JPH11250783A - 真空バルブ用接点材料 - Google Patents
真空バルブ用接点材料Info
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- JPH11250783A JPH11250783A JP4984898A JP4984898A JPH11250783A JP H11250783 A JPH11250783 A JP H11250783A JP 4984898 A JP4984898 A JP 4984898A JP 4984898 A JP4984898 A JP 4984898A JP H11250783 A JPH11250783 A JP H11250783A
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Abstract
価格が安価な真空バルブ用接点材料を得ること。 【解決手段】 [Cu−TiC]系合金、[Cu−Ti
C−C]系合金に対して、補助成分としてAlを添加し
[Cu−TiC]+Al合金、[Cu−TiC−C]+
Al合金とし、特に[Cu−TiC−C]+Al合金で
は、化学量論的な形態、TiCの大きさ(平均粒子直
径)、更に[Cu−TiC−C]系合金中に非固溶状態
若しくは化合物非形成状態で存在しているC量、Cの大
きさ、Cの分散度を、好ましい範囲に制御すると共に、
補助成分としてAlを合金化させることによって、電流
裁断特性と遮断特性の両方に優れた安定な接点母材が得
れた。
Description
流を開閉する真空遮断器などの電極接点に用いられる真
空バルブ用接点材料に関する。
点は、耐溶着特性、耐電圧特性、遮断特性で代表される
基本三要件の他に、裁断(さい断)特性、耐消耗性、接
触抵抗特性、温度上昇特性などを維持向上させるために
種々の素材元素から構成されている。
反する材料物性を要求する場合が多いことから、1つの
元素で十分満足させることは不可能とされている。そこ
で、材料の複合化、素材張合わせなどによって、大電流
遮断用途、高耐電圧用途、低裁断用途などのように、特
定用途に合った真空バルブ用接点材料(以降、単に接点
材料と称することもある)の開発が行われ、それなりに
優れた特性を発揮しているのが現状である。
めの大電流遮断用接点材料として、例えばBiやTeの
ような溶着防止成分を5重量%以下含有するCu−Bi
合金,Cu−Te合金が知られている(特公昭41−1
2131号、特公昭44−23751号)。Cu−Bi
合金では、結晶粒界に析出した脆いBi、Cu−Te合
金は結晶粒界及び粒内に析出した脆いCu2 Teが合金
自体を脆化させ低溶着引き外し力が実現したことから大
電流遮断特性にも優れている。この合金のうちBiを例
えば10重量%程度とした接点では、適度な蒸気圧特性
を有するので、優れた電流裁断特性を発揮している(特
公昭35−14974号)。
合金では、耐溶着性、大電流遮断特性としては優れてい
るものの、耐電圧特性に対しては満足するものではな
い。
流遮断用接点材料としては、Cu−Cr合金が知られて
いる。この合金は前記Cu−Bi合金,Cu−Te合金
よりも、構成成分間の蒸気圧差が少ないため、均一な性
能発揮を期待し得る利点があり、使い方によっては優れ
たものである。しかしながらCu−Cr合金では、高耐
圧、大電流遮断特性としては優れてはいるものの、耐溶
着性に対しては満足するものではない。
する真空遮断器としては下記裁断特性と遮断特性とを一
層改善することが必要となっている。
を利用して、高真空中で電流遮断(あるいは電流開閉)
を行わせる真空バルブの接点は、対向する固定、可動2
つの接点から構成されている。真空バルブを十分な配慮
なしに電動機負荷など誘導性回路に用いて電流を遮断す
る時、過渡の異常サージ電圧が発生して負荷機器の絶縁
性に影響を与える場合がある。
に於ける小電流遮断時に、低電流側で発生する裁断(さ
い断)現象(交流電流波形の自然ゼロ点を待たずに強制
的に電流遮断が行われること、あるいは高周波消弧現象
などによるものである。異常サージ電圧の値Vsは、回
路のサージインピーダンスZoと電流裁断値Icに比例
する。従って異常サージ電圧の値Vsを低く抑制するた
めの1手段として電流裁断値Icを低くする必要があ
る。上記Ag−WC合金がこの要求に対して有益な接点
合金の1つとして利用されている。
電子放出効果とAgの適度の蒸気圧との相乗的作用によ
って優れた低裁断性を発揮するAg−WC合金(Agが
40%)が知られている(特願昭42−68447
号)。また、耐弧成分材料の粒子直径(例えばWCの粒
径)を0.2〜1μmとした接点材料の採用により、裁
断電流特性の改善に有効であることが示唆されている
(特公平5−61338号)。 更に、WC−Coの粒
子間距離を0.3〜3μmとした接点材料の採用によ
り、アーク陰極点の易動度が良好となり、大電流遮断特
性の向上を計った接点材料も知られている(特開平4−
206121号)。しかしながら、これらAgーWC系
合金では裁断特性としては優れてはいるものの、大電流
遮断特性及び裁断特性と大電流遮断特性との両立性に対
しては満足するものではない。
後、真空バルブ内で閃絡が発生し、接点間が再び導通状
態になる(その後放電は継続しない)現象を誘起する場
合がある。この現象を再点弧と呼び、その発生メカニズ
ムは未解明であるが、電気回路が一度電流遮断状態とな
った後に導通状態に急激に変化するため、異常過電圧が
発生しやすい。また、再点弧の発生によって電流遮断特
性を著しく低下させることになる。更に、大電流遮断を
行った接点の表面は、亀裂の生成や選択的な蒸発、脱落
など著しく損傷し、その結果材料の損耗を招くものであ
り、このような損耗(消耗)した表面をもつ接点が次の
開閉あるいは遮断時には、2次的な多くの不利益を持た
