JP2000309824A - 冷延鋼板および溶融めっき鋼板ならびにそれらの製造方法 - Google Patents
冷延鋼板および溶融めっき鋼板ならびにそれらの製造方法Info
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Abstract
っき処理前の再結晶焼鈍にラジアントチューブ等の輻射
式加熱を用いた場合であっても、十分な内部酸化層を確
保して、優れた化成処理性および溶融めっき性を安定し
て得る。 【解決手段】冷延鋼板および溶融めっき鋼板の製造工程
中、特に熱間圧延後、黒皮スケールを付着させたまま、
実質的に還元が起きない雰囲気中にて 650〜950℃の温
度範囲で熱処理を施すことにより、鋼板の地鉄表層部に
内部酸化層を形成する。
Description
用いられる冷延鋼板および溶融めっき鋼板ならびにそれ
らの製造方法に関し、特にその化成処理性や溶融めっき
性の有利な向上を図ろうとするものである。
量の軽減および信頼性・安全性の向上の観点から、その
高強度化が指向されている。この傾向は、自動車用鋼板
として多用される溶融亜鉛めっき鋼板等の溶融めっき鋼
板についても例外ではなく、高強度化のために種々の方
法が提案されている。
やMn等の固溶強化元素を比較的多量に含有させることに
よって鋼板の高強度化を図る方法が提案されている。し
かしながら、この方法では、SiやMnを多量に含有するこ
とに由来する別の問題、すなわちSiやMnの表面濃化に起
因した溶融めっき性の劣化(めっきされない部分の発生
すなわち不めっきの発生)や化成処理性の劣化(冷延鋼
板に塗装下地処理として施されるりん酸亜鉛などの化成
皮膜が形成されない)という問題が生じるため、自動車
用鋼板としては実使用に耐え得なかった。
で鋼板を強制的に酸化したのち、還元し、溶融めっきす
る方法(特開昭55−122865号公報)や、溶融めっきを施
す前にプレめっきを行う方法(特開昭58−104163号公
報)等が提案されたが、これらの方法では、熱処理時の
表面酸化物の制御が十分でないため、鋼成分およびめっ
き条件によっては必ずしも安定した溶融めっき性や化成
処理性が得られず、また余分なプロセスが付加されるた
めに製造コストが上昇するという問題もあった。
した溶融めっき性の劣化を改善するものとして、熱間圧
延後、高温巻取りを行うことによって、鋼板の地鉄表層
部の結晶粒界や結晶粒内に酸化物を形成する、すなわち
内部酸化層を形成させる方法が提案されている。この内
部酸化層を形成する方法は、不めっきの発生を防止する
手段としては極めて有用である。しかしながら、上記の
方法では、鋼種や製造履歴によっては、十分な内部酸化
層を確保できないため、必ずしも満足いくほど優れた溶
融めっき性および化成処理性が得られるとは限らないと
ころに問題を残していた。
ラジアントチューブ等の輻射式加熱方式で行った場合
は、この傾向が大きかった。なお、加熱方式が直火式の
場合には、この焼鈍中に幾分かは内部酸化層が増強され
るので、輻射式加熱の場合よりは改善されたが、それで
も安定して所望の内部酸化層を形成することは困難であ
った。
を有利に解決するもので、鋼の成分組成や製造履歴を問
わず、また溶融めっき処理前の再結晶焼鈍にラジアント
チューブ等の輻射式加熱を用いた場合であっても、十分
な内部酸化層を確保して、優れた溶融めっき性や化成処
理性を安定して得ることができる冷延鋼板および溶融め
っき鋼板を、それらの有利な製造方法と共に提案するこ
とを目的とする。なお、本発明における化成処理性と
は、冷延鋼板をそのまま自動車用部材として使用する場
合における、りん酸亜鉛などの化成皮膜の形成能を意味
する。
SiやMnを添加した場合にめっき性が劣化する原因は、焼
鈍時におけるSiやMnの表面濃化(SiやMnが焼鈍中に選択
酸化されて表面に多くなること)である。従って、この
問題の解決策としては、地鉄表層部のSiやMnを予め酸化
して、最表面における金属Siや金属Mnの濃度を低下させ
