JPH11259820A - 磁気抵抗効果膜および磁気抵抗効果型ヘッド - Google Patents
磁気抵抗効果膜および磁気抵抗効果型ヘッドInfo
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Abstract
少ない磁気抵抗効果膜、および当該磁気抵抗効果膜を備
えてなる磁気抵抗効果型ヘッドを提供する。 【解決手段】 スピンバルブ型の磁気抵抗効果膜におい
て、反強磁性層を、MxMn100-x (MはRu、Rh、
Re、Pt、Pd、Au、Ag、Fe、Ni、Irおよ
びCrから選ばれた少なくとも1種であり、15≦x≦
58(xの単位は原子%))から構成し、この上に形成
される保護層をRh、Ru、Zr、Tiから選ばれた少
なくとも1種から構成する。
Description
磁界強度を信号として読み取るための磁気抵抗効果膜の
うち、特に小さな磁場変化を大きな電気抵抗変化信号と
して読み取ることのできる磁気抵抗効果膜および、それ
を用いた磁気抵抗効果型ヘッドに関する。
における高密度化が進められており、これに伴い磁気抵
抗変化を用いた磁気抵抗効果型磁気センサ(以下、MR
センサという)や、磁気抵抗効果型磁気ヘッド(以下、
MRヘッドという)の開発が盛んに進められている。M
RセンサおよびMRヘッドはいずれも、磁性材料を用い
た読み取りセンサ部の抵抗変化により、外部磁界信号を
読み出すものである。このようなMRセンサおよびMR
ヘッドは、信号読み取りに際して、記録媒体との相対速
度が再生出力に依存しないことから、MRセンサでは高
感度が、MRヘッドでは高密度磁気記録の信号読み出し
時においても、高い出力が得られるという特徴がある。
Fe20(パーマロイ)やNiCo等の磁性体を利用した
MRセンサでは、抵抗変化率であるΔR/Rの値がせい
ぜい1〜3%くらいと小さく、数GBPSI(Giga Bit
s Per Square Inches)以上の超高密度記録の読み出し用
MRヘッド材料としては感度が不足する。
薄膜が周期的に積層された構造をもつ人工格子は、バル
ク状の金属とは異なった特性を示すために、近年注目さ
れてきている。このような人工格子の1種として、基板
上に強磁性金属薄膜と非磁性金属薄膜とを交互に積層し
た磁性多層膜があり、これまで、鉄−クロム型、コバル
ト−銅型等の磁性多層膜が知られている。しかし、この
人工格子膜では最大抵抗変化の起きる外部磁場(作動磁
界強度)が数十kOeと大きく、このままでは実用性が
ない。
ブという新しい構造が提案されている。これは、非磁性
金属層を介してNiFe層が2層形成されており、一方
のNiFe層に隣接してFeMn層が配置されている構
成をもつ。
Fe層とが直接交換結合力で結合しているために、この
NiFe層の磁気スピンは数10〜数100Oeの磁場
強度まで、その向きを固着される。一方のNiFe層の
スピンは外部磁場によって自由にその向きを変え得る。
その結果、NiFe層の保磁力程度という、小さな磁場
範囲で2〜5%の磁気抵抗変化率(MR変化率)が実現
される。
おけるスピンの相対角度の差異を実現させることによ
り、従来の異方性磁気抵抗(AMR)効果とは異なるお
おきなMR変化を実現している。これは一方の磁性層と
反強磁性との直接交換結合力による磁性層スピンのピン
ニングにより実現されている。この交換結合がスピンバ
ルブの本質であるといえる。
いは、以下に述べるようなさまざまな問題がある。磁性
層をピンニングしている交換結合の強さを、そのシフト
する一方向異方性磁場Huaの大きさで表す。また、その
温度安定性としてHuaが消失する温度をブロッキング温
度Tb とする。従来より一般に用いられているFeMn
層やその他の反強磁性層での交換結合では以下の問題が
ある。
0℃と低い。バルクの状態と比較して、ブロッキング温
度Tb が低く、本来のピンニング効果を十分に発揮する
良好な薄膜が得られていない。
いることが問題である。すなわち、薄膜であるが故に、
FeMn層内の膜面は、さまざまな結晶粒から構成され
ており、個々の結晶粒は独自のブロッキング温度Tb を
持っている。つまり、すべての結晶粒がすべて同一のブ
ロッキング温度Tb を持っていれば問題はないのである
が、実際は、低めのブロッキング温度Tb を有する結晶
粒や、高めのブロッキング温度Tb を有する結晶粒など
さまざまである。その結果、応用上の動作温度領域であ
る80〜120℃において、強磁性層のスピンを反転さ
せてしまう弱い交換結合をもった結晶粒が一部存在する
ことがある(低めのブロッキング温度Tb を有する結晶
粒の存在が原因)。すると、ピン止めされている強磁性
層のスピン方向が全体として傾いてしまい、出力電圧が
低下してしまうことがある。従って、できるだけすべて
の結晶粒がすべて均一で、高いブロッキング温度Tb を
持つような良質の反強磁性薄膜の提供が望まれる。
はすでに特願平8−357608号や、特願平9−21
9121号において、好適例としてRux My Mnz
(MはRh,Pt,Pd,Au,Ag,Reから選ばれ
た少なくとも1種)からなる反強磁性薄膜を提案してい
る。
される保護膜の材質としては、Taが一般的であり、時
として、CuやHfが用いられることもある。すなわ
ち、先行技術の代表例として、以下のものが挙げられ
る。
Materials,93(1991)101 (Dieny, IBM) Si/Ta(50Å)/NiFe(60 Å)/Cu(25 Å)/NiFe(40 Å)/FeMn
(50 Å)/Cu(50 Å)という積層膜構造についての情報が
開示されている。ここでの反強磁性層はFeMnであ
り、保護層材料は、50Å厚さのCuである。
33(1994)1327 (Nakatani, Hitachi) Si/Hf(50Å)/NiFeCo( 50Å)/Cu(20 Å)/NiFeCo(50 Å)/
FeMn(100Å)/Hf(50 Å) という積層膜構造についての情
報が開示されている。ここでの反強磁性層はFeMnで
あり、保護層材料は、50Å厚さのHfである。
という積層膜構造についての情報が開示されている。こ
こでの反強磁性層はPtMnであり、保護層材料は、10
0 Å厚さのTaである。
うな従来からある保護層材料を、上記本願発明らが提案
した反強磁性薄膜に採用しただけでは、きわめて要求の
厳しい耐熱試験をクリアできないことが実験的にわかっ
てきた。すなわち、 (1)製造プロセスにおける不可避の熱処理工程(例え
ば、250℃、3時間の熱処理操作)を通過すると磁気
抵抗効果膜のMR変化率が約30%ほど低下してしま
う。その結果、スピンバルブヘッドとして完成した後
に、十分な出力が確保できないおそれがある。
において、ピン止めされた強磁性層が回転してしまうお
それがある。すなわち、ヘッドの動作温度が120〜1
40℃となる高回転型ディスクにスピンバルブヘッドを
組み込んだ場合、出力が時間とともに減少して、ついに
はディスク中の記録情報が読み出せなくなるおそれがあ
る。
たものであって、その目的は、熱安定性に優れ、MR変
化率の劣化が少ない磁気抵抗効果膜、および当該磁気抵
抗効果膜を備えてなる磁気抵抗効果型ヘッドを提供する
ことにある。
に、本発明は、非磁性金属層と、非磁性金属層の一方の
面に形成された強磁性層と、非磁性金属層の他方の面に
形成された軟磁性層と、前記強磁性層の磁化の向きをピ
