JP3585028B2 - 磁気抵抗効果膜及びその製造方法 - Google Patents

磁気抵抗効果膜及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気抵抗効果膜及びその製造方法に係る。より詳細には、特定の積層界面における平坦性を改善することにより、高い抵抗変化率及び交換バイアスと、優れた温度特性とを兼ね備えた磁気抵抗効果膜及びその製造方法に関する。特に、本発明は磁気ディスク装置等に利用される再生用磁気ヘッドに好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、磁気記録媒体及び磁気ヘッドから構成される磁気記録装置では、記録密度の向上に伴い、磁気ヘッドのさらなる高性能化が求められている。このような高記録密度化に対応するため、現在の磁気ヘッドは、媒体に情報を記録する際に用いる記録ヘッド、及び、媒体に記録された情報を再生する際に用いる再生ヘッド、に機能分離した2つのヘッド構成からなっている。そして、記録ヘッドには、媒体の高保磁力化に伴い、飽和磁束密度の大きな材料が要求されている。一方、再生ヘッドには、媒体の小型化に伴う相対速度の低下に対応するため、従来の誘導型ヘッドに代えて、磁気抵抗効果を利用したいわゆるMRヘッドを用いることで再生出力の増加が図られている。
【0003】
近年、さらに大きな磁気抵抗変化率を示す伝導電子のスピン依存散乱を利用した巨大磁気抵抗効果膜(GMR膜)が開発され、それを用いたGMRヘッドの一つとして、スピンバルブ型の構造を用いたヘッドが提案されている。その一例としては、特開平4−358310号公報に開示された技術が挙げられる。
【0004】
図4は、スピンバルブ型の構造からなる磁気抵抗効果素子の基本原理を説明する概略的な分解斜視図である。図4に示すように、スピンバルブ型構造は、基本的に強磁性体からなる自由磁化層41、非磁性体層42、強磁性体からなる固定磁化層43、反強磁性体層44の4層から構成され、交換相互作用が働かない程度に厚い膜厚の非磁性体層42を挟んで2つの強磁性体層41、43が配置された構造となっている。反強磁性体層44と接する強磁性体層43は、反強磁性体層44との交換結合を利用することで磁化が一方向に固定されており、固定磁化層と呼ばれる。これに対して、非磁性体層42の下に位置する強磁性体層41の磁化は外部磁界に対して自由に回転することができるので、自由磁化層と呼ばれる。このような構造において、外部磁場を固定磁化層43の磁化と同じ方向に印加したときには2つの強磁性体層41、43の磁化は平行に、外部磁場を固定磁化層43の磁化と逆方向に印加したときには2つの強磁性体層41、43の磁化は反平行になり、2層の磁化のなす角の余弦に依存した磁気抵抗効果を得ることができる。上述したスピンバルブ型の構造では、2つの強磁性体層41、43の間には反強磁性結合を用いず、磁性層厚を厚くすることが可能なため、NiFe合金などのソフト性の高い材料を用いることで感度の向上を図れるので、最も実用的な構造と言える。
【0005】
図5はスピンバルブ型の構造からなる磁気抵抗効果膜の磁気抵抗効果曲線を示すグラフであり、図6は固定磁化層および反強磁性体層からなる交換結合膜の磁気特性を示すグラフである。図6の中に示した固定磁化層が反強磁性体層からうける交換バイアス磁界Hexは、固定磁化層の保磁力に比べて十分大きな値をもつことが必要とされる。
【0006】
また、前記交換結合膜の交換バイアス磁界は温度上昇とともに減少し、ある温度(ブロッキング温度)以上では交換結合磁界は得られなくなる。前記磁気抵抗効果膜を磁気ディスク装置用ヘッドに用いた場合、磁気抵抗効果素子に流しているセンス電流による発熱や装置温度の上昇のために、磁気抵抗効果膜自体の温度は100℃以上に上昇する。そのため、前記交換結合膜には、交換バイアス磁界Hexが100℃以上の高温でも低下が少ないことが要求される。
【0007】
一般に、交換結合膜の交換バイアス磁界を大きくする、あるいは温度特性を改善する(すなわち、高温領域での交換バイアス磁界を増加させる、あるいはブロッキング温度を上昇させる)ためには、反強磁性体層の結晶粒径を大きくすることが効果的であることが知られている。
【0008】
特開平10−4226号公報には、基板上に、酸化物反強磁性体からなる反強磁性体層、固定磁化層、非磁性層、自由磁化層の順に積層し、前記酸化物反強磁性体層の固定磁化層側における表面粗度を0.6nm以下にするとともに、前記酸化物反強磁性体層の結晶粒径を10〜40nmとした磁気抵抗効果膜が開示されている。同公報に記載された構成によれば、従来の問題、すなわち、酸化物反強磁性体を反強磁性体層として用いた揚合、Mn系合金からなる反強磁性体を用いた場合と比ベて、交換バイアス磁界が小さいという問題は、反強磁性体層の結晶粒径と固定磁化層側の面粗度を制御することで改善されることが説明されている。