らすことになる。そのため大電流を遮断してもなお安定
した損耗の少ない接点を実現することも、遮断特性の向
上と共に求められている。
ルブ用の低裁断型接点材料としては、前記したCu−B
i合金,Cu−Te合金、Cu−Cr合金に優先してA
g−WC合金を適用してきたが、さらに強まる低裁断化
と電流遮断特性とを両立させる要求に対しては、十分な
接点材料とはいえないが実情であり、両特性をより高度
に両立させることが重要な課題とされている。更にAg
−WC合金では、効果なAgを多量に含有するため、素
材価格の低減も重要な課題とされている。
応した場合では、通常の2倍、3倍の電圧が印加される
関係上、電流遮断、電流開閉時のアークによって接点の
表面が著しく損傷し、その結果、接点の表面荒れや脱落
消耗も遮断特性の低下を招いている。低裁断性Ag−W
C合金においても同様の現象が見られ、一層の低裁断化
と一層の遮断特性をも兼備する接点材料の開発改良が急
務となっている。即ち、電流遮断特性として好ましいA
g−WC合金を搭載した遮断器であっても、コンデンサ
バンクを遮断させて再点弧を発生させる実験によれば、
極めて大きな過電圧の発生や、過大な高周波電流の発生
が観測されるため、極度に電流遮断特性が低下する。そ
の結果、Ag−WC合金に対して再点弧発生を抑制し、
遮断特性を向上させる技術の開発が求められている。
ズムは未だ知られていないが、筆者らの実験観察によれ
ば、再点弧は真空バルブ内の接点/接点間、接点/ア一
クシールド間でかなり高い頻度で発生している。そのた
め筆者らは、例えば接点がアークを受けた時に放出され
る突発性ガスの抑制技術、接点表面形態の最適化技術な
ど、再点弧の発生抑制に極めて有効な技術を明らかに
し、再点弧発生の抑制に貢献した。例えばAg−WC合
金の加熱過程で放出されるガス総量、ガスの種類並びに
放出形態に注目し、再点弧発生との相関を詳細に観察を
行ったところ、溶融点近傍で極めて短時間ではあるがパ
ルス状に突発的に放出されるガスが多い接点では、再点
弧発生率も高くなり、極度に遮断特性が低下した。
ど、予めAg−WC合金中の突発的ガス放出の一因を除
去しておくことや、Ag−WC合金の合金中のポアや組
織的偏析を抑制するように焼結技術を改良することなど
によって、再点弧現象の発生を低減させて真空遮断器の
遮断特性を向上させた。しかし、近年では適応する電
圧、電流範囲の拡大や多様化する負荷への適応拡大な
ど、過酷化した条件での使用機会が増大した結果、上記
した従来技術に付加するさらなる新技術の開発が必要と
なってきた。
るためになされたもので、その目的は、従来のAgーW
C接点材料より低価格であって、且つ従来のAg−WC
接点材料の特性を凌駕する電流裁断特性と遮断特性とを
兼備した真空バルブ用接点材料を提供することである。
すべく検討を重ねた結果、これに用いる第1の発明の特
徴は、耐弧成分として、TiCを30〜70%(容積
%)、Cuよりなる導電成分を70〜30%(容積%)
で構成された[Cu−TiC]接点合金であって、Al
よりなる補助成分を、前記耐弧成分量に対して、0.0
05〜0.75%(重量%)含有した[Cu−TiC]
+Al系真空バルブ用接点材料にある。
0.1〜10μmの平均粒径を有するTiCが30〜7
0%(容積%)、Cuよりなる導電成分が70〜30%
(容積%)、大きさが0.01〜5μm(球に換算した
時の直径)の範囲にあり、かつ,非固溶状態若しくは化
合物非形成状態にあるC(以下C)が、前記TiC量に
対して、1.0%(重量%)以下(好ましくは0.00
5〜1.0%)で構成された[Cu−TiC−C]接点
合金であって、Alよりなる補助成分を前記耐弧成分量
に対して、0.005〜0.75%(重量%)含有した
[Cu−TiC−C]+A1真空バルブ用接点材料にあ
る。
u−TiC]系合金中の前記非固溶状態若しくは非化合
物形成状態にあるCは、そのC粒子の間隙Lは、最隣接
するC粒子の大きさdと同等、若しくはそれ以上大きく
隔離(L≧d)し、[Cu−TiC]系合金中に高度に
分散分布していることにある。
[Cu−TiC]系合金中のTi炭化物の化学量論的な
比率Ti:Cは,1:1〜1:0.7(TiC1〜0.7
の範囲にあることを特徴とする真空バルブ用接点材料に
ある。
[Cu−TiC]系合金中のTi炭化物の一部または総
てをv炭化物(バナジウム炭化物:VC)で置換したこ
とにある。
Sb,Teの少なくとも1っを前記Cu−TiC系合金
中に、0.05〜0.5%(重量%)含有したことにあ
る。本発明の好適な他の態様の特徴は、Alよりなる補
助成分は、所定量(最終的に必要とするA1量0.00
5〜0.5%の総て、若しくはその一部のA1をCu,
TiC,Cよりなる構成成分の少なくとも1つと、予め
複合若しくは合金化した後、得られた該複合体若しくは
合金若しくは化合物を、前記[Cu−TiC]、[Cu
−TIC−C]+Al系真空バルブ用接点材料の製造用
原料素材として供することにある。
接点材料として安定した特性を発揮する接点として使用
されている。しかし、上記した裁断特性と遮断特性とを
同時に改善する要求に対しては更に改良する必要があ
る。近年の遮断器では両特性を同時に向上させる共に、
特に裁断特性においては、所定回数を開閉させた後もそ
の値を低い範囲(特性良好)にすること、そのばらつき
幅も小さくすることが極めて重要となっている。
界技術)を与えた状態で、電流を遮断した場合、遮断に
より発生したアークはアーク電圧の低い部分に停滞及び
集中することが抑止されるため、接点電極面上を移動す
る。この真空バルブに本発明の[Cu−TiC−C]系
接点を搭載した時、合金中のCは、合金中に非固溶状態
若しくは化合物非形成状態として存在するため、接点面
上の材料組成を平均化(均一化)させる方向に作用し、
