JP2002289945A - 磁気検出素子及びその製造方法 - Google Patents

磁気検出素子及びその製造方法

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JP2002289945A
JP2002289945A JP2001089391A JP2001089391A JP2002289945A JP 2002289945 A JP2002289945 A JP 2002289945A JP 2001089391 A JP2001089391 A JP 2001089391A JP 2001089391 A JP2001089391 A JP 2001089391A JP 2002289945 A JP2002289945 A JP 2002289945A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の磁気検出素子では、磁気的なトラック
幅(Mag−Tw)が広がり、前記磁気的なトラック幅
の狭小化を図ることができなかった。 【解決手段】 フリー磁性層29の両側にハードバイア
ス層36を対向させ、前記フリー磁性層29の上面に所
定の間隔を開けて強磁性層59及び第2の反強磁性層6
0を形成する。これにより前記フリー磁性層29の磁化
は両側端部29aは適切にトラック幅方向に固定され、
磁気的なトラック幅(Mag−Tw)を光学的なトラッ
ク幅(Opti−Tw)にほぼ合わせることができ、前
記磁気的なトラック幅の狭小化を図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固定磁性層の磁化
の方向と外部磁界の影響を受けるフリー磁性層の磁化の
方向との関係で電気抵抗が変化する磁気検出素子に係
り、特に磁気的なトラック幅(Mag−Tw)の狭小化
を図るとともに、良好な再生波形及び再生出力を得るこ
とができ、今後の高記録密度化に適切に対応可能な磁気
検出素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図24は従来の磁気検出素子(スピンバ
ルブ型薄膜素子)を記録媒体との対向面側から見た部分
断面図である。
【0003】符号1はTaなどの下地層であり、前記下
地層1の上にはPtMn合金などの反強磁性層2、Ni
Fe合金などの固定磁性層3、Cuなどの非磁性中間層
4、NiFe合金などのフリー磁性層5及びTaなどの
保護層6が形成されている。前記下地層1から前記保護
層6までの各層で多層膜9が形成される。
【0004】図24に示す従来例では、前記多層膜9の
トラック幅方向(図示X方向)の両側には硬磁性材料製
のハードバイアス層7が形成され、その上に電極層8が
形成されている。
【0005】しかしながら図24に示すスピンバルブ型
薄膜素子では、以下のような問題点があった。
【0006】前記フリー磁性層5の上面のトラック幅方
向における幅寸法はトラック幅Twとして規定される
が、今後の高記録密度化に伴い前記トラック幅Twを狭
くすると、前記フリー磁性層5の両側端部5a、5aが
前記ハードバイアス層7からの強い縦バイアス磁界で磁
化されて、前記両側端部5aは外部磁界に対して反転し
づらくなる。いわゆる不感領域となる。このため、実質
的に磁化反転でき、磁気抵抗効果を発揮する領域(いわ
ゆる感度領域という)は、トラック幅Twよりも狭くな
り、狭トラック化に伴って前記領域はますます狭くなる
ため再生出力が低下するといった問題が発生したのであ
る。
【0007】そこで従来では、フリー磁性層5の両側端
部5aが不感領域となっても、ある所定の大きさの感度
領域を確保すべく、スピンバルブ型薄膜素子の構造は以
下のように改良された。
【0008】図25は改良された従来におけるスピンバ
ルブ型薄膜素子を記録媒体との対向面側から見た部分断
面図である。なお図24と同じ符号の層は、図24と同
じ層を表している。
【0009】この従来例では、前記フリー磁性層5の上
面のトラック幅方向の幅寸法はT1であり、前記幅寸法
T1が図24におけるトラック幅Twよりも長くなって
いる。
【0010】そして前記電極層8は、前記ハードバイア
ス層7上から前記フリー磁性層5上に形成された保護層
6上にオーバーラップして形成されている。前記電極層
8がオーバーラップした下に形成されているフリー磁性
層5の部分は不感領域である。
【0011】一方の前記電極層8から他方の電極層8に
流れるセンス電流は、最も短い電流経路を通るため、前
記不感領域には前記センス電流は流れず前記不感領域は
電気的に死んだ状態にあり、感度領域のみに前記センス
電流が流れるようになっている。
【0012】この従来例では、前記電極層8の間隔でト
ラック幅Twが規定され、前記トラック幅Tw領域内は
前記フリー磁性層5における感度領域に該当するため、
前記トラック幅Twの全領域が実質的に磁気抵抗効果に
関与する。
【0013】そしてこの従来例では、前記フリー磁性層
5のトラック幅方向における幅寸法T1を適切に規制す
ることで、今後の狭トラック化においても、所定の大き
さの感度領域を確保することができるため、所定の大き
さの再生出力を得ることができると期待された。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところが図25に示す
構造のスピンバルブ型薄膜素子であると以下のような問
題点が発生した。
【0015】それは前記フリー磁性層5の両側端部5a
の不感領域は、確かに電気的には死んだ状態にあるが、
磁気的には完全に死んだ状態にはなく、外部磁界の影響
で磁化反転する場合があることがわかったのである。
【0016】図26は前記フリー磁性層5を真上から見
た部分模式図であり、不感領域及び感度領域における磁
化方向を矢印で示したものである。
【0017】図26に示すように、記録媒体に記録され
たトラックが、図示右側における不感領域と対向したと
き、前記不感領域の特に感度領域に近い位置での磁化A
は、前記トラックから出る磁界の影響を受けてトラック
幅方向からやや磁化反転する。すなわち前記不感領域の
前記感度領域に近い位置では、前記ハードバイアス層7
からの縦バイアス磁界が弱く、完全にトラック幅方向
(図示X方向)には固定されていない。
【0018】このように、不感領域が磁化反転すると、
その磁化反転が前記感度領域の磁化にも伝播し、前記感
度領域における磁化Bもつられてトラック幅方向から磁
化反転してしまうのである。
【0019】このように不感領域が外部磁界の影響を受
けて磁化反転をすると、前記電極層8のトラック幅方向
の間隔で規定されていたトラック幅Twは磁気的には広
がり、実質的に磁気抵抗効果に関与する磁気的なトラッ
ク幅(Mag−Tw)の狭小化を図ることができない。
【0020】また不感領域の一部が隣接トラックから出
た外部磁界の影響を受けて磁化反転するとクロストーク
の問題も発生する。
【0021】また図27は、他の従来例におけるスピン
バルブ型薄膜素子を記録媒体との対向面側から見た部分
断面図である。
【0022】図27では図24及び図25のように前記
フリー磁性層5のトラック幅方向の両側にハードバイア
ス層7を設けていない。
【0023】図27では、前記フリー磁性層5の上にト
ラック幅方向に所定の間隔(トラック幅Tw)を開けた
反強磁性層10が形成されている。そして前記反強磁性
層10と前記フリー磁性層5間で発生する交換異方性磁
界によって、前記フリー磁性層5の両側端部5aの磁化
は適切にトラック幅方向に固定され、前記フリー磁性層
5の中央領域5bの磁化は、適切にトラック幅方向に揃
えられ、前記中央領域5bの磁化の磁化反転で磁気抵抗
効果が発揮される。
【0024】図28は、図27のスピンバルブ型薄膜素
子の製造方法を示す一工程図である。
【0025】図28の工程では、下地層1からフリー磁
性層5までの多層膜11を連続成膜した後、前記フリー
磁性層5の上にリフトオフ用のレジスト層Rを形成し、
前記レジスト層Rに覆われていない前記フリー磁性層5
の上に反強磁性層10及び電極層8をスパッタ成膜す
る。
【0026】このとき前記レジスト層Rの上面及びトラ
ック幅方向の側面にも反強磁性層10を構成する反強磁
性材料層10aと電極層8を構成する導電性材料層8a
が成膜される。そして前記レジスト層Rを除去すると図
27に示すスピンバルブ型薄膜素子が完成する。
【0027】しかしながら図27に示す構造のスピンバ
ルブ型薄膜素子では以下のような問題点があった。
【0028】すなわち図28に示すように、リフトオフ
用のレジスト層Rを用いて成膜された反強磁性層10の
トラック幅方向(図示X方向)の内側先端部10b,1
0bは先細るため、この内側先端部10bとフリー磁性
層5間で発生する交換異方性磁界は非常に小さくなる。
従って、先細った前記内側先端部10b下に位置するフ
リー磁性層5には十分な縦バイアス磁界は供給されず、
よってトラック幅Tw間のフリー磁性層5は弱い縦バイ
アス磁界のために単磁区化されにくく、バルクハウゼン
ノイズの発生などの問題が生じる。
【0029】またこの従来例でも磁気的なトラック幅
(Mag−Tw)がトラック幅Twよりも広がり、前記
磁気的なトラック幅の狭小化を適切に図ることができな
い。
【0030】以上のように、図24ないし図26に示す
ハードバイアス方式によって前記フリー磁性層5の磁化
を単磁区化する方法、および図27及び図28に示すエ
クスチェンジバイアス方式によって前記フリー磁性層5
の磁化を単磁区化する方法では共に問題があり、今後の
狭トラック化に対応可能なスピンバルブ型薄膜素子を製
造することはできなかった。
【0031】そこで本発明は、上記の課題を解決するた
めになされたものであって、特に磁気的なトラック幅
(Mag−Tw)の狭小化を図ると共に、良好な再生波
形及び再生出力を得ることが可能な磁気検出素子及びそ
の製造方法を提供すること目的としている。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明は、下から順に、
第1の反強磁性層、固定磁性層、非磁性中間層及びフリ
ー磁性層を有して積層された多層膜を有する磁気検出素
子において、前記フリー磁性層のトラック幅方向の両側
にはバイアス層が対向して形成され、前記フリー磁性層
の上にはトラック幅方向に間隔を開けて第2の反強磁性
層が形成されていることを特徴とするものである。
【0033】本発明では、フリー磁性層のトラック幅方
向の両側にバイアス層を設けることで、前記バイアス層
から前記フリー磁性層に縦バイアス磁界を与えることが
できると同時に、前記フリー磁性層の上に形成された第
2の反強磁性層との交換異方性磁界によって、前記フリ
ー磁性層の両側端部を適切にトラック幅方向に固定する
ことができる。
【0034】これによって前記フリー磁性層の両側端部
の特に感度領域に近い部分も、外部磁界によって磁化反
転することがなくなり、前記フリー磁性層の中央領域の
部分のみが適切に感度領域として働き磁気的なトラック
幅(Mag−Tw)を所定寸法で形成することができ
る。
【0035】したがって本発明では、前記磁気的なトラ
ック幅(Mag−Tw)の狭小化を図ることができると
共に、良好な再生波形及び再生出力を得ることができ、
今後の高記録密度化に優れた磁気再生素子を製造するこ
とが可能である。
【0036】また本発明では、前記第2の反強磁性層
は、前記バイアス層上から前記フリー磁性層上にかけて
形成されていることが好ましい。例えばこの実施形態
は、図1ないし7及び図11が該当する。
【0037】上記のように前記第2の反強磁性層を、前
記バイアス層上から前記フリー磁性層上にかけて形成す
る形態であれば、前記フリー磁性層の両側端部の磁化を
確実にトラック幅方向に固定できると共に製造方法も容
易である。
【0038】また本発明では、前記第2の反強磁性層
と、前記バイアス層及びフリー磁性層との間には強磁性
層が形成されていることが好ましい。これにより前記強
磁性層と前記第2の反強磁性層間で交換異方性磁界を発
生させて、前記強磁性層の磁化をトラック幅方向に固定
し、前記強磁性層との強磁性結合によって、前記フリー
磁性層の両側端部の磁化を確実にトラック幅方向に固定
することができる。
【0039】なお本発明では、前記強磁性層は、NiF
eX(ただし元素Xは、Cr、Nb、Ta、Rh、I
r、Re、Ruのうちいずれか1種または2種以上)合
金で形成されることが好ましい。
【0040】また本発明では、前記強磁性層と前記バイ
アス層間には、非磁性の中間層が形成されていることが
好ましい。これにより前記強磁性層の特性を高めること
ができる。具体的には前記強磁性層と前記第2の反強磁
性層間で発生する交換異方性磁界とブロッキング温度を
高めることができる。
【0041】なお前記非磁性の中間層は、Ta,Hf,
Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち少なくとも1種以上
で形成されることが好ましい。
【0042】また本発明では、前記第2の反強磁性層の
上には電極層が形成されていることが好ましい。
【0043】また本発明では、前記フリー磁性層は、単
位面積当たりの磁気モーメントが異なる2層の磁性層と
その間に非磁性の中間層が形成された人工フェリ磁性構
造であることが好ましい。
【0044】さらに本発明では、前記フリー磁性層上で
あって、前記第2の反強磁性層の間隔内には、バックド
