JPH1125957A - 非水電解質二次電池及び正極材料の製造方法 - Google Patents
非水電解質二次電池及び正極材料の製造方法Info
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Abstract
を用いた正極と、負極と、非水電解質とを備えた非水電
解質二次電池において、正極材料を改善して、初期の放
電容量及びサイクル特性を向上させる。 【構成】 リチウム−遷移金属複合酸化物を正極材料と
する正極1と、負極2と、非水電解質とを備えた非水電
解質二次電池において、正極材料として、少なくともN
iとCoとMnとを含むリチウム−遷移金属複合酸化物
であって、X線源としてCu−Kαを用いた粉体X線回
折測定により測定した2θ=18.71±0.25゜の
範囲に存在するピークの半値幅が0.22゜以下になっ
たものを用いた。
Description
金属複合酸化物を正極材料に用いた正極と、負極と、非
水電解質とを備えた非水電解質二次電池及びこの非水電
解質二次電池に用いる正極材料の製造方法に係り、その
正極における正極材料を改善して、非水電解質二次電池
におけるサイクル特性や放電容量を向上させるようにし
た点に特徴を有するものである。
二次電池の一つとして、電解質に非水電解液等を用い、
リチウムの酸化,還元を利用した高起電力の非水電解質
二次電池が利用されるようになった。
おいては、その正極に用いる正極材料として、リチウム
イオンの吸蔵,放出が可能なリチウム−遷移金属複合酸
化物が知られており、特に、リチウムコバルト複合酸化
物LiCoO2 やリチウムニッケル複合酸化物LiNi
O2 を使用した場合には4V程度の高い放電電圧が得ら
れ、電池のエネルギー密度を高めることができるという
利点があり、このようなリチウム−遷移金属複合酸化物
を利用することが検討されている。
複合酸化物は結晶が壊れやすく、このリチウム−遷移金
属複合酸化物を正極材料に使用した非水電解質二次電池
において充放電を繰り返して行なった場合、次第に放電
容量が低下し、十分なサイクル特性が得られないという
問題があった。
7539号公報に示されるように、正極材料としてリチ
ウムとニッケルとの複合酸化物を用いるにあたり、この
リチウムニッケル複合酸化物として、X線源にCu−K
αを用いた粉体X線回折測定により測定した(003)
面のピークの半値幅が0.14゜〜0.30゜の範囲に
なったものを用いるようにしたり、また特開平8−22
2223号公報に示されるように、正極材料にリチウム
とコバルトとコバルト以外の遷移金属との複合酸化物を
用いるにあたり、この複合酸化物として、X線回折測定
により測定した(003)面及び(104)面のピーク
の半値幅が0.5゜以下になったものを用い、非水電解
質二次電池におけるサイクル特性及び放電容量を向上さ
せることが提案されている。
示されるように、正極材料としてリチウムとニッケルと
の複合酸化物を用いてその結晶性を制御した場合、その
結晶性を制御しないものに比べて、非水電解質二次電池
におけるサイクル特性や放電容量がある程度改善される
が、充放電を繰り返して行なうと、依然としてこのリチ
ウム−ニッケル複合酸化物の結晶が壊れ、サイクル特性
を十分に改善することができないという問題があった。
いては、正極材料として、リチウムとコバルトとの複合
酸化物の他に、リチウムとコバルトとニッケルとの複合
酸化物や、リチウムとコバルトとマンガンとの複合酸化
物を用い、これらの複合酸化物の結晶性を上記のように
制御することが示されているが、このようにリチウムに
対してコバルトだけを、或はこのコバルトにニッケルと
マンガンの何れか一つだけを組み合わせたリチウム複合
酸化物を用いた場合においても、その結晶の安定性が十
分ではなく、充放電を繰り返して行なうと結晶構造が変
化し、サイクル特性を十分に改善することができないと
いう問題があった。
としてリチウム遷移金属複合酸化物を用いた正極と、負
極と、非水電解質とを備えた非水電解質二次電池におけ
る上記のような問題を解決することを課題とするもので
あり、この正極材料を改良し、初期の放電容量を向上さ
せると共に、充放電を繰り返した場合における放電容量
の低下を抑制してサイクル特性に優れた非水電解質二次
電池が得られるようにすることを課題とするものであ
る。
ける非水電解質二次電池においては、上記のような課題
を解決するため、リチウム−遷移金属複合酸化物を正極
材料とする正極と、負極と、非水電解質とを備えた非水
電解質二次電池において、上記の正極材料として、少な
くともNiとCoとMnとを含むリチウム−遷移金属複
合酸化物であって、X線源としてCu−Kαを用いた粉
体X線回折測定により測定した2θ=18.71±0.
