JP3020846B2 - 高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車の車体などに用
いられる高張力鋼板を素材とした、高張力溶融亜鉛めっ
き鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、排気ガス規制の観点から自動車車
体の軽量化が求められている。その車体の軽量化のため
の一つの方法として、板厚を薄くするという方法があ
る。この方法では、安全確保のためには板厚を薄くした
分だけ、板の強度を上げる必要があり、そのために、鋼
中にSi, Mn, Cr, Pなどの合金元素を添加して鋼板の高
強度化を図らなければならない。しかも、自動車用鋼板
としては、優れたプレス加工性も要求されることから、
素材としてr値に代表される各種の材料特性の改善が必
要となるが、高r値を得るためにはSi, Mnなどの合金元
素の複合添加が必要であることが明らかとなってきてい
る。このような背景の下で、従来の自動車用高張力鋼板
には、Si, Mn, Cr, Pなどの合金元素が多量に添加され
ている。
【0003】さて、高張力鋼板を溶融亜鉛めっき設備で
焼鈍し、めっきを施す場合、優れたプレス加工性を得る
ためには800 ℃以上の高温で焼鈍する必要がある。通
常、還元焼鈍はN2−H2雰囲気中で行うが、この雰囲気は
Feにとっては還元性の雰囲気でも、Si, Mn, Crなどにと
っては酸化性の雰囲気である。そのため、これらの元素
の多くは選択的に酸化されて酸化物となり、鋼板表面で
いわゆる表面濃化皮膜を形成する。そして、これらの酸
化物は、溶融亜鉛との濡れ性を著しく阻害し、めっき密
着性を悪くするため、鋼板に溶融亜鉛が付着しにくく、
いわゆる不めっきがしばしば起こる。そのため、プレス
加工性の優れた高張力鋼板を溶融亜鉛めっきすることは
できないという問題点があった。
【0004】こうした問題点を克服する方法の1つとし
て、特公昭61−9386号公報では、溶融めっき処理に先立
って、鋼板の表面にNiの下地めっきを施す方法を提案し
ている。しかし、この方法では、Siを0.2 〜2.0 wt%、
Mnを0.5 〜2.0 wt%、Crを0.1 〜20wt%のうち、少なく
ともSiと他の一種以上含有する鋼を対象とする場合に
は、付着量が10g/m2以上のNiめっきを施すことが必要と
なり、コストの上昇を招いていた。しかも、このような
大量のNiめっきを施した場合には、溶融亜鉛めっきの濡
れ性は改善されるものの、合金化処理過程でめっき表面
にSi, Niに起因する欠陥が多発するという問題があっ
た。
【0005】また、例えば特開昭57−70268 号公報で
は、溶融めっきに先立って鋼板の表面にFeの下地めっき
を施す方法を提案している。この方法によれば、下地め
っきによってSi添加鋼の不めっきを防止することは可能
であるが、そのためには5g/m2以上のFeめっきを施す必
要が生じ、極めて不経済であった。
【0006】さらに、他の方法としては、特開昭55−12
2865号公報や特開平4−254531号公報に開示の方法があ
る。これらの方法は、鋼板をあらかじめ酸化してその表
面に鉄酸化膜を形成し、その後還元焼鈍することにより
合金元素の酸化物皮膜の形成を制御してめっきする方法
である。しかし、これらの方法は、還元焼鈍でめっき前
に残存する鉄酸化膜厚量を一定値以上に制御する方法で
あるため、還元焼鈍時に還元されすぎてしまい、合金元
素が表面濃化してめっき性が不良となる問題、すなわ
ち、酸化量と還元量のバランスがくずれるという問題が
あった。しかも、この還元されすぎを防ぐには、膨大な
鉄酸化物量が必要となるため、ロールなどによって鉄酸
化物皮膜が剥離してしまい、その後の還元焼鈍時の合金
元素の選択酸化が起こり、めっき性が阻害されたり、剥
離した鉄酸化物皮膜が炉内に散乱して操業に悪影響を及
ぼすという問題があった。
【0007】また、高張力亜鉛めっき鋼板について、鋼
中の成分組成や熱間圧延条件に関しての既知提案につい
てみると、特開平6−158172号公報では、重量%で、Si
≦0.2 、Mn≦1.5 含有する鋼を650 ℃以上の温度で巻き
取り、次いで酸洗、冷延、焼鈍、めっきする方法を開示
しており、特開平6−179943号公報では、Si:0.10〜1.
