JP3393963B2 - 交換結合膜および磁気抵抗効果素子 - Google Patents

交換結合膜および磁気抵抗効果素子

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反強磁性体膜と強
磁性体膜との交換結合を用いた交換結合膜、およびこの
交換結合膜を具備してなる磁界検出用センサや再生用磁
気ヘッド等の磁気抵抗効果素子に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、高密度磁気記録における再生用磁
気ヘッドとして、磁気抵抗効果を用いた磁気ヘッドの研
究が盛んに進められている。磁気抵抗効果素子材料とし
ては以前より80at%Ni20at%Fe(通称;パーマロ
イ)合金薄膜が一般的に用いられているが、近年これに
替わる材料としてたとえば(Co/Cu)のように多
数の磁性層間に非磁性層を設け、磁性層間を磁気的に反
強磁性結合させた結合型の人工格子膜や、一対の磁性層
間に非磁性層を設けた膜において片方の磁性層を反強磁
性体膜やハード膜で磁化固着したスピンバルブ膜などの
研究が盛んに行われしかし、これらの材料を用いた磁気
抵抗効果膜は磁区を持つため、これに起因するバルクハ
ウゼンノイズが実用化の上で大きな問題となっており、
磁気抵抗効果膜を単磁区化する方法が種々検討されてい
る。その一つに強磁性体である磁気抵抗効果膜と反強磁
性体との交換結合を用いて磁区を特定方向に固着する方
法が挙げられ、たとえば、反強磁性体としてγ−FeM
n合金を用いたものが種々提案されている(米国特許第
4103315 号明細書および米国特許第5014147 号明細
書)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、γ−F
eMn合金はとくに耐酸化性などの耐食性に問題があ
り、ひいては磁気抵抗効果膜となる強磁性体膜とγ−F
eMn合金からなる反強磁性体膜と積層して形成された
交換結合膜において、経時的に交換バイアス磁界が劣化
する問題がある。また、このような交換結合膜では、交
換バイアス磁界が零になるブロッキング温度(TB )が
低いため熱安定性にも問題がある。
【0004】さらには、反強磁性体としてMnPt,M
nRh合金などのMn合金を用いた例や酸化物系のNi
Oなどを用いた例なども米国特許第4103315 号明細書に
提案されている。しかし、これらのMn合金やNiO酸
化物などでは強磁性体との交換バイアス磁界が十分でな
いという問題がある。
【0005】上述したように、強磁性体膜と反強磁性体
膜との交換結合を用いた交換結合膜は、これまでたとえ
ば磁気抵抗効果素子のバルクハウゼンノイズの低減等に
供されてきたが、従来の交換結合膜においては交換バイ
アス磁界の大きさや熱安定性に等に問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような課
題に対処するためになされたもので、大きな交換バイア
ス磁界を有するとともに、さらには熱安定性をも改善し
得る交換結合膜およびこの交換結合膜を具備してなり、
安定した出力を長期間にわたって得ることのできる磁気
抵抗効果素子を提供することを目的とする。
【0007】 本発明の交換結合膜は、第1の反強磁性
膜と、この第1の反強磁性膜と積層形成される強磁性膜
と、前記第1の反強磁性膜と前記強磁性膜との界面に形
成される第2の反強磁性膜とを備え、第1の反強磁性膜
は、結晶構造が正方晶系、体心立方晶系およびNaCl系の
いずれかに属する系であり、第2の反強磁性膜は、結晶
構造が面心立方晶系のγ−MMn(ただし、MはFe、Co、Ni
から選ばれた少なくとも1種)からなり且つ膜厚が5nm
以下であることを特徴とする
【0008】さらに、第1の反強磁性体膜の膜厚をt
AF1 、第2の反強磁性体膜の膜厚をtAF2 とするとき、
3nm≦tAF1 ≦50nm、および 0nm<tAF2 ≦ 5nmの範囲
にあり、第1の反強磁性体膜のネール温度をTN 1、第
2の反強磁性体膜のネール温度をTN 2とするとき、T
N 2<TN 1の関係にあることを特徴とする。