層が形成され、さらにその上に鏡面反射層が積層されて
いるか、あるいは前記バックド層または前記鏡面反射層
が形成されていることが好ましい。
【0045】本発明における磁気再生素子の製造方法
は、以下の工程を有することを特徴とするものである。 (a)基板上に、第1の反強磁性層、固定磁性層、非磁
性中間層及びフリー磁性層の順に多層膜を積層形成する
工程と、(b)前記フリー磁性層上にリフトオフ用のレ
ジスト層を形成し、前記レジスト層に覆われていない前
記多層膜のトラック幅方向の両側端部を除去する工程
と、(c)前記多層膜の両側にバイアス層とその上に非
磁性の中間層を形成する工程と、(d)前記レジスト層
を除去し、前記フリー磁性層上に前記レジスト層よりも
トラック幅方向の幅寸法が小さいリフトオフ用のレジス
ト層を形成し、前記レジスト層に覆われていない前記フ
リー磁性層の両側端部及び中間層上に強磁性層及び第2
の反強磁性層を連続成膜し、さらに前記第2の反強磁性
層上に電極層を形成した後、前記レジスト層を除去する
工程。
【0046】上記の製造方法により、前記フリー磁性層
のトラック幅方向の両側にバイアス層を形成できると共
に、前記フリー磁性層の上面にトラック幅方向に所定の
間隔を開けた第2の反強磁性層を容易にしかも適切に形
成することが可能である。
【0047】また本発明における磁気検出素子の製造方
法は、以下の工程を有することを特徴とするものであ
る。(e)基板上に、第1の反強磁性層、固定磁性層、
非磁性中間層及びフリー磁性層の順に多層膜を積層形成
し、さらに前記フリー磁性層上にバックド層、鏡面反射
層を順に積層するか、あるいは前記フリー磁性層上に、
バックド層または前記鏡面反射層を形成し、あるいはさ
らに前記バックド層上または鏡面反射層上に保護層を形
成する工程と、(f)前記保護層、バックド層あるいは
鏡面反射層上にリフトオフ用のレジスト層を形成し、前
記レジスト層に覆われていない、保護層、バックド層、
鏡面反射層、及び前記多層膜のトラック幅方向の両側端
部を除去する工程と、(g)少なくとも前記多層膜の両
側にバイアス層とその上に非磁性の中間層を形成する工
程と、(h)前記保護層、鏡面反射層上あるいはバック
ド層上に、前記レジスト層よりもトラック幅方向の幅寸
法が小さいリフトオフ用のレジスト層を形成し、前記レ
ジスト層に覆われていない、前記バックド層、鏡面反射
層及び保護層を除去し、前記フリー磁性層の両側端部を
露出させる工程と、(g)前記フリー磁性層の両側端部
及び中間層上に強磁性層及び第2の反強磁性層を連続成
膜し、さらに前記第2の反強磁性層上に電極層を形成し
た後、前記レジスト層を除去する工程。
【0048】上記工程を施すことで、前記フリー磁性層
上に形成された第2の反強磁性層間の間隔内に、バック
ド層と鏡面反射層、あるいはバックド層または鏡面反射
層を容易に形成することができる。
【0049】また本発明では、前記(a)工程と前記
(b)工程の間に、あるいは前記(e)工程と(f)工
程の間に、前記多層膜にハイト方向の磁界を印加しつ
つ、第1の熱処理温度で熱処理し、前記第1の反強磁性
層と固定磁性層間に交換異方性磁界を発生させ、前記固
定磁性層の磁化を前記ハイト方向に固定し、前記(d)
工程あるいは前記(g)工程で第2の反強磁性層を積層
形成した後、トラック幅方向に前記第1の反強磁性層の
交換異方性磁界よりも小さい第2の磁界を印加しつつ、
前記第1の反強磁性層のブロッキング温度よりも低い第
2の熱処理温度で熱処理して、前記第2の反強磁性層と
強磁性層間に交換異方性磁界を発生させ、前記軟磁性層
の磁化をトラック幅方向に固定することが好ましい。
【0050】上記の製造方法では、印加磁界と熱処理温
度の大きさを適切に制御することで、前記第1の反強磁
性層に接する固定磁性層の磁化をトラック幅方向と交叉
する方向(ハイト方向)に固定し、第2の反強磁性層と
接する強磁性層の磁化を前記トラック幅方向に固定する
ことができる。
【0051】このように、前記固定磁性層の磁化制御と
強磁性層の磁化制御を、印加磁界と熱処理温度を調整す
るのみで簡単に行うことができる。
【0052】また本発明では、前記第1の反強磁性層と
第2の反強磁性層を、元素X(ただしXは、Pt,P
d,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上
の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成
することが好ましい。
【0053】また本発明では、前記第1の反強磁性層と
第2の反強磁性層をX−Mn−X′合金(ただし元素
X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,
Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,
Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,A
g,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、
及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素であ
る)で形成しても良い。
【0054】
【発明の実施の形態】図1は本発明における第1実施形
態の磁気検出素子(スピンバルブ型薄膜素子)を備えた
薄膜磁気ヘッドの構造を記録媒体との対向面側から見た
部分断面図である。
【0055】図1に示す薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に
記録された外部信号を再生するためのMRヘッドであ
る。図1には前記MRヘッドのみが開示されているが、
前記MRヘッドの上に記録用のインダクティブヘッドが
積層されていてもよい。前記インダクティブヘッドは磁
性材料製のコア層とコイル層とを有して構成される。
【0056】また前記薄膜磁気ヘッドは、例えばアルミ
ナ−チタンカーバイト(Al23−TiC)で形成され
たスライダのトレーリング側端面上に形成される。前記
スライダは、記録媒体との対向面と逆面側で、ステンレ
ス材などによる弾性変形可能な支持部材と接合され、磁
気ヘッド装置が構成される。
【0057】図1に示す符号20は、下部シールド層で
ある。前記下部シールド層20はNiFe合金やセンダ
ストなどの磁性材料によって形成される。
【0058】前記下部シールド層20上にはAl23
SiO2などの絶縁材料製の下部ギャップ層21が形成
されている。
【0059】そして前記下部ギャップ層21上に磁気検
出素子22が形成される。図1に示す磁気検出素子22
は、いわゆるシングルスピンバルブ型薄膜素子と呼ばれ
る構成である。以下、前記磁気検出素子22を構成する
各層について説明する。
【0060】まず、前記下部ギャップ層21の図面中央
の上面には下地層23が形成される。前記下地層23
は、Ta,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち少
なくとも1種以上で形成されることが好ましい。前記下
地層23は50Å以下程度の膜厚で形成される。なおこ
の下地層23は形成されていなくても良い。
【0061】次に前記下地層23の上には第1の反強磁
性層26が形成される。前記第1の反強磁性層26は、
元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,
Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnと
を含有する反強磁性材料で形成されることが好ましい。
あるいは前記第1の反強磁性層26は、元素Xと元素
X′(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,B
e,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,C
r,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Z
r,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,
Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2
種以上の元素である)とMnを含有する反強磁性材料に
より形成されることが好ましい。
【0062】これらの反強磁性材料は、耐食性に優れし
かもブロッキング温度も高く次に説明する固定磁性層2
7との界面で大きな交換異方性磁界を発生し得る。また
前記第1の反強磁性層26は80Å以上で250Å以下
の膜厚で形成されることが好ましい。
【0063】次に前記反強磁性層26の上には固定磁性
層27が形成されている。この実施形態では前記固定磁
性層27は3層構造で形成されている。
【0064】前記固定磁性層27を構成する符号51及
び53の層は磁性層であり、例えばCo、CoFe、N
iFe、CoFeNiなどで形成される。前記磁性層5
1,53間にはRuなどで形成された中間層52が介在
し、この構成により、前記磁性層51と前記磁性層53
の磁化方向は互いに反平行状態にされる。これはいわゆ
る人工フェリ磁性状態と呼ばれる。
【0065】前記第1の反強磁性層26と前記固定磁性
層27の前記第1の反強磁性層26と接する磁性層51
間には磁場中熱処理によって交換異方性磁界が発生し、
例えば前記磁性層51の磁化がハイト方向(図示Y方
向)に固定された場合、もう一方の磁性層53はハイト
方向とは逆方向(図示Y方向と逆方向)に磁化され固定
される。この構成により前記固定磁性層27の磁化を安
定した状態にでき、また前記固定磁性層27と第1の反
強磁性層26との界面で発生する交換異方性磁界を見か
け上大きくすることができる。
【0066】なお例えば、前記磁性層51,53の膜厚
はそれぞれ10〜70Å程度で形成される。また中間層
52の膜厚は3Å〜10Å程度で形成で形成される。
【0067】また前記磁性層51、53はそれぞれ単位
面積当たりの磁気モーメントが異なるように、前記磁性
層51、53の材質や膜厚がそれぞれ異なっている。前
記磁気モーメントは飽和磁化Ms×膜厚tで設定され、
例えば前記磁性層51、53を共に同じ材質で同じ組成
の材料で形成するとき、前記磁性層51、53の膜厚を
異ならせることで、前記磁性層51、53の磁気モーメ
ントを異ならせることができる。これによって適切に前
記磁性層51、53を人工フェリ磁性構造にすることが
可能である。
【0068】なお本発明では前記固定磁性層27は人工
フェリ磁性構造ではなくNiFe合金、NiFeCo合
金、あるいはCoFe合金などの単層膜あるいは積層膜
で形成されていても良い。
【0069】前記固定磁性層27の上には非磁性中間層
28が形成されている。前記非磁性中間層28は例えば
Cuなどの電気抵抗の低い導電性材料によって形成され
る。前記非磁性中間層28は例えば18〜30Å程度の
膜厚で形成される。
【0070】次に前記非磁性中間層28の上にはフリー
磁性層29が形成される。前記フリー磁性層29は、N
iFe合金、CoFe合金、Co、CoNiFe合金な
どにより形成される。また前記フリー磁性層29は、2
0Å以上で40Å以下程度の膜厚で形成されることが好
ましい。また前記フリー磁性層29は2層構造で形成さ
れ、前記非磁性中間層28と対向する側にCo膜あるい
はCoFe膜が形成されていることが好ましい。これに
より前記非磁性中間層28との界面での金属元素等の拡
散を防止でき、抵抗変化率(ΔR/R)を大きくするこ
とができる。
【0071】次に前記フリー磁性層29の図面中央上に
は金属材料あるいは非磁性金属のCu,Au,Agから
なるバックド層57が形成されている。また前記バック
ド層57の上には、鏡面反射層30が形成されている。
前記鏡面反射層30は、Fe−O、Ni−O、Co−
O、Co−Fe−O、Co−Fe−Ni−O、Al−
O、Al−Q−O(ここでQはCu、B、Si、N、T
i、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選択される
1種以上)、R−O(ここでRはTi、V、Cr、Z
r、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以
上)等の酸化物、Al−N、Al−Q−N(ここでQは
B、Si、O、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、N
iから選択される1種以上)、R−N(ここでRはT
i、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから
選択される1種以上)等の窒化物等で形成できる。
【0072】本発明では、前記フリー磁性層29の上に
バックド層57及び鏡面反射層30が形成されることに
よって、磁気抵抗効果に関与する+スピン(上向きスピ
ン)の電子における平均自由行程(mean free
path)を延ばし、いわゆるスピンフィルター効果
(spin filter effect)により磁気
抵抗効果素子において、大きな抵抗変化率が得られ、高
記録密度化に対応可能な薄膜磁気ヘッドを製造すること
ができる。
【0073】ただし本発明では、前記バックド層57か
鏡面反射層30のどちらか一方のみが形成される形態で
