JPH09123294A - 不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法

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JPH09123294A
JPH09123294A JP7281989A JP28198995A JPH09123294A JP H09123294 A JPH09123294 A JP H09123294A JP 7281989 A JP7281989 A JP 7281989A JP 28198995 A JP28198995 A JP 28198995A JP H09123294 A JPH09123294 A JP H09123294A
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JP
Japan
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molding
polyester resin
unsaturated polyester
melting point
fatty acid
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JP7281989A
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Inventor
Makoto Yamaguchi
真 山口
Takeshi Muranaka
健 村中
Koji Matsumoto
晃治 松本
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形材料の取扱いが容易であり、低圧条件下
において圧縮成形した場合であっても、均一な力学特性
を有する成形品を安定に得ることを可能とする不飽和ポ
リエステル樹脂成形体の製造方法を得る。 【解決手段】 不飽和ポリエステル樹脂100重量部、
無機充填剤50〜350重量部及び融点40〜150℃
の加熱流動下剤0.1〜20重量部を含む不飽和ポリエ
ステル樹脂成形材料(A)と、強化繊維基材(B)また
は強化繊維よりなる予備成形体(C)とを少なくとも1
つずつ重ねて金型内に配置し、加熱下において2〜30
kg/cm2 の圧力で圧縮成形する不飽和ポリエステル
樹脂成形体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不飽和ポリエステ
ル樹脂成形体の製造方法に関し、特に、作業性に優れた
半固体状の不飽和ポリエステル樹脂成形材料を用いて比
較的低圧で圧縮成形することができる不飽和ポリエステ
ル樹脂成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル樹脂に充填剤、硬化剤、離
型剤、顔料、増粘剤などを加えてなる樹脂組成物をガラ
ス繊維などの強化用繊維物質に含浸し、シート状または
バルク状に形成してなる不飽和ポリエステル樹脂成形材
料は、シートモールディング・コンパウンド(SMC)
またはバルクモールディング・コンパウンド(BMC)
などと称されている。SMCやBMCは、主として圧縮
成形法で成形され、このような方法で得られる成形品
は、住宅設備、工業部品、自動車部品などの種々の分野
に広く用いられている。
【0003】ところで、上記成形材料は、加熱下におい
て圧縮成形されることが多く、従来、120〜160℃
の温度で、80〜100kg/cm2 の圧力下で成形さ
れていることが多い。しかしながら、圧縮成形法におい
て、適用製品の拡大を図ろうとすると、すなわち適用製
品の大型化や多品種化を図ろうとすると、大型の成形機
や様々な金型を用意しなければならず、コストが非常に
高くつくことになる。
【0004】他方、上記成形材料の圧縮成形に際して
は、80〜100kg/cm2 の比較的高い圧力で成形
が行われている。従って、より低圧で上記成形材料を圧
縮成形することができれば、成形に必要なコストを低減
することができ、適用製品の拡大に寄与し得る。
【0005】しかしながら、従来の条件に比べて、より
低圧で上記成形材料を圧縮成形すると、欠肉を生じるこ
とがある。そこで、例えば、特公昭60−16471号
公報には、低圧下における流動性を高めるために、水酸
化カルシウムを増粘剤として用いることにより増粘度を
低下させて、低圧下における成形材料の粘度を低くする
ことが試みられている。
【0006】しかしながら、この方法では、成形材料の
流動性を高めるには、成形材料粘度を大幅に低くする必
要があった。そのため、不飽和ポリエステル樹脂組成物
と強化繊維との分離が起こり易くなり、特に、大型や深
しぼり形状の成形品を得ようとした場合には、強化繊維
が成形品内部において不均一に分布し、力学特性が不均
一になることがあるという問題があった。
【0007】他方、強化繊維マット、あるいは強化繊維
からなる予備成形体を、予め金型内に配置し、液状樹脂
を注入する方法、例えば、レジントランスファー法やプ
リフォームマッチドダイ法等が工業的に実施されてい
る。しかしながら、液状樹脂を取り扱う方法であるた
め、作業環境が悪化し易く、充填剤を多く添加すること
ができないため、成形品表面にガラス目が生じ易く、成
