JPH1072645A - オゾン含有水用ステンレス鋼材およびその製造方法 - Google Patents
オゾン含有水用ステンレス鋼材およびその製造方法Info
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Abstract
食性に優れたステンレス鋼材およびその製造方法の提
供。 【解決手段】本発明の鋼材は、Cr:12〜30%、N
i:0〜35%、AlとSiを合わせて1〜6%含み、
こららの合金元素以外の元素の含有率をできるだけ低く
制限したステンレス鋼の母材の表面に、Al酸化物およ
びSi酸化物のうちの少なくとも一方を主体とする酸化
物皮膜を備えている。また、この鋼材を製造する場合の
母材表面への酸化物皮膜の形成方法は、高温酸化法と湿
式酸化法のいずれかによればよい。
Description
スなどで使用されるオゾン含有超純水等のオゾン含有水
に対する耐食性(以下、耐オゾン含有水性という)に優
れたステンレス鋼材およびその製造方法に関する。
化が進んでいる。そのために、超LSIと称されるデバ
イスでは、シリコンウエハ等の基板に対して、幅が1μ
m以下のような微細な配線パターンの加工が必要になっ
てきている。
塵が付着したり、微量の不純物ガスが付着すると、回路
のショート等が起こり回路不良の原因となる。したがっ
て、超LSIの製造プロセスにおいては、基板を加工す
る際に、このような汚染が起こらないようにさまざまな
対策が採られている。
するために、基板の加工はクリーンルーム内で行われ
る。クリーンルームの清浄さを確保するためには、室内
の空気が清浄でなければならないことはむろんのこと、
そこで使用されるガスおよび水なども高純度でなければ
ならない。このため、微粒子や不純物成分の少ない高純
度ガス、純水などが用いられる。特に純水は、通常、純
度の高い超純水が用いられている。
供給するための配管、配管部材および超LSI製造装置
の部材に対しては、それらの材料の表面や内部からの微
粒子や不純物成分の放出(以下、発塵と記す)およびガ
ス成分の放出が極力少ないことが要求されている。
管および部材には、フェライト系またはオーステナイト
系のステンレス鋼が使用されてきた。これらのステンレ
ス鋼材を高純度ガス用の配管として使用する場合には、
高純度ガスが汚染されないように、ステンレス鋼材にも
発塵を起こさないこと、水分の付着および吸着を起こさ
ないことが要求される。また、超純水用の配管等として
使用される場合には、金属イオンが溶出しにくいことも
要求される。
ステンレス鋼材には、通常、表面積ができるだけ少なく
なるように、その表面を平滑にする処置が施されてい
る。例えば、配管用の鋼管の内面は、JIS B 06
01に規定されている表面粗さの最大高さ(Rmax、
以下最大粗さと記す)が1μm以下程度に平滑化される
ことが多い。この内面の平滑処理には、通常、冷間抽伸
された鋼管や機械研磨した部材に、さらに電解研磨を施
す方法が採られている。しかし、この電解研磨法には、
研磨の際に電解液および電解条件の管理が難しいこと、
生産性が低いことといった問題点があり、その結果、鋼
材の製造コストの上昇を招いている。
ス鋼材であっても、その構成元素であるFe、Cr、N
iなどの金属イオンが超純水等の純水中で溶出すること
がある。この金属イオンの溶出を防止するために、以下
に示すようなさまざまな提案がなされてきた。
表面に酸化物等の皮膜を設けることである。
磨処理された母材の表面に膜厚75オングストローム以
上の非晶質酸化皮膜を備える半導体製造装置用ステンレ
ス鋼材が提案されている。また、特開平1−18094
6号公報には、特定の化学組成のフェライト系ステンレ
ス鋼管の内表面に、最大粗さ(Rmax)5μm以下の
不働態膜を備える超純水用配管材料が開示されている。
は、本発明者らのうちの一部の者によって、重量%で、
Ti:0.02〜1.0%およびAl:0.02〜1.
