JP4306411B2 - 熱処理用鋼板とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車のボデー構造部品、足回り部品等を初めとする機械構造部品等の製造に使用される熱処理用鋼材とその製造方法に関する。
近年、自動車の軽量化のため、鋼材の高強度化を図り、使用重量を減ずる努力が進んでいる。自動車に広く使用される薄鋼板においては、鋼板強度の増加に伴って、プレス成形性が低下し、複雑な形状を製造することが困難になってきている。具体的には、延性が低下し加工度が高い部位で破断が生じる、あるいはスプリングバックや壁反りが大きくなり寸法精度が劣化するという問題が発生する。従って、高強度、特に780MPa級以上の鋼板を用いて、プレス成形で部品を製造することは容易ではない。プレス成形ではなくロール成形によれば、高強度の鋼板の加工が可能であるが、長手方向に一様な断面を有する部品にしか適用できない。
一方、特許文献1に示されているように、加熱した鋼板をプレス成形する熱間プレスと呼ばれる方法によれば、鋼板が高温で軟質、高延性になっているため、複雑な形状を寸法精度よく成形することが可能である。さらに、鋼板をオーステナイト域に加熱しておき、金型内で急冷することにより、マルテンサイト変態による鋼板の高強度化が同時に達成できるとしている。
また、特許文献2では、室温で予め所定の形状に成形後、オーステナイト域に加熱し、金型内で急冷することで鋼板の高強度化と成形性の確保とを同時に達成する予プレスクエンチ法が開示されている。
このような熱間プレス法や予プレスクエンチ法は、部材の高強度化と成形性を同時に確保できる優れた成形方法であるが、800〜1000℃といった高温に加熱することが必要なため、鋼板表面が酸化するという問題が生じる。このときの加熱により生じた鉄酸化物からなるスケールがプレス時に脱落して金型に付着して生産性が低下したり、あるいはプレス後の製品にそのようなスケールが残存して外観が不良となるという問題がある。しかも、このようなスケールが残存すると、次工程で塗装する場合に鋼板と塗膜の密着性が劣り、耐食性の低下を招く。そこでプレス成形後は、ショットブラスト等のスケール除去処理が必要となる。
従って、生成するスケールに要求される特性としては、プレス時には剥離脱落して金型汚染を引き起こすことなく、ショットブラスト処理時には容易に剥離除去されやすいことである。
例えば、通常の熱間プレス前の加熱では、スケール生成を抑制するため非酸化性雰囲気(例えばガス炉−空燃比0.9)での加熱が行われることが多い。それでも通常の鋼板では、スケール生成量が多く、熱間プレス時にそのようなスケールは剥離しやすく金型を汚染することが問題となっている。
英国特許公報1490535号 特開平10−96031号公報
本発明の課題は、熱処理後あるいは熱間プレス後の最終製品部材の表層に生成するスケール量が少なくなる熱処理用鋼板とその製造方法を提供することである。
本発明者らは、熱処理後あるいは熱間プレス後に部材の表層に生成するスケール量が少なくなるよう鋭意検討した結果、鋼中のSi量およびCr量、さらに好ましくは鋼板表面粗さを一定範囲内に収め、かつ特別な洗浄を施すことで、鋼板の酸化が抑制されることを見いだした。
また、そのような鋼板は、大気酸化させた場合に特別なスケール構造となって更なる酸化が抑制されることが判明した。そして、その後の研究開発により、最もスケールが生成しやすい大気酸化においてこのようなスケール構造となる鋼板は、その後、多くの酸化雰囲気下に置かれても、本質的に酸化されがたいことを見いだした。
その知見に基づき完成させた本発明は、次の通りである。
(1)質量%で、C:0.05〜0.45%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.27〜3.0%、Cr:0.01〜0.5%を含有し、残部Feおよび不純物からなる化学組成を有する鋼板であって、その鋼板を大気中でAc3点以上に加熱保持後、急冷焼入れする熱処理を行った後に表層に生成するスケールが、鋼板との界面にFeO、FeCr2O4、およびFe2SiO4の混合相、その上が実質上FeOの単相となる熱処理用鋼板。
