JP3488652B2 - 磁気抵抗効果膜及びその製造方法並びにそれを用いた磁気ヘッド - Google Patents

磁気抵抗効果膜及びその製造方法並びにそれを用いた磁気ヘッド

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    • H01F10/32Spin-exchange-coupled multilayers, e.g. nanostructured superlattices
    • H01F10/324Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer
    • H01F10/3268Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer the exchange coupling being asymmetric, e.g. by use of additional pinning, by using antiferromagnetic or ferromagnetic coupling interface, i.e. so-called spin-valve [SV] structure, e.g. NiFe/Cu/NiFe/FeMn

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気抵抗効果膜及
びその製造方法並びにそれを用いた磁気ヘッドに係る。
より詳細には、第一の強磁性体層の結晶粒径を制御する
とともに、第一の強磁性体層が高い軟磁気特性も維持で
きる、磁気抵抗効果膜及びその製造方法並びにそれを用
いた磁気ヘッドに関する。特に、本発明は磁気記録用再
生ヘッドあるいは磁気センサ等に好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気記録媒体及び磁気ヘッド
から構成される磁気記録装置では、記録密度の向上に伴
い、磁気ヘッドのさらなる高性能化が求められている。
このような高記録密度化に対応するため、現在の磁気ヘ
ッドは、媒体に情報を記録する際に用いる記録ヘッド、
及び、媒体に記録された情報を再生する際に用いる再生
ヘッド、に機能分離した2つのヘッド構成からなってい
る。そして、記録ヘッドには、媒体の高保磁力化に伴
い、飽和磁束密度の大きな材料が要求されている。一
方、再生ヘッドには、媒体の小型化に伴う相対速度の低
下に対応するため、従来の誘導型ヘッドに代えて、磁気
抵抗効果を利用したいわゆるMRヘッドを用いることで
再生出力の増加が図られている。
【0003】近年、さらに大きな磁気抵抗変化率を示す
伝導電子のスピン依存散乱を利用した巨大磁気抵抗効果
膜(GMR膜)が開発され、それを用いたGMRヘッド
の一つとして、スピンバルブ構造を用いたヘッドが提案
されている。その一例としては、特開平4−35831
0号公報に開示された技術が挙げられる。
【0004】スピンバルブ構造は、基本的に第一の強磁
性体層、非磁性体層、第二の強磁性体層、反強磁性体層
の4層から構成され、交換相互作用が働かない程度に厚
い膜厚の非磁性体層を挟んで2つの強磁性体層が配置さ
れた構造となっている。反強磁性体層と接する第二の強
磁性体層は、反強磁性体との交換結合を利用することで
磁化が一方向に固定されており、固定層と呼ばれる。こ
れに対して、非磁性体層の下に位置する第一の強磁性体
層の磁化は外部磁界に対して自由に回転することができ
るので、自由層と呼ばれる。このような構造に外部磁界
が印加されると、固定層は磁化の方向を維持し、自由層
は外部磁界の方向に回転する。その結果、2つの強磁性
体層の相対的な磁化の向きが変化し、伝導電子のスピン
依存散乱が変化して、磁気抵抗が変化する。外部磁界に
対して自由に回転する層には、例えばNiFe等のソフ
ト性の高い薄膜を用いて感度の向上を図られており、最
も実用的な構造と言える。
【0005】ところで、巨大磁気抵抗効果膜(GMR
膜)が利用している伝導電子のスピン依存散乱は、磁性
体層の内部において伝導電子の平均自由行程がスピンに
より異なる効果、いわゆるスピンに依存したバルク散乱