0%のうちの少なくとも1種を含み、最大粗さ(Rma
x)が1μm以下に平滑化処理された母材の表面に、T
i酸化物とAl酸化物の少なくとも一方を主体とする酸
化物皮膜を備える高純度ガス用オーステナイト系ステン
レス鋼材が提案されている。また、特開平7−6252
0号公報には、Siを0.5〜5.0重量%含有する母
材の表面に、Si酸化物を主体とする酸化物皮膜を備え
るクリーンルーム用オーステナイト系ステンレス鋼材が
提案されている。
7−60099号公報に、1〜6重量%のAlを含有す
るステンレス鋼を母材とし、その母材の表面に膜厚10
〜150オングストロームの緻密なAl酸化物皮膜を備
える超真空用材料が提案されている。このほか、本発明
者らは、特定の化学組成の母材の表面にAl系酸化物を
主体とする皮膜を生成させた耐酸化性に優れたオーステ
ナイト系ステンレス鋼を提案した(特開平6−2719
92号公報)。
材は、超純水の配管用、装置部材用、高純度ガス用、高
温用などの材料としては、ほぼ実用に耐えるものであっ
た。
るシリコンウエハ等の基板の洗浄には、オゾンを含有す
る洗浄水が用いられるようになってきた。
ンウエハ等の洗浄には、超純水または界面活性剤、酸、
アルカリ成分などを含有する超純水が用いられている。
しかし、このような洗浄水を用いる洗浄方法には、金属
成分は除去できても、有機物、なかでも薬品に対して比
較的安定な特性を持っている脂肪分が除去されにくいと
いう難点がある。また、洗浄水中の界面活性剤、酸およ
びアルカリ成分は、それ自体が不純物である。したがっ
て、シリコンウエハの表面に残留した洗浄水中の不純物
を除去するために、さらに高純度の超純水による”すす
ぎ”を行わなければならない。
近、オゾン(O3 )を含有する超純水(オゾン含有超純
水)によってシリコンウエハを洗浄する方法が試みられ
ている。オゾンは、漂白剤、殺菌剤として使用されてい
ることからもわかるように、強い酸化力を持っているの
で、金属をイオン化し、有機物を分解する作用がある。
そのため、オゾン含有超純水で洗浄すると、付着してい
る金属はイオン化されて除去され、有機物は分解されて
除去される。さらにオゾンは、洗浄後自己分解するた
め、シリコンウエハ上に汚染物として残留することがな
い。したがって、オゾン含有超純水で洗浄した場合に
は、”すすぎ”工程を省略することができるという利点
がある。
エハの洗浄に極めて有効である。しかし、オゾン含有超
純水による洗浄の場合には、オゾン含有超純水の供給な
どに用いられる配管や装置部材によって、オゾン含有超
純水が汚染されるという問題がある。このオゾン含有超
純水の汚染は、配管や装置部材として使用されるステン
レス鋼材がオゾン含有超純水によって腐食され、鋼材か
らFe、Cr、Niなどの金属イオンが溶出することに
起因している。
ガス用に開発されている前述のステンレス鋼材は、超純
水への金属イオンの溶出または発塵の防止にはほぼ良好
な性能を持っている。しかし、オゾン含有水への適用を
考慮して開発されたものではないので、オゾン含有水用
の材料として用いた場合、どの鋼材についても、Fe、
Cr、Niなどの金属イオンの溶出が起こり、実用に耐
えるものではなかった。
開平6−33264号公報などに提案されている鋼材の
場合には、その製造過程で電解研磨法による研磨処理が
必要である。そのために、前述のように、研磨処理に起
因する生産性の低下および鋼材の製造コストの上昇とい
う問題を避けることができない。
優れ、かつ安価に製造できるオゾン含有水用ステンレス
鋼材の開発の必要性が高まっている。このような鋼材
は、半導体製造以外の分野、例えば医薬品、医療などの
分野においても必要である。
で使用される超純水の配管用および装置部材用の素材と
して必要な強度を持っており、加工性にも優れている。
しかし、上述のように、現状では、オゾンを含む水に対
する耐食性(耐オゾン含有水性)に劣るという欠点があ
る。
水用の部材として使用されても金属イオンの溶出を起こ
すことがなく、安価に製造することができる耐オゾン含
有水性に優れたステンレス鋼材とその製造方法を提供す
ることを目的としている。
(1)のオゾン含有水用ステンレス鋼材および下記
(2)のその製造方法にある。
表面に、Al酸化物およびSi酸化物のうちの少なくと
も一方を主体とする酸化物皮膜を備えているステンレス
鋼材。重量%で、Cr:12〜30%、Ni:0〜35
%、Al+Si:1〜6%、Mo:0〜3%、B+La
+Ce:0〜0.01%、Cu:0.1%以下、Nb+
Ti+Zr:0.1%以下、C:0.03%以下、M
n:0.2%以下、P:0.03%以下、S:0.01
%以下、N:0.05%以下、O:0.01%以下、残
部:Feおよび不可避的不純物。
材がステンレス鋼であるとともに、AlとSiを合わせ
て1〜6%含み、その他の合金元素ができるだけ低く制
限されている。さらに、母材の表面に、母材中のAlと
Siによって形成されたAl酸化物とSi酸化物のうち
の少なくとも一方を主体とする酸化物皮膜を備えること
を特徴としている。
Ni含有率が重量%で0〜5%のフェライト系ステンレ
ス鋼材、母材のCr、NiおよびSi含有率が重量%で
Cr:12〜25%、Ni:14〜35%、Si:0.