ン止めするために強磁性層の上(非磁性金属層と接する
面と反対側の面)に形成された反強磁性層と、反強磁性
層の上(強磁性層と接する面と反対側の面)に形成され
た保護層とを有する多層膜を備えてなるスピンバルブ型
の磁気抵抗効果膜であって、前記反強磁性層が、Mx M
n100-x(MはRu、Rh、Re、Pt、Pd、Au、
Ag、Fe、Ni、IrおよびCrから選ばれた少なく
とも1種であり、15≦x≦58(xの単位は原子
%))からなり、前記保護層がRh、Ru、Zr、Ti
から選ばれた少なくとも1種からなるように構成され
る。
膜と、電極部とを含む磁気抵抗効果型ヘッドであって、
前記導体膜は、前記電極部を介して前記磁気抵抗効果膜
と導通しており、前記磁気抵抗効果膜は、非磁性金属層
と、非磁性金属層の一方の面に形成された強磁性層と、
非磁性金属層の他方の面に形成された軟磁性層と、前記
強磁性層の磁化の向きをピン止めするために強磁性層の
上(非磁性金属層と接する面と反対側の面)に形成され
た反強磁性層と、反強磁性層の上(強磁性層と接する面
と反対側の面)に形成された保護層とを有する多層膜を
備えてなるスピンバルブ型の磁気抵抗効果膜であり、前
記反強磁性層が、Mx Mn100-x (MはRu、Rh、R
e、Pt、Pd、Au、Ag、Fe、Ni、Irおよび
Crから選ばれた少なくとも1種であり、15≦x≦5
8(xの単位は原子%))からなり、前記保護層がR
h、Ru、Zr、Tiから選ばれた少なくとも1種から
なるように構成される。
Mx Mn100-x (MはRu、Rh、Re、Pt、Pd、
Au、Ag、Fe、Ni、IrおよびCrから選ばれた
少なくとも1種であり、15≦x≦58(xの単位は原
子%))からなり、前記保護層がRh、Ruから選ばれ
た少なくとも1種からなるように構成される。
Rux My Mnz (MはRh,Pt,Pd,Au,A
g,Re,Ni,Irから選ばれた少なくとも1種であ
り、1≦x≦30,1≦y≦30,69≦z≦90,1
0≦x+y≦31(x,y,およびzの単位は原子
%))からなり、前記保護層がRh、Ruから選ばれた
少なくとも1種からなるように構成される。
Mx Mn100-x (MはRu、Rh、Re、Pt、Pd、
Au、Ag、Fe、Ni、IrおよびCrから選ばれた
1種であり、15≦x≦58(xの単位は原子%))か
らなり、前記保護層がTi、Zrから選ばれた少なくと
も1種からなるように構成される。
(t)は、1nm≦t≦5nmの範囲にあるように構成
される。
を含有し、その酸素濃度が1〜2000原子ppmであ
るように構成される。
しての炭素、硫黄、塩素を含み、反強磁性層中に含有さ
れる炭素濃度が1〜2000原子ppm、硫黄濃度が1
〜1000原子ppm、塩素濃度が1〜2000原子p
pmであるように構成される。
到達圧力2×10-9Torr以下に排気された真空成膜
装置内で、酸素含有量600ppm以下のターゲットを
用いて、成膜時に導入されるスパッタガス中の不純物濃
度の総和を100ppb以下、かつスパッタガス中のH
2 O濃度が40ppb以下でのスパッタガス雰囲気中、
スパッタ法にて成膜されてなるように構成される。
は、基板側から、軟磁性層、非磁性金属層、強磁性層、
反強磁性層、保護層を順次備える多層膜構造を備えてな
るように構成される。
について詳細に説明する。本明細書中、濃度を示す単位
であるppmおよびppbはすべて、原子ppmおよび
原子ppbを示す。
な一例を示す断面図である。この実施の態様において、
磁気抵抗効果膜3は、巨大磁気抵抗効果を示すスピンバ
ルブ膜としての磁性多層膜1を備えている。
非磁性金属層30と、この非磁性金属層30の一方の面
に形成された強磁性層40と、非磁性金属層30の他方
の面に形成された軟磁性層20と、強磁性層40の磁化
の向きをピン止めするために強磁性層40の上(ここで
言う『上』とは、非磁性金属層30と接する面と反対側
の面を意味する)に形成された反強磁性層50を有する
積層体構造をなしている。
に、通常、基板5の上に形成され、これらが基板5側か
ら、下地層7を介して、軟磁性層20、非磁性金属層3
0、強磁性層40、反強磁性層50の順に積層されてい
る。この反強磁性層50の上には、図示のごとく、さら
に保護層80が形成される。
ピンバルブ膜)では、外部から加わる信号磁界の向きに
応じて非磁性金属層30を介して、その両側に隣接して
形成された軟磁性層20と強磁性層40との互いの磁化
の向きが実質的に異なることが必要である。その理由
は、本発明の原理が、非磁性金属層30を介して形成さ
れた軟磁性層20と強磁性層40の磁化の向きがズレて
いるとき、伝導電子がスピンに依存した散乱を受け、抵
抗が増え、磁化の向きが互いに逆向きに向いたとき、最
大の抵抗を示すことにあるからである。すなわち、本発
明では、図2に示されるように外部からの信号磁場がプ
ラス(記録媒体90の記録面93から向かって上向き
(符号92で表される)であるとき、隣合った磁性層の
磁化の方向が互いに逆向きの成分が生じ、抵抗が増大す
るのである。
れる(スピンバルブ)磁性多層膜における、磁気記録媒
体からの外部信号磁場と、軟磁性層20と強磁性層40
の互いの磁化の方向、及び電気抵抗の変化の関係を説明
する。
1に示されるごとく、1つの非磁性金属層30を介して
1組の軟磁性層20と強磁性層40とが存在する最もシ
ンプルな磁性多層膜の場合について、図2を参照しつつ
説明する。
に述べる方法によって媒体面に向かって下向き方向にそ
の磁化をピン止めされている(符号41)。もう一方の
軟磁性層20は、非磁性金属層30を介して形成されて
いるので、その磁化方向は外部からの信号磁界によって
向きを変える(符号21)。このとき、軟磁性層20と
強磁性層40の磁化の相対角度は、磁気記録媒体90か
らの信号磁界の向きによって大きく変化する。その結
果、磁性層内に流れる伝導電子が散乱される度合いが変
化し、電気抵抗が大きく変化する。
効果とはメカニズムが本質的に異なる大きなMR(Magn
eto-Resistance) 効果が得られる。これは特にGMR
(Giant-Magneto-Resistance) 効果と呼ばれる。
効果を示す反強磁性層50の磁化の向きが外部磁場に対
して相対的に変化する。それらの磁化の向きの変化が磁
化曲線とMR曲線とに対応させて図3に示される。ここ
では、反強磁性層50により、強磁性層40の磁化は全
てマイナス方向(記録媒体90の記録面から向かって下
向き)に固定されている。外部信号磁場がマイナスの時
は軟磁性層20の磁化もマイナス方向を向く。いま、説
明を簡単にするために軟磁性層20,強磁性層40の保
磁力を0に近い値とする。信号磁場HがH<0の領域
(I)では、まだ軟磁性層20および強磁性層40両磁
性層の磁化方向は一方向を向いている。
力を超えると軟磁性層の磁化方向は信号磁場の方向に回
転し、軟磁性層20および強磁性層40のそれぞれの磁
化の向きが反平行となるのにつれて磁化と電気抵抗が増
加をする。そして一定値となる(領域(II)の状態)。
このとき反強磁性層50により、あるピン止め磁場Hua
が働いている。信号磁場がこのHuaを越えると強磁性層
40の磁化も信号磁場の方向に回転し、領域(III)で軟
磁性層20および強磁性層40のそれぞれの磁化方向
は、一方向に揃って向く。このとき、磁化はある一定値
に、MR曲線は0となる。
