JP2003328099A - 高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

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JP2003328099A
JP2003328099A JP2002130255A JP2002130255A JP2003328099A JP 2003328099 A JP2003328099 A JP 2003328099A JP 2002130255 A JP2002130255 A JP 2002130255A JP 2002130255 A JP2002130255 A JP 2002130255A JP 2003328099 A JP2003328099 A JP 2003328099A
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Yoichi Ikematsu
陽一 池松
Shunichi Hayashi
林  俊一
Yukimoto Tanaka
幸基 田中
Yasuhide Morimoto
康秀 森本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、Siを含有する高強度鋼板のめっ
き性の優れた溶融亜鉛めっきを施す製造方法を提供す
る。 【解決手段】 質量%で、C:0.01〜0.3%、S
i:0.2〜3.0%、Mn:3.0%以下、P:0.
1%以下、S:0.02%以下、Al:0.3%以下で
あり、残部が鉄および不可避的不純物からなる高強度鋼
板に溶融亜鉛めっきを行なう製造方法であって、前記鋼
板に濃度10〜30質量%の硫酸水溶液を用いた強酸洗
処理を施して、前記鋼板表面に平均粗度Raが1μm以
下の粗度を付与した後、前記鋼板を非酸化性雰囲気で焼
鈍してから溶融亜鉛めっき浴に浸漬する高強度溶融亜鉛
めっき鋼板の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用鋼板とし
て用いられているSiを含有させた高強度鋼板を素材と
する溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼
板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、排気ガスの規制の観点などから自
動車車体の軽量化が求められている。車体を軽量化する
有効な手段の一つとして、車体用鋼板の板厚を薄くする
方法が挙げられるが、車体の安全性を考え併せると、板
厚を薄くする一方で、鋼板の強度を向上させる必要があ
る。このため、鋼中にSiなどの元素を添加して鋼板の
高強度化が図られている。さらに、車体用の鋼板には良
好な耐食性が要求される。このため、溶融亜鉛めっきを
施したもの、あるいは溶融亜鉛めっき後さらに熱処理を
施し、めっき層を合金化したものなど、溶接性と耐食性
を兼ね備えた鋼板が多用されている。従って、自動車車
体用の鋼板としては、高強度および高耐食性の特性を有
する溶融亜鉛めっき鋼板あるいは合金化溶融亜鉛めっき
鋼板が最適であると言える。
【0003】しかし、このSi含有高強度鋼板は溶融め
っき時、“不めっき”と称するめっき不良が鋼板表面に
発生しやすい。この不めっきはめっきが一部付着せず、
鋼板表面が露出する現象であり、そのサイズは通常mm
オーダーのため、その存在を目視することができる。ま
た、Si含有高強度鋼板は溶融めっき後の合金化処理工
程で、めっき層の合金化がSiを含有しない高強度鋼板
に比べて遅くなるなどの問題点を有している。これら不
めっきやめっき層の合金化遅れは、鋼板の高強度化を図
るために添加されるSiが、めっき工程前の焼鈍処理時
にSi酸化物として表面濃化し、鋼板表面と溶融亜鉛と
の濡れ性を著しく劣化するとともに、合金化時の鋼板か
らめっき層へのFeの拡散を抑制するために生じるもの
である。
【0004】従来より、この不めっきやめっき層の合金
化遅れを抑制するための方法として、いくつかの方法が
提案されている。例えば、焼鈍工程前の鋼板にNi系あ
るいはFe系の電気めっきを行なう方法(特開昭61−
