JPH1060349A - インキ組成物及び印刷体 - Google Patents

インキ組成物及び印刷体

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JPH1060349A
JPH1060349A JP22570096A JP22570096A JPH1060349A JP H1060349 A JPH1060349 A JP H1060349A JP 22570096 A JP22570096 A JP 22570096A JP 22570096 A JP22570096 A JP 22570096A JP H1060349 A JPH1060349 A JP H1060349A
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Japan
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ink composition
organosilane
group
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JP22570096A
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English (en)
Inventor
Motomasa Haruna
基全 春名
Kazuo Seto
和夫 瀬戸
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印刷適正に優れたオルガノシラン系のインキ
組成物を提供する。 【解決手段】 一般式がR1 n SiX4-n (R1 は置換
もしくは非置換の炭素数1〜8の1価炭化水素基、nは
0〜3の整数、Xは加水分解性基)で表される加水分解
性オルガノシランを、X1モルに対して水0.001〜
0.5モルを使用する条件で部分加水分解して得られた
オルガノシラン溶液と、金属酸化物系顔料と、微粉末シ
リカと微粉末アルミナのうち少なくとも一方と、平均組
成式がR2 a Si(OH)b (4-a-b)/2 (R2 は置換
もしくは非置換の炭素数1〜8の1価炭化水素基、aお
よびbはそれぞれ0.2≦a<2.0、0.0001≦
b≦3、a+b<4の関係を満たす数)で表される、分
子中にシラノール基を含有するポリオルガノシロキサン
と、触媒と、増粘付与剤とを必須成分とし、50〜20
0mpasの粘度を有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ステンレスなどの
鋼材、アルミニウムなどの非鉄金属基材、コンクリート
やスレート、モルタルなどの無機質硬化体、ガラス基
材、プラスチック基材等の表面に印刷して高意匠、耐候
性、耐薬品性、耐熱性、耐汚染性に優れた印刷層を形成
するために用いられるインキ組成物及び、このインキ組
成物による印刷被膜を形成した印刷体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、塗装物のメンテナンスフリーの観
点から、超耐久性塗膜の要求が屋外塗装用のコーティン
グ材に強く求められている。このため、鉄、ステンレ
ス、アルミニウム等の金属系基材、コンクリート、スレ
ート、モルタル等の無機質硬化体、ガラス基材、プラス
チック基材などの表面に高硬度で耐候性、耐薬品性、耐
熱性、耐汚染性に優れた塗膜を形成するコーティング材
として、オルガノシラン系コーティング材が注目されて
おり、このようなオルガノシラン系コーティング材は特
開平4−175388号公報などで各種のものが提供さ
れている。
【0003】このオルガノシラン系コーティング材は無
機質の塗膜となるため、有機系のコーティング材に比べ
て耐久性等の面で優れた塗膜物性を持っているが、その
比較的粘性の低い液物性から、塗装方法がスプレーやロ
ールコーター等に限られていた。しかしこのようなスプ
レー塗装やロールコーター塗装では、1色塗装か、ある
いは凹凸の模様を有する基材での2色塗装しか表現がで
きず、多色で高意匠なデザインを有する塗装を行なうこ
とはできないものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、このようなオ
ルガノシラン系コーティング材をグラビア印刷等のイン
キとして用いることによって、多色で高意匠なデザイン
を有する塗装(印刷)を行なうことが検討されている
が、上記のように従来から提供されているオルガノシラ
ン系コーティング材は粘性が低いために、インキとして
使用することができないものであった。
【0005】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、印刷適正に優れたオルガノシラン系のインキ組成
物を提供することを目的とし、また高意匠なデザインで
塗装することができる印刷体を提供することを目的とす
るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るインキ組成
物は、一般式がR1 n SiX4-n (式中、R1 は同一又
は異種の置換もしくは非置換の炭素数1〜8の1価炭化
水素基、nは0〜3の整数、Xは加水分解性基を示す)
で表される加水分解性オルガノシランを、X1モルに対
して水0.001〜0.5モルを使用する条件で部分加
水分解して得られたオルガノシラン溶液(A成分)と、
金属酸化物系顔料(B成分)と、微粉末シリカと微粉末
アルミナのうち少なくとも一方(C成分)と、平均組成
式がR2 a Si(OH)b (4-a-b)/2 (式中、R2
同一又は異種の置換もしくは非置換の炭素数1〜8の1
価の炭化水素基を示し、aおよびbはそれぞれ0.2≦
a<2.0、0.0001≦b≦3、a+b<4の関係
を満たす数である)で表される、分子中にシラノール基
を含有するポリオルガノシロキサン(D成分)と、触媒
