JP3257301B2 - 熱延鋼板を原板とした溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents
熱延鋼板を原板とした溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法Info
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Description
製造方法に関するものであり、熱延鋼板に厚目付の溶融
亜鉛めっきを施したときに発生するブリスターを完全に
防止しようとするものである。
製造される亜鉛めっき鋼板は、亜鉛めっき工程の前処理
として水素−窒素混合ガス中で鋼板表面の還元と焼鈍が
同時に行われる。
があるため製造工程の合理化を目的に、熱延板に直接溶
融めっきする方法が広まったが、熱延板を溶融亜鉛めっ
きラインに通板した場合、還元のために炉内に吹き込ん
でいる水素が鋼中に吸蔵され、めっき後表層に拡散し、
めっき層と鉄母材との間に、ブリスタと称する空洞が生
じることがよく知られている。
て、以下にまとめて示すように、これまでにも数多く提
案されてきた。特開昭49−14325 号公報には、めっき浴
に、S,Se,P,As,Te,Sb,Bi等を添加する方法が開示されて
いるが、この方法では、浴添加成分による耐食性等への
影響が懸念され、また、この様な微量添加成分の浴中濃
度管理は困難であるため好ましくない。
濃度を0.20%から0.25%の間で操業する方法が開示され
ているが、この方法では、Al濃度の増加にともない不め
っき等が発生しやすくなる欠点があり好ましくない。
鋼材の表面を機械的に脱スケールし、表面酸化後還元
し、めっきする方法が示されているが、表面の機械的な
脱スケールは手間を要し、また、表面に疵等の欠陥が生
じる可能性があるため好ましくない。
熱し、3 〜20μm の合金層を成長させる方法が開示され
ているが、この方法では、めっきの密着性が低下してし
まうため、製造後加工を施される製品には好ましくな
い。
き浴中のAl濃度(CAl(%))、浴温(TB(℃))、めっ
き前鋼板温度 (TS(℃))を f1(CAl) +f2(TB ) +f3(TS ) ≦ 260 但し、 f1(CAl) =−1278.2×CAl+304.2 f2(TB ) =0.94×TB −356.2 f3(TS ) =0.41×TS −118.9 を満たす条件で操業することによりブリスタの発生を抑
制できることが開示されているが、本発明者らの知見で
は、無酸化炉温度や、均熱温度条件によっては、ブリス
タが発生してしまい充分とは言えなかった。
にBおよびNを添加する方法が、特開昭59−166692号公
報には鋼板中にBまたはTiを添加する方法が、そして特
開平5−295483号公報には、鋼板中にTiを添加する方法
がそれぞれ開示されているが、いずれも母材中への元素
添加は小ロット生産ではコスト高となり、ロットを集約
しなければならないため生産性も低下するため好ましく
なかった。
亜鉛めっきを施した場合に生じるブリスタを防止する方
法については、従来から多数の提案がみられるが、いず
れも不利・欠点があり、熱延鋼板をめっき原板とした場
合、生産性を下げずにブリスタの無い溶融亜鉛めっき鋼
板は製造できなかった。かくして、本発明の目的は、熱
延鋼板をめっき原板として用い、ブリスタの無い溶融亜
鉛めっき鋼板を生産性よく製造できる方法を提供するこ
とである。
め、本発明者が鋭意、実験、研究を重ねた結果、ある一
定の条件下でのスキンパス、予熱、そして還元を行うこ
とによって完全にブリスタの発生を抑制できる溶融亜鉛
めっき鋼板が製造できることを知り、本発明を完成し
た。
延鋼板原板にスキンパスを施し、酸洗して、表面を無酸
化予熱炉で弱酸化し、次いで水素ガス雰囲気で表面を還
元、焼鈍し、さらに溶融亜鉛めっきを施す方法であっ
て、スキンパス伸率:w(%)、無酸化予熱炉温度:x
(℃)、還元炉温度:y(℃)としたとき y(℃)≧1/2x(℃)−100w(%)+500 x≧450 (℃)、w≧0(%) (ただしw=0(%)のとき、スキンパスは施さないも
のとする。)を満たす温度でスキンパス、弱酸化および
還元、焼鈍を行い、直ちに溶融亜鉛めっきを施すことを
特徴とする熱延鋼板溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であ
