JP2720716B2 - 耐食性に優れる高純度ガス用オーステナイト系ステンレス鋼材及びその製造方法 - Google Patents
耐食性に優れる高純度ガス用オーステナイト系ステンレス鋼材及びその製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体製造プロセスな
どで使用される高純度ガス用高耐食ステンレス鋼部材お
よびその製造方法に関する。
どで使用される高純度ガス用高耐食ステンレス鋼部材お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体製造分野においては、近年高集積
化が進み、超LSIと称されるディバイスを製造する際
には、1μm 以下の微細パターンの加工が必要とされて
いる。
化が進み、超LSIと称されるディバイスを製造する際
には、1μm 以下の微細パターンの加工が必要とされて
いる。
【0003】このような超LSI製造プロセスでは、微
小な塵や微量不純物ガスが配線パターンに付着、吸着さ
れ回路不良の原因となるため、使用する反応ガス及びキ
ャリアーガスは共に高純度であること、すなわち、ガス
中の微粒子及び不純物ガスの含有量が少ないことが必要
とされる。従って、その製造装置に用いられる高純度ガ
ス用配管及び部材においては、ガスと接触する部材の内
面から不純物として放出される微粒子(パーティクル)
およびガスが極力少ないことが要求される。また、半導
体製造用ガスとしては窒素、アルゴン等の不活性ガス以
外に、塩素、クロロシラン類といった腐食性のガスも使
用されるので、これらの腐食性ガスに接する部材では当
然、高い耐食性も必要となる。
小な塵や微量不純物ガスが配線パターンに付着、吸着さ
れ回路不良の原因となるため、使用する反応ガス及びキ
ャリアーガスは共に高純度であること、すなわち、ガス
中の微粒子及び不純物ガスの含有量が少ないことが必要
とされる。従って、その製造装置に用いられる高純度ガ
ス用配管及び部材においては、ガスと接触する部材の内
面から不純物として放出される微粒子(パーティクル)
およびガスが極力少ないことが要求される。また、半導
体製造用ガスとしては窒素、アルゴン等の不活性ガス以
外に、塩素、クロロシラン類といった腐食性のガスも使
用されるので、これらの腐食性ガスに接する部材では当
然、高い耐食性も必要となる。
【0004】従来、このような半導体製造用ガス配管及
び部材には、オーステナイト系ステンレス鋼、代表的に
はSUS 316L鋼が使用されている。これらのステンレ
ス鋼部材は、塵や水分などの付着および吸着を低減する
ため、その表面粗さはRmaxで1μm 以下となるまで平
滑化されている。このような表面平滑化の方法として、
冷間抽伸、機械研磨、電解研磨等があげられる。表面を
平滑化されたステンレス鋼部材にはその後、高純度水に
よる洗浄、高純度ガスによる乾燥などが施されて製品と
なる。
び部材には、オーステナイト系ステンレス鋼、代表的に
はSUS 316L鋼が使用されている。これらのステンレ
ス鋼部材は、塵や水分などの付着および吸着を低減する
ため、その表面粗さはRmaxで1μm 以下となるまで平
滑化されている。このような表面平滑化の方法として、
冷間抽伸、機械研磨、電解研磨等があげられる。表面を
平滑化されたステンレス鋼部材にはその後、高純度水に
よる洗浄、高純度ガスによる乾燥などが施されて製品と
なる。
【0005】特開平1-198463 号公報には実施例とし
て、予め電解研磨処理により表面を平滑化した管内面
に、外層がFe主体、内層が30原子%以上のCrを含有し、
厚さが100 〜500 Åの酸化皮膜を有する半導体製造装置
用ステンレス鋼部材および露点温度が−10℃以下の酸化
性ガス雰囲気中で加熱することによる同ステンレス鋼部
材の製造方法が示されている。
て、予め電解研磨処理により表面を平滑化した管内面
に、外層がFe主体、内層が30原子%以上のCrを含有し、
厚さが100 〜500 Åの酸化皮膜を有する半導体製造装置
用ステンレス鋼部材および露点温度が−10℃以下の酸化
性ガス雰囲気中で加熱することによる同ステンレス鋼部
材の製造方法が示されている。
【0006】特開昭63-161145 号公報には、クリーンル
