に設定されている。
【0119】これにより、電極層8,8から積層体6へ
与えるセンス電流が、このバイアス層7,7を介さず
に、直接積層体6にセンス電流を流す割合を多くでき
る。しかも、この場合、積層体6と電極層8,8との接
合面積を増大できることにより、磁気抵抗効果に寄与し
ない接合抵抗を下げることができ、素子の再生特性を向
上することができる。
【0120】図10に示す構造のスピンバルブ型薄膜素
子においては、電極層8,8から積層体6にセンス電流
が与えられる。磁気記録媒体から図10に示す図示Y方
向に磁界が与えられると、フリー磁性層4の磁化方向
は、図示X1方向からY方向に変動する。このときの非
磁性導電層3とフリー磁性層4との界面及び固定磁性層
2と非磁性導電層3の界面で、いわゆるGMR効果によ
ってスピンに依存した伝導電子の散乱が起こることによ
り、電気抵抗が変化し、記録媒体からの洩れ磁界が検出
される。
【0121】以上説明したように、本発明のスピンバル
ブ型薄膜素子では、上記フリー磁性層の磁区制御を良好
に行うことができる安定性に優れたスピンバルブ型薄膜
素子とすることができる。また、上記バイアス層が、フ
リー磁性層に対して強いバイアス磁界を与え易くなり、
フリー磁性層を単磁区化し易く、バルクハウゼンノイズ
の発生を低減させることができる。
【0122】次に、図10に示す第4の実施の形態のス
ピンバルブ型薄膜素子の製造方法について説明する。図
10に示すスピンバルブ型薄膜素は、前述の第1の製造
方法に依っても得られるが、ここでは図11〜図15を
参照して、第2の製造方法について詳しく説明する。こ
のスピンバルブ型薄膜素子の製造方法は、概略説明する
と、先に述べた第1の製造方法と同様にして積層膜6a
を形成する工程と、切り込み部372aの形成された第
1のリフトオフ用レジスト372を形成する工程と、第
1のリフトオフ用レジスト372に覆われていない部分
を、反強磁性層1の一部を残してイオンミリング等によ
り除去してほぼ台形状の積層体6を形成する工程と、積
層体6の両側及び積層体6の上部の一部に、スパッタ法
によりバイアス層7,7をフリー磁性層4と同じ階層位
置に配置されるように形成する工程と、第1のリフトオ
フ用レジスト372を剥離する工程と、第1のリフトオ
フ用レジスト372の積層体6の両側面方向の寸法R1
よりも幅狭な寸法R3に設定され、かつ積層体6に対向
する下面に、切り込み部382aの形成された第2のリ
フトオフ用レジスト382を積層体6の上に形成する工
程と、第2のリフトオフ用レジスト382に覆われてい
ない部分にスパッタ法により電極層8、8を形成する工
程とを有する。
【0123】さらに詳細に説明すると、まず、図11に
示すように、基板上10の上に下地層(図示省略)を介
して反強磁性層1、第1の固定磁性層2A、非磁性中間
層2B、第2の固定磁性層2C、非磁性導電層3、第2
のフリー磁性層4C、非磁性中間層4B、第1のフリー
磁性層4A、保護層5を順次成膜して積層体6aを形成
した後、上記積層体6a上にリフトオフ用レジスト37
2を形成する。リフトオフ用レジスト372の幅R1
は、形成すべきスピンバルブ型薄膜素子の積層体6の部
分と同じ幅に設定しておく。リフトオフ用レジスト37
2はその下部の前記積層体に対向する面に切り込み部分
372a,372aが設けられ、その幅は上部の幅R1
よりやや狭くR2の幅となっている。この切り込み部分
372a,372aは、図10のバイアス層の延出部7
a,7aの長さ方向の寸法Eを決定する。延出部7a,
7aの長さ方向の寸法Eは0.01〜0.1μmに設定
する。
【0124】次に、図12に示す工程では、上記リフト
オフ用レジスト372に覆われていない部分を、リフト
オフ用レジスト372に対して垂直な方向からアルゴン
によるイオンミリングにより反強磁性層1の中程迄除去
して、図10に示すように積層体6の側面となる傾斜面
を形成してほぼ等脚台形状の積層体6を形成する。次い
で、図13に示すように上記積層体6の両側及び上記積
層体6の上記リフトオフ用レジスト372に覆われてい
ない部分に、バイアス層7、7を形成する。この際、例
えばバイアス層用のスパッタターゲット373と基板と