【0009】
しかしながら、反強磁性体層として酸化物反強磁性体を用いた場合、Mn系合金反強磁性体を用いた場合と比較すると、交換バイアス磁界はまだ小さく不十分であった。また、上述した高温領域における交換バイアス磁界に関しては記述がないため、技術的に不明な状態にあった。さらに、反強磁性体層として酸化物反強磁性体を用いた場合、Mn系合金反強磁性体を用いた場合と比較すると、磁気抵抗効果膜としての抵抗変化率も小さく、改善が求められていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した問題を解決するために考案されたものであり、抵抗変化率を低下させることなく、交換バイアス磁界が大きく、温度特性に優れた固定磁化層/反強磁性体層からなる交換結合膜を備えた磁気抵抗効果膜およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明者は、自由磁化層、非磁性体層及び固定磁化層の一部の結晶粒径と、反強磁性体層の結晶粒径とをそれぞれ所定の大きさに設定することによって、抵抗変化率が大きく、交換結合膜の交換バイアス磁界が大きく、温度特性に優れた磁気抵抗効果膜が得られること、及び前記磁気抵抗効果膜の製造方法を見出した。すなわち、
本発明に係る磁気抵抗効果膜は、自由磁化層、非磁性体層、固定磁化層及び反強磁性体層から構成され、前記固定磁化層の磁化方向は前記反強磁性体層との交換結合により固定され、前記自由磁化層の磁化方向は外部磁場に対して自由に回転し、該自由磁化層と該固定磁化層における磁化の向きのなす角度によって磁気抵抗効果を生ずる磁気抵抗効果膜において、前記反強磁性体層の結晶粒径が、自由磁化層、非磁性体層及び少なくとも固定磁化層の一部の結晶粒径より大きいことを特徴とする。
【0012】
上記特徴を備えた磁気抵抗効果膜の具体的な形態としては、以下に示す3通りが挙げられる。
【0013】
第一には、基板上又は下地層が載置された基板上に、前記反強磁性体層、前記固定磁化層、前記非磁性体層及び前記自由磁化層が順に積層して配され、該固定磁化層が強磁性体膜aの単層からなる形態である。
【0014】
第二には、基板上又は下地層が載置された基板上に、前記反強磁性体層、前記固定磁化層、前記非磁性体層及び前記自由磁化層が順に積層して配され、該固定磁化層が強磁性体膜bとその上に形成された強磁性体膜cの2層からなる形態である。
【0015】
第三には、基板上又は下地層が載置された基板上に、前記自由磁化層、前記非磁性体層、前記固定磁化層及び前記反強磁性体層が順に積層して配され、該固定磁化層が強磁性体膜dとその上に形成された強磁性体膜eの2層からなる形態である。
【0016】
上記形態における反強磁性体層としては、NiMn、IrMn、RuMn、PtMnから選択される合金が好ましい。また、上記形態における反強磁性体層は結晶粒径が20nm以上であり、かつ、自由磁化層、非磁性体層及び少なくとも固定磁化層の一部は結晶粒径が10nm以下あるいは非晶質とすることが望ましい。さらに、上記形態では、自由磁化層及び固定磁化層の少なくとも一部としてNiFe合金が好適に用いられる。
【0017】
本発明に係る第一乃至第三の磁気抵抗効果膜の製造方法は、以下の通りである。
【0018】
第一の方法は、基板上又は下地層が載置された基板上に、反強磁性体層、固定磁化層、非磁性体層及び自由磁化層が順に積層して配され、前記固定磁化層が強磁性体膜aの単層からなる磁気抵抗効果膜の製造方法であり、成膜空間内に基板あるいは下地層が載置された基板を配し、該成膜空間をArに対する不純物分圧が1×10−10Torr以下である成膜雰囲気とした後、該成膜空間にArガスを導入し、スパッタリング法により該基板上あるいは該下地層上に前記反強磁性体層を形成する工程と、前記反強磁性体層の形成を終えた前記成膜空間にAr以外のガスを導入し、その後、再び該成膜空間をArに対する不純物分圧が1×10−10Torr以下である成膜雰囲気としてから、該成膜空間にArガスを導入し、スパッタリング法により前記反強磁性体層上に、前記強磁性体膜aの単層からなる固定磁化層、前記非磁性体層及び前記自由磁化層を順に積層して形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0019】