の効果と、非磁性体層と磁性体層との界面において伝導
電子が散乱される界面散乱の効果の二つからなるとされ
ている。このうち、界面散乱は界面の平坦性と密接な関
連を持っており、界面平坦性が低下して界面の乱れが大
きいとスピンに依存しない散乱が大きくなり、抵抗その
ものが大きくなってしまうので、抵抗変化率の低下をも
たらす。
【0006】この界面の平坦性を決定する要素の一つ
に、スピンバルブ膜を構成する各層の粒径が挙げられ
る。すなわち、各層の粒径が大きいと界面の平坦性が悪
化し、抵抗変化率が低下する。従って、大きな抵抗変化
率を得るためには各層の粒径を制御する技術の開発が望
まれている。
【0007】スピンバルブ構造において粒径を制御する
技術としては、特開平8−287420号公報に開示さ
れたものが挙げられる。同公報には、電気抵抗が小さ
く、感度の高い磁気抵抗効果素子を与える磁気抵抗効果
膜の構造として、第一の強磁性層の結晶粒径を8〜14
nmにすることにより、第一の強磁性層の軟磁気特性を
確保し、その上に形成される第二の強磁性層と反強磁性
層の間に強い交換結合を発生させる構造が説明されてい
る。また、同公報には、界面の荒れによる抵抗変化率の
低下を抑制するという目的で粒径を制御していないが、
イオンビームスパッタ法の成膜条件や他の成膜法によっ
て、自由層の粒径を制御することが記載されている。
【0008】上述したように、磁界感度の高い磁気抵抗
効果膜を得るためには、第一の強磁性体層が微弱な外部
磁界に対して自由に回転する必要があり、良好な軟磁気
特性を保持していなければならない。
【0009】この第一の強磁性体層(自由層)として
は、Ni−Fe合金が用いられることが多いが、一般的
に良好な軟磁気特性を得るために粒径を制御するという
ことは行われてはいない。何故ならば、第一の強磁性体
層の粒径を直接制御するためには、従来高い軟磁気特性
が得られていた第一の強磁性体層の成膜条件の変更が求
められるからである。しかしながら、高い抵抗変化率を
実現する所望の粒径が得られる成膜条件と、高い感度を
実現する良好な軟磁気特性が得られる成膜条件とは、必
ずしも一致しないという問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、スピ
ンバルブ構造の磁気抵抗効果膜を構成する第一の強磁性
体層(自由層)の成膜条件を変更することなく第一の強
磁性体層の粒径を制御可能な、磁気抵抗効果膜及びその
製造方法並びにそれを用いた磁気ヘッドを提供すること
である。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る磁気抵抗効
果膜は、基板上に、下地層、第一の強磁性体層、非磁性
体層、第二の強磁性体層及び反強磁性体層が順に積層さ
れてなる磁気抵抗効果膜において、前記第一の強磁性体
層は、結晶粒径が5nm以上14nm以下である前記下
地層の上に、エピタキシャル成長していることを特徴と
する。
【0012】本発明に係る磁気抵抗効果膜の製造方法
は、基板上に、下地層、第一の強磁性体層、非磁性体
層、第二の強磁性体層及び反強磁性体層が順に積層され
てなる磁気抵抗効果膜の製造方法において、前記下地層
は少なくとも窒素を含む雰囲気中で成膜され、次いで該
下地層上に前記第一の強磁性体層をエピタキシャル成長
させることを特徴とする。
【0013】本発明者は、基板上に第一の強磁性体層
(自由層)、非磁性体層、第二の強磁性体層(固定層)
及び反強磁性体層が順に積層された層構成からなるスピ
ンバルブ構造では、下地層の上に第一の強磁性体層をエ
ピタキシャル成長(下地層とその上に形成される層との
間に、一定の方位関係が保たれた成長)させることで、
第一の強磁性体層の結晶粒径は、下地となる先に形成さ
れている層の粒径を反映することを見出し、上述した本
発明を考案するに至った。
【0014】エピタキシャル成長のためには、上下に位
置する膜の格子定数の不整合度が15%程度が目安とさ
れているが、例えば下地膜が(111)配向を持つ面心
立方(fcc)構造であれば、その上に形成されたfc
c構造の膜は容易に(111)配向となり、その際、下
