JPH09143614A - 耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼 - Google Patents
耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼Info
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- JPH09143614A JPH09143614A JP30601895A JP30601895A JPH09143614A JP H09143614 A JPH09143614 A JP H09143614A JP 30601895 A JP30601895 A JP 30601895A JP 30601895 A JP30601895 A JP 30601895A JP H09143614 A JPH09143614 A JP H09143614A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】耐食性に優れた表面酸化皮膜を持ち、特に20
0〜400℃の高温環境での耐食性劣化の少ないフェラ
イト系ステンレス鋼を提供する。 【解決手段】フェライト系ステンレス鋼の仕上焼鈍の際
に、濃化の最も大きい部分の濃度が基材の濃度と比較し
てCrについては2倍以上、Siについては5倍以上で
あるCr,Si及びBが濃化した酸化皮膜を生成させ
る。
0〜400℃の高温環境での耐食性劣化の少ないフェラ
イト系ステンレス鋼を提供する。 【解決手段】フェライト系ステンレス鋼の仕上焼鈍の際
に、濃化の最も大きい部分の濃度が基材の濃度と比較し
てCrについては2倍以上、Siについては5倍以上で
あるCr,Si及びBが濃化した酸化皮膜を生成させ
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐食性に優れた表面
酸化皮膜を有するフェライト系ステンレス鋼に関わるも
のであり、特に200〜400℃の高温環境で使用され
る場合の耐食性の劣化の少ないことを特徴とするもので
ある。これは、例えば給湯器や自動車排気系材料などで
の使用に対して有効である。
酸化皮膜を有するフェライト系ステンレス鋼に関わるも
のであり、特に200〜400℃の高温環境で使用され
る場合の耐食性の劣化の少ないことを特徴とするもので
ある。これは、例えば給湯器や自動車排気系材料などで
の使用に対して有効である。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車排気系部品、家庭用電気機
器、厨房器具、建築用材料などに耐食性、耐熱性の優れ
るフェライト系ステンレス鋼の需要が高まっており、例
えば、従来、Alめっき鋼が使用されていた自動車マフ
ラーには、低Crフェライト系ステンレス鋼が使用され
るようになった。
器、厨房器具、建築用材料などに耐食性、耐熱性の優れ
るフェライト系ステンレス鋼の需要が高まっており、例
えば、従来、Alめっき鋼が使用されていた自動車マフ
ラーには、低Crフェライト系ステンレス鋼が使用され
るようになった。
【0003】しかし、最近のエンジンの高出力化に伴っ
て排ガス温度が上昇し、マフラーの最高到達温度は40
0℃にまで達するようになったため、酸化が促進されて
表面の不働態皮膜が劣化し腐食が一層激しくなってき
た。そのため、低Crフェライト系ステンレス鋼では耐
食性が不足してきた。そこで、自動車の安全性、長寿命
化の観点から、より耐食性、耐熱性に優れた材料が求め
られるようになった。
て排ガス温度が上昇し、マフラーの最高到達温度は40
0℃にまで達するようになったため、酸化が促進されて
表面の不働態皮膜が劣化し腐食が一層激しくなってき
た。そのため、低Crフェライト系ステンレス鋼では耐
食性が不足してきた。そこで、自動車の安全性、長寿命
化の観点から、より耐食性、耐熱性に優れた材料が求め
られるようになった。
【0004】このような背景から、特開平3−2190
55号公報で、Moを含有させてより耐食性を向上させ
た材料が提案された。Moにより母材の耐食性の向上は
なされたが、酸化による耐食性の劣化を考慮していない
ため、酸化が起きる環境での腐食に対しては、高価なM
oを含有させたのに見合うだけの効果は得られなかっ
た。
55号公報で、Moを含有させてより耐食性を向上させ