(E成分)と、増粘付与剤(F成分)とを必須成分と
し、F成分の添加によって粘度を50〜200mpas
に調整したことを特徴とするものである。
【0007】また本発明に係る印刷体は、無機質硬化
体、金属、ガラス、プラスチックから選ばれる基材に上
記のインキ組成物を用いて印刷された層を設けたことを
特徴とするものであり、また、無機質硬化体あるいは金
属基材の表面にプライマー層、シリコーン系のエナメル
層、上記のインキ組成物の印刷層を設けたことを特徴と
するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。本発明で用いるA成分のオルガノシラン溶液は、
一般式 R1 n SiX4-n …(1) (式中、R1 は同一又は異種の置換もしくは非置換の炭
素数1〜8の1価炭化水素基、nは0〜3の整数、Xは
加水分解性基を示す)で表される加水分解性オルガノシ
ランを水で部分加水分解して得られた、オルガノシラン
のオリゴマー溶液と有機溶媒とからなるものである。
【0009】ここで、上記一般式(1)で表される加水
分解性オルガノシラン中の基R1 は、炭素数1〜8の置
換又は非置換の1価の炭化水素基を示し、例えばメチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘ
キシル基、ヘプチル基、オクチル基などのアルキル基;
シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアル
キル基;2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル
基などのアラルキル基;フェニル基、トリル基などのア
リール基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;ク
ロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,3−ト
リフルオロプロピル基などのハロゲン置換炭化水素基;
γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロ
ピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ
−メルカプトプロピル基などの置換炭化水素基等を例示
することができる。これらの中でも合成の容易さ、ある
いは入手の容易さから炭素数1〜4のアルキル基及び、
フェニル基が好ましい。
【0010】また上記一般式(1)で表される加水分解
性オルガノシラン中の加水分解性基Xとしては、アルコ
キシ基、アセトキシ基、オキシム基、エノキシ基、アミ
ノ基、アミノキシ基、アミド基などが挙げられる。これ
らの中でも入手の容易さ及び微粒子酸化物分散オリゴマ
ー溶液を調製し易いことからアルコキシ基が好ましい。
【0011】そしてこのような加水分解性オルガノシラ
ンとしては、上記一般式(1)中のnが0〜3の整数で
ある、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−の各官能性のア
ルコキシシラン類、アセトキシシラン類、オキシムシラ
ン類、エノキシシラン類、アミノシラン類、アミノキシ
シラン類、アミドシラン類などが挙げられる。これらの
中でも入手の容易さ及びシリカ分散オルガノシランオリ
ゴマー溶液を調製し易いことからアルコキシシラン類が
好ましい。
【0012】特に、n=0のテトラアルコキシシランと
しては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン
などを例示することができ、n=1のオルガノトリアル
コキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メ
チルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシ
ラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエト
キシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメ
トキシシランなどを例示することができる。またn=2
のジオルガノジアルコキシシランとしては、ジメチルジ
メトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニ
ルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メ
チルフェニルジメトキシシランなどを例示することがで
きる。さらにn=3のトリオルガノアルコキシシランと
しては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキ
シシラン、トリメチルイソプロポキシシラン、ジメチル
イソブチルメトキシシランなどを例示することができ
る。また一般にシランカップリング剤とよばれるオルガ
ノシラン化合物もアルコキシシラン類として用いること
ができる。
【0013】上記のような一般式(1)の加水分解性オ
ルガノシランのうち、50モル%以上がn=1で表され
る3官能性のものであることが好ましい。より好ましく
は60モル%以上であり、最も好ましくは70モル%以
上である。n=1の3官能性のものが50モル%未満で
は、十分な被膜硬度を得ることが難しいと共に、乾燥硬
化性が劣り易くなることがある。
【0014】A成分のオルガノシラン溶液は上記の一般
式(1)の加水分解性オルガノシランに所定量の水を添
加して部分加水分解することによって得ることができ
る。加水分解性オルガノシランに対する水の使用量は、
加水分解性基X1モルに対して水0.001〜0.5モ
ルが好ましい。水の使用量が0.001モル未満である
と十分な部分加水分解物を得ることができず、また水の
