JPH0841307A - 不飽和ポリエステル樹脂組成物及び不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

不飽和ポリエステル樹脂組成物及び不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法

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JPH0841307A
JPH0841307A JP12521895A JP12521895A JPH0841307A JP H0841307 A JPH0841307 A JP H0841307A JP 12521895 A JP12521895 A JP 12521895A JP 12521895 A JP12521895 A JP 12521895A JP H0841307 A JPH0841307 A JP H0841307A
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unsaturated polyester
polyester resin
fatty acid
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JP12521895A
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Inventor
Makoto Yamaguchi
真 山口
Koji Matsumoto
晃治 松本
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 作業性に優れ、かつ低温、低圧でも、流動性
に優れ、良好な外観特性を有する成形品を製造する。 【構成】 不飽和ポリエステル樹脂100重量部に対し
て、融点40℃〜120℃の一価の脂肪族アルコール、
ソルビタン脂肪酸エステルまたはグリセリン脂肪酸エス
テル、0.1〜20重量部、及び粉粒状無機充填材50
〜350重量部を含有させ、該組成物に強化繊維を加え
て強化繊維含有量を2〜40重量%とした組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、不飽和ポリエステル樹
脂組成物及びこの組成物を用いた不飽和ポリエステル樹
脂成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】不飽和ポリエステル樹脂に充填剤、硬化
剤、離型剤、顔料、増粘剤等を加えた樹脂組成物をガラ
ス繊維等の強化用繊維物質に含浸し、シート状あるいは
バルク状に形成した不飽和ポリエステル樹脂成形材料
は、シートモールディング・コンパウンド(SMC)、
バルクモールディング・コンパウンド(BMC)などと
呼ばれ、主に圧縮成形されて、住宅設備、工業部品、自
動車部品等に広く用いられている。
【0003】これらの成形材料は、加熱下、圧縮成形さ
れることが多く、従来、圧縮成形温度は120〜160
℃程度、圧縮成形圧力は80〜100kg/cm2 程度
の高圧で成形されていた。しかし、圧縮成形法におい
て、適用製品を拡大(大型化、多品種化)しようとする
と、大型成形機の確保、高額な金型投資等のために、費
用負担が非常に大きくなるという問題があった。従っ
て、より低温、低圧で圧縮成形できれば、上記費用負担
を低減することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、低温、
低圧で圧縮成形しようとすると、欠肉したり、巣、ピン
ホールが成形品表面に生じ易いという欠点が生じる。
巣、ピンホールは、成形品の外観を損なう上に力学特
性、耐久性にも悪影響を及ぼす。
【0005】そこで、特公昭60−16471号公報に
開示されているように、低圧下における流動性を高める
ために、増粘剤として、水酸化カルシウムを用い、成形
時の成形材料の粘度を従来より低くする試みがなされて
いる。しかしながら、この方法では、成形材料にべたつ
きがあるため、成形材料を覆うポリエチレンフィルム等
の剥離フィルムの剥離性、カッティング等の作業性が低
下する欠点がある。また、巣、ピンホールが成形品表面
に生じ易いという難点もある。
【0006】また、市販されている粘度低下剤(例え
ば、ビックケミー社製、BYK−W995や竹本油脂社
製、スーパーダインV−203)を加える方法も考えら
れるが、増粘後の粘度を低下させやすく、作業性が低下
する。また、熱水浸漬後、変色しやすくなるため、SM
Cの大きな用途分野である水まわり製品への適用が不可
能となる。
【0007】本発明の目的は、取扱いに際しての作業性
に優れ、かつ低温、低圧下においても、流動性に優れ、
良好な外観特性を有する成形品を容易に得ることを可能
とする不飽和ポリエステル樹脂組成物及び成形品の製造
方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、不飽和ポリエステル樹脂100重量部に対して、融
点40〜100℃の一価の脂肪族アルコール0.1〜2
0重量部及び粉粒状無機充填材50〜350重量部を含
有する組成物に強化繊維を加え、強化繊維の含有量を2
〜40重量%としたことを特徴とする不飽和ポリエステ
ル樹脂組成物である。
【0009】請求項2に記載の発明は、不飽和ポリエス
テル樹脂100重量部に対して、融点40〜100℃の
ソルビタン脂肪酸エステルまたはグリセリン脂肪酸エス
テルを0.1〜20重量部並びに粉粒状無機充填材50
〜350重量部を含有する組成物に強化繊維を加え、強
化繊維の含有量を2〜40重量%とした不飽和ポリエス
テル樹脂組成物である。
【0010】請求項3に記載の発明は、上記請求項1ま
たは2に記載の発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物の
成形体を製造する方法に関するものであり、請求項1ま
たは2に記載の発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物
を、成形温度60℃〜120℃、成形圧力2〜30kg
/cm2 で圧縮成形することを特徴としている。
【0011】請求項4に記載の発明は、不飽和ポリエス
テル樹脂100重量部に対して、融点40℃〜120℃
の高級アルコール高級脂肪酸エステル0.1〜10重量
部、融点40℃〜100℃の一価の脂肪族アルコール
0.1〜10重量部及び平均粒子径0.1〜100μm
の無機充填材微細粒子を50〜350重量部含有する組
成物に強化繊維を加え、強化繊維含有量2〜40重量%
とした不飽和ポリエステル樹脂組成物である。
【0012】請求項5に記載の発明は、不飽和ポリエス
テル樹脂100重量部に対して、融点40℃〜120℃
のネオペンチル系ポリオール脂肪酸エステル0.1〜1
0重量部、融点40℃〜100℃の一価の脂肪族アルコ