25゜の範囲に存在するピークの半値幅が0.22゜以
下のものを用いるようにした。
二次電池のように、その正極材料として、少なくともN
iとCoとMnとを含むリチウム−遷移金属複合酸化物
であって、X線源としてCu−Kαを用いた粉体X線回
折測定により測定した2θ=18.71±0.25゜の
範囲に存在するピークの半値幅が0.22゜以下のもの
用いると、リチウムとニッケルの複合酸化物であるLi
NiO2 におけるNiがCoとMnとで置換されてその
結晶構造が強化され、サイクル特性が向上すると共に、
上記のような結晶特性を有するものを用いると、少なく
ともNiとCoとMnとを含むリチウム−遷移金属複合
酸化物における遷移金属の分布が均一になってリチウム
イオンの拡散に適した層間距離を有する部分が多くな
り、その放電容量が増大すると考えられる。
とMnとを含むリチウム−遷移金属複合酸化物として、
特に、請求項2に示すように、Lia Cob Mnc Md
Ni 1-(b+c+d) O2 (Mは、B,Al,Si,Fe,
V,Cr,Cu,Zn,Ga,Wの中から選択される少
なくとも一種の元素であり、0<a<1.2、0.1≦
b≦0.5、0.05≦c≦0.4、0.01≦d≦
0.4、0.15≦b+c+d≦0.5の条件を満た
す。)で表されるリチウム−遷移金属複合酸化物を使用
すると、LiNiO2 におけるNiが、CoとMnの他
に上記のMとして示した少なくとも一種の元素で置換さ
れて、このリチウム−遷移金属複合酸化物における電子
状態が変化し、充放電を繰り返して行なった場合に、M
nが非水電解質中に溶出するのが抑制されて、さらにサ
イクル特性が向上するようになる。
材料として、X線源にCu−Kαを用いた粉体X線回折
測定により測定した2θ=18.71±0.25゜の範
囲に存在するピークの強度をI(003) 、2θ=44.5
4±0.25゜の範囲に存在するピークの強度をI(10
4) とした場合に、I(003) /I(104) の値が0.8以
上のものを用いると、より放電容量が向上されるように
なる。
物としては、LiNiO2 の他にリチウムイオンの吸蔵
・放出能力が弱いLi2 Ni8 O10等が存在し、このL
i2Ni8 O10の割合が増加すると、上記のI(003) /
I(104) の値が低くなって放電容量が低下するためであ
る。
なくともNiとCoとMnとを含むリチウム−遷移金属
複合酸化物において、2θ=18.71±0.25゜の
範囲に存在するピークの半値幅が0.22゜以下になっ
たリチウム−遷移金属複合酸化物を得るにあたっては、
リチウムに対してNi,Co,Mn等の遷移金属を均一
に混合させる必要があり、例えば、この正極材料を構成
するこれらの原料に非常に粒径の小さなものを用いて混
合させた混合物を用いたり、これらの原料を溶解させた
溶液から溶媒を蒸発除去させ、その残存物を混合物とし
て用いたりし、このような混合物を熱処理して上記のよ
うなリチウム−遷移金属複合酸化物を得ることができ
る。
ム−遷移金属複合酸化物は、2θ=18.71±0.2
5゜の範囲に存在するピークの半値幅が小さいほど、そ
の結晶構造の乱れが少なくなって高い放電容量を有する
ようになるため、上記のピークの半値幅が小さいほど好
ましく、このため、請求項4に示すように、正極材料と
して、請求項5に示すように、少なくともNiとCoと
Mnとを含む遷移金属の各塩の混合溶液にアルカリ溶液
を加え、各遷移金属の水酸化物を共沈させて各遷移金属
の複合水酸化物を得た後、この各遷移金属の複合水酸化
物にリチウム化合物を混合させ、この混合物を焼成させ
て製造したリチウム−遷移金属複合酸化物を用いること
が好ましい。
たリチウム−遷移金属複合酸化物においては、2θ=1
8.71±0.25゜の範囲に存在するピークの半値幅
が15°前後になって結晶構造の乱れが少なくなり、こ
