JP2001072912A - 印刷インキ組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 顔料分散が良好で、粘度変化を起こさず、保
存安定性にも優れ、印刷時の感脂化汚れを防止可能な印
刷インキ組成物を提供する。 【解決手段】 顔料成分、樹脂ワニス成分及び加水分解
したアミノシランを含有することを特徴とする印刷イン
キ組成物。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、加水分解したアミ
ノシランを含有する、顔料分散性に優れた印刷インキ組
成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、顔料成分が多い印刷インキ組成物
では、顔料成分の効果的な分散が印刷適性を左右する重
要なポイントである。特に墨インキにおいては、カーボ
ンブラックは分散後二次凝集し二次粒子を形成しやす
い。そのため例えば墨インキをトルエン（有機溶剤）等
に溶解したときに顔料成分であるカーボンが容易に沈降
する現象が見られる。溶解後顔料が沈降し易いインキ
は、印刷作業性、印刷適性に大きな影響を与える。

【０００３】分散性・黒色性向上のためにカーボンメー
カーは、様々な表面処理を行いカーボン表面官能基を改
質し各種の必要適性を付与している。その代表的な処理
方法として酸化処理があり、印刷インキにはこの酸化処
理カーボンが古くから用いられてきた。また一方でイン
キ組成物には、各種の分散剤を用いカーボンの効果的な
分散性の向上、再凝集の防止が図られている。

【０００４】最も一般的なのは、ギルソナイトと言われ
る天然の瀝青の一種が用いられる。また分散剤には界面
活性剤（アニオン系、カチオン系、ノニオン系）、高分
子型分散剤等があり、色々なメーカーから発売されてい
る。

【０００５】カプリング剤も有効な顔料分散効果があ
り、その種類としてシランカプリング剤、アルミニウム
カプリング剤、チタンカプリング剤等がある。これらの
各種分散剤の中で顔料分散効果が最も期待できるのは、
アミン基を有するもので、またカーボンの再凝集も少な
い。しかしアミン基を有する分散剤を印刷インキに使用
した場合、印刷時に感脂化汚れの問題が発生しやすく、
種類の選択、添加量の調整が必要で、加えて何らかの汚
れ防止対策が求められる。そこで新規な印刷インキ組成
物が求められている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、分散
性が良好で顔料成分が二次凝集せず、且つ、印刷時に感
脂化汚れを発生させない良好な印刷インキ組成物を提供
することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
の結果、加水分解したアミノシランを含有するインキ組
成物が上記の課題を解決することを見出し、本発明を完
成した。即ち、本発明の構成は、顔料成分、樹脂ワニス
成分及び加水分解したアミノシランを含有することを特
徴とする印刷インキ組成物である。又、本発明の構成に
は、前記した顔料成分が、カーボンである印刷インキ組
成物を含む。更に、前記した樹脂ワニス成分がフエノー
ル樹脂、ロジン変性フエノール樹脂、石油樹脂、石油樹
脂変性ロジン変性フェノール樹脂、変性アルキッド樹
脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、アクリル系樹脂、ウレ
タン樹脂、エポキシ樹脂等を主成分とする樹脂ワニス成
分である印刷インキ組成物を含む。更に、前記した顔料
成分の含有量が６０％以下である印刷インキ組成物であ
る。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明に係わるインキ組成物の実
施の形態は、顔料成分、樹脂ワニス成分及び加水分解し
たアミノシランを含有することを特徴とする印刷インキ
組成物である。顔料成分としては、フタロシアニン顔
料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、炭酸カルシウ
ム、酸化ケイ素、チタン顔料等、任意の顔料が用いられ
るが、顔料としてカーボンブラックを用いるときに特に
分散効果に優れる。インキ組成物中の顔料成分の添加量
は５〜６０％で、好ましくは１５〜２５％である。又、
カーボンブラックの内、印刷インキ用として適している
のは、ハイカラーファーネス系、低ストラクチャータイ
プで、ＤＢＰ吸油量が４５〜１２０ｃｍ２／１００ｇの
カーボンが好ましく用いられる。

【０００９】樹脂ワニス成分としては、フェノール樹
脂、石油樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、石油樹脂変
性ロジン変性フエノール樹脂、変性アルキッド樹脂、ロ
ジン変性マレイン酸樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン樹
脂、エポキシ樹脂等、任意の樹脂系が用いられるが、例
えば、ロジン変性フエノール樹脂、石油樹脂の樹脂ワニ
スが好ましく用いられる。インキ組成物中の樹脂ワニス
の添加量は１５〜７０％で好ましくは３０〜６０％であ
る。

【００１０】アミノシランとしては、市販品で、日本ユ
ニカー（株）製：Ａ−１１２０、Ａ−１１２２、Ａ−１
１００、Ａ−１１０２、Ａ−１１０６、Ａ−１１６０、
東レ（株）製：ＳＨ−６０２０、ＳＺ−６０２３、ＳＨ
−６０２６、ＳＺ−６０３２、ＳＺ−６０５０、信越シ
リコーン（株）製：ＫＢＭ６０２、ＫＢＭ６０３、ＫＢ
Ｅ６０３、ＫＢＭ９０３、ＫＢＥ９０３、ＫＢＭ５７
３、東芝シリコーン（株）製：ＴＳＬ８３４０、ＴＳＬ
８３４５、チッソ（株）製：Ｓ３１０、Ｓ３２０、Ｓ３
３０、Ｓ３６０等の銘柄がある。

