JP2002008499A - 真空遮断器 - Google Patents

真空遮断器

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JP2002008499A
JP2002008499A JP2000183114A JP2000183114A JP2002008499A JP 2002008499 A JP2002008499 A JP 2002008499A JP 2000183114 A JP2000183114 A JP 2000183114A JP 2000183114 A JP2000183114 A JP 2000183114A JP 2002008499 A JP2002008499 A JP 2002008499A
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particle diameter
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JP2000183114A
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Isao Okutomi
功 奥富
Takashi Kusano
貴史 草野
Atsushi Yamamoto
敦史 山本
Yoshiko Minami
淑子 南
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Toshiba Corp
Shibafu Engineering Corp
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Toshiba Corp
Shibafu Engineering Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 再点弧特性を安定化させ電流遮断特性の優れ
た真空遮断器を提供する。 【解決手段】 真空遮断器の接点を、Cr粒子と、これ
を取り囲むCu相とで構成した焼結後または溶浸後のC
uCr合金で構成し、このCuCr合金に対して、75
0〜950℃の温度の熱処理を与えた後、室温にまで冷
却した時の、CuCr合金中のCuマトリックス相のマ
イクロビッカース硬さ値Hvを60以上とし、かつ、C
uCr合金中のCr粒子のうちの、20μmより大きい
粒子直径を持つCr粒子のマイクロビッカース硬さ値H
vを240以下とする。これにより、機械的開閉時や被
アーク時の接点表面の損傷を軽減することができ、再点
弧特性を安定化させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、優れた遮断特性
と再点弧抑制特性とを備えた真空遮断器に関する。
【0002】
【従来の技術】真空中でのアーク拡散性を利用して、高
真空中で電流遮断を行わせる真空バルブの接点は対向す
る固定、可動の2つの接点から構成されている。
【0003】真空遮断器には、大電流断性能、耐電圧性
能、耐溶着性能の基本的3要件の他に再点弧現象の発生
の抑制が重要な要件となっている。
【0004】しかしながら、これらの要件の中には相反
するものがある関係上、単一の金属種によって総ての要
件を満足させる事は不可能である。この為実用されてい
る多くの接点材料に於いては、不足する性能を相互に補
うような2種以上の金属、金属と化合物を組合せる事に
よって、例えば大電流用、高耐圧用などのように特定の
用途に合った接点材料の選択採用が行われ、それなりに
優れた特性を持つ真空バルブが開発されているが、さら
に強まる要求を充分満足する真空バルブは未だ得られて
いないのが実情である。
【0005】例えば、大電流遮断性を目的とした接点と
して、Crを50重量%程度含有させたCu−Cr合金
(特公昭45−35101号)が知られている。この合
金は、Cr自体がCuと略同等の蒸気圧特性を保持しか
つ強力なガスのゲッタ作用を示す等の効果で高電圧大電
流断性を実現し、高耐圧特性と大容量遮断性とを両立さ
せ得る接点として多用されている。
【0006】この合金は、活性度の高いCrを使用して
いる事から、原料粉の選択、不純物の混入、雰囲気の管
理などに十分に配慮しながら接点素材を製造(焼結工程
など)したり、接点素材から接点片への加工に配慮しな
がら接点製品としている。
【0007】しかし、この様な配慮を加えながら製造し
た接点であっても再点弧の発生が見られ、これが引金と
なって遮断性能を低下させる場合が見られ、その改善が
望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】CuCr接点は、両者
の高温度での蒸気圧特性が近似していることの寄与とし
て、遮断した後でも接点表面は比較的平滑な損傷特性を
示し、安定した電気特性を発揮している。しかし近年で
は一層の大電流遮断やより高電圧が印加される可能性の
ある回路への適応が日常的に行われる結果、接点として
加工した新品時の表面状態、電流遮断後の接点表面の損
傷状態などによっては、再点弧の誘発が見られる様にな
ってきた。すなわち加工時の表面状態や、電流遮断によ
って異常的に損傷・消耗した接点表面では、次の定常電
流の開閉時の接触抵抗の異常上昇や温度の異常上昇を引
起す原因となったり、耐電圧不良を示し再点弧発生の一
因となっている。
【0009】研究によれば、CuCr合金の再点弧特性
と遮断特性は、合金中のCr量の変動、Cr粒子の粒度
分布、Cr粒子の偏析の程度、合金中に存在する空孔の
程度などに依存することが判明した。しかしその最適化
