JP2007262479A - 塗装後耐食性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】Si含有高強度冷延鋼板において、塗装後耐食性を改善する
【解決手段】質量%で、C:0.05〜0.3%、Si:0.3〜2.5%、Mn:1.5〜3.5%、P:0.03%以下、S:0.02%以下、Al:0.005〜0.5%、N:0.0060%以下を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなり、FeSiO、FeSiO、MnSiO、MnSiOから選ばれた1種以上のシリケートと、SiOを含有しており、鋼板の厚さ方向において、前記シリケートの濃度が前記SiOの濃度より高い領域が、前記SiOの濃度が前記シリケートの濃度より高い領域より表面側に位置することを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、塗装後耐食性に優れた高強度冷延鋼板及びその製造方法に関する。
自動車業界では、Si添加による高延性高強度鋼板の普及が進んでいる。自動車用鋼板に要求される重要な特性としては、機械的特性以外に車体防錆性能が重要視されている。この車体防錆は鋼板単独で担保するのではなく、化成処理、塗装との組合わせにより実現される。
通常、こうした化成処理、塗装後の耐食性に悪影響を及ぼす因子として、鋼中のSiが知られている。特に鋼板表面に濃化したSiが化成処理性を阻害、不均一な化成皮膜の生成、スケと呼ばれる化成皮膜未生成部位発生の原因となり、塗膜密着性、ひいては塗装後の耐食性を劣化させることが知られている。ただし、この化成皮膜生成不良による塗装後耐食性低下を防ぐ目的で、Siの表面濃化を低下させスケのない化成皮膜を生成させても、塗装後耐食性は十分ではなく、化成処理性の向上だけでは塗装後耐食性を向上させることはできない。このSiの表面濃化による塗装後耐食性低下のメカニズムに関しては、現在のところ明確に解明されていないが、概ね以下のとおりと考えられている。
SiはFeよりも特に酸化し易いことから、Siが高い濃度で添加された鋼板では、焼鈍工程においてSiが鋼板表面に向かって拡散し、酸化物の形で濃化される。このようなSi酸化物が濃化した鋼板に化成処理、塗装を行った後、塗装に疵を付け、塩水に浸漬させるとアルカリブリスターと呼ばれる腐食が発生し易くなる。一般に、アルカリブリスターは、疵部の金属露出部がアノード、カット部周辺の塗膜下がカソードとなる局部電池が形成され、この塗膜下のカソード部で生成したOHによりpHが上昇することで化成皮膜が溶解し、密着力が低下した塗膜下に浸透圧で水やNa2+が進入することにより進行する。
代表的なSi酸化物であるSiOの比抵抗は鉄の約10の20乗倍のオーダーであるため、鋼板表面にSiO濃度の高い部位が存在するとその部分の電気抵抗が高くなり、腐食電流の流れが阻害されるため、カソード反応は電気抵抗の低いSiOの低濃度部位に集中する。
このため、SiOの低濃度部位のOHが高濃度となり局部的なpH上昇が発生し、鋼板表面に被覆された化成皮膜の局部的な溶解を促進する。この結果、局部的な塗膜下への水分子・Na2+の浸入が促進されるため、塗膜剥離・膨れといった塗装不良が進行しやすくなる。
以上のようなメカニズムに基づくと、鋼板表面におけるSiの濃化さえ抑制すれば、SiOの濃度のばらつきを減少させるので、Si酸化物低濃度部へのカソード反応の局部集中が緩和され、部分的なpHの上昇が解消し、化成皮膜の溶解が抑制できることになり、さらには塗装後耐食性が改善されると考えられる。
具体的な表面濃化Siの抑制方法として、特許文献1では熱延工程の加熱処理でSiを鋼板表面に濃化させておき、後工程のデスケーリング、鋼板表面の研削・酸洗等の手段で、この濃化層を除去することが開示されている。
しかし、特許文献1に開示された方法では、一般の鋼板製造よりも余分な工程を追加せねばならず、処理時間が長くかかり、また酸化スケールの多量発生による製品歩留りの低下を引き起こし、製造コストの上昇を招く恐れがあった。
この問題を解決する別の表面濃化Siの抑制方法として、めっき処理を行う冷延鋼板において、焼鈍工程における還元帯の雰囲気および露点を調整することにより、鋼中のSiが表面に向かって拡散し到達する前に、外部から導入された酸素と結合させる、いわゆる内部酸化法を利用した発明が、かねてより特許公開されている。
この方法によればSiOが鋼板表面に殆ど露出せず、地鉄に覆われた状態になるため、SiOがその後の表面処理に悪影響を及ぼすことがない。この方法に関しては、例えば、特許文献2、特許文献3等に開示されている。
特開2004−204350号公報 特開2001−323355号公報 特開2005−60743号公報