これによって裁断特性の特にバラツキ幅を小さくするの
に寄与する。更にCは、合金中に非固溶状態若しくは化
合物非形成状態として存在するので、接点電極上のアー
クは容易に移動するため、アークの拡散が促進され、こ
れにより、アークの停滞と集中が低減化される結果、遮
断電流を処理し得る接点面積の実質的増加につながり、
遮断特性の向上にも寄与する。
合物非形成状態として存在するため、アークの停滞及び
集中が低減化される結果、接点電極の局部的異常蒸発現
象の阻止、表面荒れの軽減化の利益も得られ、耐消耗性
の向上にも寄与する。
と、アークは予測出来ない一点若しくは複数点の場所で
停滞し、異常融解させ遮断限界に至る。また異常融解
は、[Cu−TiC−C]系接点材料の瞬時的爆発的な
蒸発によって発生した金属蒸気が開極過程にあった真空
遮断器の絶縁回復性を著しく阻害するため、遮断限界の
一層の劣化を招く。更に異常融解は、巨大な融滴を作っ
て接点電極面の荒れを招き耐電圧特性の低下、再点弧発
生率の増加、材料の異常な消耗をも招く。
電極面上のどこで停滞するかは前述したように全く予測
出来ない以上、発生したアークを停滞させることなく移
動拡散できるような表面条件を接点に与えることが望ま
しい。その望ましい条件として、本例では、[Cu−T
iC−C]+Al合金中のC(C量など)の存在形態を
最適化すると共にAl量を最適化した。その結果,Al
の添加効果による一層の遮断特性の向上と、CとAlと
の相乗効果による裁断特性と遮断特性との両立を達成し
た。
u−TiC−C]合金中において、主としてCuに作用
して遮断(遮断)特性の改善に関与する。遮断特性を支
配する因子の1つとして、接点表面温度を支配する熱伝
導度などの熱物性が挙げられる。導電率の低下は接点表
面温度の上昇を招き、遮断瞬時に過度の蒸気を放出し、
遮断性能の低下をもたらす。即ち所定量範囲のAlは、
[Cu一TiC」合金、[Cu−TiC−C]合金中の
Cuの平衡蒸気圧が上昇するのを抑制および低減する効
果を発揮し、その結果遮断特性の向上に寄与する。Al
が所定量以下の時には、Alの均一分散が困難なため、
遮断特性にバラツキが大きく現れる。Alが所定量以上
の時には、[Cu−TiC−C]合金の導電率の著しい
低下のため、遮断電流値の著しい低下(特性劣化)が現
れ、更に、所定条件に制御したCとAlとの添加による
相乗的効果は、TiC粒子とC粒子との密着強度の向上
や接点材料中のCuとTiCとの組織的均一性をも図っ
た。
して蒸発、飛散するCuを少なくなるように制御するの
みならず,被アーク時の熱衝撃によっても接点面上に
は、再点弧発生に対して有害で著しい亀裂発生も抑止さ
れ、TiC粒子の飛散脱落も軽減された。特に非固溶状
態若しくは化合物非形成状態にあるC量をTiC量に対
して1.0%(重量%)以下、好ましくは0.005〜
1.0%に最適量化し、且つその大きさを0.01〜5
μm以下(球に換算した時の直径)に制限した上で、A
lを最適範囲とした。この接点合金組織が再点弧特性の
劣化を最小限に止めた上で、裁断特性向上と安定化及び
遮断特性向上と安定化に寄与した。
態にあるC量をTiC量に対して好ましくは0.005
%以上とするのは、裁断特性の特に開閉後半(1990
0〜20000回開閉中)におけるバラツキ幅が若干増
加する傾向が見られてるのを抑止できるためである。
金を代表例として示したが、「Cu−TiC]+Alに
対しても,所定条件のC及びCとAlの存在は同じ傾向
の効果を得る。
C]中でのCの量や大きさ、Alの量を最適化すること
によって、合金組織中でのCu、TiC、Cの均一分布
化、Cu、TiC、Cの互いの密着強さ等の改良を図っ
たので、アークを受けた後でも再点弧発生に有害となる
巨大溶融痕跡、飛散損傷などが少なくなると共に再点弧
抑止上で重要な影響を及ぼす接点表面荒れも少なくな
り、耐アーク消耗性の向上にも有益となった。耐アーク
消耗性の向上は接点表面の平滑化を持たらし、多数回開
閉後でも裁断特性及び遮断特性のばらつき幅の縮小に有
益となっている。これらの相乗的効果によって、裁断特
性を向上させた上で[Cu−TiC]合金の遮断特性と
耐消耗性の向上を得た。
在するCが非固溶状態若しくは化合物非形成状態にある
ことが好ましく、このような状態にないと、多数回開閉
後の裁断特性安定性特にそのバラツキ幅が増大する傾向
となると共に、多数回開閉後の遮断特性に大きなバラツ
キを生じさせしまう。
て説明する。[Cu−TiC]系接点および[Cu−T
iC−C]系接点を搭載した真空バルブにおいて、補助
的成分としてのAlは、Al量を所定量まで増加させる
と裁断特性を維持したまま電流遮断特性が向上するが、
Al量が所定量を越えると、遮断特性は急速に低下(劣
化)する。
した真空バルブにおいて、補助的成分としてのCは、C
量を所定量まで増加させると、裁断特性は前者[Cu一
TiC]系より一層向上するが、遮断特性はC量が所定
量までは向上するが、所定量を越えると急速に劣下する
等の傾向を示す。
−TiC−C]系接点を搭載した真空バルブの一般的傾
向として、裁断特性単独では、前者[Cu−TiC]系
接点より、後者[Cu−TiC−C]系接点の方が有利
の傾向であり、遮断特性単独では、後者[Cu−TiC
−C]系接点の方が有利の傾向である。裁断特性と遮断
特性を同時に考慮する場合には、Al量の制御及びCの
存在形態の管理がポイントとなっている。
TiC(若しくはVC)を採用すると共に接点素材価格
の改善のために導電成分として、Cuを採用したもので
あり、両者の面でTiC(若しくはVC)はWCより優
位にあることが判った。
(低裁断化とその安定化)と遮断特性の向上とを同時に
達成させるために、[Cu−TiC]中に存在するCを
非固溶状態若しくは化合物非形成状態とし、その量をT
iC量(耐弧成分がVCの時にはVC量)に対して0.