ること、すなわち地鉄表層部に十分な内部酸化層を形成
することが有効と考えられる。
べく鋭意検討を重ねた結果、十分な内部酸化層を安定し
て形成するためには、熱間圧延後、黒皮スケールを付着
させたまま、実質的に還元を起こさない雰囲気中で熱処
理を施すことが極めて有効であることの知見を得た。本
発明は、上記の知見に立脚するものである。
である。 1.冷延鋼板であって、素材鋼片を、熱間圧延後、黒皮
スケールを付着させたまま、実質的に還元が起きない雰
囲気中にて 650〜950 ℃の温度範囲で熱処理を施して、
鋼板の地鉄表層部に内部酸化層を形成させたのち、常法
に従う酸洗、冷間圧延および再結晶焼鈍を施して得たこ
とを特徴とする冷延鋼板。
後、冷間圧延および再結晶焼鈍を施して冷延鋼板を製造
するに当たり、熱間圧延後、黒皮スケールを付着させた
まま、実質的に還元が起きない雰囲気中にて 650〜950
℃の温度範囲で熱処理を施すことにより、鋼板の地鉄表
層部に内部酸化層を形成させることを特徴とする冷延鋼
板の製造方法。
を、熱間圧延後、黒皮スケールを付着させたまま、実質
的に還元が起きない雰囲気中にて 650〜950 ℃の温度範
囲で熱処理を施して、鋼板の地鉄表層部に内部酸化層を
形成させたのち、常法に従う酸洗、冷間圧延、再結晶焼
鈍および溶融めっき処理を施して得たことを特徴とする
溶融めっき鋼板。
後、冷間圧延、再結晶焼鈍および溶融めっき処理を施し
て溶融めっき鋼板を製造するに当たり、熱間圧延後、黒
皮スケールを付着させたまま、実質的に還元が起きない
雰囲気中にて 650〜950 ℃の温度範囲で熱処理を施すこ
とにより、鋼板の地鉄表層部に内部酸化層を形成させる
ことを特徴とする溶融めっき鋼板の製造方法。
またさらにはSi:0.1 〜2.0 mass%を含有する組成にな
り、めっき層直下の地鉄表層部に、Mnの濃化層またさら
にはSiの濃化層を有することを特徴とする、上記3に記
載の溶融めっき鋼板。
またさらにはSi:0.1 〜2.0 mass%を含有する組成にな
り、鋼板の表面から地鉄内部に向かう厚み方向のMn濃度
またさらにはSi濃度が、めっき層をすぎて急激に上昇し
たのち、一旦低下し、その後幾分上昇して定常状態とな
るプロフィールを有することを特徴とする上記3または
5に記載の溶融めっき鋼板。
またさらにはSi:0.1 〜2.0 mass%を含有する組成にな
り、かつめっき層直下の地鉄表層部のMn/Fe比またさら
にはSi/Fe比が、地鉄内部のMn/Fe比またさらにはSi/
Fe比の1.01倍以上であることを特徴とする上記項3, 5
または6のいずれかに記載の溶融めっき鋼板。
結果について説明する。図1に、黒皮スケールを予め酸
洗により除去したいわゆる白皮熱延板(同図(a) )と黒
皮スケールが付着したままのいわゆる黒皮熱延板(同図
(b), (c))について、熱延板熱処理後の断面を光学顕微
鏡で観察した結果を比較して示す。なお、素材として
は、Si:0.5 mass%、Mn:1.5 mass%を含有するSi−Mn
鋼を用い、また熱延板熱処理条件は 750℃, 5hとし
た。
たまま熱延板熱処理を行った場合(同図(b), (c))には
いずれも、鋼板の地鉄表層部に内部酸化層の形成が認め
られた。なお、熱処理雰囲気が、100vol%N2の場合(実
質的に還元を起こさない雰囲気:同図(b) )には、黒皮
スケール表面および地鉄との界面に還元鉄の形成はほと
んど認められなかったのに対し、5vol%H2−N2の場合
(若干還元を起こす雰囲気:同図(c) )の場合には、黒
皮スケールの一部表面と地鉄との界面に還元鉄の形成が
観察された。一方、白皮熱延板の場合には、内部酸化層
の形成は全く観察されなかった。なお、黒皮熱延板を10
0vol%H2雰囲気(強い還元性雰囲気)で熱処理した場合
についても調査したが、この場合には黒皮スケール自体
の還元が進むだけで、内部酸化層の形成はほとんど生じ
なかった。
形成には、熱延板熱処理時における雰囲気の影響が大き
