JPH1131312A - 二重スピンバルブセンサ - Google Patents

二重スピンバルブセンサ

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JPH1131312A
JPH1131312A JP18346097A JP18346097A JPH1131312A JP H1131312 A JPH1131312 A JP H1131312A JP 18346097 A JP18346097 A JP 18346097A JP 18346097 A JP18346097 A JP 18346097A JP H1131312 A JPH1131312 A JP H1131312A
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JP
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film
spin valve
antiferromagnetic
layer
valve sensor
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JP18346097A
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Susumu Soeya
進 添谷
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】スピンバルブ諸特性,バルクハウゼンノイズレ
ス,再生出力に優れ、狭トラック対応の高感度二重スピ
ンバルブセンサを提供する。 【解決手段】第一の反強磁性膜11,第一の強磁性膜1
2(固定層12),第一の非磁性膜13,第二の強磁性
膜14(自由層14),第二の非磁性膜15,第三の強
磁性膜16(固定層16),第二の反強磁性膜17を順
次積層した二重スピンバルブセンサ層において、アモル
ファス強磁性膜100を、第一の反強磁性膜11と固定
層12の中間に介在させ、かつ、第一の反強磁性膜11
を、体心正方格子の結晶構造を有しかつ規則相を有する
反強磁性膜とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一方向異方性を利
用した二重スピンバルブセンサに係り、特に、情報を読
み書きする磁気記録装置の二重スピンバルブセンサに関
する。
【0002】
【従来の技術】磁気抵抗センサの抵抗変化が、非磁性層
を介する磁性層間での伝導電子のスピン依存性伝送、及
び、それに付随する層界面でのスピン依存性散乱に帰さ
れる磁気抵抗効果が知られている。この磁気抵抗効果
は、「巨大磁気抵抗効果」や「スピンバルブ効果」など
の名称で呼ばれている。
【0003】欧州特許EP−490608A2号は、スピンバル
ブ効果を利用した磁気抵抗センサ(以後、スピンバルブ
センサと呼ぶ。)を記載している。以下、スピンバルブ
センサの原理を説明する。
【0004】スピンバルブセンサは、非磁性膜によって
分離された強磁性膜(A)と強磁性膜(B)を含む適切
な物質上に形成された積層構造を含んでいる。代表的な
スピンバルブセンサ層の積層構造は、反強磁性膜/強磁
性膜(A)/非磁性膜/強磁性膜(B)である。ここ
で、最上層が反強磁性膜,最下層が強磁性膜(B)であ
り、以後の積層構造もこのように表現することにする。
【0005】強磁性膜の一つ、たとえば、強磁性膜
(A)の磁化方向は外部印加磁場ゼロで、強磁性膜
(B)の磁化方向と垂直に固定されている。この強磁性
膜(A)の磁化方向の固定は、反強磁性膜を隣接させ、
反強磁性膜と強磁性膜(A)の界面で発生する交換結合
により、強磁性膜(A)に一方向異方性を付与すること
によりなされる。そのため、強磁性膜(A)は「固定
層」と命名されており、本明細書でも「固定層」なる表
現を用いることにする。固定層の代表的な磁化の固定方
向は、浮上面と垂直方向である。
【0006】一方、強磁性膜(B)の磁化方向は外部磁
場に応じて自由に回転できる。そのため、強磁性膜
(B)は「自由層」と命名されており、本明細書でも
「自由層」なる表現を用いることにする。
【0007】スピンバルブセンサでは、磁性媒体からの
外部印加磁場に応じて自由層の磁化方向が自由に回転
し、必然的に固定層の磁化方向と自由層の磁化方向との
間の角度が変化する。スピンバルブセンサは、これら固
定層と自由層の磁化方向の角度変化に応じて電気抵抗が
変化することを利用し、磁性媒体からの磁気的信号を電
気的信号に変換する磁気抵抗センサである。