2%以下で、酸化物皮膜がAl酸化物であるオーステナ
イト系ステンレス鋼材などが実用上もっとも好適であ
る。
分な性能を持っているが、さらに好ましい条件は、JI
S B 0601に規定されている表面の最大高さ(R
max、最大粗さと記す)が3μm未満、酸化物皮膜の
厚さが5nm以上500nm以下および皮膜の酸化物が
Al酸化物、特にαAl2O3であることである。
場合、母材の表面への酸化物皮膜の形成は、つぎの(a)
〜(c)のいずれかの方法によればよい。
せたガスの分圧が10-11 MPa以上10-5MPa以下
の弱酸化性雰囲気下で、600℃以上1200℃以下に
加熱する。
以下の硝酸水溶液に浸漬する。
電解する。
造方法によって得られるステンレス鋼材は、オゾン含有
水中への母材の金属イオンの溶出を防止する効果が大き
いAl酸化物とSi酸化物の少なくとも一方を主体とす
る皮膜を備えている。本発明の酸化物皮膜が、特に耐オ
ゾン含有水性に有効なのは、これらの酸化物がオゾン含
有水の特徴である高い酸化還元電位においても安定であ
ることが挙げられる。さらに、Cr、Ni、Al、Si
等必要な元素以外の合金元素が低く制限されているの
で、Al酸化物とSi酸化物以外の金属イオンの溶出防
止効果をさげるような酸化物が形成されにくいことがあ
げられる。
も、腐食の起点および微粒子の発生等の原因になるS、
C、Mn、N、Pなどの元素が少ない。したがって、本
発明の鋼材は、耐食性に優れるほか、発塵も少ないとい
う特長を持っている。
ンレス鋼を母材として、その表面に酸化物皮膜を形成さ
せた鋼材を作製し、それらの鋼材について、オゾンを含
む超純水中での金属イオンの溶出挙動を調査した。その
結果得られた下記の〜の知見を基に本発明を完成さ
せた。
理する条件を変えて酸化させることにより、組成の異な
る酸化物皮膜を形成させた。
物皮膜は、鋼中に含有されるAlまたはSiを優先的に
酸化させることによって形成されるAl酸化物とSi酸
化物のいずれかまたは両者で構成された皮膜である。こ
の酸化物皮膜は、オゾン含有水に対して化学的に安定で
あり、ほとんど反応しない。また、母材の合金元素がオ
ゾン含有水中へ溶出するのを防止する効果が特に顕著で
ある。そのために、鋼材がオゾン含有水に接しても、金
属イオンの溶出が起こりにくい。
粒子の発生(発塵)を抑制するためには、C、Si、M
n、P、S、Cu、N、O(酸素)などの少量含まれる
元素(以下、これらの元素をまとめて不純物元素と記
す)の含有率を低く制限する必要がある。上記の酸化物
皮膜と不純物元素の含有率の制限の組み合わせが、オゾ
ン含有水中における鋼材からの金属イオンの溶出および
発塵の防止に特に有効である。
ーステナイト系等のいずれのステンレス鋼に対しても有
効である。
酸化性雰囲気下での加熱によって容易に形成させること
ができる。このほか、硝酸溶液への浸漬、陽極電解等の
処理によっても形成させることができる。
の表面に、母材中に含有されているAlとSiの少なく
とも一方が酸化されて形成されたAl酸化物とSi酸化
物のいずれかまたは両者を主体とする酸化物皮膜[以
下、単に(Al、Si)酸化物皮膜と記す]を備えてい
ることである。
l酸化物で構成されているのが望ましい。酸化物中のS
i酸化物とAl酸化物の割合が多いほど、耐オゾン含有
水性がよい。したがって、Al酸化物とSi酸化物を合
わせた酸化物の割合は、(Al、Si)酸化物中のAl
とSiの合計が、酸化物皮膜中の全金属元素に対して6
0原子%以上に相当することが好ましい。さらに好まし
いのは80原子%以上である。Al酸化物とSi酸化物
以外の酸化物には、Cr酸化物、Fe酸化物などが挙げ
られる。ただし、上述のように、これらの酸化物はでき
るだけ少ない方がよい。
の耐オゾン含有水性を向上させるのに優れた効果を持っ
ている。ただし、両者を比較すると、Al酸化物の方が
その効果が大きい。したがって、酸化物皮膜中の酸化物
としては、Si酸化物を含まないAl酸化物主体の方が
より好ましい。Al酸化物、すなわちアルミナ(Al2
O3)には、α、θ、γおよびδ型があるが、そのなか
でも、特にα型(αAl2O3)がもっとも好ましい。
わち酸化物皮膜の表面粗さは、最大粗さ(Rmax)で
3μm未満が望ましい。Rmaxが3μm以上の場合に
は、ステンレス鋼材の製造過程および鋼材を製品に加工
し使用するまでの間で、海塩粒子、塵などの異物が表面
に付着しやすいためである。鋼材の表面にこれらの異物
が付着すると、発塵の原因になるほか、鋼材の耐オゾン
含有水性を悪くする原因にもなる可能性がある。
が望ましい。厚さが5nmに満たない場合には、十分な
耐オゾン含有水性が得られない。また、厚さが500n
mを超えると皮膜が厚くなるとともに膜質が低下するた
め、十分な耐オゾン含有水性が得られない。酸化物皮膜
のさらに好ましい厚さは、10〜300nmである。
りである。なお、各元素の含有率の%表示は、重量%を
意味する。
元素である。Crは鋼材が使用される環境下でのステン
レス鋼としての耐食性を確保するために必要である。さ
