JP3840044B2 - 真空遮断器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、特に接触抵抗特性と大電流遮断特性とを両立させた接点素材を備えた真空遮断器に関する。
【0002】
【従来の技術】
真空中でのアーク拡散性を利用して、高真空中で電流遮断を行わせる真空バルブの接点は対向する固定、可動の2つの接点から構成されている。
【0003】
真空遮断器には、大電流断性能、耐電圧性能、耐溶着性能の基本的3要件の他に接点の接触抵抗特性、温度上昇特性が重要な要件となっている。
【0004】
しかしながら、これらの要件の中には相反するものがある関係上、単一の金属種によって総ての要件を満足させる事は不可能である。この為実用されている多くの接点材料に於いては、不足する性能を相互に補うような2種以上の元素を組合せる事によって、例えば大電流用、高耐圧用などのように特定の用途に合った接点材料の選択採用が行われ、それなりに優れた特性を持つ真空バルブが開発されているが、さらに強まる要求を充分満足する真空バルブは未だ得られていないのが実情である。
【0005】
例えば、優れた大電流遮断性を目的とした接点として、Crを50%(重量%)程度含有させたCu−Cr合金(特公昭45−35101号)が知られている。この合金は、Cr自体がCuとほぼ同等の蒸気圧特牲を保持しかつ強力なガスのゲッタ作用を示す等の作用で高電圧かつ大電流断性を実現している。すなわちCu−Cr合金は、高耐圧特性と大容量遮断とを両立させ得る接点として多用されている。
【0006】
この合金は、活性度の高いCrを使用している事から、接点素材の製造(焼結工程など)、接点素材から接点片へと加工する時などに於いて、原料粉の選択、不純物の混入、雰囲気の管理などに配慮しながら製造しているが、真空バルブの大電流遮断特性と接触抵抗特性とを同時に兼備した接点材料の供給に対して必ずしも完全な技術とはなっていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
CuCr接点は、両者の高温度での蒸気圧特性が近似していることなどが主因となって、遮断した後でも接点面は比較的平滑な表面損傷特性を示す為、一般には安定した接触抵抗特性を発揮している。しかし近年一層の大電流遮断やより高電庄が印加される可能性のある回路への適応が日常的に行われる様になり、接点表面は著しい消耗や強固な溶着現象が見られ、その結果接触抵抗特性の不安定化が見られる様になってきた。真空バルブに於いて、遮断によって異常的に損傷・消耗した接点では、次の定常電流の開閉時の接触抵抗の異常上昇や温度の異常上昇を引起こしたり、耐電圧不良を示したりする為、接点の異常的損傷・消耗は極力抑制する必要がある。
【0008】
研究によれば、CuCr合金の接点特性は合金中のCr量の変動、Cr粒子の粒度、粒度分布、Crの偏析の程度、合金中に存在する空孔の程度などに依存することが判明した。しかしその最適化を進めているにも拘らず、上述した近年の適応状況では接触抵抗特性にばらつきが見られ、遮断特性に好ましくない影響を与えている。そこで両特性を兼備した真空バルブが必要となって来た。
【0009】
この発明の目的は、安定した接触抵抗特性と優れた大電流遮断特性とを備えた真空遮断器の提供にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記発明の目的を達成する為に、請求項1に記載の本発明は、粒子直径(形状が楕円、多角形の粒子では、同一面積の円形に換算した時の直径)が40μmより大きい複数のCr(クロム)粒子と、これを取り囲むCu(銅)相とで形成した第1のCuCr集団と、粒子直径が10μmより小さい複数のCr粒子と、これを取り囲むCu相とで形成した第2のCuCr集団の各々が、少なくとも200μmの幅と、少なくとも200μmの長さの大きさを持って接触面領域を形成し、その厚さは最表面から少なくとも20μmの深さを持ち、更に前記第1のCuCr集団と第2のCuCr集団との複数個の集合体で接触面領域を形成し、かつこの接触面領域が接点部断面の一部または総てを構成してなる接点に於いて、
前記第1のCuCr集団中の平均Cr量が5〜70重量%、前記第2のCuCr集団中の平均Cr量が10〜80重量%であり、かつ前記接触面領域中に占める前記第1のCuCr集団の合計が、20〜80面積%である事を特徴とする接点を搭載した真空遮断器である。
【0011】
すなわち、一般に真空遮断器では、接触面領域のCu、Crの状態を上記条件の様には特別には配慮していない通常の接点が使用されている。真空遮断器は大電流の遮断と小電流の開閉が行われる関係で、上記条件の様には特別には配慮していない通常の接点を使用した場合では、大電流の遮断を行うと、大きなアークを受けた接触面領域は、溶融、蒸発、飛散の繰り返しを受け、接点表面は著しい荒れや材料消耗を呈し、遮断特性の低下を招く。この様な溶融、蒸発、飛散の繰り返しを受ける接点表面は、遮断を受ける度ごとにその表面状態を大きく変化させる為、ある時は十分な接触面積を確保できる様に接触をした時には、低い接触抵抗値を得るが、表面形態は遮断の度ごとに変化する事から、次の遮断では十分な接触を得る保証はなく、接触抵抗値は大きく変化する。この様に大電流の遮断では遮断に伴い接触抵抗特性は大きくばらつきを呈する。
【0012】
ところが、遮断回数が少ない回数(1〜数回)の時の接触面領域の顕微鏡的観察によれば,形状、大きさが、原料粒子の原形をほぼとどめた、粒子直径が40μmより大きい第1のCuCr集団の中のCr粒子およびそのごく周辺では、材料損傷も少なく、耐アーク性が発揮されている現象を認めた。一方、粒子直径が10μm級より小さい第2のCuCr集団の中のCr粒子およびそのごく周辺では、著しい凹凸が観察され、耐アーク性が低い事が示唆された。
【0013】
小電流の遮断を行う時には、大きなアークを受ける事がない為、接触面領域の損傷は少なく、耐アーク性を発揮する40μmより大きいCr粒子は必要なく、むしろ、接触の安定性を重要視する観点から、組織の均一性が重要となり、粒子直径が10μm級より小さいCr粒子の存在がその効果を発揮する。
【0014】
以上の様に、大電流の遮断と小電流の開閉が与えられる接触面領域では、複数の第1のCuCr集団と第2のCuCr集団とが共存した接点が好ましい。
【0016】
また、一般に真空遮断器では、大電流の遮断時に大きなアークを受けた接触面領域は、溶融、蒸発によって、著しい荒れや材料消耗を呈し、接点表面から数μm〜10μm程度の深さのクレータを生ずる事がある。そこで安定した遮断特性と接触抵抗特性を確保するには、第1のCuCr集団と第2のCuCr集団とで形成される接触面領域の厚さ(深さ)を、前記クレータの深さより大きい少なくとも20μmの深さとする必要がある。
【0018】
また、この真空遮断器では、遮断特性と接触抵抗特性の安定化の為に、その値のばらつき幅を少なくする事が必要である。遮断特性と接触抵抗特性とをばらつきなく発揮させる為には、組織のばらつきを少なくすることが重要であり、第1のCuCr集団中のCrは、複数個以上の存在が好ましい。しかし、第1のCuCr集団の幅が原料Crの粒子直径と同程度では、第1のCuCr集団の中には、Cr数は、平均的にはせいぜい1〜数個の存在が限度となり、耐アーク性の確保と接触抵抗の安定化に対して好ましくない。長さについても同様である。
【0020】
また、第2のCuCr集団もその中のCrは、複数個以上の存在が好ましい。しかし、第2のCuCr集団の幅が原料Crの粒子直径と同程度では、第2のCuCr集団の中には、Cr数は、平均的にはせいぜい1〜数個の存在が限度となり、耐アーク性の確保と接触抵抗の安定化に対して好ましくない。長さについても同様である。
【0022】