た材料が提案された。Moにより母材の耐食性の向上は
なされたが、酸化による耐食性の劣化を考慮していない
ため、酸化が起きる環境での腐食に対しては、高価なM
oを含有させたのに見合うだけの効果は得られなかっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐食性に優
れた表面酸化皮膜を持ち、特に200〜400℃の高温
環境での耐食性劣化の少ないフェライト系ステンレス鋼
を提供することを目的とする。
れた表面酸化皮膜を持ち、特に200〜400℃の高温
環境での耐食性劣化の少ないフェライト系ステンレス鋼
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはフェライト
系ステンレス鋼の表面に形成される酸化皮膜と耐食性の
関係を種々の観点から調査・研究した。その結果、特定
の組成・構造を有する表面酸化皮膜は優れた耐食性を示
し、その皮膜を形成するためには材料の組成がそれに相
応するものでなければならないとの知見を得た。同時に
従来行なわれる仕上げ焼鈍後の酸洗を省略し、皮膜を形
成させた状態で使用することが必須である。
系ステンレス鋼の表面に形成される酸化皮膜と耐食性の
関係を種々の観点から調査・研究した。その結果、特定
の組成・構造を有する表面酸化皮膜は優れた耐食性を示
し、その皮膜を形成するためには材料の組成がそれに相
応するものでなければならないとの知見を得た。同時に
従来行なわれる仕上げ焼鈍後の酸洗を省略し、皮膜を形
成させた状態で使用することが必須である。
【0007】本発明者らの実験結果では、露点:−5〜
−60℃、成分:H2 が1〜20容積%、残部N2 から
成る還元性雰囲気中で、750〜1000℃、10分以
下で仕上げ焼鈍を施した際に形成される表面酸化皮膜
に、Cr,SiおよびBが濃化している場合に、極めて
優れた耐食性が得られることが判明した。この表面酸化
皮膜を有するものは、仕上げ焼鈍後研磨処理を施し、表
面に不働態皮膜を形成させたものより優れた耐食性を示
した。さらに、この表面酸化皮膜を有するものは、自動
車マフラー環境のような200〜400℃の高温環境に
おかれた際の耐食性の劣化が著しく小さかった。
−60℃、成分:H2 が1〜20容積%、残部N2 から
成る還元性雰囲気中で、750〜1000℃、10分以
下で仕上げ焼鈍を施した際に形成される表面酸化皮膜
に、Cr,SiおよびBが濃化している場合に、極めて
優れた耐食性が得られることが判明した。この表面酸化
皮膜を有するものは、仕上げ焼鈍後研磨処理を施し、表
面に不働態皮膜を形成させたものより優れた耐食性を示
した。さらに、この表面酸化皮膜を有するものは、自動
車マフラー環境のような200〜400℃の高温環境に
おかれた際の耐食性の劣化が著しく小さかった。
【0008】この表面酸化皮膜をX線光電子分光法(X
PS)および薄膜X線回折により詳細に検討すると、最
も耐食性に優れる表面酸化皮膜には、Cr(主にCr2
O3)、SiおよびBの濃化層が見られ、Crあるいは
Siの濃化が最も大きい部分の濃度と基材の濃度との比
が、ある範囲を越えるものであった。その範囲は、濃化
の最も大きい部分の濃度が基材の濃度と比較して、Cr
については2倍以上、Siについては5倍以上であっ
た。Bについての濃化は測定データの目視判定によるも
のであるが、濃化が確認されたものについて、耐食性の
向上が見られた。
PS)および薄膜X線回折により詳細に検討すると、最
も耐食性に優れる表面酸化皮膜には、Cr(主にCr2
O3)、SiおよびBの濃化層が見られ、Crあるいは
Siの濃化が最も大きい部分の濃度と基材の濃度との比
が、ある範囲を越えるものであった。その範囲は、濃化
の最も大きい部分の濃度が基材の濃度と比較して、Cr
については2倍以上、Siについては5倍以上であっ
た。Bについての濃化は測定データの目視判定によるも
のであるが、濃化が確認されたものについて、耐食性の
向上が見られた。
【0009】Crは表層に緻密で安定な酸化物層を形成
し、腐食性イオンによる基材の腐食を防止する効果を持
つと考えられる。また、SiはCr2 O3 皮膜と基材の
界面に濃化し、両者の密着性を向上させて、結果的に耐
食性を改善させるものと考えられる。Bは、その理由が
明確にはなっていないが、表面酸化皮膜へ濃化した場合
と濃化がない場合と比較して耐食性は著しく向上する。
Crの場合、濃化層と基材の濃度比が、2倍未満である
