JP2002140805A - スピンバルブ型薄膜磁気素子及び薄膜磁気ヘッド及び浮上式磁気ヘッド並びにスピンバルブ型薄膜磁気素子の製造方法 - Google Patents

スピンバルブ型薄膜磁気素子及び薄膜磁気ヘッド及び浮上式磁気ヘッド並びにスピンバルブ型薄膜磁気素子の製造方法

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JP2002140805A
JP2002140805A JP2000336132A JP2000336132A JP2002140805A JP 2002140805 A JP2002140805 A JP 2002140805A JP 2000336132 A JP2000336132 A JP 2000336132A JP 2000336132 A JP2000336132 A JP 2000336132A JP 2002140805 A JP2002140805 A JP 2002140805A
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Naoya Hasegawa
直也 長谷川
Masaji Saito
正路 斎藤
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Alps Alpine Co Ltd
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Alps Electric Co Ltd
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    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y25/00Nanomagnetism, e.g. magnetoimpedance, anisotropic magnetoresistance, giant magnetoresistance or tunneling magnetoresistance
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F10/00Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure
    • H01F10/32Spin-exchange-coupled multilayers, e.g. nanostructured superlattices
    • H01F10/324Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer
    • H01F10/3268Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer the exchange coupling being asymmetric, e.g. by use of additional pinning, by using antiferromagnetic or ferromagnetic coupling interface, i.e. so-called spin-valve [SV] structure, e.g. NiFe/Cu/NiFe/FeMn

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Exchange Bias方式を採用することが可能で
あって、トラック幅が狭くても再生感度を高くすること
が可能なスピンバルブ型薄膜磁気素子を提供する。 【解決手段】 第1固定磁性層5、第1非磁性導電層
6、フリー磁性層7、第2非磁性導電層8、第2固定磁
性層9が積層されてなる積層体11と、積層体11の積
層突出部11aのトラック幅方向両側に位置してフリー
磁性層7上に積層され、交換結合バイアス磁界によりフ
リー磁性層7の磁気モーメント方向を揃える反強磁性バ
イアス層32,32と、反強磁性バイアス層32,32
上に積層されたリード層33、33からなり、リード層
33,33から積層体11に検出電流が供給された状態
で、第1、第2固定磁性層5、9の磁気モーメント方向
が、検出電流の電流磁界によってフリー磁性層7の磁気
モーメント方向の交差方向に固定されることを特徴とす
るスピンバルブ型薄膜磁気素子1を採用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スピンバルブ型薄
膜磁気素子及び薄膜磁気ヘッド及び浮上式磁気ヘッド並
びにスピンバルブ型薄膜磁気素子の製造方法に関するも
のであり、特に、検出電流の電流磁界によって固定磁性
層の磁気モーメント方向を固定するとともに、Exchange
Bias方式を採用したデュアル型のスピンバルブ型薄膜
磁気素子及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スピンバルブ型薄膜磁気素子は、巨大磁
気抵抗効果を示すGMR(Giant Magnetoresistive)素
子の一種であり、ハードディスクなどの記録媒体から記
録磁界を検出するものである。しかもこのスピンバルブ
型薄膜磁気素子は、GMR素子の中で比較的構造が単純
で、外部磁界に対して抵抗変化率が高く、弱い磁界で抵
抗が変化するなどの優れた長所を有している。
【0003】図17は、従来のスピンバルブ型薄膜磁気
素子の一例を、記録媒体との対向面(ABS面)側から
見た場合の構造を示す断面図である。図17に示すスピ
ンバルブ型薄膜磁気素子は、フリー磁性層の厚さ方向両
側にそれぞれ、非磁性導電層、固定磁性層、反強磁性層
が一層ずつ積層された、いわゆるデュアルスピンバルブ
型薄膜磁気素子である。なお図17において、図示Z方
向はハードディスクなどの磁気記録媒体の移動方向であ
り、図示Y方向は磁気記録媒体からの洩れ磁界の方向で
あり、図示X1方向はスピンバルブ型薄膜磁気素子のト
ラック幅方向である。またこのスピンバルブ型薄膜磁気
素子は、硬磁性材料等からなる一対のバイアス層からの
バイアス磁界を、トラック幅方向からフリー磁性層に印
加することによりフリー磁性層の磁気モーメント方向を
トラック幅方向に揃えるいわゆるAbutted接合型HardBia
s方式のスピンバルブ型薄膜磁気素子である。
【0004】図17に示す従来のスピンバルブ型薄膜磁
気素子301は、基板302上に、Taなどからなる下
地層303、第1反強磁性層304、第1固定磁性層3
05、Cuなどからなる第1非磁性導電層306、フリ
ー磁性層307、Cuなどからなる第2非磁性導電層3
08、第2固定磁性層309、第2反強磁性層310及
びTaなどからなる保護層311が順次積層されてなる
積層体312と、この積層体312の図示X1方向両側
に形成されたCoPt合金等からなる一対のバイアス層
332、332と、このバイアス層332、332上に
積層されたCu等からなる一対のリード層334、33
4とを主体として構成されている。また図17に示すよ
うに、積層体312の上面の図示X1方向の幅の寸法に
より、スピンバルブ型薄膜磁気素子301の光学的トラ
ック幅Twが決定される。
【0005】第1固定磁性層305は、第1強磁性ピン
ド層305aと、第1非磁性中間層305bと、第2強
磁性ピンド層305cとが積層されて構成されている。
第2強磁性ピンド層305cの膜厚は、第1強磁性ピン
ド層305aの膜厚より大とされている。第1強磁性ピ
ンド層305aの磁気モーメント方向は、第1反強磁性
層304との交換結合磁界によって図示Y方向に固定さ
れ、また第2強磁性ピンド層305cは、第1強磁性ピ
ンド層305aと反強磁性的に結合してその磁気モーメ
ント方向が図示Y方向の反対方向に固定されている。
【0006】このように第1、第2強磁性ピンド層30
5a、305cの磁気モーメント方向が互いに反平行と
されているため、それぞれの層の磁気モーメントが相互
に打ち消し合う関係にあるが、第2強磁性ピンド層30
5cが第1強磁性ピンド層305aよりも厚く形成され
ているので、第2強磁性ピンド層305cの磁気モーメ
ントが僅かに残存し、これにより第1固定磁性層305
全体の磁気モーメント方向が図示Y方向の反対方向に固
定される。
【0007】また、第2固定磁性層309は、第3強磁
性ピンド層309aと、第2非磁性中間層309bと、
第4強磁性ピンド層309cとが積層されて構成されて
いる。第3強磁性ピンド層309aの膜厚は、第4強磁
性ピンド層309cの膜厚より小とされている。第4強
磁性ピンド層309cの磁気モーメント方向は、第2反
強磁性層310との交換結合磁界によって図示Y方向に
固定され、また第3強磁性ピンド層309aは、第4強
磁性ピンド層309cと反強磁性的に結合してその磁気
モーメント方向が図示Y方向の反対方向に固定されてい
る。
【0008】第1固定磁性層305の場合と同様に、第
3、第4強磁性ピンド層309a、309cのそれぞれ
の磁気モーメントが相互に打ち消し合う関係にあるが、
第4強磁性ピンド層309cが第3強磁性ピンド層30
9aより厚く形成されているので、第4強磁性ピンド層
309cの磁気モーメントが僅かに残存し、第2固定磁
性層309全体の磁気モーメント方向が図示Y方向に固
定される。
【0009】このように第1、第2固定磁性層305、
309においては、第1〜第4強磁性ピンド層305
a、305c、309a、309cがそれぞれ反強磁性
的に結合し、かつ第2、第4強磁性ピンド層305c、
309cの磁気モーメントがそれぞれ残存しており、人
工的なフェリ磁性状態(synthetic ferri pinned;シン
セティックフェリピンド)を示す層となる。
【0010】フリー磁性層307は、Co等よりなる第
1拡散防止層307aと、NiFe合金等よりなる強磁
性自由層307bと、Co等よりなる第2拡散防止層3
07cとが積層されて構成されている。第1、第2拡散
防止層307a、307cは、隣接する第1、第2非磁
性導電層306、308との相互拡散を防止する。この
フリー磁性層307の磁気モーメント方向は、バイアス
層332、332のバイアス磁界によって図示X1方向
に揃えられている。これにより、フリー磁性層307の
磁気モーメント方向と第1、第2固定磁性層305、3
09の磁気モーメント方向とが交叉する関係になる。
【0011】また、リード層334、334はCu、C
r等の導電材料からなり、積層体312に検出電流(セ
ンス電流)を付与するもので、積層体312の図示X1
方向両側に位置してバイアス層332、332上に積層
されている。
【0012】また、下地層303とバイアス層332、
332との間に、W、TaまたはCrからなるバイアス
下地層331、331が積層され、バイアス層332、
332とリード層334、334との間にはW、Taま
たはCrからなる中間層333、333が積層されてい
る。
【0013】このスピンバルブ型薄膜磁気素子301で
は、リード層334、334から積層体312に検出電
流(センス電流)が与えられ、磁気記録媒体からの洩れ
磁界がY方向に与えられると、フリー磁性層307の磁
気モーメント方向がX1方向からY方向へ向けて変化す
る。このフリー磁性層307の磁気モーメント方向の変
動と、第1、第2固定磁性層305、309の磁気モー
メント方向との関係で電気抵抗値が変化し(これを磁気
抵抗(MR)効果という)、この電気抵抗値の変化に基
づく電圧変化により、磁気記録媒体からの漏れ磁界が検
出される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のスピン
バルブ型薄膜磁気素子301は、再生感度がトラック幅
方向に亙って一定ではなく、再生感度の高い領域と低い
領域とが存在する。例えば、フリー磁性層307の図示
X1方向両側の両端部は、バイアス層332、332に
隣接するため、バイアス磁界が強く作用する。このた
め、フリー磁性層307の両端部ではこのバイアス磁界
により磁気モーメントが固定され、磁気記録媒体からの
漏れ磁界の変化に追従できなくなり、磁気抵抗効果が発
現することなく再生感度が著しく低下する。一方、フリ
ー磁性層307の中央部分は、バイアス層332、33
2から比較的離れているのでバイアス磁界が強く作用す
ることなく、フリー磁性層の磁気モーメント方向は記録
媒体からの漏れ磁界の変化に対して柔軟に追従でき、磁
気抵抗効果が発現して再生感度が高くなる。
【0015】上記のように、再生感度が低下する領域を
不感領域と称し、図17には符号Nでその領域を示して
いる。また、再生感度が高い領域を感度領域と称し、図
17には符号Sでその領域を示している。図17に示す
ように不感領域N、Nは、積層体312の下面の図示X
1方向端部付近から、積層体312の中央にまで存在
し、一方、感度領域Sは不感領域N、Nに挟まれた領域
となり、スピンバルブ型薄膜磁気素子301の実効的な
トラック幅となる。この感度領域Sの幅は、不感領域
N、Nの幅によって相対的に決定され、通常は光学的ト
ラック幅Twよりも若干狭くなる。
【0016】従って、従来のAbutted接合型HardBias方
式のスピンバルブ型薄膜磁気素子においては、設計上の
光学的トラック幅よりも実効トラック幅(感度領域Sの
幅)が狭くなり、磁気抵抗効果を発現し得る領域が減少
して、再生感度が著しく低下してしまうという問題があ
った。また、不感領域N、Nの幅は、バイアス磁界に影
響されるためその変動が大きく、これにより感度領域S
の幅も変動してしまい、スピンバルブ型薄膜磁気素子の
実効トラック幅が確定しないという問題もあった。
【0017】実効的なトラック幅を正確に制御するに
は、フリー磁性層に反強磁性バイアス層を積層させてこ
れらの層同士の界面にて交換結合磁界を発現させ、この
交換結合磁界によりフリー磁性層の磁気モーメント方向
を揃えるいわゆるExchange Bias方式を採用することで
解決できるように思われる。しかし、従来のデュアル型
のスピンバルブ型薄膜磁気素子では、フリー磁性層の上
部に厚さ数十nmの反強磁性層が積層されているため、
フリー磁性層上に反強磁性バイアス層を積層するにはこ
の反強磁性層を除去してフリー磁性層を露出させる必要
がある。数十nmの反強磁性層を除去するには、エッチ
ング深さの高精度な制御が要求されるが、その制御は極
めて困難であるため、現状ではデュアル型のスピンバル
ブ型薄膜磁気素子へのExchange Bias方式の採用は困難
であった。
【0018】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
のであり、Exchange Bias方式を容易に採用することが
可能であって、トラック幅が狭くても再生感度を高くす
ることが可能なスピンバルブ型薄膜磁気素子及びその製
造方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成を採用した。本発明のスピン
バルブ型薄膜磁気素子は、第1固定磁性層、第1非磁性
導電層及びフリー磁性層が順次積層されるとともに、第
2非磁性導電層及び第2固定磁性層が前記フリー磁性層
の一部上に順次積層されてなる積層突出部を具備する積
層体と、前記積層突出部のトラック幅方向両側に位置し
て前記フリー磁性層上に積層され、交換結合バイアス磁
界によりこのフリー磁性層の磁気モーメント方向を一方
向に揃える一対の反強磁性バイアス層と、前記一対の反
強磁性バイアス層上に積層されて前記積層体に検出電流
を与える一対のリード層とからなり、前記リード層から
検出電流が供給された状態で、前記第1、第2固定磁性
層の磁気モーメント方向がそれぞれ、前記検出電流の電
流磁界によって前記フリー磁性層の磁気モーメント方向
の交差方向に固定されることを特徴とする。
【0020】係るスピンバルブ型薄膜磁気素子によれ
ば、第1、第2固定磁性層の磁気モーメント方向を、検
出電流の電流磁界によって固定するので、従来のスピン
バルブ型薄膜磁気素子において必須であった反強磁性層
を省略することができる。これにより、第2固定磁性層
と第2非磁性導電層を除去するのみでフリー磁性層を露
出させることができるので、フリー磁性層の磁気モーメ
ント方向を反強磁性バイアス層との交換結合磁界により
揃えるいわゆるExchange Bias方式を、このデュアル型
のスピンバルブ型薄膜磁気素子に容易に採用することが
でき、これによりスピンバルブ型薄膜磁気素子の実効ト
ラック幅が、一対の反強磁性バイアス層の相互の間隔
(光学的トラック幅)に一致するので、従来のAbutted
Junction方式のように実効的なトラック幅が光学的トラ
ック幅より狭くなることがなく、再生感度が低下するこ
とがない。
【0021】また、スピンバルブ型薄膜磁気素子の実効
的なトラック幅を、反強磁性バイアス層同士の間隔によ
り決めることができるので、スピンバルブ型薄膜磁気素
子の実効的なトラック幅を正確に制御することが可能に
なる。更に、反強磁性層を省略できるので、スピンバル
ブ型薄膜磁気素子全体の厚さを薄くすることができ、こ
れにより従来よりもギャップ幅を狭くして高記録密度化
に対応することが可能になる。
【0022】また、反強磁性バイアス層の交換結合バイ
アス磁界は、フリー磁性層との界面にて発現してフリー
磁性層のみに印加されるものであり、第1、第2固定磁
性層には全く作用しないので、第1、第2固定磁性層の
磁気モーメント方向が、交換結合バイアス磁界によって
乱されることがない。
【0023】また、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子においては、前記第1、2固定磁性層のいずれか一方
に接し、交換結合磁界によってこのいずれか一方の固定
磁性層の磁気モーメントを固定する反強磁性層が備えら
れていてもよい。この反強磁性層は、XMn合金または
PtX’Mn合金(ただしXはPt、Pd、Ir、R
h、Ru、Osのなかのいずれか1種の元素であり、
X’はPd、Cr、Ru、Ni、Ir、Rh、Os、A
u、Ag、Ne、Ar、Xe、Krのなかのいずれか1
種以上の元素である)のいずれかにより構成されること