50wt%、Mn:1.00〜3.50wt%含有する鋼を、500 ℃以上
680 ℃以下の温度で巻き取り、酸洗の後、冷延、焼鈍、
めっきする方法を開示している。しかしながら、これら
の方法についても、鋼中の成分組成や熱間圧延条件など
の一連の工程について、それらの処理条件を特定してい
るものの、表面濃化皮膜を抑制する有効な手段を提案す
るものではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
上記各従来技術は、自動車用高強度材料として魅力のあ
る高張力鋼板も、またこれを溶融亜鉛めっきないしは合
金化処理する実際的な手段を欠いているのが実情であ
る。本発明の目的は、Si, Mn, Cr含有高張力鋼であって
も、普通鋼と同程度のめっき特性を有し、自動車などに
用いられる高張力溶融亜鉛めっき鋼板を、他の欠陥を招
くことなく、かつ安価に効率よく製造するための方法を
提案することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した実情
に鑑みてなされたものであり、Siを0.2 〜2.0 wt%、Mn
を0.5 〜2.0 wt%、Crを0.1 〜2.0 wt%のうち、少なく
ともSiと他一種以上含有する高張力鋼を母材として、高
張力溶融亜鉛めっき鋼板を製造するに当たり、不めっき
を生じさせることなくめっきをすることができ、かつ、
めっき後の鋼板の合金化速度の促進にも効果があり、そ
して経済性の高いその製造方法を提供する。
【0010】上掲の目的を実現するために鋭意研究した
結果、Si, Mnなどの合金元素が複合添加されている高張
力鋼板をめっきする場合、焼鈍時にこれらの成分が表面
濃化して皮膜を形成し、溶融亜鉛との濡れ性を阻害する
ことによって不めっきが発生することがわかった。従っ
て、高張力鋼板を溶融亜鉛めっきする場合には、この表
面濃化を抑制することが必要である。
【0011】この点に関して、発明者らの研究では、上
記の表面濃化量とめっき性、合金化速度には相関がある
ことが確かめられており、それによれば、表面濃化量の
少ない方がめっき性が良く、合金化速度も速くなること
がわかった。しかも、表面濃化量によって合金化速度に
差が発生するため、同じコイル中に濃化量の多い場所と
少ない場所が存在すると、同一条件で合金化しても、合
金化速度によって差が発生し、それによって合金化不良
が発生することもわかった。この場合、不良コイルがで
きて操業性が悪化してしまう。
【0012】そこで、高張力鋼板のめっき不良、合金化
不良をなくす原因について詳細に調査した結果、発明者
らは、合金化速度の異なる部分、すなわち、表面濃化量
の異なる部分と、熱延鋼板の黒皮直下に発生している粒
界酸化(図1中の点線状黒化部)の有無が対応している
ことを見いだした。なお、この黒皮直下の粒界酸化は、
鋼板の結晶粒界に沿って発生しているため、これまでの
エッチングによる組織観察では発見されておらず、発明
者らの今度の実験、即ち、ノーエッチング観察によって
初めて発見されたものである。
【0013】また、発明者らの一連の研究によると、熱
延鋼板におけるこの粒界酸化の発生している部分では、
酸洗、冷延後の冷延鋼板の表層内部に酸化物層(図2中
のMn、B、Si等の易酸化性元素の濃化ピーク部に相当)
が存在し、表面濃化は抑制されているが、粒界酸化の発
生していない部分では内部に酸化物層が存在せず、表面
濃化は抑制されていないことをも確認した。従って、こ
の表面濃化量の相違により、合金化速度に差が発生する
こともわかった。
【0014】上述したこれらの現象について、発明者ら
は次のように考察した。熱延鋼板で生成したこの粒界酸
が発生している部分は、酸洗、冷延後の冷延鋼板では