の角度を傾斜させた状態で対向させて、イオンビームス
パッタ法、ロングスロースパッタ法、コリメーションス
パッタ法のいずれかまたはそれらを組み合わせたスパッ
タ法などによって成膜すれば、上記積層体6の上記リフ
トオフ用レジスト372に覆われていない部分に、バイ
アス層を延出させて形成し、バイアス層の延出部7a,
7aを形成することができる。また、従来のスパッタ法
などの角度分布の広いスパッタ法などによっても好まし
く形成される。
【0125】次に、第1のリフトオフ用レジスト372
を、レジスト剥離液を用いながらリフトオフによって除
去し、図14に示す工程では、積層体6の上に第2のリ
フトオフ用レジスト382を形成する。この第2のリフ
トオフ用レジスト382は、図14に示すようにトラッ
ク幅方向(図中X1方向)の寸法R3を積層体6の台形
上面の幅とする。このリフトオフ用レジスト382に
は、その下面に切り込み部382a,382aが形成さ
れている。従って、リフトオフ用レジスト382の下部
の寸法R4はR3よりも小さく、しかも前記第1のリフ
トオフ用レジスト372の下面の幅R2よりも小さくな
っている。リフトオフ用レジスト382の下部は、幅R
4で積層体6の表面に接して形成してある。ここで、第
2のリフトオフ用レジスト382は、図14に示すよう
に積層体6のトラック幅方向の中央に位置するように設
けられる。これにより、後の工程により形成される左右
の電極層の延出部8a,8aの延出長さFが決定され
る。また、寸法R4によりスピンバルブ型薄膜素子の磁
気的トラック幅の寸法が設定されることになる。
【0126】次に、図15に示すように第2のリフトオ
フ用レジスト382を備えた基板10と電極層用スパッ
タターゲット374と基板との角度を傾斜させた状態で
対向させ、イオンビームスパッタ法、ロングスロースパ
ッタ法、コリメーションスパッタ法のいずれかまたはそ
れらを組み合わせたスパッタ法などによって、バイアス
層7,7,7a,7aの上、及び積層体6上の第2のリ
フトオフ用レジスト382に覆われていない領域に、電
極層8,8,及び電極層の延出部8a’,8a’を形成
する。
【0127】続いて、上記リフトオフ用レジスト382
をレジスト剥離材を用いて除去することにより、図10
に示すスピンバルブ型薄膜素子が得られる。この電極層
8,8の形成も、例えばイオンビームスパッタ法、ロン
グスロースパッタ法、コリメーションスパッタ法のいず
れかまたはそれらを組み合わせたスパッタ法などによっ
て行うのが好ましい。
【0128】この第2のスピンバルブ型薄膜素子の製造
方法によれば、形成した積層膜6aに、幅寸法が異な
り、かつ切り込み部の形成された2種類のリフトオフ用
レジスト372,382を2回形成する2レジスト工程
と、積層体6およびバイアス層7を形成し、かつ、イオ
ンビームスパッタ法、ロングスロースパッタ法、コリメ
ーションスパッタ法のいずれかまたはそれらを組み合わ
せたスパッタ法により、バイアス層用のスパッタターゲ
ット373及び電極層用スパッタターゲット374と、
基板10との角度を傾斜させた状態で対向させる方法
で、電極層8を積層体6上の所望の位置に形成し、上記
のスピンバルブ型薄膜素子を容易に得ることができる。
この製造方法によれば、前述したリフトオフ用レジスト
370を1回形成する第1の製造方法に比べて、電極層
8のオーバーレイ部8a長さを大きく設定することがで
きるとともに、切れ込み部382aのトラック幅方向寸
法と関係なく電極層の8a,8aを形成することが可能
なため、この延出部8a,8aの厚み寸法、特にセンス
電流が積層体6に流入する先端部分の厚み寸法を大きく
設定することが可能となり、サイドリーディングの発生
をより一層防止することが可能となる。
【0129】最後に、本発明の薄膜磁気ヘッドについて
説明する。薄膜磁気ヘッドの構造は従来通りの構造でよ
い。図23に示す磁気コア部250に、図24、図25
に示すような取付方法で磁気抵抗効果素子層245を形
成する。磁気抵抗効果素子として本発明によるスピンバ
ルブ型薄膜素子を形成すれば良い。このような薄膜磁気
へッドとすることで、フリー磁性層の磁区制御を良好に