が好ましい。特にこの反強磁性層は、第1固定磁性層に
接して備えることが好ましいが、第2固定磁性層に接し
て備える場合には、膜厚を8〜12nmの範囲とするこ
とが好ましい。
【0024】係るスピンバルブ型薄膜磁気素子によれ
ば、第1、第2固定磁性層のいずれか一方に接する反強
磁性層を備えているので、この反強磁性層が接する固定
磁性層の磁気モーメントをより安定にすることができ、
磁気抵抗効果を向上させることが可能になる。
【0025】特に、反強磁性層を第1固定磁性層に接し
て形成した場合には、第2固定磁性層と第2非磁性導電
層を除去するのみでフリー磁性層を露出できるので、反
強磁性バイアス層をフリー磁性層上に形成することがで
き、Exchange Bias方式を容易に採用することが可能に
なる。また、反強磁性層を第2固定磁性層に接して形成
した場合には、フリー磁性層を露出させるために、この
反強磁性層と第2固定磁性層と第2非磁性導電層を除去
する必要があるが、反強磁性層の膜厚を8〜12nmの
範囲に限定すれば、反強磁性層を除去する際のエッチン
グの負担を低減できるので、フリー磁性層を露出させる
ことが比較的容易になり、Exchange Bias方式を容易に
採用することが可能になる。
【0026】また、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子は、先に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子であっ
て、前記第1、第2固定磁性層がそれぞれ、2以上の強
磁性ピンド層と、これらの強磁性ピンド層の間に挿入さ
れる非磁性中間層とが積層されてなり、前記検出電流が
供給された状態で、隣接する各強磁性ピンド層のそれぞ
れの磁気モーメント方向が相互に反平行とされるととも
に、前記の強磁性ピンド層のうち、前記第1、第2非磁
性導電層にそれぞれ隣接する2つの強磁性ピンド層の磁
気モーメント方向が同一とされていることを特徴とす
る。
【0027】係るスピンバルブ型薄膜磁気素子によれ
ば、第1、第2固定磁性層がいわゆるる人工的なフェリ
磁性状態(synthetic ferri pinned;シンセティックフ
ェリピンド)を示す層であるので、検出電流の電流磁界
により生じる磁気モーメントを固定する効果をより増幅
させることができ、第1、第2固定磁性層の磁気モーメ
ント方向を強固に固定し、これらの固定磁性層を安定さ
せることができ、磁気抵抗効果を向上させることが可能
になる。また、第1、第2非磁性導電層にそれぞれ隣接
する強磁性ピンド層の磁気モーメント方向が同一である
ので、フリー磁性層、第1、第2非磁性導電層及び第
1、第2固定磁性層の間でそれぞれ発現する磁気抵抗効
果が打ち消されることがなく、高い磁気抵抗変化率を示
すことが可能になる。
【0028】更に、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子は、先に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子であっ
て、前記第1、2固定磁性層をそれぞれ構成する各強磁
性ピンド層の磁気モーメントの合成モーメントを、該第
1、2固定磁性層のそれぞれの磁気モーメントとした場
合に、前記検出電流が供給された状態で、この第1、第
2固定磁性層の磁気モーメント方向が、前記電流磁界に
より固定されることにより、相互に反平行とされている
ことを特徴とする。
【0029】係るスピンバルブ型薄膜磁気素子によれ
ば、第1、第2固定磁性層のそれぞれの磁気モーメント
方向が、検出電流の電流磁界方向に一致して相互に反平
行であるので、電流磁界によって打ち消されることがな
く、第1、第2固定磁性層の磁気モーメント方向をより
強固に固定して、磁気抵抗効果を向上させることが可能
になる。
【0030】更にまた、本発明のスピンバルブ型薄膜磁
気素子は、先に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子であ
って、飽和磁化と膜厚の積を磁気的膜厚とした場合に、
前記リード層から検出電流が供給された状態で、前記第
1固定磁性層を構成する強磁性ピンド層のうちの最大の
磁気的膜厚を示す強磁性ピンド層の磁気モーメント方向
と、前記第2固定磁性層を構成する強磁性ピンド層のう
ちの最大の磁気的膜厚を示す強磁性ピンド層の磁気モー
メント方向とがそれぞれ、これらの強磁性ピンド層にお
ける前記電流磁界の方向に一致することを特徴とする。
【0031】係るスピンバルブ型薄膜磁気素子によれ
ば、検出電流により積層体中にて生じる電流磁界が、合
成磁気モーメントの方向を電流磁界と平行な方向に向け
るように作用するので、結果的に電流磁界の方向とこれ
ら最大磁気的膜厚を示す強磁性ピンド層の磁気モーメン
ト方向が一致することになる。これにより、結果として
最大磁気的膜厚を示す強磁性ピンド層と、この層に隣接
する他の強磁性ピンド層とが反強磁性的に結合してフェ
リ磁性状態を示すことになり、固定磁性層全体の磁気モ
ーメント方向を強固に固定することが可能になる。
【0032】また、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子では、前記第1固定磁性層が、第1強磁性ピンド層
と、第1非磁性中間層と、第2強磁性ピンド層と、第2
非磁性中間層と、前記第1非磁性導電層に隣接する第3
強磁性ピンド層とが順次積層されてなるとともに、第
1、第2、第3強磁性ピンド層の各磁気モーメント方向
が隣接する層同士の間で相互に反平行とされ、更に前記
第1、第2、第3強磁性ピンド層の磁気的膜厚をそれぞ
れM1、M2、M3としたときに、M3>M1、M3>M 2
(M1+M3)>M2がそれぞれ成立するものであり、前
記第2固定磁性層が、前記第2非磁性導電層に隣接する
第4強磁性ピンド層と、第3非磁性導電層と、第5強磁
性ピンド層とが順次積層されてなるとともに、第4、第
5強磁性ピンド層の各磁気モーメント方向が相互に反平
行とされ、更に前記第4、第5強磁性ピンド層の磁気的
膜厚をそれぞれM4、M5としたときに、M5>M4が成立
するものであり、さらに前記第3、第4強磁性ピンド層
の各磁気モーメント方向が同一とされていることが好ま
しい。
【0033】係るスピンバルブ型薄膜磁気素子によれ
ば、検出電流により発生する電流磁界が、第1固定磁性
層のうちの第3強磁性ピンド層よりも第1、第2非磁性
導電層から離れて位置する第1強磁性ピンド層に集中
し、特にこの電流磁界は第1強磁性ピンド層側で強くな
るので、第1、第3強磁性ピンド層の磁気モーメント方
向が電流磁界の方向に一致して強固に固定され、更に第
2強磁性ピンド層が第1、第3強磁性ピンド層と反強磁
性的に結合し、これにより第1固定磁性層全体がフェリ
磁性状態を示すので、第1固定磁性層全体の磁気モーメ
ント方向を強固に固定することが可能になる。また、第
2固定磁性層においては、最大磁気的膜厚を示す第5強
磁性ピンド層に電流磁界が集中し、またこの第5強磁性
ピンド層は第4強磁性ピンド層よりも第1、第2非磁性
導電層から離れて位置するために、より大きな電流磁界
が作用するので、第5強磁性ピンド層の磁気モーメント
方向が強固に固定され、これにより第2固定磁性層全体
の磁気モーメント方向を強固に固定することが可能にな
る。
【0034】更に、第1非磁性導電層に隣接する第3強
磁性ピンド層は、実質的に磁気抵抗効果に関与する層で
あり、この層の磁気的膜厚が第1固定磁性層において最
大であるので、磁気抵抗効果をより高くすることが可能
になる。
【0035】更に、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子は、先に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子であっ
て、前記第1固定磁性層において、前記第1、第2、第
3強磁性ピンド層の磁気的膜厚の関係が、M3>M2>M
1となることを特徴とする。
【0036】係るスピンバルブ型薄膜磁気素子によれ
ば、磁気的膜厚が第1、第2、第3強磁性ピンド層の順
に大きくなるので、これらの層の各磁気モーメントが合
成された場合の合成の磁気モーメントが比較的小さくな
り、これにより第1固定磁性層全体の磁気モーメントを
固定する電流磁界の効果が増幅されて第1固定磁性層の
磁気モーメント方向をより強固に固定することが可能に
なる。
【0037】更にまた、本発明のスピンバルブ型薄膜磁
気素子は、先に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子にお
いて、前記第1固定磁性層が、第2強磁性ピンド層と、
第2非磁性中間層と、前記第1非磁性導電層に隣接する
第3強磁性ピンド層とが順次積層されてなるとともに、
第2、第3強磁性ピンド層の各磁気モーメント方向が相
互に反平行とされ、更に前記第2、第3強磁性ピンド層
の磁気的膜厚をそれぞれM2、M3としたときに、M3
2が成立するものであり、前記第2固定磁性層が、前
記第2非磁性導電層に隣接する第4強磁性ピンド層と、
第3非磁性中間層と、第5強磁性ピンド層とが順次積層
されてなるとともに、第4、第5強磁性ピンド層の各磁
気モーメント方向が相互に反平行とされ、更に前記第
4、第5強磁性ピンド層の磁気的膜厚をそれぞれM4
5としたときに、M5>M4が成立するものであり、さ
らに前記第3、第4強磁性ピンド層の各磁気モーメント
方向が同一とされているものであってもよい。
【0038】係るスピンバルブ型薄膜磁気素子によれ
ば、第1、第2固定磁性層中で最大磁気的膜厚を示す第
3強磁性ピンド層及び第5強磁性ピンド層の磁化の方向
がそれぞれの合成磁気モーメントの方向と一致するの
で、電流磁界が第3,第5強磁性ピンド層の磁化を電流
磁界と平行な方向に向けるように作用する。この結果と
して、第3、第5強磁性ピンド層が第2、第4強磁性ピ
ンド層にそれぞれ反強磁性的に結合し、これにより第
1、第2固定磁性層がそれぞれフェリ磁性状態を示すこ
とになるので、第1、第2固定磁性層の磁気モーメント
方向を強固に固定することが可能になる。
【0039】更に、第1非磁性導電層に隣接する第3強
磁性ピンド層は、実質的に磁気抵抗効果に関与する層で
あり、この層の磁気的膜厚が第1固定磁性層において最
大であるので、磁気抵抗効果をより高くすることが可能
になる。
【0040】次に、本発明の薄膜磁気ヘッドは、先に記
載のスピンバルブ型薄膜磁気素子が磁気情報の読出素子
として備えられてなることを特徴とする。また次に、本
発明の浮上式磁気ヘッドは、スライダに、先に記載の薄
膜磁気ヘッドが備えられてなることを特徴とする。
【0041】係る薄膜磁気ヘッドによれば、上記のいず
れかに記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えている
ので、磁気抵抗効果が大きくなって再生感度が高く、ト
ラック幅が狭幅であって磁気記録密度の高度化に対応可
能な薄膜磁気ヘッドを提供することが可能になる。ま
た、係る浮上式磁気ヘッドによれば、上記の薄膜磁気ヘ
ッドを備えているので、再生感度が高く、トラック幅が
狭幅であって磁気記録密度の高度化に対応可能な浮上式
磁気ヘッドを提供することが可能になる。
【0042】次に、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法は、基板上に、第1固定磁性層、第1非磁
性導電層、フリー磁性層、第2非磁性導電層及び第2固
定磁性層を順次積層して積層膜を形成する積層膜形成工
程と、前記積層膜に接する当接面と該当接面を挟む両側
面とを具備してなるとともに、前記当接面と前記両側面
の間であって該当接面のトラック幅方向両側に一対の切
込部が設けられてなるリフトオフレジストを、前記積層
膜上に形成するレジスト形成工程と、前記基板に対して
角度θ1の方向からイオンビーム等のエッチング粒子を
前記積層膜に照射して、前記リフトオフレジストの両側
面よりもトラック幅方向外側に位置する第2固定磁性層
及び第2非磁性導電層をエッチングし、残存した第2固
定磁性層及び第2非磁性導電層によりフリー磁性層上に
積層突出部を形成しつつ、積層体を形成する積層体形成
工程と、前記基板に対して角度θ2(ただしθ2>θ1
の方向からスパッタ粒子を堆積して、前記リフトオフレ
ジストの両側面よりトラック幅方向外側に、一対の反強
磁性バイアス層を形成するバイアス層形成工程と、前記
基板に対して角度θ1の方向から他のスパッタ粒子を堆
積して、前記一対の反強磁性バイアス層上であって前記
両側面よりトラック幅方向外側に、リード層を形成する
リード層形成工程とからなることを特徴とする。
【0043】係るスピンバルブ型薄膜磁気素子の製造方
法によれば、第2固定磁性層上に反強磁性層を積層しな
いので、積層体形成工程において第2固定磁性層と第2
非磁性導電層をエッチングするだけでフリー磁性層を露
出でき、エッチングの負担が軽減されて、Exchange Bia
s方式のデュアル型のスピンバルブ型薄膜磁気素子を容
易に製造することが可能になる。また、角度θ2(θ2
θ1)の方向からスパッタ粒子を堆積して反強磁性バイ
アス層を積層するので、反強磁性バイアス層の膜厚が積
層突出部に接近するにつれて薄くなることがなく、反強
磁性バイアス層の膜厚を一定にすることが可能になる。
これにより、積層突出部に接近するにつれて交換結合バ
イアス磁界が低下することがなく、反強磁性バイアス層
に対向する位置で常にフリー磁性層の磁気モーメント方
向が強固に固定されるためこの位置で磁気抵抗効果が発
現することがなく、実効トラック幅を反強磁性バイアス
層の間隔に一致させることが可能になる。
【0044】また、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法は、先に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法であって、飽和磁化と膜厚の積を磁気的膜
厚とした場合、前記積層膜形成工程において、前記第1
固定磁性層は、基板上に第1強磁性ピンド層、第1非磁
性中間層、第2強磁性ピンド層、第2非磁性中間層及び
第3強磁性ピンド層を順次積層するとともに、前記第
1、第2、第3強磁性ピンド層の各磁気的膜厚M1
2、M3が、M3>M1、M3>M2、(M1+M3)>M2
となるようにして形成し、前記第2固定磁性層は、前記
第2非磁性導電層上に、第4強磁性ピンド層、第3非磁
性中間層及び第5強磁性ピンド層を順次積層するととも
に、前記第4、第5強磁性ピンド層の各磁気的膜厚
4、M5が、M5>M4となるようにして形成することを
特徴とする。
【0045】更に、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法は、先に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法であって、飽和磁化と膜厚の積を磁気的膜
厚とした場合、前記積層膜形成工程において、前記第1
固定磁性層は、基板上に第2強磁性ピンド層、第2非磁
性中間層、第3強磁性ピンド層を順次積層するととも
に、前記第2、第3強磁性ピンド層の各磁気的膜厚
2、M3が、M3>M2となるようにして形成し、前記第
2固定磁性層は、前記第2非磁性導電層上に、第4強磁
性ピンド層、第3非磁性中間層及び第5強磁性ピンド層
を順次積層するとともに、前記第4、第5強磁性ピンド
層の各磁気的膜厚M4、M5が、M5>M4となるようにし
て形成することを特徴とする。
【0046】係るスピンバルブ型薄膜磁気素子の製造方
法によれば、第1、第2固定磁性層をそれぞれ、強磁性
ピンド層と非磁性中間層の多層構造とするので、フェリ
磁性状態を示す層を形成することができ、磁気モーメン
ト方向が強固に固定された第1、第2固定磁性層を構成
することが可能になる。
【0047】また、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法においては、前記積層膜形成工程におい
て、前記基板と前記第1固定磁性層の間、または前記第
2固定磁性層上に、反強磁性層を形成してもよい。
【0048】係るスピンバルブ型薄膜磁気素子に製造方
法によれば、第1、第2固定磁性層のいずれか一方に接
する反強磁性層を形成するので、この反強磁性層が接す
る固定磁性層の磁気モーメントをより安定にすることが
でき、磁気抵抗効果が向上したスピンバルブ型薄膜磁気
素子を得ることが可能になる。
【0049】また、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法は、先に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法であって、前記バイアス層形成工程におい
て、強磁性層と別の反強磁性層を順次積層して反強磁性
バイアス層を形成することを特徴とする。
【0050】係るスピンバルブ型薄膜磁気素子の製造方
法によれば、積層体形成工程でのエッチングによって露
出したフリー磁性層上に強磁性層を積層し、成膜装置の
真空を破ることなく更に別の反強磁性層を積層するの
で、強磁性層とこの別の反強磁性層との界面が不純物で
汚染されることがなく、またこの別の反強磁性層が極め
て平滑な強磁性層上に形成されることになり、該別の反
強磁性層と強磁性層との界面が、各層を構成する原子の
ミキシング等によって乱れることがなく、これらの層の
間で強い交換結合バイアス磁界を発現させることが可能
になる。
【0051】更に、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法は、先に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法であって、前記積層体形成工程において、
第2固定磁性層及び第2非磁性導電層に加えてフリー磁
性層の一部をエッチングすることにより、前記フリー磁
性層の上面に前記積層突出部に接する凸部を形成しつつ
積層体を形成し、前記バイアス層形成工程において、前
記凸部のトラック幅方向両側に前記強磁性層を積層する
ことを特徴とする。