と表層に安定なCr2 O3 皮膜を形成することができ
ず、優れた耐食性が得られない。Siは、濃化層と基材
の濃度比が5倍未満であるとCr2 O3 皮膜と基材の密
着性を向上させるのに充分なSiO2 皮膜を形成するこ
とができず、優れた耐食性が得られない。
し、腐食性イオンによる基材の腐食を防止する効果を持
つと考えられる。また、SiはCr2 O3 皮膜と基材の
界面に濃化し、両者の密着性を向上させて、結果的に耐
食性を改善させるものと考えられる。Bは、その理由が
明確にはなっていないが、表面酸化皮膜へ濃化した場合
と濃化がない場合と比較して耐食性は著しく向上する。
Crの場合、濃化層と基材の濃度比が、2倍未満である
と表層に安定なCr2 O3 皮膜を形成することができ
ず、優れた耐食性が得られない。Siは、濃化層と基材
の濃度比が5倍未満であるとCr2 O3 皮膜と基材の密
着性を向上させるのに充分なSiO2 皮膜を形成するこ
とができず、優れた耐食性が得られない。
【0010】このように、表面酸化皮膜にCr,Siお
よびBが、ある組成を持って濃化しているフェライト系
ステンレス鋼は、極めて優れた耐食性を示し、この皮膜
はある一定の仕上焼鈍条件によってのみ生成され、鋼の
化学成分も重要な因子であるという知見を得た。本発明
の耐食性に優れるフェライト系ステンレス鋼は、以上の
知見に基づき、前記目的を達成するためになされたもの
である。その技術手段は、次のとおりである。すなわ
ち、重量%で、C:0.02%以下、Si:0.1%以
上、1.5%以下、Mn:1.0%以下、P:0.05
%以下、S:0.01%以下、Cr:10%以上、25
%以下、N:0.02%以下、Nb:0.002%以
上、0.02%以下、B:0.0003%以上、0.0
025%以下、Ti:6×(C%+N%)以上、0.5
%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物から
なり、表層の酸化皮膜にCr,SiおよびBの濃化層を
持ち、濃化の最も大きい部分の濃度が基材の濃度と比較
してCrについては2倍以上、Siについては5倍以上
であることを特徴とするものである。
よびBが、ある組成を持って濃化しているフェライト系
ステンレス鋼は、極めて優れた耐食性を示し、この皮膜
はある一定の仕上焼鈍条件によってのみ生成され、鋼の
化学成分も重要な因子であるという知見を得た。本発明
の耐食性に優れるフェライト系ステンレス鋼は、以上の
知見に基づき、前記目的を達成するためになされたもの
である。その技術手段は、次のとおりである。すなわ
ち、重量%で、C:0.02%以下、Si:0.1%以
上、1.5%以下、Mn:1.0%以下、P:0.05
%以下、S:0.01%以下、Cr:10%以上、25
%以下、N:0.02%以下、Nb:0.002%以
上、0.02%以下、B:0.0003%以上、0.0
025%以下、Ti:6×(C%+N%)以上、0.5
%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物から
なり、表層の酸化皮膜にCr,SiおよびBの濃化層を
持ち、濃化の最も大きい部分の濃度が基材の濃度と比較
してCrについては2倍以上、Siについては5倍以上
であることを特徴とするものである。
【0011】この場合さらに、Ni:0.1%以上、
1.0%以下、Mo:0.1%以上、3.0%以下、C
u:0.05%以上、1.0%以下、Ca:0.000
5%以上、0.01%以下、のうち1種または2種以上
を含有することとすれば好適である。
1.0%以下、Mo:0.1%以上、3.0%以下、C
u:0.05%以上、1.0%以下、Ca:0.000
5%以上、0.01%以下、のうち1種または2種以上
を含有することとすれば好適である。
【0012】また、この表面酸化皮膜は、冷延板の仕上
げ焼鈍を、露点:−5〜−60℃、成分:H2 が1〜2
0容積%、残部N2 から成る還元性雰囲気中で、750
〜1000℃、10分以下で行うことにより形成され
る。
げ焼鈍を、露点:−5〜−60℃、成分:H2 が1〜2
0容積%、残部N2 から成る還元性雰囲気中で、750
〜1000℃、10分以下で行うことにより形成され
る。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明は以上の知見に基づいてな
されたものである。以下、基材の合金成分および含有量