いことが明らかとなった。図2に、内部酸化層の形成に
及ぼす黒皮熱延板熱処理雰囲気の影響を模式的に示す。
図2(a) に示すように、非還元性(実質的に還元を起こ
さない)雰囲気(例えば100vol%N2雰囲気)で熱処理を
行った場合には、黒皮スケール中の酸素が主に結晶粒界
に沿って浸透し、 FeSiO3やMnx Fey Oz が形成される。
すなわち、スケール中の酸素は、内部酸化層の形成のみ
に使用されると考えられる。
性(実質的に還元を起こす) 雰囲気(例えば100vol%H2
や5vol%H2−N2雰囲気)の場合には、黒皮スケール中の
酸素は、内部酸化層の形成だけでなく、黒皮スケールの
還元( FeO+H2→Fe+H2O )にも使用されるので、内部
酸化層の形成が不十分となり、また黒皮スケール層が還
元されて還元鉄が形成される不利も生じる。
洗−冷間圧延後、レスカ製縦型溶融めっきシュミレーシ
ョン装置を用いて、再結晶焼鈍→溶融亜鉛めっき→ソル
トバスによる加熱合金化処理を行って、合金化溶融亜鉛
めっき鋼板を製造した。図3に、熱延板熱処理後におけ
るSi, Mnの表面濃化状況を、また図4には、溶融めっき
時における不めっきの発生状況について調べて結果を示
す。Si, Mnの表面濃化量は、GDS(グリムグロー発光
分光分析)により極表面の分析を行い、Si, Mnの10秒間
積算強度として比較した。また、不めっきの評価は、画
像処理により不めっき部の面積を求め比較した。図3,
4から明らかなように、Si, Mnの表面濃化は、黒皮スケ
ールがついたままで、かつ熱延板熱処理雰囲気が実質的
に非還元性である場合に最も少なく、またこの場合には
不めっきの発生も全くないことが確認された。
安定して形成するために、熱延板熱処理を、黒皮スケー
ルがついたまま、実質的に非還元性雰囲気中で行うこと
にしたのである。
分析)によるめっき表層から地鉄内部までの深さ方向元
素分布の測定によって、SiやMnの濃化状態を検出するこ
とができる。そこで、このGDSを用いて、溶融亜鉛め
っき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、め
っき処理後のSiやMnの濃化状態について調査した。図5
(a), (b)に、0.5mass%Si−1.5mass%Mnを含有するSi−Mn
鋼を使用した溶融亜鉛めっき鋼板の従来材と本発明材の
測定結果を比較して、また図6(a), (b)には、合金化処
理後の各鋼材の測定結果を比較して、それぞれ示す。従
来材は熱延板熱処理なしとし、一方、本発明材は黒皮付
熱延板を窒素中にて750℃, 10時間熱処理し、ついで通
常の酸洗、冷間圧延後、連続溶融めっき設備にて溶融亜
鉛めっき処理および合金化処理を施したものである。
鉄表層部にMnやSiの濃化が認められないのに対し、発明
材では地鉄表層部にMnやSiの濃化が認められる。これ
は、周りのMnやSiが酸化物として濃縮しているためであ
り、従ってこの近傍における金属Mnおよび金属Siの濃度
は低下している。そして、かかる濃化は、めっき層と地
鉄の界面ではなく、めっき層直下の地鉄表層部で生じて
いる。なお、地鉄とめっき層との界面は、めっき層中の
Zn強度の 1/2位置、地鉄のFe強度とめっき層中のFe強度
の半分の位置で判定することができる。特に、合金化溶
融亜鉛めっき鋼板は、加熱拡散処理によって製造される
ため、溶融亜鉛めっき鋼板よりは、より地鉄側に濃化層
が拡散している。また、かかるMn濃化層の地鉄内部側に
Mn濃度が低下している領域が認められ、それよりも深い
領域では地鉄の組成を反映して定常状態となる。
鋼中に添加されている場合には、その量にもよるが、こ
れらの元素も地鉄表層部に濃化が認められるのが一般的
である。特にSiやBは強力な被酸化性元素であるため
に、地鉄表層部に濃化が認められ易い。上記したよう
に、地鉄表層部にMn等の酸化物の濃化が認められる場合
には、地鉄最表面におけるMn等の金属元素は枯渇してお
