JP3247535B2 - 磁気抵抗効果素子 - Google Patents

磁気抵抗効果素子

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JP3247535B2
JP3247535B2 JP02677594A JP2677594A JP3247535B2 JP 3247535 B2 JP3247535 B2 JP 3247535B2 JP 02677594 A JP02677594 A JP 02677594A JP 2677594 A JP2677594 A JP 2677594A JP 3247535 B2 JP3247535 B2 JP 3247535B2
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    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、反強磁性体膜と強磁性
体膜との交換結合を用いた交換結合膜の分野に係り、特
には、交換結合膜を具備してなる磁界検出用センサーや
再生用磁気ヘッド等の磁気抵抗効果素子に関する。
【0002】
【従来の技術】以前より高密度磁気記録における再生用
磁気ヘッドとして、磁気抵抗効果素子を用いた磁気ヘッ
ドの研究が進められている。現在、磁気抵抗効果素子材
料としては80原子%Ni−20原子%Fe(通称;パ
ーマロイ)合金薄膜が用いられているが、近年これに替
る材料として(Co/Cu)等の巨大磁気抵抗効果を示
す人工格子膜やスピンバルブ膜が注目されている。
【0003】しかし、これらの材料を用いた磁気抵抗効
果膜は磁区を持つため、これに起因するバルクハウゼン
ノイズが実用化の上で大きな問題となっており、磁気抵
抗効果膜を単磁区化する方法が種々検討されている。そ
の一つに強磁性体である磁気抵抗効果膜と反強磁性体膜
との交換結合を用いて磁気抵抗効果膜の磁区を特定方向
に制御する方法があり、ここでの反強磁性体材料として
はγ−FeMn合金が従来より広く知られている(たと
えば、米国特許第4103315号明細書および米国特
許第5014147号明細書)。しかしながら、γ−F
eMn合金は耐食性、特に耐酸化性に問題があり、経時
的に磁気抵抗効果膜との交換結合力が劣化するという問
題がある。
【0004】また、反強磁性体膜としてMnPt、Mn
Rh合金など他のγ−Mn合金を用いた例や酸化物系の
NiOなどを用いた例なども米国特許第4103315
号に開示されている。しかし、これらγ−Mn合金は強
磁性体膜との交換結合力が十分でなく、またNiOなど
の酸化物系は熱安定性に劣り100℃以上程度の高温下
での強磁性体膜との交換結合力が不安定である。さらに
NiOなどの電気抵抗の高い絶縁性酸化物系では、この
部分から直接電極を取り出すことができないため素子構
造が複雑になるという問題もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、たと
えば磁気抵抗効果素子のバルクハウゼンノイズの低減
等、強磁性体膜との交換結合を得るために用いられてき
た従来の反強磁性体膜は、その耐食性、熱安定性や強磁
性体膜との交換結合力等に問題があった。
【0006】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、良好な交換結合力を有し、かつ耐食
性に優れた反強磁性体膜を備えた交換結合膜およびこの
交換結合膜を具備してなり、安定した出力を長期間に亘
って得ることのできる磁気抵抗効果素子を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、スピンバルブ膜と、該スピンバルブ膜の一
方の強磁性体膜に積層して形成された反強磁性体膜を備
え、該反強磁性体膜は、組成がN100-x Mnx (ここ
で、NはPtを表し、xは原子%を表し、かつ24≦x
<35または40<x≦75である)で示され、かつそ
のNの一部がFe、CoおよびPdからなる群の中から