【0052】係るスピンバルブ型薄膜磁気素子の製造方
法によれば、積層体形成工程においてフリー磁性層の一
部までエッチングするので、第2非磁性導電層が残存す
ることがなく、フリー磁性層に強磁性層が必ず接合する
ことになり、強磁性層からフリー磁性層に交換結合バイ
アス磁界を効率よく与えてフリー磁性層の磁気モーメン
ト方向を確実に揃えさせることが可能になる。
【0053】更にまた、本発明のスピンバルブ型薄膜磁
気素子の製造方法は、先に記載のスピンバルブ型薄膜磁
気素子の製造方法であって、前記積層体形成工程におい
て、エッチングの際に前記積層膜から叩き出されたスパ
ッタ粒子種を2次イオン質量スペクトル分析法により分
析してエッチングの終点を検出することを特徴とする。
【0054】係るスピンバルブ型薄膜磁気素子の製造方
法によれば、積層体を形成する際のエッチングの終点
を、2次イオン質量スペクトル分析法によりスパッタ粒
子種を分析することにより行うので、エッチングの精度
が高くなってフリー磁性層を確実に露出させることがで
き、フリー磁性層に反強磁性バイアス層を直接に積層す
ることが可能になる。
【0055】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。なお、図1〜図16において、図
示Z方向は磁気記録媒体の移動方向であり、図示Y方向
は磁気記録媒体からの漏れ磁界の方向であり、図示X1
方向はスピンバルブ型薄膜磁気素子のトラック幅方向で
ある。
【0056】[第1の実施形態]図1に、本発明の第1
の実施形態であるスピンバルブ型薄膜磁気素子1を磁気
記録媒体側からみた断面模式図を示し、図2には、スピ
ンバルブ型薄膜磁気素子1をトラック幅方向から見た断
面模式図を示す。また、図3にこのスピンバルブ型薄膜
磁気素子1を具備してなる薄膜磁気ヘッド300を備え
た浮上式磁気ヘッド350を示し、図4には薄膜磁気ヘ
ッド300の要部の断面模式図を示す。
【0057】図3に示す本発明に係る浮上式磁気ヘッド
350は、スライダ351と、スライダ351の端面3
51dに備えられた本発明に係る薄膜磁気ヘッド300
を主体として構成されている。符号355はスライダ3
51の磁気記録媒体の移動方向の上流側であるリーディ
ング側を示し、符号356はトレーリング側を示す。こ
のスライダ351の媒体対向面352には、レール35
1a、351a、351bが形成され、各レール同士間
は、エアーグルーブ351c、351cとされている。
【0058】また図4に示すように、本発明に係る薄膜
磁気ヘッド300は、スライダ351の端面351d上
に形成された絶縁層362に形成されており、絶縁層3
62上に積層された下部シールド層363と、下部シー
ルド層363に積層された下部絶縁層364と、下部絶
縁層364上に形成されて媒体対向面352上に露出す
る本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子1と、スピ
ンバルブ型薄膜磁気素子1を覆う上部絶縁層366と、
上部絶縁層366を覆う上部シールド層367とから構
成されている。また上部シールド層367は、後述する
インダクティブヘッドhの下部コア層と兼用とされてい
る。
【0059】インダクティブヘッドhは、下部コア層
(上部シールド層)367と、下部コア層367に積層
されたギャップ層374と、コイル376と、コイル3
76を覆う上部絶縁層377と、ギャップ層374に接
合され、かつコイル376側にて下部コア層367に接
合される上部コア層378とから構成されている。コイ
ル376は、平面的に螺旋状となるようにパターン化さ
れている。また、コイル376のほぼ中央部分にて上部
コア層378の基端部378bが下部コア層367に磁
気的に接続されている。また、上部コア層378には、
アルミナなどからなるコア保護層379が積層されてい
る。
【0060】図1及び図2に示すように、本発明のスピ
ンバルブ型薄膜磁気素子1は、フリー磁性層を中心とし
てその厚さ方向両側に非磁性導電層及び固定磁性層が1
層づつ積層された、いわゆるデュアルスピンバルブ型薄
膜磁気素子である。このデュアルスピンバルブ型薄膜磁
気素子は、フリー磁性層/非磁性導電層/固定磁性層の
3層の組合せが2組存在するために、フリー磁性層/非
磁性導電層/固定磁性層の3層の組合せが1組であるシ
ングルスピンバルブ薄膜磁気素子と比較して、大きな抵
抗変化率が期待でき、高密度記録に対応できるものとな
っている。
【0061】図1及び図2に示すように、本発明のスピ
ンバルブ型薄膜磁気素子1は、下部絶縁層364(基
板)上に、Taなどからなる下地層3、第1固定磁性層
5、Cuなどからなる第1非磁性導電層6、フリー磁性
層7、Cuなどからなる第2非磁性導電層8、第2固定
磁性層9及びTaなどからなる保護層10が順次積層さ
れて形成された積層体11と、フリー磁性層7の磁気モ
ーメントを揃える一対の反強磁性バイアス層32、32
と、この反強磁性バイアス層32、32上に形成されて
検出電流(センス電流)を積層体11に与えるCr、T
a、W、Rh、Au、Cu等からなる一対のリード層3
3、33とを主体として構成されている。
【0062】積層体11においては、下地層3、第1固
定磁性層5、第1非磁性導電層6及びフリー磁性層7が
順次積層され、更にこのフリー磁性層7の一部上に、第
2非磁性導電層8及び第2固定磁性層9が順次積層され
て断面視略台形状の積層突出部11aが形成されてい
る。そして積層突出部11aの図示X1方向両側に、一
対の反強磁性バイアス層32、32がフリー磁性層7に
接して形成されている。更に反強磁性バイアス層32、
32上に一対のリード層33、33が積層されている。
【0063】フリー磁性層7は、Co等よりなる第1拡
散防止層7aと、NiFe合金よりなる強磁性自由層7
bと、Co等よりなる第2拡散防止層7cとが積層され
て構成されている。第1、第2拡散防止層7a、7c
は、隣接する第1、第2非磁性導電層6、8との相互拡
散を防止するとともに磁気抵抗効果を向上させる作用を
有する。第1、第2拡散防止層7a、7cの膜厚は0.
2〜1nmの範囲が好ましく、強磁性自由層7bの膜厚
は1〜3nmの範囲が好ましい。そして、フリー磁性層
7のほぼ中央には凸部7dが形成されている。積層突出
部11aはこの凸部7d上に配置されている。そして、
この凸部7dの図示X1方向両側には、反強磁性バイア
ス層32、32を構成する強磁性層32b、32bが配
置されている。フリー磁性層7の磁気モーメント方向
は、反強磁性バイアス層32、32の交換結合バイアス
磁界によって図示X1方向に揃えられる。このようにフ
リー磁性層7が単磁区化されることにより、スピンバル
ブ型薄膜磁気素子1のバルクハウゼンノイズを低減でき
る。
【0064】反強磁性バイアス層32、32は、図1に
示すように、フリー磁性層7上に積層された強磁性層3
2b、32bと、この強磁性層32b、32b上に積層
された第1反強磁性層(別の反強磁性層)32a、32
aとから形成されている。強磁性層32b、32bは、
フリー磁性層7の凸部7dの図示X1方向両側に配置さ
れてフリー磁性層7上に積層されている。また反強磁性
バイアス層32、32は、図1に示すように、それぞれ
の上面32c、32cが間隔Twをあけて図示X1方向
にそって離間している。このTwがスピンバルブ型薄膜
磁気素子1の光学的トラック幅となる。
【0065】第1反強磁性層32a、32aは、PtM
n合金で形成されていることが好ましい。PtMn合金
は、従来から反強磁性層として使用されているNiMn
合金やFeMn合金などに比べて耐食性に優れ、しかも
ブロッキング温度が高く、交換結合バイアス磁界も大き
い。また、第1反強磁性層32a、32aは、XMn合
金またはPtX’Mn合金(ただし、XはPt、Pd、
Ir、Rh、Ru、Osのなかのいずれか1種の元素で
あり、X’はPd、Cr、Ru、Ni、Ir、Rh、O
s、Au、Ag、Ne、Ar、Xe、Krのなかのいず
れか1種以上の元素である)のいずれかより構成されて
なるものであってもよい。
【0066】前記PtMn合金および前記XMnの式で
示される合金において、PtあるいはXが37〜63原
子%の範囲であることが望ましい。より好ましくは、4
4〜57原子%の範囲である。さらにまた、PtX’M
nの式で示される合金において、X’+Ptが37〜6
3原子%の範囲であることが望ましい。より好ましく
は、44〜57原子%の範囲である。第1反強磁性層3
2a、32aの膜厚は、8〜50nmの範囲とすること
が好ましい。
【0067】第1反強磁性層32a、32aとして上記
した適正な組成範囲の合金を使用し、これを磁場中熱処
理することで、強磁性層32b、32bとの界面にて大
きな交換結合バイアス磁界を発生する第1反強磁性層3
2a、32aを得ることができる。特にPtMn合金で
あれば、6.4×104A/mを越える交換結合バイア
ス磁界を有し、交換結合バイアス磁界を失うブロッキン
グ温度が653K(380℃)と極めて高い第1反強磁
性層32a、32aを得ることができる。
【0068】強磁性層32b、32bは、例えばNiF
e合金、Co等からなるものであって、膜厚が1〜10
nmの範囲のものであり、第1反強磁性層32a、32
aとの間で交換結合バイアス磁界を発現させる。そし
て、この強磁性層32b、32bがフリー磁性層7に接
しているため、交換結合バイアス磁界がフリー磁性層7
に作用し、フリー磁性層7の磁気モーメント方向が図示
X1方向に揃えられる。
【0069】また、凸部7dの図示X1方向両側に強磁
性層32b、32bが配置されるので、強磁性層32
b、32bとフリー磁性層7との間に第2非磁性導電層
8が残存することがなく、強磁性層32b、32bから
フリー磁性層7に交換結合バイアス磁界が効率よく与え
られ、フリー磁性層7の磁気モーメント方向を確実に揃
えることができる。また、強磁性層32b、32bに第
1反強磁性層32a、32aが積層されているので、こ
れらの層の界面が、不純物によって汚染されることがな
く、またこれらの層を構成する原子のミキシング等によ
って乱れることがなく、強い交換結合バイアス磁界を発
現させることができ、フリー磁性層7の磁気モーメント
方向を確実に揃えることができる。
【0070】また、フリー磁性層7のうち、反強磁性バ
イアス層32、32が積層されている領域においては、
フリー磁性層7の磁気モーメントが強固に固定された状
態であり、この領域の磁気モーメント方向は、記録媒体
からの漏れ磁界の変動によって変動することはない。一
方、フリー磁性層7のほぼ中央であって、 反強磁性バ
イアス層32、32が接していない領域では、フリー磁
性層7の磁気モーメントが図示X1方向に揃えられた状
態であり、磁気モーメントが完全には固定されていな
い。従ってフリー磁性層7のほぼ中央の領域の磁気モー
メント方向は、記録媒体からの漏れ磁界の変動によって
容易に変動し、この磁気モーメント方向の変動と後述す
る第1、第2固定磁性層5、9の磁気モーメント方向と
の関係で磁気抵抗効果が発現し、磁気記録媒体の再生感
度が高くなる。よって、この反強磁性バイアス層32、
32が積層されていない領域が、実効的に再生感度を有
する領域となり、この領域の図示X1方向の幅が実効ト
ラック幅となる。
【0071】従って本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子1では、実効トラック幅と、光学的なトラック幅Tw
とが一致するので、反強磁性バイアス層32、32の間
隔を調整することにより、実効トラック幅を正確に決め
ることができる。
【0072】また、このスピンバルブ型薄膜磁気素子1
には、従来のように、第2固定磁性層9の磁気モーメン
トを固定するための反強磁性層が積層されていないの
で、第2固定磁性層9及び第2非磁性導電層8をエッチ
ングするのみによって積層突出部11aの形成を行うこ
とができ、このためフリー磁性層7を露出させて反強磁
性バイアス層32、32をフリー磁性層7に接合させる
ことが容易にできるので、本発明のデュアル型のスピン
バルブ型薄膜磁気素子1にExchange Bias方式を適用す
ることができる。また、第1、第2固定磁性層の磁化方
向を固定するための反強磁性層が不要なので、スピンバ
ルブ型薄膜磁気素子1全体の厚さを薄くすることがで
き、従来よりもギャップ幅を狭くすることができる。
【0073】次に、第1、第2非磁性導電層6、8は、
フリー磁性層7と第1、第2固定磁性層5、9との磁気
的な結合を小さくさせるとともにセンス電流が主に流れ
る層であり、Cu、Cr、Au、Agなどに代表される
導電性を有する非磁性材料より形成されることが好まし
く、特にCuより形成されることが好ましい。第1、第
2非磁性導電層6、8の膜厚は、それぞれ2〜3nmの
範囲とすることが好ましい。
【0074】また、リード層33、33は、Ta、A
u、W、Rh、Cu、Cr等の導電材料からなり、積層
突出部11aの図示X1方向両側に位置して反強磁性バ
イアス層32、32上に積層されている。このリード層
33、33は、積層体11に検出電流(センス電流)を
付与する。リード層33、33から積層体11に与えら
れたセンス電流により、積層体11中に電流磁界が発生
する。例えば図2中、符号i、iの矢羽矢印で示すよう
に、センス電流i、iが第1、第2非磁性導電層6、8
中を図示X1方向の反対方向に向けて流れた場合は、図
2において積層体11の断面中央部分を中心として時計
回り方向に向いた電流磁界Hiが発生する。
【0075】第1固定磁性層5は、第2強磁性ピンド層
5cと第2非磁性中間層5dと第3強磁性ピンド層5e
とが順次積層されて構成されている。第2強磁性ピンド
層5cは下地層3上に積層され、第3強磁性ピンド層5
eは第2非磁性中間層5d上に積層されて第1非磁性導
電層6に隣接している。第2、第3強磁性ピンド層5
c、5eは、NiFe合金、Co、CoNiFe合金、
CoFe合金、CoNi合金等により形成されるもので
あり、特にCoより形成されることが好ましい。更に第
2、第3強磁性ピンド層5c、5eは、同一の材料で形
成されることが好ましい。また、第2非磁性中間層5d
は、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうちの1種
またはこれらの合金からなることが好ましく、特にRu
により形成されることが好ましい。
【0076】第2、3強磁性ピンド層5c、5eの膜厚
をそれぞれt2、t3としたとき、膜厚t2は0.5〜3
nmの範囲が好ましく、膜厚t3は1.5〜5nmの範
囲が好ましい。特に図2に示すように、第3強磁性ピン
ド層5eの膜厚t3を、第2強磁性ピンド層5cの膜厚
2より厚くすることが好ましい。即ち、t3>t2とす
ることが好ましい。また、第2非磁性中間層5dの膜厚
は0.7〜0.9nmの範囲が好ましい。
【0077】また、第2、第3強磁性ピンド層5c、5
eの飽和磁化をそれぞれm2、m3としたとき、第2、第
3強磁性ピンド層5c、5eの磁気的膜厚M2、M3はそ
れぞれm2・t2(=M2)、m3・t3(=M3)となる。
そして第1固定磁性層5は、第2、第3強磁性ピンド層
5c、5eの磁気的膜厚の関係がM3>M2となるように
構成される。従って、第3強磁性ピンド層5eが、第1
固定磁性層5を構成する強磁性ピンド層のなかで最大の
磁気的膜厚を示す層となる。即ち、第1固定磁性層5の
合成磁気モーメントの方向は、第3強磁性ピンド層5e
の磁化方向と一致する。
【0078】そして、リード層33、33からセンス電
流が供給された状態で、センス電流iの電流磁界Hiが
第1固定磁性層5の合成磁気モーメントの方向をHiの
方向に向けるように作用する。即ち、図2に示すように
第3強磁性ピンド層5eの磁化方向は電流磁界Hiの方
向に一致して図示Y方向の反対方向に固定される。一
方、第2強磁性ピンド層5cは、第2非磁性中間層5d
を介して第3強磁性ピンド層5eに隣接するため、第3
強磁性ピンド層5eと反強磁性的に結合して、その磁気
モーメント方向が図示Y方向に固定される。
【0079】このように、第2、第3強磁性ピンド層5
c、5eの各磁気モーメント方向が互いに反平行とされ
ているため、それぞれの層の磁気モーメントが相互に打
ち消し合う関係にあるが、第3強磁性ピンド層5eの磁
気的膜厚M3が第2強磁性ピンド層5cの磁気的膜厚M2
より大きいので、第3強磁性ピンド層5eの磁気モーメ
ントが残存する。第1固定磁性層5全体の磁気モーメン
トは、第2、第3強磁性ピンド層5c、5eの各磁気モ
ーメントの合成磁気モーメントとなるため、第1固定磁
性層5全体の磁気モーメントの方向は残存した第3強磁
性ピンド層5eの磁気モーメント方向に一致し、図示Y
方向の反対方向となる。従って、第1固定磁性層5全体
の磁気モーメント方向が、第1固定磁性層5における電
流磁界Hiの方向に一致することになる。
【0080】このように、第2、第3強磁性ピンド層5
c、5eが反強磁性的に結合することにより、これらの
層5c、5eの各磁気モーメント方向が相互に反平行方
向となり、また磁気的膜厚の関係がM3>M2であること
から、第1固定磁性層5は人工的なフェリ磁性状態を示
す層となる。
【0081】第2固定磁性層9は、第4強磁性ピンド層
9aと第3非磁性中間層9bと第5強磁性ピンド層9c
とが順次積層されて構成されている。第4強磁性ピンド
層9aは第2非磁性導電層8上に積層され、第5強磁性
ピンド層9cは保護層10に接している。第4、第5強
磁性ピンド層9a、9cは、NiFe合金、Co、Co
NiFe合金、CoFe合金、CoNi合金等により形
成されるものであり、特にCoより形成されることが好
ましい。更に第4、第5強磁性ピンド層9a、9cは、
同一の材料で形成されることが好ましい。また、第3非
磁性中間層9bは、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、C
uのうちの1種またはこれらの合金からなることが好ま
しく、特にRuにより形成されることが好ましい。
【0082】第4、第5強磁性ピンド層9a、9cの膜
厚をそれぞれt4、t5としたとき、膜厚t4は1〜3.