らに、Crを含有させることによって、純水等の中性の
水溶液中およびクリーンルームの雰囲気中での錆の発生
を防止することができる。このようなCrの効果を発揮
させるためには、12%以上含有させる必要がある。
母材の熱間加工性が悪くなる。また、ステンレス鋼材を
溶接した際に、溶接部にシグマ相などのCrを含む金属
間化合物が析出しやすいため靭性が低下する。したがっ
て、Crの含有率は、12〜30%とした。好ましく
は、18〜25%である。
ステナイト系ステンレス鋼の場合には、熱間加工性と溶
接部の靱性の観点から、Crの含有率の上限は25%と
するのが好ましい。
作用があり、また、安定なオーステナイト組織を得るの
にも有効な元素である。本発明のステンレス鋼材では、
必要に応じてNiを含有させる。
ナイト系のいずれでもよい。ただし、フェライト系およ
びオーステナイト系のような単一相の方が、2相系より
均一な酸化物皮膜を生成させやすいという特長がある。
性を向上させるために、Niを0〜5%含有させるのが
よい。Ni含有率が5%を超えると母材は2相系になる
ので、酸化物皮膜を形成させる際に、処理条件の管理を
より正確に行う必要があるからである。
安定なオーステナイト組織を得るために、Niは14%
以上含有させるのが好ましい。一方、35%を超えて含
有させると、NiとAlからなる金属間化合物が析出す
るため、母材の熱間加工性および靭性が低下する。した
がって、Ni含有率は14〜35%がよい。オーステナ
イト系の場合の好ましい含有率は18〜25%である。
ステンレス鋼材にとって、もっとも特徴的で重要な合金
元素である。すなわち、本発明のステンレス鋼材の特徴
は、母材のステンレス鋼の表面に、母材中に含有するA
lとSiの少なくとも一方が酸化されて形成された(S
i、Al)酸化物皮膜を備えている。
酸化物皮膜中の全金属元素に占めるAlとSiを合わせ
た割合が、60原子%以上であることが望ましい。母材
のAlとSiの含有率の合計が1%未満の場合には、酸
化物中に占めるAl酸化物とSi酸化物の割合が少なす
ぎて、上記の条件を満足させることができない。そのた
めに、ステンレス鋼材に十分な耐オゾン含有水性を持た
せることができない。
超えると、母材の靱性が低下する傾向がある。また、オ
ーステナイト系の場合には、NiとAlからなる金属間
化合物が析出するため、母材の熱間加工性と靭性が低下
する。
1〜6%とした。なお、耐オゾン含有水性を高めるとと
もに良好な熱間加工性と靭性を確保するために、Alと
Siの含有率の合計を1〜4%とすることが好ましい。
さらに好ましくは、2〜4%である。
較した場合、Al酸化物の方がさらに耐オゾン含有水性
に優れている。したがって、酸化物皮膜としては、Al
酸化物の方がより好ましい。皮膜中にSi酸化物を含め
ない場合には、Si含有率は低い方がよい。この場合の
Si含有率は0.2%以下とするのが好ましい。
ある。Moは耐オゾン含有水性を高める作用を持ってい
るので、この効果をいっそう高める場合に添加する。M
oの効果を発揮させるためには、0.3%以上の含有さ
せるのが好ましい。しかし、含有率が3%を超えると、
MoとSiとの金属間化合物が析出しやすくなるので、
母材の靭性が低下する。したがって、Moの含有率は0
〜3%とした。Moを添加する場合には、含有率を0.
01〜3%とするのがよい。
は、必要に応じて添加する元素である。これらの元素
は、母材の靱性や熱間加工性を向上させる作用をもって
いる。本発明のステンレス鋼材では、AlおよびSi含
有率が高めで、Niが高めな場合には、靱性や熱間加工
性をさらに向上させる方が熱間加工が容易な場合があ
る。このような場合には、B、LaおよびCeのうちの
少なくともひとつの元素を添加するのがよい。これらの
元素が添加されると、PやSの結晶粒界への偏析および
結晶粒の粗大化が抑制されるので、靱性および熱間加工
性が改善される。
は、B、LaおよびCeを合わせて0.003%以上含
有させるのがよい。ただし、Bが過剰な場合はCr炭化
物の析出が多くなるため、鋭敏化が進み母材の耐食性が
低下する。また、LaおよびCeが過剰な場合には、こ
れらの酸化物が増加するため熱間加工性が低下する。し
たがって、B、LaおよびCeの含有率の合計の上限は
0.01%とするのがよい。
有率の合計は0〜0.01%とした。添加する場合の好
ましい含有率は、0.003〜0.01%、さらに好ま
しくは0.003〜0.008%である。
ン溶出の一因となることがあるので、Cuの含有率は低
く制限するのがよい。したがって、Cuは0.1%以下
とするのがよい。
Zrはいずれも酸化されやすい元素である。そのため、
これらの元素が鋼中に存在すると、これらの元素の酸化
物が生成し、その酸化物が鋼材の酸化物皮膜中に混入す
る。すなわち、生成する酸化物皮膜中の全金属元素に占
めるAlとSiの割合が60原子%を下回るようにな
る。その場合には、鋼材の耐オゾン含有水性が悪くな
る。特に、Nb、TiおよびZrの含有率の合計が0.