また、この真空遮断器では、粒子直径が40μmより大きいCr粒子とこれを取り囲むCu相とで形成される第1のCuCr集団と、粒子直径が10μmより小さいCr粒子とこれを取り囲むCu相とで形成される第2のCuCr集団との面積の比率は、遮断性能と接触抵抗特性の安定性に対して重要な影響を与える。接触面領域中の第1のCuCr集団の比率が20面積%未満(第2のCuCr集団の比率が80面積%より大)の場合では、特に大電流を遮断した時の耐アーク性が十分でない事から遮断特性の低下が見られると共に接触面領域の材料損傷が激しく接触抵抗値の変動が著しい。第1のCuCr集団の比率が80面積%より大(第2のCuCr集団の比率が20面積%未満)の場合では、耐アーク性は向上するものの遮断特性が低下する。
【0024】
また、この真空遮断器では、第1のCuCr集団中のCr量が、5重量%未満では、小電流開閉後の接触抵抗値は安定な特性を示すが、特に大電流を遮断した時の耐アーク性が十分でない事から遮断特性の低下が見られる。第1のCuCr集団中のCr量が、70重量%を超えた場合では、耐アーク性は向上するものの遮断特性が低下する。
【0026】
また、この真空遮断器では、第2のCuCr集団中のCr量が、10重量%未満では、小電流開閉後の接触抵抗値は安定な特性を示すが、特に大電流を遮断した時の耐アーク性が十分でない事から遮断特性の低下が見られる。第2のCuCr集団中のCr量が、80重量%を超えた場合では、耐アーク性は向上するものの遮断特性が低下する。
【0029】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に於いて、第1のCuCr集団中のCr粒子が20〜200μmの平均粒子間距離を持ち、第2のCuCr集団中のCr粒子は0.01〜20μmの平均粒子間距離を持って接触面領域を構成した事を特徴とする接点を搭載した真空遮断器である。
【0030】
すなわち、この真空遮断器では、第1のCuCr集団中のCr粒子の粒子間間隙が、20μmよりも小さい(狭い)と、接触抵抗値のばらつきは少なくなるが、接触抵抗値の平均値が増加する共に耐アーク性も低下する。また200μmよりも大きい(広い)と、接触抵抗値の分布にバラツキが見られる。20〜200μmの平均粒子間距離を与える事によって、大電流遮断時の耐アーク性と小電流開閉時の接触抵抗の安定化に有効となる。
【0032】
また、この真空遮断器では、第2のCuCr集団中のCr粒子の粒子間間隙が、0.01μmよりも小さい(狭い)と、素材の製造が経済的に行えない。また20μmよりも大きい(広い)と、接触抵抗値の分布にバラツキが見られる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0036】
最新の開閉装置プラントや開閉システムでも、その性能がたった1つの接点材料の品質欠陥によって、遮断特性にばらつきが出たり、機能発揮しないケースが存在する場合がある。本発明者らは、真空バルブに使用されている接点材料を検討し真空バルブ特性と対比した結果、この発明を完成するに至った。すなわちこの発明は、下記の事項を持つ事を特徴とするものである。
【0037】
特に、大電流遮断と小電流開閉との両方を経た場合には、遮断回数あるいは開閉の回数の経過により、接触面領域の組織および接触面領域の断面方向の組織(深さ方向)の変化を伴い、遮断特性の低下やばらつきの傾向を示すと共に接触抵抗値の増加とばらつき幅の増大も認められ、材料組織状態が深く関与している事が新たに判明した。
【0038】
[試料]
(試料1)として、粒子直径が40μm以上(40μm以下のCr粒子は5重量%以下存在)の複数のCr粒子と、これらを取り囲むCu相とで形成した組織分布を持つCu−Cr合金を準備した[CuCr集団▲1▼]。
【0039】
(試料2)として、粒子直径が10μm以下(10μm以上のCr粒子は5重量%以下存在)の複数のCr粒子と、これらを取り囲むCu相とで形成した組織分布を持つCu−Cr合金を準備した[CuCr集団▲2▼]。
【0040】
(試料3)として、CuCr集団▲1▼とCuCr集団▲2▼の両者が顕微鏡的スケールで交互に立体的に分布した組織分布を持つCu−Cr合金を準備した[CuCr集団▲1▼×▲2▼]。
【0041】
CuCr集団▲1▼のみで接触面領域を構成した場合では、20kA級の大電流を遮断すると耐アーク性は発輝するものの、接触抵抗特性が比較的小さな開閉回数で大きなばらつきを示した。CuCr集団▲2▼のみで接触面領域を構成した場合では、20kA級の大電流を遮断すると耐アーク性が十分でなく、遮断特性が比較的小さな遮断回数で大きなばらつきを示した。
【0042】
CuCr集団▲1▼とCuCr集団▲2▼とが交互に立体的に分布した組織の場合には、比較的長い遮断回数あるいは開閉回数が経過しても遮断特性と接触抵抗特性の両立性が保たれる。CuCr集団▲1▼のみ或いはCuCr集団▲2▼のみでは、遮断回数あるいは開閉回数の経過に対して、比較的短期間で遮断特性と接触抵抗特性の両立性が崩れる。
【0043】
[テスト]
これらの各材料組織状態にあるCuCr接点片(試料1〜3)に対して、
(テスト1):20kA級の大電流のみを遮断させるテスト、
(テスト2):30A級の小電流のみを開閉させるテスト、
(テスト3):前記大電流の遮断と小電流の開閉を組み合わせたテスト、
の3通りのテストに供した。(テスト3)が実際のフィールドの状態に近い。
【0044】
[結果の概要]
(試料1)のCuCr集団▲1▼を使用して、20kA級の大電流を遮断させた場合では、優れた耐アーク性を発揮し接点消耗も小さく、後述の(試料2)よりも優れた大電流遮断性を発揮しているが、一方、粒子直径の大きなCr粒子の存在によって、開閉前の接触抵抗値には大きいばらつきが見られる。小電流を開閉した場合の接触抵抗値にもばらつきが見られる。
【0045】
従って、(試料1)のCuCr集団▲1▼のみで、接触面領域を形成させる接点は、遮断特性と接触抵抗特性を両立させる観点からは好ましくない。
【0046】
(試料2)のCuCr集団▲2▼を使用して、20kA級の大電流を遮断させた場合では、大きな電流を遮断した時の耐アーク性が(試料1)よりも劣る傾向にあり、接点消耗が大きく、前記(試料1)よりも低い電流値で遮断不能を起こし、大電流遮断性が低下し好ましくない。一方、接触抵抗値は遮断回数の経過と共に増大する傾向を持ち好ましくない。開閉前の接触抵抗値は,安定した接触抵抗特性を発揮している。開閉後(30A級の小電流を開閉した後)の接触抵抗値は、ある一定値以下の遮断電流値では、安定した遮断特性を発揮しているが、遮断電流値の増加で急激に遮断特性が低下する傾向を持ち好ましくない。
【0047】
一方、接触抵抗特性については、ある一定値以上の遮断電流値以下では、比較的表面損傷は開閉回数が経過しても、変化が少なく、安定した接触抵抗特性を示す。
【0048】
従って、(試料2)のCuCr集団▲2▼のみで、接触面領域を形成させた接点は、遮断特性と接触抵抗特性を両立させる観点からはやはり好ましくない。
【0049】
(試料3)のCuCr集団▲1▼とCuCr集団▲2▼を交互に分布した組織を使用して、20kA級の大電流を遮断させた場合では、粒子直径が40μm以上の大きなCr粒子の存在が、耐アーク性を発揮する結果、接点表面の損傷も少なく、遮断特性の向上と安定した接触抵抗を確保するのに有効であると共に、30A級の小電流を開閉した場合では10μm以下のCr粒子の存在効果によって、ばらつきの少ない接触抵抗特性を示している。
【0050】
従って、(試料3)の様に上記したCuCr集団▲1▼とCuCr集団▲2▼とを適当な比率で存在させる事によって接触面領域を形成させたCuCr集団▲1▼×▲2▼接点が、遮断特性と接触抵抗特性を両立させるのに好ましい。
【0051】