る。
まず、本発明によれば、その前提としては熱延鋼板原板
にスキンパスを施さず(伸率w=0(%))、酸洗し
て、表面を無酸化予熱炉で弱酸化し、ついで水素ガス雰
囲気で表面を還元、焼鈍し、次いでさらに溶融亜鉛めっ
きを施すが、このような一連の処理操作を経て行う熱延
鋼板の溶融亜鉛めっき方法は、それ自体すでに新規な内
容を有しており、本発明においてはさらに方法におい
て、上記一連の処理操作において、無酸化予熱炉温度:
x(℃)、還元炉温度:y(℃)としたとき y(℃)≧ (1/2) x(℃)+500(℃)、ただし
x≧450 (℃) を満たす温度で弱酸化および還元、焼鈍を行う。
の厚みは、無酸化予熱炉温度の上昇により増加するが、
鋼板中には一般にAlが含まれるため、この酸化被膜中に
は酸化鉄の他に微量のアルミナが含まれることになる。
アルミナは難還元性であるため無酸化炉温度を上昇させ
た場合、還元炉温度も上昇させなければ完全に表面のア
ルミナが除去しきれない。表面にアルミナが残った状態
で溶融めっきを施すとめっき密着性が低下するためブリ
スタが発生する。
試みた結果、無酸化予熱炉温度:x(℃)、還元炉温
度:y(℃)としたとき y(℃)≧1/2x(℃)+500(℃) x≧450 (℃) を満たす条件であればブリスタも発生が抑制できること
を見い出した。
面の不純物(C等)を完全に酸化消滅しきれずめっき不
良が発生する。このため、無酸化炉温度の条件をx≧45
0 (℃)とする。無酸化炉温度(x) の高い方は特に規定
しないが、750 ℃以上だと厚く生成したアルミナ層が完
全に還元しきれないため、スケール過多となる。
限はy≧(1/2)x+500(℃)から制約をうける。上
限は特に制限されないが、850 ℃ぐらいがコスト的にも
品質的にも安定して製造できる好適上限となる。
れば完全であるが、酸洗前の熱延鋼板原板にスキンパス
を施すことによりブリスタの発生しない安定製造領域の
拡大を図ることができ、より好ましい。
っきした場合にはブリスタが発生しないことがよく知ら
れているが、この理由は、冷間圧延した場合、鋼中にボ
イドが形成され、そこに溶融亜鉛めっきライン内で吸蔵
された水素がトラップされてブリスタの発生が抑制され
ると考えられているが、従来の知見であれば、ブリスタ
を完全に抑制するためには、伸率で5%以上の圧下を加
えなければならず、冷延鋼板として製造せざるを得なか
った。しかし、本発明者らの知見によれば、無酸化予熱
炉温度や還元炉温度の条件と組み合わせることで冷間圧
延の工程を省略でき、さらに冷間圧延の製造工程を熱間
圧延後のスキンパスで代用することで、ブリスタの発生
しない安定製造領域の拡大が行えることを見い出した。
云えば、熱延鋼板の溶融亜鉛めっきに際して、ブリスタ
の発生を防止する方法ということができ、それによれ
ば、ブリスタの発生しない安定製造領域の下限は熱延鋼
板原板にスキンパスを施したときには、スキンパスの伸
率を:w(%)、無酸化予熱炉温度:x(℃)、還元炉
温度:y(℃)としたとき y(℃)≧1/2x(℃)−100w(%)+500 x≧450 (℃)w≧0(%) (ただしw=0(%)のとき、スキンパスは施さないも
のとする。)で表せる領域まで拡大することができる。
パスで圧下する都合上伸率で3%程度が上限になる。こ
れにより、冷圧下の製造工程を省略あるいはスキンパス
で代用することができ、著しい製造コストの合理化が可
能である。
の鋼組成は何ら制限されないが、代表的例を示せば次の
通りである。 C:0.003 〜0.18%、Si:1.2 %以下、Mn:2.0 %以
下、P:0.12%以下、S:0.02%以下、sol.Al:0.1 %
以下、N:0.010 %以下 ここに、このように鋼組成を限定する理由は次の通りで
ある。
ているが、その含有量が0.003 %未満では前記作用によ
る所望の効果が得られず、一方、0.18%を超えて含有さ
せると溶接性の劣化を招くことから、C含有量は0.003
〜0.18%が好ましい。
性を向上させる成分である。しかし、1.2 %を超えて含
有量させると溶接性の劣化を招くことから、Si含有量は
1.2 %以下が好ましい。
性を向上させる好ましい元素である。しかし、2.0 %を
超えて含有させると溶接性の劣化を招く上、加工性など
も劣化するためMn含有量は2.0 %以下が好ましい。
の靱性・穴拡げ性を劣化させる。従って、P含有量は0.