のような正極材料を用いた請求項4の非水電解質二次電
池においては、さらに高い放電容量が得られるようにな
る。なお、正極材料に使用する上記のリチウム−遷移金
属複合酸化物を製造する方法は、特に上記のような方法
に限られず、上記のピークの半値幅がさらに小さくなっ
たリチウム−遷移金属複合酸化物を用いることも当然可
能である。
池において、その負極に使用する負極材料としては公知
のものを用いることができ、例えば、金属リチウム、L
i−Al,Li−In,Li−Sn,Li−Pb,Li
−Bi,Li−Ga,Li−Sr,Li−Si,Li−
Zn,Li−Cd,Li−Ca,Li−Ba等のリチウ
ム合金の他に、リチウムイオンの吸蔵,放出が可能な黒
鉛,コークス,有機物焼成体等の炭素材料を用いること
ができる。
ける上記の非水電解質としては、従来より使用されてい
る公知の非水電解液等を用いることができ、この非水電
解液における溶媒としては、例えば、エチレンカーボネ
ート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネー
ト、ビニレンカーボネート、シクロペンタノン、スルホ
ラン、ジメチルスルホラン、3−メチル−1,3−オキ
サゾリジン−2−オン、γ−ブチロラクトン、ジメチル
カーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカ
ーボネート、メチルプロピルカーボネート、ブチルメチ
ルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ブチル
エチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、1,2
−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチル
テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、酢酸メチ
ル、酢酸エチル等の溶媒を1種又は2種以上組み合わせ
て用いることができる。
媒に溶解させる溶質としても公知の溶質を用いることが
でき、例えば、LiPF6 、LiBF4 、LiCl
O4 、LiCF3 SO3 、LiAsF6 、LiN(CF
3 SO2 )2 、LiOSO2 (CF2 )3 CF3 等のリ
チウム化合物を使用することができる。
て、実施例を挙げて具体的に説明すると共に、この実施
例における非水電解質二次電池の場合、初期の放電容量
が向上されると共に充放電サイクル特性も向上されるこ
とを比較例を挙げて明らかにする。なお、この発明にお
ける非水電解質二次電池は、下記の実施例に示したもの
に限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜
変更して実施できるものである。
らの実施例及び比較例においては、下記のようにして作
製した正極と負極と非水電解液とを用い、図1に示すよ
うな偏平なコイン型になったリチウム二次電池を作製し
た。
は、LiOHに対して、平均粒径が0.05μmのNi
(OH)2 とCo(OH)2 とMn2 O3 とAl(O
H)3 とをそれぞれ所定のモル比で加え、これらを石川
式らいかい乳鉢を用いて混合させた後、この混合物を乾
燥空気雰囲気下において800℃で8時間熱処理を行な
って、LiとNiとCoとMnとAlとが下記の表1及
び表2に示すようなモル比になった各リチウム−遷移金
属複合酸化物を作製し、これらを石川式らいかい乳鉢を
用いて粉砕して、それぞれ平均粒径が約5μmになった
各正極材料を得た。
あるアセチレンブラックと、結着剤であるポリフッ化ビ
ニリデンとをそれぞれ90:6:4の重量比になるよう
に混練して各正極合剤を作製し、こられの各正極合剤を
それぞれ2t/cm2 の圧力で加圧して直径20mmの
