JP2004006493A - 巨大磁気抵抗効果素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【目的】積層フェリ型フリー磁性層のエッジ領域における磁化の乱れを軽減できる巨大磁気抵抗効果素子及びその製造方法を得る。
【構成】第1フリー磁性層11と;この第1フリー磁性層11上に形成された非磁性層13と;この非磁性層13上に第1フリー磁性層11よりも薄い膜厚で形成された第2フリー磁性層12と;を有するGMR素子1において、非磁性層13が第1フリー磁性層11と第2フリー磁性層12との間にRKKY的な反平行結合を生じさせる膜厚で形成されており、第2フリー磁性層12のトラック幅方向の寸法T2が、第1フリー磁性層11の同方向の寸法T1よりも長くなっている。そして、第2フリー磁性層12の延出部12bの直下には該延出部12bとの間に交換結合磁界を生じさせる第2反強磁性層8が形成されていて、この第2反強磁性層8及び第2フリー磁性層12のトラック幅方向の両側端部にハードバイアス層15が形成されている。
【選択図】 図1
【構成】第1フリー磁性層11と;この第1フリー磁性層11上に形成された非磁性層13と;この非磁性層13上に第1フリー磁性層11よりも薄い膜厚で形成された第2フリー磁性層12と;を有するGMR素子1において、非磁性層13が第1フリー磁性層11と第2フリー磁性層12との間にRKKY的な反平行結合を生じさせる膜厚で形成されており、第2フリー磁性層12のトラック幅方向の寸法T2が、第1フリー磁性層11の同方向の寸法T1よりも長くなっている。そして、第2フリー磁性層12の延出部12bの直下には該延出部12bとの間に交換結合磁界を生じさせる第2反強磁性層8が形成されていて、この第2反強磁性層8及び第2フリー磁性層12のトラック幅方向の両側端部にハードバイアス層15が形成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、ハードディスク装置や磁気センサ等に用いられる巨大磁気抵抗効果素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術およびその問題点】
ハードディスク装置や磁気センサ等に用いられる巨大磁気抵抗効果(GMR)素子では、近年の高記録密度化に伴い、高出力感度化が進められている。従来では、フリー磁性層の膜厚を薄くすることで、フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメント(Arealmoment)を小さくして該単位面積あたりの磁気モーメントの磁化回転を容易にし、出力感度を向上させている。しかし、フリー磁性層の膜厚を薄くすると、バルクハウゼンノイズや熱ゆらぎノイズ等が増大し、この結果、出力感度は上がってもSN比が上がらないという欠点があった。
【0003】
そこで、最近では、フリー磁性層を積層フェリ(人工フェリ)構造とすることが提案されている。図14に示される積層フェリ型フリー磁性層100は、第1フリー磁性層110と第2フリー磁性層120との間に非磁性層130が介在し、この非磁性層130を介して第1フリー磁性層110と第2フリー磁性層120とが強固に反平行結合されている。そして、これら第1フリー磁性層110の単位面積あたりの磁気モーメントm1と第2フリー磁性層120の単位面積あたりの磁気モーメントm2とのベクトル和が、フリー磁性層100の単位面積あたりの磁気モーメントMとなる。これにより、フリー磁性層の膜厚を薄くしなくてもフリー磁性層の実効的な単位面積あたりの磁気モーメントを小さくでき、ノイズを抑えて出力感度及びSN比を向上させることができる。なお、図14において、第1フリー磁性層110の膜厚は第2フリー磁性層120の膜厚よりも厚く、第1フリー磁性層110の単位面積あたりの磁気モーメントm1が第2フリー磁性層120の単位面積あたりの磁気モーメントm2よりも大きくなっている。
【0004】
しかしながら、フリー磁性層を上記積層フェリ構造とすると、該フリー磁性層の単磁区化のために設けたハードバイアス層(永久磁石膜)150によって、以下の問題点が生じてしまう。すなわち、フリー磁性層100のハードバイアス層150と隣接するエッジ領域αでは、ハードバイアス層150から受ける磁界がスピンフロップ磁界よりも強く、第1フリー磁性層110と第2フリー磁性層120との間の反平行結合状態が崩れてしまう。すると、ハードバイアス層150から受ける磁界により、ハードバイアス層150の磁化方向と逆向きの磁化方向を有する第2フリー磁性層120のエッジ領域αで磁気的な干渉が起こり、この第2フリー磁性層120に対して反平行状態を保持しようとする第1フリー磁性層110の磁化も乱れてしまう(図15参照)。このようなフリー磁性層100のエッジ領域αにおける磁化の乱れは、バルクハウゼンノイズやサーボエラー等を引き起こす原因となっていた。
【0005】
一方、フリー磁性層をエクスチェンジバイアス方式でバイアスすると、上記エッジ領域における磁化の乱れを無くすことができると考えられているが、エクスチェンジバイアス方式は反面、製造工程が複雑になるという問題がある。またエクスチェンジバイアス方式では、第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層間の反平行結合が強く、且つ、第1及び第2フリー磁性層のトラック幅方向の反磁界が小さく(トラック幅方向に磁化が安定化しすぎて)、十分な出力感度が得られない。このため、従来のハードバイアス方式を用いたままで上記問題点を解消できることが望ましい。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、従来のフリー磁性層を積層フェリ構造とした際の問題意識に基づき、積層フェリ型フリー磁性層のエッジ領域における磁化の乱れを軽減できると共に、出力感度を高められる巨大磁気抵抗効果素子及びその製造方法を得ることを目的とする。
【0007】
【発明の概要】
本発明は、第2フリー磁性層を第1フリー磁性層よりもトラック幅方向に延出させること及び反強磁性層との間に生じる交換結合磁界によって第2フリー磁性層の延出部の磁化を固定することで、磁化方向が互いに逆向きをなす第2フリー磁性層とハードバイアス層とが直接接触していても、トラック幅領域内での磁化の乱れを軽減(防止)しようとするものである。すなわち、本発明は、トラック幅領域に対応して形成された第1フリー磁性層;この第1フリー磁性層上に形成された非磁性層;及びこの非磁性層上に形成された第2フリー磁性層;を有し、前記非磁性層が前記第1フリー磁性層と前記第2フリー磁性層との間にRKKY的な反平行結合を生じさせる膜厚で形成されている積層フェリ型フリー磁性層を備えた巨大磁気抵抗効果素子において、前記第2フリー磁性層のトラック幅方向の寸法を前記第1フリー磁性層の同方向の寸法よりも長くし、前記非磁性層及び前記第1フリー磁性層のトラック幅方向の両側端部であって前記第2フリー磁性層の直下位置に、該第2フリー磁性層と接触させて反強磁性層を設け、さらに、前記第2フリー磁性層及び前記反強磁性層のトラック幅方向の両側端部に、該第2フリー磁性層及び該反強磁性層に接触させてハードバイアス層を設けたことを特徴としている。
【0008】
第2フリー磁性層は、非磁性層上に形成された中央感磁部と、この中央感磁部からトラック幅方向の両側に延出されて反強磁性層上に形成された延出部とを有している。この延出部のトラック幅方向の寸法は、0.1μm以上0.3μm以下であることが好ましい。この範囲内であれば、該延出部における磁化の乱れが中央感磁部まで及ぶことなく、且つ、ハードバイアス層からのバイアス磁界によって第1フリー磁性層を適度に弱く単磁区化させることができる。
【0009】
ハードバイアス層の着磁方向は、第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントの大小関係に応じて、決定することが好ましい。すなわち、第2フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントが第1フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントよりも小さい場合は、第2フリー磁性層の磁化方向と逆向きに着磁する。一方、第2フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントが第1フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントよりも大きい場合は、第2フリー磁性層の磁化方向と同一方向に着磁する。このようにハードバイアス層の着磁方向を決定すれば、第1及び第2フリー磁性層の磁区を安定させることができ、再生波形の歪みや不安定性を防ぎつつ高出力感度を得られる。なお、第2フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントが第1フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントよりも小さい場合であっても、ハードバイアス層の厚みや第2フリー磁性層の延出部のトラック幅方向の寸法等を適宜設計することを条件として、第2フリー磁性層の磁化方向と同一方向にハードバイアス層を着磁することができる。
【0010】
非磁性層は、Ru、Rh、Pd、Ir、Os、Re、Cr、Cu、Pt、Auのうちいずれか1種または2種以上で形成することができる。例えば、非磁性層がRuによって形成される場合は、第1フリー磁性層と第2フリー磁性層との間に強固なRKKY的な反平行結合が生じるように、その膜厚が6Å以上15Å以下であることが好ましい。また非磁性層がCuによって形成される場合は、その膜厚が7Å以上12Å以下であることが好ましい。
【0011】
第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層は、CoFe、NiFe、CoFeNiのいずれかで形成することができ、同一の磁性材料によって形成されることが好ましい。第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層が同一の磁性材料によって形成すれば、第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層の膜厚により、該第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントの大きさを制御することができる。
【0012】
ハードバイアス層は、CoPtやCoCrPtによって形成されることが好ましい。
【0013】
本発明の製造方法による態様では、基板上に、第1反強磁性層、固定磁性層、非磁性中間層、第1フリー磁性層及び非磁性層を順に積層した積層体を形成する工程;第1の磁場中アニールを施し、前記第1反強磁性層と前記固定磁性層との間に交換結合磁界を生じさせる工程;前記積層体のトラック幅領域に第1レジスト層を形成する工程;この第1レジスト層のトラック幅方向の両側から露出する前記積層体の少なくとも前記非磁性層及び前記第1フリー磁性層を除去する工程;この除去部上に第2反強磁性層及び非磁性保護層を順に積層形成し、前記第1レジスト層を除去する工程;低エネルギーイオンミリングにより、前記非磁性層を、該非磁性層上に形成される第2フリー磁性層と前記第1フリー磁性層との間にRKKY的な反平行結合を生じさせる膜厚まで削ると共に、前記第2反強磁性層上の前記非磁性保護層をすべて除去する工程;前記非磁性層及び前記第2反強磁性層上に、第2フリー磁性層を積層形成する工程;第2の磁場中アニールを施し、前記第2反強磁性層と前記第2フリー磁性層との間に交換結合磁界を生じさせる工程;前記第2フリー磁性層のトラック幅領域に、前記第1レジスト層よりもトラック幅方向の寸法が大きい第2レジスト層を形成する工程;この第2レジスト層のトラック幅方向の両側から露出する前記第2フリー磁性層及び前記第2反強磁性層の一部または全部を除去する工程;及びこの除去部上にハードバイアス層を形成し、前記第2レジスト層を除去する工程;を有することを特徴としている。なお、本巨大磁気抵抗効果素子を薄膜磁気ヘッドに用いる場合は、下部ギャップ層が上記基板となる。