を進めているにも拘らず、上述した近年の適応状況の過
酷化で、まだばらつきが見られ、両特性を兼備した真空
バルブが必要となって来た。
【0010】この発明の目的は、再点弧特性を安定化さ
せ電流遮断特性の優れた真空遮断器を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記発明の目的を達成す
る為に、請求項1に記載の本発明に係る真空遮断器は、
Cr粒子と、これを取り囲むCu相とで構成した焼結
後または溶浸後のCuCr合金からなり、CuCr合金
に対して、750〜950℃の温度の熱処理を与えた
後、室温にまで冷却した時の、CuCr合金中のCuマ
トリックス相のマイクロビッカース硬さ値Hvが60以
上であって、かつ、CuCr合金中のCr粒子のうち
の、20μmより大きい粒子直径(粒子形状が多角形、
楕円、不定形粒子の場合には、その面積を円の面積に換
算した時の円の直径)を持つCr粒子のマイクロビッカ
ース硬さ値Hvが240以下である接点を備えたことを
特徴とする。
【0012】まず、750〜950℃での熱処理の後、
室温にまで冷却した後のCuの硬さ値Hvは、一般には
Hv=60未満である。これでは、硬さ値が十分高くな
い為、機械的開閉時や被アーク時の接点表面は損傷を受
け易い。その結果再点弧特性の安定化に対しては十分で
ない事が判った。
【0013】これに対して、750〜950℃の温度の
熱処理を与え、室温にまで冷却した時のCuマトリック
ス相の硬さ値Hvを、Hv=60以上とする事によっ
て、機械的開閉時や被アーク時の接点表面の損傷は軽減
される。硬さ値Hvを、Hv=60以上とする手段は、
例えば、Cu相中に分散するCr粒子自体の粒度分布の
調整、Cr粒子中に存在する微量成分の種類や量の調
整、Cu相中へのCrの析出状態の調整、Cr粒子内に
残存する歪みの調整など冶金的手段を適宜選択する事に
よって可能である。
【0014】一方、750〜950℃の温度の熱処理を
与え、室温にまで冷却した時のCuCr合金中のCr粒
子の硬さ値Hvを、Hv=240以下とする事によっ
て、機械的開閉時や被アーク時の接点表面の損傷は軽減
される。硬さ値をHv=240以下とするために、一般
に数μmから数100μmの粒子直径を持つ通常のCr
粒子を製造するには、塊状のCrを粉砕法によって粉末
化する。粉末化する工程でCr塊に対して与える機械的
な強加工によって、粉砕後のCr粉内部に残留する歪み
の大きさを加工度や熱処理温度を調整するなど機械的、
熱的手段を適宜選択する事によって可能である。
【0015】粉砕後のCrは、通常Hv=240超(2
40を超えた値)〜300の硬さを有している。この様
にHv値がHv=240超(240を超えた値)である
Cr粒子では、開閉、遮断時の機械的、熱的衝撃によっ
て亀裂が発生したり、破断または分裂しその一部がCu
マトリックス相から脱落するのが見られる。粉末化工程
での加工度調整や歪み取り処理、或いは合金化後の否み
取り処理によって得たHv=240以下にあるCr粒子
では、この様な状態は観察されない。
【0016】すなわちCr粒子の硬さ値Hvを、Hv=
240以下とする事と前記したCuマトリックス相の硬
さ値Hvを、Hv=60以上とする事との組み合わせに
よる相乗的効果によって、特に再点弧発生頻度を低減す
ると共に再点弧発生のバラツキ幅も低減する。
【0017】なお、Cr粒子のうちの20μmより大き
い粒子直径を持つCr粒子の硬さ値を注目し対象として
いるのは、20μmより小さいCr粒子では、測定技術
上Cu相の影響を受ける為、測定する硬さ値の精度が十
分でない理由による。以下の記載に於いても、同様であ
る。
【0018】請求項2に記載の本発明に係る真空遮断器
は、Cr粒子のうち60〜300μmの範囲の粒子直径
を持つ第1のCr粒子を50重量%以上としたCr粒子
と、これを取り囲むCu相とで構成した焼結後または溶
浸後のCuCr合金からなり、CuCr合金に対して、
750〜950℃の温度の熱処理を与えた後、室温にま
で冷却した時の、CuCr合金中のCuマトリックス相
のマイクロビッカース硬さ値Hvが60以上であって、
かつ、CuCr合金中のCr粒子のうちの、20μmよ
り大きい粒子直径を持つCr粒子のマイクロビッカース
硬さ値Hvが240以下である接点を備えたことを特徴
とする。
【0019】ここで、請求項2に記載の本発明では全C
r粒子のうちの少なくとも50重量%が、60〜300
μmの範囲の粒子直径を持つ第1のCr粒子としたCr
粒子と、残部がCu相とで構成したCuCr合金に対し
て、所定の熱処理を経た後のCuマトリックス相の硬さ
値Hvを、Hv=60以上、全Cr粒子のうちの20μ
mより大きい粒子直径を持つCr粒子の硬さ値Hvを、
Hv=240以下とする要件を付与する事によって、接
点の耐アーク消耗性を向上し、その結果、再点弧特性の
安定化に貢献する。しかし全Cr粒子のうちの第1のC
r粒子の量が50重量%未満では、材料のアーク消耗が
大となり、接点表面の荒れを大とし、その結果、再点弧
の発生頻度のバラツキ幅を増大させる。
【0020】請求項3に記載の本発明に係る真空遮断器
は、Cr粒子のうち60〜300μmの範囲の粒子直径
を持つ第1のCr粒子を50重量%以上とし、44μm
以下の粒子直径を持つ第2のCr粒子を50重量%以下
としたCr粒子と、これを取り囲むCu相とで構成した
焼結後または溶浸後のCuCr合金からなり、CuCr
合金に対して、750〜950℃の温度の熱処理を与え
た後、室温にまで冷却した時の、CuCr合金中のCu
マトリックス相のマイクロビッカース硬さ値Hvが60
以上であって、かつ、20μmより大きい粒子直径を持
