JPWO2018100837A1 - 磁化反転素子、磁気抵抗効果素子、集積素子及び集積素子の製造方法 - Google Patents

磁化反転素子、磁気抵抗効果素子、集積素子及び集積素子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2018100837A1
JPWO2018100837A1 JP2018519074A JP2018519074A JPWO2018100837A1 JP WO2018100837 A1 JPWO2018100837 A1 JP WO2018100837A1 JP 2018519074 A JP2018519074 A JP 2018519074A JP 2018519074 A JP2018519074 A JP 2018519074A JP WO2018100837 A1 JPWO2018100837 A1 JP WO2018100837A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
magnetization
single crystal
ferromagnetic metal
integrated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018519074A
Other languages
English (en)
Inventor
智生 佐々木
智生 佐々木
陽平 塩川
陽平 塩川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Publication of JPWO2018100837A1 publication Critical patent/JPWO2018100837A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10BELECTRONIC MEMORY DEVICES
    • H10B61/00Magnetic memory devices, e.g. magnetoresistive RAM [MRAM] devices
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10BELECTRONIC MEMORY DEVICES
    • H10B99/00Subject matter not provided for in other groups of this subclass
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N50/00Galvanomagnetic devices
    • H10N50/01Manufacture or treatment
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N50/00Galvanomagnetic devices
    • H10N50/10Magnetoresistive devices
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N50/00Galvanomagnetic devices
    • H10N50/80Constructional details
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N50/00Galvanomagnetic devices
    • H10N50/80Constructional details
    • H10N50/85Magnetic active materials

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Hall/Mr Elements (AREA)

Abstract

この磁化反転素子は、単結晶基板と、磁化安定化層と、第1強磁性金属層と、接合層と、を順に有し、少なくとも前記単結晶基板、前記磁化安定化層及び前記第1強磁性金属層が単結晶化している。

Description

本発明は、磁化反転素子、磁気抵抗効果素子、集積素子及び集積素子の製造方法に関するものである。
本願は、2016年12月2日に、日本に出願された特願2016−235238号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
強磁性層と非磁性層の多層膜からなる巨大磁気抵抗(GMR)素子、及び、非磁性層に絶縁層(トンネルバリア層、バリア層)を用いたトンネル磁気抵抗(TMR)素子が磁気抵抗効果素子として知られている。これらの素子は、磁気センサ、高周波部品、磁気ヘッド及び不揮発性ランダムアクセスメモリ(MRAM)に用いることができ、注目が集まっている。
特定の複雑な機能を果たすために、多数の素子を一つに集積する試みが行われている。集積回路(IC)はその一例であり、特許文献1には多数のデバイスが3次元的に積層された集積回路が記載されている。
従来、TMR素子やGMR素子に代表される磁気抵抗効果素子は、磁気ヘッド等の用途として用いられることが多く、集積化の取り組みは十分行われていなかった。しかしながら、MRAM等のメモリセルとしての用途の開発と共に、集積回路内に磁気抵抗効果素子を組み込む要望が強まっている。
しかしながら、磁気抵抗効果素子は原子数層分の層が積層された素子である。そのため、従来の集積回路に組み込まれていたキャパシタやダイオード等と比較して、磁気抵抗効果素子を集積回路内に組み込むためにはより精密な制御が求められる。
例えば、非特許文献1には、半導体素子を含む集積基板上にスピン注入メモリ(STT―MRAM)を積層しても、高い磁気異方性が得られないことが記載されている。
非特許文献1には、集積基板上にSTT−MRAMを積層しても高い磁気異方性を実現できない理由として、半導体素子を含む集積基板が結晶配向性を有さないことが記載されている。結晶配向性を有さない集積基板はエピタキシャル層を積層するための下地層として好ましくなく、高い磁気異方性を有する磁化膜を積層できないことが非特許文献1には記載されている。
特開2008−288384号公報
K.Yakushiji, A.Sugihara, H.takagi, Y.Kurashima, N.Watanabe,K.Kikuchi, M.Aoyagi, and S.Yuasa, 第40回日本磁気学会学術講演概要集、6aA−7(2016).
