JPH08315326A - 磁気抵抗効果ヘッド - Google Patents
磁気抵抗効果ヘッドInfo
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- JPH08315326A JPH08315326A JP5522496A JP5522496A JPH08315326A JP H08315326 A JPH08315326 A JP H08315326A JP 5522496 A JP5522496 A JP 5522496A JP 5522496 A JP5522496 A JP 5522496A JP H08315326 A JPH08315326 A JP H08315326A
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Abstract
せると共に、fcc(111)配向性を高めることで、磁気抵抗
変化率等の特性の向上を図った磁気抵抗効果ヘッドを提
供する。 【解決手段】 非磁性中間層を介して配置された少なく
とも一対の強磁性層を有する巨大磁気抵抗効果膜や異方
性磁気抵抗効果膜の下地として、結晶性軟磁性膜を用い
た磁気抵抗効果ヘッドである。結晶性軟磁性膜は、Ni、
FeおよびCoから選ばれた少なくとも 1種を主成分とし、
Nb、Mo、 V、 W、Ti、Zr、HfおよびTaから選ばれた少な
くとも 1種と、Cr、Rh、Os、Re、Si、Al、Be、Gaおよび
Geから選ばれた少なくとも 1種とが同時に添加された膜
からなる。
Description
等に用いられる磁気抵抗効果ヘッドに関する。
の読み出しは、コイルを有する再生用磁気ヘッドを記録
媒体に対して相対的に移動させ、そのときに発生する電
磁誘導でコイルに誘起される電圧を検出する方法によっ
て行われている。また、情報を読み出す場合に、磁気抵
抗効果ヘッド(以下、MRヘッドと記す)を用いること
も知られている。
の電気抵抗が外部磁場の強さに応じて変化するという現
象を利用したものであり、磁気記録媒体用の高感度ヘッ
ドとして知られている。近年、磁気記録媒体の小型・大
容量化が進められ、情報の読み出し時の再生用磁気ヘッ
ドと磁気記録媒体との相対速度が小さくなってきてい
る。このため、小さい相対速度であっても、大きな出力
がとり出せるMRヘッドへの期待が高まっている。
流の方向と強磁性層の磁化との成す角度に依存して電気
抵抗が変化する異方性磁気抵抗効果(以下、AMRと記
す)を示す Ni-Fe系合金いわゆるパーマロイ合金膜等を
用いたAMRヘッドと、強磁性層と非磁性中間層との積
層構造を有し、巨大磁気抵抗効果(以下、GMRと記
す)を示すスピンバルブ膜や人工格子膜を用いたGMR
ヘッドが知られている。AMRヘッドは、入力電流(セ
ンス電流)と磁化Mとが平行のときの抵抗率ρ〈平行〉
と、垂直のときの抵抗率ρ〈垂直〉とが大きく異なるこ
とに基くものであり、一般にρ〈平行〉>>ρ〈垂直〉
である。電流iと磁化Mとの成す角をθとすると、AM
R膜の抵抗ρは、 ρ=ρ〈平行〉 cos2 θ+ρ〈垂直〉 sin2 θ と表すことができ、図5に示すように抵抗ρが変化す
る。従って、AMRヘッドを再生ヘッドとして用いる場
合には、θを45度付近まで傾けることによって最大の磁
気抵抗変化率を得ることができる。
えば図7に示す構造が知られている(信学技法MR87-3(1
987)など)。図示される通り、AMR膜1は非磁性膜2
を介して軟磁性バイアス膜3上に形成されており、AM
R膜1の両端部上には反強磁性バイアス膜4、4とセン
ス電流を供給する端子5、5が積層形成されている。こ
のようなAMRヘッドにセンス電流を流すことによっ
て、その電流がつくる磁場が軟磁性バイアス膜3にかか
る。これにより、軟磁性バイアス膜3は磁化され、その
磁化がつくる磁場によってAMR膜1の磁化を回転させ
ることができる。このようなAMRヘッドは、良好な軟
磁気特性を示すものでも、磁気抵抗変化率が3%程度であ
り、高記録密度化に伴う磁気記録媒体からの信号磁界の
低下に対応できないおそれが生じている。
性層6/非磁性中間層7/強磁性層8のサンドイッチ構
造膜等のGMR膜9を用いたGMRヘッドが注目されて