選ばれた少なくとも1種の元素で置換されており、結晶
構造が正方晶系である合金からなることを特徴とする磁
気抵抗効果素子、並びにスピンバルブ膜と、該スピンバ
ルブ膜の一方の強磁性体膜に積層して形成された反強磁
性体膜を備え、該反強磁性体膜は、組成がN100-x Mn
x (ここで、NはPtを表し、xは原子%を表し、かつ
24≦x<35または40<x≦75である)で示さ
れ、そのNの一部がNiで置換されており、N100-y
y (ここで、yは原子%を表す)で表されたNとNi
の比が、0<y<30の範囲内にあり、結晶構造が正方
晶系である合金からなることを特徴とする磁気抵抗効果
素子を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の磁気抵抗効果素子は、スピンバルブ膜とこのス
ピンバルブ膜の一方の強磁性体膜に積層して形成された
所定の合金からなる反強磁性体膜を備える。第1の側面
において、この合金は、組成がN100-x Mnx (ここ
で、NはPtを表し、xは原子%を表し、かつ24≦x
<35または40<x≦75である)で示され、かつそ
のN(Pt)の一部がFe、CoおよびPdからなる群
の中から選ばれた少なくとも1種の元素で置換されてお
り、結晶構造が正方晶系である合金である。第2の側面
において、反強磁性体膜を構成する合金は、組成がN
100-xMnx (ここで、xは原子%を表し、かつ24≦
x<35または40<x≦75である)で示され、その
N(Pt)の一部がNiで置換されており、N100-y
y (ここで、yは原子%を表す)で表されたPtとN
iの比が、0<y<30の範囲内にあり、結晶構造が正
方晶系である合金である。本発明において、スピンバル
ブ膜の一方の強磁性体膜とそれに積層して形成された反
強磁性体膜とで交換結合膜が構成される(以下、本発明
の交換結合膜といい、上記第1の側面に係る交換結合膜
を第1の交換結合膜といい、上記第2の側面に係る交換
結合膜を第2の交換結合膜ということがある)。
【0009】本発明において、N100-x Mnx における
xは、24≦x<35または40<x≦75である。す
なわち、x<24ではネール温度が室温以下となるため
交換結合が得られなくなり、z>75ではMn量が多く
なり耐食性が低下する。さらにこの場合、35≦x≦4
0では当該合金の結晶構造が歪んだ面心立方構造とな
り、成膜時に膜に大きな歪が加わり、反強磁性体膜と強
磁性体膜との間で巻くのは栗が発生するため好ましくな
い、より好ましくは40<x≦75の範囲である。これ
らの金属は、反強磁性体膜と強磁性体膜との格子整合性
の点で特に好ましい成分である。
【0010】さらに本発明の第1の側面において、N
100-x Mnx のN(Pt)の一部はFe,Coおよび/
またはPdにより置換されている。置換量は、N100-y
N’y(ここで、yは原子%であり、N’は、Feおよ
び/またはNiである)で表した場合、0<y<30で
あることが好ましい。より好ましくは1≦y≦10であ
る。また、本発明の第2の側面において、N100-x Mn
x のN(Pt)の一部はNiで置換されており、N
100-y Niy (ここで、yは原子%を表す)で表された
NとNiの比は、0<y<30の範囲にある。より好ま
しくは1≦y≦10である。このようにFe,Co,P
d,Ni(これらを一括してN”で表す)によりPtの
一部を置換することにより、反強磁性体膜中に、たとえ
ばNi50Pt50,Fe25Pt75等のNN”反強磁性相、
Ni50Mn50,Fe50Mn50,Co50Mn50等のMn
N”反強磁性相、Ni50Pt50,Co50Pt50等のN
N”強磁性相やFe50Pd50等の強磁性相が形成され、
これらの層とNMn反強磁性相との磁気的な相互作用に
よりネール温度を制御することができる。なお、本発明
では、同様に、Nの一部を希土類金属やAs,B,S
n,Sb,グラファイト等の半金属で置換することも可
能である。
【0011】また、Mnの一部を同様の遷移金属、希土
類金属や半金属の少なくとも1種(M’)で置換しても
