【発明の詳細な説明】
置換オキサゾリジンカルパインおよび/または
カテプシンB阻害剤
従来の技術
大脳血管の供給の弱体化により生じる神経系の損傷は死亡および廃疾の主な原
因である。虚血性神経細胞死の病因に関して、細胞内カルシウムの持続した上昇
は細胞機能を損なう、または傷つける様々な細胞内の出来事を誘発すると考えら
れている〔Hong,Seung-ChyulらのStroke,25,
年)〕。生理学的条件下で細胞内のカルシウム濃度の正確な維持は慎重に調節さ
れる。カルシウム恒常性の低下および虚血時の細胞内カルシウムの増加は幾つか
のカルシウム感受性機構の不適当な活性化を可能にし、それは細胞機能を害する
。このタイプの機構の主な例はカルシウム−活性化タンパク質分解である。カル
パインとして知られているカルシウム−活性化中性プロテアーゼの虚血時の連続
刺激は基質タンパク質の異常なタンパク質分解をもたらす〔Seubert,P.らのBra
in Res.,492,366〜370(1989年);Inuzuka,T.らのStroke,21,917〜922(1990
年);Lee,K.S.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,88,7233〜7237(1991年)〕
。
カルパインに対する好ましい基質には微小管関連タンパク質2(MAP2)、スペク
トリンおよびニューロフィラメントタンパク質のような細胞骨格タンパク質があ
る。他の基質にはプロテインキナーゼCおよびカルシウム/カルモジュリン依存
性プロテインキナーゼIIのような鍵調節酵素がある。虚血性エピソード後、この
ような細胞骨格タンパク質は分解し、多量の調節酵素が減少する。明らかに、幾
らかのまたはすべてのこれら
の構造および調節タンパク質の抑制されないタンパク質分解はかなり細胞の生存
度に影響を与えることができる。従って、カルシウム−活性化タンパク質分解の
阻害剤は虚血性細胞損傷において有用な治療的機能を果たす。
最近、ジペプチジルアルデヒドCbz-Val-Phe-Hは破壊膜標本および無傷な細胞
系の両方においてカルパインに対して低いKiを示すカルパインの細胞浸透性阻害
剤であることが証明されている〔Mehdi,S.のTrends Biochem.Sci.,16,150〜
153(1991年)〕。Cbz-Val-Phe-Hはまた、患者のカテプシンBを阻害するのに有用
である〔1990年4月11日に公開されたBey,P.らの欧州特許出願OPI No.0363284
〕。さらに、Cbz-Val-Phe-Hで処置したラットは生理的食塩水で処置した、また
はビヒクルで処置した対照動物よりも有意に小さい脳梗塞を示す。梗塞、浮腫お
よびカルシウム−活性化タンパク質分解を減らすには、30mg/kgまたは60mg/kg
のCbz-Val-Phe-Hを静脈内注射で多数回投与することが有効であった。断頭後の
虚血に対するタンパク質分解反応もまた、Cbz-Val-Phe-Hにより減少した〔Hong
,Seung-ChyulらのStroke,25,663〜669(1994年)〕。
本発明者らはカルパインおよびカテプシンBに対して低いKiを有し、良好な細
胞浸透性を示すCbz-Val-Phe-Hの置換オキサゾリジン誘導体を見い出した。本発
明の目的は治療の必要な患者においてカルパインおよび/またはカテプシンBを
阻害するための治療剤を提供することである。さらに、本発明の目的は急性また
は慢性の神経変性疾患に苦しむ患者の治療に使用される治療剤を提供することで
ある。
本発明の概要
本発明は次の一般式(I)
〔式中、RおよびQは互いに独立して水素、OH、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキ
シ、NO2、NH2またはハロゲンであり;
R1およびR2は互いに独立してC1-C4アルキルであり;
R3は水素、C1-C8アルカノイル、
であり;
R4およびR5は互いに独立して水素、C1-C4アルキルまたはベンジルであり;
R6はt−ブチルオキシカルボニル、カルボベンジルオキシ、または
(ここで、ZはNまたはCHであり;
Bは式
(式中、R′は水素またはC1-C6アルキル基である)の基である)であり;
R7は水素またはメチルであり;
R8はC1-C4アルキルであり;
mは0または1の整数であり;
nは0または1の整数であり;
pは0〜3の整数であり;そして
qは0〜3の整数である〕の化合物およびそれらの薬学的に許容しうる塩に関
する。式(I)の化合物はカルパインおよび/またはカテプシンB阻害剤であり、
そのため虚血性卒中(原因は血栓症または塞栓症)、出血性卒中とその後の血管
現象、心筋梗塞、冠状バイパスおよび移植手術の結果としての神経病、頭部外傷
、アルツハイマー病、年令と関連がある痴呆、血管性痴呆、パーキンソン病、筋
萎縮性側索硬化症などのような急性または慢性の神経変性疾患の治療において有
用である。
本発明の詳細な記述
本明細書で使用される「C1-C4アルキル」なる用語は1〜4個の炭素原子からな
る直鎖状または分枝状飽和炭化水素基を意味する。この用語の範囲にはメチル、
エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルなどが含まれる
。「C1-C4アルコキシ」なる用語は1〜4個の炭素原子からなる直鎖状または分枝
状飽和炭化水素基を有する酸素基で構成されるアルコキシ基を意味する。この用
語の範囲にはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、
sec−ブトキシ、t−ブトキシなどが含まれる。「C1-C8アルカノイル」なる用語は
ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ペンタノイル、ヘキサノイル、
2−エチルヘキサノイルなどを含む。「ハロ」、「ハロゲン」または「ハロゲン化物
」なる用語はフッ素、塩素、臭素または沃素原子を意味する。
「Ts」または「トシレート」なる用語は式
のp−トルエンスルホネート官能基を意味する。
「Bn」なる用語は式
のベンジル官能基を意味する。
「CBz」または「カルボベンジルオキシ」なる用語は式
のカルボベンジルオキシ官能基を意味する。
「BOC」または「t−ブチルオキシカルボニル」なる用語は式
のt−ブチルオキシカルボニル官能基を意味する。
「立体異性体」なる用語は空間的にそれらの原子の配向だけが異なる個々の分
子のすべての異性体についての一般的用語である。それは鏡像異性体(エナンチ
オマー)、幾何(シス/トランス)異性体、および互いに鏡像でない2個以上の
キラルな中心を有する化合物の異性体(ジアステレオマー)を含む。アミノ酸に
ついて、L/DまたはR/Sなる表示は生化学的命名法のIUPAC-IUB合同委員会、Eur
.J.Biochem.138:9-37(1984年)に記載のように使用することができる。
「薬学的に許容しうる塩」なる用語は所望の効果を達成するために投与される
用量において実質的に非毒性であり、有意な薬理活性を独立して持たない塩を意
味する。この用語の範囲に含まれる塩は臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、リン酸
塩、硝酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、グリコール酸塩、
乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、α−ケトグル
タル酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレ
イン酸塩、ピルビン酸塩、フェニル酢酸塩、安息香酸塩、p−アミノ安息香酸塩
、アントラニル酸塩、p−ヒドロキシ安息香酸塩、サリチル酸塩、ヒドロキシエ
タンスルホン酸塩、エチレンスルホン酸塩、ハロベンゼンスルホン酸塩、トルエ
ンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、スルファニル
酸塩などである。
本明細書で使用される天然アミノ酸はキラルな炭素原子を含有する。
特に断わりがなければ、好ましい化合物はL−配置の光学的に活性なアミノ酸を
使用する。しかしながら、使用されるアミノ酸はD−配置であってもよい。さら
に、式(I)(式中、mおよびnは共に整数の1である)の化合物はラセミ混合物を
含む、D−およびL−異性体の混合物であってもよい。本明細書の範囲に含まれ
るα−アミノ酸について承認されている略語の例を表1に示す。
式(I)(式中、R6はt−ブチルオキシカルボニル、カルボベンジルオキシまた
は
(ここで、置換基は前記の通りである)である)の化合物の製造に必要
な出発物質は商業的に入手可能であり、また当業者により容易に製造される。例
えば、式
(式中、Zは前記の通りであり、そしてBは
である)の中間体は1993年3月3日に公開されたPeetらの欧州特許出願0PI No.