形品の外観性状が悪化しがちであるという問題があっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】よって、本発明の目的
は、作業環境を悪化させ難い半固体状の不飽和ポリエス
テル樹脂成形材料を用い、しかも低圧条件下において圧
縮成形することができ、かつ均一な力学特性を有する成
形品を得ることを可能とする不飽和ポリエステル樹脂成
形体の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、不飽和ポリエステル樹脂100重量部、無機充填剤
50〜350重量部、及び融点40〜150℃の加熱流
動化剤0.1〜20重量部を含む不飽和ポリエステル樹
脂成形材料(A)と、強化繊維基材(B)または強化繊
維からなる予備成形体(C)とを少なくとも一層ずつ重
ねて金型内に配置し、加熱下において、成形圧力2〜3
0kg/cm2 で圧縮成形することを特徴とする不飽和
ポリエステル樹脂成形体の製造方法である。
【0010】また、請求項2に記載の発明では、上記加
熱流動化剤として、(a)融点40〜100℃の一価の
脂肪族アルコール、(b)融点40〜100℃のソルビ
タン脂肪酸エステル、(c)融点40〜100℃のグリ
セリン脂肪酸エステル、(d)融点40〜120℃のネ
オペンチル系ポリオール脂肪酸エステル、(e)融点4
0〜120℃の高級アルコール脂肪酸エステル及び
(f)融点80〜150℃の脂肪酸アミドからなる群か
ら選択した少なくとも1種を、合計で0.1〜20重量
部が用いられる。
【0011】なお、本発明において、不飽和ポリエステ
ル樹脂100重量部とは、不飽和ポリエステル重合体成
分と重合性単量体及び必要により添加される低収縮化の
ための熱可塑性樹脂とを合計した樹脂分の合計である。
【0012】以下、本発明の詳細を説明する。本発明で
用いられる不飽和ポリエステル樹脂成形材料(A)と
は、必須成分として、上記不飽和ポリエステル樹脂、融
点40〜150℃の加熱流動化剤、無機充填剤を含み、
必要に応じて、他の成分として、SMCやBMCに通常
用いられている、硬化剤、離型剤、増粘剤、顔料等を含
む組成物からなる。上記不飽和ポリエステル樹脂組成物
を用いて成形材料を調製するに際しては、通常、不飽和
ポリエステル樹脂組成物を構成する混合物をポリエチレ
ンフィルム等の離型フィルムで覆い、該組成物を熟成さ
せて増粘し、半固体状とすることにより得られる。この
ような成形材料は、目的に応じて、シート状またはバル
ク状の形状とされる。また、上記熟成は、通常、30〜
50℃の温度下に、半日〜2日間程度、成形材料を放置
することにより行われる。
【0013】加熱流動化剤 上記加熱流動化剤は、常温では、成形材料粘度を低下さ
せ難く、圧縮成形時の加熱下において、成形材料の粘度
を大幅に低減させるように作用する添加剤であり、本発
明では、融点40〜150℃の化合物が用いられる。
【0014】加熱流動化剤の融点が40℃より低い場合
には、常温における材料粘度が低下し、成形前の成形材
料の取扱い性が低下する。他方、加熱流動化剤の融点が
150℃よりも高い場合には、加熱成形時の成形材料の
粘度低下が小さくなり、成形に際しての流動性を高める
効果が小さくなる。
【0015】また、上記加熱流動化剤の配合割合が少な
い場合には、成形加工時の流動性を高める効果が十分に
得られず、多すぎると成形時の成形材料の流動性が高く
なりすぎ、得られた成形品の機械的強度が低下すること
がある。従って、上記加熱流動化剤は、不飽和ポリエス
テル樹脂100重量部に対し、0.1〜20重量部、好
ましくは0.5〜10重量部の範囲で用いられる。
【0016】なお、本発明では、2種以上の加熱流動化
剤を併用してもよく、その場合には、加熱流動化剤の配
合量の合計が、上記範囲を満たすように、2種以上の加
熱流動化剤が配合する。
【0017】本発明では、上記のように作用する融点4
0〜150℃の化合物であれば、任意の化合物を加熱流
動化剤として用いることができるが、通常、融点40〜
150℃の滑剤として使用されている化合物が好ましく
用いられる。このような滑剤として用いられている融点
40〜150℃の化合物の例としては、ポリエチレンワ
ックス、流動パラフィンなどの炭化水素系滑剤;ステア
リン酸などの高級脂肪酸系滑剤;脂肪酸アミド、アルキ
レンビス脂肪酸アミドなどの脂肪酸アミド系滑剤;脂肪
酸の一価アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエ
ステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなどのエステル
系滑剤;脂肪族アルコール、多価アルコール、ポリグリ
コール、ポリグリセロールなどのアルコール系滑剤;金
属石鹸などが用いられる。
【0018】より好ましくは、請求項2に記載の発明の
ように、上記加熱流動化剤としては以下の6種類の化合
物(a)〜(f)が用いられる。 (a)融点40〜100℃の一価の脂肪族アルコール、
(b)融点40〜100℃のソルビタン脂肪酸エステ
ル、(c)融点40〜100℃のグリセリン脂肪酸エス
テル、(d)融点40〜120℃のネオペンチル系ポリ
オール脂肪酸エステル、(e)融点40〜120℃の高
級アルコール脂肪酸エステル、(f)融点80〜150