と同様に、軟磁性層20および強磁性層40の磁化反転
に伴い、領域(III)から(II)、(I)と順次変化する。
ここで領域(II)のはじめの部分で、伝導電子がスピン
に依存した散乱を受け、抵抗は大きくなる。領域(II)
のうち、強磁性層40はピン止めされているためほとん
ど磁化反転はしないが、軟磁性層20は直線的にその磁
化を増加させるため、軟磁性層20の磁化変化に対応
し、スピンに依存した散乱を受ける伝導電子の割合が徐
々に大きくなる。すなわち、軟磁性層20に例えばHc
の小さなNi0.8Fe0.2 を選び、適当な一方向異方性
磁場Hkを付与することにより、Hk付近以下の数Oe〜
数10Oeの範囲の小外部磁場で抵抗変化が直線的、かつ
大きな抵抗変化率を示す磁性多層膜が得られる。
構成について詳細に説明する。この磁気抵抗効果膜にお
ける第一の特徴点は、反強磁性層50を構成する材質
と、この反強磁性層50の上に直接成膜される前記保護
層80を構成する材質との組み合わせにある。
は、マンガン(Mn)を必須としMx Mn100-x で表わ
される。ここで、MはRu、Rh、Re、Pt、Pd、
Au、Ag、Fe、Ni、IrおよびCrから選ばれた
少なくとも1種である。xは、15≦x≦58の範囲の
値をとり、xの単位は原子%である。
特に、マンガン(Mn)およびルテニウム(Ru)を必
須とし、Rux My Mnz で表わされる反強磁性層50
の材質が好適に用いられる。ここで、MはRh,Pt,
Pd,Au,Ag,Re,Irから選ばれた少なくとも
1種であり、1≦x≦30,1≦y≦30,69≦z≦
90,10≦x+y≦31(x,y,およびzの単位は
原子%)の範囲をとる。Rux My Mnz におけるM
は、上記の元素から選ばれた一種類をとることが一般的
であり、この場合、反強磁性層50は3成分から構成さ
れるが、特殊な場合として4成分系以上とすることもで
きる。
0が直接形成される。保護層80は、通常、成膜プロセ
スの過程での磁性多層膜表面の酸化を防止し、その上部
に形成される電極材料とのぬれ性や、密着強度の向上と
いう目的のために形成される。本発明において、保護層
80は、Rh、Ru、Zr、Tiの少なくとも1種から
構成される。保護層80を構成する各元素は100%ピ
ュアなものが好ましいが、70wt%以上含む合金であ
っても本発明の効果は発現可能であり、例えば単に、
『保護層80がRh』と言った場合でも、Rhを70w
t%以上含む合金までが本発明の権利範囲に含まれる。
保護層80は、好ましくはRh、Ruの少なくとも1
種、さらに好ましくは、Rhである。Rhは特に、酸化
防止および拡散防止のための保護膜として優れた効果を
示し、反強磁性層50の構成元素であるMnとの関係に
おいて、さらにはRu、Mnとの関係において相互拡散
の影響が極めて少ない。
と保護層80材質の組み合わせでは、反強磁性層50材
質と保護層80材質との相互拡散が大きくなり、反強磁
性層50の組成がずれて十分なピン止め効果が得られな
くなり、交換結合のエネルギーJkが劣化する。また、
上記の相互拡散に誘発されて強磁性層40の飽和磁化M
s の値も減少する。
nm≦t≦5nmの範囲、より好ましくは、2nm≦t
≦4nmに設定される。この値が1nm未満となると保
護膜としての本来の機能を果たさなくなってしまうとい
う不都合が生じる。またこの値が5nmを超えると、本
願発明において選定された材質、特に、Rh、Ruは、
従来のTaなど比べて、比抵抗が小さいために膜厚が厚
いとセンス電流の分流効果が発生してMR特性が小さく
なってしまうという不都合が生じる。
護層80の特に好適な組み合わせの具体例を以下に示
す。
度は、1〜2000原子ppm、好ましくは1〜100
0原子ppm、さらに好ましくは1〜600原子ppm
に規制される。この値が2000原子ppmを超える
と、反強磁性層50と強磁性層40との交換結合のエネ
ルギーJkの大きな値が得られなくなるという不都合が
生じる。さらには、ブロッキング温度Tb の分散が大き
くなり、ピンニング効果に優れる良好な薄膜が得られな
い。酸素濃度の下限値は、限りなくゼロい近いことが望
ましいが、現実的にゼロとすることは不可能に近く、一
応の限界の目安として1原子ppmと規定している。
である、上記反強磁性層と強磁性層との交換結合のエネ
ルギーJk は、Jk =Ms ・Hua・dで定義される。M
s は強磁性層の飽和磁化、Huaは交換結合によるシフト
磁場、dは強磁性層の層厚を表す。ピンニングされる強
磁性層に同じ材料と同じ層厚を用いた場合、Jk の値が
大きいほどシフトする磁場Huaが大きくなり、MRヘッ
ドとしての動作が安定であるということになる。10G
bit/inch2 を越えるような記録密度のMRヘッ
ドとして用いるためには、このJk の値は、0.08e
rg/cm2 程度以上が必要である。この値が0.08
erg/cm2 未満となるとシフト磁場が小さくなって
しまい、強磁性層40に対するスピンの安定したピンニ
ング効果が失われスピンバルブとしての安定した動作を
示さないことがある。
は、さらに、不純物としての炭素、硫黄、塩素を含み、
反強磁性層50中に含有される炭素濃度が1〜2000
原子ppm、硫黄濃度が1〜1000原子ppm、塩素
濃度が1〜2000原子ppmであるように構成され
る。これらの不純物濃度の範囲の上限を超えると、反強
磁性層と強磁性層との交換結合のエネルギーJkの大き
な値が得られなくなるという不都合が生じる。さらに
は、ブロッキング温度Tb の分散が大きくなり、ピンニ
ング効果に優れる良好な薄膜が得られない。これらの不
純物濃度の下限値は、限りなくゼロい近いことが望まし
いが、現実的にゼロとすることは不可能に近く、一応の
限界の目安として1原子ppmと規定している。
m、好ましくは5〜80nm、より好ましくは5〜50
nm、更に好ましくは5〜30nmの範囲とするのがよ
い。反強磁性層50の厚さが、5nmより薄くなると交
換結合磁界Huaやブロッキング温度Tbが急激に小さく
なってしまう。逆に厚い分は余り問題がないが、あまり
厚すぎるとMRヘッドとしてのギャップ長(シールド−
シールド間の長さ)が大きくなってしまい、超高密度磁
気記録に適さなくなってしまう。従って、100nmよ
り小さいほうがよい。
n,Cr,Dy,Er,Nd,Tb,Tm,Ce,Gd
等やこれらの元素を含む合金や化合物から構成される
が、特に、(Coz Ni1-z )w Fe1-w (ただし、重
量で0.4≦z≦1.0、0.5≦w≦1.0である)
で表される組成で構成することが好ましい。これらの組
成範囲を外れると、大きな電気抵抗の変化が得られなく
なるという不都合が生じる。
〜10nm、より好ましくは、2〜6nmとされる。こ
の値が、1.6nm未満となると、磁性層としての特性
が失われる。この一方で、この値が10nmを超える
と、前記反強磁性層50からのピン止め力が小さくな
り、この強磁性層のスピンのピン止め効果が十分に得ら
れなくなる。
強磁性層50と直接接しているため、両者に直接層間相
互作用が働き、強磁性層40の磁化回転が阻止される。
一方、後に詳述する軟磁性層20は、外部からの信号磁
場により、自由にその磁化を回転させることができる。
その結果、軟磁性層20と強磁性層40との両者の磁化
に相対的な角度が生み出され、この磁化の向きの違いに
起因した大きなMR効果が得られる。