【0009】また、本発明の磁気抵抗効果素子は、上述
の交換結合膜とこの交換結合膜のうち少なくとも強磁性
体膜に電流を通電するための電極とが基板上に形成され
てなることを特徴とする。
【0010】すなわち本発明者等は、第1の反強磁性体
膜の結晶構造が正方晶系、体心立方晶系およびNaCl
系に属し、この第1の反強磁性体膜と強磁性体膜の界面
に形成される第2の反強磁性体膜の結晶構造が面心立方
晶系に属する交換結合膜は、大きな交換バイアス磁界を
有し、かつこの熱安定性も十分であることを見出し本発
明を完成するに至った。
【0011】このように本発明においては、強磁性体膜
と第1の反強磁性体膜との界面に第1の反強磁性体膜と
は結晶構造の異なる第2の反強磁性体膜を形成すること
により大きな交換バイアス磁界が得られるが、これは第
1の反強磁性膜単独では強磁性膜との界面での磁気的な
結合が不十分であり大きなバイアス磁界は得られない
が、第2の反強磁性膜を介して第1の反強磁性膜と強磁
性膜との結合力がアップ出来るためである。さらに高い
熱安定性が得られる理由は、第1の反強磁性体膜の膜厚
が第2の反強磁性膜に比べて薄いので、さらにTは界
面ではなく反強磁性膜全体で決定されるので、高いT
を有する第2の反強磁性膜体により本発明の積層反強磁
性膜のTが概ね決定されるためである。
【0012】結晶構造が正方晶系、体心立方晶系および
NaCl系のいずれかに属する系である本発明に係わる
第1の反強磁性体膜は、QMn合金、CrM´合金また
は、NiO、CoOなどの酸化物であることが好まし
い。ここでQはFe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、
Re、Ag、Au、Os、Ir、Pd、Ptのいずれか
1種以上から選ばれ、M´はMn、Fe、Co、Ni、
Cu、Ru、Rh、Re、Ag、Au、Os、Ir、P
d、Ptのいずれか1種以上から選ばれる。
【0013】第1の反強磁性体膜の膜厚(tAF1 )は、
強磁性体膜へ大きな異方性磁界ならびに交換バイアス磁
界を付与するためには、 3nm≦tAF1 ≦50nmの範囲であ
ることが好ましい。すなわち、第1の反強磁性体膜の膜
厚(tAF1 )が 3nm未満であると十分な異方性磁界が得
られにくく、50nmを越えると、第2の反強磁性体膜から
の影響が弱まることによる反強磁性体膜の結晶性の劣化
や、強磁性体膜への膜応力の増加や、強磁性体膜との距
離が離れ過ぎてしまうことに起因する第1と第2の反強
磁性体膜の相乗効果の消失により、交換バイアス磁界が
弱くなってしまうので好ましくない。より好ましい範囲
は 5≦tAF1 ≦20nmである。
【0014】本発明に係わる第2の反強磁性体膜は第1
の反強磁性体膜と強磁性体膜との界面に形成され、結晶
構造が面心立方晶系に属するγ−MMn合金からなるも
のであり、その膜厚(tAF2 )が好ましくは 0<tAF2
≦ 5nmの範囲である。ここでγ−MMn合金のMは、F
e、Co、Niのうちから選ばれた少なくとも1種以上
の金属である。さらに強磁性体膜と第1の反強磁性体膜
との結晶の整合性やネール温度の制御を目的として、た
とえばCu、Ru、Rh、Re、Ag、Au、Os、I
rなどの貴金属などを添加することができる。この膜厚
(tAF2 )が 5nmを越えると、Tの低下や第2の反強
磁性体膜と第1の反強磁性体膜の相乗効果による交換バ
イアス磁界のアップが期待できなくなるために好ましく
ない。一方、膜厚(tAF2 )が 0.3nm未満の場合、その
成膜が困難となるので、より好ましい第2の反強磁性体
膜の膜厚はは 0.3nm<tAF2 ≦ 5nmの範囲である。
【0015】さらに本発明では第1の反強磁性体膜のネ
ール温度(TN 1)と第2の反強磁性体膜のネール温度
(TN 2)がTN 2<TN 1の関係を満足するように設
定すれば、交換バイアス磁界が零になる温度であるブロ
ッキング温度(TB )を高くすることができる。逆に、
第1の反強磁性体膜のネール温度(TN 1)と第2の反
強磁性体膜のネール温度(TN 2)がTN 1≦TN 2に
なるとブロッキング温度の向上は顕著ではなくなり熱安