ール0.1〜10重量部及び平均粒子径0.1〜100
μmの無機充填材微細粒子を50〜350重量部含有す
る組成物に強化繊維を加え、強化繊維含有量2〜40重
量%とした不飽和ポリエステル樹脂組成物である。
【0013】請求項6に記載の発明は、上記請求項4ま
たは5に記載の発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物の
成形体を製造する方法に関するものであり、請求項4ま
たは5に記載の発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物
を、成形温度60℃〜120℃、成形圧力2〜30kg
/cm2 で圧縮成形することを特徴としている。
【0014】以下、請求項1〜6に記載の発明について
詳細に説明する。なお、請求項1〜6に記載の発明に共
通の説明については、「本発明」として説明する。本発
明に用いられる不飽和ポリエステル樹脂組成物は、通
常、さらに、硬化剤、離型剤、増粘剤、顔料等を含
む。、ポリエチレンフィルム等の剥離フィルムで覆っ
て、通常、半日〜2日間、30℃〜50℃の条件下にお
いて熟成して増粘し、半固形状とされる。
【0015】この不飽和ポリエステル樹脂組成物はポリ
エチレンフィルム等の剥離フィルムで覆って、また、次
に、目的に応じて、シート状及びバルク状に形成され
る。本発明において用いる不飽和ポリエステル樹脂とし
ては、不飽和二塩基酸と、グリコールと、必要に応じて
飽和二塩基酸とを重縮合せしめた不飽和ポリエステル
と、重合性単量体及び必要により添加される低収縮化の
ための熱可塑性樹脂からなる混合物が挙げられる。
【0016】なお、不飽和ポリエステル樹脂100重量
部とは、不飽和ポリエステル重合体成分と、重合性単量
体、及び必要により添加される低収縮化のための熱可塑
性樹脂とを合計した量で100重量部を意味する。
【0017】不飽和二塩基酸としては、無水マレイン
酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等が使用され
る。グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、プロピレン
グリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタン
ジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノール
A、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAのエ
チレンオキサイド付加物、ネオペンチルグリコール等が
使用される。
【0018】飽和二塩基酸としては、無水フタル酸、オ
ルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン
酸、コハク酸、テトラクロロフタル酸、ヘット酸等が使
用される。
【0019】重合性単量体としては、スチレン、ジクロ
ロスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、メタクリル
酸、メタクリル酸エステル、アクリル酸、アクリル酸エ
ステル、フタル酸ジアリル等が使用されるが、スチレン
が好ましく使用される。
【0020】通常、不飽和ポリエステル樹脂に含まれる
重合性単量体の量は、20〜60重量%である。また、
低収縮化のための熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ
スチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリエチレン、ポリε−カプロラクトン、飽和ポリ
エステル、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリスチ
レン−アクリル酸共重合体、ポリスチレン−ポリ酢酸ビ
ニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル−スチレ
ン共重合体等が使用され、価格及び低収縮性付与の点か
らポリスチレンが好ましく用いられる。
【0021】硬化剤としては、ターシャリーブチルパー
オキシイソブチレート、ターシャリーブチルパーオキシ
2−エチルヘキサノエート、ターシャリーアミルパーオ
キシ2−エチルヘキサノエート、2,4,4−トリメチ
ルペンチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ター
シャリー−ブチルパーオキシピバレート、ターシャリー
ブチルパーオキシベンゾエート、ターシャリーブチルパ
ーオキシイソプロピルカーボネート、ターシャリーブチ
ルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、
1,1−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン、ベンゾイルパーオ
キサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメン
ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物が使用され
る。
【0022】離型剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステ
アリン酸カルシウム等が使用される。増粘剤としては、
酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウ
ム、酸化亜鉛等が使用される。
【0023】本発明において用いる粉粒状無機充填材と
しては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カ
ルシウム、ガラス粉末、タルク、マイカ等が使用され
る。添加量は、単独使用であっても、併用使用であって
も不飽和ポリエステル樹脂100重量部に対して、50
〜350重量部の範囲である。好ましくは、60〜30
0重量部の範囲である。50重量部より少ないと、成形
前の材料の取扱い性が低下する。また、350重量部よ
り多いと、粘度が大幅に上昇し、成形加工時の流動性が
低下するとともに、強化繊維との含浸性が低下し、材料
内部にエアーを混入し易くなり、成形品に巣が入り易
い。
【0024】請求項1〜3の発明において、上記粉粒状
無機充填材の好ましい粒径は、0.1〜200μmであ
り、より好ましくは0.1〜100μmである。無機充
填材の粒径が0.1μmよりも小さいと、組成物の粘度
が大きくなり、強化繊維に充分含浸しないことがあり、
材料内部にエアーを混入し易くなり、成形品に巣が入る
ことがある。他方、200μmより大きいと、無機充填
剤粒子の比表面積が小さくなり、成形に際しての流動化
