JPH08295794A - 不飽和ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

不飽和ポリエステル樹脂組成物

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JPH08295794A
JPH08295794A JP10377895A JP10377895A JPH08295794A JP H08295794 A JPH08295794 A JP H08295794A JP 10377895 A JP10377895 A JP 10377895A JP 10377895 A JP10377895 A JP 10377895A JP H08295794 A JPH08295794 A JP H08295794A
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JP
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unsaturated polyester
polyester resin
molding
resin composition
weight
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JP10377895A
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Koji Matsumoto
晃治 松本
Makoto Yamaguchi
真 山口
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 常温における取扱い性を生じさせ難く、かつ
低温・低圧の圧縮成形条件下で良好な品質の成形品を得
ることを可能とする成形時の流動性に優れた圧縮成形用
の不飽和ポリエステル樹脂組成物を得る。 【構成】 不飽和ポリエステル樹脂100重量部に対
し、不飽和ポリエステル樹脂中に分散されており、かつ
マイクロカプセル化された高流動化剤1〜30重量部を
配合してなり、上記高流動化剤が、常温で液体の非イオ
ン界面活性剤、高級脂肪酸または高級アルコールであ
る、不飽和ポリエステル樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シートモールディング
コンパウンド(SMC)やバルクモールディングコンパ
ウンド(BMC)とされて圧縮成形法に用いられる不飽
和ポリエステル樹脂組成物に関し、特に、低温及び低圧
で圧縮成形可能な不飽和ポリエステル樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】不飽和ポリエステル樹脂を用いた成形材
料として、SMC及びBMCが広く用いられている。S
MC及びBMCは、不飽和ポリエステル樹脂に、例え
ば、充填剤、硬化剤、離型剤、顔料、増粘剤などを加え
てなる樹脂組成物を、ガラス繊維などの強化用繊維物質
に含浸し、シート状あるいはバルク状とすることにより
得られている。
【0003】上記SMCやBMCは、主に圧縮成形法に
用いられ、住宅設備、工業部品及び自動車部品などの分
野において広く用いられている。この場合、これらの成
形材料は、加熱下において圧縮成形されることが多い。
【0004】しかしながら、圧縮成形法において、適用
製品を拡大し、成形品の大型化及び多品種化を進めよう
とした場合、大型の成形機を確保しなければならなかっ
たり、金型等の投資が高額になったりするという問題が
あった。
【0005】従来、SMCやBMCを圧縮成形する際の
温度は、120〜160℃、圧縮成形圧力は60〜10
0kg/cm2 程度とされているが、より低温及び低圧
で圧縮成形できれば、成形機の小型化、並びに金型への
投資に必要な費用の低減を図ることができる。
【0006】しかしながら、従来のSMCやBMCを低
温及び低圧で圧縮成形すると、成形材料の流動性が十分
でないため、大幅な欠肉が生じたり、巣やピンホールが
発生しがちとなる。
【0007】上記のような問題を解決するために、特公
昭60−16471号公報に記載の技術では、増粘剤と
して増粘効果の低い水酸化カルシウムを用い、成形材料
の粘度を低くし、それによって低圧での成形における成
形材料の流動性を高める試みがなされている。しかしな
がら、この方法では、成形材料にべたつきが生じがちと
なり、成形材料を被覆しているポリエチレンフィルムを
剥離する際の作業性やカッティングなどのおける加工工
程における作業性が極端に低下するという問題がある。
【0008】また、特開昭57−12017号には、不
飽和ポリエステル、ビニル単量体、重合開始剤及び促進
剤を含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物において、
重合開始剤及び/または促進剤をマイクロカプセル化
し、比較的低温・低圧で圧縮成形することを可能とする
技術が開示されている。すなわち、この先行技術では、
