JP2002141581A - 交換結合膜 - Google Patents

交換結合膜

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JP2002141581A
JP2002141581A JP2001151461A JP2001151461A JP2002141581A JP 2002141581 A JP2002141581 A JP 2002141581A JP 2001151461 A JP2001151461 A JP 2001151461A JP 2001151461 A JP2001151461 A JP 2001151461A JP 2002141581 A JP2002141581 A JP 2002141581A
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ferromagnetic
magnetic field
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JP2001151461A
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Susumu Hashimoto
進 橋本
Yuzo Kamiguchi
裕三 上口
Hitoshi Iwasaki
仁志 岩崎
Masashi Sahashi
政司 佐橋
Atsuhito Sawabe
厚仁 澤邊
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
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    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F10/00Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure
    • H01F10/32Spin-exchange-coupled multilayers, e.g. nanostructured superlattices
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Abstract

(57)【要約】 【課題】良好な交換結合性を有し、かつ耐食性に優れる
交換結合膜を提供する。 【解決手段】組成がPt100-zMnz(ここで、zは、4
0<z≦75)で表され、かつ結晶構造が正方晶系であ
る反強磁性膜と、前記反強磁性膜と積層形成されたFe
Co合金からなる強磁性膜とを備えることを特徴とする
交換結合膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反強磁性体膜と強
磁性体膜との交換結合を用いた交換結合膜、およびこの
交換結合膜を具備してなる磁界検出用センサーや再生用
磁気ヘッド等の磁気抵抗効果素子に関する。
【0002】
【従来の技術】以前より高密度磁気記録における再生用
磁気ヘッドとして、磁気抵抗効果素子を用いた磁気ヘッ
ドの研究が進められている。現在、磁気抵抗効果素子材
料としては80原子%Ni−20原子%Fe(通称;パ
ーマロイ)合金薄膜が用いられているが、近年これに替
る材料として(Co/Cu)等の巨大磁気抵抗効果を示
す人工格子膜やスピンバルブ膜が注目されている。
【0003】しかし、これらの材料を用いた磁気抵抗効
果膜は磁区を持つため、これに起因するバルクハウゼン
ノイズが実用化の上で大きな問題となっており、磁気抵
抗効果膜を単磁区化する方法が種々検討されている。そ
の一つに強磁性体である磁気抵抗効果膜と反強磁性体膜
との交換結合を用いて磁気抵抗効果膜の磁区を特定方向
に制御する方法があり、ここでの反強磁性体材料として
はγ−FeMn合金が従来より広く知られている(たと
えば、米国特許第4103315号明細書および米国特
許第5014147号明細書)。しかしながら、γ−F
eMn合金は耐食性、特に耐酸化性に問題があり、経時
的に磁気抵抗効果膜との交換結合力が劣化するという問