以上説明したように、CuCr接点の特性の安定化には、一般に合金中のCr量とその量の変動、Cr粒子の粒度とその粒度分布、Crの偏析の程度、合金中に存在する空孔の程度などに依存するが、特に遮断特性と接触抵抗特性を同時に両立させかつそれらの特性を安定化させるには、上記に加えて更にCuCr合金中のCr粒子とCuマトリックスとの相互の関係によって形成される接触面領域が、極めて重要である事が分かった。
【0052】
すなわち、真空バルブの遮断特性と接触抵抗特性の両立には、合金中のCrとCuとの関係、すなわち接触面領域を上記したCuCr集団▲1▼とCuCr集団▲2▼とを存在させる事と所定の比率に制御させる事が必須である事を突き止めた。
【0053】
以下に本発明の実施例を詳細に説明する。本発明の実施例、比較例の評価条件を図1〜図3に、評価結果を図4〜図6に示す。
【0054】
遮断特性、接触抵抗特性に関する評価は、次のようにして行った。一部には必要に応じて再点弧特性、温度上昇特性の評価も実施した。供試接点材料の内容、製造条件について示す。
【0055】
(1)遮断特性
直径70mmの接点を装着した遮断テスト用実験バルブを開閉装置に取り付けると共に、ベーキング、電圧エージング等を与えた後、24kV、50Hzの回路に接続し、電流をほぼ1kAずつ増加しながら遮断限界を真空バルブ3本につき比較評価した。数値は実施例2の遮断限界値を1.0とした時の相対値で示した。
【0056】
(2)接触抵抗特性
曲率半径50Rの純銅製の針状電極と平板状の各接点片とを、接触加重10Kgで対向させ、直流10Aを通電した時の両者間の電位降下から、接触抵抗を求めた。数値は実施例2の値を基準として、接触抵抗値が0.75倍より低い場合を(A)、0.75以上〜1.5倍未満を(B)、1.5以上〜3倍未満を(C)とした。一方実施例2の値より不安定となった3倍以上〜10倍未満を(X)、10〜30倍を(Y)、30倍を越える場合を(Z)とした相対値で示した(A〜C:特性良好、X〜Z:特性不良)。
【0057】
(参考)温度上昇特性
各接点片を真空バルブに組込んだ後、バルブ端子部の温度を高感度赤外温度計を用いて表面温度を非接触的に測定した測定値から、室温を差引いた後の数値を温度上昇値として参考にした。
【0058】
(参考)再点弧特性
直径30mm、厚さ5mmの円板状接点片を、ディマウンタブル型真空バルブに装着し、24kV×500Aの回路を2000回遮断した時の再点弧発生頻度を測定し参考とした。なお評価は、再点弧発生頻度が実施例2の値より少ない0.1未満の場合を(A1)、0.1〜1の場合を(A2)、1〜1.5の場合を(B)、1.5〜3の場合を(C)とした。一方、実施例2より多発した3〜10の場合を(X)、10〜30の場合を(Y)、大幅に多い場合を(Z)として判断し参考とした(A1〜C:特性良好、X〜Z:特性不良)。
【0059】
(3)供試Cr粉の内容、CuCr合金の内容
(試料1):
40μm以上の粒子直径を持つCr粉を得て、例えば真空中で、1150℃で製造したCrスケルトンの空隙に、別途用意したCuを溶浸させて、粒子直径が40μm以上の複数のCr粒子と、これらを取り囲むCu相とで形成した組織分布を持つCuCr合金[CuCr集団▲1▼a]を準備した。
【0060】
40重量%以下のCr量を含有させたCuCr合金の製造の場合には、上記篩い分け法によって40μm以上の粒子直径を持つCr粉と、別途用意したCu粉とを混合した後、1000℃で固相焼結を行って、粒子直径が40μm以上の複数のCr粒子と、これらを取り囲むCu相とで形成した組織分布を持つCuCr合金[CuCr集団▲1▼b]を準備した。
【0061】
又、Crの部にX成分(X=Ti、Ta、Nb、V、W、Moの1つ)を含有させたCu−CrX合金の製造では、Crの一部または総てを50重量%以下のX成分で置換する為に、Cr粉にX成分をあらかじめ混合して、CrX混合粉を得てCrXスケルトンとした後、Cuを溶浸させたり、CrX混合粉とCu粉を混合して固相焼結を行い、粒子直径が40μm以上の複教のCrX粒子と、これらを取り囲むCu相とで形成した組織分布を持つCuCrX合金[CuCr集団▲1▼c]を準備した。
【0062】
(試料2):
篩い分け法によって10μm以下の粒子直径を持つCr粉を得て(10μm以上のCr粒子は5重量%以下混在)、例えば真空中で、1150℃で製造したCrスケルトンの空隙に、別途用意したCuを溶浸させて、粒子直径が10μm以下(10μm以上のCr粒子は5重量%以下存在)の複数のCr粒子と、これらを取り囲むCu相とで形成した組織分布を持つCuCr合金[CuCr集団▲2▼a]を準備した。
【0063】
10重量%以上のCr量を含有させたCuCr合金の製造の場合には、上記篩い分け法によって10μm以下の粒子直径を持つCr粉と、別途用意したCu粉とを混合した後、1000℃で固相焼結を行って、粒子直径が10μm以下の複数のCr粒子(10μm以上のCr粒子は5重量%以下存在)と、これらを取り囲むCu相とで形成した組織分布を持つCuCr合金[CuCr集団▲2▼b]を準備した。
【0064】
又、Crの一部にX成分(X=Ti、Ta、Nb、V、W、Moの1つ)を含有させたCu−CrX合金の製造では、Crの一部または総てを50重量%以下のX成分で置換する為に、Cr粉にX成分をあらかじめ混合して、CrX混合粉を得てCrXスケルトンとした後、Cuを溶浸させたり、CrX混合粉とCu粉を混合して固相焼結を行い、粒子直径が10μm以下の複数のCrX粒子と、これらを取り囲むCu相とで形成した組織分布を持つCuCrX合金[CuCr集団▲2▼c]を準備した。
【0065】
(試料3):
溶浸法(または固相焼結法)で製造したCuCr集団▲1▼より成る低密度(完全な焼結が進行する前の状態)のCuCr合金を得た後、これを篩い分け法によって粉末化して、40μm以上の粒子直径を持つCuCr合金粉▲1▼を得る。
【0066】
同じく溶浸法(または固相焼結法)で製造したCuCr集団▲2▼より成る低密度(完全な焼結が進行する前の状態)のCuCr合金を得た後、これを粉砕と篩い分け法によって粉末化して、10μm以下の粒子直径を持つCuCr合金粉▲2▼を得る。
【0067】
上記によって得たCuCr合金粉▲1▼とCuCr合金粉▲2▼とを所定比率で混合、次いでこの混合粉を原料素材として(必要により加圧、成型動作を与えた後)溶浸法(または固相焼結法)によって、CuCr集団▲1▼とCuCr集団▲2▼の両者が顕微鏡的スケールで交互にかつ立体的に分布した組織分布を持つCuCr合金[CuCr集団▲1▼×▲2▼]を準備した。
【0068】
(4)テストの内容
これらの各材料組織状態にあるCuCr接点片(試料1〜3)に対して、
(テスト1):20kA級の大電流のみを遮断させるテスト、
(テスト2):30A級の小電流のみを開閉させるテスト、
(テスト3):前記大電流の遮断と小電流の開閉を粗み合わせたテスト、
の3通りのテストに供した。(テスト3)が実際のフィールドの状態を模擬している。
【0069】
(5)遮断テスト用実験バルブ
遮断テスト用実験バルブの概要は、端面の平均表面粗さを約1.5μmに研磨したセラミックス製絶緑容器(主成分:AL2O3)を用意し、このセラミックス製絶縁容器については、組立て前に1600℃の前加熱処理を施した。封着金具として、板厚さ2mmの42%Ni−Fe合金を用意した。ロウ材として、厚さ0.1mmの72%Ag−Cu合金板を用意した。上記用意した各部材を被接合物間(セラミックス製絶縁容器の端面と封着金具)に気密封着接合が可能なように配置して、5×10-4Pa.の真空雰囲気で封着金具とセラミックス製絶縁容器との気密封着工程に供した。
【0070】
(実施例1〜4、比較例1〜2)
40μm以上の粒子直径を持つCr粉を得て、例えば真空中で、1150℃で製造したCrスケルトンの空隙中に、別途用意したCuを溶浸させて、粒子直径が40μm以上の複数のCr粒子と、これらを取り囲むCu相とで形成したCu−Cr合金の組織分布を[CuCr集団▲1▼a]とする。