いる。GMRヘッドの磁気抵抗変化率は、常温で 10%を
超えるものが報告されている(日本応用磁気学会誌17,9
1(1993)等参照)。
り、強磁性層6、8に含まれる磁化が互いに平行のとき
に抵抗が低く、反平行のときに抵抗が高くなる。図8の
構造の場合、上側の強磁性層8の磁化は反強磁性交換バ
イアス膜10により固着されており、下側の強磁性層6
は磁化が自由に動くように構成されている。そして、こ
の強磁性層6に接して軟磁性下地膜11を配置すること
によって、入力磁束をGMR膜9に確実に引き込むこと
ができる。さらに、この軟磁性下地膜11と強磁性層6
とは強磁性カップリングしていることから、軟磁性下地
膜11の磁化回転に伴って強磁性層6の磁化が回転す
る。なお、軟磁性下地膜11の両端下部には、強磁性バ
イアス膜12、12がそれぞれ設けられている。
ドのいずれにおいても、信号磁界による抵抗変化を取出
すことで記録の読み出しを行うため、センス電流を入力
して抵抗変化を電圧の変化として取出すことになる。こ
こで、上述した軟磁性バイアス膜3および軟磁性下地膜
11は、AMR膜1やGMR膜9と間接的または直接接
して配置されているため、これら軟磁性膜3、11にも
センス電流が流れることになる。この軟磁性膜3、11
に流れ込む電流の量、いわゆるシャント電流の量は無視
できず、それがないときに比べて抵抗変化が小さくなっ
てしまう。仮に、軟磁性膜3、11の抵抗がAMR膜1
やGMR膜9の抵抗と同じであるとすると、磁気抵抗変
化率が半分になってしまう。このようなことから、軟磁
性膜3、11には抵抗が大きいことが望まれている。
磁性膜3、11はAMR膜1やGMR膜9の下側に形成
される場合が多く、このような配置では軟磁性膜3、1
1がAMR膜1やGMR膜9の配向性に影響を与えるこ
とになる。ここで一般には、軟磁性膜3、11にAMR
膜1やGMR膜9のfcc(111)配向性を高める働きを持た
せることによって、素子特性を向上させることが可能と
なる。
ロイ膜を用いて、GMR膜9のfcc(111) 配向性を向上
させることが試みられている。しかし、十分な磁気抵抗
変化率は得られていないことから、パーマロイ膜による
fcc(111)配向性はまだ不十分であることが分かる。
ために、例えばNiFeを主成分とし、これに添加元素を加
える方法が考えられる。実際に、Nb、Zr等を添加するこ
とにより、抵抗を増大させることが報告されている(J.
Appl.Phys.69,5631(1991))が、もう 1つ重要な特性であ
るfcc(111)配向性についてはさほど改善されず、それど
ころか添加量をある程度以上増やすことで逆に低下して
しまい、飽和磁化も下がってしまう。
はAMR膜やGMR膜の下地となる軟磁性膜の高抵抗化
についての提案はなされているものの、AMR膜やGM
R膜の配向性の向上については十分には検討されておら
ず、高抵抗化とfcc(111)配向性の向上を共に満足させ得
る軟磁性膜は得られていない。
になされたもので、MR膜の下地となる軟磁性膜の抵抗
を増大させると共に、fcc(111)配向性を高めることで、
磁気抵抗変化率等の特性の向上を図った磁気抵抗効果ヘ
ッドを提供することを目的とする。
気抵抗効果ヘッドは、非磁性中間層を介して配置された
少なくとも一対の強磁性層を有する巨大磁気抵抗効果膜
と、前記一対の強磁性層の下地としていずれか一方に接
して設けられた結晶性軟磁性膜とを有する磁気抵抗効果
ヘッドにおいて、前記結晶性軟磁性膜は、Ni、Feおよび
Coから選ばれた少なくとも 1種を主成分とし、Nb、Mo、
V、 W、Ti、Zr、HfおよびTaから選ばれた少なくとも 1
種と、Cr、Rh、Os、Re、Si、Al、Be、GaおよびGeから選
ばれた少なくとも 1種とが同時に添加されていることを
特徴としている。
は、異方性磁気抵抗効果膜と、前記異方性磁気抵抗効果
膜の下地として直接接してまたは非磁性膜を介して設け
られた結晶性軟磁性膜とを有する磁気抵抗効果ヘッドに
おいて、前記結晶性軟磁性膜は、Ni、FeおよびCoから選
ばれた少なくとも 1種を主成分とし、Nb、Mo、 V、 W、
Ti、Zr、HfおよびTaから選ばれた少なくとも 1種と、C