円板状に成形した後、真空下においてこれを250℃で
2時間熱処理して各正極を作製した。
は、所定の厚みになったリチウム−アルミニウム合金の
圧延板を直径20mmの円板状に打ち抜いて負極を作製
した。
るにあたっては、エチレンカーボネートとジメチルカー
ボネートとを1:1の体積比で混合させた混合溶媒に、
溶質としてLiPF6 を1mol/lの割合で溶解させ
て非水電解液を作製した。
は、図1に示すように、上記のようにして作製した各正
極1をそれぞれ正極集電体5に取り付けると共に上記の
負極2を負極集電体6に取り付け、イオン透過性のポリ
プロピレンフィルムで構成されたセパレータ3に上記の
非水電解液を含浸させ、このセパレータ3を上記の各正
極1と負極2との間に介在させて、これらを正極缶4a
と負極缶4bとで形成される各電池ケース4内にそれぞ
れ収容させ、正極集電体5を介して正極1を正極缶4a
に接続させる一方、負極集電体6を介して負極2を負極
缶4bに接続させ、この正極缶4aと負極缶4bとを絶
縁パッキン7によって電気的に絶縁させて、実施例1〜
17及び比較例1〜3の各リチウム二次電池を作製し
た。
iOHに対して平均粒径が0.05μmのNi(OH)
2 とCo(OH)2 とMn2 O3 とAl(OH)3 とを
上記の実施例5と同じモル比で加え、これらを石川式ら
いかい乳鉢を用いて混合させた後、この混合物を乾燥空
気雰囲気下において800℃で20時間熱処理を行なう
ようにし、それ以外については、上記の実施例1〜17
及び比較例1〜3の場合と同様にしてリチウム二次電池
を作製した。
iOHに対して平均粒径が0.05μmのNi(OH)
2 とCo(OH)2 とMn2 O3 とAl(OH)3 とを
上記の実施例5と同じモル比で加え、これらを石川式ら
いかい乳鉢を用いて混合させた後、この混合物を乾燥空
気雰囲気下において850℃で8時間熱処理を行なうよ
うにし、それ以外については、上記の実施例1〜17及
び比較例1〜3の場合と同様にしてリチウム二次電池を
作製した。
極を作製するにあたり、攪拌槽内に硫酸ニッケルと硫酸
コバルトと硫酸マンガンの混合溶液を、各遷移金属のモ
ル比がNi:Co:Mn=0.9:0.01:0.09
の割合になるように調製し、この混合溶液中に水酸化ナ
トリウム水溶液を徐々に投入しながら攪拌させて、各遷
移金属の水酸化物を共沈させた。このようにすると、水
酸化ニッケル中におけるニッケル原子の一部が、コバル
ト原子とマンガン原子とによって均一に置換されたよう
な構造を有する組成式Ni0.9 Co0.01Mn0.09(O
H)2 で示される遷移金属複合水酸化物が得られた。
OHとを、Liと遷移金属元素の総量とが1:1のモル
比となるように混合させ、この混合物を乾燥空気雰囲気
下において800℃で8時間熱処理してリチウム−遷移
金属複合酸化物を作製し、このリチウム−遷移金属複合
酸化物を用いて、上記の実施例1〜17及び比較例1〜
3の場合と同様にして正極を作製すると共にリチウム二
次電池を作製した。
極を作製するにあたり、攪拌槽内に硫酸ニッケルと硫酸
コバルトと硫酸マンガンの混合溶液を、各遷移金属のモ
ル比がNi:Co:Mn=0.5:0.4:0.1の割
合になるように調製し、この混合溶液中に水酸化ナトリ
ウム水溶液を徐々に投入しながら攪拌させて、各遷移金
属の水酸化物を共沈させた。このようにすると、水酸化
ニッケル中におけるニッケル原子の一部が、コバルト原
子とマンガン原子とによって均一に置換されたような構
造を有する組成式Ni0.5 Co0.4 Mn0.1 (OH)2
で示される遷移金属複合水酸化物が得られた。
合と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
極を作製するにあたり、攪拌槽内に硫酸ニッケルと硫酸
コバルトと硫酸マンガンと硫酸アルミニウムの混合溶液
