JPH09124915A - 不飽和ポリエステル樹脂組成物及び不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

不飽和ポリエステル樹脂組成物及び不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法

Info

Publication number
JPH09124915A
JPH09124915A JP28323695A JP28323695A JPH09124915A JP H09124915 A JPH09124915 A JP H09124915A JP 28323695 A JP28323695 A JP 28323695A JP 28323695 A JP28323695 A JP 28323695A JP H09124915 A JPH09124915 A JP H09124915A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molding
unsaturated polyester
polyester resin
weight
parts
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP28323695A
Other languages
English (en)
Inventor
Makoto Yamaguchi
真 山口
Takeshi Muranaka
健 村中
Koji Matsumoto
晃治 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP28323695A priority Critical patent/JPH09124915A/ja
Publication of JPH09124915A publication Critical patent/JPH09124915A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 貯蔵性及び作業性並びに低温・低圧成形条件
下における流動性に優れており、かつ良好な外観特性を
有すると共に、色安定性に優れた成形品を得ることを可
能とする不飽和ポリエステル樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 不飽和ポリエステル樹脂100重量部に
対し、平均粒径0.1〜100μmの無機充填材50〜
350重量部、融点40℃〜150℃の加熱流動化剤
0.1〜20重量部、及びパラペンゾキノンまたはハイ
ドロキノンからなる重合禁止剤0.005〜0.2重量
部を配合してなる組成物に強化繊維を加え、強化繊維含
有量を全体の2〜50重量%の範囲とした不飽和ポリエ
ステル樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不飽和ポリエステ
ル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法に
関し、特に、貯蔵条件下における安定性が高められてお
り、かつ成形条件下における流動性が高められた不飽和
樹脂組成物と、該不飽和ポリエステル樹脂組成物を用い
た成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル樹脂に充填剤、硬化剤、離
型剤、顔料、増粘剤などを加えてなる樹脂組成物をガラ
ス繊維などの強化用繊維物質に含浸し、シート状または
バルク状に形成してなる不飽和ポリエステル樹脂成形材
料は、シートモールディング・コンパウンド(SMC)
またはバルクモールディング・コンパウンド(BMC)
などと称されている。SMCやBMCは、主として圧縮
成形法で成形され、このような方法で得られる成形品
は、住宅設備、工業部品、自動車部品などの種々の分野
に広く用いられている。
【0003】ところで、上記成形材料は、加熱下におい
て圧縮成形されることが多く、従来、120〜160℃
の温度で、60〜100kg/cm2 の圧力下で成形さ
れていることが多い。しかしながら、圧縮成形法におい
て、適用製品の拡大を図ろうとすると、すなわち適用製
品の大型化や多品種化を図ろうとすると、大型の成形機
や様々な金型を用意しなければならず、コストが非常に
高くつくことになる。
【0004】他方、上記成形材料の圧縮成形に際して
は、上述したように120〜160℃の比較的高い温度
で、しかも60〜100kg/cm2 の比較的高い圧力
で成形が行われている。従って、より低温及び低圧で上
記成形材料を圧縮成形することができれば、成形に必要
なコストを低減することができ、適用製品の拡大に寄与
し得る。
【0005】しかしながら、従来の条件に比べて、より
低温及び低圧で上記成形材料を圧縮成形すると、欠肉が
生じたり、巣やピンホールが成形品表面に生じ易くな
る。巣やピンホールは、製品の外観を損なうだけでな
く、製品の機械的強度や耐久性にも悪影響を及ぼす。そ
こで、低温及び低圧下で圧縮成形した場合の上記問題点
を解決するために、従来、種々の試みがなされてきてい
る。
【0006】例えば、特公昭60−16471号公報に
は、低圧下における流動性を高めるために、水酸化カル
シウムを増粘剤として用いることにより増粘度を低下さ
せて、低圧下における成形材料の粘度を低くすることが
試みられている。しかしながら、この方法では、成形材
料の流動性を高めるには、成形材料粘度を大幅に低くす
る必要があった。そのため、成形材料にべたつきが生
じ、成形材料の熟成に際し、成形材料を覆うのに用いら
れているポリエチレンフィルムなどの離型フィルムの剥
離性が低下したり、カッティング等の作業性が低下した
りするという欠点があった。また、低温及び低圧下で圧
縮成形した場合には、やはり巣やピンホールが成形品表
面に生じ易いという問題もあった。
【0007】他方、市販の粘度低下剤(例えばビックケ
ミー社製、商品名:BYK−W995、竹本油脂社製、
商品名:スーパーダインV−203等)などを用いる方
法も考えられるが、増粘後の成形材料の粘度を低下させ
易く、成形材料のカッティングなどの作業性が低下する
ことになる。また、得られた成形品が、温水浸漬などの
条件下において変色し易くなるため、SMCの重要な用
途である水回り製品などへの適用が不可能となる。
【0008】また、特開平6−200136号公報は、
低温硬化タイプのSMCの貯蔵安定性の低下を防止する
ために、BHT(ジターシャリーブチルヒドロキシトル
エン)などの安定剤を成形材料に添加する方法が開示さ
れている。しかしながら、BHTなどの安定剤は安定化