(2)質量%で、C:0.05〜0.45%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.27〜3.0%、Cr:0.01〜0.5%を含有し、残部Feおよび不純物からなる化学組成を有する鋼板であって、その鋼板を大気中でAc3点以上に加熱保持後、成形用金型を用いてプレス成形を行った後に表層に生成するスケールが、鋼板との界面にFeO、FeCr2O4、およびFe2SiO4の混合相、その上が実質上FeOの単相となる熱間プレス用鋼板。
(3)前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.01〜0.1%およびB:0.0002〜0.004%から選ばれた一種または二種を含有する上記(1)または(2)に記載の鋼板。
(4)前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Ni:2%以下、Cu:1%以下、Mo:1%以下、V:1%以下、Nb:1%以下、Al:1%以下およびN:0.01%以下からなる群から選ばれた一種以上を含有する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の鋼板。
(5)鋼板表面平均粗さが3.0μm以下である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の鋼板。
(6)熱間圧延および酸洗を行った鋼板であって、あるいはさらに冷間圧延を行った鋼板であって、表面平均粗さが3.0μm以下である鋼板表面にブラシ水洗浄を行い、その後、酸洗を行い、さらにアルカリ洗浄を行い、最後にブラシ水洗浄を行うことを特徴とする上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の鋼板の製造方法。
さらに別の面からは、本発明は、表層に生成するスケールが、鋼板との界面にFeO、FeCr2O4、およびFe2SiO4の混合相、その上が実質上FeOの単相となる構成を備えた熱処理鋼材もしくは熱間プレス鋼材である。
本発明により、熱処理後あるいは熱間プレス後、部材の表層に生成するスケール量が少なくなる熱処理用鋼板あるいは熱間プレス用鋼板とその製造方法を提供することが可能となる。
次に、本発明において、各範囲に限定した理由について説明する。なお、本明細書において、特にことわりがない限り、鋼の化学組成を規定する「%」は「質量%」を表す。
1.鋼板成分について
鋼板の化学組成については、以下のように規定する。
Si:0.01〜0.5%
Siは、酸化抑制効果を有するFe2SiO4 を生成する元素である。しかしSi含有量が0.01%未満ではその効果は十分ではなく、一方でSi含有量が0.5%を超えるとその効果は飽和し、いたずらにコスト増を招く。より望ましいSi含有量は、0.05〜0.30%である。さらに望ましくは0.10〜0.30%である。
Cr:0.01〜0.5%
Crは、酸化抑制効果を有するFeCr2O4を生成する元素である。しかしCr含有量が0.01%未満ではその効果は十分ではなく、一方でCr含有量が0.5%をこえるとその効果は飽和し、いたずらにコスト増を招く。より望ましいCr含有量は、0.15〜0.30%である。
その他の合金元素については特に限定はしないが、例えば自動車用補強部材のような用途におけるように焼入れ後の980MPa 以上の強度確保のため、通常、含有される各合金元素について、望ましい成分範囲について述べる。なお、焼入れ後の強度確保が不要な場合、例えば、高温での軟質状態を成形目的で利用する場合には、次の限定をする必要はない。
C:0.15〜0.45%
Cは、鋼板の焼入れ性を高めかつ焼入れ後の強度を主に決定する非常に重要な元素である。さらにAC3点を下げ、焼入れ処理温度の低温化を促進する元素である。しかしC含有量が0.15%未満では、その効果は十分ではなく、一方でC含有量が0.45%を超えると焼入れ部の靱性劣化が著しくなる。より望ましいC含有量は0.16〜0.35%である。
Mn:0.5〜3.0%