つCr粒子のマイクロビッカース硬さ値Hvが240以
下である接点を備えたことを特徴とする。
【0021】すなわち、全Cr粒子のうちで60〜30
0μmの範囲の粒子直径を持つ第1のCr粒子を50重
量%以上、44μm以下の範囲の持つ第2のCr粒子を
50重量%以下としたCrと、残部がCu相とで構成し
たCuCr合金に対して、所定の熱処理を経た後のCu
マトリックス相の硬さ値HvをHv=60以上、全Cr
粒子のうちの20μmより大きい粒子直径を持つCr粒
子の硬さ値HvをHv=240以下とする要件を付与す
る事によって、アークの集中を更に低減化しその結果、
再点弧特性を安定化させると共に遮断特性の向上を両立
させる。
【0022】請求項4に記載の本発明に係る真空遮断器
は、60〜300μmの範囲の粒子直径を持つ第1のC
r粒子を50重量%以上、44μm以下の粒子直径を持
つ第2のCr粒子を50重量%以下、第1のCr粒子と
第2のCr粒子との間の粒子直径を持つ第3のCr粒子
を10重量%以下としたCr粒子群と、これらを取り囲
むCu相とで構成した焼結または溶浸後のCuCr合金
からなり、CuCr合金に対して、750〜950℃の
温度の熱処理を与えた後、室温にまで冷却した時の、C
uCr合金中のCuマトリックス相の硬さ値Hvが60
以上であって、かつ、20μmより大きい粒子直径を持
つCr粒子の硬さ値Hvが240以下である接点を備え
たことを特徴とする。
【0023】すなわち、全Cr粒子のうちで、60〜3
00μmの範囲の持つ第1のCr粒子を50重量%以
上、44μm以下の範囲の持つ第2のCr粒子を50重
量%以下、第1のCr粒子と第2のCr粒子との間の粒
子直径を持つ第3のCr粒子を10重量%以下としたC
r粒子と、残部がCu相とで構成したCuCr合金に対
して、所定の熱処理を経た後のCuマトリックス相の硬
さ値HvをHv=60以上、全Cr粒子のうちの20μ
mより大きい粒子直径を持つCr粒子の硬さ値HvをH
v=240以下とする要件を付与する事によって、アー
クの集中を一層低減化し、その結果、再点弧特性を安定
化させると共に遮断特性の向上を両立させる。更に第1
のCr粒子、第2のCr粒子、及び第3のCr粒子の量
をこのような比率に制御する事によって、遮断特性のバ
ラツキ幅も縮小させる。
【0024】請求項5に記載の本発明は、請求項1乃至
請求項4のいずれかに記載の真空遮断器において、Cr
粒子の合計が5〜60重量%であり、残部がCuである
ことを特徴とする。
【0025】ここで、所定の熱処理を経た後のCuマト
リックス相の硬さ値HvをHv=60以上、全Cr粒子
のうちの20μmより大きい粒子直径を持つCr粒子の
硬さ値HvをHv=240以下とする要件を付与したC
uCr合金のCr量の合計が、5重量%未満では所定の
要件を付与しても、耐アーク消耗性の低下および導電性
の低下とによって再点弧特性、遮断特性が共に不安定と
なる。
【0026】一方、CuCr合金のCr量の合計が80
重量%以上では、温度上昇特性と接触抵抗特性が不安定
となり、やはり再点弧特性、遮断特性が共に不安定とな
る。
【0027】なお、請求項1乃至請求項5のいずれかに
記載の真空遮断器において、CuCr合金におけるCr
粒子の合計を5〜60重量%とし、補助成分としてB
i、Pb、Sbの1つを1重量%以下、若しくはTe、
Seの1つを5重量%以下加え、残部をCuとすること
もできる。
【0028】ここで、Cu相中での所定量のBiの存在
は、1重量%以下なら電流遮断後の接点表面荒れを少な
く安定化させ再点弧発生レベルを一層低くする。1重量
%以上のBiでは再点弧発生の頻度を増加させて好まし
く無い。同様にCu相中での所定量のTe、Se、P
b、Sbの存在も、電流遮断後の接点表面荒れを安定化
させ再点弧発生レベルを低くする。
【0029】更に、補助成分としてAlまたはSiを1
重量%以下加えても良い。
【0030】ここで、所定量のAlの存在は、再点弧発
生レベルを低くすると共に、更に電流遮断特性も安定化
させる。また、Alの量が1重量%を超えると遮断時の
大きなエネルギ処理の為の接点片表面の荒れを招き、耐
消耗特性と耐溶着特性の低下と再点弧特性の不安定化を
招く。また所定量のSiの存在も、再点弧発生レベルを
低くすると共に、更に電流遮断特性も安定化させる。ま
た、Siの量が1重量%を超えると遮断時の大きなエネ
ルギ処理の為の接点片表面の荒れを招き、耐消耗特性と
耐溶着特性の低下と再点弧特性の不安定化を招く。
【0031】請求項6に記載の本発明は、請求項1乃至
請求項5のいずれかに記載の真空遮断器において、Cr
粒子の一部を、50重量%未満のTi、V、Nb、T
a、W、Moより選ばれた1つによって置換したことを
特徴とする。
【0032】ここで、Crの一部をCr量に対して50
重量%未満のTi、V、Nb、Ta、W、Moの1つに
よって置換する事によって、Cu−Cr接点素材全体の
機械的強度を大とし、Cr粒子の脱落が引き金となって
引起される再点弧発生を軽減化する。Crに対するT
i、V、Nb、Ta、W、Moの量が50重量%を超え
るとこれらの元素が主因となる熱電子放出が盛んとな
り、遮断特性を低下させる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
詳細に説明する。
【0034】Cu−Cr接点の材料状態と再点弧発生に
ついて発明者らの観察では遮断前後の材料特性と再点弧
のバラツキ発生との間の関連性について以下の様な知見
を得た。
【0035】Cu−Cr接点は、研磨、研削や切削手段
によって仕上げ加工するのが一般である。しかし、Cu