147865号公報、特開平2−194156号公
報)、あるいは弱酸化性雰囲気中での加熱により鋼板表
面に積極的に酸化膜を形成し、その後、還元してめっき
の濡れ性を改善する方法(特開平3−134147号公
報)が開示されている。さらに、鋼板を研削後、酸化処
理を行ない、500〜600℃の温度範囲で還元してめ
っきする方法(特開平6−41708号公報)や、鋼板
を加熱後、フッ酸により酸洗を行ない、還元焼鈍後、溶
融めっきを施す方法(特開2001−140021号公
報)が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、焼鈍工
程前に電気めっきを行なう方法は、高強度鋼板の溶融亜
鉛めっき性は改善されるものの、電気めっき設備の増設
を必要とすること、工程数の増加により製造工程を煩雑
にすること、また特に多量のSiを含有する鋼板では電
気めっき量の増加が必要とされ、生産性の低下を招くこ
となどの問題点があった。また、鋼板表面を一旦酸化し
た後還元して溶融めっきを行なう方法は、多量の合金元
素を含有し、800℃を越える再結晶焼鈍を必要とする
高強度鋼板に適用した場合において、Siの表面への濃
化を十分に抑制することが困難であった。
【0006】研削後、酸化、還元焼鈍する方法は、これ
を、多量のSi,Mnを添加した鋼板に適用した場合に
おいて、めっき性の改善はある程度改善されるものの、
研削不良あるいは鋼板の形状不良に由来する研磨疵や研
削残りにより、筋状欠陥や不めっき欠陥を招くという問
題があった。さらに研削設備追加という新たな設備投資
と工程の煩雑化をも招いてしまうという問題もあった。
また、加熱後、酸洗、還元焼鈍する方法は、一度鋼板を
加熱、冷却後、酸洗を行ない、再度加熱還元を行なう方
法であり、工程が煩雑化するため生産性の点で問題があ
った。本発明は、Siを含有する高強度鋼板における上
記従来技術が抱えていた不めっきの問題を解決し、めっ
き性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造技術を提
案することにある。また、めっき後の合金化遅れを改善
し、めっき層の密着性が良好な高強度溶融亜鉛めっき鋼
板を製造する技術を提案するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、焼鈍前に
鋼板表面を硫酸水溶液で強酸洗処理することにより、不
めっきおよびめっき層の合金化遅れの原因と考えられる
Si酸化物の表面濃化の状態を制御できることを見出
し、その知見に基づき、Si含高強度鋼板においても、
不めっきが無く、密着性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板お
よび合金化遅れを改善した合金化溶融亜鉛めっき鋼板を
製造する方法を発明するに至った。
【0008】すなわち、本発明はこの研究成果に基づく
ものであり、その要旨は (1)質量%で、C:0.01〜0.3%、Si:0.
2〜3.0%、Mn:3.0%以下、P:0.1%以
下、S:0.02%以下、Al:0.3%以下であり、
残部が鉄および不可避的不純物からなる高強度鋼板に溶
融亜鉛めっきを行なう製造方法であって、前記鋼板に濃
度10〜30質量%の硫酸水溶液を用いた強酸洗処理を
施して、前記鋼板表面に平均粗度Raが1μm以下の粗
度を付与した後、前記鋼板を非酸化性雰囲気で焼鈍して
から溶融亜鉛めっき浴に浸漬することを特徴とする高強
度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0009】(2)鋼成分として、さらに、質量%で、
Cr:1%以下、Ni:1%以下、Cu:1%以下、M
o:1%以下の元素のうち少なくとも一種類を含有する
前記(1)記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方
法。 (3)前記(1)または(2)に記載の製造方法で得ら
れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板を、450〜520℃の
温度範囲で合金化熱処理を施す合金化溶融亜鉛めっき鋼