ーム用鋼管として、Mn、Si、Al、Oなどの含有量を規制
することにより非金属介在物を低減し、前述のような管
内面からのパーティクル発生を低減しようとする規格鋼
以外の高清浄度オーステナイトステンレス鋼が開示され
ている。
ーム用鋼管として、Mn、Si、Al、Oなどの含有量を規制
することにより非金属介在物を低減し、前述のような管
内面からのパーティクル発生を低減しようとする規格鋼
以外の高清浄度オーステナイトステンレス鋼が開示され
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】研磨後に純水による洗
浄、乾燥を行う場合、常温乾燥では鋼材表面の水分の除
去を完全に行うことは困難である。また、かりに100 か
ら300 ℃程度の高温ベーキングによって水分を除去した
場合でも、乾燥後には再び空気中の微量の水分が吸着
し、脱離し難い。このようなステンレス鋼材を高純度ガ
ス用配管および部材として使用した場合には、半導体製
造プラントにおいて操業前の配管系パージに長時間を要
することを意味し、実操業上大きな問題となる。
浄、乾燥を行う場合、常温乾燥では鋼材表面の水分の除
去を完全に行うことは困難である。また、かりに100 か
ら300 ℃程度の高温ベーキングによって水分を除去した
場合でも、乾燥後には再び空気中の微量の水分が吸着
し、脱離し難い。このようなステンレス鋼材を高純度ガ
ス用配管および部材として使用した場合には、半導体製
造プラントにおいて操業前の配管系パージに長時間を要
することを意味し、実操業上大きな問題となる。
【0008】このような表面吸着による好ましくない水
分の脱離放出現象は、ステンレス鋼を清浄化し介在物を
減少させると鋼材表面の粗さがミクロ的に軽減されるの
で、ある程度は改善されるものの、鋼そのものの高清浄
度化のみでは不十分である。
分の脱離放出現象は、ステンレス鋼を清浄化し介在物を
減少させると鋼材表面の粗さがミクロ的に軽減されるの
で、ある程度は改善されるものの、鋼そのものの高清浄
度化のみでは不十分である。
【0009】腐食性ガスの貯蔵容器、配管などで必要と
なる耐食性に関しては、電解研磨のままあるいは更に厚
さ 100〜500 Åの酸化皮膜を付与する処理を施したステ
ンレス鋼でも、その酸化皮膜の性状が適切なものでなけ
れば、腐食性ガスに対する耐食性に乏しく発錆が起こ
る。このため、錆の微粒子による高純度ガスの汚染は避
け難い。
なる耐食性に関しては、電解研磨のままあるいは更に厚
さ 100〜500 Åの酸化皮膜を付与する処理を施したステ
ンレス鋼でも、その酸化皮膜の性状が適切なものでなけ
れば、腐食性ガスに対する耐食性に乏しく発錆が起こ
る。このため、錆の微粒子による高純度ガスの汚染は避
け難い。
【0010】本発明の目的は、鋼材表面に雰囲気中水分
が吸着し難く、また吸着した場合にもその後の脱離が容
易で、しかも腐食性ガスによっても発錆のない、耐食性
に優れた高純度ガス用ステンレス鋼材とその製造方法を
提供することにある。
が吸着し難く、また吸着した場合にもその後の脱離が容
易で、しかも腐食性ガスによっても発錆のない、耐食性
に優れた高純度ガス用ステンレス鋼材とその製造方法を
提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明においてオーステ
ナイト系ステンレス鋼材とは、Crを15〜30%で含有する
Fe基及びNi基合金を総称する。その代表的な例がSUS
316Lである。そして、酸化皮膜を付与する加熱処理前
に、その鋼材表面の最大粗さ(Rmax)が1μm以下とな
るように、例えば電解研磨などにより、予め表面研磨さ
れているものが対象である。
ナイト系ステンレス鋼材とは、Crを15〜30%で含有する
Fe基及びNi基合金を総称する。その代表的な例がSUS
316Lである。そして、酸化皮膜を付与する加熱処理前
に、その鋼材表面の最大粗さ(Rmax)が1μm以下とな
るように、例えば電解研磨などにより、予め表面研磨さ
れているものが対象である。
【0012】研磨、洗浄後のステンレス鋼表面の残留水
分除去は、約 200℃以上に加熱処理するいわゆるベーキ