作用が小さいため、該安定剤を多量に添加しなければな
らない。その結果、成形時及び得られた成形品を使用す
る際に、成形品が着色(特に黄変)し易くなり、製品の
色安定性が損なわれるという欠点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、貯蔵
性及び作業性並びに低温・低圧下における流動性に優れ
ており、かつ良好な外観特性を有し、さらに色安定性に
優れた成形品を容易に得ることを可能とする不飽和ポリ
エステル樹脂組成物を提供することにある。
【0010】本発明の他の目的は、上記不飽和ポリエス
テル樹脂組成物を用いた成形品の製造方法であって、良
好な外観特性及び色安定性に優れた成形品を確実に提供
し得る方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、不飽和ポリエステル樹脂100重量部、平均粒径
0.1〜100μmの無機充填材50〜350重量部、
融点40〜150℃の加熱流動化剤0.1〜20重量
部、及びパラベンゾキノンまたはハイドロキノンから選
択される重合禁止剤0.005〜0.2重量部を含む組
成物に強化繊維を加えてなり、強化繊維含有量が全体の
2〜50重量%とされていることを特徴とする不飽和ポ
リエステル樹脂組成物であり、該不飽和ポリエステル樹
脂組成物からなる成形材料を用いることにより、成形材
料の取扱い性、貯蔵安定性及び低温・低圧下での圧縮成
形における流動性を高めることができ、さらに外観特性
及び耐温水性に優れた成形品を得ることが可能となる。
【0012】また、請求項2に記載の発明は、上記請求
項1に記載の発明にかかる不飽和ポリエステル樹脂組成
物を用いた成形体の製造方法であり、成形温度60℃〜
120℃、成形圧力2〜30kg/cm2 で圧縮成形す
ることを特徴とし、それによって良好な外観特性を有
し、かつ耐温水性に優れた成形品を安定に提供すること
が可能となる。
【0013】なお、不飽和ポリエステル樹脂100重量
部とは、不飽和ポリエステル重合体成分と重合性単量体
及び必要により添加される低収縮化のための熱可塑性樹
脂とを合計した樹脂分の合計である。
【0014】以下、本発明の詳細を説明する。本発明で
用いられる不飽和ポリエステル樹脂組成物とは、必須成
分として、上記不飽和ポリエステル樹脂、融点40〜1
50℃の加熱流動化剤、無機充填材、重合禁止剤及び強
化繊維を含み、必要に応じて、他の成分として、SMC
やBMCに通常用いられている、硬化剤、離型剤、増粘
剤、顔料等を含むものである。上記不飽和ポリエステル
樹脂組成物を用いて成形材料を調製するに際しては、通
常、不飽和ポリエステル樹脂組成物を構成する混合物を
ポリエチレンフィルム等の離型フィルムで覆い、該組成
物を熟成させて増粘し、半固体状とすることにより得ら
れる。このような成形材料は、目的に応じて、シート状
またはバルク状の形状とされる。また、上記熟成は、通
常、30〜50℃の温度下に、半日〜2日間程度、成形
材料を放置することにより行われる。
【0015】加熱流動化剤 上記加熱流動化剤は、常温では、成形材料粘度を低下さ
せ難く、圧縮成形時の加熱下において、成形材料の粘度
を大幅に低減させるように作用する添加剤であり、本発
明では、融点40〜150℃、好ましくは40〜120
℃の化合物が用いられる。
【0016】加熱流動化剤の融点が40℃より低い場合
には、常温における材料粘度が低下し、成形前の成形材
料の取扱い性が低下する。他方、加熱流動化剤の融点が
150℃よりも高い場合には、加熱成形時の成形材料の
粘度低下が小さくなり、成形に際しての流動性を高める
効果が小さくなる。
【0017】また、上記加熱流動化剤の配合割合が少な
い場合には、成形加工時の流動性を高める効果が十分に
得られず、多すぎると成形時の成形材料の流動性が高く
なりすぎ、得られた成形品の機械的強度が低下すること
がある。従って、上記加熱流動化剤は、不飽和ポリエス
テル樹脂100重量部に対し、0.1〜20重量部、好
ましくは0.5〜10重量部の範囲で用いられる。
【0018】なお、本発明では、2種以上の加熱流動化
剤を併用してもよく、その場合には、加熱流動化剤の配
合量の合計が、上記範囲を満たすように、2種以上の加
熱流動化剤が配合する。
【0019】本発明では、上記のように作用する融点4
0〜150℃の化合物であれば、任意の化合物を加熱流
動化剤として用いることができるが、通常、融点40〜
150℃の滑剤として使用されている化合物が好ましく
用いられる。このような滑剤として用いられている融点
40〜150℃の化合物の例としては、ポリエチレンワ
ックス、流動パラフィンなどの炭化水素系滑剤;ステア
リン酸などの高級脂肪酸系滑剤;脂肪酸アミド、アルキ
レンビス脂肪酸アミドなどの脂肪酸アミド系滑剤;脂肪
酸の一価アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエ
ステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなどのエステル
系滑剤;脂肪族アルコール、多価アルコール、ポリグリ
コール、ポリグリセロールなどのアルコール系滑剤;金
属石鹸などが用いられる。
【0020】より好ましくは、上記加熱流動化剤として
は以下の6種類の化合物(a)〜(f)が用いられる。 (a)融点40〜100℃の一価の脂肪族アルコール、
(b)融点40〜100℃のソルビタン脂肪酸エステ
ル、(c)融点40〜100℃のグリセリン脂肪酸エス
テル、(d)融点40〜120℃のネオペンチル系ポリ
オール脂肪酸エステル、(e)融点40〜120℃の高
級アルコール脂肪酸エステル、(f)融点80〜150
℃の脂肪酸アミド。
【0021】なお、(d)のネオペンチル系ポリオール
脂肪酸エステル及び(f)脂肪酸アミドは、他の化合物
(a)〜(c),(e)に比べて、不飽和ポリエステル
樹脂100重量部に対して10重量部を超えて配合され
た場合、成形品の物性が若干低下し易くなる。従って、
化合物(d)及び(f)は、不飽和ポリエステル樹脂1
00重量部に対し10重量部の以下の範囲で配合するこ
とがより一層望ましい。
【0022】次に、上記化合物(a)〜(f)の詳細を
説明する。 (a)一価の脂肪族アルコール 本発明で用いられる上記(a)の化合物は、脂肪族炭化
水素の一つの水素が水酸基で置換されている一価の脂肪
族アルコールであり、かつ融点が40〜100℃の範囲
のものである。この範囲の融点を有するものであれば、
任意の一価の脂肪族アルコールを用いることができる。
好ましくは、炭素数が10より小さいと成形前の成形材
料の取扱い性が低下し、36より大きいと成形加工時の