ところで、これらの公開特許は、いずれも溶融亜鉛めっき鋼板または合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造を対象としており、表面濃化Siがめっき密着性を悪化させる問題に対して、内部酸化法を用いて解決を図った発明である。
しかし、本発明者は、本発明が対象とする冷延鋼板(すなわち化成処理及び塗装を行う冷延鋼板)に、上記した公開特許に記載された内部酸化法をそのまま適用しても、必ずしも良好な塗装後耐食性が得られるわけではないことを実験で確認した。
特に、塗装後耐食性は、亜鉛めっき密着性よりも表面濃化Siに対して敏感に影響するため、極微量であってもSiOが鋼板表面に露出していると、その後の塗装後耐食性を劣化させる場合がある。
このような塗装後耐食性が劣化した鋼板を詳細に調査した結果、内部酸化/外部酸化の境界温度に近い露点で熱処理を行うような条件に加え、何らかの悪条件が重なった場合に、SiOの表面露出が少量ではあるものの発生することが確認された。
溶融めっき鋼板の場合は、還元後直ちにめっきされるため、最表面に多少SiOが残っていても問題は無いと考えられるが、冷延鋼板は、プレス加工後、化成処理、塗装をして使用されるため、加工時に内部からSiOが露出したり、化成処理時に表面の鉄が溶解し、SiOが露出したりするため、より厳密なSiOの制御が必要となると考えられる。
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、Si含有高強度冷延鋼板において、熱処理の際に現れる表面濃化Siを抑制する目的で適用される従来の内部酸化法に改良を加え、高強度冷延鋼板の塗装後耐食性を改善することを課題とするものである。
本発明者は、Si含有高強度鋼板における表面付近のミクロ組織と化成処理性・塗装後耐食性の関係について鋭意研究を行った。その結果、従来良く知られた内部酸化法で調整された鋼板であっても、Si酸化物の種類とその位置関係によって、その後の化成処理性・塗装後耐食性に大きな影響を与えることを見出した。そして、無害のSi酸化物、すなわちシリケートを鋼板表面または表面側に、有害なSiOを鋼板内面側になるようにすれば、課題解決につながることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の要旨は次のとおりである。
(1)質量%で、C:0.05〜0.3%、Si:0.3〜2.5%、Mn:1.5〜3.5%、P:0.03%以下、S:0.02%以下、Al:0.005〜0.5%、N:0.0060%以下を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなり、
FeSiO、FeSiO、MnSiO、MnSiOから選ばれた1種以上のシリケートと、SiOを含有しており、鋼板の厚さ方向において、前記シリケートの濃度が前記SiOの濃度より高い領域が、前記SiOの濃度が前記シリケートの濃度より高い領域より表面側に位置することを特徴とする塗装後耐食性に優れた高強度冷延鋼板。
(2)前記シリケートの濃度が前記SiOの濃度より高い領域が表面に位置することを特徴とする前記(1)に記載の塗装後耐食性に優れた高強度冷延鋼板。
(3)質量%で、C:0.05〜0.3%、Si:0.3〜2.5%、Mn:1.5〜3.5%、P:0.03%以下、S:0.02%以下、Al:0.005〜0.5%、N:0.0060%以下を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなり、
FeSiO、FeSiO、MnSiO、MnSiOから選ばれた1種以上のシリケートと、SiOを含有しており、鋼板の厚さ方向において、前記シリケートの濃度プロファイルのピーク位置が、前記SiOの濃度プロファイルのピーク位置より表面側に位置することを特徴とする塗装後耐食性に優れた高強度冷延鋼板。
(4)前記シリケートおよび前記SiOの存在位置の確認を、GDS(グロー放電分光分析)による深さ方向の元素濃度プロファイルにおけるピーク位置によって判定することを特徴とする前記(1)又は(3)に記載の塗装後耐食性に優れた高強度冷延鋼板。
(5)前記シリケートおよび前記SiOが、鋼板表面から5μm以下の領域に存在することを特徴とする前記(1)又は(3)に記載の塗装後耐食性に優れた高強度冷延鋼板。
(6)鋼板表面から5μm以下の領域の結晶粒界及び結晶粒内において、前記シリケートおよび前記SiOに由来する酸素の平均含有率が0.3〜5.3質量%であることを特徴とする前記(5)に記載の塗装後耐食性に優れた高強度冷延鋼板。
(7)質量%で、C:0.05〜0.3%、Si:0.3〜2.5%、Mn:1.5〜3.5%、P:0.03%以下、S:0.02%以下、Al:0.005〜0.5%、N:0.0060%以下を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなる高強度冷延鋼板に還元雰囲気中で焼鈍を施す工程を具備し、
