JPH07126828A - 半導体製造装置用高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼部材の製造方法 - Google Patents
半導体製造装置用高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼部材の製造方法Info
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- JPH07126828A JPH07126828A JP27558493A JP27558493A JPH07126828A JP H07126828 A JPH07126828 A JP H07126828A JP 27558493 A JP27558493 A JP 27558493A JP 27558493 A JP27558493 A JP 27558493A JP H07126828 A JPH07126828 A JP H07126828A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 平滑性,清浄性,耐ガス放出性および溶接性
のいずれにも優れ、且つ耐食性を更に向上させた、半導
体製造装置の構成部材として最適なステンレス鋼部材を
製造する為の方法を提供する。 【構成】 C:0.015 重量%以下,Si:0.6 重量%以
下,Mn:0.8 重量%以下,Ni:12〜17重量%,
Cr:17.5〜24重量%,Mo:0.05〜2.5 重量%,A
l:0.02重量%以下を夫々含有すると共に、Ti,N
b,TaおよびZrよりなる群から選択される1種以上
を0.05〜0.3 重量%含有し、残部Feおよび不可避不純
物からなり、該不可避不純物中P:0.035 重量%以下,
S:0.002 重量%以下,O:0.002 重量%以下に夫々抑
制してなるオーステナイト系ステンレス鋼を、電解研摩
することによって表面粗度をRmax で1μm以下とし、
引き続き酸素濃度が2%以下のガス雰囲気中で且つ30
0〜600℃の温度範囲で、30分以上の加熱酸化処理
を施す。
のいずれにも優れ、且つ耐食性を更に向上させた、半導
体製造装置の構成部材として最適なステンレス鋼部材を
製造する為の方法を提供する。 【構成】 C:0.015 重量%以下,Si:0.6 重量%以
下,Mn:0.8 重量%以下,Ni:12〜17重量%,
Cr:17.5〜24重量%,Mo:0.05〜2.5 重量%,A
l:0.02重量%以下を夫々含有すると共に、Ti,N
b,TaおよびZrよりなる群から選択される1種以上
を0.05〜0.3 重量%含有し、残部Feおよび不可避不純
物からなり、該不可避不純物中P:0.035 重量%以下,
S:0.002 重量%以下,O:0.002 重量%以下に夫々抑
制してなるオーステナイト系ステンレス鋼を、電解研摩
することによって表面粗度をRmax で1μm以下とし、
引き続き酸素濃度が2%以下のガス雰囲気中で且つ30
0〜600℃の温度範囲で、30分以上の加熱酸化処理
を施す。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体製造装置の構成部
材として用いられるオーステナイト系ステンレス鋼部材
の製造方法に関し、詳細には高品質,高性能の半導体製
品を得る上で必要な清浄性に優れ、腐食性の弱い酸素ガ
ス,窒素ガス,水素ガス等はもとより、腐食性の強いH
Cl,Cl2 ,HF等のハロゲン系ガスや超純水等の供
給系,排出系或は反応室等の構成部材として用いること
のできる耐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼
部材を製造する方法に関するものである。
材として用いられるオーステナイト系ステンレス鋼部材
の製造方法に関し、詳細には高品質,高性能の半導体製
品を得る上で必要な清浄性に優れ、腐食性の弱い酸素ガ
ス,窒素ガス,水素ガス等はもとより、腐食性の強いH
Cl,Cl2 ,HF等のハロゲン系ガスや超純水等の供
給系,排出系或は反応室等の構成部材として用いること
のできる耐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼
部材を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体産業界における技術の発展は近年
特に目覚ましいものがあり、高性能の製品が製造される
様になっている。例えば半導体記憶素子の配線間隔はサ
ブミクロンの精度まで要求される様になっている。この
ため配線上に微粒子(パーティクル)や細菌等が付着し
ただけでも回路がショートする恐れがある。それ故半導
体の製造段階で使用されるガスや純水も超高純度である
ことが必要とされ、これらと接触する部材の品質につい
ても厳格な規制が設けられ、例えば配管部材内面につい
てはガスや超純水の純度を損なわない様な、清浄性,平
滑性,耐食性のいずれにも優れていることが要求されて
いる。
特に目覚ましいものがあり、高性能の製品が製造される
様になっている。例えば半導体記憶素子の配線間隔はサ
ブミクロンの精度まで要求される様になっている。この
ため配線上に微粒子(パーティクル)や細菌等が付着し
ただけでも回路がショートする恐れがある。それ故半導
体の製造段階で使用されるガスや純水も超高純度である
ことが必要とされ、これらと接触する部材の品質につい
