JP2000334373A - 無機質塗装品 - Google Patents

無機質塗装品

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JP2000334373A
JP2000334373A JP19104599A JP19104599A JP2000334373A JP 2000334373 A JP2000334373 A JP 2000334373A JP 19104599 A JP19104599 A JP 19104599A JP 19104599 A JP19104599 A JP 19104599A JP 2000334373 A JP2000334373 A JP 2000334373A
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和夫 瀬戸
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和志 平野
Okuo Kuwaguchi
億雄 鍬口
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慎一郎 三木
Yukio Shimada
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 耐候性を向上させ、かつ有機塗膜と無機質塗
膜との間の密着性を向上させる。 【解決手段】 ケイ素化合物及び/又はその部分加水分
解物を主成分とするケイ素アルコキシド系組成物もしく
は、加水分解性オルガノシランを、有機溶媒及び/又は
水に分散されたコロイド状シリカ中で部分加水分解して
なる、オルガノシランのシリカ分散オリゴマー溶液と、
分子中にシラノール基を含有するポリオルガノシロキサ
ンを必須成分として含有するケイ素アルコキシド系組成
物に微粒子酸化亜鉛が配合されている無機質コーティン
グ剤を有機エマルジョン塗料の塗布により形成された有
機塗膜の上に塗装した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、無機質塗
装品に関するものである。さらに詳しくは、この出願の
発明は、耐候性に優れているとともに、有機質の下地層
との密着性に優れた新しい無機質塗装品に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、屋根瓦や外装材、あるいは内装材
等の建築材等においては、窯業系基材や樹脂系基材等の
表面に塗料を塗布して塗装品とする場合には、塗料とし
ては一般的に有機系のものが用いられてきている。しか
しながら、有機質の塗料では、光や雨水による劣化等の
理由から耐候性や耐腐食性等の面で充分な性能が得られ
ないことから、近年では、無機質のコーティング剤を用
いることが検討されてきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような事情から、
これまでにも、各種の素材や組成物を用いた無機質コー
ティング剤が提案され、実用化もされ始めている。そし
て、これらの無機質コーティング剤の多くのものは、そ
の物自体としては耐候性や耐腐食性が比較的良好であ
る。
【0004】しかしながら、従来の無機質コーティング
剤の場合には、下地としての基材や塗膜が有機質である
場合には、無機質コーティング剤による塗膜を通じて紫
外線が作用し、有機質の下地に変質、劣化を生じさせ、
塗装品としての耐候性や寿命を損なうという問題があっ
た。このような問題に有効に対処するものとして、この
出願の発明者らは、特有なケイ素アルコキシド系組成物
に、酸化チタンや酸化亜鉛の微粉末等の紫外線吸収剤を
配合した新しい無機質コーティング剤を提案した(特開
平9−249822号公報)。
【0005】この新しい無機質コーティング剤は従来の
ものに比べて優れた耐候性を塗装品に与えるものである
ことが確認されている。だが、この出願の発明者らにと
っては、紫外線吸収剤の配合においては依然として解決
すべき課題があった。特に、基材としてセメント系無機
質板のような窯業系の基材を用いる場合にはあらかじめ
有機塗膜を形成した後に、その上に無機質コーティング
剤を塗布して無機質塗膜を配設することが好ましい場合
が少なくないが、このような下地層としての有機塗膜に
対して紫外線の作用をカットして耐候性を向上させるこ
ととともに、有機塗膜と無機質塗膜との層間の密着性を
向上させることが重要な課題になっていた。
【0006】そこで、この出願の発明は、以上のとおり
の従来技術を踏まえ、下地が有機質塗膜であっても、塗
装品全体としての耐候性に優れるとともに、しかも下地
有機塗膜との密着性にも優れた、新しい塗装品を提供す
ることを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして第1には、 一般式(R1 m Si(OR2 4-m (式中、R1 は各々メチル基、エチル基又はフェニル基
を表し、R2 は各々炭素数1〜8のアルキル基を表す。
mは0、1又は2である。)で表されるケイ素化合物及
び/又はその部分加水分解物を主成分とするケイ素アル
コキシド系組成物に微粒子酸化亜鉛が配合されている無
機質コーティング剤を有機エマルジョン塗料の塗布によ
り形成された有機塗膜の上に塗装してなることを特徴と
する無機質塗装品を提供する。
【0008】また、第2には、(a)一般式 (R3
n SiX4-n (式中、R3 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
の1価の炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表す。
nは0〜3の整数である。)で表される加水分解性オル
ガノシランを、有機溶媒及び/又は水に分散されたコロ
イド状シリカ中で部分加水分解してなる、オルガノシラ
ンのシリカ分散オリゴマー溶液と、 (b)平均組成式 (R4 d Si(OH)e
(4-d-e)/2 (式中、R4 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
の1価の炭化水素基を表し、dおよびeはそれぞれ0.
2≦d≦2.0、0.0001≦e≦3、d+e<4の
関係を満たす数である。)で表される、分子中にシラノ
ール基を含有するポリオルガノシロキサンと、(c)硬
化触媒の、(a)、(b)、(c)の3成分を必須成分
として含有するケイ素アルコキシド系組成物に微粒子酸
化亜鉛が配合されている無機質コーティング剤を、有機
エマルジョン塗料の塗布により形成された有機塗膜の上
に塗装してなることを特徴とする無機質塗装品を提供す
る。
【0009】そして、第3には、該有機エマルジョンが
メチルメタクリレートおよびブチルアクリレートを樹脂
主成分とするアクリルエマルジョン塗料である無機質塗
装品を提供する。さらに、第4には、一般式 (R3
n SiX4-n (式中、R3 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
の1価の炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表す。
nは0〜3の整数である。)で表される加水分解性オル
ガノシランに、微粒子酸化亜鉛を分散して得られるペー
ストを、ケイ素アルコキシド系組成物に混合して無機質
コーティング剤とし、有機エマルジョン塗料の塗布によ
り形成された有機塗膜の上に塗装してなることを特徴と
する請求項1または2の無機質塗装品を提供する。
【0010】または、第5には、一般式 (R3 n
iX4-n (式中、R3 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
の1価の炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表す。
nは0〜3の整数である。)で表される加水分解性オル
ガノシランを部分加水分解して調製したオリゴマー溶液
に、微粒子酸化亜鉛を分散して得られるペーストを、ケ
イ素アルコキシド系組成物に混合して無機質コーティン
グ剤とし、有機エマルジョン塗料の塗布により形成され
た有機塗膜の上に塗装してなることを特徴とする請求項
1または2の無機質塗装品を提供する。
【0011】さらに、この出願の発明は第6には、微粒
子酸化亜鉛は、1次粒径が0.01〜0.5μmであっ
て、無機質コーティング剤の樹脂固形分に対して1〜3