1%を超える場合には、耐オゾン含有水性の低下が著し
い。
率の合計を0.1%以下とした。好ましくは0.05%
以下である。
ンレス鋼材を溶接した際に、溶接部にCr炭化物が生成
しやすいので、結晶粒界近傍のCr含有率が低下する。
そのため、耐錆性および耐粒界腐食性が著しく低下す
る。また、酸化物皮膜を形成させるための処理の1つで
ある加熱処理の際に、炭化物を生成し、耐錆性および耐
粒界腐食性が著しく低下することがある。Cはできるだ
け少ない方がよいので、Cの含有率は0.03%以下と
した。好ましくは0.02%以下である。
皮膜の生成を阻害し、耐オゾン含有水性を悪くする。ま
た、Mnは、鋼材が溶接された際に、溶接部の表面に優
先的に濃化し、鋼材の耐錆性および耐孔食性を著しく悪
くする。したがって、Mn含有率は低い方がよい。ただ
し、Mnはステンレス鋼の熱間加工性を向上させる作用
を持っているので、その効果を得る場合には少量添加し
てもよい。
考慮して、Mnの含有率を0.2%以下とした。好まし
くは、0.05%以下である。
含有率は低い方がよい。特に、P含有率が0.03%を
超えると、溶接性が著しく悪くなる。したがって、P含
有率を0.03%以下とした。好ましくは、0.02%
以下である。
非金属介在物となる。硫化物系の非金属介在物が酸化物
皮膜中に存在すると皮膜の欠陥となり、耐オゾン含有水
性を低下させる。また、この非金属介在物は、母材表面
の平滑度を低下させる一因になるとともに、鋼材の腐食
の起点にもなる。さらに、この非金属介在物は、鋼材が
半導体製造装置の配管などとして使用された際に微粒子
(塵)となり、シリコンウエハ等の基板を汚染させる原
因にもなる。このように、Sはできるだけ低い方がよい
ので、S含有率は0.01%以下とした。好ましくは、
0.005%以下、さらに好ましくは0.002%以下
である。
を形成するほか、CとともにCr、Ti、Nbなどと結
合して炭窒化物を形成しやすい。これらの非金属介在物
は、硫化物系の非金属介在物と同様に、微粒子を発生さ
せる原因となる。また、Al酸化物皮膜の形成に必要な
Alの量を減少させるので、耐オゾン含有水性の低下を
招く。このように、N含有率はできるだけ低い方がよい
ので、N含有率は0.05%以下とした。好ましくは
0.03%以下である。
系の非金属介在物として存在する。酸化物系の非金属介
在物は、前述の硫化物系の非金属介在物と同様に、酸化
物皮膜の欠陥となり、耐オゾン含有水性を低下させる。
また、この非金属介在物は、配管等として使用される際
の鋼材からの微粒子の発生(発塵)の原因にもなる。こ
のように、O含有率は低い方がよいので、0.01%以
下とした。好ましくは、0.002%以下である。
け平滑であることが好ましい。酸化物皮膜の厚さは前述
のように、500nm以下程度で極めて薄いので、鋼材
の表面を平滑にするためには、酸化物皮膜を形成させる
前に、母材の表面を平滑にしておけばよい。
を行う前に、母材の表面に研磨処理を施すのがよい。こ
の場合、前述のように、酸化物皮膜が形成された鋼材の
表面粗さがRmaxで3μm未満が好ましいので、母材
の表面の最大粗さ(Rmax)も3μm未満にしておく
のがよい。
Rmaxで3μm未満程度でよいので、Rmaxで1μ
m以下に仕上げる場合に用いられる電解研磨法を用いる
必要はない。ホーニング、ラッピングなどの機械研磨法
やバフ研磨法によって研磨することができる。
化されやすい合金元素より優先的に酸化させることによ
って形成された(Si、Al)酸化物皮膜を備えること
を特徴としている。鋼中の他の合金元素の酸化を抑制し
て、Al、Siを優先的に酸化させる本発明の製造方法
には、高温酸化法と湿式酸化法がある。
る。
のAlとSiを優先的に酸化させるためには、酸素と水
蒸気を分圧の和で10-11 〜10-5MPa含有する不活
性ガス雰囲気、水素雰囲気または真空雰囲気等の弱酸化
性雰囲気中で、600〜1200℃に加熱するのがよ
い。酸素と水蒸気のいずれか一方のみを含む場合も、そ
の分圧は10-11 〜10-5MPaでよい。
和で10-11 〜10-5MPa含有する不活性ガス、水素
または真空等の弱酸化性雰囲気とする理由はつぎのとお
りである。
未満の場合には、AlとSiが十分に酸化しないので、
耐オゾン含有水性を発揮させるのに必要な酸化物皮膜が
形成されない。一方、酸素と水蒸気の分圧の和が10-5
MPaを超えると、Cr、FeなどAlとSi以外の元
素が酸化されやすくなる。そのために、酸化物皮膜中の
Cr酸化物、Fe酸化物等の割合が増加し、耐オゾン含