その表層内部に酸化物層として存在するようになる。通
常、溶融亜鉛めっきライン(以下、「CGL」と略記す
る。)での還元焼鈍では、Si, Mnなどは選択酸化されて
表面濃化するが、上述したように冷延鋼板の表層内部に
酸化物層が存在すると、Si, Mnなどの金属元素のバルク
から表面への移動が抑制され、逆に、酸素の内部への移
動が促進されるため、内部に酸化物層が生成し、最表面
での表面濃化が抑制される。言い換えると、内部の酸化
物層により、金属元素の外方向拡散(表面濃化)から酸
素の内方向拡散(内部酸化)に変化する。そのため、鋼
板表面にはめっき密着性を悪くするSi, Mnなどの酸化物
皮膜が存在せず、めっき密着性が良好となり、合金化が
改善されるのである。
【0015】以上説明したように、熱延鋼板の黒皮直下
において粒界酸化が起こると冷延鋼板において表面濃化
が抑制される。そこで、発明者らは、この粒界酸化を意
図的に生成させることができれば、Si, Mnなどの合金元
素が複合添加されている高張力鋼板を、前述した弊害を
招くことなくめっきすることが可能になる筈であると考
えた。本発明はこのような考え方の下に完成したもので
あり、その要旨構成は次のとおりである。
【0016】(1) 鋼中成分中に、 Si:0.2 〜2.0 wt%、 Mn:0.5 〜2.0 wt%、 Cr:0.1 〜2.0 wt%のうち、少なくともSiならびに他一
種以上を含有する成分組成になる高 張力鋼を熱間圧延
し、この熱間圧延時に鋼板の黒皮直下に粒界酸化を発生
させたのち、酸洗段階において粒界酸化物を残存させて
黒皮のみを除去し、その後冷間圧延することにより冷延
鋼板の表層内部に酸化物層を残存させたまま、連続溶融
亜鉛めっきラインに通板させることを特徴とする高張力
溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0017】(2) 鋼中成分中に、Si:0.2 〜2.0 wt%、
Mn:0.5 〜2.0 wt%、Cr:0.1 〜2.0 wt%のうち、少な
くともSiならびに他一種以上を含有する成分組成になる
高張力鋼を熱間圧延し、巻き取り温度690 ℃以上750 ℃
以下で巻き取りを行うことによって、該鋼板表面の黒皮
直下に粒界酸化を深さ3〜14μm の厚みで発生させ、酸
洗段階において、前記粒界酸化物はそのまま残存させて
黒皮のみを除去し、その後冷間圧延することにより冷延
鋼板の表層内部に酸化物層を残存させたまま、溶融亜鉛
めっきラインに通板することを特徴とする高張力溶融亜
鉛めっき鋼板の製造方法。
【0018】(3) 前記(1) または(2) のいずれかに記載
の方法によって溶融亜鉛めっきした後、さらに加熱合金
化処理を施して高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板とする
ことを特徴とする高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方
法。
【0019】
【作用】以下、本発明について詳細に説明する。 (1) 適用対象となる鋼について 鋼中に、Siを0.2 〜2. 0wt%、Mnを0.5 〜2.0 wt%、Cr
を0.1 〜2.0 wt%のうち、少なくともSiと他の一種以上
含有する高張力鋼板では、鋼中のSi, Mn, Crなどが、鋼
板表面の加熱によって選択的に酸化され、鋼板表層に拡
散されるため、これらの酸化物が濃化し、鋼板表面で皮
膜を形成する。しかも、これらの酸化物は還元焼鈍でも
還元されないので、溶融亜鉛との濡れ性を著しく阻害
し、めっき密着性を悪くする。そのため、鋼板に溶融亜
鉛が付着しない。いわゆる不めっきがしばしば起こるの