前記還元雰囲気は、Hを1〜60体積%含有し、残部がN、HO、O、CO、COの1種又は2種以上並びに不可避的不純物からなり、かつ酸素分圧の対数logPOが、
−0.000034T+0.105T−0.2〔Si%〕+2.1〔Si%〕−98.8≦logPO≦−0.000038T+0.107T−90.4・・・・・(1式)
923≦T≦1173・・・・・(2式)
T:鋼板の最高到達温度(K)
〔Si%〕:鋼板中のSi含有量(wt%)
であることを特徴とする塗装後耐食性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
本発明は、従来、Si含有鋼板のめっき密着性を改善するために適用されてきた内部酸化法に改良を加えることにより、Si含有冷延鋼板に化成処理と塗装を施す場合に対して、化成処理性は勿論のこと、塗装後耐食性を著しく向上させることを可能としたものであり、産業の発展に貢献するところが極めて大である。
以下に本発明を詳細に説明する。
まず、C、Si、Mn、P、S、Al、及びNの数値限定理由について述べる。
Cは残留オーステナイトやマルテンサイトによる組織強化で鋼板を高強度化しようとする場合に必須の元素であり、0.05〜0.3%の範囲で添加する。この範囲に限定した理由は、Cが0.05%未満であると、組織強化鋼板として必要な3%以上の残留オーステナイト組織またはマルテンサイト組織を確保することが困難となるためであり、一方、Cが0.3%を超えると、スポット溶接で健全な溶接部を形成することが困難となると同時にCの偏析が顕著となり加工性が劣化するためである。
Siは鋼板の加工性,特に伸びを大きく損なうことなく強度を増す元素として0.3〜2.5%添加する。Siの含有量をこの範囲に限定した理由は、Siが0.3%未満では必要とする引張強さの確保が困難であるためであり、一方、Siが2.5%を超えると強度を増す効果が飽和すると共に延性の低下が起こるためである。
MnはCとともにオーステナイトの自由エネルギーを下げるため、二相共存温度域での焼鈍後、350〜600℃に冷却する途上でオーステナイトがパーライトへ分解するのを防ぐ目的で1.5%以上添加する。しかし添加量が過大になるとスラブに割れが生じやすく、またスポット溶接性も劣化するため、3.5%を上限とする。また、Mnは塗装後耐食性に対して無害のMnSiO、MnSiOを構成する元素であるが、この数値範囲内であれば必要十分な量の当該化合物を得ることが出来る。
Pは一般に不可避的不純物として鋼に含まれるが、その量が0.03%を超えるとスポット溶接性の劣化が著しいうえ、本発明が対象とする高強度鋼板、例えば引張強さが490MPaを超すような高強度鋼板では、靭性とともに冷間圧延性も著しく劣化するため、その含有量は0.03%以下とする。Sも一般に不可避的不純物として鋼に含まれるが、その量が0.02%を超えると、圧延方向に伸張したMnSの存在が顕著となり、鋼板の曲げ性に悪影響をおよぼすため、その含有量は0.02%以下とする。
Alは鋼の脱酸元素として、またAlNによる熱延素材の細粒化、および一連の熱処理工程における結晶粒の粗大化を抑制し材質を改善するために0.005%以上添加する必要がある。ただし、0.5%を超えるとコスト高となるばかりか、表面性状を劣化させるため、その含有量は0.5%以下とする。Nもまた一般に不可避的不純物として鋼に含まれるが、その量が0.0060%を超えると、伸びとともに脆性も劣化するため、その含有量は0.0060%以下とする。
また、これらを主成分とする鋼にNb、Ti、B、Mo、Cu、Ni、Sn、Zn、Zr、W、Co、Ca、希土類元素(Yを含む)、V、Ta、Hf、Pb、Mg、As、Sb、及びBiを合計で1%以下含有しても本発明の効果を損なわず、その量によっては耐食性や加工性が改善される等好ましい場合もある。
本発明の高強度冷延鋼板において、Siの酸化物には、FeSiO、FeSiO、MnSiO、及びMnSiOから選ばれた1種以上のシリケートと、SiOがある。鋼板の厚さ方向において、シリケートは、SiOより表面側に位置する。
内部酸化により生成したSiOが鋼板表面に存在すると塗装後耐食性が低下するが、本発明の高強度冷延鋼板では、上記したシリケートは、SiOより表面側に位置するため、SiOが鋼板表面に存在しない。また、上記したシリケートの比抵抗はSiOに比べて十分小さいため,アルカリブリスターの原因となるカソード反応の不均一性が小さくなり,塗装後耐食性が向上する。