調整剤として配合されている一価の脂肪族アルコール、
ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル
などを添加した効果が表れにくくなるからである。
【0025】他方、請求項4〜6に記載の発明では、上
記粉粒状無機充填剤の粒径は、0.1〜100μm、好
ましくは0.5〜60μmとされる。0.1μmよりも
小さくなると、組成物の粘度が高くなり、強化繊維に充
分含浸せず、材料内部にエアーを混入し易くなり、成形
品に巣が入り易くなる。他方、100μmより大きくな
ると、粒子の比表面積が小さくなり、高級アルコール高
級脂肪酸エステル及び一価の脂肪族アルコールを添加し
た効果、あるいはネオペンチル系ポリオール脂肪酸エス
テル及び一価の脂肪族アルコールを添加したことによる
効果が得にくくなり、成形時の流動性が低下するからで
ある。
【0026】本発明において用いる強化繊維としては、
ガラス繊維、炭素繊維、石綿繊維、ホイスカー、有機合
成繊維、天然繊維等が使用される。好ましくは、物性、
価格面でガラス繊維が用いられる。一定長さ、または連
続した繊維をそのまま使用する場合の他に、マット状や
クロス状のものも使用される。例えば、ガラス繊維の場
合、ストランドを一定長さに切断したチョップドストラ
ンド、チョップドストランドをバインダーで接着しマッ
ト状にしたチョップドストランドマット等が使用され
る。一定長さの繊維としては、通常、1〜80mmのも
のが使用される。1mmより短いと補強効果がなく、8
0mmより長いと、粘度が上昇して成形性が悪くなる場
合がある。また、不飽和ポリエステル樹脂組成物中の繊
維の方向性は、ランダムにしたものの他に、一方向に並
べたもの、X字状に並べたもの等、任意である。
【0027】また、強化繊維の量は、強化繊維を含む不
飽和ポリエステル樹脂組成物全体に対して、2〜40重
量%の範囲で混合される。好ましくは、5〜35重量%
の範囲である。2重量%より少ないと、成形前の材料の
取扱い性が低下するとともに、補強効果がなく成形品に
割れ、曲がりを生じ易い。40重量%より多いと、粘度
が上昇して成形時の流動性が悪くなる。
【0028】請求項1,4,5の発明に使用される一価
の脂肪族アルコールとは、飽和または不飽和の脂肪族炭
化水素の1つの水素が水酸基で置換されている化合物
で、融点40〜100℃のものであり、好ましくは、炭
素数10〜26の脂肪族炭化水素の末端炭素に結合した
水素が水酸基で置換されている化合物である。その具体
例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコー
ル、ベヘニルアルコール等が挙げられる。これらは、単
独で用いてもよいし、併用してもよい。
【0029】一価の脂肪族アルコールの融点は、上述の
ように40〜100℃であり、好ましくは50〜80℃
である。融点が、40℃より低いと成形前の材料の取扱
い性が低下し、100℃より高いと成形加工時の流動性
が低下する。
【0030】請求項1の発明では、一価の脂肪族アルコ
ールの含有量は、不飽和ポリエステル樹脂100重量部
に対して、0.1〜20重量部であり、好ましくは、
0.5〜10重量部であり、より好ましくは0.5〜7
重量部である。含有量が、0.1重量部より少ないと、
成形加工時の流動性が低下し、20重量部より多いと、
成形前の材料の取扱い性が低下するからである。
【0031】なお、一価の脂肪族アルコールの含有量が
10重量部を越える場合には、成形条件にもよるが、得
られる成形体の曲げ弾性率が若干低下する傾向があるの
で、この点注意を要する。
【0032】また、請求項4,5に記載の発明において
は、上記一価の脂肪族アルコールの含有量は、不飽和ポ
リエステル樹脂100重量部に対して、0.1〜10重
量部、好ましくは、0.5〜7重量部である。請求項
4,5に記載の発明では、流動化調整剤として一価の脂
肪族アルコール以外に、高級アルコール高級脂肪酸エス
テルまたはネオペンチル系ポリオール脂肪酸エステルが
用いられているため、上記のように一価の脂肪族アルコ
ールの含有量の上限が10重量部とされている。請求項
4,5の発明において、一価の脂肪族アルコールの含有
量が0.1重量部より少ないと、成形加工時の流動性が
低下し、10重量部より多いと、成形前の材料の取扱い
性が低下する。
【0033】請求項2の発明に使用されるソルビタン脂
肪酸エステルとは、6価のアルコールであるソルビット
(分子式C6 146 )を脂肪酸でエステル化した構造
を有するもので、融点40〜100℃のものであり、好
ましくは、炭素数8〜26の脂肪酸でエステル化したも
のである。その具体例としては、ソルビタンパルミテー
ト、ソルビタンステアレート、ソルビタントリステアレ
ート、ソルビタンベヘネート、ソルビタントリベヘネー
ト等が挙げられる。
【0034】請求項2の発明に使用されるグリセリン脂
肪酸エステルとは、3価のアルコールであるグリセリン
を脂肪酸でエステル化した構造を有するもので、融点4
0〜100℃のものであり、好ましくは、炭素数8〜2
6の脂肪酸でエステル化したものである。その具体例と
しては、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノ
ステアレート、グリセリンモノオレート、グリセリンモ
ノベヘネート、グリセリンモノ12−ヒドロキシステア
レート、グリセリンモノカプレート、グリセリンモノラ
ウレート、グリセリンモノ・ジパルミテート、グリセリ
ンモノ・ジステアレート、グリセリンジトリステアレー
ト、グリセリンモノジオレート、グリセリンモノ・ジベ
ヘネート、グリセリンモノ・ジ12−ヒドロキシステア
レート等が挙げられる。
【0035】ソルビタン脂肪酸エステルまたはグリセリ
ン脂肪酸エステルの融点は、上述のように、40〜10
0℃であり、好ましくは50〜80℃である。融点が、
40℃より低いと成形前の材料の取扱い性が低下し、1
00℃より高いと成形加工時の流動性が低下するからで
ある。
【0036】請求項2の発明において、ソルビタン脂肪
酸エステルまたはグリセリン脂肪酸エステルの含有量
は、不飽和ポリエチレン樹脂100重量部に対して、
0.1〜20重量部であり、好ましくは、0.5〜10
重量部、より好ましくは0.5〜7重量部である。含有
量が、0.1重量部より少ないと、成形前の材料の取扱
い性が低下し、20重量部より多いと、成形加工時の流
動性が低下する。なお、両エステルの含有量がそれぞれ
10重量部を越える場合は、成形条件にもよるが、得ら
れる成形体の曲げ弾性率が若干低下する傾向があるの
で、この点は注意を要する。
【0037】場合によりソルビタン脂肪酸エステル及び
グリセリン脂肪酸エステルを併用する際は、両者の合計
で不飽和ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.