℃の脂肪酸アミド。
【0019】なお、(d)のネオペンチル系ポリオール
脂肪酸エステル及び(f)脂肪酸アミドは、他の化合物
(a)〜(c),(e)に比べて、不飽和ポリエステル
樹脂100重量部に対して10重量部を超えて配合され
た場合、成形品の物性が若干低下し易くなる。従って、
化合物(d)及び(f)は、不飽和ポリエステル樹脂1
00重量部に対し10重量部の以下の範囲で配合するこ
とがより一層望ましい。
【0020】次に、上記化合物(a)〜(f)の詳細を
説明する。 (a)一価の脂肪族アルコール 本発明で用いられる上記(a)の化合物は、脂肪族炭化
水素の一つの水素が水酸基で置換されている一価の脂肪
族アルコールであり、かつ融点が40〜100℃の範囲
のものである。この範囲の融点を有するものであれば、
任意の一価の脂肪族アルコールを用いることができる。
好ましくは、炭素数が10より小さいと成形前の成形材
料の取り扱い性が低下し、36より大きいと成形加工時
の流動性が低下するため、炭素数10〜36、工業上の
入手安定性の面からは特に炭素数10〜25の脂肪族炭
化水素の末端炭素に結合した水素を水酸基で置換してな
る化合物が用いられる。上記脂肪族炭化水素は、飽和炭
化水素または不飽和炭化水素の何れであってもよく、ま
た分岐状または直鎖状の何れであってもよい。もっと
も、好ましくは、上記脂肪族炭化水素が、直鎖状の飽和
炭化水素である脂肪族アルコールが用いられる。(a)
の一価の脂肪族アルコールの具体的な例としては、セチ
ルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコ
ール等を挙げることができる。
【0021】この一価の脂肪族アルコールの融点が低す
ぎると、成形前の成形材料の取扱い性が低下し、高すぎ
ると成形加工時の流動性が低下するため、上記のよう
に、融点が40〜100℃、好ましくは45〜80℃の
ものが用いられる。
【0022】(b)ソルビタン脂肪酸エステル ソルビタン脂肪酸エステルは、6価のアルコールである
ソルビット(分子式C 6 146 )を脂肪酸でエステル
化したものであり、本発明では、融点40〜100℃の
ソルビタン脂肪酸エステルが好ましく用いられる。
【0023】上記脂肪酸としては、好ましくは、炭素数
10〜36、工業上の入手安定性の面からは、特に炭素
数10〜25の脂肪族炭化水素の末端水素に結合した水
素をカルボキシル基で置換した化合物が用いられる。上
記脂肪族炭化水素は、飽和炭化水素または不飽和炭化水
素の何れであってもよく、分岐状または直鎖状のいずれ
であってもよいが、好ましくは、直鎖状の飽和炭化水素
が用いられる。
【0024】上記融点40〜100℃のソルビタン脂肪
酸エステルの具体的な例としては、ソルビタンパルミテ
ート、ソルビタンステアレート、ソルビタントリステア
レート、ソルビタンベヘネート、ソルビタントリベヘネ
ートなどを挙げることができる。
【0025】上記ソルビタン脂肪酸エステルの融点が低
すぎると成形前の成形材料の取扱い性が低下し、高すぎ
ると成形加工時の流動性が低下する。従って、上記のよ
うに、ソルビタン脂肪酸エステルの融点は40〜100
℃、好ましくは50〜80℃とされる。
【0026】(c)グリセリン脂肪酸エステル グリセリン脂肪酸エステルは、3価のアルコールである
グリセリンを脂肪酸でエステル化したものであり、本発
明では、融点40〜100℃のグリセリン脂肪酸エステ
ルが好ましく用いられる。
【0027】上記脂肪酸としては、好ましくは、(b)
ソルビタン脂肪酸エステルを得るのに好ましく用いられ
る脂肪酸が用いられる。融点40〜100℃のグリセリ
ン脂肪酸エステルの具体的の例としては、グリセリンモ
ノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセ
リンモノオレート、グリセリンモノベヘネート、グリセ
リンモノ−12−ヒドロキシステアレート、グリセリン
モノカプレート、グリセリンモノラウレート、グリセリ
ンモノ・ジパルミテート、グリセリンモノ・ジステアレ
ート、グリセリンジ・トリステアレート、グリセリンモ
ノ・ジオレート、グリセリンモノ・ジベヘネート、グリ
セリンモノ・ジ−12−ヒドロキシステアレート等が挙
げられる。
【0028】上記グリセリン脂肪酸エステルの融点が低
すぎると成形前の材料の取扱い性が低下し、高すぎると
成形加工時の流動性が低下する。従って、上記のよう
に、グリセリン脂肪酸エステルの融点は40〜100℃
が好ましく、より好ましくは、50〜80℃である。
【0029】(d)ネオペンチル系ポリオール脂肪酸エ
ステル 本発明で用いられる上記ネオペンチル系ポリオール脂肪
酸エステルとは、ネオペンチルグリコール(別名2,2
−ジメチル−1,3−プロパンジオール)、ネオペンチ
ルトリオール(別名2−ヒドロキシメチル−2−メチル
−1,3−プロパンジオール)、ネオペンチルテトラオ
ール(別名ペンタエリスリトール)のいずれかのネオペ
ンチルポリオールを脂肪酸でエステル化したもの、また
は、これらのネオペンチルポリオールがエーテル結合で
繋がっている2量体を脂肪酸でエステル化したものであ
り、かつ融点が40〜120℃のものである。
【0030】また、ネオペンチル系ポリオールの2つ以
上の水酸基をエステル化したものが好ましく用いられ