シリケートが存在する領域及びSiOが存在する領域が少なくとも部分的に重なっている場合もあるが、この場合、シリケートの濃度プロファイルのピーク位置が、SiOの濃度プロファイルのピーク位置より表面側に位置するようにする。このようにしても、上記した作用により、高強度冷延鋼板の塗装後耐食性が向上する。ただし、高強度冷延鋼板の表面に存在するSiOの量が塗装後耐食性を低下させない程度であること(望ましくはほとんど存在しないこと)が条件になる。
ところで、FeSiO、FeSiO、MnSiO、MnSiOは、SiOよりも酸素ポテンシャルが高い領域で安定なため、FeSiO、FeSiO、MnSiO、MnSiOから選ばれた1種以上のシリケートがSiOより表面側に位置する状態にするためには、鋼板表面の酸素ポテンシャルを、内部酸化によってSiOが単独で生成するポテンシャルより大きくする必要がある。
すなわち、鋼中の酸素ポテンシャルは鋼板表面から内部に向かって減少するため、鋼板表面の酸素ポテンシャルを、FeSiO、FeSiO、MnSiO、MnSiOから選ばれた1種以上のシリケートが生成するポテンシャルに制御すると、鋼板表面または表面側の領域においてFeSiO、FeSiO、MnSiO、MnSiOから選ばれた1種以上のシリケートが生成し、この領域より内面側すなわち酸素ポテンシャルが減少した鋼板内面側にはSiOが生成する。
本発明の高強度冷延鋼板は、当該鋼板と化成処理層との界面すなわち鋼板の表面から5μm以下の領域に、Si酸化物、すなわち、シリケートおよびSiOが存在する。この領域において、結晶粒界と結晶粒内におけるSi酸化物すなわちシリケートおよびSiOの平均含有率が0.6〜10質量%の場合、すなわちシリケートおよびSiOに由来する酸素の平均含有率が0・3〜5.3質量%以下の場合に塗装後耐食性を向上させることが可能となる。
本発明において、Si酸化物の平均含有率を0.6〜10質量%に限定した理由は、0.6質量%未満では外部酸化膜の抑制が不十分で塗装後耐食性を向上させる効果がみられないためであり、10質量%を超えると塗装後耐食性を向上させる効果が飽和する上に、酸素ポテンシャルの上限(すなわち鋼板表面にFeOが生成するポテンシャル)に近づき操業が不安定になるため、FeOが生成しやすくなるので好ましくない。
なお、Si酸化物を含有する鋼層の厚みは、酸素ポテンシャルと焼鈍時間によって制御可能である。ただし、Si酸化物を含有する鋼層が5μmを超えると塗装後耐食性を向上させる効果が飽和する上に、酸素ポテンシャルが上限に近づき過ぎて操業が不安定になるか、焼鈍時間が長くなり過ぎてエネルギーコストや生産効率が悪くなるため、好ましくない。
上記したSi酸化物は、顕微鏡において明瞭に観察できる。冷延鋼板の表面から5μm以下の鋼板側の結晶粒界と結晶粒内に存在するSi酸化物の一例として、断面観察結果を図1示す。図1は、本発明における高強度冷延鋼板の断面を10度に傾斜させて埋め込み研磨を行い、SEM像で観察した結果である。この図から明らかなとおり、高強度鋼板の結晶粒界と結晶粒内に存在するSi酸化物は、粒子状物質として明瞭に観察できる。
また、これら結晶粒界と結晶粒内の粒子をEDX(Electron Dispersion X-ray Spectroscopy)により分析するとSi、Mn、Fe、Oのピークが観察されることから、観察される粒子はSiO、FeSiO、FeSiO、MnSiO、MnSiOであると考えられる。なお、この分析結果は、後述するGDS(Glow Discharge Spectroscopy:グロー放電分光分析)による深さ方向の濃度プロファイルの結果と良く一致していることを別の実験で確認済みである。
本発明において、Si酸化物を含有する鋼層とは、顕微鏡観察において上記酸化物が観察される層である。また、Si酸化物に由来する酸素の平均含有率とは、この鋼層中に含まれる酸素の含有率を示し、Si酸化物を含有する鋼層の厚みとは、鋼板表面からこれらのSi酸化物が観察される部分までの深さ方向の幅を示す。
次に、本発明に係る高強度鋼板の製造条件について述べる。
従来、内部酸化法を利用する技術としては、炉内の還元性雰囲気における、露点、logPHO/PHあるいはlogPCO/PH等の数値を管理するものが殆どであった。従来法では、炉内から採取した雰囲気ガス濃度を測定後、簡便な方法で数値を求めることができる点で優れていた。しかし精度が悪く、必ずしも希望どおりの内部酸化状態が得られない問題も指摘されていた。これに対して、本発明では炉内温度に対応したlogPOを規定して炉内雰囲気を管理することを条件としている。この理由は、Siの酸化状態は雰囲気中の酸素ポテンシャルで決まるため、本発明で規定したSi酸化物を所望の条件で生成させるためには雰囲気中のlogPOを直接管理するほうが望ましいと考えたからである。
雰囲気中のガスがH、HO、O、残部Nの場合、下記平衡反応が起こると考えられ、PHO/PHはPOの1/2乗と平衡定数1/Kに比例する。
O=H+1/2O : K=p(H)・p(O1/2/p(HO)