Ni,Co等やこれらの元素を含む合金や化合物から構
成されるが、保磁力Hcの小さな磁性層を用いた方がMR
曲線の立ち上がりが急峻となり、好ましい結果が得られ
る。軟磁性層20を下記に示すような2層構造にするこ
とは、特に好ましい態様である。すなわち、非磁性金属
層30側からCo(コバルト)単体あるいはCoを80
重量%以上含む合金より構成された第1の軟磁性層と、
(Nix Fe1-x )y Co1-y (ただし、重量で0.7
≦x≦0.9、0.5≦y≦1.0)で表わされる組成
である第2の軟磁性層との2層積層体として構成する。
このような構成とすることにより、Coリッチな第1の
軟磁性層が拡散ブロッキング層として働き、第2の軟磁
性層側から非磁性金属層30側へとNiの拡散を防止す
ることができる。また、Coリッチな第1の軟磁性層は
電子の散乱能力を増大させるため、MR変化率が向上す
るという効果も発現する。なお、第2の軟磁性層は、ソ
フト磁性を維持させるために上記組成範囲内で形成され
る。
5nm、好ましくは、3〜15nm、さらに好ましく
は、5〜15nmとされる。この値が、2nm未満とな
ると、良好な軟磁性層としての特性が得られない。この
一方で、この値が15nmを超えると、多層膜全体の厚
さが厚くなり、磁性多層膜全体の抵抗が大きくなり、M
R効果が減少してしまう。なお、軟磁性層20を上記の
ように2層積層体とした場合には、Coリッチの第1の
軟磁性層の厚さを、0.4nm以上確保すればよい。
0との間に介在される非磁性金属層30は、効率的に電
子を導くために、伝導性のある金属が望ましい。より具
体的には、Au、Ag、およびCuの中から選ばれた少
なくとも1種、またはこれらの少なくとも1種以上を6
0wt%以上含む合金等が挙げられる。
1.5〜4nmであることが好ましい。この値が1.5
nm以下になると、このものを介して配置されている軟
磁性層20と強磁性層40とが交換結合してしまい、軟
磁性層20と強磁性層40とのスピンがそれぞれ独立に
機能しなくなってしまうという不都合が生じる。この値
が4nmを超えると、上下に位置する軟磁性層20と強
磁性層40の界面で散乱される電子の割合が減少してし
まい、MR変化率の減少が起こってしまうという不都合
が生じる。
As、フェライト、アルティック、CaTiO3 等の材
料により形成される。厚さは、通常、0.5〜10mm
程度とされる。
し、さらに、少なくとも軟磁性層20の成膜時に、後述
する膜面内の一方向に外部磁場を印加して、異方性磁界
Hkを2〜20Oe、より好ましくは2〜16Oe、特に2
〜10Oe付与することが好ましい。
ると、保磁力と同程度となってしまい、0磁場を中心と
した直線的なMR変化曲線が実質的に得られなくなるた
め、MR素子としての特性が劣化する。また20Oeより
大きいと、この膜をMRヘッド等に適用した場合、出力
が低下しやすく、かつ分解能が低下する。ここでこれら
のHkは、外部磁場として成膜時に10〜300Oeの磁
場を印加することで得られる。外部磁場が10Oe以下で
はHkを誘起するのに十分ではないし、また、300Oe
を越えても効果は変わらないが、磁場発生のためのコイ
ルが大きくなってしまい、費用もかさんで非効率的であ
る。
返し積層したものを、磁気抵抗効果膜とすることもでき
る。磁性多層膜の繰り返し積層回数nに特に制限はな
く、目的とする磁気抵抗変化率等に応じて適宜選択すれ
ばよい。昨今の磁気記録の超高密度化に対応するために
は、磁性多層膜の全層厚が薄いほど良い。しかし薄くな
ると通常、MR効果は同時に小さくなってしまうが、本
発明に用いられる磁性多層膜は、繰り返し積層回数nが
1の場合でも十分実用に耐えうる多層膜を得ることがで
きる。また、積層数を増加するに従って、抵抗変化率も
増加するが、生産性が悪くなり、さらにnが大きすぎる
と素子全体の抵抗が低くなりすぎて実用上の不便が生じ
ることから、通常、nを10以下とするのが好ましい。
nの好ましい範囲は1〜5である。
タ法にて行なわれる。磁性多層膜1の成膜、特に、反強
磁性層50の成膜に際して、真空成膜装置内の到達圧力
は2×10-9Torr以下、好ましくは8×10-10 T
orr以下、さらに好ましくは2×10-10 Torr以
下に設定される。到達圧力とは、成膜開始前の成膜装置
内の圧力として定義され、成膜時の圧力とは異なる。
超えると、本発明の所望の特性を備える反強磁性層50
が形成できない。
囲は、膜質の向上という観点から、従来より提案されて
いない範囲のものである。到達圧力2×10-9Torr
以下の条件を達成するためには、一般には行なわれてい
ないスパッタ装置の構成が必要となる。すなわち、真空
シール部分をすべて金属ガスケットとすること、装置を
全てステンレスもしくはAlで形成すること、装置の組
み上げ時に真空中高温でガス出しすること、および排気
動作の中で真空槽全体を高温にベーキングして残留ガ
ス、H2 O分を徹底的に強制排気すること、および2×
10-9Torr以下での動作が可能な特殊な排気ポンプ
を使用することが必要である。
に含有される酸素濃度は、反強磁性層50の形成の場
合、1〜600ppm、好ましくは1〜500ppm、
より好ましくは1〜300ppmに設定される。ターゲ
ットに含有される酸素濃度が上記の限界範囲を超える
と、本発明の所望の特性を備える反強磁性層50を形成
することが困難になる。ここで、ターゲットに含有され
る酸素濃度とは、ターゲットの一部を用いて燃焼させ生
成したCO2 ガス量を用いて分析される。さらに、スパ
ッタ時に導入されるスパッタガス中の不純物(例えば、
H2 O、CO2 、He等)の濃度の合計は、0.1〜1
00ppb、好ましくは、0.1〜50ppb、さらに
好ましくは0.1〜10ppb、またさらに好ましくは
0.1〜5ppbに設定される。スパッタガス中の不純
物濃度が100ppbを超えると、本発明の所望の特性
を備える反強磁性層50が形成できない。特に、スパッ
タガス中のH2 O不純物濃度は、膜質に影響を及ぼしや
すく40ppb以下、好ましくは10ppb以下、さら
に好ましくは5ppb以下に設定する必要がある。
成膜装置内の運転圧力は、通常、1×10-4〜1×10
-2Torrに設定される。
は、それぞれ、上記の成膜条件に従って行うことが、磁
気抵抗効果膜の特性をさらに向上させるために望まし
い。
ケイ素、MgO、GaAs、フェライト、アルティッ
ク、CaTiO3 等を用いることができる。成膜に際し
ては、前述したように軟磁性層20成膜時に、膜面内の
一方向に10〜300Oeの外部磁場を印加することが好
ましい。これにより、軟磁性層20に異方性磁場Hkを
付与することができる。なお、外部磁場の印加方法は、
軟磁性層20成膜時のみ、磁場の印加時期を容易に制御
できる。例えば電磁石等を備えた装置を用いて印加し、
反強磁性層50成膜時は印加しない方法であってもよ
い。あるいは、成膜時を通して常に一定の磁場を印加す
る方法であってもよい。
層20の成膜時に膜面内の一方向に外部磁場を印加して
異方性磁場Hk誘起することで、さらに高周波特性を優
れたものとすることができる。
は、軟磁性層20を成膜する際の印加磁場の方向と垂直
方向に磁場を印加すると良い。つまり磁性多層膜の膜面
内でかつ、測定電流と直角方向となる。ここで印加する
磁場の大きさは10〜300Oeの範囲にあればよい。こ
れにより、反強磁性層50により強磁性層40の磁化の