使用量が0.5モルを超えると部分加水分解物の安定性
が悪くなるおそれがある。加水分解性オルガノシランに
所定量の水を添加して部分加水分解する際に、固形分を
上げる目的で、有機溶剤または水分散のコロイダルシリ
カを添加して、コロイダルシリカ中で加水分解すること
も可能である。部分加水分解する方法は特に限定されな
いものであり、コロイダルシリカを使用する場合は、加
水分解性オルガノシランとコロイダルシリカとを混合し
て必要量の水を添加配合すればよく、このとき部分加水
分解反応は常温で進行するが、部分加水分解反応を促進
させるために60〜100℃に加温するようにしてもよ
い。さらに部分加水分解反応を促進させる目的で、塩
酸、酢酸、ハロゲン化シラン、クロロ酢酸、クエン酸、
安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻酸、プロピオン酸、グ
ルタル酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、トル
エンスルホン酸、シュウ酸などの無機酸や有機酸を触媒
として用いてもよい。
【0015】またオルガノシラン溶液中の有機溶媒は、
固形分を調整するために添加する有機溶媒として導入す
ることもできる。オルガノシラン溶液中のこの有機溶媒
としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メ
チルエチルケトオキシム等から選ばれる1種あるいは2
種以上のものを用いることができる。固形分調整用の有
機溶媒は、オルガノシランの加水分解が終了した時点で
添加するのが好ましい。
【0016】オルガノシラン溶液は、長期的に安定した
性能を得るために、液のpHを2.0〜7.0の範囲
に、より好ましくはpH2.5〜6.5の範囲に、さら
により好ましくはpH3.0〜6.0の範囲に調整する
のがよい。pH値がこの範囲外であると、特に水の使用
量がX1モルに対し0.3モル以上のときにオルガノシ
ラン溶液の長期的な性能低下が著しくなることがある。
pHがこの範囲外にあれば、この範囲より酸性側のとき
にはアンモニア、エチレンジアミン等の塩基性試薬を添
加してpHを調整すればよく、この範囲より塩基性側の
ときには塩酸、硝酸、酢酸等の酸性試薬を用いてpHを
調整すればよい。この調整の方法は特に限定されるもの
ではない。
【0017】一方、超耐久性のインキ組成物を得るとい
うことを考慮すると、耐久性のある顔料を用いることが
必要であり、このような要求を満たす顔料として本発明
ではB成分の金属酸化物系顔料を使用する。金属酸化物
系顔料としては、例えば、酸化チタン、赤色酸化鉄、黄
色酸化鉄、黒色酸化鉄、フェライト、カーボンブラッ
ク、酸化クロム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウ
ム、酸化ジルコニウム、酸化マンガン、酸化コバルト、
二酸化ケイ素、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カル
シウム、炭酸マグネシウム、チタンイエロー、雲母、コ
バルトグリーン、チタンコバルトグリーン、コバルトブ
ルー、コバルトアルミクロムブルー、コバルトクロムグ
リーン、セルリアンブルー、コバルト亜鉛シリカブル
ー、酸化亜鉛、銅クロムブラック、銅−鉄マンガンブラ
ック、クロムスズピンク、クロムアルミナピンク、バナ
ジウムブルー、プラセオジウムイエロー、ビクトリアグ
リーン、ケイ酸コバルトなどを挙げることができる。ま
た微粒子顔料と呼ばれる顔料、例えば、微粒子酸化チタ
ン、微粒子酸化鉄、微粒子炭酸カルシウム、微粒子チタ
ンイエロー、微粒子コバルトブルー、微粒子コバルトア
ルミクロムブルー、微粒子銅クロムブラックなどを挙げ
ることもできる。
【0018】これらの金属酸化物系顔料は、オルガノシ
ラン溶液100重量部に対して50〜200重量部の絶
囲で添加するのが好ましい。添加量が50重量部未満で
は、金属酸化物系顔料の沈降を防止するのが難しくなる
と共に経済的にも好ましくなく、また200重量部を超
えると金属酸化物系顔料の分酸が困難となり、好ましく
ない。
【0019】また本発明においてはC成分として微粉末
シリカと微粉末アルミナのうち、少なくとも一方を添加
する。微粉末シリカとしては親水性シリカ、疎水性シリ
カのいずれでも使用することができ、市販品としては、
日本アエロジル社製の「AEROSIL20」、「同3
80」、「同380PE」、デグサ社製の「R97
2」、「OK520」、「TSlOO」、「OK60
7」、キャボシル社製の「TS720」、日本シリカ工
業社製の「Nipsil E200」、「同E200
A」、「同E220」、「同E220A」、「ND」、
「LAPONITE XLG」などを例示することがで
きる。また微粉末アルミナとしては、例えばドイツ国デ
グサ社製の「アルミニウムオキサイドC」などを例示す
ることができる。
【0020】オルガノシラン溶液は粘性を殆ど持たない
が、これらの微粉末シリカや微粉末アルミナを添加する
ことによって、系の粘性を上げることができるものであ
る。微粉末シリカや微粉末アルミナの添加量は、オルガ
ノシラン溶液100重量部に対して1〜20重量部の範
囲が好ましい。添加量が1重量部未満では、微粉末シリ
カや微粉末アルミナを添加することによる効果を期待す
ることができず、また添加量が20重量部を超えると印
刷塗膜のグロス(光沢)の低下が著しくなって好ましく
ない。
【0021】上記のようにしてオルガノシラン溶液に金
属酸化物系顔料と、微粉末シリカと微粉末アルミナのう
ち少なくとも一方を添加して得られた顔料分散組成物
は、金属酸化物顔料を高濃度で長期に亘って安定して分
散させることができ、また再分散性にも優れるものであ
り、この顔料分散組成物を用いることによって、顔料の
分散安定性や再分散性に優れたインキ組成物を調製する
ことができるものである。微粉末シリカや微粉末アルミ