−Crの諸内容(製造条件や加工条件など)を一定とし
ても、なお再点弧の発生や遮断特性にバラツキが見られ
ていた。発明者らの観察の結果、接点表面にはCr粒子
の脱落、剥離、Cr粒子端部の欠け、引っかき状の傷、
Cu相部分の流れ(CuがCr粒子上にまでかぶさる)
など種々存在していた。その一因として接点面上でのミ
クロ領域での加工性の差異、すなわち再点弧発生のバラ
ツキとミクロ領域での硬度の均一度の違いとの間に相関
性を認めた。この傾向は、接点素材の製造ロット間で、
および1枚の接点のミクロ領域中でも観察された。
【0036】一般に、750〜950℃の温度の熱処理
を与えた時の室温でのCu(純銅)の硬さ値Hvは、H
v=60未満である。Cr粒子の粒度分布などを適宜選
択する事によって、Cu−Cr合金中のCu相の硬さ値
HvをHv=60以上とすると、機械的開閉や被アーク
後の接点表面の損傷を軽減し、その結果再点弧発生頻度
を低減すると共に再点弧発生のバラツキ幅も低減する。
【0037】数μmから数10μmの粒子直径を持つ通
常のCr粒子を製造するには、塊状Crを粉砕して粉末
化する。この際Cr塊には機械的な強加工が加わるの
で、Cr内には歪みの残留や微量不純物が残存する。そ
の影響でCrは、Hv=240超(240を超えた値)
〜300の硬さを持つ。硬さ値HvがHv=240超
(240を超えた値)であるCr粒子では開閉遮断時の
機械的、熱的衝撃によって亀裂発生、破断、分裂や、そ
の一部がCu相から脱落する等の現象が見られる。これ
に対してCr粒子の粒度分布の調整、粉末化工程での加
工度調整や歪み取り処理、或いは合金化後の歪み取り処
理等によって得たHv=240以下にあるCr粒子で
は、この様な状態は観察されない。
【0038】すなわち、Cu−Cr中のCr粒子の硬さ
HvをHv=240以下とし、Cu相の硬さHvをHv
=60以上とする事によって、Cu−Cr合金中のCr
粒子とCu相との硬度の差が小となり、接点の機械的仕
上げ加工の際に好ましい加工表面状態が得られ、目標と
する低再点弧化に対して好ましい状態となる。
【0039】これに対して、Hv=240超(240を
超えた値)であるCr粒子でHv=60未満のCu相を
持つ接点を選択すると、Cr粒子とCu相との硬度の差
が大となり、接点の機械的仕上げ加工に際し、好ましい
加工表面状態が得られず、アークの停滞、集中を招く結
果、接点面の局部的異常蒸発現象の発生や表面荒れの生
成などによって、低再点弧化と共に遮断特性の向上に対
して不利益となっている。
【0040】このような接点に外部磁界(例えば縦磁
界)を与え一定値以上の電流値を遮断すると、アークは
接点画の予測出来ない一点もしくは複数点の場所で停滞
する傾向を示し、最終的には接点の一部分を異常融解さ
せ遮断限界に至る。また異常融解によって瞬時的な爆発
的蒸発によって発生した金属蒸気は、開極過程にあった
真空遮断器の絶縁回復性を著しく阻害し、遮断限界の一
層の劣化を招く。さらに異常融解は、巨大な融滴を作り
接点面の荒れを招き、その結果、材料の異常な消耗、耐
電圧特性の低下、再点弧発生率の増加をも招く。これら
の現象の一因となるアークが、接点面上のどこで停滞す
るかは全く予測出来ない以上、発生したアークが停滞さ
せることなく移動拡散できるような表面条件と移動拡散
を促進させる手段とを接点に与えることが望ましい。本
実施形態は、その望ましい一条件を提供するものであ
る。
【0041】CuCr合金の特性の安定化には、合金中
のCr量の変動、Cr粒子の粒度、粒度分布、Crの偏
析の程度、合金中に存在する空孔の程度などに依存す
る。特に再点弧特性のより一層の安定化には、上記に加
えてCuCr合金中のCr粒子とCuマトリックスとの
相互の関係によって形成される表面形態が、極めて重要
である事が分かった。すなわち真空バルブの再点弧の発
生頻度は、合金中のCrとCuとの硬度関係について、
注目する必要がある事が判明した。
【0042】ここで、以下の実施例、比較例の特性評価
の条件、方法について説明する。 (1)遮断特性:直径70mmの接点を装着した遮断テ
スト用実験バルブを開閉装置に取り付けると共に、ベー
キング、電圧エージング等を与えた後、24kV、50
Hzの回路に接続し、電流をほぼ1kAずつ増加しなが
ら遮断限界を真空バルブ3本につき比較評価した。 (2)再点弧特性:直径30mm、厚さ5mmの円板状
接点片を、ディマウンタブル型真空バルブに装着し、2
4kV×500Aの回路を2000回遮断した時の再点
弧発生頻度を表示した。
【0043】尚、結果は発生頻度が、実施例1の発生数
を1.0とした時の倍率で、0.1未満の場合を
(A)、0.1〜1.0を(B)、1.0〜1.5を
(C)、1.5〜3.0を(D)、3.0〜10を
(X)、10〜30を(Y)、30以上を(Z)として
表示した。 (3)供試Cr粉の内容:粒子直径が、60〜300μ
mの範囲にあるCr粉を[Cr粒子1]、44μm以下
の範囲にあるCr粉を[Cr粒子2]、〔Cr粒子1〕
と[Cr粒子2]との間の範囲にあるCr粉を[Cr粒
子3]とし、各々を準備した。
【0044】以下、図1〜図6を参照して、実施例及び
比較例について説明する。
【0045】(実施例1〜2、比較例1)まず、遮断テ
スト用実験バルブの組立ての概要を示す。端面の平均表
面粗さを約1.5μmに研磨したセラミックス製絶縁容
器(主成分:AL23)を用意し、このセラミックス製
絶縁容器については、組立て前に1600℃の前加熱処
理を施した。封着金具として、板厚さ2mmの42%N
i−Fe合金を用意した。ロウ材として、厚さ0.1m
mの72%Ag−Cu合金板を用意した。上記用意した