非特許文献1では、Si基板と磁気抵抗効果素子との間にアモルファスのTa層を積層している。つまり、Si基板と磁気抵抗効果素子の間の結晶学的なつながりはない。そのため非特許文献1に記載の磁気抵抗効果素子(MTJ)が得られる磁気異方性は、アモルファス層を積層した集積基板上に磁気抵抗効果素子を積層した場合とほとんど変わらない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、集積基板上でも高い磁気異方性を有する磁化反転素子、磁気抵抗効果素子及び集積素子を提供すること、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、集積基板と接合する磁化反転素子又は磁気抵抗効果素子を単結晶上にエピタキシャル成長させて得られたものとすることで、高い磁気異方性を実現できることを見出した。
(1)第1の態様にかかる磁化反転素子は、単結晶基板と、磁化安定化層と、第1強磁性金属層と、接合層と、を順に有し、少なくとも前記単結晶基板、前記磁化安定化層及び前記第1強磁性金属層が全体で単結晶化している。
(2)上記態様にかかる磁化反転素子において、前記単結晶基板と前記磁化安定化層とが異なる材料を含んでもよい。
(3)上記態様にかかる磁化反転素子において、前記単結晶基板が、Si、GaAs、Ge、MgO、スピネル型構造を有する物質、及び立方晶のペロブスカイト構造を有する物質からなる群から選択される少なくとも一つからなってもよい。
(4)上記態様にかかる磁化反転素子において、前記磁化安定化層が、MgO、Ir及びスピネル型構造を有する物質からなる群から選択される少なくとも一つからなってもよい。
(5)上記態様にかかる磁化反転素子において、前記第1強磁性金属層がFeを含有する立方晶の強磁性金属であってもよい。
(6)上記態様にかかる磁化反転素子において、前記単結晶基板と前記磁化安定化層の格子整合度が10%以下であってもよい。
(7)上記態様にかかる磁化反転素子において、前記磁化安定化層と前記第1強磁性金属層の格子整合度が6%以下であってもよい。
(8)上記態様にかかる磁化反転素子において、前記磁化安定化層の厚みが1nm以上であってもよい。
(9)上記態様にかかる磁化反転素子において、前記接合層が、Ta、Au、In、Cu、Ag、Pt、Pd、Ti、V、Ruからなる群から選択される少なくとも一つ以上の元素を含んでもよい。
(10)第2の態様にかかる磁気抵抗効果素子は、上記態様にかかる磁化反転素子の前記第1強磁性金属層と前記接合層との間に、非磁性層と第2強磁性金属層とを、前記第1強磁性金属層側から順に有する。
(11)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子において、前記第2強磁性金属層が、シンセティック反強磁性構造を有してもよい。
(12)第3の態様にかかる集積素子は、半導体素子を含む集積基板と、上記態様にかかる磁化反転素子、又は、上記態様にかかる磁気抵抗効果素子と、を有し、前記磁化反転素子又は前記磁気抵抗効果素子は、前記集積基板に対して前記接合層を介して接合している。
(13)上記態様にかかる集積素子において、前記集積基板と前記磁化反転素子又は前記磁気抵抗効果素子との間に第2接合層をさらに有し、前記接合層と前記第2接合層とが同一の材料を含んでもよい。
(14)第4の態様にかかる集積素子の製造方法は、上記態様にかかる磁化反転素子、又は、上記態様にかかる磁気抵抗効果素子を、半導体素子を含む集積基板上に前記接合層を介して接合する工程を有する。
(15)上記態様にかかる集積素子の製造方法において、前記磁化反転素子又は前記磁気抵抗効果素子における前記単結晶基板に水素イオンをイオン注入する工程と、イオン注入後の単結晶基板を加熱し、前記水素イオンが注入された部分で、前記単結晶基板を切断する工程と、をさらに有してもよい。
(16)上記態様にかかる集積素子の製造方法において、前記磁化反転素子又は前記磁気抵抗効果素子と前記集積基板とを接合する前に、前記イオン注入を行ってもよい。
(17)上記態様にかかる集積素子の製造方法において、前記磁化反転素子又は前記磁気抵抗効果素子における前記単結晶基板の途中又は前記単結晶基板と前記磁化安定化層との間にグラフェンを積層する工程と、前記グラフェンが積層された界面で劈開し、前記単結晶基板を除去する工程と、をさらに有してもよい。
(18)上記態様にかかる集積素子の製造方法において、前記磁化反転素子又は前記磁気抵抗効果素子を積層する際に、単結晶基板上に、少なくとも磁化安定化層と第1強磁性金属層とをエピタキシャル成長させてもよい。
本発明によれば、集積基板上でも高い磁気異方性を有する磁化反転素子、磁気抵抗効果素子及び集積素子及びその製造方法を提供できる。
第1実施形態にかかる集積素子の断面模式図である。 第1実施形態にかかる集積素子に用いられる磁気抵抗効果素子の断面模式図である。 第1実施形態にかかる集積素子に用いられる磁気抵抗効果素子の別の例の断面模式図である。 第1実施形態にかかる集積素子の製造方法を説明するための図である。 第2実施形態にかかる集積素子の断面模式図である。 第2実施形態にかかる集積素子に用いられる磁化反転素子の断面模式図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
<第1実施形態>
「積層素子」
図1は、第1実施形態にかかる積層素子の断面模式図である。図1に示すように、第1実施形態にかかる積層素子は、集積基板70と磁気抵抗効果素子100(図2参照)とが接合層40を介して接合されたものである。図1は、磁気抵抗効果素子100の単結晶基板10(図2参照)が接合後に除去された状態を示している。図1に示す磁気抵抗効果素子100は、集積基板70と磁気抵抗効果素子100の間に第2接合層80を有する。
「磁気抵抗効果素子」
図2は、第1実施形態にかかる集積素子に用いられる磁気抵抗効果素子の断面模式図である。図2に示す磁気抵抗効果素子100は、単結晶基板10と、磁化安定化層20と、第1強磁性金属層30と、非磁性層50と、第2強磁性金属層60と、接合層40とを備える。磁気抵抗効果素子100において少なくとも単結晶基板10、磁化安定化層20及び第1強磁性金属層30は、単結晶化している。
「単結晶化している」とは、単結晶基板10上に少なくとも磁化安定化層20及び第1強磁性金属層30がエピタキシャル成長しており、原子レベルで積層界面が接続されていることを意味する。
「原子レベルで積層界面が接続されている」とは、全ての原子が積層方向に連続に接続されている必要はなく、積層界面の90%以上の原子が積層方向に連続していればよい。