005〜0.5(重量%)の範囲に管理すると共に、接
点中に存在するその大きさを0.01〜5μm(球に換
算した時の直径)の範囲に管理すと共に、Alの量も所
定量に管理して前記効果を得たものである。従って、
[Cu−TiC]系接点材料中のCの存在形態(平均粒
径と量とその分散度)とAl量の制御とが重要なポイン
トとなる。以下に本例の効果を明らかにした評価条件、
評価方法などを示す。
mmRの所定接点を着脱式の裁断電流テスト用真空遮断
器に装着する。10−3Pa以下に排気し、接点表面を
ベーキング、放電エージングなどで清浄化した後、この
装置を0.8m/秒の開極速度で開極させた。裁断電流
値はLC回路を経て50Hz、実効値44Aの回路電流
を開閉中の初期(1〜100回開閉中)および後期(1
9900〜20000回開閉中)の接点に直列に挿入し
た同軸型シャントの電圧降下を観測することによって求
めたものである。なお、測定結果は実施例2の裁断電流
値の平均値を1.0とし、その値と相対比較したもので
ある。この裁断電流値はその値が小さく、ばらつき範囲
も小さい程優れた裁断特性を有している。
粗さを持つ曲率半径1OORの凸状接点とを対向させ
る。両接点を開閉機構を持つ真空度10−3Pa.以下
に排気した着脱可能な真空遮断実験装置に取り付け、4
0kgの荷重を与えた上で、7.2kV−31.5kA
の電力を投入、遮断する。この投入、遮断を10回繰り
返した時、溶着や再点弧の発生状況を評価し、遮断特性
を判断した。投入、遮断の回数が、10回に至る前に溶
着の発生や著しい再点弧の発生が見られた時には、テス
トを中止した。
ベーキング、電流、電圧エージング、開極速度条件を一
定同一とした後、7.2kV、4.4kAを1000回
遮断前後の表面凹凸から損失重量を求め、耐アーク消耗
性を判断した。次に本例の接点材料の製造に供した方法
例について説明する。
TiCとCあるいはTiCとCとAlとで構成したスケ
ルトンに、CuまたはCu−Alを溶かして流し込む溶
浸法と、TiCとC粉とCu粉とAl粉を所定割合で混
合した粉末を焼結または成型焼結する焼結法がある。ま
た原料としてのAlは、金属Al以外に予めCu、Ti
C)C粉の表面にAlを被覆した複合金属であっても、
また単にCu、TiC、C粉とAlとを混合した混合金
属であっても差支えない。その状態は合金化していて
も,また化合物を形成しいても、また単に混合の状態で
あっても問題なく、前記合金製造時のAl源として使用
できる。
されているCu−TiC合金中でのAl量やC(非固溶
若しくは化合物非形成状態)の存在状態(例えばその
量)とを最適化し、裁断特性と遮断特性との両立を可能
としたもので、従って、その製造方法は合金中でのCの
存在状態を左右するので重要となる。
なTiC粉は、例えば加熱処理温度及び時間、雰囲気な
どを制御することによって、非固溶若しくは化合物非形
勢状態にあるC量及びその粒径、粒度分布を調整すると
共に化学量論的には(TiC1〜0.7 )の範囲にあるT
iCを選択する。また粒径、粒度分布は、機械的粉砕及
び篩わけも併用して調整した。
しなくてはならない。著しく微量なC(非固溶若しくは
化合物非形成状態)量の範囲を制御する技術としては、
上記したTiC粉を雰囲気、温度などを調節しながらT
iCを加熱処理し、一部分解させたり再析出させる方法
以外には、例えばTiCと共にある種の有機物を熱分解
させた時、TiC表面に分解析出したCを利用すること
によって微量のC量を制御しながら得ることが出来る。
またTiC表面にCスパッタ膜を付着させた後、これを
原料TiCとして利用する方法も選択した。同様に著し
く微量なAlの量の制御も同様にCu、TiCの表面に
Alをスパッタさせり、イオンプレーティングさせるこ
とによって行った。
若しくは化合物非形成状態)の量及び大きさは、C量を
多くすると裁断特性には影響が少ないが、遮断特性は劣
化する傾向にある。なお[Cu−TiC]合金中のTi
Cの総量も多くすると同様に遮断特性は低下する傾向に
ある。
−TiC−C]合金の遮断特性を向上させるが、過度の
存在は遮断特性を急速に劣化させる。[Cu−TiC]
合金の製造方法は、Cの量およびAlの量が、TiC
量、Cu量に比較し、極めて少量なため、均質混合性を
良くすることが重要な技術課題となる。その均質混合性
を良くする手段として、本例では、例えば最終的に必要
なTiC量(30〜70容積%)の内の一部から取り出
した極く少量のTiCとC粉若しくはAl粉とを(好ま
しくは近似の容積)を混合(必要によりBi、Sb、T
eの少なくとも1つを追加しても良い)して得た第1次
混合粉を得る(必要によりこれを第n次混合まで繰り返
す)。
と残りのTiC粉とを再度混合し、最終的に十分に良好
な混合状態にある[TiC、C]粉、[TiC、Al]
粉、[TiC、C、Al]粉を得る。この[TiC、
C]粉または[TiC、Al]粉、[TiC、C、A
l]粉と所定量のCu粉とを混合の後、水素雰囲気中
(真空中でも可)で、例えば930℃の温度での焼結と
加圧とを1回若しくは複数回組合せて、[Cu−TiC
−C]接点素材(または[Cu−TiC]+Al、[C
u−TiC−C]+Al接点素材など)を製造(以下
[Cu−TiC]+Alで代表)し、所定形状に加工し
て接点とした(製法例1)。
要なCu量の内の一部から取り出した極く少量のCuと
Al粉(またはC粉、または両者)とを(好ましくは近
似の容積)を混合(必要によりBiを追加)して得た第
1次混合粉を得る(必要によりこれを第n次混合まで繰
り返す)。この第1次混合粉(または第n次混合粉)と
残りのCu粉とを再度混合し、最終的に十分に良好な混
合状態にある[Cu、C]粉を得る。この[Cu、C]
粉と所定TiC粉(最終的に必要なTiC量)とを混合
した後、水素雰囲気中(真空中でも可)で、例えば94
0℃の温度での焼結と加圧とを1回若しくは複数回組合
せて、[Cu−TiC−C]接点素材または[Cu−T
iC−C]+Al接点素材を製造した(製法例2)。
た第n次混合[TiC、C]粉または[TiC、C、A
l]粉を、1200℃の温度で焼結して所定空隙率を持
っ{TiC、C}スケルトン、{TiC、C、Al}ス
ケルトンを作製し、その空孔中にCu(必要によりBi