ても厳格な規制が設けられ、例えば配管部材内面につい
てはガスや超純水の純度を損なわない様な、清浄性,平
滑性,耐食性のいずれにも優れていることが要求されて
いる。
【0003】この様な要求を満足させるという観点か
ら、例えば超純水配管等においては、超純水に対する耐
食性に優れる塩化ビニル樹脂等の有機材料が従来から用
いられてきた。しかしながらこの様な材料でも有機成分
(残留モノマーや可塑剤等の添加物)の微量溶出を完全
に阻止することができないという欠点がある。また配管
施工時の突合せ溶接が困難であるばかりか、強度的にも
問題がある。
ら、例えば超純水配管等においては、超純水に対する耐
食性に優れる塩化ビニル樹脂等の有機材料が従来から用
いられてきた。しかしながらこの様な材料でも有機成分
(残留モノマーや可塑剤等の添加物)の微量溶出を完全
に阻止することができないという欠点がある。また配管
施工時の突合せ溶接が困難であるばかりか、強度的にも
問題がある。
【0004】こうしたことから溶接性,強度面および一
般的耐食性に優れるSUS304LやSUS316L等
のステンレス鋼が有機材料に代わる超純水配管部材とし
て着目される様になってきた。しかしながらこれらのス
テンレス鋼は、その構成成分であるFe,Ni,Cr,
Mo,Mn等の重金属イオンが微量ながらも超純水に溶
出するという欠点を有しており、ステンレス鋼もごく一
部の例外を除いては使用されていないのが実情である。
般的耐食性に優れるSUS304LやSUS316L等
のステンレス鋼が有機材料に代わる超純水配管部材とし
て着目される様になってきた。しかしながらこれらのス
テンレス鋼は、その構成成分であるFe,Ni,Cr,
Mo,Mn等の重金属イオンが微量ながらも超純水に溶
出するという欠点を有しており、ステンレス鋼もごく一
部の例外を除いては使用されていないのが実情である。
【0005】一方半導体製造用ガスの供給系の構成部材
にも、従来からSUS304LやSUS316L等のス
テンレス鋼が使用されているが、半導体製造用ガスの純
度を維持する為にはこれらの構成部材の表面に吸着して
いる不純物ガス(O2 ,N2,CO2 ,H2 O等)の吸着
量を少なくし、且つ構成部材自身からのガス放出量も少
ないことが要求される。従って構成材料としては、ガス
との接触面積がなるべく少なくなる様に、接ガス表面を
平滑にしたステンレス鋼を使用する必要がある。また構
成材料表面を機械的な加工処理をした場合に、加工変質
層が残存する様なものであると、不純物ガスや半導体製
造時の前工程使用ガスが変質層に吸着されて半導体製造
用ガスの清浄性を損なう恐れもある。こうしたことから
ステンレス鋼を構成部材として使用する際には、吸着面
積を減少するための表面平滑化、機械的な加工処理をし
た場合に形成される加工変質層の除去、更には構成部材
製造工程中に表面に付着若しくは取り込まれた不純物粒
子の除去、等を同時に達成することのできる電解研摩処
理を施す方法が採用されるに至っている。また最近で
は、電解研摩処理後に更に酸化性雰囲気中で加熱処理を
施して酸化不動態膜を強制的に形成する方法(例えば特
開平1−198463号公報)や、パーティクルの発生
源および不純物ガスの吸着場となる非金属介在物を極め
て少なくしたいわゆるクリーンルーム用鋼管(例えば特
開昭63−161145号公報)等も提案されている。
にも、従来からSUS304LやSUS316L等のス
テンレス鋼が使用されているが、半導体製造用ガスの純
度を維持する為にはこれらの構成部材の表面に吸着して
いる不純物ガス(O2 ,N2,CO2 ,H2 O等)の吸着
量を少なくし、且つ構成部材自身からのガス放出量も少
ないことが要求される。従って構成材料としては、ガス
との接触面積がなるべく少なくなる様に、接ガス表面を
平滑にしたステンレス鋼を使用する必要がある。また構
成材料表面を機械的な加工処理をした場合に、加工変質
層が残存する様なものであると、不純物ガスや半導体製
造時の前工程使用ガスが変質層に吸着されて半導体製造
用ガスの清浄性を損なう恐れもある。こうしたことから
ステンレス鋼を構成部材として使用する際には、吸着面
積を減少するための表面平滑化、機械的な加工処理をし
た場合に形成される加工変質層の除去、更には構成部材
製造工程中に表面に付着若しくは取り込まれた不純物粒
子の除去、等を同時に達成することのできる電解研摩処
理を施す方法が採用されるに至っている。また最近で
は、電解研摩処理後に更に酸化性雰囲気中で加熱処理を
施して酸化不動態膜を強制的に形成する方法(例えば特
開平1−198463号公報)や、パーティクルの発生
源および不純物ガスの吸着場となる非金属介在物を極め
て少なくしたいわゆるクリーンルーム用鋼管(例えば特
開昭63−161145号公報)等も提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の様
な各処理を施したステンレス鋼部材であっても、今後更
に高集積化することが予想される半導体素子の製造に使
われる超純水や、腐食性の強いHCl,Cl2 ,HF等
のハロゲン系ガスの純度を維持するのは困難であり、ス
テンレス鋼部材の更なる耐食性向上が望まれている。
な各処理を施したステンレス鋼部材であっても、今後更
に高集積化することが予想される半導体素子の製造に使
われる超純水や、腐食性の強いHCl,Cl2 ,HF等
のハロゲン系ガスの純度を維持するのは困難であり、ス