り、その結果、めっき性が改善されるわけである。特に
地鉄表層部の内部酸化層を、GDSのMn/FeやSi/Feピ
ーク強度比で評価した場合、これらの値が地鉄内部のMn
/FeやSi/Feピーク強度比よりも1.01倍以上である場合
に、とりわけ優れためっき性が得られた。
定されることはなく、いわゆる低炭素鋼板、極低炭素鋼
板、Mn添加高張力鋼板およびSi−Mn添加高張力鋼板など
従来公知のものいずれもが適合する。特に好適には、強
度向上のために比較的多量にMnを添加したMn系高張力鋼
板およびSiやMnを添加した高Si−Mn系高張力鋼板であ
る。ここに、高強度化のためには、Mnは 0.2mass%以上
含有させることが好ましい。しかしながら、3.0 mass%
を超えて多量に含有させると実用的なハイテン材とはな
らないので、Mn量は 0.2〜3.0 mass%程度とすることが
好ましい。また、Siは、 0.1mass%未満では本発明法を
必要とするようなめっき性の劣化があまり起こらず、一
方 2.0mass%を超えると本発明法をもってしてもめっき
性の劣化が免れ得ないので、Siは必要に応じて 0.2〜2.
0 mass%の範囲で含有させることが好ましい。なお、そ
の他にも、必要に応じて、Ti, Nb, B, Mo, Sb, P,
S, C, N, Cu, Ni, Cr, VおよびZr等を適宜含有させ
ることもできる。
る。まず、鋼片の製造方法としては、連続鋳造法が有利
に適合するが、造塊−分塊法であってもかまわないのは
言うまでもない。熱間圧延についても、特に限定される
ことはなく、従来から公知の方法に従って処理すれば良
い。代表的な熱延条件は、圧下率:80〜99%、熱延終了
温度:600 〜950 ℃、巻取り温度:300 〜750 ℃であ
る。
通常、酸洗で黒皮スケールを除去したのち、冷間圧延工
程に供せられるわけであるが、本発明では、上記の熱間
圧延後、黒皮スケールが付着したままの熱延鋼板を、実
質的に還元が起きない雰囲気中で熱処理して、鋼板の地
鉄表層部に積極的に内部酸化層を形成させ、もって安定
した溶融めっき性および化成処理性の向上を図るのであ
る。ここに、優れた溶融めっき性を安定して得るために
は、内部酸化層の厚みを5〜40μm 程度にすると共に、
表層における内部酸化層の面積率を1〜20%程度とする
ことが望ましい。なお、この値は、ノーエッチングの断
面観察(1000倍)時に黒く見える部分の面積率として容
易に判断することができる。
度は 650〜950 ℃とする必要がある。というのは、熱延
板熱処理温度が 950℃を超えると、結晶粒径が粗大化し
て、続く冷延時に表面が荒れたり、また冷延の歪みが不
均一になってr値の低下を招くからであり、また熱延板
熱処理温度が 650℃未満では、十分な内部酸化層を形成
させることができないからである。なお、熱処理時間に
ついては特に限定されることはないが、4〜40時間程度
とするのが好ましい。
起こさない雰囲気としては、100vol%N2雰囲気およびH2
含有量が5vol%未満のH2−N2混合雰囲気が有利に適合す
る。この点、H2含有量が5vol%以上になると、黒皮スケ
ール表面にも還元鉄が生成し、冷延前の酸洗工程での残
存スケールの除去が阻害されるので好ましくない。ま
た、大気中などの酸化性雰囲気では、内部酸化と共に鉄
の酸化が進行し、内部酸化層の厚みが不十分となるため
好ましくない。しかしながら、100vol%N2雰囲気または
H2量が5vol%未満のH2−N2混合雰囲気におけるO2量が1v
ol%以下であれば、鉄の酸化は問題とならない少量であ
るので、この程度であれば含有していても良い。O2を完
全に排除することはむしろ経済的な不利が大きい。
延圧延条件についても、特に限定されることはなく、常
法に従って行えば良いが、集合組織{111}を有利に
発達させるためには、圧下率は50〜95%程度とすること
が好ましい。
焼鈍条件についても、特に限定されることはなく、常法