【0014】
第2反強磁性層と非磁性保護層との間には強磁性層を形成しておき、この強磁性層を介して第2反強磁性層と第2フリー磁性層とを結合させることが好ましい。このように強磁性層を介在させると、第2反強磁性層と第2フリー磁性層との間の結合を強めることができる。非磁性保護層は、非磁性層の膜厚を調整するための低エネルギーイオンミリング工程にて、全て除去されるように非磁性層よりも薄い膜厚で形成されることが好ましい。これによれば、非磁性保護層を除去する工程を新たに行なわなくて済む。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明を説明する。各図において、X方向はトラック幅方向、Y方向は記録媒体からの漏れ磁界方向、Z方向は記録媒体の移動方向及び巨大磁気抵抗効果素子を構成する各層の積層方向である。
【0016】
図1は、本発明の第1実施形態における巨大磁気抵抗効果(GMR)素子1の構造を、記録媒体との対向面側から見て示す模式断面図である。GMR素子1は、例えば、ハードディスク装置の薄膜磁気ヘッドに用いられ、GMR効果を利用して記録媒体からの漏れ磁界を検出する素子である。
【0017】
GMR素子1は、アルミナ(Al2O3)等の絶縁材料からなる下部ギャップ層2上に形成されていて、下部ギャップ層2側から順に、シード層3、第1反強磁性層4、固定磁性層5、非磁性中間層6及びフリー磁性層10を有している。なお、図示されていないが、下部ギャップ層2の下には、アルチック基板側から順に、アルミナ等の絶縁層、TaやTi等からなる下地層、NiFe合金等からなるシードレイヤ層、NiFe系合金等の磁性材料からなる下部シールド層が形成されている。
【0018】
シード層3は、第1反強磁性層4及び該第1反強磁性層4の上の各層の結晶成長を整えるための下地層であり、NiFe合金、NiCr合金、NiFeCr合金またはCr等で形成される。このシード層3と下部ギャップ層2との間にはTa等からなる下地層が形成されていてもよく、シード層3の代わりに上記下地層が形成されていてもよい。
【0019】
第1反強磁性層4は、熱処理により固定磁性層5との間に大きな交換結合磁界を発生させ、固定磁性層5の磁化方向を図示Y方向に固定する機能を有する。この第1反強磁性層4は、PtMn合金またはX−Mn(ただしXは、Pd、Ir、Rh、Ru、Os、Ni、Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で形成される。あるいは、Pt−Mn−X’(ただしX’は、Pd、Ir、Rh、Ru、Au、Ag、Os、Cr、Ni、Ar、Ne、Xe、Krのいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成される。これらの合金は、成膜直後の状態では不規則系の面心立方構造(fcc)であるが、熱処理が施されるとCuAuI(CuAu1)型の規則型の面心正方構造(fct)に構造変態する。
【0020】
固定磁性層5は、例えばNiFe合金、Co、CoNiFe合金、CoFe合金、CoNi合金等の磁性材料によって形成される。この固定磁性層5は、磁性層/非磁性層/磁性層の3層構造をなす積層フェリ構造であってもよい。この積層フェリ構造をとれば、非磁性層を介して生じる反平行結合と、第1反強磁性層4との間で生じる交換結合との相乗効果により、磁化方向をより安定に固定させることができる。
【0021】
非磁性中間層6は、固定磁性層5とフリー磁性層7との磁気的な結合を防止する層であると共に、センス電流が主に流れる層である。この非磁性中間層6は、例えばCu、Cr、Au、Ag等の導電性を有する非磁性材料によって形成される。特にCuによって形成されることが好ましい。
【0022】
フリー磁性層10は、積層フェリ構造をなしている。すなわち、フリー磁性層10は、第1フリー磁性層11、第2フリー磁性層12及びこれらの間に介在する非磁性層13の3層からなる。本実施形態では、第1フリー磁性層11及び第2フリー磁性層12を同一の磁性材料により形成しており、さらに第1フリー磁性層11の膜厚d1を、第2フリー磁性層12の膜厚d2よりも大きく設定してある(d1>d2)。別言すれば、第1フリー磁性層11の単位面積あたりの磁気モーメントm1が第2フリー磁性層12の単位面積あたりの磁気モーメントm2よりも大きくなっている。本実施形態において、単位面積あたりの磁気モーメントは、飽和磁化と膜厚との積算値により定義できる。
【0023】
第2フリー磁性層12は、第1フリー磁性層11よりもトラック幅方向に長く形成されていて、非磁性層13を介して第1フリー磁性層11に反平行結合された中央部(中央感磁部)12aと、この中央部12aの両側端部からトラック幅方向に延出されて第2反強磁性層8上に位置する延出部12bとを有している。第2フリー磁性層12の中央部12a及び第1フリー磁性層11は、記録媒体からの漏れ磁界を検知する感磁領域(実効トラック幅領域)であり、第1フリー磁性層11及び第2フリー磁性層12の中央部12aのトラック幅方向の寸法がトラック幅Twを規制している。
【0024】
上記第1フリー磁性層11と第2フリー磁性層12の中央部12aとの反平行状態が崩れるときの磁界(スピンフロップ磁界)は、記録媒体からの漏れ磁界に対して十分大きく設定されている。これにより、第1フリー磁性層11及び第2フリー磁性層12の中央部12aの磁化は、記録媒体からの漏れ磁界に対して、反平行状態を保ったまま共に変化することができる。つまり、フリー磁性層10の単位面積あたりの磁気モーメントMは、第1フリー磁性層11の単位面積あたりの磁気モーメントm1と第2フリー磁性層12の中央部12aの単位面積あたりの磁気モーメントm2とのベクトル和となる。よって、フリー磁性層10の膜厚を薄くしなくてもフリー磁性層10の実効的な単位面積あたりの磁気モーメントMを小さくすることができ、この結果、バルクハウゼンノイズや熱ゆらぎノイズを増大させることなく、出力感度及びSN比を共に高めることが可能である。
【0025】
第1及び第2フリー磁性層11、12は、例えばCoFe合金、NiFe合金またはCoFeNi合金等から形成される。一方、非磁性層13は、Ru、Rh、Pd、Ir、Os、Re、Cr、Cu、Pt、Auのうちいずれか1種または2種以上で形成することができる。特にRuまたはCuで形成されることが好ましい。この非磁性層8は、第1フリー磁性層11と第2フリー磁性層12の中央部12aとの間に生じるRKKY的な結合エネルギーが反平行の第1ピーク値をとる膜厚で形成されることが好ましい。例えば、非磁性層13をRuによって形成する場合は膜厚を6Å以上15Å以下の範囲とし、Cuによって形成する場合は膜厚を7Å以上12Å以下の範囲とする。
【0026】
上記シード層3、第1反強磁性層4、固定磁性層5、非磁性中間層6、第1フリー磁性層11及び非磁性層13のトラック幅方向の両側端部には、非磁性下地層7及び第2反強磁性層8が順に積層形成されている。非磁性下地層7は、例えばTa、NiFe、NiFeCr、NiCr、Cr、W、Ti等のシード層3を構成する材料と同様の材料によって形成される。第2反強磁性層8は、熱処理により第2フリー磁性層12の延出部12bとの間に大きな交換結合磁界を発生させ、延出部12bの磁化方向をトラック幅方向(図1では右から左方向)に固定する機能を有する。この第2反強磁性層8は、上述した第1反強磁性層4と同様に、PtMn合金またはX−Mn(ただしXは、Pd、Ir、Rh、Ru、Os、Ni、Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で形成される。あるいは、Pt−Mn−X’(ただしX’は、Pd、Ir、Rh、Ru、Au、Ag、Os、Cr、Ni、Ar、Ne、Xe、Krのいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成される。
【0027】
第2フリー磁性層12の延出部12b上には、例えばTaやCr等の非磁性材料からなる保護層9が形成されている。保護層9は、電極リード層の形成工程時にRIE(Reactive Ion Etching)用ストッパとして用いられる保護層である。
【0028】
非磁性下地層7、第2反強磁性層8、第2フリー磁性層12(延出部12b)及び保護層9のトラック幅方向の両側端部には、非磁性下地層14及びハードバイアス層15が形成されている。非磁性下地層14は、例えばCr、W、Ti等の非磁性材料によって形成される。
【0029】
ハードバイアス層(永久磁石膜)15は、例えばCoPtやCoCrPt等により、保護層9の上面とほぼ同一高さとなる膜厚で形成されている。本第1実施形態のハードバイアス層15は、第2フリー磁性層12の磁化方向に対して逆向きとなるトラック幅方向(図1の左から右方向)に着磁されている。このハードバイアス層15からのバイアス磁界により、第1フリー磁性層11は、記録媒体からの漏れ磁界に対して変動可能な程度に弱く単磁区化されている。
【0030】
保護層9とハードバイアス層15によってほぼ平坦化された面上には、電極リード層Eとメタルマスク層16が積層形成されている。電極リード層Eは、Auやα―Ta等の導電材料を用い、RIEによって形成されている。メタルマスク層16は、電極リード層Eの保護層である。このメタルマスク層16は、例えばTaやCr等のRIE用ストッパとしても機能し、且つ、エッチングレートの遅い金属材料で形成されることが好ましい。なお、電極リード層Eは、リフトオフにより形成することも勿論可能であり、リフトオフを用いる場合にメタルマスク層16は必ずしも必要ではない。また、電極リード層E上には、メタルマスク層16に替えて、絶縁材料からなる絶縁マスク層を設けてもよい。
【0031】
図示されていないが、メタルマスク層16及び第2フリー磁性層12の中央部12a上には、例えばアルミナからなる上部ギャップ層を介して、上部シールド層が形成されている。
【0032】
以上の本GMR素子1は、第2フリー磁性層12のトラック幅方向の寸法T2を第1フリー磁性層11のトラック幅方向の寸法T1よりも長くしたことを特徴の一つとしている。このように第2フリー磁性層12がトラック幅方向に延出されていれば、磁化方向が逆向きをなす第2フリー磁性層12とハードバイアス層15とが直接対向(同一積層高さ位置で隣接)していても、第2フリー磁性層12の中央部12aに及ぶ影響を少なくすることができる。すなわち、第2フリー磁性層12の延出部12bで磁化の乱れが生じても、第2フリー磁性層12の中央部12aに及ぶ影響を少なくすることができ、第2フリー磁性層12の中央部12aに反平行結合された第1フリー磁性層11の磁化の乱れも抑えることができる。これにより、バルクハウゼンノイズやサーボエラー等を防止しつつ、出力感度及びSN比を高めることができる。
【0033】
第2フリー磁性層12の延出部12bのトラック幅方向の寸法t2は、具体的に、0.1μm以上0.3μm以下であることが好ましい。延出部12bのトラック幅方向の寸法t2が0.1μm以上であれば、延出部12bの磁化の乱れが中央部12aに及ぼす影響を軽減することができる。また0.3μm以下であれば、ハードバイアス層15からのバイアス磁界により、第1フリー磁性層11を、記録媒体からの漏れ磁界に対して磁化回転可能な程度に単磁区化することができる。
【0034】
また本GMR素子1は、第2フリー磁性層12の延出部12bの直下位置に、第2フリー磁性層12に接触させて第2反強磁性層8を設け、この第2反強磁性層8との間に生じる交換結合磁界により延出部12bの磁化方向を強固に固定させたことを別の特徴としている。このように第2フリー磁性層12の延出部12bの磁化が強固に固定されていれば、第2フリー磁性層12の磁化方向と逆向きの磁化方向を有するハードバイアス層15に直接対向した両側端部12cにおいても、磁化の乱れを最小限に抑えることができる。また、サイドリーディングが発生する虞もなくなる。
【0035】
以下では、図2〜図9を参照し、図1に示すGMR素子1の製造方法について説明する。先ず、図2に示すように、アルミナからなる下部ギャップ層2上にシード層3、第1反強磁性層4、固定磁性層5、非磁性中間層6、第1フリー磁性層11及び非磁性層13を連続成膜する。成膜にはスパッタや蒸着法を用いる。