r、Rh、Os、Re、Si、Al、Be、GaおよびGeから選ばれた
少なくとも 1種とが同時に添加されていることを特徴と
している。
1および第2の強磁性層と、前記第1および第2の強磁
性層の間に配置された非磁性層からなる積層膜と、前記
第1および第2の強磁性層のうち少なくとも1層と接し
て前記積層膜上に配置されたNiFe合金からなる磁性膜と
からなる磁気抵抗効果デバイスにおいて、前記第1およ
び第2の強磁性層のうち1層はCoまたはCo合金からな
り、また前記NiFe合金は、Nb、Mo、 V、 W、Ti、Zr、Hf
およびTaから選ばれた少なくとも1種と、Cr、Rh、Os、R
e、Si、Al、Be、GaおよびGeから選ばれた少なくとも 1
種とが同時に添加されていることを特徴としている。
る。
としてNi、FeおよびCoから選ばれた少なくとも 1種の元
素を用い、この主成分の抵抗と軟磁気特性を向上させる
ために、結晶粒界を形成する M元素を添加している。こ
の主成分としては、NiFe合金が好ましく、特に一般式、
Ni100-b Feb で表される組成を有する合金がより好まし
い。ここで bはat%で、0 < b ≦ 50 、より好ましくは
10 < b≦ 40 を満足する数値である。
i、Zr、HfおよびTaから選ばれる少なくとも 1種の元素
を挙げることができる。ただし、 M元素の添加量を多く
していくと抵抗は増大するものの、粒界が細かくなり、
最終的にはアモルファスに近くなる。このため、配向性
を保つという観点からは M元素をあまり多く添加するこ
とができず、 M元素のみの添加だけでは求める特性を得
ることはできない。
してfcc(111)配向性を高め、かつフェルミ面近傍の電子
散乱に寄与するという、粒界形成とは異なる M′元素を
本発明においてはさらに加える。これにより、結晶性軟
磁性膜の例えば 100μΩcmを超える高抵抗化を図りなが
ら、高透磁率の優れた軟磁気特性と良好なfcc(111)配向
性を得ることが可能となる。このような M′元素として
は、Cr、Rh、Os、Re、Si、Al、Be、GaおよびGeから選ば
れる少なくとも 1種の元素を挙げることができる。ただ
し、このような M′元素のみの添加では、結晶性軟磁性
膜の十分な高抵抗化を達成することができない。
も過剰に添加し過ぎるとfcc(111)配向性や軟磁気特性が
低下するため、 M元素および M′元素のいずれの添加量
も20at%以下とすることが好ましく、また0.1at%未満で
はそれらの添加効果を十分に得ることができない。従っ
て、本発明で用いる結晶性軟磁性膜は、 一般式: T1-(x+y) Mx M′y (式中、 TはNi、FeおよびCoから選ばれた少なくとも 1
種の元素を、 MはNb、Mo、 V、 W、Ti、Zr、HfおよびTa
から選ばれた少なくとも 1種の元素を、 M′はCr、Rh、
Os、Re、Si、Al、Be、GaおよびGeから選ばれた少なくと
も 1種の元素を、xおよび yは 0.001≦ x≦ 0.200、 0.
001≦ y≦ 0.200を満足する数を示す)で実質的に表さ
れる組成を有することが好ましい。
1〜 100nm程度とすることが好ましい。結晶性軟磁性膜
の膜厚が 1nm未満であるとその結晶性が損われて配向性
が低下しやすく、一方 100nmを超えると高抵抗の結晶性
軟磁性膜であっても、それに流れ込むシャント電流の量
が増大して、磁気抵抗効果ヘッドの抵抗変化が小さくな
ってしまうおそれがある。なお本発明においては、この
結晶性軟磁性膜は、保磁力800A/m未満、より好ましくは
80A/m以下程度の軟磁気特性を有するものであればよ
く、また結晶性についてはX線回折により容易に確認で
きる。
の下地にTi、Ta、Zr、Cr、NbおよびHfから選ばれた少な
くとも 1種を主成分とする非磁性金属膜を設け、結晶性
軟磁性膜の結晶性を高めることも有効である。このよう
な下地の非磁性金属膜を結晶性軟磁性膜に接して設ける
ことで、結晶性軟磁性膜の成長が促進されて、その膜厚
が 1nm前後と薄い場合でも結晶化させることが容易とな
り、ひいてはfcc(111)配向性が向上する。ここで、上述
した非磁性金属膜の膜厚は 1〜 100nm程度とすることが