12%以下が好ましい。
低下させる不純物元素である。従って、前記弊害を回避
するため、S含有量は0.02%以下が好ましい。
が、sol.Alとして0.10%を超えて含有させるとアルミナ
系介在物の量が多くなって加工性を劣化させる。従っ
て、Alの添加量はsol.Al含有量で0.10%以下が好まし
い。
元素であり、0.010 %以下が好ましい。次に、本発明の
作用効果について実施例によりさらに具体的に詳述す
る。
の組成の熱延鋼板にスキンパスを施し(一部のサンプル
は施さずに)、酸洗後、ゼンジマー式溶融亜鉛めっきラ
インにおいて所定の温度で無酸化予熱炉および還元炉を
通板し、その後直ちに大気中に出ることなく表2に示し
た成分系のめっき浴で溶融亜鉛めっきを施した。
っき鋼板は、大気中においてガスワイピングされ、亜鉛
付着量として片面100 〜200g/m2 に制御され、水冷乾燥
し、製品とした。
した後、目視により判定した。熱間圧延後のスキンパス
を省略した結果を図1に、伸率0.5 %のスキンパスを圧
下した結果を図2に、伸率1%のスキンパスを圧下した
結果を図3にそれぞれ示す。
明にかかる方法で製造した溶融亜鉛めっき鋼板において
は、各実施例の全てのめっき層にブリスタの発生はみら
れないが、本発明例以外の全ての領域では、多かれ少な
かれブリスタの発生が認められた。
耐ブリスタ性の優れた厚目付の亜鉛めっき鋼板を、前処
理及び後処理条件の制約を受けることなく、低コストで
連続式溶融亜鉛めっきラインで製造することが可能とな
ることから、外観が美しい溶融亜鉛めっき鋼板が得られ
る。
Claims (1)
- 【請求項1】 熱延鋼板原板にスキンパスを施し、これ
を酸洗して、表面を無酸化予熱炉で弱酸化し、ついで水
素ガス雰囲気で表面を還元、焼鈍し、さらに溶融亜鉛め
っきを施す溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であって、ス
キンパス伸率をw(%)、無酸化予熱炉温度:x
(℃)、還元炉温度:y(℃)としたとき y(℃)≧ 0.5x(℃)−100w(%)+500 x≧450 (℃)、w≧0(%) (ただしw=0(%)のときはスキンパスは施さないも
のとする。)を満たす条件で弱酸化および還元、焼鈍を
行い、直ちに溶融亜鉛めっきを施すことを特徴とする溶
融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28680394A JP3257301B2 (ja) | 1994-11-21 | 1994-11-21 | 熱延鋼板を原板とした溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28680394A JP3257301B2 (ja) | 1994-11-21 | 1994-11-21 | 熱延鋼板を原板とした溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08144036A JPH08144036A (ja) | 1996-06-04 |
JP3257301B2 true JP3257301B2 (ja) | 2002-02-18 |
Family
ID=17709255
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28680394A Expired - Lifetime JP3257301B2 (ja) | 1994-11-21 | 1994-11-21 | 熱延鋼板を原板とした溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3257301B2 (ja) |
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JP6113539B2 (ja) * | 2013-03-18 | 2017-04-12 | 日新製鋼株式会社 | めっき鋼板の製造方法 |
EP2927343A1 (fr) * | 2014-03-31 | 2015-10-07 | Primetals Technologies Austria GmbH | Installation et procédé de décapage et de revêtement métallique d'une bande métallique |
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-
1994
- 1994-11-21 JP JP28680394A patent/JP3257301B2/ja not_active Expired - Lifetime
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