0重量%の範囲で配合されている前記第1ないし第3の
いずれかの無機質塗装品を提供する。また第7には、有
機エマルジョン塗料による塗膜のゲル分率が30%以下
であることを特徴とする前記塗装品を、第8には、有機
エマルジョン塗料による塗膜のTg(ガラス転移温度)
が50℃以下であることを特徴とする前記いずれかの塗
装品を、そして、第9には、有機エマルジョン塗料によ
る塗膜と上塗りの無機質コーティング剤との接触角が4
0度以下であることを特徴とする前記いずれかの塗装品
をも提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】この出願の発明は以上のとおりの
特徴を有するものであるが、以下にその実施の形態につ
いて説明する。 <1>無機質コーティング剤 この出願の発明においては、前記第1および第2の無機
質塗装品のいずれの無機質コーティング剤においてもケ
イ素アルコキシド系組成物は、この出願の発明者らがす
でに提案している特開平9−249822号公報記載の
ものと同様のものである。ただ、酸化亜鉛の微粒子を配
合したものを、特有の有機塗膜を下層とする場合に適用
することは、この発明によって初めて創案されたことで
ある。
【0013】まず、第1の無機質塗装品を形成するため
の無機質コーティング剤において、これを構成するケイ
素アルコキシド系組成物(以下、(A)とする)につい
て説明する。このケイ素アルコキシド系組成物(A)
は、一般式 (R1 m Si(OR2 4-m …(I) (式中、R1 は各々メチル基、エチル基又はフェニル基
を表し、R2 は各々炭素数1〜8のアルキル基を表す。
mは0、1又は2である。)で表されるケイ素化合物と
その部分加水分解物のうち少なくとも一方を主成分とす
るたとえば次の(i)、(ii)、(iii)の化合物を主成
分とする混合物を適当な溶剤で希釈し、硬化剤及び触媒
を必要量添加して加水分解及び縮重合させて得ることが
できる。重量平均分子量Mwがポリスチレン換算で50
0〜3000で、且つ分子量分布Mw/Mn(Mnは数
平均分子量)が1.1〜3.0であるものが望ましい。
より好ましくはMw=600〜3000で且つMw/M
n=1.2〜1.8である。重量平均分子量及び分子量
分布がこの範囲より小さいときには、縮重合の際の硬化
収縮が大きくなり、焼き付け後に塗膜にクラックが発生
し易くなる傾向がある。また、重量平均分子量及び分子
量分布がこの範囲より大きいときには、反応が遅過ぎて
硬化し難いか、硬化しても柔らかい塗膜になったり、塗
膜のレベリング性が非常に悪いものになったりする傾向
がある。 (i):一般式(I)においてm=0で示されるケイ素
化合物及びコロイド状シリカ20〜200重量部 (ii):一般式(I)においてm=1で示されるケイ素
化合物100重量部 (iii):一般式(I)においてm=2で示されるケイ素
化合物0〜80重量部 これらのケイ素化合物としては後述の、第2の無機質コ
ーティング剤にも用いられる(I)式におけるアルコキ
シシラン類を用いることができる。また成分(i)のコ
ロイド状シリカ(コロイダルシリカ)は微粒子シリカ成
分を水、メタノール等の有機溶剤またはこれらの混合溶
剤中に分散して使用するが、それらがコロイド状である
限り、その粒径や溶剤種等は特に制限されるものではな
い。尚、成分(i)のコロイド状シリカの配合量は分散
媒も含む重量部である。
【0014】ケイ素アルコキシド系組成物(A)に必要
に応じて用いられる前記の硬化剤としては、特に限定さ
れるものではないが、例えば、塩酸、リン酸、硫酸等の
無機酸や、蟻酸、酢酸、クロロ酢酸等の有機酸の希薄溶
液等の酸性触媒、あるいは後述する塩基性触媒を単独で
又は2種以上を併用して使用することができる。また前
記成分(i)としてコロイド状シリカを用いる場合は、
コロイド状シリカが酸性を示すのでこれが触媒となり、
酸性触媒として何も入れなくともよい。
【0015】ケイ素アルコキシド系組成物(A)に必要
に応じて用いられる前記の触媒としては塩基性触媒が使
用される。この塩基性触媒としては、特に限定されるも
のではないが、たとえばトリエタノールアミン等のアミ
ン類;γーアミノプロピルトリエトキシシラン、N−
(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメ
トキシシラン等のアミノシラン類;無機酸(たとえば塩
酸、硝酸、リン酸等)又は有機酸(たとえば蟻酸、酢
酸、プロピオン酸等)のアンモニア、トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン、n−ブチルアミン等の塩、ある
いは無機酸又は有機酸の塩と第4級アンモニウム塩との
複分解塩等を例示することができる。これらの種類や添
加量については何等限定されない。
【0016】ケイ素アルコキシド系組成物(A)には前
記の成分の他に、必要に応じて、コロイド状シリカ以外
の充填剤(たとえばアルミナゾル、ヒュームドシリカ等
の無機充填剤)、着色剤、希釈溶剤、増粘剤、界面活性
剤等の種々の添加剤を1種以上配合することができる。
この希釈溶剤としては特に限定されないが、たとえばメ
タノール、エタノール、イソプロパノール(IPA)等
のアルコール類;エチレングリコール、メチルセロソル
ブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソル
ブ類などを挙げることができ、これらを1種あるいは2
種以上を併せて使用することができる。
【0017】ケイ素アルコキシド系組成物(A)は、そ
のpH値を3.8〜6.0に調整することによって前記
の分子量の範囲内で安定して使用することができる。p
H値がこの範囲外にあると、ケイ素アルコキシド系組成
物(A)は安定性が悪くなり、コーティング剤を調製し
た後の使用できる期間が限られることがある。ここで、
pH値調整方法は特に制限されないが、たとえばケイ素
アルコキシド系組成物(A)の原料混合時にpH値が
3.8未満となった場合は、アンモニア等の塩基性試薬
を用いて前記所定範囲内のpH値に調整すればよく、p
H値が6.0を超えた場合は、塩酸等の酸性試薬を用い
て前記所定範囲内に調整すればよい。またpH値によっ
ては、分子量が小さいまま逆に反応が進まず、前記の分
子量範囲に到達さるのに時間がかかる場合は、ケイ素ア
ルコキシド系組成物(A)を加熱して反応を促進させる
ようにしてもよく、酸性試薬でpH値を下げて反応を進
めた後、塩基性試薬で所定のpH値に戻すようにしても
よい。
【0018】上記のようにpH値を調整した場合、また
は調整しない場合でも、使用に至るまでの間、または少
なくとも使用時に、ケイ素アルコキシド系組成物(A)
に塩基性触媒を添加すれば縮合反応を促進し、塗膜中の
架橋点を増やすことができるので、安定して耐クラック
性の良い塗膜を得ることができるものである。また、架
橋反応を促進することによって、硬化時間を短縮し、あ
るいは硬化温度を下げることができるために、経済的で
ある。
【0019】次に、第2の無機質コーティング剤に用い
られるケイ素アルコキシド系組成物(以下、(B)とす
る)について説明する。このケイ素アルコキシド系組成
物(B)は、 (a)一般式 (R3 n SiX4-n ………(II) (式中、R3 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
の1価の炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表す。
nは0〜3の整数である。)で表される加水分解性オル
ガノシランを、有機溶媒と水のうち少なくとも一方に分
散されたコロイド状シリカ中で、X1モルに対し0.0
01〜0.5モルを使用する条件下で部分加水分解して
得られるオルガノシランのシリカ分散オリゴマー溶液
と、 (b)平均組成式 (R4 d Si(OH)e (4-d-e)/2 ……(III) (式中、R4 は各々同一又は異種の置換もしくは非置換
の炭素数1〜8の1価の炭化水素基を表し、(R4 中の
5〜50重量%がフェニル基であることが好ましい)、
dおよびeはそれぞれ0.2≦d≦2.0、0.000
1≦e≦3、d+e<4の関係を満たす数である。)で
表される、分子中にシラノール基を含有するポリオルガ
ノシロキサンと、(c)硬化触媒の、(a)、(b)、
(c)の3成分を必須成分として含有するものであり、
(a)成分においてシリカを固形分として5〜95重量