【0071】
10μm以下の粒子直径を持つCr粉を得て、例えば真空中で、1150℃で製造したCrスケルトンの空隙中に、別途用意したCuを溶浸させて、粒子直径が10μm以下の複数のCr粒子と、これらを取り囲むCu相とで形成したCu−Cr合金の組織分布を[CuCr集団▲2▼a]とする。
【0072】
ここで、[CuCr集団▲1▼a]のみの組織分布を持つCu−Cr合金を比較例−1(Φ=100面積%)とし、[CuCr集団▲2▼a]のみの組織分布を持つCu−Cr合金を比較例−2(Φ=0面積%)とした。
【0073】
また、[CuCr集団▲1▼a]と[CuCr集団▲2▼a]の中の[CuCr集団▲1▼a]の比率Φ、
すなわち、
【0074】
【数1】
【0075】
が、Φ=80面積%の組織分布を持つCu−Cr合金、Φ=60面積%の組織分布を持つCu−Cr合金、Φ=40面積%の組織分布を持つCu−Cr合金、Φ=20面積%の組織分布を持つCu−Cr合金を、それぞれ実施例1〜4とした。これらの試料は顕微鏡による組織調査によって判定し選別したものである。
【0076】
前記した20kA級の大電流のみを遮断した時(テスト1)の実施例2の遮断電流値を1.0とし、各試料の遮断電流値を相対比較した。その結果を図4に示した。さらに20kA級の大電流遮断と30A級の小電流開閉を組み合わせた時(テスト3)の実施例2の遮断電流値を1.0とし、各試料の遮断電流値を相対比較した。その結果を図4に示した。なお接触抵抗特性は前記(テスト1)と(テスト3)以外に30A級の小電流のみを開閉させるテスト(テスト2)も実施した。その結果を図4に示した。
【0077】
<比率Φ=100、遮断特性>
比率Φ=100(比較例1)の時では、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性(テスト1)では、比較標準としている実施例2の遮断電流値の1.25〜1.3倍の遮断倍率を示し良好な遮断特性を持つ。更に、20kA級の大電流遮断と30A級の小電流開閉を組み合わせた(テスト3)でも、1.15〜1.3倍の遮断倍率を示し良好な遮断特性を持つ。
【0078】
<比率Φ=100、接触抵抗特性>
一方、(テスト2)の後の接触抵抗特性では、「B〜C評価」で合格の範囲にある。しかし(テスト1)の後の接触抵抗特性が「X〜Y評価」、(テスト3)の後では「評価Y〜Z」を示し、接触抵抗の観点で好ましくなく、遮断特性と接触抵抗特性の両立が得られない(比較例1)。
【0079】
<比率Φ=0、遮断特性>
比率Φ=0(比較例2)の時では、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性は、(テスト1)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.75〜1.0倍となり遮断特性の低下が見られる。(テスト3)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.4〜0.7倍の遮断倍率となり遮断特性の著しい低下が見られる。
【0080】
<比率Φ=0、接触抵抗特性>
一方、(テスト1)の後の接触抵抗特性では、「X〜Z評価」で不合格の範囲にある。(テスト2)の後の接触抵抗特性は「B〜X評価」、(テスト3)の後では「Z評価」を示し、接触抵抗の観点で好ましくなく、遮断特性と接触抵抗特性の両者で好ましくない(比較例2)。
【0081】
<比率Φ=80〜20、遮断特性>
比率Φ=80〜20(実施例1〜4)の時では、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性(テスト1)では、比較標準としている実施例2の遮断電流値の1〜1.25倍の遮断倍率を示し良好な遮断特性を持つ。更に、20kA級の大電流遮断と30A級の小電流開閉を組み合わせた(テスト3)でも、0.9〜1.25倍の遮断倍率を示し良好な遮断特性を持つ。
【0082】
<比率Φ=80〜20、接触抵抗特性>
(テスト1)の後の接触抵抗特性では、「B評価」、「B〜C評価」で合格の範囲にある。(テスト2)の後の接触抵抗特性も「B評価」、「A〜B評価」で合格の範囲にある。(テスト3)の後の接触抵抗特性でも「B評価」、「B〜C評価」を示し合格の範囲にある。以上の様に比率Φ=80〜20の範囲に於いて、遮断特性と接触抵抗特性の両立が得られる(実施例1〜4)。
【0083】
(実施例5〜6、比較例3)
上記実施例1〜4、比較例1〜2では、接触面領域の厚さ(最表面層からの深さ)を50μmで一定とした時、接触面領域中に占めるCuCr集団▲1▼の割合が遮断特性と接触抵抗特性の両立に及ぼす影響について示した。しかし本発明技術に於いては、接触面領域の厚さは50μmに限る事なく、その効果が得られる。
【0084】
<比較例3>
すなわち、接触面領域の厚さが10μmの時(比較例3)には、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性は、(テスト1)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.6〜1.0倍となり遮断特性の低下が見られる。(テスト3)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.5〜1.0倍の遮断倍率となり遮断特性の著しい低下が見られる。(テスト2)の後の接触抵抗特性では、「A〜B評価」で合格の範囲にあるものの、(テスト1)の後の接触抵抗特性が「C〜X評価」、(テスト3)の後では「評価Z」を示し、接触抵抗値に大きなばらつきがみられる点で好ましくなく、遮断特性と接触抵抗特性の両立が得られない(比較例3)。
【0085】
<実施例5〜6>
一方、接触面領域の厚さが20〜350μm(実施例5〜6)の時には、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性(テスト1)では、比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.95〜1.1倍の遮断倍率を示し良好な遮断特性を持つ。更に、20kA級の大電流遮断と30A級の小電流開閉を組み合わせた(テスト3)でも、0.9〜1.1倍の遮断倍率を示し良好な遮断特性を持つ。
【0086】
(テスト1)の後の接触抵抗特性では、「B評価」で合格の範囲にある。(テスト2)の後の接触抵抗特性も「B評価」で合格の範囲にある。(テスト3)の後の接触抵抗特性でも「B評価」を示しで合格の範囲にある。
【0087】
以上の様に接触面領域の厚さが20〜350μmの範囲に於いて、遮断特牲と接触抵抗特性の両立が得られる。
【0088】
(実施例7〜10、比較例4〜5)
上記実施例1〜6、比較例1〜3では、接触面領域中に占めるCuCr集団▲1▼の大きさ(集団の幅と長さ)を、幅が200μm、長さが400μm(以下、幅200/長400と略記)で一定とした時、遮断特性と接触抵抗特性の両立に及ぼす影響について示した。
【0089】
しかし本発明技術に於いては、接触面領域中に占めるCuCr集団▲1▼の大きさ(集団の幅と長さ)は、幅200/長400に限る事なくその効果を得る。
【0090】
<比較例4>
すなわち、CuCr集団▲1▼の大きさが幅200/長20(比較例4)の時には、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性は、(テスト1)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.55〜1.1倍となり遮断特性の低下が見られる。(テスト3)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.5〜1.0倍の遮断倍率となり遮断特性の著しい低下が見られ好ましくない。