について具体的に説明する。 C:C含有量が増えると炭化物の生成が増え、耐食性が
低下する。また、溶接部の粒界腐食の原因となるため、
C含有量の上限を0.02%に規定した。本発明の特徴
である耐食性を向上させるためには、C含有量は0.0
06%以下であることが望ましい。
されたものである。以下、基材の合金成分および含有量
について具体的に説明する。 C:C含有量が増えると炭化物の生成が増え、耐食性が
低下する。また、溶接部の粒界腐食の原因となるため、
C含有量の上限を0.02%に規定した。本発明の特徴
である耐食性を向上させるためには、C含有量は0.0
06%以下であることが望ましい。
【0014】Si:Siは、本来脱酸剤として使用され
るものであるが、本発明者らの知見によれば冷延板の仕
上げ焼鈍時に、表面にSi,CrおよびBが濃化した場
合、優れた耐食性が得られた。より安定に耐食性に優れ
た表面酸化皮膜を形成させるためには、Siは0.1%
以上必要である。しかし、Siはあまり多量に含有する
と硬質になるので、Si含有量の上限を1.5%とし
た。
るものであるが、本発明者らの知見によれば冷延板の仕
上げ焼鈍時に、表面にSi,CrおよびBが濃化した場
合、優れた耐食性が得られた。より安定に耐食性に優れ
た表面酸化皮膜を形成させるためには、Siは0.1%
以上必要である。しかし、Siはあまり多量に含有する
と硬質になるので、Si含有量の上限を1.5%とし
た。
【0015】Mn:Mnは、脱酸剤として使用される
が、含有量が多くなると耐食性が低下するため、上限を
1.0%とした。 P:P含有量は耐食性の面から少ないのが望ましいが、
P含有量を極度に低下させることは製造コストの上昇を
招くため、P含有量の上限を0.05%に規定した。
が、含有量が多くなると耐食性が低下するため、上限を
1.0%とした。 P:P含有量は耐食性の面から少ないのが望ましいが、
P含有量を極度に低下させることは製造コストの上昇を
招くため、P含有量の上限を0.05%に規定した。
【0016】S:Sは耐食性を低下させる元素であり、
その上限を0.01%とする。 Cr:Crは耐食性を維持する基本元素であり、表面酸
化皮膜に欠陥が生じた際の基材の耐食性の維持を考えれ
ば、最低10%は必要である。耐食性はCr含有量の増
加とともに増大するが、あまり多量であると高価にな
り、かつ熱間および冷間加工性を害するので、上限を2
5%とする。
その上限を0.01%とする。 Cr:Crは耐食性を維持する基本元素であり、表面酸
化皮膜に欠陥が生じた際の基材の耐食性の維持を考えれ
ば、最低10%は必要である。耐食性はCr含有量の増
加とともに増大するが、あまり多量であると高価にな
り、かつ熱間および冷間加工性を害するので、上限を2
5%とする。
【0017】N:Nは溶接部の耐食性を劣化させる元素
で少ない程良く、0.02%以下とした。本発明の特徴
である耐食性を向上させるためには、N含有量は0.0
08%以下であることが望ましい。 Nb:Nbは、本来Cを固定し、耐食性および加工性を
改善するものであるが、本発明者らの知見によれば、C
r,Siをベースとした成分系でさらにBと共存する形
で添加すると、表面酸化皮膜の耐食性を著しく向上させ
る。0.02%を越えるとその効果は飽和し、且つ仕上
げ焼鈍温度を上昇させる。0.002%未満では効果が
ない。
で少ない程良く、0.02%以下とした。本発明の特徴
である耐食性を向上させるためには、N含有量は0.0
08%以下であることが望ましい。 Nb:Nbは、本来Cを固定し、耐食性および加工性を
改善するものであるが、本発明者らの知見によれば、C
r,Siをベースとした成分系でさらにBと共存する形
で添加すると、表面酸化皮膜の耐食性を著しく向上させ
る。0.02%を越えるとその効果は飽和し、且つ仕上
げ焼鈍温度を上昇させる。0.002%未満では効果が
ない。
【0018】B:Bは酸化皮膜中に濃化し、耐食性に優
れる表面酸化皮膜を形成する。0.0025%を越える
とその効果は飽和し、0.0003%未満では効果がな
い。 Ti:Tiは、CまたはNを固定し、ステンレス鋼の耐
食性の劣化を防ぐ。特に、耐粒界腐食性の改善に効果が
あり、これには6×(C%+N%)以上が必要であるた
め、これを下限とした。一方、0.5%を越えて含有さ
せると硬質となり加工性が劣化する。
れる表面酸化皮膜を形成する。0.0025%を越える
とその効果は飽和し、0.0003%未満では効果がな