を、各遷移金属のモル比がNi:Co:Mn:Al=
0.84:0.1:0.05:0.01の割合になるよ
うに調製し、この混合溶液中に水酸化ナトリウム水溶液
を徐々に投入しながら攪拌させて、各遷移金属の水酸化
物を共沈させた。このようにすると、水酸化ニッケル中
におけるニッケル原子の一部が、コバルト原子とマンガ
ン原子とアルミニウム原子とによって均一に置換された
ような構造を有する組成式Ni0. 84Co0.1 Mn0.05A
l0.01(OH)2 で示される遷移金属複合水酸化物が得
られた。
合と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
極を作製するにあたり、攪拌槽内に硫酸ニッケルと硫酸
コバルトと硫酸マンガンと硫酸アルミニウムの混合溶液
を、各遷移金属のモル比がNi:Co:Mn:Al=
0.5:0.1:0.39:0.01の割合になるよう
に調製し、この混合溶液中に水酸化ナトリウム水溶液を
徐々に投入しながら攪拌させて、各遷移金属の水酸化物
を共沈させた。このようにすると、水酸化ニッケル中に
おけるニッケル原子の一部が、コバルト原子とマンガン
原子とアルミニウム原子とによって均一に置換されたよ
うな構造を有する組成式Ni0.5Co0.1 Mn0.39Al
0.01(OH)2 で示される遷移金属複合水酸化物が得ら
れた。
合と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
粒径が10μmと粒径の大きなNi(OH)2 とCo
(OH)2 とMn2 O3 とAl(OH)3 とを用い、L
iOHに対してこれらを上記の実施例5と同じモル比で
加えるようにし、それ以外については、上記の実施例1
〜17及び比較例1〜3の場合と同様にしてリチウム二
次電池を作製した。
の比較例4と同様に、平均粒径が10μmと粒径の大き
なNi(OH)2 とCo(OH)2 とMn2 O3 とAl
(OH)3 とを用い、LiOHに対してこれらを上記の
実施例5と同じモル比で加え、これらを石川式らいかい
乳鉢を用いて混合させた後、この混合物を乾燥空気雰囲
気下において800℃で20時間保持させるという熱処
理を行なうようにし、それ以外については、上記の実施
例1〜17及び比較例1〜3の場合と同様にしてリチウ
ム二次電池を作製した。
の比較例4と同様に、平均粒径が10μmと粒径の大き
なNi(OH)2 とCo(OH)2 とMn2 O3 とAl
(OH)3 とを用い、LiOHに対してこれらを上記の
実施例5と同じモル比で加え、これらを石川式らいかい
乳鉢を用いて混合させた後、この混合物を乾燥空気雰囲
気下において850℃で8時間熱処理を行なうように
し、それ以外については、上記の実施例1〜17及び比
較例1〜3の場合と同様にしてリチウム二次電池を作製
した。
を作製するにあたり、撹拌槽内で濃度1Nの硫酸ニッケ
ル水溶液中に核となる水酸化ニッケル粒子を分散させ、
この中にフレーク状の水酸化ナトリウム粒子を投入し、
これを撹拌しながら液温を40℃に保ち、さらに硫酸ニ
ッケル水溶液と水酸化ナトリウム粉末とを加えながら撹
拌し、球状になった水酸化ニッケルNi(OH)2 を得
た。
を、Li:Niが1:1のモル比となるように混合さ
せ、その後は、上記の実施例1〜17及び比較例1〜3
の場合と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
を作製するにあたり、上記の比較例7と同様にして得た
球状の水酸化ニッケルNi(OH)2 を用い、このNi
(OH)2 とLiOHとCo(OH)2 とを、Li:N
i:Coが1:0.8:0.2のモル比になるように混
合させ、その後は、上記の実施例1〜17及び比較例1
〜3の場合と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