Mnは、鋼板の焼入れ性を高めかつ焼入れ後の強度を安定して確保するために、非常に効果のある元素である。さらにAC3点を下げ、焼入れ処理温度の低温化を促進する元素である。しかしMn含有量が0.5%未満ではその効果は十分ではなく、一方でMn含有量が3.0%を超えるとその効果は飽和し、さらに焼入れ部の靱性劣化を招く。より望ましいMn含有量は0.8〜2.0%である。
Cr:0.1〜0.5%
Crは、鋼板の焼入れ性を高めかつ焼入れ後強度を安定して確保するために効果のある元素である。しかし、そのような目的にはCr含有量が0.1%未満ではその効果は十分ではなく、一方でCr含有量が0.5%をこえるとその効果は飽和し、いたずらにコスト増を招く。より望ましいCr含有量は、0.15〜0.30%である。
Ti:0.01〜0.1%
Tiは、鋼板の焼入れ性を高めかつ焼入れ後強度を安定して確保するために効果のある元素である。さらに焼入れ部の靱性も向上させる効果を有する。しかしTi含有量が0.01%未満ではその効果は十分ではなく、一方でTi含有量が0.1%をこえるとその効果は飽和し、いたずらにコスト増を招く。より望ましいTi含有量は0.015〜0.03%である。
B:0.0002〜0.004%
Bは、鋼板の焼入れ性を高めかつ焼入れ後強度の安定確保効果をさらに高める重要な元素である。しかしB含有量が0.0002%未満ではその効果は十分ではなく、一方でB含有量が0.004%を超えるとその効果は飽和し、かつコスト増を招く。より望ましいB含有量は0.0005〜0.0025%である。
P:0.05%以下、S:0.05%以下、Ni:2%以下、Cu:1%以下、Mo:1%以下、V:1%以下、Nb:1%以下、Al:1%以下、N:0.01%以下
これらの元素も、鋼板の焼入れ性を高めかつ焼入れ後強度の安定確保に効果の有る元素である。所望により、少なくとも1種配合される。しかしそれぞれ上限値を超えて含有させてもその効果は小さく、かついたずらにコスト増を招くため、各合金元素の含有量は上述の範囲が望ましい。
2.加熱条件、保持時間および冷却速度について
焼入れ処理を行うためには、まず鋼板をオーステナイト温度域まで加熱し、全面を一度、オーステナイト相にする必要がある。そのためにはAC3点以上に加熱し、その温度で1分以上保持するのが望ましい。保持時間の上限は特には設けないが、実生産上の効率を考えて、上限を保持時間10分にするのが望ましい。
このときの加熱温度および保持時間とそれにより生成する酸化スケールの構成との関係は次の通りである。
まず大気酸化時では界面に、FeO、FeCr24、Fe2SiO4が形成されている。その混合相がある程度の厚さ(数μm以下)になった後、その混合相の上方にFeO単相が形成されていくが、最外層には、一部、FeやFeも形成される。
冷却速度については、熱処理後にマルテンサイト組織を得るため、その鋼の臨界冷却速度以上の冷却速度を確保してやればよい。いわゆる急冷焼入れである。
このときの冷却停止温度は、特に制限はなく、室温にまで冷却してもよいが、本発明の場合には、そのような冷却によって焼入れ効果ばかりでなく、目的とする酸化スケールの生成を意図することから、それを実現できればいずれの温度にまで冷却してもよい。のぞましくはこのときの冷却停止温度は、100℃である。
本発明の別の態様によれば、上記急冷焼入れに代えて、成形用金型を用いて熱間プレス成形を行ってもよい。
3.鋼板の製造方法について
本発明にかかる鋼板は、その使用に先立って、一旦、オーステナイト域またはオーステナイト域近傍に加熱される。従って、加熱前の室温での機械的性質は重要ではなく、加熱前の金属組織については特に規定しない。つまり、鋼板として熱延鋼板または冷延鋼板のいずれを使用してもよく、その製造方法については限定しない。しかし、生産性の観点から、好適な製造方法を以下に述べる。