テンレス鋼部材の更なる耐食性向上が望まれている。
【0007】上記ハロゲン系ガスは超高純度である限り
腐食性は殆どないが、微量でも水分が残量していると加
水分解によって酸が生成し、強力な耐食性を有する様に
なる。現在工業的に生産され使用されているハロゲン系
ガスでは、ガス中の水分濃度を腐食性を示さなくなるま
で低減することは困難であると言われている。極く微量
でも酸が生成すると、電解研摩を施した後に熱処理を施
したステンレス鋼であっても、腐食を起こしてパーティ
クル源となる。こうしたことからハロゲン系ガス用とし
て、ステンレス鋼の代わりにハステロイ系高Ni合金を
用いることも提案されているが、この合金は高Ni,高
Moであるので極めて高価であるばかりか、HCl水溶
液中では微量ながら腐食を生じる。
腐食性は殆どないが、微量でも水分が残量していると加
水分解によって酸が生成し、強力な耐食性を有する様に
なる。現在工業的に生産され使用されているハロゲン系
ガスでは、ガス中の水分濃度を腐食性を示さなくなるま
で低減することは困難であると言われている。極く微量
でも酸が生成すると、電解研摩を施した後に熱処理を施
したステンレス鋼であっても、腐食を起こしてパーティ
クル源となる。こうしたことからハロゲン系ガス用とし
て、ステンレス鋼の代わりにハステロイ系高Ni合金を
用いることも提案されているが、この合金は高Ni,高
Moであるので極めて高価であるばかりか、HCl水溶
液中では微量ながら腐食を生じる。
【0008】本発明はこうした技術的課題を解決する為
になされたものであって、その目的は、平滑性,清浄
性,耐ガス放出性および溶接性のいずれにも優れ、且つ
耐食性を更に向上させた、半導体製造装置の構成部材と
して最適なステンレス鋼部材を製造する為の方法を提供
することにある。
になされたものであって、その目的は、平滑性,清浄
性,耐ガス放出性および溶接性のいずれにも優れ、且つ
耐食性を更に向上させた、半導体製造装置の構成部材と
して最適なステンレス鋼部材を製造する為の方法を提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明とは、C:0.015 重量%以下,Si:0.6 重量%以
下,Mn:0.8 重量%以下,Ni:12〜17重量%,
Cr:17.5〜24重量%,Mo:0.05〜2.5 重量%,A
l:0.02重量%以下を夫々含有すると共に、Ti,N
b,TaおよびZrよりなる群から選択される1種以上
を0.05〜0.3 重量%含有し、残部Feおよび不可避不純
物からなり、該不可避不純物中P:0.035重量%以下,
S:0.002 重量%以下,O:0.002 重量%以下に夫々抑
制してなるオーステナイト系ステンレス鋼を、電解研摩
することによって表面粗度をRmaxで1μm以下とし、
引き続き酸素濃度が2%以下のガス雰囲気中で且つ30
0〜600℃の温度範囲で、30分以上の加熱酸化処理
を施す点に要旨を有する半導体製造装置用高耐食性オー
ステナイト系ステンレス鋼部材の製造方法である。
発明とは、C:0.015 重量%以下,Si:0.6 重量%以
下,Mn:0.8 重量%以下,Ni:12〜17重量%,
Cr:17.5〜24重量%,Mo:0.05〜2.5 重量%,A
l:0.02重量%以下を夫々含有すると共に、Ti,N
b,TaおよびZrよりなる群から選択される1種以上
を0.05〜0.3 重量%含有し、残部Feおよび不可避不純
物からなり、該不可避不純物中P:0.035重量%以下,
S:0.002 重量%以下,O:0.002 重量%以下に夫々抑
制してなるオーステナイト系ステンレス鋼を、電解研摩
することによって表面粗度をRmaxで1μm以下とし、
引き続き酸素濃度が2%以下のガス雰囲気中で且つ30
0〜600℃の温度範囲で、30分以上の加熱酸化処理
を施す点に要旨を有する半導体製造装置用高耐食性オー
ステナイト系ステンレス鋼部材の製造方法である。
【0010】
【作用】従来のSUS304やSUS316L等では、
電解研摩処理または電解研摩後に更に加熱酸化処理を施
しても充分な耐食性が得られない。そこで本発明者ら
は、ステンレス鋼の耐食性を更に向上させるべく、様々
な角度から検討した。その結果、素材ステンレス鋼の化
学成分を厳密に規定すると共に、電解研摩後に適切な条
件下で加熱酸化処理する、という2つの要件を巧みに組
み合わせることが必要不可欠であることを見出し、更に
検討を加え本発明を完成した。まず本発明に係るオース
テナイト系ステンレス鋼における化学成分限定理由は下
記の通りである。
電解研摩処理または電解研摩後に更に加熱酸化処理を施
しても充分な耐食性が得られない。そこで本発明者ら
は、ステンレス鋼の耐食性を更に向上させるべく、様々
な角度から検討した。その結果、素材ステンレス鋼の化
学成分を厳密に規定すると共に、電解研摩後に適切な条
件下で加熱酸化処理する、という2つの要件を巧みに組
み合わせることが必要不可欠であることを見出し、更に
検討を加え本発明を完成した。まず本発明に係るオース
テナイト系ステンレス鋼における化学成分限定理由は下
記の通りである。
【0011】C:0.015 重量%以下 Cは強度上昇やオーステナイト組織維持にとって有効な
元素である。しかしながらCがあまり多くなると、本発
明における加熱酸化処理時の高温側処理において、若し
くは製品の溶接時において、Cr炭化物として粒界に析
出し、更には鋼溶接時にTi,Nb,Ta,Zrとの炭