である。本発明の対象鋼種は、鋼中にSiを0.2 〜2.0 wt
%、Mnを0.5 〜2.0 wt%、Crを0.1 〜2.0 wt%のうち、
少なくともSiと他一種以上含有する高張力鋼板において
効果が顕現する。
【0020】本発明において、成分中に少なくともSiを
含有するとしたのは、以下の理由による。 Siは前述した
ように、高張力鋼板のプレス成形性を向上させるために
とくに必要な元素である。しかし、かかるSi含有鋼板を
通常のプロセスで溶融亜鉛めっきすると、めっき前の焼
鈍過程でSi酸化物が鋼板表面に形成するため、鋼中のSi
含有量の増加に伴い溶融亜鉛との濡れ性が急激に低下す
る。その結果、不めっきが発生する。このような問題に
対しては、予め酸化性雰囲気中で鋼板を加熱し、その表
面にFeの酸化物を形成させることによって濡れ性が改善
されることが知られている。しかし、Si含有量が0.2 wt
%以上の鋼板の場合には、通常の溶融亜鉛めっきプロセ
スにおける酸化性雰囲気、例えば無酸化炉の空燃比を1
〜1.35とする酸化性雰囲気中での予熱では濡れ性が改善
されるまでの十分なFe酸化物が形成できないばかりか、
生成するFe酸化物中のヘマタイト量が多量になり酸化物
が剥離しやすいという欠点がある。特に、鋼板の成形性
を向上させるためにTiを添加した極低炭素鋼をベースと
して、これにSiを添加した鋼板の場合、再結晶化のため
の焼鈍温度が800 ℃以上と高温になるため、鋼板表面で
のSi酸化物の析出が一層顕著になり、濡れ性の確保がさ
らに困難となる。このように、Siを0.2 wt%以上含有す
る鋼板では、通常プロセスでの鋼板表面のSi酸化物の形
成が顕著となるため、不めっきが多量に発生し、製造が
不可能となる。しかし、本発明では、表面濃化が抑制さ
れ、Si酸化物が鋼板表面に形成しないため、Siを0.2 wt
%以上含有させて、プレス成形性を向上させた鋼板で
っても、不めっきのない良好なめっき状態を有する高張
力溶融亜鉛めっき鋼板を製造することが可能となる。
上のことから、良好なプレス成形性とともに優れためっ
き性を併せ持つ高張力溶融亜鉛めっき鋼板を製造するた
めに必要な鋼組成は、Siを0.2 wt%以上含有するもので
ある。
【0021】Si, MnおよびCrの下限を設定したのは、こ
れより少ない範囲では本発明を適用しなくても通常のラ
ジアントチューブ(RTH)型や無酸化炉(NOF)型
CGLで溶融亜鉛めっきが可能であるからである。ま
た、上限を設定したのは、Siでは表面に酸化膜を形成
し、めっき浴との密着性を著しく低下させるため2.0 %
以下とする。Mnでは深絞り性に悪影響を及ぼすため2.0
%以下とする。Crでは強度向上効果の飽和と経済性によ
り2.0 %以下とする。
【0022】(2) 表面濃化抑制手段について この手段の実現のために本発明では、熱延鋼板の黒皮直
下に粒界酸化を発生させ、それにより生成した酸化物を
酸洗で除去せずに黒皮のみを除去した後、そのまま冷間
圧延して表層内部に酸化物層を存在させてCGLライン
を通板するようにした。なお、ラインの簡単な流れ図を
図3に示す。
【0023】はじめに高張力鋼の熱間圧延条件として、
本発明では、巻き取り温度690 ℃以上750 ℃以下で巻き
取りを行う。この理由は、このような巻き取り条件でな
いと黒皮と鋼板との界面で粒界酸化がほぼ垂直方向に深
さ3〜14μm 生じないためである。750 ℃より高い温度
で巻き取りを行うと、材質の劣化を招くのみならず、巻
き取り後にコイルの変形を生じるからである。好ましく
は710 ℃以上であるが、これは、この温度以上だと粒界
酸化が垂直方向に6μm 以上生じるため、鋼板表面まで
侵すような強力な酸洗を行ったとしても粒界酸化物は残