また「原子レベルで積層界面が接続されている」ことは、走査型透過電子顕微鏡(STEM)像から確認できる。STEM像のみで確認し難い場合は、STEM像から得られる界面近傍領域の情報をフーリエ変換して得られる(220)スポットの逆フーリエ変換像を確認する。逆フーリエ変換像では、原子の積層方向の情報を抽出するため、ミスフィット転位の有無を容易に観察できる。
磁気抵抗効果素子100の少なくともこれらの層が単結晶化することで、磁気抵抗効果素子100のMR比が向上する。磁気抵抗効果素子100は、一般に基板から順に積層される。磁気抵抗効果素子100における各層の厚みは数nm〜数十nmと極めて薄く、下地の影響を受けやすい。基板に単結晶を用い、単結晶上に各層をエピタキシャル成長させると、各層の結晶性が高まる。その結果、第1強磁性金属層30の磁気異方性を高めることができ、磁気抵抗効果素子100のMR比が向上する。
単結晶基板を平坦化する技術は確立されている。平坦化した単結晶上にエピタキシャル成長した各層は高い平坦性を有し、磁気抵抗効果素子100が高い平坦性を持つ積層膜となる。例えば、磁気抵抗効果素子100の電流経路が限定される構造において、積層される各層が少なくとも原子3層以内の平坦さをもつと、印加電圧に対する耐圧性も向上する。
さらに、単結晶上に各層をエピタキシャル成長させた場合、粒状成長することが避けられる。その結果、粒界で実効的に低下してしまう非磁性層のバリアハイトを高いままに維持することができる。これにより磁気抵抗効果素子100の耐圧性の向上のみならず、デバイス製造の歩留まりも向上させることができる。
以下、各層の構成について具体的に説明する。
(単結晶基板)
単結晶基板10は、磁気抵抗効果素子100の基礎となる層である一方で、集積素子200では除去可能な層である。そのため単結晶基板10は、磁気抵抗効果素子100の製造に焦点を絞って選択できる。
磁気抵抗効果素子100のMR比を向上させるために、単結晶基板10は積層される磁化安定化層20との格子整合性が高い材料からなることが好ましい。具体的には、単結晶基板10は、Si、GaAs、Ge、MgO、スピネル型構造を有する物質、及び立方晶のペルブスカイトを有する物質からなる群から選択される少なくとも一つからなることが好ましい。スピネル型構造を有する物質としては、例えばMgAl、ZnAl、及びγ−Al等が挙げられ、立方晶のペロブスカイト構造を有する物質としては、SrTiO等が挙げられる。
ここで「格子整合性が高い」とは、積層される側の結晶の周期構造と積層する側の結晶の周期構造との一致度が高いことを意味する。以下、この格子整合性の高さを格子整合度と言う指標で表す。格子整合度は、積層される側の結晶の周期構造をA、積層する側の結晶の周期構造をBとすると、|A−B|/A×100で表記される指標である。格子整合度が小さいほど格子整合性は高く、格子整合度が大きいほど格子整合性は低くなる。積層される側の結晶の周期構造A及び積層される側の結晶の周期構造Bとしては、それぞれの結晶の格子定数の整数倍等を用いることができる。
(磁化安定化層)
磁化安定化層20は、単結晶基板10上に積層される層である。磁化安定化層20は、磁気抵抗効果素子100を作製する段階で第1強磁性金属層30の磁気異方性を高め、集積素子200となった後では第1強磁性金属層30の劣化を防ぐ。磁化安定化層20は、磁気抵抗効果素子100を作製する段階での機能と、貼り合わせ後の集積素子200としての機能とを考慮して、材料及び構成等を選択することが好ましい。つまり、磁化安定化層20は、単結晶基板10と格子整合しやすい材料であり、第1強磁性金属層30に界面磁気異方性を付与できる酸化物や重金属などのスピン・軌道相互作用の大きい材料が好ましい。
磁気抵抗効果素子100を作製する段階において磁化安定化層20は、磁気抵抗効果素子100のMR比の向上に寄与する。磁化安定化層20が単結晶基板10上にエピタキシャル成長することで、その上に積層される第1強磁性金属層30の結晶性が高まり、磁気異方性が高まる。
磁化安定化層20は、単結晶基板10との格子整合性が高い(格子整合度が小さい)ことが好ましい。具体的には、単結晶基板10と磁化安定化層20の格子整合度が10%以下であることが好ましく、6%以下であることがより好ましく、4%以下であることがさらに好ましい。格子整合度が10%以下であれば、面内方向の90%以上の原子が積層方向に連続可能であり、エピタキシャル成長することができる。
このような材料としては、MgO、Ir及びスピネル型構造を有する物質からなる群から選択される少なくとも一つを用いることができる。スピネル型構造を有する物質としては、上述のものが挙げられる。
またこれらの材料の中でも、MgO、MgAl、ZnAl、SrTiO、γ−Al等の酸化物が特に好ましい。磁化安定化層20内の酸素は、第1強磁性金属層30と磁化安定化層20との界面において界面磁気異方性を与え、第1強磁性金属層30の磁化の垂直磁気異方性を高める。
集積素子200の集積性を高めるためには、第1強磁性金属層30の磁化方向は、積層面に対して垂直な垂直磁気異方性を有することが好ましい。磁性体の磁化方向は、磁性体の膜厚及び積層体の界面の影響を大きく受ける。強磁性体に隣接する層が酸素を含むと、酸素の効果により界面磁気異方性が強まる。すなわち、磁化安定化層20が酸素を含むことで、第1強磁性金属層30の垂直磁気異方性が高まる。
磁化安定化層20と単結晶基板10とは、異なる材料からなることが好ましい。磁化安定化層20と単結晶基板10とが異なる材料からなると、単結晶基板10と第1強磁性金属層30との格子整合性が低い(格子整合度が大きい)場合でも、磁化安定化層20により各層の界面における格子整合性を調整することができる。また、単結晶基板10を任意に選択できることで、コストを下げたり、プロセス上の選択肢を増やすことができる。
磁化安定化層20と単結晶基板10が同一の材料からなる場合でも、単結晶基板10と積層された磁化安定化層20との界面には、微小なピットや異物等があり、これらの界面はTEM(透過型電子顕微鏡)像等から判断可能である。異物は、例えば、磁化安定化層20と単結晶基板10の酸化物やこれらの化合物が挙げられる。
一方で、集積素子200において磁化安定化層20は、キャップ層として機能する。キャップ層は、集積素子200の酸化防止、集積素子200からの元素拡散の防止、集積素子200の結晶配向性の向上等に寄与する。
例えば、第1強磁性金属層30が酸化すると、第1強磁性金属層30の一部が非磁性化し、磁気異方性が低下する。キャップ層を設けることで、第1強磁性金属層30の磁化安定性が高まる。
また例えば、集積回路において集積素子200上に、磁気抵抗効果素子100に電流を流すための配線等を積層することがある。この場合、第1強磁性金属層30を構成する元素の一部が、積層された配線に拡散するおそれがある。第1強磁性金属層30を構成する元素が拡散すると、第1強磁性金属層30の磁化安定性が低下する。キャップ層として機能する磁化安定化層は、この元素拡散を阻害し、第1強磁性金属層30の磁化安定性を高める。