を作製するにあたり、LiOHに対して、上記の比較例
4と同様に平均粒径が10μmと粒径の大きなNi(O
H)2 を用い、Li:Niが1:1のモル比となるよう
に混合させ、その後は、上記の実施例1〜17及び比較
例1〜3の場合と同様にしてリチウム二次電池を作製し
た。
1〜9の各リチウム二次電池における各正極材料につい
て、X線源としてCu−Kαを用いた粉体X線回折測定
によって2θ=18.71±0.25゜の範囲に存在す
るピークの半値幅を求めると共に、2θ=18.71±
0.25゜の範囲に存在するピークの強度I(003) と2
θ=44.54±0.25゜の範囲に存在するピークの
強度I(104) とからピーク強度比[I(003) /I(104)
]を求め、これらの結果を下記の表1及び表2に合わ
せて示した。
〜23及び比較例1〜9の各リチウム二次電池をそれぞ
れ充電電流0.5mA/cmで充電終止電圧4.25V
まで充電させた後、放電電流0.5mA/cmで放電終
止電圧2.75Vまで放電させ、これを1サイクルとし
て充放電を繰り返して行ない、各リチウム二次電池にお
ける1サイクル目の放電容量を求めると共に、放電容量
が1サイクル目における放電容量の90%を下回るまで
のサイクル数を求め、これらの結果を下記の表1及び表
2に合わせて示した。
電池と比較例1〜3,7〜9のリチウム二次電池とを比
較すると、正極材料として、2θ=18.71±0.2
5゜の範囲に存在するピークの半値幅が0.22゜以下
になったリチウム−遷移金属複合酸化物を用いた場合に
おいても、実施例1〜23のように正極材料として少な
くともNiとCoとMnとを含むリチウム−遷移金属複
合酸化物を用いた各リチウム二次電池は、Niの他にC
oとMnの少なくとも一つが欠けているリチウム−遷移
金属複合酸化物を用いた比較例1〜3,7〜9の各リチ
ウム二次電池に比べて、サイクル特性や初期の放電容量
が著しく向上していた。
属複合酸化物において、LiとNiとCoとMnとAl
のモル比が同じになった実施例5,22の各リチウム二
次電池と、比較例4〜6の各リチウム二次電池とを比較
すると、2θ=18.71±0.25゜の範囲に存在す
るピークの半値幅が0.22゜以下になった正極材料を
用いた実施例5,22の各リチウム二次電池は、半値幅
が上記の0.22゜より大きい正極材料を用いた比較例
4〜6の各リチウム二次電池に比べて、初期の放電容量
が著しく向上していた。
属複合酸化物において、LiとNiとCoとMnとAl
のモル比が対応した実施例1,4,5,9の各リチウム
二次電池と、実施例20〜23の各リチウム二次電池と
を比較した場合、平均粒径が0.05μmの小さな粒径
の各遷移金属の水酸化物を混合させて、この混合物を処
理して正極を作製した実施例1,4,5,9の各リチウ
ム二次電池に比べて、Ni,Co,Mn,Alの各硫酸
塩の混合溶液を中和させて各遷移金属の水酸化物を共沈
させ、このように共沈された遷移金属の水酸化物を処理
して正極を作製した実施例20〜23の各リチウム二次
電池の方が、初期の放電容量が向上していた。
次電池のように、各遷移金属の硫酸塩の混合溶液にアル
カリ溶液を加え、この混合溶液を中和させて各遷移金属
の水酸化物を共沈させた場合、平均粒径が0.05μm
の小さな粒径の各遷移金属の水酸化物を混合させた場合
に比べて、LiNiO2 の構造を損なうことなく、リチ
ウム遷移金属複合酸化物を作製することができ、このた
め、リチウムイオンの拡散に適した結晶構造を有する部
分が増えて、初期の放電容量がさらに向上したものと考
えられる。
を比較した場合、その正極材料として、前記の請求項2
に示すLia Cob Mnc Md Ni1-(b+c+d) O2 (M
は、B,Al,Si,Fe,V,Cr,Cu,Zn,G