【0036】
シード層3は、NiFe合金、NiCr合金、NiFeCr合金またはCr等から形成する。第1反強磁性層4は、PtMn合金またはX−Mn(ただしXは、Pd、Ir、Rh、Ru、Os、Ni、Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で形成する。あるいは、Pt−Mn−X’(ただしX’は、Pd、Ir、Rh、Ru、Au、Ag、Os、Cr、Ni、Ar、Ne、Xe、Krのいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成する。これらの合金材料で第1反強磁性層4を形成すれば、後工程の磁場中アニール処理において、大きな交換結合磁界を発生させることができる。
【0037】
固定磁性層5は、例えばNiFe合金、Co、CoNiFe合金、CoFe合金またはCoNi合金等の磁性材料によって形成する。この固定磁性層5は積層フェリ構造で形成してもよい。非磁性中間層6は、例えばCu、Cr、Au及びAg等の導電性を有する非磁性材料によって形成することができる。特にCuによって形成されることが好ましい。
【0038】
第1フリー磁性層11は、CoFe合金、NiFe合金またはCoFeNi合金等の磁性材料を用いて形成する。非磁性層13は、Ru、Rh、Pd、Ir、Os、Re、Cr、Cu、Pt、Auのうちいずれか1種または2種以上で形成することができる。特にRuまたはCuで形成されることが好ましい。この非磁性層13は、図2の工程では、図1に示す完成状態よりも厚く形成しておく。
【0039】
次に、第1磁場中アニールを施す。このときの磁場方向は、トラック幅方向に直交する図示Y方向である。この磁場中アニールにより、第1反強磁性層4と固定磁性層5との間には強固な交換結合磁界が生じ、固定磁性層5の磁化はY方向に強固に固定される。
【0040】
続いて、非磁性層13上にフォトレジスト液を塗布し、露光現像することによってトラック幅領域(第1フリー磁性層11のトラック幅領域)をパターニングして、このトラック幅領域に対応する位置に図3に示す第1レジスト層R1を形成する。この第1レジスト層R1はリフトオフ用のレジスト層である。
【0041】
第1レジスト層R1を形成したら、イオンミリングを行なう。このイオンミリング工程では、レジスト層R1のトラック幅方向の両側から露出する非磁性層13、第1フリー磁性層11、非磁性中間層6、固定磁性層5、第1反強磁性層4及びシード層3を除去する。これにより、図3に点線で示される各層のトラック幅領域外の部分が取り除かれ、第1レジスト層R1のトラック幅方向の両側(トラック幅領域の両側)からは下部ギャップ層2が露出する。また、シード層3から非磁性層13までの各層のトラック幅方向の両側端部は、上層から下層に向かうにしたがって徐々にトラック幅方向の寸法が広がる傾斜面(湾曲面)を構成する。なお、図3に示す矢印H方向はイオンミリング方向である。
【0042】
続いて、露出した下部ギャップ層2上に、図4に示すように、非磁性下地層7、第2反強磁性層8及び保護層(非磁性保護層)17を連続成膜する。成膜にはイオンビームスパッタ法を用いる。
【0043】
非磁性下地層7は、下部ギャップ層2上のみでなく、シード層3から非磁性層13までの各層のトラック幅方向の側端部が形成する傾斜面(湾曲面)上にも該傾斜面(湾曲面)に沿って形成する。この非磁性下地層7は、Ta、NiFe、NiCr、NiFeCrまたはCr等のシード層3を構成する材料と同様の材料によって形成することが好ましい。保護層17は、Cr、Ru、Cu、Rh、Pd、Ir、Os、Re、Pt、Au等の非磁性材料を用い、次のイオンミリング工程(図5)ですべて除去される膜厚で形成する。本実施形態では、例えば5Å以下の膜厚で形成する。この保護層17は、第2反強磁性層8が酸化されないように且つイオンミリングによるダメージを受けないように、第2反強磁性層8の上面を保護する層である。
【0044】
保護層17まで形成したら、リフトオフにより第1レジスト層R1を除去し、低エネルギーイオンミリングを行なう(図5)。本実施形態の低エネルギーイオンミリングには、例えば100〜200eV程度で加速したArイオンを用いる。この低エネルギーイオンミリング工程では、非磁性層13の膜厚を調整すると共に、非磁性層13と第2反強磁性層8の上面を平坦化させる効果も若干ある。このとき、第2反強磁性層8上の保護層17はすべて除去される。
【0045】
非磁性層13は、図1の完成状態で非磁性層13の上下に位置する第1フリー磁性層11と第2フリー磁性層12との間にRKKY的な反平行結合を強固に生じさせる膜厚まで、削る。非磁性層13が例えばRuで形成されている場合は6Å以上15Å以下の膜厚範囲に調整することが好ましく、Cuで形成されている場合は7Å以上12Å以下の膜厚範囲に調整することが好ましい。なお、図5に示す矢印H方向はイオンミリング方向であり、図5の点線で示される部分がこのイオンミリング工程で除去される部分である。
【0046】
続いて、図6に示すように、ほぼ平坦化された非磁性層13及び第2反強磁性層8上に、第1フリー磁性層11と同一の磁性材料からなる第2フリー磁性層12と、TaやCr等の非磁性材料からなる保護層9とを連続成膜する。成膜には、スパッタまたは蒸着法を用いる。このとき、第2フリー磁性層12は第1フリー磁性層11よりも薄い膜厚d2、例えば16Åで形成する。保護層9は、後のRIE工程でストッパとして機能する層である。
【0047】
保護層9まで成膜したら、第2磁場中アニールを施す。このときの磁場方向は、トラック幅方向(図1の右から左方向)である。この磁場中アニールにより、第2反強磁性層8と第2フリー磁性層12の延出部12bとの間に交換結合磁界を生じさせることができ、延出部12bの磁化がトラック幅方向に強固に固定される。また、第1フリー磁性層11と第2フリー磁性層12の中央部12aとの間に作用する反平行結合を安定させることができる。
【0048】
続いて、保護層9上にフォトレジスト液を塗布し、露光現像することによって第2フリー磁性層12のトラック幅領域をパターニングし、このトラック幅領域に対応する位置に図7に示す第2レジスト層R2を形成する。第2レジスト層R2はリフトオフ用のレジスト層である。この第2レジスト層R2のトラック幅方向の寸法は、図3に示す第1レジスト層R1よりも長く設定されていて、これにより、第2フリー磁性層12のトラック幅方向の寸法を第1フリー磁性層11よりも長くすることができる。
【0049】
第2レジスト層R2を形成したら、イオンミリングを行なう(図7)。このイオンミリング工程では、第2レジスト層R2のトラック幅方向の両側から露出する保護層9、第2フリー磁性層12、第2反強磁性層8及び非磁性下地層7を除去する。このイオンミリング工程により、第2フリー磁性層12のトラック幅方向の寸法T2は、第1フリー磁性層11のトラック幅方向の寸法T1よりも長く規定される。このように第2フリー磁性層12をトラック幅方向に延出させて形成すれば、第2フリー磁性層12の延出部12bで磁化の乱れが生じたとしても、中央部12aに及ぼす影響を軽減することができる。
【0050】
上記イオンミリングによって図7に点線で示される部分が取り除かれると、第2レジスト層R2のトラック幅方向の両側からは下部ギャップ層2が露出する。また、非磁性下地層7から保護層9までの各層のトラック幅方向の両側端部が、上層から下層に向かうにしたがって徐々にトラック幅方向の寸法が広がる傾斜面(湾曲面)を構成する。なお、図7に示す矢印H方向はイオンミリング方向である。
【0051】
続いて、図8に示すように、第2レジスト層R2のトラック幅方向の両側から露出した下部ギャップ層2上に、非磁性下地層14及びハードバイアス層15を連続成膜する。また図示されていないが、ハードバイアス層15上にTaやCr等の保護層も連続成膜することが好ましい。成膜にはイオンビームスパッタ法を用いることができる。非磁性下地層14は、下部ギャップ層2上のみでなく、非磁性下地層7から保護層9までの各層のトラック幅方向の両側端部が形成する傾斜面(湾曲面)上にも該傾斜面(湾曲面)に沿って形成する。この非磁性下地層14は、Cr、W及びTi等の非磁性材料によって形成することができる。ハードバイアス層15は、例えばCoPtやCoCrPtによって形成する。なお、ハードバイアス層15は、成膜段階では着磁されておらず、図1に示すGMR素子1(またはGMR素子1が搭載される薄膜磁気ヘッド)の完成状態で着磁される。
【0052】
ハードバイアス層15まで形成したら、リフトオフにより第2レジスト層R2を除去する。そして、図9に示すように、保護層9及びハードバイアス層15上に、電極リード層Eを成膜する。成膜にはスパッタまたは蒸着法を用いる。本実施形態では、RIEを用い、Auやα‐Ta等の導電材料から電極リード層Eを形成する。なお、電極リード層Eはリフトオフによっても形成可能である。リフトオフで形成する場合には、電極リード層Eを形成する材料はAu、α‐TaのほかCr、Ro、W、Ru、Cu等、導電材料であればよい。またリフトオフで形成する場合には、後工程で形成するメタルマスク層16は不要となる。
【0053】
続いて、電極リード層E上であってトラック幅領域以外の範囲に、メタルマスク層16をリフトオフで形成する。メタルマスク層16は、RIE用ストッパとしても機能する、エッチングレートの遅い金属材料で形成されることが好ましい。例えば、TaやCr等を用いることができる。
【0054】
続いて、メタルマスク層16をマスクとしてRIE処理を行ない、トラック幅領域内の電極リード層Eを除去する。このとき、トラック幅領域内の保護層9がエッチングストッパとして機能するため、RIE終了タイミングを適切に制御することができる。すなわち、保護層9が露出するまでRIE処理を行なう。このRIE処理を行なったら、トラック幅領域内の保護層9をイオンミリングによって除去する。但し、保護層9は、第2フリー磁性層12の中央部12aを酸化から保護する機能も有するため、その一部または全部を残すことが好ましい。そして、第1フリー磁性層11の磁化方向と同一方向にハードバイアス層15を着磁し、第1フリー磁性層11にバイアス磁界を与える。以上により、図1のGMR素子1が完成する。
【0055】
以上の第1実施形態では、イオンミリング工程(図5)時に第2反強磁性層8の上面を保護する保護層17を設けているが、図10に示すように、この保護層17と第2反強磁性層8との間に強磁性層18を介在させる態様としてもよい。強磁性層18を介在させることで、第2反強磁性層8と第2フリー磁性層12とをより安定に結合させることができる。強磁性層18上の保護層17は、イオンミリング工程(図5)によって、全て除去するか、または強磁性層18と第2フリー磁性層12との間にRKKY的な平行結合あるいはピンホールを介した直接的な交換相互作用を生じさせる膜厚まで削る。保護層17がすべて除去された場合は、強磁性層18を介して第2反強磁性層8と第2フリー磁性層12とが強磁性的に結合される。一方、保護層17が強磁性層18と第2フリー磁性層12との間にRKKY的な平行結合あるいはピンホールを介した直接的な交換相互作用を生じさせる膜厚で残された場合は、強磁性層18と第2反強磁性層8との交換結合及び保護層17を介した強磁性層18と第2フリー磁性層12との平行結合により、第2反強磁性層8と第2フリー磁性層12が強磁性的に結合される。なお、図11は、保護層17を全て除去した後、強磁性層18及び非磁性層13上に第2フリー磁性層12を形成した状態を示している。この強磁性層18は、第2フリー磁性層12の一部として機能し、第2フリー磁性層12と同一の磁性材料によって形成できる。
【0056】
図12は、本発明の第2実施形態におけるGMR素子20の構造を、記録媒体との対向面側から見て示す部分断面図である。この第2実施形態は、ハードバイアス層15の着磁方向が第2フリー磁性層12の磁化方向と同一方向である点において、第1実施形態と異なる。図12において、第1実施形態と実質的に同一の構成要素には図1と同一符号を付してある。
【0057】