【0091】
(テスト2)の後の接触抵抗特性では、「A〜B評価」で合格の範囲にあるものの、(テスト1)の後の接触抵抗特性が「B〜Y評価」と大幅にばらつきを示し、(テスト3)の後でも「B〜Z評価」と接触抵抗値に大きなばらつきがみられる点で好ましくなく、遮断特性と接触抵抗特性の両立が得られない。
【0092】
<実施例7〜8>
一方、接触面領域中に占めるCuCr集団▲1▼の大きさ(集団の幅と長さ)が、幅200/長200〜1000(実施例7〜8)の時には、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性(テスト1)では、比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.9〜1.1倍の遮断倍率を示し良好な遮断特性を持つ。更に、20kA級の大電流遮断と30A級の小電流開閉を組み合わせた(テスト3)でも、0.9〜1.05倍の遮断倍率を示し良好な遮断特性を持つ。
【0093】
(テスト1)の後の接触抵抗特性では、「B評価」で合格の範囲にある。(テスト2)の後の接触抵抗特性も「B評価」で合格の範囲にある。(テスト3)の後の接触抵抗特性でも「B評価」を示して合格の範囲にある。
【0094】
以上の様に、接触面領域中に占めるCuCr集団▲1▼の大きさ(集団の幅と長さ)が、幅200/長200〜1000の範囲に於いて、遮断特性と接触抵抗特性の両立が得られる。
【0095】
<比較例5>
同様に、CuCr集団▲1▼の大きさが幅10/長400(比較例5)の時にも、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性は、(テスト1)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.5〜0.9倍となり遮断特性の低下が見られる。(テスト3)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.3〜0.8倍の遮断倍率となり遮断特性の著しい低下と顕著なばらつきが見られ好ましくない。
【0096】
(テスト2)の後の接触抵抗特性では、「B〜C評価」で合格の範囲にあるものの、(テスト1)の後の接触抵抗特性が「C〜Z評価」と大幅にばらつきを示し、(テスト3)の後でも「X〜Z評価」と接触抵抗値に大幅な上昇と大きなばらつきが見られる点で好ましくなく、遮断特性と接触抵抗特性の両立が得られない。
【0097】
<実施例9〜10>
一方、接触面領域中に占めるCuCr集団▲1▼の大きさ(集団の幅と長さ)が、幅400〜1000(実施例9〜10)の時には、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性(テスト1)では、比較標準としている実施例2の遮断電流値の1.1〜1.3倍の遮断倍率を示し極めて良好な遮断特性を持つ。更に、20kA級の大電流遮断と30A級の小電流開閉を姐み合わせた(テスト3)でも、1.0〜1.25倍の遮断倍率を示し極めて良好な遮断特性を持つ。
【0098】
(テスト1)の後の接触抵抗特性でも、「B評価」で合格の範囲にある。(テスト2)の後の接触抵抗特性も「B評価」で合格の範囲にある。(テスト3)の後の接触抵抗特性でも「C評価」を示し、いずれも合格の範囲にある。
【0099】
以上の様に、接触面領域中に占めるCuCr集団▲1▼の大きさ(集団の幅と長さ)が、幅200〜1000/長400の範囲に於いて、遮断特性と接触抵抗特性の両立が得られる。
【0100】
従って、(実施例7〜8)と(実施例9〜10)とから、接触面領域中に占めるCuCr集団▲1▼の大きさは、少なくとも200μmの幅と、少なくとも200μmの長さを満たす事が好ましい。
【0101】
(実施例11〜14、比較例6〜7)
上記実施例1〜10、比較例1〜5では、接触面領域中に占めるCuCr集団▲2▼の大きさ(集団の幅と長さ)を幅200/長400で一定とした時、接触面領域中に占めるCuCr集団▲1▼の大きさ(集団の幅と長さ)が、遮断特性と接触抵抗特性の両立に及ぼす影響について示した。
【0102】
本発明技術は、接触面領域中に占めるCuCr集団▲2▼の大きさ(集団の幅と長さ)は、上記の幅200/長400に限る事なく効果を得る。
【0103】
<比較例6>
すなわち、接触面領域中に占めるCuCr集団▲2▼の大きさ(集団の幅と長さ)が、幅200/長20(比較例6)の時には、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性は、(テスト1)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.35〜0.55倍となり遮断特性の著しい低下が見られ好ましくない。(テスト3)でも比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.2〜0.65倍の遮断倍率となり一層の遮断特性の低下が見られる。
【0104】
(テスト2)の後の接触抵抗特性では、「B〜C評価」を示し合格の範囲にあるものの、(テスト1)の後の接触抵抗特性が「C〜X評価」とばらつきを示し、(テスト3)の後では「C〜Z評価」と、接触抵抗値の大幅なばらつきが見られる点で好ましくなく、遮断特性と接触抵抗特性の両立が得られない。
【0105】
<実施例11〜12>
一方、接触面領域中に占めるCuCr集団▲2▼の大きさ(集団の幅と長さ)が、幅200/長200〜1000(実施例11〜12)の時には、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性(テスト1)では、比較標準としている実施例2の遮断電流値の1.05〜1.1倍の遮断倍率を示し良好な遮断特性を持つ。
【0106】
更に、20kA級の大電流遮断と30A級の小電流開閉を組み合わせた(テスト3)でも、0.9〜1.05倍の遮断倍率を示し良好な遮断特性を持つ。
【0107】
(テスト1)の後の接触抵抗特性では、「B評価」で合格の範囲にある。(テスト2)の後の接触抵抗特性も「B評価」で合格の範囲にある。(テスト3)の後の接触抵抗特性でも「B評価」を示して合格の範囲にある。
【0108】
以上の様に、接触面領域中に占めるCuCr集団▲2▼の大きさ(集団の幅と長さ)が、幅200/長200〜1000の範囲に於いて、遮断特性と接触抵抗特性の両立が得られる。
【0109】
<比較例7>
CuCr集団▲2▼の大きさが幅10/長400(比較例7)の時には、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性は、(テスト1)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.8〜0.9倍となり遮断特性の低下が見られる。(テスト3)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.25〜0.5倍の遮断倍率となり遮断特性の著しい低下と顕著なばらつきが見られ好ましくない。
【0110】
(テスト2)の後の接触抵抗特性では、「B〜C評価」で合格の範囲にあるものの、(テスト1)の後の接触抵抗特性が「B〜X評価」と大幅にばらつきを示し、(テスト3)の後でも「C〜X評価」と接触抵抗値に大幅な上昇と大きなばらつきがみられる点で好ましくなく、遮断特性と接触抵抗特性の両立が得られない。
【0111】
<実施例13〜14>