良い。置換量は上述のNの置換と同様に30原子%程度
まで許容される。この場合も、反強磁性体膜中にNM’
の強磁性相や非磁性相、MnM’の反強磁性相、強磁性
相、常磁性相や非磁性相が形成され、これらの相とNM
nの反強磁性相との相互作用によりネール温度を制御す
ることができる。なお本発明の交換結合膜では、反強磁
性体膜のネール温度が100〜500℃、さらには25
0〜400℃の範囲内に設定されることが好ましい。
【0012】本発明において、N100-zMnz反強磁性体
膜の結晶構造を正方晶系に規定した理由は、正方晶系と
することにより面内方向にスピンを揃えることができ、
強磁性体膜との良好な交換結合力が得られるためであ
る。このとき配向方位は特に規定されない。
【0013】一方、本発明の交換結合膜において、強磁
性体膜とは強磁性を発現する膜であり、特に限定されな
いが、磁気抵抗効果素子に用いる場合、飽和磁界の小さ
いパーマロイ等の磁気抵抗効果膜や、巨大磁気抵抗効果
を示す例えばFe、Ni、Coの強磁性金属、これらの
合金であるFeNi、FeCo、FeCoNiならびに
これらの強磁性金属合金に磁気特性の向上を目的として
第3元素や第4元素を添加した合金や非磁性金属が挙げ
られる。また、このような強磁性体膜と反強磁性体膜は
少なくとも一部が積層形成されて、交換結合していれば
よい。本発明の磁気抵抗効果素子は、既述のように、ス
ピンバルブ膜と、該スピンバルブ膜の一方の強磁性体膜
に積層して形成された所定の反強磁性体膜を備える。
【0014】なお本発明の交換結合膜では、反強磁性体
膜の膜厚は、反強磁性を発現する範囲であれば特に限定
されない。しかし、大きな交換結合力を得るためには、
反強磁性体膜の膜厚が強磁性体膜の膜厚よりも厚いこと
が望ましい。
【0015】また本発明の第1および第2の交換結合膜
においては、反強磁性体膜と強磁性体膜との界面にγ−
Mn合金、Co−Cr合金、Cu、Ru、Rh、Re、
Pt、Pd、Ag、Au、Os、Irのうちから選ばれ
た少なくとも1種からなる中間層を5nm以下の厚さに
形成してもよい。すなわちこのような中間層を形成する
ことで、反強磁性体膜と強磁性体膜との交換結合力の大
きさを制御することができ、さらに中間層上に反強磁性
体膜を形成する場合は、反強磁性体膜の結晶性の向上も
期待できる。しかしながら中間層の厚さが5nmを越え
ると、中間層が非磁性相の場合には、反強磁性体膜と強
磁性体膜との交換結合力が弱くなる。
【0016】本発明の交換結合膜は、蒸着法、スパッタ
法、MBE法など公知の成膜方法を用いてたとえば基板
上に形成される。このとき反強磁性体膜に一軸磁気異方
性を付与するために、磁界中で成膜、熱処理を行っても
よい。また基板としてはガラス、樹脂などの非晶質基板
や、Si、MgO、各種フェライトなどの単結晶基板、
配向基板、焼結基板など特に限定されず、さらに反強磁
性体膜や強磁性体膜の結晶性を向上させるために、基板
上に1〜100nmの厚さの下地層を設けてもよい。下
地層は結晶性を向上させるものであれば特に限定されな
いが、たとえばPdやPtなど貴金属やCoZrNb等
の非晶質金属を用いることができる。このとき下地層
は、強磁性体膜や反強磁性体膜に対する磁気的な影響が
小さい方が好ましいが、必ずしも非磁性体である必要は
ない。
【0017】さらにこのような本発明の交換結合膜に対
し、少なくとも強磁性体膜に電流を通電するための電極
をたとえばCu、Ag、Au、Alやこれらの合金で形
成すれば、本発明の磁気抵抗効果素子を容易に得ること
ができる。ここで電極は強磁性体膜に直接接触する形態
でも、反強磁性体膜等を介する形態でも良い。
【0018】このように本発明の交換結合膜は、磁界検
出用センサー、再生用磁気ヘッドなどの磁気抵抗効果素
子を用いた種々のデバイスに応用できる。
【0019】なお、本発明の磁気抵抗効果素子におい
て、反強磁性体膜と強磁性体膜との交換結合力は、スピ
ンバルブ膜に対する磁化固着に供される。
【0020】
【実施例】次に本発明を例を用いて説明する。 例1 RFマグネトロンスパッタ装置を用いて反強磁性体膜と