SMCの保存安定性を高めるために、重合開始剤及び/
または促進剤がマイクロカプセル化されている。
【0009】この方法では、重合開始剤及び/または促
進剤がマイクロカプセル化されているため、副次的に、
金型に充填した状態では成形材料の流動性が高められ、
成形条件下でマイクロカプセルが破壊されて硬化が促進
するため、20〜80℃及び15〜30kg/cm2
比較的低い成形温度及び圧力条件下において成形を行う
ことが可能とされている。
【0010】しかしながら、特開昭57−12017号
公報に開示されている技術は、本来、SMCの保存安定
性を高めるために開発されたものである。従って、上記
のような比較的低い成形温度及び圧力下において成形が
可能となるものの、より低い圧力、例えば10kg/c
2 程度の条件で圧縮成形した場合には十分な効果は得
られない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した従来の不飽和ポリエステル樹脂組成物の欠点を解消
し、常温で表面のべたつき感が生じ難く、かつ成形に際
しての流動性が高く、より低い温度及び圧力で圧縮成形
することが可能な圧縮成形用の不飽和ポリエステル樹脂
組成物を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、不飽和ポリエ
ステル樹脂100重量部と、不飽和ポリエステル樹脂中
に分散されておりかつマイクロカプセル化された高流動
化剤1〜30重量部とを含み、上記高流動化剤が、常温
で液体の非イオン性界面活性剤、高級脂肪酸または高級
アルコールであることを特徴とする不飽和ポリエステル
樹脂組成物であり、それによって上記課題を達成するも
のである。
【0013】本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物
は、圧縮成形法に用いられる不飽和ポリエステル樹脂系
成形材料、例えばSMCまたはBMCとして用いられる
ものであり、不飽和ポリエステル樹脂に、マイクロカプ
セル化された高流動化剤を加え、さらに、例えば、無機
充填剤微粒子、強化繊維、硬化剤、離型剤、増粘剤、顔
料等を加え、ポリエチレンフィルムなどの離型フィルム
で被覆し、熟成・増粘し、半固体状にすることにより、
成形材料として調製されるものである。上記熟成は、通
常、30〜50℃の温度条件下において、半日〜2日、
成形材料を放置することにより果たされる。
【0014】本発明は、上記のようにマイクロカプセル
化された高流動化剤を不飽和ポリエステル樹脂中に分散
させたことに特徴を有する。本発明において用いられる
マイクロカプセル化技術としては、近藤保及び小石真純
著「マイクロカプセル」(三共出版社)に記載されてい
るような、従来より公知のマイクロカプセル化技術が用
いられる。好ましくは、液体をマイクロカプセル化する
ために、相分離法や界面重合マイクロカプセル化法など
が用いられる。
【0015】上記マイクロカプセル化を果たすための材
料としては、使用するマイクロカプセル化法によっても
異なるが、ゼラチン、シエラック、アラビアゴム、ロジ
ン、パラフィン、ポリウレタン、ユリア樹脂またはエポ
キシ樹脂などの従来より公知のマイクロカプセル化用材
料が挙げられる。
【0016】上記高流動化剤を不飽和ポリエステル樹脂
組成物中に均一に分散させるために、マイクロカプセル
の径は非常に小さいことが好ましく、200μm以下と
されることが望ましい。同様に、マイクロカプセル化材
料は高流動化剤をマイクロカプセル化するために用いら
れているものに過ぎないため、マイクロカプセルの壁膜
は、薄いほうが好ましい。もっとも、成形材料の保存や
成形前の取扱いに際して、マイクロカプセルが破壊され
ると、粘度が急に低くなるため、マイクロカプセルが上
記のような環境下で破壊され難い強度を有することが必
要である。従って、上記の点を考慮すると、マイクロカ
プセルの壁膜の厚みは、通常、10〜60μm程度とさ
れる。
【0017】例えば、ポリウレタンをマイクロカプセル
化材料として用いた場合、マイクロカプセルの径は40
〜150μm程度とされ、マイクロカプセル壁膜の厚み
は10〜40μm程度とされ、この場合、常圧下、60
℃の条件下では安定であるが、5〜10kg/cm2
力下及び50〜80℃の温度下においてはマイクロカプ
セル壁膜が破壊され、内容物が放出される。
【0018】すなわち、上記マイクロカプセル化素材の
種類、マイクロカプセルの径、マイクロカプセルの壁膜
の厚みは、保存時や成形前の取扱い時には破壊されず、
かつ従来の成形時に比べてより低い成形圧力及び成形温
度下においてカプセル壁膜が破壊されるように選択され
る。
【0019】本発明において用いられる高流動化剤は、
常温で液体の非イオン界面活性剤、高級脂肪酸または高
級アルコールである。上記常温で液体の非イオン界面活
性剤としては、ポリオキシエチレントリデシルエーテ
ル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリ
オキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレ
ンドデシルアミン、ポリオキシエチレンアルキルヤシア
ミン、ヤシ油脂肪酸、ポリグリセリンオレイン酸エステ
ル、ポリグリセリンラウリン酸エステル、ポリプロピレ
ングリコールジステアレート等が用いられる。これら
は、通常、滑剤、分散剤または可塑剤としての機能を有
する。
【0020】また、上記常温で液体の高級脂肪酸として
は、炭素数8〜14の高級脂肪酸が好ましく、例えばカ
プロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸などが
用いられる。
【0021】上記常温で液体の高級アルコールとして
は、通常、炭素数6〜18の高級アルコールが用いら
れ、例えば、オクチルアルコール、カプリンアルコー
ル、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコールなどが
用いられる。
【0022】上記非イオン界面活性剤、高級脂肪酸また
は高級アルコールは、マイクロカプセル化された後、不
飽和ポリエステル樹脂100重量部に対し、マイクロカ
プセルの重量として、0.1〜30重量部の範囲で不飽
和ポリエステル樹脂に混合される。0.1重量部よりも
少ない場合には成形材料を低粘度化する効果が十分でな
く、30重量部より多い場合には低粘度化の効果は大き
いが、最終的に得られた成形品表面に気泡等が残りやす
くなる。
【0023】本発明における不飽和ポリエステル樹脂と
は、不飽和二塩基酸と、グリコールと、必要に応じて飽
和二塩基酸とを重縮合させてなる不飽和ポリエステル
と、重合性単量体と、必要に応じて添加される低収縮化
のための熱可塑性樹脂とを含む混合物である。
【0024】なお、不飽和ポリエステル樹脂100重量
部とは、不飽和ポリエステル重合体成分と、重合性単量
体及び必要により添加される低収縮化のための熱可塑性
樹脂とを合計した樹脂分の量である。
【0025】不飽和二塩基酸としては、無水マレイン
酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等が使用され
る。グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、プロピレン
グリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタン
ジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノール
A、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAのエ
チレンオキサイド付加物、ネオペンチルグリコール等が
使用される。
【0026】飽和二塩基酸としては、無水フタル酸、オ
ルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン
酸、コハク酸、テトラクロロフタル酸、ヘット酸等が使
用される。
【0027】重合性単量体としては、スチレン、ジクロ
ロスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、メタクリル
酸、メタクリル酸エステル、アクリル酸、アクリル酸エ
ステル、フタル酸ジアリル等が使用されるが、スチレン
が好ましく使用される。
【0028】また低収縮化のための熱可塑性樹脂として
は、例えばポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメチル
メタクリレート、ポリエチレン、ポリ−ε−カプロラク
タム、飽和ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリブタジ
エン、ポリスチレン−アクリル酸共重合体、ポリスチレ
ン−ポリ酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢ビ共重合
体、塩ビ−酢ビ共重合体、アクリロニトリル−スチレン
共重合体等が使用される。
【0029】前述したように、本発明の不飽和ポリエス
テル樹脂組成物は、上記不飽和ポリエステル樹脂に、マ
イクロカプセル化された高流動化剤を加え、さらに、必
要に応じて、例えば、無機充填剤微細粒子、強化繊維、
硬化剤、離型剤、増粘剤、顔料等が加えられて成形材料
として調製される。
【0030】上記無機充填剤微細粒子としては、例え
ば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシ
ウム、ガラス粉末、タルクまたはマイカなどの1種以上
が用いられる。無機充填剤微細粒子の粒径は、好ましく
は、0.1〜100μm、より好ましくは、0.5〜6
0μmとされる。粒径が0.1μmよりも小さい場合に
は、不飽和ポリエステル樹脂組成物の粘度が高くなり、
強化繊維に十分含浸させることが困難となり、成形材料