炉内の酸素は極微量のため、正確にPOを求めることは困難である。そこで従来は、炉内から採取されたガスの水蒸気濃度、水素濃度が室温の状態で測定され、これに基づいてPHO/PHの数値を求めて、間接的に酸素ポテンシャルを評価する方法が一般的であった。
しかし、平衡定数Kは温度に依存する変数であるため、室温状態で求めたlogPHO/PHは、実際の炉内温度(最高到達温度は例えば923K以上1173K以下)におけるlogPOと1対1に対応しない。即ち、水分圧と水素分圧の比が、ある温度域(例えば室温)でSiの内部酸化領域の酸素ポテンシャルに対応していても、別の温度(例えば実際の炉内温度)では鉄が酸化する領域の酸素ポテンシャルに対応したり、Siの外部酸化領域の酸素ポテンシャルに対応したりするためである。特に本発明で規定した酸化物を生成するためには、酸素ポテンシャルを従来と比較して厳密に管理する必要がある。従って、logPHO/PHを管理しても本発明で規定した酸化物を生成させることは困難である。
また、雰囲気中のガスがH、CO、CO、O、残部Nの場合、下記平衡反応が起こると考えられ、PCO/PCOがPOの1/2乗と平衡定数1/Kに比例する。従って、以下のようになる。
CO=CO+1/2O : K=p(CO)・p(O1/2/p(CO

この場合も、先に述べた場合と同様に、炉内温度を考慮しないlogPCO/PHではSiの内部酸化領域を把握できないため、このような従来法によって本発明で規定したSi酸化物を適切に生成させることは困難である。
そこで、本発明においてlogPOの数値範囲を規定するにあたっては、数多くの条件で処理されたサンプルを用意し、外部酸化膜の発生有無、内部酸化物の分布等を調査することにより良否を判定した。この結果、logPO、最高到達温度TおよびSi%の3変数とする回帰式によって還元帯における条件が適切に定義できることが見出された。この回帰式グラフを図2に示す。また、回帰式を次に示す。
製造ラインの還元帯では、鉄の酸化物のみを還元し、Siの外部酸化を抑制する目的で、還元帯の雰囲気としてHを1〜60体積%含有し、残部N、HO、O、CO、COの1種又は2種以上並びに不可避的不純物からなり、その雰囲気中の酸素分圧の対数logPO
−0.000034T+0.105T−0.2〔Si%〕+2.1〔Si%〕−98.8≦logPO≦−0.000038T+0.107T−90.4・・・・・(1式)

923≦T≦1173・・・・・(2式)

T:鋼板の最高到達温度(K)
〔Si%〕:鋼板中のSi含有量(wt%)
に制御した雰囲気で還元を行う。
ここで、本発明においては、対数は全て常用対数で示す。
を1〜60体積%に限定する理由は、1%未満では鋼板表面に生成した酸化膜を十分還元できず、塗装後耐食性が劣化するためであり、60%を超えると、還元作用の向上が見られないばかりか、コストが増加するためである。
logPOを−0.000038T+0.107T−90.4以下に限定する理由は、還元帯において鉄の酸化物を還元するためである。logPOが−0.000038T+0.107T−90.4を超えると鉄の酸化領域にはいるため、鋼板表面に鉄の酸化膜が生成し、ブルーイングとなる。
logPOを−0.000034T+0.105T−0.2〔Si%〕+2.1〔Si%〕−98.8以上に限定する理由は、logPOが−0.000034T+0.105T−0.2〔Si%〕+2.1〔Si%〕−98.8未満ではSiOが表面に露出し、塗装後耐食性を低下させるためである。
logPOを−0.000034T+0.105T−0.2〔Si%〕+2.1〔Si%〕−98.8以上とすることで鋼板表面または表面側にFeSiO、FeSiO、MnSiO、MnSiOから選ばれた1種以上のシリケートが存在し、鋼板内面側にSiOが存在する酸化状態が得られるようになる。
鋼板の最高到達温度Tを923K〜1173Kの範囲に限定した理由は次のとおりである。Tが923K未満ではSiが外部酸化する酸素ポテンシャルが小さく、工業的に操業できる範囲の酸素ポテンシャルでは鉄の酸化域となって、鋼板表面にFeOを生成するため、塗装後耐食性を劣化させるためである。一方、1173Kを超える温度で焼鈍するのは多大のエネルギーを要して不経済であるためである。
なお、炉内の雰囲気温度は高いほど鋼板の温度を上げ易くなるため有利であるが、雰囲気温度が高すぎると炉内の耐火物の寿命が短くなりコストがかかるため、炉内の雰囲気温度は1273K以下が望ましい。
本発明において、logPOはHO、O、CO、COの1種または2種以上を導入することにより操作する。前述した平衡反応式において,温度が決まれば平衡定数が決定し、その平衡定数に基づいて酸素分圧、即ち酸素ポテンシャルが決定する。炉内の雰囲気温度773Kから1273Kにおいては、気体の反応は短時間で平衡状態に達するため、POは炉内のPH、PHO、PCO、PCOと雰囲気温度が決まると決定する。