本第2実施形態では、第1フリー磁性層11の膜厚d1が第2フリー磁性層12の膜厚d2よりも薄く、第1フリー磁性層11の単位面積あたりの磁気モーメントm1が第2フリー磁性層12の単位面積あたりの磁気モーメントm2よりも小さくなっている。このGMR素子20では、第2フリー磁性層12とハードバイアス層15の磁化方向が同一であるため、第2フリー磁性層12とハードバイアス層15が直接対向していても、第2フリー磁性層12の磁化が乱れることがなく、第2フリー磁性層12の影響を受けて第1フリー磁性層11の磁化が乱れることがない。これにより、バルクハウゼンノイズや熱ゆらぎノイズ等を抑えつつ、出力感度及びSN比を向上させることができる。また本第2実施形態では、第2フリー磁性層12の延出部12bの磁化が第2反強磁性層8との間に生じる交換結合磁界により強固に固定されるため、サイドリーディングの起こる虞がない。
【0058】
以上のGMR素子20は、第1フリー磁性層11を第2フリー磁性層12よりも薄い膜厚で形成し、さらにハードバイアス層15の着磁方向を第2フリー磁性層12の磁化方向と同一方向とすることで、図2〜図9に示した第1実施形態の製造工程と同一工程で形成することができる。
【0059】
以上の第2実施形態は、第1フリー磁性層11の単位面積あたりの磁気モーメントm1が第2フリー磁性層12の単位面積あたりの磁気モーメントm2より大きい場合にも適用可能である。ただし、第1フリー磁性層11の単位面積あたりの磁気モーメントm1が第2フリー磁性層12の単位面積あたりの磁気モーメントm2より大きい場合には、第2フリー磁性層のトラック幅方向の寸法やハードバイアス層15の膜厚等を適宜設定する。
【0060】
図13及び図15は、マイクロマグネティックシミュレーション法を用いて、第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層の磁化分布を計算した結果を示している。各シミュレーションは、以下の条件で行なったものである。
ハードバイアス層の膜厚t=400(Å)
ハードバイアス層の残留磁化Mr×膜厚t=37.7(T・nm)
[図13]
第1フリー磁性層の膜厚d1=20(Å)
第2フリー磁性層の膜厚d2=28(Å)
[図15]
第1フリー磁性層の膜厚d1=24(Å)
第2フリー磁性層の膜厚d2=16(Å)
【0061】
【実施例】
図13は、図12に示す第2実施形態の第1フリー磁性層11及び第2フリー磁性層12の磁化分布を計算したシミュレーション結果を示している。上述したように第2フリー磁性層12のトラック幅方向の寸法T2は、第1フリー磁性層11の同方向の寸法T1よりも長くなっている。図13を見ると、第2フリー磁性層12の中央部12aと延出部12bの境界付近で磁化が多少傾いているが、第1フリー磁性層11の磁化には影響しておらず、第1フリー磁性層の磁化には乱れが生じていないことがわかる。また、磁化方向が逆向きをなす第フリー磁性層12の両側端部12cでは、ハードバイアス層15から適切に距離が離れていることにより、磁化の乱れが抑えられていることが分かる。
【0062】
【比較例】
図15は、図14に示す従来のGMR素子1’が備えた第1フリー磁性層110及び第2フリー磁性層120の磁化分布を計算したシミュレーション結果を示している。従来の積層フェリ型フリー磁性層100では、第1フリー磁性層110と第2フリー磁性層120のトラック幅方向の寸法が同等であり、これら第1フリー磁性層110及び第2フリー磁性層120のトラック幅方向の両側に直接接してハードバイアス層150が設けられている。図15を見ると、ハードバイアス層150からの磁界により第2フリー磁性層120のエッジ領域αの磁化が傾き、第1フリー磁性層110のエッジ領域αの磁化を乱していることが分かる。このような磁化分布状態では、バルクハウゼンノイズが生じやすく、また、サーボエラーも起きやすい。
【0063】
以上の図13及び図15から明らかなように、本第2実施形態のGMR素子20は、従来のGMR素子1’よりも第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層の磁化の乱れが軽減されていることが分かる。これにより、バルクハウゼンノイズやサイドリーディング等を抑えつつ、GMR素子の出力感度及びSN比を向上させることができる。
【0064】
上記各実施形態のGMR素子1(20)は、再生用薄膜磁気ヘッドのみでなく、この再生用薄膜磁気ヘッド上にさらに記録用のインダクティブヘッドを積層した録再用薄膜磁気ヘッドにも適用可能である。また各種の磁気センサとして用いることもできる。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、第2フリー磁性層の延出部の直下に反強磁性層を設け、この反強磁性層との間に生じる交換結合磁界によって第2フリー磁性層の延出部の磁化を強固に固定したので、第2フリー磁性層とハードバイアス層とが直接対向する(隣接する)両側端部での磁化の乱れを軽減することができ、またサイドリーディングも防止できる。また本発明によれば、第2フリー磁性層のトラック幅方向の寸法を第1フリー磁性層の同方向の寸法よりも長くしたので、第2フリー磁性層とは磁化方向が逆向きのハードバイアス層に直接対向する両側端部で磁化の乱れが生じても、トラック幅領域に及ぶ磁化の乱れを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)の構造を、記録媒体との対向面から見て示す部分断面図である。
【図2】図1に示すGMR素子の製造方法の一工程図である。
【図3】図2に示す工程の次に行なわれる一工程図である。
【図4】図3に示す工程の次に行なわれる一工程図である。
【図5】図4に示す工程の次に行なわれる一工程図である。
【図6】図5に示す工程の次に行なわれる一工程図である。
【図7】図6に示す工程の次に行なわれる一工程図である。
【図8】図7に示す工程の次に行なわれる一工程図である。
【図9】図8に示す工程の次に行なわれる一工程図である。
【図10】図4に示す工程の別の態様の工程図である。
【図11】図10に示す工程の次に行なわれる一工程図である。
【図12】本発明の第2実施形態によるGMR素子の構造を、記録媒体との対向面から見て示す部分断面図である。
【図13】マイクロマグネティックシミュレーション法を用いて、図12に示すGMR素子のフリー磁性層の磁化分布を計算した結果を示す図である。
【図14】従来の積層フェリ型フリー磁性層を備えたGMR素子の構造を、記録媒体との対向面から見て示す部分断面図である。
【図15】マイクロマグネティックシミュレーション法を用いて、図14に示す従来のGMR素子のフリー磁性層の磁化分布を計算した結果を示す図である。
【符号の説明】
1 GMR素子
2 下部ギャップ層
3 シード層
4 第1反強磁性層
5 固定磁性層
6 非磁性中間層
7 非磁性下地層
8 第2反強磁性層
9 保護層
10 フリー磁性層
11 第1フリー磁性層
12 第2フリー磁性層
12a 中央部(中央感磁部)
12b 延出部
12c 両側端部
13 非磁性層
14 非磁性下地層
15 ハードバイアス層
16 メタルマスク層
17 保護層(非磁性保護層)
20 GMR素子
E 電極リード層
R1 第1レジスト層
R2 第2レジスト層
H イオンミリング方向
Tw トラック幅
T1 第1フリー磁性層のトラック幅方向の寸法
T2 第2フリー磁性層のトラック幅方向の寸法
t2 第2フリー磁性層の延出部のトラック幅方向の寸法
d1 第1フリー磁性層の膜厚
d2 第2フリー磁性層の膜厚
m1 第1フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメント
m2 第2フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメント
M フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメント
α エッジ領域
【発明の技術分野】
本発明は、ハードディスク装置や磁気センサ等に用いられる巨大磁気抵抗効果素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術およびその問題点】
ハードディスク装置や磁気センサ等に用いられる巨大磁気抵抗効果(GMR)素子では、近年の高記録密度化に伴い、高出力感度化が進められている。従来では、フリー磁性層の膜厚を薄くすることで、フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメント(Arealmoment)を小さくして該単位面積あたりの磁気モーメントの磁化回転を容易にし、出力感度を向上させている。しかし、フリー磁性層の膜厚を薄くすると、バルクハウゼンノイズや熱ゆらぎノイズ等が増大し、この結果、出力感度は上がってもSN比が上がらないという欠点があった。
【0003】
そこで、最近では、フリー磁性層を積層フェリ(人工フェリ)構造とすることが提案されている。図14に示される積層フェリ型フリー磁性層100は、第1フリー磁性層110と第2フリー磁性層120との間に非磁性層130が介在し、この非磁性層130を介して第1フリー磁性層110と第2フリー磁性層120とが強固に反平行結合されている。そして、これら第1フリー磁性層110の単位面積あたりの磁気モーメントm1と第2フリー磁性層120の単位面積あたりの磁気モーメントm2とのベクトル和が、フリー磁性層100の単位面積あたりの磁気モーメントMとなる。これにより、フリー磁性層の膜厚を薄くしなくてもフリー磁性層の実効的な単位面積あたりの磁気モーメントを小さくでき、ノイズを抑えて出力感度及びSN比を向上させることができる。なお、図14において、第1フリー磁性層110の膜厚は第2フリー磁性層120の膜厚よりも厚く、第1フリー磁性層110の単位面積あたりの磁気モーメントm1が第2フリー磁性層120の単位面積あたりの磁気モーメントm2よりも大きくなっている。
【0004】
しかしながら、フリー磁性層を上記積層フェリ構造とすると、該フリー磁性層の単磁区化のために設けたハードバイアス層(永久磁石膜)150によって、以下の問題点が生じてしまう。すなわち、フリー磁性層100のハードバイアス層150と隣接するエッジ領域αでは、ハードバイアス層150から受ける磁界がスピンフロップ磁界よりも強く、第1フリー磁性層110と第2フリー磁性層120との間の反平行結合状態が崩れてしまう。すると、ハードバイアス層150から受ける磁界により、ハードバイアス層150の磁化方向と逆向きの磁化方向を有する第2フリー磁性層120のエッジ領域αで磁気的な干渉が起こり、この第2フリー磁性層120に対して反平行状態を保持しようとする第1フリー磁性層110の磁化も乱れてしまう(図15参照)。このようなフリー磁性層100のエッジ領域αにおける磁化の乱れは、バルクハウゼンノイズやサーボエラー等を引き起こす原因となっていた。
【0005】
一方、フリー磁性層をエクスチェンジバイアス方式でバイアスすると、上記エッジ領域における磁化の乱れを無くすことができると考えられているが、エクスチェンジバイアス方式は反面、製造工程が複雑になるという問題がある。またエクスチェンジバイアス方式では、第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層間の反平行結合が強く、且つ、第1及び第2フリー磁性層のトラック幅方向の反磁界が小さく(トラック幅方向に磁化が安定化しすぎて)、十分な出力感度が得られない。このため、従来のハードバイアス方式を用いたままで上記問題点を解消できることが望ましい。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、従来のフリー磁性層を積層フェリ構造とした際の問題意識に基づき、積層フェリ型フリー磁性層のエッジ領域における磁化の乱れを軽減できると共に、出力感度を高められる巨大磁気抵抗効果素子及びその製造方法を得ることを目的とする。
【0007】
【発明の概要】