あっても良い。また図1に示す鏡面反射層30の上にT
aなどからなる保護層(この保護層の表面は酸化されて
いることが好ましい)が形成されていても良い。
【0074】本発明では、図1に示すように上記した前
記第1の反強磁性層26の下側端部26a、26aは、
トラック幅方向(図示X方向)に延びて形成され、前記
下側端部26aの付け根部分からフリー磁性層29まで
の多層膜の両側端面31,31が、前記下部シールド層
20から離れる方向(図示Z方向)に向けて幅寸法が小
さくなる連続した傾斜面となっている。
【0075】次に前記多層膜31のトラック幅方向(図
示X方向)の両側領域には、前記第1の反強磁性層26
の下側端部26a上から前記多層膜の両側端面31上に
かけて、バイアス下地層35が形成されており、前記バ
イアス下地層35の上にハードバイアス層36が形成さ
れている。前記ハードバイアス層36は例えばCo−P
t(コバルト−白金)合金やCo−Cr−Pt(コバル
ト−クロム−白金)合金などで形成されている。
【0076】なお前記ハードバイアス層36は、少なく
とも前記フリー磁性層29と対向する位置まで形成され
る。
【0077】次に前記ハードバイアス層36の上には非
磁性の中間層58が形成されている。前記中間層58
は、例えばTa,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wの
うち少なくとも1種以上で形成されている。この実施形
態では前記フリー磁性層29の上面から前記中間層58
の上面にかけては連続面となっている。
【0078】さらにこの実施形態では、前記中間層58
上から前記フリー磁性層29上にかけて強磁性層59が
形成され、前記強磁性層59の上には第2の反強磁性層
60が形成されている。
【0079】前記第2の反強磁性層60は、前記第1の
反強磁性層26と同様に、元素X(ただしXは、Pt,
Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以
上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形
成されることが好ましい。あるいは前記第2の反強磁性
層60は、元素Xと元素X′(ただし元素X′は、N
e,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,A
l,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,C
u,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,C
d,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希
土類元素のうち1種または2種以上の元素である)とM
nを含有する反強磁性材料により形成されることが好ま
しい。
【0080】また前記第2の反強磁性層60の上には電
極層32、32が形成されている。前記電極層32は、
例えばα−Ta、Au、Cr、Cu(銅)、Rh、I
r、RuやW(タングステン)などで形成されている。
【0081】次に前記電極層32上から前記鏡面反射層
30上にかけて上部ギャップ層38が形成され、前記上
部ギャップ層38の上に上部シールド層39が形成され
る。前記上部ギャップ層38は前記下部ギャップ層21
として使用可能な非磁性材料で形成され、また上部シー
ルド層39は下部シールド層20として使用可能な磁性
材料で形成される。なお前記上部シールド層39の上に
インダクティブヘッドも形成される場合には、前記上部
シールド層39は前記インダクティブヘッドの下部コア
層として兼用されても良いし、前記下部コア層を別に形
成しても良い。
【0082】この磁気検出素子では、前記電極層32,
32から、固定磁性層27、非磁性中間層28及びフリ
ー磁性層29に検出電流(センス電流)が与えられる。
ハードディスクなどの記録媒体の走行方向はZ方向であ
り、記録媒体からの洩れ磁界がY方向に与えられると、
フリー磁性層29の磁化が図示X方向の一方向からY方
向へ向けて変化する。このフリー磁性層29内での磁化
の方向の変動と、固定磁性層27の固定磁化方向との関
係で電気抵抗が変化し(これを磁気抵抗効果という)、
この電気抵抗値の変化に基づく電圧変化により、記録媒
体からの洩れ磁界が検出される。
【0083】ところで図1に示す実施形態では、前記フ
リー磁性層29のトラック幅方向における上面の幅寸法
はT2で形成されている。この幅寸法T2は、予めマイ
クロトラックプロファイル法などによって設定される。
前記幅寸法T2は、走査型電子顕微鏡や光学顕微鏡によ
って測定される光学的なトラック幅(Opti−Tw)
よりも長く形成されている。
【0084】また図1に示すフリー磁性層29のトラッ
ク幅方向の両側にはハードバイアス層36が対向してい
る。さらに前記フリー磁性層29の上面には所定の間隔
を開けて強磁性層59と第2の反強磁性層が積層されて
おり、光学顕微鏡によって測定される光学的なトラック
幅(Opti−Tw)は、前記電極層32、32のトラ
ック幅方向(図示X方向)への間隔で設定される。なお
一般的にトラック幅Twというときは、前記光学的なト
ラック幅(Opti−Tw)を指している。
【0085】本発明は、前記光学的なトラック幅(Op
ti−Tw)よりもトラック幅方向の両側に位置するフ
リー磁性層29の両側端部29aが、磁気抵抗効果に関
与しないように、前記両側端部29aの磁化を適切にト
ラック幅方向に固定し、前記両側端部29aを確実に不
感領域にし、前記光学的なトラック幅(Opti−T
w)内のフリー磁性層29のみが実質的に磁気抵抗効果
に関与する感度領域となるようにして、磁気的なトラッ
ク幅(Mag−Tw)が前記光学的なトラック幅(Op
ti−Tw)よりも広がらないようにすべく発明された
ものである。
【0086】図2は図1に示す磁気検出素子22の図示
右側部分のみを拡大した部分拡大断面図である。
【0087】図2に示すように、前記フリー磁性層29
の側面には、バイアス下地層35を介してハードバイア
ス層36が対向している。このため、前記フリー磁性層
29の両側端部29aの磁化は、前記ハードバイアス層
36からの強い縦バイアス磁界を受けてトラック幅方向
に固定される。
【0088】しかし前記両側端部29aの光学的なトラ
ック幅(Opti−Tw)に近い位置C、Cでは、前記
ハードバイアス層36からの縦バイアス磁界が弱まるた
め前記位置Cでの磁化はトラック幅方向に強固に固定さ
れにくい。
【0089】このため本発明では、前記フリー磁性層2
9の前記両側端部29a上に第2の反強磁性層60を形
成し、前記位置Cでの磁化を前記第2の反強磁性層60
との交換異方性磁界によって強固にトラック幅方向に固
定している。
【0090】この実施形態では、前記フリー磁性層29
の上には強磁性層59が形成され、その上に第2の反強
磁性層60が形成されている。
【0091】かかる形態では、前記強磁性層59と第2
の反強磁性層60間で発生する交換異方性磁界によって
前記強磁性層59の磁化は適切にトラック幅方向(図示
X方向)に固定される。そして前記強磁性層59と直接
接合するフリー磁性層29の両側端部29aは、前記強
磁性層59との強磁性結合によってトラック幅方向に磁
化されて固定されるようになっている。
【0092】このように本発明によれば、前記フリー磁
性層29の両側端部29aの磁化は適切にトラック幅方
向(図示X方向)に固定されるため、この部分に外部磁
界が侵入してきても磁化反転は起こらず、したがって実
質的に磁気抵抗効果に関与する磁気的トラック幅(Ma
g−Tw)を前記光学的なトラック幅(Opti−T
w)と同程度に小さくでき、前記磁気的なトラック幅
(Mag−Tw)の狭小化を実現できると共に、前記磁
気的なトラック幅(Mag−Tw)を前記光学的なトラ
ック幅(Opti−Tw)の幅寸法に合わせて設定でき
るため、前記磁気的なトラック幅(Mag−Tw)を所
定寸法の範囲内で適切に形成することができ、再生波形
にばらつきが無く、所定の大きさの再生出力を有する磁
気検出素子22を製造することが可能である。
【0093】次に本発明における好ましい形態について
以下に説明する。まず図1、2に示すように、前記フリ
ー磁性層29と前記第2の反強磁性層60との間には強
磁性層59が形成されていることが好ましい。
【0094】磁性層と第2の反強磁性層60との間で交
換異方性磁界を適切に発生させるには、前記磁性層と前
記第2の反強磁性層60とを連続成膜する必要性があ
る。
【0095】しかし図1に示す実施形態では、後で製造
方法で説明するように、前記フリー磁性層29と第2の
反強磁性層60とを連続成膜しないため、前記フリー磁
性層29に直接、前記第2の反強磁性層60を成膜する
と、前記フリー磁性層29と第2の反強磁性層60との
間に所定の大きさの交換異方性磁界を発生させることが
できない場合がある。
【0096】このため本発明では、前記フリー磁性層2
9の上に、強磁性層59と第2の反強磁性層60とを連
続成膜し、前記強磁性層59と前記第2の反強磁性層6
0との間で所定の大きさの交換異方性磁界を発生させ
て、前記強磁性層59を確実にトラック幅方向に固定す
る。そして前記強磁性層59と重ねられたフリー磁性層
29の両側端部29aの磁化は前記強磁性層59との強
磁性結合によって、適切にトラック幅方向に固定される
ので、本発明では前記両側端部29aを確実に磁気的に
殺すことができ、磁気的なトラック幅(Mag−Tw)
の狭小化を図ることができ、今後の高記録密度化に対応
可能な磁気検出素子22を製造することが可能である。
【0097】次にこの図1、2に示す実施形態では、前
記強磁性層59及び第2の反強磁性層60は、前記ハー
ドバイアス層36からフリー磁性層29上にかけて形成
されている。このような形態となるのは、後述する製造
方法に起因するものである。なお本発明では、このよう
な形態とすることで、前記強磁性層59の磁化を適切に
トラック幅方向に固定でき、前記強磁性層59との間で
強磁性結合する前記フリー磁性層29の両側端部29a
の磁化を確実にトラック幅方向に固定できる。
【0098】次に、この図2に示す実施形態では、前記
第2の反強磁性層60のトラック幅方向(図示X方向)
における内側端面60aが傾斜面となって、前記第2の
反強磁性層60の内側先端部60bは先細り形状となっ
ているが、前記フリー磁性層29の両側端部29aの磁
化は適切にトラック幅方向に固定される。つまり前記先
細り形状の部分と対向する前記フリー磁性層29の両側
端部29aの位置Cにおいて、強磁性層59との強磁性
結合が弱まり、前記位置Cでの磁化が適切にトラック幅
方向に固定されないということはない。
【0099】それは本発明では、前記フリー磁性層29
の両側端部29aには、ハードバイアス層36からの縦
バイアス磁界と、第2の反強磁性層60と強磁性層59
間に発生した交換異方性磁界によって磁化された前記強
磁性層59との強磁性結合の双方が働くため、前記第2
の反強磁性層60の内側先端部60bが先細り形状であ
っても、前記フリー磁性層29の両側端部29aの位置
Cでの磁化を確実にトラック幅方向に固定することが可
能である。
【0100】次に、前記ハードバイアス層36と前記強
磁性層59との間には非磁性の中間層58が形成されて
いるが、これにより前記強磁性層59の特性を向上させ
ることができる。具体的には前記強磁性層と前記第2の
反強磁性層間で発生する交換異方性磁界とブロッキング
温度を高めることができる。なお前記中間層58は形成
されていなくてもかまわない。
【0101】次に、本発明では、前記強磁性層59の膜
厚は20〜100Å程度で形成されることが好ましい。
また前記第2の反強磁性層60の前記フリー磁性層29
上に形成された位置での先細り形状以外の部分の膜厚H
1は150〜500Å程度で形成されることが好まし
い。
【0102】次に図1、2に示す実施形態では、前記ハ
ードバイアス層36の下側にバイアス下地層35が形成
されているが、前記バイアス下地層35は前記ハードバ
イアス層36の特性(保磁力Hc、角形比S)を向上さ
せるために設けられたものである。
【0103】本発明では、前記バイアス下地層35は、
結晶構造が体心立方構造(bcc構造)の金属膜で形成
されることが好ましい。なおこのとき前記バイアス下地
層35の結晶配向は(100)面が優先配向するのが好
ましい。
【0104】また前記ハードバイアス層36は、CoP
t合金やCoPtCr合金などで形成される。これら合
金の結晶構造は、一般的にはバルクにおいて面心立方構
造(fcc)と稠密六方構造(hcp)の混相となるよ
うな組成付近の膜組成に設定される。
【0105】ここで上記の金属膜で形成されたバイアス
下地層35とハードバイアス層36を構成するCoPt
系合金のhcp構造の格子定数は近い値となるために、
CoPt系合金はfcc構造を形成しづらくhcp構造
で形成されやすくなる。このときhcp構造のc軸はC
oPt系合金とバイアス下地層35の境界面内に優先配
向される。前記hcp構造はfcc構造に比べてc軸方
向に大きな磁気異方性を生じるため、ハードバイアス層
に磁界を与えたときの保磁力Hcは大きくなるのであ
る。さらにhcpのc軸はCoPt系合金とバイアス下
地層との境界面内で優先配向となっているため、残留磁