方向が確実に印加磁場方向(測定電流と直角方向)に固
着され、信号磁場によってその向きを容易に変えうる軟
磁性層20の磁化と最も合理的に反平行状態を作り出す
ことができる。もっともこれは必要条件ではなく、反強
磁性層を成膜する際、および軟磁性層を成膜する際に印
加する磁場の方向が同じ向きであっても良い。この時は
磁性多層膜の成膜後、工程中で150〜300℃、特に
200℃程度の熱処理を行う際に、短冊短辺方向(軟磁
性層20を成膜する際の印加磁場の方向と垂直方向)に
磁場を印加しながら、温度を下げていくと良い。
1を備える磁気抵抗効果膜3は、磁気抵抗効果型ヘッド
(MRヘッド)、MRセンサ、強磁性メモリ素子、角度
センサ等に応用される。
ヘッドに応用した例を挙げて説明する。本発明における
磁気抵抗効果型ヘッド(MRヘッド)としては、巨大磁
気抵抗効果(GMR)を示す磁性多層膜を備えるスピン
バルブヘッドが好適例として挙げられる。
ド)としてスピンバルブヘッドを採り挙げて説明する。
ド(MRヘッド)150は、信号磁場を感磁するための
感磁部分としての磁気抵抗効果膜200と、この磁気抵
抗効果膜200の両端部200a,200aに形成され
た電極部100,100とを有している。そして、感磁
部分としての磁気抵抗効果膜200の端部200a,2
00aは、その両端部全体が電極部100,100に接
する状態で接続されていることが好ましい。なお、導体
膜120,120は、前記電極部100,100を介し
て磁気抵抗効果膜200と導通している。本発明では、
後の説明をわかりやすくするために、便宜上、導体膜1
20と電極部100とに分けているが、導体膜120と
電極部100は、本来一体的に薄膜形成法により形成さ
れている場合が多く、これらは一つ部材と考えてもよい
ものである。
抵抗効果膜200は、前記図1に示される磁性多層膜1
を有する磁気抵抗効果膜3と実質的に同様な積層構造の
ものが用いられる。すなわち、磁気抵抗効果膜200
は、実質的に図1に示される磁性多層膜を有する磁気抵
抗効果膜3に置換され、その結果、磁気抵抗効果膜20
0は、非磁性金属層30と、非磁性金属層30の一方の
面に形成された強磁性層40と、非磁性金属層30の他
方の面に形成された軟磁性層20と、前記強磁性層40
の磁化の向きをピン止めするために強磁性層40の上
(非磁性金属層30と接する面と反対側の面)に形成さ
れた反強磁性層50と、この反強磁性層50の上に形成
された保護層80を有している。
した磁気抵抗効果膜200は、いわゆるスピンバルブ型
の磁気抵抗変化を示すという点である。スピンバルブ型
の磁気抵抗変化とは、非磁性金属層30と、非磁性金属
層30の一方の面に形成された強磁性層40と、非磁性
金属層30の他方の面に形成された軟磁性層20と、前
記強磁性層40の磁化の向きをピン止めするために強磁
性層の上に形成された反強磁性層50とを有する磁性多
層膜において、外部の信号磁界が0の時に軟磁性層20
とピン止めされた強磁性層40のスピンの成す角度が、
鋭角方向から見てほぼ、90度に近く設定されているも
のをいう。実際は45〜90度の角度であることが多い
が、特に好ましくは90度(磁化の直交化)に設定する
のがよい。磁気抵抗効果曲線(MR曲線)が、外部磁場
が0のときを中心にしてプラス、マイナスの外部磁場に
対し、左右非対称となるようにするためである。
膜1を反強磁性層50のブロッキング温度Tb以上で磁
場中で真空熱処理を行う必要がある。この処理を直交化
熱処理と呼び、この時の温度を直交化温度と呼ぶ。成膜
中に印加する磁場であらかじめ直交化させておくことに
よっても実現可能である。しかしながら、その後のヘッ
ド製造プロセスでうける不可避の熱によって、その直交
状態が乱されてしまう。従って、好ましくはヘッド製造
プロセスの最後に直交化熱処理を行うのがよい。この直
交化熱処理の際、反強磁性層50の磁化方向のみ変化さ
せることが望ましい。この直交化温度はブロッキング温
度Tbよりも高く、軟磁性層20の誘導磁気異方向性が
消失する温度よりも低いことが望ましい。従って、ブロ
ッキング温度Tbが、軟磁性層20の誘導磁気異方向性
が消失する温度よりも高い場合に、直交化熱処理を行う
と、軟磁性層20の磁化方向が外部磁界に対して磁化容
易軸方向となり、外部磁界に対する磁気抵抗効果曲線に
ヒステリシスを持ってしまい線形性に問題が生じる。同
時に出力が低下してしまう。また、ブロッキング温度T
bが軟磁性層20の誘導磁気異方向性が消失する温度よ
りも低過ぎる場合には、磁気記録システム内のMRセン
サ動作中、およびスピンバルブヘッド作製プロセス時に
加わる温度により交換結合磁界Huaの劣化が生じ、スピ
ンバルブ膜として機能できないという問題がある。つま
り、軟磁性層20の誘導磁気異方向性が消失する温度よ
りも少し低い温度にブロッキング温度Tbをもつ反強磁
性層50を形成し、直交化熱処理を行うことが好まし
い。本発明においては、反強磁性層50の組成を上述し
た範囲内で適宜設定することにより、160〜400℃
の範囲のブロッキング温度Tbが選定可能となる。直交
化熱処理は、150〜410℃程度の範囲で行われる。
特に、本発明では、反強磁性層50の組成との関係で保
護層80の材質を選定しているので、例えば、210〜
250℃、2時間程度の熱処理プロセスを経ても、スピ
ンバルブ膜としての特性劣化が極めて少ない。
ド(MRヘッド)150には、磁気抵抗効果膜200お
よび電極部100,100を上下にはさむようにシール
ド層300,300が形成されるとともに、磁気抵抗効
果膜200とシールド層300,300との間の部分に
は非磁性絶縁層400が形成される。
00に用いられる強磁性層40、非磁性金属層30、軟
磁性層20、反強磁性層50、および保護層80は、そ
れぞれ、前記磁性多層膜の実施例で述べたものと同様の
材質、厚さのものを用いることが望ましい。
0を磁気抵抗効果膜200の積層方向にその端部200
a,200a全体が接する構造とする。すると、電子は
軟磁性層20と強磁性層40に挟まれた部分を中心に流
れつつ、軟磁性層20と強磁性層40とのスピンの方向
によって磁気散乱され、素子の抵抗が大きく変化する。
したがって微小な外部磁場の変化を大きな電気抵抗の変
化として検出することができるのである。
MRヘッドは、図5に示されるようなヘッド構造とする
ことが特に好ましい。すなわち、感磁部分である磁気抵
抗効果膜200と測定電流を流すための電極部100と
の間に、図示のごとく磁気抵抗効果膜200側から連結
用軟磁性層520および反強磁性層800(ないしは硬
磁性層800)を順次介在させる。しかも、連結用軟磁
性層520および反強磁性層800(ないしは硬磁性層
800)の一方端側は、磁気抵抗効果膜200の上部2
00a(軟磁性層に近い方向)の一部分を覆うように、
かつ他方端側は図示のごとく電極部100下面101ま
で潜り込んで形成される。さらに、電極部100のヘッ
ド中央側に位置する端部102は、磁気抵抗効果膜20
0の上部200a(軟磁性層に近い方向)の一部分を覆
い、かつ、連結用軟磁性層520および反強磁性層80
0の上部端部520a,800aをもそれぞれ覆うよう
に形成される。なお、連結用軟磁性層520としては、
例えば、NiFe,NiFeCr,NiFeRh,Ni
FeRu,CoZrNb,FeAlSi,FeZrN等