【0008】また、スピンバルブセンサの抵抗変化率向
上を目的として、固定層を二つ設けた二重スピンバルブ
センサなる磁気抵抗センサが特開平6−223336 号に開示
されている。上述のシングルタイプのスピンバルブセン
サ層が、反強磁性膜/固定層/非磁性膜/自由層、また
は、自由層/非磁性膜/固定層/反強磁性膜で構成され
るのに対し、二重スピンバルブセンサ層は、反強磁性膜
/固定層/非磁性膜/自由層/非磁性膜/固定層/反強
磁性膜で構成される。
【0009】次に、固定層用反強磁性膜を説明する。代
表的な反強磁性膜としては、米国特許4103315 号公報
に、面心立方格子の結晶格子を有する不規則相のFeM
n合金膜が開示されている。
【0010】さらに、日本応用磁気学会第19回学術講
演概要集,p.350 に、面心立方格子の結晶格子を有
する不規則相のMnIr合金膜が開示されている。
【0011】さらに、特開平6−76247号公報には、反強
磁性膜として、体心正方格子の結晶構造を有するMn規
則相合金が開示されている。具体的には、NiMn(M
n量:46〜60at.%),MnPt(Mn量:33〜
60at.%),MnRh(Mn量:50〜65at.%)規
則相合金が列挙されている。
【0012】さらに、特願平7−116894 号には、反強磁
性膜として、体心立方格子の結晶構造を有するCrMn
Mx合金が列挙されている。添加元素Mは、Co,N
i,Cu,Ag,Au、及び白金族が列挙されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】反強磁性膜を最上層に
配置した最も代表的な、反強磁性膜/固定層/非磁性膜
/自由層より構成されるスピンバルブセンサ層の上層の
反強磁性膜/固定層の交換結合膜の要求特性は、(1)
反強磁性膜が高耐食性を有すること、(2)高結合磁
界、(3)高ブロッキング温度、(4)反強磁性膜が高
比抵抗を有すること、(5)反強磁性膜を薄膜化できる
こと、(6)結合磁界を得るための熱処理温度が低いこ
と、である。ここで、結合磁界は磁化曲線の原点からの
シフト量,ブロッキング温度は、結合磁界の消失する温
度で定義される。
【0014】一方、反強磁性膜/固定層/非磁性膜/自
由層/非磁性膜/固定層/反強磁性膜より構成される二
重スピンバルブセンサの下層の固定層/反強磁性膜の交
換結合膜には、上記(1)〜(6)に加えて、(7)膜表
面平坦性、(8)反強磁性膜とその上方に形成されるス
ピンバルブ膜との格子の整合性がよいことが要求され
る。
【0015】上記従来技術のFeMn合金膜,MnIr
合金膜,NiMn合金膜(Mn量:46〜60at.
%),PtMn合金膜(Mn量:33〜60at.%),
RhMn合金膜(Mn量:50〜65at.%),CrMn
x 合金膜は、上記(1)〜(6)のいずれかに多少の問
題はあるものの、反強磁性膜を上層に配置した、反強磁
性膜/固定層/非磁性膜/自由層としたシングルタイプ
のスピンバルブセンサには適用可能である。しかし、本
発明の目的とする反強磁性膜/固定層/非磁性膜/自由
層/非磁性膜/固定層/反強磁性膜より構成される二重
スピンバルブセンサの下層の反強磁性膜への適用には問
題がある。
【0016】従来技術のFeMn合金膜、あるいはMn
Ir合金膜を下層の反強磁性膜として配置するために
は、FeMn合金膜を面心立方格子(fcc構造)であ
るγ相とする必要があり、そのためには、FeMn合金
膜の下地膜としてfcc構造を有するCu膜等を配置し
なければならない。Cu膜等を配置すると、Cu膜への
電流リークにより、分流損が生じて磁気抵抗変化率を低
下させてしまう。さらに、FeMn合金膜、あるいはM
nIr合金膜の上方に固定層を配置した固定層/FeM
n交換結合膜,固定層/MnIr交換結合膜の結合磁界
は小さく、上記(2)を満足できず、実用上の問題であ
る。さらに、FeMn合金膜の耐食性は極めて悪く、上
記(1)を満足できない。
【0017】従来技術のCrMnMx 合金膜は、膜表面
の凹凸が著しいことから、その上方に固定層を設けて
も、固定層/CrMnMx 交換結合膜の結合磁界は小さ
く、上記(2)を満足できない。さらに、CrMnMx
合金膜は、膜表面の凹凸が著しいことから、その上方に
反強磁性膜/固定層/非磁性膜/自由層/非磁性膜/固
定層を設けても、これら各層,各膜は均一な膜となら
ず、そのためスピンバルブ特性が著しく劣化してしま
う。
【0018】一方、従来技術に体心正方格子(bct)
を有するNiMn規則相合金膜(Mn量:46〜60at.