強磁性体膜とからなる交換結合膜を作製した。膜の断面
図を図1に示す。具体的にはガラス基板1上に、組成が
Ni80Fe20(80原子%Ni−20原子%Fe)で表
される強磁性体膜2を30nmの厚さに、組成がPd
100-zMnz(z=20、24、41、50、75、8
0)で表される反強磁性体膜3を30nmの厚さにそれ
ぞれ磁界中で成膜した。このとき基板の加熱は特に行わ
なかった。得られた反強磁性体膜についてX線回折で結
晶構造とその配向方位を調べたところ、結晶構造が正方
晶で(101)配向していることが確認された。
【0021】ここで、反強磁性体膜の組成がPd50Mn
50の場合における磁化容易軸方向a(成膜時の磁界方
向)と磁化困難軸方向bの磁化曲線を図2に示す。この
とき、磁化0における両者の磁界の大きさの差cが交換
バイアス磁界(Hua)となる。さらにMn量zと交換
バイアス磁界の関係を図3に示す。この図から24≦z
≦75の範囲で交換バイアス磁界が1600(A/m)
以上と従来のγ−FeMn反強磁性体膜と比較して遜色
ない値が得られることがわかる。一方、zがこの範囲か
ら外れると交換バイアス磁界の値は著しく低下すること
が確認された。なお、35≦z≦40の範囲は優れた交
換バイアス磁界を示したが、反強磁性体膜と強磁性体膜
との膜剥離がみられた。
【0022】また、これと反強磁性体膜、強磁性体膜の
組成が異なる交換結合膜を、反強磁性体膜の膜厚を40
nm、強磁性体膜の膜厚を10nmとして作製したとき
の交換バイアス磁界を表1に示す。表1より明らかなよ
うに、反強磁性体膜や強磁性体膜の組成を変えても、十
分に大きな交換バイアス磁界の値が得られた。なお、表
1中には反強磁性体膜のネール温度TNを併せて示した
が、N100-zMnz反強磁性体膜のNがRh、Ruの場合
はNがPd、Ptの場合よりも、ネール温度TNが好ま
しい値にまで低下していることがわかる。
【0023】
【表1】 例2 例1と同様の方法で、強磁性体膜としてNi80Fe
20(80原子%Ni−20原子%Fe)を、反強磁性体
膜としてNの一部をFe、Ni、Coの少なくとも1種
で置換した(Pd100-yN´y58Mn42(N´はFe、
Ni、Coの少なくとも1種、0<y<30)をそれぞ
れ30nmの厚さにガラス基板上に成膜して交換結合膜
を作製し、その交換バイアス磁界を測定した。いずれの
場合も500(A/m)以上の交換バイアス磁界が確認
された。
【0024】また、磁化率の温度変化より反強磁性体膜
のネール温度を測定した。その1例として、(Pd80
2058Mn42とPd58Mn42の磁化率と温度の関係を
図4に示す。ここで磁化率のピークとなっている温度T
Nがネール温度である。同様にして各組成におけるネー
ル温度を測定した結果を図5に示す。この図よりPdの
一部をFe、Ni、Coの少なくとも1種で置換するこ
とによりネール温度が低下していた。たとえば、N´を
Ni、yを10としたときのネール温度は440℃で、
yが0のときの560℃と比較して100℃以上低下さ
せることができる。このようなネール温度の低下効果
は、図5に示される通りFeが一番大きく、ついでC
o、Niとなっている。さらに、Mnの一部をFe、C
o、Ni等の遷移金属、La、Sm等Yを含む希土類金
属、As、B、Sn、Sb、グラファイト等半金属と置
換したときや、貴金属NとMnのそれぞれ一部を上述の
元素を置換したものについても同様にネール温度低下の
効果が得られた。また、相対湿度が90%、温度が90
℃の大気中に48時間放置した後の交換バイアス磁界は
初期値の90%以上の値を示した。
【0025】例3 例1と同様の方法で、強磁性体膜としてNi80Fe
20を、反強磁性体膜としてPt58Mn42をそれぞれ30
nm、MgO(100)、(110)、(111)、サ
ファイヤC面、ガラスの各基板上に成膜して交換結合膜
を作製し、その交換バイアス磁界を測定した。比較例と
して反強磁性体膜にγ−FeMnを用いたものについて
も同様に測定した。