化が増大し、残留磁化/飽和磁化で求められる角形比S
は大きくなる。その結果、前記ハードバイアス層36の
特性を向上させることができ、前記ハードバイアス層3
6から発生するバイアス磁界を増大させることができ
る。
【0106】本発明では、結晶構造が体心立方構造(b
cc構造)の金属膜は、Cr,W,Mo,V,Mn,N
b,Taのいずれか1種または2種以上の元素で形成さ
れることが好ましい。
【0107】なお図1、2に示す実施形態では、前記バ
イアス下地層35は、前記ハードバイアス層36とフリ
ー磁性層29間にも形成されているが、これによって前
記フリー磁性層29の両側端部29aの前記ハードバイ
アス層36に近い側では、反磁界が大きくなって、バッ
クリング現象が起こりやすくなる。前記バックリング現
象とは反磁界の影響で、前記フリー磁性層29の磁化が
乱れて磁壁が生じるという磁化不連続現象のことであ
り、これにより再生波形の安定性が低下する虞がある。
【0108】このような問題を解決するには、前記ハー
ドバイアス層36とフリー磁性層29とを磁気的な連続
体とすべく、前記フリー磁性層29の両側に直接、前記
ハードバイアス層36を形成すれば良い。したがって本
発明では、前記フリー磁性層29の両側に前記ハードバ
イアス層36を直接接合させることが好ましい。
【0109】なお前記ハードバイアス層36とフリー磁
性層29間に前記バイアス下地層35が介在していても
前記バイアス下地層35のトラック幅方向(図示X方
向)における膜厚が1nm以下であれば、前記バックリ
ング現象の発生を抑えることができる。
【0110】次に前記強磁性層59の材質について説明
する。前記強磁性層59は前記フリー磁性層29と同様
にNiFe合金、CoFe合金、CoFeNi合金、C
oなどで形成されてもよいが、例えばNiFeX(ただ
し元素Xは、(ただし元素Xは、Cr、Nb、Ta、R
h、Ir、Re、Ruのうちいずれか1種または2種以
上)合金で形成することもできる。元素Xの添加によっ
て、NiFeX合金は、NiFe合金などの磁性材料に
比べて比抵抗が高くなるとともにNiFeX合金そのも
のが持つ異方性磁気抵抗効果(AMR効果)が著しく低
下する。
【0111】前記フリー磁性層29はその中央領域が、
実質的に磁気抵抗効果に関与する感度領域であり、その
ため前記フリー磁性層29の比抵抗は低いことが、磁気
抵抗効果を大きくできて好ましい。
【0112】これに対し前記強磁性層59は、前記フリ
ー磁性層29の両側端部29aをトラック幅方向に適切
に磁化させるために設けられた層であり、本発明では、
前記強磁性層59は磁気抵抗効果に関与しない。前記強
磁性層59の磁化は前記第2の反強磁性層60との間で
発生する交換異方性磁界によってトラック幅方向に固定
され、また前記ハードバイアス層36からの縦バイアス
磁界もある程度受けるものと考えられるため、前記強磁
性層59の磁化は確実にトラック幅方向に固定された状
態にあり、前記強磁性層59の磁化は外部磁界の影響を
受けても変動しない。
【0113】しかし前記強磁性層59を確実に磁気抵抗
効果に関与しないようにするには、前記強磁性層59の
比抵抗を前記フリー磁性層29の比抵抗よりも大きくし
ておき、前記強磁性層59から発生するAMR効果を低
減しておくことが好ましく、したがって本発明では、上
記したNiFeX合金で前記強磁性層59を形成するこ
ととしている。
【0114】以下、本発明における別の実施形態につい
て説明する。なお図1と同じ符号が付けられた層は図1
と同じ層を示している。
【0115】図3は本発明における第2実施形態の磁気
検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断
面図である。
【0116】図3は図1と異なり、フリー磁性層29が
3層構造となっている。前記フリー磁性層29を構成す
る符号61及び63の層は磁性層であり、例えばCo、
CoFe、NiFe、CoFeNiなどで形成される。
前記磁性層61,63間にはRuなどで形成された中間
層62が介在し、この構成により、前記磁性層61と前
記磁性層63の磁化方向は互いに反平行状態にされる。
これはいわゆる人工フェリ磁性状態と呼ばれる。
【0117】前記磁性層61,63の膜厚はそれぞれ1
0〜70Å程度で形成される。また中間層62の膜厚は
3Å〜10Å程度で形成で形成される。
【0118】なお前記磁性層61、63はそれぞれ単位
面積当たりの磁気モーメントが異なるように、前記磁性
層61、63の材質や膜厚はそれぞれ異なっている。前
記単位面積当たりの磁気モーメントは飽和磁化Ms×膜
厚tで設定され、例えば前記磁性層61、63を共に同
じ材質で同じ組成の材料で形成するとき、前記磁性層6
1、63の膜厚を異ならせることで、前記磁性層61、
63の磁気モーメントを異ならせることができる。これ
によって適切に前記磁性層61、63を人工フェリ磁性
構造にすることが可能である。
【0119】図3のように前記フリー磁性層29を人工
フェリ磁性構造とすることで、前記フリー磁性層29を
適切に単磁区化でき、バルクハウゼンノイズが少なく、
再生出力の高い磁気検出素子を製造することが可能であ
る。なお前記フリー磁性層29の磁性層61、63のう
ち、磁気抵抗効果に関与するのは、非磁性中間層28に
接する磁性層61である。
【0120】この図3に示す実施形態では、前記フリー
磁性層29を構成する上側の磁性層63の両側端部63
a上に強磁性層59及び第2の反強磁性層60が積層さ
れ、前記強磁性層59及び第2の反強磁性層60間の間
隔内に、バックド層57及び鏡面反射層30が積層され
ている。
【0121】この図3に示す実施形態では、前記フリー
磁性層29を構成する磁性層61、63の両側端部61
a、63aの磁化は、ハードバイアス層36からの縦バ
イアス磁界を受ける。また前記磁性層63の両側端部6
3aの磁化は、第2の反強磁性層60との間で発生した
交換異方性磁界によって単磁区化された強磁性層59と
の強磁性結合によって、トラック幅方向の一方向(図示
X方向の一方向)に固定され、またもう一方の磁性層6
1には、前記磁性層63とのRKKY相互作用が作用
し、前記磁性層61の両側端部61aは、前記磁性層6
3の磁化方向と逆方向に固定される。
【0122】これによって前記フリー磁性層29の磁性
層61、63の両側端部61a、63aの磁化はトラッ
ク幅方向(図示X方向)に反平行状態になって確実に固
定される。
【0123】したがって、磁気的なトラック幅(Mag
−Tw)を光学的なトラック幅(Opti−Tw)と同
程度にでき、前記磁気的なトラック幅(Mag−Tw)
の狭小化を図ることができると共に、前記磁気的なトラ
ック幅(Mag−Tw)を、前記光学的なトラック幅
(Opti−Tw)の幅寸法に合わせて設定できるた
め、前記磁気的なトラック幅(Mag−Tw)を所定寸
法内に確実に収めることができ、再生波形にばらつきが
無く、所定の大きさを有する再生出力を得ることが可能
な磁気検出素子を製造することができる。
【0124】図4は本発明における第3実施形態の磁気
検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断
面図である。
【0125】図4に示す構造は、デュアル型のスピンバ
ルブ型薄膜素子である。デュアル型では、フリー磁性層
29の上下に非磁性中間層28、64を介して固定磁性
層27、68が形成される。
【0126】図4に示す下地層23からフリー磁性層2
9までの積層構造は図1と同じであるが、図4では、前
記フリー磁性層29の上に、非磁性中間層64が形成さ
れ、前記非磁性中間層64の上に固定磁性層68が形成
されている。この実施形態でも前記固定磁性層68は、
下側に形成された固定磁性層27と同様に、磁性層6
5、67にRuなどの非磁性の中間層66を介した人工
フェリ磁性構造となっている。また前記固定磁性層68
の上には、前記固定磁性層68の磁化をハイト方向(図
示Y方向)に固定するための上側の反強磁性層69が形
成されている。
【0127】図4に示す構造のデュアルスピンバルブ型
薄膜素子の場合、フリー磁性層29よりも下側に形成さ
れた固定磁性層27のうち磁気抵抗効果に関与する磁性
層53が、例えばハイト方向(図示Y方向)に固定され
ていた場合、前記フリー磁性層29よりも上側に形成さ
れた固定磁性層68のうち磁気抵抗効果に関与する磁性
層65も、ハイト方向(図示Y方向)に固定される。
【0128】この実施形態でも、前記電極層32、32
間の間隔によって光学的なトラック幅(Opti−T
w)が決められる。
【0129】この図4に示す実施形態では、前記フリー
磁性層29の両側端部29a上には、強磁性層59及び
第2の反強磁性層60が積層され、前記フリー磁性層2
9の中央部分上に、非磁性中間層64、固定磁性層6
8、反強磁性層69が積層されている。
【0130】なおこの図4に示す実施形態では、図1と
同様に、前記フリー磁性層29の両側端部29a、29
aの磁化は、ハードバイアス層36からの縦バイアス磁
界及び、第2の反強磁性層60との間で発生した交換異
方性磁界によって単磁区化された強磁性層59との強磁
性結合によって、トラック幅方向(図示X方向)に確実
に固定される。
【0131】したがって、磁気的なトラック幅(Mag
−Tw)を光学的なトラック幅(Opti−Tw)と同
程度に形成でき、前記磁気的なトラック幅(Mag−T
w)の狭小化を図ることができると共に、前記磁気的な
トラック幅(Mag−Tw)を、前記光学的なトラック
幅(Opti−Tw)の幅寸法に合わせて設定できるた
め、前記磁気的なトラック幅(Mag−Tw)を所定寸
法内に確実に収めることができ、再生波形にばらつきが
無く、所定の大きさを有する再生出力を得ることが可能
な磁気検出素子を製造することができる。
【0132】図5は本発明における第4実施形態の磁気
検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断
面図である。
【0133】図5では、図4と同様にデュアル型のスピ
ンバルブ型薄膜素子であるが、フリー磁性層29が図3
と同様に人工フェリ磁性構造である。
【0134】前記フリー磁性層29を構成する磁性層6
1、63は、互いに反平行に磁化されているが、このよ
うにフリー磁性層29と固定磁性層27、68がすべて
人工フェリ磁性構造であるときは、前記フリー磁性層2
9よりも下側に形成された固定磁性層27の磁気抵抗効
果に関与する磁性層53が例えばハイト方向(図示Y方
向)に磁化されているとき、前記フリー磁性層29より
も上側に形成された固定磁性層68の磁気抵抗効果に関
与する磁性層65はハイト方向とは逆方向(図示Y方向
と逆方向)に磁化されている。
【0135】この図5に示す実施形態でも、前記電極層
32、32間の間隔によって光学的なトラック幅(Op
ti−Tw)が決められる。
【0136】この図5に示す実施形態では、前記フリー
磁性層29の磁性層63の両側端部63a上には、強磁
性層59及び第2の反強磁性層60が積層され、前記フ
リー磁性層29の中央部分上に、非磁性中間層64、固
定磁性層68、反強磁性層69が積層されている。
【0137】なおこの図5に示す実施形態では、図3と
同様に、前記フリー磁性層29を構成する磁性層61、
63の両側端部61a、63aの磁化は、ハードバイア
ス層36からの縦バイアス磁界を受ける。また前記磁性
層63の両側端部63aの磁化は、第2の反強磁性層6
0との間で発生した交換異方性磁界によって単磁区化さ
れた強磁性層59との強磁性結合によって、トラック幅
方向の一方向(図示X方向の一方向)に固定され、また
もう一方の磁性層61には、前記磁性層63とのRKK
Y相互作用が作用し、前記磁性層61は、前記磁性層6
3の磁化方向と逆方向に固定される。
【0138】これによって前記フリー磁性層29の磁性
層61、63の両側端部61a、63aの磁化はトラッ
ク幅方向(図示X方向)に反平行状態になって確実に固
定される。
【0139】したがって、磁気的なトラック幅(Mag
−Tw)を光学的なトラック幅(Opti−Tw)と同
程度に形成でき、前記磁気的なトラック幅(Mag−T
w)の狭小化を図ることができると共に、前記磁気的な
トラック幅(Mag−Tw)を、前記光学的なトラック
幅(Opti−Tw)の幅寸法に合わせて設定できるた
め、前記磁気的なトラック幅(Mag−Tw)を所定寸
法内に確実に収めることができ、再生波形にばらつきが
無く、所定の大きさを有する再生出力を得ることが可能
な磁気検出素子を製造することができる。
【0140】図6は本発明における第5実施形態の磁気
検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断
面図である。
【0141】図6に示す磁気検出素子は、トンネル型磁
気抵抗効果型素子と呼ばれる構造である。
【0142】符号70は第1の電極層であり、この第1
の電極層70の上に第1の反強磁性層26、固定磁性層
27、非磁性中間層72、フリー磁性層29が積層され
ている。
【0143】トンネル型磁気抵抗効果型素子の場合、前
記非磁性中間層72は、図1ないし図5に示す非磁性中
間層28、64と異なり、Al23やSiO2などの絶
縁材料である。
【0144】図6に示すように、前記フリー磁性層29
のトラック幅方向(図示X方向)における幅寸法はT3
であり、この幅寸法T3は予めマイクロトラックプロフ