地膜上に形成された膜の結晶粒径は、下地膜の結晶粒径
に支配されることに本発明者は着目した。これにより、
スピンバルブ構造において、第一の強磁性体層を制御す
るために、第一の強磁性体層と基板との間に下地層を設
け、その下地層の粒径を制御することにより、第一の強
磁性体層の粒径を制御することが可能となる。
【0015】そして、上記第一の強磁性体層の粒径を制
御するためには、第一の強磁性体層を、結晶粒径が5n
m以上14nm以下の下地層上にエピタキシャル成長さ
せることが必須条件であることを、本発明者は実験によ
り見出した。
【0016】すなわち、本発明に係る磁気抵抗効果膜及
びその製造方法によれば、従来技術のように、第一の強
磁性体層の結晶粒径を制御するために第一の強磁性体層
の成膜条件を変更する必要がなくなる。換言すれば、本
発明では、第一の強磁性体層を形成する際には、良好な
軟磁気特性が実現できる成膜条件を採用できるので、従
来のように、結晶粒径を制御するために成膜条件を変更
して、軟磁気特性の劣化をまねくような危険性がない。
【0017】従って、本発明によれば、基板上に所定の
粒径からなる下地層を設け、その上に第一の強磁性体層
をエピタキシャル成長させることにより、高い軟磁気特
性が得られる第一の強磁性体層の成膜条件を変更するこ
となく、第一の強磁性体層の結晶粒径を高い抵抗変化率
が得られる所定の値に制御できるので、優れた磁界感度
と良好な抵抗変化率を兼ね備えた、磁気抵抗効果膜及び
その製造方法の提供が可能となる。
【0018】さらに、上記磁気抵抗効果膜を用いること
により、高性能の磁気ヘッドや磁界センサ等を容易に得
ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明者は、基板上に設けた下地
層の結晶粒径を制御するため、ArとN2からなる混合
ガスによる反応性スパッタ法を用いた。
【0020】その際、基板としてはSi(100)の単
結晶、下地層としては膜厚10nmのfcc構造のIr
を用い、成膜時にはN2ガスを0〜20流量%の割合で
導入した。成膜にはロードロック室を備える多元スパッ
タ装置を用い、プロセスチャンバーを5×10-8Tor
r以下まで排気した後、基板上にIrからなる下地膜を
形成した。そして、作製した下地膜の粒径をAFMによ
り評価した。
【0021】図1は、下地層を作製する際のN2流量比
と下地膜の粒径との関係を示すグラフである。図1よ
り、下地膜の粒径は窒素流量が増加するにしたがって単
調に小さくなることが分かった。
【0022】以下では、本発明の実施の形態を以下の実
施例に基づき説明する。
【0023】(実施例1)本例では、図1に示すように
粒径φを4〜15nmの範囲で変化させたIrからなる
下地膜上に、図2に示すスピンバルブ構造の磁気抵抗効
果膜を作製し、その抵抗変化率と下地層の粒径φとの関
係を調べた。
【0024】具体的には、Si(100)の単結晶から
なる基板21上に、下地層22として膜厚10nmのf
cc構造のIrを形成後、その上に第一の強磁性体層
(自由層)23として7nmのNiFe合金膜、非磁性
体層24として3.2nmのCu膜、第二の強磁性体層
(固定層)25として5nmのNiFe合金膜、反強磁
性体層26として12nmのRuMn合金膜を順に積層
させた。その際、反強磁性体層26となるRuMn合金
膜の作製には、Mnターゲット上にRuペレットを配置
した複合ターゲットを用い、Ruの組成は18at%と
した。
【0025】本例では、上記各層を作製する装置として
ロードロック室を備えた多元スパッタ装置を用い、プロ
セスチャンバーを5×10-8Torrまで排気した後、
すべての層を同一真空中で形成した。また、自由層2
3、固定層25及び反強磁性体層26は、成膜中に面内
の互いに直交する方向に、50Oeの磁界を印加しなが
ら形成した。
【0026】作製した積層膜、すなわち図2の構成から
なるスピンバルブ構造の磁気抵抗効果膜に対して、X線
回折測定を行った。その結果、下地層22の膜厚dに依
存せず、Ir(111)、NiFe(111)、Cu
(111)、RuMn(111)のみが観測され、全て