も追加)を例えば1150℃の温度で溶浸し、[Cu−
TiC−C]接点素材または[Cu−TiC−C]+A
l接点素材を製造した(製法例3)。
C、C]粉または[TiC、C、Al]粉を1000℃
の温度で焼結し、所定空隙率を持つスケルトンを作製
し、その空孔中に別途用意したCuを例えば1150℃
の温度で溶浸し[Cu−TiCーC]接点素材、[Cu
−TiC−C]+Al接点素材を製造した(製法例
4)。
レーティング装置を用いた物理的方法或いはボールミル
装置を用いた機械的方法で、Ti粉(TiC粉、Cu粉
でも良い)の表面にCを被覆(必要によりBiも同時
に)したC被覆Ti粉を得て、このC被覆Ti粉とCu
粉(必要によりBiを同時に添加)とを混合の後、水素
雰囲気中(真空中でも可)で、例えば1050℃の温度
での焼結と加圧とを1回若しくは複数回組合せて、[C
u−TiC−C]接点素材を製造した(製法例5a)。
レーティング装置を用いた物理的方法或いはボールミル
装置を用いた機械的方法で、Ti粉(TiC粉、Cu粉
でも良い)の表面にAlを被覆(必要によりBiも同時
に)したAl被覆Ti粉を得て、このAl被覆Ti粉と
Cu粉(必要によりBiを同時に添加)とを混合の後、
水素雰囲気中(真空中でも可)で、例えば1050℃の
温度での焼結と加圧とを1回若しくは複数回組合せて、
[Cu−TiC−C]+Al接点素材を製造した(製法
例5b) また別の合金化の方法としては、特にCu粉、TiC粉
とC粉とAl粉との均一混合技術において、揺動運動と
撹拌運動とを重畳させる方法も有益である。これによっ
て、混合粉は一般に行われているアセトンなど溶剤使用
時に見られる固まりとなったり凝集体となったりする現
象がなく、作業性も向上する。また混合作業での撹拌容
器の撹拌運動の撹拌数Rと撹拌容器に与える揺動運動の
揺動数Sとの比率R/Sをほぼ10〜0.1程度の好ま
しい範囲に選択すれば、解砕、分散、混合中の粉末への
エネルギー入力が好ましい範囲となり、混合作業での粉
末の変質や汚染の程度を低く押さえることができる特徴
を有する。
は粉体を押し潰す作用が加わるが、揺動運動と撹拌運動
とを重畳させる本方法では、前記R/S比率がほぼ10
〜0.1程度に分布しているため、粉体同士が絡み合う
程度の混合となり、良好な通気性を持つため焼結性が向
上し、良質な成型体または焼結体あるいはスケルトンを
得る。更に必要以上のエネルギー入力がなく、粉体が変
質することがない。このような状態の混合粉を原料とす
れば、焼結、溶浸後の合金も低ガス化が可能となり、裁
断特性、遮断性能の安定化に寄与している(製法例
6)。
択し、[Cu−TiC]+Al接点素材、[Cu−Ti
C−C]+Al接点素材を製造することができる。後述
する本発明の実施例、比較例では、これらの方法を適宜
選択し採用したもので、いずれの技術の選択でも本発明
の効果を発揮する接点材料を得ることができる。
の表図に示した評価条件及び図2の表図に示した評価結
果を参照して説明する。
概要を示す。端面の平均表面粗さを約1.5μmに研磨
したセラミックス製絶縁容器(主成分:Al2 O3 )を
用意し、このセラミックス製絶縁容器に対して組立て前
に1650℃の前加熱処理を施した。セラミックス製絶
縁容器の主成分がSi02 であっても問題無い。
i−Fe合金を用意した。
g−Cu合金板を用意した。
ックス製絶縁容器の端面と封着金具)に気密封着接合が
可能のように配置して、5×10-4Pa.の真空雰囲気
で封着金具とセラミックス製絶縁容器との気密封着工程
に供する。
結果などを表図1、2に示す。
のTiC1.0 粉、補助成分として0.05%(重量%)
のAl、C粒子の分散度をL>d(但し、Lは再近接す
る2っのC粒子若しくはC集団の間隙、dは小さい方の
C粒子または小さい方のC集団の直径を示している。)
としたCu−TiC合金を、前記製造法1〜6の方法を
適宜選択または組み合わせながら、Al量を0.05重
量%ととした[Cu−15〜85容積%TiC]+Al
合金よりなる接点素材を製造した。これらの素材を厚さ
3mm、接触面の平均表面粗さを0.3μmの所定形状
に加工した試験片を得て、裁断特性、遮断特性、耐消耗
性を測定し、その内容を表1(評価条件)と表2(結
果)に示した。なお、本発明では、便宜上TiCと残部
のCuを容積%とし、他の元素は作業上便利なため、重
量%(TiC量に対する割合)として実施した。
−TiC]+Al合金では、裁断特性、遮断特性、耐消
耗特性のいずれもが良好な特性を発揮している(実施例
1〜3)。
〜100回開閉中100回(開閉初期)の裁断値の平均
値(0.95〜1.3)と最大値(1.05〜1.4
5)とは、その値が接近し安定している。同様に199
00〜20000回開閉中100回(開閉後期)の裁断
値の平均値と最大値との幅も小さく安定し、好ましい状
熊を示している。更に開閉初期と開閉後期との裁断値の
変化も少なく安定している。
遮断させた時の遮断特性は、再点弧の発生、溶着の発生
もなく、遮断成功し、「合格」と判断される。
させ、その前後の接点の重量変化(重量損失)を測定し
て耐消耗特性とした評価(実施例2の重量損失値を1.
0とした)においても、実施例2と比較した相対値が、
1.0〜1.25の範囲にあり安定した消耗特性を示し
た。
Cuとした[Cu−TiC]+Al合金(比較例1)に
おいて、同様の評価を実施したところ、遮断特性は前記
7.2kV−31.5kAを10回投入、遮断中に2回
程軽微な溶着の発生が認められたものの実用上では問題
なく遮断に成功した。しかし、耐消耗性は標準としてい
る実施例2と比較して、比較対象としている実施例2の
5.2倍に大幅に増加(特性劣化)した。裁断特性は最
大値において変動が見られた。
uとした[Cu−TiC]+Al合金(比較例2)にお
いて、同様の評価を実施したところ、開閉初期(1〜1
00回開閉中)、開閉後期(19900〜20000回
開閉中)の裁断電流値は標準とする実施例2の特性と比
較しても同等以上の極めて良好な特性を示したが、耐消
耗性を示す遮断前後の重量損失は、実施例2と比較して
1.3倍程度の消耗であり、許容限度内であったが、遮
断後の接点表面には著しい亀裂の生成が有り、この亀裂
などの表面劣化が一因となって、7.2kV−31.5