好ましい。非磁性金属膜の膜厚が 1nm未満であると、結
晶性軟磁性膜の結晶性を十分に高めることが困難とな
り、一方 100nmを超えるとそれに流れ込むシャント電流
の量が増大し、磁気抵抗効果ヘッドの抵抗変化が小さく
なってしまうおそれがある。
述したような結晶性軟磁性膜上に、非磁性中間層を介し
て配置された少なくとも一対の強磁性層を有する巨大磁
気抵抗効果膜(GMR膜)を、一方の強磁性層が上記結
晶性軟磁性膜と接するように形成したものである。
ては、Co、 CoFe 、CoNi、NiFe、センダスト、NiFeCo、
Fe8 N 等があげられる。これらの強磁性膜の厚さは、1
〜20nmであることが好ましい。この結晶性軟磁性膜上に
配置された強磁性層は fcc(111) 配向強磁性層である。
また前記強磁性層は、好ましくは、CoまたはCo合金であ
って、このCo合金はさらに好ましくはCoFe合金である。
前記CoFe合金は、一般式、Co100-a Fea で表される合金
で、ここで aはat% で、0 <a ≦50、好ましくは5 ≦a
≦40を満足する数値である。
は、Mn、Fe、Ni、Cu、Al、Pd、Pt、Rh、Ru、Ir、Au、Ag
等の非磁性金属やCuPd、CuPt、CuAu、CuNi等の合金があ
げられる。これらの非磁性膜の厚さは、0.5 〜20nmであ
ることが好ましい。このような構成とすることによっ
て、GMR膜のfcc(111)配向性が高まり、それによって
GMR膜の軟磁気特性や抵抗変化率を高めることができ
る。さらに、結晶性軟磁性膜の抵抗が高いことから、結
晶性軟磁性膜に流れ込む電流の量を大幅に減らすことが
できる。従って、このようなGMR膜を用いて構成した
磁気抵抗効果ヘッドの磁気抵抗変化率を向上させること
ができ、さらに一定の磁界に対して示すMR感度も上げ
ることができる。ここで、上記巨大磁気抵抗効果膜とし
ては、例えばCo/Cu/Co、CoFe/Cu/CoFe、NiFe/Cu/NiFe等
のいわゆるスピンバルブ膜や (Fe/Cr)n 積層膜、 (Co/C
u)n 積層膜等の人工格子膜が用いられる。
は、上述したような結晶性軟磁性膜を例えば軟磁性バイ
アス膜として用い、その上に直接もしくは非磁性膜を介
して異方性磁気抵抗効果を示す強磁性膜(AMR膜)を
形成したものである。このような構成とすることによ
り、AMR膜のfcc(111)配向性が高まり、抵抗変化率を
高めることができる。さらに、軟磁性バイアス膜の抵抗
が高いことから、それに流れ込む電流の量を大幅に減ら
すことができる。従って、GMR膜の場合と同様に、こ
のようなAMR膜を用いて構成した磁気抵抗効果ヘッド
の磁気抵抗変化率を向上させ、さらにMR感度も上げる
ことができる。
パーマロイ合金等の Ni-Fe系合金膜等が用いられる。ま
た、必要に応じてAMR膜と結晶性軟磁性膜の間に形成
される非磁性金属膜として、Ti、Ta、Zr、Pt、Au、Ag、
Cu、Pd等を用いることができ、この非磁性膜の抵抗を考
慮するとTi、Ta、Zrが、配向性の観点からはPt、Au、A
g、Cu、Pdが好ましい。なお、Pt、Au、Ag、Cu、Pdにつ
いては、Ni、Fe、Co、Cr、Mn等を添加して合金化するこ
とで、非磁性膜の高抵抗化を図ってもよい。ここで、こ
の非磁性膜の膜厚は、そこに流れ込むシャント電流の量
を抑える上で 100nm以下とすることが好ましい。
において、本発明の磁気抵抗効果ヘッドは、下地層とし
て前記結晶性軟磁性膜の下地膜としてアモルファス磁性
層を含むことができる。
は、NiFe合金からなる磁性膜は、Coをさらに含むことも
できる。また前記NiFe合金は、一般式: T1-(x+y) Mx
M′yであらわされる組成を有する。式中、 TはNiおよ
びFe、 MはNb、Mo、 V、 W、Ti、Zr、HfおよびTaから選
ばれた少なくとも 1種の元素を、 M′はCr、Rh、Os、R
e、Si、Al、Be、GaおよびGeから選ばれた少なくとも 1
種の元素を、 xおよび yは、それぞれ 0.001≦ x≦ 0.2
00、 0.001≦ y≦ 0.200を満足する数を示す。
実質的に表される組成を有することが好ましい。ここで