0529568に開示されている。さらに、式
の中間体はスキームIに記載のようにして製造することができる。特に断りがな
ければ、すべての置換基は前記で定義された通りである。試薬および出発物質は
当業者ならば容易に入手可能である。
スキームIは式
(式中、Zは前記で定義された通りである)の適当な中間体を製造するための一
般的合成法を示す。
工程Aにおいて、適当な2,5−ピリジンジカルボン酸2−メチルエステル(1)(
日本化学雑誌、88,563(1967年))のカルボン酸官能基を塩化チオニルのような試
薬を使用して当業者に良く知られ、理解されている方法および手順によりその酸
塩化物に変換して相当する6−カルボメトキシニコチノイルクロライド(2)を得
る。
工程Bにおいて、酸塩化物(2)を当業者に良く知られ、理解されている方法お
よび手順によりモルホリンでアミド化して相当する5−(モルホリン−4−カル
ボニル)−2−ピリジンカルボン酸メチルエステル(3)
を得る。
工程Cにおいて、5−(モルホリン−4−カルボニル)−2−ピリジンカルボ
ン酸メチルエステル(3)を当業者に良く知られ、理解されている方法および手順
により、例えばメタノール中の水酸化リチウムで加水分解して5−(モルホリン
−4−カルボニル)−2−ピリジンカルボン酸(4)を得る。
さらに、式
の適当な中間体はスキームII(ここで、すべての置換基は前記で定義された通り
である)に記載のようにして製造することができる。試薬および出発物質は当業
者ならば容易に入手可能である。
スキームIIは式
(式中、Zは前記で定義された通りである)の適当な中間体を製造するための一
般的合成法を示す。
工程Aにおいて、2,5−ピリジンジカルボン酸2−メチルエステル(1)(日本化
学雑誌、88,563(1967年))の遊離カルボン酸官能基をジシクロヘキシルカルボジ
イミドのt−ブチルアルコール付加物(合成、570(1979年))のような当業者に良
く知られ、理解されている方法および手順を使用してそのt−ブチルエステルに
変換して相当する2,5−ピリジンジカルボン酸2−メチルエステル,5−t−ブ
チルエステル(5)を得る。
例えば、2,5−ピリジンジカルボン酸2−メチルエステル(1)を塩化メチレン
のような適当な有機溶媒中でモル過剰のジシクロヘキシルカルボジイミドのt−
ブチルアルコール付加物と混合する。反応は典型的に0℃〜室温の範囲の温度で
2〜24時間行われる。2,5−ピリジンジカルボン酸2−メチルエステル,5−t
−ブチルエステル(5)は当該技術分野で知られているような標準的な抽出方法に
より反応混合物から単離され、また結晶化により精製されうる。
工程Bにおいて、2,5−ピリジンジカルボン酸2−メチルエステル,5−t−
ブチルエステル(5)をモルホリンでアミド化して相当する6−(モルホリン−4
−カルボニル)ニコチン酸,t−ブチルエステル(6)を得る。
例えば、2,5−ピリジンジカルボン酸2−メチルエステル,5−t−ブチルエ
ステル(5)をテトラヒドロフランのような適当な有機溶媒中でモル過剰のモルホ
リンと接触させる。反応は典型的に室温〜還流温度の範囲の温度で5時間〜3日
間行われる。6−(モルホリン−4−カルボニル)ニコチン酸,t−ブチルエス
テル(6)は当該技術分野で知られているような標準的な抽出方法により反応混合
物から単離され、また結晶化により精製されうる。
工程Cにおいて、6−(モルホリン−4−カルボニル)ニコチン酸,t−ブチ
ルエステル(6)を例えばニトロメタン中のHClで加水分解して相当する6−(モ
ルホリン−4−カルボニル)ニコチン酸(7)を得る。
式(1)の化合物を製造するためのスキームVIの出発物質はスキームIIIに記載
のようにして製造することができる。特に断りがなければ、すべての置換基は前
記で定義された通りである。試薬および出発物質は当業者ならば容易に入手可能
である。
R8=R1またはR2
Pg=保護基
X=適当なカルボン酸保護基または樹脂
スキームIIIの工程Aにおいて、構造式(8)の化合物をペプチド合成で使用さ
れているもののような当該技術分野で知られている標準反応を使
用して構造式(9a)の化合物とカップリングさせる。例えば、通常のペプチド合
成において、ペプチドはN−末端残基のα−アミンを脱保護し、上記の方法を使
用してペプチド結合により次の適当にN−保護されたアミノ酸とカップリングさ
せることによって延長される。この脱保護およびカップリング工程は所望の配列
順序が達成されるまで繰り返される。このカップリングはスキームIIIに記載の
ようにして段階的に構成アミノ酸を使用して、あるいはフラグメント縮合により
、またはこれらの工程を組み合わせて、あるいはMerrifieldのJ.Am.Chem.Soc
.,85,2149〜2154(1963年)(その開示は参考文献として本明細書に組み込まれる
)に記載の方法に従って固相ペプチド合成により行うことができる。固相合成法
が使用される場合、C−末端カルボン酸は不溶性の担体(通常はポリスチレン)
に結合される。これらの不溶性の担体は延長条件に対して安定であるが、後で容
易に分解される結合を生成する。このような担体の例はクロロまたはブロモメチ
ル樹脂、ヒドロキシメチル樹脂およびアミノメチル樹脂である。これらの樹脂の
多くはすでに組み込まれた所望のC−末端アミノ酸と共に商業的に入手可能であ
る。
さらに、ペプチド合成はStewartおよびYoungの「固相ペプチド合成」、第2版、
ピアース化学会社(1984年);Gross,Meienhofer,Udenfriend編の「ペプチド:
分析、合成、生物学」、第1、2、3、5および9巻、アカデミックプレス(198
0〜1987年);Bodanszkyの「ペプチド化学:実用教本」、Springer-Verlag(1988
年);およびBodanszkyらの「ペプチド合成の応用」、Springer-Verlag(1984年)
〔これらの開示は参考文献として本明細書に組み込まれる〕に記載されている。
2つのアミノ酸、アミノ酸およびペプチド、または2つのペプチドフラグメン
ト間のカップリングはアジド法、混合炭酸−カルボン酸無水物
(イソブチルクロロホルメート)法、カルボジイミド(ジシクロヘキシルカルボ
ジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、または水溶性カルボジイミド)法、
活性エステル(p−ニトロフェニルエステル、N−ヒドロキシ−コハク酸イミド
エステル)法、ウッドワード試薬K法、カルボニルジイミダゾール法、BOP-Clの
ようなリン試薬、または酸化−還元法のような標準的なカップリング法を使用し
て行うことができる。これらの方法の幾つか(特にカルボジイミド法)は1−ヒ
ドロキシベンゾトリアゾールを加えることにより改善することができる。これら
のカップリング反応は溶液(液相)または固相で行うことができる。
構成アミノ酸の官能基は一般に、望ましくない結合の生成を回避するためにカ
ップリング反応の間に保護する必要がある。使用されうる保護基はGreeneの「有
機化学の保護基」、John Wiley & Sons(1981年)および「ペプチド:分析、合成、
生物学」、第3巻、アカデミックプレス(1981年)〔その開示は参考文献として本
明細書に組み込まれる〕に記載されている。
C−末端残基のα−カルボキシル基は通常、分解してカルボン酸を与えるよう
なエステルにより保護される。使用されうる保護基には1)メチルおよびt−ブチ
ルのようなアルキルエステル、2)ベンジルおよび置換ベンジルのようなアリール
エステル、または3)トリクロロエチルおよびフェナシルエステルのような緩やか
な塩基処理または緩やかな還元法により分解されうるエステルが含まれる。
生長するペプチド鎖とカップリングさせる各アミノ酸のα−アミノ基は保護す
る必要がある。当該技術分野で知られている保護基を使用することができる。こ
れらの保護基の例としては、1)ホルミル、トリフルオロアセチル、フタロイルお
よびp−トルエンスルホニルのようなアシル
基;2)ベンジルオキシカルボニル(CbzまたはZ)、置換ベンジルオキシカルボニ
ル、1−(p−ビフェニル)−1−メチルエトキシ−カルボニルおよび9−フル
オレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)のような芳香族カルバメート基;3)t
−ブチルオキシカルボニル(Boc)、エトキシカルボニル、ジイソプロピルメトキ
シカルボニルおよびアリルオキシカルボニルのような脂肪族カルバメート基;4)
シクロペンチルオキシカルボニルおよびアダマンチルオキシカルボニルのような
環状アルキルカルバメート基;5)トリフェニルメチルおよびベンジルのような
アルキル基;6)トリメチルシランのようなトリアルキルシラン;および7)フェ
ニルチオカルボニルおよびジチアスクシノイルのようなチオールを含有する基が
挙げられる。好ましいα−アミノ保護基はBoc、CbzまたはFmoc、より好ましくは
Bocである。ペプチド合成のための適当に保護されたアミノ酸誘導体の多くは商
業的に入手可能である。
新しく加えられたアミノ酸残基のα−アミノ基の保護基は次のアミノ酸のカッ
プリング前に分解される。このような保護基を分解するための条件はGreeneの「
有機化学の保護基」、第7章、John Wiley & Sons(1981年)に記載されている。Bo
c基が使用される場合、選択される方法はトリフルオロ酢酸をニートでまたはジ
クロロメタン中で、あるいはHClをジオキサンまたは酢酸エチル中で使用する。
得られるアンモニウム塩はカップリング前にまたは現場で、水性緩衝液のような
塩基性溶液、あるいはジクロロメタンまたはジメチルホルムアミド中の第3アミ
ンで中和される。Fmoc基が使用される場合、選択される試薬はジメチルホルムア
ミド中のピペリジンまたは置換ピペリジンであるが、第2アミンまたは塩基性水
溶液を使用してもよい。脱保護は0℃〜室温の温度で行われる。
側鎖官能基を有するアミノ酸は上記の基の何れかを使用してペプチド
の製造中に保護する必要がある。当業者ならば、これらの側鎖官能基に適した保
護基の選択および使用はそのアミノ酸およびペプチドに存在する他の保護基に依
存することを理解できよう。このような保護基の選択はそれがα−アミノ基の脱
保護およびカップリングの間に除去されてはならないという点で重要である。
例えば、Bocがα−アミノ保護基として使用される場合、Tyr、SerまたはThrの
ようなアミノ酸の側鎖を含有するヒドロキシを保護するためにベンジル(Bn)エー
テルを使用することができる。
固相合成が使用される場合、ペプチドは通常、保護基の除去と同時に樹脂から
開裂される。Boc保護スキームが合成に使用される場合、0℃で硫化ジメチル、
アニソール、チオアニソールまたはp−クレゾールのような添加剤を含有する無
水HFで処理する方法が樹脂からペプチドを開裂するために好ましい方法である。
ペプチドの開裂はまた、トリフルオロメタンスルホン酸/トリフルオロ酢酸混合
物のような他の酸試薬により行うことができる。Fmoc保護スキームが使用される
場合、N−末端Fmoc基は先に記載の試薬で開裂される。他の保護基およびペプチ
ドはトリフルオロ酢酸、およびアニソールなどのような種々の添加剤の溶液を使
用して樹脂から開裂される。
より詳しくは、スキームIIIの工程Aにおいて、構造式(8)(式中、Xはメチ
ルエステルのような適当なα−カルボキシル保護基である)のα−アミノ酸を窒
素のような不活性雰囲気下で無水DMFまたは無水塩化メチレンのような適当な無
水有機溶媒に溶解する。この溶液に、無水DMFまたは無水塩化メチレンのような
適当な無水有機溶媒に溶解した1当量のN−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和
物、1当量の1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド
塩酸塩および1当量
の構造式(9a)の保護α−アミノ酸を加える。次に、反応混合物を約1〜15時間
撹拌する。次に、構造式(10)のカップリング生成物を単離し、抽出法およびフラ
ッシュクロマトグラフィーのような当該技術分野で良く知られている方法により
精製する。例えば、反応混合物を酢酸エチルのような適当な有機溶媒で希釈し、
水で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮する。残
留物を酢酸エチル/ヘキサンのような適当な溶離剤を用いるシリカゲル上のフラ
ッシュクロマトグラフィーにより精製してカップリング生成物(10)を得る。
別法として、スキームIIIの工程Aにおいて、構造式(9a)の適当に保護され
たα−アミノ酸を窒素のような不活性雰囲気下で適当な有機溶媒に溶解する。適
当な有機溶媒の例は石油エーテル;四塩化炭素、塩化エチレン、塩化メチレンま
たはクロロホルムのような塩素化炭化水素;1,2,4−トリクロロベンゼンまたは
o−ジクロロベンゼンのような塩素化芳香族炭化水素;二硫化炭素;ジエチルエ
ーテル、テトラヒドロフランまたは1,4−ジオキサンのようなエーテル性溶媒;
あるいはベンゼン、トルエンまたはキシレンのような芳香族溶媒である。塩化メ
チレンがこのカップリング反応に好ましい溶媒である。次に、溶液を1〜4当量
の適当なアミンで処理する。適当なアミンの例はトリ−(低級アルキル)アミン
、例えばトリエチルアミンのような第3有機アミン;あるいはピコリン、コリジ
ンおよびピリジンのような芳香族アミンである。ピリジン、ピコリンまたはコリ
ジンが使用される場合、それらをかなり過剰に使用することができ、そのためそ
れらは反応溶媒として使用しうる。カップリング反応に特に適しているのはN−
メチルモルホリン(NMM)である。次に、溶液を約−20℃まで冷却し、1当量のイ
ソブチルクロロホルメートを加える。反応混合物を約10〜30分間撹拌し、1〜4
当量の構造
式(8)(Xはメチルまたはエチルのようなエステル基であり、そしてアミノ酸は
酸付加塩または遊離塩基である)のアミノ酸エステルを反応混合物に加える。反
応混合物を約−20℃で30分〜2時間撹拌し、次にそれを室温まで加温し、1〜3
時間撹拌する。次に、カップリング生成物(10)を単離し、抽出法およびフラッシ
ュクロマトグラフィーのような当該技術分野で良く知られている方法により精製
する。例えば、反応混合物を塩化メチレンのような適当な有機溶媒で希釈し、水
で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮する。残留
物を酢酸エチル/ヘキサンのような適当な溶離剤を用いるシリカゲル上のフラッ
シュクロマトグラフィーにより精製してカップリング生成物(10)を得る。
スキームIIIの工程A1において、カップリング生成物(10)の保護基(Pg)をT.
