JPH107895A - 不飽和ポリエステル樹脂組成物及び不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

不飽和ポリエステル樹脂組成物及び不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法

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JPH107895A
JPH107895A JP16187096A JP16187096A JPH107895A JP H107895 A JPH107895 A JP H107895A JP 16187096 A JP16187096 A JP 16187096A JP 16187096 A JP16187096 A JP 16187096A JP H107895 A JPH107895 A JP H107895A
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JP
Japan
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molding
unsaturated polyester
polyester resin
weight
temperature
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Application number
JP16187096A
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English (en)
Inventor
Makoto Yamaguchi
真 山口
Takeshi Muranaka
健 村中
Koji Matsumoto
晃治 松本
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形前の材料取り扱い性に優れており、低温
・低圧下で圧縮成形した場合であっても、流動性に優れ
ており、巣やピンホールのない成形品を確実に提供する
ことを可能とする不飽和ポリエステル樹脂組成物を提供
する。 【解決手段】 不飽和ポリエステル樹脂100重量部に
対し、平均粒径0.1〜100μmの無機充填材50〜
350重量部、低温型増粘剤0.4〜1.0重量部、1
0時間半減期温度40〜80℃の有機過酸化物0.5〜
3.0重量部、融点40〜150℃の加熱流動化剤0.
1〜20重量部からなる組成物を強化繊維に含浸し、強
化繊維含有量を全体の2〜50重量%としてなる不飽和
ポリエステル樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不飽和ポリエステ
ル樹脂組成物及び不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造
方法に関し、特に、作業性に優れ、低温低圧条件で圧縮
成形しても良好な外観特性を有する成形品を得ることを
可能とする不飽和ポリエステル樹脂組成物及び該不飽和
ポリエステル樹脂組成物を用いた成形体の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】不飽和ポリエステル樹脂に充填材、硬化
剤、離型剤、顔料、増粘剤などを加えてなる樹脂組成物
をガラス繊維などの強化用繊維物質に含浸し、シート状
またはバルク状に形成してなる不飽和ポリエステル樹脂
成形材料は、シートモールディング・コンパウンド(S
MC)またはバルクモールディング・コンパウンド(B
MC)などと称されている。SMCやBMCは、主とし
て圧縮成形法で成形され、このような方法で得られる成
形品は、住宅設備、工業部品、自動車部品などの種々の
分野に広く用いられている。
【0003】ところで、上記成形材料は、加熱下におい
て圧縮成形されることが多く、従来、120〜160℃
の温度で、60〜100kg/cm2 の圧力下で成形さ
れていることが多かった。しかしながら、圧縮成形法に
おいて、適用製品の大型化や多品種化を図ろうとする
と、大型の成形機や様々な金型を用意しなければなら
ず、コストが非常に高くつくことになる。
【0004】他方、上記成形材料の圧縮成形に際して
は、上記のように比較的高温及び高圧で成形が行われて
いる。従って、より低温低圧で上記成形材料を圧縮成形
することができれば、成形に必要なコストを低減するこ
とができ、適用製品の拡大に寄与し得る。
【0005】しかしながら、低温で圧縮成形しようとす
ると、成形サイクルが長くなり、生産性が低下する。ま
た、成形サイクルを速めるには、より低温で反応する硬
化剤を配合すればよいと考えられるが、成形材料を従来
の熟成条件(35〜45℃)で熟成すると、熟成時間中
に硬化反応が進行してしまうという問題があった。
【0006】そのため、熟成期間中の硬化反応を避ける
ために、5〜30℃程度の低温で熟成可能な増粘剤を配
合し、SMCを得る方法も考えられるが、この場合に
は、成形材料の粘度が上昇し、通常の含浸工程では、強
化繊維に含浸することができなくなる。
【0007】また、低温、低圧で圧縮成形しようとする
と、欠肉したり、巣やピンホールが成形品表面に生じ易
くなる。巣やピンホールは、得られる成形品の外観を悪
化させるだけでなく、力学特性や耐久性にも悪影響を及
ぼす。そこで、これらの存在を低減するために、従来、
種々の提案が成されている。
【0008】例えば、特公昭60−16471号公報に
は、低圧下における流動性を高めるために、水酸化カル
シウムを増粘剤として用いることにより増粘度を低下さ
せて、低圧下における成形材料の粘度を低くすることが
試みられている。
【0009】しかしながら、この方法では、成形材料の
流動性を高めるには、成形材料粘度を大幅に低くする必
要があった。そのため、成形材料にべたつきが生じ、成
形材料を被覆するのに用いられているポリエチレンフィ
ルムなどの離型フィルムの剥離性やカッティング等の作
業性が低下するという欠点があった。また、巣やピンホ
ールも成形品に生じ易かった。さらに、不飽和ポリエス
テル樹脂組成物と強化繊維との分離が起こり易くなり、
特に、大型もしくは深しぼり形状の成形品を得ようとし