一方、接触面領域中に占めるCuCr集団▲2▼の大きさ(集団の幅と長さ)が、幅400〜1000(実施例13〜14)の時には、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性(テスト1)では、比較標準としている実施例2の遮断電流値の1.1〜1.15倍の遮断倍率を示し極めて良好な遮断特性を持つ。更に、20kA級の大電流遮断と30A級の小電流開閉を組み合わせた(テスト3)でも、0.95〜1.15倍の遮断倍率を示し極めて良好な遮断特性を持つ。
【0112】
(テスト1)の後の接触抵抗特性でも、「B評価」で合格の範囲にある。(テスト2)の後の接触抵抗特性も「B評価」で合格の範囲にある。(テスト3)の後の接触抵抗特性でも「B評価」を示していずれも合格の範囲にある。
【0113】
以上の様に、接触面領域中に占めるCuCr集団▲2▼の大きさ(集団の幅と長さ)が、幅200〜1000/長400の範囲に於いて、遮断特性と接触抵抗特性の両立が得られる。
【0114】
従って、(実施例11〜12)と(実施例13〜14)とから、接触面領域中に占めるCuCr集団▲2▼の大きさは、少なくとも200μmの幅と、少なくとも200μmの長さを満たす事が好ましい(実施例11〜14)。
【0115】
(実施例15〜17、比較例8〜9)
上記実施例1〜14、比較例1〜7では、CuCr集団▲1▼中の平均Cr量を25重量%とした場合の遮断特性と接触抵抗特性の両立に及ぼす影響について示した。
【0116】
本発明技術は、CuCr集団▲1▼中の平均Cr量は、上記25%Crに限る事なく効果を得る。
【0117】
<比較例8>
すなわち、CuCr集団▲1▼中の平均Cr量が2重量%の時には、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性は、(テスト1)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.75〜1.05倍となり遮断特性のばらつきが見られ好ましくない。(テスト3)でも比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.5〜0.8倍の遮断倍率となり一層の遮断特性の低下が見られる。
【0118】
(テスト2)の後の接触抵抗特性では、「A評価」を示し合格の範囲にあり、(テスト1)の後の接触抵抗特性も「A〜B評価」を示し合格の範囲にあり、(テスト3)の後でも「B評価」を発揮する。接触抵抗特性は合格の範囲にあるが、遮断特性と接触抵抗特性の両立性という観点からは好ましくない。
【0119】
<比較例9>
CuCr集団▲1▼中の平均Cr量が90重量%の時には、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性は、(テスト1)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.5〜0.65倍となり遮断特性の大幅な低下が見られ好ましくない。(テスト3)でも比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.4〜0.6倍の遮断倍率となり一層の遮断特性の低下が見られる。
【0120】
(テスト2)の後の接触抵抗特性では、「C〜Z評価」と大幅な低下とばらつきを示す。(テスト1)の後の接触抵抗特性も「X〜Z評価」と大幅にばらつきを示し、(テスト3)の後でも「Y〜Z評価」と接触抵抗値に大幅な上昇がみられる点で好ましくなく、遮断特性と接触抵抗特性の両者共特性の低下が見られる。遮断特性と接触抵抗特性の両立性という観点からは好ましくない。
【0121】
<実施例15〜17>
CuCr集団▲1▼中の平均Cr量が5〜70重量%(実施例15〜17)の時には、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性は、(テスト1)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.95〜1.3倍となり、優れた遮断特性を発揮する。(テスト3)でも比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.9〜1.2倍の遮断倍率となり優れた遮断特性を発揮する。
【0122】
(テスト2)の後の接触抵抗特性では、「A〜B評価」、「B評価」、「B〜C評価」を示し合格の範囲にあり、(テスト1)の後の接触抵抗特性も「B評価」、「B〜C評価」を示し合格の範囲にあり、(テスト3)の後でも「B評価」、「B〜C評価」、「C評価」を発揮する。
【0123】
従って、(実施例15〜17)から、CuCr集団▲1▼中の平均Cr量を5重量%〜70重量%とした場合に遮断特性と接触抵抗特性の両立が得られる。
【0124】
(実施例18〜20、比較例10〜11)
上記実施例1〜17、比較例1〜9では、CuCr集団▲2▼中の平均Cr量を25重量%とした場合の遮断特性と接触抵抗特性の両立に及ぼす影響について示した。
【0125】
本発明技術は、CuCr集団▲2▼中の平均Cr量は、上記25%Crに限る事なく効果を得る。
【0126】
<比較例10>
すなわち、CuCr集団▲2▼中の平均Cr量が5重量%の時には、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性は、(テスト1)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.8〜0.95倍となり遮断特性の低下が見られ好ましくない。(テスト3)でも比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.6〜0.8倍の遮断倍率となり一層の遮断特性の低下が見られる。
【0127】
(テスト2)の後の接触抵抗特性では、「A評価」を示し合格の範囲にあり、(テスト1)の後の接触抵抗特性も「A〜B評価」を示し合格の範囲にあり、(テスト3)の後でも「B評価」を発揮する。接触抵抗特性は合格の範囲にあるが、遮断特性と接触抵抗特性の両立性という観点からは好ましくない。
【0128】
<比較例11>
CuCr集団▲2▼中の平均Cr量が90重量%の時には、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性は、(テスト1)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.6〜0.7倍となり遮断特性の低下が見られ好ましくない。(テスト3)でも比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.4〜0.6倍の遮断倍率となり一層の遮断特性の低下が見られる。
【0129】
(テスト2)の後の接触抵抗特性では、「C〜Z評価」と大幅な低下とばらつきを示す。(テスト1)の後の接触抵抗特性も「X〜Z評価」と大幅にばらつきを示し、(テスト3)の後でも「Y〜Z評価」と接触抵抗値に大幅な上昇がみられる点で好ましくなく、遮断特性と接触抵抗特性の両者共特性の低下が見られる。遮断特性と接触抵抗特性の両立性という観点からは好ましくない。
【0130】
<実施例18〜20>
CuCr集団▲2▼中の平均Cr量が10〜80重量%(実施例18〜20)の時には、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性は、(テスト1)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の1.0〜1.15倍となり、優れた遮断特性を発揮する。(テスト3)でも比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.9〜1.0倍の遮断倍率となり優れた遮断特性を発揮する。
【0131】
(テスト2)の後の接触抵抗特性では、「A〜B評価」、「B評価」、「B〜C評価」を示し合格の範囲にあり、(テスト1)の後の接触抵抗特性も「B評価」、「B〜C評価」を示し合格の範囲にあり、(テスト3)の後でも「B評価」、「B〜C評価」、「C評価」を発揮する。