5nmの範囲が好ましく、膜厚t5は1.5〜5nmの
範囲が好ましい。特に図2に示すように、第5強磁性ピ
ンド層9cの膜厚t5を、第4強磁性ピンド層9aの膜
厚t4より厚くすることが好ましい。即ち、t5>t4
することが好ましい。また、第3非磁性中間層9bの膜
厚は0.7〜0.9nmの範囲が好ましい。
【0083】また、第4、第5強磁性ピンド層9a、9
cの飽和磁化をそれぞれm4、m5としたとき、第4、第
5強磁性ピンド層9a、9cの磁気的膜厚M4、M5はそ
れぞれm4・t4(=M4)、m5・t5(=M5)となる。
そして第2固定磁性層9は、第4、第5強磁性ピンド層
9a、9cの磁気的膜厚の関係がM5>M4となるように
構成される。従って、第5強磁性ピンド層9cが、第2
固定磁性層9を構成する強磁性ピンド層のなかで最大の
磁気的膜厚を示す層となる。即ち、第2固定磁性層9の
合成磁気モーメントの方向は第5強磁性ピンド層9cの
磁化方向と一致する。
【0084】そして、リード層33、33からセンス電
流が供給された状態で、この最大の磁気的膜厚を示す第
5強磁性ピンド層9cに、センス電流iの電流磁界Hi
が集中し、第5強磁性ピンド層9cの磁気モーメント方
向が固定される。この磁気モーメント方向は、図2に示
すように第5強磁性ピンド層9cにおける電流磁界Hi
の方向に一致し、図示Y方向に固定される。一方、第4
強磁性ピンド層9aは、第3非磁性中間層9bを介して
第5強磁性ピンド層9cに隣接するため、第5強磁性ピ
ンド層9cと反強磁性的に結合して、その磁気モーメン
ト方向が図示Y方向の反対方向に固定される。
【0085】このように、第4、第5強磁性ピンド層9
a、9cの各磁気モーメント方向が互いに反平行とされ
ているため、それぞれの層の磁気モーメントが相互に打
ち消し合う関係にあるが、第5強磁性ピンド層9cの磁
気的膜厚M5が第4強磁性ピンド層9aの磁気的膜厚M4
より大きいので、第5強磁性ピンド層9cの磁気モーメ
ントが残存する。第2固定磁性層9全体の磁気モーメン
トは、第4、第5強磁性ピンド層9a、9cの各磁気モ
ーメントの合成磁気モーメントとなるため、第2固定磁
性層9全体の磁気モーメントの方向は残存した第5強磁
性ピンド層9cの磁気モーメントに一致し、図示Y方向
となる。従って、第2固定磁性層9全体の磁気モーメン
ト方向が、この第2固定磁性層9における電流磁界Hi
の方向に一致することになる。
【0086】このように、第4、第5強磁性ピンド層9
a、9cが反強磁性的に結合することにより、これらの
層9a、9cの各磁気モーメント方向が相互に反平行方
向となり、また磁気的膜厚の関係がM5>M4であること
から、第2固定磁性層9は人工的なフェリ磁性状態を示
す層となる。
【0087】以上のことから、第1、第2固定磁性層
5、9の磁気モーメント方向は、センス電流iの電流磁
界Hiによって固定され、相互に反平行の関係となる。
このように、スピンバルブ型薄膜磁気素子1において
は、第1、第2固定磁性層5、9の磁気モーメント方向
を、センス電流iの電流磁界Hiによって固定するの
で、従来のスピンバルブ型薄膜磁気素子において必須で
あった反強磁性層を省略することができる。また、第
1、第2固定磁性層5、9の各磁気モーメント方向が、
これらの層5、9における電流磁界Hiの方向に一致す
るので、第1、第2固定磁性層5、9の磁気モーメント
が電流磁界Hiによって打ち消されることがなく、第
1、第2固定磁性層5、9の磁気モーメント方向をより
強固に固定して、磁気抵抗効果を向上させることができ
る。また、反強磁性層を省略できるので、スピンバルブ
型薄膜磁気素子1全体の厚さを薄くすることができ、従
来よりもギャップ幅が狭くなって高記録密度化に対応す
ることができる。
【0088】また、図1及び図2に示すように、第1固
定磁性層5を構成する強磁性ピンド層のうち、第1非磁
性導電層6に隣接する第3強磁性ピンド層5eの磁気モ
ーメント方向と、第2固定磁性層9を構成する強磁性ピ
ンド層のうち、第2非磁性導電層8に隣接する第4強磁
性ピンド層9aの磁気モーメント方向とが同一であるの
で、フリー磁性層7と第1、第2固定磁性層5、9との
間でそれぞれ発現する磁気抵抗効果が相互に打ち消し合
うことがなく、高い磁気抵抗変化率を示すことができ
る。更に、第1非磁性導電層6に隣接する第3強磁性ピ
ンド層5eは、実質的に磁気抵抗効果に関与する層であ
り、この層の磁気的膜厚M3が第1固定磁性層5におい
て最大であるので、高い磁気抵抗変化率を示すことがで
きる。
【0089】また、第1、第2固定磁性層5、9がいわ
ゆる人工的なフェリ磁性状態(synthetic ferri pinne
d;シンセティックフェリピンド)を示す層であるので、
電流磁界Hiにより第1、第2固定磁性層5、9の磁気
モーメント方向を強固に固定し、磁気抵抗効果を向上さ
せることができる。
【0090】また、反強磁性バイアス層32、32の交
換結合バイアス磁界は、フリー磁性層7との界面にて発
現してフリー磁性層7のみに印加されるものであり、第
1、第2固定磁性層5、9には全く印加されないので、
第1、第2固定磁性層5、9の磁気モーメント方向が、
反強磁性バイアス層32、32の交換結合バイアス磁界
によって乱されることがなく、磁気抵抗変化率が低下す
ることがない。
【0091】次に、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法を、図面を参照して説明する。この製造方
法は、積層膜を形成する積層膜形成工程と、リフトオフ
レジストを形成するレジスト形成工程と、積層膜をエッ
チングして積層体を形成する積層体形成工程と、バイア
ス層形成工程と、リード層形成工程とからなる。
【0092】まず、積層膜形成工程では、図5に示すよ
うに、下部絶縁層364(基板)上に下地層3、第2強
磁性ピンド層5c、第2非磁性中間層5d、第3強磁性
ピンド層5e、第1非磁性導電層6、第1拡散防止層7
a、強磁性自由層7b、第2拡散防止層7c、第2非磁
性導電層8、第4強磁性ピンド層9a、第3非磁性中間
層9b、第5強磁性ピンド層9c及び保護層10を順次
積層して積層膜11bを形成する。
【0093】なお、積層膜11bにおいては、第2強磁
性ピンド層5cと第2非磁性中間層5dと第3強磁性ピ
ンド層5eによって第1固定磁性層5が構成され、ま
た、第1拡散防止層7aと強磁性自由層7bと第2拡散
防止層7cによってフリー磁性層7が構成され、更に、
第4強磁性ピンド層9aと第3非磁性中間層9bと第5
強磁性ピンド層9cによって第2固定磁性層が構成され
る。
【0094】また、第2、第3強磁性ピンド層5c、5
eの磁気的膜厚をM2、M3としたとき、第2、第3強磁
性ピンド層5c、5eをM3>M2となるように形成する
ことが好ましい。更に、第4、第5強磁性ピンド層9
a、9cの磁気的膜厚をM4、M5としたとき、第4、第
5強磁性ピンド層9a、9cをM5>M4となるように形
成することが好ましい。このように、第1、第2固定磁
性層5、9を多層構造とするので、フェリ磁性状態を示
す層を形成することができ、磁気モーメント方向が強固
に固定された第1、第2固定磁性層5、9を構成するこ
とが可能になる。
【0095】なお、磁気的膜厚M2〜M5は、各層の飽和
磁化m2〜m5と、各層の膜厚t2〜t5との積である。従
って、磁気的膜厚の調整は、例えば、各層の構成材料を
適宜選択することより各層の飽和磁化m2〜m5を調整す
ることによって行うか、あるいは各層の膜厚t2〜t5
適宜調整することによって行うか、または飽和磁化m2
〜m5及び膜厚t2〜t5を同時に調整することによって
行うか、のいずれかでなされることが好ましい。
【0096】次にレジスト形成工程では、図5に示すよ
うに、積層膜11b上にリフトオフレジストLを形成す
る。リフトオフレジストLは、積層膜11bに接する当
接面51とこの当接面51を挟む両側面52、52とを
具備してなり、更に当接面51と両側面52、52の間
であって当接面51の図示X1方向両側には、一対の切
込部53、53が設けられてなるものである。
【0097】次に積層体形成工程では、図6に示すよう
に、下部絶縁層364(基板)に対して角度θ1の方向
からAr等のイオンビーム等のエッチング粒子線を積層
膜11bに照射することにより、リフトオフレジストL
の両側面52、52より図示X1方向外側(リフトオフ
レジストの中央から両側面に向かう方向側)に位置する
積層膜11bをエッチングする。エッチングによって、
両側面52、52より図示X1方向外側に位置する保護
層10、第2固定磁性層9、第2非磁性導電層8及びフ
リー磁性層7の一部が除去され、断面視略台形状の積層
突出部11aがフリー磁性層7上に形成される。このよ
うにして積層体11を形成する。また、フリー磁性層7
の一部をエッチングすることにより、積層突出部11a
が形成されつつ、フリー磁性層7のほぼ中央に積層突出
部11aに接する凸部7aが形成される。フリー磁性層
7の一部までエッチングすることで、積層突出部11a
の図示X1方向両側にある第2非磁性導電層8を完全に
除去することができる。
【0098】尚、エッチングの際に積層膜11bから叩
き出されたスパッタ粒子種を2次イオン質量スペクトル
分析法により分析してエッチングの終点を検出すること
が好ましい。例えば第2非磁性導電層8をCu、第2拡
散防止層7cをCo、強磁性自由層7bをNiFe合金
でそれぞれ構成した場合は、エッチングを行うことによ
り、第2非磁性導電層8を構成するCuのスパッタ粒子
が叩き出された後に、第2拡散防止層7cを構成するC
oのスパッタ粒子が叩き出され、更に続いて強磁性自由
層7bを構成するNi及びFeのスパッタ粒子が叩き出
されるので、2次イオン質量スペクトル分析法によって
Cuの次にNi及びFeが検出されてから所定の時間経
過後にエッチングを停止すれば、フリー磁性層7の一部
までエッチングした時点でエッチングを止めることがで
きる。これにより、エッチングの深さを正確に制御して
エッチングの精度を高めることができ、フリー磁性層7
を確実に露出させ、次のバイアス層形成工程において、
露出したフリー磁性層7に反強磁性バイアス層32、3
2を直接に積層することができる。
【0099】また、エッチング粒子の照射は、Arによ
るイオンミリングや、反応性イオンエッチング等により
行うことが好ましい。これらの方法は、エッチング粒子
の直進性に優れており、エッチング粒子を特定の方向か
ら照射できる。また、エッチング粒子の照射方向を決め
る角度θ1は50〜80°の範囲であることが好まし
い。角度θ1は、例えばイオンガンのグリッドと、下部
絶縁層364とのなす角度を調整することにより規定す
ることができる。
【0100】このように、角度θ1からエッチング粒子
を照射することにより、積層膜11bに対して異方性エ
ッチングを行い、リフトオフレジストLの両側面52、
52より図示X1方向外側にある積層膜11bのみをエ
ッチングすることができ、積層突出部11aを具備する
積層体11を形成することができる。
【0101】次にバイアス層形成工程においては、図7
に示すように、下部絶縁層364(基板)に対して角度
θ2(ただしθ2>θ1)の方向からスパッタ粒子を積層
突出部11aの図示X1方向両側に堆積することによ
り、強磁性層32bと第1反強磁性層32aを積層して
反強磁性バイアス層32、32を形成する。また、スパ
ッタ粒子の堆積の際には、リフトオフレジストLに対し
てもスパッタ粒子の堆積が起き、リフトオフレジストL
上に、強磁性層32b及び第1反強磁性層32aと同じ
組成の層32b’、32a’が形成する。
【0102】反強磁性バイアス層32、32は、リフト
オフレジストLの両側面52、52よりも図示X1方向
外側に形成される。即ち、反強磁性バイアス層の上面3
2c、32cは、リフトオフレジストLの両側面52、
52の延長線52a、52a(図中1点鎖線)より図示
X1方向外側に位置することになる。従って、リフトオ
フレジストLの両側面52、52の間隔を狭めると、反
強磁性バイアス層32、32の位置が積層突出部11a
の中央にシフトする。このように、リフトオフレジスト
Lの両側面52、52の間隔を調整することにより、反
強磁性バイアス層32、32の図示X1方向の間隔を調
整することができる。反強磁性バイアス層32、32の
図示X1方向の間隔は、スピンバルブ型薄膜磁気素子1
の実効トラック幅になるので、リフトオフレジストLの
両側面52、52の間隔によって実効トラック幅を決め
ることができる。
【0103】また、積層体形成工程のエッチングによっ
て露出したフリー磁性層7上に強磁性層32bを積層
し、成膜装置の真空を破ることなく更に第1反強磁性層
32aを積層するので、第1反強磁性層32aが、極め
て平滑な強磁性層32b上に形成されることになり、第
1反強磁性層32aと強磁性層32bとの界面が不純物
で汚染されることがなく、また各層を構成する原子のミ
キシング等によって乱れることがなく、これらの層の間
で強い交換結合バイアス磁界を発現させることができ
る。
【0104】スパッタ粒子の堆積は、イオンビームスパ
ッタ法、ロングスロースパッタ法、コリメーションスパ
ッタ法のいずれかまたはそれらを組み合わせたスパッタ
法により行うことが好ましい。これらの方法は、スパッ
タ粒子の直進性に優れており、スパッタ粒子を特定の方
向から照射できる。また、角度θ2は60〜90°の範
囲であることが好ましい。角度θ2は角度θ1より大きく
すること、即ち下部絶縁層364表面に対して角度θ2
を角度θ1より鈍角にすることが好ましい。角度θ2は、
例えばスパッタ用ターゲットの表面と、下部絶縁層36
4とのなす角度を調整することにより規定することがで
きる。
【0105】このようにスパッタ粒子を角度θ2の方向
から堆積することにより、強磁性層32b及び第1反強
磁性層32aを、両側面52、52より図示X1方向外
側において一定の膜厚をもって形成することができ、強
磁性層32b及び第1反強磁性層32aの各膜厚が積層
突出部11aに接近するにつれて薄くなることがない。
従って、交換結合バイアス磁界が、積層突出部11aに
接近するにつれて低下することがなく、反強磁性バイア
ス層32、32に対応する位置におけるフリー磁性層7
の磁気モーメント方向が強固に固定されるため、この位
置で磁気抵抗効果が発現することがなく、実効トラック
幅を反強磁性バイアス層32、32の間隔に一致させる
ことができる。