金属組織学的にみた鋼板の製造条件としては、公知技術に基づいて鋼成分と熱処理条件を適宜設定することにより、鋼板の主相であるフェライト以外に、マルテンサイトまたは残留オーステナイトを3〜20%含む金属組織とすることが好ましい。こうすることによって高強度とプレス加工性を両立させることができる。マルテンサイトまたは残留オーステナイトの体積率が3%未満の場合には高強度とならず、好ましくない。一方、マルテンサイトまたは残留オーステナイトの体積率が20%を超えると、高強度ではあるものの鋼板の加工性が劣化するので、本発明の鋼板製造にあたっては、この範囲内に限定することが好ましい。
熱間圧延に供するスラブは特に限定するものではなく、連続鋳造スラブや薄スラブキャスター等で製造したものであればよい。また鋳造後直ちに熱間圧延を行う連続鋳造−直送圧延(CC−DR)のようなプロセスにも適合する。
熱間圧延の仕上温度は鋼板のプレス成形性を確保するという観点からAr点以上とする必要がある。熱延後の冷却条件や巻取温度は特に限定しないが、巻取温度はコイル両端部での材質ばらつきが大きくなることを避け、またスケール厚の増加による酸洗性の劣化を避けるためには750℃以下とし、また部分的にベイナイトやマルテンサイトが生成すると冷間圧延時に耳割れを生じやすく、極端な場合には板破断することもあるため550℃以上とすることが望ましい。冷間圧延は通常の条件でよく、フェライトが加工硬化しやすいようにマルテンサイトおよび残留オーステナイトを微細に分散させ、加工性の向上を最大限に得る目的からその圧延率は50%以上とする。一方、85%を超す圧延率で冷間圧延を行うことは多大の冷延負荷が必要となるため現実的ではない。
冷延鋼板はまず650〜900℃の二相共存温度域で10秒〜3分焼鈍される。この焼鈍は、上記した(1式)及び(2式)を満たす条件で行われる。この焼鈍によりフェライトとオーステナイトの共存する微細な再結晶組織が形成され、同時にCやMn等のオーステナイト安定化元素がオーステナイト中へある程度濃化し、引き続く一連の熱処理に伴う組織変化に際してオーステナイトの安定化を容易とする。この焼鈍温度が650℃未満であると十分な量のオーステナイトが形成されず、場合によっては再結晶が完了しないこともある。一方900℃を超える温度で焼鈍するのは多大のエネルギーを要して不経済であり、またオーステナイトとフェライトの間でのCの分配比が小さくオーステナイトの化学的安定性が悪くなるために以降の工程を厳しく制約するため、意図した金属組織が容易には得られない。
焼鈍時間が10秒未満では、炭化物が十分に固溶せずオーステナイトが僅かしか形成されない上に、昇温過程で生じた表面のFeOを十分還元できず、また、鋼板の厚さ方向においてシリケートがSiOより表面側に位置する鋼板を得ることができない。一方、焼鈍時間が10秒以上あれば、炉内のlogPOが高いことに起因し、鋼板の最高到達温度に至る前に鋼板表面に生成したFeOを還元し、Siの内部酸化を生成させることが可能となる。ただし、3分を超える焼鈍はエネルギーの無駄となるばかりか連続ラインでの生産性低下を引き起こすため、好ましくない。
焼鈍後の鋼板は引き続いて4〜200℃/sの冷却速度で350〜600℃の範囲に冷却されるが、その目的は二相域焼鈍時に形成されたオーステナイトをパーライトに分解することなくベイナイト変態域へもちきたすことにある。この場合の冷却速度が4℃/s未満ではパーライトが生成し、炭化物として析出するため最も効果的にオーステナイトを安定化する固溶Cが急減するため意図した金属組織が得られない。一方200℃/sを超すと目的とする温度での冷却停止が困難であるし、たとえ達成できたとしても鋼板の形状が悪くプレス成形に供することができない。また600℃を超える温度で冷却を停止するとパーライトへの分解が急激に起こり、オーステナイトを残存できない。一方、この冷却終了温度が350℃未満になるとオーステナイトの過半がマルテンサイトに変態するため、高強度にはなるもののプレス成形性が悪化する。
この後引き続き、本発明では350〜600℃の範囲の温度域に5秒〜10分保持してから5℃/s以上の冷却速度で250℃以下に冷却するが、この目的はベイナイト変態時に未変態のオーステナイト中へCの濃化をさらに進め、室温において変態誘起塑性を起こすような残留オーステナイトとすることである。前述したようにSiを含むため、このような温度と時間の比較的大きな変動範囲内で高強度と良好なプレス成形性をもたらす金属組織が安定して得られる。しかし600℃を超えて保持するとパーライトが生成するため残留オーステナイトが金属組織に含まれなくなる。一方350℃未満ではCの拡散はベイナイト変態に伴うものでも極めて緩慢であり、またせん断変態が支配的となるので室温まで冷却後に有効に変態誘起塑性を示す残留オーステナイトが得られない。また保持時間が5秒未満ではベイナイトが十分に生成せず、未変態のオーステナイト中へのC濃化も不十分で室温までの冷却中にマルテンサイトとなってプレス成形性を悪くする。一方10分を超えて保持することはエネルギーの無駄や連続ラインの生産性低下、さらには炭化物析出と未変態オーステナイトの消滅による強度とプレス成形性両方の劣化につながる。この保持後の冷却を5℃/s未満としたり、250℃を超える温度で停止することも同様の理由で避けなければならない。