内部にエアーが混入しやすくなり、最終的に得られた成
形品に巣が入りやすくなる。他方、粒径が100μmよ
り大きいと、成形材料の流動性が低下する。
【0031】無機充填剤微細粒子の添加量は、無機充填
剤微細粒子を一種もしくは複数種用いる場合であって
も、不飽和ポリエステル樹脂100重量部に対し、無機
充填剤微細粒子が50〜350重量部、より好ましくは
60〜300重量部の範囲とすることが望ましい。無機
充填剤微細粒子の配合割合が50重量部より少ない場合
には、成形前の成形材料の取扱い性が低下する。無機充
填剤微細粒子の配合割合が350重量部より多くなる
と、成形材料の粘度が大幅に上昇し、成形加工時の成形
材料の流動性が低下するとともに、強化繊維に対する含
浸性が低下し、材料内部にエアーが混入しやすくなり、
成形品に巣が入りやすくなる。
【0032】上記強化繊維としては、ガラス繊維、炭素
繊維、石綿繊維、ホイスカー、有機合成繊維、天然繊維
などを用いることができる。好ましくは、機械的強度な
どの物性及び価格を考慮すると、ガラス繊維が好適であ
る。一定長さ、または連続した繊維をそのまま使用して
もよく、あるいは、マット状やクロス状とした強化繊維
を用いてもよい。例えば、ガラス繊維の場合には、スト
ランドを一定長さに切断したチョップドストランドやチ
ョップドストランドをバインダーで接着しマット状とし
たチョップドストランドマットなどを用いることができ
る。一定長さの繊維の繊維長は、好ましくは、1〜80
mm程度とされる。1mmよりも繊維長が短い場合に
は、補強硬化が十分でなく、80mmよりも長い場合に
は、成形材料の粘度が高くなり、成形性が悪化する。ま
た、不飽和ポリエステル樹脂組成物中における繊維の方
向性は特に限定されず、繊維の方向はランダムとされて
いてもよく、あるいは一方向に並べられていてもよく、
X字状等に並べられていてもよい。
【0033】また、上記強化繊維の配合割合は、強化繊
維を含む不飽和ポリエステル樹脂組成物全体に対し、2
〜40重量%の範囲にすることが好ましく、より好まし
くは、3〜35重量%の範囲とされる。2重量%より少
ない場合には、成形材料の取扱い性が低下し、かつ強化
繊維による補強硬化が十分でなく、成形品の割れや曲が
りが生じやすくなる。強化繊維の配合割合が40重量%
より多い場合には、成形材料の粘度が高くなり、成形材
料の流動性が低下する。
【0034】上記不飽和ポリエステル樹脂に混合される
硬化剤としては、ターシャリーブチルパーオキシイソブ
チレート、ターシャリーブチルパーオキシ2−エチルヘ
キサノエート、ターシャリーアミルパーオキシ2−エチ
ルヘキサノエート、2,4,4,−トリメチルペンチル
パーオキシ2−エチルヘキサノエート、ターシャリーブ
チルパーオキシピバレート、ターシャリーブチルパーオ
キシベンゾエート、ターシャリーブチルパーオキシイソ
プロピルカーボネート、ターシャリーブチルパーオキシ
3,5,5−トリメチルヘキサノエート、1,1−ビス
(ターシャリーブチルパーオキシ)3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド、メチ
ルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオ
キサイド等の有機過酸化物が使用される。
【0035】離型剤としてはステアリン酸亜鉛、ステア
リン酸カルシウム等が使用される。増粘剤としては、酸
化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウ
ム、酸化亜鉛等が使用される。
【0036】本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物
は、シート状にも、バルク状にも形成されるが、シート
状成形材料は、SMCまたはTMCと呼ばれ、公知の機
械を用いて成形される。例えばポリエチレンフィルム等
の離型シート上にドクターブレードを用いて、均一厚み
に不飽和ポリエステル樹脂組成物を塗布し、その面に強
化繊維を散布した後、同様に作製した離型シートに塗布
された不飽和ポリエステル樹脂組成物で強化繊維をサン
ドイッチし、ロールを用いて含浸させながらシート状に
することができる。
【0037】またバルク状成形材料は、BMCと呼ば
れ、ニーダー等の混合機で形成される。本発明の不飽和
ポリエステル樹脂組成物は、圧縮成形法に用いられ、こ
の場合の成形条件としては、例えば、成形温度が60〜
120℃、成形圧力が2〜30kg/cm2 程度とする
ことができる。
【0038】成形温度は、上記のように60〜120℃
程度とされ、より好ましくは、80〜110℃とされ
る。成形温度が60℃より低い場合には、成形加工時の
成形材料の流動性が低下したり、成形時間が大幅に長く
なったりする。また、成形温度が120℃より高い場合
には、成形加工時にエアーを巻き込みやすくなり、成形
品の表面性が低下したり、黄色に着色したりすることが
ある。また、成形温度が120℃より高くなると、安価
な成形型を使うことができなくなる。