定性はあまり改善されないため好ましくない。一般に交
換結合膜においては、ブロッキング温度を越えると交換
バイアス磁界が失われて交換結合膜として機能しなくな
るため、再び磁界中での処理を必要とするなどの問題が
ある。このため、良好な熱安定性を維持するために本発
明の交換結合膜におけるブロッキング温度は 200℃以上
が好ましい。また、TN 2<TN1であるためのTN
としては 230℃以上が好ましい。
【0016】本発明の交換結合膜において、強磁性体膜
とは、強磁性を発現する膜であり、とくに限定はされな
いが、磁気抵抗効果素子に用いる場合、飽和磁界の小さ
なパーマロイや大きな磁気抵抗効果を示すたとえばF
e、Ni、Coの強磁性金属やこれらの合金であるFe
x Ni100-x 、Fex Co100-x 、Fex Coy Ni10
0-x-y ならびにこれらの合金に磁気特性向上を目的とし
て第3元素や第4元素などを添加した合金薄膜や人工格
子膜が好ましい。
【0017】本発明の交換結合膜は、蒸着法、スパッタ
法、MBE法など公知の成膜方法を用いて形成される。
このとき反強磁性体膜に一軸磁気異方性を付与するため
に、磁界中での成膜や磁界中の熱処理を行ってもよい。
【0018】また、本発明の磁気抵抗効果素子において
は、第1の反強磁性体膜と第2の反強磁性体膜の一部が
接していて、第1の反強磁性体膜とは接していない部分
で第2の反強磁性体膜上に導電性の電極が形成されてい
ることが好ましい。ここで第1および第2の反強磁性体
膜は強磁性体膜へ大きな交換バイアス磁界を十分な交換
バイアス磁界で付与するために必要であり、電極は磁界
の変化に対応した磁気抵抗変化の信号を検出するために
必要な構成要素である。
【0019】また、このとき用いられる基板は、ガラ
ス、樹脂などの非晶質基板やSi、MgO、サファイ
ア、各種フェライトなどの単結晶基板、配向基板、焼結
基板などとくに限定されず、さらに反強磁性体膜や強磁
性体膜の結晶性を向上させるために、基板上に 1〜 100
nmの厚さの下地層を設けてもよい。そして、下地層は結
晶性を向上させるものであればとくに限定されないが、
たとえばPdやPtなど貴金属やCoZrNbなどの非
晶質合金を用いることができる。このように本発明の交
換結合膜は、磁界検出用センサ、再生用磁気ヘッドなど
の磁気抵抗効果素子を用いた種々のデバイスに応用でき
る。
【0020】
【発明の実施の形態】つぎに図面を用いて実施例を説明
する。
【0021】
【実施例】
実施例1 RFマグネトロンスパッタ装置を用いて第1の反強磁性
体膜と強磁性体膜の界面に第2の反強磁性体膜を形成し
た交換結合膜を作製した。交換結合膜の断面図を図1に
示す。図示されるように、ガラスからなる基板1上で、
組成がCo90Fe10(90at%Co−10at%Fe)で表さ
れる強磁性体膜2の膜厚を10nm、結晶構造が正方晶系に
属し組成がNi50Mn50で表される第1の反強磁性体膜
4の膜厚を15nmとし、強磁性体膜2と第1の反強磁性体
膜4との界面に組成がγ−Fe50Mn50の第2の反強磁
性体膜3を膜厚 0から15nmまで変化した交換結合膜を磁
界中で成膜した。基板加熱はとくに行わなかった。
【0022】比較のために第2の反強磁性体膜を界面に
形成しなかった場合における磁化容易軸方向a(成膜時
の磁界方向)と磁化困難軸方向bの磁化曲線を図2に示
す。このとき磁化 0における両者の磁界の大きさの差c
が交換バイアス磁界(Hua)となる。
【0023】実施例1の交換結合膜について、第2の反
強磁性体膜の膜厚と交換バイアス磁界の関係を図3に示
す。図3より、第1の反強磁性体膜(Ni50Mn50)と
強磁性体膜(Co90Fe10)の界面に 1nm以上の第2の
反強磁性体膜(γ−Fe50Mn50)を形成することで交
換バイアス磁界が9500(A/m)以上と大きくなってい
ることがわかる。
【0024】一方、第2の反強磁性体膜の膜厚が 5nmを
越えると交換バイアス磁界の大きさは減少し、界面に第
2の反強磁性体膜を形成した効果はなくなっていること
がわかる。
【0025】得られた交換結合膜についてX線回折で膜
の結晶性を調べたところ、第1の反強磁性体膜と強磁性