い。 Ti:Tiは、CまたはNを固定し、ステンレス鋼の耐
食性の劣化を防ぐ。特に、耐粒界腐食性の改善に効果が
あり、これには6×(C%+N%)以上が必要であるた
め、これを下限とした。一方、0.5%を越えて含有さ
せると硬質となり加工性が劣化する。
【0019】Ni:Niは電気化学的にFe,Crより
も貴で、活性域における腐食を抑制するため、耐食性を
向上させる。0.1%未満では効果がなく、1.0%を
越えるとその効果は飽和し、また、経済的にも高価とな
る。 Mo:Moは表面酸化皮膜を安定化させ耐食性を向上さ
せる。3.0%を越えて多量に添加してもその効果は飽
和し、且つ高価になるため、上限を3.0%とする。ま
た、0.1%未満では効果がない。
も貴で、活性域における腐食を抑制するため、耐食性を
向上させる。0.1%未満では効果がなく、1.0%を
越えるとその効果は飽和し、また、経済的にも高価とな
る。 Mo:Moは表面酸化皮膜を安定化させ耐食性を向上さ
せる。3.0%を越えて多量に添加してもその効果は飽
和し、且つ高価になるため、上限を3.0%とする。ま
た、0.1%未満では効果がない。
【0020】Cu:Cuは、ステンレス鋼の耐食性を向
上させるので、必要に応じて1.0%以下で添加する。
1.0%を越えると耐食性改善効果は飽和し、且つ熱間
加工性を劣化させる。0.05%未満では効果がない。 Ca:Caは酸化で生じる酸化皮膜の密着性を向上させ
るため、酸化皮膜の耐食性を向上させる効果がある。し
かし、過剰に添加すると粒界に析出し、熱間加工性を劣
化させるため、上限値を0.01%とする。0.000
5%未満では効果がない。
上させるので、必要に応じて1.0%以下で添加する。
1.0%を越えると耐食性改善効果は飽和し、且つ熱間
加工性を劣化させる。0.05%未満では効果がない。 Ca:Caは酸化で生じる酸化皮膜の密着性を向上させ
るため、酸化皮膜の耐食性を向上させる効果がある。し
かし、過剰に添加すると粒界に析出し、熱間加工性を劣
化させるため、上限値を0.01%とする。0.000
5%未満では効果がない。
【0021】次に、耐食性に優れた表面酸化皮膜を生成
させるための仕上げ焼鈍条件について規定する。焼鈍温
度は、冷延板の軟質化および組織の均質化のため750
〜1000℃とする。750℃未満では再結晶せず硬質
であり、また1000℃を越えると結晶粒が粗大化し鋼
の材質が脆くなるので、仕上げ焼鈍温度は750〜10
00℃に限定した。
させるための仕上げ焼鈍条件について規定する。焼鈍温
度は、冷延板の軟質化および組織の均質化のため750
〜1000℃とする。750℃未満では再結晶せず硬質
であり、また1000℃を越えると結晶粒が粗大化し鋼
の材質が脆くなるので、仕上げ焼鈍温度は750〜10
00℃に限定した。
【0022】焼鈍時間は、10分を越えると酸化皮膜が
厚くなり、下地金属での脱Cr層の形成と酸化皮膜の多
孔質化を伴い耐食性を劣化させる。さらに生産性を考慮
すると、10分以下の保持が望ましい。次に、耐食性を
決める表面酸化皮膜の形成に大きく影響する露点および
雰囲気を規定する。露点は−5℃を越えて高いと表面酸
化皮膜が厚くなり、非常に多孔質となり耐食性が劣化す
る。また逆に−60℃を下回って低いと表面酸化皮膜が
非常に薄くなり、表面が活性になって次に述べる雰囲気
下で浸窒が生じるので耐食性が劣化する。そのため、露
点は−5〜−60℃に限定する。
厚くなり、下地金属での脱Cr層の形成と酸化皮膜の多
孔質化を伴い耐食性を劣化させる。さらに生産性を考慮
すると、10分以下の保持が望ましい。次に、耐食性を
決める表面酸化皮膜の形成に大きく影響する露点および
雰囲気を規定する。露点は−5℃を越えて高いと表面酸
化皮膜が厚くなり、非常に多孔質となり耐食性が劣化す
る。また逆に−60℃を下回って低いと表面酸化皮膜が
非常に薄くなり、表面が活性になって次に述べる雰囲気
下で浸窒が生じるので耐食性が劣化する。そのため、露
点は−5〜−60℃に限定する。
【0023】雰囲気も表面酸化皮膜の緻密性を決める要
因であり、緻密性を有する保護表面酸化皮膜を形成させ
るためには、H2 が1〜20容積%、残部N2 である混
合ガスによる還元性雰囲気中での焼鈍が必須となる。H
2 が1容積%未満では表面酸化皮膜が厚くなり緻密性が
低下する。またH2 が20容積%を越えると表面酸化皮
膜が薄くなり、浸窒が生じ耐食性が低下する。したがっ