題がある。
【0004】また、反強磁性体膜としてMnPt、Mn
Rh合金など他のγ−Mn合金を用いた例や酸化物系の
NiOなどを用いた例なども米国特許第4103315
号に開示されている。しかし、これらγ−Mn合金は強
磁性体膜との交換結合力が十分でなく、またNiOなど
の酸化物系は熱安定性に劣り100℃以上程度の高温下
での強磁性体膜との交換結合力が不安定である。さらに
NiOなどの電気抵抗の高い絶縁性酸化物系では、この
部分から直接電極を取り出すことができないため素子構
造が複雑になるという問題もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、たと
えば磁気抵抗効果素子のバルクハウゼンノイズの低減
等、強磁性体膜との交換結合を得るために用いられてき
た従来の反強磁性体膜は、その耐食性、熱安定性や強磁
性体膜との交換結合力等に問題があった。
【0006】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、良好な交換結合力を有し、かつ耐食
性に優れた反強磁性体膜を備えた交換結合膜およびこの
交換結合膜を具備してなり、安定した出力を長期間に亘
って得ることのできる磁気抵抗効果素子を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、組成がPt100-zMnz(ここで、zは、4
0<z≦75)で表され、かつ結晶構造が正方晶系であ
る反強磁性膜と、前記反強磁性膜と積層形成されたFe
Co合金からなる強磁性膜とを備えることを特徴とする
交換結合膜を提供する。
【0008】本発明において、反強磁性体膜を構成する
合金のMnの一部が、遷移金属、希土類金属および半金
属からなる群の中から選ばれる少なくとも1種の元素に
より置換され得る。
【0009】また、本発明は、組成がN100-zMnz(N
はCu、Ru、Rh、Re、Ag、Au、Os、Irの
うちから選ばれた少なくとも1種で24≦z≦75、あ
るいはNはPd、Ptのうちから選ばれた少なくとも1
種で24≦z<35または40<z≦75)で表され、
かつ結晶構造が正方晶系である反強磁性体膜と、この反
強磁性体膜と積層形成された強磁性体膜とを備える交換
結合膜、および組成がCr100-xx(Mは周期律表3b
族元素、Cu、Ru、Rh、Re、Pt、Pd、Ag、
Au、Os、Ir、Mn、Fe、Co、Vのうちから選
ばれた少なくとも1種で0<x<30で表される反強磁
性体膜と、この反強磁性体膜と積層形成された強磁性体
膜とを備えることを特徴とする交換結合膜、さらにはこ
れら交換結合膜と前記交換結合膜のうち少なくとも強磁
性体膜に電流を通電するための電極とが基板上に形成さ
れた磁気抵抗効果素子を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の第1の交換結合膜は、N100- zMnz反強
磁性体膜と、前記反強磁性体膜と積層形成された強磁性
体膜とを備えることを特徴とする。ここで、NがCu、
Ru、Rh、Re、Ag、Au、Os、Irの内から選
ばれた少なくとも1種の金属である場合、zは24≦z
≦75の範囲である。なお、数値は原子%を表す。z<
24ではネール温度が室温以下となるため、交換結合が
得られなくなる。一方、z>75ではMn量が多くなり
耐蝕性が劣化してしまうため好ましくない。より好まし
くは40<z≦70である。これらの金属は、反強磁性
体膜のネール温度を好ましい範囲にまで低下させる点で
特に好ましい成分である。
【0011】また、NがPd、Ptのうちから選ばれた
少なくとも1種である場合には、zは24≦z<35ま
たは40<z≦75の範囲である。すなわち、z<24
ではネール温度が室温以下となるため交換結合が得られ
なくなり、z>75ではMn量が多くなり耐食性が低下
する。さらにこの場合、35≦z≦40ではN100-z
z(NがPd、Ptのうちから選ばれた少なくとも1
種)の結晶構造が歪んだ面心立方構造となり、成膜時に
膜に大きな歪が加わり、反強磁性体膜と強磁性体膜との
間で膜の剥離が発生するため好ましくない、より好まし