行うことができ、アシンメトリーやバルクハウゼンノイ
ズの低減した、安定性に優れ高感度の薄膜磁気へッドと
することができる。
【0130】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のスピンバ
ルブ型薄膜素子は、基板上に形成された反強磁性層と、
この反強磁性層と接して形成された固定磁性層と、前記
固定磁性層に非磁性導電層を介して形成されたフリー磁
性層と、前記フリー磁性層の表面に接して形成された非
磁性保護層とからなる積層体を有し、この積層体の両側
に形成された1対のバイアス層と、前記バイアス層上に
形成された1対の電極層から構成されており、前記フリ
ー磁性層は非磁性中間層によって分断されていて、前記
非磁性保護層側に配置された第1のフリー磁性層と前記
非磁性導電層側に配置された第2のフリー磁性層とから
なり、さらに前記バイアス層が非磁性層を介して前記フ
リー磁性層の上方の一部にまで延出して形成した構造と
した。このような積層順序のボトム型の積層体とするこ
とで、バイアス層の磁化方向の影響を直接フリー磁性層
に及ぼすことができ、トラック端部におけるフリー磁性
層の磁化方向の乱れを低減することができる。このた
め、サイドリーディングを防止することができ、磁気記
録密度の高密度化により一層対応することが可能とな
る。
【0131】また、フリー磁性層が非磁性中間層を介し
て2つに分断された構造としたので、2つに分断された
フリー磁性層同士の間に交換結合磁界が発生し、フェリ
磁性状態となり、磁気的な膜厚が減少するので外部磁界
に対して感度よく反転できるものとなる。このようなフ
リー磁性層の構造を採用することにより、第1のフリー
磁性層に付与したい磁化方向と逆向きに作用させる強い
磁場が積層体の側面上端付近でのバイアス層の先端部か
らかかるのを回避でき、第1のフリー磁性層の両端部の
磁化の方向が乱れるのを改善でき、第1のフリー磁性層
の両端部の磁化の方向が乱れることに起因して、磁化の
向きが第1のフリー磁性層の磁化の向きと逆向きに揃え
られる、第2のフリー磁性層の両端部の磁化の方向が乱
れることを防止でき、第1、第2のフリー磁性層の反強
磁的な結合を安定して維持させてフリー磁性層のフェリ
磁性状態を保つことができる。従って、スピンバルブ型
薄膜素子の感度を低下させることなく、トラック幅の両
端の再生波形に異常が生じるのを防止でき、再生波形の
安定性を向上させることができる。
【0132】また、前記バイアス層の主要部分が、前記
積層体の側面と接合されていることにより、バイアス層
からの漏れ磁束が、積層体上部に位置する層、例えば、
上部シールド層等に吸われることによるフリー磁性層に
加わる有効磁界の減少が起こりにくいものとなり、フリ
ー磁性層が単磁区化されやすくなるため、前記フリー磁
性層の磁区制御を良好に行うことができる安定性に優れ
たスピンバルブ型薄膜素子とすることができる。また、
フリー磁性層に対して、強いバイアス磁界を与えやすく
なり、フリー磁性層を単磁区化しやすく、バルクハウゼ
ンノイズの発生を低減させることができる。
【0133】さらに、前記バイアス層の一部分が、非磁
性層を介して前記フリー磁性層の上方の一部分にまで延
出して形成してあるので、さらに強くバイアス層の磁化
方向の影響をフリー磁性層に及ぼすことになる。このた
めバイアス層の磁化方向と反対向きの磁化方向を有する
第1のフリー磁性層の磁化方向の乱れが抑制され、それ
に伴って第2のフリー磁性層の磁化方向の乱れも少なく
なる効果を有する。このため、フリー磁性層の変動磁化
の方向を所望の方向に補正することがより容易になり、
アシンメトリーの小さい優れたスピンバルブ型薄膜素子
とするために、フリー磁性層の変動磁化の方向を制御す
ることを、より容易にすることができる。
【0134】また、本発明のスピンバルブ型薄膜素子
で、前記固定磁性層を前記反強磁性層との交換異方性磁
界により磁化方向が固定される第1の固定磁性層と、前
記第1の固定磁性層に非磁性中間層を介して形成され、
前記第1の固定磁性層の磁化方向と反平行に磁化方向が
揃えられた第2の固定磁性層とからなるシンセティック
フェリピンド型構造とした場合には、固定磁性層の固定