第二の方法は、基板上又は下地層が載置された基板上に、反強磁性体層、固定磁化層、非磁性体層及び自由磁化層が順に積層して配され、前記固定磁化層が強磁性体膜bとその上に形成された強磁性体膜cの2層からなる磁気抵抗効果膜の製造方法であり、成膜空間内に基板あるいは下地層が載置された基板を配し、該成膜空間をArに対する不純物分圧が1×10−10Torr以下である成膜雰囲気とした後、該成膜空間にArガスを導入し、スパッタリング法により該基板上あるいは該下地層上に、前記反強磁性体層及び前記強磁性体膜bからなる固定磁化層を順に積層して形成する工程と、前記強磁性体膜bからなる固定磁化層の形成を終えた前記成膜空間に、ArとAr以外のガスからなる混合ガスを導入し、スパッタリング法により前記強磁性体膜bからなる固定磁化層上に、前記強磁性体膜cからなる固定磁化層、前記非磁性体層及び前記自由磁化層を順に積層して形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0020】
第三の方法は、基板上又は下地層が載置された基板上に、自由磁化層、非磁性体層、固定磁化層及び反強磁性体層が順に積層して配され、前記固定磁化層が強磁性体膜dとその上に形成された強磁性体膜eの2層からなる磁気抵抗効果膜の製造方法であり、成膜空間内に基板あるいは下地層が載置された基板を配し、該成膜空間をArに対する不純物分圧が1×10−9Torr以上である成膜雰囲気とした後、該成膜空間にArガスを導入し、スパッタリング法により該基板上あるいは該下地層上に前記自由磁化層、前記非磁性体層及び前記強磁性体膜dからなる固定磁化層を順に積層して形成する工程と、前記強磁性体膜dからなる固定磁化層の形成を終えた前記成膜空間をArに対する不純物分圧が1×10−10Torr以下である成膜雰囲気とした後、該成膜空間にArガスを導入し、スパッタリング法により前記強磁性体膜dからなる固定磁化層上に、前記強磁性体膜eからなる固定磁化層及び前記反強磁性体層を順に積層して形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る磁気抵抗効果膜及びその製造方法の実施形態を実施例に基づいて説明する。
【0022】
(実施例1)
本例では、本発明に係る第二の方法を、図1に示す構成の磁気抵抗効果膜に適用した場合について説明する。
【0023】
図1は、本発明に係る磁気抵抗効果膜の一例を示す模式的な断面図であり、ガラス又はSi等からなる基板11上に、下地層12、反強磁性体層13、第一の固定磁化層(強磁性体膜b)14、第二の固定磁化層(強磁性体膜c)15、非磁性体層16、自由磁化層17が順に積層された構造である。本例では、基板11としてSiを、下地層12としてTaを、反強磁性体層13にはPtMn合金を、第1の固定磁化層14および第2の固定磁化層15にはNiFe合金を、非磁性体層16にはCuを、自由磁化層17にはNiFe合金を用いた。
【0024】
以下に、上記構成からなる磁気抵抗効果膜の製造方法について述べる。
(1−1)Siからなる基板11を、一つ成膜空間を有するスパッタ装置(不図示)内に配置し、該成膜空間内を5×10−11Torrの真空度まで排気した後、同一の成膜空間内において、基板11上に下地層12、反強磁性層13及び第1の固定磁化層(強磁性体膜b)14を順に積層形成させた。
【0025】
まず、下地層12としてはTaをDCマグネトロンスパッタ法で、Ar圧5mTorrで厚さ2nm成膜した。次に、反強磁性層13としてはPtMn合金をDCマグネトロンスパッタ法で、Ar圧5mTorrで厚さ20nm成膜した。その際、PtMn合金の組成は48at%Ptとした。さらに、第一の固定磁化層(強磁性体膜b)14としてはNiFe合金をRFコンベンショナルスパッタ法で、Ar圧5mTorrで厚さ1nm成膜する。その際、一方向に約70Oeの磁場を印加しながら成膜を行った。なお、ここまでの成膜は、スパッタガスとして不純物濃度が1ppb以下のArガスを用い、スパッタ時の不純物分圧は、残留ガスを含めて約5.5×10−11Torr以下とした。
【0026】
(1−2)次いで、前記第一の固定磁化層(強磁性体膜b)14の上に、第二の固定磁化層(強磁性体膜c)15、非磁性体層16及び自由磁化層17を順に積層形成させた。その際、スパッタガスとしてArに若干の空気を混合し、不純物濃度が100ppm程度としたArガスを用いた。また、スパッタ時の不純物分圧は、残留ガスを含めて約5×10−7Torrとした。
【0027】