ナの添加によって、金属酸化物系顔料の粒子同士間に微
粉末シリカや微粉末アルミナが介在し、この結果、貯蔵
後の再分散性を向上させていると考えられる。しかもこ
の顔料分散組成物はオルガノシラン溶液をビヒクルとす
るために、最終的な印刷塗膜の硬度、耐薬品性、耐候
性、耐熱性、耐汚染性等の物性に何等の悪影響を及ぼす
ことなく使用することができるものである。
【0022】次に、上記の顔料分散組成物を用いたイン
キ組成物について説明する。インキ組成物は一般に、主
剤と、硬化剤と、主剤と硬化剤との反応を仮進する触媒
と、顔料とを配合して調製されるが、本発明では顔料を
直接配合するのではなく、上記のように予め顔料を分散
した顔料分散組成物を主剤として用いて配合することに
よって、顔料を安定して分散させたインキ組成物を得る
ことができるようにしてある。
【0023】ここで、本発明においてD成分の硬化剤中
の硬化成分としては、平均組成式が R2 a Si(OH)b (4-a-b)/2 …(2) (式中、R2 は同一又は異種の置換もしくは非置換の炭
素数1〜8の1価の炭化水素基を示し、aおよびbはそ
れぞれ0.2≦a<2.0、0.0001≦b≦3、a
+b<4の関係を満たす数である)で表される、分子中
にシラノール基を含有するポリオルガノシロキサンを用
いる。
【0024】上記の平均組成式(2)中、R2 として
は、上記式(1)中のR1 と同じものを例示することが
できるが、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、フェ
ニル基、ビニル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−
メタクリロキシプロピル基、3,3,3−トリフルオロ
プロピル基などの置換炭化水素基であり、より好ましく
はメチル基およびフェニル基である。また式(2)中、
a及びbはそれぞれ0.2≦a<2.0、0.0001
≦b≦3、a+b<4の関係を満たす数であり、aが
0.2未満又はbが3を超えると、硬化被膜にクラック
を生じるなどの不都合があり、またaが2.0を超え4
以下の場合又はbが0.0001未満であると、硬化が
うまく進行しないという不都合がある。
【0025】このような上記式(2)のシラノール基含
有ポリオルガノシロキサンは、例えば、メチルトリクロ
ロシラン、ジメチルジクロロシラン、フェニルトリクロ
ロシラン、ジフェニルジクロロシラン、もしくはこれら
に対応するアルコキシシランの1種もしくは2種以上の
混合物を公知の方法による大量の水で加水分解すること
によって得ることができる。シラノール基含有ポリオル
ガノシロキサンを得るために、アルコキシシランを用い
て公知の方法で加水分解した場合、加水分解されないア
ルコキシ基が微量に残ることがある。つまりシラノール
基と極微量のアルコキシ基が共存するようなポリオルガ
ノシロキサンが得られることがあるが、このようなポリ
オルガノシロキサンを用いても差支えない。
【0026】本発明においてE成分の触媒は、主剤とな
る顔料分散組成物中のオルガノシロキサンのシリカ分散
オリゴマーと硬化剤との縮合反応を促進し、印刷被膜を
硬化させるために必須の成分であり、このような触媒と
しては、アルキルチタン酸塩、オクチル酸錫およびジブ
チル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジマレエート等のカ
ルボン酸の金属塩;ジブチルアミン−2−ヘキソエー
ト、ジメチルアミンアセテート、エタノールアミンアセ
テート等のアミン塩;酢酸テトラメチルアンモニム等の
カルボン酸第4級アンモニウム塩;テトラエチルペンタ
ミン等のアミン類;N−β−アミノエチル−γ−アミノ
プロピルメチルジメトキシシラン、エチレンジアミンメ
チルプロピルジメトキシシラン等のアミン系シランカッ
プリング剤;p−トルエンスルホン酸、フタル酸、塩酸
等の酸類;アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキ
レート等のアルミニウム化合物、水酸化カリウムなどの
アルカリ触媒、テトライソプロピルチタネート、テトラ
ブチルチタネート、チタニウムテトラアセチルアセトネ
ート等のチタニウム化合物、メチルトリクロロシラン、
ジメチルジクロロシラン、トリメチルモノクロロシラン
等のハロゲン化シラン等があるが、これらの他にもオル
ガノシランのシリカ分散オリゴマーと硬化剤との縮合反
応に有効なものであれば特に制限されるものではない。
【0027】顔料分散組成物と硬化剤の配合比率や、触
媒の添加量は、要求される塗膜性能や硬化性に応じて任
意に設定することができるが、顔料分散組成物中のオル
ガノシラン成分1〜99重量部に対して硬化剤中のポリ
オルガノシロキサン成分99〜1重量部の範囲になるよ
うに調整するのが好ましく、より好ましくはオルガノシ
ラン成分5〜95重量部に対してポリオルガノシロキサ
ン成分95〜5重量部の範囲、最も好ましくはオルガノ
シラン成分10〜90重量部に対してポリオルガノシロ
キサン成分90〜10重量部の租囲である(但し、オル
ガノシラン成分とポリオルガノシロキサン成分の合計量
100重量部)。
【0028】さらに本発明では、色安定性を確保するた
めに、主剤となる顔料分散組成物中に添加剤として界面
活性剤と樹脂のうち少なくとも一方を添加するのが好ま
しい。このような界面活性剤としては、カルボン酸系界
面活性剤、高分子共重合系界面活性剤、アミン系界面活
性剤、エステル系界面活性剤等があるが、本発明に特に
適した界面活性剤としては、カルボン酸系界面活性剤、
高分子共重合系界面活性剤、アミン系界面活性剤であ
る。これらの市販品としては、Byk−Chemie社
製の「Byk−P104」、「Pl04S」、「240
S」、「Disperbyk−160」、「Dispe
rbyk−161」、「Disperbyk−16
2」、「Disperbyk−163」、「Dispe