磁化による反磁界(双極子磁界)を、第1の固定磁性層
の静磁結合磁界と第2の固定磁性層の静磁結合磁界とに
より、相互に打ち消してキャンセルすることができる。
これにより、フリー磁性層の変動磁化の方向に影響を与
える固定磁性層の固定磁化による反磁界(双極子磁界)
からの、フリー磁性層の変動磁化への寄与を減少するこ
とができる。また、このように、固定磁性層が非磁性中
間層を介して2つに分断されたスピンバルブ型薄膜素子
とした場合、2つに分断された固定磁性層のうち一方が
他方の固定磁性層を適正な方向に固定する役割を担い、
固定磁性層の状態を非常に安定した状態に保つことが可
能となる。また、上記のスピンバルブ型薄膜素子におい
て、前記第2のフリー磁性層の磁気的膜厚が前記第1の
フリー磁性層の磁気的膜厚よりも大きいので、フリー磁
性層に対してより一層強いバイアス磁界を与え易くな
り、フリー磁性層を単磁区化し易くなるため、バルクハ
ウゼンノイズの発生をより一層低減させることができ
る。
【0135】また、本発明のスピンバルブ型薄膜素子
は、前記バイアス層がフリー磁性層の上部へ延出してい
る部分の長さを、0.01〜0.1μmとしてある。こ
の程度の延出部の長さがあれば、バイアス層の磁化方向
の影響をフリー磁性層に及ぼし、トラック端部における
フリー磁性層の磁化方向の乱れを抑制することができ
る。
【0136】また、本発明のスピンバルブ型薄膜素子に
おいて、前記電極層が前記バイアス層の前記第1のフリ
ー磁性層上部の延出部分にも延出しているものである場
合には、電極層からのセンス電流が、バイアス層と積層
体との接合部分に流れにくくなり、このバイアス層を介
さずに、直接、積層体にセンス電流を流す割合を多くで
きる。しかも、この場合、積層体と電極層との接合面積
を増大することにより、磁気抵抗効果に寄与しない接合
抵抗を下げることができ、再生特性を向上することがで
きる。
【0137】また、本発明のスピンバルブ型薄膜素子に
おいて、前記電極層をCr、Au、Ta、Wから選択さ
れる1種以上の金属で構成した場合には、後工程のレジ
スト硬化などの熱プロセスに対して拡散バリアーとして
機能し、バイアス層の磁気特性の劣化を防ぐことができ
る。また、電極層としてTaを用いる場合は、Crの上
に堆積するTaの結晶をより低抵抗の体心立方構造とし
やすくする効果がある。
【0138】また、本発明のスピンバルブ型薄膜素子に
おいて、前記バイアス層と前記電極層との間に、Taま
たはCrからなる中間層を設けたものである場合には、
後工程のインダクティブヘッド(書込ヘッド)の製造プ
ロセスでおこなう絶縁レジストの硬化工程(UVキュア
またはハードベーク)等で高温に曝される場合でも、熱
拡散によりバイアス層の膜特性が劣化することを防止す
ることができる。
【0139】また、本発明のスピンバルブ型薄膜素子
は、前記反強磁性層を、X−Mn合金又はPt−Mn−
X’合金のいずれかとすることで、上記反強磁性層に従
来から使用されているNiO合金、FeMn合金、Ni
Mn合金などを用いたものと比較して、交換結合磁界が
大きく、またブロッキング温度が高く、さらに耐食性に
優れているなどの優れた特性を有するスピンバルブ型薄
膜素子とすることができる。
【0140】次に、本発明の第1のスピンバルブ型薄膜
素子の製造方法は、上記のスピンバルブ型薄膜素子を製
造するに当たり、基板上に、反強磁性層と、この反強磁
性層と接して形成した固定磁性層と、前記固定磁性層に
非磁性導電層を介して形成した第2のフリー磁性層と、
前記第2のフリー磁性層に非磁性導電層を介して形成し
た第1のフリー磁性層を少なくとも有する積層体を形成
する工程と、前記積層体の上に前記積層体に対向する下
面に切り込み部の形成されたリフトオフ用レジストを形
成する工程と、前記リフトオフ用レジストに覆われてい
ない部分をイオンミリングにより除去し、台形状の積層
体を形成する工程と、前記積層体上の前記リフトオフ用
レジストの切り込み部分及び前記積層体の両側に、バイ
アス層用のスパッタターゲットと前記基板との角度を傾
斜させた状態で対向させて、スパッタ法により前記バイ
アス層を形成する工程と、前記バイアス層上の平面投影