%),PtMn規則相合金膜(Mn量:33〜60at.
%),RhMn規則相合金膜(Mn量:50〜65at.
%)がある。
【0019】これらの規則相合金膜を下層の反強磁性膜
として用いた、固定層/規則相合金膜の交換結合膜の結
合磁界は非常に大きく、これらの規則相合金膜は、上記
(2)を満足できる。その他にも、これらの規則相合金膜
は、上記(1),(3)〜(6)を満足できることから、二
重スピンバルブセンサの下層の反強磁性膜として最有力
視されている実用的反強磁性膜と言える。
【0020】しかし、NiMn規則相合金膜(Mn量:
46〜60at.%),PtMn規則相合金膜(Mn量:3
3〜60at.%),RhMn規則相合金膜(Mn量:5
0〜65at.%)はbctの結晶構造を有していることか
ら、表面凹凸に問題がある。そのため、上記(7)を満
足できない。さらに、二重スピンバルブセンサを構成し
ている、固定層,非磁性膜,自由層は、いずれもfcc
構造を有している。これらfcc構造を有する、固定
層,非磁性膜,自由層は、bct構造を有する反強磁性
膜上では、均一にエピタキシャル成長することができな
い。そのため、上記(8)を満足できない。
【0021】従って、上記規則相合金膜を用いて、二重
スピンバルブセンサを実現するためには、上記(7)と
(8)をクリアする必要がある。
【0022】本発明の目的は、反強磁性膜/固定層/非
磁性膜/自由層/非磁性膜/固定層/反強磁性膜より構
成される二重スピンバルブセンサにおいて、上記(1)〜
(8)を満足できる高感度二重スピンバルブセンサを提供
することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記目的は、反強磁性膜
/固定層/非磁性膜/自由層/非磁性膜/固定層/反強
磁性膜より構成される二重スピンバルブセンサにおい
て、下層の反強磁性膜とその上方の固定層の中間にアモ
ルファス強磁性膜を設け、かつ、下層の反強磁性膜をP
tMn規則相合金膜(Mn量:42〜55at.%),Pt
PdMn規則相合金膜(Mn量:42〜55at.%)、あ
るいはPtRhMn規則相合金膜(Mn量:42〜55
at.%)とすることにより達成できる。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明に係る実施例1の二重スピ
ンバルブセンサ層1について説明する。図1は、実施例
1の二重スピンバルブセンサ層1のセンサ浮上面から見
た拡大断面図である。二重スピンバルブセンサ層1は、
bct構造かつ規則相を有する第一の反強磁性膜11,
アモルファス強磁性膜100,第一の強磁性膜12(固
定層12),第一の非磁性膜13,第二の強磁性膜14
(自由層14),第二の非磁性膜15,第三の強磁性膜
16(固定層16),第二の反強磁性膜17を順次積層
した層で構成される。
【0025】本発明の最も特徴とするアモルファス強磁
性膜100は、CoZr(Zr量:6〜10at.%)系ア
モルファス合金膜で構成される。アモルファス強磁性膜
100の膜厚は1〜5nmとした。
【0026】第一の反強磁性膜11及び第二の反強磁性
膜17は、それぞれ、固定層12及び固定層16に一方
向異方性を付与するための膜である。第二の反強磁性膜
17の材料は、CrMnMx 膜とした。一方の、第一の
反強磁性膜11の材料は、バルク組成で存在する、bc
t構造を有するMn50Pt50規則相合金膜,Mn50(P
tPd)50規則相合金膜、あるいは、Mn50(PtRh)
50規則相合金膜である。第一の反強磁性膜11及び第二
の反強磁性膜17の膜厚は5〜30nmとした。固定層
12及び固定層16の材料は、Co膜とし、膜厚は1〜
5nmとした。
【0027】固定層12及び固定層16内の磁気モーメ
ントは、それぞれ、第一の反強磁性膜11及び第二の反
強磁性膜17との交換結合により、一方向に揃え、セン
サ浮上面と垂直方向に揃えた。固定層12及び固定層1
6への一方向異方性の付与は、センサ浮上面と垂直方向