る。なお、上記のように、ネオペンチルポリオールに
は、グリコールタイプ、トリオールタイプ、テトラオー
ルタイプのものがあり、これらのものの2量体は、例え
ば、以下のようにして2量化によりエーテル結合が形成
されたものである。
【0031】
【化1】
【0032】
【化2】
【0033】
【化3】
【0034】上記脂肪酸としては、好ましくは、(b)
ソルビタン脂肪酸エステルを得るのに好ましく用いられ
る脂肪酸が用いられる。また、上記ネオペンチル系ポリ
オール脂肪酸エステルとしては、好ましくは、ペンタエ
リスリトールの脂肪酸エステル、またはジペンタエリス
リトールの脂肪酸エステルが用いられる。より具体的な
例としては、ペンタエリスリトールのステアリン酸エス
テル、ペンタエリスリトールのベヘニン酸エステル、ジ
ペンタエリスリトールのステアリン酸エステル、ジペン
タエリスリトールのベヘニン酸エステルなどを挙げるこ
とができる。
【0035】上記ネオペンチル系ポリオール脂肪酸エス
テルの融点が低すぎると成形前の成形材料の取扱い性が
低下し、高すぎると成形加工時の流動性が低下する。従
って、ネオペンチル系ポリオール脂肪酸エステルの融点
は、上記のように、好ましくは40〜120℃、より好
ましくは50〜100℃である。
【0036】(e)高級アルコール脂肪酸エステル 本発明で用いられる上記(e)高級アルコール脂肪酸エ
ステルとは、高級アルコールと脂肪酸とのエステルであ
り、上記のように融点が40〜120℃のものが用いら
れる。
【0037】上記高級アルコールとは、炭素数10〜3
6、工業上の入手安定性の面からは、特に、炭素数10
〜25の脂肪族炭化水素の末端炭素に結合した水素を水
酸基で置換した化合物である。上記脂肪族炭化水素は、
飽和炭化水素または不飽和炭化水素のいずれであっても
よく、また、分岐状または直鎖状のいずれであってもよ
いが、好ましくは、直鎖状の飽和炭化水素が用いられ
る。
【0038】上記脂肪酸としては、好ましくは、(b)
ソルビタン脂肪酸エステルを得るのに好ましく用いられ
る脂肪酸が用いられる。なお、上記高級アルコール及び
脂肪酸のいずれも、通常は一価の化合物であり、従っ
て、これらを構成成分とするモノエステル化合物が上記
高級アルコール脂肪酸エステルとして用いられる。この
ような高級アルコール脂肪酸エステルの例としては、ス
テアリルステアレート、ベヘニルベヘネート、セチルミ
リステートなどを挙げることができる。
【0039】上記高級アルコール脂肪酸エステルの融点
が低すぎると成形前の成形材料の取扱い性が低下し、高
すぎると成形加工時の流動性が低下する。従って、高級
アルコール脂肪酸エステルの融点は、上記のように、好
ましくは40〜120℃、より好ましくは50〜100
℃である。
【0040】(f)脂肪酸アミド 本発明で用いられる(f)脂肪酸アミドは、融点が80
〜150℃であり、アンモニアもしくはアミノ化合物と
脂肪酸とから誘導されるアミドである。
【0041】上記脂肪酸としては、好ましくは、(b)
ソルビタン脂肪酸エステルを得るのに好ましく用いられ
る脂肪酸が用いられる。上記脂肪酸アミドの具体例とし
ては、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレ
ンビスステアロアミド、エチレンビス(ヒドロキシステ
アロアミド)、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレ
ンビスエルカ酸アミドなどを挙げることができる。
【0042】上記脂肪酸アミドの融点が低すぎると成形
前の成形材料の取扱い性が低下し、高すぎると成形加工
時の流動性が低下する。従って、脂肪酸アミドの融点
は、上記のように、好ましくは80〜150℃、より好
ましくは90〜145℃である。
【0043】無機充填剤 上記無機充填剤としては、炭酸カルシウム、水酸化アル
ミニウム、硫酸カルシウム、ガラス粉末、タルク、マイ
カなどを使用することができる。
【0044】無機充填剤の配合割合が高すぎると、成形
材料の粘度が大幅に上昇し、成形加工時の流動性が低下
するとともに、強化繊維に対する含浸性が低下し、成形
材料内部にエアーを混入し易くなり、結果として成形品
に巣が入り易くなる。また、無機充填剤の配合割合が少
なすぎると成形前の材料の取扱い性が低下する。
【0045】従って、無機充填剤は、不飽和ポリエステ
ル樹脂100重量部に対し、50〜350重量部の範
囲、好ましくは60〜300重量部の範囲で重合され
る。なお、2種以上の無機充填剤を用いてもよく、その
場合には、2種以上の無機充填材の合計が、上記配合割
合を満たすように用いられる。
【0046】不飽和ポリエステル樹脂 不飽和ポリエステル樹脂とは、不飽和二塩基酸とグリコ
ールと必要に応じて飽和二塩基酸とを重縮合せしめた不
飽和ポリエステルと、重合性単量体及び必要により添加
される低収縮化のための熱可塑性樹脂と、必要に応じて
添加される硬化剤、離型剤、増粘剤などの添加剤とを含
む混合物である。
【0047】上記不飽和二塩基酸としては、無機マレイ
ン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等が使用さ