【0132】
従って、(実施例18〜20)から、CuCr集団▲2▼中の平均Cr量を10重量%〜80重量%とした場合に遮断特性と接触抵抗特性の両立が得られる。
【0133】
(実施例21〜22、比較例12〜13)
上記実施例1〜20、比較例1〜11では、CuCr合金全体中のCr量を25重量%とした場合の遮断特性と接触抵抗特性の両立に及ぼす影響について示した。
【0134】
本発明技術は、CuCr合金全体中のCr量は、上記25%Crに限る事なく効果を得る。
【0135】
<比較例12>
すなわち、CuCr合金全体中のCr量が2重量%の時には、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性は、(テスト1)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.65〜1.0倍となり遮断特性のばらつきが見られ好ましくない。(テスト3)でも比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.25〜0.65倍の遮断倍率となり一層の遮断特性の低下が見られる。
【0136】
(テスト2)の後の接触抵抗特性では、「A評価」を示し合格の範囲にあり、(テスト1)の後の接触抵抗特性も「A〜B評価」を示し合格の範囲にあり、(テスト3)の後でも「B評価」を発揮する。接触抵抗特性は合格の範囲にあるが、遮断特性と接触抵抗特性の両立性という観点からは好ましくない。
【0137】
<比較例13>
CuCr合金全体中のCr量が90重量%の時には、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性は、(テスト1)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.55〜0.7倍となり遮断特性の大幅な低下が見られ好ましくない。(テスト3)でも比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.4〜0.55倍の遮断倍率となり一層の遮断特性の低下が見られる。
【0138】
(テスト2)の後の接触抵抗特性では、「C〜Z評価」と大幅な低下とばらつきを示す。(テスト1)の後の接触抵抗特性も「X〜Z評価」と大幅にばらつきを示し、(テスト3)の後でも「Y〜Z評価」と接触抵抗値に大幅な上昇がみられる点で好ましくなく、遮断特性と接触抵抗特性の両者共特性の低下が見られる。遮断特性と接触抵抗特性の両立性という観点からは好ましくない。
【0139】
<実施例21〜22>
CuCr合金全体中のCr量が5〜70重量%(実施例21〜22)の時には、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性は、(テスト1)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の1.0〜1.2倍となり、優れた遮断特性を発揮する。(テスト3)でも比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.9〜1.1倍の遮断倍率となり優れた遮断特性を発揮する。
【0140】
(テスト2)の後の接触抵抗特性では、「A〜B評価」、「B〜C評価」を示し合格の範囲にあり、(テスト1)の後の接触抵抗特性も「B評価」、「B〜C評価」を示し合格の範囲にあり、(テスト3)の後でも「B評価」、「C評価」を発揮する。
【0141】
従って、(実施例21〜22)から、CuCr合金全体中のCr量を5重量%〜70重量%とした場合に遮断特性と接触抵抗特性の両立が得られる。
【0142】
(実施例23〜25、比較例14〜15)
上記実施例1〜22、比較例1〜13では、CuCr集団▲1▼中のCrの平均粒子間距離を35μmで一定とした場合の遮断特性と接触抵抗特性の両立に及ぼす影響について示した。
【0143】
本発明技術は、CuCr集団▲1▼中のCrの平均粒子間距離は、上記35μmに限る事なく効果を得る。
【0144】
<比較例14>
すなわち、CuCr集団▲1▼中のCrの平均粒子間距離が5μmの時には、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性は、(テスト1)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.9〜1.05倍と合格の範囲にあるものの、(テスト3)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.45〜0.65倍の遮断倍率となり遮断特性の低下が見られる。
【0145】
(テスト2)の後の接触抵抗特性では、「B評価」を示し合格の範囲にあり、(テスト1)の後の接触抵抗特性も「B評価」を示し合格の範囲にあり、(テスト3)の後でも「C評価」を発揮する。接触抵抗特性は合格の範囲にあるが、遮断特性と接触抵抗特性の両立性という観点からは好ましくない。
【0146】
<比較例15>
CuCr集団▲1▼中のCrの平均粒子間距離が500μmの時には、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性は、(テスト1)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.65〜0.95倍となり遮断特性の低下が見られ好ましくない。(テスト3)でも比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.3〜1.2倍の遮断倍率となり一層の遮断特性の低下が見られる。
【0147】
(テスト2)の後の接触抵抗特性では、「B〜X評価」とばらつきを示す。(テスト1)の後の接触抵抗特性も「B〜Y評価」と大幅にばらつきを示し、(テスト3)の後でも「B〜Z評価」と接触抵抗値に大幅なばらつきを示し好ましくなく、遮断特性と接触抵抗特性の両者共特性の低下が見られる。遮断特性と接触抵抗特性の両立性という観点からは好ましくない。
【0148】
<実施例23〜25>
CuCr集団▲1▼中のCrの平均粒子間距離が20〜200μm(実施例23〜25)の時には、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性は、(テスト1)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.95〜1.15倍となり、優れた遮断特性を発揮する。(テスト3)でも比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.9〜1.1倍の遮断倍率となり優れた遮断特性を発揮する。
【0149】
(テスト2)の後の接触抵抗特性では、「A」、「A〜B評価」、「B〜C評価」を示し合格の範囲にあり、(テスト1)の後の接触抵抗特性も「A〜B評価」、「B〜C評価」を示し合格の範囲にあり、(テスト3)の後でも「B評価」、「A〜B評価」、「B〜C評価」を発揮する。
【0150】
従って、(実施例23〜25)から、CuCr集団▲1▼中のCrの平均粒子間距離を20〜200μmとした場合に遮断特性と接触抵抗特性の両立が得られる。
【0151】
(実施例26〜29、比較例16〜17)
上記実施例1〜25、比較例1〜15では、CuCr集団▲2▼中のCrの平均粒子間距離を0.5μmで一定とした場合の遮断特性と接触抵抗特性の両立に及ぼす影響について示した。
【0152】
本発明技術は、CuCr集団▲2▼中のCrの平均粒子間距離は、上記0.5μmに限る事なく効果を得る。
【0153】
<比較例16>