ァイル法などによって設定される。前記フリー磁性層2
9の中央上面には、保護層33が形成されており、前記
保護層33のトラック幅方向における幅寸法は前記フリ
ー磁性層29の幅寸法T3よりも小さい。これにより前
記保護層33のトラック幅方向における両側には前記フ
リー磁性層29の両側端部29a、29aが露出する。
【0145】前記第1の反強磁性層26の下側端部26
aは、その上に形成された各層よりも図示X方向に延び
て形成され、前記第1の反強磁性層26の前記下側端部
26a上から、非磁性中間層72までの各層の両側端面
上に絶縁層50、50が形成されている。前記絶縁層5
0の上面は、前記非磁性中間層72の上面以上で形成さ
れていれば良い。前記絶縁層50は、例えばAl23
SiO2などの絶縁材料で形成される。
【0146】また前記絶縁層50上にはバイアス下地層
35を介してハードバイアス層36が形成され、前記ハ
ードバイアス層36は、前記フリー磁性層29の両側端
面と対向した位置で形成される。
【0147】さらに前記ハードバイアス層36上には非
磁性の中間層58が形成される。さらに前記中間層58
上から前記フリー磁性層29の両側端部29a上には、
強磁性層59が形成される。
【0148】前記強磁性層59上には第2の反強磁性層
60が形成されており、前記強磁性層59との間で発生
する交換異方性磁界によって前記強磁性層59の磁化は
図示X方向の一方向に固定される。
【0149】図6に示す実施形態では、前記第2の反強
磁性層60の上から前記保護層33上にかけて第2の電
極層71が形成されている。
【0150】図6に示すトンネル型磁気抵抗効果型素子
と図1ないし図5に示すスピンバルブ膜と構造上大きく
異なる点は、フリー磁性層29と固定磁性層27との間
に、例えばAl23(アルミナ)などで形成された絶縁
性の非磁性中間層72が形成されていることと、電極層
70,71が、第1の反強磁性層26から保護層333
までの多層膜の膜面に対し、垂直方向(図示Z方向)の
両側に設けられていることである。
【0151】トンネル型磁気抵抗効果型素子では、2つ
の強磁性層(フリー磁性層29と固定磁性層27)に電
圧を印加すると、非磁性中間層72を電流(トンネル電
流)が流れ、トンネル効果が発揮される。
【0152】また図6に示すように、トンネル型磁気抵
抗効果型素子では、前記第1の反強磁性層26から前記
非磁性中間層72までの多層膜の両側には、絶縁層50
が形成され、センス電流の分流を抑制している。
【0153】なおこの図6に示す実施形態では、光学的
なトラック幅(Opti−Tw)は、第2の反強磁性層
60の間隔で決められ、またこの実施形態でも図1と同
様に前記フリー磁性層29の両側端部29a、29aの
磁化は、ハードバイアス層36からの縦バイアス磁界及
び、第2の反強磁性層60との間で発生した交換異方性
磁界によって単磁区化された強磁性層59との強磁性結
合によって、トラック幅方向に確実に固定される。
【0154】したがって、磁気的なトラック幅(Mag
−Tw)を光学的なトラック幅(Opti−Tw)と同
程度にでき、前記磁気的なトラック幅(Mag−Tw)
の狭小化を図ることができると共に、前記磁気的なトラ
ック幅(Mag−Tw)を、前記光学的なトラック幅
(Opti−Tw)の幅寸法に合わせて設定できるた
め、前記磁気的なトラック幅(Mag−Tw)を所定寸
法内に確実に収めることができ、再生波形にばらつきが
無く、また所定の大きさを有する再生出力を得ることが
可能な磁気検出素子を製造することができる。
【0155】図7は本発明における第6実施形態の磁気
検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断
面図である。
【0156】図6との違いはフリー磁性層29が3層の
人工フェリ磁性構造となっている点のみである。
【0157】符号61及び63はNiFe合金、CoF
e合金、CoFeNi合金、Coなどの磁性層であり、
前記磁性層61、63の間にRuなどの中間層62が形
成されている。
【0158】前記磁性層61,63の膜厚はそれぞれ1
0〜70Å程度で形成される。また中間層62の膜厚は
3Å〜10Å程度で形成で形成される。また前記磁性層
61と磁性層63の単位面積当たりの磁気モーメントは
異なっている。
【0159】この実施形態では、前記ハードバイアス層
36上の中間層58上から前記フリー磁性層29の磁性
層63の両側端部63a上にかけて、強磁性層59及び
第2の反強磁性層60が積層形成されている。そして前
記磁性層63の上面であって、前記強磁性層59及び第
2の反強磁性層60間には保護層33が形成されていて
もよい。
【0160】なおこの図7に示す実施形態では、光学的
なトラック幅(Opti−Tw)は、第2の反強磁性層
60の間隔で決められ、またこの実施形態でも図2と同
様に前記フリー磁性層29の磁性層61、63の両側端
部61a、63aの磁化は、ハードバイアス層36から
の縦バイアス磁界を受ける。また前記磁性層63の両側
端部63aの磁化は、第2の反強磁性層60との間で発
生した交換異方性磁界によって単磁区化された強磁性層
59との強磁性結合によって、トラック幅方向の一方向
(図示X方向)に固定され、またもう一方の磁性層61
には、前記磁性層63とのRKKY相互作用が作用し、
前記磁性層61は前記磁性層63の磁化方向とは逆方向
に固定される。
【0161】これによって前記フリー磁性層29の磁性
層61、63の両側端部61a、63aの磁化はトラッ
ク幅方向(図示X方向)に反平行状態になって確実に固
定される。
【0162】したがって、磁気的なトラック幅(Mag
−Tw)を光学的なトラック幅(Opti−Tw)と同
程度にでき、前記磁気的なトラック幅(Mag−Tw)
の狭小化を図ることができると共に、前記磁気的なトラ
ック幅(Mag−Tw)を、前記光学的なトラック幅
(Opti−Tw)の幅寸法に合わせて設定できるた
め、前記磁気的なトラック幅(Mag−Tw)を所定寸
法内に確実に収めることができるので、再生波形にばら
つきが無く、所定の大きさを有する再生出力を得ること
が可能な磁気検出素子を製造することができる。
【0163】図8は本発明における第7実施形態の磁気
検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断
面図である。
【0164】図8に示す磁気検出素子は、図1と同じス
ピンバルブ型薄膜素子であるが、構造上、いくつかの相
違点がある。以下に説明する相違点は、製造方法に起因
するものである。
【0165】図8に示すように、Taなどで形成された
下地層23の上には第1の反強磁性層26が形成され、
その上には3層の人工フェリ磁性構造の固定磁性層27
が形成されている。前記固定磁性層27の上にはCuな
どの非磁性中間層28を介してフリー磁性層29が形成
されている。前記フリー磁性層29の上にはトラック幅
方向に所定の間隔(光学的なトラック幅Opti−Tw
と一致する)を開けて図示X方向に第2の反強磁性層6
0が形成されている。
【0166】この実施形態では、前記第1の反強磁性層
26の下側端部26aは図示X方向に延びて形成され、
前記下側端部26aの付け根部分から、第2の反強磁性
層60までの各層の両側端面31、31は、連続した傾
斜面で形成されている。
【0167】そして図8に示すように、図示X方向に延
びた前記第1の反強磁性層26の下側端部26a上から
前記両側端面31上にかけてバイアス下地層35を介し
てハードバイアス層36が形成されている。この実施形
態では、前記ハードバイアス層36の上面36aの内側
縁部36bは、前記第2の反強磁性層60の上面60c
と接している。
【0168】また図8に示すように、前記第2の反強磁
性層60上から前記ハードバイアス層36上にかけて電
極層32が形成されている。前記ハードバイアス層36
と電極層32間にはTaなどの中間層が設けられていて
も良い。
【0169】またこの実施形態では、前記第2の反強磁
性層60、前記電極層32の図示X方向における内側端
面73が、前記第1の反強磁性層26から離れる方向
(図示Z方向)に向かうにしたがって徐々に間隔が広が
る傾斜面で形成されているが、前記傾斜面でなくても良
く例えば湾曲面であっても良いし、あるいは図示Z方向
と同じ方向の垂直面であってもよい。
【0170】なお前記第2の反強磁性層60間に形成さ
れた間隔で光学的なトラック幅(Opti−Tw)が決
定される。
【0171】またこの実施形態では図1ないし図7のよ
うに、前記フリー磁性層29の両側端部29aと第2の
反強磁性層60間に強磁性層59が形成されていない
が、形成されていても良い。またこの実施形態では、前
記強磁性層59は、第2の反強磁性層60、60間の間
隔内にも形成されていても良く、ただしかかる場合、前
記第2の反強磁性層60間から露出する強磁性層59は
磁気抵抗効果に関与するため、前記強磁性層59をNi
FeX合金などの比抵抗が高く飽和磁化の小さい磁性材
料で形成する。なおこの実施形態で、前記強磁性層59
を形成しなくても良いのは後述する製造方法に起因する
ものである。
【0172】なおこの図8に示す実施形態では、前記フ
リー磁性層29の両側端部29a、29aの磁化は、ハ
ードバイアス層36からの縦バイアス磁界及び、第2の
反強磁性層60との間で発生した交換異方性磁界によっ
て、トラック幅方向(図示X方向)に確実に固定され
る。
【0173】したがって、磁気的なトラック幅(Mag
−Tw)を光学的なトラック幅(Opti−Tw)と同
程度に形成でき、前記磁気的なトラック幅(Mag−T
w)の狭小化を図ることができると共に、前記磁気的な
トラック幅(Mag−Tw)を、前記光学的なトラック
幅(Opti−Tw)の幅寸法に合わせて設定できるた
め、前記磁気的なトラック幅(Mag−Tw)を所定寸
法内に確実に収めることができ、再生波形にばらつきが
無く、所定の大きさを有する再生出力を得ることが可能
な磁気検出素子を製造することができる。
【0174】また前記フリー磁性層29は図3と同じ3
層の人工フェリ磁性構造であってもよい。
【0175】図9は本発明における第8実施形態の磁気
検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図で
ある。
【0176】図9に示す実施形態では図8と同様に、前
記第1の反強磁性層26の下側端部26aは図示X方向
に延びて形成され、前記下側端部26aの付け根部分か
ら、固定磁性層27、非磁性中間層28、フリー磁性層
29、強磁性層59及び第2の反強磁性層60までの各
層の両側端面31、31は、連続した傾斜面で形成され
ている。
【0177】そして図9に示すように、図示X方向に延
びた前記第1の反強磁性層26の下側端部26a上から
前記両側端面31上にかけてバイアス下地層35を介し
てハードバイアス層36が形成されている。この実施形
態では、前記ハードバイアス層36の上面36aの内側
縁部36bは、前記第2の反強磁性層60の上面60c
と接している。
【0178】また図9に示すように、前記第2の反強磁
性層60上から前記ハードバイアス層36上にかけて電
極層32が形成されているが、図8と異なって、前記電
極層32は第2の反強磁性層60の内側端面60aに向
かうほど徐々に膜厚が薄くなる先細った形状になり、前
記電極層32の内側縁部32a、32aは、前記第2の
反強磁性層60の内側端面60aよりも図示X方向に離
れて形成されている。
【0179】またこの実施形態では、前記第2の反強磁
性層60の内側端面60aが、第1の反強磁性層26か
ら離れる方向(図示Z方向)と同じ向きの垂直面となっ
ているが、前記内側端面60aが、図示Z方向に向かう
にしたがって徐々に間隔が広がる傾斜面や湾曲面で形成
されていても良い。
【0180】なお前記第2の反強磁性層60間の下面間
隔で光学的なトラック幅(Opti−Tw)が決定され
る。
【0181】またこの実施形態では図1ないし図7と同
様に、前記フリー磁性層29の両側端部29aと第2の
反強磁性層60間に強磁性層59が形成されているが、
形成されていなくても良い。また前記強磁性層59は第
2の反強磁性層60間の間隔内にも形成されていても良
く、かかる場合、前記強磁性層59は磁気抵抗効果に関
与するので、NiFeX合金などの比抵抗が高く飽和磁
化の小さい磁性材料で形成される。またこの実施形態
で、前記強磁性層59を形成しなくても良いのは後述す
る製造方法に起因するものである。
【0182】なおこの図9に示す実施形態では、前記フ
リー磁性層29の両側端部29a、29aの磁化は、ハ
ードバイアス層36からの縦バイアス磁界及び、第2の
反強磁性層60との間で発生した交換異方性磁界によっ
て単磁区化された強磁性層59との強磁性結合によっ
て、トラック幅方向(図示X方向)に確実に固定され
る。
【0183】したがって、磁気的なトラック幅(Mag
−Tw)を光学的なトラック幅(Opti−Tw)と同
程度に形成でき、前記磁気的なトラック幅(Mag−T
w)の狭小化を図ることができると共に、前記磁気的な
トラック幅(Mag−Tw)を、前記光学的なトラック
幅(Opti−Tw)の幅寸法に合わせて設定できるた
め、前記磁気的なトラック幅(Mag−Tw)を所定寸
法内に確実に収めることができ、再生波形にばらつきが
無く、所定の大きさを有する再生出力を得ることが可能
な磁気検出素子を製造することができる。