に直流磁界を印加しながら、230℃〜300℃の数時
間の熱処理を行うことにより行った。
【0028】第一の非磁性膜13及び第二の非磁性膜1
5は、それぞれ、固定層12と自由層14、及び、自由
層14と固定層16とを磁気的に分離する膜であり、C
u膜とした。第一の非磁性膜13及び第二の非磁性膜1
5の厚さは、1〜5nmとした。
【0029】自由層14は、磁性媒体からの磁気的信号
に応じて自由に回転することができる膜であり、NiF
e膜とした。自由層14の膜厚は、2〜10nmとし
た。自由層14内の磁気モーメントは、外部印加磁場ゼ
ロのとき、固定層12及び固定層16内の磁気モーメン
トと垂直となるように形成した。
【0030】実施例1の二重スピンバルブセンサ層1に
おいては、磁性媒体からの磁気的信号に応じて自由層1
4の磁気モーメントの方向が自由に回転し、必然的に固
定層12及び固定層16内の磁気モーメントの方向と自
由層14の磁気モーメントとの間の角度が変化する。本
発明に係るスピンバルブセンサ層1は、これら固定層1
2,16と自由層14の磁化方向の角度変化に応じて電
気抵抗が変化することを利用し、磁性媒体からの磁気的
信号を電気的信号に変換する。
【0031】本発明の二重スピンバルブセンサ層1を磁
気抵抗センサとして用いる場合、磁区制御層,信号検出
電極が必要である。さらに、いわゆる「縦バイアス磁
界」、及び、「横バイアス磁界」を適当な大きさに調節
する必要がある。ここで、縦バイアス磁界とは、センサ
長手方向に印加される磁界であり、横バイアス磁界と
は、センサ浮上面と垂直方向に印加される磁界である。
【0032】そこで、本発明に係る実施例2を示す二重
スピンバルブセンサ2について説明する。図2は、実施
例2の二重スピンバルブセンサ2の浮上面から見た拡大
断面図である。二重スピンバルブセンサ2は、本発明に
係る二重スピンバルブセンサ層1をセンサ中央活性領域
にのみ形成し、中央活性領域両端部に、二重スピンバル
ブセンサ層1と電気的連続性を保ちながら磁区制御層2
0と信号検出電極30とを順次隣接接合して形成した。
【0033】信号検出電極30は、電気抵抗の小さいC
u,Au,Nb,Taなどを用いた。
【0034】磁区制御層20は、自由層14に縦バイア
ス磁界を印加する層であり、自由層14内の磁壁発生を
防止し、いわゆる「バルクハウゼンノイズ」を抑止する
膜である。磁区制御層20には、反強磁性膜−強磁性膜
の交換結合膜や硬磁性膜を用いた。縦バイアス磁界が大
きすぎる場合は、自由層14の磁気モーメントが回転し
にくくなり、感度が低下する。小さすぎる場合は、バル
クハウゼンノイズを抑止できない。そのため、縦バイア
ス磁界は、磁区制御層内の強磁性膜の(飽和磁束密度)
×(膜厚)を調節することにより、縦バイアス磁界を適
度な大きさにコントロールした。
【0035】一方の横バイアス磁界については、自由層
14は、アモルファス強磁性膜100,固定層16及び1
2からの横バイアス磁界と、通電時の右ネジの法則に即
した横バイアス磁界と、固定層16及び12と自由層1
4との間のinterlayer結合による横バイアス磁界と、磁
区制御層20からの縦バイアス磁界と、を受けている。
【0036】本発明の二重スピンバルブセンサ2では、
センサ高さ,トラック幅,通電時の電流密度の大きさ及
び方向に応じて横バイアス磁界を次のように調節してい
る。通電時、外部印加磁場ゼロの状態で、自由層14の
磁化方向がほぼセンサ長手方向に、アモルファス強磁性
膜100,固定層16及び12の磁化方向がセンサ浮上
面とほぼ垂直方向となるように、各層,各膜の膜厚,飽
和磁束密度の大きさを調節している。そのため、本発明
の二重スピンバルブセンサ2の再生時の波形上下対称性
がよく、かつデュアル化しているため抵抗変化率が大き
いので、高感度二重スピンバルブセンサを提供できる。
【0037】次に、本発明の最大の特徴である第一の反
強磁性膜11とアモルファス強磁性膜100の交換結合
膜について説明する。図3に、本発明に係る第一の反強