有水性が悪くなる。また、表面の平滑性も悪くなる傾向
があり、Rmaxで3μm未満の表面粗さが得られな
い。なお、酸素と水蒸気の分圧の和の好ましい範囲は1
0-8 〜10-5MPaである。
とSiが十分に酸化されない。一方、加熱温度が120
0℃を超えると、CrやFeなどのAl、Si以外の元
素も酸化されるので、酸化物皮膜中のCr酸化物および
Fe酸化物の割合が増加する。さらに、表面の平滑性も
低下する。したがって、加熱温度が600℃未満の場
合、1200℃を超える場合のいずれにおいても、鋼材
に良好な耐オゾン含有水性を持たせることができる酸化
物皮膜を形成させることができない。なお、加熱温度は
850〜1100℃の範囲とすることが好ましい。
ましい。上記の条件で加熱を行った場合でも、加熱時間
が5分に満たない場合には、酸化物皮膜を十分に形成さ
せにくい。一方、加熱時間が2時間を超えると、生産性
の低下を招く。加熱時間は5分〜1時間とすることがよ
り好ましい。
範囲の化学組成のステンレス鋼に対して、同じ条件で適
用することが可能である。
陽極電解法がある。
適当である。この場合の溶液中の硝酸の濃度は、5〜5
0重量%とするのがよい。この濃度範囲の場合には、鋼
中のAlとSiを優先的に酸化させることができる。
には、Al、Si以外のCr、Feなどの元素も酸化さ
れやすい。したがって、酸化物皮膜中のこれらの元素の
酸化物の割合が高くなる。一方、硝酸の濃度が50重量
%を超えると、鋼材が硝酸によって腐食される。そのた
め、表面の平滑性が悪くなり、Rmaxで3μm以上に
なることがある。
は10分〜5時間とすることが好ましい。硝酸溶液の温
度が20℃未満の場合には、酸化物皮膜の形成速度が遅
く、酸化処理に長時間を要する。一方、溶液の温度が9
0℃を超えると、硝酸溶液から硝酸の蒸気が激しく放散
されるようになるので、硝酸溶液の硝酸濃度が低くな
る。さらに、作業環境が極めて悪くなる。なお、硝酸溶
液の温度は40〜70℃とすることがより好ましい。
には、酸化物皮膜が十分に生成しない。一方、硝酸溶液
への浸漬時間が5時間を超える場合は、生産性の低下を
招く。なお、硝酸溶液への浸漬時間は30分〜3時間と
することがより好ましい。
量%の硫酸水溶液のようなpHが1以下の酸性溶液中で
陽極電解するのがよい。
を超える場合には、Cr、FeなどAlおよびSi以外
の元素も酸化されやすい。そのため、酸化物皮膜中のC
r酸化物、Fe酸化物等の割合が高くなる。
も溶解速度が一定となるように電位制御をすることが好
ましい。この電位制御は、例えば、基準電極として飽和
カロメル電極(SCE)を用い、基準電極に対する電位
を制御することによって実施できる。この場合、電位は
0.2〜1.5V(vsSCE)、電解液の温度は20〜
90℃、処理時間は10分〜5時間とすることが好まし
い。
ても、SCEに対する電位が0.2V未満の場合には、
鋼中のSiおよびAlの溶解速度が小さいため、十分な
酸化物皮膜が得られない場合がある。一方、SCEに対
する電位が1.5Vを超えると、酸化物皮膜が多孔質と
なる。また、酸化物皮膜中のSi酸化物およびAl酸化
物の割合が低くなる。なお、SCEに対する電位は0.
4〜1.0Vとすることがより好ましい。
20℃未満の場合には酸化物皮膜が十分に形成されな
い。一方、90℃を超えると、電解液から硫酸等の溶媒
の蒸気が激しく放散するようになるので、電解液のpH
が低下する。さらに、作業環境が極めて悪くなる。な
お、電解液の温度は40〜70℃とすることがより好ま
しい。
い。10分未満の場合には、酸化物皮膜を十分に形成さ
せることができない。一方、5時間を超えると、生産性
の低下を招く。なお、陽極電解の処理時間は30分〜3
時間とすることがより好ましい。
系ステンレス鋼をおもな母材とするステンレス鋼材につ
いて調査を行った。
組成を備えたステンレス鋼a〜lそれぞれ50kgを真
空溶解炉を用いて溶解し、鋼塊に鋳造した。鋼a〜hは
本発明例であり、そのうち鋼a〜gはフェライト系、鋼
hは2相系である。また、鋼i〜lは化学成分のいずれ
かが本発明で規定する含有率の範囲から外れた比較例で
あり、そのうち鋼i〜kはフェライト系、鋼lはJIS
G 4303に規定されているオーステナイト系のS
US316L相当材である。
間圧延し、その後、冷間圧延を行って厚さ2mmの板材
に加工した。さらに、この母材である板材に960℃で
10分間保持した後水冷する溶体化熱処理を施した。
mm、長さ50mm、厚さ1mmの試験片を採取し、全
面にバフ研磨を施して、鏡面(Rmaxで0.3〜0.