【0106】次に、リード層形成工程では、図8に示す
ように、下部絶縁層364(基板)に対して角度θ1
方向から他のスパッタ粒子を堆積することにより、リー
ド層33、33を積層する。リード層33、33は、リ
フトオフレジストLの両側面52、52よりも図示X1
方向外側であって反強磁性バイアス層32、32上に積
層される。また、スパッタ粒子の堆積の際には、リフト
オフレジストLに対してもスパッタ粒子の堆積が起き、
リフトオフレジストL上に、リード層33と同じ組成の
層33’が形成する。
【0107】スパッタ粒子の堆積は、イオンビームスパ
ッタ法、ロングスロースパッタ法、コリメーションスパ
ッタ法のいずれかまたはそれらを組み合わせたスパッタ
法により行うことが好ましい。これらの方法は、スパッ
タ粒子の直進性に優れており、スパッタ粒子を特定の方
向から照射できる。また、スパッタ粒子の照射方向を決
める角度θ1は積層体形成工程におけるエッチング粒子
の照射角度とほぼ同じにすることが好ましい。角度θ1
は、例えばスパッタ用ターゲットの表面と、下部絶縁層
364とのなす角度を調整することにより規定すること
ができる。
【0108】このように、角度θ1からスパッタ粒子を
堆積することにより、リフトオフレジストLの両側面5
2、52より図示X1方向外側にリード層33、33を
積層することができ、リード層33、33が積層突出部
11aに付着することがない。
【0109】最後に、リフトオフレジストLを除去し、
磁場中アニール処理等を行って反強磁性バイアス層3
2、32に交換結合バイアス磁界を発現させ、フリー磁
性層7の磁気モーメント方向を図示X1方向に揃えるこ
とにより、図1に示すようなスピンバルブ型薄膜磁気素
子1が得られる。また、スピンバルブ型薄膜磁気素子1
にセンス電流を通電することにより、積層体11中にセ
ンス電流による電流磁界が生じ、この電流磁界によって
第1、第2固定磁性層5、9の磁気モーメント方向がそ
れぞれ図1に示すように固定される。
【0110】上記のスピンバルブ型薄膜磁気素子1の製
造方法によれば、第2固定磁性層9上に反強磁性層を積
層しないので、積層体形成工程において第2固定磁性層
9と第2非磁性導電層8をエッチングするだけでフリー
磁性層7を露出できるので、エッチングの負担が軽減さ
れ、Exchange Bias方式のデュアル型のスピンバルブ型
薄膜磁気素子を容易に製造することができる。
【0111】また、角度θ2(θ2>θ1)の方向からス
パッタ粒子を堆積して反強磁性バイアス層32、32を
積層するので、反強磁性バイアス層32、32の膜厚が
積層突出部11aに接近するにつれて薄くなることがな
く、反強磁性バイアス層32、32の膜厚を一定にする
ことが可能になる。これにより、積層突出部11aに接
近するにつれて交換結合バイアス磁界が低下することが
なく、反強磁性バイアス層32、32に対向する位置で
常にフリー磁性層7の磁気モーメント方向が強固に固定
されるため、この位置で磁気抵抗効果が発現することが
なく、実効トラック幅を反強磁性バイアス層32、32
の間隔に一致させることができる。
【0112】[第2の実施形態]次に、本発明の第2の
実施形態のスピンバルブ型薄膜磁気素子101を、図面
を参照して説明する。図9に、本発明の第2の実施形態
であるスピンバルブ型薄膜磁気素子101を磁気記録媒
体側からみた断面模式図を示し、図10には、スピンバ
ルブ型薄膜磁気素子101をトラック幅方向からみた断
面模式図を示す。
【0113】図9に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子1
01は、第1の実施形態のスピンバルブ型薄膜磁気素子
1と同様に薄膜磁気ヘッドを構成し、この薄膜磁気ヘッ
ドはインダクティブヘッドとともに浮上式磁気ヘッドを
構成する。
【0114】このスピンバルブ型薄膜磁気素子101
は、フリー磁性層7の厚さ方向両側に、第1、第2非磁
性導電層6、8、第1、第2固定磁性層5、9が順次積
層され、更に第1固定磁性層5に第2反強磁性層4が積
層されてなるデュアルスピンバルブ薄膜磁気素子であ
る。
【0115】即ちこのスピンバルブ型薄膜磁気素子10
1は、下部絶縁層364に積層された下地層3上に、第
2反強磁性層4、第1固定磁性層5、第1非磁性導電層
6、フリー磁性層7、第2非磁性導電層8、第2固定磁
性層9及び保護層10が順次積層されて構成されてい
る。このように下地層3から保護層10間での各層が順
次積層されて断面視略台形状の積層体111が形成され
ている。
【0116】積層体111においては、下地層3、第2
反強磁性層4、第1固定磁性層5、第1非磁性導電層6
及びフリー磁性層7が順次積層され、更にこのフリー磁
性層7の一部上に、第2非磁性導電層8及び第2固定磁
性層9が順次積層されて断面視略台形状の積層突出部1
11aが形成されている。そして積層突出部111aの
図示X1方向両側には、一対の反強磁性バイアス層3
2、32がフリー磁性層7に接して形成されている。更
に反強磁性バイアス層32、32上に一対のリード層3
3、33が積層されている。
【0117】このスピンバルブ型薄膜磁気素子101が
先に説明した第1の実施形態のスピンバルブ型薄膜磁気
素子1と異なる点は、下地層3と第1固定磁性層5の間
に、第2反強磁性層4が形成されている点である。従っ
て、本実施形態のスピンバルブ型薄膜磁気素子101を
構成する下地層3、第1、第2固定磁性層5、9、第
1、第2非磁性導電層6、8、フリー磁性層7、保護層
10及び反強磁性バイアス層32、32は、第1実施形
態の下地層3、第1、第2固定磁性層5、9、第1、第
2非磁性導電層6、8、フリー磁性層7、保護層10及
び反強磁性バイアス層32、32と同じ構成であるの
で、その説明を省略する。
【0118】第2反強磁性層4は、第1固定磁性層5の
磁気モーメント方向を固定するものであり、PtMn合
金で形成されていることが好ましい。PtMn合金は、
従来から反強磁性層として使用されているNiMn合金
やFeMn合金などに比べて耐食性に優れ、しかもブロ
ッキング温度が高く、交換結合磁界も大きい。また、第
2反強磁性層4は、XMn合金、PtX’Mn合金(た
だし前記組成式において、XはPt、Pd、Ir、R
h、Ru、Osのなかから選択される1種を示し、X’
はPd、Cr、Ru、Ni、Ir、Rh、Os、Au、
Ag、Ne、Ar、Xe、Krのなかから選択される1
種または2種以上を示す)のいずれかより形成されてい
ても良い。
【0119】前記PtMn合金および前記XMnの式で
示される合金において、PtあるいはXが37〜63原
子%の範囲であることが望ましい。より好ましくは、4
4〜57原子%の範囲である。さらにまた、PtX’M
nの式で示される合金において、X’+Ptが37〜6
3原子%の範囲であることが望ましい。より好ましく
は、44〜57原子%の範囲である。また第2反強磁性
層4の膜厚は、8〜20nmの範囲とすることが好まし
い。
【0120】第1固定磁性層5の磁気モーメント方向
は、第1実施形態で説明したように、センス電流の電流
磁界によって固定されるのであるが、以下に説明するよ
うに、第2反強磁性層4との交換結合磁界によっても固
定される。
【0121】第1固定磁性層5は、前述したように、第
2、第3強磁性ピンド層5c、5eの磁気的膜厚の関係
がM3>M2となるように構成されており、第3強磁性ピ
ンド層5eが、第1固定磁性層5のなかで最大の磁気的
膜厚を示す層となる。また、第2強磁性ピンド層5cに
は、第2反強磁性層4が隣接している。
【0122】図10に示すように、第3強磁性ピンド層
5eの磁気モーメント方向は、図10に示すように第3
強磁性ピンド層5eにおける電流磁界Hiの方向に一致
し、図示Y方向の反対方向に固定される。一方、第2強
磁性ピンド層5cは、第2非磁性中間層5dを介して第
3強磁性ピンド層5eに隣接するため、第3強磁性ピン
ド層5eと反強磁性的に結合して、その磁気モーメント
方向が図示Y方向に固定される。
【0123】また、第2強磁性ピンド層5cは、第2反
強磁性層4にも隣接するため、第2強磁性ピンド層5c
と第2反強磁性層4との界面にて交換結合磁界Hb(図
示Y方向を向く矢印)が発現し、この交換結合磁界Hb
により第2強磁性ピンド層5cの磁気モーメントが図示
Y方向に固定される。
【0124】このように、第2強磁性ピンド層5cの磁
気モーメント方向が、第3強磁性ピンド層5eとの反強
磁性的な結合に加えて、第2反強磁性層4との交換結合
磁界Hbによっても固定されるので、第1固定磁性層5
全体の磁気モーメント方向が強く固定され、この磁気モ
ーメントの方向及び大きさが安定したものとなり、磁気
抵抗効果を向上できる。
【0125】このスピンバルブ型薄膜磁気素子101の
製造方法は、積層膜形成工程において、下地層3上にま
ず第2反強磁性層4を積層し、そしてこの上に第1固定
磁性層5を積層し、更に、第2非磁性導電層6、フリー
磁性層7等を順次積層すること以外は、第1の実施形態
のスピンバルブ型薄膜磁気素子と同様にして製造され
る。
【0126】以上、第1固定磁性層の磁気モーメントを
固定する第2反強磁性層4について説明したが、この第
2反強磁性層4に代えて、第2固定磁性層9の磁気モー
メントを固定する反強磁性層を、第2固定磁性層9上に
積層してもよい。ただし、この場合の反強磁性層は、膜
厚が12nm以下であることが好ましく、8nm以上1
2nm以下であることがより好ましい。また、この反強
磁性層は、前述の第2反強磁性層4と同様に、XMn合
金、PtX’Mn合金のなかから選択される1種または
2種以上を示す)のいずれかより形成されることが好ま
しく、特にPtMn合金が好ましい。
【0127】第2固定磁性層9は、前述したように、第
4、第5強磁性ピンド層9a、9cの磁気的膜厚の関係
がM5>M4となるように構成されており、第5強磁性ピ
ンド層9cが、第2固定磁性層9のなかで最大の磁気的
膜厚を示す層となる。
【0128】第2固定磁性層9に反強磁性層が積層され
ると、この反強磁性層は第5強磁性ピンド層9cに隣接
することになる。第5強磁性ピンド層9cには、センス
電流iにより発生した電流磁界Hiが集中するととも
に、反強磁性層との交換結合磁界も作用し、図示Y方向
を向く磁気モーメントが発生する。
【0129】したがって、第5強磁性ピンド層9cの磁
気モーメント方向が、電流磁界Hiの集中に加えて、反
強磁性層との交換結合磁界によっても固定されるので、
第2固定磁性層9全体の磁気モーメント方向が強く固定
され、この磁気モーメントの方向及び大きさが安定した
ものとなり、磁気抵抗効果を向上できる。
【0130】なお、第2固定磁性層9上に形成する反強
磁性層の膜厚は、12nm以下であることが好ましく、
8nm以上12nm以下であることがより好ましい。反
強磁性層の膜厚を12nm以下と比較的薄くすると、反
強磁性層をエッチングすることによって積層突出部の形
成を容易に行うことができ、このためフリー磁性層7を
露出させて反強磁性バイアス層32、32をフリー磁性
層7に接合させることが容易にできるので、本発明のデ
ュアル型のスピンバルブ型薄膜磁気素子にExchange Bia
s方式を適用することができる。また、反強磁性層の膜
厚を12nm以下にすると、スピンバルブ型薄膜磁気素
子全体の厚さを薄くすることができ、従来よりもギャッ
プ幅を狭くすることができる。また、反強磁性層を8n
m以上にすると、第2固定磁性層9の磁気モーメント方
向を固定するための交換結合磁界を充分に大きくするこ
とができ、第2固定磁性層9の磁気モーメント方向を強
固に固定することができる。
【0131】[第3の実施形態]次に、本発明の第3の
実施形態のスピンバルブ型薄膜磁気素子201を、図面
を参照して説明する。図11に、本発明の第3の実施形
態であるスピンバルブ型薄膜磁気素子201を磁気記録
媒体側からみた断面模式図を示し、図12には、スピン
バルブ型薄膜磁気素子201をトラック幅方向からみた
断面模式図を示す。
【0132】図11に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子
201は、第1の実施形態のスピンバルブ型薄膜磁気素
子1と同様に薄膜磁気ヘッドを構成し、この薄膜磁気ヘ
ッドはインダクティブヘッドとともに浮上式磁気ヘッド
を構成する。
【0133】このスピンバルブ型薄膜磁気素子201
は、フリー磁性層7の厚さ方向両側に、第1、第2非磁
性導電層6、8、第1、第2固定磁性層205、9が順
次積層されてなるデュアルスピンバルブ薄膜磁気素子で
ある。
【0134】即ちこのスピンバルブ型薄膜磁気素子20
1は、下部絶縁層364に積層された下地層3上に、第
1固定磁性層205、第1非磁性導電層6、フリー磁性
層7、第2非磁性導電層8、第2固定磁性層9及び保護
層10が順次積層されて構成されている。このように下
地層3から保護層10間での各層が順次積層されて断面
視略台形状の積層体211が形成されている。
【0135】積層体211においては、下地層3、第1
固定磁性層205、第1非磁性導電層6及びフリー磁性
層7が順次積層され、更にこのフリー磁性層7の一部上
に、第2非磁性導電層8及び第2固定磁性層9が順次積
層されて断面視略台形状の積層突出部211aが形成さ
れている。そして積層突出部211aの図示X1方向両
側には、一対の反強磁性バイアス層32、32がフリー
磁性層7に接して形成されている。更に反強磁性バイア
ス層32、32上に一対のリード層33、33が積層さ
れている。
【0136】このスピンバルブ型薄膜磁気素子201
が、先に説明した第1の実施形態のスピンバルブ型薄膜
磁気素子1と異なる点は、第1の実施形態にて2つの強
磁性ピンド層と1つの非磁性中間層からなる3層構造で
あった第1固定磁性層を、3つの強磁性ピンド層と2つ
の非磁性中間層からなる5層構造とした点である。従っ
て、本実施形態のスピンバルブ型薄膜磁気素子201を
構成する下地層3、第2固定磁性層9、第1、第2非磁
性導電層6、8、フリー磁性層7、保護層10、反強磁
性バイアス層32、32及びリード層33,33は、第
1実施形態の下地層3、第2固定磁性層9、第1、第2
非磁性導電層6、8、フリー磁性層7、保護層10、反
強磁性バイアス層32、32及びリード層33,33と
同じ構成であるので、その説明を省略する。
【0137】このスピンバルブ型薄膜磁気素子201の
第1固定磁性層205は、第1強磁性ピンド層205a