各部材を被接合物間(セラミックス製絶縁容器の端面と
封着金具)に気密封着接合が可能のように配置して、5
×10-4Paの真空雰囲気で封着金具とセラミックス製
絶縁容器との気密封着工程に供した。
【0046】次いで、供試接点材料の内容、製造条件に
ついて示す。
【0047】まず、粒子直径が60〜300μmの範囲
にあるCr粉を[Cr粒子1]、44μm以下の範囲に
あるCr粉を[Cr粒子2]とし、各々を準備した。
【0048】実施例1として、[Cr粒子1]から選ば
れたCrと、別途用意したCu粉をCu−25重量%C
rとなる様に混合した。
【0049】実施例2として、[Cr粒子1]と[Cr
粒子2]との比率が、[Cr粒子1]50〜75重量
%、[Cr粒子2]25〜50重量%の如くに混合した
Crと、別途用意したCu粉をCu−25重量%Crと
なる様に混合した。
【0050】比較例1として、[Cr粒子1]と[Cr
粒子2]との比率が、[Cr粒子1]10〜25重量
%、[Cr粒子2]75〜95重量%の如くに混合した
Crと、別途用意したCu粉をCu−25%Crとなる
様に混合した。
【0051】各々の混合粉を4トン/mm2で成型、焼
結してCu−25%Cr合金を得た。
【0052】評価は、Cu粉、Cr粉の成型体に対し
て、1060℃の加熱処理を与えてCu−25%Cr合
金とした。各特性評価は、実施例1の特性を標準としそ
の相対値とした(硬度の調整の為には適宜温度を選
択)。
【0053】本発明の趣旨は、所定の粒子直径を持つC
r粉を所定の比率混合、焼結して得たCu−Cr合金に
対して、750〜950℃の温度の再加熱処理を与え室
温にまで冷却した後の、該合金中のCu相の硬度Hv及
びCr粒子の硬度Hvに注目している。
【0054】そこでこの実施例、比較例では、該合金中
のCu相に於いてはHv=60〜70、Cr粒子に於い
てはHv=180〜240の範囲にある素材を選出し試
験に供した。この際の硬度の調整は、CuCr成型体を
得る時の成型圧力、成型手段、750〜950℃の温度
での保持時間、再加熱後の冷却速度や使用するCr粒子
中の他の成分の種類や含有成分量などを調整する事によ
って、制御は容易に可能である。
【0055】これらの接点合金について前記条件による
再点弧特性、遮断特性を評価したところ、[Cr粒子
1]を100重量%とした実施例1(標準サンプル)、
[Cr粒子1]を50〜75重量%とし残部を[Cr粒
子2]とした実施例2では、再点弧性は、(B)〜
(D)の範囲を示し安定した範囲を示した(実施例1〜
2)。
【0056】標準としている実施例1の遮断特性が20
kAであるのに対して実施例2では、遮断特性も20〜
24kAの範囲を示し更に安定した遮断特性示した。
【0057】これに対して、前記Crの粒子直径の値を
60〜300μmとした[Cr粒子1]を10〜25重
量%とし、残部を[Cr粒子2]とした時の再点弧特性
は、(D)〜(X)を示し著しい低下を示すと共に、遮
断特性も8〜20kAを示し著しい低下を示した(比較
例1)。
【0058】再点弧特性、遮断特性を評価した後の接点
表面の顕微鏡観察によると、実施例1〜2の接点面の損
傷は、Cr粒子の脱落などは見られず、平坦な損傷であ
った。
【0059】比較例1では、実施例1〜2と比較して、
接点はアーク消耗が大で、その表面荒れも大きく激しい
凹凸が発生している。特に実施例2は、実施例1と比較
してアークの集中が低減化され消耗が小でその表面荒れ
も少ない傾向を示した。所定比率内の[Cr粒子1]と
[Cr粒子2]とを存在させたCrの方が、被アーク後
も安定した表面状態を示している(実施例1〜2)。
【0060】しかし[Cr粒子1]と[Cr粒子2]と
の比率が適切な範囲外の時には、その効果は発揮されて
いない(比較例1)。
【0061】(実施例3〜4、比較例2〜3)前記実施
例1〜2では、Cu−Cr合金中を750〜950℃に
再加熱し室温にまで冷却した時の、該合金中のCu相の
硬さHvをHv=60〜70、Cr粒子の硬さHvをH
v=180〜240の範囲で一定とした上での、Cr粒
子中に占める[Cr粒子1]、[Cr粒子2]の比率を
変化させた時の再点弧特性、遮断特性に与える効果を示
した。
【0062】しかし、本発明の技術はこれに限る事なく
[Cr粒子1]と[Cr粒子3]の比率を変えても、再
点弧特性、遮断特性に対して良い効果を発揮する。すな
わち、該合金中のCr粒子中に占める[Cr粒子1]の
比率が90〜95重量%で残部[Cr粒子3]が5〜1
0重量%の時(実施例3)、[Cr粒子1]の比率が50
〜75重量%、[Cr粒子2]の比率が20〜45重量
%で残部[Cr粒子3]が5〜10重量%の時(実施例
4)には、実施例1(標準)の特性と比較した再点弧特
性は実施例3では(B)〜(C)、実施例4では(A)
〜(B)の範囲で安定した再点弧特性を示した。遮断特
性も、実施例3では20〜24kA、実施例4では24
kAの安定した高い遮断特性を発揮した(実施例3〜
4)。
【0063】これに対して、前記Crの粒子直径の値を
60〜300μmとした[Cr粒子1]を70〜85重
量%とし残部[Cr粒子3]を15〜30重量%とした
時の再点弧特性は(D)〜(X)を示し著しい低下を示
すと共に、遮断特性も8〜16kAを示し著しい低下を
示した(比較例2)。
【0064】更に[Cr粒子1]の比率が70〜85重
量%、[Cr粒子2]の比率が20〜45重量%で残部
[Cr粒子3]を15〜30重量%とした時の再点弧特
性は(D)〜(X)を示し著しい低下を示すと共に、遮
断特性も8〜16kAを示し著しい低下を示した(比較
例3)。
【0065】再点弧特性、遮断特性を評価した後の接点