5μm)に仕上げた。さらに、この試験片に高温酸化法
または湿式酸化法によって酸化処理を行い、母材である
板材の表面に酸化物皮膜を形成させた。高温酸化法の場
合の雰囲気条件を表2に示す。高温酸化法の加熱時間
は、いずれの場合も2時間とした。また、湿式酸化法の
場合の処理条件を表3に示す。なお、湿式酸化法につい
ては、酸溶液浸漬法および陽極電解法の2つの方法を試
験した。陽極電解法による酸化処理の場合には、電極の
表面積が変化しても溶解速度が一定となるように電位制
御を行った。すなわち、基準電極として飽和カロメル電
極(SCE)を用いて、この電極に対する電位を制御し
て陽極電解した。湿式酸化法の場合、処理後の試験片を
超純水で洗浄し、その後99.999体積%のアルゴン
ガスにより乾燥させた。
中の酸化物の種類、酸化物皮膜中の全金属元素に占める
AlおよびSiの割合と皮膜厚さおよび耐オゾン含有水
性を調査した。
用いて、皮膜中に含まれる化合物のの結晶構造を調べる
ことによってAl2O3、SiO2 等の存在を判断する方
法で調査した。
よびSiの割合と皮膜厚さは、2次イオン質量分析法に
よって、表面から深さ方向の各位置での元素分析を行う
方法によって調査した。スパッタリングには窒素ガスイ
オンを用いた。
た。まず、比抵抗16MΩcmの超純水50mlに試験
片を浸漬した状態で、オゾン110g/m3 含む80℃
の酸素雰囲気中で100時間保持した。この場合、超純
水は約7mg/lのオゾンを含むオゾン含有水になる。
つぎに、このオゾン含有水を誘導結合プラズマイオン質
量分析法により定量分析し、オゾン含有水中に溶出した
金属イオン量(Feイオン、Crイオン、Niイオン、
SiイオンおよびAlイオンの総和)を求めた。この結
果を基に、試験片の端面を含む見かけ上の表面積当たり
の金属イオン溶出量に換算し、耐オゾン含有水性を評価
した。溶出量が0.5mg/m2 未満の場合は良好、
0.5mg/m2 以上2.0mg/m2 未満の場合は普
通、2.0mg/m2 以上の場合は不良とした。なお、
表2には、それぞれ、○、△、×で表示した。
よび耐オゾン含有水性の調査結果をまとめて表4に示
す。なお、表4における酸化処理条件A〜Kは、表2に
示した高温酸化雰囲気条件(A〜F)と表3に示した湿
式酸化法による処理条件(G〜K)を意味する。
含有率が1%以上、試験No.4〜7は鋼中のAl含有
率が1%以上で、いずれもSiとAlを合わせた含有率
が本発明で規定する1〜6%を満足している。さらに、
酸化物皮膜の形成条件も、本発明の製造方法で規定する
条件を満足している。したがって、酸化物皮膜中の酸化
物の種類がSiO2 、Al2O3またはその両者となって
おり、その両者を合わせた割合が、皮膜中の全金属元素
に対して62〜92原子%と高かった。また、耐オゾン
含有水性にも優れていた。なお、酸化物皮膜の厚さ(酸
化物皮膜中の全金属元素の占めるSiおよびAlを合わ
せた割合が60原子%以上の領域)は、本発明例の場合
は16〜43nmの範囲であった。
は、酸化処理温度を650℃から1080℃の範囲で変
えた場合、試験No.11および12は、雰囲気を酸素
および水蒸気が存在するアルゴンまたは真空雰囲気とし
た場合である。いずれの試験においても、上述のよう
に、酸化物皮膜、耐オゾン含有水性ともに良好であっ
た。
6.03%とフェライト系よりやや高めの例である。ま
た、試験No.14と15は湿式法によって酸化物皮膜
を形成させた場合である。これらの場合には、酸化物皮
膜、耐オゾン含有水性ともに良好であった。
o.18を除く16〜24については、いずれも、酸化
物皮膜中のSiとAlの割合が少なく、耐オゾン含有水
性に劣っていた。その原因は、試験No.16、17お
よび19はSiとAlの含有率が低くすぎたためであ
り、試験No.20〜24は、酸化物皮膜の形成条件が
本発明で規定する条件を満足していないためである。試
験No.18は、母材のSiとAlを合わせた含有率が
高すぎる例である。この場合には、母材の熱間加工性が
悪く、熱間加工の際に割れが発生したため、その後の試
験を行うことができなかった。
組成を備えたオーステナイト系のステンレス鋼a〜o
を、真空溶解炉を用いてそれぞれ50kgを溶解し、鋼
塊に鋳造した。鋼a〜jは本発明例であり、いずれもオ
ーステナイト系ステンレス鋼である。また、鋼k〜oは
いずれかの化学成分が本発明で規定する含有率の範囲か
ら外れた比較例であり、いずれもオーステナイト系ステ
ンレス鋼である。そのうち鋼oはJIS G 4303
に規定されているSUS316L相当材である。
板材に加工し、固溶化熱処理を施した。ただし、溶体化
熱処理温度は1150℃とした。
mm、長さ50mm、厚さ1mmの試験片を採取し、全
面にバフ研磨を施して、鏡面(Rmaxで1.6μm)
に仕上げた。さらに、この試験片に高温酸化法または湿
式酸化法によって酸化処理を行い、母材である板材の表
面に酸化物皮膜を形成させた。高温酸化法の場合の雰囲
気条件は表2に、湿式酸化法の場合の処理条件は表3に
示した。それぞれの場合の酸化処理方法は、実施例1の
場合と同じである。
中の酸化物の種類、酸化物皮膜中の全金属元素に占める
AlおよびSiの割合と皮膜厚さおよび耐オゾン含有水
性を調査した。調査方法は、ほぼ実施例1の場合と同じ
である。実施例1の場合と相違する点は、耐オゾン含有
水性の試験条件のうち、超純水の比抵抗が17MΩcm
であること、試験片を超純水に浸漬した状態で保持する
条件がオゾンを110mg/m3 含む40℃の酸素雰囲
気中で240時間であることの2点である。
よび耐オゾン含有水性の調査結果をまとめて示す。な