(厚さ10nm程度)が用いられ、反強磁性層800と
しては、Ru5 Rh15Mn,NiMn,FeMn,Pt
Mn,α−Fe2 O3 等(厚さ50nm程度)が用いら
れ、硬磁性層800としては、CoPt,CoPtCr
等(厚さ50nm程度)が用いられる。
抗効果膜200に形成される連結用軟磁性層520およ
び反強磁性層800の両方の効果によって極めて効率的
に縦バイアスを付与することができ、バルクハウゼンノ
イズを抑制したMRヘッド特性が得られる。また、電極
部100の端部102が、前述のように磁気抵抗効果膜
200を覆うように形成されていることにより、素子端
部での信号磁場の低下がなく、しかも1μm以下のよう
な狭トラック幅の形成が容易なMRヘッドが提供でき
る。
造工程の中でパターニング、平坦化等でベーキング、ア
ニーリング、レジストキュア等の熱処理が不可避であ
る。
抵抗効果膜では、構成する各層の厚さ故、耐熱性が問題
となる場合が多かった。本発明による磁気抵抗効果膜
(磁性多層膜)では磁場を印加し、磁性層に異方性磁場
を付与することにより、製膜後、300℃以下、一般に
100〜300℃、1時間程度の熱処理に十分対応でき
る。熱処理は通常、真空中、不活性ガス雰囲気中、大気
中等で行えばよいが、特に10-7Torr以下の真空(減圧
下)中で行なうことで特性劣化の極めて少ない磁気抵抗
効果膜(磁性多層膜)が得られる。また、加工工程での
ラッピングやポリッシングにおいてもMR特性が劣化す
ることはほとんどない。
層50との位置的関係を除外して、一般の保護層として
用いることも可能である。
ガラス基板5の上に下地層7(Ta;厚さ5nm)、強
磁性層40(Co;厚さ5nm)、ピン止め層としての
反強磁性層50(Ru3Rh15Mn82;厚さ10n
m)、保護層80(Rh;厚さ5nm)を基板側から順
次積層して、磁気抵抗効果膜のサンプル(実施例サンプ
ルI−1)を作製した。
し、成膜時には一定方向に誘導磁場を与えて磁場中での
成膜を行った。スパッタ条件として真空成膜装置内の到
達圧力を8×10-10 Torr;ターゲットの酸素含有
量200〜500ppm;スパッタガス中の不純物濃度
30ppb(その中で、H2 O濃度は8ppb)となる
ように設定した。
のアニール処理(熱処理)が、磁気抵抗効果膜の磁気特
性に及ぼす影響を調べる実験を行った。すなわち、
(1)成膜時(as depo ) および(2)250℃、2時
間のアニール処理(熱処理)後の交換結合エネルギーJ
kおよび飽和磁束密度Ms の値をそれぞれ求めるととも
に、アニール処理(熱処理)前後におけるこれらの変化
量(%)を算出した。
力計(VSM)用いて1KOeの磁場にて磁化曲線を描
き、この磁化曲線より、交換結合磁界Huaおよび強磁性
層40の飽和磁束密度Ms を求め、これらの値を用いて
Jkを算出した。交換結合磁界Huaは、例えば、図6に
示されるような磁化曲線において、原点Fからシフトし
たE点(C点とD点の中間)の磁界として定義される。
なお、図中、磁化曲線Aは磁化容易軸方向(成膜時に磁
場を印加した方向)、磁化曲線Bは磁化困難軸方向を示
している。
上記実施例サンプルI−1において用いた保護層80の
材質を、Rhから、Ru、Zr、Tiにそれぞれ変え
た。それ以外は、上記実施例サンプルI−1と同様にし
て、実施例サンプルI−2、実施例サンプルI−3、実
施例サンプルI−4をそれぞれ作製した。
例サンプルI−1において用いた保護層80の材質を、
Rhから、Taに変えた。それ以外は、上記実施例サン
プルI−1と同様にして、比較例サンプルI−1を作製
した。
例サンプルI−1において用いた保護層80の材質およ
び膜厚を、Rh(膜厚:5nm)から、Hf(膜厚:6
nm)に変えた。それ以外は、上記実施例サンプルI−
1と同様にして、比較例サンプルI−2を作製した。
例サンプルI−1において用いた保護層80の材質およ
び膜厚を、Rh(膜厚:5nm)から、Ta(膜厚:5
nm)/Rh(膜厚:5nm)の積層体に変えた。Ta
が直接、反強磁性層50に接している。それ以外は、上
記実施例サンプルI−1と同様にして、比較例サンプル
I−3を作製した。
例サンプルI−1において用いた保護層80の材質およ
び膜厚を、Rh(膜厚:5nm)から、Ta(膜厚:5
nm)/Ru(膜厚:5nm)の積層体に変えた。Ta
が直接、反強磁性層50に接している。それ以外は、上
記実施例サンプルI−1と同様にして、比較例サンプル
I−4を作製した。
膜時(as depo ) および(2)250℃、2時間のアニ
ール処理(熱処理)後の交換結合エネルギーJkおよび
飽和磁束密度Ms の値、並びにアニール処理(熱処理)
前後の変化量(%)の算出値を下記表1にそれぞれ示
す。
護層では、アニール処理(熱処理)前後のMs の変化量
が、32〜33%程度と極めて大きい。これに対して、
本発明の保護層ではアニール処理(熱処理)前後のMs
の変化量が、15〜18%程度と極めて小さく抑えられ
ている。特に、RhやRuからなる保護層にあっては、
変化量が約15%という極めて優れた効果が発現されて
いるのがわかる。また、従来のTaやHfからなる保護
層では、アニール処理(熱処理)前後のJk の変化量
が、29〜31%と極めて大きい。これに対して、本発
明の保護層ではアニール処理(熱処理)前後のJk の変
化量が、14〜20%程度と極めて小さく抑えられてい
る。特に、RhやRuからなる保護層にあっては、変化
量が約15%という極めて優れた効果が発現されている
のがわかる。
さらに、RhやRuが、反強磁性層50中に含有される
Mn合金との関係において、相互拡散に対する高いバリ
ア効果となっているためと考察される。
る、反強磁性層内に含まれる不純物濃度は、酸素濃度が
200〜400ppm、炭素濃度が、80〜200pp
m、硫黄濃度が80〜300ppm、塩素濃度が50〜
100ppmであった。反強磁性層内に含まれる不純物
濃度の測定方法は以下の手法により行った。
方法 本来は実際のヘッド状態として使われる層厚で評価する
べきであるが、解析の限界を超えているので、実際の磁
気抵抗効果膜を成膜するのと全く同じ成膜装置、および
成膜条件によって厚さ1〜3μm程度の反強磁性層を形
成する。この時、基板側からの影響を防ぐために、金属
の適当なバッファ層を設け、また酸化を防ぐために最上
層に他の金属の保護層を形成する。その後、2次イオン
質量分析装置(SIMS:Secondary Ion Mass Spectro
scopy )によって、定量分析を行う。
保護層として優れた機能を有していたRhに注目し、保
護層をRhとし、反強磁性層の構成組成を種々かえるこ
とにより、下記表2に示されるような種々のサンプルを
作製した。サンプルの作製手法は実験例Iと実質的に同
様とした。得られた各種サンプルについて、上記実験例
Iと同様な評価を行った。結果を下記表2に示す。
nを含有する(40at%以上含有)反強磁性層との組
み合わせで良好な結果が得られることがわかる。中でも
特に、MnおよびRuを含むRuRhMn、RuPtM
n、RuNiMnなどからなる反強磁性層との組み合わ
せで極めて良好な結果が得られる。
に、スピンバルブ(SV)タイプの磁気抵抗効果型ヘッ
ドの主要部であるスピンバルブ型の磁気抵抗効果膜を作
製した。すなわち、基板5(Al2 O3 付きのAlTi
C)の上に、下地層7(Ta;厚さ5nm)、軟磁性層