た場合には、強化繊維が成形品内部において不均一に分
布し、力学特性が不均一になることがあるという問題が
あった。
【0010】また、市販されている粘度低下剤(例え
ば、ビックケミー社製、商品名:BYK−W995や竹
本油脂社製、商品名:スーパーダインV−203)を加
える方法も考えられるが、成形材料の増粘後の粘度を低
下させ易く、作業性が低下するという問題があった。ま
た、このような成形材料を用いて得られた成形品では、
熱水浸漬後に変色し易くなるため、SMCの大きな用途
である水まわり製品への適用が不可能となるという問題
もあった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】よって、本発明の目的
は、材料の取り扱い性に優れ、低温低圧条件下で圧縮成
形したとしても、成形サイクルが短くなおかつ成形材料
の流動性に優れており、良好な外観特性を有する成形品
を容易に得ることを可能とする不飽和ポリエステル樹脂
組成物、並びにこのような不飽和ポリエステル樹脂組成
物を用いた不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法を
提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、不飽和ポリエステル樹脂100重量部、平均粒径
0.1〜100μmの無機充填材50〜350重量部、
低温型増粘剤0.4〜1.0重量部、10時間半減期温
度が40〜80℃である有機過酸化物0.5〜3.0重
量部、及び融点40〜150℃の加熱流動化剤0.1〜
20重量部からなる組成物に強化繊維を加え、前記強化
繊維含有量を2〜50重量%としたことを特徴とする不
飽和ポリエステル樹脂組成物である。
【0013】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物を、熟成温度1
5〜30℃で熟成して成形材料を得、得られた成形材料
を用い、成形温度60〜120℃、成形圧力2〜30k
g/cm2 で圧縮成形することを特徴とする不飽和ポリ
エステル樹脂成形体の製造方法である。
【0014】なお、本発明において、不飽和ポリエステ
ル樹脂100重量部とは、不飽和ポリエステル重合体成
分と重合性単量体及び必要により添加される低収縮化の
ための熱可塑性樹脂とを合計した樹脂分の合計である。
【0015】また、より好ましくは、請求項1,2に記
載の発明では、上記加熱流動化剤としては、以下の化合
物から選択される少なくとも1種の化合物が用いられ
る。 (a)融点40〜100℃の1価の脂肪族アルコール (b)融点40〜100℃のソルビタン脂肪酸エステル (c)融点40〜100℃のグリセリン脂肪酸エステル (d)融点40〜120℃のネオペンチル系ポリオール
脂肪酸エステル (e)融点40〜120℃の高級アルコール脂肪酸エス
テル (f)融点80〜150℃の脂肪酸アミド
【0016】また、本発明に用いられる不飽和ポリエス
テル樹脂組成物は、必須成分として、不飽和ポリエステ
ル樹脂、低温型増粘剤、10時間半減期温度40〜80
℃である有機過酸化物、融点40〜150℃の加熱流動
化剤、無機充填材及び強化繊維を含み、任意成分とし
て、離型剤や顔料等を加えたものである。この不飽和ポ
リエステル樹脂組成物は、ポリエチレンフィルムなどの
離型フィルムで覆い、熟成し、増粘することにより半固
体状とし、成形材料とされる。また、このような成形材
料は目的に応じてシート状またはバルク状の形状とされ
る。
【0017】上記熟成は、従来技術では、35〜45℃
の温度条件下で半日〜2日間置くことにより行われる
が、本発明に係る不飽和ポリエステル樹脂組成物では、
15〜30℃の低温で半日〜2日間置くことにより成さ
れる。すなわち、本発明では、上記低温型増粘剤が配合
されていることにより、15〜30℃という低い温度条
件下で静置することにより、必要とする硬さの成形材料
を安定に得ることができる。
【0018】以下、本発明の詳細を説明する。低温型増粘剤 上記のように請求項1に記載の発明に係る不飽和ポリエ
ステル樹脂組成物では、低温型増粘剤が配合され、それ
によって15〜30℃の低温下に半日〜2日間静置する
ことにより必要とする硬さの成形材料を安定に得ること
ができる。
【0019】上記低温型増粘剤としては、無機系増粘剤
及び有機系増粘剤を用いることができ、例えば、無機系
増粘剤としては、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウ
ム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛な
どを例示することができる。酸化マグネシウムを代表的
な例として説明すると、分散性を高めた酸化マグネシウ
ムを増粘剤として配合することにより、成形材料に15
〜30℃において理想的な増粘カーブを持たせることが
できる。この場合、酸化マグネシウムの平均粒径(体積
加重)は、0.5〜4.0μmであることが好ましい
(分散媒をエチルアルコールとするマイクロトラック法
による測定)。このような酸化マグネシウムの具体的な
製品としては、例えば、協和化学工業社製、商品名:マ
グミック♯4(平均粒径3.5μm)などを例示するこ
とができる。
【0020】また、有機増粘剤としては、イソシアネー
ト化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物などを
例示することができる。低温型増粘剤は、上記のように
低温での成形材料の熟成を可能とさせる作用を有する
が、含有量が多すぎると、粘度が高くなりすぎて強化繊
維への含浸が不十分となり、少なすぎると低温での熟成
が困難となる。従って、不飽和ポリエステル樹脂100
重量部に対し、0.4〜1.0重量部の割合で配合され
る。
【0021】従来、成形材料を低温で熟成させることに
より、より低温で分解する有機過酸化物を硬化剤として
用いることができることは知られていたが、低温型増粘
剤を用いると、成形材料を作製する工程において、特に
SMCを作製する工程において、粘度の増大により、強
化繊維への含浸性が低下するという問題があった。強化