くは40<z≦75の範囲である。これらの金属は、反
強磁性体膜と強磁性体膜との格子整合性の点で特に好ま
しい成分である。
【0012】さらに本発明において、Nの一部をFe、
Co、Niの少なくとも1種(N´)で置換してもよ
い。置換量はN100-yN´yで表した場合、0<y<30
であることが好ましい。より好ましくは1≦y≦10で
ある。なお、数値は原子%を表す。このようにFe、C
o、Niの少なくとも1種でNの一部を置換することに
より、反強磁性体膜中に、たとえばNi50Pt50、Fe
25Pt75、Fe50Rh50などのNN´反強磁性相、Ni
50Mn50、Fe50Mn50、Co50Mn50などのMnN´
反強磁性相、Ni75Pt25、Co50Pt50、Fe50Pd
50などのNN´強磁性相が形成され、これらの相とNM
n反強磁性相との磁気的な相互作用によりネール温度を
制御することができる。なお本発明では、同様に、Nの
一部を希土類金属やAs、B、Sn、Sb、グラファイ
ト等の半金属で置換することも可能である。
【0013】また、Mnの一部を同様の遷移金属、希土
類金属や半金属の少なくとも1種(M’)で置換しても
良い。置換量は上述のNの置換と同様に30原子%程度
まで許容される。この場合も、反強磁性体膜中にNM’
の強磁性相や非磁性相、MnM’の反強磁性相、強磁性
相、常磁性相や非磁性相が形成され、これらの相とNM
nの反強磁性相との相互作用によりネール温度を制御す
ることができる。なお本発明の交換結合膜では、反強磁
性体膜のネール温度が100〜500℃、さらには25
0〜400℃の範囲内に設定されることが好ましい。
【0014】本発明において、N100-zMnz反強磁性体
膜の結晶構造を正方晶系に規定した理由は、正方晶系と
することにより面内方向にスピンを揃えることができ、
強磁性体膜との良好な交換結合力が得られるためであ
る。このとき配向方位は特に規定されない。
【0015】次に本発明の第2の交換結合膜は、Cr
100-xx反強磁性体膜と、前記反強磁性体膜と積層形成
された強磁性体膜とを備えることを特徴とする。このCr
を主体とした反強磁性体膜を備える交換結合膜では、N
100-zMnz系の反強磁性体膜を備える交換結合膜に比較
して耐食性および反強磁性体膜と強磁性体膜との格子整
合性を大幅に向上させることができる。ここで、Mは周
期律表3b族元素、Cu、Ru、Rh、Re、Pt、P
d、Ag、Au、Os、Ir、Mn、Fe、Co、Vの
うちから選ばれた少なくとも1種であり、xは0<x<
30の範囲である。なお、数値は原子%を表す。x=0
ではネール温度が室温近傍(311K)となるために交
換結合力が得られなくなる。またxが30以上では、M
がCu、Ru、Rh、Re、Pt、Pd、Ag、Au、
Os、Ir、Mn、Fe、Co、Vの場合、ネール温度
が室温以下となり室温で交換結合力が得られなくなり、
Mが周期律表3b族元素の場合、逆にネール温度が80
0Kを越えてしまい反強磁性体膜への一軸異方性の付与
が困難となるため、やはり十分に大きな交換結合力が得
られなくなる。十分に大きな交換結合力を得るための、
より好ましいxの範囲は1≦x≦10である。
【0016】第2の交換結合膜において、上述したよう
にMは周期律表3b族元素のうちから選ばれた少なくと
も1種、Cu、Ru、Rh、Re、Pt、Pd、Ag、
Au、Os、Irのうちから選ばれた少なくとも1種の
貴金属元素、またはMn、Fe、Co、Vのうちから選
ばれた少なくとも1種の遷移金属元素であるが、これら
の中でも周期律表3b族元素であるAl、Ga、Inの
うちから選ばれた少なくとも1種が室温で十分な交換結
合力を得るために特に好ましい。しかもAl、Ga、I
nは、少量で反強磁性体膜のネール温度を好ましい範囲
に制御できるので、純Crが本来有する強磁性体膜との
良好な格子整合性をさほど損なうことなく、交換結合力
の十分大きな交換結合膜を作製することが可能である。
なお、本発明の第2の交換結合膜では、反強磁性体膜の
結晶構造は立方晶系、正方晶系など特に限定されない。
【0017】一方、本発明の交換結合膜において、強磁