W.Greenの「有機合成の保護基」、第7章、John Wiley & Sons社(1981年)に記
載のような当該技術分野で良く知られている条件下で除去し、第1アミンをR6と
カップリングさせて構造式(11)のカップリング生成物を得る。例えば、Pgがカッ
プリング生成物(10)のt−ブチルカルバメート(BOC)である場合、化合物をメタ
ノール性塩酸に溶解し、数時間撹拌し、真空下で濃縮する。次に、残留物を水に
溶解し、飽和重炭酸ナトリウムで中和し、酢酸エチルで抽出する。有機抽出物を
無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮する。残留物を酢酸エ
チル/ヘキサンのような適当な溶離剤を用いるシリカゲル上のフラッシュクロマ
トグラフィーにより精製して第1アミンを得る。
別法として、Pgがカップリング生成物(10)のt−ブチルカルバメート(BOC)で
ある場合、化合物をトリフルオロ酢酸に溶解し、室温で1〜12時間撹拌すること
ができる。次に、反応混合物を注意しながら水に注ぎ、
重炭酸ナトリウムで中和し、酢酸エチルで抽出する。合一した有機抽出物を無水
硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮する。残留物を酢酸エチル
/ヘキサンのような適当な溶離剤を用いるシリカゲル上のフラッシュクロマトグ
ラフィーにより精製して第1アミンを得る。
スキームIIIの工程A2において、上記で製造した第1アミンを当該技術分野
で良く知られている条件下でR6とカップリングさせてカップリング生成物(11)を
得る。例えば、R6が構造式(9c)
の酸である場合、酸(9c)を上記スキームIIIの工程Aに記載の方法と同様にカ
ップリング反応に付す。例えば、酸(9c)を窒素のような不活性雰囲気下で塩化
メチレンのような適当な有機溶媒に溶解する。次に、溶液を1〜4当量の適当な
アミン、例えばN−メチルモルホリンで処理し、約−20℃まで冷却し、1当量の
イソブチルクロロホルメートを加える。反応混合物を約10〜30分間撹拌し、1〜
4当量の上記で製造した第1アミンを反応混合物に加える。反応混合物を約−20
℃で30分〜2時間撹拌し、それを室温まで加温し、1〜3時間撹拌する。次に、
カップリング生成物(11)を単離し、抽出法およびフラッシュクロマトグラフィー
のような当該技術分野で良く知られている方法により精製する。例えば、反応混
合物を塩化メチレンのような適当な有機溶媒で希釈し、水で洗浄し、無水硫酸マ
グネシウム上で乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮する。残留物を酢酸エチル/ヘキ
サンのような適当な溶離剤を用いるシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィ
ーにより精製してカップリング生成物(11)を得る。
別法として、上記で製造した第1アミンを窒素のような不活性雰囲気
下で塩化メチレンのような適当な無水有機溶媒に溶解する。この溶液に、塩化メ
チレンのような適当な無水有機溶媒に溶解した1当量のN−ヒドロキシベンズト
リアゾール水和物、1当量の1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル
カルボジイミド塩酸塩および1当量の構造式(9c)の酸を加える。次に、反応混
合物を約1〜15時間撹拌する。次に、構造式(11)のカップリング生成物を単離し
、抽出法およびフラッシュクロマトグラフィーのような当該技術分野で良く知ら
れている方法により精製する。例えば、反応混合物を酢酸エチルのような適当な
有機溶媒で希釈し、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、真
空下で濃縮する。残留物を酢酸エチル/ヘキサンのような適当な溶離剤を用いる
シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製してカップリング生成
物(11)を得る。
カップリング生成物(11)はまた、スキームIIIの工程Bにおいて構造式(8)(
式中、Xはメチルエステルのような適当なα−カルボキシル保護基である)のα
−アミノ酸を構造式(9b)のα−アミノ酸とカップリング反応させることにより
直接製造することができる。α−アミノ酸(9b)はスキームIIIの工程Aに記載
の方法のような当業者に良く知られている条件下でR6置換基を構造式(9b′)
(式中、Xはメチルエステルのような適当なα−カルボキシル保護基である)の
アミノ酸とカップリングさせることにより容易に製造される。次に、このカップ
リング生成物のα−カルボキシル保護基を当該技術分野で良く知られている条件
下で除去して構造式(9b)のα−アミノ酸を
得る。例えば、Xがメチルまたはエチル基である化合物をエタノールに溶解し、
同量の水および1当量の水酸化リチウムで処理する。反応混合物を1〜6時間撹
拌する。次に、得られた酸を当該技術分野で良く知られている方法により単離す
る。例えば、有機溶媒を真空下で除去し、残留する水溶液を希塩酸で酸性にする
。次に、水溶液を酢酸エチルのような適当な有機溶媒で抽出し、合一した有機抽
出物を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮してα−アミノ
酸(9b)を得る。
スキームIIIの工程Cにおいて、カップリング生成物(11)を当該技術分野で良
く知られている条件下で脱保護または固相から開裂して構造式(12)の酸を得る。
例えば、構造式(11)のXがメチルまたはエチル基である化合物をエタノールのよ
うな適当な有機溶媒に溶解し、ほぼ同量の水で処理する。この溶液に撹拌しなが
ら1〜2当量の水酸化リチウムを加え、反応混合物を1〜6時間撹拌する。次に
、得られた酸を単離し、当該技術分野で良く知られている方法により精製する。
例えば、有機溶媒を真空下で除去し、残留する水溶液を希塩酸で酸性にする。次
に、水相を酢酸エチルのような適当な有機溶媒で抽出し、合一した有機抽出物を
無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮する。次に、残留物を
メタノール/クロロホルムのような適当な溶離剤を用いるシリカゲル上のフラッ
シュクロマトグラフィーにより精製して酸(12)を得ることができる。
式(I)の化合物を製造するためのスキームVIの別の出発物質はスキームIVに記
載のようにして製造することができる。特に断りがなければ、すべての置換基は
前記で定義された通りである。試薬および出発物質は当業者ならば容易に入手可
能である。
Pg=保護基
X=適当なカルボキシル保護基または樹脂
スキームIVの工程A1において、カップリング生成物(10a)〔スキームIIIで
製造した;R8=R1であり、R7は水素である〕をスキームIIIの工程A1に記載の
方法と同様の条件下で脱保護して第1アミンを生成する。次に、得られた第1ア
ミンを前記のスキームIIIの工程Aに記載の方法と同様にして構造式(9a″)の
保護α−アミノ酸とのカップリング反応に付してカップリング生成物(13)を得る
。
スキームIVの工程C1において、上記で製造したカップリング生成物(13)をス
キームIIIの工程A1に記載の方法と同様の条件下で脱保護して第1アミンを生
成する。次に、得られた第1アミンを前記のスキームIIIの工程Aに記載の方法
と同様にしてR6とのカップリング反応に付してカップリング生成物(14)を得る。
別法として、上記のカップリング生成物(14)をスキームIVの工程B1およびB
2に記載のようにして直接製造することができる。カップリング生成物(10a)を
スキームIIIの工程A1に記載の方法と同様の条件下で脱保護して第1アミンを
生成する。次に、得られた第1アミンを前記のスキームIIIの工程Aに記載の方
法と同様にして構造式(9b″)〔スキームIIIで製造した;R8はR2である〕のα
−アミノ酸とのカップリング反応に付してカップリング生成物(14)を得る。
スキームIVの工程Cにおいて、上記で製造したカップリング生成物(14)を前記
のスキームIIIの工程Cに記載のような当該技術分野で良く知られている条件下
で脱保護または固相から開裂して構造式(15)の酸を得る。
スキームIIIおよびIVに記載のようなアミノ酸のカップリングの順序は単なる
例示であり、本発明の範囲をまったく制限するものではないことは理解されよう
。スキームIIIおよびIVに記載のカップリングの順序は入
手できる出発物質に応じて変わることは当業者により理解され、容易に決定され
る。例えば、置換または未置換フェニルアラニンはスキームVIにおいて環化前に
主鎖にカップリングさせる最後の残基であってよい。
R7がメチルであるスキームIII、IVおよびVIで必要な出発物質はスキームVに
記載のようにして製造することができる。特に断りがなければ、すべての置換基
は前記で定義された通りである。試薬および出発物質は当業者ならば容易に入手
可能である。
R8=R1またはR2
X=適当なカルボキシル保護基または樹脂
スキームVの工程Aにおいて、構造式(16)(式中、Xはメチルエステルのよう
な適当なα−カルボキシル保護基である)のα−アミノ酸をス
キームIIIの工程Aに記載の方法と同様にしてR6とカップリングさせてカップリ
ング生成物を得る。
スキームVの工程Bにおいて、カップリング生成物をスキームIIIの工程Cに
記載のような当該技術分野で良く知られている条件下で脱保護または固相から開
裂して構造式(17)の酸を得る スキームVの工程Cにおいて、酸(17)をN−メチ
ル化して構造式(18)のN−メチル化化合物を得る。例えば、酸(16)をテトラヒド
ロフランのような適当な有機溶媒に溶解し、約0℃まで冷却し、過剰の沃化メチ
ルで処理する。次に、1〜3当量の水素化ナトリウムを溶液に加え、それを0℃
で約10分間撹拌し、室温まで加温し、24〜48時間撹拌する。次に、生成物を抽出
法のような当該技術分野で良く知られている方法により単離する。例えば、希塩
酸水溶液を加え、反応混合物を酢酸エチルのような適当な有機溶媒で抽出する。
次に、有機抽出物を合一し、5%チオ硫酸ナトリウム、ブラインで洗浄し、無水
硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリカゲルのパッドを通してろ過し、真空下で濃
縮してN−メチル化化合物(18)を得る。
別法として、N−メチル化化合物(18)は酸(17)からスキームVの工程Dおよび
Eに記載の方法に従って製造することができる。
スキームVの工程Dにおいて、酸(17)を環化して構造式(17a)のオキサゾリジ
ンを得る。例えば、酸(17)をベンゼンのような適当な有機溶媒に溶解し、過剰の
パラホルムアルデヒドで処理する。これに約0.2〜0.4当量のp−トルエンスルホ
ン酸を加え、ディーン・スタークトラップを使用して連続的に水を除去しながら
反応混合物を約23時間加熱還流する。次に、反応混合物を室温まで冷却し、生成
物を当該技術分野で良く知られている方法により精製する。例えば、冷却した反
応混合物を真空下で
濃縮し、残留物を酢酸エチルのような適当な有機溶媒に取り、飽和重炭酸ナトリ
ウムで洗浄し、有機相を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、真空下で濃
縮する。次に、残留物を酢酸エチル/ヘキサンのような適当な溶媒を使用するシ
リカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製してオキサゾリジン(17
a)を得る。
スキームVの工程Eにおいて、オキサゾリジン(17a)を当該技術分野で良く知
られている条件下で還元して構造式(18)のN−メチル化化合物を得る。例えば、
オキサゾリジン(16a)をクロロホルムのような適当な有機溶媒に溶解し、過剰の
トリフルオロ酢酸で処理する。溶液に過剰のトリエチルシランを室温で撹拌しな
がら加える。反応混合物を1〜7日間撹拌し、真空下で濃縮してN−メチル化化
合物(18)を得る。
R3が水素である式(I)の化合物はスキームVIに記載のようにして製造すること
ができる。特に断りがなければ、すべての置換基は前記で定義された通りである
。スキームVIの酸(19)は当業者ならば商業的に入手可能であり、また例えば一般
にスキームI〜Vに記載の方法に従って得られる。試薬は当業者ならば容易に入
手可能である。
スキームVIの工程Aにおいて、構造式(19)の酸を環化反応に付して構造式(20)
のオキサゾリジノンを得る。例えば、酸(19)を適当な有機溶媒中で0.1〜0.3当量
のp−トルエンスルホン酸および過剰の構造式
(式中、R4およびR5は互いに独立して水素、アリール、C1-C4アルキルまたはベン
ジルである)のケトンまたはアルデヒドと混合する。上記のケ
トンおよびアルデヒドの例はパラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセト
ン、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、2−ブ
タノン、パレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒ
ド、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、2−
メチル−3−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、4−メチル−2−ペン
タノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、5−ノナノン、ベンズアルデヒド、
フェニルアセトアルデヒドなどである。適当な有機溶媒の例はベンゼン、1,2−
ジクロロエタン、トルエンなどである。好ましい有機溶媒はトルエンである。場
合により、酸(19)の重量の約3倍量の4Aモレキュラーシーブを反応混合物に加
えてもよい。次に、ディーン・スタークトラップを使用して連続的に水を除去し
ながら反応混合物を2〜24時間加熱還流する。次に、反応混合物を室温まで冷却
し、真空下で濃縮する。生成物を単離し、抽出法およびフラッシュクロマトグラ
フィーのような当該技術分野で良く知られている方法により精製する。例えば、
残留物を酢酸エチルのような適当な有機溶媒に溶解し、飽和重炭酸ナトリウムで
洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮する。次に、
生成物をヘキサン/酢酸エチルのような適当な溶離剤を用いるシリカゲル上のフ
ラッシュクロマトグラフィーにより精製してオキサゾリジノン(20)を得る。
工程Bにおいて、オキサゾリジノン(20)を当該技術分野で良く知られている条
件下で還元して式(Ia)のオキサゾリジンを得る。例えば、オキサゾリジノン(2