1〜20重量部、好ましくは、0.5〜10重量部の割
合で配合される。
【0038】請求項4に記載の発明で、一価の脂肪族ア
ルコールと併用される高級アルコール高級脂肪酸エステ
ルとは、高級アルコールを高級脂肪酸でエステル化した
ものである。
【0039】高級アルコールとしては、炭素数10〜3
6の脂肪族炭化水素の末端炭素に結合した水素を水酸基
で置換した化合物が挙げられ、脂肪族炭化水素として
は、飽和炭化水素、不飽和炭化水素のいずれでもよく、
また、分岐状、直鎖状のいずれでもよいが、好ましく
は、直鎖状の飽和炭化水素が用いられる。
【0040】また、高級脂肪酸としては、炭素数10〜
36(工業上の入手安定性の面から特に10〜25がよ
り好ましい)の脂肪族炭化水素の末端炭素に結合した水
素をカルボキシル基で置換した化合物が挙げられ、脂肪
族炭化水素としては、飽和炭化水素、不飽和炭化水素の
いずれでもよく、また、分岐状、直鎖状のいずれでもよ
いが、好ましくは、直鎖状の飽和炭化水素が用いられ
る。
【0041】通常、高級アルコール、高級脂肪族とも一
価の化合物であり、これらを構成成分とするモノエステ
ル化合物が好ましく用いられる。具体例としては、ステ
アリルステアレート、ベヘニルベヘネート、セチルミリ
ステート等が挙げられる。これらは、単独で用いられる
場合の他に、併用して用いることもできる。
【0042】高級アルコール高級脂肪酸エステルの融点
は40℃〜120℃である。好ましくは50℃〜100
℃である。40℃より低いと成形前の材料の取扱い性が
低下し、また、120℃より高いと成形加工時の流動性
が低下する。
【0043】請求項4に記載の発明においては、上記高
級アルコール高級脂肪酸エステルと、上記一価の脂肪族
アルコールとが併用される。一価の脂肪族アルコールに
ついては、請求項1に記載の発明で用いられるものと同
様のものが用いられる。
【0044】高級アルコール高級脂肪酸エステルは、不
飽和ポリエステル樹脂100重量部に対し、0.1〜1
0重量部、好ましくは0.5〜7重量部の範囲で配合さ
れる。また、一価の脂肪族アルコールは、不飽和ポリエ
ステル樹脂100重量部に対し、0.1〜10重量部、
好ましくは0.5〜7重量部の範囲で配合される。
【0045】高級アルコール高級脂肪酸エステルまたは
一価の脂肪族アルコールの配合割合が0.1重量部より
少ない場合には、これらを添加したことによる効果が充
分に得られず、成形加工時の流動性が低下する。また、
上記高級アルコール高級脂肪酸エステルまたは脂肪族ア
ルコールの配合割合が10重量部を超えると、成形品表
面に、巣やピンホールが発生し易くなる。
【0046】請求項5に記載の発明で、一価の脂肪族ア
ルコールと併用されるネオペンチル系ポリオール脂肪酸
エステルとしては、例えばネオペンチルグリコール(別
名2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール)、ネ
オペンチルトリオール(別名2−ヒドロキシメチル−2
−メチル−1,3−プロパンジオール)、ネオペンチル
テトラオール(別名ペンタエリスリトール)のいずれか
のネオペンチルポリオールを脂肪酸でエステル化したも
ので、融点40℃〜120℃のものが挙げられる。ま
た、これらのネオペンチルポリオールがエーテル結合で
つながった2量体をポリオール成分として用いてもよ
い。また、ネオペンチルポリオールの2つ以上の水酸基
をエステル化したものが好ましく用いられる。
【0047】なお、ネオペンチルポリオールには、上記
のように、グリコールタイプ、トリオールタイプ、テト
ラオールタイプのものがあり、これらのものの2量体
は、例えば、以下のようにして2量化によりエーテル結
合が形成されたものである。
【0048】
【化1】
【0049】これらのようなネオペンチルポリオールと
脂肪酸のエステル化によりネオペンチル系ポリオール脂
肪酸エステルが製造される。上記脂肪酸としては、好ま
しくは、炭素数10〜36(工業上の入手安定性の面か
ら特に10〜25がより好ましい)の脂肪族炭化水素の
末端炭素に結合した水素をカルボキシル基で置換した化
合物が用いられ、脂肪族炭化水素としては、飽和炭化水
素、不飽和炭化水素のいずれでもよく、また、分岐状、
直鎖状のいずれでもよいが、好ましくは、直鎖状の飽和
炭化水素が用いられる。
【0050】好ましくは、ペンタエリスリトールの脂肪
酸エステルまたは、ジペンタエリスリトールの脂肪酸エ
ステルが用いられる。具体例としては、ペンタエリスリ