%含有し、かつ加水分解性オルガノシランの少なくとも
50モル%がn=1のオルガノシランであり、(a)成
分1〜99重量部に対して(b)を99〜1重量部(両
者の合計量を100重量部とする)配合するのが好まし
い。
【0020】ケイ素アルコキシド系組成物(B)に用い
られる(a)成分のシリカ分散オリゴマーは、被膜形成
に際して硬化反応に預かる官能性基としての加水分解性
基Xを有するベースポリマーの主成分である。これは、
有機溶媒あるいは水、もしくはこれらの混合溶液に分散
したコロイド状シリカに、前記一般式(II)式で表され
る加水分解性オルガノシランの1種又は2種以上を加
え、コロイド状シリカ中の水あるいは別途添加された水
により加水分解性オルガノシランを部分加水分解するこ
とで得られる。
【0021】前記一般式(II)で表される加水分解性オ
ルガノシラン中のR3 としては、炭素数1〜8の置換又
は非置換の1価の炭化水素基、たとえばメチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ベンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基などのアルキル基;シクロ
ペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル
基;2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基な
どのアラルキル基;フェニル基、トリル基などのアリー
ル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;クロロ
メチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,3−トリフ
ルオロプロピル基などのハロゲン置換炭化水素基;γ−
メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル
基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−メ
ルカプトプロピル基などの置換炭化水素基等を例示する
ことができる。これらの中でも合成の容易さ、あるいは
入手の容易さから炭素数1〜4のアルキル基及び、フェ
ニル基が好ましい。
【0022】前記一般式(II)中の加水分解性基Xとし
ては、アルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基、エノ
キシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基などが挙げ
られる。これらの中でも入手の容易さ及びシリカ分散オ
リゴマー溶液(a)を調製し易いことからアルコキシ基
が好ましい。このような加水分解性オルガノシランとし
ては、上記一般式(II)中のnが0〜3の整数である、
モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−の各官能性のアルコキ
シシラン類、アセトキシシラン類、オキシムシラン類、
エノキシシラン類、アミノシラン類、アミノキシシラン
類、アミドシラン類などが挙げられる。これらの中でも
入手の容易さ及びシリカ分散オリゴマー溶液(a)を調
製し易いことからアルコキシシラン類が好ましい。
【0023】一般にシランカップリング剤とよばれるオ
ルガノシラン化合物もアルコキシシラン類として用いる
ことができる。これらの一般式(II)の加水分解性オル
ガノシランのうち、50モル%以上がn=1で表される
3官能性のものであることが好ましい。より好ましくは
60モル%以上であり、最も好ましくは70モル%以上
である。n=1の3官能性のものが50モル%未満で
は、十分な塗膜硬度を得ることが難しいと共に、乾燥硬
化性が劣り易くなるものである。
【0024】(a)成分で使用するコロイド状シリカと
しては、水分散性あるいはアルコールなどの非水系の有
機溶媒分散性コロイド状シリカを使用することができ、
前述のケイ素アルコキシド系組成物(A)に用いられる
コロイド状シリカと同様のものを使用することができ
る。一般にこのようなコロイド状シリカは固形分として
のシリカを20〜50重量%含有しており、この値から
シリカ配合量を決定できる。
【0025】水分散性コロイド状シリカを使用する場
合、固形分以外の成分として存在する水は(a)成分の
加水分解に用いることができる。水分散性コロイド状シ
リカは通常水ガラスから作られるが、このようなコロイ
ド状シリカは市販品を容易に入手することができる。ま
た有機溶媒分散性のコロイド状シリカは、前記水分散性
コロイド状シリカの水を有機溶媒と置換することで容易
に調製することができる。このような有機溶媒分散性コ
ロイド状シリカも水分散性コロイド状シリカと同様に市
販品を容易に入手することができる。
【0026】(a)成分中のコロイド状シリカは、ケイ
素アルコキシド系組成物(B)の硬化被膜の硬度を高く
するために必須のものである。(a)成分中においてコ
ロイド状シリカは、シリカ固形分として5〜95重量%
の範囲で含有されるのが好ましい。より好ましくは10
〜90重量%、最も好ましくは20〜85重量%の範囲
である。含有量が5重量%未満であると所望の被膜硬度
が得られず、また95重量%を超えるとシリカの均一分
散が困難となり、(a)成分にゲル化等の不都合を招来
するおそれがある。
【0027】(a)成分のオルガノシランのシリカ分散
オリゴマーは、通常、一般式(II)の加水分解性オルガ
ノシランを水分解性コロイド状シリカまたは有機溶媒分
散性コロイド状シリカの少なくとも一方の中で部分加水
分解して得ることができる。加水分解性オルガノシラン
に対する水の使用量は、加水分解性基X1モルに対して
水0.001〜0.5モルが好ましい。水の使用量が
0.001モル未満であると充分な部分加水分解物を得
ることができず、また水の使用量が0.5モルを超える
と部分加水分解物の安定性が悪くなるおそれがある。部
分加水分解する方法は特に限定されないものであり、加
水分解性オルガノシランとコロイド状シリカとを混合し
て必要量の水を添加配合すればよく、このとき部分加水
分解反応は常温で進行するが、部分加水分解反応を促進
させるために60〜100℃に加温するようにしてもよ
い。さらに部分加水分解反応を促進させる目的で、塩
酸、酢酸、ハロゲン化シラン、クロロ酢酸、クエン酸、
安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻酸、プロピオン酸、グ
ルタル酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、トル
エンスルホン酸、シュウ酸などの無機酸や有機酸を触媒
として用いてもよい。
【0028】(a)成分のオルガノシランのシリカ分散
オリゴマーは、長期的に安定した性能を得るために、液
のpH値を2.0〜7.0の範囲に、より好ましくはp
H2.5〜6.5の範囲に、さらにより好ましくはpH
3.0〜6.0の範囲に調整するのがよい。pH値がこ
の範囲外であると、特に水の使用量がX1モルに対し
0.3モル以上のときに(a)成分の長期的な性能低下
が著しくなることがある。(a)成分のpH値がこの範
囲外にあれば、この範囲より酸性側のときにはアンモニ
ア、エチレンジアミン等の塩基性試薬を添加してpH値
を調整すればよく、この範囲より塩基性側のときには塩
酸、硝酸、酢酸等の酸性試薬を用いてpH値を調整すれ
ばよい。この調整の方法は特に限定されるものではな
い。
【0029】ケイ素アルコキシド系組成物(B)で用い
る(b)成分のシラノール基含有ポリオルガノシロキサ
ンは、平均組成式が上記(III)式で表されるものであ
り、(III)式中のR4 としては、上記(II)式中のR3
と同じものを例示することができるが、R4 中の5〜5
0重量%はフェニル基である。フェニル基が5重量%未
満では塗膜の伸びが低下しクラックが発生し易くなり、
50重量%を超えると硬化が遅くなり過ぎてしまうおそ
れがある。この他のR4 は好ましくは炭素数1〜4のア
ルキル基、ビニル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ
−メタクリロキシプロピル基、γ−アミノプロピル基、
3,3,3−トリフルオロプロピル基などの置換炭化水
素基、より好ましくはメチル基およびエチル基のアルキ
ル基である。また(III)式中、d及びeはそれぞれ0.