【0184】また前記フリー磁性層29は図3と同じ3
層の人工フェリ磁性構造であってもよい。
【0185】図10は、本発明における第9実施形態の
磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面
図である。
【0186】この実施形態は図8の構造とよく似ている
が以下の点に相違点がある。すなわち図10では、フリ
ー磁性層29の上にRuなどで形成された非磁性の中間
層74が形成されている。前記非磁性の中間層74の上
には所定の間隔(トラック幅Opti−Tw)を開けて
強磁性層59が形成されているが、この実施形態では、
前記フリー磁性層29の両側端部29aでは、非磁性の
中間層74及び前記強磁性層59との間で人工フェリ磁
性構造を構成し、前記両側端部29aの単磁区化が促進
され、また前記強磁性層59間の間隔内から露出した前
記非磁性の中間層74はバックド層57(図1を参照の
こと)と同じスピンフィルター効果を発揮する。
【0187】なおこの図10に示す実施形態でも、前記
フリー磁性層29の両側端部29a、29aの磁化は、
ハードバイアス層36からの縦バイアス磁界及び、第2
の反強磁性層60との間で発生した交換異方性磁界によ
って単磁区化された強磁性層59とのRKKY相互作用
によって、トラック幅方向に確実に固定される。
【0188】したがって、磁気的なトラック幅(Mag
−Tw)を光学的なトラック幅(Opti−Tw)と同
程度に形成でき、前記磁気的なトラック幅(Mag−T
w)の狭小化を図ることができると共に、前記磁気的な
トラック幅(Mag−Tw)を、前記光学的なトラック
幅(Opti−Tw)の幅寸法に合わせて設定できるた
め、前記磁気的なトラック幅(Mag−Tw)を所定寸
法内に確実に収めることができ、再生波形にばらつきが
無く、所定の大きさを有する再生出力を得ることが可能
な磁気検出素子を製造することができる。
【0189】図11は本発明における第10実施形態の
磁気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部
分断面図である。
【0190】図11に示す磁気検出素子(スピンバルブ
型薄膜素子)の構造は図1と似た構造であるが、以下の
点に相違点がある。
【0191】図11では、前記強磁性層59、第2の反
強磁性層60、電極層32の内側端面73、73は、第
1の反強磁性層26から離れる方向(図示Z方向)と同
じ方向の垂直面である。ただし図1のように前記内側端
面73、73が図示Z方向に向かうにしたがって徐々に
間隔が広がる傾斜面、あるいは湾曲面で形成されていて
も良い。
【0192】また前記強磁性層59は、前記第2の反強
磁性層60間の間隔内に形成されていてもよい。かかる
場合、前記第2の反強磁性層60間から露出する前記強
磁性層59は磁気抵抗効果に関与するため、前記強磁性
層59をNiFeX合金などの比抵抗が高く飽和磁化の
小さな磁性材料で形成する。
【0193】図11は図1と製造方法が異なることで、
上記した構造上の違いが現れている。
【0194】図11に示す実施形態では、前記強磁性層
59間の下面間隔で光学的なトラック幅(Opti−T
w)が決定される。
【0195】なおこの図11に示す実施形態でも、前記
フリー磁性層29の両側端部29a、29aの磁化は、
ハードバイアス層36からの縦バイアス磁界及び、第2
の反強磁性層60との間で発生した交換異方性磁界によ
って単磁区化された強磁性層59との強磁性結合によっ
て、トラック幅方向に確実に固定される。
【0196】したがって、磁気的なトラック幅(Mag
−Tw)を光学的なトラック幅(Opti−Tw)と同
程度にでき、前記磁気的なトラック幅(Mag−Tw)
の狭小化を図ることができると共に、前記磁気的なトラ
ック幅(Mag−Tw)を、前記光学的なトラック幅
(Opti−Tw)の幅寸法に合わせて設定できるた
め、前記磁気的なトラック幅(Mag−Tw)を所定寸
法内に確実に収めることができ、再生波形にばらつきが
無く、所定の大きさを有する再生出力を得ることが可能
な磁気検出素子を製造することができる。
【0197】なお図11に示すフリー磁性層29は図2
と同様の3層の人工フェリ磁性構造であってもよい。ま
た図10と同じように、前記フリー磁性層29上には非
磁性の中間層74が形成されても良く、かかる場合、前
記強磁性層59とのRKKY相互作用によって前記フリ
ー磁性層29の磁化の単磁区化は促進され、また前記非
磁性の中間層74の前記強磁性層59間から露出する部
分はスピンフィルター効果を発揮し得る。
【0198】なお図1ないし11に示す実施形態では、
すべて第1の反強磁性層26の下側端部26aが図示X
方向に延出形成されているが、前記第1の反強磁性層2
6の全体が、その上に形成される各層との両側端面と連
続面となるように前記下側端部26aが削り込まれてい
てもよい。
【0199】また本発明における実施形態で、フリー磁
性層29の中央上面にバックド層57及び鏡面反射層3
0が形成されている場合、これらは形成されていなくて
も良い。
【0200】次に本発明における磁気検出素子の製造方
法について説明する。図12ないし図23に示す工程図
は、すべて磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見
た部分断面図であり、図12ないし図16は、図1に示
す磁気検出素子の製造工程を示している。なお随時、図
3ないし図7に示す磁気検出素子の製造方法についても
説明する。
【0201】図12に示す工程では基板75上に、Ta
などで形成された下地層23、第1の反強磁性層26、
Coなどで形成された磁性層51、53とRuなどで形
成された非磁性の中間層52との3層人工フェリ磁性構
造で形成される固定磁性層27、Cuなどで形成された
非磁性中間層28、及びNiFeなどで形成されたフリ
ー磁性層29、Cuなどで形成されたバックド層57、
Ta−Oなどで形成された鏡面反射層30を連続してス
パッタ成膜する。スパッタ成膜では、例えばDCマグネ
トロンスパッタ法、RFマグネトロンスパッタ法、イオ
ンビームスパッタ法、ロングスロースパッタ法、コリメ
ーションスパッタ法のいずれか、またはそれらを組み合
せたスパッタ法などを使用できる。なお前記鏡面反射層
30上にTaなどからなる保護層(この保護層の表面は
酸化されていることが好ましい)を形成してもよい。
【0202】本発明では前記第1の反強磁性層26を、
元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,
Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnと
を含有する反強磁性材料で形成することが好ましい。あ
るいは、前記第1の反強磁性層26を、X−Mn−X′
合金(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,B
e,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,C
r,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Z
r,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,
Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2
種以上の元素である)で形成することが好ましい。
【0203】前記元素Xの組成比、あるいは元素X+元
素X′の組成比を、例えば37原子%以上で63原子%
以下に設定する。または前記元素Xの組成比、あるいは
前記元素X+元素X′の組成比を47原子%以上で57
原子%以下に設定することが好ましい。
【0204】次に第1の熱処理工程を行う。まずハイト
方向(図示Y方向)に第1の磁界を印加しつつ、第1の
熱処理温度で熱処理し、前記第1の反強磁性層26に交
換異方性磁界を発生させる。これにより前記固定磁性層
27の磁性層51の磁化が例えばハイト方向(図示Y方
向)に固定される場合、他方の磁性層53の磁化はハイ
ト方向と逆方向(図示Y方向と逆方向)に固定される。
例えば前記第1の熱処理温度を270℃とし、磁界の大
きさを800k(A/m)とする。
【0205】なお図3のようにフリー磁性層29を3層
人工フェリ磁性構造にするには、前記フリー磁性層29
のスパッタ成膜のときに、磁性層61を形成した後、そ
の上に非磁性の中間層62を形成し、さらに前記中間層
62の上に磁性層63を形成する。
【0206】また図4、5のデュアルスピンバルブ型薄
膜素子の場合には、フリー磁性層29の上に非磁性中間
層64、3層人工フェリ磁性構造の固定磁性層68、反
強磁性層69を連続スパッタ成膜する。
【0207】また図6、7のトンネル型磁気抵抗効果型
素子の場合には、基板上にまず第1の電極層70を形成
した後、前記第1の電極層70上に第1の反強磁性層2
6から保護層33までを連続スパッタ成膜する。ただし
非磁性中間層72をAl23やSiO2などの絶縁材料
で形成する。
【0208】図13に示す工程では、前記鏡面反射層3
0上にリフトオフ用のレジスト層76を形成する。なお
このとき前記レジスト層76のトラック幅方向(図示X
方向)における下面の幅寸法T4を、図1に示すフリー
磁性層29の上面の幅寸法T2と同程度で形成するか、
あるいは若干小さ目に形成してもよい。
【0209】なお、例えば前記幅寸法T4の設定は、マ
イクロトラックプロファイル法で求められる。マイクロ
トラックプロファイル法によれば、フリー磁性層29の
トラック幅方向における幅寸法がある所定値のとき、前
記フリー磁性層29の感度領域となる部分の幅と不感領
域となる部分の幅を求めることができ、従って予めマイ
クロトラックプロファイル法によって、得たい感度領域
の幅からフリー磁性層29全体の幅寸法を求め、それに
合わせて、前記レジスト層76の下面の幅寸法T4を決
定する。
【0210】図13に示す工程では、前記レジスト層7
6によって覆われていない、第1の反強磁性層26の上
側端部26b、固定磁性層27、非磁性中間層28、フ
リー磁性層29、バックド層57、鏡面反射層30を例
えば矢印F方向からのイオンミリングで除去する(図1
3に示す点線部分)。
【0211】これによって前記第1の反強磁性層26の
下側端部26aの付け根部分から鏡面反射層30までの
トラック幅方向における両側端面31、31は連続した
傾斜面となる。なお前記イオンミリングによって、前記
第1の反強磁性層26の図示X方向に延びた下側端部2
6aをすべて除去してもよい。
【0212】次に図14に示す工程では、前記第1の反
強磁性層26の図示X方向に延びた下側端部26a上か
ら前記多層膜の両側端面31、31上にかけてCrなど
のバイアス下地層35を形成した後、前記バイアス下地
層35上にCoCrTaなどのハードバイアス層36を
スパッタ成膜する。そして前記ハードバイアス層36上
にTaなどの非磁性の中間層58をスパッタ成膜する。
なお前記ハードバイアス層36を、少なくとも前記フリ
ー磁性層29と対向する高さ位置までスパッタ成膜す
る。スパッタ成膜では、例えばDCマグネトロンスパッ
タ法、RFマグネトロンスパッタ法、イオンビームスパ
ッタ法、ロングスロースパッタ法、コリメーションスパ
ッタ法のいずれか、またはそれらを組み合せたスパッタ
法などを使用できる。
【0213】なお前記レジスト層76上にもハードバイ
アス層36と同じ材料のバイアス材料層36c及び中間
層58と同じ材料の非磁性材料層58cが形成される。
【0214】なお前記ハードバイアス層36及び中間層
58は少なくとも、前記フリー磁性層29と対向する位
置まで形成すればよいが、この実施形態では前記中間層
58をバックド層57及び鏡面反射層30の両側端面に
もスパッタ形成している。
【0215】なお図6及び図7のトンネル型磁気抵抗効
果型素子の場合には、前記第1の反強磁性層26の図示
X方向に延出した下側端部26a上から絶縁層50を形
成した後、バイアス下地層35、ハードバイアス層36
及び中間層58を連続成膜する。
【0216】なお前記絶縁層50の上面の内側縁部50
aは、前記フリー磁性層29の下面以上となるように、
前記絶縁層50の膜厚を調整して形成する(図6を参照
のこと)。
【0217】図15に示す工程では、一旦、前記レジス
ト層76を除去した後、前記鏡面反射層30の上にリフ
トオフ用のレジスト層77を形成する。
【0218】前記レジスト層77の下面の幅寸法T5
は、既にマイクロトラックプロファイル法で測定した、
フリー磁性層29の感度領域のトラック幅方向(図示X
方向)における幅寸法と同程度、あるいはそれよりも若
干小さ目とする。
【0219】図15に示す工程では、前記レジスト層7
7に覆われていない、前記鏡面反射層30及びバックド
層57を例えば矢印F方向のイオンミリングなどで除去
する(点線部分)。またこのとき、前記バックド層57
を除去したことによって露出するフリー磁性層29の両
側端部29aの上面も若干削る。
【0220】このときハードバイアス層36上の中間層
58も若干削られるが、前記中間層58は完全に除去さ
れないように予め厚さ寸法及び形成位置が適切に設定さ
れている。
【0221】そして図16に示す工程では、前記レジス
ト層77を利用して、前記レジスト層77に覆われてい