【００１１】アミノシランは水に溶解し加水分解させた
ものを用いる。蒸留水９９〜７０％に対し、１〜３０％
の範囲で溶解させアミノシラン水溶液を得る。アミノシ
ランは種類により加水分解が完全に終了するまで時間が
かかるものがある。必要量の溶剤、植物油、樹脂ワニス
等に、前記したアミノシラン水溶液を添加し、充分に混
合した後、顔料を添加し、攪拌機で充分に混合、プレミ
キシングを行う。その後、必要量の樹脂ワニス、溶剤、
及び他の添加剤を添加し、ショットミル、ロールミル等
で硬練りを行う。

【００１２】プレミキシングは、８０〜１２０℃で、２
〜３時間程度行うことが好ましい。

【００１３】硬練りに於いては、粘度が、ラレー粘度計
で５００〜１５００ポイズが好ましく、８００〜１００
０ポイズが特に好ましい。

【００１４】溶剤としては、バラフィン系、ナフテン系
の石油系溶剤（沸点が２２０〜４００℃、アニリン点９
０以下）、大豆油等の植物油又は、これらの混合溶剤等
を用いることができる。溶剤の添加量として、５〜２０
％程度になることが好ましく、インキに必要とされる粘
度（ラレー粘度計で２０〜３００ポイズ）に合わせ使用
量を変える。

【００１５】添加剤は必要に応じて、乳化調整剤として
界面活性剤を添加しても良い。

【００１６】

【実施例】以下に、実施例によって、本発明を具体的に
詳しく説明する。配合組成その他の数値は重量部を表
す。

【００１７】〔印刷インキ組成物（Ａ）の調製〕蒸留水
８０ｇに対し、アミノシラン｛日本ユニカー製：Ａ−１
１２０（Ｎ．Ｖ．１００％）｝２０ｇを徐々に添加し
て、アミノシラン２０％水溶液を得た。このアミノシラ
ン水溶液０．２ｇを、溶剤｛日本石油製：６号ソルベン
ト｝１０ｇ、大豆油｛日清製油社製：大豆サラダ油｝１
０ｇ、樹脂ワニス｛大日本インキ化学工業社製：ロジン
変性フェノール樹脂を主成分とする樹脂ワニス｝２０ｇ
と共に、分散撹拌機で１５分間混合攪拌した後、カーボ
ンブラック（キャボット社製：リーガル９９Ｒ）２０ｇ
を添加し、撹拌機にてプレミキシングを約１００℃で２
時間行った。その後、大日本インキ化学工業社製の樹脂
ワニス３０ｇ、溶剤（日本石油社製６号ソルベント）１
０ｇを添加・希釈しした後ショットミル機で、８０℃
で、硬練りを行い不揮発分８０％の印刷インキ組成物
（Ａ）を調製した。

【００１８】〔印刷インキ組成物（Ｂ）の調製〕蒸留水
８０ｇに対し、アミノシラン｛日本ユニカー製：Ａ−１
１２０（Ｎ．Ｖ．１００％）｝２０ｇを徐々に添加し
て、アミノシラン２０％水溶液を得た。このアミノシラ
ン水溶液０．３ｇを、溶剤｛日本石油製：６号ソルベン
ト｝１０ｇ、大豆油｛日清製油社製：大豆サラダ油｝１
０ｇ、樹脂ワニス｛大日本インキ化学工業社製｝２０ｇ
と共に、分散撹拌機機で１５分間混合攪拌した後、カー
ボンブラック（キャボット社製：リーガル９９Ｒ）２０
ｇを添加し、撹拌機にてプレミキシングを約１００℃で
２時間行った。その後、大日本インキ化学工業社製の樹
脂ワニス３０ｇ、溶剤（日本石油社製６号ソルベント）
１０ｇを添加・希釈しした後ショットミル機で、８０℃
で、硬練りを行い不揮発分８０％の印刷インキ組成物
（Ｂ）を調製した。

【００１９】〔印刷インキ組成物（Ｃ）の調製〕蒸留水
８０ｇに対し、アミノシラン｛日本ユニカー製：Ａ−１
１２０（Ｎ．Ｖ．１００％）｝２０ｇを徐々に添加し
て、アミノシラン２０％水溶液を得た。このアミノシラ
ン水溶液０．４ｇを、溶剤｛日本石油製：６号ソルベン
ト｝１０ｇ、大豆油｛日清製油社製：大豆サラダ油｝１
０ｇ、樹脂ワニス｛大日本インキ化学工業社製｝２０ｇ
と共に、分散撹拌機機で１５分間混合攪拌した後、カー
ボンブラック（キャボット社製：リーガル９９Ｒ）２０
ｇを添加し、撹拌機にてプレミキシングを約１００℃で
２時間行った。その後、大日本インキ化学工業社製の樹
脂ワニス３０ｇ、溶剤（日本石油社製６号ソルベント）
１０ｇを添加・希釈しした後ショットミル機で、８０℃
で、硬練りを行い不揮発分８０％の印刷インキ組成物
（Ｃ）を調製した。