板の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。まず、本発明で取り扱う高強度鋼板の成分限定理
由について説明する。まず、C量を0.3質量%以下と
したのは、これを超えると溶接性が悪化するだけでな
く、セメンタイトなどの析出物がめっき性を劣化させる
原因となるからである。また、下限を0.01質量%と
したのは、0.01質量%未満ではその添加効果は乏し
いからである。
【0011】Siは、固溶強化を助長して強度―伸びバ
ランスを有利に改善する作用があるが、3.0質量%を
超えて含有させると、鋼板自体が硬くなりすぎるため、
これ以下とする。Si量を0.2質量%以上と限定した
のは、これ未満の濃度であればSiの表面濃化はそれほ
ど大きくなく、従って、めっき層の合金化速度の低下も
ないためである。
【0012】Mnは、強度を得るために有効な元素であ
るが、3.0質量%を超えて添加されると溶接性が劣化
し、また、めっき性の改善も困難になるので、3.0質
量%を上限とする。Pは高強度鋼板を得るには安価で有
効な元素であるが、0.1質量%を超えて含有させると
スポット溶接性が著しく損なわれるだけでなく、酸洗後
にP系の酸化物が生成し、めっき性が阻害されることか
ら、Pの添加量の上限を0.1質量%とした。SはMn
Sとなり有害介在物となるため、極力添加を避けた方が
よい。そのため、0.02質量%以下とした。Alの含
有量の上限を0.3質量%としたのは、これを超える合
金元素の添加はコスト高になるだけでなく、加工性を劣
化させるためである。
【0013】また、高強度化を図るために、Cr、N
i、Cu、Moから選ばれる1種以上の元素をさらに含
有することが好ましい。Crは強度を得るために有効な
元素であるが、含有量が1質量%を超えるとめっき性が
劣化するので、1質量%以下の範囲で含有させることが
望ましい。Ni,Cu,Moはいずれも強度等の機械的
性質を向上させる元素であり、適量で添加すれば良好な
材質をえることができる。しかし、いずれも1質量%の
上限を超えた添加はコストアップにつながるので、1質
量%以下で含有させるものとした。
【0014】次に、高強度鋼板の表面に微小な凹凸を形
成させるための強酸洗処理について説明する。なお、こ
こでは、C:0.11%、Si:1.21%、Mn:
1.10%、P:0.02%、S:0.01%、残部は
鉄および不可避的不純物からなるSi含有高強度鋼板の
冷延板を使用し、脱脂後、液温70℃、30質量%の硫
酸水溶液に30秒間浸漬し、強酸洗後、流水中で水洗し
熱風乾燥し、その後、5体積%水素95体積%窒素の還
元雰囲気下で、750℃、60秒間の焼鈍を行なった本
発明の鋼板を例に説明を行なうが、本発明はこれに限定
されるものではない。
【0015】図1は前記高強度鋼板を液温70℃、30
質量%の硫酸水溶液に浸漬する前後の該鋼板表面の代表
的なSEM像を示す顕微鏡写真である。この写真から硫
酸水溶液に浸漬することにより、鋼板表面全体にサイズ
0.2〜0.3μm程度の微小な凹凸が形成されている
ことがわかる。共焦点レーザー顕微鏡を用いて、前記強
酸洗後の表面の粗度を評価したところ、平均粗度Raは
0.26μmであった。さらに前記強酸洗後の鋼板表面
をグロー放電分光分析装置で測定した結果、Siなどの
顕著な表面濃化は生じていないこと確認した。さらに、
これらの鋼板に5体積%水素95体積%窒素の還元雰囲
気下で、750℃、60秒間の焼鈍を行なった後、鋼板
表面でのSiの分布状態をオージェ電子分光分析装置で
測定を行なった結果、強酸洗処理を施さなかった鋼板で
は、Siは酸化膜として膜状に存在することが判明し
た。
【0016】一方、強酸洗処理後、焼鈍した鋼板では、
Siは微細な粒状の酸化物として存在することがわかっ
た。このSi酸化物の存在形態の変化は、鋼板表面の表
面積の違いに由来するものと考えられる。すなわち、強
酸洗処理により鋼板表面に微小な凹凸が付与され、表面
積が著しく増加する。これにより、表面の単位面積あた
りに存在するSiの量が変化し、酸化後のSi酸化物の
形態が上述のように膜状から粒状に変化したものと考え
られる。なお、Si酸化物が粒状に存在する鋼板表面で