体膜の界面に第2の反強磁性体膜を形成したことで膜の
結晶性が大幅に向上していることが確認された。この結
晶性の向上が交換バイアス磁界の増加に寄与しているも
のと考えられる。
【0026】また、第1の反強磁性体膜としてNi50
50の代わりにCox Mn100-x(10 < x <50) 、Pd
x Mn100-x (40 ≦ x≦ 60)合金など結晶構造が正方
晶系に属する反強磁性体膜やCr95Mn5 合金、Cr98
Mn2 合金など結晶構造が体心立方晶系に属する反強磁
性体膜を用いた交換結合膜を作製し、その交換バイアス
磁界を調べたが、NiMn合金の場合と同様に交換バイ
アス磁界の増加が確認された。
【0027】実施例2 実施例1と同様の方法で、強磁性体膜としてCo83Fe
9 Pd8 合金、第1の反強磁性体膜として膜厚が15nmの
NiOを用い、その界面に第2の反強磁性体膜として膜
厚が 0から15nmのγ−Fe50Mn50を形成した交換結合
膜を作製した。このときの第2の反強磁性体膜の膜厚と
交換バイアス磁界の関係を図4に示す。図4より、第2
の反強磁性体膜の膜厚が 1nm以上で交換バイアス磁界が
6400(A/m)以上となり、交換バイアス磁界の増加が
確認された。
【0028】また、第2の反強磁性体膜としてγ−Fe
50Mn50の代わりにγ−Cox Mn100-x (50 ≦ x≦
65)合金、γ−Fe65(Ni0.31Mn0.6735合金など
のγ−MMn合金やこれらの合金にCu、Pd、Pt、
Auなどの貴金属を 5at%添加した合金を用いた交換結
合膜を作製し、その交換バイアス磁界を調べたが、γ−
FeMnの場合と同様に交換バイアスの増加が確認され
た。
【0029】実施例3 ここでは、γ−Fe50Mn50合金を第2の反強磁性体
膜、NiOを第1の反強磁性体膜、CoFe合金を強磁
性体膜として実施例2で交換バイアス磁界が比較的大き
かった交換結合膜を作製し、この交換結合膜を強磁性層
間に非磁性層を設けた磁気抵抗効果膜としてのスピンバ
ルブ膜に適用した。
【0030】具体的に本実施例で作製された磁気抵抗効
果素子の一つである磁界検出用センサの断面図を図5に
示す。基板1には#7059ガラス(コーニングジャパン社
の商品名)を用い、強磁性体膜2には膜厚が 7nmのCo
90Fe10を用い、第1の反強磁性体膜4には膜厚が15nm
のNiO酸化物、第2の反強磁性体膜3には膜厚が 5nm
のγ−Fe50Mn50合金を、非磁性体膜6には膜厚 3nm
のCuを、電極5には膜厚が0.3 μm のCuをそれぞれ
用いた。また電極5の間隔は50μm 、素子幅は8 μm と
した。強磁性体膜2、第2の反強磁性体膜3および第1
の反強磁性体膜4は、磁界中で成膜を行い膜に一軸異方
性を付与した。一軸磁気異方性が素子長手方向となるよ
うに、通常の半導体プロセスを用いて素子の加工を行い
磁界検出用センサを得た。この後、200 ℃の磁界中で10
分間保持するアニールで(磁界方向は素子幅方向)交換
バイアス磁界を素子幅方向に付与した。
【0031】得られた磁界検出用センサに外部から磁界
を印加して、その磁界応答特性を調べたところ、Tiな
どの保護膜が形成された反強磁性体膜をγ−Fe50Mn
50単独で作製した従来の磁界検出用センサと同程度以上
の交換バイアス磁界と出力感度が得られた。
【0032】実施例4〜9および比較例1 実施例1と同様のRFマグネトロンスパッタ装置を用い
て組成を変化させた第1の反強磁性体膜と強磁性体膜の
界面に第2の反強磁性体膜を形成した交換結合膜を作製
した。強磁性体膜としては、Ni79Fe16Co5 合金を
用いた。第1の反強磁性体膜としては、Pd56Mn
44(実施例4)、Pt59Mn41(実施例5)、Ni50
50(実施例6)、Cr92Pt8 (実施例7)、Cr97
Ir3 (実施例8)、NiO(実施例9)をそれぞれ15
nmの膜厚で用いた。界面には第2の反強磁性体膜として
膜厚が 5nmのγ−Fe50Mn50を用いた。
【0033】各実施例の交換結合膜につきその交換バイ
アス磁界が零になる温度(ブロッキング温度;TB )を
調べた。測定結果を反強磁性体膜のネール温度および結