性体膜とは強磁性を発現する膜であり、特に限定されな
いが、磁気抵抗効果素子に用いる場合、飽和磁界の小さ
いパーマロイ等の磁気抵抗効果膜や、巨大磁気抵抗効果
を示すたとえばFe、Ni、Coの強磁性金属、これら
の合金であるFeNi、FeCo、FeCoNiならび
にこれらの強磁性金属合金に磁気特性の向上を目的とし
て第3元素や第4元素を添加した合金と非磁性金属、合
金からなる人工格子膜やスピンバルブ膜、グラニュラー
磁性合金膜等が挙げられる。また、このような強磁性体
膜と反強磁性体膜は少なくとも一部が積層形成されて、
交換結合していれば良い。
【0018】なお本発明の交換結合膜では、反強磁性体
膜の膜厚は、反強磁性を発現する範囲であれば特に限定
されない。しかし、大きな交換結合力を得るためには、
反強磁性体膜の膜厚が強磁性体膜の膜厚よりも厚いこと
が望ましい。
【0019】また本発明の第1および第2の交換結合膜
においては、反強磁性体膜と強磁性体膜との界面にγ−
Mn合金、Co−Cr合金、Cu、Ru、Rh、Re、
Pt、Pd、Ag、Au、Os、Irのうちから選ばれ
た少なくとも1種からなる中間層を5nm以下の厚さに
形成してもよい。すなわちこのような中間層を形成する
ことで、反強磁性体膜と強磁性体膜との交換結合力の大
きさを制御することができ、さらに中間層上に反強磁性
体膜を形成する場合は、反強磁性体膜の結晶性の向上も
期待できる。しかしながら中間層の厚さが5nmを越え
ると、中間層が非磁性相の場合には、反強磁性体膜と強
磁性体膜との交換結合力が弱くなる。
【0020】本発明の交換結合膜は、蒸着法、スパッタ
法、MBE法など公知の成膜方法を用いてたとえば基板
上に形成される。このとき反強磁性体膜に一軸磁気異方
性を付与するために、磁界中で成膜、熱処理を行っても
よい。また基板としてはガラス、樹脂などの非晶質基板
や、Si、MgO、各種フェライトなどの単結晶基板、
配向基板、焼結基板など特に限定されず、さらに反強磁
性体膜や強磁性体膜の結晶性を向上させるために、基板
上に1〜100nmの厚さの下地層を設けてもよい。下
地層は結晶性を向上させるものであれば特に限定されな
いが、たとえばPdやPtなど貴金属やCoZrNb等
の非晶質金属を用いることができる。このとき下地層
は、強磁性体膜や反強磁性体膜に対する磁気的な影響が
小さい方が好ましいが、必ずしも非磁性体である必要は
ない。
【0021】さらにこのような本発明の交換結合膜に対
し、少なくとも強磁性体膜に電流を通電するための電極
をたとえばCu、Ag、Au、Alやこれらの合金で形
成すれば、本発明の磁気抵抗効果素子を容易に得ること
ができる。ここで電極は強磁性体膜に直接接触する形態
でも、反強磁性体膜等を介する形態でも良い。
【0022】このように本発明の交換結合膜は、磁界検
出用センサー、再生用磁気ヘッドなどの磁気抵抗効果素
子を用いた種々のデバイスに応用できる。
【0023】なお、本発明の磁気抵抗効果素子におい
て、反強磁性体膜と強磁性体膜との交換結合力は強磁性
体膜におけるバルクハウゼンノイズ除去に限らず、人工
格子膜やスピンバルブ膜に対する磁化固着などに供され
てもよい。
【0024】
【実施例】次に本発明を実施例を用いて説明する。 実施例1 RFマグネトロンスパッタ装置を用いて反強磁性体膜と
強磁性体膜とからなる本発明の交換結合膜を作製した。
膜の断面図を図1に示す。具体的にはガラス基板1上
に、組成がNi80Fe20(80原子%Ni−20原子%
Fe)で表される強磁性体膜2を30nmの厚さに、組
成がPd100-zMnz(z=20、24、41、50、7
5、80)で表される反強磁性体膜3を30nmの厚さ
にそれぞれ磁界中で成膜した。このとき基板の加熱は特
に行わなかった。得られた反強磁性体膜についてX線回
折で結晶構造とその配向方位を調べたところ、結晶構造
が正方晶で(101)配向していることが確認された。
【0025】ここで、反強磁性体膜の組成がPd50Mn
50の場合における磁化容易軸方向a(成膜時の磁界方
向)と磁化困難軸方向bの磁化曲線を図2に示す。この
とき、磁化0における両者の磁界の大きさの差cが交換