まず、第二の固定磁化層(強磁性体膜c)15としてはNiFeをRFコンベンショナルスパッタ法で、Ar圧5mTorrで厚さ4nm成膜した。その際、第一の固定磁化層14成膜時と同じ方向に約70Oeの磁場を印加しながら成膜を行った。次に、非磁性体層16としてはCuをDCマグネトロンスパッタ法で、Ar圧5mTorrで厚さ2.2nm成膜した。さらに、自由磁化層17としてはNiFeをRFコンベンショナルスパッタ法で、厚さ10nm成膜した。その際、第一及び第二の固定磁化層14、15成膜時に磁場を印加した方向と直交する方向に約70Oeの磁場を印加しながら成膜を行った。
【0028】
(1−3)その後、反強磁性体層13であるPtMn合金を規則化させるために、第一及び第二の固定磁化層14、15成膜時に磁場を印加した方向と同じ方向に約300Oeの磁場を印加しながら、250℃、6時間の熱処理を行った。
【0029】
以上の工程(1−1)〜(1−3)により、本例に係る磁気抵抗効果膜(サンプル#1と呼称する)を作製した。
【0030】
比較のために、サンプル#1と同じ構造で、全ての層を、スパッタガスとして不純物濃度が100ppm程度のArガスを用い、磁気抵抗効果膜(比較サンプル#1と呼称する)を作製した。
【0031】
また、比較のために、サンプル#1と同じ構造で、全ての層を、スパッタガスとして不純物濃度が1ppb以下のArガスを用い、磁気抵抗効果膜(比較サンプル#2と呼称する)を作製した。
【0032】
表1は、上記3つの磁気抵抗効果膜に対して、交換バイアス磁界と抵抗変化率を測定した結果である。
【0033】
【表1】
Figure 0003585028
【0034】
表1より、これらの磁気抵抗効果膜の交換バイアス磁界の大きさは、
サンプル#1=比較サンプル#2>比較サンプル#1
となることが明らかとなった。この大小関係は、交換バイアス磁界を測定する際の温度が室温でも100℃でも同様であることが分かった。従って、本発明者は、反強磁性体層を作製する際の不純物濃度が小さいほうが、結晶粒径が大きくなることに起因していると考えた。
【0035】
また表1より、これらの磁気抵抗効果膜の抵抗変化率の大きさは、
サンプル#1=比較サンプル#1>比較サンプル#2
となることが分かった。比較サンプル#2は、本発明の磁気抵抗効果膜(サンプル#1)と同等の交換バイアス磁界が得られているにもかかわらず抵抗変化率は低下していた。比較サンプル#2の結果は、Mn系合金からなる反強磁性体の結晶粒径を大きくした揚合、結晶粒径を大きくすることによって反強磁性体の固定磁化層側表面の面粗度が粗くなってしまい、そのため、反強磁性体層、固定磁化層、非磁性体層、自由磁化層の順に形成するとき、固定磁化層/非磁性体層/自由磁化層の積層界面の平坦性が悪くなるため磁気抵抗効果膜の抵抗変化率が低下したことを示す。これに対し、本発明に係る磁気抵抗効果膜(サンプル#1)では、第一の固定磁化層(強磁性体膜b)14までは結晶粒径は大きいが、第二の固定磁化層(強磁性体膜c)15からは結晶粒径は小さく、大きくなった面粗度を平坦化する効果があるため、第二の固定磁化層15/非磁性体層16/自由磁化層17の積層界面の平坦性が良好となった。その結果、サンプル#1は、交換バイアス磁界及び抵抗変化率が両方とも高くなったと本発明者は考察した。
【0036】
本発明に係る磁気抵抗効果膜(サンプル#1)について、成膜時の成膜雰囲気の不純物濃度を変化させて同じ構成の磁気抵抗効果膜を作製した場合、反強磁性体層13成膜時の成膜雰囲気の不純物濃度が1×10−10Torr以下、第二の固定磁化層15、非磁性体層16及び自由磁化層17成膜時の成膜雰囲気の不純物濃度が1×10−8Torr以上で同様の効果が得られることが確認された。また、この効果が得られる場合は、反強磁性体層13の結晶粒径が20nm以上であり、第二の固定磁化層15、非磁性体層16及び自由磁化層17の結晶粒径が10nm以下であることが判明した。さらに、第二の固定磁化層15、非磁性体16層及び自由磁化層17として、非晶質からなる材料を用いても同様の効果が認められた。
【0037】
本例では、反強磁性体層13としてMnPt合金を用いた場合を示したが、MnPt合金に代えてNiMn、IrMn、RuMn等の合金を用いても、上述した本発明の効果は得られた。
【0038】
(実施例2)
本例では、本発明に係る第一の方法を、図2に示す構成の磁気抵抗効果膜に適用した場合について説明する。
【0039】
図2は、本発明に係る磁気抵抗効果膜の他の一例を示す模式的な断面図であり、ガラス又はSi等からなる基板21上に、下地層22、反強磁性体層23、固定磁化層24、非磁性体層25、自由磁化層26が順に積層された構造である。本例では、基板21としてSiを、下地層22としてTaを、反強磁性体層23にはPtMn合金を、固定磁化層(強磁性体膜aの単層)24にはNiFe合金を、非磁性体層25にはCuを、自由磁化層26にはNiFe合金を用いた。