れる。上記グリコールとしては、エチレングリコール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−
ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェ
ノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノール
Aのエチレンオキサイド付加物、ネオペンチルグリコー
ル等が使用される。
【0048】また、上記飽和二塩基酸としては、無水フ
タル酸、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル
酸、アジピン酸、コハク酸、テトラクロロフタル酸、ヘ
ット酸等が使用される。
【0049】上記重合性単量体としては、スチレン、ジ
クロロスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、メタク
リル酸、メタクリル酸エステル、アクリル酸、アクリル
酸エステル、フタル酸ジアリル等が使用されるが、スチ
レンが好ましく使用される。
【0050】通常、不飽和ポリエステル樹脂に含まれる
重合性単量体の量は20〜60重量%である。また、低
収縮化のための熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリス
チレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、
ポリエチレン、ポリε−カプロラクトン、飽和ポリエス
テル、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリスチレン
−アクリル酸共重合体、ポリスチレン−ポリ酢酸ビニル
共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリロニ
トリル−スチレン共重合体等が使用される。
【0051】その他の添加剤 上記硬化剤としては、ターシャリーブチルパーオキシイ
ソブチレート、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エ
チルヘキサノエート、ターシャリーアミルパーオキシ−
2−エチルヘキサノエート、2,4,4−トリメチルペ
ンチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ターシ
ャリーブチルパーオキシピバレート、ターシャリーブチ
ルパーオキシベンゾエート、ターシャリーブチルパーオ
キシイソプロピルカーボネート、ターシャリーブチルパ
ーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、
1,1−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン、ベンゾイルパーオ
キサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメン
ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物が使用され
る。
【0052】上記離型剤としては、ステアリン酸亜鉛、
ステアリン酸カルシウム等が使用される。上記増粘剤と
しては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化
カルシウム、酸化亜鉛等が使用される。
【0053】成形材料の粘度 本発明で用いられる不飽和ポリエステル樹脂成形材料
(A)は、上述した不飽和ポリエステル樹脂、無機充填
剤及び加熱流動化剤を含み、その他の成分として、上述
した硬化剤、離型剤、増粘剤、顔料等を混合し、混合物
をポリエチレンフィルムなどの離型フィルムで覆った後
熟成し、半固体状としたものである。この場合、熟成後
の不飽和ポリエステル樹脂成形材料の粘度(強化繊維基
材を除いた組成物の粘度)は、30℃で1万ポイズ〜2
0万ポイズとすることが好ましく、より好ましくは、3
0℃において5万〜15万ポイズとされる。熟成後の不
飽和ポリエステル樹脂成形材料(A)の粘度が、30℃
で1万ポイズよりも小さい場合には、離型フィルムを剥
離し難くなり、取扱い性が極度に低下し、さらにエアー
を巻き込み易くなり、成形品表面にボイドが発生し易く
なる。
【0054】他方、不飽和ポリエステル樹脂成形材料
(A)の熟成後の粘度が30℃において20万ポイズよ
りも高くなると、低圧下で成形した場合に欠肉が生じ易
くなる。
【0055】なお、上記粘度は、回転式粘度計やキャピ
ラリーレオメーターなどにより測定される値である。な
お、上記熟成による粘度の調節は、例えば増粘剤の量や
種類を調節することにより、あるいは熟成時間を調節す
ることによって行い得る。
【0056】強化繊維基材(B)及び強化繊維からなる
予備成形体(C) 本発明で用いられる強化繊維としては、ガラス繊維、炭
素繊維、石綿繊維、ウィスカー、有機合繊繊維、天然繊
維などを用いることができる。好ましくは、物性及び化
学の面で有利であるガラス繊維が用いられる。また、通
常は、一定長さの強化繊維を使用する。例えば、ガラス
繊維の場合には、ストランドを一定長さに切断して得ら
れたチョップドストランドが用いられる。この場合、一
定長さの繊維長とは、通常、1〜60mmの長さのもの
が用いられる。