CuCr集団▲2▼中のCrの平均粒子間距離を0.01μm未満にすることは、素材の製造を経済的に行うことができないので、試作を中止した。
【0154】
<比較例17>
CuCr集団▲2▼中のCrの平均粒子間距離が30μmの時には、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性は、(テスト1)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.55〜0.85倍となり遮断特性の低下が見られ好ましくない。(テスト3)でも比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.4〜0.95倍の遮断倍率となり一層の遮断特性の低下が見られる。
【0155】
(テスト2)の後の接触抵抗特性では、「B〜C評価」と合格の範囲にあるものの、(テスト1)の後の接触抵抗特性は「B〜X評価」と大幅にばらつきを示し、(テスト3)の後でも「C〜Y評価」と接触抵抗値に大幅なばらつきを示し好ましくなく、遮断特性と接触抵抗特性の両者共特性の低下が見られる。遮断特性と接触抵抗特性の両立性という観点からは好ましくない。
【0156】
<実施例26〜29>
CuCr集団▲2▼中のCrの平均粒子間距離が0.01〜20μm(実施例26〜29)の時には、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性は、(テスト1)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.95〜1.2倍となり、優れた遮断特性を発揮する。(テスト3)でも比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.9〜1.1倍の遮断倍率となり優れた遮断特性を発揮する。
【0157】
(テスト2)の後の接触抵抗特性では、「A〜B評価」、「B評価」を示し合格の範囲にあり、(テスト1)の後の接触抵抗特性も「B〜C評価」を示し合格の範囲にあり、(テスト3)の後でも「B評価」、「B〜C評価」、「C評価」を発揮する。
【0158】
従って、(実施例26〜29)から、CuCr集団▲2▼中のCrの平均粒子間距離を0.01〜20μmとした場合に遮断特性と接触抵抗特性の両立が得られる。
【0159】
(実施例30〜32、比較例18)
上記実施例1〜29、比較例1〜17では、CuCr合金を750〜950℃に再加熱した後、室温にまで冷却した時の、CuCr集団▲1▼中のCr粒子のマイクロビッカース硬さ値Hvを、200とした場合の遮断特性と接触抵抗特性の両立に及ぼす影響について示した。
【0160】
本発明技術は、CuCr合金を750〜950℃に再加熱した後、室温にまで冷却した時の、CuCr集団▲1▼中のCr粒子のマイクロビッカース硬さ値Hvを、200に限る事なく効果を得る。
【0161】
<比較例18>
CuCr合金を750〜950℃に再加熱した後、室温にまで冷却した時の、CuCr集団▲1▼中のCr粒子のマイクロビッカース硬さ値Hvを120とした時には、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性は、(テスト1)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.45〜0.7倍となり遮断特性の低下が見られ好ましくない。(テスト3)でも比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.3〜0.5倍の遮断倍率となり一層の遮断特性の低下が見られる。
【0162】
(テスト2)の後の接触抵抗特性では、「A評価」を示し合格の範囲にあり、(テスト1)の後の接触抵抗特性も「A〜B評価」を示し合格の範囲にあり、(テスト3)の後でも「A〜B評価」を発揮する。接触抵抗特性は合格の範囲にあるが、遮断特性と接触抵抗特性の両立性という観点からは好ましくない。
【0163】
<実施例30〜32>
CuCr合金を750〜950℃に再加熱した後、室温にまで冷却した時の、CuCr集団▲1▼中のCr粒子のマイクロビッカース硬さ値Hvを150〜280(実施例30〜32)とした時には、20kA級の大電流のみを遮断した遮断特性は、(テスト1)では比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.95〜1.2倍となり、優れた遮断特性を発揮する。(テスト3)でも比較標準としている実施例2の遮断電流値の0.9〜1.05倍の遮断倍率となり優れた遮断特性を発揮する。
【0164】
(テスト2)の後の接触抵抗特性では、「A〜B評価」、「B評価」を示し合格の範囲にあり、(テスト1)の後の接触抵抗特性も「B評価」、「B〜C評価」を示し合格の範囲にあり、(テスト3)の後でも「B評価」、「B〜C評価」を発揮する。
【0165】
従って、(実施例30〜32)から、CuCr合金を750〜950℃に再加熱した後、室温にまで冷却した時の、CuCr集団▲1▼中のCr粒子のマイクロビッカース硬さ値Hvを、150以上とした場合に遮断特性と接触抵抗特性の両立が得られる。なお、再点弧特性の安定化の為には、好ましくはHv=200以上のHv値を必要とする。
【0166】
(変形例)
上記CuCr集団▲1▼及びCuCr集団▲2▼のうち少なくとも一方の集団のCrの一部または総てを50重量%以下のX成分(X=Ti、Ta、Nb、V、W、Moの1つ)で置換してもよい。
【0167】
CuCr集団▲1▼中、またはCuCr集団▲2▼中でのX成分の存在は、耐アーク性の向上による接触面領域の荒れを低減し、接触抵抗の安定化を得ると共に耐電圧特性の向上にも有益となる。
【0168】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、安定した接触抵抗特性と優れた大電流遮断特性とを備えた真空遮断器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1〜14、及び比較例1〜7の評価条件を示す表図。
【図2】 本発明の実施例15〜25、及び比較例8〜15の評価条件を示す表図。
【図3】 本発明の実施例26〜32、及び比較例16〜18の評価条件を示す表図。
【図4】 本発明の実施例1〜14、及び比較例1〜7の評価結果を示す表図。
【図5】 本発明の実施例15〜25、及び比較例8〜15の評価結果を示す表図。
【図6】 本発明の実施例26〜32、及び比較例16〜18の評価結果を示す表図。
Claims (2)
- 粒子直径が40μmより大きい複数のCr粒子と、これを取り囲むCu相とで形成した第1のCuCr集団と、粒子直径が10μmより小さい複数のCr粒子と、これを取り囲むCu相とで形成した第2のCuCr集団の各々が、少なくとも200μmの幅と、少なくとも200μmの長さの大きさを持って接触面領域を形成し、その厚さは最表面から少なくとも20μmの深さを持ち、更に前記第1のCuCr集団と第2のCuCr集団との複数個の集合体で接触面領域を形成し、かつこの接触面領域が接点部断面の一部または総てを構成してなる接点に於いて、
前記第1のCuCr集団中の平均Cr量が5〜70重量%、前記第2のCuCr集団中の平均Cr量が10〜80重量%であり、かつ前記接触面領域中に占める前記第1のCuCr集団の合計が、20〜80面積%である事を特徴とする接点を搭載した真空遮断器。 - 請求項1に於いて、前記第1のCuCr集団中のCr粒子が20〜200μmの平均粒子間距離を持ち、前記第2のCuCr集団中のCr粒子は0.01〜20μmの平均粒子間距離を持って接触面領域を構成した事を特徴とする接点を搭載した真空遮断器。
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