存するからである。
【0024】とくに、粒界酸化を生じさせるためには、
粒界または粒界近傍だけが優先酸化するための環境側条
件を整える必要である。すなわち、この粒界酸化の生ず
る環境側条件を満たすのが本発明の巻き取り温度690 ℃
以上750 ℃以下の条件範囲であり、Siを0.2 〜2.0 wt
%、Mnを0.5 〜2.0 wt%、Crを0.1 〜2.0 wt%のうち、
少なくともSiと他の一種以上含有する高張力鋼板におい
ては、巻き取り温度が高く、酸化の反応速度が速い場合
には、粒界に偏析した易酸化性元素が選択酸化され、粒
界酸化を発生する。
【0025】粒界酸化の深さ3〜14μm としたのは、3
μm より小さいと後の酸洗で黒皮と一緒に酸化物も除去
されてしまい、冷間圧延後、内部に酸化物層が生成でき
ないからである。また、14μm より大きくするには、巻
き取り温度を750 ℃より高くする必要があり、その場
合、材質上好ましくない温度となるからである。なお、
ここでいう粒界酸化の深さは、黒皮の直下からの板厚方
向深さを意味するものである。
【0026】(3) 黒皮の除去について、熱間圧延の後、
粒界酸化の生じた熱延鋼板は酸洗、冷間圧延して目的と
する高張力冷延鋼板を製造する。この酸洗において、本
発明では、粒界酸化物を残存させ黒皮のみを除去する。
そのための酸洗の条件は、研削などの機械的な前処理を
施さないで、3%〜10%HCl 中、40〜90℃で10秒〜30秒
で処理することが好ましい。しかし、H2SO4, H3PO4など
を使用しても良い。
【0027】(4) 冷間圧延について、この冷間圧延は、
通常の条件で、所望の板厚および特性が得られればよい
が、冷間圧延の圧下率は60%以上とするのが好ましい。
【0028】以上説明したような方法;即ち、熱間圧
延、酸洗、冷間圧延を行うことにより、高張力冷延鋼板
の表層内部に酸化物層を存在させ、その後にCGLライ
ンを通板させることによって高張力溶融亜鉛めっき鋼板
を製造する。ここでのCGLラインでの焼鈍では、Si,
Mnなどの表面濃化がほとんど抑制されるため、ラジアン
トチューブ(RTH)型や無酸化炉(NOF)型などの
CGLラインであれば、どんな型のものでも良い。
【0029】また、CGLラインの通板条件は、特殊冷
延鋼板の製造によりSi, Mnなどの表面濃化がほとんど抑
制され、不めっきなく製造できるため、鋼種に対応した
一般的な製造条件で良いが、好ましくは還元H2濃度3%
以上、露点−20〜−40℃程度、温度800 〜880 ℃程度で
焼鈍後、冷却して侵入板温450 〜500 ℃で、浴温450〜5
00 ℃程度、溶解Al濃度0.13〜0.14wt%程度の溶融亜鉛
めっき浴に浸漬するのが良い。
【0030】また、本発明では、必要に応じて、その後
直ちに加熱合金化処理され、合金化溶融亜鉛めっき鋼板
が製造される。合金化に際しての加熱処理は、460 ℃よ
り低温では長時間の加熱が必要であり生産性が低下する
ため460 ℃以上、プレス成形時の密着性より560 ℃以下
がよい。なお、本発明により、表面濃化が抑制されて合
金化速度が速くなるため、ラインスピードが上げられ、
操業性がアップできるという利点も付与される。
【0031】
【実施例】以下に実施例に基づき本発明を説明する。表
1に示す組成の高張力鋼素材を熱間圧延(スラブ加熱温
度1200℃、仕上げ圧延温度900℃)し、550〜
780℃で巻き取り後、酸洗で黒皮のみを除去してから
冷間圧延し、その後、溶融亜鉛めっきライン(CGL)
で還元焼鈍およびめっきを行い高張力溶融亜鉛めっき鋼
板を製造した。CGLにおける還元焼鈍は、鋼No. 1が
840 ℃、鋼No. 2が850 ℃、鋼No. 3が880 ℃、鋼No.