2≦d≦2.0、0.0001≦e≦3、d+e<4の
関係を満たす数であり、dが0.2未満又はeが3を超
えると、硬化被膜にクラックを生じるなどの不都合があ
り、またdが2を超え4以下の場合又はeが0.000
1未満であると、硬化がうまく進行しないものである。
【0030】このような(III)式のシラノール基含有ポ
リオルガノシロキサンは、たとえば、メチルトリクロロ
シラン、ジメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロ
シラン、ジフェニルジクロロシラン、もしくはこれらに
対応するアルコキシシランの1種もしくは2種以上の混
合物を公知の方法により大量の水で加水分解することに
よって得ることができる。シラノール基含有ポリオルガ
ノシロキサンを得るために、アルコキシシランを用いて
公知の方法で加水分解した場合、加水分解されないアル
コキシ基が微量に残ることがある。つまりシラノール基
と極微量のアルコキシ基が共存するようなポリオルガノ
シロキサンが得られることがあるが、このようなポリオ
ルガノシロキサンを用いても差支えない。
【0031】またこのような(b)成分のシラノール基
含有ポリオルガノシロキサンの分子量は700〜200
00が好ましい。ここでいう分子量は、GPC(ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィー)測定による標準ポ
リスチレン換算による重量平均分子量であり、700未
満の場合、形成された塗膜の硬化性が遅く、またクラッ
クが発生し易くなり、20000を超える場合、顔料を
添加されたケイ素アルコキシド系組成物(B)から形成
された塗膜に光沢がなく、また平滑性も悪くなるおそれ
がある。
【0032】ケイ素アルコキシド系組成物(B)で用い
る(c)成分の硬化触媒は、上記の(a)成分と(b)
成分との縮合反応を促進し、被膜を硬化させるものであ
る。このような触媒としては、アルキルチタン酸塩、オ
クチル酸錫およびジブチル錫ジラウレート、ジオクチル
錫ジマレート等のカルボン酸の金属塩;ジブチルアミン
−2−ヘキソエート、ジメチルアミンアセテート、エタ
ノールアミンアセテート等のアミン塩;酢酸テトラメチ
ルアンモニウム等のカルボン酸第4級アンモニウム塩;
テトラエチルペンタミン等のアミン類;N−β−アミノ
エチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−
β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキ
シシラン等のアミン系シランカップリング剤;p−トル
エンスルホン酸、フタル酸、塩酸等の酸類;アルミニウ
ムアルコキシド、アルミニウムキレート等のアルミニウ
ム化合物、水酸化カリウムなどのアルカリ触媒、テトラ
イソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、チ
タニウムテトラアセチルアセトネート等のチタニウム化
合物、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラ
ン、トリメチルモノクロロシラン等のハロゲン化シラン
等があるが、これらの他にも(a)成分と(b)成分と
の縮合反応に有効なものであれば特に制限されない。
【0033】(a)成分と(b)成分の配合割合は、
(a)成分1〜99重量部に対して(b)成分99〜1
重量部であり、好ましくは(a)成分5〜95重量部に
対して(b)成分95〜5重量部、より好ましくは
(a)成分10〜90重量部に対して(b)成分90〜
10重量部である(但し、(a)成分と(b)成分の合
計量100重量部)。(a)成分が1重量部未満である
と常温硬化性に劣ると共に十分な被膜硬度が得られな
い。逆に(a)成分が99重量部を超えると硬化性が不
安定で且つ良好な被膜が得られないおそれがある。
【0034】また(c)成分の硬化触媒の添加量は、
(a)成分と(b)成分の合計100重量部に対して
0.0001〜10重量部であることが好ましい。より
好ましくは0.0005〜8重量部であり、最も好まし
くは0.0007〜5重量部である。硬化触媒(c)の
添加量が0.0001重量部未満であると常温で硬化し
ない場合があり、また硬化触媒(c)の添加量が10重
量部を超えると被膜の耐熱性や耐候性が悪くなる場合が
ある。
【0035】上記のように調製されるケイ素アルコキシ
ド系組成物(A)あるいは(B)には顔料やフィラーを
添加してもよい。添加する顔料種としては、カーボンブ
ラック、キナクリドン、ナフトールレッド、シアニンブ
ルー、シアニングリーン、ハンザイエロー等の有機顔料
や、酸化チタン、硫酸バリウム、ベンガラ、炭酸カルシ
ウム、アルミナ、酸化鉄赤、複合金属酸化物等の無機顔
料がよく、これらの群から選ばれる1種もしくは2種以
上を組み合わせて使用することができる。なかでも、耐
候性を向上させるには無機顔料が好ましい。またフィラ
ーとしてはシリカ粉や硫酸バリウム等を用いることがで
きるものであり、上記に列挙する群から選ばれる1種も
しくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
顔料やフィラーの粒径は特に限定されないが、平均粒径
で0.01〜4μm程度が好ましい。
【0036】顔料の添加量は顔料の種類により隠蔽性が
異なるので特に限定されないが、無機顔料の場合、樹脂
固形分100重量部に対して15〜80重量部の範囲が
好ましい。15重量部未満の場合は隠蔽性を十分に得る
ことができず、また80重量部を超えると塗膜の平滑性
が悪くなるおそれがある。顔料の分散は通常の方法でお
こなうことができ、またその際に分散剤、分散助剤、増
粘剤、カップリング剤等を使用することが可能である。
【0037】そして、この出願の発明においては、上記
のケイ素アルコキシド系組成物(A)または(B)に、
微粒子酸化亜鉛が配合されることによって、前記第1ま
たは第2の無機質コーティング剤が構成されることにな
る。配合される微粒子酸化亜鉛は、紫外線による作用を
防御するのに欠かせないものである。
【0038】微粒子酸化亜鉛は、無機質コーティング剤
において、その粒径が、1次粒径(凝集していない粒
子)で0.01〜0.5μmのものとして配合されるよ
うにするのが望ましい。そして、その配合割合について
は、ケイ素アルコキシド系組成物の固形分に対する重量
比として、一般的には1重量%以上30重量%以下とす
るのが適当である。より好ましくは5重量%以上20重
量%以下である。一般的に、たとえば無機質コーティン
グ剤の塗布量を10g/m2 程度とした場合、1重量%
未満の配合では充分な紫外線カットの効果を得ることは
難しく、一方、30重量%を超える場合には、透明な無
機質コーティング塗膜の光沢が失われる傾向にあり、ま
た、強度等の性能も低下するため適当ではない。
【0039】微粒子酸化亜鉛の配合が均一分散として行
われるようにするには、あらかじめ微粒子酸化亜鉛のペ
ーストを用意し、このものを前記のケイ素アルコキシド
系組成物に混合することが有効でもある。すなわち、前
記ケイ素系アルコキシド系組成物(B)の(a)成分の
オルガノシランのシリカ分散オリゴマー溶液に用いる一
般式(R3 n SiX4-n で表される加水分解性オルガ
ノシランには微粒子酸化亜鉛を容易に分散させることが
でき、この分散液は長期貯蔵安定性にも優れていること
が、発明者らによって見いだされている。そこでこの加
水分解性オルガノシランに酸化亜鉛を添加して分散させ
たペースト状態で使用することが有効となる。加水分解
性オルガノシランに微粒子酸化亜鉛を直接添加する他
に、(R3 n SiX4-n の加水分解性オルガノシラン
を部分加水分解して調製した(a)のオルガノシランの
シリカ分散オリゴマー溶液に微粒子酸化亜鉛を添加して
分散させるようにしてもよく、加水分解性オルガノシラ
ンを部分加水分解して調製したシリカ分散オリゴマー溶
液を用いたペーストの法がより長期貯蔵安定性がよい。
一方、モノマー溶液を用いたペーストは、その調製工程
が短い点が有利である。いずれの系を用いるかは、必要
に応じて選択できる。
【0040】微粒子酸化亜鉛を分散させたこのシリカ分
散オリゴマー溶液をケイ素アルコキシド系組成物(A)