【0057】上記強化繊維を用いてなる強化繊維基材
(B)とは、上記強化繊維からなるマットもしくはクロ
スである。例えば、ガラス繊維からなるマットとして
は、チョップドストランドを平面状にかつ平均に交差さ
せたものをバインダで接着し、マット状としたチョップ
ドストランドマットやサーフェイスマット、コンティニ
アスストランドマットなどが挙げられ、ガラス繊維クロ
スとしては、ロービングクロスやガラスクロス等を挙げ
ることができる。
【0058】また、強化繊維からなる予備成形体(C)
とは、強化繊維を製品と同一形状に予備成形したもので
ある。例えば、ガラス繊維を用いた場合には、チョップ
ドストランドをスクリーン型に二次バインダと共に吹き
つけ、加熱硬化されたダイレクトチョップドプリフォー
ム、あるいはループ状となった連続繊維で造られたマッ
ト(コンティニアスストランドマット)をスタンピング
成形することにより得られるスタンプドプリフォームな
どを用いることができる。
【0059】また、強化繊維を網地形態に加工し、伸縮
性のあるシートに加工したものも、上記予備成形体
(C)として用いることができる。さらに、予備成形体
(C)は、上述した強化繊維基材(B)を予備成形した
ものであってもよい。
【0060】本発明においては、上記強化繊維基材
(B)あるいは強化繊維からなる予備成形体(C)が金
型内に配置され、上述した不飽和ポリエステル樹脂成形
材料(A)と共に成形されるが、強化繊維含有量は、不
飽和ポリエステル樹脂成形材料と強化繊維との合計10
0重量%に対し、10〜80重量%とすることが望まし
い。10重量%より少ない場合には、補強効果が不十分
となり、80重量%より多くなると、不飽和ポリエステ
ル樹脂成形材料(A)の型内における流動抵抗が大きく
なり、欠肉し易くなる。
【0061】不飽和ポリエステル樹脂成形材料(A)の
成形 不飽和ポリエステル樹脂成形材料(A)は、シート状に
も、バルク状にも形成されるが、シート状にする場合に
は、例えば、公知のSMC製造装置を用いポリエチレン
フィルムなどの離型シート上に、ドクターブレードを用
いて均一な厚みに不飽和ポリエステル樹脂組成物を塗布
し、一方の面を離型シートで被覆することにより得るこ
とができる。他方、バルク状とする場合には、公知のニ
ーダーなどの混合機を用いて不飽和ポリエステル樹脂成
形材料(A)を構成する各成分を混合すればよい。
【0062】圧縮成形 本発明では、上記不飽和ポリエステル樹脂成形材料
(A)と、強化繊維基材(B)または強化繊維からなる
予備成形体(C)とを、加熱された金型内に配置し、圧
縮成形する。この場合、不飽和ポリエステル樹脂成形材
料(A)と、強化繊維基材(B)または強化繊維からな
る予備成形体(C)とを、少なくとも一つずつ配置する
ことが必要である。
【0063】もっとも、これらの積層数や金型内への配
置に際しての順序は特に限定されるものではない。例え
ば、強化繊維基材(B)または強化繊維よりなる予備成
形体(C)を配置してから、不飽和ポリエステル樹脂成
形材料(A)を配置し、圧縮成形してもよく、不飽和ポ
リエステル樹脂成形材料(A)を先に金型内に配置し、
次に強化繊維基材(B)または強化繊維よりなる予備成
形体(C)を配置してよく、さらに不飽和ポリエステル
樹脂成形材料(A)を配置してから強化繊維基材(B)
または強化繊維よりなる予備成形体(C)を配置し、さ
らに不飽和ポリエステル樹脂成形材料(A)を配置して
もよい。
【0064】なお、成形圧力が低すぎると、成形材料の
流動性が低下し、目的とする成形品が得難くなり、かつ
重合性単量体の気化を抑制できなくなり、成形品の表面
性状や物性が大きく低下することになる。逆に、成形圧
力が高すぎると、不飽和ポリエステル樹脂成形材料
(A)が強化繊維に含浸しつつ流動するに際し、強化繊
維基材(B)または強化繊維よりなる予備成形体(C)
を流れ方向に沿って移動させてしまい、強化繊維の均一
性が損なわれ、かつ高価な成形装置を必要とするため、
設備投資負担を低減することができなくなる。
【0065】従って、成形圧力は2〜30kg/c
2 、好ましくは、5〜20kg/cm 2 とされる。な
お、上記圧縮成形は加熱下で行われ、成形温度は、60
〜160℃の範囲とすることができるが、中でも、60
〜110℃の温度で成形した場合には、樹脂型または電
鋳型などの簡易かつ安価な型を使用することができ、上
記設備投資の低減を果たし得るため、好ましい。
【0066】作用 請求項1に記載の発明では、不飽和ポリエステル樹脂1
00重量部に対し、無機充填剤及び融点40〜150℃
の加熱流動化剤が上記特定の割合で配合されているた
め、常温で固体状であった加熱流動化剤が加熱成形時に
溶融・分散し、無機材料−樹脂界面のぬれ性を高めた
り、不飽和ポリエステル樹脂成形材料と成形型との間の
すべりを高めたりする。従って、比較的低温・低圧力下
における圧縮成形時の成形材料の流動性を効果的に高め
ることができると考えられる。
【0067】従って、不飽和ポリエステル樹脂成形材料
(A)を使用し、強化繊維基材(B)または強化繊維よ
りなる予備成形体(C)を用いて圧縮成形すると、不飽
和ポリエステル樹脂成形材料(A)は、強化繊維基材
(B)または強化繊維よりなる予備成形体(C)に含浸
しつつ、金型末端まで確実に流れ、その結果、力学特性