繊維への含浸性が低下すると、成形材料の流動性が低下
したり、得られた成形品に巣やピンホールが生じたりし
易くなる。ところが、本発明では、次に述べる加熱流動
化剤が配合されているため、低温型増粘剤を用いた場合
の上記問題が補われる。
【0022】加熱流動化剤 上記のように請求項1に記載の発明において、加熱流動
化剤は、低温型増粘剤を用いた場合の強化繊維への含浸
性の低下に起因する問題を抑制するために配合されてい
る。すなわち、本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物
では、上記加熱流動化剤は、成形材料の粘度を常温下で
低下させることなく、加熱下における成形時の成形材料
の流動性を高める役割の他に、低温型増粘剤を用いた場
合における強化繊維への含浸性を高める役割をも担うも
のである。従って、請求項1に記載の発明に係る不飽和
ポリエステル樹脂組成物では、上記低温型増粘剤を用い
ているにも係わらず、加熱流動化剤が上記のように特定
の割合で配合されているため、強化繊維への含浸性も高
められる。
【0023】上記加熱流動化剤は、常温では、成形材料
粘度を低下させ難く、圧縮成形時の加熱下において、成
形材料の粘度を大幅に低減させるように作用する添加剤
であり、本発明では、融点40〜150℃、好ましくは
40〜120℃の化合物が用いられる。
【0024】加熱流動化剤の融点が40℃より低い場合
には、常温における材料粘度が低下し、成形前の成形材
料の取扱い性が低下する。他方、加熱流動化剤の融点が
150℃よりも高い場合には、加熱成形時の成形材料の
粘度低下が小さくなり、成形に際しての流動性を高める
効果が小さくなる。
【0025】また、上記加熱流動化剤の配合割合が少な
い場合には、成形加工時の流動性を高める効果が十分に
得られず、多すぎると成形時の成形材料の流動性が高く
なりすぎ、得られた成形品の機械的強度が低下すること
がある。従って、上記加熱流動化剤は、不飽和ポリエス
テル樹脂100重量部に対し、0.1〜20重量部、好
ましくは0.5〜10重量部の範囲で用いられる。
【0026】なお、本発明では、2種以上の加熱流動化
剤を併用してもよく、その場合には、加熱流動化剤の配
合量の合計が、上記範囲を満たすように、2種以上の加
熱流動化剤を配合する。
【0027】本発明では、上記のように作用する融点4
0〜150℃の化合物であれば、任意の化合物を加熱流
動化剤として用いることができるが、通常、融点40〜
150℃の滑剤として使用されている化合物が好ましく
用いられる。このような滑剤として用いられている融点
40〜150℃の化合物の例としては、ポリエチレンワ
ックス、流動パラフィンなどの炭化水素系滑剤;ステア
リン酸などの高級脂肪酸系滑剤;脂肪酸アミド、アルキ
レンビス脂肪酸アミドなどの脂肪酸アミド系滑剤;脂肪
酸の1価アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエ
ステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなどのエステル
系滑剤;脂肪族アルコール、多価アルコール、ポリグリ
コール、ポリグリセロールなどのアルコール系滑剤;金
属石鹸などが用いられる。
【0028】より好ましくは、上記加熱流動化剤として
は以下の6種類の化合物(a)〜(f)が用いられる。 (a)融点40〜100℃の1価の脂肪族アルコール、
(b)融点40〜100℃のソルビタン脂肪酸エステ
ル、(c)融点40〜100℃のグリセリン脂肪酸エス
テル、(d)融点40〜120℃のネオペンチル系ポリ
オール脂肪酸エステル、(e)融点40〜120℃の高
級アルコール脂肪酸エステル、(f)融点80〜150
℃の脂肪酸アミド。
【0029】なお、(d)のネオペンチル系ポリオール
脂肪酸エステル及び(f)脂肪酸アミドは、他の化合物
(a)〜(c),(e)に比べて、不飽和ポリエステル
樹脂100重量部に対して10重量部を超えて配合され
た場合、成形品の物性が若干低下し易くなる。従って、
化合物(d)及び(f)は、不飽和ポリエステル樹脂1
00重量部に対し10重量部の以下の範囲で配合するこ
とがより一層望ましい。
【0030】次に、上記化合物(a)〜(f)の詳細を
説明する。 (a)1価の脂肪族アルコール 本発明で用いられる上記(a)の化合物は、脂肪族炭化
水素の一つの水素が水酸基で置換されている1価の脂肪
族アルコールであり、かつ融点が40〜100℃の範囲
のものである。この範囲の融点を有するものであれば、
任意の1価の脂肪族アルコールを用いることができる。
好ましくは、炭素数が10より小さいと成形前の成形材
料の取り扱い性が低下し、36より大きいと成形加工時
の流動性が低下するため、炭素数10〜36、工業上の
入手安定性の面からは特に炭素数10〜25の脂肪族炭
化水素の末端炭素に結合した水素を水酸基で置換してな
る化合物が用いられる。上記脂肪族炭化水素は、飽和炭
化水素または不飽和炭化水素の何れであってもよく、ま
た分岐状または直鎖状の何れであってもよい。もっと
も、好ましくは、上記脂肪族炭化水素が、直鎖状の飽和
炭化水素である脂肪族アルコールが用いられる。
【0031】(a)の1価の脂肪族アルコールの具体的
な例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコー
ル、ベヘニルアルコール等を挙げることができる。この
1価の脂肪族アルコールの融点が低すぎると、成形前の
成形材料の取扱い性が低下し、高すぎると成形加工時の
流動性が低下するため、上記のように、融点が40〜1
00℃、好ましくは45〜80℃のものが用いられる。
【0032】(b)ソルビタン脂肪酸エステル ソルビタン脂肪酸エステルは、6価のアルコールである
ソルビット(分子式C 6146 )を脂肪酸でエステル
化したものであり、本発明では、融点40〜100℃の
ソルビタン脂肪酸エステルが好ましく用いられる。
【0033】上記脂肪酸としては、好ましくは、炭素数
10〜36、工業上の入手安定性の面からは、特に炭素
数10〜25の脂肪族炭化水素の末端水素に結合した水
素をカルボキシル基で置換した化合物が用いられる。上
記脂肪族炭化水素は、飽和炭化水素または不飽和炭化水