bはat% であって、0 < b≦50を満足する数値である。
第1および第2の強磁性層の1層はCoまたはCo合金のfc
c(111)配向膜からなる。このCo合金は、一般式Co100-a
Feaであらわされる組成を有する。ここで aはat% であ
って、5 ≦ a≦40を満足する数値である。
性膜の下地にTi、Ta、Zr、Cr、NbおよびHfから選ばれた
少なくとも 1種を主成分とする非磁性金属膜を設けるこ
ともできる。
磁性層を含むこともできる。
に、NbとCrを添加したNi73.7Fe19.0Nb3.8 Cr3.5 組成の
結晶性軟磁性膜を10nmの膜厚で形成した。次いで、この
結晶性軟磁性膜を軟磁性ヨーク膜として用いて、その上
にCoFePd(4nm)/Cu(2.5nm)/CoFePd(4nm)の積層膜をスピ
ンバルブ膜として形成し、さらにその上に反強磁性交換
バイアス膜として膜厚15nmのFeMn合金膜を形成した。な
お、軟磁性ヨーク膜の両端部下には、強磁性バイアス膜
として膜厚20nmのCoPt膜を予め形成しておいた。そし
て、反強磁性交換バイアス膜上に、センス電流を供給す
るTa/Cu/Taからなる一対の端子を形成して、GMRヘッ
ドを作製した。なお、GMRヘッドの具体的な構造は、
図8に示した従来のGMRヘッドと同一とした。
酸化膜100nm 付きSi基板上に、NiFe(10 nm)/CoFePd(4n
m)/Cu(2.5nm)/CoFePd(4nm)/FeMn(15nm)の積層膜を形成
して、GMRヘッド(比較例1)を作製した このようにして得た実施例1および比較例1のGMRヘ
ッドにおけるfcc(111)配向性を調べた。図1は実施例1
のGMRヘッドにおけるGMR膜のX線回折による (11
1)ピーク付近のプロファイルであり、図2は比較例1の
GMRヘッドにおけるGMR膜の (111)ピーク付近のプ
ロファイルである。
例1のGMRヘッドは、従来のGMRヘッドと比べて10
倍以上の (111)ピーク強度が得られている。なお、肩に
なっているピークは積層構造に基くものであり、また f
cc構造に関わるピークは他に見られないことから、 (11
1)ピーク強度をfcc(111)配向性のパラメータとして用い
ることができる。
GMRヘッドにおいて、比較例1のGMRヘッドで軟磁
性ヨーク膜として用いたNiFeNbCr膜の抵抗は 110μΩcm
であった。これは、比較例1のNiFeパーマロイの抵抗値
が 30 μΩcmであることを考えると、 M元素および M′
元素の両元素が添加されたことによって、高いfcc(111)
配向性を示しながら抵抗値を高くし得ることが分かる。
変化率は、比較例1のGMRヘッドでは2.5%であったの
に対し、実施例1のGMRヘッドでは 10%を超える良好
な値(10.3%)が得られ、MR感度も比較例1の1.0%に対
して2.0%と向上していた。これはGMR膜と積層された
軟磁性膜の高抵抗化およびfcc(111)配向性の向上に起因
するものであり、特にfcc(111)配向性の向上がこれらの
特性を上げているものと考えられる。
異なる 2種類の元素を添加した結晶性軟磁性膜を用いる
ことによって、GMRヘッドの特性の向上がみられ、本
発明の有用性を示している。なお、これらの結果を表1
および表2に示す。
性膜の膜厚と磁気抵抗変化率(GMR変化率)との関係
を図3に示す。図3から、結晶性軟磁性膜の膜厚は 1〜
100nmの範囲とすることが望ましいことが分かる。結晶
性軟磁性膜の膜厚が 1nm未満であると、膜の初期成長段
階であるために結晶化し難く、配向性が悪くなることか
ら、十分な磁気抵抗変化率が得られていない。一方、結
晶性軟磁性膜の膜厚が100nmを超えると、シャント電流
を十分に減少させることができないことから、磁気抵抗
変化率が低下する傾向がある。
な範囲としては、軟磁気特性と磁気モーメントの大きさ
のバランスを考慮するとNiが60at.%から90at.%の範囲、
Feが40at.%から10at.%の範囲が望ましい。
いることもできる。前述のNiFeの組成範囲に対して、Co
を50at.%未満入れることにより軟磁気特性を改良させる
ことができる。しかしこれ以上入れると保磁力Hcが大き
くなりすぎて、軟磁気特性が悪くなってしまう。