rbyk−164」、「Disperbyk−16
5」、「Disperbyk−166」、「Anti−
Terra−203」、「Disperbyk」、「D
isperbyk−181」等がある。他の界面活性剤
では色安定性を確保することは難しい。また界面活性剤
の添加量は、顔料分散組成物100重量部に対して、
0.05〜5重量部、好ましくは0.05〜1.6重量
部、最も好ましくは1.1〜1.6重量部である。界面
活性剤の添加量が0.05重量部未満では、色分かれを
防止する効果が不十分になり、逆に5重量を超えると顔
料同士が過剰に凝集して平滑な印刷塗膜を得られなくな
ると共にインキ組成物の長期保管時の安定性が悪くなる
おそれがある。
【0029】そして本発明において、F成分の増粘付与
剤は、本発明の印刷適性に係わる物性において重要な成
分である。増粘付与剤としては、セルロース系樹脂、ア
クリルシリコーン系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル
系樹脂、ウレタン系樹脂等多くのものが使用可能である
が、本発明に適した増粘付与剤としては、セルロース系
樹脂、アクリルシリコーン系樹脂、シリコーン系樹脂で
ある。例えば、セルロース系樹脂の市販品としては、ダ
ウケミカル社製「エトセルSTD−45」、「エトセル
STD−100」等が、アクリルシリコーン系樹脂の市
販品としては、大日本インキ化学工業社製「LY−80
5」、「VY−108」、「VY−109」等が、シリ
コーン系樹脂の市販品としては、東芝シリコーン社製
「TSRl16」、「TSRl17」等がある。
【0030】増粘付与剤の添加量は、主剤と硬化剤の粘
度によって適宜調整されるものであり、インキ組成物が
目的とする粘度になるように決定されるものである。印
刷に適するインキ組成物の粘度範囲は、50〜200m
pas(ミリパスカル秒:測定温度25℃)である。イ
ンキ組成物の粘度が50mpas未満では、印刷適性が
劣り、たとえ印刷できたとしても柄ずれを起こす場合が
ある。逆に200mpasを超えるとインキ組成物が過
剰に増粘して印刷できなかったり、たとえ印刷できたと
しても、印刷塗膜の耐候性が損なわれる場合がある。
【0031】上記のようにして得られる本発明のインキ
組成物を用いて印刷を行なうにあたっては、凸版、平
版、凹版、孔版などの印刷方法を採用することができ
る。どの印刷方法を用いるかは、目的に応じて選ばれる
ものである。これら印刷方法を用いて、ステンレスなど
の鋼基材、アルミニウムなどの非鉄金属基材、コンクリ
ートやスレート、モルタルなどの無機質硬化体、ガラス
基材、プラスチック基材に上記のインキ組成物を印刷す
ることによって、耐候性、耐薬品性、耐熱性、耐汚染性
に優れ、しかも多色印刷や濃淡印刷等が可能になるため
高意匠なデザインの塗装を行なった印刷体を得ることが
できるものである。ここで、印刷体のコーティング層の
構成としては、勿論限定されるものでないが、プライマ
ー組成物に顔料等の着色成分を添加して形成したプライ
マー層の上にエナメル層を設け、この上に上記のインキ
組成物を印刷して印刷層を設け、さらにこの上にクリヤ
ーの無機コーティング層を設けるようにして形成するこ
とができる。
【0032】次にこのコーティング層の各塗装工程につ
いて説明する。プライマーとしては、変性イソシアネー
ト系、エポキシシリコーン系、アクリルシリコーン系の
ものが挙げられる。プライマー組成物はその塗布作業を
容易にし、また保存安定性を与える目的で、有機溶剤で
適宜希釈するようにしてもよい。この有機溶剤として
は、酢酸エチル、酢酸ブチル等のカルボン酸エステル
系;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系;トル
エン、キシレン、ベンゼン等の芳香族化合物系;ジエチ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエー
テル系あるいは酸素を含む複素環式化合物系等の化合物
が使用することができる。これらの溶剤は、単独で用い
ても、複数種を併用してもよい。さらにこのプライマー
組成物には、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等
の着色顔料など、その他の添加剤を含有させるようにし
てもよい。これらの添加剤は、本発明における効果を阻
害しない量の範囲内で使用されるものである。
【0033】プライマーの塗装方法は、特に限定される
ものではなく、用途や目的にあわせてスプレー、ロー
ル、フローコーター等を採用することができる。また、
プライマーの塗布膜厚は0.5μm以上50μm未満が
好ましい。0.5μm未満では、均一な塗膜が得にく
く、50μm以上では、発泡のおそれがある。どうして
も50μm以上の塗膜厚を得たい場合は、一度乾燥工程
をとり、重ね塗りをするのがよい。プライマーの乾燥条
件は、塗布する基材によって異なるが、5℃以上150
℃以下が好ましく、より好ましくは10℃以上100℃
以下である。5℃未満では硬化が遅く、150℃を超え
ると発泡の恐れがある。温度や、塗布量によって処理時
間は異なるが、概ね3分から24時間の範囲で乾燥処理
することができる。
【0034】次に第2工程のエナメル塗装を説明する。
このエナメル塗料は、耐候性を考慮するとシリコーン系
塗料が好ましい。例えば本発明のインキ組成物において
増粘付与剤の量を調整して、粘度を50mpas以下に
おさえたものを使用することができる。エナメル塗料の
塗装方法としては、スプレーやロール塗装を採用するこ
とができる。エナメル層の塗布膜厚は2μm以上50μ
m未満が好ましい。2μm未満では十分な隠ペい性が得
られず、逆に50μm以上では発泡の恐れがある。ま
た、エナメルの乾燥条件は基材によって異なるが、5℃
以上200℃以下が好ましく、より好ましくは10℃以
上150℃以下である。5℃未満では硬化が遅く、20