がその内部において均一な成形品を比較的低い圧力下に
おける圧縮成形により得ることができる。
【0068】また、上記加熱流動化剤は常温で固体状で
あるため、成形前における室温での不飽和ポリエステル
樹脂成形材料(A)の取扱い性も高められる。
【0069】
【実施例】以下、本発明の非限定的な実施例及び比較例
を挙げることにより、本発明を明らかにする。
【0070】実施例1〜8 フマル酸、イソフタル酸及びプロピレングリコールから
なる不飽和ポリエステルと、ポリスチレンとを、スチレ
ン単量体に溶解してなる不飽和ポリエステル樹脂液(樹
脂分として100重量部)に、下記の表1に示す融点の
加熱流動化剤、炭酸カルシウム(日東粉化社製、SN−
100)を、それぞれ、下記の表2に示す割合で、並び
にハイドロキノン0.003重量部、有機過酸化物1重
量部、ステアリン酸亜鉛5重量部、及び酸化マグネシウ
ム0.6重量部を混合してなる組成物を用意した。この
組成物をシート状とした後、ポリエチレンよりなる離型
フィルムで覆い、40℃の温度で1日熟成し、不飽和ポ
リエステル樹脂成形材料(A)を得た。
【0071】他方、強化繊維からなる予備成形品とし
て、成形品(浴槽)形状(350mm×600mm×高
さ270mmの寸法を有し、上方に開口を有する略直方
体状の形状)のスクリーン型に、ロービングカッターに
て、25mmに切断されたチッョプドストランドをバイ
ンダと共に吹きつけた後、熱風乾燥炉にて、加熱硬化し
て得られたガラスチョップドプリフォームマットを用意
した。
【0072】上記ガラスチョップドプリフォームマット
を浴槽形状のプレス型に配置してから、上記離型フィル
ムを剥がした不飽和ポリエステル樹脂成形材料(A)を
浴槽型の底面に置き、300tプレス機にて、表2に示
す成形圧力で圧縮成形した。
【0073】なお、上記ガラスチョップドプリフォーム
マットの含有量は、不飽和ポリエステル樹脂成形材料と
ガラスチョップドプリフォームマットの合計量100重
量%に対し、21%とした。また、成形型としては、ニ
ッケル電鋳型を用い、型温度は、雄型=100℃、雌型
=90℃とした。
【0074】実施例9,10 フマル酸、イソフタル酸及びプロピレングリコールから
なる不飽和ポリエステルと、ポリスチレンとを、スチレ
ン単量体に溶解してなる不飽和ポリエステル樹脂液(樹
脂分として100重量部)に、下記の表1に示す融点の
加熱流動化剤、炭酸カルシウム(日東粉化社製、SN−
100)を、それぞれ、下記の表3に示すように、並び
にハイドロキノン0.003重量部、有機過酸化物1重
量部、ステアリン酸亜鉛5重量部、及び酸化マグネシウ
ム0.6重量部を混合してなる組成物を用意した。この
組成物をシート状とした後、ポリエチレンからなる離型
フィルムで覆い、40℃の温度で1日熟成し、不飽和ポ
リエステル樹脂成形材料(A)を得た。
【0075】他方、強化繊維基材(B)としては、45
0g/cm2 のチョップドストランドマットを用意し
た。上記チョップドストランドマットを、平板状の型
(200mm×600mm)に全面配置し、次に離型フ
ィルムを剥がした上記不飽和ポリエステル樹脂成形材料
(A)を中央にチャージ率60%で配置し、下記の表2
に示す成形圧力で圧縮成形した。この場合、チョップド
ストランドマットの含有量は、不飽和ポリエステル樹脂
材料及び強化繊維基材の合計100重量%に対し、21
重量%である。また、上記平板状の型としては、ニッケ
ル電鋳型を用い、成形に際しての型の温度は雄型=10
0℃、雌型=90℃とした。
【0076】比較例1,2 ガラスチップドプリフォームマットは用いずに、不飽和
ポリエステル樹脂成形材料(A)中に25mmのチョッ
プドストランドを、全体の21重量%を占めるように含
有させ、そのまま圧縮成形したこと以外は、実施例1〜
8と同様にして成形し、成形品を得た。
【0077】比較例3〜6 加熱流動化剤の融点、添加部数、炭酸カルシウムの添加
量を下記の表2に示すように変更したこと以外は、実施
例1〜8と同様にして圧縮成形を行い。成形品を得た。
【0078】比較例7 加熱流動化剤を加えなかったことを除いては、実施例
9,10と同様にして圧縮成形を行い、成形品を得た。
【0079】評価 上記実施例1〜10及び比較例1〜7について、(1)
シート状材料の取扱い性、(2)成形品底面及び成形品
側面(流動末端部分)の曲げ強度及び(3)成形材料の
流動性(充填性)を評価した。
【0080】なお、(1)シート状材料の取扱い性評価
は、離型フィルムの剥離が容易か否かを判断し、不飽和
ポリエステル樹脂成形材料(A)のべたつきにより離型
フィルムの剥離が行い難いものにつき×印を、フィルム
が円滑に剥離し得たものにつき○印を付し、下記の表
2,表3に示した。
【0081】(2)曲げ強度を、JIS K−6911
に準じて、成形品の底面及び側面(流動末端部分)につ
いて測定した。 (3)流動性(充填性)については、成形材料が、金型
内に十分に行き渡っているか否かを得られた成形品の形
状から判断した。所望どおりの形状の成形品が得られて
いる場合は、流動性が良であるとし、材料の流動性が十
分でないため目的とする成形品が得られなかった場合に
ついては、「未充填」とし、下記の表2及び表3に示し