【0039】成形圧力は、上記のように2〜30kg/
cm2 程度とされ、より好ましくは2.5〜20kg/
cm2 とされる。2kg/cm2 よりも圧力が低い場合
には、成形材料の流動性がかなり低下し、目的とする成
形品が得難くなり、また、ボイドを押し出したり、ボイ
ドを小さくしたりすることができなくなり、成形品の表
面性や物性が大きく低下する。また、成形圧力が30k
g/cm2 よりも高い場合には、耐久性のある金型等が
必要となり設備投資負担を軽減することができないた
め、本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物による効果
を得ることができなくなる。
【0040】
【作用】本発明で用いられる上記マイクロカプセル化さ
れた高流動化剤は、不飽和ポリエステル樹脂組成物中に
おいて常温では破壊しない。従って、常温ではマイクロ
カプセルが破壊しないため、成形材料にべたつき感が生
じず、保存や成形前の取扱い等に際しての不飽和ポリエ
ステル樹脂組成物のハンドリング等が良好に保たれる。
【0041】他方、圧縮成形条件下では、60〜120
℃、2〜30kg/cm2 程度の低温・低圧条件下にお
いても、マイクロカプセルが破壊し、内部の高流動化剤
が放出される。高流動化剤は、滑剤、可塑剤または分散
剤として作用し、放出された時点において不飽和ポリエ
ステル樹脂組成物の粘度を急激に低下させる。従って、
上記のような低温・低圧条件下においても、成形材料の
流動性が高められるため、所望通りの形状の成形品を圧
縮成形法により得ることができる。
【0042】
【実施例】以下、本発明の実施例及び比較例を説明する
ことにより、本発明を明らかにする。
【0043】実施例1 フマル酸、イソフタル酸及びプロピレングリコールから
なる不飽和ポリエステル45重量部と、ポリスチレン2
0重量部を、スチレン単量体35重量部に溶解し、不飽
和ポリエステル樹脂100重量部を得た。
【0044】高流動化剤としてポリオキシエチレントリ
デシルエーテルを用い、かつマイクロカプセル化材料と
してポリウレタンを用い、界面重合マイクロカプセル化
法によりマイクロカプセルを作製した。得られたマイク
ロカプセルの径は、40〜150μmの範囲にあり、マ
イクロカプセル化材料の壁膜の厚みは10〜40μmの
範囲であった。また、このマイクロカプセルは、常圧下
において、60℃では安定であるが、5〜10kg/c
2 の圧力下及び50〜80℃の温度下においては、マ
イクロカプセル壁膜が破壊され、内容物が放出されるこ
とを確かめた。
【0045】上記不飽和ポリエステル樹脂100重量部
に対し、上記マイクロカプセル7重量部を配合し、さら
に、平均粒径2μmの炭酸カルシウム140重量部、酸
化マグネシウム0.7重量部、有機過酸化物としてのタ
ーシャリーブチルパーオキシイソブチレートを1重量
部、ハイドロキノン0.03重量部、ステアリン酸亜鉛
5重量部を混合してなる混合物を得た。
【0046】上記混合物を、25mmのガラスチョップ
ドストランドに含浸し、ガラスチョップドストランドの
含有率が全体の20重量%となるようにし、ポリエチレ
ンフィルムで被覆し、SMCとした。
【0047】上記SMCを24時間の間、40℃の温度
で熟成し、しかる後ミニ浴槽(500mm×500mm
×300mmのサイズ)を圧縮成形法により成形した。
成形は、成形圧力を5kg/cm2 、金型温度は雄型及
び雌型のいずれも90℃とし、SMC2.3kgを金型
内にチャージし、加圧時間を7分として行った。
【0048】実施例2 ポリオキシエチレントリデシルエーテルの代わりにオレ
イン酸を用いたこと以外は実施例1と同様にして、成形
体を得た。
【0049】実施例3 ポリオキシエチレントリデシルエーテルの代わりにn−
オクチルアルコールを用いたこと以外は実施例1と同様
にして、成形体を得た。
【0050】比較例1 マイクロカプセル化したポリオキシエチレントリデシル
エーテルを添加しなかったこと以外は実施例1と同様に
して、成形体を得た。
【0051】比較例2 ポリオキシエチレントリデシルエーテルをマイクロカプ
セル化せずに5重量部加えたこと以外は実施例1と同様
にして、成形体を得た。
【0052】比較例3 マイクロカプセル化したポリオキシエチレントリデシル
エーテルの配合割合を0.05重量部に変更したこと以
外は実施例1と同様にして、成形体を得た。
【0053】比較例4 マイクロカプセル化したポリオキシエチレントリデシル
エーテルの配合割合を40重量部に変更したこと以外は
実施例1と同様にして、成形体を得た。
【0054】上記実施例1〜3及び比較例1〜4におけ
るSMCの取扱い性を、表面のべたつき感の有無により
評価した。また、得られた成形体から、SMCの金型へ
のチャージ面積率を下記の容量で評価した。
【0055】成形体のチャージ面積率(%)…上述のミ
ニ浴槽成形用金型の成形材料と接すべき部分の投影面積
に対する、成形材料の充填されていた部分の投影面積割
合を成形体のチャージ面積率として算出し、成形材料の