ングによって容易に実現される。さらに、本発明者ら
は、上記残留水分除去を施した鋼材を種々の雰囲気およ
び温度で熱処理した後、鋼材表面の水分の吸着、脱離挙
動および腐食性ガスに対する耐食性を調査した。その結
果、合金元素としてTiおよびAlを適量添加した特定の化
学組成を有するオーステナイト系ステンレス鋼材に対し
て、極低酸素分圧の不活性ガスあるいは真空中で750℃
から1000℃の間で加熱することにより、その表面にTiま
たは/およびAlを主体とする酸化皮膜を付与すれば、ス
テンレス鋼材表面が水分吸着に対して不活性化し、さら
に優れた耐食性も発現するという知見を得た。
分除去は、約 200℃以上に加熱処理するいわゆるベーキ
ングによって容易に実現される。さらに、本発明者ら
は、上記残留水分除去を施した鋼材を種々の雰囲気およ
び温度で熱処理した後、鋼材表面の水分の吸着、脱離挙
動および腐食性ガスに対する耐食性を調査した。その結
果、合金元素としてTiおよびAlを適量添加した特定の化
学組成を有するオーステナイト系ステンレス鋼材に対し
て、極低酸素分圧の不活性ガスあるいは真空中で750℃
から1000℃の間で加熱することにより、その表面にTiま
たは/およびAlを主体とする酸化皮膜を付与すれば、ス
テンレス鋼材表面が水分吸着に対して不活性化し、さら
に優れた耐食性も発現するという知見を得た。
【0013】本発明の要旨は、次の鋼材およびその製造
方法にある。
方法にある。
【0014】(1) 重量%で、Ti:0.02〜1.0 %およびA
l:0.02〜1.0 %の1種または2種を含有するオーステ
ナイト系ステンレス鋼材であって、予め最大粗さが1μ
m以下となるように平滑化処理したその表面にTiまたは
/およびAlを主体とする酸化被膜を有することを特徴と
する高純度ガス用オーステナイト系ステンレス鋼材。
l:0.02〜1.0 %の1種または2種を含有するオーステ
ナイト系ステンレス鋼材であって、予め最大粗さが1μ
m以下となるように平滑化処理したその表面にTiまたは
/およびAlを主体とする酸化被膜を有することを特徴と
する高純度ガス用オーステナイト系ステンレス鋼材。
【0015】(2) 重量%で、Ti:0.02〜1.0 %およびA
l:0.02〜1.0 %の1種または2種を含有し、さらにM
o:7%以下、Cu:3%以下およびN:0.3 %以下のう
ちの1種以上を含有するオーステナイト系ステンレス鋼
材であって、予め最大粗さが1μm以下となるように平
滑化処理したその表面にTiまたは/およびAlを主体とす
る酸化被膜を有することを特徴とする高純度ガス用オー
ステナイト系ステンレス鋼材。
l:0.02〜1.0 %の1種または2種を含有し、さらにM
o:7%以下、Cu:3%以下およびN:0.3 %以下のう
ちの1種以上を含有するオーステナイト系ステンレス鋼
材であって、予め最大粗さが1μm以下となるように平
滑化処理したその表面にTiまたは/およびAlを主体とす
る酸化被膜を有することを特徴とする高純度ガス用オー
ステナイト系ステンレス鋼材。
【0016】(3) 重量%で、Ti:0.02〜1.0 %およびA
l:0.02〜1.0 %の1種または2種を含有するオーステ
ナイト系ステンレス鋼材を、予め表面の最大粗さが1μ
m以下となるように処理した後、酸素分圧が10-6Pa以下
の不活性ガスあるいは真空雰囲気中で 750〜1150℃で加
熱処理することを特徴とする上記 (1)に記載の高純度ガ
ス用オーステナイト系ステンレス鋼材の製造方法。
l:0.02〜1.0 %の1種または2種を含有するオーステ
ナイト系ステンレス鋼材を、予め表面の最大粗さが1μ
m以下となるように処理した後、酸素分圧が10-6Pa以下
の不活性ガスあるいは真空雰囲気中で 750〜1150℃で加
熱処理することを特徴とする上記 (1)に記載の高純度ガ
ス用オーステナイト系ステンレス鋼材の製造方法。
【0017】(4) 重量%で、Ti:0.02〜1.0 %およびA
l:0.02 〜1.0 %の1種または2種を含有し、さらにM
o:7%以下、Cu:3%以下およびN:0.3 %以下のう
ちの1種以上を含有するオーステナイト系ステンレス鋼
材を、予め表面の最大粗さが1μm以下となるように処