kAを10回投入、遮断させた時に、3回程再点弧の発
生が見られ、遮断特性は「不合格」と判断される。顕微
鏡観察の結果によれば、接点表面にはCuの不在部分の
点在、TiCの凝集とTiCの脱落が見られた。
バランスを得るためには実施例1〜3で示したTiC量
30〜70容積%の範囲において、[Cu−TiC]合
金におけるAl添加の効果が有効に発揮される。
iC]系合金中のAlの存在効果について、TiCの平
均粒径(粒子を球体とした時の直径)を3μmとした場
合について示したが、本発明Alの存在効果は、TiC
の平均粒径が3μmに限ることなく発揮される。
した時には、裁断特性、遮断特性、耐消耗特性のいずれ
もが良好な特性を発揮している(実施例4〜8)。
〜100回開閉中100回(開閉初期)の裁断値の平均
値の幅(1.0〜1.5)と最大値の幅(1.15〜
1.55)は小さく安定している。同様に19900〜
20000回開閉中100回(開閉後期)の裁断値の平
均値の幅(1.2〜1.4)と最大値の幅(1.3〜
1.9)も小さく安定し、好ましい状態を示している。
更に開閉初期と開閉後期との裁断値の変化も小さく安定
している。
遮断させた時の遮断特性は、再点弧の発生、溶着の発生
もなく遮断成功し、「合格」と判断される。また7.2
kV−4.4kAを1000回遮断させ、その前後の接
点の重量変化(重量損失)を測定して耐消耗特性とした
評価(実施例2の重量損失値を1.0とした)において
も、実施例2と比較した相対値が、0.9〜1.3の範
囲にあり、安定した消耗特性を示した。
1μm以下とした時には(比較例3)、1〜100回開
閉中100回(開閉初期)の裁断値の平均値(1.1)
と最大値(1.25)は小さく安定している。しかし、
0.01μm以下の平均粒径を有するTiCを含む前記
[Cu−TiC]+Al合金を、一定厚さを持っ接点素
材を工業的規模で量産化するには、製造コストの観点か
ら好ましくないので(開閉後期)の裁断特性、遮断特
性、耐消耗性試験の各々を中止した(比較例3)。 ま
た、TiCの平均粒径を25μmとした時には(比較例
4)、開閉初期の裁断値では、平均値(2.05)と最
大値(2.35)は、やや増大の傾向を示している上
に、開閉後期の裁断特性の特に最大値が著しく増大の傾
向(6.55を示し、開閉回数の経過による裁断特性に
不安定性が見られる。また、遮断特性においては20k
Aで遮断不能を多発するなど、遮断特性にもバラツキが
見られ「不合格」と判断されると共に接触抵抗特性にも
バラツキが見られた。
C]合金中のTiCの量、TiCの平均粒子直径を制御
して、Al量を0.05%に一定とした時の本例の主眼
であるAlの存在効果にっいて示したが、このAlの存
在効果は、Al量が0.05%に限ることなく発揮され
る。即ちAl量を、0.005%〜0.75%として同
様の評価を実施したところ、TiC量を50容積%とし
た[Cu−TiC+Al]合金では、裁断特性、遮断特
性、耐消耗特性のいずれもが良好な特性を発揮している
(実施例9〜11)。
〜100回開閉中100回(開閉初期)の裁断値の平均
値の幅(1.1〜1.25)と最大値の幅(1.15〜
1.3)とは小さく安定している。同様に19900〜
20000回開閉中100回(開閉後期)の裁断値の平
均値(1.2〜1.35)と最大値の幅(1.3〜1.
5)の幅も小さく安定して好ましい状態を示している。
更に開閉初期と開閉後期との裁断値の変化も小さく安定
している。
遮断させた時の遮断特性は、再点弧の発生、溶着の発生
もなく、遮断成功し、「合格」と判断された。
遮断させ、その前後の接点の重量変化(重量損失)を測
定して耐消耗特性とした評価においても、実施例2と比
較した相対値が、0.95〜1.0の範囲にあり,極め
て安定した消耗特性を示した。 一方、Al量を0.0
05%以下とした50重量%TiCと残部Cuの合金
(比較例5)においても同様の評価を実施したところ、
裁断特性、耐消耗特性共に極めて安定した好ましい特性
を示したが、7.2kV−31.5kAのテストに進む
前の、25kAの遮断で既に遮断不能が多発したため、
7.2kV−31.5kAの投入、遮断テストは実施出
来ず、遮断特性は「不合格」と判断された。 従って、
[Cu−TiC]合金の遮断特性の向上に対するAlの
存在効果は、Al量が0.005%以下では十分には発
揮されない。
Cと残部Cuの合金(比較例6)において同様の評価を
実施したところ、比較例5と同様に裁断特性、耐消耗特
性共に極めて安定した好ましい特性を示したが、7.2
kV−31.5kAのテストに進む前の、20kAの遮
断で,既に遮断不能が多発したため、7.2kV−3
1.5kAの投入,遮断テストは実施できず、遮断特性
は「不合格」と判断された。
対するAlの存在効果は、Al量が5%では、素材の導
電率の著しい低下などが一因なって[Cu−TiC]合
金の遮断特性を向上させる効果はないことが判った。従
って、[Cu−TiC]合金の遮断特性を向上させるた
めのAlは、Al量を0.005〜0.75%重量%の
範囲とすることによって、裁断特性と耐消耗特性を維持
た上で、遮断特性を向上させることができる。
iC]合金の遮断特性の向上のための一施策として、A
lの存在効果について示した。本例の主眼であるAlの
存在効果は、前記した[Cu−TiC]合金以外に[C
u−TiC−C]合金に対しても、その効果が発揮され
ている。[Cu−TiC]合金中に、非固溶状態も若し
くは化合物非形成状態にあるCを、該合金の構成成分と
して0.005〜1.0%(重量%)含有させた[Cu
−TiC−C]+Al合金において、同等かそれ以上の
好ましい効果を発揮した(実施例12〜15)。
子直径を3.0μmに一定とし、C量を0.005%〜
1.0%(重量%)とした[Cu−TiC−C]+Al
合金では、裁断特性、遮断特性、耐消耗特性のいずれも
が良好な特性を発揮している(実施例12〜15)。即
ち、裁断特性は実効値44Aの回路を1〜100回開閉
中100回(開閉初期)の裁断値の平均値の幅(0.8
5〜1.0)と最大値の幅(1.1〜1.25)は、小
さく安定している。同様に19900〜20000回開
閉中100回(開閉後期)の裁断値の平均値の幅(1.