バイアス磁界(Hua)となる。さらにMn量zと交換
バイアス磁界の関係を図3に示す。この図から24≦z
≦75の範囲で交換バイアス磁界が1600(A/m)
以上と従来のγ−FeMn反強磁性体膜と比較して遜色
ない値が得られることがわかる。一方、zがこの範囲か
ら外れると交換バイアス磁界の値は著しく低下すること
が確認された。なお、35≦z≦40の範囲は優れた交
換バイアス磁界を示したが、反強磁性体膜と強磁性体膜
との膜剥離がみられた。
【0026】また、これと反強磁性体膜、強磁性体膜の
組成が異なる本発明の交換結合膜を、反強磁性体膜の膜
厚を40nm、強磁性体膜の膜厚を10nmとして作製
したときの交換バイアス磁界を表1に示す。表1より明
らかなように、反強磁性体膜や強磁性体膜の組成を変え
ても、十分に大きな交換バイアス磁界の値が得られた。
なお、表1中には反強磁性体膜のネール温度TNを併せ
て示したが、N100-zMnz反強磁性体膜のNがRh、R
uの場合はNがPd、Ptの場合よりも、ネール温度T
Nが好ましい値にまで低下していることがわかる。
【0027】
【表1】
【0028】実施例2 実施例1と同様の方法で、強磁性体膜としてNi80Fe
20(80原子%Ni−20原子%Fe)を、反強磁性体
膜としてNの一部をFe、Ni、Coの少なくとも1種
で置換した(Pd100-yN´y58Mn42(N´はFe、
Ni、Coの少なくとも1種、0<y<30)をそれぞ
れ30nmの厚さにガラス基板上に成膜して本発明の交
換結合膜を作製し、その交換バイアス磁界を測定した。
いずれの場合も500(A/m)以上の交換バイアス磁
界が確認された。
【0029】また、磁化率の温度変化より反強磁性体膜
のネール温度を測定した。その1例として、(Pd80
2058Mn42とPd58Mn42の磁化率と温度の関係を
図4に示す。ここで磁化率のピークとなっている温度T
Nがネール温度である。同様にして各組成におけるネー
ル温度を測定した結果を図5に示す。この図よりPdの
一部をFe、Ni、Coの少なくとも1種で置換するこ
とによりネール温度が低下していた。たとえば、N´を
Ni、yを10としたときのネール温度は440℃で、
yが0のときの560℃と比較して100℃以上低下さ
せることができる。このようなネール温度の低下効果
は、図5に示される通りFeが一番大きく、ついでC
o、Niとなっている。さらに、Mnの一部をFe、C
o、Ni等の遷移金属、La、Sm等Yを含む希土類金
属、As、B、Sn、Sb、グラファイト等半金属と置
換したときや、貴金属NとMnのそれぞれ一部を上述の
元素を置換したものについても同様にネール温度低下の
効果が得られた。また、相対湿度が90%、温度が90
℃の大気中に48時間放置した後の交換バイアス磁界は
初期値の90%以上の値を示した。
【0030】実施例3 実施例1と同様の方法で、強磁性体膜としてNi80Fe
20を、反強磁性体膜としてPt58Mn42をそれぞれ30
nm、MgO(100)、(110)、(111)、サ
ファイヤC面、ガラスの各基板上に成膜して本発明の交
換結合膜を作製し、その交換バイアス磁界を測定した。
比較例として反強磁性体膜にγ−FeMnを用いたもの
についても同様に測定した。
【0031】その結果交換バイアス磁界は、反強磁性体
膜をPt58Mn42としたとき、基板によらず測定された
が、γ−FeMnとしたときにはMgO(111)、サ
ファイヤC面、ガラスのときにのみ確認されたに過ぎな
かった。これは本発明のPt 58Mn42が正方晶であるこ
とによるものである。すなわちγ−FeMnの場合には
面心立方の(111)に優先配向したときのみに十分な
交換結合力が得られるが、本発明のN100-zMnzは、特
に配向方位を規定する必要がないことがわかる。また、
γ−PtMnについても同様の評価を行ったところ、γ
−FeMnと同様に特定面においてしか交換バイアス磁
界は確認されなかった。また、その値も、約100(A
/m)程度と交換結合膜に用いる上で十分とはいえなか
った。
【0032】実施例4 実施例1と同様の方法で、強磁性体膜として膜厚10n
mのCo85Fe8Pd7(85原子%Co−8原子%Fe