あるいは(B)に添加することによって、この発明の無
機質コーティング剤を調製することができる。無機系コ
ーティング剤と同じ材料で分散し、表面処理すること
で、コーティング液中でも分散安定性が得られ、かつ硬
化した膜中でも均質に分散する。
【0041】上記の分散はサンドミルやボールミル、ペ
イントシェーカーなど一般的な混合装置を用いておこな
うことができる。またこの際に耐候性が落ちないレベル
で添加助剤やフィラーを添加してもよい。また、この発
明の無機質コーティング剤には、さらに所望により従来
より知られている有機系あるいは無機系の紫外線吸収剤
を添加してもよい。
【0042】紫外線吸収剤としては、2(2′ヒドロキ
シ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベン
ゾトリアゾール系化合物や、2,4−ジヒドロキシベン
ゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物などの有機系紫
外線吸収剤や、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、酸
化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄などの無機系紫
外線吸収剤を用いることができるものであり、有機系紫
外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤とを併用することもで
きる。<2>塗装品上記のとおりの、ケイ素アルコキシ
ド系組成物(A)あるいは(B)に微粒子酸化亜鉛を配
合して調製されるこの発明のコーティング剤は、通常の
塗布方法で塗装をおこなうことができる。たとえば刷毛
塗り、スプレー、浸漬、フロー、ロール、カーテン、ナ
イフコート等の各種の塗布方法を採用することができ
る。また有機溶媒で希釈して使用することもでき、希釈
割合は特に制限はなく必要に応じて希釈割合を決定すれ
ばよい。塗布被膜の厚みは特に制限されないものであ
り、0.1〜100μm程度であればよいが、塗膜が長
期的に安定して密着し、クラックやハガレが発生しない
ようにするためには1〜80μmの範囲が好ましい。な
お、焼き付けは、ケイ素アルコキシド系組成物(A)を
用いた無機質コーティング剤の場合で50〜250℃、
ケイ素アルコキシド系組成物(B)を用いた無機質コー
ティング剤の場合で5〜250℃程度が好ましい。さら
に限定しないが、必要であればプライマー層を下地に設
けてもよい。
【0043】そして、この発明の無機質コーティング剤
を塗布することにより得られるこの発明の塗装品におい
ては、下地としては、前記のとおり、有機エマルジョン
塗料による有機質の塗膜である。図1は、このような塗
装品の構成例を示したものである。図1(a)は窯業系
など無機質の基材(1)の表面に有機エマルジョン塗料
による有機塗膜(2)を設け、この上にこの発明の前記
無機質コーティング剤を塗装して無機質塗膜(3)を設
けた塗装品を示すものであり、図1(b)はポリカーボ
ネートなど合成樹脂の有機質の基材(1)の表面にアク
リルエマルジョン塗料などの有機エマルジョンによる有
機塗膜(2)を設け、この上に、無機質コーティング剤
を塗装して無機質塗膜(3)を設けた塗装品を示すもの
である。無機質塗膜(3)はその下の有機塗膜(2)の
上に塗膜として形成されることになる。
【0044】このように有機質の層の上に無機質コーテ
ィング剤による無機質塗膜(3)を設けて作製される塗
装品にあっては、無機質コーティング剤による無機質塗
膜(3)は耐候性等が優れているのは勿論であるが、無
機質コーティング剤には、微粒子酸化亜鉛が配合してあ
るので、紫外線は無機質塗膜(3)においてカットさ
れ、無機質塗膜(3)の下の有機質の層に紫外線が作用
することを防ぐことができ、有機質の層が耐候性の低い
材質であっても紫外線劣化することを防いで、塗装品の
耐候性を高めることができるものである。
【0045】無機質コーティング剤の塗装を行なう基材
は各種のものであってよい。この発明の無機質コーティ
ング剤を塗装することによって上記のように塗装品の耐
候性を高めることができるので、窯業系基材の外装材、
金属系基材の外装材、樹脂系基材の外装材から選ばれる
外装材のように、屋外で使用され耐候性を特に高く要求
される外装材の基材に塗装するのが好適である。このよ
うな基材としては無機質のものであっても、有機質のも
のであっても、いずれでもよい。窯業系基材の外装材
は、瓦や外壁材等の用途に使用されるものである。窯業
系基材は、無機質硬化体の原料となる水硬性膠着材に無
機充填剤、繊維質材料等を配合し、成形した後に養生硬
化させて作製されるものであり、水硬性膠着材として
は、特に限定されるものではないが、たとえばポルトラ
ンドセメント、高炉セメント、高炉スラグ、ケイ酸カル
シウム、石膏等から選ばれたものの一種あるいは複数種
を用いることができる。また無機充填剤としてはフライ
アッシュ、ミクロシリカ、珪砂等を、繊維質材料として
はパルプ、合成繊維、アスベスト等の無機繊維や、スチ
ールファイバー等の金属繊維を、それぞれ単独であるい
は複数種併せて用いることができる。成形は押出成形や
注型成形、抄造成形、プレス成形等の方法により行なう
ことができ、成形の後、必要に応じてオートクレーブ養
生、蒸気養生、常温養生を行なって、外装材として使用
される窯業系基材を作製することができる。
【0046】そして、この発明においては、下地として
の有機層に対しての無機質コーティング剤による塗膜密
着性の向上のための手段として、前記の第7〜9の発明
の技術手段が提供される。すなわち、この発明の無機質
コーティング剤は、有機質の層の表面に対して塗装され
る。そしてこの場合の有機質の層は、有機エマルジョン
塗料による塗膜であり、例えばエポキシエマルジョン、
ウレタンエマルジョン、フッ素エマルジョン、アクリル
エマルジョン、アクリルシリコーンエマルジョンなどが
ある。アクリルエマルジョン塗料の場合は、メチルメタ
クリレート(MMA)およびブチルアクリレート(B
A)を樹脂主成分としていることが好ましい。
【0047】また、有機エマルジョン塗料による塗膜
は、少なくとも次のいずれかの要件を具備していること
である。 塗膜の有機溶剤に対するゲル分率が30%以下であ
ること。 塗膜のTg(ガラス転移温度)が50℃以下である
こと。 上塗りの無機質コーティング剤との接触角が40度
以下であること。
【0048】以上のとおりの有機塗膜を形成し、その表
面にこの発明の前記のとおりの無機質コーティング剤の
塗装を施した塗装品の場合には、耐候性とともに無機質
コーティング剤による塗膜密着性も極めて優れたものと
なる。前記のように有機溶剤に対する塗膜のゲル分率
を低いものとすることは、塗膜が有機溶剤におかされや
すいものとすることを意味している。つまり、ここでの
ゲル分率は、耐溶剤性の指標としてあり、たとえば具体
的には、塗膜のゲル分率は、塗布後に乾燥(120℃、
4分間)した塗膜をアセトンに5時間浸漬した後の残存
した重量割合として示されるものである。
【0049】有機塗膜と無機質塗膜との構成において有
機塗膜のゲル分率、すなわち耐溶剤性が低いことは、上
塗りの無機質コーティング剤中の有機溶剤が有機塗膜と
の界面で有機塗膜を膨潤溶解させ、有機塗膜と無機質塗
膜との間が融着して強固な物理的密着が得られ、経時的
変化にも強い状況となることを意味している。この発明
においては、以上のような有機塗膜のゲル分率は、30
%以下となるようにしている。より好ましくは、0%、
あるいはその近似の値となるようにすることで、前記の
無機質コーティング剤による無機質塗膜の強い密着性を
得るようにしている。
【0050】有機溶剤に対するゲル分率を低くすること
は、前記有機エマルジョン塗料における樹脂成分の選択
や、組成とその割合の調整によって可能とされる。例え
ば分子量がほぼ同レベルに調製されたアクリルエマルジ
ョン塗料では、メチルメタクリレート(MMA)とブチ
ルアクリレート(BA)とを樹脂主成分、すなわち樹脂
成分のうちの50重量%以上を占めるようにするが、こ
の主成分の割合と、メチルメタクリレート(MMA)と
ブチルアクリレート(BA)との相互の割合の調整が行