お、表6における酸化処理条件A〜Kは、表2に示した
高温酸化雰囲気条件(A〜F)と表3に示した湿式酸化
法による処理条件(G〜K)を意味する。
中のAl含有率が1%以上、試験No.8および10は
鋼中のSi含有率が1%以上で、いずれもSiとAlを
合わせた含有率が本発明で規定する1〜6%を満足して
いる。さらに、酸化物皮膜の形成条件も、本発明の製造
方法で規定する条件を満足している。したがって、酸化
物皮膜中の酸化物の種類がAl2O3、SiO2 またはそ
の両者となっており、その両者を合わせた割合が、皮膜
中の全金属元素に対して68〜93原子%と高かった。
また、耐オゾン含有水性にも優れていた。なお、酸化物
皮膜の厚さ(酸化物皮膜中の全金属元素に対するSiお
よびAlを合わせた割合が60原子%以上の領域)は、
15〜26nmであった。
650℃から1080℃の範囲で変えた場合の高温酸化
法、試験No.14および15は硝酸浸漬法、試験N
o.16は陽極電解法によって酸化物皮膜を形成させた
場合である。いずれの試験においても、酸化処理条件が
本発明で規定する条件を満足しているので、酸化物皮膜
の酸化物の種類と厚さおよび耐オゾン含有水性が良好で
あった。
o.21を除く17〜27については、いずれも、酸化
物皮膜中のSiとAlの割合が少なく、耐オゾン含有水
性に劣っていた。その原因は、試験No.17〜21は
母材のいずれかの化学成分が、本発明で規定する範囲を
外れているためである。また、試験No.22〜27
は、酸化物皮膜の形成条件が本発明で規定する条件を満
足していないためである。試験No.21は、母材のS
iとAlを合わせた含有率が高すぎる例である。この場
合には、母材の熱間加工性が悪く、熱間加工の際に割れ
が発生したため、その後の試験を行うことができなかっ
た。
製造方法によって得られるステンレス鋼材は、耐オゾン
含有水性に優れているとともに、鋼材からの微粒子の発
生(初塵)が少ない。さらに、安いコストで製造するこ
とができる。したがって、本発明のステンレス鋼材は、
オゾンを含む超純水等が使用される半導体製造、医薬品
製造等の分野で使用される配管、装置用の部材として極
めて好適である。
Claims (6)
- 【請求項1】下記の化学組成で構成される母材の表面
に、Al酸化物およびSi酸化物のうちの少なくとも一
方を主体とする酸化物皮膜を備えるオゾン含有水用ステ
ンレス鋼材。重量%で、Cr:12〜30%、Ni:0
〜35%、Al+Si:1〜6%、Mo:0〜3%、B
+La+Ce:0〜0.01%、Cu:0.1%以下、
Nb+Ti+Zr:0.1%以下、C:0.03%以
下、Mn:0.2%以下、P:0.03%以下、S:
0.01%以下、N:0.05%以下、O:0.01%
以下、残部:Feおよび不可避的不純物。 - 【請求項2】母材のNi含有率が重量%で0〜5%であ
る請求項1に記載のオゾン含有水用ステンレス鋼材。 - 【請求項3】母材のCr、NiおよびSi含有率が、重
量%で、Cr:12〜25%、Ni:14〜35%、S
i:0.2%以下であり、酸化物皮膜がAl酸化物であ
る請求項1に記載のオゾン含有水用ステンレス鋼材。 - 【請求項4】請求項1から3のいずれかに記載の化学組
成で構成される母材を、酸素ガスおよび水蒸気を合わせ
たガスの分圧が10-11 MPa以上10-5MPa以下の
弱酸化性雰囲気下で、600℃以上1200℃以下に加
熱することにより、母材の表面に、Al酸化物およびS
i酸化物のうちの少なくとも一方を主体とする酸化物皮
膜を形成させるオゾン含有水用ステンレス鋼材の製造方
法。 - 【請求項5】請求項1から3のいずれかに記載の化学組
成で構成される母材を、重量%で濃度5%以上50%以
下の硝酸水溶液に浸漬することにより、母材の表面にA
l酸化物およびSi酸化物のうちの少なくとも一方を主
体とする酸化物皮膜を形成させるオゾン含有水用ステン
レス鋼材の製造方法。 - 【請求項6】請求項1から3のいずれかに記載の化学組
成で構成される母材を、pHが1以下の溶液中で陽極電
解することにより、母材の表面にAl酸化物およびSi
酸化物のうちの少なくとも一方を主体とする酸化物皮膜
を形成させるオゾン含有水用ステンレス鋼材の製造方
法。
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JP2002060924A (ja) * | 2000-08-23 | 2002-02-28 | Nippon Yakin Kogyo Co Ltd | 絶縁層を有するステンレス鋼 |
JPWO2002048416A1 (ja) * | 2000-12-14 | 2004-04-15 | 清水 義之 | 高珪素ステンレス鋼 |
JP2011052268A (ja) * | 2009-09-01 | 2011-03-17 | Hino Motors Ltd | フェライト系ステンレス鋼及びその耐食性向上方法 |
JP2011153352A (ja) * | 2010-01-27 | 2011-08-11 | Nisshin Steel Co Ltd | 塗膜密着性に優れた表面改質鋼板の製造方法 |
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1997
- 1997-05-12 JP JP12080797A patent/JP3596234B2/ja not_active Expired - Fee Related
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