流動性が低下するため、炭素数10〜36、工業上の入
手安定性の面からは特に炭素数10〜25の脂肪族炭化
水素の末端炭素に結合した水素を水酸基で置換してなる
化合物が用いられる。上記脂肪族炭化水素は、飽和炭化
水素または不飽和炭化水素の何れであってもよく、また
分岐状または直鎖状の何れであってもよい。もっとも、
好ましくは、上記脂肪族炭化水素が、直鎖状の飽和炭化
水素である脂肪族アルコールが用いられる。
【0023】(a)の一価の脂肪族アルコールの具体的
な例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコー
ル、ベヘニルアルコール等を挙げることができる。この
一価の脂肪族アルコールの融点が低すぎると、成形前の
成形材料の取扱い性が低下し、高すぎると成形加工時の
流動性が低下するため、上記のように、融点が40〜1
00℃、好ましくは45〜80℃のものが用いられる。
【0024】(b)ソルビタン脂肪酸エステル ソルビタン脂肪酸エステルは、6価のアルコールである
ソルビット(分子式C 6 146 )を脂肪酸でエステル
化したものであり、本発明では、融点40〜100℃の
ソルビタン脂肪酸エステルが好ましく用いられる。
【0025】上記脂肪酸としては、好ましくは、炭素数
10〜36、工業上の入手安定性の面からは、特に炭素
数10〜25の脂肪族炭化水素の末端水素に結合した水
素をカルボキシル基で置換した化合物が用いられる。上
記脂肪族炭化水素は、飽和炭化水素または不飽和炭化水
素の何れであってもよく、分岐状または直鎖状のいずれ
であってもよいが、好ましくは、直鎖状の飽和炭化水素
が用いられる。
【0026】上記融点40〜100℃のソルビタン脂肪
酸エステルの具体的な例としては、ソルビタンパルミテ
ート、ソルビタンステアレート、ソルビタントリステア
レート、ソルビタンベヘネート、ソルビタントリベヘネ
ートなどを挙げることができる。
【0027】上記ソルビタン脂肪酸エステルの融点が低
すぎると成形前の成形材料の取扱い性が低下し、高すぎ
ると成形加工時の流動性が低下する。従って、上記のよ
うに、ソルビタン脂肪酸エステルの融点は40〜100
℃、好ましくは50〜80℃とされる。
【0028】(c)グリセリン脂肪酸エステル グリセリン脂肪酸エステルは、3価のアルコールである
グリセリンを脂肪酸でエステル化したものであり、本発
明では、融点40〜100℃のグリセリン脂肪酸エステ
ルが好ましく用いられる。上記脂肪酸としては、好まし
くは、(b)ソルビタン脂肪酸エステルを得るのに好ま
しく用いられる脂肪酸が用いられる。
【0029】融点40〜100℃のグリセリン脂肪酸エ
ステルの具体的の例としては、グリセリンモノパルミテ
ート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオ
レート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンモノ−
12−ヒドロキシステアレート、グリセリンモノカプレ
ート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノ・ジ
パルミテート、グリセリンモノ・ジステアレート、グリ
セリンジ・トリステアレート、グリセリンモノ・ジオレ
ート、グリセリンモノ・ジベヘネート、グリセリンモノ
・ジ−12−ヒドロキシステアレート等が挙げられる。
【0030】上記グリセリン脂肪酸エステルの融点が低
すぎると成形前の材料の取扱い性が低下し、高すぎると
成形加工時の流動性が低下する。従って、上記のよう
に、グリセリン脂肪酸エステルの融点は40〜100℃
が好ましく、より好ましくは、50〜80℃である。
【0031】(d)ネオペンチル系ポリオール脂肪酸エ
ステル 本発明で用いられる上記ネオペンチル系ポリオール脂肪
酸エステルとは、ネオペンチルグリコール(別名2,2
−ジメチル−1,3−プロパンジオール)、ネオペンチ
ルトリオール(別名2−ヒドロキシメチル−2−メチル
−1,3−プロパンジオール)、ネオペンチルテトラオ
ール(別名ペンタエリスリトール)のいずれかのネオペ
ンチルポリオールを脂肪酸でエステル化したもの、また
は、これらのネオペンチルポリオールがエーテル結合で
繋がっている2量体を脂肪酸でエステル化したものであ
り、かつ融点が40〜120℃のものである。
【0032】また、ネオペンチル系ポリオールの2つ以
上の水酸基をエステル化したものが好ましく用いられ
る。なお、上記のように、ネオペンチルポリオールに
は、グリコールタイプ、トリオールタイプ、テトラオー
ルタイプのものがあり、これらのものの2量体は、例え
ば、以下のようにして2量化によりエーテル結合が形成
されたものである。
【0033】
【化1】
【0034】
【化2】
【0035】
【化3】
【0036】上記脂肪酸としては、好ましくは、(b)
ソルビタン脂肪酸エステルを得るのに好ましく用いられ
る脂肪酸が用いられる。また、上記ネオペンチル系ポリ
オール脂肪酸エステルとしては、好ましくは、ペンタエ
リスリトールの脂肪酸エステル、またはジペンタエリス
リトールの脂肪酸エステルが用いられる。より具体的な
例としては、ペンタエリスリトールのステアリン酸エス
テル、ペンタエリスリトールのベヘニン酸エステル、ジ
ペンタエリスリトールのステアリン酸エステル、ジペン
タエリスリトールのベヘニン酸エステルなどを挙げるこ
とができる。
【0037】上記ネオペンチル系ポリオール脂肪酸エス
テルの融点が低すぎると成形前の成形材料の取扱い性が
低下し、高すぎると成形加工時の流動性が低下する。従
って、ネオペンチル系ポリオール脂肪酸エステルの融点
は、上記のように、好ましくは40〜120℃、より好
ましくは50〜100℃である。
【0038】(e)高級アルコール脂肪酸エステル 本発明で用いられる上記(e)高級アルコール脂肪酸エ
ステルとは、高級アルコールと脂肪酸とのエステルであ
り、上記のように融点が40〜120℃のものが用いら
れる。
【0039】上記高級アルコールとは、炭素数10〜3
6、工業上の入手安定性の面からは、特に、炭素数10
〜25の脂肪族炭化水素の末端炭素に結合した水素を水
酸基で置換した化合物である。上記脂肪族炭化水素は、
飽和炭化水素または不飽和炭化水素のいずれであっても
よく、また、分岐状または直鎖状のいずれであってもよ
いが、好ましくは、直鎖状の飽和炭化水素が用いられ
る。
【0040】上記脂肪酸としては、好ましくは、(b)
ソルビタン脂肪酸エステルを得るのに好ましく用いられ
る脂肪酸が用いられる。なお、上記高級アルコール及び
脂肪酸のいずれも、通常は一価の化合物であり、従っ