は、Si酸化物に覆われていない領域は、鋼板表面その
ものが露出あるいはSi酸化膜が非常に薄く存在してい
ると考えられる領域であり、これによりめっきの濡れ性
は改善され、不めっきが低減し、めっき層の合金化速度
が遅くなる問題も改善できる。
【0017】本発明の強酸洗処理に用いられる酸として
は、鋼板表面との反応性を制御しやすいものが好まし
く、特に硫酸が適当であると考えられる。硫酸の他に、
硝酸も考えられるが、硝酸を用いた場合、酸洗中に鋼板
表面が不動態化し、凹凸の付与が困難となる。強酸洗処
理では、硫酸を10〜30質量%の水溶液とし、液温を
室温から80℃前後までとして脱脂後の鋼板を浸漬すれ
ばよい。硫酸水溶液の濃度が10質量%未満では、鋼板
表面に微細な凹凸は形成され難く、30質量%を超えた
濃度となると鋼板表面と酸との反応は飽和する。液温は
室温より低い温度では、鋼板表面での反応は十分に進行
しない。また、80℃をはるかに超えた液温では、水分
の蒸発が激しく、液組成の制御が困難となる。
【0018】強酸洗処理により鋼板表面に付与される粗
度は、平均粗度Raで0.05μm以上1μm以下が望
ましい。すなわち、強酸洗後の鋼板表面の粗度が平均粗
度Raで0.05μmより小さな値では、本発明の効果
は発現せずめっき性は改善されないためであり、1μm
より大きな値となると溶融めっき後のめっき表面の凹凸
も大きくなり外観不良を発生しやすくなるためである。
鋼板表面に冷間圧延油などが付着していると強酸洗の効
果が発現しにくくなるため、処理前に鋼板表面を十分脱
脂する必要がある。脱脂剤としては適切な脱脂効果が得
られるものが好ましく、特にSiの化合物を含まない水
酸化ナトリウムなどのノンシリケート系の薬剤が望まし
い。また、強酸洗後は、鋼板表面を水洗し、熱風乾燥機
を用いて十分に乾燥させる。
【0019】次に、鋼板表面に溶融めっきを施す方法に
ついて説明する。めっきは連続溶融亜鉛めっきラインに
て、前記強酸洗処理した鋼板を還元焼鈍したのち、溶融
亜鉛めっき浴を用いて実施する。めっき前の還元焼鈍は
700℃以上の温度で行なう必要がある。加熱温度が7
00℃より低い温度の場合、鋼板は未再結晶ままの組織
となり、所望する機械的性質を得ることができない。な
お、加熱温度の上限は特に限定されるものではないが、
900℃より高い温度では、Si,Mn,Crなどが表
面濃化してめっき性が劣化するおそれがあるため、還元
焼鈍時の加熱温度は900℃以下程度が望ましい。ま
た、還元性の雰囲気は還元性であれば良く、その組成が
特に限定されことはない。
【0020】しかしながら、製造上、露点−10〜−5
0℃、水素濃度:1〜20体積%で残部が不活性ガスか
らなる雰囲気が好適である。露点が−10℃より高い
と、鋼板表面に生成するSi酸化物の形態が膜状となり
やすく、好ましくない。一方、−50℃より低い露点は
工業的に現実が困難であるため、露点は−10℃〜−5
0℃が好ましい。さらに、水素濃度が1体積%より低い
場合は、還元作用が弱く、20体積%以下であれば十分
な還元能力が得られるので、水素濃度の範囲は体積%で
1〜20%とした。
【0021】この還元焼鈍の時間は、加熱温度が700
℃では、40秒以上360秒以下、800℃では、20
秒以上100秒以下、900℃では10秒以上30秒以
下が目安となる。加熱温度800℃において、焼鈍時間
が20秒より短い場合は、再結晶が十分に進行したいた
めに、延性など自動車用鋼板として所望される機械的特
性が得られず、一方、焼鈍時間が100秒より長くなる
と、溶融めっき鋼板の生産性に支障をきたす。
【0022】溶融亜鉛めっき浴の組成は有効Al濃度で
0.12〜0.20質量%の範囲とし、残りをZnおよ
び不可避的不純物とする。Al濃度が0.12質量%よ
り小さい場合は、めっき層の合金化反応で重要な役割を
果たすFe−Al層の形成が困難となる。一方、Al濃
度が0.20質量%より大きい場合は、合金化反応が強
く抑制され生産性を阻害する。めっき浴の浴温は、亜鉛
の融点や鋼板との反応性を考慮して460℃程度とする
ことが望ましい。また、めっき浴に鋼板を浸漬する時間
は数秒程度とする。
【0023】得られた溶融亜鉛めっき鋼板は、用途に応