0)をトルエンのような適当な有機溶媒に溶解し、−78℃まで冷却する。約2.1当
量の適当な還元剤、例えば水素化ジイソブチルアルミニウムを加え、反応混合物
を−78℃で20分〜2時間撹拌する。
次に、反応混合物を希塩酸水溶液で注意しながら急冷し、反応混合物を室温まで
加温する。次に、生成物を単離し、抽出法およびフラッシュクロマトグラフィー
のような当該技術分野で良く知られている方法により精製する。例えば、反応混
合物を酢酸エチルのような適当な有機溶媒で抽出する。合一した有機抽出物を無
水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮する。次に、生成物を酢
酸エチル/ヘキサンのような適当な溶離剤を用いるシリカゲル上のフラッシュク
ロマトグラフィーにより精製して式(Ia)のオキサゾリジンを得る。
R3がC1-C4アルカノイルまたは4−モルホリンカルボニルである式(I)の化合
物はスキームVIIに記載のようにして製造することができる。特に断りがなけれ
ば、すべての置換基は前記で定義された通りである。試薬および出発物質は当業
者ならば容易に入手可能である。
R3′=C1−C4アルカノイル、
スキームVIIにおいて、式(Ia)のオキサゾリジンを当該技術分野で良く知ら
れている標準条件下でO−アシル化して式(Ib)のO−アシル化オキサゾリジン
を得る。例えば、式(Ia)のオキサゾリジンを塩化メチレンのような適当な有機
溶媒に溶解し、僅かに過剰な適当なトリアルキルアミン、例えばトリエチルアミ
ンで処理する。過剰のアルキル化剤を室温で加え、反応混合物を室温で1〜24時
間撹拌する。O−アシル化剤の例は塩化アセチル、塩化プロピオニル、塩化ブチ
リル、塩化イソブチリル、塩化ベンゾイル、塩化モルホリンカルボニル、塩化メ
チルスクシニル、塩化メチルオキサリル、塩化エチルオキサリル、塩化2−エチ
ルヘキサノイル、塩化4−メトキシフェニルアセチルなどである。次に、
反応混合物を真空下で濃縮する。次に、生成物を単離し、抽出法およびフラッシ
ュクロマトグラフィーのような当該技術分野で良く知られている方法により精製
する。例えば、残留物を希塩酸水溶液および適当な有機溶媒、例えば酢酸エチル
に溶解する。層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出する。有機層および有機抽出
物を合一し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮する。生
成物を酢酸エチル/ヘキサンのような適当な溶離剤を用いるシリカゲル上のフラ
ッシュクロマトグラフィーにより精製して式(Ib)のO−アシル化オキサゾリジ
ンを得る。
以下の実施例はスキームI〜VIIに記載のような典型的な合成法を示す。これ
らの実施例は単なる例示であり、本発明の範囲をまったく制限するものではない
。ここで使用される次の用語は表示した意味を有する:“g”はグラムを意味し
;“mmol”はミリモルを意味し;“ml”はミリリットルを意味し;“bp”は沸点
を意味し;“mp”は融点を意味し;“℃”は摂氏温度を意味し;“mmHg”は水銀
柱ミリメートルを意味し;“μl”はミクロリットルを意味し;“μg”はミクロ
グラムを意味し;“μM”はミクロモルを意味し;“Cbz”はカルボベンジルオキ
シを意味し;“DMF”はジメチルホルムアミドを意味し;“THF”はテトラヒドロ
フランを意味し;“TBAF”はフッ化テトラブチルアンモニウムを意味し;“NMM
”はN−メチルモルホリンを意味し;“DMSO”はジメチルスルホキシドを意味し
;“HOBT”はヒドロキシベンゾトリアゾールを意味し;そして“EDC”は1−(
3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩を意味する。
実施例 1
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−(フェニルメチ
ル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピル〕−カルバミ
ン酸フェニルメチルエステル(MDL 104,903)の製造
工程A
スキームVI、工程A;Cbz-Val-Phe-OH(4.67g、11.7ミリモル、シグマ化学会
社から入手した)をベンゼン(120ml)中でパラホルムアルデヒド(5g)および
p−トルエンスルホン酸一水和物(500mg、2.6ミリモル)と混合した。ディーン
・スターク(Dean-Stark)トラップを用いて連続的に水を除去しながら反応混合
物を23時間加熱還流した。次に、反応混合物を室温まで冷却し、真空下で濃縮し
た。残留物を酢酸エチル(100ml)に溶解し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(60ml
)を混合しながら加えた。層を分離し、水層を酢酸エチル(2×50ml)で抽出し
た。有機層および有機抽出物を合一し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリ
カゲルの短パッドに通し、濾液を真空下で濃縮した。次に、残留物をフラッシュ
クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、95:5→90:10→80:20、シリカ
ゲル)により精製して〔S−(R*,R*)〕−〔2−メチル−1−〔〔5−オキソ−
4−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕プロピル〕−カ
ルバミン酸フェニルメチルエステル(2.00g、42%)を泡状物として得た。
1804,1714,1659,1437,1233 cm-1; MS m/z 411(M+H+),367,268,234,206
,178,162,91
元素分析値(C23H26N2O5として):
計算値: C 67.31% H 6.38% N 6.83%
実測値: C 67.12% H 6.51% N 6.85%工程B
スキームVI、工程B;上記で製造した〔S−(R*,R*)〕−〔2−メチル−1−
〔〔5−オキソ−4−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕
プロピル〕−カルバミン酸フェニルメチルエステル(1.93g、4.7ミリモル)を
トルエン(60ml)に溶解し、溶液を−78℃まで冷却した。次に、溶媒を水素化ジイ
ソブチルアルミニウム(10ml、10ミリモル、1Mトルエン溶液、DIBAL-H)で処理
し、反応混合物を−78℃で30分間撹拌した。次に、1N HCl(60ml)を反応混合
物にゆっくりと加え、続いてそれを室温まで加温した。反応混合物を酢酸エチル
(3×50ml)で抽出した。合一した有機抽出物を無水硫酸マグネシウム上で乾燥
し、シリカゲルの短パッドに通し、濾液を真空下で濃縮した。次に、残留物をフ
ラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、95:5→90:10→80:20→
60:40、シリカゲル)により精製して最終の表題化合物(640mg、33%)を油状物
として得た。
1710,1640,1529,1454 cm-1; MS m/z 411(M+H+),383,339,275,91
元素分析値(C23H28N2O5として):
計算値: C 66.98% H 6.83% N 6.79%
実測値: C 66.88% H 7.07% N 6.81%
実施例 2
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−(アセチルオキシ)−4−(フェ
ニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピル〕−
カルバミン酸フェニルメチルエステル(MDL 104,860)の製造
スキームVII;実施例1で製造した表題化合物(250mg、0.6ミリモル)および
トリエチルアミン(0.3ml)を塩化メチレン(20ml)に溶解した。次に、塩化ア
セチル(0.3ml、4.2ミリモル)を室温で溶液に加え、反応混合物を一晩撹拌した
。反応混合物を真空下で濃縮し、残留物を酢酸エチル(30ml)および1N HCl(
30ml)に溶解した。層を分離し、水層を酢酸エチル(3×30ml)で抽出した。有
機層および有機抽出物を合一し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリカゲル
の短パッドに通し、濾液を真空下で濃縮した。残留物を分取用薄層クロマトグラ
フィー(ヘキサン/酢酸エチル、80:20、シリカゲル)により精製して表題化合
物(200mg、73%)を粘着性油状物として得た。
0.89,1.00(3つのd,6H,それぞれJ=6.6 Hz,CH(CH3)2,アミド結合についての
回転異性体),1.98および1.87(2つのs,3H,C(=O)CH3),2.00(m,1H,CH(CH3)2
),2.73,2.93および3.14(dd,d,d,H,J=13.6,9.6,7.1 Hzおよび13.8,3.9
Hz,CH2Ph),3.89および4.01(2つのt,1H,J=8.4,8.8 Hz,バリンのCHCH(CH3)2
),4.43および4.77(ddおよびt,1H,J=3.9,9.5 Hzおよび7.4 Hz,オキサゾリ
ジン環のCHCH2Ph),5.00-
5.30(一連のm,4H,OCH2PhおよびNCH2O-),5.34および5.53(2つのd,1H,J=9.0
,10.0 Hz,NH),5.47および6.15(2つのd,1H,比1:2.1,J=5.2および8.6 Hz
,OCHOC(=O)CH3),7.2-7.5(一連のm,10H,フェニル);13C NMR(75 MHz,CDCl3
)δ 171.71(18.03),18.97(19.45),20.86,30.93,35.80(38.32),58.08(58.9
1),62.11(62.28),66.97(67.03),78.38(78.76),97.36(97.92),156.15(156.26
),168.66(169.48),169.70(170.89); IR(ニート)3298(br),3032,2965,175
0,1715,1651,1233 cm-1; MS m/z 455(M+H+),395,351,252,234,162,91
元素分析値(C25H30N2O6として):
計算値: C 66.07% H 6.65% N 6.16%
実測値: C 65.76% H 6.60% N 6.16%
実施例 3
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−3−〔3−メチル−1−オキソ−2−〔〔(フェニ
ルメトキシ)カルボニル〕アミノ〕ブチル〕−4−(フェニルメチル)−5−オ
キサゾリジニルエステル4−モルホリンカルボン酸(MDL105,803)の製造
スキームVII;実施例1で製造した表題化合物(243mg、0.59ミリモル)を塩化
メチレン(30ml)に溶解した。4−ジメチルアミノピリジン(10mg、DMAP)を撹拌
しながら加えた。次に、トリエチルアミン(0.2ml、1.2ミリモル)および塩化4−
モルホリンカルボニル(0.1ml、0.86ミリモ
ル)を加え、反応混合物を室温で約20時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮
し、残留物を酢酸エチル(50ml)および1N HCl(20ml)に溶解した。層を分離
し、有機層をブライン(50ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、シ
リカゲルの短パッドに通し、濾液を真空下で濃縮した。得られた白色の固体を酢
酸エチル/ヘキサンから再結晶して表題化合物(200mg)を白色の固体として得
た。
1717,1659,1433,1242 cm-1
元素分析値(C28H35N3O2として):
計算値: C 63.99% H 6.71% N 8.00%
実測値: C 63.50% H 6.70% N 7.93%
実施例 4
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−(フェニルメチ
ル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピル〕メチル−カ
ルバミン酸フェニルメチルエステル(MDL 105,423)の製造
工程A
スキームV、工程D;Cbz-Val-OH(5.0g、20ミリモル)、p−トルエンスルホ
ン酸一水和物(300mg)およびパラホルムアルデヒド(4.0g)を1,2−ジクロロ
エタン(200ml)中で混合し、ディーン・スタークトラップを用いて連続的に水
を除去しながら一晩加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、真空下で濃縮
した。残留物を酢酸エチル(100ml)
に溶解し、飽和重炭酸ナトリウム(100ml)で洗浄した。水相を酢酸エチル(100ml
)で抽出した。有機相および抽出物を合一し、ブライン(100ml)で洗浄し、無
水硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリカゲルの短パッドに通し、真空下で濃縮し
て環化化合物(5.40g)を油状物として得た。工程B
スキームV、工程E;上記で製造した環化化合物(2.63g、10ミリモル)をク
ロロホルム(100ml)およびトリフルオロ酢酸(30ml)に溶解した。トリエチルシラ
ン(4.8ml、30ミリモル)を室温で撹拌しながら加えた。約1週間後、反応混合物
を真空下で濃縮して下記の酸(3.21g)
を粘着性油状物として得た。
上記の酸は次の方法に従って製造することもできる〔一般にPitzele,B.S.ら
のJ.Med.Chem.,37,888〜896(1994年)に開示されている方法を参照〕。工程C
スキームV、工程C;Cbz-Val-OH(10g、 39.8ミリモル)をTHF(200ml)に
溶解し、溶液を0℃まで冷却した。水素化ナトリウム(5g、120ミリモル、油中
60%分散液)を加え、20分間撹拌した。次に、沃化メチル(3ml、48.2ミリモル
)を加え、反応混合物を0℃で3時間、室温で一晩撹拌した。ゆっくりと水(100
ml)を加え、混合物をジエチルエーテル(50ml)で洗浄した。水層を6N HClで酸
性にして約pH3とし、酢酸エチル(4×100ml)で抽出した。有機抽出物を合一し
、5%チオ硫酸ナ
トリウム(100ml)、ブライン(100ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し
、シリカゲルの短パッドに通し、真空下で濃縮して出発物質および所望の酸(8.