磁化安定化層20は、上述のようなキャップ層としての機能のみを考慮すると、Ru、Ta、Cu、Ag、Au等を用いることができる。しかしながら、これらの材料は単結晶基板10との格子整合性に優れず、エピタキシャル成長することができない。これに対し、上述のMgO、Ir及びスピネル型構造を有する物質からなる群から選択される少なくとも一つは、単結晶基板10上にエピタキシャル成長可能であり、キャップ層としても好適に機能する。キャップ層としての機能も考慮すると、磁化安定化層20は非磁性層50と同じ材料を選択することが特に好ましい。
磁化安定化層20の厚みは、1nm以上であることが好ましい。磁化安定化層20が充分な膜厚を有することで、単結晶基板10と第1強磁性金属層30の格子整合度の違いを調整できる。また、磁化安定化層20が充分な膜厚を有すること、キャップ層としての機能も十分果たすことができる。一方で、集積素子200上に積層する配線と磁気抵抗効果素子100との間の導電性を十分確保するためには、磁化安定化層20の厚みは3nm以下であることがより好ましい。
(第1強磁性金属層)
第1強磁性金属層30は、磁化の向きが固定された磁化固定層でも、磁化の向きが可変である磁化自由層でもよい。
集積素子200は、磁化固定層が集積基板70側に存在する方が、磁化安定性が高まる。また磁気抵抗効果素子100の製造過程において単結晶基板10側の磁性体は、磁化安定性が高い。基板が単結晶基板10の場合、磁化自由層の磁気特性を高めた方が磁気抵抗効果素子100のMR比は向上する。そのため、第1強磁性金属層30は磁化自由層であることが好ましい。以下、第1強磁性金属層30を磁化自由層として記載する。
第1強磁性金属層30の材料としては、強磁性材料、特に軟磁性材料が適用される。第1強磁性金属層30は、Feを含有する立方晶の強磁性金属であることが好ましい。第1強磁性金属層30が立方晶の結晶構造を有すると、磁化安定化層20との格子整合性を高めやすく、エピタキシャル成長しやすい。
Feを含有する立方晶の強磁性金属としては、例えば、Cr、Mn、Co、Fe及びNiからなる群から選択される金属、これらの群から選択される金属を1種以上含む合金、又は、これらのから選択される1又は複数の金属と、B、C、及びNの少なくとも1種以上の元素とを含む合金が挙げられる。具体的には、Co−Fe、Co−Fe−B、Ni−Feが例示できる。
また第1強磁性金属層30は、CoFeSiなどのホイスラー合金でもよい。ホイスラー合金はスピン分極率が高く、高いMR比を実現できる。ホイスラー合金は、XYZの化学組成をもつ金属間化合物を含む。Xは、周期表上でCo、Fe、Ni、またはCu族の遷移金属元素または貴金属元素である。Yは、Mn、V、CrまたTi族の遷移金属又は、Xの元素種である。Zは、III族からV族の典型元素である。例えば、CoFeSi、CoMn1−aFeAlSi1−b(a、bは整数)などが挙げられる。
第1強磁性金属層30の厚みは、4nm以下であることが好ましい。第1強磁性金属層30が当該厚みの範囲内であれば、磁化安定化層20及び非磁性層50とのそれぞれの界面で、第1強磁性金属層30に垂直磁気異方性を付加することができる。また、垂直磁気異方性は第1強磁性金属層30の膜厚を厚くすることによって効果が減衰するため、第1強磁性金属層30の膜厚は薄い方が好ましい。一方で、大きなMR比を得るという観点からは、第1強磁性金属層30の厚みは、第1強磁性金属層30のスピン拡散長程度の厚さであることが好ましい。
また第1強磁性金属層30は、磁化安定化層20に対する格子整合度が6%以下であることが好ましく、4%以下であることがより好ましく、2%以下であることがさらに好ましい。格子整合度が当該範囲であれば、第1強磁性金属層30を磁化安定化層20上にエピタキシャル成長できる。第1強磁性金属層30がエピタキシャル成長することで、単結晶基板10、磁化安定化層20及び第1強磁性金属層30が単結晶化する。
磁化安定化層20に対する格子整合度が6%以下を満たす材料としては、Fe、Fe−Co合金、CoFeSi、CoMn1−aFeAlSi1−b(a、bは整数)等が挙げられる。
(非磁性層)
非磁性層50には、公知の材料を用いることができる。
例えば、非磁性層50が絶縁体からなる場合(トンネルバリア層である場合)、その材料としては、Al、SiO、MgO、及び、MgAl等を用いることができる。またこれらの他にも、Al、Si、Mgの一部が、Zn、Be等に置換された材料等も用いることができる。これらの中でも、MgOやMgAlはコヒーレントトンネルが実現できる材料であるため、スピンを効率よく注入できる。
また、非磁性層50が金属からなる場合、その材料としては、Cu、Au、Ag等を用いることができる。
非磁性層50も、単結晶基板10、磁化安定化層20及び第1強磁性金属層30と共に単結晶化することが好ましい。単結晶化するためには、非磁性層50は立方晶構造を有することが好ましく、スピネル構造又は岩塩型構造を有することが特に好ましい。
例えば、MgOは岩塩型構造をとり、MgAl、ZnAl、SrTiO及びγ−Al等はスピネル構造をとる。岩塩型構造はいわゆるNaCl型構造であり、Mgイオンと酸素イオンが交互に配列する。一方で、ここで言うスピネル構造とは、正スピネルと逆スピネルの規則性スピネル構造とスケネル構造のいずれも含む概念である。
スケネル構造は、スピネル構造を構成する2つの陽イオンの配置が不規則化した構造である。スケネル構造は、酸素イオンの配列はスピネルとほぼ同等の最密立方格子を取っているものの、陽イオンが占有する位置がランダム化している。規則性スピネル構造では、酸素イオンの四面体空隙及び八面体空隙に所定の陽イオンが規則正しく配列する。これに対し、スケネル構造では、四面体空隙及び八面体空隙に陽イオンがランダムに配置され、規則化スピネル構造では所定の陽イオンが占有する酸素原子の四面体位置及び八面体位置に、異なる陽イオンが配置される。その結果、スケネル構造は結晶の対称性が変わり、規則性スピネル構造に対して実質的に格子定数が半減した構造となっている。
磁化安定化層20が酸化膜からなる場合は、非磁性層50は磁化安定化層20と同一の材料からなることが好ましい。磁化安定化層20と非磁性層50に用いることができる材料は類似している。非磁性層50に磁化安定化層20と同一の材料を用いると、第1強磁性金属層30との格子整合度が必然的に高まり、磁気抵抗効果素子100のMR比が高まる。
(第2強磁性金属層)