−7原子%Pd)を、反強磁性体膜として膜厚40nm
のCr100-xAlx(x=0、2、5、10、18、2
5、35)を成膜して本発明の交換結合膜を作製した。
このときのAl量xと交換バイアス磁界の関係を図6に
示す。
【0033】この図から、Al量xが0<x<30の範
囲で従来のγ−FeMn反強磁性体膜と比較して遜色な
い交換バイアス磁界の値を示し、特に1≦x≦10の範
囲で交換バイアス磁界2000(A/m)以上の極めて
大きな交換結合力が得られることがわかる。一方、xが
この範囲から外れると160(A/m)以上の交換バイ
アス磁界は確認できなかった。さらにAlをGa、I
n、Reに置き換えた場合についても同様の方法で交換
バイアス磁界の大きさを調べたが、いずれの場合も0<
x<30の範囲でAlの場合と同様に良好な交換バイア
ス磁界が確認された。
【0034】実施例5 実施例1と同様の方法で、強磁性体膜として膜厚10n
mのCo89Fe9Pd2(89原子%Co−9原子%Fe
−2原子%Pd)を、反強磁性体膜として膜厚40nm
のCr100-xx(x=0、1、5、10、18、25、
40)を成膜して本発明の交換結合膜を作製した。V量
xと交換バイアス磁界の関係を図7に示す。
【0035】この図から、V量xが0<x<30の範囲
で従来のγ−FeMn反強磁性体膜と比較して遜色ない
交換バイアス磁界の値を示し、特に1≦x≦10の範囲
で交換バイアス磁界1600(A/m)以上の極めて大
きな交換結合力が得られることがわかる。一方、xがこ
の範囲から外れると160(A/m)以上の交換バイア
ス磁界は確認できなかった。さらにVをFe、Co、A
u、Rh、Mnに置き換えた場合についても本実施例と
同様の方法で交換バイアス磁界の大きさを調べたが、い
ずれの場合も0<x<30の範囲でVの場合と同様に良
好な交換バイアス磁界が確認された。
【0036】実施例6 実施例1と同様の方法で、強磁性体膜として膜厚10n
mのCo85Fe8Pd7(85原子%Co−8原子%Fe
−7原子%Pd)を、反強磁性体膜として膜厚30nm
のCr98Al2を成膜して本発明の交換結合膜を作製す
る際、その界面に膜厚が10nmまでのCo−Cr合金
を中間層として形成し、交換バイアス磁界の大きさを調
べた。その結果をCo−Cr合金膜厚と交換バイアス磁
界の関係として図8に示す。
【0037】図示されるように、膜厚5nmのCo−C
r合金膜を中間層として形成すると、中間層がない場合
の2400(A/m)(=30(Oe))に比較して、
交換バイアス磁界が向上する。一方、中間層の膜厚が5
nmを越えると交換バイアス磁界は減少し、10nmで
1600(A/m)(=20(Oe))となる。このこ
とから、5nm以下の中間層を形成することで、交換バ
イアス磁界が改善される。さらに、同一の方法でγ−M
n合金、Cu、Ru、Rh、Re、Pt、Pd、Ag、
Au、Os、Irのうちから選ばれた少なくとも1種か
らなる中間層を5nm以下の厚さに形成した結果につい
ても調べたが、いずれも同様な効果が得られた。
【0038】実施例7 実施例1で十分な交換バイアス磁界が得られたPd50
50の反強磁性体膜と強磁性体膜との交換結合膜を用い
て本発明の磁気抵抗効果素子を作製した。その磁気抵抗
効果素子の断面図を図9に示す。具体的に、ガラス基板
4には#7059ガラス(コーニングジャパン社)、強
磁性体膜5には膜厚が20nmのNi80Fe20(80原
子%Ni−20原子%Fe)と膜厚が10nmのCo90
Fe10(90原子%Co−10原子%Fe)の2種類、
電極6には膜厚が20μmのCuをそれぞれ用いた。な
お反強磁性体膜7と反強磁性体膜8との間隔は0.1m
mとした。また強磁性体膜5と反強磁性体膜7、8につ
いては、磁界中で成膜を行い、膜に一軸異方性を付与し
強磁性体膜5の単磁区化をはかった後、通常の半導体プ
ロセスを用いて素子の加工を行ない、磁気抵抗効果素子
を得た。
【0039】得られた磁気抵抗効果素子に外部から磁界
を印加して、その磁界応答特性を調べたところ、Tiな
どの保護膜が形成されたγ−FeMn反強磁性体膜を用
いた以外は全く同様の磁気抵抗効果素子と同程度の安定