本発明は、第2フリー磁性層を第1フリー磁性層よりもトラック幅方向に延出させること及び反強磁性層との間に生じる交換結合磁界によって第2フリー磁性層の延出部の磁化を固定することで、磁化方向が互いに逆向きをなす第2フリー磁性層とハードバイアス層とが直接接触していても、トラック幅領域内での磁化の乱れを軽減(防止)しようとするものである。すなわち、本発明は、トラック幅領域に対応して形成された第1フリー磁性層;この第1フリー磁性層上に形成された非磁性層;及びこの非磁性層上に形成された第2フリー磁性層;を有し、前記非磁性層が前記第1フリー磁性層と前記第2フリー磁性層との間にRKKY的な反平行結合を生じさせる膜厚で形成されている積層フェリ型フリー磁性層を備えた巨大磁気抵抗効果素子において、前記第2フリー磁性層のトラック幅方向の寸法を前記第1フリー磁性層の同方向の寸法よりも長くし、前記非磁性層及び前記第1フリー磁性層のトラック幅方向の両側端部であって前記第2フリー磁性層の直下位置に、該第2フリー磁性層と接触させて反強磁性層を設け、さらに、前記第2フリー磁性層及び前記反強磁性層のトラック幅方向の両側端部に、該第2フリー磁性層及び該反強磁性層に接触させてハードバイアス層を設けたことを特徴としている。
【0008】
第2フリー磁性層は、非磁性層上に形成された中央感磁部と、この中央感磁部からトラック幅方向の両側に延出されて反強磁性層上に形成された延出部とを有している。この延出部のトラック幅方向の寸法は、0.1μm以上0.3μm以下であることが好ましい。この範囲内であれば、該延出部における磁化の乱れが中央感磁部まで及ぶことなく、且つ、ハードバイアス層からのバイアス磁界によって第1フリー磁性層を適度に弱く単磁区化させることができる。
【0009】
ハードバイアス層の着磁方向は、第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントの大小関係に応じて、決定することが好ましい。すなわち、第2フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントが第1フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントよりも小さい場合は、第2フリー磁性層の磁化方向と逆向きに着磁する。一方、第2フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントが第1フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントよりも大きい場合は、第2フリー磁性層の磁化方向と同一方向に着磁する。このようにハードバイアス層の着磁方向を決定すれば、第1及び第2フリー磁性層の磁区を安定させることができ、再生波形の歪みや不安定性を防ぎつつ高出力感度を得られる。なお、第2フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントが第1フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントよりも小さい場合であっても、ハードバイアス層の厚みや第2フリー磁性層の延出部のトラック幅方向の寸法等を適宜設計することを条件として、第2フリー磁性層の磁化方向と同一方向にハードバイアス層を着磁することができる。
【0010】
非磁性層は、Ru、Rh、Pd、Ir、Os、Re、Cr、Cu、Pt、Auのうちいずれか1種または2種以上で形成することができる。例えば、非磁性層がRuによって形成される場合は、第1フリー磁性層と第2フリー磁性層との間に強固なRKKY的な反平行結合が生じるように、その膜厚が6Å以上15Å以下であることが好ましい。また非磁性層がCuによって形成される場合は、その膜厚が7Å以上12Å以下であることが好ましい。
【0011】
第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層は、CoFe、NiFe、CoFeNiのいずれかで形成することができ、同一の磁性材料によって形成されることが好ましい。第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層が同一の磁性材料によって形成すれば、第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層の膜厚により、該第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントの大きさを制御することができる。
【0012】
ハードバイアス層は、CoPtやCoCrPtによって形成されることが好ましい。
【0013】
本発明の製造方法による態様では、基板上に、第1反強磁性層、固定磁性層、非磁性中間層、第1フリー磁性層及び非磁性層を順に積層した積層体を形成する工程;第1の磁場中アニールを施し、前記第1反強磁性層と前記固定磁性層との間に交換結合磁界を生じさせる工程;前記積層体のトラック幅領域に第1レジスト層を形成する工程;この第1レジスト層のトラック幅方向の両側から露出する前記積層体の少なくとも前記非磁性層及び前記第1フリー磁性層を除去する工程;この除去部上に第2反強磁性層及び非磁性保護層を順に積層形成し、前記第1レジスト層を除去する工程;低エネルギーイオンミリングにより、前記非磁性層を、該非磁性層上に形成される第2フリー磁性層と前記第1フリー磁性層との間にRKKY的な反平行結合を生じさせる膜厚まで削ると共に、前記第2反強磁性層上の前記非磁性保護層をすべて除去する工程;前記非磁性層及び前記第2反強磁性層上に、第2フリー磁性層を積層形成する工程;第2の磁場中アニールを施し、前記第2反強磁性層と前記第2フリー磁性層との間に交換結合磁界を生じさせる工程;前記第2フリー磁性層のトラック幅領域に、前記第1レジスト層よりもトラック幅方向の寸法が大きい第2レジスト層を形成する工程;この第2レジスト層のトラック幅方向の両側から露出する前記第2フリー磁性層及び前記第2反強磁性層の一部または全部を除去する工程;及びこの除去部上にハードバイアス層を形成し、前記第2レジスト層を除去する工程;を有することを特徴としている。なお、本巨大磁気抵抗効果素子を薄膜磁気ヘッドに用いる場合は、下部ギャップ層が上記基板となる。
【0014】
第2反強磁性層と非磁性保護層との間には強磁性層を形成しておき、この強磁性層を介して第2反強磁性層と第2フリー磁性層とを結合させることが好ましい。このように強磁性層を介在させると、第2反強磁性層と第2フリー磁性層との間の結合を強めることができる。非磁性保護層は、非磁性層の膜厚を調整するための低エネルギーイオンミリング工程にて、全て除去されるように非磁性層よりも薄い膜厚で形成されることが好ましい。これによれば、非磁性保護層を除去する工程を新たに行なわなくて済む。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明を説明する。各図において、X方向はトラック幅方向、Y方向は記録媒体からの漏れ磁界方向、Z方向は記録媒体の移動方向及び巨大磁気抵抗効果素子を構成する各層の積層方向である。
【0016】
図1は、本発明の第1実施形態における巨大磁気抵抗効果(GMR)素子1の構造を、記録媒体との対向面側から見て示す模式断面図である。GMR素子1は、例えば、ハードディスク装置の薄膜磁気ヘッドに用いられ、GMR効果を利用して記録媒体からの漏れ磁界を検出する素子である。
【0017】
GMR素子1は、アルミナ(Al2O3)等の絶縁材料からなる下部ギャップ層2上に形成されていて、下部ギャップ層2側から順に、シード層3、第1反強磁性層4、固定磁性層5、非磁性中間層6及びフリー磁性層10を有している。なお、図示されていないが、下部ギャップ層2の下には、アルチック基板側から順に、アルミナ等の絶縁層、TaやTi等からなる下地層、NiFe合金等からなるシードレイヤ層、NiFe系合金等の磁性材料からなる下部シールド層が形成されている。
【0018】
シード層3は、第1反強磁性層4及び該第1反強磁性層4の上の各層の結晶成長を整えるための下地層であり、NiFe合金、NiCr合金、NiFeCr合金またはCr等で形成される。このシード層3と下部ギャップ層2との間にはTa等からなる下地層が形成されていてもよく、シード層3の代わりに上記下地層が形成されていてもよい。
【0019】
第1反強磁性層4は、熱処理により固定磁性層5との間に大きな交換結合磁界を発生させ、固定磁性層5の磁化方向を図示Y方向に固定する機能を有する。この第1反強磁性層4は、PtMn合金またはX−Mn(ただしXは、Pd、Ir、Rh、Ru、Os、Ni、Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で形成される。あるいは、Pt−Mn−X’(ただしX’は、Pd、Ir、Rh、Ru、Au、Ag、Os、Cr、Ni、Ar、Ne、Xe、Krのいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成される。これらの合金は、成膜直後の状態では不規則系の面心立方構造(fcc)であるが、熱処理が施されるとCuAuI(CuAu1)型の規則型の面心正方構造(fct)に構造変態する。
【0020】
固定磁性層5は、例えばNiFe合金、Co、CoNiFe合金、CoFe合金、CoNi合金等の磁性材料によって形成される。この固定磁性層5は、磁性層/非磁性層/磁性層の3層構造をなす積層フェリ構造であってもよい。この積層フェリ構造をとれば、非磁性層を介して生じる反平行結合と、第1反強磁性層4との間で生じる交換結合との相乗効果により、磁化方向をより安定に固定させることができる。
【0021】
非磁性中間層6は、固定磁性層5とフリー磁性層7との磁気的な結合を防止する層であると共に、センス電流が主に流れる層である。この非磁性中間層6は、例えばCu、Cr、Au、Ag等の導電性を有する非磁性材料によって形成される。特にCuによって形成されることが好ましい。
【0022】
フリー磁性層10は、積層フェリ構造をなしている。すなわち、フリー磁性層10は、第1フリー磁性層11、第2フリー磁性層12及びこれらの間に介在する非磁性層13の3層からなる。本実施形態では、第1フリー磁性層11及び第2フリー磁性層12を同一の磁性材料により形成しており、さらに第1フリー磁性層11の膜厚d1を、第2フリー磁性層12の膜厚d2よりも大きく設定してある(d1>d2)。別言すれば、第1フリー磁性層11の単位面積あたりの磁気モーメントm1が第2フリー磁性層12の単位面積あたりの磁気モーメントm2よりも大きくなっている。本実施形態において、単位面積あたりの磁気モーメントは、飽和磁化と膜厚との積算値により定義できる。
【0023】
第2フリー磁性層12は、第1フリー磁性層11よりもトラック幅方向に長く形成されていて、非磁性層13を介して第1フリー磁性層11に反平行結合された中央部(中央感磁部)12aと、この中央部12aの両側端部からトラック幅方向に延出されて第2反強磁性層8上に位置する延出部12bとを有している。第2フリー磁性層12の中央部12a及び第1フリー磁性層11は、記録媒体からの漏れ磁界を検知する感磁領域(実効トラック幅領域)であり、第1フリー磁性層11及び第2フリー磁性層12の中央部12aのトラック幅方向の寸法がトラック幅Twを規制している。
【0024】
上記第1フリー磁性層11と第2フリー磁性層12の中央部12aとの反平行状態が崩れるときの磁界(スピンフロップ磁界)は、記録媒体からの漏れ磁界に対して十分大きく設定されている。これにより、第1フリー磁性層11及び第2フリー磁性層12の中央部12aの磁化は、記録媒体からの漏れ磁界に対して、反平行状態を保ったまま共に変化することができる。つまり、フリー磁性層10の単位面積あたりの磁気モーメントMは、第1フリー磁性層11の単位面積あたりの磁気モーメントm1と第2フリー磁性層12の中央部12aの単位面積あたりの磁気モーメントm2とのベクトル和となる。よって、フリー磁性層10の膜厚を薄くしなくてもフリー磁性層10の実効的な単位面積あたりの磁気モーメントMを小さくすることができ、この結果、バルクハウゼンノイズや熱ゆらぎノイズを増大させることなく、出力感度及びSN比を共に高めることが可能である。
【0025】