に従い、 600〜950 ℃で 0.5〜10 min程度で行えば良
い。また、本発明では、溶融めっき処理前の再結晶焼鈍
にラジアントチューブ等の輻射式加熱を用いた場合であ
っても、所望の内部酸化層を確保できる利点がある。こ
の場合には、直火式の加熱方式を用いる場合に比べて、
熱延板熱処理時における内部酸化層の形成量を幾分多め
にしておけば良い。さらに、本発明では、後述する溶融
めっき処理後の鋼帯に対し、形状矯正、表面粗度等の調
整のために、10%以下の調質圧延を加えることもでき
る。
きを施す場合には、従来から公知の方法に従って実施す
れば良い。例えば、溶融亜鉛めっき処理の場合には、再
結晶焼鈍した鋼板を、浴温が 460〜490 ℃程度の溶融亜
鉛浴に浸漬して溶融めっきを行う。その際、浴に浸入さ
せる時の板温は 460〜500 ℃程度が好適である。また、
溶融亜鉛浴中のAl量は0.13〜0.5 mass%程度とするのが
好ましい。このようにして溶融亜鉛浴に浸漬された鋼板
は、浴から引き上げられたのち、ガスワイピング処理な
どによってめっき付着量を調整され、溶融亜鉛めっき鋼
板となる。さらに、このような溶融亜鉛めっき鋼板は、
その後に合金化処理を施すことによって合金化溶融亜鉛
めっき鋼板とすることもできる。
溶融アルミニウムめっき、溶融亜鉛−アルミニウムめっ
き等があり、これらについても従来公知の方法に従って
溶融めっき処理を施せば良い。また、溶融めっきの付着
量については、片面当たり20〜100 g/m2程度とするのが
好ましい。
1200〜1250℃に加熱後、熱間圧延により 3.5mm厚の熱延
板としたのち、表2,3に示す条件で熱延板熱処理を施
し、ついで酸洗後、冷間圧延を施して 0.8mm厚の冷延板
とした。かくして得られた冷延板に、830 ℃,1 minの
再結晶焼鈍を施したのち、 ・浴温:470 ℃ ・浸入板温:470 ℃ ・Al含有率:0.14mass% ・めっき付着量:60g/m2(片面) ・めっき時間:1sec の条件で溶融亜鉛めっき処理を施して溶融亜鉛めっき鋼
板を製造した。また、一部についてはその後合金化処理
を施して、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とした。さらに、
一部については、上記の再結晶焼鈍後、溶融アルミニウ
ムめっき処理および溶融亜鉛−アルミニウムめっき処理
を施した。またさらに、冷延板の一部については化成処
理を施し、化成処理性を評価した。なお、比較のため、
従来法に従って、冷延鋼板、溶融めっき鋼板および合金
化溶融めっき鋼板を製造した。かくして得られた冷延鋼
板の化成処理性、各種溶融めっき鋼板の溶融めっき性お
よびめっき密着性、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の合金化
速度および合金化ムラ、地鉄表層近傍におけるMnやSiの
濃化状態および地鉄内部のMn/Fe,Si/Feに対する地鉄
表層近傍のMn/Fe,Si/Feの比について調べた結果を、
表4,5に示す。
面調整→化成からなる化成処理を施して、りん酸亜鉛皮
膜を形成させ、以下の基準に従い評価した。 ○:全面均一にりん酸亜鉛皮膜が形成された ×:一部りん酸亜鉛皮膜が形成されない部分が発生
像処理して、不めっき面積率を求め、以下の基準に従い
評価した。 5:不めっき面積率 0% 4:不めっき面積率 0.1%以下 3:不めっき面積率 0.1%超〜0.3 %以下 2:不めっき面積率 0 3%超〜0.5 %以下 1:不めっき面積率 0.5%超
径:6.35mm、重量:1kgの重りを 500mmの高さから鋼板
上に落下)により、めっき密着性を評価した。判定基準
は次のとおりである。 ○:めっき剥離なし ×:めっき剥離有り
しているか否かで合金化速度を評価した。 ○:亜鉛η相なし ×:亜鉛η相あり
×200 mmの溶融めっき板を 490℃, 30秒で合金化を行い
合金化ムラがあるかについて合金化後のめっき外観を観