ない、前記フリー磁性層29上から中間層58上にかけ
てNiFeX(ただし元素Xは、Cr、Nb、Ta、R
h、Ir、Re、Ruのうちいずれか1種または2種以
上)合金やNiFe合金などで形成された強磁性層59
をスパッタ成膜し、さらに連続して第2の反強磁性層6
0をスパッタ成膜する。また前記第2の反強磁性層60
上に電極層32を形成する。なおこのとき、前記レジス
ト層77の上にも強磁性層59と同じ強磁性材料層59
c、第2の反強磁性層60と同じ反強磁性材料層60
d、および電極層32と同じ電極材料層32cが形成さ
れる。
【0222】なお図6及び図7に示すトンネル型磁気抵
抗効果型素子の場合には、前記電極層32を形成せず、
第2の反強磁性層60を形成した後、前記レジスト層7
7を除去し、前記第2の反強磁性層60上から保護層3
3上にかけて第2の電極層71を形成する(図6を参照
のこと)。
【0223】なお本発明では前記第2の反強磁性層60
を、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,R
u,Osのうち1種または2種以上の元素である)とM
nとを含有する反強磁性材料で形成することが好まし
い。あるいは、前記第1の反強磁性層26を、X−Mn
−X′合金(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,X
e,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,
V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,G
e,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,T
a,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種
または2種以上の元素である)で形成することが好まし
い。
【0224】このとき、前記元素Xの組成比、あるいは
元素X+元素X′の組成比を、例えば37原子%以上で
63原子%以下に設定し、または前記元素Xの組成比、
あるいは前記元素X+元素X′の組成比を47原子%以
上で57原子%以下に設定することが好ましい。
【0225】また少なくとも前記第2の反強磁性層60
を形成した後に、第2の熱処理工程を行う。この工程で
は第1の印加磁界と交叉する方向、すなわちトラック幅
方向(図示X方向)に、前記第1の反強磁性層26の交
換異方性磁界よりも小さい第2の磁界を印加しつつ、前
記第1の反強磁性層26のブロッキング温度よりも低い
熱処理温度で処理する。
【0226】この工程により、第2の反強磁性層60に
は交換異方性磁界が発生し、前記強磁性層59の磁化を
トラック幅方向の一方向(図示X方向の一方向)に固定
することができる。
【0227】なおこの第2の熱処理工程では、第2の印
加磁界は、第1の反強磁性層26の交換異方性磁界より
も小さく、しかも熱処理温度は、前記第1の反強磁性層
26のブロッキング温度よりも低いから、前記第1の反
強磁性層26の交換異方性磁界の方向をハイト方向に向
けたまま、前記第2の反強磁性層60の交換異方性磁界
をトラック幅方向に向けることができる。なお前記第1
の反強磁性層26と第2の反強磁性層60の組成は同じ
であっても良いし異なっていても良い。
【0228】なお第2の熱処理温度は例えば250℃で
あり、磁界の大きさは24k(A/m)である。また上
記した組成比で形成された反強磁性層26、60では、
48k(A/m)以上の交換結合磁界を得ることがで
き、またブロッキング温度を380℃程度にすることが
できる。
【0229】また本発明では、図12の工程時に、前記
バックド層57及び鏡面反射層30をスパッタ成膜せ
ず、前記フリー磁性層29の上に直接、前記レジスト層
76を形成し、図15工程時に若干前記フリー磁性層2
9の両側端部29aを削った後、図16に示す、強磁性
層59、第2の反強磁性層60及び電極層32の形成を
行ってもよい。
【0230】かかる場合、前記フリー磁性層29上には
前記バックド層57及び鏡面反射層30が形成されてい
ない形態の磁気検出素子を製造することができる。
【0231】図17及び図18に示す工程図は、図8に
示す磁気検出素子の製造方法を示す一工程図である。
【0232】図17に示す工程では、基板75上に下地
層23、第1の反強磁性層26、3層人工フェリ磁性構
造の固定磁性層27、非磁性中間層28、フリー磁性層
29、及び第2の反強磁性層60をスパッタ成膜する。
【0233】なお、まずフリー磁性層29まで、あるい
は固定磁性層27までを積層形成した後、上記した第1
の熱処理工程を行って、前記第1の反強磁性層26にハ
イト方向の交換異方性磁界を発生させ、前記固定磁性層
27の磁性層51、53の磁化を、ハイト方向とハイト
方向と逆方向の反平行状態に固定する。
【0234】また上記の第1熱処理工程時に前記フリー
磁性層29まで成膜した場合は、一旦前記フリー磁性層
29の上面を所定膜厚削った後、前記フリー磁性層29
の上に強磁性層59及び第2の反強磁性層60を連続成
膜する。かかる場合、完成した磁気検出素子の形態は、
図8のフリー磁性層29と第2の反強磁性層60間に強
磁性層59が介在する。
【0235】あるいは固定磁性層27まで積層して上記
熱処理を行った場合には、前記固定磁性層27の上面を
若干削った後、前記固定磁性層27上に非磁性中間層2
8、フリー磁性層29、及び第2の反強磁性層60を連
続成膜する。かかる場合、強磁性層59を形成する必要
はなく、完成した磁気検出素子の形態は、図8と同じに
なる。
【0236】前記第2の反強磁性層60まで成膜した
後、上記した第2の熱処理工程を行う。これにより前記
第2の反強磁性層60にトラック幅方向の一方向(図示
X方向の一方向)の交換異方性磁界を発生させ、前記フ
リー磁性層29の磁化をトラック幅方向に向ける。
【0237】次に図17に示す工程では、前記第2の反
強磁性層60の上にリフトオフ用のレジスト層80を形
成する。前記レジスト層80のトラック幅方向(図示X
方向)における下面の幅寸法T6は、既に説明したマイ
クロトラックプロファイル法によって求められたフリー
磁性層29のトラック幅方向(図示X方向)における幅
寸法と同程度か、あるいはそれよりもやや小さ目に形成
する。
【0238】そして前記レジスト層80に覆われていな
い、第1の反強磁性層26の上側端部26bから第2の
反強磁性層60までの両側端部をイオンミリングや反応
性イオンエッチング(RIE)などで除去する(図17
に示す点線部分)。
【0239】次に図18に示す工程では、図17工程時
で形成された、図示X方向に延出する第1の反強磁性層
26の下側端部26a上からその上に形成された各積層
膜の両側端面上にかけてバイアス下地層35を形成し、
さらに前記バイアス下地層35上にハードバイアス層3
6をスパッタ成膜する。
【0240】さらにスパッタ角度を、前記ハードバイア
ス層36を形成していたときよりも基板75に対し斜め
に傾けて、前記ハードバイアス層36上に電極層32を
スパッタ成膜し、このとき前記電極層32を前記レジス
ト層80の下面に形成された窪み部分80a内にもスパ
ッタ成膜する。
【0241】そして前記レジスト層80を除去し、前記
電極層32をマスクとして、前記電極層32間から露出
する、第2の反強磁性層60をイオンミリングなどで除
去する(点線部分)。これによって残された第2の反強
磁性層60間から前記フリー磁性層29の上面を露出さ
せる。
【0242】なお、前記フリー磁性層29と第2の反強
磁性層60間に強磁性層59が形成された場合である
が、かかる場合、上記のイオンミリングによって前記第
2の反強磁性層60が除去されたことによって露出する
前記強磁性層59も削りフリー磁性層29を露出させ
る。あるいは前記強磁性層59がNiFeXなどの比抵
抗が高く飽和磁化の小さな磁性材料で形成された場合に
は、上記のイオンミリングによって前記第2の反強磁性
層60が除去されたことによって露出する前記強磁性層
59をすべて除去しなくても良く、一部を残すこともで
きる。これによって前記強磁性層59をすべて除去した
ときに露出するフリー磁性層29を削りすぎることは無
くなり、前記強磁性層59がイオンミリング時における
ストッパとして機能する。また残された一部の強磁性層
59もフリー磁性層29の中央領域と同様に感度領域と
して機能する。
【0243】なお図18に示す工程では、前記電極層3
2の内側端面32bは、基板方向に向かうにしたがって
徐々に間隔が狭くなる傾斜面あるいは湾曲面で形成され
ているので、それに追従して、残される前記第2の反強
磁性層60の内側端面60aも前記電極層32の内側端
面32bと連続面となり、前記第2の反強磁性層60間
の間隔は前記レジスト層80の下面の幅寸法T6よりも
狭くなり、前記第2の反強磁性層60間の下面間隔で光
学的なトラック幅(Opti−Tw)が決定される。
【0244】なおこの製造方法では、一つのレジスト層
80のみで磁気検出素子を製造でき、製造方法を容易化
できて好ましい。
【0245】また図19に示す工程のように前記第2の
反強磁性層60上からハードバイアス層36上にかけて
形成される電極層32の内側端面32bを、第1の反強
磁性層26から離れる方向(図示Z方向)と平行な垂直
面で形成した場合、前記電極層32、32間から露出す
る第2の反強磁性層60を、残される第2の反強磁性層
60の内側端面60aが、図示Z方向に垂直な垂直面と
なるように除去することができる。
【0246】図20及び図21に示す工程は図9に示す
磁気検出素子の製造方法を示す一工程図である。
【0247】図20に示す工程の前に、まず図17及び
図18の一部の工程を利用して、基板75上に下地層2
3、第1の反強磁性層26、固定磁性層27、非磁性中
間層28、フリー磁性層29、強磁性層59、第2の反
強磁性層60およびバイアス下地層35、ハードバイア
ス層36を形成する。
【0248】次に図20に示すように、前記第2の反強
磁性層60上から前記ハードバイアス層36上にかけて
レジスト層81を形成し、前記レジスト層81の中央部
分に、前記第2の反強磁性層60の上面にまで通じる穴
部81aを露光現像で形成する。
【0249】そして前記穴部81aから露出する第2の
反強磁性層60、強磁性層59を除去し(点線部分)、
前記穴部81aからフリー磁性層29の上面を露出させ
る。
【0250】次に図21に示す工程では、前記第2の反
強磁性層60間の間隔内にレジスト層82を形成する。
図21では前記レジスト層82は、残された第2の反強
磁性層60の上面の一部に延出して形成されている。そ
して前記レジスト層82に覆われていない、前記第2の
反強磁性層60上から前記ハードバイアス層36上にか
けて電極層32を形成する。そして前記レジスト層82
を除去する。これにより図9に示す磁気検出素子が完成
する。
【0251】なお、図21の工程において、前記レジス
ト層82を、残された第2の反強磁性層60の上面の一
部に延出しないように形成した場合、前記電極層32の
内側縁部32aは、前記第2の反強磁性層60の上面の
内側縁部60dと一致する位置に形成される。
【0252】なおこの製造方法では、強磁性層59を形
成しているが、前記フリー磁性層29と第2の反強磁性
層60とを連続成膜できるときは、前記強磁性層59を
形成しなくてもよい。
【0253】また前記強磁性層59がNiFeXなどの
比抵抗が高く飽和磁化の小さな磁性材料で形成された場
合には、上記のイオンミリングや反応性イオンエッチン
グ(RIE)などによって前記第2の反強磁性層60が
除去されたことによって露出する前記強磁性層59をす
べて除去しなくても良く、一部を残すこともできる。こ
れによって前記強磁性層59をすべて除去したときに露
出するフリー磁性層29を削りすぎることは無くなり、
前記強磁性層59がイオンミリングやRIE時における
ストッパとして機能する。また残された一部の強磁性層
59もフリー磁性層29の中央領域と同様に感度領域と
して機能する。
【0254】なお図10に示す磁気検出素子の製造方法
であるが、図10の構造に形成するには、図17工程時
に、フリー磁性層29の上にCuやRuなどの非磁性の
中間層74を形成し、その上に強磁性層59を形成す
る。そして図18、図19あるいは図20工程時で、前
記非磁性中間層74が露出するまで、その上に形成され
た強磁性層59及び第2の反強磁性層60を削れば良
い。
【0255】図22及び図23は、図11に示す磁気検
出素子の製造方法の一工程図である。
【0256】図22に示す工程よりも前段階で、図17
及び図18の一部の工程を利用して、前記基板上に、下
地層23、第1の反強磁性層26、固定磁性層27、非
磁性中間層28、フリー磁性層29、バイアス下地層3
5、ハードバイアス層36、中間層58をスパッタ成膜
する。
【0257】次に図22に示す工程では、前記フリー磁
性層29上から前記中間層58上にかけて強磁性層59
及び第2の反強磁性層60、電極層32を連続してスパ
ッタ成膜する。そして第2の熱処理工程を行う。なおこ
の熱処理工程は次の図23に示す工程後に行ってもよ
い。
【0258】次に図23に示す工程では、前記電極層3
2上にレジスト層83を形成し、前記レジスト層83の
中央部分に前記電極層32にまで通じる穴部83aを形
成する。