て、これらを構成成分とするモノエステル化合物が上記
高級アルコール脂肪酸エステルとして用いられる。この
ような高級アルコール脂肪酸エステルの例としては、ス
テアリルステアレート、ベヘニルベヘネート、セチルミ
リステートなどを挙げることができる。
【0041】上記高級アルコール脂肪酸エステルの融点
が低すぎると成形前の成形材料の取扱い性が低下し、高
すぎると成形加工時の流動性が低下する。従って、高級
アルコール脂肪酸エステルの融点は、上記のように、好
ましくは40〜120℃、より好ましくは50〜100
℃である。
【0042】(f)脂肪酸アミド 本発明で用いられる(f)脂肪酸アミドは、融点が80
〜150℃であり、アンモニアもしくはアミノ化合物と
脂肪酸とから誘導されるアミドである。
【0043】上記脂肪酸としては、好ましくは、(b)
ソルビタン脂肪酸エステルを得るのに好ましく用いられ
る脂肪酸が用いられる。上記脂肪酸アミドの具体例とし
ては、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレ
ンビスステアロアミド、エチレンビス(ヒドロキシステ
アロアミド)、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレ
ンビスエルカ酸アミドなどを挙げることができる。
【0044】上記脂肪酸アミドの融点が低すぎると成形
前の成形材料の取扱い性が低下し、高すぎると成形加工
時の流動性が低下する。従って、脂肪酸アミドの融点
は、上記のように、好ましくは80〜150℃、より好
ましくは90〜145℃である。
【0045】重合禁止剤 本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物では、重合禁止
剤として、パラベンゾキノンまたはハイドロキノンが用
いられる。パラペンゾキノン及びハイドロキノンは、他
の重合禁止剤や安定剤に比べて、重合禁止作用が強く、
従って、少量で成形材料の室温における安定性を高める
ことができる。また、少量の重合禁止剤を添加すればよ
いため、成形時及び成形品使用時における着色を生じさ
せ難く、かつコストの低減にも寄与する。
【0046】上記重合禁止剤の添加量が少なすぎると貯
蔵安定性を高める効果が小さくなり、多すぎると成形時
及び成形品使用時の着色の問題が生じる。従って、上記
重合禁止剤は、不飽和ポリエステル樹脂100重量部に
対し、0.005〜0.2重量部、好ましくは、0.0
1〜0.1重量部の範囲で用いられる。
【0047】無機充填材 上記無機充填材としては、炭酸カルシウム、水酸化アル
ミニウム、硫酸カルシウム、ガラス粉末、タルク、マイ
カなどを使用することができる。
【0048】上記無機充填材の粒径が小さすぎると不飽
和樹脂組成物の粘度が高くなり、強化繊維に十分含浸せ
ず、成形材料内部にエアーを混入し易くなり、成形品に
巣が入り易くなる。他方、上記無機充填材の粒径が大き
すぎると、粒子の非表面積が小さくなるため、加熱流動
化剤を低下した効果が生じ難くなり、成形材料の成形時
の流動性が低下することになる。従って、無機充填材の
粒径は、0.1〜100μm、好ましくは0.5〜60
μmである。
【0049】無機充填材の配合割合が高すぎると、成形
材料の粘度が大幅に上昇し、成形加工時の流動性が低下
するとともに、強化繊維に対する含浸性が低下し、成形
材料内部にエアーを混入し易くなり、結果として成形品
に巣が入り易くなる。また、無機充填材の配合割合が少
なすぎると成形前の材料の取扱い性が低下する。
【0050】従って、無機充填材は、不飽和ポリエステ
ル樹脂100重量部に対し、50〜350重量部の範
囲、好ましくは50〜300重量部の範囲で重合され
る。なお、2種以上の無機充填材を用いてもよく、その
場合には、2種以上の無機充填材の合計が、上記配合割
合を満たすように用いられる。
【0051】強化繊維 強化繊維は、本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物の
機械的強度を強化し、機械的強度に優れた成形品を得る
ために配合されている。上記強化繊維としては、ガラス
繊維、炭素繊維、石綿繊維、ホイスカー、有機合成繊
維、天然繊維などを挙げることができる。好ましくは、
物性及び価格の面で有利であるため、ガラス繊維が用い
られる。
【0052】また、強化繊維としては、一定長のまたは
連続した繊維をそのまま使用する場合の他、マット状や
クロス状の強化繊維を用いてもよい。例えば、ガラス繊
維の場合には、ストランドを一定長さに切断して得られ
たチョップドストランドをバインダーで接着し、マット
状としたチョップドストランドマットなどを使用するこ
とができる。一定長さの繊維は、通常、1〜80mmの
繊維長を有するものが使用される。繊維長が1mmより
も短い場合は、補強効果が十分でなく、80mmよりも
長い場合には、粘度が上昇して成形性が低下する。
【0053】また、不飽和ポリエステル樹脂組成物中の
繊維の方向は特に限定されるものではなく、ランダムで
あってもよく、一方向に揃えられていてもよく、X状に
並べられていたものなど任意である。
【0054】また、上記強化繊維の量か少なすぎると成
形材料の取扱い性が低下し、補強効果が小さくなり成形
品の割れや曲がりが生じ易くなる。他方、強化繊維の使
用量が多すぎると、成形材料の粘度が上昇し、成形時の
流動性が低下する。従って、強化繊維は、不飽和ポリエ
ステル樹脂組成物全体の2〜50重量%の範囲で混合さ
れる。
【0055】不飽和ポリエステル樹脂 不飽和ポリエステル樹脂とは、不飽和二塩基酸とグリコ
ールと必要に応じて飽和二塩基酸とを重縮合せしめた不
飽和ポリエステルと、重合性単量体及び必要により添加
される低収縮化のための熱可塑性樹脂と、必要に応じて
添加される硬化剤、離型剤、増粘剤などの添加剤とを含
む混合物である。
【0056】上記不飽和二塩基酸としては、無機マレイ
ン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等が使用さ
れる。上記グリコールとしては、エチレングリコール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−
ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェ
ノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノール
Aのエチレンオキサイド付加物、ネオペンチルグリコー
ル等が使用される。
【0057】また、上記飽和二塩基酸としては、無水フ