1〜1.25)と、最大値の幅(1.25〜1.45)
の幅も小さく安定し、両者とも好ましい状態を示してい
る。更に開閉初期と開閉後期との裁断値の変化も小さ
く、開閉回数の経過に対しても安定している。
遮断させた時の遮断特性は、再点弧の発生、溶着の発生
もなく、遮断成功であった。また7.2kV−4.4k
Aを1000回遮断させ、その前後の接点の重量変化
(重量損失)を測定して耐消耗特性とした評価(実施例
2の重量損失値を1.0とした)においても、実施例2
と比較した相対値が、1.0〜1.2の範囲にあり極め
て安定した消耗特性を示した。これに対して、[Cu−
TiC]合金において、非固溶状態若しくは化合物非形
成状態にあるC量を5.5%にした時には、裁断特性は
1〜100回開閉中100回(開閉初期)の裁断値の平
均値の幅(0.75)と最大値の幅(0.95)は小さ
く安定している。同様に19900〜20000回開閉
中100回(開閉後期)の裁断値の平均値の幅(0.9
5)と最大値の幅(1.1)の幅も小さく安定し、好ま
しい状態を示している。更に開閉初期と開閉後期との裁
断値の変化も小さく安定している。
トに進む前の、7.2kV−20kAの遮断で既に遮断
不能が多発したため、7.2kV−31.5kAの投
入、遮断テストは実施せず、遮断特性は「不合格」と判
断した。
遮断させ、その前後の接点の重量変化(重量損失)を測
定した耐消耗特性においても、(実施例2の重量損失値
を1.0とした〕、実施例2と比較した相対値が4.6
倍を示し、消耗特性は好ましくなかった(比較例6)。
る遮断特性の向上効果は、前記[Cu一TiC]合金の
みでなく、非固溶状態若しくは化合物非形成状態にある
C量を0.005〜0.75%の範囲に制御した[Cu
−TiC−C]合金に対しても、所定条件のAlを添加
させた[Cu−TiC−C]+Al合金においても、有
効に発揮された(実施例12〜15)。
化学量論的な比率として、TiC1.0 を使用した合金中
について、[Cu−TiC]合金、[Cu−TiC−
C]合金に対して、本例の主眼であるAlの存在効果を
示したが、本例で使用するチタン炭化物は、TiC1.0
に限ることなく実施できる。TiCとして、Ti
C0.95、TiC0.70においても同様に効果を示した(実
施例16〜17)。 即ち、上記同様の評価を実施した
ところ、裁断特性としては開閉初期(1〜100回開閉
中)では、1.15〜1.3、開閉後期(19900〜
20000回開閉中)でも、1.25〜1.5の範囲で
あり、許容される範囲内であった。遮断特性も、7.2
kV−31.5kAを10回投入、遮断させた時の遮断
特性は、再点弧の発生、溶着の発生もなく、遮断[合
格]と判断される。耐消耗性(7.2kV、4.4kA
を1000回遮断させた後の重量変化)も、標準として
いる実施例2の消耗を1.0とした時の消耗特性は、ほ
ぼ変化のない1.0倍の消耗量を示した。以上、いずれ
もがほぼ同等の良好な特性を発揮している(実施例16
〜17)。
比率として、TiC0.55(比較例18)のチタン炭化物
を原料として使用した時には、開閉初期の裁断値では、
平均値(1.5)と最大値(1.85)は、許容の範囲
を示しているが、開閉後期の裁断特性では、平均値
(2.35)と最大値(2.85)を示し、後半に増大
の傾向にあった。また、耐消耗性は1.2倍程度であっ
たが、遮断特性においては、目標としている7.2kV
−31.5kAのテストに進む前の、25kAで遮断不
能を多発するなど、遮断特性にバラツキが見られ「不合
格」と判断された(比較例8)。
C]合金、[Cu−TiC−C]合金中のCの大きさは
格別には制御しなかったが、[Cu−TiC]合金、
[Cu−TiC−C]合金へのAl添加の効果を十分発
揮させるためには、合金中で非固溶状態若しくは化合物
非形成状態で存在しているCの大きさ(Cの粒径、Cが
凝集している時にはその集団を指す。Cが不定形の時に
はその不定形を球に換算した時の直径で示す)も、所定
条件範囲内に管理することによって、遮断特性の安定化
に有益であることが判った。
μm(実施例18〜21)では、裁断特性、耐消耗特性
を好ましい範囲に維持した上で、Al添加の効果が十分
発揮され、7.2kV−31.5kAを10回投入、遮
断させた時の遮断特性は、再点弧の発生、溶着の発生も
なく遮断「合格」となった。しかし、合金中のCの大き
さが25μm(比較例9)では、裁断特性は、開閉初期
(1〜100回開閉中)では平均値が0.9、最大値は
1.8を示して問題はなかったが、開閉後期(1990
0〜20000回開閉中)では、平均値が2.5、最大
値は3.45に増大(特性劣化)した上、耐消耗性
(7.2kV、4.4kAを1000回遮断させた後の
重量変化)も、標準としている実施例2の消耗を1、0
とした時の消耗率の、6.3倍に達し、大幅な消耗量の
増加(特性劣化)を示すと共に、7.2kV−31.5
kAを10回投入、遮断させる遮断テストにおいて、1
0回の投入、遮断中に5回程再点弧の発生が見られ、遮
断「不合格」の判断となった(比較例9)。
iC−C]合金中に、補助成分としてAlとCとを同時
に存在させる相乗効果は、耐溶着性の大幅な改善にあ
る。即ち[Cu−TiC]+Alと、[Cu−TiC−
C]+Alとでは、7.2kV−31.5kAを遮断さ
せた場合に、両者が同時に存在する[Cu−TiC−
C]+Alの方が、前者[Cu−TiC]+Alより
も、溶着時の溶着引き外し力が約20%〜30%低減さ
れ、機器の小型化に寄与している。
がAlのみの[Cu−TiC]+Al合金の特徴は、A
lとCとを同時に存在た[Cu−TiC−C]+Alと
比較して、前記7.2kV−31.5kAの10回の投
入、遮断テストを更に続けた場合に、再点弧の発生率な
ど遮断性能に余裕が見られることにある。従って補助成
分をAlのみとするか、AlとCの両者にするかは、適
宜に目的に応じて選択することができる。
均粒径を25μmとした比較例9では、接点表面にCの
凝集とCの欠落部分が存在した。
材料、[Cu−TiC−C]系接点材料に対して、前記
所定条件のAlの添加は遮断特性の向上に有益であるこ
とを示した。また[Cu−TiC−C]系接点材料で
は、合金中に非固溶状態若しくは化合物非形成状態で存
在しているCの存在形態もAlの遮断特性の向上効果に
影響を与えることを示した。前記実施例12〜21、比
較例7〜9では、合金中でのCの分散度(最近接するC
粒子間の間隔)を、最近接する2個のC粒子またはC集
合体間の間隔Lが、2個のC粒子またはC集合体の内の
小さい方の直径d以上に隔離している場合(L>d)記
号;X)について示した。しかし、本例のAlの存在効
果は、前記Xに限ることなく遮断特性の向上効果を得る
(以下C粒子はC集合体を包含)。
のC粒子間の間隔Lが、2個のC粒子の内の小さい方の
C粒子の直径d以上に隔離しているL>dの場合(記
号;X)、最近接する2個のC粒子間の間隔Lが、2個
のC粒子の内の小さい方のC粒子の直径dと同等かそれ
以上に隔離しているL≧dの場合(記号;Y)、最近接
する2個のC粒子間の間隔Lが、2個のC粒子の内の小
さい方のC粒子の直径d以下しか隔離していないL<d
の場合(記号;Z)の各々にっいて、同様の評価を実施
した。
裁断特性、耐消耗特性を好ましい値に維持した上で、
7.2kV−31.5kAを10回投入、遮断させた時
の遮断特性も、再点弧の発生、溶着の発生もなく遮断し
「合格」となった(実施例22〜24)。しかし、最近
接する2個のC粒子間の間隔Lが、C粒子の直径dと比
較してL<dの場合(記号;Ζ)には、裁断特性は好ま
しい値の範囲にあったが、耐消耗性(7.2kV、4.