理した後、酸素分圧が10-6Pa以下の不活性ガスあるいは
真空雰囲気中で 750〜1150℃スで加熱処理するとを特徴
とする上記 (2)に記載の高純度ガス用オーステナイト系
ステンレス鋼材の製造方法。
l:0.02 〜1.0 %の1種または2種を含有し、さらにM
o:7%以下、Cu:3%以下およびN:0.3 %以下のう
ちの1種以上を含有するオーステナイト系ステンレス鋼
材を、予め表面の最大粗さが1μm以下となるように処
理した後、酸素分圧が10-6Pa以下の不活性ガスあるいは
真空雰囲気中で 750〜1150℃スで加熱処理するとを特徴
とする上記 (2)に記載の高純度ガス用オーステナイト系
ステンレス鋼材の製造方法。
【0018】
【作用】本発明における鋼材の化学組成、酸化皮膜の性
状および製造条件の限定理由を説明する。以下で説明す
る合金元素以外については特に規定せず、材質としては
前述したオーステナイト系ステンレス鋼であれば良い。
状および製造条件の限定理由を説明する。以下で説明す
る合金元素以外については特に規定せず、材質としては
前述したオーステナイト系ステンレス鋼であれば良い。
【0019】TiおよびAl:本発明によるステンレス鋼表
面の酸化皮膜としては、Tiまたは/およびAl酸化物を主
体とするものでなければ耐食性、水分放出特性がともに
劣化する。したがって、Ti、Alは、本発明では必要な酸
化皮膜を形成させるのに特に重要な元素であり、この二
つの元素のうち1種または2種を含有させる。ともに、
0.02%未満では、加熱処理してもTiまたはAlを主体とす
る酸化物皮膜が得られない。一方、ともに、 1.0%を超
えると鋼そのものの機械的性質、耐食性が低下する。よ
って、Ti、Alともにその含有量の範囲を0.02%以上、1.
0 %以下で、1種あるいは2種以上とした。
面の酸化皮膜としては、Tiまたは/およびAl酸化物を主
体とするものでなければ耐食性、水分放出特性がともに
劣化する。したがって、Ti、Alは、本発明では必要な酸
化皮膜を形成させるのに特に重要な元素であり、この二
つの元素のうち1種または2種を含有させる。ともに、
0.02%未満では、加熱処理してもTiまたはAlを主体とす
る酸化物皮膜が得られない。一方、ともに、 1.0%を超
えると鋼そのものの機械的性質、耐食性が低下する。よ
って、Ti、Alともにその含有量の範囲を0.02%以上、1.
0 %以下で、1種あるいは2種以上とした。
【0020】Mo、Cu、N:いずれも耐食性向上に効果を
有する元素であり、上記のTiおよびAlの1種または2種
を含有させ、さらに、これらの三つの元素のうち1種ま
たは2種以上を含有させる。
有する元素であり、上記のTiおよびAlの1種または2種
を含有させ、さらに、これらの三つの元素のうち1種ま
たは2種以上を含有させる。
【0021】Moが7%を超えると、σ相、ラーベス相な
どの硬くて脆い金属間化合物が生成して熱間加工性を劣
化させ、シームレス鋼管の製造が困難になるとともに、
機械的性質、特に溶接部の靱性が低下する。よって、Mo
の上限を7%とした。
どの硬くて脆い金属間化合物が生成して熱間加工性を劣
化させ、シームレス鋼管の製造が困難になるとともに、
機械的性質、特に溶接部の靱性が低下する。よって、Mo
の上限を7%とした。
【0022】Cuが3%を超えると、Cu脆化によって熱間
加工性が劣化し、シームレス鋼管の製造が困難になると
ともに、機械的性質、特に溶接部の靱性が低下する。よ
って、Cuの上限を3%とした。
加工性が劣化し、シームレス鋼管の製造が困難になると
ともに、機械的性質、特に溶接部の靱性が低下する。よ
って、Cuの上限を3%とした。
【0023】Nが 0.3%を超えると、Cr2Nなどの窒化物
が生成して熱間加工性が劣化し、同様にシームレス鋼管
の製造が困難になるとともに、機械的性質、特に溶接部
の靱性が低下する。よって、Nの上限を 0.3%とした。
が生成して熱間加工性が劣化し、同様にシームレス鋼管
の製造が困難になるとともに、機械的性質、特に溶接部
の靱性が低下する。よって、Nの上限を 0.3%とした。
【0024】加熱処理条件:加熱処理雰囲気を酸素分圧
10-6Pa以下の不活性ガスあるいは真空中とする理由は、