で前記リフトオフ用レジストで覆われない部分に、電極
層用のスパッタターゲットと前記基板とを傾斜させない
か又は傾斜させて対向させろことを選択し、スパッタ法
により前記電極層を形成する工程とを有する方法とする
ことにより、高性能のスピンバルブ型薄膜素子を容易に
製造得ることを可能にしたものである。
【0141】この製造方法に依れば、リフトオフ用レジ
ストを1回形成するのみで、積層体、バイアス層および
電極層を所望の形状に形成することができ、かつ、工程
数の少ない状態で、上記のスピンバルブ型薄膜素子を容
易に得ることができる。この製造方法に依れば、バイア
ス層を積層体の上面に延出して形成することができる。
また、電極用ターゲットと基板との角度を傾斜させない
かまたは傾斜させた状態で対向させることを選択したス
パッタ法により、電極層をバイアス層の延出部には重ね
ないで、あるいはバイアス層の延出部に重ねて所望の形
状に形成することができる。
【0142】また、本発明の第2のスピンバルブ型薄膜
素子の製造方法は、基板上に、反強磁性層と、この反強
磁性層と接して形成した固定磁性層と、前記固定磁性層
に非磁性導電層を介して形成した第2のフリー磁性層
と、前記第2のフリー磁性層に非磁性導電層を介して形
成した第1のフリー磁性層を少なくとも有する積層体を
形成する工程と、前記積層体の上に前記積層体に対向す
る下面に切り込み部の形成された第1のリフトオフ用レ
ジストを形成する工程と、前記第1のリフトオフ用レジ
ストに覆われていない部分をイオンミリングにより除去
し、台形状の積層体を形成する工程と、前記積層体上の
前記リフトオフ用レジストの切り込み部分及び前記積層
体の両側に、バイアス層用のスパッタターゲットと基板
との角度を傾斜させた状態で対向させて、スパッタ法に
より前記バイアス層を形成する工程と、前記第1のリフ
トオフレジストを剥離する工程と、前記第1のリフトオ
フ用レジストの前記バイアス層側方向の寸法よりも寸法
が幅狭に設定された第2のリフトオフ用レジストを、前
記積層体の上に形成する工程と、前記積層体上の第2の
リフトオフ用レジストに覆われていない部分と、先に形
成したバイアス層の上に、電極層用のスパッタターゲッ
トと前記基板を傾斜させて対向させて、スパッタ法によ
り前記電極層を形成する工程を有する方法とを採用し
た。この方法を採用することにより、高性能のスピンバ
ルブ型薄膜素子を容易に得ることを可能にした。
【0143】このようなスピンバルブ型薄膜素子の製造
方法によれば、形成した積層体に、幅寸法の異なる、切
り込み部の形成された2種類のリフトオフ用レジストを
2回形成する2レジスト工程により、積層体およびバイ
アス層を形成する方法である。この形成方法は、バイア
ス層用及び電極層用ターゲットと基板との角度を傾斜さ
せた状態で対向させて、スパッタ法によりバイアス層及
び電極層をフリー磁性層上のみならず、積層体上にも延
出して所望の形状に形成することができる。
【0144】さらにまた、本発明の薄膜磁気ヘッドは、
上記のスピンバルブ型薄膜素子が備えられているので、
フリー磁性層の磁区制御を良好に行うことができ、アシ
ンメトリーやバルクハウゼンノイズの低減した、安定性
に優れた薄膜磁気へッドとなる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態のスピンバルブ型薄
膜磁気素子の、記録媒体の対向面から見た場合の断面構
造を示す図である。
【図2】 本発明の第1の実施形態のスピンバルブ型薄
膜磁気素子の、第1及び第2のフリー磁性層の磁化方向
分布を示す図である。
【図3】 本発明の第2の実施形態のスピンバルブ型薄
膜磁気素子の、記録媒体の対向面から見た場合の断面構
造を示す図である。
【図4】 本発明の第3の実施形態のスピンバルブ型薄
膜磁気素子の、記録媒体の対向面から見た場合の断面構
造を示す図である。
【図5】 本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の第1
の製造方法を説明する図である。
【図6】 図5に続く、本発明のスピンバルブ型薄膜磁
気素子の第1の製造方法を説明する図である。