【0259】そして前記穴部83aから露出した、電極
層32を除去し、さらに第2の反強磁性層60、及びそ
の下に形成された強磁性層59を除去する。ただし前記
強磁性層59がNiFeX合金などの高い比抵抗を有し
小さな飽和磁化を有する材料で形成されている場合、前
記強磁性層59は完全に除去されず一部残されていても
よい。これによって前記強磁性層59をすべて除去した
ときに露出するフリー磁性層29を削りすぎることは無
くなり、前記強磁性層59がイオンミリング時やRIE
時におけるストッパとして機能する。また残された一部
の強磁性層59もフリー磁性層29の中央領域と同様に
感度領域として機能する。
【0260】本発明では、上記した製造方法を用いるこ
とで、前記フリー磁性層29のトラック幅方向(図示X
方向)の両側にハードバイアス層36を形成できると共
に、前記フリー磁性層29の上面にトラック幅方向に所
定の間隔を開けた強磁性層59及び第2の反強磁性層6
0を容易にしかも適切に形成することが可能である。
【0261】なお本発明における磁気検出素子は、ハー
ドディスク装置に搭載される薄膜磁気ヘッドにのみ使用
可能なものではなく、テープ用磁気ヘッドや磁気センサ
などにも使用可能なものである。
【0262】
【発明の効果】以上詳述した本発明によれば、フリー磁
性層のトラック幅方向の両側にバイアス層を設けること
で、前記バイアス層から前記フリー磁性層に縦バイアス
磁界を与えることができると同時に、前記フリー磁性層
の上に形成された第2の反強磁性層との交換異方性磁界
によって、前記フリー磁性層の両側端部を適切にトラッ
ク幅方向に固定することができる。
【0263】これによって前記フリー磁性層の両側端部
は、外部磁界によって磁化反転することがなくなり、前
記フリー磁性層の中央領域の部分のみが適切に感度領域
として働き磁気的なトラック幅(Mag−Tw)を所定
寸法で形成することができる。
【0264】したがって本発明では、前記磁気的なトラ
ック幅(Mag−Tw)の狭小化を図ることができると
共に、良好な再生波形及び再生出力を得ることができ、
今後の高記録密度化に優れた磁気再生素子を製造するこ
とが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における第1の実施形態の磁気検出素子
を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見
た部分断面図、
【図2】図1の右側部分のみを拡大した部分拡大断面
図、
【図3】本発明における第2の実施形態の磁気検出素子
を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図4】本発明における第3の実施形態の磁気検出素子
を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図5】本発明における第4の実施形態の磁気検出素子
を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図6】本発明における第5の実施形態の磁気検出素子
を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図7】本発明における第6の実施形態の磁気検出素子
を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図8】本発明における第7の実施形態の磁気検出素子
を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図9】本発明における第8の実施形態の磁気検出素子
を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図10】本発明における第9の実施形態の磁気検出素
子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図11】本発明における第10の実施形態の磁気検出
素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図12】図1に示す薄膜磁気ヘッドの製造方法を示す
一工程図、
【図13】図12に示す工程の次に行われる一工程図、
【図14】図13に示す工程の次に行われる一工程図、
【図15】図14に示す工程の次に行われる一工程図、
【図16】図15に示す工程の次に行われる一工程図、
【図17】図8に示す磁気検出素子の製造方法を示す一
工程図、
【図18】図17に示す工程の次に行われる一工程図、
【図19】図18に代えて別の工程を示す一工程図、
【図20】図9に示す磁気検出素子の製造方法を示す一
工程図、
【図21】図20に示す工程の次に行われる一工程図、
【図22】図11に示す磁気検出素子の製造方法を示す
一工程図、
【図23】図22に示す工程の次に行なわれる一工程
図、
【図24】従来における磁気検出素子を記録媒体との対
向面側から見た部分断面図、
【図25】従来における別の磁気検出素子を記録媒体と
の対向面側から見た部分断面図、
【図26】図25に示す磁気検出素子の問題点を説明す
るためのフリー磁性層の部分模式図、
【図27】従来における別の磁気検出素子を記録媒体と
の対向面側から見た部分断面図、
【図28】図27に示す磁気検出素子の製造工程を示す
一工程図、
【符号の説明】
26 第1の反強磁性層 27、68 固定磁性層 28、64、72 非磁性中間層 29 フリー磁性層 30 鏡面反射層 32 電極層 33 保護層 35 バイアス下地層 36 ハードバイアス層 50 絶縁層 57 バックド層 58 中間層 59 強磁性層 60 第2の反強磁性層 69 反強磁性層 70 第1の電極層 71 第2の電極層 76、77、80、82、83 レジスト層 Mag−Tw 磁気的なトラック幅 Opti−Tw 光学的なトラック幅
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 10/30 H01L 43/12 H01L 43/12 G01R 33/06 R

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下から順に、第1の反強磁性層、固定磁
    性層、非磁性中間層及びフリー磁性層を有して積層され
    た多層膜を有する磁気検出素子において、 前記フリー磁性層のトラック幅方向の両側にはバイアス
    層が対向して形成され、前記フリー磁性層の上にはトラ
    ック幅方向に間隔を開けて第2の反強磁性層が形成され
    ていることを特徴とする磁気検出素子。
  2. 【請求項2】 前記第2の反強磁性層は、前記バイアス
    層上から前記フリー磁性層上にかけて形成されている請
    求項1記載の磁気検出素子。
  3. 【請求項3】 前記第2の反強磁性層と、前記バイアス
    層及びフリー磁性層との間には強磁性層が形成されてい
    る請求項2記載の磁気検出素子。
  4. 【請求項4】 前記強磁性層は、NiFeX(ただし元
    素Xは、Cr、Nb、Ta、Rh、Ir、Re、Ruの
    うちいずれか1種または2種以上)合金で形成される請
    求項3記載の磁気検出素子。
  5. 【請求項5】 前記強磁性層と前記バイアス層間には、
    非磁性の中間層が形成されている請求項3または4に記
    載の磁気検出素子。
  6. 【請求項6】 前記非磁性の中間層は、Ta,Hf,N
    b,Zr,Ti,Mo,Wのうち少なくとも1種以上で
    形成される請求項5記載の磁気検出素子。
  7. 【請求項7】 前記第2の反強磁性層の上には電極層が
    形成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の磁
    気検出素子。
  8. 【請求項8】 前記フリー磁性層は、単位面積当たりの
    磁気モーメントが異なる2層の磁性層とその間に非磁性
    の中間層が形成された人工フェリ磁性構造である請求項
    1ないし7のいずれかに記載の磁気検出素子。
  9. 【請求項9】 前記フリー磁性層上であって、前記第2
    の反強磁性層の間隔内には、バックド層が形成され、さ
    らにその上に鏡面反射層が積層されているか、あるいは
    前記バックド層または前記鏡面反射層が形成されている
    請求項1ないし8のいずれかに記載の磁気検出素子。
  10. 【請求項10】 以下の工程を有することを特徴とする
    磁気検出素子の製造方法。 (a)基板上に、第1の反強磁性層、固定磁性層、非磁
    性中間層及びフリー磁性層の順に多層膜を積層形成する
    工程と、(b)前記フリー磁性層上にリフトオフ用のレ
    ジスト層を形成し、前記レジスト層に覆われていない前
    記多層膜のトラック幅方向の両側端部を除去する工程
    と、(c)前記多層膜の両側にバイアス層とその上に非
    磁性の中間層を形成する工程と、(d)前記レジスト層
    を除去し、前記フリー磁性層上に前記レジスト層よりも
    トラック幅方向の幅寸法が小さいリフトオフ用のレジス
    ト層を形成し、前記レジスト層に覆われていない前記フ
    リー磁性層の両側端部及び中間層上に強磁性層及び第2
    の反強磁性層を連続成膜し、さらに前記第2の反強磁性
    層上に電極層を形成した後、前記レジスト層を除去する
    工程。
  11. 【請求項11】 以下の工程を有することを特徴とする
    磁気検出素子の製造方法。(e)基板上に、第1の反強
    磁性層、固定磁性層、非磁性中間層及びフリー磁性層の
    順に多層膜を積層形成し、さらに前記フリー磁性層上に
    バックド層、鏡面反射層を順に積層するか、あるいは前
    記フリー磁性層上に、バックド層または前記鏡面反射層
    を形成し、あるいはさらに前記バックド層上または鏡面
    反射層上に保護層を形成する工程と、(f)前記保護
    層、バックド層あるいは鏡面反射層上にリフトオフ用の
    レジスト層を形成し、前記レジスト層に覆われていな
    い、保護層、バックド層、鏡面反射層、及び前記多層膜
    のトラック幅方向の両側端部を除去する工程と、(g)
    少なくとも前記多層膜の両側にバイアス層とその上に非
    磁性の中間層を形成する工程と、(h)前記保護層、鏡
    面反射層上あるいはバックド層上に、前記レジスト層よ
    りもトラック幅方向の幅寸法が小さいリフトオフ用のレ
    ジスト層を形成し、前記レジスト層に覆われていない、
    前記バックド層、鏡面反射層及び保護層を除去し、前記
    フリー磁性層の両側端部を露出させる工程と、(g)前
    記フリー磁性層の両側端部及び中間層上に強磁性層及び
    第2の反強磁性層を連続成膜し、さらに前記第2の反強
    磁性層上に電極層を形成した後、前記レジスト層を除去
    する工程。
  12. 【請求項12】 前記(a)工程と前記(b)工程の間
    に、あるいは前記(e)工程と(f)工程の間に、前記
    多層膜にハイト方向の磁界を印加しつつ、第1の熱処理
    温度で熱処理し、前記第1の反強磁性層と固定磁性層間
    に交換異方性磁界を発生させ、前記固定磁性層の磁化を
    前記ハイト方向に固定し、 前記(d)工程あるいは前記(g)工程で第2の反強磁
    性層を積層形成した後、トラック幅方向に前記第1の反
    強磁性層の交換異方性磁界よりも小さい第2の磁界を印
    加しつつ、前記第1の反強磁性層のブロッキング温度よ
    りも低い第2の熱処理温度で熱処理して、前記第2の反
    強磁性層と強磁性層間に交換異方性磁界を発生させ、前
    記軟磁性層の磁化をトラック幅方向に固定する請求項1
    0または11に記載の磁気検出素子の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記第1の反強磁性層と第2の反強磁
    性層を、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,R
    h,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素であ
    る)とMnとを含有する反強磁性材料で形成する請求項
    10ないし12のいずれかに記載の磁気検出素子の製造
    方法。
  14. 【請求項14】 前記第1の反強磁性層と第2の反強磁
    性層をX−Mn−X′合金(ただし元素X′は、Ne,
    Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,S
    i,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Z
    n,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,S
    n,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元
    素のうち1種または2種以上の元素である)で形成する
    請求項10ないし12のいずれかに記載の磁気検出素子
    の製造方法。
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