と、第1非磁性中間層205bと、第2強磁性ピンド層
205cと、第2非磁性中間層205dと、第3強磁性
ピンド層205eとが順次積層されて構成されている。
第1強磁性ピンド層205aは下地層3上に積層され、
第3強磁性ピンド層205eは第2非磁性中間層205
d上に積層されて第1非磁性導電層6に隣接している。
第1、第2、第3強磁性ピンド層205a、205c、
205eは、NiFe合金、Co、CoNiFe合金、
CoFe合金、CoNi合金等により形成されるもので
あり、特にCoより形成されることが好ましい。更に第
1、第2、第3強磁性ピンド層205a、205c、2
05eは、同一の材料で形成されることが好ましい。ま
た、第1、第2非磁性中間層205b、205dは、R
u、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうちの1種または
これらの合金からなることが好ましく、特にRuにより
形成されることが好ましい。
【0138】第1、第2、第3強磁性ピンド層205
a、205c、205eの膜厚をそれぞれt1、t2、t
3としたとき、膜厚t1は0.5〜2nmの範囲が好まし
く、膜厚t2は1〜3nmの範囲が好ましく、膜厚t3
2〜5nmの範囲が好ましい。特に図12に示すよう
に、第3強磁性ピンド層205eの膜厚t3を、第1、
第2強磁性ピンド層205a、205cの膜厚t1、t2
より厚くすることが好ましい。即ち、t3>t1、t3
2とすることが好ましい。更に、第1、第3強磁性ピ
ンド層205a、205eの膜厚の合計(t1+t3
を、第2強磁性ピンド層205cの膜厚t2より厚くす
ることが好ましい。即ち、(t1+t3)>t2とするこ
とが好ましい。更に、第1、第2、第3強磁性ピンド層
205a、205c、205eの膜厚の関係を、t3
2>t1とすることが好ましい。また、第2非磁性中間
層205dの膜厚は0.7〜0.9nmの範囲が好まし
い。
【0139】また、第1、第2、第3強磁性ピンド層2
05a、205c、205eの飽和磁化をそれぞれ
1、m2、m3としたとき、第1、第2、第3強磁性ピ
ンド層205a、205c、205eの磁気的膜厚
1、M2、M3はそれぞれ、m1・t1(=M1)、m2
2(=M2)、m3・t3(=M3)となる。そして第1
固定磁性層205は、第1、第2、第3強磁性ピンド層
205a、205c、205eの磁気的膜厚の関係がM
3>M1、M3>M2、(M1+M3)>M2かつM3>M2
1となるように構成される。従って、第3強磁性ピン
ド層205eが、第1固定磁性層205を構成する強磁
性ピンド層のなかで最大の磁気的膜厚を示す層となる。
【0140】そして、図12に示すように、最大の磁気
的膜厚を示す第3強磁性ピンド層205eの磁気モーメ
ント方向は、図12に示すように第3強磁性ピンド層2
05eにおける電流磁界Hiの方向に一致し、図示Y方
向の反対方向に固定される。一方、第2強磁性ピンド層
205cは、第2非磁性中間層205dを介して第3強
磁性ピンド層205eに隣接するため、第3強磁性ピン
ド層205eと反強磁性的に結合して、その磁気モーメ
ント方向が図示Y方向に固定される。
【0141】また、第1強磁性ピンド層205aは、第
1非磁性中間層205bを介して第2強磁性ピンド層2
05cに隣接するため、第2強磁性ピンド層205cと
反強磁性的に結合して、その磁気モーメント方向が図示
Y方向の反対方向に固定される。更に、電流磁界Hi
が、この第1強磁性ピンド層205aにも集中し、第3
強磁性ピンド層205eの磁気モーメント方向を固定す
る効果が増幅される。積層体211のような導体中で生
じる電流磁界Hiは、センス電流iの中心から離れるに
つれてその大きさが増大する傾向にあるため、第1強磁
性ピンド層205aに集中する電流磁界Hiは、第3強
磁性ピンド層305eに集中する電流磁界Hiより大き
くなる。このように、第1強磁性ピンド層205aの磁
気モーメントの電流磁界による固定効果の大きさを、第
2強磁性ピンド層205c及び第3強磁性ピンド層20
5eとの反強磁性的結合と電流磁界Hiとにより増大さ
せ、その方向を図示Y方向の反対方向に強固に固定でき
る。
【0142】このように、第1、第2、第3強磁性ピン
ド層205a、205c、205eの各磁気モーメント
方向が互いに反平行とされているため、それぞれの層の
磁気モーメントが相互に打ち消し合う関係にあるが、第
1、第3強磁性ピンド層205a、205eの磁気的膜
厚の合計(M1+M3)が第2強磁性ピンド層205cの
磁気的膜厚M2より大きいので、第1、第3強磁性ピン
ド層205a、205eの合成の磁気モーメントが残存
する。第1固定磁性層205全体の磁気モーメントは、
第1、第2、第3強磁性ピンド層205a、205c、
205eの各磁気モーメントの合成磁気モーメントとな
るため、第1固定磁性層205全体の磁気モーメントの
方向は残存した第1、第3強磁性ピンド層205a、2
05eの合成の磁気モーメントに一致し、図示Y方向の
反対方向となる。従って、第1固定磁性層205全体の
磁気モーメント方向が、この層205における電流磁界
Hiの方向に一致することになる。
【0143】このように、第1、第2、第3強磁性ピン
ド層205a、205c、205eが反強磁性的に結合
することにより、これらの層205c、205eの各磁
気モーメント方向が相互に反平行方向となり、また磁気
的膜厚の関係が(M1+M3)>M2、かつM3>M2>M1
であることから、第1固定磁性層205は人工的なフェ
リ磁性状態を示す層となる。
【0144】従って、第1固定磁性層205の磁気モー
メント方向は、センス電流iの電流磁界Hiによって図
示Y方向の反対方向に固定される。また、第2固定磁性
層9の磁気モーメント方向は、第1の実施形態で説明し
たのと同様に、図示Y方向に固定される。このようにし
て、第1、第2固定磁性層205、9の各磁気モーメン
ト方向が相互に反平行となる。このように、上記のスピ
ンバルブ型薄膜磁気素子201においては、第1、第2
固定磁性層205、9の合成磁気モーメント方向を、セ
ンス電流iの電流磁界Hiによって固定するので、従来
のスピンバルブ型薄膜磁気素子において必須であった反
強磁性層を省略することができる。また、第1、第2固
定磁性層205、9の各合成磁気モーメント方向が、こ
れらの層205、9における電流磁界Hiの方向に一致
するので、第1、第2固定磁性層205、9の磁気モー
メントが電流磁界Hiによって打ち消されることがな
く、第1、第2固定磁性層205、9の磁気モーメント
方向をより強固に固定して、磁気抵抗効果を向上させる
ことができる。また、反強磁性層が省略できるので、ス
ピンバルブ型薄膜磁気素子201全体の厚さを薄くする
ことができ、従来よりもギャップ幅を狭くして高記録密
度化に対応することができる。
【0145】また、図11及び図12に示すように、第
1固定磁性層205を構成する強磁性ピンド層のうち、
第1非磁性導電層6に隣接する第3強磁性ピンド層20
5eの磁気モーメント方向と、第2固定磁性層9を構成
する強磁性ピンド層のうち、第2非磁性導電層8に隣接
する第4強磁性ピンド層9aの磁気モーメント方向とが
同一であるので、フリー磁性層7と第1、第2固定磁性
層205、9との間でそれぞれ発現する磁気抵抗効果が
相互に打ち消し合うことがなく、高い磁気抵抗変化率を
示すことができる。更に、第1非磁性導電層6に隣接す
る第3強磁性ピンド層205eは、実質的に磁気抵抗効
果に関与する層であり、この層の磁気的膜厚M3が第1
固定磁性層205において最大であるので、高い磁気抵
抗変化率を示すことができる。
【0146】また、第1、第2固定磁性層205、9が
いわゆる人工的なフェリ磁性状態(synthetic ferri pi
nned;シンセティックフェリピンド)を示す層であるの
で、電流磁界Hiにより生じるこれらの層205、9の
磁気モーメント方向を固定する効果をより増幅させるこ
とができ、第1、第2固定磁性層205、9の磁気モー
メント方向を強固に固定し、磁気抵抗効果を向上させる
ことができる。
【0147】また、反強磁性バイアス層32、32の交
換結合バイアス磁界は、フリー磁性層7との界面にて発
現してフリー磁性層7のみに印加されるものであり、第
1、第2固定磁性層205、9には全く印加されないの
で、第1、第2固定磁性層205、9の磁気モーメント
方向が、反強磁性バイアス層32、32の交換結合バイ
アス磁界によって乱されることがなく、磁気抵抗変化率
が低下することがない。
【0148】このスピンバルブ型薄膜磁気素子201の
製造方法は、積層膜形成工程において、第1固定磁性層
205を、第1強磁性ピンド層205a、第1非磁性中
間層205b、第2強磁性ピンド層205c、第2非磁
性中間層205d及び第3強磁性ピンド層205eを順
次積層して形成すること以外は、第1の実施形態のスピ
ンバルブ型薄膜磁気素子1と同様にして製造される。
【0149】なお、第1固定磁性層205は、第1、第
2、第3強磁性ピンド層205a、205c、205e
の磁気的膜厚をM1、M2、M3としたとき、M3>M1
3>M2、(M1+M3)>M2がそれぞれ成立するよう
に形成することが好ましく、M 3>M2>M1となるよう
に形成することがより好ましい。このように、第1、第
2固定磁性層205を多層構造とするので、フェリ磁性
状態を示す層を形成することができ、磁気モーメント方
向が強固に固定された第1固定磁性層205を構成する
ことができる。
【0150】磁気的膜厚M1〜M5は、各層の飽和磁化m
1〜m5と、各層の膜厚t1〜t5との積である。従って、
磁気的膜厚の調整は、例えば、各層の構成材料を適宜選
択することより各層の飽和磁化m1〜m5を調整すること
によって行うか、あるいは各層の膜厚t1〜t5を適宜調
整することによって行うか、または飽和磁化m1〜m5
び膜厚t1〜t5を同時に調整することによって行うか、
のいずれかでなされることが好ましい。
【0151】
【実施例】次に、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子
のセンス電流磁界Hiと各強磁性ピンド層の磁気モーメ
ント方向の関係を更に詳細に説明する。本実施例では、
本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子において、各強磁
性ピンド層における微視的な磁気モーメント方向の分布
を、マイクロマグネティックシュミレーションにより調
査した。
【0152】(実験例1のスピンバルブ型薄膜磁気素子
の製造)まず、上面にアルミナよりなる下部絶縁層が設
けられたSiよりなる基板上に、スパッタ装置を用い
て、下地層、第2強磁性ピンド層、第2非磁性中間層、
第3強磁性ピンド層、第1非磁性導電層、フリー磁性
層、第2非磁性導電層、第4強磁性ピンド層、第3非磁
性中間層、第5強磁性ピンド層を順次積層して積層膜を
形成した。なお、第2、第3強磁性ピンド層及び第2非
磁性中間層により第1固定磁性層が構成され、第4、第
5強磁性ピンド層及び第3非磁性中間層により第2固定
磁性層が構成される。
【0153】次に、積層膜上にリフトオフレジストを形
成し、Arイオンビームを照射して、リフトオフレジス
トの両側面よりもトラック幅方向外側にある積層膜の一
部をエッチングしてフリー磁性層を露出させ、次に別の
スパッタ粒子を堆積して反強磁性バイアス層及びリード
層を形成した。次に、得られたスピンバルブ型薄膜磁気
素子に対して磁場中アニール処理を行い、反強磁性バイ
アス層に交換結合バイアス磁界を発現させることによ
り、フリー磁性層の磁気モーメント方向を図示X1方向
に揃えた。このようにして図1に示すような実験例1の
Exchange Bias方式のスピンバルブ型薄膜磁気素子を得
た。
【0154】実験例1のスピンバルブ型薄膜磁気素子の
積層体の構造を略記すると、(下地層(Ta)3nm/第2
強磁性ピンド層(Co)0.5nm/第2非磁性中間層(Ru)
0.8nm/第3強磁性ピンド層(Co)1.7nm/第1
非磁性導電層(Cu)2.5nm/フリー磁性層(NiFe)2.
5nm/第2非磁性導電層(Cu)2.5nm/第4強磁性
ピンド層(Co)1.2nm/第3非磁性中間層(Ru)0.8
nm/第5強磁性ピンド層(Co)1.7nm/保護層(Ta)
3nm)となる。なお、かっこ書きは、それぞれの層の
構成材料を示している。また、反強磁性バイアス層の強
磁性層は、フリー磁性層を1nmエッチングした後に膜
厚2nmで形成し、また第1反強磁性層は、この強磁性
層上に膜厚30nmで形成した。
【0155】(実験例2のスピンバルブ型薄膜磁気素子
の製造)下地層と第2強磁性ピンド層の間に、第1強磁
性ピンド層及び第1非磁性中間層を形成すること以外
は、実験例1のスピンバルブ型薄膜磁気素子と同様にし
て、実験例2のExchange Bias方式のスピンバルブ型薄
膜磁気素子を得た。なお、第1、第2、第3強磁性ピン
ド層及び第1、第2非磁性中間層により第1固定磁性層
が構成され、第4、第5強磁性ピンド層及び第3非磁性
中間層により第2固定磁性層が構成される。
【0156】実験例2のスピンバルブ型薄膜磁気素子の
積層体の構造を略記すると、(下地層(Ta)3nm/第1
強磁性ピンド層(Co)1.5nm/第1非磁性中間層(Ru)
0.8nm/第2強磁性ピンド層(Co)1.5nm/第2
非磁性中間層(Ru)0.8nm/第3強磁性ピンド層(Co)
2nm/第1非磁性導電層(Cu)2.5nm/フリー磁性
層(NiFe)2.5nm/第2非磁性導電層(Cu)2.5nm
/第4強磁性ピンド層(Co)1.2nm/第3非磁性中間
層(Ru)0.8nm/第5強磁性ピンド層(Co)1.7nm
/保護層(Ta)3nm)となる。なお、かっこ書きは、そ
れぞれの層の構成材料を示している。また、反強磁性バ
イアス層の強磁性層、第1反強磁性層の構成は、実験例
1と同様である。
【0157】(実験例3のスピンバルブ型薄膜磁気素子
の製造)下地層と第2強磁性ピンド層の膜厚を1nmと
し、第3強磁性ピンド層の膜厚を2nmとしたこと以外
は、実験例1のスピンバルブ型薄膜磁気素子と同様にし
て、実験例3のExchange Bias方式のスピンバルブ型薄
膜磁気素子を得た。
【0158】実験例3のスピンバルブ型薄膜磁気素子の
積層体の構造を略記すると、(下地層(Ta)3nm/第2
強磁性ピンド層(Co)1nm/第2非磁性中間層(Ru)0.