熱間圧延:熱間圧延は、常法によって行えばよいが、圧延の安定性の観点から、オーステナイト域で行うことが好ましい。熱間圧延後は、巻取温度を規定するのが好ましいが、巻取温度が低いと、マルテンサイト組織となって強度が上昇し、冷間圧延が困難になる。一方、巻取温度が高いと、酸化スケールが厚くなり、引き続き行う酸洗の効率が低下する。従って巻取温度は、500〜600℃が好ましい。このようにして得られた熱間圧延材には酸洗を行うが、そのときの酸洗では、塩酸水溶液または硫酸水溶液を用いて、熱間圧延時に生成したスケールを除去する。通常、酸濃度は高々、塩酸で3〜10%、硫酸で15〜25%程度であり、液温度は通常、80〜100℃程度である。また過酸洗状態(地鉄の溶解)を防ぐため、ごく少量の酸洗抑制剤を添加してもよい。この抑制剤は地鉄表面に膜をつくり、この膜が地鉄の酸による腐食を防ぐ。
冷間圧延:冷間圧延は、常法によって行う。本発明の鋼板は、通常は炭素含有量が高い場合が多く、過度の圧下率で冷間圧延するとミルの負担が大きくなる。また、加工硬化により冷間圧延後の強度が高くなりすぎると、コイル接続時の溶接強度やライン通板能力が問題となる。従って圧下率は80%以下が好ましく、70%以下がさらに好ましい。
なお、冷間圧延はコスト増となるので、熱間圧延で製造可能な板厚、板幅の鋼板については、冷間圧延を省略し、熱間圧延−酸洗ままの鋼板を用いるのが好ましい。
4.鋼板の洗浄方法、表面粗さ及び生成スケールについて
前述のようにして得られた熱延鋼板あるいは冷延鋼板であって、鋼板表面平均粗さ3.0μm以下なる鋼板にブラシ水洗浄−酸洗−アルカリ洗浄−ブラシ水洗浄の一連の処理を施すと、詳細なメカニズムは不明であるが、鋼板に酸化抑制効果が付与される。ただし、鋼板表面平均粗さが3.0μmを超えると酸化抑制効果が不十分となる。より好ましい表面平均粗さは0.3〜1μmである。
ここに、「ブラシ水洗浄」は、例えばナイロンブラシを使って1〜10秒間行う水洗浄であり、これは最初の水洗浄は表面の軽洗浄のために、最後の水洗浄はアルカリ液除去 のために行う。金属ブラシは表面粗が拡大するので好ましくない。また「酸洗」、「アルカリ洗浄」も慣用のものであればよく、特にアルカリ洗浄は酸洗後の中和および脱脂を行うためである。
このような洗浄処理を行った鋼板を大気酸化させた場合、酸化されにくいため、FeO、FeCr2O4、Fe2SiO4が鋼板界面に均一に形成し、これらのスケールによってさらに酸化抑制効果が発現し、そのため混合相上に形成されるスケールが実質上FeOの単相、つまり「実質FeO単相」となる。ここでいう、「実質FeO単相」とは、混合相上に形成されるスケール中のFeO体積率が98%以上になることを指す。
なお、かかる混合相と実質FeO単相との区別は、X線回折装置による分析や電子プローブマイクロアナライザーによる分析によって行い、これらの相は2相に分化しているので、 通常の光学顕微鏡(ナイタール腐食)観察によって明瞭に区別される。
SiやCrを含有する通常の鋼板を大気酸化させた場合でも、基板との界面にFeO、FeCr2O4、Fe2SiO4の混合相が出来る。しかしながら、通常の鋼板は、酸化されやすいため、FeCr2O4、Fe2SiO4が不均一に形成し、その酸化抑制効果が十分には発揮されず、そのため、混合相上に形成されるスケールがFeOだけでなく、Fe3O4やFe2O3といった生成物を混合して含有するスケールが形成される。
つまり、大気酸化させた場合、基板との界面に生成したFeO、FeCr2O4、Fe2SiO4の混合相と、その上に生成した実質上FeOの単相とから成るスケールが形成される鋼板は、酸化が本質的にし難い。すなわち、本発明にかかる鋼板によれば、いかなる雰囲気において酸化させてもスケール生成量が少ない。
従って、熱処理時に本発明鋼板を使用すれば、生成スケール量を少なくすることができ、また熱間プレス時に使用すれば熱間プレス時にスケールが剥離して金型が汚染されることは抑制される。
次に、本発明の実施例について説明する。
表1に示した組成を有する鋼板(板厚:1.6mm)を供試材とした。これらの鋼板は、実験室にて溶製したスラブを、常法に準じて熱間圧延、酸洗、および一部冷間圧延を行って製造した鋼板である。これらの鋼板を、1.6t×100w×100L(mm)の寸法に切断し、下記の洗浄処理を行ってから、大気雰囲気の加熱炉内で900℃×4分加熱して、加熱炉より取り出し、その直後に平板の鋼製金型を用いて、熱間プレスを行った。