74g)の混合物を得た。この混合物および追加のCbz-Val-OH(1.5g)をTHF(200m
l)に溶解した。溶液を0℃まで冷却した。水素化ナトリウム(5g、120ミリモ
ル、油中60%分散液)を加え、10分間撹拌した。次に、沃化メチル(6ml、96.4
ミリモル)を加え、反応混合物を一晩加熱還流した。室温まで冷却した後、水(1
00ml)および水酸化リチウム一水和物(3g)をゆっくりと加え、3時間撹拌し
た。混合物をジエチルエーテル(100ml)で洗浄した。水層を6N HClで酸性にし
て約pH3とし、酢酸エチル(3×100ml)で抽出した。有機抽出物を合一し、5%
チオ硫酸ナトリウム(100ml)、ブライン(100ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム
上で乾燥し、シリカゲルの短パッドに通し、濾液を真空下で濃縮した。残留物を
THF(100ml)および水(100ml)に溶解し、水酸化リチウム一水和物(3g)で処
理し、室温で2日間撹拌した。次に、反応混合物をジエチルエーテル(100ml)で
洗浄し、6N HClで酸性にして約pH3とした。水層を酢酸エチル(3×100ml)で
抽出した。有機抽出物を合一し、5%チオ硫酸ナトリウム(100ml)、ブライン(1
00ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリカゲルの短パッドに通し、
濾液を真空下で濃縮して酸(1.19g)を得た。工程D
スキームIII、工程B;HCl・Phe-OCH3(2.92g、11ミリモル)をDMF(20ml)に溶
解し、溶液を0℃まで冷却した。トリエチルアミン(1.7ml、12ミリモル)を加え
、10分間撹拌した。次に、上記で生成した酸(10ミリモル、100mlのTHFに溶解、
上記の別法の何れかで生成した酸が使用されうる)を加え、その後HOBT(1.62g
、12ミリモル)およびEDC(2.3g、
12ミリモル)を加えた。反応混合物を0℃で3時間、次に室温で一晩撹拌した。
反応混合物を真空下で濃縮し、残留物を1N HCl(100ml)に取り、酢酸エチル(3
×100ml)で抽出した。有機抽出物を合一し、飽和重炭酸ナトリウム(100ml)、
ブライン(100ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリカゲルの
短パッドに通し、真空下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(
シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル、95:5→9:1→8:2→6:4)により
精製してカップリング生成物(3.65g、86%)を得た。工程E
スキームIII、工程C;上記で製造したカップリング生成物(3.30g)をTHF(
100ml)および水(50ml)に溶解した。水酸化リチウム一水和物(900mg)を加え、
反応混合物を室温で一晩撹拌した。次に、反応混合物をジエチルエーテル(100ml
)で洗浄し、水層を6N HClで酸性にして約pH2とした。次に、酸性にした水層
を酢酸エチル(3×100ml)で抽出した。有機抽出物を合一し、無水硫酸マグネシ
ウム上で乾燥し、シリカゲルの短パッドに通し、濾液を真空下で濃縮して酸(2.
47g、77%)を油状物として得た。工程F
スキームVI、工程A;上記で製造した酸(2.40g、5.8ミリモル)を1,2−ジクロ
ロエタン(200ml)中でパラホルムアルデヒド(4.0g)およびp−トルエンスル
ホン酸一水和物(200mg)と混合し、ディーン・スタークトラップを用いて連続的
に水を除去しながら6時間加熱還流した。冷却後、追加量のパラホルムアルデヒ
ド(2.0g)を加え、連続的に水を除去しながら反応混合物を一晩加熱還流した。冷
却後、反応混合物を真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル(200ml)に溶解し、
飽和重炭酸ナト
リウム(100ml)、ブライン(100ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥
し、シリカゲルの短パッドに通し、濾液を真空下で濃縮した。残留物をフラッシ
ュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル、9:1→8:2)
により精製して環化化合物(980mg、40%)を粘着性油状物として得た。工程G
スキームVI、工程B;上記で製造した環化化合物(1.90g、4.48ミリモル)を
トルエン(50ml)に溶解し、溶液を−78℃まで冷却した。撹拌しながら水素化ジ
イソブチルアルミニウム(6mlの1Mトルエン溶液、6ミリモル)を加え、1時
間撹拌した。次に、水(20ml)を加え、混合物を1N HCl(100ml)に注いだ。
混合物を酢酸エチル(3×100ml)で抽出した。有機抽出物を合一し、ブライン
(100ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリカゲルの短パッド
に通し、濾液を濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル
、ヘキサン/酢酸エチル、8:2→6:4)により精製して最終の表題化合物(
540mg)を油状物として得た。
実施例 5
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−(フェニルメチ
ル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−3−メチルブチル〕メチル−カル
バミン酸フェニルメチルエステルの製造
工程A
スキームV、工程C;Cbz-Leu(5.80g、21.9ミリモル、シグマ化学会社から入
手した)をテトラヒドロフラン(150ml)に溶解した。沃化メチル(11ml,,176ミリ
モル)を加え、溶液を0℃まで冷却した。水素化ナトリウム(3g、77ミリモル
、油中60%分散液)を溶液に加え、反応混合物を10分間撹拌し、室温まで加温し
、約40時間撹拌した。次に、1N HCl(100ml)を加え、反応混合物を酢酸エチ
ル(3×100ml)で抽出した。有機抽出物を合一し、5%チオ硫酸ナトリウム(100m
l)、ブライン(100ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリカゲル
の短パッドに通し、濾液を真空下で濃縮してN−メチル化生成物(7.36g)を油
状物として得た。工程B
スキームIII、工程B;HCl・Phe-OCH3(4.75g、22ミリモル)をDMF(30ml)に溶
解した。溶液を0℃まで冷却し、トリエチルアミン(6.2ml、44ミリモル)を加え
た。10分後、上記で製造したN−メチル化化合物の溶液(7.36g、130mlのDMFに
溶解した)を溶液に加え、次にHOBT(2.97g、22ミリモル)およびEDC(4.2g、
22ミリモル)を加えた。反応混合物を0℃で3時間撹拌し、次に室温まで一晩加
温した。次に、反応混合物を真空下で濃縮し、残留物を酢酸エチル(100ml)に
取り、1N HCl(100ml)で洗浄した。洗浄液を酢酸エチル(2×100ml)で抽出し
た。有機層および有機抽出物を合一し、飽和重炭酸ナトリウム(100ml)、ブライ
ン(100ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリカゲルの短パッド
に通し、濾液を真空下で濃縮してカップリング生成物(10.26g)を油状物とし
て得た。工程C
スキームIII、工程C;上記のカップリング生成物(10.26g)をTHF(100ml)およ
び水(100ml)に溶解した。混合物を水酸化リチウム・H2O(1.0g)で処理し、反
応混合物を室温で2時間撹拌した。次に、反応混合物をジエチルエーテル(100ml
)で洗浄し、水層を6N HClで酸性にして約pH2とした。次に、水層を酢酸エチ
ル(3×100ml)で抽出した。有機抽出物を合一し、ブライン(100ml)で洗浄し、無
水硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリカゲルの短パッドに通し、真空下で濃縮し
て酸(7.63g)を粘着性油状物として得た。工程D
スキームVI、工程A;上記で製造した酸(7.50g、17.6ミリモル)を1,2−ジ
クロロエタン(200ml)中でパラホルムアルデヒド(6.0g)、p−トルエンスルホ
ン酸・H2O(700mg)および4Aモレキュラーシーブ(19g)と混合した。ディー
ン・スタークトラップを用いて水を除去しながら反応混合物を2.5時間加熱還流
した。次に、反応混合物を室温まで冷却し、溶液を酢酸エチル(400ml)でシリカ
ゲルの短パッドに通した。濾液を真空下で濃縮し、残留物をフラッシュクロマト
グラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル、95:5→9:1→8:2)に
より精製して環化化合物(5.19g、67%)を粘着性油状物として得た。工程E
スキームVI、工程B;上記の環化化合物(4.7ミリモル)をトルエン(60ml)中
でDIBAL(10ミリモル)を使用して実施例1の工程に記載の方法と同様に還元し
た。
実施例 6
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−(フェニルメチ
ル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−3−メチルブチル〕カ
ルバミン酸フェニルメチルエステルの製造
工程A
スキームIII、工程B;HCl・Phe-O-t−ブチル(4.65g、18ミリモル)をDMF(4
0ml)中で懸濁した。懸濁液を0℃まで冷却し、トリエチルアミン(5.6ml、40ミ
リモル)を加えた。10分間撹拌した後、THF(50ml)を加え、次にCbz-Leu-OH(4
.77g、18ミリモル、100mlのTHF中)、HOBT(2.6g、19ミリモル)およびEDC(3
.63g、19ミリモル)を加えた。反応混合物を0℃で3時間、次に室温で一晩撹
拌した。次に、反応混合物を真空下で濃縮した。残留物を1N HCl(100ml)に溶
解し、水層を酢酸エチル(4×100ml)で抽出した。有機抽出物を合一し、飽和炭
酸ナトリウム(100ml)、ブライン(100ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上
で乾燥し、シリカゲルの短パッドに通し、濾液を真空下で濃縮してカップリング
生成物(9.93g)を油状物として得た。工程B
スキームIII、工程C;上記のカップリング生成物(9.93g)を塩化メチレン
(20ml)に溶解し、トリフルオロ酢酸(10ml)で処理した。反応混合物を室温で
一晩撹拌し、次に真空下で濃縮して酸を粘着性油状物として得た。工程C
スキームVI、工程A;上記で製造した酸を1,2−ジクロロエタン(200ml)に溶
解し、パラホルムアルデヒド(5g)、p−トルエンスルホン
酸一水和物(500mg)および4Aモレキュラーシーブ(19g)で処理した。ディー
ン・スタークトラップを用いて連続的に水を除去しながら反応混合物を約18時間
加熱還流した。次に、反応混合物を室温まで冷却し、シリカゲルの短パッドに通
した。濾液を真空下で濃縮し、油状物を得た。上記のシリカゲルパッドを酢酸エ
チル(300ml)で洗浄し、それを上記の油状物と合一し、飽和重炭酸ナトリウム(1
00ml)、ブライン(100ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリ
カゲルの短パッドに通し、真空下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラ
フィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル、9:1→8:2→6:4)により
精製して環化化合物(1.04g)を泡状物として得た。工程D
スキームVI、工程B;上記の環化化合物(4.7ミリモル)をトルエン(60ml)中
でDIBAL(10ミリモル)を使用して実施例1の工程に記載の方法と同様に還元し
て最終の表題化合物を得た。
実施例 7
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−N−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−(フェニル
メチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピル〕−4−
モルホリンカルボキサミドの製造
工程A
L−バリン(6.4g、54.6ミリモル)を水(100ml)中で水酸化ナトリウム(6.