トールのステアリン酸エステル、ペンタエリスリトール
のベヘニン酸エステル、ジペンタエリスリトールのステ
アリン酸エステル、ジペンタエリスリトールのベヘニン
酸エステル等である。
【0051】ネオペンチル系ポリオール脂肪酸エステル
の融点は40℃〜120℃である。好ましくは50℃〜
100℃である。40℃より低いと成形前の材料の取扱
い性が低下し、また、120℃より高いと成形加工時の
流動性が低下する。
【0052】請求項5に記載の発明では、流動化調整剤
として、上記ネオペンチル系ポリオール脂肪酸エステル
と、請求項1に記載の発明で用いられた一価の脂肪族ア
ルコールとが併用される。
【0053】上記ネオペンチル系ポリオール脂肪酸エス
テル及び一価の脂肪族アルコールは、それぞれ、不飽和
ポリエステル樹脂100重量部に対し0.1〜10重量
部の範囲で、好ましくは、0.5〜7重量部の割合で配
合される。ネオペンチル系ポリオール脂肪酸エステルま
たは一価の脂肪族アルコールの配合割合が0.1重量部
未満の場合には、これらを添加した効果が充分に得られ
ず、成形加工時の流動性が低下する。また、10重量部
を超えて配合された場合には、成形品表面に巣やピンホ
ールが発生し易くなる。
【0054】本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物
は、シート状にも、バルク状にも形成されるが、シート
状成形材料(SMC)は、公知の機械を用いて形成され
る。例えば、ポリエチレンフィルム等の離型シートの上
に、ドクターブレードを用いて、均一な厚みに不飽和ポ
リエステル樹脂組成物を塗布し、一方の面を離型シート
で覆い作製することができる。また、強化繊維を加える
場合は、不飽和ポリエステル樹脂組成物を塗布した面に
強化繊維を散布し、ロールを用いて含浸させながらシー
ト状にすることができる。バルク状成形材料(BMC)
は、ニーダー等の混合機で形成される。
【0055】請求項3,6に記載の発明に従えば、上記
不飽和ポリエステル樹脂組成物は、60〜120℃に加
熱された金型内に必要量投入され、圧縮成形される。好
ましくは、80〜110℃である。60℃より低いと、
成形加工時の流動性が低下したり、成形時間が大幅に増
大する。また、120℃より高いと、成形加工時にボイ
ドを巻き込み易く、成形品の表面性が低下する。また、
低コストの型を使うことができない。
【0056】成形圧力は、2〜30kg/cm2 とさ
れ、好ましくは、5〜20kg/cm 2 である。2kg
/cm2 より小さくなると、成形加工時の流動性が低下
する他、重合性単量体の気化を抑えられず、巣が発生し
たり、成形品物性が低下する。また、30kg/cm2
より大きいと、型内での材料の流動速度が増大するた
め、本発明の組成物の有効性が低下する。また、上述し
た設備投資負担を低減することができない。
【0057】請求項1の発明の好ましい例を次にあげ
る。不飽和ポリエステル樹脂100重量部に対して、融
点50〜80℃の一価の脂肪族アルコール0.5〜10
重量部と、粉粒状無機充填材として、平均粒径0.5〜
20μmの炭酸カルシウム、平均粒径0.5〜30μm
の水酸化アルミニウム及び平均粒径0.5〜20μmの
ガラス粉末の1または2以上の合計60〜300重量部
とを含有する組成物に、硬化剤として有機過酸化物0.
2〜2.0重量部、離型剤としてステアリン酸亜鉛2〜
10重量部、及び増粘剤として酸化マグネシウム0.2
〜3重量部を混合し、SMC製造装置またはBMC製造
装置を用い、強化繊維を組成物全体量に対し、5〜35
重量%の範囲となるように添加してなる不飽和ポリエス
テル樹脂組成物が挙げられる。
【0058】また、請求項2の発明の好ましい例を次に
挙げる。不飽和ポリエステル樹脂100重量部に対し
て、融点50〜80℃のソルビタン脂肪酸エステルまた
はグリセリン脂肪酸エステルを0.5〜10重量部、粉
粒状無機充填材として、平均粒径0.5〜20μmの炭
酸カルシウム、平均粒径0.5〜30μmの水酸化アル
ミニウム及び平均粒径0.5〜20μmのガラス粉末の
1または2以上の合計60〜300重量部を含有する組
成物に、硬化剤として有機過酸化物0.2〜2.0重量
部、離型剤としてステアリン酸亜鉛2〜10重量部、増
粘剤として酸化マグネシウム0.2〜3重量部を混合
し、SMC製造装置またはBMC製造装置を用い、強化
繊維を組成物全体量に対し、5〜35重量%の範囲とな
るように添加してなる不飽和ポリエステル樹脂組成物が