8nm/第3強磁性ピンド層(Co)2nm/第1非磁性導
電層(Cu)2.5nm/フリー磁性層(NiFe)2.5nm/
第2非磁性導電層(Cu)2.5nm/第4強磁性ピンド層
(Co)1.2nm/第3非磁性中間層(Ru)0.8nm/第
5強磁性ピンド層(Co)1.7nm/保護層(Ta)3nm)
となる。なお、かっこ書きは、それぞれの層の構成材料
を示している。また、反強磁性バイアス層の強磁性層、
第1反強磁性層の構成は、実験例1と同様である。
【0159】(実験例4のスピンバルブ型薄膜磁気素子
の製造)まず、上面にアルミナよりなる下部絶縁層が設
けられたSiよりなる基板上に、スパッタ装置を用い
て、下地層、第2強磁性ピンド層、第2非磁性中間層、
第3強磁性ピンド層、第1非磁性導電層、フリー磁性
層、第2非磁性導電層、第4強磁性ピンド層、第3非磁
性中間層、第5強磁性ピンド層を順次積層して積層膜を
形成した。次に、積層膜上にリフトオフレジストを形成
し、Arイオンビームを照射して、リフトオフレジスト
の両側面よりもトラック幅方向外側にある積層膜をエッ
チングして積層体とし、次に別のスパッタ粒子を積層体
のトラック幅方向両側に堆積してハードバイアス層及び
リード層を形成した。次に、得られたスピンバルブ型薄
膜磁気素子に対して着磁処理を行い、ハードバイアス層
にバイアス磁界を発現させることにより、フリー磁性層
の磁気モーメント方向を図示X1方向に揃えた。このよ
うにして図17に示すような実験例4のAbutted接合型H
ardBias方式のスピンバルブ型薄膜磁気素子を得た。な
お、第2、第3強磁性ピンド層及び第2非磁性中間層に
より第1固定磁性層が構成され、第4、第5強磁性ピン
ド層及び第3非磁性中間層により第2固定磁性層が構成
される。
【0160】実験例4のスピンバルブ型薄膜磁気素子の
積層体の構造を略記すると、(下地層(Ta)3nm/第2
強磁性ピンド層(Co)0.5nm/第2非磁性中間層(Ru)
0.8nm/第3強磁性ピンド層(Co)1.7nm/第1
非磁性導電層(Cu)2.5nm/フリー磁性層(NiFe)2.
5nm/第2非磁性導電層(Cu)2.5nm/第4強磁性
ピンド層(Co)1.2nm/第3非磁性中間層(Ru)0.8
nm/第5強磁性ピンド層(Co)1.7nm/保護層(Ta)
3nm)となる。なお、かっこ書きは、それぞれの層の
構成材料を示している。また、ハードバイアス層はCoPt
合金よりなるもので、その膜厚は20nmであった。
【0161】図13〜図16に、実験例1、2及び実験
例3、2のスピンバルブ型薄膜磁気素子の第1、第2固
定磁性層及びフリー磁性層の、平面位置毎の磁気モーメ
ントの方向をマイクロマグネティック・シュミレーショ
ンした結果を示す。このシュミレーションは、検出電流
(センス電流)を5mAの電流値で、図13〜図16
中、図示X1方向の反対方向に流した状態で測定した。
【0162】図13〜図16では、検出電流と、交換結
合バイアス磁界またはバイアス磁界が印加された状態
で、第1、第2、第3強磁性ピンド層(第1固定磁性
層)及び第4、第5強磁性ピンド層(第2固定磁性層)
及びフリー磁性層の位置毎の微視的な磁気モーメント方
向を、それぞれ矢印により記載している。また、図13
〜図16は、第1、第2、第3強磁性ピンド層(第1固
定磁性層)及び第4、第5強磁性ピンド層(第2固定磁
性層)及びフリー磁性層のそれぞれの磁気モーメントが
明確に把握できるように、それぞれの層をずらせた状態
で、図示Z方向の反対方向から見た状態を示している。
【0163】実験例1については、図13に示すよう
に、第2強磁性ピンド層と第3強磁性ピンド層のそれぞ
れの磁気モーメント方向が、どの部分でも相互に反平行
になっていることがわかる。また、第4強磁性ピンド層
と第5強磁性ピンド層のそれぞれの磁気モーメント方向
も同様に、どの部分でも相互に反平行になっていること
がわかる。また、第3強磁性ピンド層の磁気モーメント
方向は、全体的に図示X1方向の反対方向にやや傾きつ
つ図示Y方向の反対方向を向いている。更に、第4強磁
性ピンド層の方向は、全体的に図示X1方向にやや傾き
つつ図示Y方向の反対方向を向いている。従って第3、
第4強磁性ピンド層のそれぞれの磁気モーメント方向
は、相互に若干傾いているものの、図示Y方向の反対方
向を向いており、ほぼ平行な状態にあることがわかる。
第3、第4強磁性ピンド層のそれぞれの磁気モーメント
方向が図示Y方向の反対方向から若干傾いたのは、第
2、第4強磁性ピンド層の各磁気モーメント方向が、各
層における電流磁界の方向に対して反平行であるため
に、この電流磁界の作用によってこれらの層の磁気モー
メントが傾き、これにより第2強磁性ピンド層と反強磁
性的に結合する第3強磁性ピンド層の磁気モーメント方
向が傾いたものと考えられる。
【0164】次に、実験例2については、図14に示す
ように、第1、第2、第3強磁性ピンド層のそれぞれの
磁気モーメント方向が、どの部分でも相互に反平行にな
っていることがわかる。また、第4強磁性ピンド層と第
5強磁性ピンド層のそれぞれの磁気モーメント方向も同
様に、どの部分でも相互に反平行になっていることがわ
かる。また、第3、第4強磁性ピンド層の磁気モーメン
ト方向はそれぞれ、全体的に図示X1方向にやや傾きつ
つ図示Y方向の反対方向を向いており、良好な平行状態
にあることがわかる。実験例1の場合と異なり、この実
験例2の第3、第4強磁性ピンド層のそれぞれの磁気モ
ーメント方向が相互に完全に平行になったのは、第1強
磁性ピンド層に電流磁界Hiが集中してこの磁気モーメ
ント方向が強く固定され、更に第2強磁性ピンド層の磁
気モーメント方向が、第1、3強磁性ピンド層との反強
磁性的結合により強く固定されたため、電流磁界Hiの
第2強磁性ピンド層への影響が相対的には強く及ばなか
ったためと考えられる。
【0165】次に、実験例3については、図15に示す
ように、第2、第3強磁性ピンド層のそれぞれの磁気モ
ーメント方向が、どの部分でも相互に反平行になってい
ることがわかる。また、第4強磁性ピンド層と第5強磁
性ピンド層のそれぞれの磁気モーメント方向も同様に、
どの部分でも相互に反平行になっていることがわかる。
しかし、第3強磁性ピンド層の磁気モーメント方向は、
全体的に図示X1方向の反対方向に大きく傾きつつ図示
Y方向の反対方向を向いており、また、第4強磁性ピン
ド層の磁気モーメント方向は、全体的に図示X1方向に
大きく傾きつつ図示Y方向の反対方向を向いている。従
って第3、第4強磁性ピンド層の磁気モーメント方向
は、相互に直交する関係にあり、平行状態ではないこと
がわかる。
【0166】このように、実験例3のスピンバルブ型薄
膜磁気素子が実験例1とほぼ同じ構成であるにもかかわ
らず、第3、第4強磁性ピンド層の磁気モーメント方向
が相互に直交したのは、実験例3の第2強磁性ピンド層
の膜厚(1nm)が、実験例1の第2強磁性ピンド層の
膜厚(0.5nm)より大きいため、実験例3の第2強
磁性ピンド層に集中する電流磁界の効果が実験例1の場
合より大きくなり、この大きな電流磁界の効果によって
実験例3の第2強磁性ピンド層の磁気モーメント方向が
大きく傾いたためと考えられる。従って本発明において
は、固定磁性層を構成する強磁性ピンド層の膜厚の関係
が、重要な要素になることがわかる。
【0167】次に、実験例4については、図16に示す
ように、第2〜第4強磁性ピンド層のそれぞれの磁気モ
ーメント方向の各層におけるばらつきが大きくなってい
る。例えば第3強磁性ピンド層の場合、電流磁界が図示
Y方向の反対方向に向けて印加されているにもかかわら
ず、層の中央部分の磁気モーメント方向が図中右斜め下
方向を向き、中央部分の両側の磁気モーメント方向が図
示X1方向を向いており、磁気モーメント方向が電流磁
界の方向に一致しないことがわかる。また、第5強磁性
ピンド層の場合、電流磁界が図示Y方向に向けて印加さ
れているにもかかわらず、中央部分の磁気モーメント方
向が図中右斜め上方向を向き、中央部分の両側の磁気モ
ーメント方向が図示X1方向を向いており、磁気モーメ
ント方向が電流磁界の方向に一致しないことがわかる。
【0168】このように、第1、第2固定磁性層におい
て最大磁気的膜厚を示す第3、第5強磁性ピンド層の磁
気モーメント方向が電流磁界の方向に一致しないのは、
第2〜第5強磁性ピンド層のトラック幅方向両側にハー
ドバイアス層が位置しており、このハードバイアス層の
バイアス磁界が、第2〜第5強磁性ピンド層に対して電
流磁界よりも大きく作用するため、各強磁性ピンド層の
磁気モーメント方向がバイアス磁界によって傾けられた
ためと考えられる。一方、実験例1〜3は、交換結合バ
イアス磁界がフリー磁性層のみに印加する構成であるた
め、交換結合バイアス磁界によって強磁性ピンド層の磁
気モーメントが傾くことはない。
【0169】以上のように、実験例1及び実験例2のス
ピンバルブ型薄膜磁気素子によれば、センス電流磁界に
よって強磁性ピンド層の磁気モーメント方向を固定する
ことができ、特にフリー磁性層を挟む一対の第3、第4
強磁性ピンド層の磁気モーメント方向が平行になるの
で、安定した磁気抵抗効果を発現させることができる。
【0170】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
デュアル型のスピンバルブ型薄膜磁気素子は、第1、第
2固定磁性層とフリー磁性層と第1、第2非磁性導電層
からなる積層体と、交換結合バイアス磁界によりフリー
磁性層の磁気モーメント方向を揃える反強磁性バイアス
層と、前記積層体に検出電流を与える一対のリード層と
からなり、第1、第2固定磁性層の磁気モーメント方向
が、検出電流の電流磁界によってフリー磁性層の磁気モ
ーメント方向の交差方向に固定されるので、従来のスピ
ンバルブ型薄膜磁気素子において必須であった反強磁性
層を省略することができる。これにより、第2固定磁性
層と第2非磁性導電層を除去するのみでフリー磁性層を
露出させることができるので、Exchange Bias方式をデ
ュアル型のスピンバルブ型薄膜磁気素子に容易に採用す
ることができ、これによりスピンバルブ型薄膜磁気素子
の実効トラック幅が一対の反強磁性バイアス層の相互の
間隔(光学的トラック幅)に一致するので、従来のAbut
ted Junction方式のように実効的なトラック幅が光学的
トラック幅より狭くなることがなく、再生感度が低下す
ることがない。
【0171】また、スピンバルブ型薄膜磁気素子の実効
的なトラック幅を、反強磁性バイアス層同士の間隔によ
り決めることができるので、スピンバルブ型薄膜磁気素
子の実効的なトラック幅を正確に制御することができ
る。更に、反強磁性層を省略できるので、スピンバルブ
型薄膜磁気素子全体の厚さを薄くすることができ、これ
によりギャップ幅が狭くなって高記録密度化に対応する
ことが可能になる。
【0172】また、反強磁性バイアス層の交換結合バイ
アス磁界は、フリー磁性層との界面にて発現してフリー
磁性層のみに印加されるものであり、第1、第2固定磁
性層には全く作用しないので、第1、第2固定磁性層の
磁気モーメント方向が、交換結合バイアス磁界によって
乱されることがない。
【0173】また、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子においては、前記第1、2固定磁性層のいずれか一方
に接し、交換結合磁界によってこのいずれか一方の固定
磁性層の磁気モーメントを固定する反強磁性層が備えら
れていてもよい。係るスピンバルブ型薄膜磁気素子によ
れば、第1、第2固定磁性層のいずれか一方に接する反
強磁性層を備えているので、この反強磁性層が接する固
定磁性層の磁気モーメントをより安定にすることがで
き、磁気抵抗効果を向上させることが可能になる。
【0174】また、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子によれば、第1、第2固定磁性層がそれぞれ、2以上
の強磁性ピンド層と、これらの強磁性ピンド層の間に挿
入される非磁性中間層とが積層されてなり、第1、第2
固定磁性層がいわゆるる人工的なフェリ磁性状態(synt
hetic ferri pinned;シンセティックフェリピンド)を
示す層であるので、検出電流の電流磁界により生じる磁
気モーメントを固定する効果をより増幅させることがで
き、第1、第2固定磁性層の磁気モーメント方向を強固
に固定し、これらの固定磁性層を安定させることがで
き、磁気抵抗効果を向上させることができる。また、第
1、第2非磁性導電層にそれぞれ隣接する強磁性ピンド
層の磁気モーメント方向が同一であるので、フリー磁性
層、第1、第2非磁性導電層及び第1、第2固定磁性層
の間でそれぞれ発現する磁気抵抗効果が打ち消されるこ
とがなく、高い磁気抵抗変化率を示すことができる。
【0175】更に、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子によれば、第1、第2固定磁性層のそれぞれの合成磁
気モーメント方向が、検出電流の電流磁界方向に一致し
て相互に反平行であるので、電流磁界によって打ち消さ
れることがなく、第1、第2固定磁性層の磁気モーメン
ト方向をより強固に固定して、磁気抵抗効果を向上させ
ることができる。
【0176】更にまた、本発明のスピンバルブ型薄膜磁
気素子によれば、第1、第2固定磁性層を構成する強磁
性ピンド層のうちの最大の磁気的膜厚を示す強磁性ピン
ド層の磁気モーメント方向がそれぞれ、これらの強磁性
ピンド層における前記電流磁界の方向に一致するので、
最大磁気的膜厚を示す強磁性ピンド層と、この層に隣接
する他の強磁性ピンド層とが反強磁性的に結合してフェ
リ磁性状態を示すことになり、固定磁性層全体の磁気モ
ーメント方向を強固に固定することができる。
【0177】また本発明の薄膜磁気ヘッドによれば、上
記のいずれかに記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子を備
えているので、磁気抵抗効果が大きくなって再生感度が
高く、トラック幅が狭幅であって磁気記録密度の高度化
に対応可能な薄膜磁気ヘッドを提供することができる。
また、本発明の浮上式磁気ヘッドによれば、上記の薄膜
磁気ヘッドを備えているので、再生感度が高く、トラッ
ク幅が狭幅であって磁気記録密度の高度化に対応可能な
浮上式磁気ヘッドを提供することができる。
【0178】また、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法によれば、第2固定磁性層上に反強磁性層
を積層しないので、積層体形成工程において第2固定磁
性層と第2非磁性導電層をエッチングするだけでフリー
磁性層を露出でき、エッチングの負担が軽減されて、Ex
change Bias方式のデュアル型のスピンバルブ型薄膜磁
気素子を容易に製造することができる。また、角度θ2
(θ2>θ1)の方向からスパッタ粒子を堆積して反強磁
性バイアス層を積層するので、反強磁性バイアス層の膜
厚が積層突出部に接近するにつれて薄くなることがな
く、反強磁性バイアス層の膜厚を一定にすることができ
る。これにより、積層突出部に接近するにつれて交換結
合バイアス磁界が低下することがなく、反強磁性バイア
ス層に対向する位置で常にフリー磁性層の磁気モーメン
ト方向が強固に固定されるためこの位置で磁気抵抗効果
が発現することがなく、実効トラック幅を反強磁性バイ
アス層の間隔に一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態であるスピンバル
ブ型薄膜磁気素子を記録媒体側からみた断面模式図であ
る。
【図2】 本発明の第1の実施形態であるスピンバル