第1及び第2フリー磁性層11、12は、例えばCoFe合金、NiFe合金またはCoFeNi合金等から形成される。一方、非磁性層13は、Ru、Rh、Pd、Ir、Os、Re、Cr、Cu、Pt、Auのうちいずれか1種または2種以上で形成することができる。特にRuまたはCuで形成されることが好ましい。この非磁性層8は、第1フリー磁性層11と第2フリー磁性層12の中央部12aとの間に生じるRKKY的な結合エネルギーが反平行の第1ピーク値をとる膜厚で形成されることが好ましい。例えば、非磁性層13をRuによって形成する場合は膜厚を6Å以上15Å以下の範囲とし、Cuによって形成する場合は膜厚を7Å以上12Å以下の範囲とする。
【0026】
上記シード層3、第1反強磁性層4、固定磁性層5、非磁性中間層6、第1フリー磁性層11及び非磁性層13のトラック幅方向の両側端部には、非磁性下地層7及び第2反強磁性層8が順に積層形成されている。非磁性下地層7は、例えばTa、NiFe、NiFeCr、NiCr、Cr、W、Ti等のシード層3を構成する材料と同様の材料によって形成される。第2反強磁性層8は、熱処理により第2フリー磁性層12の延出部12bとの間に大きな交換結合磁界を発生させ、延出部12bの磁化方向をトラック幅方向(図1では右から左方向)に固定する機能を有する。この第2反強磁性層8は、上述した第1反強磁性層4と同様に、PtMn合金またはX−Mn(ただしXは、Pd、Ir、Rh、Ru、Os、Ni、Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で形成される。あるいは、Pt−Mn−X’(ただしX’は、Pd、Ir、Rh、Ru、Au、Ag、Os、Cr、Ni、Ar、Ne、Xe、Krのいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成される。
【0027】
第2フリー磁性層12の延出部12b上には、例えばTaやCr等の非磁性材料からなる保護層9が形成されている。保護層9は、電極リード層の形成工程時にRIE(Reactive Ion Etching)用ストッパとして用いられる保護層である。
【0028】
非磁性下地層7、第2反強磁性層8、第2フリー磁性層12(延出部12b)及び保護層9のトラック幅方向の両側端部には、非磁性下地層14及びハードバイアス層15が形成されている。非磁性下地層14は、例えばCr、W、Ti等の非磁性材料によって形成される。
【0029】
ハードバイアス層(永久磁石膜)15は、例えばCoPtやCoCrPt等により、保護層9の上面とほぼ同一高さとなる膜厚で形成されている。本第1実施形態のハードバイアス層15は、第2フリー磁性層12の磁化方向に対して逆向きとなるトラック幅方向(図1の左から右方向)に着磁されている。このハードバイアス層15からのバイアス磁界により、第1フリー磁性層11は、記録媒体からの漏れ磁界に対して変動可能な程度に弱く単磁区化されている。
【0030】
保護層9とハードバイアス層15によってほぼ平坦化された面上には、電極リード層Eとメタルマスク層16が積層形成されている。電極リード層Eは、Auやα―Ta等の導電材料を用い、RIEによって形成されている。メタルマスク層16は、電極リード層Eの保護層である。このメタルマスク層16は、例えばTaやCr等のRIE用ストッパとしても機能し、且つ、エッチングレートの遅い金属材料で形成されることが好ましい。なお、電極リード層Eは、リフトオフにより形成することも勿論可能であり、リフトオフを用いる場合にメタルマスク層16は必ずしも必要ではない。また、電極リード層E上には、メタルマスク層16に替えて、絶縁材料からなる絶縁マスク層を設けてもよい。
【0031】
図示されていないが、メタルマスク層16及び第2フリー磁性層12の中央部12a上には、例えばアルミナからなる上部ギャップ層を介して、上部シールド層が形成されている。
【0032】
以上の本GMR素子1は、第2フリー磁性層12のトラック幅方向の寸法T2を第1フリー磁性層11のトラック幅方向の寸法T1よりも長くしたことを特徴の一つとしている。このように第2フリー磁性層12がトラック幅方向に延出されていれば、磁化方向が逆向きをなす第2フリー磁性層12とハードバイアス層15とが直接対向(同一積層高さ位置で隣接)していても、第2フリー磁性層12の中央部12aに及ぶ影響を少なくすることができる。すなわち、第2フリー磁性層12の延出部12bで磁化の乱れが生じても、第2フリー磁性層12の中央部12aに及ぶ影響を少なくすることができ、第2フリー磁性層12の中央部12aに反平行結合された第1フリー磁性層11の磁化の乱れも抑えることができる。これにより、バルクハウゼンノイズやサーボエラー等を防止しつつ、出力感度及びSN比を高めることができる。
【0033】
第2フリー磁性層12の延出部12bのトラック幅方向の寸法t2は、具体的に、0.1μm以上0.3μm以下であることが好ましい。延出部12bのトラック幅方向の寸法t2が0.1μm以上であれば、延出部12bの磁化の乱れが中央部12aに及ぼす影響を軽減することができる。また0.3μm以下であれば、ハードバイアス層15からのバイアス磁界により、第1フリー磁性層11を、記録媒体からの漏れ磁界に対して磁化回転可能な程度に単磁区化することができる。
【0034】
また本GMR素子1は、第2フリー磁性層12の延出部12bの直下位置に、第2フリー磁性層12に接触させて第2反強磁性層8を設け、この第2反強磁性層8との間に生じる交換結合磁界により延出部12bの磁化方向を強固に固定させたことを別の特徴としている。このように第2フリー磁性層12の延出部12bの磁化が強固に固定されていれば、第2フリー磁性層12の磁化方向と逆向きの磁化方向を有するハードバイアス層15に直接対向した両側端部12cにおいても、磁化の乱れを最小限に抑えることができる。また、サイドリーディングが発生する虞もなくなる。
【0035】
以下では、図2〜図9を参照し、図1に示すGMR素子1の製造方法について説明する。先ず、図2に示すように、アルミナからなる下部ギャップ層2上にシード層3、第1反強磁性層4、固定磁性層5、非磁性中間層6、第1フリー磁性層11及び非磁性層13を連続成膜する。成膜にはスパッタや蒸着法を用いる。
【0036】
シード層3は、NiFe合金、NiCr合金、NiFeCr合金またはCr等から形成する。第1反強磁性層4は、PtMn合金またはX−Mn(ただしXは、Pd、Ir、Rh、Ru、Os、Ni、Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で形成する。あるいは、Pt−Mn−X’(ただしX’は、Pd、Ir、Rh、Ru、Au、Ag、Os、Cr、Ni、Ar、Ne、Xe、Krのいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成する。これらの合金材料で第1反強磁性層4を形成すれば、後工程の磁場中アニール処理において、大きな交換結合磁界を発生させることができる。
【0037】
固定磁性層5は、例えばNiFe合金、Co、CoNiFe合金、CoFe合金またはCoNi合金等の磁性材料によって形成する。この固定磁性層5は積層フェリ構造で形成してもよい。非磁性中間層6は、例えばCu、Cr、Au及びAg等の導電性を有する非磁性材料によって形成することができる。特にCuによって形成されることが好ましい。
【0038】
第1フリー磁性層11は、CoFe合金、NiFe合金またはCoFeNi合金等の磁性材料を用いて形成する。非磁性層13は、Ru、Rh、Pd、Ir、Os、Re、Cr、Cu、Pt、Auのうちいずれか1種または2種以上で形成することができる。特にRuまたはCuで形成されることが好ましい。この非磁性層13は、図2の工程では、図1に示す完成状態よりも厚く形成しておく。
【0039】
次に、第1磁場中アニールを施す。このときの磁場方向は、トラック幅方向に直交する図示Y方向である。この磁場中アニールにより、第1反強磁性層4と固定磁性層5との間には強固な交換結合磁界が生じ、固定磁性層5の磁化はY方向に強固に固定される。
【0040】
続いて、非磁性層13上にフォトレジスト液を塗布し、露光現像することによってトラック幅領域(第1フリー磁性層11のトラック幅領域)をパターニングして、このトラック幅領域に対応する位置に図3に示す第1レジスト層R1を形成する。この第1レジスト層R1はリフトオフ用のレジスト層である。
【0041】
第1レジスト層R1を形成したら、イオンミリングを行なう。このイオンミリング工程では、レジスト層R1のトラック幅方向の両側から露出する非磁性層13、第1フリー磁性層11、非磁性中間層6、固定磁性層5、第1反強磁性層4及びシード層3を除去する。これにより、図3に点線で示される各層のトラック幅領域外の部分が取り除かれ、第1レジスト層R1のトラック幅方向の両側(トラック幅領域の両側)からは下部ギャップ層2が露出する。また、シード層3から非磁性層13までの各層のトラック幅方向の両側端部は、上層から下層に向かうにしたがって徐々にトラック幅方向の寸法が広がる傾斜面(湾曲面)を構成する。なお、図3に示す矢印H方向はイオンミリング方向である。
【0042】
続いて、露出した下部ギャップ層2上に、図4に示すように、非磁性下地層7、第2反強磁性層8及び保護層(非磁性保護層)17を連続成膜する。成膜にはイオンビームスパッタ法を用いる。
【0043】
非磁性下地層7は、下部ギャップ層2上のみでなく、シード層3から非磁性層13までの各層のトラック幅方向の側端部が形成する傾斜面(湾曲面)上にも該傾斜面(湾曲面)に沿って形成する。この非磁性下地層7は、Ta、NiFe、NiCr、NiFeCrまたはCr等のシード層3を構成する材料と同様の材料によって形成することが好ましい。保護層17は、Cr、Ru、Cu、Rh、Pd、Ir、Os、Re、Pt、Au等の非磁性材料を用い、次のイオンミリング工程(図5)ですべて除去される膜厚で形成する。本実施形態では、例えば5Å以下の膜厚で形成する。この保護層17は、第2反強磁性層8が酸化されないように且つイオンミリングによるダメージを受けないように、第2反強磁性層8の上面を保護する層である。
【0044】
保護層17まで形成したら、リフトオフにより第1レジスト層R1を除去し、低エネルギーイオンミリングを行なう(図5)。本実施形態の低エネルギーイオンミリングには、例えば100〜200eV程度で加速したArイオンを用いる。この低エネルギーイオンミリング工程では、非磁性層13の膜厚を調整すると共に、非磁性層13と第2反強磁性層8の上面を平坦化させる効果も若干ある。このとき、第2反強磁性層8上の保護層17はすべて除去される。
【0045】
非磁性層13は、図1の完成状態で非磁性層13の上下に位置する第1フリー磁性層11と第2フリー磁性層12との間にRKKY的な反平行結合を強固に生じさせる膜厚まで、削る。非磁性層13が例えばRuで形成されている場合は6Å以上15Å以下の膜厚範囲に調整することが好ましく、Cuで形成されている場合は7Å以上12Å以下の膜厚範囲に調整することが好ましい。なお、図5に示す矢印H方向はイオンミリング方向であり、図5の点線で示される部分がこのイオンミリング工程で除去される部分である。
【0046】
続いて、図6に示すように、ほぼ平坦化された非磁性層13及び第2反強磁性層8上に、第1フリー磁性層11と同一の磁性材料からなる第2フリー磁性層12と、TaやCr等の非磁性材料からなる保護層9とを連続成膜する。成膜には、スパッタまたは蒸着法を用いる。このとき、第2フリー磁性層12は第1フリー磁性層11よりも薄い膜厚d2、例えば16Åで形成する。保護層9は、後のRIE工程でストッパとして機能する層である。
【0047】
保護層9まで成膜したら、第2磁場中アニールを施す。このときの磁場方向は、トラック幅方向(図1の右から左方向)である。この磁場中アニールにより、第2反強磁性層8と第2フリー磁性層12の延出部12bとの間に交換結合磁界を生じさせることができ、延出部12bの磁化がトラック幅方向に強固に固定される。また、第1フリー磁性層11と第2フリー磁性層12の中央部12aとの間に作用する反平行結合を安定させることができる。
【0048】