【0040】
以下に、上記構成からなる磁気抵抗効果膜の製造方法について述べる。
【0041】
(2−1)Siからなる基板21を、一つ成膜空間を有するスパッタ装置(不図示)内に配置し、該成膜空間内を5×10−11Torrの真空度まで排気した後、同一の成膜空間内において、基板21上に下地層22及び反強磁性層23を順に積層形成させた。
【0042】
まず、下地層22としてはTaをDCマグネトロンスパッタ法で、Ar圧5mTorrで厚さ2nm成膜した。次に、反強磁性層23としてはPtMn合金をDCマグネトロンスパッタ法で、Ar圧5mTorrで厚さ20nm成膜した。その際、PtMn合金の組成は48at%Ptとした。なお、ここまでの成膜は、スパッタガスとして不純物濃度が1ppb以下のArガスを用い、スパッタ時の不純物分圧は、残留ガスを含めて約5.5×10−11Torr以下とした。
【0043】
(2−2)その後、成膜を中断し、Arに若干の空気を混合し、不純物濃度が100ppm程度としたArガスを成膜空間内に導入し、反強磁性体層23の表面を、該Arに若干の空気を加えたArガスに曝露した。
【0044】
(2−3)次に、再び成膜空間内を5×10−11Torrの真空度まで排気した後、前記反強磁性層23の上に、固定磁化層(強磁性体膜a)24、非磁性体層25及び自由磁化層26を順に積層形成させた。その際、スパッタガスとして、不純物濃度が1ppb以下のArガスを用いた。
【0045】
まず、固定磁化層(強磁性体膜a)24としてはNiFe合金をRFコンベンショナルスパッタ法で、Ar圧5mTorrで厚さ5nm成膜した。その際、一方向に約70Oeの磁場を印加しながら成膜を行った。次に、非磁性体層25としてはCuをDCマグネトロンスパッタ法で、Ar圧5mTorrで厚さ2.2nm成膜した。さらに、自由磁化層26としてはNiFeをRFコンベンショナルスパッタ法で、厚さ10nm成膜した。その際、固定磁化層24成膜時に磁場を印加した方向と直交する方向に約70Oeの磁場を印加しながら成膜を行った。
【0046】
(2−4)その後、反強磁性体層23であるPtMn合金を規則化させるために、固定磁化層24成膜時に磁場を印加した方向と同じ方向に約300Oeの磁場を印加しながら、250℃、6時間の熱処理を行った。
【0047】
以上の工程(2−1)〜(2−4)により、本例に係る磁気抵抗効果膜(サンプル#2と呼称する)を作製した。
【0048】
表2は、上記磁気抵抗効果膜に対して、交換バイアス磁界と抵抗変化率を測定した結果である。比較のため、表1にも示した比較サンプル#1、#2も表2に示した。
【0049】
【表2】
Figure 0003585028
【0050】
表2より、これらの磁気抵抗効果膜の交換バイアス磁界の大きさは、
サンプル#2=比較サンプル#2>比較サンプル#1
となることが明らかとなった。この大小関係は、交換バイアス磁界を測定する際の温度が室温でも100℃でも同様であった。従って、本発明者は、反強磁性体層を作製する際の不純物濃度が小さいほうが、結晶粒径が大きくなることに起因していると考えた。
【0051】
また表2より、これらの磁気抵抗効果膜の抵抗変化率の大きさは、
サンプル#2=比較サンプル#1>比較サンプル#2
となることが分かった。比較サンプル#2は、本発明の磁気抵抗効果膜(サンプル#2)と同等の交換バイアス磁界が得られているにもかかわらず抵抗変化率は低下していた。比較サンプル#2の結果は、Mn系合金からなる反強磁性体の結晶粒径を大きくした揚合、結晶粒径を大きくすることによって反強磁性体の固定磁化層側表面の面粗度が粗くなってしまい、そのため、反強磁性体層、固定磁化層、非磁性体層、自由磁化層の順に形成するとき、固定磁化層/非磁性体層/自由磁化層の積層界面の平坦性が悪くなるため磁気抵抗効果膜の抵抗変化率が低下したことを示す。これに対し、本発明に係る磁気抵抗効果膜(サンプル#2)では、反強磁性体層23を成膜した後、不純物ガスを導入したことにより、反強磁性体層23の表面にガスが吸着した結果、その後成膜する固定磁化層24の結晶粒成長を抑制され、固定磁化層24/非磁性体層25/自由磁化層26の積層界面の平坦性が良好となった。その結果、サンプル#2は、交換バイアス磁界及び抵抗変化率が両方とも高くなったと本発明者は考察した。
【0052】
上記効果が得られる場合は、反強磁性体層23の結晶粒径が20nm以上であり、固定磁化層(強磁性体膜a)24、非磁性体層25及び自由磁化層26の結晶粒径が10nm以下であることが判明した。