の層が(111)配向をしていることが分かった。ま
た、窒素流量の増加に伴い、回折線の半値幅は増加して
ブロードになる傾向を示したが、IrとNiFeの方位
関係は維持されていた。この実験結果より、Irからな
る下地層22とNiFe膜からなる第一の強磁性体層
(自由層)23との間に一定の方位関係が保たれたエピ
タキシャル成長が生じており、NiFe膜23の結晶粒
径はIr下地膜22の結晶粒径φに支配されていること
が明らかとなった。
【0027】図3は、下地層の粒径φと、窒素流量を0
として作製した下地層を有する磁気抵抗効果膜の抵抗変
化率で規格化された抵抗変化率との関係を示すグラフで
ある。図3より、磁気抵抗効果膜の抵抗変化率は、下地
膜の粒径φを5nm以上14nm以下の範囲としたと
き、窒素流量を0とした磁気抵抗効果膜の抵抗変化率を
上回ることが分かった。ここで、粒径の小さい側で抵抗
変化率が急激に減少するのは、NiFe合金膜の粒径が
微細化し過ぎて、軟磁気特性を失ったためと考えられ
る。
【0028】以上の結果より、下地膜の粒径φは抵抗変
化率が窒素流量0を上回っている5nm以上14nm以
下の範囲が望ましい。
【0029】本例では、下地膜としてIrを用いたが、
結晶構造がfcc構造のNiFe合金の下地膜として
は、エピタキシャル成長が可能なfcc構造であれば如
何なる材料でもよく、Irに限定されるものではない。
【0030】本例では、第一及び第二の強磁性体層とし
てNiFe合金を用いたが、Co、Fe、Niなどの強
磁性体、あるいはNiFe、FeCo等の合金からなる
単層膜、またはこれらの単体または合金の積層膜を用い
ることができ、本例と同様の結果を得ることができる。
【0031】本例では、反強磁性体層としてRuMn合
金を用いたが、NiMn合金、IrMn合金、PtMn
合金、RhMn合金等のMn系合金や、それらに他の元
素が添加された合金、あるいはNiO等を用いることが
できる。
【0032】また、基板と下地層の間には、密着性を向
上させる目的から、例えばTa、Ti、Nb、Crなど
の金属、または、これらの合金を形成しても構わない。
【0033】(実施例2)本例では、第一の強磁性体層
の膜厚dを2〜15nmの範囲で変化させ、図2に示す
スピンバルブ構造の磁気抵抗効果膜を作製した点が実施
例1と異なる。その際、下地層の成膜は窒素流量比5%
で行った。そして、作製した磁気抵抗効果膜の抵抗変化
率と第一の強磁性体層の膜厚dとの関係を調べた。
【0034】他の点は実施例1と同様とした。
【0035】図4は、第一の強磁性体層の膜厚と、最大
値で規格化された磁気抵抗効果膜の抵抗変化率との関係
を示すグラフである。図4より、抵抗変化率は第一の強
磁性体層の膜厚dが2nm以上10nm以下の範囲にあ
るとき、最大に近い抵抗変化率が安定して得られること
が分かった。この範囲より粒径が大きい側で抵抗変化率
が減少するのは、膜厚の増加により界面の平坦性が劣化
したためと考えられる。
【0036】この結果より、第一の強磁性体層の膜厚
は、抵抗変化率はほぼ一定で大きな値を示す2nm以上
10nm以下が望ましい。
【0037】(実施例3)本例では、反強磁性体層の膜
厚Dを5〜16nmの範囲で変化させ、図2に示すスピ
ンバルブ構造の磁気抵抗効果膜を作製した点が実施例1
と異なる。その際、下地層の成膜は窒素流量比5%で行
った。そして、作製した磁気抵抗効果膜のブロッキング
温度と反強磁性体層の膜厚Dとの関係を調べた。
【0038】他の点は実施例1と同様とした。
【0039】図5は、反強磁性体層の膜厚Dと、作製し
た磁気抵抗効果膜のブロッキング温度との関係を示すグ
ラフである。図5より、ブロッキング温度は、反強磁性
体層の膜厚Dが12nmで低下が始まり、8nmで20
0℃となり、その後急激に低下する傾向があることが分
かった。ブロッキング温度は、素子を磁気ヘッドなどに
応用した場合の信頼性を考えると200℃以上であるこ
とが望ましい。従って、反強磁性体層の膜厚としては、
8nm以上が好ましく、12nm以上がより好ましい。
【0040】(実施例4)本例では、本発明に係る磁気
抵抗効果膜を、図6に示す構成の磁気抵抗効果型ヘッド
に適用した場合について説明する。