【００２０】〔比較印刷インキ組成物（Ｄ）の調製〕ア
ミノシランを高級アルコール（Ｃ１４〜Ｃ１８）に溶解
して用いた以外は、実施例Ａと同様にして、比較印刷イ
ンキ組成物（Ｄ）を調製した。

【００２１】〔比較印刷インキ組成物（Ｅ）の調製〕ア
ミノシランを用いない以外は実施例Ａと同様にして、比
較印刷インキ組成物（Ｅ）を調製した。

【００２２】〔比較印刷インキ組成物（Ｆ）の調製〕ア
ミノシラン以外でアミン基を有する高分子型分散剤０．
１％を使用し、溶剤｛日本石油製：６号ソルベント｝１
０ｇ、大豆油｛日清製油社製：大豆サラダ油｝１０ｇ、
樹脂ワニス｛大日本インキ化学工業社製｝２０ｇと共
に、分散撹拌機で１５分間混合攪拌した後、カーボンブ
ラック（キャボット社製：リーガル９９Ｒ）２０ｇを添
加し、撹拌機にてプレミキシングを約１００℃で２時間
行った。その後、大日本インキ化学工業社製の樹脂ワニ
ス３０ｇ、溶剤（日本石油社製６号ソルベント）１０ｇ
を添加・希釈しした後ショットミル機で、８０℃で、硬
練りを行い不揮発分８０％の比較印刷インキ組成物
（Ｆ）を調製した。

【００２３】上記で調製した印刷インキ組成物（Ａ）、
（Ｂ）、（Ｃ）及び比較印刷インキ組成物（Ｄ）〜
（Ｆ）を評価した。以下に評価方法を示す。又評価結果
を表１に示す。

【００２４】〔分散性〕インキの分散性は、グラインド
メーター（５０ミクロン）を用いて測定する。

【００２５】〔インキの２次凝集性〕インキ２０ｇをト
ルエン８０ｇに溶かし放置。その分離性を比較すること
により２次凝集性を比較する。顔料が沈降し完全に２層
に分かれた状態を評価１とする。

【００２６】〔保存安定性試験・粘度変化〕６０℃の恒
温槽の中で１ヶ月放置し、経時後の粘度の変化を調べ
る。粘度変化が原型に対して±５％以内なら評価５，±
５〜１０％以内なら評価４，±１０〜１５以内なら評価
３、±１５〜３０％以内なら評価２、±３０％以上なら
評価１とする。評価５は、粘度変化がほとんどない状態
で、評価１は、粘度変化が著しいことを意味する。

【００２７】〔保存安定性試験・流動性変化〕６０℃の
恒温槽の中で１ヶ月放置し、経時後の流動性の変化を調
べる。流動性の変化が原型に対して±５％以内なら評価
５，±５〜１０％以内なら評価４，±１０〜１５以内な
ら評価３、±１５〜３０％以内なら評価２、±３０％以
上なら評価１とする。

【００２８】〔感脂化汚れの程度〕上記で調整した印刷
インキ組成物をオフセット印刷機にて印刷し、感脂化汚
れの程度を評価した。１００００枚通常に印刷後、印刷
機をいったん停止させそのままの状態で２時間放置す
る。その後、再度印刷を開始しその時１０枚以内できれ
いな紙面が得られた場合を評価５とする。２０枚以内で
きれいな紙面が得られた場合を評価４とし、同様に３０
枚以内では評価３，４０枚以内では評価２とする。この
時５０枚以上印刷しても汚れが取れない場合を評価１と
する。

【００２９】

【表１】

【００３０】

【発明の効果】本発明により、顔料分散が良好で、粘度
変化を起こさず、保存安定性にも優れ、印刷時の感脂化
汚れを防止可能な印刷インキ組成物を得ることが出き
る。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 4J039 AD10 AD14 AD18 AE02 AE04 AE05 AE06 AE11 AF01 AF07 BA04 BA16 BA21 BA30 BA35 BC39 BC60 BE01 BE09 CA04 EA44 EA48

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 顔料成分、樹脂ワニス成分及び加水分解
   したアミノシランを含有することを特徴とする印刷イン
   キ組成物。
2. 【請求項２】 前記した顔料成分が、カーボンである請
   求項１に記載の印刷インキ組成物。
3. 【請求項３】 前記した樹脂ワニス成分がフェノール樹
   脂、ロジン変性フェノール樹脂、石油樹脂、石油樹脂変
   性ロジン変成フェノール樹脂、変性アルキッド樹脂、ロ
   ジン変性マレイン酸樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン樹
   脂、エポキシ樹脂からなる群から選ばれる一種以上を含
   有する樹脂ワニス成分である請求項１又は２に記載の印
   刷インキ組成物。
4. 【請求項４】 前記した顔料成分の含有量が６０％以下
   である請求項１〜３の何れかに記載の印刷インキ組成
   物。