挙げられる。
【0059】請求項4に記載の発明における好ましい配
合例では、不飽和ポリエステル樹脂100重量部に対し
て、融点50〜100℃の高級アルコール高級脂肪酸エ
ステル0.5〜7重量部、融点50〜80℃の一価の脂
肪族アルコール0.5〜7重量部、並びに、無機充填剤
として、平均粒径0.5〜20μmの炭酸カルシウム、
平均粒径0.5〜30μmの水酸化アルミニウム及び平
均粒径0.5〜20μmのガラス粉末の1種以上を合計
で60〜300重量部を加える。
【0060】請求項5の発明における好ましい例では、
不飽和ポリエステル樹脂100重量部に対して、融点5
0〜100℃のネオペンチル系ポリオール脂肪酸エステ
ル0.5〜7重量部、融点50℃〜80℃の一価の脂肪
族アルコール0.5〜7重量部、並びに無機充填材とし
て、平均粒径0.5〜20μmの炭酸カルシウム、平均
粒径0.5〜30μmの水酸化アルミニウム及び平均粒
径0.5〜20μmのガラス粉末の1種以上を合計で6
0〜300重量部を加える。
【0061】上記のように2種以上の無機充填材を併用
使用する場合は、合計重量部が60〜300重量部とな
るようにする。請求項4,5の発明の好ましい上記配合
例の組成物においても、成形に際しては、さらに、硬化
剤として有機過酸化物0.2〜3.0重量部、離型剤と
してステアリン酸亜鉛2〜10重量部、増粘剤として酸
化マグネシウムまたは水酸化マグネシウム0.2〜3重
量部を混合し、SMC装置あるいはBMC製造装置を用
いて、強化繊維を組成物全体量に対し、3〜35重量%
の範囲となるように添加する。
【0062】請求項3,6に記載の発明における好まし
い製造例では、80〜110℃に加熱した金型内に上記
不飽和ポリエステル組成物を置き、金型を閉じ、圧力5
〜20kg/cm2 で圧縮成形する。
【0063】
【作用】請求項1の発明では、脂肪族アルコールが、請
求項2の発明ではソルビタン脂肪酸エステルまたはグリ
セリン脂肪酸エステルが、加熱成形時に溶融分散し、主
に無機材−樹脂界面のぬれ性が向上して両者間の抵抗が
減少することに起因して、成形時に大幅な粘度低下が生
じる。従って、成形前の取扱い性を損なうことなく(す
なわち成形前の粘度を大幅に低下させず)、低圧成形時
の流動性を大幅に高めることができると考えられる。ま
た、エアーを効率的に押し出しつつ流動するため、巣及
びピンホールのない成形体が得られる。
【0064】請求項4の発明では、上記高級アルコール
高級脂肪酸エステル及び一価の脂肪族アルコールの双方
が加熱成形時に溶融して分散し、無機材料−樹脂界面の
ぬれ性を高めたり、組成物と成形型との間のすべりを高
めたりすると考えられる。そのため、成形前の取扱い性
を低下させず(すなわち成形前の粘度を大幅に低下させ
ず)、低圧成形時の流動性を大幅に高めることができる
ものと推測される。
【0065】請求項5の発明では、常温で固体状であっ
たネオペンチル系ポリオール脂肪酸エステル及び脂肪族
アルコールが加熱成形時に溶融して分散し、無機材−樹
脂界面のぬれ性を高めたり、組成物と成形型との「すべ
り」を良くしたりすると考えられる。従って、成形前の
取扱い性を低下させず(成形前の粘度を大幅に低下させ
ず)に、低圧成形時の流動性を大幅に高めることができ
るものと推測される。
【0066】また、材料の内圧がかかり易くなるため、
エアーを効率的に押し出しつつ流動し、巣、ピンホール
のない成形品が得られるものと考えられる。加えて、成
形品に所望でない着色が生じ難いので、特に外観性が要
求される製品に好適である。
【0067】請求項3,6に記載の発明の製造方法によ
れば、上記請求項1,2または4,5に記載の発明の不
飽和ポリエステル樹脂組成物の特性を有効に発揮させる
ことができ、成形加工時において適当な流動性を得るこ
とができ、エアーを効率的に押し出しつつ流動させるこ
とができるので、巣やピンホールのない成形品を製造す
ることができる。
【0068】
【実施例】まず、請求項1の発明の実施例を比較例と対
比して以下に説明する。実施例1〜6及び比較例10 フマル酸、イソフタル酸、プロピレングリコールからな
る不飽和ポリエステルとポリスチレンとをスチレン単量
体に溶解した不飽和ポリエステル樹脂100重量部(ス
チレン含有量35重量%)に対し、表2に示す融点を有
する一価の脂肪族アルコール及び炭酸カルシウム(平均
粒径2μm)を表2に示す量、酸化マグネシウム0.8
重量部、有機過酸化物1重量部、パラベンゾキノン0.