6g、160ミリモル)と混合した。溶液を0℃まで冷却し、ジエチルエーテル(10
0ml)中における塩化4−モルホリンカルボニル(8ml、68.6ミリモル)の溶液を
撹拌しながら滴加した。反応混合物を0℃で3時間、次に室温で一晩撹拌した。
層を分離し、水層を6N HClで酸性にして約pH2とした。次に、酸性にした水層
を酢酸エチル(3×100ml)で抽出した。有機抽出物を合一し、無水硫酸マグネシ
ウム上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮してカップリング生成物(5.88g)を得
た。工程B
スキームIII、工程B;HCl・Phe-OCH3(4.32g、20ミリモル)をDMF(20ml)に溶
解し、溶液を0℃まで冷却した。トリエチルアミン(6ml)を加え、10分間撹拌
した。次に、上記で生成したカップリング生成物(4.56g、19.83ミリモル、150
mlのTHFに溶解した)を加え、次にHOBT(2.83g、21ミリモル)およびEDC(4.0
g、21ミリモル)を加えた。反応混合物を0℃で3時間、次に室温で一晩撹拌し
た。反応混合物を真空下で濃縮し、残留物を1N HCl(100ml)に取り、酢酸エ
チル(3×100ml)で抽出した。有機抽出物を合一し、飽和重炭酸ナトリウム(10
0ml)、ブライン(100ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリカゲ
ルの短パッドに通し、真空下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィ
ー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル)により精製してカップリング生成物(
5.60g、72%)を粘着性油状物として得た。工程C
スキームIII、工程C;上記で製造したカップリング生成物(5.6g、14.3ミリ
モル)をTHF(100ml)および水(100ml)に溶解した。水酸化リ
チウム一水和物(670mg、16ミリモル)を加え、反応混合物を室温で2時間撹拌し
た。次に、反応混合物をジエチルエーテル(100ml)で洗浄し、水層を6N HCl
で酸性にして約pH2とした。次に、酸性にした水層を酢酸エチル(3×100ml)で
抽出した。有機抽出物を合一し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリカゲル
の短パッドに通し、濾液を真空下で濃縮して酸(4.58g、85%)を泡状固体とし
て得た。工程D
スキームVI、工程A;上記で製造した酸(5.8ミリモル)を1,2−ジクロロエタ
ン(200ml)中でパラホルムアルデヒド(4.0g)およびp−トルエンスルホン酸
一水和物(200mg)と混合し、ディーン・スタークトラップを用いて連続的に水を
除去しならがら6時間加熱還流した。冷却後、反応混合物を真空下で濃縮した。
残留物を酢酸エチル(200ml)に溶解し、飽和重炭酸ナトリウム(100ml)、ブライ
ン(100ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリカゲルの短パッ
ドに通し、濾液を真空下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(
シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル)により精製して環化化合物を得た。工程E
スキームVI、工程B;上記で製造した環化化合物(4.48ミリモル)をトルエン
(50ml)に溶解し、溶液を−78℃まで冷却した。撹拌しながら水素化ジイソブチル
アルミニウム(6mlの1Mトルエン溶液、6ミリモル)を加え、1時間撹拌した。
次に、水(20ml)を加え、混合物を1N HCl(100ml)に注いだ。混合物を酢酸エ
チル(3×100ml)で抽出した。有機抽出物を合一し、ブライン(100ml)で洗浄
し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリカゲルの短パッドに通し、濾液を濃
縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸
エチル)
により精製して最終の表題化合物を得た。
実施例 8
〔4S−〔4α,5β〕〕−5−ヒドロキシ−4−(フェニルメチル)−3−オキサ
ゾリジンカルボン酸フェニルメチルエステルの製造
工程A
スキームVI;工程A;Cbz-Phe-OH(2.5g)をトルエン(100ml)中でパラホル
ムアルデヒド(5.0g)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(500mg)と混合し、
ディーン・スタークトラップを用いて連続的に水を除去しながら20時間加熱還流
した。反応混合物を室温まで冷却し、真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル(1
00ml)に取り、飽和重炭酸ナトリウム(100ml)、ブライン(100ml)で洗浄し、
無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリカゲルの短パッドに通し、真空下で濃縮
した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エ
チル、9:1→8:2)により精製し、次に酢酸エチル/ヘキサンから再結晶し
、第2生成物の結晶を回収して環化化合物(2.10g、81%)を白色の固体として
得た。
1433 cm-1
元素分析値(C18H17NO4として):
計算値: C 69.44% H 5.50% N 4.50%
実測値: C 69.30% H 5.51% N 4.46%工程B
スキームVI、工程B;上記の環化化合物(4.7ミリモル)をトルエン(60ml)中
でDIBAL(10ミリモル)を使用して実施例1の工程に記載の方法と同様に還元し
て最終の表題化合物を得た。
実施例 9
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−(ブチリルオキシ)−4−(フェ
ニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピル〕−
カルバミン酸フェニルメチルエステル(MDL 103,821)の製造
スキームVII;〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−(ヒドロキシ−4
−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロ
ピル〕−カルバミン酸フェニルメチルエステル(0.6ミリモル、実施例1で製造し
た)をトリエチルアミン(0.3ml)と一緒に塩化メチレン(20ml)に溶解した。塩化
ブチリル(4.2ミリモル)を室温で溶液に加え、反応混合物を一晩撹拌した。反応
混合物を真空下で濃縮し、残留物を酢酸エチメ(30ml)および1N HCl(30ml)
に溶解した。層を分離し、水層を酢酸エチル(3×30ml)で抽出した。有機層お
よび有機抽出物を合一し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリカゲルの短パ
ッドに通し、濾液を真空下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー
(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル)により精製して表題化合物を得た。
実施例 9A
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−(ブチリルオキシ)−4−(フェ
ニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピル〕−
カルバミン酸フェニルメチルエステル(MDL 103,821)の別法による製造
スキームVII;〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−(ヒドロキシ−4
−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロ
ピル〕−カルバミン酸フェニルメチルエステル(0.375g、0.909ミリモル、実施
例1で製造した)を塩化メチレン(3.6ml)に溶解した。N−メチルモルホリン(
0.202g、2.00ミリモル)および塩化ブチリル(0.194g、1.82ミリモル)を加え、
密閉したマイクロバイアル中において反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混
合物を1N HCl(25ml)、飽和NaHCO3(1×25ml)と一緒に分液ロートに移し、MgSO4
上で乾燥した。溶媒を真空下で除去し、残留物をフラッシュクロマトグラフィ
ー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル(2:1)、塩化メチレンと一緒に充填)
により精製して表題化合物(0.328g)を粘稠な透明で無色の油状物として得た。
実施例 10
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−
(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピ
ル〕−カルバミン酸フェニルメチルエステルの製造
工程A
スキームVI;工程A;Cbz-Val-Phe-OH(4.67g、11.7ミリモル、シグマ化学会
社から入手した)をベンゼン(120ml)中でアセトン(5g)およびp−トルエン
スルホン酸一水和物(500mg、2.6ミリモル)と混合した。ディーン・スタークト
ラップを用いて連続的に水を除去しならがら反応混合物を約23時間加熱還流した
。反応混合物を室温まで冷却し、真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル(100ml
)に溶解し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(60ml)で洗浄した。水層を酢酸エチ
ル(2×50ml)で抽出した。有機層および有機抽出物を合一し、無水硫酸マグネ
シウム上で乾燥し、シリカゲルの短パッドに通し、濾液を真空下で濃縮した。次
に、残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して環化化合物を得た。工程B
スキームVI、工程B;上記の環化化合物(4.7ミリモル)をトルエン(60ml)中
でDIBAL(10ミリモル)を使用して実施例1の工程に記載の方法と同様に還元し
て最終の表題化合物を得た。
実施例 11
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−(アセチルオキシ)−2,2−ジメチ
ル−4−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチ
ルプロピル〕−カルバミン酸フェニルメチルエステルの製造
スキームVII;〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−(ヒドロキシ−2,
2−ジメチル−4−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−
2−メチルプロピル〕−カルバミン酸フェニルメチルエステル(0.6ミリモル、
実施例10で製造した)およびトリエチルアミン(0.3ml)を塩化メチレン(20ml
)に溶解した。次に、塩化アセチル(0.3ml、4.2ミリモル)を室温で溶液に加え、
反応混合物を一晩撹拌した。次に、反応混合物を真空下で濃縮し、残留物を酢酸
エチル(30ml)および1N HCl(30ml)に溶解した。層を分離し、水層を酢酸エ
チル(3×30ml)で抽出した。有機層および有機抽出物を合一し、無水硫酸マグネ
シウム上で乾燥し、シリカゲルの短パッドに通し、濾液を真空下で濃縮した。残
留物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、80:20、シリカ
ゲル)により精製して表題化合物を得た。
実施例 12
〔2R−〔2α,3,(S*),4β,5α〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−2−メチル−4
−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロ
ピル〕−カルバミン酸フェニルメチルエステル(C);および〔2R-〔2α,3,(S*),
4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−2−メチル−4−(フェニルメチル
)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピル〕−カルバミン
酸フェニルメチルエステル(D)の製造
工程A
スキームVI;工程A;Cbz-Val-Phe-OH(4.67g、11.7ミリモル、シグマ化学会
社から入手した)をベンゼン(120ml)中でアセトアルデヒド(5g)およびp−ト
ルエンスルホン酸一水和物(500mg、2.6ミリモル)と混合した。ディーン・スタ
ークトラップを用いて連続的に水を除去しならがら反応混合物を約23時間加熱還
流した。反応混合物を室温まで冷却し、真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル
(100ml)に溶解し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(60ml)で洗浄した。洗浄液を
酢酸エチル(2×50ml)で抽出した。有機層および有機抽出物を合一し、無水硫
酸マグネシウム上で乾燥し、シリカゲルの短パッドに通し、濾液を真空下で濃縮