表面の顕微鏡観察によると、実施例3〜4の接点面の損
傷は、Cr粒子の脱落などは見られず、平坦な損傷であ
った。比較例2〜3では、実施例3〜4と比較して、接
点はアーク消耗が大で、その表面荒れも大きく凹凸が発
生している。また比較例2では接点素材中のガス量の増
加で再点弧特性の低下、更に比較例3でもガス量の増加
で再点弧特性、遮断特性の大幅な低下が見られている。
【0066】(比較例4〜5)前記実施例1〜4、比較
例1〜3では、Cu−Cr合金中を750〜950℃に
再加熱し室温にまで冷却した時の、該合金中のCu相の
硬さとCr粒子の硬さの両者が所定範囲(Cu相の硬さ
HvはHv=60〜70、Cr粒子の硬さHvはHv=
180〜240の範囲)にある場合について、再点弧特
性、遮断特性に対して好ましい効果を発揮することを示
した。しかし、Cu相の硬さはHv=60〜70の好ま
しい範囲にあっても、Cr粒子の硬さがHv=240超
(240を超えた値)〜275の好ましくない範囲にあ
る時には、遮断特性が20〜24kAの好ましい特性を
示しているにも係わらず、再点弧特性が(D)〜(Y)
を示し著しい低下を示した(比較例4)。
【0067】逆に、Cr粒子の硬さHvがHv=180
〜210の好ましい範囲にあっても、Cu相の硬さHv
がHv=40〜50の好ましくない範囲にある時にも、
遮断特性が20〜24kAの好ましい特性を示している
にも係わらず、再点弧特性が(D)〜(X)を示し著し
い低下を示した(比較例5)。
【0068】再点弧特性、遮断特性を評価した後の接点
表面の顕微鏡観察によると、比較例4では、Cr粒子に
亀裂や割れの発生が観察され、再点弧特性に不安定性が
見られる。また比較例5では、Cu相には開閉または遮
断による表面傷が認められた。
【0069】(実施例5〜7、比較例6〜7)前記実施
例1〜4、比較例1〜5では、CuCr合金中のCr量
を25重量%で一定とした上で、Cu−Cr合金を75
0〜950℃に再加熱し室温にまで冷却した時の、該合
金中のCu相の硬さHvをHv=60〜70、Cr粒子
の硬さHvをHv=180〜240の範囲に調整し、C
r粒子中に占める[Cr粒子1]、[Cr粒子2]、
[Cr粒子3]の比率を変化させた時の再点弧特性、遮
断特性に与える効果を示した。
【0070】しかし本発明の技術は、CuCr合金中の
Cr量が25重量%に限る事なく、再点弧特性、遮断特
性に対して良い効果を発揮する。すなわち該合金中のC
r量が5重量%の実施例5では(C)〜(D)、Cr量
が40重量%の実施例6では(B)〜(C)、Cr量が
60重量%の実施例7でも(B)〜(C)の範囲で安定
した再点弧特性を示した。更に遮断特性も、実施例5で
は20〜24kA、実施例6では16〜20kA、実施
例7では16〜20kAの安定した高い遮断特性を発揮
した(実施例5〜7)。
【0071】これに対して、該合金中のCr量を2.5
重量%とした時の遮断特性は、16〜20kAを示し合
格の範囲であるものの、耐アーク消耗と導電性の低下
で、再点弧特性は(D)〜(X)を示し著しい低下を示
した(比較例6)。更に該合金中のCr量を80重量%
とした時の再点弧特性は(C)〜(D)を示し合格の範
囲であるものの、逆に遮断特性は温度上昇特性、接触抵
抗特性の不安定化で、不安定な遮断特性を示し5〜12
kAと著しい低下を示した。(比較例7)。
【0072】再点弧特性、遮断特性を評価した後の接点
表面の顕微鏡観察によると、実施例5〜7の接点面の損
傷は、Cr粒子の脱落などは見られず、平坦な損傷であ
り再点弧特性、遮断時性に対して好ましい表面状態を維
持している。比較例6〜7では、実施例5〜7と比較し
て、接点はアーク消耗が大で、その表面荒れも大きく凹
凸が発生している。
【0073】(実施例8〜14、比較例8〜9)前記実
施例1〜7、比較例1〜7では、特にCuCr合金につ
いて、Cu−25Cr合金を750〜950℃に再加熱
し室温にまで冷却した時の、該合金中のCu相の硬さH
vをHv=60〜70、Cr粒子の硬さHvをHv=1
80〜240の範囲に調整し、Cr粒子中に占める[C
r粒子1]、[Cr粒子2]、[Cr粒子3]の比率を
所定範囲とした時の再点弧特性、遮断特性に与える効果
を示した。
【0074】しかし本発明の技術は、CuCr合金に限
る事なく、遮断時の耐アーク性の機能を発揮するCrの
一部を、所定量の第1の補助成分X1(X1=Ti、
V、Nb、Ta、W、Moの少なくとも1つ)で置換し
CrX1としても、再点弧特性、遮断特性に対して良い
効果を発揮する。
【0075】<実施例8〜9、比較例8〜9>すなわち
該合金中の12.5%CrにX1として7.5重量%の
Tiを選択しCr+Ti=20重量%とした場合には、
(B)〜(C)の好ましい範囲の安定した再点弧特性を
示した(実施例8)。Cr+Ti=12.5+12.5
=25重量%とした場合にも(B)〜(C)の好ましい
範囲の安定した再点弧特性を示した(実施例9)。更に
遮断特性も、実施例8では24kA、実施例9でも20
kAの安定した高い遮断特性を発揮した(実施例8〜
9)。実施例8〜9では、接点の機械的強度を向上させ
た事が再点弧特性の安定化に寄与している。
【0076】これに対して、該合金中の12.5%Cr
にX1として30重量%のTiを選択した場合(Cr+
Ti=42.5重量%。Cr<X1)には、16〜20
kAの安定した遮断特性を発揮したものの、(D)〜
(Y)の好ましくない不安定な再点弧特性を示した。C
r量よりもX1量が多い為、遮断後の接点表面を平滑化
する作用を有するCrの効果が十分には発揮されていな
い(比較例8)。また該合金中の30%CrにX1とし