第2強磁性金属層60は、第1強磁性金属層30が磁化自由層の場合は磁化固定層となり、第1強磁性金属層30が磁化固定層の場合は磁化自由層となる。以下、第2強磁性金属層60を磁化固定層として記載する。
第2強磁性金属層60には、第1強磁性金属層30と同様の材料を用いることができる。第2強磁性金属層60も、単結晶基板10、磁化安定化層20及び第1強磁性金属層30と共に単結晶化することが好ましい。
第2強磁性金属層60の保磁力を第1強磁性金属層30より高めるために、第2強磁性金属層60は、図1及び図2に示すようなシンセティック反強磁性構造を有することが好ましい。
シンセティック反強磁性構造は、非磁性層62を挟む二つの磁性層61,63からなる。二つの磁性層61,63はそれぞれ磁化が固定されており、固定された磁化の向きは反対である。そのため、磁化自由層(第1強磁性金属層30)の磁化が動いても、二つの磁性層61,63の磁化は安定性を保つことができ、第2強磁性金属層60の保磁力を高めることができる。また二つの磁性層61,63が生み出す磁場は互いに打ち消す合うため、第1強磁性金属層30への漏れ磁場の影響も抑えられる。
第2強磁性金属層60は例えば、単結晶基板10側から順にFeB(1.0nm)/Ta(0.2nm)/[Pt(0.16nm)/Co(0.16nm)]/Ru(0.9nm)/[Co(0.24nm)/Pt(0.16nm)]とすることで、磁化の向きを垂直にすることができる。
また図3に示すように、第2強磁性金属層60は、第1強磁性金属層30に対して厚みが厚い構造としてもよい。第2強磁性金属層60の厚みを厚くすることで、第2強磁性金属層60内の磁化の総量が多くなり、保磁力が高まる。
(接合層)
接合層40は、第2強磁性金属層60上に積層される。接合層40は、磁気抵抗効果素子100を作製する段階ではキャップ層として機能し、集積素子200では磁気抵抗効果素子100と集積基板70の接合を担う。そのため、接合層40は、磁気抵抗効果素子100を作製する段階での機能と、貼り合わせ後の集積素子200としての機能とを考慮して、材料及び構成等を選択することが好ましい。
接合層40のキャップ層としての機能は、磁気抵抗効果素子100の酸化防止、磁気抵抗効果素子100の結晶配向性の向上等がある。キャップ層は、磁気抵抗効果素子100の第1強磁性金属層30及び第2強磁性金属層60の磁性の安定化し、磁気抵抗効果素子100を低抵抗化する。
接合層40は、Ta、Au、In、Cu、Ag、Pt、Pd、Ti、V、Ruからなる群から選択される少なくとも一つ以上の元素を含むことが好ましい。アモルファスのこれらの材料に圧力を加えると、磁気抵抗効果素子100と集積基板70との間を接合する。
またこれらの材料は、磁気抵抗効果素子100のキャップ層として機能する。そのため、キャップ層として機能する観点からは、Ta、Au、In及びCuからなる群から選択される少なくとも一つ以上の原子を含むことが特にこのましい。
「集積基板」
集積基板70は、半導体素子を含む任意の基板を用いることができる。例えば、図1に示す集積基板70は、層間絶縁層71と貫通電極72とを有する。貫通電極72は、層間絶縁層71によって隔てられた複数の素子間を電気的に接続する。貫通電極72には、図示略の半導体素子等が接続される。
層間絶縁層71は、多層配線の配線間や素子間を絶縁する絶縁層である。層間絶縁層71には、半導体デバイス等で用いられているものと同様の材料を用いることができる。例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、炭化シリコン(SiC)、窒化クロム(CrN)、炭窒化シリコン(SiCN)、酸窒化シリコン(SiON)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)等が用いられる。
貫通電極72は、導電性の高い公知の材料を用いることができる。例えば、Cu、Al、Ti、Nb、V、Ta及びZrからなる群から選択されるいずれかの単体、合金、窒化物等を用いることができる。
(第2接合層)
第2接合層80は、磁気抵抗効果素子100と集積基板70との間に配設される。第2接合層80は、接合層40と同一の材料を含む。すなわち、第2接合層80は、Ta、Au、In、Cu、Ag、Pt、Pd、Ti、V、Ruからなる群から選択される少なくとも一つ以上の元素を含むことが好ましい。
第2接合層80は、磁気抵抗効果素子100と集積基板70との接合性を高める。接合層40と同一の材料を含む第2接合層80を有すると、接合する際に同一材料を含む層同士が接合する。同一材料同士は接合しやすく、第2接合層80を設けない場合と比較して密着性が高まる。
なお、磁気抵抗効果素子100と集積基板70とが接合した後の集積素子200の段階でも、接合層40と第2接合層80の界面はTEM等で判断可能である。
「集積素子の製造方法」
次いで、図4を参考に、集積素子200の製造方法について説明する。図4は、第1実施形態にかかる集積素子の製造方法を説明するための図である。
まず図4(a)に示すように、磁気抵抗効果素子100を作製する。磁気抵抗効果素子100は、公知の成膜法を用いて作製できる。例えば、スパッタリング法、蒸着法、レーザアブレーション法、MBE法など通常の薄膜作製法を用いることもできる。
磁気抵抗効果素子100を積層する際に、少なくとも単結晶基板10、磁化安定化層20、第1強磁性金属層30はエピタキシャル成長するように、成長条件を調整する。例えば、成膜真空度を高め、ターゲットと被成膜体との距離を離し、印加電圧を小さくする。
このように成膜条件を緩やかにすることで、互いの結晶構造にあわせてエピタキシャル成長する。
非磁性層50がトンネルバリア層の場合は、金属薄膜をスパッタし、プラズマ酸化あるいは酸素導入による自然酸化及び熱処理によって酸化膜を形成できる。
また詳細は後述するが、集積素子200では単結晶基板10は除去される。そのため、単結晶基板10を簡便に除去するために、単結晶基板10に水素イオンをイオン注入してもよい。同程度のエネルギーで単結晶基板10に注入された水素イオンは、単結晶基板10の同じような位置に配列する。水素イオンが注入された部分を以下、イオン注入部11という。
イオン注入部11は、単結晶基板10の積層面から100nm以下の位置に設けることが好ましい。単結晶基板10はイオン注入部11で分断されるため、当該位置にイオン注入部11を設けることで、後述する単結晶基板10の除去プロセスを簡易化できる。
イオン注入は、磁気抵抗効果素子100と集積基板70とを接合する前に行うことが好ましい。すなわち、磁気抵抗効果素子100を積層する前の単結晶基板10の段階、又は、積層した後の磁気抵抗効果素子100の段階で行うことが好ましい。