ブ型薄膜磁気素子をトラック幅方向からみた断面模式図
である。
【図3】 本発明の第1の実施形態である浮上式磁気
ヘッドの斜視図である。
【図4】 本発明の第1の実施形態である薄膜磁気ヘ
ッドの断面模式図である。
【図5】 本発明の第1の実施形態であるスピンバル
ブ型薄膜磁気素子の製造方法を説明する図であって、積
層膜形成工程及びレジスト形成工程を示す工程図であ
る。
【図6】 本発明の第1の実施形態であるスピンバル
ブ型薄膜磁気素子の製造方法を説明する図であって、積
層体形成工程を示す工程図である。
【図7】 本発明の第1の実施形態であるスピンバル
ブ型薄膜磁気素子の製造方法を説明する図であって、バ
イアス層形成工程を示す工程図である。
【図8】 本発明の第1の実施形態であるスピンバル
ブ型薄膜磁気素子の製造方法を説明する図であって、リ
ード層形成工程を示す工程図である。
【図9】 本発明の第2の実施形態であるスピンバル
ブ型薄膜磁気素子を記録媒体側からみた断面模式図であ
る。
【図10】 本発明の第2の実施形態であるスピンバ
ルブ型薄膜磁気素子をトラック幅方向からみた断面模式
図である。
【図11】 本発明の第3の実施形態であるスピンバ
ルブ型薄膜磁気素子を記録媒体側からみた断面模式図で
ある。
【図12】 本発明の第3の実施形態であるスピンバ
ルブ型薄膜磁気素子をトラック幅方向からみた断面模式
図である。
【図13】 実験例1のスピンバルブ型薄膜磁気素子
のマイクロマグネティック・シュミレーションの結果を
示す図である。
【図14】 実験例2のスピンバルブ型薄膜磁気素子
のマイクロマグネティック・シュミレーションの結果を
示す図である。
【図15】 実験例3のスピンバルブ型薄膜磁気素子
のマイクロマグネティック・シュミレーションの結果を
示す図である。
【図16】 実験例4のスピンバルブ型薄膜磁気素子
のマイクロマグネティック・シュミレーションの結果を
示す図である。
【図17】 従来のスピンバルブ型薄膜磁気素子を記
録媒体側からみた断面模式図である。
【符号の説明】
1、101、201 スピンバルブ型薄膜磁気素子 4 第2反強磁性層(反強磁性層) 5、205 第1固定磁性層 205a 第1強磁性ピンド層 205b 第1非磁性中間層 5c、205c 第2強磁性ピンド層 5d、205d 第2非磁性中間層 5e、205e 第3強磁性ピンド層 6 第1非磁性導電層 7 フリー磁性層 8 第2非磁性導電層 9 第2固定磁性層 9a 第4強磁性ピンド層 9b 第3非磁性中間層 9c 第5強磁性ピンド層 11、111、211 積層体 11a、111a、211a 積層突出部 11b 積層膜 32 反強磁性バイアス層 32a 第1反強磁性層(別の反強磁性層) 32b 強磁性層 33 リード層 51 当接面 52 両側面 53 切込部 300 薄膜磁気ヘッド 350 浮上式磁気ヘッド Hi 電流磁界 i センス電流(検出電流) L リフトオフレジスト
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 43/12 G01R 33/06 R Fターム(参考) 2G017 AA01 AB07 AC09 AD55 AD59 AD62 AD63 AD65 5D034 BA04 BA05 BA06 BA08 DA05 DA07 5E049 AA10 AC05 BA16 DB12 DB20 GC01

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1固定磁性層、第1非磁性導電層及
    びフリー磁性層が順次積層されるとともに、第2非磁性
    導電層及び第2固定磁性層が前記フリー磁性層の一部上
    に順次積層されてなる積層突出部を具備する積層体と、 前記積層突出部のトラック幅方向両側に位置して前記フ
    リー磁性層上に積層され、交換結合バイアス磁界により
    このフリー磁性層の磁気モーメント方向を一方向に揃え
    る一対の反強磁性バイアス層と、 前記一対の反強磁性バイアス層上に積層されて前記積層
    体に検出電流を与える一対のリード層とからなり、 前記リード層から検出電流が供給された状態で、前記第
    1、第2固定磁性層の磁気モーメント方向がそれぞれ、
    前記検出電流の電流磁界によって前記フリー磁性層の磁
    気モーメント方向の交差方向に固定されることを特徴と
    するスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  2. 【請求項2】 前記第1、2固定磁性層のいずれか一
    方に接し、交換結合磁界によってこのいずれか一方の固
    定磁性層の磁気モーメントを固定する反強磁性層が備え
    られていることを特徴とする請求項1に記載のスピンバ
    ルブ型薄膜磁気素子。
  3. 【請求項3】 前記反強磁性層が、XMn合金または
    PtX’Mn合金(ただしXはPt、Pd、Ir、R
    h、Ru、Osのなかのいずれか1種の元素であり、
    X’はPd、Cr、Ru、Ni、Ir、Rh、Os、A
    u、Ag、Ne、Ar、Xe、Krのなかのいずれか1
    種以上の元素である)のいずれかにより構成されること
    を特徴とする請求項2に記載のスピンバルブ型薄膜磁気
    素子。
  4. 【請求項4】 前記第1、第2固定磁性層がそれぞ
    れ、2以上の強磁性ピンド層と、これらの強磁性ピンド
    層の間に挿入される非磁性中間層とが積層されてなり、
    前記検出電流が供給された状態で、隣接する各強磁性ピ
    ンド層のそれぞれの磁気モーメント方向が相互に反平行
    とされるとともに、 前記の強磁性ピンド層のうち、前記第1、第2非磁性導
    電層にそれぞれ隣接する2つの強磁性ピンド層の磁気モ
    ーメント方向が同一とされることを特徴とする請求項1
    ないし請求項3のいずれかに記載のスピンバルブ型薄膜
    磁気素子。
  5. 【請求項5】 前記第1、2固定磁性層をそれぞれ構
    成する各強磁性ピンド層の磁気モーメントの合成モーメ
    ントを、該第1、2固定磁性層のそれぞれの磁気モーメ
    ントとした場合に、 前記検出電流が供給された状態で、この第1、第2固定
    磁性層の磁気モーメント方向が前記電流磁界により固定
    されることにより、相互に反平行とされていることを特
    徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のス
    ピンバルブ型薄膜磁気素子。
  6. 【請求項6】 飽和磁化と膜厚の積を磁気的膜厚とし
    た場合に、 前記リード層から検出電流が供給された状態で、前記第
    1固定磁性層を構成する強磁性ピンド層のうちの最大の
    磁気的膜厚を示す強磁性ピンド層の磁気モーメント方向
    と、前記第2固定磁性層を構成する強磁性ピンド層のう
    ちの最大の磁気的膜厚を示す強磁性ピンド層の磁気モー
    メント方向とがそれぞれ、これらの強磁性ピンド層にお
    ける前記電流磁界の方向に一致することを特徴とする請
    求項1ないし請求項5に記載のスピンバルブ型薄膜磁気
    素子。
  7. 【請求項7】 前記第1固定磁性層は、第1強磁性ピ
    ンド層と、第1非磁性中間層と、第2強磁性ピンド層
    と、第2非磁性中間層と、前記第1非磁性導電層に隣接
    する第3強磁性ピンド層とが順次積層されてなるととも
    に、第1、第2、第3強磁性ピンド層の各磁気モーメン
    ト方向が隣接する層同士の間で相互に反平行とされ、更
    に前記第1、第2、第3強磁性ピンド層の磁気的膜厚を
    それぞれM1、M2、M3としたときに、M3>M1、M3
    2、(M1+M3)>M2がそれぞれ成立するものであ
    り、 前記第2固定磁性層は、前記第2非磁性導電層に隣接す
    る第4強磁性ピンド層と、第3非磁性導電層と、第5強
    磁性ピンド層とが順次積層されてなるとともに、第4、
    第5強磁性ピンド層の各磁気モーメント方向が相互に反
    平行とされ、更に前記第4、第5強磁性ピンド層の磁気
    的膜厚をそれぞれM4、M5としたときに、M5>M4が成
    立するものであり、 更に、前記第3、第4強磁性ピンド層の各磁気モーメン
    ト方向が同一とされていることを特徴とする請求項4な
    いし請求項6に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  8. 【請求項8】 前記第1固定磁性層において、前記第
    1、第2、第3強磁性ピンド層の磁気的膜厚の関係が、
    3>M2>M1となることを特徴とする請求項7に記載
    のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  9. 【請求項9】 前記第1固定磁性層は、第2強磁性ピ
    ンド層と、第2非磁性中間層と、前記第1非磁性導電層
    に隣接する第3強磁性ピンド層とが順次積層されてなる
    とともに、第2、第3強磁性ピンド層の各磁気モーメン
    ト方向が相互に反平行とされ、更に前記第2、第3強磁
    性ピンド層の磁気的膜厚をそれぞれM 2、M3としたとき
    に、M3>M2が成立するものであり、 前記第2固定磁性層は、前記第2非磁性導電層に隣接す
    る第4強磁性ピンド層と、第3非磁性中間層と、第5強
    磁性ピンド層とが順次積層されてなるとともに、第4、
    第5強磁性ピンド層の各磁気モーメント方向が相互に反
    平行とされ、更に前記第4、第5強磁性ピンド層の磁気
    的膜厚をそれぞれM4、M5としたときに、M5>M4が成
    立するものであり、 更に、前記第3、第4強磁性ピンド層の各磁気モーメン
    ト方向が同一とされていることを特徴とする請求項4な
    いし請求項6に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし請求項9のいずれか
    に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子が磁気情報の読出
    素子として備えられてなることを特徴とする薄膜磁気ヘ
    ッド。
  11. 【請求項11】 スライダに、請求項10に記載の薄
    膜磁気ヘッドが備えられてなることを特徴とする浮上式
    磁気ヘッド。
  12. 【請求項12】 基板上に、第1固定磁性層、第1非
    磁性導電層、フリー磁性層、第2非磁性導電層及び第2
    固定磁性層を順次積層して積層膜を形成する積層膜形成
    工程と、 前記積層膜に接する当接面と該当接面を挟む両側面とを
    具備してなるとともに、前記当接面と前記両側面の間で
    あって該当接面のトラック幅方向両側に一対の切込部が
    設けられてなるリフトオフレジストを、前記積層膜上に
    形成するレジスト形成工程と、 前記基板に対して角度θ1の方向からエッチング粒子を
    前記積層膜に照射して、前記リフトオフレジストの両側
    面よりもトラック幅方向外側に位置する第2固定磁性層
    及び第2非磁性導電層をエッチングし、残存した第2固
    定磁性層及び第2非磁性導電層によりフリー磁性層上に
    積層突出部を形成しつつ、積層体を形成する積層体形成
    工程と、 前記基板に対して角度θ2(ただしθ2>θ1)の方向か
    らスパッタ粒子を堆積して、前記リフトオフレジストの
    両側面よりトラック幅方向外側に、一対の反強磁性バイ
    アス層を形成するバイアス層形成工程と、 前記基板に対して角度θ1の方向から他のスパッタ粒子
    を堆積して、前記一対の反強磁性バイアス層上であって
    前記両側面よりトラック幅方向外側に、リード層を形成
    するリード層形成工程とからなることを特徴とするスピ
    ンバルブ型薄膜磁気素子の製造方法。
  13. 【請求項13】 飽和磁化と膜厚の積を磁気的膜厚と
    した場合、 前記積層膜形成工程において、前記第1固定磁性層は、
    基板上に第1強磁性ピンド層、第1非磁性中間層、第2
    強磁性ピンド層、第2非磁性中間層及び第3強磁性ピン
    ド層を順次積層するとともに、前記第1、第2、第3強
    磁性ピンド層の各磁気的膜厚M1、M2、M3が、M3>M
    1、M3>M2、(M1+M3)>M2となるようにして形成
    し、 前記第2固定磁性層は、前記第2非磁性導電層上に、第
    4強磁性ピンド層、第3非磁性中間層及び第5強磁性ピ
    ンド層を順次積層するとともに、前記第4、第5強磁性
    ピンド層の各磁気的膜厚M4、M5が、M5>M4となるよ
    うにして形成することを特徴とする請求項12に記載の
    スピンバルブ型薄膜磁気素子の製造方法。
  14. 【請求項14】 飽和磁化と膜厚の積を磁気的膜厚と
    した場合、 前記積層膜形成工程において、前記第1固定磁性層は、
    基板上に第2強磁性ピンド層、第2非磁性中間層、第3
    強磁性ピンド層を順次積層するとともに、前記第2、第
    3強磁性ピンド層の各磁気的膜厚M2、M3が、M3>M2
    となるようにして形成し、 前記第2固定磁性層は、前記第2非磁性導電層上に、第
    4強磁性ピンド層、第3非磁性中間層及び第5強磁性ピ
    ンド層を順次積層するとともに、前記第4、第5強磁性
    ピンド層の各磁気的膜厚M4、M5が、M5>M4となるよ
    うにして形成することを特徴とする請求項12に記載の
    スピンバルブ型薄膜磁気素子の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記積層膜形成工程において、前記
    基板と前記第1固定磁性層の間、または前記第2固定磁
    性層上に、反強磁性層を形成することを特徴とする請求
    項12ないし請求項14のいずれかに記載のスピンバル
    ブ型薄膜磁気素子の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記バイアス層形成工程において、
    強磁性層と別の反強磁性層を順次積層して反強磁性バイ
    アス層を形成することを特徴とする請求項12ないし請
    求項15に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子の製造方
    法。
  17. 【請求項17】 前記積層体形成工程において、第2
    固定磁性層及び第2非磁性導電層に加えてフリー磁性層
    の一部をエッチングすることにより、前記フリー磁性層
    の上面に前記積層突出部に接する凸部を形成しつつ積層
    体を形成し、 前記バイアス層形成工程において、前記凸部のトラック
    幅方向両側に前記強磁性層を積層することを特徴とする
    請求項12ないし16のいずれかに記載のスピンバルブ
    型薄膜磁気素子の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記積層体形成工程において、エッ
    チングの際に前記積層膜から叩き出されたスパッタ粒子
    種を2次イオン質量スペクトル分析法により分析してエ
    ッチングの終点を検出することを特徴とする請求項12
    ないし請求項16のいずれかに記載のスピンバルブ型薄
    膜磁気素子の製造方法。
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