素の何れであってもよく、分岐状または直鎖状のいずれ
であってもよいが、好ましくは、直鎖状の飽和炭化水素
が用いられる。
【0034】上記融点40〜100℃のソルビタン脂肪
酸エステルの具体的な例としては、ソルビタンパルミテ
ート、ソルビタンステアレート、ソルビタントリステア
レート、ソルビタンベヘネート、ソルビタントリベヘネ
ートなどを挙げることができる。
【0035】上記ソルビタン脂肪酸エステルの融点が低
すぎると成形前の成形材料の取扱い性が低下し、高すぎ
ると成形加工時の流動性が低下する。従って、上記のよ
うに、ソルビタン脂肪酸エステルの融点は40〜100
℃、好ましくは50〜80℃とされる。
【0036】(c)グリセリン脂肪酸エステル グリセリン脂肪酸エステルは、3価のアルコールである
グリセリンを脂肪酸でエステル化したものであり、本発
明では、融点40〜100℃のグリセリン脂肪酸エステ
ルが好ましく用いられる。上記脂肪酸としては、好まし
くは、(b)ソルビタン脂肪酸エステルを得るのに好ま
しく用いられる脂肪酸が用いられる。
【0037】融点40〜100℃のグリセリン脂肪酸エ
ステルの具体的の例としては、グリセリンモノパルミテ
ート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオ
レート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンモノ−
12−ヒドロキシステアレート、グリセリンモノカプレ
ート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノ・ジ
パルミテート、グリセリンモノ・ジステアレート、グリ
セリンジ・トリステアレート、グリセリンモノ・ジオレ
ート、グリセリンモノ・ジベヘネート、グリセリンモノ
・ジ−12−ヒドロキシステアレート等が挙げられる。
【0038】上記グリセリン脂肪酸エステルの融点が低
すぎると成形前の材料の取扱い性が低下し、高すぎると
成形加工時の流動性が低下する。従って、上記のよう
に、グリセリン脂肪酸エステルの融点は40〜100℃
が好ましく、より好ましくは、50〜80℃である。
【0039】(d)ネオペンチル系ポリオール脂肪酸エ
ステル 本発明で用いられる上記ネオペンチル系ポリオール脂肪
酸エステルとは、ネオペンチルグリコール(別名2,2
−ジメチル−1,3−プロパンジオール)、ネオペンチ
ルトリオール(別名2−ヒドロキシメチル−2−メチル
−1,3−プロパンジオール)、ネオペンチルテトラオ
ール(別名ペンタエリスリトール)のいずれかのネオペ
ンチルポリオールを脂肪酸でエステル化したもの、また
は、これらのネオペンチルポリオールがエーテル結合で
繋がっている2量体を脂肪酸でエステル化したものであ
り、かつ融点が40〜120℃のものである。
【0040】また、ネオペンチル系ポリオールの2つ以
上の水酸基をエステル化したものが好ましく用いられ
る。なお、上記のように、ネオペンチルポリオールに
は、グリコールタイプ、トリオールタイプ、テトラオー
ルタイプのものがあり、これらのものの2量体は、例え
ば、以下のようにして2量化によりエーテル結合が形成
されたものである。
【0041】
【化1】
【0042】
【化2】
【0043】
【化3】
【0044】上記脂肪酸としては、好ましくは、(b)
ソルビタン脂肪酸エステルを得るのに好ましく用いられ
る脂肪酸が用いられる。また、上記ネオペンチル系ポリ
オール脂肪酸エステルとしては、好ましくは、ペンタエ
リスリトールの脂肪酸エステル、またはジペンタエリス
リトールの脂肪酸エステルが用いられる。より具体的な
例としては、ペンタエリスリトールのステアリン酸エス
テル、ペンタエリスリトールのベヘニン酸エステル、ジ
ペンタエリスリトールのステアリン酸エステル、ジペン
タエリスリトールのベヘニン酸エステルなどを挙げるこ
とができる。
【0045】上記ネオペンチル系ポリオール脂肪酸エス
テルの融点が低すぎると成形前の成形材料の取扱い性が
低下し、高すぎると成形加工時の流動性が低下する。従
って、ネオペンチル系ポリオール脂肪酸エステルの融点
は、上記のように、好ましくは40〜120℃、より好
ましくは50〜100℃である。
【0046】(e)高級アルコール脂肪酸エステル 本発明で用いられる上記(e)高級アルコール脂肪酸エ
ステルとは、高級アルコールと脂肪酸とのエステルであ
り、上記のように融点が40〜120℃のものが用いら
れる。
【0047】上記高級アルコールとは、炭素数10〜3
6、工業上の入手安定性の面からは、特に、炭素数10
〜25の脂肪族炭化水素の末端炭素に結合した水素を水
酸基で置換した化合物である。上記脂肪族炭化水素は、
飽和炭化水素または不飽和炭化水素のいずれであっても
よく、また、分岐状または直鎖状のいずれであってもよ
いが、好ましくは、直鎖状の飽和炭化水素が用いられ
る。
【0048】上記脂肪酸としては、好ましくは、(b)
ソルビタン脂肪酸エステルを得るのに好ましく用いられ
る脂肪酸が用いられる。なお、上記高級アルコール及び
脂肪酸のいずれも、通常は1価の化合物であり、従っ
て、これらを構成成分とするモノエステル化合物が上記
高級アルコール脂肪酸エステルとして用いられる。この
ような高級アルコール脂肪酸エステルの例としては、ス
テアリルステアレート、ベヘニルベヘネート、セチルミ
リステートなどを挙げることができる。
【0049】上記高級アルコール脂肪酸エステルの融点
が低すぎると成形前の成形材料の取扱い性が低下し、高
すぎると成形加工時の流動性が低下する。従って、高級
アルコール脂肪酸エステルの融点は、上記のように、好
ましくは40〜120℃、より好ましくは50〜100
℃である。
【0050】(f)脂肪酸アミド 本発明で用いられる(f)脂肪酸アミドは、融点が80
〜150℃であり、アンモニアもしくはアミノ化合物と
脂肪酸とから誘導されるアミドである。
【0051】上記脂肪酸としては、好ましくは、(b)
ソルビタン脂肪酸エステルを得るのに好ましく用いられ
る脂肪酸が用いられる。上記脂肪酸アミドの具体例とし
ては、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレ
ンビスステアロアミド、エチレンビス(ヒドロキシステ
アロアミド)、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレ
ンビスエルカ酸アミドなどを挙げることができる。
【0052】上記脂肪酸アミドの融点が低すぎると成形
前の成形材料の取扱い性が低下し、高すぎると成形加工
時の流動性が低下する。従って、脂肪酸アミドの融点
は、上記のように、好ましくは80〜150℃、より好
ましくは90〜145℃である。
【0053】有機過酸化物 上記10時間半減期温度が40〜80℃の有機過酸化物
は硬化剤として用いられており、この例としては、ター
シャリーブチルパーオキシイソブチレート、ターシャリ
ーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ター
シャリーアミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエー
ト、2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシ−2−
エチルヘキサノエート、ターシャリーブチルパーオキシ
ピバレート、ターシャリーブチルパーオキシネオヘキサ
ノエート、ターシャリーブチルパーオキシネオデカノエ
ート、2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシネオ
デカノエート、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、
ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイ
ド、ビス(3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオ
キサイド、オルソクロロベンゾイルパーオキサイド、
2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ターシャ
リーヘキシルパーオキシネオデカノエート、ターシャリ
ーブチルパーオキシネオヘプタノエート、ターシャリー
ヘキシルパーオキシピバレート、ターシャリーヘキシル
パーオキシ−2−エチルヘキサノエート等が使用され
る。
【0054】上記10時間半減期温度が40℃より低い
有機過酸化物を用いると、成形材料の貯蔵安定性が著し
く低下し、実用上問題となる。また、10時間半減期温
度が80℃より高いと、成形時間が非常に長くなり、生
産性を低下させる。
【0055】また、上記10時間半減期温度が40〜8
0℃の有機過酸化物の配合割合が少なすぎると、硬化反
応が不十分となり、成形品を得ることができず、多すぎ
ると成形材料の貯蔵安定性が著しく低下し、実用上問題
となる。従って、上記10時間半減期温度40〜80℃
の有機過酸化物は、不飽和ポリエステル樹脂100重量
部に対し、0.5〜3.0重量部、好ましくは0.7〜
2.5重量部の範囲で用いられる。
【0056】無機充填材 また、本発明においては、上述したように、平均粒径が
0.1〜100μmの無機充填材が上記特定の割合で用
いられる。無機充填材の粒径が小さすぎると組成物粘度
が高くなりすぎ、強化繊維に十分含浸せず、材料内部に
エアーを混入し易くなり、最終的に得られる成形品に巣
が入り易くなる。逆に、無機充填材の平均粒径が大きす
ぎると、無機充填材の比表面積が小さくなり、加熱流動
化剤を添加した効果が出にくくなり、成形材料の流動性
が低下する。従って、無機充填材は、0.1〜100μ
m、好ましくは0.5〜60μmの平均粒径を有するも
のが用いられる。
【0057】無機充填材の配合割合が高すぎると、成形
材料の粘度が大幅に上昇し、成形加工時の流動性が低下
するとともに、強化繊維に対する含浸性が低下し、成形
材料内部にエアーを混入し易くなり、結果として成形品
に巣が入り易くなる。また、無機充填材の配合割合が少
なすぎると成形前の材料の取扱い性が低下する。
【0058】従って、無機充填材は、不飽和ポリエステ
ル樹脂100重量部に対し、50〜350重量部の範
囲、好ましくは60〜300重量部の範囲で重合され
る。上記無機充填材としては、炭酸カルシウム、水酸化
アルミニウム、硫酸カルシウム、ガラス粉末、タルク、
マイカなどを使用することができる。なお、2種以上の
無機充填材を用いてもよく、その場合には、2種以上の
無機充填材の合計が、上記配合割合を満たすように用い
られる。
【0059】不飽和ポリエステル樹脂 不飽和ポリエステル樹脂とは、不飽和二塩基酸とグリコ
ールと必要に応じて飽和二塩基酸とを重縮合せしめた不
飽和ポリエステルと、重合性単量体及び必要により添加
される低収縮化のための熱可塑性樹脂と、必要に応じて
添加される離型剤、重合禁止剤などの添加剤とを含む混
合物である。
【0060】上記不飽和二塩基酸としては、無機マレイ
ン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等が使用さ
れる。上記グリコールとしては、エチレングリコール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−
ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェ
ノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノール
Aのエチレンオキサイド付加物、ネオペンチルグリコー
ル等が使用される。
【0061】また、上記飽和二塩基酸としては、無水フ
タル酸、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル
酸、アジピン酸、コハク酸、テトラクロロフタル酸、ヘ
ット酸等が使用される。
【0062】上記重合性単量体としては、スチレン、ジ
クロロスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、メタク
リル酸、メタクリル酸エステル、アクリル酸、アクリル
酸エステル、フタル酸ジアリル等が使用されるが、スチ
レンが好ましく使用される。通常、不飽和ポリエステル
樹脂に含まれる重合性単量体の量は20〜60重量%で
ある。