磁気抵抗効果素子100を積層する前段階であれば、単結晶基板10のいずれ側からでもイオン注入を行うことができ、容易にイオン注入を行うことができる。また磁気抵抗効果素子100が積層されていないため、作業性に優れる。
一方で、磁気抵抗効果素子100を積層した後に行うと、イオン注入した水素イオンが、第1強磁性金属層30等の磁性膜を積層する際に影響を及ぼすことが避けられる。
次いで、図4(b)に示すように、磁気抵抗効果素子100と集積基板70とを接合層40を介して接合する。集積基板70の接合面には、第2接合層80を形成しておくことが好ましい。
接合は、磁気抵抗効果素子100と集積基板70を積層後に、積層方向に圧力を加えることで行う。圧力が印加されると、アモルファスの接合層40が接着剤のように機能し、磁気抵抗効果素子100と集積基板70とを接合する。
接合する前には化学機械研磨(CMP)によって磁気抵抗効果素子100と集積基板70の接合面を平坦化し、さらに、表面の異物を除去することが好ましい。磁気抵抗効果素子100と集積基板70の接合面の平坦度は1000nmの領域内で、3nmの高低差であることが好ましい。磁気抵抗効果素子100と集積基板70の接合面の平坦度は100nmの領域内で、1.5nmの高低差であることがさらに好ましい。
接合時の印加圧力は、2GPa以上であることが好ましく、3GPa以上であることがより好ましい。充分な圧力を加えることで、磁気抵抗効果素子100と集積基板70とが強く接合される。磁気抵抗効果素子100及び集積基板70の破損を避けるために、印加圧力は10GPa以下であることが好ましい。
次いで、イオン注入を行った場合は、磁気抵抗効果素子100と集積基板70との積層体を、400℃〜1000℃程度の温度で加熱する。積層体を加熱すると、図4(c)に示すように、イオン注入部11で単結晶基板10が劈開する。劈開後の単結晶基板10’は、当初の単結晶基板10より薄くなり、イオン注入部11を設けた位置と同等の厚みとなる。
そして単結晶基板10’を除去する。単結晶基板10’は厚みが薄いため、容易に除去可能である。単結晶基板10’の除去方法としては、エッチング、研磨、反応性イオンエッチング(RIE)等を用いることができる。
なお、ここではイオン注入部11を設けた場合について説明したが、イオン注入部11は設けなくてもよい。この場合は、単結晶基板10をエッチング等により除去する。しかしながら、生産効率、磁性膜へのダメージ等を考慮すると、イオン注入及び熱処理により単結晶基板10を劈開することが好ましい。
また単結晶基板10は、上述の水素イオンを用いた方法以外の方法で除去してもよい。例えば、単結晶基板10の途中、又は、単結晶基板10と磁化安定化層20との界面にグラフェンを設けてもよい。グラフェンは、炭素原子が面内方向にsp結合によりつながった原子1層分の厚みのシート状物質であり、劈開性に優れる。グラフェンが積層された界面で単結晶基板10を劈開することで、単結晶基板10を容易に除去できる。
またグラフェンの厚みは、原子1層分と非常に薄い。そのため、グラフェンを積層方向に挟む原子の波動関数は、それぞれグラフェンを挟んで反対側の原子の位置まで浸みだす。つまりグラフェンの存在は、積層方向の結晶性に影響を及ぼさない。そのため、例えば単結晶基板10の途中にグラフェンが配置された場合でも、単結晶基板10の結晶性はグラフェンを挟む両側で一致する。また例えば単結晶基板10と磁化安定層20の界面にグラフェンが配置された場合でも、磁化安定層20は単結晶基板10上にエピタキシャル成長する。
最後に、図4(d)に示すように、磁気抵抗効果素子100を集積基板70に設けられた半導体素子毎に分離する。例えば、図4(d)に示すように貫通電極72毎に、磁気抵抗効果素子100を複数の磁気抵抗効果素子100’に分離する。分離した磁気抵抗効果素子100’間は、絶縁体90で埋めることが好ましい。磁気抵抗効果素子100の素子間の分離は、公知のフォトリソグラフィー等の技術を用いることができる。
上述のような製造方法を用いることで、集積基板70に設けられた半導体素子毎に、磁気抵抗効果素子100’を作製することができる。またそれぞれの半導体素子上に形成される磁気抵抗効果素子100’は、単結晶基板10上にエピタキシャル成長したものであるため、高いMR比を実現することができる。また接合処理が、磁気抵抗効果素子100を構成する第1強磁性金属層30及び第2強磁性金属層60の磁化特性に悪影響を与えることもなかった。
すなわち、本実施形態にかかる集積素子200によれば、集積基板70上でも高いMR比を示す磁気抵抗効果素子100を実現できる。
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態にかかる集積素子201の断面模式図である。第2実施形態にかかる集積素子201は、非磁性層50と第2強磁性金属層60を有さない点が第1実施形態にかかる集積素子200と異なる。その他の構成は、第1実施形態にかかる集積素子200と同一であり、同一の構成については説明を省く。
第2実施形態にかかる集積素子201は、磁化反転素子101と集積基板70とが接合層40を介して積層されている。図6は、第2実施形態にかかる集積素子に用いられる磁気抵抗効果素子の断面模式図である。
磁化反転素子101は、単結晶基板10と、磁化安定化層20と、第1強磁性金属層30と、接合層40とを順に有する。磁化反転素子101において、少なくとも単結晶基板10、磁化安定化層20及び第1強磁性金属層30は、単結晶化している。
磁化反転素子101の少なくともこれらの層が単結晶化することで、第1強磁性金属層30の磁気異方性が高まる。第1強磁性金属層30の磁気異方性が高まると、磁気カー効果、ファラデー効果等を高めることができ、より性能の優れた偏向素子、光磁気記録素子等が得られる。磁化反転素子101は、非磁性層50及び第2強磁性金属層60を有さない点が、磁気抵抗効果素子100と異なる。
第2実施形態にかかる集積素子201の製造方法は、磁気抵抗効果素子100を積層する工程の内、非磁性層50及び第2強磁性金属層60を積層する工程が除かれるのみであり、第1実施形態にかかる集積素子200と同様の製造方法により得ることができる。
すなわち、本実施形態にかかる集積素子201によれば、集積基板70上でも高い磁気異方性を有する磁化反転素子101を実現できる。
<単結晶化のための好ましい材料の組み合わせ>
第1実施形態にかかる磁気抵抗効果素子100及び第2実施系にかかる磁化反転素子101はいずれも、少なくとも単結晶基板10、磁化安定化層20及び第1強磁性金属層30が単結晶化している。そこで、これらの層を単結晶化するために好ましい材料の組合せを、結晶構造が有する格子定数から算出した。