【0041】図6の磁気抵抗効果型ヘッドを構成する磁
気抵抗効果膜65としては、下から順に、膜厚10nm
のIrからなる下地層、膜厚7nmのNiFe合金から
なる第一の強磁性体層、膜厚3.2nmのCuからなる
非磁性体層、膜厚5nmのNiFe合金からなる第二の
強磁性体層、膜厚10nmのRuMn合金からなる反強
磁性体層を積層形成したものを用いた。
【0042】図6の磁気抵抗効果型ヘッドは、予め下地
絶縁層(不図示)が形成された基板61上に、下部シー
ルド層62、第一の絶縁層63を順次積層し、その上に
Taからなる密着層64、磁気抵抗効果膜65、保護層
66を順に設け、その両端に自由層の磁区を制御するた
めの磁区制御膜67を形成した後、磁区制御膜67上に
電極層68を設け、次いで全体を覆うように第二の絶縁
層69を形成した後、上部シールド層70を形成した構
造である。
【0043】以下では、具体的な製造方法について述べ
る。
【0044】まず、予めAl23からなる下地絶縁層
(不図示)が形成されたAl23−TiCからなる基板
上61に、下部シールド層62となるFeAlSi膜を
スパッタ法により形成した。その後、下部シールド層6
2をフォトリソグラフィーとイオンミリング法により所
定のパターンに形成した。さらに、パターニングされた
下部シールド層62上に膜厚120nmのAl23から
なる第一の絶縁層63をスパッタ法により形成した。
【0045】次に、Al23からなる第一の絶縁層63
との密着性向上のため、膜厚5nmのTa膜からなる密
着層64をスパッタ法により形成した。
【0046】その後、磁気抵抗効果膜65として、膜厚
10nmのIrからなる下地層、膜厚7nmのNiFe
合金からなる第一の強磁性体層、膜厚3.2nmのCu
からなる非磁性体層、膜厚5nmのNiFe合金からな
る第二の強磁性体層、膜厚10nmのRuMn合金から
なる反強磁性体層を、同一真空中でスパッタ法により順
に積層形成した。ここで、固定層及び自由層を成膜する
際は、膜面内の互いに直交する方向に、50Oeの磁界
を印加しながら形成した。
【0047】さらに、磁気抵抗効果膜65上に、保護層
66として膜厚5nmのTa膜をスパッタ法により形成
した。
【0048】次いで、密着層64、磁気抵抗効果膜65
及び保護層66を、下部シールド層62と同様の方法で
所定のパターンに加工した後、磁気抵抗効果膜65の両
端に接触するように膜厚30nmのCoPtからなる磁
区制御膜67を形成後、磁区制御膜67上に、膜厚13
0nmのTa膜/Cu膜/Ta膜からなる電極層68を
スパッタ法により成膜した。その後、磁区制御膜67及
び電極層68はリフトオフ法を用いてパターンニングし
た。
【0049】次いで、全体を覆うように、膜厚100n
mのAl23からなる第二の絶縁層69をスパッタ法で
形成した後、膜厚3μmのNiFeからなる上部シール
ド層70をスパッタ法で形成し、最後にAl23からな
る保護層(不図示)をスパッタ法で形成した。
【0050】その後、機械研磨により、磁気抵抗効果素
子の高さが所定の寸法になるまで研磨を行った。本例で
は、磁気抵抗効果素子の幅(トラック幅)は2μm、素
子の高さは1μmとした。
【0051】本例では上記構成とすることによって、抵
抗変化率が高く、磁界感度が向上した磁気ヘッドを作製
することができた。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
基板上に、下地層、第一の強磁性体層、非磁性体層、第
二の強磁性体層及び反強磁性体層が順に積層されてなる
磁気抵抗効果膜において、前記第一の強磁性体層を、結
晶粒径が5nm以上14nm以下である前記下地層の上
に、エピタキシャル成長させることにより、第一の強磁
性体層の成膜条件を変更することなくその結晶粒径を制
御できるので、高い抵抗変化率を有する磁気抵抗効果膜
が得られる。
【0053】また、第一の強磁性体層の膜厚を2nm以
上10nm以下に、あるいは反強磁性体層の膜厚を8n
m以上とすることで、高い抵抗変化率に加えて磁界感度
も向上させることができる。
【0054】さらに、本発明に係る磁気抵抗効果膜を用