磁性膜11とアモルファス強磁性膜100との交換結合
2層膜を示した。本図においては、構造自体は公知であ
るが、第一の反強磁性膜11上の材料をアモルファス強
磁性膜100としている点に本発明の最大の特徴があ
る。
【0038】本発明によると、固定層12への一方向異
方性の付与は、固定層12/アモルファス強磁性膜10
0/第一の反強磁性膜11の強磁性/強磁性/反強磁性
の交換結合により行う。しかし、固定層12に付与され
る一方向異方性の大きさは強磁性/反強磁性の交換結合
により決まるため、上述した下層の交換結合膜への要求
特性は、固定層12/第一の反強磁性膜11の交換結合
膜ではなく、アモルファス強磁性膜100/第一の反強
磁性膜11の交換結合膜に要求されることになる。
【0039】従って、アモルファス強磁性膜100/第
一の反強磁性膜11の交換結合膜への要求特性は、
(1)反強磁性膜が高耐食性を有すること、(2)高結
合磁界、(3)高ブロッキング温度、(4)反強磁性膜
が高比抵抗を有すること、(5)反強磁性膜を薄膜化で
きること、(6)結合磁界を得るための熱処理温度が低
いこと、(7)膜表面平坦性、(8)反強磁性膜とその
上方に形成されるスピンバルブ膜との格子の整合性がよ
いこと、である。
【0040】本発明によると、大きな交換結合を得るた
めの第一の反強磁性膜11の膜組成は、Mn−Pt膜
(Mn量:42〜55at.%),Mn−PtPd膜(Mn
量:42〜55at.%),Mn−PtRh膜(Mn量:
42〜55at.%)であった。これらの膜は、必然的に
Pt,Pt+Pd、あるいはPt+Rh量を45〜58
at.% 含むことになるから、耐食性に優れている。従っ
て、第一の反強磁性膜11は、上記(1)を満足する。
なお、本発明に係わる第一の反強磁性膜11がいずれも
Ptを含んでいるのは、不規則−規則変態を起こりやす
くするためである。
【0041】一方のアモルファス強磁性膜100の具体
的な材料はCoZr膜である。本発明によると、CoZ
r膜をアモルファスとし、かつCoZr/第一の反強磁
性膜11の交換結合膜の高結合磁界を得るためのCoZ
r膜の膜組成はZr量6〜10at.%であった。ここ
で、Zr量を最大10at.%としたのは、CoZr/第
一の反強磁性膜11の交換結合膜の結合磁界はZr量増
加に伴い低下するためである。第一の反強磁性膜11を
Mn50Pt50膜とし、アモルファス強磁性膜100をCo
Zr8膜とした、2〜3nmCoZr8/20nmMn50
Pt50交換結合膜の結合磁界は約250〜375Oeで
あった。この結合磁界は、Zrを添加しない2〜3nm
Co/20nmMn50Pt50交換結合膜の結合磁界約5
00〜750Oeに比較すると約1/2である。しかし、
2〜3nmCoZr8/20nm Mn50Pt50交換結
合膜の結合磁界の大きさ約250〜375Oeは、実用
に耐える大きさをクリアしており、このことから、上記
(2)を満足する。
【0042】また、2〜3nmCoZr8/20nmM
50Pt50 交換結合膜の結合磁界の温度依存性を測定
したところ、ブロッキング温度約380℃が得られた。
このことから、上記(3)を満足する。
【0043】さらに、本発明の第一の反強磁性膜11
は、Mnをベースとした合金膜のため、比抵抗は大き
く、Mn−Pt膜(Mn量:42〜55at.%),Mn−
PtPd膜(Mn量:42〜55at.%),Mn−Pt
Rh膜(Mn量:42〜55at.%)とも約210μΩcm
以上を示した。このことから、第一の反強磁性膜11
は、上記(4)を満足する。
【0044】さらに、本発明の第一の反強磁性膜11
は、20nm程度までの薄膜化が可能であった。このこ
とから、第一の反強磁性膜11は、上記(5)を満足す
る。
【0045】さらに、本発明の第一の反強磁性膜11で
ある、Mn−Pt膜(Mn量:42〜55at.%),Mn
−PtPd膜(Mn量:42〜55at.%),Mn−Pt
Rh膜(Mn量:42〜55at.%)の規則相を析出させ