【0053】
本例では、反強磁性体層23成膜後、不純物濃度の大きいガスを導入し、再び不純物分圧の低い状態で固定磁化層24/非磁性体層25/自由磁化層26を成膜しているが、実施例1と同様に、固定磁化層24/非磁性体層25/自由磁化層26成膜時スパッタガスの不純物分圧を大きくしておいても同様の効果が得られることが分かった。
【0054】
本例では、反強磁性体層23としてMnPt合金を用いた場合を示したが、MnPt合金に代えてNiMn、IrMn、RuMn等の合金を用いても、上述した本発明の効果は得られた。
【0055】
(実施例3)
本例では、本発明に係る第三の方法を、図3に示す構成の磁気抵抗効果膜に適用した場合について説明する。
【0056】
図3は、本発明に係る磁気抵抗効果膜の他の一例を示す模式的な断面図であり、ガラス又はSi等からなる基板31上に、下地層32、自由磁化層33、非磁性体層34、第一の固定磁化層(強磁性体膜d)35、第二の固定磁化層(強磁性体膜e)36、反強磁性体層37が順に積層された構造である。本例では、基板31としてSiを、下地層32としてTaを、自由磁化層33にはNiFe合金を、非磁性体層34にはCuを、第一の固定磁化層(強磁性体膜d)35にはCoを、第二の固定磁化層(強磁性体膜e)36にはNiFe合金を、反強磁性体層37にはPtMn合金を用いた。
【0057】
以下に、上記構成からなる磁気抵抗効果膜の製造方法について述べる。
【0058】
なお、以下に示す成膜では、スパッタガスとして不純物濃度が1ppb以下のArガスを用いた。
(3−1)Siからなる基板11を、一つ成膜空間を有するスパッタ装置(不図示)内に配置し、該成膜空間内を5×10−7Torrの真空度まで排気した後、同一の成膜空間内において、基板31上に下地層32、自由磁化層33、非磁性体層34及び第一の固定磁化層(強磁性体膜d)35を順に積層形成させた。
【0059】
まず、下地層32としてはTaをDCマグネトロンスパッタ法で、Ar圧5mTorrで厚さ2nm成膜した。次に、自由磁化層33としてはNiFeをRFコンベンショナルスパッタ法で、厚さ10nm成膜した。その際、一方向に約70Oeの磁場を印加しながら成膜を行った。次に、非磁性体層34としてはCuをDCマグネトロンスパッタ法で、厚さ2.2nm成膜した。さらに、第一の固定磁化層(強磁性体膜d)35としてはCoをDCマグネトロンスパッタ法で、Ar圧5mTorrで厚さ1nm成膜した。その際、自由磁化層33成膜時に磁場を印加した方向と直交する方向に約70Oeの磁場を印加しながら成膜を行った。
【0060】
(3−2)次に、成膜空間内を5×10−11Torrの真空度まで排気した後、前記第一の固定磁化層(強磁性体膜d)35の上に、第二の固定磁化層(強磁性体膜e)36及び反強磁性体層37を順に積層形成させた。
【0061】
まず、第二の固定磁化層(強磁性体膜e)36としてはNiFe合金をRFコンベンショナルスパッタ法で、Ar圧5mTorrで厚さ4nm成膜した。その際、第一の固定磁化層35成膜時と同じ方向に約70Oeの磁場を印加しながら成膜を行った。次に、反強磁性体層37としてはRuMn合金をDCマグネトロンスパッタ法で、Ar圧15mTorrで厚さ20nm成膜した。その際、RuMn合金の組成は17at%Ruとした。
【0062】
以上の工程(3−1)〜(3−2)により、本例に係る磁気抵抗効果膜(サンプル#3と呼称する)を作製した。
【0063】
比較のために、第二の固定磁化層(強磁性体膜e)36成膜後に、成膜空間内を5×10−11Torrの真空度まで排気する点のみ変更し、サンプル#3と同じ構造の磁気抵抗効果膜(比較サンプル#3と呼称する)を作製した。
【0064】
また、比較のために、第一の固定磁化層(強磁性体膜d)35成膜後に、成膜空間内を5×10−11Torrの真空度まで排気する操作を行わない点のみ変更し、サンプル#3と同じ構造の磁気抵抗効果膜(比較サンプル#4と呼称する)を作製した。
【0065】
さらに、比較のために、下地層32を形成する前に、成膜空間内を5×10−11Torrの真空度まで排気する点のみ変更し、サンプル#3と同じ構造の磁気抵抗効果膜(比較サンプル#5と呼称する)を作製した。
【0066】
表3は、上記4つの磁気抵抗効果膜に対して、交換バイアス磁界と抵抗変化率を測定した結果である。
【0067】
【表3】
Figure 0003585028
【0068】
表3より、これらの磁気抵抗効果膜の抵抗変化率の大きさは、
サンプル#3=比較サンプル#3=比較サンプル#4>比較サンプル#5