【図7】 図6に続く、本発明のスピンバルブ型薄膜磁
気素子の第1の製造方法を説明する図である。
【図8】 図7に続く、本発明のスピンバルブ型薄膜磁
気素子の第1の製造方法を説明する図である。
【図9】 図8に代わる、本発明のスピンバルブ型薄膜
磁気素子の第1の製造方法を説明する図である。
【図10】本発明の第4の実施形態のスピンバルブ型薄
膜磁気素子の、記録媒体の対向面から見た場合の断面構
造を示す図である。
【図11】 本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の第
2の製造方法を説明する図である。
【図12】 図11に続く、本発明のスピンバルブ型薄
膜磁気素子の第2の製造方法を説明する図である。
【図13】 図12に続く、本発明のスピンバルブ型薄
膜磁気素子の第2の製造方法を説明する図である。
【図14】 図13に続く、本発明のスピンバルブ型薄
膜磁気素子の第2の製造方法を説明する図である。
【図15】 図14に続く、本発明のスピンバルブ型薄
膜磁気素子の第2の製造方法を説明する図である。
【図16】 従来のスピンバルブ型薄膜磁気素子の、記
録媒体の対向面から見た場合の断面構造を示す図であ
る。
【図17】 フリー磁性層の変動磁化の方向の規定につ
いて説明する図である。
【図18】 従来のスピンバルブ型薄膜磁気素子の、フ
リー磁性層の磁化方向分布を示す図である。
【図19】 フリー磁性層にできた磁壁の状態を説明す
る図である。
【図20】 従来のスピンバルブ型薄膜磁気素子の他の
例を、記録媒体の対向面から見た場合の断面構造を示す
図である。
【図21】 従来のスピンバルブ型薄膜磁気素子のさら
に他の例を、記録媒体の対向面から見た場合の断面構造
を示す図である。
【図22】 図21に示す従来のスピンバルブ型薄膜磁
気素子の、フリー磁性層の磁化方向分布を示す図であ
る。
【図23】 薄膜磁気ヘッドの一例を示す斜視図であ
る。
【図24】 図23の薄膜磁気ヘッドの、磁気コア部を
示した断面図である。
【図25】 図24に示す薄膜磁気ヘッドを示した概略
斜視図である。
【符号の説明】
1,101,122・・・反強磁性層 2,102,123,153・・・固定磁性層 2A,155・・・第1の固定磁性層 2B,154・・・非磁性中間層 2C,156・・・第2の固定磁性層 3,103,124・・・非磁性導電層 4,104,125,175・・・フリー磁性層 4A,177・・・第1のフリー磁性層 4B,176・・・非磁性中間層 4C,178・・・第2のフリー磁性層 5,107,127・・・保護層 6,109,129,160・・・積層体 7,105,126・・・バイアス層 7a・・・延出部 8,108,128・・・電極層 8a,108a,128a・・・延出部 9・・・中間層 10・・・基板 19・・・中間層 106,121・・・下地層 245・・・磁気抵抗効果素子層 250・・・磁気コア部 251・・・スライダ 370,372,382・・・リフトオフ用レジスト 373,374・・・スパッタターゲット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 43/12 G01R 33/06 R

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成された反強磁性層と、この
    反強磁性層と接して形成された固定磁性層と、前記固定
    磁性層に非磁性導電層を介して形成されたフリー磁性層
    と、前記フリー磁性層の表面に接して形成された非磁性
    保護層とからなる積層体を有し、この積層体の両側に形
    成された1対のバイアス層と、前記バイアス層上に形成
    された1対の電極層から構成されており、前記フリー磁
    性層は非磁性中間層によって分断されていて、前記非磁
    性保護層側に配置された第1のフリー磁性層と前記非磁
    性導電層側に配置された第2のフリー磁性層とからな
    り、さらに前記バイアス層が非磁性層を介して前記フリ
    ー磁性層の上方の一部にまで延出して形成されているこ