して環化化合物を異性体AおよびBの混合物として得た。
上記の異性体はフラッシュクロマトグラフィーにより混合物から個々に単離す
ることができる。あるいは、混合物を還元工程に付し、DIBALで還元した後、異
性体を分離することができる。工程B
スキームVI、工程B;上記の環化化合物AまたはB(4.7ミリモル)、あるい
は化合物AおよびBの混合物の何れかをトルエン(60ml)中でDIBAL(10ミリモ
ル)を使用して実施例1の工程に記載の方法と同様に還元して最終の表題化合物
CおよびDを得た。
実施例 13
〔2R−〔2α,3,(S*),4β,5α〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−2−(フェニル
メチル)−4−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2
−メチルプロピル〕−カルバミン酸フェニルメチルエステル(C);および〔2S−
〔2α,3,(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−2−(フェニルメチル
)−4−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチ
ルプロピル〕−カルバミン酸フェニルメチルエステル(D)の製造
工程A
スキームVI;工程A;Cbz-Val-Phe-OH(4.67g、11.7ミリモル、シグマ化学会
社から入手した)をベンゼン(120ml)中でフェニルアセトアルデヒド(5g)お
よびp−トルエンスルホン酸一水和物(500mg、2.6ミリモル)と混合した。ディ
ーン・スタークトラップを用いて連続的に水を除去しならがら反応混合物を約23
時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、真空下で濃縮した。残留物を
酢酸エチル(100ml)に溶解し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(60ml)で洗浄した
。洗浄液を酢酸エチル(2×50ml)で抽出した。有機層および有機抽出物を合一
し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリカゲルの短パッドに通し、濾液を真
空下で濃縮して環化化合物を異性体AおよびBの混合物として得た。
上記の異性体はフラッシュクロマトグラフィーにより混合物から単離すること
ができる。あるいは、混合物を還元工程に付し、DIBALで還元した後、異性体を
分離することができる。工程B
スキームVI、工程B;上記の環化化合物AまたはB(4.7ミリモル)、あるい
は化合物AおよびBの混合物の何れかをトルエン(60ml)中でDIBAL(10ミリモ
ル)を使用して実施例1の工程Bに記載の方法と同様に還元して最終の表題化合
物CおよびDを得た。
実施例 14
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−〔(4−ヒドロキ
シフェニル)メチル〕−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロ
ピル〕−カルバミン酸フェニルメチルエステルの製造
工程A
スキームIII、工程B;HCl・Tyr−O−t−ブチル(18ミリモル)をDMF(40ml)中
で懸濁した。懸濁液を0℃まで冷却し、トリエチルアミン(5.6ml、40ミリモル)
を加えた。10分間撹拌した後、THF(50ml)を加え、次にCbz-Val-OH(18ミリモル
、100mlのTHF中)、HOBT(2.6g、19ミリモル)およびEDC(3.63g、19ミリモル)
を加えた。反応混合物を0℃で3時間、次に室温で一晩撹拌した。次に、反応混
合物を真空下で濃縮した。残留物を1N HCl(100ml)に溶解し、水層を酢酸エ
チル(4×100ml)
で抽出した。有機抽出物を合一し、飽和炭酸ナトリウム(100ml)、ブライン(100m
l)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮してカッ
プリング生成物を得た。工程B
スキームIII、工程C;上記のカップリング生成物を塩化メチレン(20ml)に
溶解し、トリフルオロ酢酸(10ml)で処理した。反応混合物を室温で一晩撹拌し
、次に真空下で濃縮して酸を粘着性油状物として得た。工程C
スキームVI、工程A;上記で製造した酸(5.8ミリモル)をパラホルムアルデ
ヒド(4.0g)、p−トルエンスルホン酸一水和物(200mg)および1,2−ジクロ
ロエタン(200ml)を使用して実施例1の工程Aに記載の方法と同様に環化し、
フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル)により処
理して環化化合物を得た。工程D
スキームVI、工程B;上記の環化化合物(4.7ミリモル)をトルエン(60ml)中
でDIBAL(10ミリモル)を使用して実施例1の工程Bに記載の方法と同様に還元
して最終の表題化合物を得た。
実施例 15
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−〔(4−メトキシ
フェニル)メチル〕−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピ
ル〕−カルバミン酸フェニルメチルエステルの製造
工程A
スキームIII;工程B;無水ジクロロメタン(15ml)中におけるN−ベンジル
オキシカルボニル−L−バリン無水物(0.339g、0.7ミリモル)の溶液に、O−
メチル−L−チロシン、ベンジルエステル、トルエン−4−スルホネート(0.33
0g、0.7ミリモル)およびN−メチルモルホリン(0.081g、0.8ミリモル)を加
えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、残留物
をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、2:8の酢酸エチル/シクロヘ
キサン)により精製してカップリング化合物を得た。工程B
スキームIII、工程C;上記で製造したカップリング生成物(14.3ミリモル)
をTHF(100ml)および水(100ml)に溶解した。水酸化リチウム一水和物(670mg、16
ミリモル)を加え、反応混合物を室温で2時間撹拌した。次に、反応混合物をジ
エチルエーテル(100ml)で洗浄し、水層を6N HClで酸性にして約pH2とした
。酸性にした水層を酢酸エチル(3×100ml)で抽出した。有機抽出物を合一し、
無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、濾液を真空下で濃縮して酸を得た。工程C
スキームVI、工程A;上記で製造した酸(5.8ミリモル)をパラホルムアルデヒ
ド(4.0g)、p−トルエンスルホン酸一水和物(200mg)および1,2−ジクロロ
エタン(200ml)を使用して実施例1の工程Aに記載の方法と同様に環化し、フ
ラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル)により処理
して環化化合物を得た。工程D
スキームVI、工程B;上記の環化化合物(4.7ミリモル)をトルエン
(60ml)中でDIBAL(10ミリモル)を使用して実施例1の工程Bに記載の方法と同
様に還元して最終の表題化合物を得た。
実施例 16
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−〔(4−ニトロフ
ェニル)メチル〕−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピル
〕−カルバミン酸フェニルメチルエステルの製造
工程A
スキームIII;工程B;無水ジクロロメタン(50ml)中における無水L−バリ
ン(4.80g、10ミリモル)の溶液に、4−ニトロ−L−フェニルアラニンメチル
エステル(2.24g、10ミリモル)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。反応
混合物を真空下で濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル
、4:6の酢酸エチル/シクロヘキサン)により精製してN−ベンジルオキシカ
ルボニル−L−バリル−4−ニトロ−L−フェニルアラニンメチルエステルを得
た。Rf=0.32(1:1の酢酸エチル/シクロヘキサン)。工程B
スキームIII、工程C;N−ベンジルオキシカルボニル−L−バリル−4−ニ
トロ−L−フェニルアラニンメチルエステル(14.3ミリモル、上記で製造した)
をTHF(100ml)および水(100ml)に溶解した。水酸化リチウム一水和物(670mg、1
6ミリモル)を加え、反応混合物を室温で2時
間撹拌した。次に、反応混合物をジエチルエーテル(100ml)で洗浄し、水層を
6N HClで酸性にして約pH2とした。酸性にした水層を酢酸エチル(3×100ml)
で抽出した。有機抽出物を合一し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、
濾液を真空下で濃縮して酸を得た。工程C
スキームVI、工程A;上記で製造した酸(5.8ミリモル)をパラホルムアルデヒ
ド(4.0g)、p−トルエンスルホン酸一水和物(200mg)および1,2−ジクロロ
エタン(200ml)を使用して実施例1の工程Aに記載の方法と同様に環化し、フ
ラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル)により処理
して環化化合物を得た。工程D
スキームVI、工程B;上記の環化化合物(4.7ミリモル)をトルエン(60ml)中
でDIBAL(10ミリモル)を使用して実施例1の工程Bに記載の方法と同様に還元
して最終の表題化合物を得た。
実施例 17
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔4−〔(4−アミノフェニル)メチル〕
−5−ヒドロキシ−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピル
〕−カルバミン酸フェニルメチルエステルの製造
工程A
無水エタノール(50ml)およびN,N−ジメチルホルムアミド(5ml)
中におけるN−ベンジルオキシカルボニル−L−バリル−4−ニトロ−L−フェ
ニルアラニンメチルエステル(0.91g、2ミリモル、実施例15で製造した)およ
び塩化スズ(II)二水和物(1.56g、7ミリモル)の溶液を4時間加熱還流した。
混合物を冷却し、水で希釈し、炭酸水素ナトリウムで中和し、酢酸エチル(3×
50ml)で抽出した。有機抽出物を合一し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾
過し、真空下で濃縮してアミン化合物を得た。工程B
スキームIII、工程C;上記で製造したアミノ化合物(14.3ミリモル)を水(1
00ml)およびTHF(100ml)中で水酸化リチウム一水和物(16ミリモル)を使用して
実施例16の工程Bに記載の方法と同様に脱保護して酸を得た。工程C
スキームVI、工程A;上記で製造した酸(5.8ミリモル)をパラホルムアルデヒ
ド(4.0g)、p−トルエンスルホン酸一水和物(200mg)および1,2−ジクロロ
エタン(200ml)を使用して実施例1の工程Aに記載の方法と同様に環化し、フ
ラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル)により処理
して環化化合物を得た。工程D
スキームVI、工程B;上記の環化化合物(4.7ミリモル)をトルエン(60ml)中
でDIBAL(10ミリモル)を使用して実施例1の工程Bに記載の方法と同様に還元
して最終の表題化合物を得た。
実施例 18
〔4S−〔3〔R*(1R*,2R*)〕,4α,5β〕〕−〔1−〔〔〔1−〔〔5−ヒドロキシ
−4−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−
メチルプロピル〕アミノ〕カルボニル〕−2−メチルブチル−カルバミン酸フェ
ニルメチルエステルの製造
工程A
スキームIII;工程A;HCl・Phe-OCH3(4.75g、22ミリモル)をDMF(30ml)に溶
解した。溶液を0℃まで冷却し、トリエチルアミン(6.2ml,,44ミリモル)を加え
た。10分後、N−t−ブトキシカルボニル−Valの溶液(22ミリモル、130mlのDM
Fに溶解した)を溶液に加え、次にHOBT(2.97g、22ミリモル)およびEDC(4.2
g、22ミリモル)を加えた。反応混合物を0℃で3時間撹拌し、次に室温まで一
晩加温した。次に、反応混合物を真空下で濃縮し、残留物を酢酸エチル(100ml
)に取り、1N HCl(100ml)で洗浄した。洗浄液を酢酸エチル(2×100ml)で
抽出した。有機層および有機抽出物を合一し、飽和重炭酸ナトリウム(100ml)、
ブライン(100ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリカゲルの短
パッドに通し、濾液を真空下で濃縮してカップリング生成物を得た。工程B
スキームIV、工程B1;上記のカップリング生成物を塩化メチレン(20ml)に溶
解し、トリルフルオロ酢酸(10ml)で処理した。反応混合物を室温で一晩撹拌し
、真空下で濃縮して脱保護アミンを得た。工程C
スキームIV、工程B2;上記で製造した脱保護アミン(22ミリモル)をDMF(30ml
)に溶解した。溶液を0℃まで冷却し、トリエチルアミン(6.2ml、44ミリモル)を
加えた。10分後、Cbz-Ileの溶液(22ミリモル、130mlのDMFに溶解した)を溶液
に加え、次にHOBT(2.97g、22ミリモル)およびEDC(4.2g、22ミリモル)を加え
た。反応混合物を0℃で3時間撹拌し、次に室温まで一晩加温した。次に、反応