となることが分かった。比較サンプル#5の抵抗変化率が他のサンプルに比べて小さいのは、自由磁化層から結晶粒径が大きくなったことにより、自由磁化層の非磁性体層側の表面粗度が大きくなり、自由磁化層/非磁性体層/固定磁化層の積層界面の平坦性が低下したことに起因する。
【0069】
また表3より、これらの磁気抵抗効果膜の交換バイアス磁界の大きさは、
サンプル#3=比較サンプル#5>比較サンプル#3=比較サンプル#4
であり、この傾向は100℃においてさらに顕著になる。比較サンプル#4で交換バイアス磁界が小さいのは、反強磁性層形成時の成膜雰囲気の不純物分圧が大きいため、固定磁化層の結晶粒径が小さいためである。また、比較サンプル#3で交換バイアス磁界が小さいのは、反強磁性層の下地となる固定磁化層形成時の成膜雰囲気の不純物分圧が大きいため固定磁化層の結晶粒径が小さく、反強磁性層の結晶粒径を増大させるための十分な下地効果が得られなかったためである。
【0070】
本例では、第二の固定磁化層(強磁性体膜e)36としてNiFe合金を用いた場合を示したが、反強磁性体層37の下地層として十分な下地効果をもつ強磁性体であれば同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0071】
実施例1の場合と同様に、上記効果が得られる場合は、反強磁性体層37の結晶粒径が20nm以上であり、第一の固定磁化層(強磁性体膜d)35、非磁性体層34及び自由磁化層33の結晶粒径が10nm以下であることが判明した。
【0072】
また、本例では、反強磁性体層37としてRuMn合金を用いたが、RuMn合金に代えてNiMn、IrMn、PtMn等の合金を用いても、上述した本発明の効果は得られた。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る磁気抵抗効果膜は、自由磁化層、非磁性体層、固定磁化層、反強磁性体層から構成され、前記反強磁性体層の結晶粒径が、自由磁化層、非磁性体層及び少なくとも固定磁化層の一部の結晶粒径より大きいため、抵抗変化率を低下させることなく反強磁性体層と固定磁化層からなる交換結合膜の交換バイアス磁界とその温度特性を改善することができる。
【0074】
また、本発明に係る磁気抵抗効果膜の製造方法は、スパッタ時の成膜雰囲気の不純物濃度を制御する、あるいは、成膜を中断して不純物ガスを導入して再び排気後成膜を行うことで、上述した磁気抵抗効果膜を作製することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気抵抗効果膜の一例を示す模式的な断面図である。
【図2】本発明に係る磁気抵抗効果膜の他の一例を示す模式的な断面図である。
【図3】本発明に係る磁気抵抗効果膜の他の一例を示す模式的な断面図である。
【図4】スピンバルブ型の構造からなる磁気抵抗効果素子の基本原理を説明する概略的な分解斜視図である。
【図5】スピンバルブ型の構造からなる磁気抵抗効果膜の磁気抵抗効果曲線を示すグラフである。
【図6】固定磁化層および反強磁性体層からなる交換結合膜の磁気特性を示すグラフである。
【符号の説明】
11 基板、
12 下地層、
13 反強磁性体層、
14 第一の固定磁化層(強磁性体膜b)、
15 第二の固定磁化層(強磁性体膜c)、
16 非磁性体層、
17 自由磁化層、
21 基板、
22 下地層、
23 反強磁性体層、
24 固定磁化層(強磁性体膜a)、
25 非磁性体層、
26 自由磁化層、
31 基板、
32 下地層、
33 自由磁化層、
34 非磁性体層、
35 第一の固定磁化層(強磁性体膜d)、
36 第二の固定磁化層(強磁性体膜e)
37 反強磁性体層。

Claims (10)

  1. 自由磁化層、非磁性体層、固定磁化層及び反強磁性体層から構成され、前記固定磁化層の磁化方向は前記反強磁性体層との交換結合により固定され、前記自由磁化層の磁化方向は外部磁場に対して自由に回転し、該自由磁化層と該固定磁化層における磁化の向きのなす角度によって磁気抵抗効果を生ずる磁気抵抗効果膜において、
    前記反強磁性体層の結晶粒径が、自由磁化層、非磁性体層及び少なくとも固定磁化層の一部の結晶粒径より大きいことを特徴とする磁気抵杭効果膜。
  2. 基板上又は下地層が載置された基板上に、前記反強磁性体層、前記固定磁化層、前記非磁性体層及び前記自由磁化層が順に積層して配され、該固定磁化層が強磁性体膜aの単層からなることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果膜。