続いて、保護層9上にフォトレジスト液を塗布し、露光現像することによって第2フリー磁性層12のトラック幅領域をパターニングし、このトラック幅領域に対応する位置に図7に示す第2レジスト層R2を形成する。第2レジスト層R2はリフトオフ用のレジスト層である。この第2レジスト層R2のトラック幅方向の寸法は、図3に示す第1レジスト層R1よりも長く設定されていて、これにより、第2フリー磁性層12のトラック幅方向の寸法を第1フリー磁性層11よりも長くすることができる。
【0049】
第2レジスト層R2を形成したら、イオンミリングを行なう(図7)。このイオンミリング工程では、第2レジスト層R2のトラック幅方向の両側から露出する保護層9、第2フリー磁性層12、第2反強磁性層8及び非磁性下地層7を除去する。このイオンミリング工程により、第2フリー磁性層12のトラック幅方向の寸法T2は、第1フリー磁性層11のトラック幅方向の寸法T1よりも長く規定される。このように第2フリー磁性層12をトラック幅方向に延出させて形成すれば、第2フリー磁性層12の延出部12bで磁化の乱れが生じたとしても、中央部12aに及ぼす影響を軽減することができる。
【0050】
上記イオンミリングによって図7に点線で示される部分が取り除かれると、第2レジスト層R2のトラック幅方向の両側からは下部ギャップ層2が露出する。また、非磁性下地層7から保護層9までの各層のトラック幅方向の両側端部が、上層から下層に向かうにしたがって徐々にトラック幅方向の寸法が広がる傾斜面(湾曲面)を構成する。なお、図7に示す矢印H方向はイオンミリング方向である。
【0051】
続いて、図8に示すように、第2レジスト層R2のトラック幅方向の両側から露出した下部ギャップ層2上に、非磁性下地層14及びハードバイアス層15を連続成膜する。また図示されていないが、ハードバイアス層15上にTaやCr等の保護層も連続成膜することが好ましい。成膜にはイオンビームスパッタ法を用いることができる。非磁性下地層14は、下部ギャップ層2上のみでなく、非磁性下地層7から保護層9までの各層のトラック幅方向の両側端部が形成する傾斜面(湾曲面)上にも該傾斜面(湾曲面)に沿って形成する。この非磁性下地層14は、Cr、W及びTi等の非磁性材料によって形成することができる。ハードバイアス層15は、例えばCoPtやCoCrPtによって形成する。なお、ハードバイアス層15は、成膜段階では着磁されておらず、図1に示すGMR素子1(またはGMR素子1が搭載される薄膜磁気ヘッド)の完成状態で着磁される。
【0052】
ハードバイアス層15まで形成したら、リフトオフにより第2レジスト層R2を除去する。そして、図9に示すように、保護層9及びハードバイアス層15上に、電極リード層Eを成膜する。成膜にはスパッタまたは蒸着法を用いる。本実施形態では、RIEを用い、Auやα‐Ta等の導電材料から電極リード層Eを形成する。なお、電極リード層Eはリフトオフによっても形成可能である。リフトオフで形成する場合には、電極リード層Eを形成する材料はAu、α‐TaのほかCr、Ro、W、Ru、Cu等、導電材料であればよい。またリフトオフで形成する場合には、後工程で形成するメタルマスク層16は不要となる。
【0053】
続いて、電極リード層E上であってトラック幅領域以外の範囲に、メタルマスク層16をリフトオフで形成する。メタルマスク層16は、RIE用ストッパとしても機能する、エッチングレートの遅い金属材料で形成されることが好ましい。例えば、TaやCr等を用いることができる。
【0054】
続いて、メタルマスク層16をマスクとしてRIE処理を行ない、トラック幅領域内の電極リード層Eを除去する。このとき、トラック幅領域内の保護層9がエッチングストッパとして機能するため、RIE終了タイミングを適切に制御することができる。すなわち、保護層9が露出するまでRIE処理を行なう。このRIE処理を行なったら、トラック幅領域内の保護層9をイオンミリングによって除去する。但し、保護層9は、第2フリー磁性層12の中央部12aを酸化から保護する機能も有するため、その一部または全部を残すことが好ましい。そして、第1フリー磁性層11の磁化方向と同一方向にハードバイアス層15を着磁し、第1フリー磁性層11にバイアス磁界を与える。以上により、図1のGMR素子1が完成する。
【0055】
以上の第1実施形態では、イオンミリング工程(図5)時に第2反強磁性層8の上面を保護する保護層17を設けているが、図10に示すように、この保護層17と第2反強磁性層8との間に強磁性層18を介在させる態様としてもよい。強磁性層18を介在させることで、第2反強磁性層8と第2フリー磁性層12とをより安定に結合させることができる。強磁性層18上の保護層17は、イオンミリング工程(図5)によって、全て除去するか、または強磁性層18と第2フリー磁性層12との間にRKKY的な平行結合あるいはピンホールを介した直接的な交換相互作用を生じさせる膜厚まで削る。保護層17がすべて除去された場合は、強磁性層18を介して第2反強磁性層8と第2フリー磁性層12とが強磁性的に結合される。一方、保護層17が強磁性層18と第2フリー磁性層12との間にRKKY的な平行結合あるいはピンホールを介した直接的な交換相互作用を生じさせる膜厚で残された場合は、強磁性層18と第2反強磁性層8との交換結合及び保護層17を介した強磁性層18と第2フリー磁性層12との平行結合により、第2反強磁性層8と第2フリー磁性層12が強磁性的に結合される。なお、図11は、保護層17を全て除去した後、強磁性層18及び非磁性層13上に第2フリー磁性層12を形成した状態を示している。この強磁性層18は、第2フリー磁性層12の一部として機能し、第2フリー磁性層12と同一の磁性材料によって形成できる。
【0056】
図12は、本発明の第2実施形態におけるGMR素子20の構造を、記録媒体との対向面側から見て示す部分断面図である。この第2実施形態は、ハードバイアス層15の着磁方向が第2フリー磁性層12の磁化方向と同一方向である点において、第1実施形態と異なる。図12において、第1実施形態と実質的に同一の構成要素には図1と同一符号を付してある。
【0057】
本第2実施形態では、第1フリー磁性層11の膜厚d1が第2フリー磁性層12の膜厚d2よりも薄く、第1フリー磁性層11の単位面積あたりの磁気モーメントm1が第2フリー磁性層12の単位面積あたりの磁気モーメントm2よりも小さくなっている。このGMR素子20では、第2フリー磁性層12とハードバイアス層15の磁化方向が同一であるため、第2フリー磁性層12とハードバイアス層15が直接対向していても、第2フリー磁性層12の磁化が乱れることがなく、第2フリー磁性層12の影響を受けて第1フリー磁性層11の磁化が乱れることがない。これにより、バルクハウゼンノイズや熱ゆらぎノイズ等を抑えつつ、出力感度及びSN比を向上させることができる。また本第2実施形態では、第2フリー磁性層12の延出部12bの磁化が第2反強磁性層8との間に生じる交換結合磁界により強固に固定されるため、サイドリーディングの起こる虞がない。
【0058】
以上のGMR素子20は、第1フリー磁性層11を第2フリー磁性層12よりも薄い膜厚で形成し、さらにハードバイアス層15の着磁方向を第2フリー磁性層12の磁化方向と同一方向とすることで、図2〜図9に示した第1実施形態の製造工程と同一工程で形成することができる。
【0059】
以上の第2実施形態は、第1フリー磁性層11の単位面積あたりの磁気モーメントm1が第2フリー磁性層12の単位面積あたりの磁気モーメントm2より大きい場合にも適用可能である。ただし、第1フリー磁性層11の単位面積あたりの磁気モーメントm1が第2フリー磁性層12の単位面積あたりの磁気モーメントm2より大きい場合には、第2フリー磁性層のトラック幅方向の寸法やハードバイアス層15の膜厚等を適宜設定する。
【0060】
図13及び図15は、マイクロマグネティックシミュレーション法を用いて、第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層の磁化分布を計算した結果を示している。各シミュレーションは、以下の条件で行なったものである。
ハードバイアス層の膜厚t=400(Å)
ハードバイアス層の残留磁化Mr×膜厚t=37.7(T・nm)
[図13]
第1フリー磁性層の膜厚d1=20(Å)
第2フリー磁性層の膜厚d2=28(Å)
[図15]
第1フリー磁性層の膜厚d1=24(Å)
第2フリー磁性層の膜厚d2=16(Å)
【0061】
【実施例】
図13は、図12に示す第2実施形態の第1フリー磁性層11及び第2フリー磁性層12の磁化分布を計算したシミュレーション結果を示している。上述したように第2フリー磁性層12のトラック幅方向の寸法T2は、第1フリー磁性層11の同方向の寸法T1よりも長くなっている。図13を見ると、第2フリー磁性層12の中央部12aと延出部12bの境界付近で磁化が多少傾いているが、第1フリー磁性層11の磁化には影響しておらず、第1フリー磁性層の磁化には乱れが生じていないことがわかる。また、磁化方向が逆向きをなす第フリー磁性層12の両側端部12cでは、ハードバイアス層15から適切に距離が離れていることにより、磁化の乱れが抑えられていることが分かる。
【0062】
【比較例】
図15は、図14に示す従来のGMR素子1’が備えた第1フリー磁性層110及び第2フリー磁性層120の磁化分布を計算したシミュレーション結果を示している。従来の積層フェリ型フリー磁性層100では、第1フリー磁性層110と第2フリー磁性層120のトラック幅方向の寸法が同等であり、これら第1フリー磁性層110及び第2フリー磁性層120のトラック幅方向の両側に直接接してハードバイアス層150が設けられている。図15を見ると、ハードバイアス層150からの磁界により第2フリー磁性層120のエッジ領域αの磁化が傾き、第1フリー磁性層110のエッジ領域αの磁化を乱していることが分かる。このような磁化分布状態では、バルクハウゼンノイズが生じやすく、また、サーボエラーも起きやすい。
【0063】
以上の図13及び図15から明らかなように、本第2実施形態のGMR素子20は、従来のGMR素子1’よりも第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層の磁化の乱れが軽減されていることが分かる。これにより、バルクハウゼンノイズやサイドリーディング等を抑えつつ、GMR素子の出力感度及びSN比を向上させることができる。
【0064】
上記各実施形態のGMR素子1(20)は、再生用薄膜磁気ヘッドのみでなく、この再生用薄膜磁気ヘッド上にさらに記録用のインダクティブヘッドを積層した録再用薄膜磁気ヘッドにも適用可能である。また各種の磁気センサとして用いることもできる。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、第2フリー磁性層の延出部の直下に反強磁性層を設け、この反強磁性層との間に生じる交換結合磁界によって第2フリー磁性層の延出部の磁化を強固に固定したので、第2フリー磁性層とハードバイアス層とが直接対向する(隣接する)両側端部での磁化の乱れを軽減することができ、またサイドリーディングも防止できる。また本発明によれば、第2フリー磁性層のトラック幅方向の寸法を第1フリー磁性層の同方向の寸法よりも長くしたので、第2フリー磁性層とは磁化方向が逆向きのハードバイアス層に直接対向する両側端部で磁化の乱れが生じても、トラック幅領域に及ぶ磁化の乱れを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)の構造を、記録媒体との対向面から見て示す部分断面図である。
【図2】図1に示すGMR素子の製造方法の一工程図である。
【図3】図2に示す工程の次に行なわれる一工程図である。
【図4】図3に示す工程の次に行なわれる一工程図である。
【図5】図4に示す工程の次に行なわれる一工程図である。
【図6】図5に示す工程の次に行なわれる一工程図である。
【図7】図6に示す工程の次に行なわれる一工程図である。
【図8】図7に示す工程の次に行なわれる一工程図である。
【図9】図8に示す工程の次に行なわれる一工程図である。
【図10】図4に示す工程の別の態様の工程図である。