    とを特徴とするスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  2. 【請求項2】 前記固定磁性層は、前記反強磁性層との
    交換異方性磁界により磁化方向が固定される第1の固定
    磁性層と、前記第1の固定磁性層に非磁性中間層を介し
    て形成され、前記第1の固定磁性層の磁化方向と反平行
    に磁化方向が揃えられた第2の固定磁性層とからなるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のスピンバルブ型薄膜磁
    気素子。
  3. 【請求項3】 前記第1と第2のフリー磁性層が、反平
    行に磁化されていることを特徴とする請求項1又は請求
    項2に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  4. 【請求項4】 前記第2のフリー磁性層の磁気的膜厚が
    前記第1のフリー磁性層の磁気的膜厚よりも大きいこと
    を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスピンバル
    ブ型薄膜磁気素子。
  5. 【請求項5】 前記バイアス層がフリー磁性層の上部へ
    延出している部分の長さが、0.01〜0.1μmであ
    ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスピ
    ンバルブ型薄膜磁気素子。
  6. 【請求項6】 前記電極層が、前記バイアス層の前記フ
    リー磁性層上部の延出部分にも延出していることを特徴
    とする請求項1又は請求項2に記載のスピンバルブ型薄
    膜磁気素子。
  7. 【請求項7】 前記電極層が、Cr、Au、Ta、Wか
    ら選択される1種以上の金属からなることを特徴とする
    請求項1又は請求項2に記載のスピンバルブ型薄膜素
    子。
  8. 【請求項8】 前記バイアス層と前記積層体との間に、
    非磁性金属からなる下地層が設けられたことを特徴とす
    る請求項1又は請求項2に記載のスピンバルブ型薄膜素
    子。
  9. 【請求項9】 前記バイアス層と前記電極層との間に、
    非磁性金属からなる中間層が設けられたことを特徴とす
    る請求項1又は請求項2に記載のスピンバルブ型薄膜素
    子。
  10. 【請求項10】 前記中間層をなす非磁性金属がTaま
    たはCrであることを特徴とする請求項8に記載のスピ
    ンバルブ型薄膜素子。
  11. 【請求項11】 前記反強磁性層が、X−Mn合金又は
    Pt−Mn−X’合金(ただし前記組成式において、X
    はPt,Pd,Ir,Rh,Ru、Osの中から選択さ
    れる1種を示し、X’はPd、Cr、Ru、Ni、I
    r、Rh、Os、Au、Ag、Ne、Ar、Xe、Kr
    の中から選択される1種または2種以上を示す)のいず
    れかからなることを特徴とする請求項1又は請求項2に
    記載のスピンバルブ型薄膜素子。
  12. 【請求項12】 基板上に、反強磁性層と、この反強磁
    性層と接して形成した固定磁性層と、前記固定磁性層に
    非磁性導電層を介して形成した第2のフリー磁性層と、
    前記第2のフリー磁性層に非磁性導電層を介して形成し
    た第1のフリー磁性層を少なくとも有する積層体を形成
    する工程と、前記積層体の上に前記積層体に対向する下
    面に切り込み部の形成されたリフトオフ用レジストを形
    成する工程と、前記リフトオフ用レジストに覆われてい
    ない部分をイオンミリングにより除去し、台形状の積層
    体を形成する工程と、前記積層体上の前記リフトオフ用
    レジストの切り込み部分及び前記積層体の両側に、バイ
    アス層用のスパッタターゲットと基板との角度を傾斜さ
    せた状態で対向させて、スパッタ法により前記バイアス
    層を前記積層体の上面両端側に被着するように形成する
    工程と、前記積層体の両側のバイアス層上及び前記リフ
    トオフ用レジストの切り込み部に対応する前記積層体上