0℃を超えると発泡の恐れがある。温度や塗布量によっ
ても処理時間は異なるが、概ね3分から24時間の範囲
で乾燥処理することができる。
【0035】次にエナメル層の上に第三工程として、高
意匠なデザインを施すために本発明のインキ組成物を用
いて印刷を行う。印刷の方法としては、既述のように凸
版、平版、凹版、孔版等を用いることができ、どの印刷
方法を用いるかは目的に応じて選ぶことができるが、1
度の印刷で色の濃淡を表現したい場合は、凹版印刷や孔
版印刷を選ぶのがよい。また、基材が窯業系のものや、
表面が硬いものの場合は、版の寿命を考えるとグラビア
オフセット印刷法が有効である。印刷機のデザイン版
は、エッチング処理か機械彫りされた深さ1〜80μ
m、50〜200線(dot/inch)の穴によっ
て、自由な模様を表現することができる。このような印
刷機を用いることによって、基材の凸部で色を変えた
り、グラディーエション、木目、石目模様など高意匠の
デザインの印刷層を有する印刷体にすることができるも
のである。
【0036】このように印刷層を設けた後に、さらに耐
候性に優れるシリコーン系クリアー塗料をこの上に塗布
しても良いが、特に限定されるものではない。本発明
は、無機質硬化体及び金属を基材として用いて印刷する
場合に特に好適に適用されるものであり、無機質硬化体
としては次のようなものを用いることができる。すなわ
ち、無機質硬化体の原料となる水硬性を有する無機質膠
着材としては、例えば、ポルトランドセメント、高炉セ
メント、高炉スラグ、ケイ酸カルシウム、石膏等から選
ばれた一種あるいは複数種を使用できる。上記膠着材に
は、通常、無機充填材や繊維質材料等が配合されるもの
であり、無機充填材としてフライアッシュ、ミクロシリ
カ、珪砂等を、繊維質材料としてパルプ、合成繊維、ア
スベスト等の無機繊維やスチールフアイバー等の金属繊
維を、単独であるいは複数種を併せて用いることができ
る。そしてこれらを配合して調製される無機質硬化体原
料を押出成形、注形成形、抄造成形、プレス成形等の方
法にって成形した後、オートクレーブ養生、蒸気養生、
常温養生等を適宜行なうことによって、無機質硬化体を
得ることができるものである。無機質硬化体を基材とし
て用いる場合には、プライマー組成物の基材への塗装に
先立って溶剤系、水溶性あるいはエマルジョン系のシー
ラーにより目止めを行い、基材の表面の吸い込みのバラ
ツキを調整するようにしてもよい。シーラーとしては、
特に限定はされないがアクリル系やラテックス系のもの
などを使用することができる。
【0037】また金属基材としては、SUSやアルミニ
ウムのような耐錆性の高い金属、特にアルミニウム等の
非鉄金属を用いるのが好ましく、これら金属基材は上記
の塗装の前にあらかじめ脱脂を行っておくのが好まし
い。無機質硬化体や金属基材にコーティングを施すにあ
たって、コーティング層の構成は、既述したように、プ
ライマー組成物に顔料等の着色成分を添加して形成した
プライマー層の上にエナメル層を設け、この上に上記の
インキ組成物を印刷して印刷層を設け、さらにこの上に
クリヤーの無機コーティング層を設けるようにしてもよ
いが、顔料等の着色成分を含まないプライマー層の上に
顔料等の着色成分を添加した無機コーティング層を設け
るようにしてもよい。
【0038】プライマーとしては既述したものを使用す
ることができるが、プライマーに顔料を添加する場合に
は、ビヒクル固形成分100重量部に対して顔料の添加
量を60重量部未満にする事が望ましい。60重量部を
超えると密着力が低下したり、インキ塗膜の耐クラック
性が低下したりすることがある。プライマーを塗装する
にあたっては、無機質硬化体や金属基材の表面にはゴミ
や油分が付着していないことが原則である。プライマー
の塗装方法や、塗布膜厚は既述した通りである。プライ
マーの乾燥条件についても既述した通りであるが、工場
などの工程で塗装を行なう場合には、生産性を考慮する
と乾燥処理時間は3分から60分がよい。例えば熱風乾
燥機を利用した場合、設定温度が80℃、風速が垂直流
で4m/秒の場合、10分から20分で乾燥処理するこ
とができる。
【0039】次にプライマー層の上に第二工程としてエ
ナメル塗装を行うが、エナメル塗料としては、既述のよ
うに本発明のインキ組成物の増粘付与剤の量を調整して
粘度を50mpas以下に調整したものを使用すること
ができる。塗装方法は既述のようにスプレーやロール塗
装で行なうことができるが、例えば、レンガ模様やタイ
ル模様等の凹凸を設けた無機質硬化体の基材を使用する
場合、凹部と凸部を異なる色で塗装するようにしてもよ
い。凹部と凸部を塗り分けるには、例えば、まずスプレ
ーで全体を塗装し、次に凸部をロールで塗装することに
よって行なうことができる。塗装膜厚は、0.1〜10
0μm、好ましくは1〜80μm、より好ましくは1〜
50μm、更に望むらくは3〜25μmの範囲がよい。
膜厚がこのような所定値未満であれば連続した塗膜にな
らないことがあり、逆に所定値を超える膜厚であるとク
ラックや発泡の恐れがある。エナメルの乾燥条件につい
ては既述した通りであるが、工場などの工程で塗装を行
なう場合には、生産性を考慮すると乾燥処理時間は3分
から60分がよい。例えば熱風乾燥機を利用した場合、
設定温度が80℃、風速が垂直流で4m/秒の場合、1
0分から20分で乾燥処理することができる。
【0040】次にエナメル層の上に第三工程として、本
発明のインキ組成物を用いて印刷を行ない、印刷層を形
成する。印刷は既述のように凸版、平版、凹版、孔版等
を用いて行なうことができ、1度の印刷で色の濃淡を表
現したい場合は、凹版印刷や孔版印刷を選ぶのがよい。
また、無機質硬化体や金属基材は表面が硬いので版の寿
命を考えるとグラビアオフセット印刷法が有効である。
インキの乾燥条件は、5℃以上200℃以下が好まし
く、10℃以上150℃以下がより好ましい。乾燥温度