なわれるようにする。前記のゲル分率を低くするために
は、一般的には主成分としてのメチルメタクリレート
(MMA)とブチルアクリレート(BA)の割合を、重
量比としてMMA/BA=1〜2とすることが適当であ
り、より好ましくはMMA/BA=1.1〜1.6とす
ることが考慮される。メチルメタクリレート(MMA)
の割合が重量比で3を超える場合にはゲル分率の30%
以下への低下は期待できず、実質的な密着性の向上の効
果は得られない。一方、重量比が1未満となる場合に
は、逆に塗装品としての塗膜の強度、耐久性等が充分な
ものとならない傾向にある。
【0051】重量比MMA/BA=1.1〜1.6の範
囲においては、ゲル分率が実質的に0になり、優れた密
着性が得られることになる。また樹脂主成分としてのメ
チルメタクリレート(MMA)とブチルアクリレート
(BA)の樹脂成分全体に占める割合は60重量%以上
とするのが適当である。他成分としてのアクリレート、
あるいはメタクリレート等の配合が可能とされる。
【0052】Tgを50℃以下の低いレベルにすること
により、塗膜が軟化して無機質塗膜との界面が融着状態
となりやすくし、結果的に物理的に強固な密着性を有す
る塗装品が得られるものとする。
【0053】そしてまた、この発明の場合には、有機エ
マルジョン塗料による塗膜の上塗り無機質コーティング
剤による塗膜に対する接触角を40℃以下と小さくする
ことによっても有機質層としての塗膜と無機質塗膜との
間の密着性を向上させることができる。無機質塗膜に対
する接触角が小さいということは、濡れ性が良いこと、
すなわち、有機塗膜に対して無機質コーティング剤を均
一に塗布することができ、しかも有機塗膜中の水抜け等
により生成したポアー(細孔)等にも無機質コーティン
グ剤が侵入し、アンカリング効果が得られて安定化し、
密着性が良好となることを意味している。
【0054】このように接触角を小さくするためには、
前記と同様に有機エマルジョン塗料の組成を調整すると
ともに、シリコーン成分の配合が効果的でもある。
【0055】接触角を小さなものとするためシリコーン
成分を有機エマルジョン、特にアクリルエマルジョン塗
料に配合する場合には、その割合は、全樹脂成分のうち
の割合として、5重量%以上20重量%以下とするのが
適当である。5重量%未満の場合には実質的な効果が得
られないし、一方20重量%を超えると耐水性の面でも
性能は低下してくる。
【0056】エマルジョンには乳化剤、分散剤が適宜に
配合される。低分子乳化剤、そして反応型乳化剤が好ま
しくは使用される。ただ塗膜密着性の観点からはフリー
ソープとして密着不良の要因となる低分子乳化剤の使用
を抑えるのが望ましいことから、低分子乳化剤は50%
未満、反応型乳化剤50%以上の割合とするのが望まし
い。
【0057】また、エマルジョンには顔料をはじめ、鉱
物油系の消泡剤や、造粘剤、パラフィン系等の撥水剤等
を適宜に配合することができる。樹脂成分以外のものの
配合については、エマルジョン全体について5重量%以
下の割合となるようにするのが好ましい。有機エマルジ
ョン塗料により有機塗膜を形成し、その上に無機質コー
ティング剤を塗布することにより得られるこの発明の塗
装品においては、無機質コーティング剤に配合されてい
る微粒子酸化亜鉛によって、有機塗膜に対する紫外線の
作用を遮断し、塗膜としての耐候性を優れたものとする
とともに、有機塗膜とその上の無機質塗膜との密着性を
も優れたものとする。耐久性に優れ、寿命の長い塗装品
が提供されることになる。
【0058】さらに有機塗膜には、顔料やフィラーを添
加してもよく、添加する顔料としては、カーボンブラッ
ク、キナクリドン、ナフトールレッド、シアニンブル
ー、シアニングレー、ハンザイエローなどの有機顔料
や、酸化チタン、硫酸バリウム、ベンガラ、炭酸カルシ
ウム、アルミナ、酸化鉄、複合金属酸化物の無機顔料、
またフィラーとしては、一般的なシリカ粉や硫酸バリウ
ムや砂、樹脂ビーズなどがある。顔料やフィラーの粒径
は特に限定されない。また、逆に顔料やフィラーを添加
しなくてもよい。
【0059】そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく
この出願の発明について説明する。もちろん、この出願
の発明は以下の例によって限定されるものではない。ま
た以下においては、特に説明がない限り、「%」は「重
量%」を、「部」は「重量部」を示している。
【0060】
【実施例】〔ケイ素アルコキシド系組成物(A)の調
製〕メチルトリメトキシシラン100部、テトラエトキ
シシラン20部、イソプロピルアルコールオルガノシリ
カゾル(触媒化学化成工業株式会社製「OSCAL14
32」、SiO2 含有量30%)150部、ジメチルジ
メトキシシラン40部及びイソプロピルアルコール10
0部を混合し、さらに水200部を添加して攪拌し、こ
れを60℃の恒温槽中で分子量Mwを1200に調整す
ることによって、ケイ素アルコキシド系コーティング剤
(A)を調製した。
【0061】〔ケイ素アルコキシド系組成物(B)の調
製〕(a)成分の調製 攪拌機、加温ジャケット、コンデンサー及び温度計を取
り付けたフラスコ中にイソプロピルアルコール分散コロ
イダルシリカゾル(日産化学工業社製「IPA−S
T」、粒子径10〜20μm、固形分30%、H2
0.5%)100部、メチルトリメトキシシラン68
部、ジメチルメトキシシラン18部、水2.7部、無水
酢酸0.1部を投入し、攪拌しながら80℃の温度で約
3時間かけて部分加水分解反応を行ない、そして冷却す
ることによって(a)成分を得た。このものは室温で4
8時間放置したときの固形分が36%であった。
【0062】この(a)成分調製条件は次の通りとし
た。 ・加水分解性基X1モルに対する水のモル数 …0.1 ・(a)成分のシリカ分含有量 …40.2% ・n=1の加水分解性基含有オルガノシランのモル% …77モル%(b)成分の調製 攪拌機、加温ジャケット、コンデンサー、滴下ロート及
び温度計を取り付けたフラスコに水1000部、アセト
ン50部を計り取り、その混合溶液中にメチルトリクロ
ロシラン59.7部(0.4モル)、ジメチルジクロロ
シラン51.6部(0.4モル)、フェニルトリクロロ
シラン42.3部(0.2モル)をトルエン200部に
溶解したものを攪拌下に滴下しながら加水分解した。滴
下40分後に攪拌を止め、反応液を分液ロートに移し入
れて静置した後、2層に分離した下層の塩酸水を分液除
去し、次に上層のオルガノポリシロキサンのトルエン溶
液を減圧ストリッピングにより残存している水、および
塩酸を過剰のトルエンと共に留去して除去し、平均分子
量3000のシラノール基含有オルガノポリシロキサン
のトルエン60%溶液を得た。このものはR4 中のフェ
ニル基量が14%である。
【0063】(a)成分、(b)成分および(c)成分
の調合 硬化触媒の(c)成分としてN−β−アミノエチル−γ
−アミノプロピルメチルジメトキシシランを用い、
(a)成分65部、(b)成分50部、(c)成分1部
の割合で混合して攪拌することによって、ケイ素アルコ
キシド系組成物(B)を調製した。
【0064】〔ペースト(C−1)の調製〕メチルトリ
メトキシシラン50部に対して平均粒径が0.04μm
の微粒子酸化亜鉛を40部、カルボン酸系分散剤5部、
希釈溶剤5部添加して、デイスパーで約30分攪拌し
た。さらに1mmガラスビーズを用いて、分散機(一丸
エンタープライズ社製「ダイノーミル」流量25kg/
hr ベッセル容量1.5リットルで5回通し)で分散
することによって微粒子酸化亜鉛ミルベース(C−1)
を作成した。
【0065】〔ペースト(Z−1、Z−2、Z−3)の
調製〕加水分解性オルガノシランに水および触媒を加え
ることにより、部分加水分解して調製したオリゴマー溶
液に微粒子酸化亜鉛を添加、分散してペーストを調製す
る。メチルトリメトキシシラン50部に対して1/10
00規定の塩酸0.17gを加えて2日間放置した後、
平均粒径が0.4μm の微粒子酸化亜鉛を40部、カル
ボン酸系分散剤5部、希釈溶剤5部を添加して、ディス
パーで約30分間撹拌した。さらに1mmガラスビーズ
を用いて、分散機(一丸エンタープライズ社製「ダイノ
ーミル」流量25kg/hrベッセル容量1.5リット
ルで5回通し)で分散することによって、微粒子酸化亜