4が830 ℃、鋼No. 5が820 ℃で行った。また、めっき
浴はAlを0.14%添加した浴で、めっき浴温度は480 ℃と
した。熱間圧延における巻き取り温度と粒界酸化の深
さ、酸洗条件、焼鈍雰囲気およびめっき後のめっき状態
の判定を表2、表3に示す。なお、粒界酸化の深さはノ
ーエッチングによる光顕観察によって測定した。表2、
表3に示すように、本発明に適合しない条件で熱延、黒
皮除去等を行った場合には、不めっきが発生した。しか
し、本発明に適合する条件で熱延、黒皮除去等を行った
場合には、表面外観は良好で、不めっきは発生しなかっ
た。
【0032】また、同様にして(ただし、酸洗処理条件
は5%Hcl、20秒、還元処理条件はH2 濃度5%)
製造した溶融亜鉛めっき鋼板を、430 〜600 ℃で加熱合
金化処理して合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。そ
のめっき状態の判定を製造条件とともに表4に示す。表
4に示すように、本発明に適合しない条件で合金化黒皮
除去等を行った場合には、不めっき、密着性不良が発生
した。しかし、本発明に適合する条件で熱延、黒皮除去
等を行った場合には、表面外観、密着性とも良好だっ
た。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による方法
で高張力冷延鋼板の表層内部に酸化物層を存在させ、そ
の後にCGLラインを通板する方法によれば、Si, Mn,
Cr含有高張力鋼板であっても、不めっきを招くことなく
普通鋼と同様に高張力溶融亜鉛めっき鋼板を効率よく製
造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱延鋼板の黒皮直下に発生している粒界酸化の
もようを示す金属組織の顕微鏡写真である。
【図2】冷延鋼板の表層内部の酸化層の存在を示す説明
図である。
【図3】高張力溶融亜鉛めっき鋼板製造ラインの模式図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C23F 17/00 C23F 17/00 // C21D 9/46 C21D 9/46 J (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 2/00 - 2/40

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼中成分中に、 Si:0.2 〜2.0 wt%、 Mn:0.5 〜2.0 wt%、 Cr:0.1 〜2.0 wt%のうち、少なくともSiならびに他一
    種以上を含有する成分組成になる高 張力鋼を熱間圧延
    し、この熱間圧延時に鋼板の黒皮直下に粒界酸化を発生
    させたのち、酸洗段階において粒界酸化物を残存させて
    黒皮のみを除去し、その後冷間圧延することにより冷延
    鋼板の表層内部に酸化物層を残存させたまま、連続溶融
    亜鉛めっきラインに通板させることを特徴とする高張力
    溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 鋼中成分中に、 Si:0.2 〜2.0 wt%、 Mn:0.5 〜2.0 wt%、 Cr:0.1 〜2.0 wt%のうち、少なくともSiならびに他一
    種以上を含有する成分組成になる高張力鋼を熱間圧延
    し、巻き取り温度690 ℃以上750 ℃以下で巻き取りを行
    うことによって、該鋼板表面の黒皮直下に粒界酸化を深
    さ3〜14μm の厚みで発生させ、酸洗段階において、前
    記粒界酸化物はそのまま残存させて黒皮のみを除去し、
    その後冷間圧延することにより冷延鋼板の表層内部に酸
    化物層を残存させたまま、溶融亜鉛めっきラインに通板
    することを特徴とする高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記請求項1または請求項2のいずれか
    に記載の方法によって溶融亜鉛めっきした後、さらに加
    熱合金化処理を施して高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板
    とすることを特徴とする高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製
    造方法。
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