た。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】表2から明らかなように、比較例1,2で
は、強化繊維よりなる予備成形体を配置していないため
か、得られた成形品の曲げ強度、特に側面における曲げ
強度すなわち、成形材料の流動末端部分における曲げ強
度が底面の曲げ強度に比べてかなり低いことがわかる。
【0086】また、比較例3では、常温で液体のオクチ
ルアルコールを加熱流動化剤として用いたためか、成形
材料にべたつきがみられ、材料取扱い性が不十分であっ
た。また、比較例4では、加熱流動化剤の配合割合が3
0重量部と多すぎたためか成形材料のべたつきが多く、
材料取扱い性が不十分であり、かつ得られた成形品の曲
げ強度も底面及び側面の何れにおいても低かった。
【0087】また、比較例5では、上記充填剤としての
炭酸カルシウム添加量が20重量部と少なすぎたため
か、成形材料の取扱い性が十分でなく、得られた成形品
の曲げ強度も9.3及び9.5kgf/mm2 と比較的
低かった。
【0088】さらに、比較例6では、無機充填剤として
の炭酸カルシウム添加量が400重量部と多すぎたため
か、目的とする形状の成形品を得ることができなかっ
た。これに対して、実施例1〜8では、本発明の範囲内
において上記加熱流動化剤及び無機充填剤を添加してい
るため、10〜20kg/cm2 と比較的に低い成形圧
力で圧縮成形したにもかかわらず、成形材料の流動性が
成形に際して高められたためか、底面及び側面の何れの
曲げ強度も高い、すなわち力学的特性が均一な成形品を
得ることができた。しかも、得られた成形品は所望どお
りの形状を有しており、従って成形材料の流動性も良好
であった。さらに、成形に先立っての材料取扱い性につ
いても、離型フィルムを容易に剥離することができ、成
形材料のべたつきが少なかった。
【0089】また、表3から明らかなように、比較例7
では、加熱流動化剤を用いなかったため、離型剤の取扱
い性が良好であったが、流動性が不十分であるためか目
的とする成形品を得ることができなかった。
【0090】これに対して、実施例9,10では、底面
及び側面の曲げ強度がほぼ等しい、力学的特性の均一な
成形品を得ることができた。また、所望どおりの成形品
を得ることができ、成形材料の流動性も良好であった。
さらに、成形前の成形材料のべたつきが少なく、従っ
て、離型フィルムを容易に剥離することができ、材料取
扱い性も良好であった。
【0091】
【発明の効果】請求項1に記載の発明では、上記不飽和
ポリエステル樹脂100重量部に対し、上記特定の融点
の加熱流動化剤0.1〜20重量部及び無機充填剤50
〜350重量部を含有する不飽和ポリエステル樹脂成形
材料を用いているため、成形前の成形材料の取扱い性に
優れている。しかも、上記不飽和ポリエステル樹脂成形
材料(A)と、強化繊維基材(B)または強化繊維から
なる予備成形体(C)とを成形型内に配置し、圧縮成形
しているため、低圧下においても十分な流動性を示す不
飽和ポリエステル樹脂成形材料(A)が強化繊維基材
(B)または強化繊維よりなる予備成形体(C)に含浸
しつつ、金型末端まで流れる。従って、2〜30kg/
cm2 の低い圧力下において圧縮成形して力学的特性が
内部で均一な成形品を得ることができる。
【0092】よって、本発明によれば、上記のように従
来法に比べて低い圧力条件下における圧縮成形により力
学特性の不均一な成形品を得ることができる。圧縮成形
に必要な投資額を軽減することができ、従って、成形品
の多品種化や大型化にも少ない設備投資額で対応するこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 5/103 KJV C08K 5/103 KJV 5/20 KJY 5/20 KJY C08L 67/06 KJQ C08L 67/06 KJQ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和ポリエステル樹脂100重量部、 無機充填剤50〜350重量部及び融点40〜150℃
    の加熱流動化剤0.1〜20重量部を含む不飽和ポリエ
    ステル樹脂成形材料(A)と、 強化繊維基材(B)または強化繊維からなる予備成形体
    (C)とを少なくとも一層ずつ重ねて金型内に配置し、
    加熱下において、成形圧力2〜30kg/cm 2 で圧縮
    成形することを特徴とする不飽和ポリエステル樹脂成形
    体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記加熱流動化剤として、 (a)融点40〜100℃の一価の脂肪族アルコール、 (b)融点40〜100℃のソルビタン脂肪酸エステ
    ル、 (c)融点40〜100℃のグリセリン脂肪酸エステ
    ル、 (d)融点40〜120℃のネオペンチル系ポリオール
    脂肪酸エステル、 (e)融点40〜120℃の高級アルコール脂肪酸エス
    テル及び (f)融点80〜150℃の脂肪酸アミドからなる群か
    ら選択した少なくとも1種を、合計で0.1〜20重量
    部用いることを特徴とする請求項1に記載の不飽和ポリ
    エステル樹脂成形体の製造方法。
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