【0063】また、低収縮化のための熱可塑性樹脂とし
ては、例えば、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメ
チルメタクリレート、ポリエチレン、ポリε−カプロラ
クトン、飽和ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリブタ
ジエン、ポリスチレン−アクリル酸共重合体、ポリスチ
レン−ポリ酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体等が使
用される。
【0064】上記離型剤としては、ステアリン酸亜鉛、
ステアリン酸カルシウム等が使用される。また、上記重
合禁止剤としては、好ましくは、パラベンゾキノンまた
はハイドロキノンが用いられる。これらの重合禁止剤
は、他の禁止剤や安定剤に比べて重合禁止作用が大き
く、少量で成形材料の室温における安定性を高めること
ができる。また、少量添加するだけでよいため、成形時
及び使用時における着色を引き起こし難く、コスト的に
も有利である。重合禁止剤の添加量は、不飽和ポリエス
テル樹脂100重量部に対し、0.005〜0.2重量
の範囲とすることが好ましく、より好ましくは0.01
〜0.1重量部とされる。0.005重量部より少ない
場合には、成形材料の貯蔵安定性向上効果が小さくなる
ことがあり、0.2重量部より多すぎると、成形時及び
使用時の着色が大きくなる傾向がある。
【0065】強化繊維 本発明において、上記強化繊維としては、ガラス繊維、
炭素繊維、石綿繊維、ホイスカー、有機合成繊維、天然
繊維等を用いることができる。好ましくは、物性及び価
格面からガラス繊維が用いられる。
【0066】一定長さまたは連続した繊維をそのまま使
用する場合の他、マット状やクロス状のものも用いるこ
とができる。例えば、ガラス繊維の場合、ストランドを
一定長さに切断してなるチョップドストランド、チョッ
プドストランドをバインダーで接合しマット状としたチ
ョップドストランドマットなどを用いることができる。
【0067】一定長さの繊維長は、通常、1〜80mm
のものが使用され、1mmより短い場合には補強効果が
少なくなり、80mmより長いと、粘度が上昇して成形
性が悪くなることがある。また、不飽和ポリエステル樹
脂組成物中の繊維の方向性は、ランダムでもよく、一方
向に並べられていてもよく、X字状に並べられていても
よく、任意である。
【0068】また、強化繊維の量は、強化繊維を含む不
飽和ポリエステル樹脂組成物全体に対し、2〜50重量
%の範囲、好ましくは3〜40重量%の範囲とされる。
2重量%より少ないと成形材料の取り扱い性が低下する
と共に、十分な補強効果を得ることができず、最終的に
得られる成形品に割れや曲がりを生じ易くなる。50重
量%よりも多くなると、成形材料の粘度が上昇し、成形
材料の流動性が低下することになる。
【0069】不飽和ポリエステル樹脂成形材料の調製 請求項1に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、シ
ート状にもバルク状にも形成され得る。シート状成形材
料は、SMCまたはTMCと呼ばれ、公知の機械を用い
て形成される。例えば、ポリエチレンフィルムなどの離
型シート上に、ドクターブレードを用いて、均一な厚み
に不飽和ポリエステル樹脂組成物を塗布し、その面に強
化繊維を散布した後、同様にして作製された離型シート
に塗布された不飽和ポリエステル樹脂組成物で強化繊維
をサンドイッチし、ロールを用いて含浸させつつシート
状とすることができる。また、バルク状成形材料はBM
Cと呼ばれ、ニーダー等の混合機を用いて各成分を混合
することにより得ることができる。
【0070】請求項2に記載の発明に係る製造方法 請求項2に記載の発明に係る不飽和ポリエステル樹脂成
形体の製造方法は、上述した請求項1に記載の発明に係
る不飽和ポリエステル樹脂組成物を成形材料として用
い、圧縮成形する方法である。
【0071】請求項2に記載の発明においては、上記不
飽和ポリエステル樹脂組成物は、成形温度60〜120
℃、好ましくは80〜110℃で、かつ成形圧力2〜3
0kg/cm2 、好ましくは5〜20kg/cm2 で圧
縮成形される。
【0072】成形温度が60℃より低いと、成形加工時
の成形材料の流動性が低下したり、成形時間が大幅に長
くなったりする。また、120℃より高い場合には、成
形材料の流動中に硬化反応がスタートし、成形品の表面
性が悪化したり、欠肉し易くなったりし、さらに低コス
トの型を用いることができなくなる。
【0073】また、成形圧力が2kg/cm2 よりも低
くなると、成形材料の流動性が低下し、目的とする成形
品を得ることが困難となる。さらに、成形に際しボイド
を押し出したり、小さくしたりすることができなくな
り、成形品の表面性や物性が大きく低下する。他方、3
0kg/cm2 よりも高くなると、型内における成形材
料の流動速度が大きくなり、本発明の不飽和ポリエステ
ル樹脂組成物の有効性が損なわれ、かつ前述した設備投
資負担を低減することができなくなる。
【0074】請求項1に記載の発明の不飽和ポリエステ
ル樹脂組成物の好ましい例 請求項1に記載の発明に係る不飽和ポリエステル樹脂組
成物の好ましい例としては、不飽和ポリエステル樹脂1
00重量部に対し、融点40〜120℃の加熱流動化剤
0.5〜10重量部、低温型増粘剤0.5〜0.8重量
部、10時間半減期温度40〜80℃の有機過酸化物
0.7〜2.5重量部、並びに平均粒径0.5〜20μ
mの無機充填材60〜300重量部を混合した組成に、
離型剤としてステアリン酸亜鉛2〜10重量部混合し、
SMCまたはBMC製造装置を用いて強化繊維を組成物
全体に対し3〜40重量%の範囲となるように加えるこ
とにより調整し得る。
【0075】より好ましい例としては、上記加熱流動化
剤として、上述した(a)〜(f)で示した少なくとも
1種の化合物を、不飽和ポリエステル樹脂100重量部
に対し0.5〜10重量部加えた組成を挙げることがで
きる。
【0076】請求項2に記載の発明の好ましい例 請求項2に記載の発明の製造方法の好ましい例として
は、上記請求項1に記載の発明に係る不飽和ポリエステ