Si基板を用いたが、アルチック基板に成膜したアルミナ
膜を用いても同様な効果が確認できた。
ナ膜上に直接結晶性軟磁性膜を成長させた場合について
行ったが、実施例2では、熱酸化膜付きSi基板、ある
いはアルミナ膜による下地の影響を緩和し、スピンバル
ブ膜のfcc(111)配向性を高めるために、結晶性軟磁性膜
の下地膜として、アモルファスの Co 87Zr5.5 Nb7.5 膜
を10nm成膜し、その上にNi73.7Fe19.0Nb3.8 Cr3.5 組成
の結晶性軟磁性膜を5nm の膜厚で成膜した。ついでその
上に実施例1と同様のスピンバルブ膜と反強磁性交換バ
イアス膜を形成した。
けるGMR膜のfcc(111)配向性を調べた。その結果、fc
c(111)ピークを示す強度が実施例1とほぼ等しいことを
確認した。これは結晶性軟磁性膜の膜厚が実施例1の半
分になっているにもかかわらず高いfcc(111)配向をして
いることを示している。
ント電流が流れてしまうが、高いfcc(111)配向が得ら
れ、結果としてGMR変化率が11%、GMR感度が2.2%
/Oeと実施例1より高くなった。また下地膜を用いるこ
とにより結晶性軟磁性膜と併せて高い軟磁性を得ること
ができた。
膜の膜厚と磁気抵抗変化率(GMR変化率)との関係を
図4に示す。図3とは異なり、5nm 付近の膜厚で高い磁
気抵抗変化率が得られ、下地膜は結晶性軟磁性膜の成長
を助けていることが分かる。この結晶性軟磁性膜のfcc
(111)配向性を高める下地膜にはアモルファスのCoZrNb
系、FeTa系また微結晶膜のFeN 系、FeZrN 系などが同様
な効果を示す。
高める下地膜として単層の下地膜を用いたが、その下地
膜の代わりに非磁性の下地膜と磁性下地膜からなる多層
膜も使用することができる。
上にCo87Zr5.5 Nb7.5 膜を5nm 形成した下地の上に、Ni
73.7Fe19.0Nb3.8 Cr3.5 組成の結晶性軟磁性膜を5nm 成
膜し、次いで、その上に実施例1と同様のスピンバルブ
膜と反強磁性交換バイアス膜を形成した。
けるGMR膜のfcc(111)配向性を調べた。その結果、fc
c(111)ピークを示す強度が実施例1とほぼ等しいことが
わかり、前記のような2層の下地膜を用いても高いfcc
(111)配向性を維持することが出来、結果としてGMR
変化率が11%、GMR感度が2.2%/Oeと実施例2とほぼ
同等な値が得られている。さらに本実施例では実施例2
よりもトータルの磁気モーメントが少ない。そのためヘ
ッド化した際に媒体からの磁束密度が増大し、出力向上
が期待できる。
に、Ti,Zr,Cr,Nb およびHfについても同様な効果を確認
することができた。また非磁性下地膜の膜厚は1nm から
10nmの範囲が望ましい。1nm 以下では1 層の膜としての
成膜が難しいことと、10nmを越える膜厚ではシャント電
流も増加する。磁性下地膜も1nm 以下では1 層の膜とし
ての成膜が難しいことと、10nmを越える膜厚ではシャン
ト電流も増加するし、この膜厚以上であれば、非磁性下
地膜は必要としない。
でも用いることができるが、強磁性バイアス膜12と軟
磁性膜11との交換結合が、本非磁性下地膜により切れ
てしまう恐れがある。そのため図9のように非磁性下地
膜13が強磁性バイアス膜12の下地に配置されること
が配置されることが望ましい。
晶性軟磁性膜の添加元素は次に述べる実施例4〜34に
示す元素についても同様な効果が認められた。
に示す各組成の結晶性軟磁性膜に代える以外は、実施例
1と同様にしてGMRヘッドを作製した。また、本発明
との比較例として、NiFe合金からなる主成分に M元素の
みを添加した結晶性軟磁性膜を用いたGMRヘッド(比
較例2〜9)、NiFe合金からなる主成分に M′元素のみ
を添加した結晶性軟磁性膜を用いたGMRヘッド(比較
例10〜13)を、それぞれ実施例1と同様に作製し
た。
ドにおける結晶性軟磁性膜の (111)ピーク強度および抵
抗値を測定すると共に、GMRヘッドのGMR変化率お
よびGMR感度を測定した。それらの値を表1および表
2に併せて示す。
ヘッドにおいては、fcc(111)配向性に優れると共に高抵