流動性の指標として用いた。
【0056】さらに、得られた各成形体の表面を目視に
より観察し、巣の有無について評価した。上記SMCの
取扱い性、成形体のチャージ面積率及び成形体の表面観
察についての結果を、下記の表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】表1から明らかなように、高流動化剤とし
てのポリオキシエチレントリデシルエーテルを配合して
いない比較例1では、チャージ面積率が55%と非常に
低く、かつ成形体表面に巣が発生していた。従って、高
流動化剤を含有していないため、上記のような低温・低
圧の圧縮成形条件下では、成形材料の流動性が十分でな
いことがわかる。
【0059】また、比較例2では、SMCの表面がべた
ついていた。これは、ポリオキシエチレントリデシルエ
ーテルがマイクロカプセル化されていないため、成形に
先立ち、成形材料のべたつきが生じているものと思われ
る。
【0060】さらに、比較例3では、チャージ面積率が
60%と低く、成形体表面に巣が発生していた。これ
は、マイクロカプセル化されたポリオキシエチレントリ
デシルエーテルの配合割合が0.05重量部と非常に低
いため、圧縮成形過程において成形材料の流動性が十分
に高められなかったためと考えられる。
【0061】さらに、比較例4では、SMCの取扱い性
及びチャージ面積率は十分であるものの、成形体の表面
に巣が発生していた。これは、マイクロカプセル化され
たポリオキシエチレントリデシルエーテルの配合割合が
40重量部と比較的多いため,ボイドの巻き込みにより
表面性状が悪化したものと考えられる。
【0062】上記比較例1〜4に対し、本発明の実施例
である実施例1〜3では、SMCの取扱い性、チャージ
面積率及び成形体の表面性のいずれにおいても良好な結
果を示した。これは、マイクロカプセル化されたポリオ
キシエチレントリデシルエーテル、オレイン酸またはn
−オクチルアルコールが、保存に際しては、マイクロカ
プセル化されているためSMCの取扱い性を悪化させる
ことがなく、かつ圧縮成形条件下ではマイクロカプセル
が破壊されて成形材料の流動性を十分に高めているため
と考えられる。
【0063】
【効果】本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物では、
常温で液体の非イオン界面活性剤、高級脂肪酸または高
級アルコールからなる高流動化剤がマイクロカプセル化
された状態で配合されているため、常温での取扱いに際
してはこれらの高流動化剤が作用しないため、常温にお
ける取扱い性が良好に保たれる。
【0064】他方、圧縮成形条件下においては、60〜
120℃、2〜30kg/cm2 の低温・低圧条件下に
おいても、上記マイクロカプセルが破壊し、高流動化剤
が放出される。従って、不飽和ポリエステル樹脂組成物
の流動性が急激に高められるため、上記のような低温・
低圧条件下においても金型内に成形材料が十分に行き渡
り、所望通りの形状の成形品を安定に得ることが可能と
なる。
【0065】よって、本発明によれば、従来の不飽和ポ
リエステル樹脂組成物を用いた圧縮成形法に比べてより
低い温度及び圧力で良好な品質の成形品を圧縮成形する
ことができるため、金型の投資負担を軽減することがで
き、かつ大型の成形機を確保したりする必要もなくな
る。従って、大型の成形品や多種多様な成形品を、安価
に提供することが可能となる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和ポリエステル樹脂100重量部
    と、 前記不飽和ポリエステル樹脂中に分散されており、かつ
    マイクロカプセル化された高流動化剤1〜30重量部と
    を含み、 前記高流動化剤が、常温で液体の非イオン性界面活性
    剤、高級脂肪酸または高級アルコールであることを特徴
    とする不飽和ポリエステル樹脂組成物。
JP10377895A 1995-04-27 1995-04-27 不飽和ポリエステル樹脂組成物 Pending JPH08295794A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007002153A (ja) * 2005-06-27 2007-01-11 Matsushita Electric Works Ltd 人造大理石用樹脂組成物
JP2007031184A (ja) * 2005-07-25 2007-02-08 Matsushita Electric Works Ltd 人造大理石用樹脂組成物

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007002153A (ja) * 2005-06-27 2007-01-11 Matsushita Electric Works Ltd 人造大理石用樹脂組成物
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