この一連の熱処理においては、規定した温度域内であれば保持温度は一定である必要はなく、また冷却速度が冷却途中に規定した範囲内で変化することも本発明の趣旨を損なわない。特に350〜600℃の範囲の温度域での5秒〜10分保持はこの温度の範囲内で過冷却後再加熱されるものであってもよい。
また、例えば特開昭56−90925号公報に記載のように、焼鈍後の冷却媒体として水を使用し、その際に生成した酸化膜を酸洗して落としても、酸洗後の鋼板が、鋼板の厚さ方向においてシリケートがSiOより表面側に位置する状態であれば問題ない。通常、連続焼鈍後の酸洗は、気液冷却時に生成した薄い鉄の酸化膜だけを除去するため、鋼板表面のSiの酸化物の分布にはほとんど影響が見られない。さらに、特開平7−278843号公報に記載のように、脱脂性や化成処理性の向上を目的としてNiプレめっき等を行っても、鋼板表面のSiの酸化物が本発明範囲であれば問題ない。
なお、本発明で対象とする化成処理としては、一般的に知られたリン酸亜鉛、クロム酸等の薬剤を選択的に使用することができる。
(実施例1)
表1に示す組成からなる鋼を熱延、酸洗後、75%の圧延率で冷延を行い、1.0mm厚さの冷延鋼板とした。次に連続焼鈍設備を使用して焼鈍を行った。連続焼鈍設備は、H2を10重量%含むN2ガスに水蒸気を導入し、炉内のlogPO2が表2−1及び表2−2に示す値となるように調節した。焼鈍は、最高到達温度を表2に示す値となるよう調節し、均熱温度(最高到達温度−20度から最高到達温度までの範囲)に入っている均熱時間を60秒とした後、700℃まで10℃/sで徐冷し、その後70℃/sで450℃以下まで冷却し、350〜450℃の間で200秒保持した。
炉内のPO2は、炉内の水素濃度、水蒸気濃度、雰囲気温度の測定値と平衡反応
O=H+1/2O
の平衡定数Kを使用して求めた。また、水素濃度と水蒸気濃度は、室温で測定した値から雰囲気温度での値を計算して求め、その値から炉内の雰囲気温度でPOを計算して求めた。

Si酸化物に由来する酸素の平均含有率は以下の式で求めた。

酸素の平均含有率=(鋼中の酸素含有量)/(鋼層の重量)

鋼中の酸素含有量は、GDSにおけるOのピーク曲線から積分値で求めた。また、鋼層の厚さ、すなわちSi酸化物を含有する層の厚さは、GDSのプロファイルが鋼中のSi濃度まで下がる厚さを使用した。
ただし、表面にFeOが存在する場合は本発明の範囲外であるとした。
FeOの有無は、表面をXRD(X線回折)で測定し、回折ピークが観察されなかったものを○、回折ピークが観察されたものを×とした。
シリケート、SiO2の位置は、GDSによる深さ方向の濃度プロファイルを使用して以下の基準で評価した。図3に代表的な本発明のGDSによる深さ方向の濃度プロファイルを示す。

シリケートとSiOの位置関係
○:Siの内部酸化層のピーク位置がMnの全てのピーク位置より鋼板の内側に観察されるもの(すなわちシリケートの濃度のピーク位置が、SiOの濃度のピーク位置より表面側であることを意味する)
△:Siの内部酸化層のピーク位置がMnの全てのピーク位置より鋼板の内側に観察されるが鋼板最表面にFeのピークが観察されるもの(すなわち外表面にFeOが存在することを意味する)
×:上記○、△以外の場合
塗装後耐食性は、鋼板に化成処理と電着塗装を行い、塗膜にカット疵を付与後、塩温水に浸漬して評価した。化成処理、電着塗料は何れも日本ペイント製のサーフダインSD2500、V−50を使用し、各々メーカーの推奨条件にて処理した。化成処理皮膜は2〜3g/m2、電着塗装は膜厚25μmであった。
耐食性の評価は、電着塗装を行ったサンプルにカッターにてカット疵を付与し、55℃、5%NaCl溶液に240hr浸漬後、カット疵部のテープ剥離試験を行い、カット部からの塗膜剥離幅を測定した。カット部からの塗膜剥離幅は以下に示す評点づけで判定し、◎と○を合格とした。

◎:剥離幅2mm未満
○:剥離幅2mm以上2.5mm以下
×:剥離幅2.5mm超
評価結果を表2−1及び表2−2に示す。番号3,8,12,18,23,27,34,38,41,45,50,53は炉内のlogPO2が本発明の範囲外であるため鋼板表面にFeの酸化物が生成し、塗装後耐食性が不合格となった。番号4,7,11,17,24,28,33,37,42,46,49,54は炉内のlogPO2が本発明の範囲外であるため鋼板表面にSi酸化物が濃化し、塗装後耐食性が不合格となった。これら以外はいずれも良好な塗装後耐食性を示した。