その後、X線回折装置や電子プローブマイクロアナライザーを用いて、生成スケール相の同定を行った。またFeO体積率評価については、断面ミクロ組織観察を行い、断面での面積率をもって体積率とし、その評価を行った。
上記洗浄処理は、以下のようにして行った。ナイロン製ブラシを用いて鋼板表面に数秒間水洗を行った。このときの水温度は50℃とした。次に日本表面化学製ジャスコピクル21A溶液(硫酸とリン酸の混合溶液−温度50℃)に数秒間浸漬した。次にオルソ珪酸ナトリウム水溶液(濃度2.9〜4.0%)を用いて、ナイロン製ブラシで鋼板表面を数秒間洗浄した。次にナイロン製ブラシを用いて鋼板表面に数秒間水洗を行った。このときの水温度は40℃とした。最後に防錆のため出光興産製SKW92を鋼板表面に塗布した。
本例における酸化抑制効果は、表層におけるスケールのFeO面積率で評価するものであり、熱間プレスに際しての均一スケールの生成能力の有無を云う。
本発明にかかる鋼板である鋼種No.1〜6では、FeO面積率がいずれも98%であり、酸化されがたい鋼板であることがわかる。
一方、比較例である鋼種No.7では、洗浄処理が無く酸化が進行するため、FeO面積率が低くなっており、酸化抑制効果の無い鋼板であることがわかる。また鋼種No.8では、表面平均粗さが大きく酸化が進行するため、FeO面積率が低くなっており、酸化抑制効果の無い鋼板であることがわかる。また鋼種No.9では、Si及びCrが鋼中に含まれておらず酸化が進行するため、FeO面積率が低くなっており、酸化抑制効果の無い鋼板であることがわかる。
Figure 0004306411
表1に示すのはいずれも冷間圧延材であるが、熱間圧延材に酸洗処理を行って得た鋼板についても同様の評価試験を行ったところ、実質上同一の結果を得た。

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.05〜0.45%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.27〜3.0%、Cr:0.01〜0.5%を含有し、残部Feおよび不純物からなる化学組成を有する鋼板であって、その鋼板を大気中でAc3点以上に加熱保持後、急冷焼入れする熱処理を行った後に表層に生成するスケールが、鋼板との界面にFeO、FeCr2O4、およびFe2SiO4の混合相、その上が実質上FeOの単相となる熱処理用鋼板。
  2. 質量%で、C:0.05〜0.45%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.27〜3.0%、Cr:0.01〜0.5%を含有し、残部Feおよび不純物からなる化学組成を有する鋼板であって、その鋼板を大気中でAc3点以上に加熱保持後、成形用金型を用いてプレス成形を行った後に表層に生成するスケールが、鋼板との界面にFeO、FeCr2O4、およびFe2SiO4の混合相、その上が実質上FeOの単相となる熱間プレス用鋼板。
  3. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.01〜0.1%およびB:0.0002〜0.004%から選ばれた一種または二種を含有する請求項1または2に記載の鋼板。
  4. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Ni:2%以下、Cu:1%以下、Mo:1%以下、V:1%以下、Nb:1%以下、Al:1%以下およびN:0.01%以下からなる群から選ばれた一種以上を含有する請求項1ないし3のいずれかに記載の鋼板。
  5. 鋼板表面平均粗さが3.0μm以下である請求項1ないし4のいずれかに記載の鋼板。
  6. 熱間圧延および酸洗を行った鋼板であって、あるいはさらに冷間圧延を行った鋼板であって、表面平均粗さが3.0μm以下である鋼板表面にブラシ水洗浄を行い、その後、酸洗を行い、さらにアルカリ洗浄を行い、最後にブラシ水洗浄を行うことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の鋼板の製造方法。
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