るためには熱処理が必要である。
【0046】本発明によると、いずれの膜も230〜3
00℃の数時間の熱処理を行うことにより規則相を得る
ことができた。二重スピンバルブセンサ層1を構成する
各膜,各層は、約300℃までの耐熱性を有することか
ら、Mn−Pt膜(Mn量:42〜55at.%),Mn
−PtPd膜(Mn量:42〜55at.%),Mn−P
tRh膜(Mn量:42〜55at.%)の規則相を得るた
めの230〜300℃の熱処理を行っても、熱処理によ
る二重スピンバルブセンサ層1の諸特性の劣化はない。
このことから、第一の反強磁性膜11は、上記(6)を
満足する。
【0047】さらに、本発明の第一の反強磁性膜11で
ある、Mn−Pt膜(Mn量:42〜55at.%),Mn
−PtPd膜(Mn量:42〜55at.%),Mn−Pt
Rh膜(Mn量:42〜55at.%)はbct構造の結晶
構造を有していることから、第一の反強磁性膜11の表
面凹凸は必ずしも平坦ではない。
【0048】しかし、本発明では、第一の反強磁性膜1
1上にアモルファス強磁性膜100を設けており、アモ
ルファス強磁性膜100の表面はフラットである。この
ことから、上記(7)を満足できる。
【0049】さらに、第一の反強磁性膜11の上方に形
成される、固定層16/第二の非磁性膜15/自由層1
4/第一の非磁性膜13/固定層12より構成される各
層は、すべてfccの結晶構造を有する。これらfcc
構造を有する各層は、bctの結晶構造を有する第一の
反強磁性膜11上に形成しても均一な層とはならない。
固定層16/第二の非磁性膜15/自由層14/第一の
非磁性膜13/固定層12より構成される各層は、bc
t下地膜の結晶学的な拘束を受けて、bctの結晶構造
を有する第一の反強磁性膜11上では均一にエピタキシ
ャル成長することができないからである。
【0050】しかし、本発明のように、アモルファス強
磁性膜100を第一の反強磁性膜11と固定層12の中
間に介在させると、固定層16/第二の非磁性膜15/
自由層14/第一の非磁性膜13/固定層12はアモル
ファス強磁性膜100上に形成されることになる。アモ
ルファス強磁性膜100は優れた表面平坦性を有してお
り、かつ下地膜としての結晶学的な拘束を与えないこと
から、固定層16/第二の非磁性膜15/自由層14/
第一の非磁性膜13/固定層12はアモルファス強磁性
膜100上では均一にエピタキシャル成長することがで
きる。このことから、上記(8)を満足する。
【0051】以上のように、本発明に係る第二の反強磁
性膜17/固定層16/第二の非磁性膜15/自由層1
4/第一の非磁性膜13/固定層12/アモルファス強
磁性膜100/第一の反強磁性膜11、より構成される
二重スピンバルブセンサ層1において、本発明のアモル
ファス強磁性膜100/第一の反強磁性膜11の交換結
合膜は、(1)反強磁性膜が高耐食性を有すること、
(2)高結合磁界、(3)高ブロッキング温度、(4)反
強磁性膜が高比抵抗を有すること、(5)反強磁性膜を
薄膜化できること、(6)結合磁界を得るための熱処理
温度が低いこと、(7)膜表面平坦性、(8)結晶格子
の整合性、をすべて満足できる。
【0052】したがって、交換結合諸特性,抵抗変化率
等のスピンバルブ諸特性,バルクハウゼンノイズレス,
再生特性,耐食性等の信頼性に優れた高感度二重スピン
バルブセンサを提供することができる。
【0053】さらに、本発明のアモルファス強磁性膜1
00はCoZrTa,CoZrNb、あるいはCoZr
Cr膜でもよい。
【0054】さらに、本発明のアモルファス強磁性膜1
00はCoHf膜でもよく,CoHfTa,CoHfNb、あ
るいはCoHfCr膜でもよい。
【0055】さらに、本発明の第一の反強磁性膜11
は、バルク組成で存在するMn75Rh25,Mn75(RhP
t)25,Mn75Pt25、あるいは、Mn80Ir20不規則
相合金膜でもよい。
【0056】さらに、本発明に係る二重スピンバルブセ