抗を示しており、これらによって優れた特性が得られて
いる。これに対して、 M元素のみを添加した結晶性軟磁
性膜では、多少の高抵抗化は図られているものの十分で
はなく、かつfcc(111)配向性を向上させることができな
いことが分かる。また、 M′元素のみを添加した結晶性
軟磁性膜では、fcc(111)配向性は向上しているものの、
やはり十分な高抵抗が得られていないことが分かる。こ
れらによって、各比較例のGMRヘッドでは十分な特性
が得られていない。
加したNi751.Fe18.2Zr1.7 Rh5.0 組成の結晶性軟磁性膜
を30nmの膜厚で形成した。次いで、この結晶性軟磁性膜
を軟磁性バイアス膜として用いて、その上に非磁性膜と
して膜厚40nmのTi膜とAMR膜として膜厚40nmのNiFe合
金膜を形成した。そして、AMR膜上にセンス電流を供
給するためのCuからなる一対の端子を形成することによ
って、AMRヘッドを作製した。なお、AMRヘッドの
具体的な構造は、図5に示した従来のAMRヘッドと同
一とした。
ては、磁気抵抗変化率は3%を超える良好な値(3.4%)を示
した。一方、軟磁性バイアス膜に従来から用いられるCo
Zr系膜を用いた場合の磁気抵抗変化率は1%程度であった
(比較例14)。CoZr系膜の抵抗率は 100μΩcmであ
り、NiFeZrRh軟磁性膜とほとんど変わらないので、磁気
抵抗変化率の違いはAMR膜のfcc(111)配向性の向上が
大きく影響していると考えることができ、本発明の有用
性を示している。なお、結果を表3および表4に示す。
4に示す各組成の結晶性軟磁性膜に代える以外は、実施
例35と同様にしてAMRヘッドを作製した。また、本
発明との比較例として、NiFe合金からなる主成分に M元
素のみを添加した結晶性軟磁性膜を用いたAMRヘッド
(比較例15〜22)、NiFe合金からなる主成分に M′
元素のみを添加した結晶性軟磁性膜を用いたAMRヘッ
ド(比較例23〜26)を、それぞれ実施例35と同様
に作製した。
ドにおける磁気抵抗変化率を測定した。それらの値を表
3および表4に併せて示す。
化率が大きくなっていることが分かる。これは実施例3
5と同様に、結晶性軟磁性膜を用いたことによるAMR
膜のfcc(111)配向性が向上したためと考えることができ
る。
らなる非磁性金属膜を介在させて、Ni73.7Fe19.0Nb3.8
Cr3.5 組成の結晶性軟磁性膜を10nmの膜厚で形成した。
次いで、その上に実施例1と同様のスピンバルブ膜と反
強磁性交換バイアス膜を形成した。
ッドにおけるfcc(111)配向性を調べた。その結果、fcc
(111)強度を示すピークが1200と、下地の非磁性膜を介
在させないときより約 5倍大きくなっていることを確認
した。これはTi膜からなる非磁性金属膜が結晶性軟磁性
膜の成長を助けることにより、10nmという薄い膜厚にお
いて結晶化させることができ、その上のGMR膜の配向
性を高めることができたためである。そのため、GMR
変化率は 12.4%、またGMR感度も2.4%/Oe と実施例
1よりも高くなっている。
性金属膜を形成したときの結晶性軟磁性膜の膜厚と磁気
抵抗変化率(GMR変化率)との関係を図5に示す。図
3と比較すると、特に膜厚が薄いときに高い磁気抵抗変
化率が得られていることが分かる。
でも用いることができるが、強磁性バイアス膜12と軟
磁性膜11との交換結合が、本非磁性下地膜により切れ
てしまう恐れがある。そのため図9のように非磁性下地
膜13が強磁性バイアス膜12の下地に配置されること
が配置されることが望ましい。
6に示す各組成の結晶性軟磁性膜に代える以外は、実施
例68と同様にしてGMRヘッドを作製した。これら各
実施例のGMRヘッドにおける結晶性軟磁性膜の (111)
ピーク強度を測定すると共に、GMRヘッドのGMR変
化率およびGMR感度を測定した。それらの値を表5お
よび表6に併せて示す。
1)ピーク強度が 5倍近く大きくなっていることが分か
る。また、GMR変化率およびGMR感度も向上してい
ることを確認した。
ても、それぞれ結晶性軟磁性膜の下地として形成してG
MRヘッドを作製し、fcc(111)ピーク強度が約 3〜 5倍
程度大きくなることを確認した。