晶構造とともに表1に示す。なお比較例1として、反強
磁性体膜として膜厚が20nmのγ−Fe50Mn50合金を単
独で用いた交換結合膜を作製し、ブロッキング温度を測
定した。その結果を表1に示す。
【0034】
【表1】 表1より明らかなように、本発明による交換結合膜のブ
ロッキング温度は大幅に上昇しており、熱安定性に優れ
ていることがわかる。
【0035】実施例10 ここでは、γ−Fe50Mn50合金を第2の反強磁性体
膜、Ir50Mn50を第1の反強磁性体膜、CoFe合金
を強磁性体膜として実施例2で交換バイアス磁界が比較
的大きかった交換結合膜を作製し、この交換結合膜を強
磁性層間に非磁性層を設けた磁気抵抗効果膜としてのス
ピンバルブ膜に適用した。
【0036】具体的に本実施例で作製された磁気抵抗効
果素子の一つである磁界検出用センサの断面図を図6に
示す。基板1には熱酸化シリコンを用い、強磁性体膜2
a、2bには膜厚が 4nmのCo90Fe10を用い、第1の
反強磁性体膜4には膜厚が15nmのIr50Mn50、第2の
反強磁性体膜3には膜厚が 3nmのγ−Fe50Mn50合金
を、非磁性体膜6には膜厚 2nmのCuを、電極5には膜
厚が0.3 μm のCuをそれぞれ用いた。さらに基板1と
強磁性膜2bの間にCoZrNbアモルファス膜7bと
NiFe膜7aの積層強磁性下地膜を、電極5と反強磁
性膜4の間に保護膜8を形成した。また電極5の間隔は
30μm 、素子幅は8 μm とした。強磁性体膜2、第2の
反強磁性体膜3および第1の反強磁性体膜4は、磁界中
で成膜を行い膜に一軸異方性を付与した。一軸磁気異方
性が素子長手方向となるように、通常の半導体プロセス
を用いて素子の加工を行い磁界検出用センサを得た。こ
の後、220 ℃の磁界中(素子幅方向)で10分間保持する
アニールで交換バイアス磁界を素子幅方向に付与した。
【0037】得られた磁界検出用センサに外部から磁界
を印加して、その磁界応答特性を調べたところ、Tiな
どの保護膜が形成された反強磁性体膜をγ−Fe50Mn
50単独で作製した従来の磁界検出用センサと同程度以上
の交換バイアス磁界と出力感度が得られた。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、大きな交換バイアス磁
界を有するとともに交換バイアス磁界が十分で、かつ熱
安定性をも改善し得る交換結合膜を提供することがで
き、さらに本発明の磁気抵抗効果素子は上述の交換結合
膜を使用するので、安定した出力が得られるとともにバ
ルクハウゼンノイズ発生もみられず、この工業的価値は
大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における交換結合膜の断面図である。
【図2】実施例1における磁化曲線を示す図である。
【図3】実施例1における第2の反強磁性体膜の膜厚と
交換バイアス磁界の関係を示す図である。
【図4】実施例2における第2の反強磁性体膜の膜厚と
交換バイアス磁界の関係を示す図である。
【図5】実施例3における磁界検出センサの断面図であ
る。
【図6】実施例10における磁界検出用センサの断面図
である。
【符号の説明】
1………基板、2………強磁性体膜、3………第2の反
強磁性体膜、4………第1の反強磁性体膜、5………電
極、6………非磁性層、7a、7b………強磁性下地
膜、8………保護膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01F 10/16 H01F 10/16 H01L 43/08 H01L 43/08 Z (72)発明者 岩崎 仁志 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝 研究開発センター内 (72)発明者 船山 知己 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝 研究開発センター内 (72)発明者 佐橋 政司 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝 研究開発センター内 (56)参考文献 特開 平6−267029(JP,A) 特開 平8−88118(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 10/00 - 10/32 H01L 43/08 C22C 38/00 303 C23C 14/06 G11B 5/39