て30重量%のTiを選択した場合(Cr+Ti=60
重量%)には、5〜12kAの不安定な遮断特性を発揮
した上に、(C)〜(X)の好ましくない不安定な再点
弧特性を示した。X1量が多い為、遮断後の接点表面を
平滑化する作用を有するCrの効果が十分には発揮され
ない事による(比較例9)。観察によれば遮断後の比較
例8では、接点表面の荒れが増大している。また比較例
9では、遮断時の接点温度上昇が大で、遮断特性の低下
を示した。
【0077】<実施例10〜14>上記実施例8〜9、
比較例8〜9では、Crに対する補助成分としてTiを
選択した場合の影響、Cr量に対するX1量(Ti量)
の限度について示したが、本発明に於けるX1は、Ti
に限る事なくCrの一部を所定量のV、Nb、Ta、
W、Mo(実施例10〜14)で置換したCrX1とし
ても、(A〜B)の範囲の再点弧特性、16〜20kA
の遮断特性を示し、同様の効果を発揮した。
【0078】(実施例15〜16、比較例10)前記実
施例8〜14、比較例8〜9では、CuCr合金につい
て、遮断時に耐アーク性の機能を発揮するCrの一部を
第1の補助成分X1で置換した場合の再点弧特性、遮断
特性に対しする影響についてその効果を確認した。
【0079】しかし本発明の技術は、耐アーク性の機能
を発揮するCrの一部を、所定量の第2の補助成分X2
としてAl(アルミニウム)を含有したCrX2として
も、再点弧特性、遮断特性に対して良い効果を発揮する
(実施例15〜16)。
【0080】補助成分X2としてのAl量の所定量が、
0.05重量%の時には(A)〜(B)の好ましい範囲
の安定した再点弧特性と、24kAの安定した高い遮断
特性を発揮した(実施例15)。更にAl量の所定量が
0.1〜1.0重量%の時にも(C)〜(D)の好まし
い範囲の安定した再点弧特性と、20kAの安定した高
い遮断特性を発揮した(実施例16)。しかしAl量が
3.5重量%の場合には(Y)〜(Z)の好ましくない
不安定な再点弧特性と、遮断特性の低下(8〜12k
A)を示した(比較例10)。比較例10では耐消耗
性、耐溶着性低下で再点弧特性の不安定化と遮断特性に
著しい低下が見られた。
【0081】(実施例17〜26、比較例11〜15) <実施例17〜18、比較例11>遮断時に耐溶着性の
機能を発揮する1重量%以下の第3の補助成分X3(X
3=Bi)を含有しても、(C)〜(D)の再点弧特
性、20〜24kA、16〜20kAの遮断特性を示し
良好な特性を発揮する(実施例17〜18)。これに対
して5重量%の第3の補助成分X3(X3=Bi)を含
有する時には、耐消耗性、耐溶溶着性の低下によって、
(Y)〜(Z)の再点弧特性を示し著しい不安定性を示
すと共に、遮断特性は5kA以下を示し大幅な低下とな
る(比較例11)。
【0082】<実施例19〜20、比較例12>遮断時
に耐溶着性の機能を発揮する1重量%以下の第3の補助
成分X3(X3=Pb)を含有しても、(C)〜(D)
の再点弧特性、20〜24kA、16〜20kAの遮断
特性を示して良好な特性を発揮する(実施例19〜2
0)。これに対して5重量%の第3の補助成分X3(X
3=Pb)を含有する時には、耐消耗性、耐溶溶着性の
低下によって、(Z)の再点弧特性を示し著しい不安定
性を示すと共に、遮断特性は5kA以下を示し大幅な低
下となる(比較例12)。
【0083】<実施例21〜22、比較例13>遮断時
に耐溶着性の機能を発揮する1重量%以下の第3の補助
成分X3(X3=Sb)を含有しても、(C)〜(D)
の再点弧特性、20〜24kA、16〜20kAの遮断
特性を示し良好な特性を発揮する(実施例21〜2
2)。これに対して5重量%の第3の補助成分X3(X
3=Sb)を含有する時には、耐消耗性、耐溶着性の低
下によって、(Z)の再点弧特性を示し著しい不安定性
を示すと共に、遮断特性は5kA以下を示し大幅な低下
となる(比較例13)。
【0084】<実施例23〜24、比較例14>遮断時
に耐溶着性の機能を発揮する5重量%以下の第4の補助
成分X4(X4=Te)を含有しても、(C)〜(D)
の再点弧特性、20〜24kA,16〜20kAの遮断
特性を示し良好な特性を発揮する(実施例23〜2
4)。これに対して8重量%の第4の補助成分X4(X
4=Te)を含有する時には、耐消託性、耐溶着性の低
下によって、(Z)の再点弧特性を示し著しい不安定性
を示すと共に遮断特性は5kA以下を示し大幅な低下と
なる(比較例14)。
【0085】<実施例25〜26、比較例15>遮断時
に耐溶着性の機能を発揮する5重量%以下の第4の補助
成分X4(X4=Se)を含有しても、(C)〜(D)
の再点弧特性、20〜24kA,16〜20kAの遮断
特性を示し良好な特性を発揮する(実施例25〜2
6)。これに対して8重量%の第4の補助成分X4(X
4=Se)を含有する時には、耐消託性、耐溶着性の低
下によって、(Z)の再点弧特性を示し著しい不安定性
を示すと共に、遮断特性は5kA以下を示し大幅な低下
となる(比較例15)。
【0086】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
再点弧特性を安定化させ電流遮断特性の優れた真空遮断
器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1〜7、及び比較例1〜7の
評価条件を示す表図。
【図2】 本発明の実施例8〜16、及び比較例8〜1
0の評価条件を示す表図。
【図3】 本発明の実施例17〜26、及び比較例11
〜15の評価条件を示す表図。
【図4】 本発明の実施例1〜7、及び比較例1〜7の
評価結果を示す表図。