タル酸、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル
酸、アジピン酸、コハク酸、テトラクロロフタル酸、ヘ
ット酸等が使用される。
【0058】上記重合性単量体としては、スチレン、ジ
クロロスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、メタク
リル酸、メタクリル酸エステル、アクリル酸、アクリル
酸エステル、フタル酸ジアリル等が使用されるが、スチ
レンが好ましく使用される。
【0059】通常、不飽和ポリエステル樹脂に含まれる
重合性単量体の量は20〜60重量%である。また、低
収縮化のための熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリス
チレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、
ポリエチレン、ポリε−カプロラクトン、飽和ポリエス
テル、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリスチレン
−アクリル酸共重合体、ポリスチレン−ポリ酢酸ビニル
共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリロニ
トリル−スチレン共重合体等が使用される。
【0060】その他の添加剤 上記硬化剤としては、ターシャリーブチルパーオキシイ
ソブチレート、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エ
チルヘキサノエート、ターシャリーアミルパーオキシ−
2−エチルヘキサノエート、2,4,4−トリメチルペ
ンチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ターシ
ャリーブチルパーオキシピバレート、ターシャリーブチ
ルパーオキシベンゾエート、ターシャリーブチルパーオ
キシイソプロピルカーボネート、ターシャリーブチルパ
ーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、
1,1−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン、ベンゾイルパーオ
キサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメン
ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物が使用され
る。
【0061】上記離型剤としては、ステアリン酸亜鉛、
ステアリン酸カルシウム等が使用される。上記増粘剤と
しては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化
カルシウム、酸化亜鉛等が使用される。
【0062】成形材料の成形 本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、シート状に
も、バルク状にも形成されるが、シート状成形材料は、
SMCまたはTMCと呼ばれ、公知の機械を用いて形成
される。
【0063】例えば、ポリエチレンフィルム等の離型シ
ート上に、ドクターブレードを用いて、均一な厚みに不
飽和ポリエステル樹脂組成物を塗布し、その面に強化繊
維を散布した後、同様に作製した離型シートに塗布され
た不飽和ポリエステル樹脂組成物とで強化繊維をサンド
イッチし、ロールを用いて含浸させながらシート状にす
ることができる。また、バルク状成形材料は、BMCと
呼ばれ、ニーダー等の混合機で形成される。
【0064】(請求項1の発明の好ましい例)請求項1
の発明における好ましい例としては、不飽和ポリエステ
ル樹脂100重量部に対して、融点40℃〜120℃の
加熱流動化剤0.5〜10重量部、パラベンゾキノンま
たはハイドロキノン0.01〜0.1重量部、無機充填
材として、平均粒径0.5〜20μmの炭酸カルシウム
60〜300重量部、平均粒径0.5〜30μmの水酸
化アミルミウニム60〜300重量部、または平均粒径
0.5〜20μmのガラス粉末60〜300重量部を加
える。
【0065】上記充填材を併用使用する場合は、合計重
量部が60〜300重量部となるようにする。これらの
組成からなる不飽和ポリエステル組成物に、硬化剤とし
て有機過酸化物0.2〜3.0重量部、離型剤としてス
テアリン酸亜鉛2〜10重量部、増粘剤として酸化マグ
ネシウムまたは水酸化マグネシウム0.2〜3重量部を
混合し、SMCあるいはBMC製造装置を用いて、強化
繊維を組成物全体量に対し、3〜40重量%の範囲とな
るように添加する。
【0066】さらに好ましい例としては、不飽和ポリエ
ステル樹脂100重量部に対して、以下の化合物から選
択される少なくとも1つの加熱流動化剤0.5〜10重
量部を配合する。
【0067】(a)融点45〜80℃の一価の脂肪族ア
ルコール、(b)融点50〜80℃のソルビタン脂肪酸
エステル、(c)融点50〜80℃のグリセリン脂肪酸
エステル、(d)融点50〜100℃のネオペンチル系
ポリオール脂肪酸エステル、(e)融点50〜100℃
の高級アルコール脂肪酸エステル、(f)融点90〜1
45℃の脂肪酸アミド。
【0068】さらに、パラベンゾキノンまたはハイドロ
キノン0.01〜0.1重量部、無機充填材として、平
均粒径0.5〜20μmの炭酸カルシウム粉末60〜3
00重量部、平均粒径0.5〜30μmの水酸化アルミ
ニウム粉末60〜30重量部または平均粒径0.5〜2
0μmのガラス粉末60〜300重量部を加える。
【0069】上記充填材を併用使用する場合は、合計重
量部が60〜300重量部となるようにする。これらの
組成からなる不飽和ポリエステル組成物に、硬化剤とし
て有機過酸化物0.2〜3.0重量部、離型剤としてス
テアリン酸亜鉛2〜10重量部、増粘剤として酸化マグ
ネシウムまたは水酸化マグネシウム0.2〜3重量部を
混合し、SMCあるいはBMC製造装置を用いて強化繊
維を組成物の全体量に対し、3〜40重量%の範囲とな
るように添加する。
【0070】(請求項2に記載の発明)請求項2に記載
の発明は、上記請求項1に記載の発明にかかる不飽和ポ
リエステル樹脂組成物を用いた成形材料を圧縮成形し、
成形体を得る方法である。
【0071】請求項2に記載の発明では、上記不飽和ポ
リエステル樹脂組成物は、上記特定の温度範囲におい
て、特定の成形圧力下で圧縮成形される。不飽和ポリエ
ステル樹脂組成物を圧縮成形するに際しての成形温度が
低すぎると、成形加工時の流動性が低下したり、成形時
間が大幅に長くなったりすることがある。また、成形温