a,Wの中から選択される少なくとも一種の元素であ
り、0<a<1.2、0.1≦b≦0.5、0.05≦
c≦0.4、0.01≦d≦0.4、0.15≦b+c
+d≦0.5の条件を満たす。)で表されるリチウム−
遷移金属複合酸化物を用いた実施例5〜11,18,1
9,22,23の各リチウム二次電池は、これ以外のリ
チウム−遷移金属複合酸化物を用いた実施例1〜4,1
2〜17,20,21の各リチウム二次電池に比べて、
さらにサイクル特性が向上していた。
と実施例18,19のリチウム二次電池を比較した場
合、2θ=18.71±0.25゜の範囲に存在するピ
ークの強度I(003) と2θ=44.54±0.25゜の
範囲に存在するピークの強度I(104) とのピーク強度比
[I(003) /I(104) ]が0.8以上になった正極材料
を使用した実施例1〜17のリチウム二次電池は、I(0
03) /I(104) が0.8より低い正極材料を使用した実
施例18,19のリチウム二次電池に比べて、放電容量
がさらに向上していた。
として使用するリチウム−遷移金属複合酸化物におい
て、NiとCoとMnの他にAlを用いた例を示しただ
けであるが、Alの代わりにB,Si,Fe,V,C
r,Cu,Zn,Ga,Wからなる群から選択される少
なくとも一種の元素を用いた場合においても同様の結果
が得られる。
−遷移金属複合酸化物を作製する原料にNi,Co,M
n,Alの酸化物や水酸化物を用いたが、この原料にN
i,Co,Mn,Alの硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、酢酸
塩、シュウ酸塩等を用いるようにしてもよい。
は、遷移金属複合水酸化物を得る原料として、Ni,C
o,Mn,Alの硫酸塩を用いるようにしたが、使用す
る原料は、中和反応によって各遷移金属の水酸化物のみ
が沈殿するものであればよく、Ni,Co,Mn,Al
の酢酸塩,シュウ酸塩,クエン酸塩等を用いるようにし
てもよい。
は、上記のNi,Co,Mn,Alの硫酸塩の混合溶液
を中和させて、各遷移金属の水酸化物を共沈させるアル
カリ溶液に水酸化ナトリウム溶液を用いたが、このアル
カリ溶液は中和反応により各遷移金属の水酸化物のみを
共沈させることができるものであればよく、例えば、水
酸化リチウム溶液、水酸化カリウム溶液、水酸化セシウ
ム溶液等を用いるようにしてもよい。
は、上記のNi,Co,Mn,Alの硫酸塩の混合溶液
に水酸化ナトリウムを加えて各遷移金属の水酸化物を共
沈させるようにしただけであるが、この場合に、アンモ
ニアなどのpH調整剤を加え、各遷移金属の水酸化物の
生成速度を調整して、各遷移金属が均一に複合化される
ようにしてもよい。
1における非水電解質二次電池においては、その正極材
料として、少なくともNiとCoとMnとを含むリチウ
ム−遷移金属複合酸化物であって、X線源としてCu−
Kαを用いた粉体X線回折測定により測定した2θ=1
8.71±0.25゜の範囲に存在するピークの半値幅
が0.22゜以下のものを用いるようにしたため、リチ
ウムとニッケルの複合酸化物であるLiNiO2 におけ
るNiがCoとMnとで置換されてその結晶構造が強化
されると共に、少なくともNiとCoとMnとを含むリ
チウム−遷移金属複合酸化物における遷移金属の分布が
均一になってリチウムイオンの拡散に適した層間距離を
有する部分が多くなった。
水電解質二次電池においては、初期の放電容量が向上す
ると共に、充放電を繰り返した場合における放電容量の
低下も抑制されてサイクル特性が向上した。
上記の正極材料に、Lia Cob Mnc Md Ni
1-(b+c+d) O2 (Mは、B,Al,Si,Fe,V,C
r,Cu,Zn,Ga,Wの中から選択される少なくと
も一種の元素であり、0<a<1.2、0.1≦b≦
0.5、0.05≦c≦0.4、0.01≦d≦0.