    のバイアス層上に、電極用スパッタターゲットと基板と
    の角度を平行にした状態で対向させて、スパッタ法によ
    り前記電極層を形成する工程とを有することを特徴とす
    るスピンバルブ型薄膜素子の製造方法。
  13. 【請求項13】 基板上に、反強磁性層と、この反強磁
    性層と接して形成した第1の固定磁性層と、前記第1の
    固定磁性層に非磁性中間層を介して形成した第2の固定
    磁性層と、前記第2の固定磁性層に非磁性導電層を介し
    て形成した第2のフリー磁性層と、この第2のフリー磁
    性層に非磁性中間層を介して形成した第1のフリー磁性
    層とを少なくとも有する積層体を形成する工程と、前記
    積層体の上に前記積層体に対向する下面に切り込み部の
    形成されたリフトオフ用レジストを形成する工程と、前
    記リフトオフ用レジストに覆われていない部分をイオン
    ミリングにより除去し、断面略台形状の積層体を形成す
    る工程と、前記積層体上の前記リフトオフ用レジストの
    切り込み部分及び前記積層体の両側に、バイアス層用ス
    パッタターゲットと基板との角度を傾斜させた状態で対
    向させて、スパッタ法により前記バイアス層を前記積層
    体の上面両端側に被着するように形成する工程と、前記
    積層体の両側のバイアス層上、及び前記リフトオフ用レ
    ジストの切り込み部に対応する前記積層体上に、電極層
    用スパッタターゲットと基板との角度を傾斜させた状態
    で対向させ、スパッタ法により前記電極層を形成する工
    程とを有することを特徴とするスピンバルブ型薄膜素子
    の製造方法。
  14. 【請求項14】 基板上に、反強磁性層と、この反強磁
    性層と接して形成した固定磁性層と、前記固定磁性層に
    非磁性導電層を介して形成した第2のフリー磁性層と、
    前記第2のフリー磁性層に非磁性導電層を介して形成し
    た第1のフリー磁性層を少なくとも有する積層体を形成
    する工程と、前記積層体の上に前記積層体に対向する下
    面に切り込み部の形成された第1のリフトオフ用レジス
    トを形成する工程と、前記第1のリフトオフ用レジスト
    に覆われていない部分をイオンミリングにより除去し、
    台形状の積層体を形成する工程と、前記積層体上の前記
    リフトオフ用レジストの切り込み部分及び前記積層体の
    両側に、バイアス層用スパッタターゲットと基板との角
    度を傾斜させた状態で対向させて、スパッタ法により前
    記バイアス層を形成する工程と、前記第1のリフトオフ
    レジストを剥離する工程と、前記第1のリフトオフ用レ
    ジストの前記バイアス層側方向の寸法よりも寸法が幅狭
    に設定された第2のリフトオフ用レジストを前記積層体
    の上に形成する工程と、前記第2のリフトオフ用レジス
    トに覆われていない部分に、電極用スパッタターゲット
    と基板との角度を傾斜させた状態で対向させ、スパッタ
    法により前記電極層を積層体上面に被着させるように形
    成する工程とを有することを特徴とするスピンバルブ型
    薄膜素子の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記スパッタ法が、イオンビームスパ
    ッタ法、ロングスロースパッタ法、コリメーションスパ
    ッタ法のいずれかまたはそれらを組み合わせた方法であ
    ることを特徴とする請求項12から請求項14のいずれ
    かに記載のスピンバルブ型薄膜素子の製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項1乃至請求項11のいずれかに
    記載のスピンバルブ型薄膜素子が備えられてなることを
    特徴とする薄膜磁気ヘッド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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