察して評価した。 ○:焼けムラなし(均一) ×:焼けムラあり
フール>GDSにより、めっき層表面から地鉄内部まで
の深さ方向元素分布を測定して、SiやMnの濃化状態を検
出した。
従い得られた鋼板はいずれも、十分な量の内部酸化層を
有し、その結果、従来法により得られた鋼板に比べて、
優れた化成処理性、溶融めっき性および合金化溶融めっ
き性を呈している。
黒皮スケールを付着させたまま、実質的に還元が起きな
い雰囲気中で熱延板熱処理を施すことにより、鋼板の地
鉄表層部に十分な量の内部酸化層を安定して形成させる
ことができ、ひいては化成処理性および溶融めっき性を
格段に向上させることができる。
(同図(b), (c))の熱延板熱処理後の断面を示す光学顕
微鏡組織写真である。
雰囲気の影響を示した図である。
況を示した図である。
図である。
び本発明に従う溶融亜鉛めっき鋼板(同図(b) )につい
て、GDSにより測定した深さ方向元素分布を、比較し
て示したグラフである。
)および本発明に従う合金化溶融亜鉛めっき鋼板(同
図(b) )について、GDSにより測定した深さ方向元素
分布を、比較して示したグラフである。
Claims (7)
- 【請求項1】 冷延鋼板であって、素材鋼片を、熱間圧
延後、黒皮スケールを付着させたまま、実質的に還元が
起きない雰囲気中にて 650〜950 ℃の温度範囲で熱処理
を施して、鋼板の地鉄表層部に内部酸化層を形成させた
のち、常法に従う酸洗、冷間圧延および再結晶焼鈍を施
して得たことを特徴とする冷延鋼板。 - 【請求項2】 素材鋼片を、熱間圧延し、ついで酸洗
後、冷間圧延および再結晶焼鈍を施して冷延鋼板を製造
するに当たり、 熱間圧延後、黒皮スケールを付着させたまま、実質的に
還元が起きない雰囲気中にて 650〜950 ℃の温度範囲で
熱処理を施すことにより、鋼板の地鉄表層部に内部酸化
層を形成させることを特徴とする冷延鋼板の製造方法。 - 【請求項3】 溶融めっき鋼板であって、素材鋼片を、
熱間圧延後、黒皮スケールを付着させたまま、実質的に
還元が起きない雰囲気中にて 650〜950 ℃の温度範囲で
熱処理を施して、鋼板の地鉄表層部に内部酸化層を形成
させたのち、常法に従う酸洗、冷間圧延、再結晶焼鈍お
よび溶融めっき処理を施して得たことを特徴とする溶融
めっき鋼板。 - 【請求項4】 素材鋼片を、熱間圧延し、ついで酸洗
後、冷間圧延、再結晶焼鈍および溶融めっき処理を施し
て溶融めっき鋼板を製造するに当たり、 熱間圧延後、黒皮スケールを付着させたまま、実質的に
還元が起きない雰囲気中にて 650〜950 ℃の温度範囲で
熱処理を施すことにより、鋼板の地鉄表層部に内部酸化
層を形成させることを特徴とする溶融めっき鋼板の製造
方法。 - 【請求項5】 鋼成分として、Mn:0.2 〜3.0 mass%ま
たさらにはSi:0.1 〜2.0 mass%を含有する組成にな
り、めっき層直下の地鉄表層部に、Mnの濃化層またさら
にはSiの濃化層を有することを特徴とする、請求項3に
記載の溶融めっき鋼板。 - 【請求項6】 鋼成分として、Mn:0.2 〜3.0 mass%ま
たさらにはSi:0.1 〜2.0 mass%を含有する組成にな
り、鋼板の表面から地鉄内部に向かう厚み方向のMn濃度
またさらにはSi濃度が、めっき層をすぎて急激に上昇し
たのち、一旦低下し、その後幾分上昇して定常状態とな
るプロフィールを有することを特徴とする請求項3また
は5に記載の溶融めっき鋼板。 - 【請求項7】 鋼成分として、Mn:0.2 〜3.0 mass%ま
たさらにはSi:0.1 〜2.0 mass%を含有する組成にな
り、かつめっき層直下の地鉄表層部のMn/Fe比またさら
にはSi/Fe比が、地鉄内部のMn/Fe比またさらにはSi/
Fe比の1.01倍以上であることを特徴とする請求項3, 5
または6のいずれかに記載の溶融めっき鋼板。
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