が5℃未満では硬化が遅く、逆に200℃を超えるとク
ラックや発泡のおそれがある。乾燥温度やインキの塗布
量によっても乾燥処理時間は異なるが、概ね1秒から1
時間の範囲で乾燥処理することができる。例えば、熱風
乾燥機を利用した場合は、設定温度が150℃、風速が
垂直流で4m/秒の場合には、10秒から5分で乾燥処
理することができる。
【0041】
【実施例】次に本発明を実施例によって具体的に説明す
る。尚、実施例中特に断らない限り「部」は総て「重量
部」を、「%」は総て「重量%」を表す。勿論、本発明
はこれらの実施例に限定されるものでないのはいうまで
もない。 (主剤成分1の調製)メチルトリメトキシシラン(東芝
シリコーン社製)34.09部に水0.40部を添加
し、加水分解することによってオルガノシラン溶液を調
製した。このように調製したオルガノシラン溶液を4つ
用意し、各オルガノシラン100部に対して、金属酸化
物系顔料として酸化チタン、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、
チタンイエローをそれぞれ119部ずつ添加した後、各
々に微粉末シリカ(日本アエロジル社「AEROSIL
380PE」)をそれぞれ2.5部、アルミニウムアル
コキシドとしてアルミニウムイソプロポキシド0.5部
をそれぞれ配合し、ダイノミルにて10μ以下の分散度
となるように顔料を分散させて、色の異なる4種の単色
顔料分散組成物液を得た。そしてこれら4種の単色顔料
分散組成物液を、金属酸化物系顔料として酸化チタン、
赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、チタンイエローを添加したも
のから順に4:3:1:2の重量割合で混合することに
よって、グレー色の顔料分散組成物液(主剤成分1)を
得た。
【0042】(主剤成分2の調製)メチルトリメトキシ
シラン(東芝シリコーン社製)34.09部をメタノー
ル分散コロイダルシリカゾル(日産化学工業社製「MA
−ST」)47.62部中で水0.40部を添加して加
水分解することによってオルガノシラン溶液を調製し
た。このように調製したオルガノシラン溶液を4つ用意
し、各オルガノシラン100部に対して、金属酸化物系
顔料として酸化チタン、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、チタ
ンイエローをそれぞれ119部ずつ添加した後、各々に
微粉末シリカ(日本アエロジル社「AEROSIL38
0PE」)をそれぞれ2.5部、アルミニウムアルコキ
シドとしてアルミニウムイソプロポキシド0.5部をそ
れぞれ配合し、ダイノミルにて10μ以下の分散度とな
るように顔料を分散させて、色の異なる4種の単色顔料
分散組成物液を得た。そしてこれら4種の単色顔料分散
組成物液を、金属酸化物系顔料として酸化チタン、赤色
酸化鉄、黒色酸化鉄、チタンイエローを添加したものか
ら順に4:3:1:2の重量割合で混合することによっ
て、グレー色の顔料分散組成物液(主剤成分2)を得
た。
【0043】(硬化剤成分の調製)メチルトリイソプロ
ポキシシラン220部とトルエン150部との混合液を
計り取り、1%塩酸水溶液108部をこの混合液に滴下
することによってメチルトリイソプロポキシシランを加
水分解し、二層に分離したうちの少量の塩酸を含んだ下
層の水・イソプロピルアルコールの混合液を分液し、次
に残ったトルエンの樹脂溶液の塩酸を水洗して除去し、
さらにトルエンを減圧除去した後、イソプロピルアルコ
ールで希釈することによって、硬化剤として使用する平
均分子量2000のシラノール基含有オルガノポリシロ
キサンのイソプロピルアルコール40%溶液を得た。
【0044】(実施例1〜4)上記のように調製した主
剤成分1あるいは主剤成分2と硬化剤成分とを50部:
50部の割合で混合し、触媒成分としてN−β−アミノ
エチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランを
用い、また増粘付与剤としてダウケミカル社製「エトセ
ルSTD−100」を用い、これらを表1の配合量で混
合することによって、インキ組成物を得た。
【0045】(実施例5)増粘付与剤として「エトセル
STD−100」の代わりに大日本インキ化学工業社製
「LY−805」を用いるようにした他は、上記の実施
例1と同様にして表1に示す配合量で混合することによ
って、インキ組成物を得た。 (実施例6)増粘付与剤として「エトセルSTD−10
0」の代わりに東芝シリコーン社製「TSRl16」を
用いるようにした他は、上記の実施例1と同様にして表
1に示す配合量で混合することによって、インキ組成物
を得た。
【0046】(比較例1〜2)増粘付与剤として、ダウ
ケミカル社製「エトセルSTD−100」を表2の配合
量で混合するようした他は、上記の実施例1と同様にし
てインキ組成物を得た。 (比較例3)有機系インキとして、大日精化社製グラビ
アインキ「PHH」を用いるようにした。
【0047】上記のようにして得た実施例1〜6及び比
較例1〜3のインキ組成物の25℃での粘度をB型粘度
計で測定した。結果を表1及び表2に示す。そして、上
記の実施例1〜6及び比較例1〜3のインキ組成物を用
い、印刷を行なった。すなわち、基材として無機質硬化
体である石綿スレート板を用い、まずプライマーとして
アクリルシリコーン樹脂系の「MMCプライマー」(松
下電工化研社製)を用い、膜厚が10μmになるように
塗装し、60℃のバッチ式乾燥機で5分乾燥させてプラ
イマー層を形成した。次にこの上にエナメル塗料として
シリコーン樹脂系のベージュ色エナメル塗料「MB−B
410」(松下電工化研社製)を用いて膜厚が10μm
になるように塗装し、120℃のバッチ式乾燥機で20
分乾燥させてエナメル層を形成した。この後、グラビア
オフセット印刷機(三和製機社製)を用いてエナメル層
の上にインキ組成物を印刷し、塗装品を得た。