【0026】その結果交換バイアス磁界は、反強磁性体
膜をPt58Mn42としたとき、基板によらず測定された
が、γ−FeMnとしたときにはMgO(111)、サ
ファイヤC面、ガラスのときにのみ確認されたに過ぎな
かった。これは本発明のPt58Mn42が正方晶であるこ
とによるものである。すなわちγ−FeMnの場合には
面心立方の(111)に優先配向したときのみに十分な
交換結合力が得られるが、本発明のN100-zMnzは、特
に配向方位を規定する必要がないことがわかる。また、
γ−PtMnについても同様の評価を行ったところ、γ
−FeMnと同様に特定面においてしか交換バイアス磁
界は確認されなかった。また、その値も、約100(A
/m)程度と交換結合膜に用いる上で十分とはいえなか
った。
【0027】例4 例1で十分な交換バイアス磁界が得られたPd50Mn50
の反強磁性体膜と強磁性体膜との交換結合膜を用いて磁
気抵抗効果素子を作製した。その磁気抵抗効果素子の断
面図を図6に示す。具体的に、ガラス基板4には#70
59ガラス(コーニングジャパン社)、強磁性体膜5に
は膜厚が20nmのNi80Fe20(80原子%Ni−2
0原子%Fe)と膜厚が10nmのCo90Fe10(90
原子%Co−10原子%Fe)の2種類、電極6には膜
厚が20μmのCuをそれぞれ用いた。なお反強磁性体
膜7と反強磁性体膜8との間隔は0.1mmとした。ま
た強磁性体膜5と反強磁性体膜7、8については、磁界
中で成膜を行い、膜に一軸異方性を付与し強磁性体膜5
の単磁区化をはかった後、通常の半導体プロセスを用い
て素子の加工を行ない、磁気抵抗効果素子を得た。
【0028】得られた磁気抵抗効果素子に外部から磁界
を印加して、その磁界応答特性を調べたところ、Tiな
どの保護膜が形成されたγ−FeMn反強磁性体膜を用
いた以外は全く同様の磁気抵抗効果素子と同程度の安定
した出力が得られ、なおかつ磁壁移動に伴うバルクハウ
ゼンノンズの発生もみられなかった。
【0029】例5 例1と同様の方法で、強磁性体膜として膜厚10nmの
Ni80Fe20(80原子%Ni−20原子%Fe)を、
反強磁性体膜として膜厚40nmのPd50Mn50、Pd
67Mn33、Pt50Mn50、Cr95Al5、Cr90
10、Cr98Mn2を成膜して交換結合膜をそれぞれ作
製した。また比較例として反強磁性体膜にPt17
83、Pd20Mn80、Cr50Mn50、Pd23Mn77を、
および従来のγ−FeMnを用いて上述と同一の交換結
合膜をそれぞれ作製した。
【0030】得られた交換結合膜を相対湿度が90%、
温度が90℃の大気中に放置して48時間後の腐食ピッ
ト発生状況を調べた。その結果を図7に示す。図7より
本発明による交換結合膜は、腐食ピット発生確率が大幅
に小さく腐食ピットの発生がほとんど見られず、耐食性
に優れていた。また、放置後の交換バイアス磁界を測定
したところ初期値に対して、比較例はPt17Mn83、P
20Mn80、Cr50Mn50、Pd23Mn77で50%、従
来のγ−FeMnを用いた例は10%であったが、例8
のそれぞれの交換結合膜は90%以上の交換バイアス磁
界を示した。
【0031】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の交換結合膜
は、良好な交換結合力を有し、かつ耐食性、熱安定性に
も優れ、さらにこのような交換結合膜を具備してなる本
発明の磁気抵抗効果素子においては、安定した出力を長
期間に亘って得ることができ、その工業的価値は大なる
ものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の交換結合膜を示す断面図である。
【図2】例1における磁化曲線を示す図である。
【図3】例1における組成と交換バイアス磁界の関係を
示す図である。
【図4】例2における磁化率と温度変化の関係を示す図
である。
【図5】例2における組成とネール温度の関係を示す図
である。
【図6】本発明の磁気抵抗効果素子の断面を示す断面図
である。