いることにより、高性能の磁気ヘッドや磁界センサ等、
優れた磁気デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】下地層を作製する際のN2流量比と下地膜の粒
径との関係を示すグラフである。
【図2】本発明に係る磁気抵抗効果膜の一例を示す模式
的な断面図である。
【図3】下地層の粒径φと、窒素流量を0として作製し
た下地層を有する磁気抵抗効果膜の抵抗変化率で規格化
された抵抗変化率との関係を示すグラフである。
【図4】第一の強磁性体層の膜厚と、最大値で規格化さ
れた磁気抵抗効果膜の抵抗変化率との関係を示すグラフ
である。
【図5】反強磁性体層の膜厚Dと、作製した磁気抵抗効
果膜のブロッキング温度との関係を示すグラフである。
【図6】本発明に係る磁気抵抗効果膜を用いた磁気抵抗
効果型ヘッドの一例を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
21 基板、 22 下地層、 23 第一の強磁性体層(自由層)、 24 非磁性体層、 25 第二の強磁性体層(固定層)、 26 反強磁性体層、 61 基板、 62 下部シールド層、 63 第一の絶縁層、 64 密着層、 65 磁気抵抗効果膜、 66 保護層、 67 磁区制御膜、 68 電極層、 69 第二の絶縁層、 70 上部シールド層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01F 41/18 H01L 43/12 H01L 43/12 G01R 33/06 R (72)発明者 高橋 研 宮城県仙台市太白区人来田2丁目20−2 (56)参考文献 特開 平9−69209(JP,A) 特開 平7−99114(JP,A) 特開 2000−156530(JP,A) 特開 平11−74121(JP,A) 特開 平9−16939(JP,A) 特開 平8−287420(JP,A) 特開 平7−273385(JP,A) 特開 平5−211326(JP,A) 特開 平8−87722(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 43/08 G01R 33/09 G11B 5/39 H01F 10/08 H01F 10/26 H01F 41/18 H01L 43/12

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、下地層、第一の強磁性体層、
    非磁性体層、第二の強磁性体層及び反強磁性体層が順に
    積層されてなる磁気抵抗効果膜において、前記第一の強
    磁性体層は、結晶粒径が5nm以上14nm以下である
    前記下地層の上に、エピタキシャル成長していることを
    特徴とする磁気抵抗効果膜。
  2. 【請求項2】 前記第一の強磁性体層の膜厚が2nm以
    上10nm以下であることを特徴とする請求項1に記載
    の磁気抵抗効果膜。
  3. 【請求項3】 前記反強磁性体層の膜厚が8nm以上で
    あることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果
    膜。
  4. 【請求項4】 前記第一及び第二の強磁性体層は、少な
    くともNi、Fe、Coのいずれか一つの元素を含む、
    単層膜又は積層膜であることを特徴とする請求項1に記
    載の磁気抵抗効果膜。
  5. 【請求項5】 基板上に、下地層、第一の強磁性体層、
    非磁性体層、第二の強磁性体層及び反強磁性体層が順に
    積層されてなる磁気抵抗効果膜の製造方法において、前
    記下地層は少なくとも窒素を含む雰囲気中で成膜され、
    次いで該下地層上に前記第一の強磁性体層をエピタキシ
    ャル成長させることを特徴とする磁気抵抗効果膜の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の
    磁気抵抗効果膜を用いたことを特徴とする磁気ヘッド。
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