度が高すぎると、成形加工時にボイドを巻き込み易くな
り、成形品の表面性状が低下したり、成形品が黄色に着
色し易くなったり、低コストの金型を使うことができな
くなることがある。従って、成形温度は60〜120
℃、好ましくは、80〜110℃の範囲とされる。
【0072】また、成形圧力が低すぎると、成形材料の
流動性が低下し、目的とする成形品が得難くなり、かつ
ボイドを押し出したり、小さくしたりすることができな
くなり、表面性状や物性が大きく低下することになる。
逆に、成形圧力が高すぎると、必然的に材料の流動性が
高くなるため、加熱流動化剤の添加効果が発揮されにく
く、また高価な成形装置を必要とするため、設備投資負
担を低減することができなくなる。
【0073】従って、成形圧力は2〜30kg/c
2 、好ましくは、5〜20kg/cm 2 とされる。請
求項2に記載の発明の好ましい態様としては、請求項1
に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物を用いた成形材
料を、80〜110℃の温度に加熱された金型内に投入
し、金型を閉じ、5〜20kg/cm2 の圧力で圧縮成
形する方法が挙げられる。
【0074】作用 請求項1に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物では、
不飽和ポリエステル樹脂100重量部に対し、融点40
〜150℃の加熱流動化剤が上記特定の割合で配合され
ているため、常温で固体状であった加熱流動化剤が加熱
成形時に溶融・分散し、無機材料−樹脂界面のぬれ性を
高めたり、不飽和ポリエステル樹脂組成物と成形型との
間のすべりを高めたりする。従って、成形前の取扱い性
を低下させることなく、すなわち成形前の成形材料の粘
度を低下させることなく、比較的低温・低圧力下におけ
る圧縮成形時の成形材料の流動性を効果的に高めること
ができると考えられる。
【0075】また、成形に際して上記加熱流動化剤を加
えた成形材料は、常温での粘度を低下させないため、成
形材料に圧力が加わり易くなり、それによってエアーを
成形材料外に効率的に押し出しつつ流動し、巣やピンホ
ールのない成形品を得るようにも作用していると考えら
れる。
【0076】また、請求項1に記載の発明では、重合禁
止剤として上記パラベンゾキノンまたはハイドロキノン
が上記特定の割合で配合されている。パラベンゾキノン
まはたハイドロキノンは、重合禁止作用が大きく、成形
材料の室温における安定性を高めるように作用する。従
って、成形材料の貯蔵安定性が上記パラベンゾキノンま
たはハイドロキノンの添加により高められる。また、重
合禁止作用が高いため、パラベンゾキノンまたはハイド
ロキノンの添加量は上記のように少量でよく、従って成
形時や使用時の着色を防止することができる。
【0077】
【実施例】以下、本発明の非限定的な実施例及び比較例
を挙げることにより、本発明を明らかにする。
【0078】不飽和ポリエステル組成物の調製 フマル酸、イソフタル酸及びプロピレングリコールから
なる不飽和ポリエステルと、ポリスチレンとを、スチレ
ン単量体に溶解してなる不飽和ポリエステル樹脂液(樹
脂分として100重量部)に、下記の表1に示す融点の
加熱流動化剤、平均粒径2μmの炭酸カルシウム、重合
禁止剤を、それぞれ、下記の表2に示す割合で、並びに
酸化マグネシウム0.7重量部、有機過酸化物としての
2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシ−2−エチ
ルヘキサノエート1重量部、ステアリン酸亜鉛5重量部
を混合してなる組成物を用意した。この組成物を、25
mm長のガラスチョップドストランドに含浸し、得られ
た材料をポリエチレンフィルムで被覆し、40℃の温度
で1日熟成し、SMCを得た。なお、ガラス繊維含有率
は表2に示す通りとした。
【0079】上記のようにして、表2に示す1−1〜1
−8及び2−1〜2−11で示す19種類のSMCを調
製した。なお、材料2−1は、表2から明らかなよう
に、加熱流動化剤を含有しておらず、材料2−2は重合
禁止剤を含有しておらず、材料2−11は炭酸カルシウ
ムを添加せず、代わりにケイ砂(平均粒径450μm)
を100重量部加えたものである。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】なお、表2における重合禁止剤の種類を示
す記号A〜Cは、それぞれ、以下の重合禁止剤であるこ
とを示す。 A…ハイドロキノン B…パラベンゾノキン C…BHT(ジターシャリーブチルヒドロキシトルエ
ン) 上記のようにして用意したSMC、すなわち材料1−1
〜1−8及び2−1〜2−11の取扱い性及び貯蔵安定
性を以下の要領で評価した。
【0083】(1)取扱い性評価…熟成されたSMCか
ら表面を覆っているポリエチレンフィルムを剥離するに
際し、成形材料のべたつきによりフィルムの剥離が生じ
難いものにつき×印を、フィルムが円滑に剥離し得たも
のにつき○印を付し、後述の表3に示した。
【0084】(2)貯蔵安定性評価…上記SMCを、2
5℃の恒温室中に貯蔵し、SMC作製時点から、硬化が
進行したために柔軟性が無くなった時点までの日数を、
すなわち貯蔵日数を貯蔵安定性評価の指標とした。貯蔵
安定性の評価については、貯蔵日数が22日以上である
場合について○印を、10日以内の場合について×印を
付し、後述の表3に示した。
【0085】実施例1〜9及び比較1〜13 上記材料番号1−1〜1−8及び2−1〜2−11のS
MCを使い、プレス機において、平板金型(400mm
×150mm×厚み4mm)を用い、表3に示す温度及
び圧力下にて圧縮成形した。圧縮成形に際してのSMC
のチャージは、平板金型の短辺側のコーナーにSMCを
配置し、チャージ面積率は約11%とした。
【0086】表3に示した材料、温度及び圧力下におけ
る圧縮成形で得られた各成形品の評価を、(1)充填
率、(2)巣穴及び(3)着色性について、それぞれ以
下の要領で評価した。
【0087】(1)充填率…成形材料の流動性を、平板
金型を投影した面積に対する成形後の成形材料の充填さ
れている部分の投影面積の割合(%)で示した。すなわ
ち、この充填率が高い程、成形材料の流動性が高いこと
を示す。
【0088】(2)巣穴…得られた成形品に巣穴が生じ
ているか否か目視により観察した。なお、巣穴とは、成
形品表面に現れた大きさ1mm以上の穴をいうものとす
る。 (3)着色性…60℃の温水に成形品の片面を500時
間浸漬した後の浸漬された面の着色を目視により評価し
た。
【0089】上記(1)充填率、(2)巣穴及び(3)