した出力が得られ、なおかつ磁壁移動に伴うバルクハウ
ゼンノンズの発生もみられなかった。
【0040】実施例8 実施例1と同様の方法で、強磁性体膜として膜厚10n
mのNi80Fe20(80原子%Ni−20原子%Fe)
を、反強磁性体膜として膜厚40nmのPd50Mn50
Pd67Mn33、Pt50Mn50、Cr95Al5、Cr90
10、Cr98Mn2を成膜して交換結合膜をそれぞれ作
製した。また比較例として反強磁性体膜にPt17
83、Pd20Mn80、Cr50Mn50、Pd23Mn77を、
および従来のγ−FeMnを用いて上述と同一の交換結
合膜をそれぞれ作製した。
【0041】得られた交換結合膜を相対湿度が90%、
温度が90℃の大気中に放置して48時間後の腐食ピッ
ト発生状況を調べた。その結果を図10に示す。図10
より本発明による交換結合膜は、腐食ピット発生確率が
大幅に小さく腐食ピットの発生がほとんど見られず、耐
食性に優れていた。また、放置後の交換バイアス磁界を
測定したところ初期値に対して、比較例はPt17
83、Pd20Mn80、Cr 50Mn50、Pd23Mn77で5
0%、従来のγ−FeMnを用いた例は10%であった
が、実施例8のそれぞれの交換結合膜は90%以上の交
換バイアス磁界を示した。
【0042】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の交換結合膜
は、良好な交換結合力を有し、かつ耐食性、熱安定性に
も優れ、さらにこのような交換結合膜を具備してなる本
発明の磁気抵抗効果素子においては、安定した出力を長
期間に亘って得ることができ、その工業的価値は大なる
ものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の交換結合膜を示す断面図である。
【図2】実施例1における磁化曲線を示す図である。
【図3】実施例1における組成と交換バイアス磁界の関
係を示す図である。
【図4】実施例2における磁化率と温度変化の関係を示
す図である。
【図5】実施例2における組成とネール温度の関係を示
す図である。
【図6】実施例4における組成と交換バイアス磁界の関
係を示す図である。
【図7】実施例5における組成と交換バイアス磁界の関
係を示す図である。
【図8】Co−Cr合金膜厚と交換バイアス磁界の関係
を示す図である。
【図9】本発明の磁気抵抗効果素子の断面を示す断面図
である。
【図10】交換結合膜における腐食ピット発生状況を示
す図である。
【符号の説明】
1、4…ガラス基板 2、5…強磁性体膜 3、7、8…反強磁性体膜 6…電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩崎 仁志 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 佐橋 政司 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 澤邊 厚仁 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 Fターム(参考) 2G017 AD55 AD62 AD65 5D034 BA03 BA12 CA04 CA08 DA07 5E049 AA01 AA04 AA09 AC05 BA12 DB04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成がPt100-zMnz(ここで、zは、
    40<z≦75)で表され、かつ結晶構造が正方晶系で
    ある反強磁性膜と、前記反強磁性膜と積層形成されたF
    eCo合金からなる強磁性膜とを備えることを特徴とす
    る交換結合膜。
  2. 【請求項2】 Mnの一部が、遷移金属、希土類金属お
    よび半金属からなる群の中から選ばれる少なくとも1種
    の元素により置換されていることを特徴とする請求項1
    に記載の交換結合膜。
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