03重量部、ステアリン酸亜鉛5重量部を混合した組成
物を、25mmのガラスチョップドストランドに含浸
し、ポリエチレンフィルムで覆ってSMCとした後、4
0℃で1日熟成した。ガラス繊維含有率は表2に示す通
りとした。
【0069】表2中、材料2−1では、脂肪族アルコー
ルを添加しなかった。また、材料2−8では、脂肪族ア
ルコールを添加せず、また、増粘剤として酸化マグネシ
ウムを使わず、代わりに水酸化カルシウムを0.8重量
部混合した。
【0070】なお、使用した脂肪族アルコールにおける
脂肪族炭化水素の炭素数を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】上記SMCを使いプレス機により、平板
(270mm×150mm×厚み2mm)金型で表3に
示す温度及び圧力で圧縮成形した。SMCのチャージ
は、平板金型短辺側の隅に置き、チャージ面積率約11
%とした。
【0073】成形前のSMCの取扱い性の評価として
は、以下の基準で行った。 ○:良好 ×:ポリエチレンフィルムに不飽和ポリエステル組成物
が粘着し易く、フィルム剥がしが困難。
【0074】成形体の評価項目としては、流動性を平板
金型投影面積に対する材料の充填面積率で示し、また、
得られた成形体の表面状態観察(巣、ピンホールの有
無)を行った。
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】なお、実施例3及び比較例5についてのみ
曲げ特性を評価した。実施例3(ガラス繊維含有率24
%)の曲げ強度は、12kgf/mm2 、比較例5(ガ
ラス繊維含有率1.5%)の曲げ強度は、2.5kgf
/mm2 であった。
【0078】請求項2の発明の実施例を比較例と対比し
て以下に説明する。実施例7〜16及び比較例11〜18 フマル酸、イソフタル酸、プロピレングリコールからな
る不飽和ポリエステルとポリスチレンとをスチレン単量
体に溶解した不飽和ポリエステル樹脂100重量部(ス
チレン含有量35重量%)に対し、表5に示す融点を有
するソルビタン脂肪酸エステルまたはグリセリン脂肪酸
エステル及び炭酸カルシウム(平均粒径2μm)を表5
に示す量、酸化マグネシウム0.8重量部、有機過酸化
物1重量部、パラベンゾキノン0.03重量部、ステア
リン酸亜鉛5重量部を混合した組成物を、25mmのガ
ラスチョップドストランドに含浸し、ポリエチレンフィ
ルムで覆ってSMCとした後、40℃で1日熟成した。
ガラス繊維含有率は表5に示す通りとした。
【0079】表5中の材料3−1では、脂肪酸エステル
を添加しなかった。材料3−8では、脂肪酸エステルを
添加せず、また、増粘剤として酸化マグネシウムを使わ
ず、代わりに水酸化カルシウムを0.8重量部混合し
た。
【0080】なお、使用した脂肪酸エステルにおける脂
肪酸の炭素数を表4に示す。
【0081】
【表4】
【0082】上記SMCを使いプレス機により、上記平
板金型で表6に示す温度及び圧力で圧縮成形した。チャ
ージ及び成形前のSMCの取扱い成形体の評価は、実施
例1〜6の場合と同様とした。
【0083】
【表5】
【0084】
【表6】
【0085】次に、請求項4に記載の発明の実施例を比
較例と対比して説明する。実施例21〜26及び比較例21〜36 フマル酸、イソフタル酸、プロピレングリコールからな
る不飽和ポリエステルとポリスチレンとをスチレン単量
体に溶解した不飽和ポリエステル樹脂100重量部(ス
チレン含有量35重量%)に、表7に示す融点を有し、
表8に示す量の高級アルコール高級脂肪酸エステル及び
一価の脂肪族アルコールと、表8に示す量の炭酸カルシ
ウム(平均粒径2μm)、酸化マグネシウム0.7重量
部、有機過酸化物1重量部、ハイドロキノン0.03重
量部、並びにステアリン酸亜鉛5重量部とを混合した組
成物を、25mmのガラスチョップドストランドに含浸
し、ポリエチレンフィルムで覆ってSMCとした。40
℃で1日熟成した。ガラス繊維含有率は表8に示す通り
とした。
【0086】なお、材料6−1では、高級アルコール高
級脂肪酸エステル及び脂肪族アルコールを添加しなかっ
た。表8中、材料6−8では、高級アルコール高級脂肪
酸エステル及び脂肪族アルコールを添加せず、また、増
粘剤として酸化マグネシウムを使わず、酸化カルシウム
を1.8重量部混合した。
【0087】材料6−13では、炭酸カルシウムの代わ
りに、ケイ砂(平均粒径450μm)を100重量部加
えた。なお、使用した高級アルコール高級脂肪酸エステ
ル及び脂肪族アルコールの種類、融点の他、脂肪酸及び
アルコール成分の炭素数を表7に示す。
【0088】
【表7】
【0089】上記のようにして得られたSMCを、プレ
ス機にて、平板(350mm×150mm×厚み4m
m)金型で表9に示す温度、圧力にて圧縮成形した。チ
ャージは、平板金型短辺側の隅に置き、チャージ面積率
約11%とした。
【0090】成形前のSMCの取扱い性の評価として
は、以下の基準で行った。 ○:良好 ×:ポリエチレンフィルムに不飽和ポリエステル組成物
が粘着し易く、フィルム剥がしが困難。
【0091】成形品の評価項目としては、流動性を平板
金型投影面積に対する材料の投影充填面積率で示し、ま
た、得られた成形品の巣穴(巣穴とは、成形品表面に表
れた大きさ1mm以上の穴をいう)、及び80℃熱水に
500時間片面浸漬した後の着色性(白化度)を目視評
価した。巣穴の評価基準としては、以下の通りとした。
【0092】A:巣穴なし B:1〜3mm未満の巣穴が3個未満 C:1〜3mm未満の巣穴が3個以上、または3mm以
上の巣穴がある。
【0093】なお、実施例23及び比較例35の曲げ特
性を評価したところ、実施例23(ガラス繊維含有率2
4%)の曲げ強度は、12kgf/mm2 、比較例35
(ガラス繊維含有率1%)の曲げ強度は、2.5kgf
/mm2 であった。
【0094】
【表8】
【0095】
【表9】
【0096】次に、請求項5に記載の発明の実施例及び
比較例を説明する。実施例41〜46及び比較例41〜56 フマル酸、イソフタル酸、プロピレングリコールからな
る不飽和ポリエステルとポリスチレンとをスチレン単量
体に溶解した不飽和ポリエステル樹脂100重量部(ス
チレン含有量35重量%)に、表10に示す融点を有
し、表11に示す量のネオペンチル系ポリオール脂肪酸
エステル及び一価の脂肪族アルコールと、表11に示す
量の炭酸カルシウム(平均粒径2μm)、酸化マグネシ
ウム0.7重量部、有機過酸化物1重量部、ハイドロキ
ノン0.03重量部、並びにステアリン酸亜鉛5重量部