化物を多量に形成し、これらは酸化熱処理後にステンレ
ス鋼表面に形成されるCr富化酸化被膜の欠陥となり、
耐食性を劣化させる。従って、本発明においては、C含
有量は0.015 重量%以下とする必要がある。
元素である。しかしながらCがあまり多くなると、本発
明における加熱酸化処理時の高温側処理において、若し
くは製品の溶接時において、Cr炭化物として粒界に析
出し、更には鋼溶接時にTi,Nb,Ta,Zrとの炭
化物を多量に形成し、これらは酸化熱処理後にステンレ
ス鋼表面に形成されるCr富化酸化被膜の欠陥となり、
耐食性を劣化させる。従って、本発明においては、C含
有量は0.015 重量%以下とする必要がある。
【0012】Si:0.6 重量%以下 Siは鋼の脱酸に有効であるが、逆に鋼の清浄度を劣化
させるので、0.6 重量%以下とする必要がある。 Mn:0.8 重量%以下 Mnは鋼の脱酸・脱硫に有効であるが、Siと同様に鋼
の清浄度を劣化させるので、0.8 重量%以下とする必要
がある。
させるので、0.6 重量%以下とする必要がある。 Mn:0.8 重量%以下 Mnは鋼の脱酸・脱硫に有効であるが、Siと同様に鋼
の清浄度を劣化させるので、0.8 重量%以下とする必要
がある。
【0013】Ni:12〜17重量% Niはオーステナイト組織を安定化させる重要な元素で
ある。Ni含有量が12重量%未満であると、δ−フェ
ライト量が増加し、熱間加工性を阻害すると共に、オー
ステナイトとδ−フェライトの2相組織では電解研摩時
に各相による溶解量の差によって表面粗度が劣化する。
一方Niを過剰に含有させても経済的に不利となり、ま
た本発明のCr量,Mo量の上限を考慮し、δ−フェラ
イトが生成しない量として、Ni含有量の上限は17重
量%とした。
ある。Ni含有量が12重量%未満であると、δ−フェ
ライト量が増加し、熱間加工性を阻害すると共に、オー
ステナイトとδ−フェライトの2相組織では電解研摩時
に各相による溶解量の差によって表面粗度が劣化する。
一方Niを過剰に含有させても経済的に不利となり、ま
た本発明のCr量,Mo量の上限を考慮し、δ−フェラ
イトが生成しない量として、Ni含有量の上限は17重
量%とした。
【0014】Cr:17.5〜24重量% Crは本発明鋼の基本的な耐食性を決定する重要な元素
であり、その含有量が17.5重量%未満では、加熱酸化処
理後に得られる酸化被膜による耐食性改善効果が不十分
である。しかしながら過剰に含有させると、オーステナ
イト単相を得る為にNiも多量に含有必要があるので不
経済となると共に、上記効果も飽和する傾向を示すこと
から、Cr含有量は24重量%以下とする必要がある。
であり、その含有量が17.5重量%未満では、加熱酸化処
理後に得られる酸化被膜による耐食性改善効果が不十分
である。しかしながら過剰に含有させると、オーステナ
イト単相を得る為にNiも多量に含有必要があるので不
経済となると共に、上記効果も飽和する傾向を示すこと
から、Cr含有量は24重量%以下とする必要がある。
【0015】Mo:0.05〜2.5 重量% MoはCrと共存することによって不動態を安定化して
一般的耐食性を向上させる。その様な効果を発揮させる
為には、Moは0.05重量%以上含有させる必要がある。
一方過剰に含有させてもそれに見合うだけの効果が得ら
れないばかりか経済性を損なうので、2.5 重量%以下と
する必要がある。
一般的耐食性を向上させる。その様な効果を発揮させる
為には、Moは0.05重量%以上含有させる必要がある。
一方過剰に含有させてもそれに見合うだけの効果が得ら
れないばかりか経済性を損なうので、2.5 重量%以下と
する必要がある。
【0016】Al:0.02重量%以下 Alは脱酸に有効な元素であるが、必要以上の添加は介
在物の形状を大きくして電解研摩時に表面性状を損なう
ばかりでなく、加熱酸化処理後の酸化被膜の欠陥とな
り、耐食性を劣化させる。こうしたことからAl含有量
は、0.02重量%以下とする必要がある。
在物の形状を大きくして電解研摩時に表面性状を損なう
ばかりでなく、加熱酸化処理後の酸化被膜の欠陥とな
り、耐食性を劣化させる。こうしたことからAl含有量
は、0.02重量%以下とする必要がある。
【0017】Ti,Nb,TaおよびZrよりなる群か
ら選択される1種以上の元素:0.05〜0.3 重量% これらの元素は従来よりCの安定化元素として知られて
おり、溶接部の場合や約450〜800℃の温度域に晒
された場合に、ステンレス鋼中に生成するCr炭化物の
粒界析出を防止する。本発明においては、上記の様な効
果以外に、加熱酸化処理によって生成する表面酸化被膜
内のCr濃度を高めるのに重要な元素である。この様な
効果を発揮させる為には、これらの元素の1種以上を0.
05重量%以上含有させる必要がある。しかしながら0.3
重量%を超えて含有させてもその効果が飽和するばかり
でなく、経済性を損なうので、0.3 重量%を上限とす
る。
ら選択される1種以上の元素:0.05〜0.3 重量% これらの元素は従来よりCの安定化元素として知られて
おり、溶接部の場合や約450〜800℃の温度域に晒
された場合に、ステンレス鋼中に生成するCr炭化物の
粒界析出を防止する。本発明においては、上記の様な効
果以外に、加熱酸化処理によって生成する表面酸化被膜
内のCr濃度を高めるのに重要な元素である。この様な
効果を発揮させる為には、これらの元素の1種以上を0.