じて合金化熱処理を行なうことも可能である。ここで、
合金化処理は450℃〜520℃の温度範囲で実施する
ことが望ましい。すなわち、合金化温度が450℃より
低い温度ではめっき層の合金化は殆ど進行しない。一
方、上限を520℃としたのは、この温度を超えると過
度の合金化を招くからである。合金化処理における雰囲
気は、加熱に伴うめっき表面の酸化を抑制するために、
窒素など不活性ガスを用いればよい。
【0024】この合金化処理における加熱時間は数秒以
内とする。これより長い時間の加熱は、めっき層が過合
金化状態となり、めっきの密着性が劣化するため望まし
くない。合金化後のめっき層中のFeの濃度は8〜15
質量%の範囲が好適である。8質量%未満では、不十分
な合金化のために摺動性が劣化し、一方、15質量%を
超えると過合金状態となり、めっきの密着性が劣化する
からである。なお、合金化のための熱処理は、ガス加熱
炉や誘導加熱炉などを使用すればよい。
【0025】
【実施例】(実施例1)質量%で、C:0.11%、S
i:1.21%、Mn:1.10%、P:0.02%、
S:0.01%のSi含有高強度鋼板の冷延板を脱脂
し、液温70℃、30質量%の硫酸水溶液に30秒間浸
漬し、強酸洗後、流水中で水洗し熱風乾燥した。縦型の
溶融亜鉛めっき装置にて10体積%水素90体積%窒
素、露点−30℃の雰囲気下で、800℃、100秒間
の還元焼鈍後、浴中Al濃度0.14質量%、浴温46
0℃の溶融亜鉛浴中にて3秒間のめっき処理を施した。
比較例1は、上記実施例1と同じ化学組成のSi含有高
強度鋼板の冷延板について、脱脂後、縦型の溶融めっき
装置にて実施例1と同一の条件にて焼鈍後めっき処理し
た鋼板である。
【0026】また、参考例1は、良好なめっき性が得ら
れているTi−Nb−SULC鋼であり、その化学組成
は、質量%でC:0.005%、Si:0.02%、
P:0.02%、Mn:0.27%、Ti:0.03
%、Nb:0.04%である。このTi−Nb−SUL
C鋼についても、脱脂後、実施例1と同一の装置および
条件にてめっき処理した。不めっきの評価はZnめっき
後の鋼板の外観の目視観察で判定した。合金化処理は誘
導加熱装置で加熱温度500℃×20秒の条件で行な
い、合金化の程度はめっき層中のFeの量をX線回折法
で評価した。実施例1の強酸洗処理材は、比較例1の前
記強酸洗処理を行わなかった鋼材に比較して、表1に示
すように不めっきもなく、かつ合金化速度は速くなり、
参考例1のTi−Nb−SULC鋼と同程度になってい
る。
【0027】
【表1】
【0028】(実施例2)質量%で、C:0.10%、
Si:1.30%、Mn:1.23%、P:0.02
%、S:0.01%の組成のSi含有高強度鋼板の冷延
板を脱脂し、表2の各処理条件で硫酸水溶液に浸漬し、
強酸洗処理を行なった。次に還元炉を有する連続式溶融
亜鉛めっき設備を用いて、上記の強酸洗処理後の冷延鋼
板を素材として、溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。還元
炉はラジアントチューブ過熱方式で雰囲気は10体積%
水素90体積%窒素であり、露点は−30〜−40℃で
ある。焼鈍の加熱温度は780〜820℃である。溶融
亜鉛めっき浴のAl濃度は質量%で0.16〜0.20
%であり、浴温を460℃とした。
【0029】表2に示す、比較例No.16は、上記実
施例2と同じ化学組成のSi含有高強度鋼板の冷延板に
ついて、上記実施例2と同一の設備および条件にてめっ
き処理した鋼板である。また、参考例であるNo.17
の鋼板は、表1に示す参考例1で用いた鋼と同じ化学組
成のTi−Nb−SULC鋼であり、上記実施例2と同
一の設備および条件にてめっき処理した。不めっきの評
価はZnめっき後の鋼板の外観の目視観察で判定した。
その結果を表2に示す。比較例No.16の場合はいず
れも不めっきが生じており、本発明例No.1〜15は
参考例であるNo.17のTi−Nb−SULC鋼と同
じように不めっきの発生は見られなかった。
【0030】
【表2】
【0031】(実施例3)質量%で、C:0.09%、
Si:1.80%、Mn:1.52%、P:0.02
%、S:0.01%のSi含有高強度鋼板の冷延板を脱