【図5】 本発明の実施例8〜16、及び比較例8〜1
0の評価結果を示す表図。
【図6】 本発明の実施例17〜26、及び比較例11
〜15の評価結果を示す表図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01H 11/04 H01H 11/04 D // C22C 1/04 C22C 1/04 P (72)発明者 草野 貴史 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中事業所内 (72)発明者 山本 敦史 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中事業所内 (72)発明者 南 淑子 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 Fターム(参考) 4K018 AA04 AA40 BA02 BA20 BB04 DA19 FA09 FA36 KA34 5G023 AA05 BA11 CA21 CA33 5G026 BA01 BA07 BB02 BB11 BB12 BB14 BB15 BB16 BB17 BB18 BC04 BC08 BC09 5G050 AA12 AA13 AA25 AA27 AA46 AA48 AA50 AA51 BA01 CA01 DA03 EA02 EA06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Cr粒子と、これを取り囲むCu相とで構
    成した焼結後または溶浸後のCuCr合金からなり、前
    記CuCr合金に対して、750〜950℃の温度の熱
    処理を与えた後、室温にまで冷却した時の、前記CuC
    r合金中のCuマトリックス相のマイクロビッカース硬
    さ値Hvが60以上であって、かつ、前記CuCr合金
    中のCr粒子のうちの、20μmより大きい粒子直径を
    持つCr粒子のマイクロビッカース硬さ値Hvが240
    以下である接点を備えたことを特徴とする真空遮断器。
  2. 【請求項2】Cr粒子のうち60〜300μmの範囲の
    粒子直径を持つ第1のCr粒子を50重量%以上とした
    Cr粒子と、これを取り囲むCu相とで構成した焼結後
    または溶浸後のCuCr合金からなり、前記CuCr合
    金に対して、750〜950℃の温度の熱処理を与えた
    後、室温にまで冷却した時の、前記CuCr合金中のC
    uマトリックス相のマイクロビッカース硬さ値Hvが6
    0以上であって、かつ、前記CuCr合金中のCr粒子
    のうちの、20μmより大きい粒子直径を持つCr粒子
    のマイクロビッカース硬さ値Hvが240以下である接
    点を備えたことを特徴とする真空遮断器。
  3. 【請求項3】Cr粒子のうち60〜300μmの範囲の
    粒子直径を持つ第1のCr粒子を50重量%以上とし、
    44μm以下の粒子直径を持つ第2のCr粒子を50重
    量%以下としたCr粒子と、これを取り囲むCu相とで
    構成した焼結後または溶浸後のCuCr合金からなり、
    前記CuCr合金に対して、750〜950℃の温度の
    熱処理を与えた後、室温にまで冷却した時の、前記Cu
    Cr合金中のCuマトリックス相のマイクロビッカース
    硬さ値Hvが60以上であって、かつ、20μmより大
    きい粒子直径を持つCr粒子のマイクロビッカース硬さ
    値Hvが240以下である接点を備えたことを特徴とす
    る真空遮断器。
  4. 【請求項4】60〜300μmの範囲の粒子直径を持つ
    第1のCr粒子を50重量%以上、44μm以下の粒子
    直径を持つ第2のCr粒子を50重量%以下、前記第1
    のCr粒子と第2のCr粒子との間の粒子直径を持つ第
    3のCr粒子を10重量%以下としたCr粒子群と、こ
    れらを取り囲むCu相とで構成した焼結または溶浸後の
    CuCr合金からなり、前記CuCr合金に対して、7
    50〜950℃の温度の熱処理を与えた後、室温にまで
    冷却した時の、前記CuCr合金中のCuマトリックス
    相の硬さ値Hvが60以上であって、かつ、20μmよ
    り大きい粒子直径を持つCr粒子の硬さ値Hvが240
    以下である接点を備えたことを特徴とする真空遮断器。
  5. 【請求項5】前記Cr粒子の合計が5〜60重量%であ
    り、残部がCuであることを特徴とする請求項1乃至請
    求項4のいずれかに記載の真空遮断器。
  6. 【請求項6】前記Cr粒子の一部を、50重量%未満の
    Ti、V、Nb、Ta、W、Moより選ばれた1つによ
    って置換したことを特徴とする請求項1乃至請求項5の
    いずれかに記載の真空遮断器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7029760B2 (en) * 2003-05-14 2006-04-18 Mitsubishi Shindoh Co., Ltd. Plated material and method of manufacturing the same, terminal member for connector, and connector

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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