05重量%以上含有させる必要がある。しかしながら0.3
重量%を超えて含有させてもその効果が飽和するばかり
でなく、経済性を損なうので、0.3 重量%を上限とす
る。
【0018】本発明のステンレス鋼は、以上の元素を基
本成分とし、残部Feおよび不可避不純物からなるもの
であるが、該不可避不純物中P,S,O等の元素は下記
の様に制限する必要がある。
本成分とし、残部Feおよび不可避不純物からなるもの
であるが、該不可避不純物中P,S,O等の元素は下記
の様に制限する必要がある。
【0019】P:0.035 重量%以下 Pは多量に含有されるとステンレス鋼の耐食性を劣化さ
せると共に鋼の清浄性を低下させるので、0.035 重量%
以下に抑制する必要がある。S:0.002 重量%以下 Sは鋼中でMnSとして存在するが、これが鋼材の表面
にあると電解研摩時に溶解,脱落してピンホールの原因
となると共に、その後の酸化熱処理において形成される
酸化被膜の欠陥となり、耐食性を劣化させる。従って、
Sは0.002 重量%以下に抑制する必要があり、好ましく
は0.001 重量%以下とするのがよい。
せると共に鋼の清浄性を低下させるので、0.035 重量%
以下に抑制する必要がある。S:0.002 重量%以下 Sは鋼中でMnSとして存在するが、これが鋼材の表面
にあると電解研摩時に溶解,脱落してピンホールの原因
となると共に、その後の酸化熱処理において形成される
酸化被膜の欠陥となり、耐食性を劣化させる。従って、
Sは0.002 重量%以下に抑制する必要があり、好ましく
は0.001 重量%以下とするのがよい。
【0020】O:0.002 重量%以下 Oは鋼中において酸化物系金属介在物として析出し、加
熱酸化処理後の酸化被膜の欠陥となって耐食性を劣化さ
せるので、0.002 重量%以下に抑制する必要がある。
熱酸化処理後の酸化被膜の欠陥となって耐食性を劣化さ
せるので、0.002 重量%以下に抑制する必要がある。
【0021】上記の様な化学成分組成のオーステナイト
系ステンレス鋼は、常法によって溶製され、鍛造や圧延
等の加工によって所定の形状とした後、通常の電解研摩
によって表面粗度をRmax で1μm以下の鏡面とされる
が、本発明では引続き酸素濃度が2%以下のガス雰囲気
中で且つ300〜600℃の温度範囲で30分以上の加
熱酸化処理を施す必要がある。次に、本発明における加
熱酸化処理条件について更に詳細に説明する。
系ステンレス鋼は、常法によって溶製され、鍛造や圧延
等の加工によって所定の形状とした後、通常の電解研摩
によって表面粗度をRmax で1μm以下の鏡面とされる
が、本発明では引続き酸素濃度が2%以下のガス雰囲気
中で且つ300〜600℃の温度範囲で30分以上の加
熱酸化処理を施す必要がある。次に、本発明における加
熱酸化処理条件について更に詳細に説明する。
【0022】本発明においては、電解研摩後に所定の条
件で加熱酸化処理を施すことによって、後記実施例に示
す様に、極めて腐食性の強い30℃の5%塩酸水溶液中
であっても、不動態を示して耐食性向上が著しいものと
なる。これは加熱酸化処理によって、Crの濃縮した極
めて欠陥の少ない酸化被膜が付与されるからである。本
発明に係るステンレス鋼は、まず電解研摩することによ
ってその表面にはCrの濃縮した極めて薄い(通常15
〜30Å)酸化被膜が形成されるが、このままでは該酸
化被膜が薄過ぎること及び多孔質であると考えられるこ
と(薄いので現在の技術水準では多孔質であることは確
認できない)から、十分な耐食性は得られない。しかし
ながら電解研摩後に、酸素濃度が2%以下のガス雰囲気
中で且つ300〜600℃の温度で30分以上の加熱酸
化処理を施せば、ステンレス鋼中のCrが表面に拡散し
てきてCrに富んだ酸化膜が成長すると共に、電解研摩
時に残留していた穴等の欠陥を埋めるので、塩酸水溶液
中で不動態を示す様になる。
件で加熱酸化処理を施すことによって、後記実施例に示
す様に、極めて腐食性の強い30℃の5%塩酸水溶液中
であっても、不動態を示して耐食性向上が著しいものと
なる。これは加熱酸化処理によって、Crの濃縮した極
めて欠陥の少ない酸化被膜が付与されるからである。本
発明に係るステンレス鋼は、まず電解研摩することによ
ってその表面にはCrの濃縮した極めて薄い(通常15
〜30Å)酸化被膜が形成されるが、このままでは該酸
化被膜が薄過ぎること及び多孔質であると考えられるこ
と(薄いので現在の技術水準では多孔質であることは確
認できない)から、十分な耐食性は得られない。しかし
ながら電解研摩後に、酸素濃度が2%以下のガス雰囲気
中で且つ300〜600℃の温度で30分以上の加熱酸
化処理を施せば、ステンレス鋼中のCrが表面に拡散し
てきてCrに富んだ酸化膜が成長すると共に、電解研摩
時に残留していた穴等の欠陥を埋めるので、塩酸水溶液
中で不動態を示す様になる。
【0023】本発明においては上述の如く、ガス雰囲気
中の酸素濃度を2%以下とする必要がある。酸素濃度が
2%を超える様なガス雰囲気では、雰囲気の酸化力が強
力になり過ぎて表面層にFe酸化物が形成され、かえっ
て耐食性が劣化する。尚ガス雰囲気を形成する酸素ガス
以外のバランスガスとしては、N2 やAr等の不活性ガ
スを用いれば良い。一方酸素濃度の下限については特に
規定していないが、これは現在工業的に生産されている
高純度のN2 ガスやArガス中の酸素濃度は1ppm 程度
であり、この程度の酸素濃度であっても本発明に係る化
学成分組成を有するステンレス鋼では耐食性に優れた表
面酸化被膜が形成されるからである。
中の酸素濃度を2%以下とする必要がある。酸素濃度が
2%を超える様なガス雰囲気では、雰囲気の酸化力が強
力になり過ぎて表面層にFe酸化物が形成され、かえっ
て耐食性が劣化する。尚ガス雰囲気を形成する酸素ガス
以外のバランスガスとしては、N2 やAr等の不活性ガ
スを用いれば良い。一方酸素濃度の下限については特に
規定していないが、これは現在工業的に生産されている