脂し、表2の各処理条件と同じ処理条件で硫酸水溶液に
浸漬し、強酸洗処理を行なった。その後、実施例2と同
様に連続式溶融亜鉛めっき設備を用いて、同一条件でめ
っきした。めっき後の合金化処理は窒素ガス雰囲気下、
500℃の加熱温度で行なった。加熱時間は30秒であ
る。表3に示すNo.33の比較例は、上記実施例3の
鋼板と同じ化学組成のSi含有高強度鋼板の冷延板につ
いて、実施例3と同一の設備および条件にてめっきを行
ない合金化処理した鋼板である。
【0032】また、参考例No.34の鋼板は、表1に
示す参考例1で用いた鋼と同じ化学組成のTi−Nb−
SULC鋼であり、上記実施例3と同一の設備および条
件にてめっきおよび合金化処理した。合金化の程度はめ
っき層中のFeの量をX線回折法で評価した。その結果
を表3に示す。比較例No.33の場合はいずれも不め
っきが生じており、かつ合金化速度が参考例No.34
のTi−Nb−SULC鋼よりも遅くなっている。一
方、本発明例No.18〜32は比較例No.33に比
して合金化速度が速くなっており、参考例No.34の
Ti−Nb−SULC鋼と同等程度に合金化している。
【0033】
【表3】
【0034】
【発明の効果】以上示した如く、本発明によればSi含
有高強度溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板を安定に製造することができ、かつSi含有量の
制限が少なくなるので鋼成分の設計が容易になるなど工
業的に大きな効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明例と比較例の強酸洗後の鋼板表面の代表
的なSEM像を示す顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C22C 38/00 301 C22C 38/00 301T 38/06 38/06 38/58 38/58 (72)発明者 田中 幸基 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 森本 康秀 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 Fターム(参考) 4K027 AA05 AA23 AB28 AB42 AC02 AC12 AC73 4K037 EA01 EA05 EA11 EA13 EA15 EA16 EA17 EA20 EA23 EA25 EA27 EA28 EB06 EB07 EB08 EB09 GA05 4K053 PA02 PA12 QA01 QA05 RA15 RA22 SA06 TA03 TA09 TA12 TA18 TA19 XA27 YA21

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、 C:0.01〜0.3%、 Si:0.2〜3.0%、 Mn:3.0%以下、 P:0.1%以下、 S:0.02%以下、 Al:0.3%以下であり、 残部が鉄および不可避的不純物からなる高強度鋼板に溶
    融亜鉛めっきを行なう製造方法であって、前記鋼板に濃
    度10〜30質量%の硫酸水溶液を用いた強酸洗処理を
    施して、前記鋼板表面に平均粗度Raが1μm以下の粗
    度を付与した後、前記鋼板を非酸化性雰囲気で焼鈍して
    から溶融亜鉛めっき浴に浸漬することを特徴とする高強
    度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 鋼成分として、さらに、質量%で、C
    r:1%以下、Ni:1%以下、Cu:1%以下、M
    o:1%以下の元素のうち少なくとも一種類を含有する
    請求項1記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の製造方
    法で得られた高強度溶融亜鉛めっき鋼板を、450〜5
    20℃の温度範囲で合金化熱処理を施す合金化溶融亜鉛
    めっき鋼板の製造方法。
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