酸素分圧が10-6Paを超える雰囲気では酸化皮膜中のFeお
よびCr含有率が増加し、Tiまたは/およびAlを主体とす
る所望の酸化皮膜が得られず、水分脱離特性、耐食性が
ともに低下する。
10-6Pa以下の不活性ガスあるいは真空中とする理由は、
酸素分圧が10-6Paを超える雰囲気では酸化皮膜中のFeお
よびCr含有率が増加し、Tiまたは/およびAlを主体とす
る所望の酸化皮膜が得られず、水分脱離特性、耐食性が
ともに低下する。
【0025】加熱温度が 750℃未満では酸化皮膜中のFe
およびCr含有率が増加し、やはり上記と同様に望ましい
酸化皮膜が得られない。一方、1150℃を超えると鋼材自
体の機械的性質の劣化が顕著となる。加熱温度は好まし
くは 800〜1000℃の範囲である。
およびCr含有率が増加し、やはり上記と同様に望ましい
酸化皮膜が得られない。一方、1150℃を超えると鋼材自
体の機械的性質の劣化が顕著となる。加熱温度は好まし
くは 800〜1000℃の範囲である。
【0026】
【実施例】表1に示す化学組成を有する外径6.4mm 、肉
厚1mm、長さ4mのSUS316 L鋼のシームレス鋼管の
内面を、電解研磨によってRmax が 0.5μm になるよう
に平滑化し、高純度水によって洗浄後、99.999%Arガス
を通しながら 200℃に加熱して乾燥した。
厚1mm、長さ4mのSUS316 L鋼のシームレス鋼管の
内面を、電解研磨によってRmax が 0.5μm になるよう
に平滑化し、高純度水によって洗浄後、99.999%Arガス
を通しながら 200℃に加熱して乾燥した。
【0027】これらの鋼管を表2に示す種々の条件で加
熱処理して酸化皮膜を付与後、鋼管中央部から切り出し
たサンプルを用いて2次イオン質量分析器により、鋼管
内表面から断面深さ方向の元素分析を行い、最高Tiおよ
びAl含有率と酸化皮膜厚さを測定した。
熱処理して酸化皮膜を付与後、鋼管中央部から切り出し
たサンプルを用いて2次イオン質量分析器により、鋼管
内表面から断面深さ方向の元素分析を行い、最高Tiおよ
びAl含有率と酸化皮膜厚さを測定した。
【0028】残ったサンプルのうちの長さ2mを用い
て、20℃、相対湿度52%の雰囲気中に48時間放置した
後、管内に乾燥したArガスを2リットル/minで流し、管
出側ガス中の水分量を質量分析計で分析した。評価は水
分量が50ppb 以下となるのに要する時間(表2に示すH2
O 脱離時間)によった。
て、20℃、相対湿度52%の雰囲気中に48時間放置した
後、管内に乾燥したArガスを2リットル/minで流し、管
出側ガス中の水分量を質量分析計で分析した。評価は水
分量が50ppb 以下となるのに要する時間(表2に示すH2
O 脱離時間)によった。
【0029】耐食性試験は、残ったサンプルのうちの長
さ1mの供試管内に99.9%塩素ガスを 0.5MPaの圧力で
封入し、液体窒素で一旦冷却後、大気開放して5日間放
置後縦割りし、管内面の発錆状況を目視観察する方法で
実施した。これらの試験結果を併せて表2に示す。耐食
性試験結果の白丸は、腐食による発錆がないことを、黒
丸は腐食による発錆が生じたことを、それぞれ示す。
さ1mの供試管内に99.9%塩素ガスを 0.5MPaの圧力で
封入し、液体窒素で一旦冷却後、大気開放して5日間放
置後縦割りし、管内面の発錆状況を目視観察する方法で
実施した。これらの試験結果を併せて表2に示す。耐食
性試験結果の白丸は、腐食による発錆がないことを、黒
丸は腐食による発錆が生じたことを、それぞれ示す。
【0030】表2からわかるように、本発明で定める範
囲内の化学組成および加熱処理条件のステンレス鋼管で
は、Ar通気後の水分脱離が速い。さらに、塩素ガスに対
する耐食性も良好である。
囲内の化学組成および加熱処理条件のステンレス鋼管で
は、Ar通気後の水分脱離が速い。さらに、塩素ガスに対
する耐食性も良好である。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、鋼材表面に雰囲気中水
分が吸着し難く、また表面からの水分脱離が速く、しか
も腐食性ガスに対しても良好な耐食性を有する高純度ガ
ス用オーステナイト系ステンレス鋼材が得られる。