ンサ2は、シールドを備えていないが、シールドを備え
たスピンバルブセンサにも応用できる。
【0057】さらに、本発明に係る二重スピンバルブセ
ンサ2は、それらの上方、あるいは、下方にライトヘッ
ドを配置した記録再生分離ヘッドへ応用できる。
【0058】さらに、本発明に係る二重スピンバルブセ
ンサ2は、ヨークタイプの記録再生分離ヘッドへ応用で
きる。
【0059】
【発明の効果】本発明の反強磁性膜/固定層/非磁性膜
/自由層/非磁性膜/固定層/アモルファス強磁性膜/
反強磁性膜、より構成される二重スピンバルブセンサ層
においては、下層のアモルファス強磁性膜100/第一
の反強磁性膜11の交換結合膜への要求特性、(1)反
強磁性膜が高耐食性を有すること、(2)高結合磁界、
(3)高ブロッキング温度、(4)反強磁性膜が高比抵
抗を有すること、(5)反強磁性膜を薄膜化できるこ
と、(6)結合磁界を得るための熱処理温度が低いこ
と、(7)膜表面平坦性、(8)結晶格子の整合性、を
すべて満足でき、交換結合諸特性,スピンバルブ諸特
性,耐食性等の信頼性に優れた高感度二重スピンバルブ
センサ層を提供することができる。
【0060】さらに、本発明に係る二重スピンバルブセ
ンサ層をセンサ中央活性領域にのみ形成し、中央活性領
域両端部に、二重スピンバルブセンサ層と電気的連続性
を保ちながら磁区制御層と信号検出電極とを順次隣接接
合して二重スピンバルブセンサを形成することにより、
狭トラック幅とでき、かつバルクハウゼンノイズレス,
再生出力諸特性に優れた高感度二重スピンバルブセンサ
を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1を示す二重スピンバルブセン
サ層の拡大断面図。
【図2】本発明の実施例2を示す二重スピンバルブセン
サの拡大断面図。
【図3】本発明に係る第一の反強磁性膜とアモルファス
強磁性膜との交換結合2層膜の拡大断面図。
【符号の説明】
11…第一の反強磁性膜、12…第一の強磁性膜(固定
層)、13…第一の非磁性膜、14…第二の強磁性膜
(自由層)、15…第二の非磁性膜、16…第三の強磁
性膜(固定層16)、17…第二の反強磁性膜、20…
磁区制御層、30…信号検出電極、100…アモルファ
ス強磁性膜。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第一の反強磁性膜,第一の強磁性膜,第一
    の非磁性膜,第二の強磁性膜,第二の非磁性膜,第三の
    強磁性膜,第二の反強磁性膜を順次積層した二重スピン
    バルブセンサ層をセンサ中央活性領域にのみ形成し、前
    記中央活性領域両端部に前記二重スピンバルブセンサ層
    と電気的連続性を保ちながら隣接接合して形成した一対
    の磁区制御層と信号検出電極とを含む二重スピンバルブ
    センサであって、 前記第一の反強磁性膜と前記第一の強磁性膜の中間にア
    モルファス強磁性膜を設けたことを特徴とする二重スピ
    ンバルブセンサ。
  2. 【請求項2】第一の反強磁性膜,第一の強磁性膜,第一
    の非磁性膜,第二の強磁性膜,第二の非磁性膜,第三の
    強磁性膜,第二の反強磁性膜を順次積層した二重スピン
    バルブセンサ層をセンサ中央活性領域にのみ形成し、前
    記中央活性領域両端部に前記二重スピンバルブセンサ層
    と電気的連続性を保ちながら隣接接合して形成した一対
    の磁区制御層と信号検出電極とを含む二重スピンバルブ
    センサであって、 前記第一の反強磁性膜と前記第一の強磁性膜の中間にア
    モルファス強磁性膜を設け、かつ前記第一の反強磁性膜
    がバルク組成で存在するMn50Pt50,Mn50(PtP
    d)50、あるいはMn50(PtRh)50規則相合金膜であ
    ることを特徴とする二重スピンバルブセンサ。
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