4kAを1000回遮断させた後の重量変化)は、標準
としている実施例2の消耗を1、0とした時の消耗率の
2.4倍に達し、消耗量の増加(特性劣化)を示すと共
に、7.2kV−31.5kAを10回投入、遮断させ
る遮断テストにおいて、10回の投入、遮断中に4回
程、再点弧の発生が見られ、「不合格」の判断となった
(比較例9)。Cの分散度が逆に近接する2個のC粒子
間の間隔Lが、2個のC粒子の内の小さい方のC粒子の
直径d以下に近接しているL≦dの場合(記号;Ζ)で
は、著しい特性の低下を示し、好ましくなかった(比較
例11)。
て、チタン炭化物(TiC)を使用した場合について示
したが、本発明ではTiCの一部若しくは総てをバナジ
ウム炭化物(VC)に置換しても全く同等の特性効果を
得ることができる。
lに対して、所定量のBi、Te、Sbを添加した合金
では、実施例2の標準材料と比較して、7.2kV−3
1.5kAを遮断させた場合に、溶着引き外し力が約1
/2〜1/5に低減されて、機器の小型化に寄与した
(実施例27〜29)。
る真空バルブ用接点材料によれば、[Cu−TiC]系
合金、[Cu−TiC−C]系合金に対して、補助成分
としてAlを添加して[Cu−TiC]+Al合金、
[Cu−TiC−C]+Al合金としたので、裁断特
性、耐消耗特性を好ましい値に維持た上で、遮断特性を
向上さることができ、接点材料としての性能を大幅に向
上させることができる。
は、化学量論的な形態、TiCの大きさ(平均粒子直
径)、更に[Cu−TiC−C]系合金中に非固溶状態
若しくは化合物非形成状態で存在しているC量、Cの大
きさ、Cの分散度を、好ましい範囲に制御すると共に、
補助成分としてAlを合金化させることによって、安定
した素材を得て、接点特性の安定性を向上させることが
できる。
態にあるC量とC粒子の間隙の最適化を図ることによ
り、その結果アークを受けた時に選択的に優先して蒸
発、飛散するCuを少なくなるように制御するのみなら
ず、被アーク時の熱衝撃によっても接点面上には、再点
弧発生に対して有害で著しい亀裂発生を抑止することが
でき、TiC粒子の飛散脱落を軽減することができる。
ったので、アークを受けた後でも接点表面の溶融、飛散
損傷が少なくなり、再点弧抑止に重要な影響を及ぼす接
点表面荒れを少なくし、耐アーク消耗性の向上にも有益
となり、裁断特性、耐消耗特性を維持した上で、遮断特
性をも向上させることができる。
較例の各評価条件を一覧として示した表図である。
較例の各評価結果を一覧として示した表図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 30〜70容積%の含有量のTiCより
なる耐弧成分と、 70〜30容積%の含有量のCuよりなる導電成分とを
有し、 Alよりなる補助成分を、前記耐弧成分量に対して、
0.005〜0.75重量%含有することを特徴とする
真空バルブ用接点材料。 - 【請求項2】 30〜70容積%の含有量で、0.1〜
10μmの平均粒径のTiCよりなる耐弧成分と、 70〜30容積%の含有量で、球に換算した時の直径が
0.01〜5μmの範囲にあり、且つ、非固溶状態若し
くは化合物非形成状態であり、前記TiC量に対して、
0.005〜1.0重量%のCuよりなる導電成分とを
有し、 Alよりなる補助成分を前記耐弧成分量に対して、0.
005〜0.75重量%含有することを特徴とする真空
バルブ用接点材料。 - 【請求項3】 前記CuとTiCと、これらにAlを添
加して構成される合金、または前記CuとTiCとC
と、これらにAlを添加して構成される合金中の非固溶
状態若しくは非化合物形成状態にあるCにおける各C粒
子の間隙Lは、最隣接するC粒子の大きさdと同等、若
しくはそれ以上大きくし、前記合金中に高度に分散分布
していることを特徴とする請求項1または2記載の真空
バルブ用接点材料。 - 【請求項4】 前記CuとTiCと、これらにAlを添
加して構成される合金、または前記CuとTiCとC
と、これらにAlを添加して構成される合金中のTi炭
化物の化学量論的な比率Ti:Cは、1:1〜1:0.
7の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至3いずれ
か1記載の真空バルブ用接点材料。 - 【請求項5】 前記CuとTiCと、これらにAlを添
加して構成される合金、または前記CuとTiCとC
と、これらにAlを添加して構成される合金中のTi炭
化物の一部または総てをバナジウム炭化物であるVCで
置換したことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1記
載の真空バルブ用接点材料。 - 【請求項6】 前記CuとTiCと、これらにAlを添
加して構成される合金、または前記CuとTiCとC
と、これらにAlを添加して構成される合金中に、B
i、Sb、Teの少なくとも1つを0.05〜0.5重
量%含有することを特徴とする請求項1乃至5いずれか
1記載の真空バルブ用接点材料。 - 【請求項7】 前記補助成分のAlとして、最終的に必
要とするAl量の全て若しくは一部を、Cu,TiC,
Cよりなる構成成分の少なくとも一つと予め複合化また
は合金化して複合体または合金若しくは化合物にしたも
のを用いることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1
記載の真空バルブ用接点材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04984898A JP3442644B2 (ja) | 1998-03-02 | 1998-03-02 | 真空バルブ用接点材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04984898A JP3442644B2 (ja) | 1998-03-02 | 1998-03-02 | 真空バルブ用接点材料 |
Publications (2)
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