効果ヘッドによれば、高抵抗でかつ配向性の向上を図る
ことが可能な結晶性軟磁性膜を、磁気抵抗効果膜の下地
として配置しているため、磁気抵抗変化率等の特性を向
上させることができる。
プロファイルを示す図である。
す図である。
性軟磁性膜の膜厚と磁気抵抗変化率との関係を示す特性
図である。
晶性軟磁性膜の膜厚と磁気抵抗変化率との関係を示す特
性図である。
ドの結晶性軟磁性膜の膜厚と磁気抵抗変化率との関係を
示す特性図である。
る。
る。
ある。
Claims (8)
- 【請求項1】 非磁性中間層を介して配置された少なく
とも一対の強磁性層を有する巨大磁気抵抗効果膜と、前
記一対の強磁性層の下地としていずれか一方に接して設
けられた結晶性軟磁性膜とを有する磁気抵抗効果ヘッド
において、 前記結晶性軟磁性膜は、Ni、FeおよびCoから選ばれた少
なくとも 1種を主成分とし、Nb、Mo、 V、 W、Ti、Zr、
HfおよびTaから選ばれた少なくとも 1種と、Cr、Rh、O
s、Re、Si、Al、Be、GaおよびGeから選ばれた少なくと
も 1種とが同時に添加されていることを特徴とする磁気
抵抗効果ヘッド。 - 【請求項2】 異方性磁気抵抗効果膜と、前記異方性磁
気抵抗効果膜の下地として直接接してまたは非磁性膜を
介して設けられた結晶性軟磁性膜とを有する磁気抵抗効
果ヘッドにおいて、 前記結晶性軟磁性膜は、Ni、FeおよびCoから選ばれた少
なくとも 1種を主成分とし、Nb、Mo、 V、 W、Ti、Zr、
HfおよびTaから選ばれた少なくとも 1種と、Cr、Rh、O
s、Re、Si、Al、Be、GaおよびGeから選ばれた少なくと
も 1種とが同時に添加されていることを特徴とする磁気
抵抗効果ヘッド。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の磁気抵抗
効果ヘッドにおいて、前記結晶性軟磁性膜は、 一般式: T1-(x+y) Mx M′y (式中、 TはNi、FeおよびCoから選ばれた少なくとも 1
種の元素を、 MはNb、Mo、 V、 W、Ti、Zr、HfおよびTa
から選ばれた少なくとも 1種の元素を、 M′はCr、Rh、
Os、Re、Si、Al、Be、GaおよびGeから選ばれた少なくと
も 1種の元素を、xおよび yは 0.001≦ x≦ 0.200、 0.
001≦ y≦ 0.200を満足する数を示す)で実質的に表さ
れる組成を有することを特徴とする磁気抵抗効果ヘッ
ド。 - 【請求項4】 請求項1、請求項2または請求項3記載
の磁気抵抗効果ヘッドにおいて、 前記結晶性軟磁性膜の膜厚が 1〜 100nmであることを特
徴とする磁気抵抗効果ヘッド。 - 【請求項5】 請求項1、請求項2または請求項3記載
の磁気抵抗効果ヘッドにおいて、 前記結晶性軟磁性膜の下地として、Ti、Ta、Zr、Cr、Nb
およびHfから選ばれた少なくとも 1種を主成分とする非
磁性金属膜が設けられていることを特徴とする磁気抵抗
効果ヘッド。 - 【請求項6】 請求項1、請求項2または請求項3記載
の磁気抵抗効果ヘッドにおいて、 前記結晶性軟磁性膜の下地として、アモルファス磁性層
が設けられていることを特徴とする磁気抵抗効果ヘッ
ド。 - 【請求項7】 請求項1乃至6記載の磁気抵抗効果ヘッ
ドにおいて、 前記結晶性軟磁性膜の主成分はNiFe合金からなることを
特徴とする磁気抵抗効果ヘッド。 - 【請求項8】 第1および第2の強磁性層と、前記第1
および第2の強磁性層の間に配置された非磁性層からな
る積層膜と、前記第1および第2の強磁性層のうち少な
くとも1層と接して前記積層膜上に配置されたNiFe合金
からなる磁性膜とからなる磁気抵抗効果デバイスにおい
て、 前記第1および第2の強磁性層のうち1層はCoまたはCo
合金からなり、また前記NiFe合金は、Nb、Mo、 V、 W、
Ti、Zr、HfおよびTaから選ばれた少なくとも1種と、C
r、Rh、Os、Re、Si、Al、Be、GaおよびGeから選ばれた
少なくとも 1種とが同時に添加されていることを特徴と
する磁気抵抗効果デバイス。
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