て、混合ガスのH2 は1〜20容積%に限定し、残りは
N2 ガスとした還元性雰囲気とする。
因であり、緻密性を有する保護表面酸化皮膜を形成させ
るためには、H2 が1〜20容積%、残部N2 である混
合ガスによる還元性雰囲気中での焼鈍が必須となる。H
2 が1容積%未満では表面酸化皮膜が厚くなり緻密性が
低下する。またH2 が20容積%を越えると表面酸化皮
膜が薄くなり、浸窒が生じ耐食性が低下する。したがっ
て、混合ガスのH2 は1〜20容積%に限定し、残りは
N2 ガスとした還元性雰囲気とする。
【0024】
実施例1:表1に示される化学組成を有するフェライト
系ステンレス鋼を高周波真空溶解により50kgの鋼塊
に鋳込み、熱間圧延、冷間圧延を経て、板厚1mmの冷
延板とし、5容積%のH2 、残部N2 、露点−40℃の
雰囲気中で、900℃×1分の仕上げ焼鈍を実施後、試
験片に加工した。これら供試材について、X線光電子分
光法(XPS)によって表層部の表面分析を行い、深さ
方向に関するCr,SiおよびBの濃度変化を調べた。
CrおよびSiについては、その結果を表2に、最も濃
化の大きい部分の濃度と基材の濃度との比(以下濃化率
と記す)で示す。また、表2には、仕上げ焼鈍したまま
のもの、仕上げ焼鈍後400℃×5時間大気中での熱処
理を行ったもの、および仕上げ焼鈍後#600研磨を施
したものについて孔食電位測定を測定した結果を示し
た。孔食電位の測定は液温30℃に保持し、Ar脱気し
た3.5%NaCl溶液を用いて挿引速度20mV/分
の動電位法で行い、アノード電流密度が10μm/cm
2 に達する電位を孔食電位とした。
系ステンレス鋼を高周波真空溶解により50kgの鋼塊
に鋳込み、熱間圧延、冷間圧延を経て、板厚1mmの冷
延板とし、5容積%のH2 、残部N2 、露点−40℃の
雰囲気中で、900℃×1分の仕上げ焼鈍を実施後、試
験片に加工した。これら供試材について、X線光電子分
光法(XPS)によって表層部の表面分析を行い、深さ
方向に関するCr,SiおよびBの濃度変化を調べた。
CrおよびSiについては、その結果を表2に、最も濃
化の大きい部分の濃度と基材の濃度との比(以下濃化率
と記す)で示す。また、表2には、仕上げ焼鈍したまま
のもの、仕上げ焼鈍後400℃×5時間大気中での熱処
理を行ったもの、および仕上げ焼鈍後#600研磨を施
したものについて孔食電位測定を測定した結果を示し
た。孔食電位の測定は液温30℃に保持し、Ar脱気し
た3.5%NaCl溶液を用いて挿引速度20mV/分
の動電位法で行い、アノード電流密度が10μm/cm
2 に達する電位を孔食電位とした。
【0025】表2に示されるように、本発明鋼は、不働
態皮膜が形成されている研磨材よりも優れた耐食性を示
している。また、大気中での高温酸化後も耐食性の劣化
が少なく、依然として、研磨材よりも優れた耐食性を示
している。 実施例2:表1に示される供試鋼2について、焼鈍温度
および時間:900℃×1分、750℃×1分および7
50℃×10分、露点:0℃、−25℃、−50℃およ
び−75℃、5容積%水素で残部窒素の雰囲気中で仕上
げ焼鈍を行い、Cr,SiおよびBの表面への濃化率お
よび孔食電位の測定を行った結果を表3に示す。
態皮膜が形成されている研磨材よりも優れた耐食性を示
している。また、大気中での高温酸化後も耐食性の劣化
が少なく、依然として、研磨材よりも優れた耐食性を示
している。 実施例2:表1に示される供試鋼2について、焼鈍温度
および時間:900℃×1分、750℃×1分および7
50℃×10分、露点:0℃、−25℃、−50℃およ
び−75℃、5容積%水素で残部窒素の雰囲気中で仕上
げ焼鈍を行い、Cr,SiおよびBの表面への濃化率お
よび孔食電位の測定を行った結果を表3に示す。
【0026】濃化率がCrについては2倍以上、Siに
ついては5倍以上で、かつ露点が−25℃または−50
℃では、表面酸化皮膜は優れた耐食性を示している。
ついては5倍以上で、かつ露点が−25℃または−50
℃では、表面酸化皮膜は優れた耐食性を示している。
【0027】
【発明の効果】以上に示したように、本発明において
は、耐食性に優れた表面酸化皮膜を有するとともに、特
に200〜400℃の高温環境での耐食性の劣化が著し
く少ないフェライト系ステンレス鋼が得られる。この表
面酸化皮膜が形成されたフェライト系ステンレス鋼は、
高温酸化環境での優れた耐食性を活かし、給湯容器や自