高純度のN2 ガスやArガス中の酸素濃度は1ppm 程度
であり、この程度の酸素濃度であっても本発明に係る化
学成分組成を有するステンレス鋼では耐食性に優れた表
面酸化被膜が形成されるからである。
【0024】一方加熱酸化処理時の温度範囲は300〜
600℃とする必要がある。処理温度が300℃未満で
あるとCrに富んだ酸化膜の成長が殆んど認められず、
耐食性向上効果が発揮されない。一方処理温度が600
℃を超えると、ステンレス鋼の結晶粒界上に凹みが形成
され、酸化膜の欠陥となって耐食性が劣化する。尚処理
温度のより好ましい範囲は、400〜500℃程度であ
る。
600℃とする必要がある。処理温度が300℃未満で
あるとCrに富んだ酸化膜の成長が殆んど認められず、
耐食性向上効果が発揮されない。一方処理温度が600
℃を超えると、ステンレス鋼の結晶粒界上に凹みが形成
され、酸化膜の欠陥となって耐食性が劣化する。尚処理
温度のより好ましい範囲は、400〜500℃程度であ
る。
【0025】更に、加熱酸化処理は30分以上行なう必
要がある。処理時間が30分未満では、上述した炭素濃
度および温度範囲であっても、Crに富んだ酸化膜の成
長が十分に行なわれず、また穴を埋めるのに要するCr
の拡散も十分でないので耐食性向上効果が発揮されな
い。一方処理時間の上限については特に限定するもので
はないが、処理時間があまり長くなると経済性を損なう
ので10時間程度が好ましい。
要がある。処理時間が30分未満では、上述した炭素濃
度および温度範囲であっても、Crに富んだ酸化膜の成
長が十分に行なわれず、また穴を埋めるのに要するCr
の拡散も十分でないので耐食性向上効果が発揮されな
い。一方処理時間の上限については特に限定するもので
はないが、処理時間があまり長くなると経済性を損なう
ので10時間程度が好ましい。
【0026】以下本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を限定するものではな
く、前・後記の趣旨に徴して適宜設計変更することはい
ずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
明するが、下記実施例は本発明を限定するものではな
く、前・後記の趣旨に徴して適宜設計変更することはい
ずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0027】
【実施例】通常の溶解・圧延法によって下記表1に示さ
れる様な化学成分組成の鋼板(No.1〜14)を製造し
た。また表1のNo.15,16は夫々市販のSUS30
4L,SUS316Lである。
れる様な化学成分組成の鋼板(No.1〜14)を製造し
た。また表1のNo.15,16は夫々市販のSUS30
4L,SUS316Lである。
【0028】
【表1】
【0029】各鋼板から、1.0 ×25×50(mm)の試
験片を切り出し、各試験片の片端にステンレス鋼線(直
径:1mm)をスポット溶接し、その後通常用いられる硫
酸・燐酸混合水溶液中で電解研摩を施した。このとき予
め電解研摩条件を検討しておき、各試験片の表面粗度が
Rmax で1μm以下となる条件を把握しておき、その条
件にて実施した。
験片を切り出し、各試験片の片端にステンレス鋼線(直
径:1mm)をスポット溶接し、その後通常用いられる硫
酸・燐酸混合水溶液中で電解研摩を施した。このとき予
め電解研摩条件を検討しておき、各試験片の表面粗度が
Rmax で1μm以下となる条件を把握しておき、その条
件にて実施した。
【0030】その後、洗浄,乾燥を施した試験片を、下
記表2に示した各種酸素濃度(バランスガスはArを使
用)となる様に予め用意しておいたボンベを用いて炉内
雰囲気の酸素濃度を調整すると共に、夫々所定の温度で
所定の時間加熱酸化処理を施した。次いで、試験片の接
液面(試験片の中央部:10mm×10mm=1cm2 )以外
に絶縁塗料を塗布し、30℃の5%塩酸水溶液中に浸漬
し、ポテンショスタットを用いて陽分極曲線(腐食電
流)を測定することによって耐食性を評価した。その結
果を表2に併記する。尚表2中耐食性の評価は、(a)
不動態保持電流が認められる場合に○印(耐食性良い)
とし(後記図1の曲線A)、(b)自然電位は不動態域
にあるものの孔食が発生し、腐食電流が上昇する場合
(後記図1の曲線B)、および(c)活性溶解を生じる
場合(後記図1の曲線C)にいずれも×印(耐食性劣
る)とした。
記表2に示した各種酸素濃度(バランスガスはArを使
用)となる様に予め用意しておいたボンベを用いて炉内
雰囲気の酸素濃度を調整すると共に、夫々所定の温度で
所定の時間加熱酸化処理を施した。次いで、試験片の接
液面(試験片の中央部:10mm×10mm=1cm2 )以外
に絶縁塗料を塗布し、30℃の5%塩酸水溶液中に浸漬
し、ポテンショスタットを用いて陽分極曲線(腐食電
流)を測定することによって耐食性を評価した。その結
果を表2に併記する。尚表2中耐食性の評価は、(a)
不動態保持電流が認められる場合に○印(耐食性良い)
とし(後記図1の曲線A)、(b)自然電位は不動態域
にあるものの孔食が発生し、腐食電流が上昇する場合
(後記図1の曲線B)、および(c)活性溶解を生じる
場合(後記図1の曲線C)にいずれも×印(耐食性劣
る)とした。
【0031】
【表2】
【0032】図1は30℃の5%塩酸水溶液中における
各種加熱酸化処理材の陽分極曲線の一例を示すグラフで
ある。図1中、曲線Aは本発明鋼を用いたときの一例を
示すものであり、浸漬状態では不動態であることを示し
ている。また曲線Bは浸漬状態で孔食を起こしているこ
と、および曲線Cは浸漬状態で活性溶解(全面腐食)を
起こしていることを、夫々示すものである。活性溶解を
示すものは、酸化被膜が薄く多孔質であったり、最表面
の非金属介在物量が多く、酸化処理後の酸化被膜の欠陥
濃度が高い為であり、また酸化被膜がある程度成長して
穴を埋めた状態であっても、介在物の存在密度が高かっ
たり、被膜の成長速度が速くて欠陥が取り込まれた様な