着色性の評価結果を下記の表3に示す。なお、表3にお
ける巣穴の評価記号の意味は以下のとおりである。 A…巣穴が観察されず。 B…1〜3mm未満の巣穴が3個以下の割合で発生して
いたもの。 C…1〜3mm未満の巣穴が4個以上、または3mm以
上の巣穴が観察された。
【0090】なお、表3の実施例4、比較例4及び比較
例12では、得られた成形品の曲げ特性を評価した。そ
の結果、実施例4の成形品(ガラス繊維含有率24重量
%)の曲げ強度は12kgf/mm2 、比較例12の成
形品(ガラス繊維含有率1重量%)の曲げ強度は2.5
kgf/mm2 、比較例4で得られた成形品(ガラス繊
維含有量21重量%)の曲げ強度は8.3kgf/mm
2 であった。
【0091】
【表3】
【0092】表3から明らかなように、加熱流動化剤を
配合していない成形材料2−1を用いた比較例1では、
成形材料の成形時の流動性が低いためか、充填率が61
%と低く、巣穴の発生も認められた。
【0093】また、重合禁止剤を含有していない成形材
料2−2を用いた比較例2においては、SMCの貯蔵安
定性が十分でなく、充填率も95%であった。また、成
形材料2−3を用いた比較例3では、加熱流動化剤とし
てはオクチルアルコールを用いたためか、常温下におけ
るSMCのべたつきが見られ、SMC取扱い性が低く、
かつ得られた成形品においても多くの巣穴が発生してい
た。
【0094】同様に、材料2−4を用いた比較例4にお
いも、加熱流動化剤としてのステアリン酸アミドの配合
割合が30重量部と多すぎるためか、SMC取扱い性が
低く、かつ得られた成形品において多くの巣穴が見られ
た。
【0095】材料2−5を用いた比較例5では、重合禁
止剤としてBHTを用いているためか、貯蔵安定性が低
く、かつ温水浸漬後の成形品において白化が認められ
た。材料2−7を用いた比較例7では、炭酸カルシウム
添加量が30重量部と少なすぎるためか、成形材料の粘
度が低く、SMC取扱い性が低下しており、かつ得られ
た成形品において多くの巣が認められた。
【0096】材料2−8を用いた比較例8では、逆に炭
酸カルシウム配合割合が380重量部と多すぎたため
か、成形に際しての流動性が十分でなく、充填率が56
%と低く、巣穴の発生も認められた。
【0097】材料1−1を用いた比較例9では、成形温
度が40℃と低かったためか、充填率が75%と低かっ
た。また、材料1−1を用いた比較例10では、成形圧
力が1kg/cm2 であるためか、やはり充填率が低か
った。
【0098】材料2−9を用いた比較例11では、ガラ
ス繊維含有量が60重量%と高すぎるためか、やはり成
形時の流動性が低く、充填率が72%であり、かつ得ら
れた成形品表面に巣穴の発生が認められた。
【0099】また、材料2−10を用いた比較例12で
は、ガラス繊維含有量が1重量%と低すぎるためか、得
られた成形品において巣穴が発生していた。また、材料
2−11を用いた比較例13では、炭酸カルシウムに代
えて、粒径が大きすぎる(粒径450μm)のケイ砂1
00重量部を配合したためか、成形時の流動性が十分で
なく充填率が80%であった。
【0100】これに対して、実施例1〜9では、使用し
た成形材料1−1〜1−8がSMC取扱い性及び貯蔵安
定性のいずれにおいても優れており、かつ表3に示した
成形温度及び成形圧力下おいて十分な流動性を示したた
めか、充填率が100%であった。加えて、得られた成
形品において巣穴の発生が認められず、温水浸漬試験に
おいても着色が認められなかった。
【0101】
【発明の効果】請求項1に記載の発明の不飽和ポリエス
テル樹脂組成物では、上記不飽和ポリエステル樹脂10
0重量部に対し、上記特定の融点の加熱流動化剤0.1
〜20重量部、パラベンゾキノンまたはハイドロキノン
からなる重合禁止剤0.005〜0.2重量部、及び平
均粒径0.1〜100μmの無機充填剤を50〜350
重量部を含有する組成物に、ガラス強化繊維含有量が2
〜50重量%の範囲となるように、強化繊維が加えられ
ているため、成形前の取扱い性を低下させることなく、
比較的低温・低圧下における圧縮成形に際しての成形材
料の流動性が効果的に高められるとともに、巣やピンホ
ールが少なく、かつ温水や熱水浸漬後の着色が生じ難い
外観特性に優れた成形品を提供することが可能となる。
【0102】また、請求項2に記載の発明では、上記請
求項1に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物を用い、
60〜120℃の温度で、2〜30kg/cm2 の圧力
下おいて圧縮成形しているため、巣やピンホールがな
く、かつ温水や熱水に浸漬した後の着色が生じ難い成形
品を確実に提供することが可能となる。
【0103】従って、本発明により得られる成形品で
は、巣やピンホールが生じ難く、耐温水もしくは耐熱水
性に優れているため、水回り製品などの温水や熱水に接
触される製品や外観特性が強く要求される製品に好適に
用いることができる。
【0104】また、本発明によれば、上記のように従来
法に比べて低い温度条件及び圧力条件下において、外観
特性に優れた成形品を圧縮成形し得るため、圧縮成形に
必要な投資額を軽減することができ、従って、成形品の
多品種化や大型化にも少ない設備投資額で対応すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 7/02 KKF C08K 7/02 KKF // C08F 299/04 MRZ C08F 299/04 MRZ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和ポリエステル樹脂100重量部、 平均粒径0.1〜100μmの無機充填材50〜350
    重量部、 融点40〜150℃の加熱流動化剤0.1〜20重量部
    及びパラベンゾキノンまたはハイドロキノンから選択さ
    れる重合禁止剤0.005〜0.2重量部を含む組成物
    に強化繊維を加えてなり、強化繊維含有量が2〜50重
    量%とされていることを特徴とする不飽和ポリエステル
    樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の不飽和ポリエステル樹
    脂組成物を、成形温度60℃〜120℃、成形圧力2〜
    30kg/cm2 で圧縮成形することを特徴とする不飽
    和ポリエステル樹脂成形体の製造方法。