(実施例2)
表1に示すE、Jの組成からなる鋼を実施例1と同じ条件でサンプルを調製し、評価した。評価結果を表3に示す。
番号1、2は炉内のlogPO2が本発明の範囲外であるため鋼板表面にFeの酸化物が生成し、塗装後耐食性が不合格となった。番号7、8は炉内のlogPO2が本発明の範囲外であるため鋼板表面にSiOが濃化し、塗装後耐食性が不合格となった。これら以外はいずれも良好な塗装後耐食性を示した。
なお、表3には、参考までにlog(PHO/PH)の数値を表示している。例えば特開2001−323355号公報に開示されているような、めっき鋼板におけるlog(PHO/PH)の不等号式の計算結果(表記せず)と、塗装後耐食性の評価結果と対応していないことは明らかである。
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。
本発明の実施形態に係る高強度冷延鋼板の断面SEM写真。 logPO、最高到達温度TおよびSi含有量の関係を示すグラフ。 高強度冷延鋼板のGDSによる深さ方向の濃度プロファイルを示すグラフ。

Claims (7)

  1. 質量%で、C:0.05〜0.3%、Si:0.3〜2.5%、Mn:1.5〜3.5%、P:0.03%以下、S:0.02%以下、Al:0.005〜0.5%、N:0.0060%以下を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなり、
    FeSiO、FeSiO、MnSiO、MnSiOから選ばれた1種以上のシリケートと、SiOを含有しており、
    鋼板の厚さ方向において、前記シリケートの濃度が前記SiOの濃度より高い領域が、前記SiOの濃度が前記シリケートの濃度より高い領域より表面側に位置することを特徴とする塗装後耐食性に優れた高強度冷延鋼板。
  2. 前記シリケートの濃度が前記SiOの濃度より高い領域が表面に位置することを特徴とする請求項1に記載の塗装後耐食性に優れた高強度冷延鋼板。
  3. 質量%で、C:0.05〜0.3%、Si:0.3〜2.5%、Mn:1.5〜3.5%、P:0.03%以下、S:0.02%以下、Al:0.005〜0.5%、N:0.0060%以下を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなり、
    FeSiO、FeSiO、MnSiO、MnSiOから選ばれた1種以上のシリケートと、SiOを含有しており、
    鋼板の厚さ方向において、前記シリケートの濃度プロファイルのピーク位置が、前記SiOの濃度プロファイルのピーク位置より表面側に位置することを特徴とする塗装後耐食性に優れた高強度冷延鋼板。
  4. 前記シリケートおよび前記SiOの存在位置の確認を、GDS(グロー放電分光分析)による深さ方向の元素濃度プロファイルにおけるピーク位置によって判定することを特徴とする請求項1又は3に記載の塗装後耐食性に優れた高強度冷延鋼板。
  5. 前記シリケートおよび前記SiOが、鋼板表面から5μm以下の領域に存在することを特徴とする請求項1又は3に記載の塗装後耐食性に優れた高強度冷延鋼板。
  6. 鋼板表面から5μm以下の領域の結晶粒界及び結晶粒内において、前記シリケートおよび前記SiOに由来する酸素の平均含有率が0.3〜5.3質量%であることを特徴とする請求項5に記載の塗装後耐食性に優れた高強度冷延鋼板。
  7. 質量%で、C:0.05〜0.3%、Si:0.3〜2.5%、Mn:1.5〜3.5%、P:0.03%以下、S:0.02%以下、Al:0.005〜0.5%、N:0.0060%以下を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなる高強度冷延鋼板に還元雰囲気中で焼鈍を施す工程を具備し、
    前記還元雰囲気は、Hを1〜60体積%含有し、残部がN、HO、O、CO、COの1種又は2種以上並びに不可避的不純物からなり、かつ酸素分圧の対数logPOが、
    −0.000034T+0.105T−0.2〔Si%〕+2.1〔Si%〕−98.8≦logPO≦−0.000038T+0.107T−90.4・・・・・(1式)
    923≦T≦1173・・・・・(2式)
    T:鋼板の最高到達温度(K)
    〔Si%〕:鋼板中のSi含有量(wt%)
    であることを特徴とする塗装後耐食性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
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