場合には孔食型の腐食を生じる。これに対し、本発明で
規定した条件で酸化処理した場合には、5%の塩酸水溶
液に耐え得る様なCrに富んだ均一な酸化被膜が形成さ
れて不動態を示す訳である。
各種加熱酸化処理材の陽分極曲線の一例を示すグラフで
ある。図1中、曲線Aは本発明鋼を用いたときの一例を
示すものであり、浸漬状態では不動態であることを示し
ている。また曲線Bは浸漬状態で孔食を起こしているこ
と、および曲線Cは浸漬状態で活性溶解(全面腐食)を
起こしていることを、夫々示すものである。活性溶解を
示すものは、酸化被膜が薄く多孔質であったり、最表面
の非金属介在物量が多く、酸化処理後の酸化被膜の欠陥
濃度が高い為であり、また酸化被膜がある程度成長して
穴を埋めた状態であっても、介在物の存在密度が高かっ
たり、被膜の成長速度が速くて欠陥が取り込まれた様な
場合には孔食型の腐食を生じる。これに対し、本発明で
規定した条件で酸化処理した場合には、5%の塩酸水溶
液に耐え得る様なCrに富んだ均一な酸化被膜が形成さ
れて不動態を示す訳である。
【0033】前記表1,2の結果から明らかな様に、本
発明で規定する要件を満足する実施例(No.1〜8)で
は、Crに富んだ均一で欠陥の極めて少ない酸化被膜の
存在によって、優れた耐食性を示しているが、化学成分
組成や加熱酸化処理条件のいずれかが本発明で規定する
範囲を外れる比較例では、活性溶解や孔食が発生してお
り十分な耐食性が得られていないことが分かる。
発明で規定する要件を満足する実施例(No.1〜8)で
は、Crに富んだ均一で欠陥の極めて少ない酸化被膜の
存在によって、優れた耐食性を示しているが、化学成分
組成や加熱酸化処理条件のいずれかが本発明で規定する
範囲を外れる比較例では、活性溶解や孔食が発生してお
り十分な耐食性が得られていないことが分かる。
【0034】各比較例について更に具体的に説明する。
比較例No.9〜12は、鋼の化学成分組成としては本発
明で規定する範囲内であるが、処理条件のいずれかを満
足しないのでいずれも耐食性に劣る結果となっている。
まず比較例No.9では、処理温度が低過ぎるので被膜の
成長が殆ど認められず電解研摩時に生成した多孔質な被
膜が改善されていない。また比較例No.10では、処理
温度が高過ぎるので被膜の成長が著しく、生成した被膜
に欠陥が生じている。比較例No.11では、雰囲気中の
酸素濃度が高過ぎるので、鉄酸化物が生じている。比較
例No.12では、処理時間が短過ぎるので、被膜の成長
が不十分となっている。
比較例No.9〜12は、鋼の化学成分組成としては本発
明で規定する範囲内であるが、処理条件のいずれかを満
足しないのでいずれも耐食性に劣る結果となっている。
まず比較例No.9では、処理温度が低過ぎるので被膜の
成長が殆ど認められず電解研摩時に生成した多孔質な被
膜が改善されていない。また比較例No.10では、処理
温度が高過ぎるので被膜の成長が著しく、生成した被膜
に欠陥が生じている。比較例No.11では、雰囲気中の
酸素濃度が高過ぎるので、鉄酸化物が生じている。比較
例No.12では、処理時間が短過ぎるので、被膜の成長
が不十分となっている。
【0035】一方比較例No.13,14は、加熱酸化処
理条件としては本発明で規定する範囲内のものである
が、化学成分組成のいずれかを満足しないのでいずれも
耐食性に劣る結果となっている。まず比較例No.13で
は、Cr含有量が少ないのでCrに富んだ被膜の生成が
不十分である。また比較例No.14では、C,Mn,S
およびOの含有量が多過ぎるので介在物量が多く、加熱
処理により生成した被膜の欠陥密度が高くなる。
理条件としては本発明で規定する範囲内のものである
が、化学成分組成のいずれかを満足しないのでいずれも
耐食性に劣る結果となっている。まず比較例No.13で
は、Cr含有量が少ないのでCrに富んだ被膜の生成が
不十分である。また比較例No.14では、C,Mn,S
およびOの含有量が多過ぎるので介在物量が多く、加熱
処理により生成した被膜の欠陥密度が高くなる。
【0036】更に、比較例No.15,16は、一般的な
ステンレス鋼種のSUS304L,SUS316Lを夫
々用いた場合であり、いずれもTi,Nb,Ta,Zr
等が含まれておらず、またMnおよびSの含有量も多い
ので、本発明の規定する処理条件によっても酸化被膜の
形成が不十分となっており、耐食性に劣る結果となって
いる。
ステンレス鋼種のSUS304L,SUS316Lを夫
々用いた場合であり、いずれもTi,Nb,Ta,Zr
等が含まれておらず、またMnおよびSの含有量も多い
ので、本発明の規定する処理条件によっても酸化被膜の
形成が不十分となっており、耐食性に劣る結果となって
いる。
【0037】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、平
滑性,清浄性,耐ガス放出性および溶接性のいずれにも
優れ、且つ耐食性を更に向上させ、半導体製造装置の構
成部材として最適なステンレス鋼部材を製造することが
できた。
滑性,清浄性,耐ガス放出性および溶接性のいずれにも
優れ、且つ耐食性を更に向上させ、半導体製造装置の構
成部材として最適なステンレス鋼部材を製造することが
できた。
【図1】30℃の5%塩酸水溶液中における各種加熱酸
化処理材の陽分極曲線の一例を示すグラフである。
化処理材の陽分極曲線の一例を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹中 佳史 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内
Claims (1)
- 【請求項1】 C:0.015 重量%以下,Si:0.6 重量
%以下,Mn:0.8重量%以下,Ni:12〜17重量
%,Cr:17.5〜24重量%,Mo:0.05〜2.5 重量
%,Al:0.02重量%以下を夫々含有すると共に、T
i,Nb,TaおよびZrよりなる群から選択される1