分が吸着し難く、また表面からの水分脱離が速く、しか
も腐食性ガスに対しても良好な耐食性を有する高純度ガ
ス用オーステナイト系ステンレス鋼材が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/44 C22C 38/44 C23C 8/14 C23C 8/14 H01L 21/02 H01L 21/02 D (56)参考文献 特開 昭63−161145(JP,A) 特開 平4−165062(JP,A) 特開 平4−9428(JP,A) 特開 平3−274254(JP,A) 特開 平5−311455(JP,A) 特開 平2−259085(JP,A) 特開 平5−132789(JP,A)
Claims (4)
- 【請求項1】重量%で、Ti:0.02〜1.0 %およびAl:0.
02〜1.0 %の1種または2種を含有するオーステナイト
系ステンレス鋼材であって、予め最大粗さが1μm以下
となるように平滑化処理したその表面にTiまたは/およ
びAlを主体とする酸化被膜を有することを特徴とする高
純度ガス用オーステナイト系ステンレス鋼材。 - 【請求項2】重量%で、Ti:0.02〜1.0 %およびAl:0.
02〜1.0 %の1種または2種を含有し、さらにMo:7%
以下、Cu:3%以下およびN:0.3 %以下のうちの1種
以上を含有するオーステナイト系ステンレス鋼材であっ
て、予め最大粗さが1μm以下となるように平滑化処理
したその表面にTiまたは/およびAlを主体とする酸化被
膜を有することを特徴とする高純度ガス用オーステナイ
ト系ステンレス鋼材。 - 【請求項3】重量%で、Ti:0.02〜1.0 %およびAl:0.
02〜1.0 %の1種または2種を含有するオーステナイト
系ステンレス鋼材を、予め表面の最大粗さが1μm以下
となるように処理した後、酸素分圧が10-6Pa以下の不活
性ガスあるいは真空雰囲気中で 750〜1150℃で加熱処理
することを特徴とする請求項1に記載の高純度ガス用オ
ーステナイト系ステンレス鋼材の製造方法。 - 【請求項4】重量%で、Ti:0.02〜1.0 %およびAl:0.
02 〜1.0 %の1種または2種を含有し、さらにMo:7
%以下、Cu:3%以下およびN:0.3 %以下のうちの1
種以上を含有するオーステナイト系ステンレス鋼材を、
予め表面の最大粗さが1μm以下となるように処理した
後、酸素分圧が10-6Pa以下の不活性ガスあるいは真空雰
囲気中で 750〜1150℃で加熱処理することを特徴とする
請求項2に記載の高純度ガス用オーステナイト系ステン
レス鋼材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18700892A JP2720716B2 (ja) | 1992-07-14 | 1992-07-14 | 耐食性に優れる高純度ガス用オーステナイト系ステンレス鋼材及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18700892A JP2720716B2 (ja) | 1992-07-14 | 1992-07-14 | 耐食性に優れる高純度ガス用オーステナイト系ステンレス鋼材及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0633264A JPH0633264A (ja) | 1994-02-08 |
JP2720716B2 true JP2720716B2 (ja) | 1998-03-04 |
Family
ID=16198591
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18700892A Expired - Lifetime JP2720716B2 (ja) | 1992-07-14 | 1992-07-14 | 耐食性に優れる高純度ガス用オーステナイト系ステンレス鋼材及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
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