20(NiFe;厚さ9nm/Co;厚さ1nm)、非
磁性金属層30(Cu;厚さ2.5nm)、強磁性層4
0(Co;厚さ2nm)、反強磁性層50(Ru4 Rh
14Mn82;厚さ10nm)、および保護層80(Rh;
厚さ5nm)を順次積層してスピンバルブ型の磁気抵抗
効果膜(実施例サンプルIII−1)を作製した。
素濃度:200〜400ppm、炭素濃度:80〜20
0ppm、硫黄濃度:80〜300ppm、塩素濃度:
50〜100ppmであった。
のアニール処理(熱処理)が、磁気抵抗効果膜のMR変
化率(MR Ratio) の値に及ぼす影響を調べる実験を行っ
た。すなわち、(1)成膜時(as depo ) および(2)
250℃、2時間のアニール処理(熱処理)後のMR変
化率の値をそれぞれ求めるとともに、アニール処理(熱
処理)前後におけるMR変化率の変化量(%)を算出し
た。
きさの測定サンプルを作成し、外部磁界を面内に電流と
垂直方向になるようにかけながら、−300〜300Oe
まで変化させたときの抵抗を4端子法により測定した。
その抵抗からMR変化率ΔR/Rを求めた。MR変化率
ΔR/Rは、最大比抵抗をρmax 、最小比抵抗をρsat
とし、次式により計算した。
ρsat (%)。
の作製)上記実施例サンプルIII−1において用いた
保護層80の膜厚を、1nm、2nm、3nm、4n
m、8nmにそれぞれ変えた。それ以外は、上記実施例
サンプルIII−1と同様にして、実施例サンプルII
I−2、実施例サンプルIII−3、実施例サンプルI
II−4、実施例サンプルIII−5、実施例サンプル
III−6をそれぞれ作製した。
の作製)上記実施例サンプルIII−1において用いた
保護層80の材質を、RhからTaに変え、膜厚も、2
nm、3nm、4nm、5nmにそれぞれ変えた。それ
以外は、上記実施例サンプルIII−1と同様にして、
比較例サンプルIII−1、比較例サンプルIII−
2、比較例サンプルIII−3、比較例サンプルIII
−4をそれぞれ作製した。
膜時(as depo ) および(2)250℃、2時間のアニ
ール処理(熱処理)後のMR変化率、およびアニール処
理(熱処理)前後のMR変化率の変化量(%)を下記表
3にそれぞれ示す。
は、Ta保護層と比べて、MRの変化量が大きく改善さ
れていることがわかる。特に5nmの層厚で比較する
と、Rhの場合はMRの変化量が−8.5%、Taの場
合は−25%と大きな効果が確認された。Rhの層厚に
ついては、アニール後のMR変化率が4.0%以上得ら
れる約5nmが上限である。層厚の下限については、酸
化防止の十分な機能を果たすために約1nm以上が必要
である。好ましくは、2nm以上である。
の作製において、スパッタ条件を種々変えて、反強磁性
層中の不純物濃度(酸素、炭素、硫黄、塩素)が異なる
種々のサンプルを作製し、反強磁性層中の不純物濃度が
交換結合エネルギーJkに及ぼす影響を調べた。実験結
果を図7〜9のグラフにそれぞれ示した。この結果よ
り、交換結合エネルギーJkを0.1erg/cm2 以
上とするためには、酸素濃度を1〜2000ppm、炭
素濃度を1〜2000ppm、硫黄濃度を1〜1000
ppm、塩素濃度を1〜2000ppmの範囲に抑える
必要が生じることがわかる。
2×10-9Torr以下に排気された真空成膜装置内
で、酸素含有量600ppm以下のターゲットを用い
て、成膜時に導入されるスパッタガス中の不純物濃度の
総和を100ppb以下、かつスパッタガス中のH2 O
濃度が40ppb以下でのスパッタガス雰囲気中、スパ
ッタすることにより実現可能であることが確認されてい
る。
示されるようなスピンバルブ(SV)タイプの磁気抵抗
効果型ヘッドを作製した。
果膜を作製した。すなわち、基板5(Al2 O3 付きの
AlTiC)の上に、下地層7(Ta;厚さ5nm)、
軟磁性層20(NiFe;厚さ7nm)、非磁性金属層
30(Cu;厚さ2.5nm)、強磁性層40(Co;
厚さ3nm)、反強磁性層50(Ru3 Rh15Mn82;
厚さ10nm)、および保護層80(Rh;厚さ5n
m)を順次積層して磁気抵抗効果型ヘッドを作製した。
3 ギャップ膜を介して上部シールド層と下部シールド層
が形成されている。
されるようなインダクティブヘッド部を形成した。すな
わち、連結用軟磁性層520としてNiFeを厚さ10
nmに形成し、この連結用軟磁性層520の上に、反強
磁性層800としてRu5 Rh15Mn20を厚さ10nm
に形成し、この上に、さらに、Taからなる電極部10
0を形成して図5に示される構成のスピンバルブ(S
V)タイプの磁気抵抗効果型ヘッドを作製した。その
後、10-7Torrの真空中で、測定電流方向と直角かつ面
内方向に200Oeの磁界を印加しながら200℃から冷
却し、強磁性層のピン止め効果を誘起した。磁気抵抗効
果型ヘッドのトラック幅は1.2μmとした。このとき
のMR素子高さは1μm、感知電流は4mAとした。
磁場と出力電圧の関係を確認したところ、2.0mVの
出力電圧が確認された。これは、通常のスピンバルブヘ
ッドの約2倍という極めて大きな値である。
抵抗効果膜をヨーク型MRヘッドに応用した例が示され
る。ここでは、磁束を導くヨーク600、600の一部
に切り欠きを設け、その間に磁気抵抗効果膜200が薄
い絶縁膜400を介して形成されている。この磁気抵抗
効果膜200には、ヨーク600、600で形成される
磁路の方向と平行または直角方向に電流を流すための電
極(図示せず)が形成されている。 〔実験例VII〕図11には、本発明における磁気抵抗
効果素子をフラックスガイド型MRヘッドに応用した1
例が示される。磁気抵抗効果膜200は、高比抵抗、高
透磁率なフラックスガイド層700,710と磁気的に
結合して形成されている。このフラッスガイド層70
0,710が間接的に信号磁界を磁気抵抗効果膜200
に伝導する。また、非磁性絶縁層400を介して、フラ
ックスバックガイド層600(磁気抵抗効果膜200を
通った磁束の逃げ道)が形成される。また、フラックス
バックガイド層600は、非磁性絶縁層400を介して
磁気抵抗効果膜200の両側に設置されても良い。この
ヘッドの特徴は、記録媒体に磁界検出部を、ほぼ接触に
近いレベルまで接近させることができ、高い出力を得る
ことができることにある。
ある。すなわち、本発明は、スピンバルブ型の磁気抵抗
効果膜において、反強磁性層を、Mx Mn100-x (Mは
Ru、Rh、Re、Pt、Pd、Au、Ag、Fe、N
i、IrおよびCrから選ばれた少なくとも1種であ
り、15≦x≦58(xの単位は原子%))から構成
し、この上に形成される保護層をRh、Ru、Zr、T
iから選ばれた少なくとも1種から構成することによ
り、極めて熱安定性に優れ、MR変化率の劣化が少ない
磁気抵抗効果膜、および当該磁気抵抗効果膜を備えてな
る磁気抵抗効果型ヘッドが得られる。
る。
抗効果膜、特に磁性多層膜の構造の模式図である。
線とMR曲線の模式図である。
を示す概略斜視図である。
抵抗効果膜と電極部との好適な接続状態を示す概略斜視
図である。
る。
の酸素濃度が交換結合エネルギーJkに及ぼす影響を調
べたグラフである。
の炭素および硫黄濃度が交換結合エネルギーJkに及ぼ
す影響を調べたグラフである。
の塩素濃度が交換結合エネルギーJに及ぼす影響を調べ
たグラフである。
多層膜)をヨーク型MRヘッドに応用した1例を示す一