種以上を0.05〜0.3 重量%含有し、残部Feおよび不可
避不純物からなり、該不可避不純物中P:0.035 重量%
以下,S:0.002 重量%以下,O:0.002 重量%以下に
夫々抑制してなるオーステナイト系ステンレス鋼を、電
解研摩することによって表面粗度をRmax で1μm以下
とし、引き続き酸素濃度が2%以下のガス雰囲気中で且
つ300〜600℃の温度範囲で、30分以上の加熱酸
化処理を施すことを特徴とする半導体製造装置用高耐食
性オーステナイト系ステンレス鋼部材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27558493A JPH07126828A (ja) | 1993-11-04 | 1993-11-04 | 半導体製造装置用高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼部材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27558493A JPH07126828A (ja) | 1993-11-04 | 1993-11-04 | 半導体製造装置用高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼部材の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07126828A true JPH07126828A (ja) | 1995-05-16 |
Family
ID=17557499
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27558493A Withdrawn JPH07126828A (ja) | 1993-11-04 | 1993-11-04 | 半導体製造装置用高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼部材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07126828A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1143745A (ja) * | 1997-07-25 | 1999-02-16 | Nisshin Steel Co Ltd | 耐食性に優れた焼却炉体 |
WO2003019633A1 (fr) * | 2001-08-24 | 2003-03-06 | Tokyo Electron Limited | Procede de traitement de surface de composants d'un dispositif de traitement sous vide |
JP2004298944A (ja) * | 2003-03-31 | 2004-10-28 | Nippon Sanso Corp | 溶接用シールドガスおよび溶接方法 |
JP2014005509A (ja) * | 2012-06-26 | 2014-01-16 | Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd | 高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼及び溶接継手構造 |
CN113774287A (zh) * | 2021-09-21 | 2021-12-10 | 上海盖泽激光科技有限公司 | 一种激光熔覆预硬化的圆锥破碎机衬板及加工工艺 |
CN116445828A (zh) * | 2023-03-14 | 2023-07-18 | 中航上大高温合金材料股份有限公司 | 一种超纯奥氏体不锈钢及其制备方法 |
-
1993
- 1993-11-04 JP JP27558493A patent/JPH07126828A/ja not_active Withdrawn
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1143745A (ja) * | 1997-07-25 | 1999-02-16 | Nisshin Steel Co Ltd | 耐食性に優れた焼却炉体 |
WO2003019633A1 (fr) * | 2001-08-24 | 2003-03-06 | Tokyo Electron Limited | Procede de traitement de surface de composants d'un dispositif de traitement sous vide |
JP2004298944A (ja) * | 2003-03-31 | 2004-10-28 | Nippon Sanso Corp | 溶接用シールドガスおよび溶接方法 |
JP2014005509A (ja) * | 2012-06-26 | 2014-01-16 | Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd | 高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼及び溶接継手構造 |
CN113774287A (zh) * | 2021-09-21 | 2021-12-10 | 上海盖泽激光科技有限公司 | 一种激光熔覆预硬化的圆锥破碎机衬板及加工工艺 |
CN116445828A (zh) * | 2023-03-14 | 2023-07-18 | 中航上大高温合金材料股份有限公司 | 一种超纯奥氏体不锈钢及其制备方法 |
CN116445828B (zh) * | 2023-03-14 | 2024-05-14 | 中航上大高温合金材料股份有限公司 | 一种超纯奥氏体不锈钢及其制备方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20010130 |