  3. 基板上又は下地層が載置された基板上に、前記反強磁性体層、前記固定磁化層、前記非磁性体層及び前記自由磁化層が順に積層して配され、該固定磁化層が強磁性体膜bとその上に形成された強磁性体膜cの2層からなることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果膜。
  4. 基板上又は下地層が載置された基板上に、前記自由磁化層、前記非磁性体層、前記固定磁化層及び前記反強磁性体層が順に積層して配され、該固定磁化層が強磁性体膜dとその上に形成された強磁性体膜eの2層からなることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果膜。
  5. 前記反強磁性体層は、NiMn、IrMn、RuMn、PtMnから選択される合金であることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果膜。
  6. 前記反強磁性体層は結晶粒径が20nm以上であり、かつ、前記自由磁化層、前記非磁性体層及び少なくとも固定磁化層の一部は結晶粒径が10nm以下あるいは非晶質であることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果膜。
  7. 前記自由磁化層及び前記固定磁化層の少なくとも一部が、NiFe合金であることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果膜。
  8. 基板上又は下地層が載置された基板上に、反強磁性体層、固定磁化層、非磁性体層及び自由磁化層が順に積層して配され、前記固定磁化層が強磁性体膜aの単層からなる磁気抵抗効果膜の製造方法は、
    成膜空間内に基板あるいは下地層が載置された基板を配し、該成膜空間をArに対する不純物分圧が1×10−10Torr以下である成膜雰囲気とした後、該成膜空間にArガスを導入し、スパッタリング法により該基板上あるいは該下地層上に前記反強磁性体層を形成する工程と、
    前記反強磁性体層の形成を終えた前記成膜空間にAr以外のガスを導入し、その後、再び該成膜空間をArに対する不純物分圧が1×10−10Torr以下である成膜雰囲気としてから、該成膜空間にArガスを導入し、スパッタリング法により前記反強磁性体層上に、前記強磁性体膜aの単層からなる固定磁化層、前記非磁性体層及び前記自由磁化層を順に積層して形成する工程と、
    を有することを特徴とする磁気抵抗効果膜の製造方法。
  9. 基板上又は下地層が載置された基板上に、反強磁性体層、固定磁化層、非磁性体層及び自由磁化層が順に積層して配され、前記固定磁化層が強磁性体膜bとその上に形成された強磁性体膜cの2層からなる磁気抵抗効果膜の製造方法は、
    成膜空間内に基板あるいは下地層が載置された基板を配し、該成膜空間をArに対する不純物分圧が1×10−10Torr以下である成膜雰囲気とした後、該成膜空間にArガスを導入し、スパッタリング法により該基板上あるいは該下地層上に、前記反強磁性体層及び前記強磁性体膜bからなる固定磁化層を順に積層して形成する工程と、
    前記強磁性体膜bからなる固定磁化層の形成を終えた前記成膜空間に、ArとAr以外のガスからなる混合ガスを導入し、スパッタリング法により前記強磁性体膜bからなる固定磁化層上に、前記強磁性体膜cからなる固定磁化層、前記非磁性体層及び前記自由磁化層を順に積層して形成する工程と、
    を有することを特徴とする磁気抵抗効果膜の製造方法。
  10. 基板上又は下地層が載置された基板上に、自由磁化層、非磁性体層、固定磁化層及び反強磁性体層が順に積層して配され、前記固定磁化層が強磁性体膜dとその上に形成された強磁性体膜eの2層からなる磁気抵抗効果膜の製造方法は、
    成膜空間内に基板あるいは下地層が載置された基板を配し、該成膜空間をArに対する不純物分圧が1×10−9Torr以上である成膜雰囲気とした後、該成膜空間にArガスを導入し、スパッタリング法により該基板上あるいは該下地層上に前記自由磁化層、前記非磁性体層及び前記強磁性体膜dからなる固定磁化層を順に積層して形成する工程と、
    前記強磁性体膜dからなる固定磁化層の形成を終えた前記成膜空間をArに対する不純物分圧が1×10−10Torr以下である成膜雰囲気とした後、該成膜空間にArガスを導入し、スパッタリング法により前記強磁性体膜dからなる固定磁化層上に、前記強磁性体膜eからなる固定磁化層及び前記反強磁性体層を順に積層して形成する工程と、
    を有することを特徴とする磁気抵抗効果膜の製造方法。
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