ル樹脂組成物の好ましい例からなる成形材料を用い、8
0〜110℃の成形温度で、5〜20kg/cm2 の圧
力で圧縮成形する方法を挙げることができる。
【0077】作用 請求項1に記載の発明に係る不飽和ポリエステル樹脂組
成物では、不飽和ポリエステル樹脂に対し、上記特定量
の低温型増粘剤が配合されているため、15〜30℃の
低温で増粘することができ、従って比較的低温で分解す
る10時間半減期温度40〜80℃の有機過酸化物を硬
化剤として用いることができる。よって、60〜120
℃の低温条件下で硬化反応が速く進行するため、低温で
成形したとしても短時間で成形を行うことができる。
【0078】また、上記低温型増粘剤を用いた場合、強
化繊維に組成物を含浸させる工程において、強化繊維以
外の組成物粘度が高くなるため、含浸性が低下するが、
上記特定量の加熱流動化剤が加えられているため、強化
繊維に強化繊維以外の組成物を確実に含浸させることが
できる。これは、不飽和ポリエステル樹脂液に少量溶解
した加熱流動化剤が、無機材料−不飽和ポリエステル樹
脂界面のぬれ性を高めているためと思われる。
【0079】他方、常温で固体状であった加熱流動化剤
は、加熱成形時には溶融し分散する。従って、加熱成形
時には、無機材料−樹脂界面のぬれ性をより一層高めた
り、組成物と成形型との間のすべりを高めたりする。従
って、成形前の成形材料の取り扱い性を低下させること
なく、すなわち、成形前の粘度を低下させることなく、
請求項2に記載のように、低温・低圧で圧縮成形した場
合であっても成形材料の流動性を大幅に高め得るように
作用すると考えられる。従って、低圧で圧縮成形した場
合であっても、成形材料の内圧がかかり易くなるため、
エアーを効率的に押し出しつつ成形材料が流動し、巣や
ピンホールのない成形品を得ることを可能とする。
【0080】
【実施例】以下、本発明の非限定的な実施例及び比較例
を挙げることにより、本発明を明らかにする。
【0081】(不飽和ポリエステル樹脂組成物の調製)
フマル酸、イソフタル酸及びプロピレングリコールから
なる不飽和ポリエステルと、ポリスチレンとを、スチレ
ン単量体に溶解してなる不飽和ポリエステル樹脂液(樹
脂分として100重量部)に、下記の表1に示す融点の
加熱流動化剤、炭酸カルシウム(平均粒径2μm)及び
有機過酸化物を、それぞれ、下記の表2に示す割合で、
並びにハイドロキノン0.003重量部、ステアリン酸
亜鉛5重量部、及び低温型増粘剤(酸化マグネシウム、
協和化学工業社製、商品名:マグミック♯4)0.7重
量部を混合してなる組成物を用意した。この組成物を2
5mmのガラスチョップドストランドに含浸し、ポリエ
チレンフィルムで覆いSMCとし、25℃の温度で1日
熟成した。
【0082】なお、ガラス繊維含有率は表2に示す通り
とした。上記SMCの評価については、成形に先立ち上
記離型フィルムを剥がす際に離型フィルムの剥がれが悪
くものを不良とし、離型フィルムの剥離が良好に行い得
るものを○印を付し、後述の表3に示した。
【0083】なお、表2における材料2−1では、上記
加熱流動化剤は添加していない。また、材料2−13で
は、炭酸カルシウムに代えて、平均粒径450μmのケ
イ砂を100重量部加えた。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】なお、表2において、増粘剤の種類を示す
記号A,Bは、それぞれ、Aは低温型増粘剤(協和化学
工業社製、商品名:マグミック♯4、分散媒をエチルア
ルコールとするマイクロトラック法による平均粒径測定
値が3.5μm)を、Bは低温型ではない増粘剤(協和
化学工業社製、商品名:キョウワマグ♯40)であるこ
とを示す。
【0087】また、有機過酸化物についての種類D〜G
は、それぞれ、下記の内容を示す。 D:2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシ2エチ
ルヘキサノエート(10時間半減期温度64℃) E:ターシャリーブチルパーオキシピバレート(10時
間半減期温度56℃) F:イソブチリルパーオキサイド(10時間半減期温度
33℃) G:ターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボ
ネート(10時間半減期温度97℃)
【0088】(実施例1〜9,比較例1〜15)表2に
示した材料1−1〜1−8,2−1〜2−13の何れか
を用い、プレス機に400×150×厚み4mmの平板
金型をセットし、下記の表3に示す成形温度及び圧力に
て圧縮成形した。成形材料のチャージは、平板金型の短
辺側の隅に成形材料を配置し、かつチャージ面積率は約
11%とした。
【0089】(評価)成形材料の流動性を、上記平板金
型の投影面積に対する成形後の成形材料充填投影面積の
割合(充填率)で示した。すなわち、充填率が高いほど
流動性が高いことを示す。
【0090】また、最終的に得られた成形品を目視で観
察し、巣穴(成形品表面に表れた大きさ1mm以上の
穴)の発生の有無を評価した。結果を下記の表3に示
す。表3における巣穴の評価基準は、以下の通りであ
る。 A…巣穴なし B…1〜3mm未満の巣穴が3個以下の割合で発生 C…1〜3mm未満の巣穴が4個以上、あるいは3mm
以上の巣穴があるもの
【0091】また、実施例4、比較例4及び比較例10
では、得られた成形品の曲げ特性を評価した。実施例4
(ガラス繊維含有率24重量%)の成形品では、曲げ強
度が12kgf/mm2 であり、比較例14(ガラス繊
維含有率1重量%)では曲げ強度が2.5kgf/mm
2 であり、比較例4(ガラス繊維含有率21重量%)の
成形品の曲げ強度は8.3kgf/mm2 であった。
【0092】
【表3】
【0093】比較例1では、加熱流動化剤を含有してい
ない成形材料2−1を用いているため、充填率が63%
と低く、得られた成形品に1〜3mmの巣穴が発生して
いた。
【0094】比較例2では、低温型ではない増粘剤を含
む成形材料2−2を用いていたため、成形前のSMCの
取り扱い性が悪く、離型フィルムの剥離が困難であっ
た。また、得られた成形品の表面に1〜3mmの巣穴も
発生していた。
【0095】比較例3では、加熱流動化剤としてオクチ