JP28323695A 1995-10-31 1995-10-31 不飽和ポリエステル樹脂組成物及び不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法 Withdrawn JPH09124915A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28323695A JPH09124915A (ja) 1995-10-31 1995-10-31 不飽和ポリエステル樹脂組成物及び不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28323695A JPH09124915A (ja) 1995-10-31 1995-10-31 不飽和ポリエステル樹脂組成物及び不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09124915A true JPH09124915A (ja) 1997-05-13

Family

ID=17662858

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28323695A Withdrawn JPH09124915A (ja) 1995-10-31 1995-10-31 不飽和ポリエステル樹脂組成物及び不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09124915A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR19990007951A (ko) 불포화 폴리에스테르수지 조성물 및 시트상 성형재료
JPH09124915A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物及び不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法
JP3435424B2 (ja) 不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法
JPH107895A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物及び不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法
JPH1095909A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物及び不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法
JP3435425B2 (ja) 繊維強化樹脂組成物及び繊維強化樹脂成形体の製造方法
JPH10182958A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物及び不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法
JP2002212408A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物
JPH10182959A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物及び不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法
JPH08217967A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物及び不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法
JPH08176313A (ja) シートモールディングコンパウンド及びsmc成形品
JPH10237289A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物の製造方法
JPH09123294A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法
JPH10245479A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物の製造方法
JP3074717B2 (ja) 樹脂組成物、これを用いた塗料及び成形材料
JPH09194708A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物及び不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法
JP3743154B2 (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物及び成形材料
JPH10152608A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物及び不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法
JPH11172092A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物
JPH0957774A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物の製造方法
JPH0841307A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物及び不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法
JP2000086878A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物、繊維強化成形材料及びシート状成形材料の製造法
JPH09118816A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂成形材料の製造方法
JPH09176411A (ja) 低収縮性不飽和ポリエステル樹脂組成物
JPH09194544A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物及び不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A761 Written withdrawal of application

Effective date: 20040319

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761