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の反強磁性膜と、この第1の反強磁
    性膜と積層形成される強磁性膜と、前記第1の反強磁性
    膜と前記強磁性膜との界面に形成される第2の反強磁性
    膜とを備えた交換結合膜であって、 前記第1の反強磁性膜は、結晶構造が正方晶系、体心立
    方晶系およびNaCl系の群から選ばれた1種に属する系で
    あり、 前記第2の反強磁性膜は、結晶構造が面心立方晶系のγ
    −MMnからなり且つ膜厚が5nm 以下であることを特徴と
    する交換結合膜、たたしMはFe、Co、Niの群から選ばれ
    た少なくとも1種である。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の交換結合膜において、前
    記第1の反強磁性体膜の膜厚をtAF1 、前記第2の反強
    磁性体膜の膜厚をtAF2 とするとき、 3nm≦tAF1 ≦50nm、および 0nm<tAF2 ≦ 5nmの範囲
    にあることを特徴とする交換結合膜。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の交換結合膜において、前
    記第1の反強磁性体膜のネール温度をTN 1、前記第2
    の反強磁性体膜のネール温度をTN 2とするとき、TN
    2<TN 1の関係にあることを特徴とする交換結合膜。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の交換結合膜において、前
    記第1の反強磁性体膜はQMn合金、CrM´合金、N
    iO合金およびCoO合金の群から選ばれた1種の合金
    からなる、ここでQはFe,Co,Ni,Cu,Ru,
    Rh,Re,Ag,Au,Os,Ir,PdおよびPt
    の群から選ばれた少なくとも1種であり、M´はMn,
    Fe,Co,Ni,Cu,Ru,Rh,Re,Ag,A
    u,Os,Ir,PdおよびPtの群から選ばれた少な
    くとも1種である。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4記載のいずれか
    1項記載の交換結合膜と、前記交換結合膜のうち少なく
    とも強磁性体膜に電流を通電するための電極とが基板上
    に形成されてなることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  6. 【請求項6】 請求項2記載の交換結合膜において、前
    記第1の反強磁性体膜の膜厚tAF1 は 5nm≦tAF1 ≦20
    nmの範囲にある。
  7. 【請求項7】 請求項2記載の交換結合膜において、前
    記第2の反強磁性体膜の膜厚tAF2 は0.3nm <tAF2 ≦
    5nmの範囲にある。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の交換結合膜において、前
    記交換結合膜のブロッキング温度は200 ℃以上である。
  9. 【請求項9】 請求項3記載の交換結合膜において、前
    記第1の反強磁性体膜のネール温度TN 1は230 ℃以上
    である。
  10. 【請求項10】 請求項5記載の磁気抵抗効果素子にお
    いて、請求項1から4記載の交換結合膜、非磁性膜およ
    び別の強磁性膜が積層され、スピン依存散乱による抵抗
    変化を利用して信号検出することを特徴とする磁気抵抗
    効果素子。
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