4、0.15≦b+c+d≦0.5の条件を満たす。)
で表されるリチウム−遷移金属複合酸化物を使用する
と、非水電解質二次電池におけるサイクル特性にさらに
向上された。
上記の正極材料として、X線源にCu−Kαを用いた粉
体X線回折測定により測定した2θ=18.71±0.
25゜の範囲に存在するピークの強度をI(003) 、2θ
=44.54±0.25゜の範囲に存在するピークの強
度をI(104) とした場合に、I(003) /I(104) の値が
0.8以上のものを用いると、非水電解質二次電池にお
ける放電容量がさらに向上された。
上記の請求項1〜3の非水電解質二次電池における正極
材料として、請求項5に示すように、少なくともNiと
CoとMnとを含む遷移金属の各塩の混合溶液にアルカ
リ溶液を加え、各遷移金属の水酸化物を共沈させて各遷
移金属の複合水酸化物を得た後、この各遷移金属の複合
水酸化物にリチウム化合物を混合させ、この混合物を焼
成させて製造したリチウム−遷移金属複合酸化物を用い
ると、このリチウム−遷移金属複合酸化物における遷移
金属の分布が均一になって、結晶構造の乱れが少なくな
り、非水電解質二次電池における放電容量がさらに向上
した。
電池の内部構造を示した断面説明図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 リチウム−遷移金属複合酸化物を正極材
料とする正極と、負極と、非水電解質とを備えた非水電
解質二次電池において、上記の正極材料として、少なく
ともNiとCoとMnとを含むリチウム−遷移金属複合
酸化物であって、X線源としてCu−Kαを用いた粉体
X線回折測定により測定した2θ=18.71±0.2
5゜の範囲に存在するピークの半値幅が0.22゜以下
のものを用いたことを特徴とする非水電解質二次電池。 - 【請求項2】 請求項1に記載した非水電解質二次電池
において、上記の正極材料として、Lia Cob Mnc
Md Ni1-(b+c+d) O2 (Mは、B,Al,Si,F
e,V,Cr,Cu,Zn,Ga,Wの中から選択され
る少なくとも一種の元素であり、0<a<1.2、0.
1≦b≦0.5、0.05≦c≦0.4、0.01≦d
≦0.4、0.15≦b+c+d≦0.5の条件を満た
す。)で表されるリチウム−遷移金属複合酸化物を用い
たことを特徴とする非水電解質二次電池。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載した非水電解質二
次電池において、上記の正極材料として、X線源にCu
−Kαを用いた粉体X線回折測定により測定した2θ=
18.71±0.25゜の範囲に存在するピークの強度
をI(003) 、2θ=44.54±0.25゜の範囲に存
在するピークの強度をI(104) とした場合に、I(003)
/I(104) の値が0.8以上のリチウム−遷移金属複合
酸化物を用いたことを特徴とする請求項2記載の非水電
解質二次電池。 - 【請求項4】 請求項1〜3の何れか1項に記載した非
水電解質二次電池において、上記の正極材料として、少
なくともNiとCoとMnとを含む遷移金属の各塩の混
合溶液にアルカリ溶液を加え、各遷移金属の水酸化物を
共沈させて各遷移金属の複合水酸化物を得た後、この各
遷移金属の複合水酸化物にリチウム化合物を混合させ、
この混合物を焼成させて得たリチウム−遷移金属複合酸
化物を用いたことを特徴とする非水電解質二次電池。 - 【請求項5】 請求項1〜3の何れか1項に記載した非
水電解質二次電池に使用する正極材料を製造するにあた
り、少なくともNiとCoとMnとを含む遷移金属の各
塩の混合溶液にアルカリ溶液を加え、各遷移金属の水酸
化物を共沈させて各遷移金属の複合水酸化物を得た後、
この各遷移金属の複合水酸化物にリチウム化合物を混合
させ、この混合物を焼成させるようにしたことを特徴と
する正極材料の製造方法。
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