【図11】図10に示す工程の次に行なわれる一工程図である。
【図12】本発明の第2実施形態によるGMR素子の構造を、記録媒体との対向面から見て示す部分断面図である。
【図13】マイクロマグネティックシミュレーション法を用いて、図12に示すGMR素子のフリー磁性層の磁化分布を計算した結果を示す図である。
【図14】従来の積層フェリ型フリー磁性層を備えたGMR素子の構造を、記録媒体との対向面から見て示す部分断面図である。
【図15】マイクロマグネティックシミュレーション法を用いて、図14に示す従来のGMR素子のフリー磁性層の磁化分布を計算した結果を示す図である。
【符号の説明】
1 GMR素子
2 下部ギャップ層
3 シード層
4 第1反強磁性層
5 固定磁性層
6 非磁性中間層
7 非磁性下地層
8 第2反強磁性層
9 保護層
10 フリー磁性層
11 第1フリー磁性層
12 第2フリー磁性層
12a 中央部(中央感磁部)
12b 延出部
12c 両側端部
13 非磁性層
14 非磁性下地層
15 ハードバイアス層
16 メタルマスク層
17 保護層(非磁性保護層)
20 GMR素子
E 電極リード層
R1 第1レジスト層
R2 第2レジスト層
H イオンミリング方向
Tw トラック幅
T1 第1フリー磁性層のトラック幅方向の寸法
T2 第2フリー磁性層のトラック幅方向の寸法
t2 第2フリー磁性層の延出部のトラック幅方向の寸法
d1 第1フリー磁性層の膜厚
d2 第2フリー磁性層の膜厚
m1 第1フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメント
m2 第2フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメント
M フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメント
α エッジ領域
Claims (22)
- トラック幅領域に対応して形成された第1フリー磁性層;この第1フリー磁性層上に形成された非磁性層;及びこの非磁性層上に形成された第2フリー磁性層;を有し、前記非磁性層が前記第1フリー磁性層と前記第2フリー磁性層との間にRKKY的な反平行結合を生じさせる膜厚で形成されている積層フェリ型フリー磁性層を備えた巨大磁気抵抗効果素子において、
前記第2フリー磁性層のトラック幅方向の寸法を前記第1フリー磁性層の同方向の寸法よりも長くし、
前記非磁性層及び前記第1フリー磁性層のトラック幅方向の両側端部であって前記第2フリー磁性層の直下位置に、該第2フリー磁性層と接触させて反強磁性層を設け、
さらに、前記第2フリー磁性層及び前記反強磁性層のトラック幅方向の両側端部に、該第2フリー磁性層及び該反強磁性層に接触させてハードバイアス層を設けたことを特徴とする巨大磁気抵抗効果素子。 - 請求項1記載の巨大磁気抵抗効果素子において、前記第2フリー磁性層は、前記非磁性層上に形成された中央感磁部と、この中央感磁部からトラック幅方向の両側に延出されて前記反強磁性層上に形成された延出部とを有し、この延出部のトラック幅方向の寸法が0.1μm以上0.3μm以下である巨大磁気抵抗効果素子。
- 請求項1または2記載の巨大磁気抵抗効果素子において、前記第2フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントは前記第1フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントよりも小さく、該第2フリー磁性層の磁化方向が前記ハードバイアス層の磁化方向と逆向きである巨大磁気抵抗効果素子。
- 請求項1または2記載の巨大磁気抵抗効果素子において、前記第2フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントは前記第1フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントよりも大きく、該第2フリー磁性層の磁化方向が前記ハードバイアス層の磁化方向と同一方向である巨大磁気抵抗効果素子。
- 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の巨大磁気抵抗効果素子において、前記非磁性層は、Ru、Rh、Pd、Ir、Os、Re、Cr、Cu、Pt、Auのうちいずれか1種または2種以上で形成される巨大磁気抵抗効果素子。
- 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の巨大磁気抵抗効果素子において、前記非磁性層がRuによって形成され、その膜厚が6Å以上15Å以下である巨大磁気抵抗効果素子。
- 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の巨大磁気抵抗効果素子において、前記非磁性層がCuによって形成され、その膜厚が7Å以上12Å以下である巨大磁気抵抗効果素子。
- 請求項1ないし7のいずれか一項に記載の巨大磁気抵抗効果素子において、前記第1フリー磁性層及び前記第2フリー磁性層は、CoFe、NiFe、CoFeNiのいずれかで形成される巨大磁気抵抗効果素子。
- 請求項1ないし8のいずれか一項に記載の巨大磁気抵抗効果素子において、前記第1フリー磁性層及び前記第2フリー磁性層は、同一の磁性材料によって形成される巨大磁気抵抗効果素子。
- 請求項1ないし9のいずれか一項に記載の巨大磁気抵抗効果素子において、前記ハードバイアス層は、CoPtまたはCoCrPtによって形成される巨大磁気抵抗効果素子。
- 基板上に、第1反強磁性層、固定磁性層、非磁性中間層、第1フリー磁性層及び非磁性層を順に積層した積層体を形成する工程;
第1の磁場中アニールを施し、前記第1反強磁性層と前記固定磁性層との間に交換結合磁界を生じさせる工程;
前記積層体のトラック幅領域に第1レジスト層を形成する工程;
この第1レジスト層のトラック幅方向の両側から露出する前記積層体の少なくとも前記非磁性層及び前記第1フリー磁性層を除去する工程;
前記除去部上に第2反強磁性層及び非磁性保護層を順に積層形成し、前記第1レジスト層を除去する工程;
低エネルギーイオンミリングにより、前記非磁性層を、該非磁性層上に形成される第2フリー磁性層と前記第1フリー磁性層との間にRKKY的な反平行結合を生じさせる膜厚まで削ると共に、前記第2反強磁性層上の前記非磁性保護層をすべて除去する工程;
前記非磁性層及び前記第2反強磁性層上に、第2フリー磁性層を積層形成する工程;
第2の磁場中アニールを施し、前記第2反強磁性層と前記第2フリー磁性層との間に交換結合磁界を生じさせる工程;
前記第2フリー磁性層のトラック幅領域に、前記第1レジスト層よりもトラック幅方向の寸法が大きい第2レジスト層を形成する工程;
この第2レジスト層のトラック幅方向の両側から露出する前記第2フリー磁性層及び前記第2反強磁性層の一部または全部を除去する工程;及び
前記除去部上にハードバイアス層を形成し、前記第2レジスト層を除去する工程;
を有することを特徴とする巨大磁気抵抗効果素子の製造方法。 - 請求項11記載の巨大磁気抵抗効果素子の製造方法において、前記第2フリー磁性層が前記非磁性層上に位置する中央感磁部及びこの中央感磁部からトラック幅方向の両側に延出された延出部から形成され、この延出部のトラック幅方向の寸法が0.1μm以上0.3μm以下である巨大磁気抵抗効果素子の製造方法。
- 請求項11または12記載の巨大磁気抵抗効果素子の製造方法において、前記第2反強磁性層と前記非磁性保護層との間に強磁性層を形成しておき、該強磁性層を介して前記第2反強磁性層と前記第2フリー磁性層とを結合させる巨大磁気抵抗効果素子の製造方法。
- 請求項11ないし13のいずれか一項に記載の巨大磁気抵抗効果素子の製造方法において、前記第1フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントを前記第2フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントよりも大きくし、さらに、第2フリー磁性層の磁化方向とハードバイアス層の磁化方向とを逆向きにした巨大磁気抵抗効果素子の製造方法。
- 請求項11ないし13のいずれか一項に記載の巨大磁気抵抗効果素子の製造方法において、前記第1フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントを前記第2フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントよりも小さくし、さらに、第2フリー磁性層の磁化方向とハードバイアス層の磁化方向とを同一方向にした巨大磁気抵抗効果素子の製造方法。
- 請求項11ないし15のいずれか一項に記載の巨大磁気抵抗効果素子の製造方法において、前記非磁性保護層は、前記低エネルギーイオンミリング工程にて全て除去されるように、前記非磁性層よりも薄い膜厚で形成される巨大磁気抵抗効果素子の製造方法。
- 請求項11ないし16のいずれか一項に記載の巨大磁気抵抗効果素子の製造方法において、前記非磁性層がRu、Rh、Pd、Ir、Os、Re、Cr、Cu、Pt、Auのうちいずれか1種または2種以上で形成される巨大磁気抵抗効果素子の製造方法。
- 請求項11ないし17のいずれか一項に記載の巨大磁気抵抗効果素子の製造方法において、前記非磁性層がRuで形成され、その膜厚は6Å以上15Å以下である巨大磁気抵抗効果素子の製造方法。
- 請求項11ないし17のいずれか一項に記載の巨大磁気抵抗効果素子の製造方法において、前記非磁性層がCuで形成され、その膜厚は7Å以上12Å以下である巨大磁気抵抗効果素子の製造方法。
- 請求項11ないし19のいずれか一項に記載の巨大磁気抵抗効果素子の製造方法において、前記第1フリー磁性層及び前記第2フリー磁性層がCoFe、NiFe、CoFeNiのいずれかで形成される巨大磁気抵抗効果素子の製造方法。
- 請求項11ないし20のいずれか一項に記載の巨大磁気抵抗効果素子の製造方法において、前記第1フリー磁性層及び前記第2フリー磁性層が同一の磁性材料によって形成される巨大磁気抵抗効果素子の製造方法。
- 請求項11ないし21のいずれか一項に記載の巨大磁気抵抗効果素子の製造方法において、前記ハードバイアス層はCoPtまたはCoCrPtから形成される巨大磁気抵抗効果素子の製造方法。
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JP2002159529A JP2004006493A (ja) | 2002-05-31 | 2002-05-31 | 巨大磁気抵抗効果素子及びその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US6943996B2 (en) * | 2003-07-30 | 2005-09-13 | Hitachi Global Storage Technologies Netherlands, B.V. | Magnetic biasing layer for GMR sensor of a magnetic head for a hard disk drive |
US7768749B2 (en) | 2006-02-10 | 2010-08-03 | Hitachi Global Storage Technologies Netherlands B.V. | Tunnel MR head with long stripe height stabilized through side-extended bias layer |
CN113793896A (zh) * | 2020-05-26 | 2021-12-14 | Tdk株式会社 | 磁畴壁移动元件及磁存储阵列 |
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2002
- 2002-05-31 JP JP2002159529A patent/JP2004006493A/ja not_active Withdrawn
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