【0048】上記のようにして得た塗装品について、グ
ラビアオフセット印刷から基材へのインキの転写性と、
転写した柄のずれを目視により観察し、完全に転写して
いるものを良好、柄のずれがないものを良好としてそれ
ぞれ評価した。また塗膜の耐候性を、サンシャインウェ
ザオメーター(JIS K 5400に準拠)で200
0時間照射した後の塗膜の状態を観察して評価した。こ
れらの結果を表1及び表2に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】表1及び表2にみられるように、粘度が低
い比較例1のインキ組成物では印刷時に柄ずれが発生
し、また粘度が高過ぎる比較例2のインキ組成物では印
刷時に版からインキが転写し難いものであったが、各実
施例のものでは柄ずれがなく、転写性も良好であった。
また有機系インキの比較例3のものでは、耐候性が悪い
が、無機系インキの各実施例のものは耐候性が良好であ
った。
【0052】(実施例7)基材の無機質硬化体として、
松下電工社製「マルチサイディング」(嵩密度1.0g
/cm3 、寸法変化率0.3%、アクリルエマルジョン
シーラー塗装セメント系板)を使用し、プライマーとし
てアクリルシリコーン樹脂系の「MMCプライマー」
(松下電工化研社製)を膜厚が10μmになるように塗
装し、60℃のバッチ式乾燥機で5分乾燥させてプライ
マー層を形成した。次にこの上にエナメル塗料としてシ
リコーン樹脂系のベージュ色エナメル塗料「MB−B4
10」(松下電工化研社製)を膜厚が10μmになるよ
うに塗装し、120℃のバッチ式乾燥機で20分乾燥さ
せてベージュ色エナメル層を形成した。この後、実施例
1のインキ組成物を用い、グラビアオフセット印刷機
(三和製機社製)でエナメル層の上から無機質硬化体の
凸部上のみにグレー色の印刷を行い、60℃の乾燥機で
30秒乾燥させた。最後にシリコーン樹脂系のクリア塗
料「MC−T555」を用いて膜厚が5μmになるよう
に塗装し、120℃のバッチ式乾燥機で20分乾燥させ
てクリア層を形成して塗装品を得た。
【0053】(実施例8)金属基材として、脱脂処理を
行ったアルミニウム板を用い、上記実施例7と同様にし
てプライマー、エナメルによる塗装を行なった後、実施
例1のインキ組成物を用い、グラビアオフセット印刷機
(三和製機社製)で金属面全面に印刷を行い、60℃の
乾燥機で30秒乾燥させて塗装品を得た。
【0054】
【発明の効果】上記のように本発明に係るインキ組成物
は、一般式がR1 n SiX4-n (式中、R1 は同一又は
異種の置換もしくは非置換の炭素数1〜8の1価炭化水
素基、nは0〜3の整数、Xは加水分解性基を示す)で
表される加水分解性オルガノシランを、X1モルに対し
て水0.001〜0.5モルを使用する条件で部分加水
分解して得られたオルガノシラン溶液と、金属酸化物系
顔料と、微粉末シリカと微粉末アルミナのうち少なくと
も一方と、平均組成式がR2 a Si(OH)b
(4-a-b)/2 (式中、R2 は同一又は異種の置換もしくは
非置換の炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、aおよ
びbはそれぞれ0.2≦a<2.0、0.0001≦b
≦3、a+b<4の関係を満たす数である)で表され
る、分子中にシラノール基を含有するポリオルガノシロ
キサンと、触媒と、増粘付与剤とを必須成分とし、50
〜200mpasの粘度を有することを特徴とするもの
であり、粘性付与剤を添加することによって優れた印刷
適性に粘度を調整することができ、耐候性に優れた無機
のオルガノシラン系のインキを得ることができるもので
ある。
【0055】そしてこのインキ組成物を用いて無機質硬
化体、金属基材、ガラス基材、プラスチック基材に印刷
を行なうことによって、多色で高意匠なデザインを有す
る塗装が可能になるものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式がR1 n SiX4-n (式中、R1
    は同一又は異種の置換もしくは非置換の炭素数1〜8の
    1価炭化水素基、nは0〜3の整数、Xは加水分解性基
    を示す)で表される加水分解性オルガノシランを、X1
    モルに対して水0.001〜0.5モルを使用する条件
    で部分加水分解して得られたオルガノシラン溶液と、金
    属酸化物系顔料と、微粉末シリカと微粉末アルミナのう
    ち少なくとも一方と、平均組成式がR2 a Si(OH)
    b (4-a-b)/2 (式中、R2 は同一又は異種の置換もし
    くは非置換の炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、a
    およびbはそれぞれ0.2≦a<2.0、0.0001
    ≦b≦3、a+b<4の関係を満たす数である)で表さ
    れる、分子中にシラノール基を含有するポリオルガノシ
    ロキサンと、触媒と、増粘付与剤とを必須成分とし、5
    0〜200mpasの粘度を有することを特徴とするイ
    ンキ組成物。
  2. 【請求項2】 無機質硬化体、金属、ガラス、プラスチ
    ックから選ばれる基材に請求項1のインキ組成物を用い
    て印刷された層を設けて成ることを特徴とする印刷体。
  3. 【請求項3】 無機質硬化体の表面にプライマー層、シ
    リコーン系のエナメル層、請求項1に記載のインキ組成
    物の印刷層を設けて成ることを特徴とする請求項2に記
    載の印刷体。
  4. 【請求項4】 金属基材の表面にプライマー層、シリコ
    ーン系のエナメル層、請求項1に記載のインキ組成物の
    印刷層を設けて成ることを特徴とする請求項2に記載の
    印刷体。
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