部省略断面図である。
多層膜)をフラックスガイド型MRヘッドに応用した1
例を示す一部省略断面図である。
Claims (19)
- 【請求項1】 非磁性金属層と、非磁性金属層の一方の
面に形成された強磁性層と、非磁性金属層の他方の面に
形成された軟磁性層と、前記強磁性層の磁化の向きをピ
ン止めするために強磁性層の上(非磁性金属層と接する
面と反対側の面)に形成された反強磁性層と、反強磁性
層の上(強磁性層と接する面と反対側の面)に形成され
た保護層とを有する多層膜を備えてなるスピンバルブ型
の磁気抵抗効果膜であって、 前記反強磁性層が、Mx Mn100-x (MはRu、Rh、
Re、Pt、Pd、Au、Ag、Fe、Ni、Irおよ
びCrから選ばれた少なくとも1種であり、15≦x≦
58(xの単位は原子%))からなり、 前記保護層がRh、Ru、Zr、Tiから選ばれた少な
くとも1種から構成されることを特徴とする磁気抵抗効
果膜。 - 【請求項2】 前記反強磁性層が、Mx Mn100-x (M
はRu、Rh、Re、Pt、Pd、Au、Ag、Fe、
Ni、IrおよびCrから選ばれた少なくとも1種であ
り、15≦x≦58(xの単位は原子%))からなり、 前記保護層がRh、Ruから選ばれた少なくとも1種か
らなる請求項1に記載の磁気抵抗効果膜。 - 【請求項3】 前記反強磁性層が、Rux My Mnz
(MはRh,Pt,Pd,Au,Ag,Re,Ni,I
rから選ばれた少なくとも1種であり、1≦x≦30,
1≦y≦30,69≦z≦90,10≦x+y≦31
(x,y,およびzの単位は原子%))からなり、 前記保護層がRh、Ruから選ばれた少なくとも1種か
らなる請求項1に記載の磁気抵抗効果膜。 - 【請求項4】 前記反強磁性層がMx Mn100-x (Mは
Ru、Rh、Re、Pt、Pd、Au、Ag、Fe、N
i、IrおよびCrから選ばれた1種であり、15≦x
≦58(xの単位は原子%))からなり、 前記保護層がZr、Tiから選ばれた少なくとも1種か
らなる請求項1に記載の磁気抵抗効果膜。 - 【請求項5】 前記保護層の厚さ(t)が、1nm≦t
≦5nmの範囲にある請求項1ないし請求項4のいずれ
かに記載の磁気抵抗効果膜。 - 【請求項6】 前記反強磁性層中には不純物としての酸
素を含有し、その酸素濃度が1〜2000原子ppmで
ある請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の磁気抵
抗効果膜。 - 【請求項7】 前記反強磁性層中には、さらに、不純物
としての炭素、硫黄、塩素を含み、反強磁性層中に含有
される炭素濃度が1〜2000原子ppm、硫黄濃度が
1〜1000原子ppm、塩素濃度が1〜2000原子
ppmである請求項6に記載の磁気抵抗効果膜。 - 【請求項8】 前記反強磁性層は、到達圧力2×10-9
Torr以下に排気された真空成膜装置内で、酸素含有
量600ppm以下のターゲットを用いて、成膜時に導
入されるスパッタガス中の不純物濃度の総和を100p
pb以下、かつスパッタガス中のH2 O濃度が40pp
b以下でのスパッタガス雰囲気中、スパッタ法にて成膜
されてなる請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の
磁気抵抗効果膜。 - 【請求項9】 前記磁気抵抗効果膜は、基板側から、軟
磁性層、非磁性金属層、強磁性層、反強磁性層、保護層
を順次備える多層膜構造を備えてなる請求項1ないし請
求項8のいずれかに記載の磁気抵抗効果膜。 - 【請求項10】 磁気抵抗効果膜と、導体膜と、電極部
とを含む磁気抵抗効果型ヘッドであって、 前記導体膜は、前記電極部を介して前記磁気抵抗効果膜
と導通しており、 前記磁気抵抗効果膜は、非磁性金属層と、非磁性金属層
の一方の面に形成された強磁性層と、非磁性金属層の他
方の面に形成された軟磁性層と、前記強磁性層の磁化の
向きをピン止めするために強磁性層の上(非磁性金属層
と接する面と反対側の面)に形成された反強磁性層と、
反強磁性層の上(強磁性層と接する面と反対側の面)に
形成された保護層とを有する多層膜を備えてなるスピン
バルブ型の磁気抵抗効果膜であり、 前記反強磁性層が、Mx Mn100-x (MはRu、Rh、
Re、Pt、Pd、Au、Ag、Fe、Ni、Irおよ
びCrから選ばれた少なくとも1種であり、15≦x≦
58(xの単位は原子%))からなり、 前記保護層がRh、Ru、Zr、Tiから選ばれた少な
くとも1種からなることを特徴とする磁気抵抗効果型ヘ
ッド。 - 【請求項11】 前記反強磁性層が、Mx Mn100-x
(MはRu、Rh、Re、Pt、Pd、Au、Ag、F
e、Ni、IrおよびCrから選ばれた少なくとも1種
であり、15≦x≦58(xの単位は原子%))からな
り、 前記保護層がRh、Ruから選ばれた少なくとも1種か
らなる請求項10に記載の磁気抵抗効果型ヘッド。 - 【請求項12】 前記反強磁性層が、Rux My Mnz
(MはRh,Pt,Pd,Au,Ag,Re,Ni,I
rから選ばれた少なくとも1種であり、1≦x≦30,
1≦y≦30,69≦z≦90,10≦x+y≦31
(x,y,およびzの単位は原子%))からなり、 前記保護層がRh、Ruから選ばれた少なくとも1種か
らなる請求項10に記載の磁気抵抗効果型ヘッド。 - 【請求項13】 前記反強磁性層がMx Mn100-x (M
はRu、Rh、Re、Pt、Pd、Au、Ag、Fe、
Ni、IrおよびCrから選ばれた1種であり、15≦
x≦58(xの単位は原子%))からなり、 前記保護層がZr、Tiから選ばれた少なくとも1種か
らなる請求項10に記載の磁気抵抗効果型ヘッド。 - 【請求項14】 前記保護層の厚さ(t)が、1nm≦
t≦5nmの範囲にある請求項10ないし請求項13の
いずれかに記載の磁気抵抗効果型ヘッド。 - 【請求項15】 前記反強磁性層中には不純物としての
酸素を含有し、その酸素濃度が1〜2000原子ppm
である請求項10ないし請求項14のいずれかに記載の
磁気抵抗効果型ヘッド。 - 【請求項16】 前記反強磁性層中には、さらに、不純
物としての炭素、硫黄、塩素を含み、反強磁性層中に含
有される炭素濃度が1〜2000原子ppm、硫黄濃度
が1〜1000原子ppm、塩素濃度が1〜2000原
子ppmである請求項15に記載の磁気抵抗効果型ヘッ
ド。 - 【請求項17】 前記反強磁性層は、到達圧力2×10
-9Torr以下に排気された真空成膜装置内で、酸素含
有量600ppm以下のターゲットを用いて、成膜時に
導入されるスパッタガス中の不純物濃度の総和を100
ppb以下、かつスパッタガス中のH2 O濃度が40p
pb以下でのスパッタガス雰囲気中、スパッタ法にて成
膜されてなる請求項10ないし請求項16のいずれかに
記載の磁気抵抗効果型ヘッド。 - 【請求項18】 前記積層成膜された磁気抵抗効果膜
は、150℃〜300℃の温度で熱処理されている請求
項10ないし請求項17のいずれかに記載の磁気抵抗効
果型ヘッド。 - 【請求項19】 前記磁気抵抗効果膜は、基板側から、
軟磁性層、非磁性金属層、強磁性層、反強磁性層、保護
層を順次備える多層膜構造を備えてなる請求項10ない
し請求項18のいずれかに記載の磁気抵抗効果型ヘッ
ド。
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