まず、単結晶基板10としてSiを用いた場合の各層の格子整合度を求めた。その結果を表1に示す。
Figure 2018100837
次いで、単結晶基板10としてMgO又はMgAlOを用いた場合の各層の格子整合度を求めた。その結果を表2に示す。
Figure 2018100837
次いで、単結晶基板10としてGe又はGaAsを用いた場合の各層の格子整合度を求めた。その結果を表3に示す。
Figure 2018100837
いずれの組合せも単結晶基板と磁化安定化層との結晶整合度が10%以下であり、磁化安定化層と第1強磁性金属層との結晶整合度が6%以下であった。すなわち、少なくともこれらの組合せにおいて、単結晶基板10、磁化安定化層20及び第1強磁性金属層30は単結晶化する。
10,10’ 単結晶基板、
11 イオン注入部、
20 磁化安定化層、
30 第1強磁性金属層、
40 接合層、
50 非磁性層、
60 第2強磁性金属層、
61,63…磁性層、
62 非磁性層、
70 集積基板、
71 層間絶縁層、
72 貫通電極、
80 第2接合層、
90 絶縁体、
100,100’ 磁気抵抗効果素子、
101 磁化反転素子、
200,201 集積素子

Claims (18)

  1. 単結晶基板と、磁化安定化層と、第1強磁性金属層と、接合層と、を順に有し、
    少なくとも前記単結晶基板、前記磁化安定化層及び前記第1強磁性金属層が全体で単結晶化している、磁化反転素子。
  2. 前記単結晶基板と前記磁化安定化層とが異なる材料を含む請求項1に記載の磁化反転素子。
  3. 前記単結晶基板が、Si、GaAs、Ge、MgO、スピネル型構造を有する物質、及び立方晶のペロブスカイト構造を有する物質からなる群から選択される少なくとも一つからなる請求項1又は2のいずれかに記載の磁化反転素子。
  4. 前記磁化安定化層が、MgO、Ir及びスピネル型構造を有する物質からなる群から選択される少なくとも一つからなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁化反転素子。
  5. 前記第1強磁性金属層がFeを含有する立方晶の強磁性金属である請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁化反転素子。
  6. 前記単結晶基板と前記磁化安定化層の格子整合度が10%以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載の磁化反転素子。
  7. 前記磁化安定化層と前記第1強磁性金属層の格子整合度が6%以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載の磁化反転素子。
  8. 前記磁化安定化層の厚みが1nm以上である請求項1〜7のいずれか一項に記載の磁化反転素子。
  9. 前記接合層が、Ta、Au、In、Cu、Ag、Pt、Pd、Ti、V、Ruからなる群から選択される少なくとも一つ以上の元素を含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の磁化反転素子。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の磁化反転素子の前記第1強磁性金属層と前記接合層との間に、
    非磁性層と第2強磁性金属層とを、前記第1強磁性金属層側から順に有する磁気抵抗効果素子。
  11. 前記第2強磁性金属層が、シンセティック反強磁性構造を有する請求項10に記載の磁気抵抗効果素子。
  12. 半導体素子を含む集積基板と、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載の磁化反転素子、又は、請求項10又11のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子と、を有し、
    前記磁化反転素子又は前記磁気抵抗効果素子は、前記集積基板に対して前記接合層を介して接合している、集積素子。
  13. 前記集積基板と前記磁化反転素子又は前記磁気抵抗効果素子との間に第2接合層をさらに有し、前記接合層と前記第2接合層とが同一の材料を含む請求項12に記載の集積素子。
  14. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の磁化反転素子、又は、請求項10又は11のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子を、半導体素子を含む集積基板上に前記接合層を介して接合する工程を有する集積素子の製造方法。
  15. 前記磁化反転素子又は前記磁気抵抗効果素子における前記単結晶基板に水素イオンをイオン注入する工程と、
    イオン注入後の単結晶基板を加熱し、前記水素イオンが注入された部分で、前記単結晶基板を切断する工程と、
    をさらに有する請求項14に記載の集積素子の製造方法。
  16. 前記磁化反転素子又は前記磁気抵抗効果素子と前記集積基板とを接合する前に、前記イオン注入を行う請求項15に記載の集積素子の製造方法。
  17. 前記磁化反転素子又は前記磁気抵抗効果素子における前記単結晶基板の途中又は前記単結晶基板と前記磁化安定化層との間にグラフェンを積層する工程と、
    前記グラフェンが積層された界面で劈開し、前記単結晶基板を除去する工程と、をさらに有する請求項14に記載の集積素子の製造方法。
  18. 前記磁化反転素子又は前記磁気抵抗効果素子を積層する際に、単結晶基板上に、少なくとも磁化安定化層と第1強磁性金属層とをエピタキシャル成長させる請求項14〜17のいずれか一項に記載の集積素子の製造方法。
JP2018519074A 2016-12-02 2017-09-13 磁化反転素子、磁気抵抗効果素子、集積素子及び集積素子の製造方法 Pending JPWO2018100837A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016235238 2016-12-02
JP2016235238 2016-12-02
PCT/JP2017/033030 WO2018100837A1 (ja) 2016-12-02 2017-09-13 磁化反転素子、磁気抵抗効果素子、集積素子及び集積素子の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2018100837A1 true JPWO2018100837A1 (ja) 2019-10-17

Family

ID=62242441