動車排気系材料等、広範な分野で使用される。
は、耐食性に優れた表面酸化皮膜を有するとともに、特
に200〜400℃の高温環境での耐食性の劣化が著し
く少ないフェライト系ステンレス鋼が得られる。この表
面酸化皮膜が形成されたフェライト系ステンレス鋼は、
高温酸化環境での優れた耐食性を活かし、給湯容器や自
動車排気系材料等、広範な分野で使用される。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石井 和秀 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 佐藤 進 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内
Claims (3)
- 【請求項1】 重量%で、 C:0.02%以下、 Si:0.1%以上、1.5%以下、 Mn:1.0%以下、 P:0.05%以下、 S:0.01%以下、 Cr:10%以上、25%以下、 N:0.02%以下、 Nb:0.002%以上、0.02%以下、 B:0.0003%以上、0.0025%以下、 Ti:6×(C%+N%)以上、0.5%以下を含有
し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、表面の
酸化皮膜がCr,Si,およびBの濃化層を有し、その
濃化の最も大きい部分の濃度が基材の濃度と比較してC
rについては2倍以上、Siについては5倍以上である
ことを特徴とする耐食性に優れたフェライト系ステンレ
ス鋼。 - 【請求項2】 さらに重量%で、 Ni:0.1%以上、1.0%以下、 Mo:0.1%以上、3.0%以下、 Cu:0.05%以上、1.0%以下、 Ca:0.0005%以上、0.01%以下、のうち1
種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1
記載の耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼。 - 【請求項3】 前記成分を含有し、残部がFeおよび不
可避的不純物からなる鋼の冷延板の仕上げ焼鈍を、露
点:−5〜−60℃、成分:H2 が1〜20容積%、残
部N2 から成る還元性雰囲気中で、750〜1000
℃、10分以下で行ったことを特徴とする請求項2記載
の耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
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---|---|---|---|
JP30601895A JP3477957B2 (ja) | 1995-11-24 | 1995-11-24 | 200〜400℃の高温酸化環境下での耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼 |
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JPH09143614A true JPH09143614A (ja) | 1997-06-03 |
JP3477957B2 JP3477957B2 (ja) | 2003-12-10 |
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3477957B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101372748B1 (ko) * | 2011-12-27 | 2014-03-10 | 주식회사 포스코 | 내공식성이 우수한 스테인리스강 용접이음부 |
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-
1995
- 1995-11-24 JP JP30601895A patent/JP3477957B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2022509863A (ja) * | 2018-11-29 | 2022-01-24 | ポスコ | 耐食性が向上したフェライト系ステンレス鋼及びその製造方法 |
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