鉛ミルベース(Z−1)を得た。また、同様に、上記の
1/1000規定の塩酸の量を1.7g、17gに変更
して得られたミルベースをそれぞれ(Z−2)、(Z−
3)とする。
【0066】(実施例1〜5)あらかじめ60℃にプレ
ヒートしたセメント系無機質板からなる窯業系基材に対
して、表1の有機塗料を以下の条件で塗布、乾燥して有
機塗膜を形成し、この上に上記の酸化亜鉛紫外線吸収剤
(加水分解性オルガノシロキサンモノマー又は加水分解
性オルガノシロキサンを部分加水分解して調製したオリ
ゴマー溶液に分散)を添加した無機質コーティング剤を
乾燥塗膜重量10g/m2 の塗布量で塗装し、150℃
で20分間焼き付けてクリアーな無機質塗膜を形成し
た。各無機塗装品を実施例1〜5とする。
【0067】これら無機塗装品について以下に示す温水
風乾サイクル試験(10サイクル)及び凍害ASTM
B法(100サイクル)により2次密着性の評価を行っ
た。すべての無機塗装品で結果は「良」であった。 <温水風乾サイクル試験>有機塗膜を80g/m2 塗布
して140℃、5分間焼付した後に、乾燥塗膜重量7g
/m2 となるように無機質コーティング剤を塗布して1
40℃、10分間乾燥して得られたサンプルを8時間、
60℃の温水に浸漬し、その後16時間風乾する。これ
を1サイクルとし、10サイクル繰り返した。 <2次密着性>セロテープ貼着による剥離テスト。JI
S 5400。
【0068】
【表1】
【0069】(実施例6〜8)ケイ素アルコキシド系組
成物(A)の固形分に対して微粒子酸化亜鉛の良が重量
比で5、15、25%になるように、(C−1)ミルベ
ースを添加して、軽く攪拌することにより、紫外線吸収
剤入り無機質コーティング剤を調製した。セメント系無
機質板からなる窯業系基材に対して、次の樹脂組成(重
量%)のアクリルエマルジョン塗料を塗布して乾燥して
有機塗膜を形成した。 メチルメタクリレート(MMA):40 ブチルアクリレート(BA):30 シクロヘキシルメタクリレート(CHMA):30 さらにこの上に上記の酸化亜鉛紫外線吸収剤入り無機質
コーティング剤を乾燥塗膜重量10g/m2 の塗布量で
塗装し、150℃で20分間焼き付けてクリアーな無機
質塗膜を形成した。これらの無機塗装品を実施例6〜8
とする。
【0070】(実施例9〜11)ケイ素アルコキシド系
組成物(B)の固形分に対して、部粒子酸化亜鉛の量が
重量比で5、15、25%になるように、酸化亜鉛溶液
分散品(住友大阪セメント社製「ZS−303」微粒子
酸化亜鉛量は、液中30%)を添加して、軽く攪拌する
ことにより、紫外線吸収剤入りの無機質コーティング剤
を調製した。実施例6〜8と同様にして形成した基材表
面の有機塗装の上に上記の酸化亜鉛紫外線吸収剤入り無
機質コーティング剤を乾燥塗膜重量10g/m2 の塗布
量で塗装し、150℃20分焼き付けてクリアーな無機
質塗膜を形成した。
【0071】(比較例1)ケイ素アルコキシド系組成物
(A)の固形分に対して微粒子酸化亜鉛の良が重量比で
0.9%になるように、(C−1)ミルベースを添加し
て、軽く攪拌することにより、紫外線吸収剤入り無機質
コーティング剤を調製した。実施例6〜8と同様にして
形成した基材表面の有機塗装の上に上記の酸化亜鉛紫外
線吸収剤入り無機質コーティング剤を乾燥塗膜重量10
g/m2 の塗布量で塗装し、150℃20分焼き付けて
クリアーな無機質塗膜を形成した。
【0072】(比較例2)ケイ素アルコキシド系組成物
(A)の固形分に対して、部粒子酸化亜鉛の量が重量比
で0.9%になるように、酸化亜鉛溶液分散品(住友大
阪セメント社製「ZS−303」微粒子酸化亜鉛量は、
液中30%)を添加して、軽く攪拌することにより、紫
外線吸収剤入りの無機質コーティング剤を調製した。実
施例6〜8と同様にして形成した基材表面の有機塗装の
上に上記の酸化亜鉛紫外線吸収剤入り無機質コーティン
グ剤を乾燥塗膜重量10g/m2 の塗布量で塗装し、1
50℃20分焼き付けてクリアーな無機質塗膜を形成し
た。
【0073】(比較例3)ケイ素アルコキシド系組成物
(A)の固形分に対して微粒子酸化亜鉛の良が重量比で
31%になるように、(C−1)ミルベースを添加し
て、軽く攪拌することにより、紫外線吸収剤入り無機質
コーティング剤を調製した。実施例6〜8と同様にして
形成した基材表面の有機塗装の上に上記の酸化亜鉛紫外
線吸収剤入り無機質コーティング剤を乾燥塗膜重量10
g/m2 の塗布量で塗装し、150℃20分焼き付けて
クリアーな無機質塗膜を形成した。
【0074】(比較例4)ケイ素アルコキシド系組成物
(A)の固形分に対して、部粒子酸化亜鉛の量が重量比
で31%になるように、酸化亜鉛溶液分散品(住友大阪
セメント社製「ZS−303」微粒子酸化亜鉛量は、液
中30%)を添加して、軽く攪拌することにより、紫外
線吸収剤入りの無機質コーティング剤を調製した。実施
例6〜8と同様にして形成した基材表面の有機塗装の上
に上記の酸化亜鉛紫外線吸収剤入り無機質コーティング
剤を乾燥塗膜重量10g/m2 の塗布量で塗装し、15
0℃20分焼き付けてクリアーな無機質塗膜を形成し
た。
【0075】実施例6〜8及び比較例1〜4で得た塗装
品について、JIS K5400に準拠してサンシャイ
ンウエザメーター試験を行った。結果を表2に示した。
なお、光沢、側色は日本電色社製「Σ80」を用いて行
った。
【0076】
【表2】
【0077】表2に見られるように、この発明の無機質
コーティング剤を用いた場合には、下層として有機質層
が存在する場合でも優れた耐候性が得られることが分か
る。ただ、塗布量10g/m2 の場合、0.9重量%の
酸化亜鉛が配合された無機質コーティング剤では、必ず
しも十分な紫外線カットの作用が得られていない。ま
た、酸化亜鉛を31%配合した場合には塗膜が白濁して
好ましくないことがわかる。以上のことからも、酸化亜
鉛の添加量は1〜30重量%の範囲とすることが好まし
いといえる。
【0078】(実施例12〜14)ケイ素アルコキシド
系組成物(B)の固形分に対して微粒子酸化亜鉛の量が
重量比で20%になるように、(C−1)、(Z−
1)、(Z−2)、をそれぞれ添加して、軽く攪拌する
ことにより、紫外線吸収剤入りの無機質コーティング剤
を調製した。得られたコーティング剤をガラス板に塗装
(乾燥塗膜重量10g/m2 )して150℃で20分間
焼き付けた。
【0079】(比較例5)ケイ素アルコキシド系組成物
(B)の固形分に対して微粒子酸化亜鉛の量が重量比で
20%になるように、(Z−3)のミルベースを添加し
て軽く攪拌することにより、紫外線吸収剤入りの無機質
コーティング剤を調製した。さらに、実施例12〜14
同様に、得られたコーティング剤をガラス板に塗装(乾
燥塗膜重量10g/m2 )して150℃で20分間焼き
付けた。
【0080】
【表3】
【0081】表3に示す結果から、ペースト作成時に添
加する塩酸の量が多すぎる場合(Z−3)は、逆にコー
ティング剤への分散が悪くなることが分かる。また、加
水分解性オルガノシランを部分加水分解して調製したシ
リカ分散オリゴマー溶液に、微粒子酸化亜鉛を添加して
得た酸化亜鉛ペーストをケイ素系アルコキシド系組成物
に混合した無機コーティング剤(Z−1、Z−2)の方
が、加水分解性オルガノシランに微粒子酸化亜鉛を直接
添加して得たペーストをケイ素アルコキシド系組成物に
混合して得た無機質コーティング剤(C−1)よりも、
長期間の貯蔵安定性に優れていることが分かる。しか
し、モノマー分散タイプのコーティング剤は、オリゴマ
ー分散タイプの無機コーティング剤よりも調製工程が短
くなる点で有利であるといえることから、必要に応じて
使い分けをするとよい。
【0082】(実施例15〜20、比較例6〜7)酸化
亜鉛の配合、アクリルエマルジョン塗料の組成を表4に
示す条件とし、有機塗膜上に無機質コーティング剤を塗
布した塗装品を作製した。これらの塗装品について、有
機塗膜の耐溶剤性(ゲル分率)、Tg、接触角ととも
に、塗膜の2次密着性を評価した。結果を表4に示す。
尚、評価の方法は次のとおりとした。
【0083】<ゲル分率>アクリルエマルジョン塗料を
塗布後に乾燥(120℃、4分間)した塗膜を、アセト
ンに5時間浸漬し、残った重量割合を算定した。 <Tg(ガラス転移温度)>理論計算により算定した。