【図7】交換結合膜における腐食ピット発生状況を示す
図である。
【符号の説明】
1、4…ガラス基板 2、5…強磁性体膜 3、7、8…反強磁性体膜 6…電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐橋 政司 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝 研究開発センター内 (72)発明者 澤邊 厚仁 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝 研究開発センター内 (56)参考文献 米国特許5159513(US,A) 欧州特許出願公開581418(EP,A 1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 43/08 G11B 5/39 H01F 10/12

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スピンバルブ膜と、該スピンバルブ膜の
    一方の強磁性体膜に積層して形成された反強磁性体膜を
    備え、該反強磁性体膜は、組成がN100-x Mnx (ここ
    で、NはPtを表し、xは原子%を表し、かつ24≦x
    <35または40<x≦75である)で示され、かつそ
    のNの一部がFe、CoおよびPdからなる群の中から
    選ばれた少なくとも1種の元素で置換されており、結晶
    構造が正方晶系である合金からなることを特徴とする磁
    気抵抗効果素子。
  2. 【請求項2】 N100-y N’y (ここで、yは原子%を
    表し、N’はFeおよび/またはCo)で表されたNと
    N’の比が、0<y<30の範囲内にあることを特徴と
    する請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 【請求項3】 スピンバルブ膜と、該スピンバルブ膜の
    一方の強磁性体膜に積層して形成された反強磁性体膜を
    備え、該反強磁性体膜は、組成がN100-x Mnx (ここ
    で、NはPtを表し、xは原子%を表し、かつ24≦x
    <35または40<x≦75である)で示され、そのN
    の一部がNiで置換されており、N100-y Niy (ここ
    で、yは原子%を表す)で表されたNとNiの比が、0
    <y<30の範囲内にあり、結晶構造が正方晶系である
    合金からなることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  4. 【請求項4】 該合金のMnの一部が、遷移金属、希土
    類金属および半金属からなる群の中から選ばれた少なく
    とも1種の元素M’で置換されていることを特徴とする
    請求項1ないし3のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果
    素子。
  5. 【請求項5】 スピンバルブ膜の該一方の強磁性体膜
    が、FeCoからなることを特徴とする請求項1ないし
    4のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 【請求項6】 yが、1≦y≦10の範囲内にあること
    を特徴とする請求項2または3に記載の磁気抵抗効果素
    子。
  7. 【請求項7】 反強磁性体膜が、スピンバルブ膜の該一
    方の強磁性体膜の厚さよりも大きいことを特徴とする請
    求項1ないし6のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素
    子。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれか1項に記載
    の磁気抵抗効果素子を備えた磁気ヘッド。
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