ルアルコールを用いた成形材料2−3を用いたためか、
SMCの取り扱い性が良好でなく、得られた成形品にお
いて1〜3mm未満の巣穴が4個以上あるいは3mm以
上の巣穴が発生していた。
【0096】比較例4では、加熱流動化剤の配合割合が
30重量部の成形材料2−4を用いたためか、成形前の
SMCの取り扱い性が良好でなく、得られた成形品にお
いて1〜3mm未満の巣穴が4個以上、あるいは3mm
以上の巣穴が発生していた。
【0097】比較例5では、低温型増粘剤の配合割合が
1.8重量部と多い成形材料2−5を用いたためか、充
填率が72%と低く、成形材料の成形に際しての流動性
が十分でなかった。
【0098】比較例6では、有機過酸化物の配合割合が
3.5重量部と高い成形材料2−6を用いたためか、充
填率が56%と低かった。比較例7では、10時間半減
期温度が33℃のイソブチルパーオキサイドを硬化剤と
して含む成形材料2−7を用いたためか、充填率が55
%と低かった。
【0099】比較例8では、10時間半減期温度が97
℃のターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボ
ネートを硬化剤として含む成形材料2−8を用いたため
か、成形サイクルが65分と長くならざるを得なかっ
た。
【0100】比較例9では、成形材料1−1を用いてい
るが、成形温度を40℃としたためか、成形サイクル
(加圧時間)が75分を要した。比較例10では、成形
材料1−1を用いたが、成形圧力を1kg/cm2 と低
く設定し過ぎたため、充填率が51%と低く、得られた
成形品においても1〜3mm未満の巣穴が4個以上また
は3mm以上の巣穴が発生していた。
【0101】比較例11では、炭酸カルシウム含有量が
30重量部である成形材料2−9を用いたため、SMC
の取り扱い性が十分でなく、かつ得られた成形品におい
て1〜3mm未満の巣穴が4個以上または3mm以上の
巣穴が発生していた。
【0102】比較例12では、炭酸カルシウム含有量が
350重量部の成形材料2−10を用いたためか、充填
率が56重量%と低く、得られた成形品においても巣穴
が発生していた。
【0103】比較例13では、ガラス繊維含有量が60
重量%の成形材料2−11を用いたため、充填率が72
%であり成形材料の流動性が低く、かつ得られた成形品
において巣穴が発生していた。
【0104】比較例14では、ガラス繊維含有量が1重
量%と少なすぎる成形材料2−12を用いたためか、得
られた成形品において巣穴が発生していた。比較例15
では、炭酸カルシウムに代えて、ケイ砂100重量部を
配合したため、充填率が80%と低く、成形に際しての
成形材料の流動性が十分でなかった。
【0105】これに対して、実施例1〜9では、上記成
形材料1−1〜1−8を用いたためか、SMCの取り扱
い性が良好であり、かつ充填率が全て100%と高く、
得られた成形品においても巣穴が発生しなかった。
【0106】
【発明の効果】以上のように、請求項1に記載の発明で
は、上記不飽和ポリエステル樹脂100重量部に対し、
上記特定の平均粒径を有する無機充填材を50〜350
重量部、上記低温型増粘剤を0.4〜1.0重量部、上
記特定の10時間半減期温度を有する有機過酸化物を硬
化剤として0.5〜3.0重量部、融点40〜150℃
の上記加熱流動化剤0.1〜20重量部からなる組成物
に強化繊維を加え、強化繊維含有量を2〜50重量%と
しているため、低温で増粘し得るため、上記10時間半
減期温度が低い有機過酸化物を硬化剤を用いることが可
能とされている。従って、低温成形条件下で、短時間で
成形することができる。しかも、上記加熱流動化剤が加
えられているため、低温型増粘剤を用いているにも係わ
らず、強化繊維への含浸性が低下しない。
【0107】加えて、上記加熱流動化剤は、成形時には
流動性を高めるようにも作用する。従って、請求項1に
記載の発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物を用いるこ
とにより、従来に比べて、より低温及び低圧下において
圧縮成形した場合であっても、巣やピンホールのない外
観品位の優れた成形品を得ることができる。
【0108】また、請求項2に記載の発明では、上記請
求項1に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物を用いて
いるため、15〜30℃の低温で熟成することができ、
かつ熟成された成形材料を用い、成形温度60〜120
℃及び成形圧力2〜30kg/cm2 の比較的低温・低
圧で圧縮成形することができ、それによって巣やピンホ
ールのない外観品位の優れた成形品を提供することがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 7/02 C08K 7/02 // B29K 105:12

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和ポリエステル樹脂100重量部、 平均粒径0.1〜100μmの無機充填材50〜350
    重量部、 低温型増粘剤0.4〜1.0重量部、 10時間半減期温度が40〜80℃である有機過酸化物
    0.5〜3.0重量部、及び融点40〜150℃の加熱
    流動化剤0.1〜20重量部からなる組成物に強化繊維
    を加え、前記強化繊維含有量を2〜50重量%としたこ
    とを特徴とする不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の不飽和ポリエステル樹
    脂組成物を、熟成温度15〜30℃で熟成して成形材料
    を得、得られた成形材料を用い、成形温度60〜120
    ℃、成形圧力2〜30kg/cm2 で圧縮成形すること
    を特徴とする不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20210132519A (ko) 2020-04-27 2021-11-04 캄텍주식회사 차량용 전자식 변속기 제어용 액츄에이터

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