とを混合した組成物を、25mmのガラスチョップドス
トランドに含浸し、ポリエチレンフィルムで覆ってSM
Cとした。40℃で1日熟成した。ガラス繊維含有率は
表11に示す通りとした。
【0097】なお、表11中、材料8−1では、ネオペ
ンチル系ポリオール脂肪酸エステル及び脂肪族アルコー
ルを添加しなかった。材料8−8では、ネオペンチル系
ポリオール脂肪酸エステル及び脂肪族アルコールを添加
せず、また、増粘剤として酸化マグネシウムを使わず、
酸化カルシウムを1.8重量部混合した。
【0098】材料8−13では、炭酸カルシウムの代わ
りに、ケイ砂(平均粒径450μm)を100重量部加
えた。なお、使用したネオペンチル系ポリオール脂肪酸
エステル及び脂肪族アルコールの種類、融点の他、脂肪
酸、脂肪族炭化水素の炭素数、脂肪酸エステルのエステ
ル結合数等を表10に示す。
【0099】
【表10】
【0100】実施例21〜36の場合と同様にして成形
品を得て評価した。結果を成形条件とともに表12に示
した。なお、実施例43及び比較例55の曲げ特性を評
価したところ、実施例43(ガラス繊維含有率24%)
の曲げ強度は、12kgf/mm2 、比較例55(ガラ
ス繊維含有率1%)の曲げ強度は、2.5kgf/mm
2 であった。
【0101】
【表11】
【0102】
【表12】
【0103】
【発明の効果】以上のように、請求項1及び2に記載の
発明にかかる不飽和ポリエステル樹脂組成物では、上記
特定の組成を有するため、成形前においては充分な粘度
を有するため成形前の取扱い性が損なわれることがな
い。また、加熱成形に際しては、上記特定の一価の脂肪
族アルコール、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン
脂肪酸エステルが、上記特定の割合で配合されているた
め、大幅に粘度が低下する。従って、低圧成形時の流動
性が大幅に高められてエアーを効率的に押し出しながら
流動するため、巣やピンホールのない外観に優れた成形
品を用意に得ることが可能となる。
【0104】また、請求項3に記載の発明にかかる不飽
和ポリエステル樹脂成形体の製造方法では、上記請求項
1及び2に記載の発明にかかる不飽和ポリエステル樹脂
組成物を用い、上記特定の条件で圧縮成形するため、請
求項1及び3に記載の発明の不飽和ポリエステル樹脂組
成物の特性を有効に発揮させることができ、従って、巣
やピンホールのない成形品を容易に提供することが可能
となる。
【0105】請求項4,5に記載の不飽和ポリエステル
樹脂組成物は、上記特定の組成を有するため、成形前に
は充分な粘度を有し、従って、成形前の取扱い性が損な
われることがない。しかも、加熱成形に際しては、上記
特定の割合で配合されている特定の高級アルコール高級
脂肪酸エステル、一価の脂肪族アルコール、ネオペンチ
ル系ポリオール脂肪酸エステルの作用により低圧成形時
の流動性が大幅に高められる。従って、エアーを効率的
に押し出しながら流動するため、巣やピンホールのない
成形品を確実に得ることが可能となる。
【0106】さらに、請求項6に記載の発明では、上記
請求項4,5に記載の発明にかかる不飽和ポリエステル
樹脂組成物を用い、上記特定の条件で圧縮成形が行われ
るため、請求項4,5に記載の発明の樹脂組成物の特徴
を発揮して、巣やピンホールのない成形品を確実に提供
することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 7/02 // B29K 67:00 105:06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和ポリエステル樹脂100重量部に
    対して、融点40〜100℃の一価の脂肪族アルコール
    0.1〜20重量部及び粉粒状無機充填材50〜350
    重量部を含有する組成物に強化繊維を加え、強化繊維の
    含有量を2〜40重量%としたことを特徴とする不飽和
    ポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 不飽和ポリエステル樹脂100重量部に
    対して、融点40〜100℃のソルビタン脂肪酸エステ
    ルまたはグリセリン脂肪酸エステルを0.1〜20重量
    部並びに粉粒状無機充填材50〜350重量部を含有す
    る組成物に強化繊維を加え、強化繊維の含有量を2〜4
    0重量%としたことを特徴とする不飽和ポリエステル樹
    脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の不飽和ポリエ
    ステル樹脂組成物を成形温度60℃〜120℃、成形圧
    力2〜30kg/cm2 で圧縮成形することを特徴とす
    る不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法。
  4. 【請求項4】 不飽和ポリエステル樹脂100重量部に
    対して、融点40℃〜120℃の高級アルコール高級脂
    肪酸エステル0.1〜10重量部、融点40℃〜100
    ℃の一価の脂肪族アルコール0.1〜10重量部及び平
    均粒径0.1〜100μmの粉粒状無機充填材50〜3
    50重量部を含有する組成物に強化繊維を加え、強化繊
    維含有量を2〜40重量%としたことを特徴とする不飽
    和ポリエステル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 不飽和ポリエステル樹脂100重量部に
    対して、融点40℃〜120℃のネオペンチル系ポリオ
    ール脂肪酸エステル0.1〜10重量部、融点40℃〜
    100℃の一価の脂肪族アルコール0.1〜10重量部
    及び平均粒径0.1〜100μmの粉粒状無機充填材5
    0〜350重量部を含有する組成物に強化繊維を加え、
    強化繊維含有量を2〜40重量%としたことを特徴とす
    る不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項4または5に記載の不飽和ポリエ
    ステル樹脂組成物を成形温度60℃〜120℃、成形圧
    力2〜30kg/cm2 で圧縮成形することを特徴とす
    る不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法。
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