【0084】
【表4】
【0085】表4の結果に見られるように、耐溶剤性
(ゲル分率)が低い場合、並びにTgが50℃より低い
場合に、有機塗膜と無機質塗膜との層間密着性に優れた
塗装品が得られることがわかる。また、接触角が40度
以下となる場合に層間密着性に優れた塗装品が得られる
ことがわかる。
【0086】(実施例21〜22)酸化亜鉛15%配合
の実施例10の無機質コーティング剤を用いた。またセ
メント系無機質板を基材とし、その表面に表5の組成の
アクリルエマルジョン塗料を塗布した有機塗膜を形成
し、その後無機質コーティング剤を塗布して塗装品を得
た。 (比較例8〜9)実施例21〜22において、アクリル
エマルジョン塗料の組成を表5のように変更して塗装品
を得た。
【0087】実施例21〜22、比較例8〜9の塗装品
について、有機塗膜の接触角とともに2次密着性を評価
した。結果を表5にまとめる。
【0088】
【表5】
【0089】表5に見られるように、接触角が40°以
下となる場合に層間密着性に優れた塗装品が得られるこ
とが分かる。
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の
発明では、前記のような組成のケイ素アルコキシド系組
成物(A)又は(B)に酸化亜鉛を配合して無機質コー
ティング剤を調製するようにしたので、耐候性等の優れ
た無機質塗膜を形成することができるのは勿論のこと、
無機質コーティング剤に配合された酸化亜鉛で紫外線を
カットして無機質塗膜の下の有機質の層に紫外線が作用
することを防ぐことができ、塗装品の耐候性を高めるこ
とができる。しかも、窯業系基材等を用いた塗装品にお
いては、有機エマルジョン塗料を塗布して形成した有機
質の塗膜とその上の無機質コーティング剤による無機質
塗膜との間の密着性が、有機塗膜のゲル分率(耐溶剤
性)、Tg(ガラス転移温度)、そして接触角を調整す
ることによって極めて優れたものになる。塗装品の耐久
性、寿命は大きく向上することになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)(b)は、各々、塗装品の構成例を示し
た断面図である。
【符号の説明】
1 基材 2 有機塗膜 3 無機質塗膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平野 和志 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内 (72)発明者 鍬口 億雄 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内 (72)発明者 三木 慎一郎 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内 (72)発明者 嶋田 幸雄 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内 Fターム(参考) 4D075 AE03 CA13 CA32 DB11 DC03 EA13 EB22 EB42 EC02 4J038 CG141 CH031 DL031 HA216 HA446 KA20 MA10 MA12 MA13 NA03 NA12 PA13 PB05 PC04 PC08

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(R1 m Si(OR2 4-m (式中、R1 は各々メチル基、エチル基又はフェニル基
    を表し、R2 は各々炭素数1〜8のアルキル基を表す。
    mは0、1又は2である。)で表されるケイ素化合物及
    び/又はその部分加水分解物を主成分とするケイ素アル
    コキシド系組成物に微粒子酸化亜鉛が配合されている無
    機質コーティング剤を、有機エマルジョン塗料の塗布に
    より形成された有機塗膜の上に塗装してなることを特徴
    とする無機質塗装品。
  2. 【請求項2】 (a)一般式 (R3 n SiX4-n (式中、R3 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
    の1価の炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表す。
    nは0〜3の整数である。)で表される加水分解性オル
    ガノシランを、有機溶媒及び/又は水に分散されたコロ
    イド状シリカ中で部分加水分解してなる、オルガノシラ
    ンのシリカ分散オリゴマー溶液と、 (b)平均組成式 (R4 d Si(OH)e
    (4-d-e)/2 (式中、R4 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
    の1価の炭化水素基を表し、dおよびeはそれぞれ0.
    2≦d≦2.0、0.0001≦e≦3、d+e<4の
    関係を満たす数である。)で表される、分子中にシラノ
    ール基を含有するポリオルガノシロキサンと、(c)硬
    化触媒の、(a)、(b)、(c)の3成分を必須成分
    として含有するケイ素アルコキシド系組成物に微粒子酸
    化亜鉛が配合されている無機質コーティング剤を、有機
    エマルジョン塗料の塗布により形成された有機塗膜の上
    に塗装してなることを特徴とする無機質塗装品。
  3. 【請求項3】 該有機エマルジョンは、メチルメタクリ
    レートおよびブチルアクリレートを樹脂主成分とするア
    クリルエマルジョン塗料である請求項1または2の無機
    質塗装品。
  4. 【請求項4】 一般式 (R3 n SiX4-n (式中、R3 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
    の1価の炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表す。
    nは0〜3の整数である。)で表される加水分解性オル
    ガノシランに、微粒子酸化亜鉛を分散して得られるペー
    ストを、ケイ素アルコキシド系組成物に混合して無機質
    コーティング剤とし、有機エマルジョン塗料の塗布によ
    り形成された有機塗膜の上に塗装してなることを特徴と
    する請求項1ないし3の無機質塗装品。
  5. 【請求項5】 一般式 (R3 n SiX4-n (式中、R3 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
    の1価の炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表す。
    nは0〜3の整数である。)で表される加水分解性オル
    ガノシランを部分加水分解して調製したオリゴマー溶液
    に、微粒子酸化亜鉛を分散して得られるペーストを、ケ
    イ素アルコキシド系組成物に混合して無機質コーティン
    グ剤とし、有機エマルジョン塗料の塗布により形成され
    た有機塗膜の上に塗装してなることを特徴とする請求項
    1ないし3の無機質塗装品。
  6. 【請求項6】 微粒子酸化亜鉛は、1次粒径が0.01
    〜0.5μmであって、無機質コーティング剤の樹脂固
    形分に対して1〜30重量%の範囲で配合されている請
    求項1ないし5のいずれかの無機質塗装品。
  7. 【請求項7】 有機エマルジョン塗料による塗膜のゲル
    分率が30%以下であることを特徴とする請求項1ない
    し6のいずれかの無機質塗装品。
  8. 【請求項8】 有機エマルジョン塗料による塗膜のTg
    (ガラス転移温度)が50℃以下であることを特徴とす
    る請求項1ないし7のいずれかの無機質塗装品。
  9. 【請求項9】 有機エマルジョン塗料による塗膜と上塗
    りの無機質コーティング剤との接触角が40度以下であ
    ることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかの無機
    質塗装品。
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