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018519074A Pending JPWO2018100837A1 (ja) 2016-12-02 2017-09-13 磁化反転素子、磁気抵抗効果素子、集積素子及び集積素子の製造方法

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20190157343A1 (ja)
JP (1) JPWO2018100837A1 (ja)
CN (1) CN108391452A (ja)
WO (1) WO2018100837A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3413363B1 (en) * 2016-02-02 2021-03-24 National Institute for Materials Science Ferromagnetic tunnel junction, magnetoresistive effect element and spintronics device in which said ferromagnetic tunnel junction is used, and method of manufacturing ferromagnetic tunnel junction
JP7346967B2 (ja) * 2019-07-19 2023-09-20 Tdk株式会社 磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4926226A (en) * 1988-09-06 1990-05-15 General Motors Corporation Magnetic field sensors
JP3488652B2 (ja) * 1999-01-20 2004-01-19 シャープ株式会社 磁気抵抗効果膜及びその製造方法並びにそれを用いた磁気ヘッド
CN1498429A (zh) * 2001-06-26 2004-05-19 ���µ�����ҵ��ʽ���� 磁阻元件及其制造方法
US7402465B2 (en) * 2004-11-11 2008-07-22 Samsung Electronics Co., Ltd. Method of fabricating single-crystal silicon film and method of fabricating TFT adopting the same
WO2006112119A1 (ja) * 2005-04-01 2006-10-26 Japan Science And Technology Agency 強磁性二重トンネル接合素子及び磁気デバイス
JP5096702B2 (ja) * 2005-07-28 2012-12-12 株式会社日立製作所 磁気抵抗効果素子及びそれを搭載した不揮発性磁気メモリ
WO2007126071A1 (ja) * 2006-04-27 2007-11-08 Japan Science And Technology Agency 磁性薄膜及びそれを用いた磁気抵抗効果素子並びに磁気デバイス
JP5401706B2 (ja) * 2007-03-23 2014-01-29 旭化成エレクトロニクス株式会社 化合物半導体積層体及びその製造方法並びに半導体デバイス
US8409366B2 (en) * 2009-06-23 2013-04-02 Oki Data Corporation Separation method of nitride semiconductor layer, semiconductor device, manufacturing method thereof, semiconductor wafer, and manufacturing method thereof
JP5761788B2 (ja) * 2011-03-25 2015-08-12 株式会社東芝 磁気抵抗素子および磁気メモリ
JP6135018B2 (ja) * 2014-03-13 2017-05-31 株式会社東芝 磁気抵抗素子および磁気メモリ
JP6411186B2 (ja) * 2014-11-19 2018-10-24 株式会社東芝 磁気抵抗素子および磁気メモリ

Also Published As

Publication number Publication date
US20190157343A1 (en) 2019-05-23
CN108391452A (zh) 2018-08-10
WO2018100837A1 (ja) 2018-06-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7168922B2 (ja) スピン流磁化反転素子、磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ
JP6607302B2 (ja) スピン流磁化回転素子、磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ
US10193061B2 (en) Spin-orbit torque magnetization rotational element
JP6642680B2 (ja) スピン流磁化回転素子、磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ
JP7024204B2 (ja) スピン流磁化回転素子、磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ
JP6733757B2 (ja) 記憶素子及び磁気メモリ
JP4764466B2 (ja) ホイスラー合金を有する積層体、この積層体を用いた磁気抵抗素子、及びスピントランジスタ
CN109427966B (zh) 自旋流磁化反转元件、磁存储器
KR20130139692A (ko) 비휘발성 자기 메모리 소자
WO2018100837A1 (ja) 磁化反転素子、磁気抵抗効果素子、集積素子及び集積素子の製造方法
JP2009239122A (ja) 磁気抵抗効果素子及びスピンmos電界効果トランジスタ
JP5377531B2 (ja) スピンmos電界効果トランジスタ
JP2020155606A (ja) スピン流磁化反転素子及び磁気メモリ
US20230389444A1 (en) Magneto-resistive element and method of manufacturing the magneto-resistive element