混合物を真空下で濃縮し、残留物を酢酸エチル(100ml)に取り、1N HCl(100
ml)で洗浄した。洗浄液を酢酸エチル(2×100ml)で抽出した。有機層および有
機抽出物を合一し、飽和重炭酸ナトリウム(100ml)、ブライン(100ml)で洗浄
し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリカゲルの短パッドに通し、濾液を真
空下で濃縮してカップリング生成物を得た。工程D
スキームIV、工程C;上記で製造したカップリング生成物(14.3ミリモル)を
水(100ml)およびTHF(100ml)中で水酸化リチウム一水和物(16ミリモル)を
使用して実施例16の工程Bに記載の方法と同様に脱保護して酸を得た。工程E
スキームVI、工程A;上記で製造した酸(5.8ミリモル)をパラホルムアルデヒ
ド(4.0g)、p−トルエンスルホン酸一水和物(200mg)および1,2−ジクロロ
エタン(200ml)を使用して実施例1の工程Aに記載の方法と同様に環化し、フ
ラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル)により処理
して環化化合物を得た。工程F
スキームVI、工程B;上記の環化化合物(4.7ミリモル)をトルエン(60ml)中
でDIBAL(10ミリモル)を使用して実施例1の工程Bに記載の方法と同様に還元
して最終の表題化合物を得た。
実施例 19
〔4S-〔3〔R*(1R*,2R*)〕,4α,5β〕〕−〔1−〔〔〔1−〔〔5−(アセチル
オキシ)−4−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2
−メチルプロピル〕アミノ〕カルボニル〕−2−メチルブチル−カルバミン酸フ
ェニルメチルエステルの製造
スキームVII;〔4S−〔3〔R*(1R*,2R*)〕,4α,5β〕〕−〔1−〔〔〔1−〔
〔5−ヒドロキシ−4−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニ
ル〕−2−メチルプロピル〕アミノ〕カルボニル〕−2−メチルブチル−カルバ
ミン酸フェニルメチルエステル(0.6ミリモル、実施例18で製造した)およびトリ
エチルアミン(0.3ml)を塩化メチレン(20ml)に溶解した。次に、塩化アセチル
(0.3ml、4.2ミリモル)を室温で溶液に加え、反応混合物を一晩撹拌した。次に
、反応混合物を真空下で濃縮し、残留物を酢酸エチル(30ml)および1N HCl(
30ml)に溶解した。層を分離し、水層を酢酸エチル(3×30ml)で抽出した。有
機層および有機抽出物を合一し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリカゲル
の短パッドに通し、濾液を真空下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグ
ラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、80:20、シリカゲル)により精製して表題化
合物を得た。
実施例 20
〔4S−〔3〔R*(!R*)〕,4α,5β〕〕−〔1−〔〔〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4
−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロ
ピル〕アミノ〕カルボニル〕−2−メチルプロピル−カルバミン酸フェニルメチ
ルエステルの製造
工程A
スキームIV;工程B2;実施例17の工程Bで製造した脱保護アミン(22ミリモル
)をDMF(30ml)に溶解した。溶液を0℃まで冷却し、トリエチルアミン(6.2ml、
44ミリモル)を加えた。10分後、Cbz-Valの溶液(22ミリモル、130mlのDMFに溶
解した)を溶液に加え、次にHOBT(2.97g、22ミリモル)およびEDC(4.2g、22
ミリモル)を加えた。反応混合物を0℃で3時間撹拌し、次に室温まで一晩加温
した。次に、反応混合物を真空下で濃縮し、残留物を酢酸エチル(100ml)に取
り、1N HCl(100ml)で洗浄した。洗浄液を酢酸エチル(2×100ml)で抽出した
。有機層および有機抽出物を合一し、飽和重炭酸ナトリウム(100ml)、ブライン(
100ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリカゲルの短パッドに通
し、濾液を真空下で濃縮してカップリング生成物を得た。工程B
スキームIV、工程C;上記で製造したカップリング生成物(14.3ミリモル)を
水(100ml)およびTHF(100ml)中で水酸化リチウム一水和物(16ミリモル)を
使用して実施例16の工程Bに記載の方法と同様に脱保護して酸を得た。工程C
スキームVI、工程A;上記で製造した酸(5.8ミリモル)をパラホルムアルデヒ
ド(4.0g)、p−トルエンスルホン酸一水和物(200mg)および1,2−ジクロロ
エタン(200ml)を使用して実施例1の工程Aに記載の方法と同様に環化し、フ
ラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル)により処理
して環化化合物を得た。工程D
スキームVI、工程B;上記の環化化合物(4.7ミリモル)をトルエン(60ml)中
でDIBAL(10ミリモル)を使用して実施例1の工程Bに記載の方法と同様に還元
して最終の表題化合物を得た。
実施例 21
〔4S−〔3〔R*(!R*)〕,4α,5β〕〕−〔1−〔〔〔1−〔〔5−(アセチルオキ
シ)−4−(フェニル)メチル〕−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−
メチルプロピル〕アミノ〕−カルボニル〕−2−メチルプロピル−カルバミン酸
フェニルメチルエステルの製造
スキームVII;実施例20の表題化合物(0.6ミリモル)を塩化メチレン
(20ml)中で塩化アセチル(4.2ミリモル)およびトリエチルアミン(0.3ml)を使用
して実施例19に記載の方法と同様にO−アシル化して表題化合物を得た。
実施例 22
の製造
スキームVII、実施例7で製造した表題化合物(0.59ミリモル)を塩化メチレ
ン(30ml)中で塩化4−モルホリンカルボニル(0.86ミリモル)、DMAP(10mg)お
よびトリエチルアミン(1.2ミリモル)を使用して実施例3に記載の方法と同様に
O−アシル化して表題化合物を得た。
実施例 23
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−N−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−(フェニル
メチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピル〕メチル
−4−モルホリンカルボキサミドの製造
工程A
スキームV、工程D;次の構造式
の化合物(11.7ミリモル、実施例7の工程Aで製造した)をベンゼン(120ml)中
でパラホルムアルデヒド(5g)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(500mg
)を使用して実施例1の工程Aに記載の方法と同様に環化して環化化合物を得た
。工程B
スキームV、工程E;上記で製造した環化化合物(10ミリモル)をクロロホル
ム(100ml)中でトリルフルオロ酢酸(30ml)およびトリエチルシラン(30ミリモ
ル)を使用して実施例4の工程Bに記載の方法と同様に還元してN−メチル化化
合物を得た。工程C
スキームIII、工程B;上記で製造したN−メチル化化合物(10ミリモル)をD
MF(20ml)およびTHF(100ml)中でトリエチルアミン(12ミリモル)、HOBT(12ミ
リモル)およびEDC(12ミリモル)を使用して実施例4の工程Dに記載の方法と
同様にHCl・Phe-OCH3(11ミリモル)とカップリングさせてカップリング化合物を
得た。工程D
スキームIII、工程C;上記で製造したカップリング化合物(14.3ミリモル)
を水(100ml)およびTHF(100ml)中で水酸化リチウム一水和物(16ミリモル)
を使用して実施例7の工程Cに記載の方法と同様に脱保護して酸を得た。工程E
スキームVI、工程A;上記の酸(5.8ミリモル)を1,2−ジクロロエタン(200m
l)中でパラホルムアルデヒド(4.0g)およびp−トルエンスルホン酸一水和物
を使用して実施例4の工程Fに記載の方法と同様に環化して環化化合物を得た。工程F
スキームVII、工程C;上記で製造した環化化合物(4.48ミリモル)をトルエ
ン(50ml)中でDIBAL(6ミリモル)を使用して実施例4の工程Gに記載の方法と
同様に還元して表題化合物を得た。
実施例 24
の製造
スキームVII、実施例23で製造した表題化合物(0.59ミリモル)を塩化4−モ
ルホリンカルボニル(0.86ミリモル)、DMAP(10mg)およびトリエチルアミン(1
.2ミリモル)を使用して実施例3に記載の方法と同様にO−アシル化して表題化
合物を得た。
実施例 25
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔4−〔(4−クロロフェニル)メチル〕
−5−ヒドロキシ−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピル
〕−カルバミン酸フェニルメチルエステルの製造
工程A
N−BOC−p−クロロ−L−Phe(20ミリモル、シグマ化学会社から商
業的に入手できる)をジエチルエーテル(400ml)に溶解し、0℃まで冷却し、僅
かに過剰のジアゾメタンで処理した(淡黄色が残っている)。数滴の希酢酸を加
えて過剰のジアゾメタンを急冷した。次に、反応混合物をブライン(200ml)で洗
浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、濃縮してメチルエステル(N
−BOC−p−クロロ−L−Phe−OCH3)を得た。工程B
スキームIV、工程B1;上記で製造したメチルエステルを塩化メチレン(20ml)
中でトリルフルオロ酢酸(10ml)を使用して実施例18の工程Bに記載の方法と同
様に脱保護して脱保護化合物(p−クロロ−L−Phe-OCH3)を得た。工程C
スキームIV、工程B2;上記で製造した脱保護化合物(22ミリモル)をトリエチ
ルアミン(44ミリモル)、HOBT(22ミリモル)およびEDC(22ミリモル)を使用し
て実施例18の工程Cに記載の方法と同様にCbz-Val(22ミリモル、130mlのDMFに溶
解した)とカップリングさせてカップリング化合物を得た。工程D
スキームIV、工程C;上記で製造したカップリング化合物(14.3ミリモル)を
水(100ml)およびTHF(100ml)中で水酸化リチウム一水和物(16ミリモル)を
使用して実施例7の工程Cに記載の方法と同様に脱保護して酸を得た。工程E
スキームVI、工程A;上記で製造した酸(5.8ミリモル)を1,2−ジクロロエタ
ン中でパラホルムアルデヒド(4.0g)およびp−トルエンスル
ホン酸一水和物(200mg)を使用して実施例1の工程Aに記載の方法と同様に環化
して環化化合物を得た。工程F
スキームVI、工程B;上記で製造した環化化合物(4.7ミリモル)をトルエン(
60ml)中でDIBAL(10ミリモル)を使用して実施例1の工程Bに記載の方法と同様
に還元して最終の表題化合物を得た。
実施例 26
〔4S−〔3−(R*),4α,5β〕〕−3−〔3−メチル−1−オキソ−2−〔〔(フ
ェニルメトキシ)カルボニル〕アミノ〕ブチル〕−4−〔(4−クロロフェニル)
メチル〕−5−オキサゾリジニルエステル、4−モルホリンカルボン酸の製造
スキームVII;実施例25で製造した表題化合物(0.59ミリモル)を塩化メチレ
ン(30ml)中で塩化4−モルホリンカルボニル(0.86ミリモル)、DMAP(10mg)
およびトリエチルアミン(1.2ミリモル)を使用して実施例3に記載の方法と同様
にO−アシル化して表題化合物を得た。
実施例 27
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−(フェニルメチル
)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−エチル〕−カルバミン酸フェニルメ
チルエステルの製造
工程A
スキームVI、工程A;N-Cbz-Ala-Phe-OH(11.7ミリモル、シグマ化学会社から
入手できる)をベンゼン中でパラホルムアルデヒド(5g)およびp−トルエン
スルホン酸一水和物(500mg)を使用して実施例1の工程Aに記載の方法と同様に
環化して環化化合物を得た。工程B
スキームVI、工程B;上記で製造した環化化合物(4.7ミリモル)をトルエン(50
ml)中でDIBAL(10ミリモル)を使用して実施例1の工程Bに記載の方法と同様に
還元して表題化合物を得た。
実施例 28
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−3−〔1−オキソ−2−〔〔(フェニルメトキシ)
カルボニル〕アミノ〕プロピル〕−4−(フェニルメチル)−5−オキサゾリジ
ニルエステル,4−モルホリンカルボン酸の製造
スキームVII;実施例27で製造した表題化合物(0.59ミリモル)を塩化メチレ
ン(30ml)中で塩化4−モルホリンカルボニル(0.86ミリモル)、DMAP(10mg)お
よびトリエチルアミン(1.2ミリモル)を使用して実施例3に記載の方法と同様に
O−アシル化して表題化合物を得た。
実施例 29
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−(フェニルメチル
)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルブチル〕−カルバミン酸
フェニルメチルエステルの製造
工程A
スキームVI;工程A;N-Cbz-Ile-Phe-OH(11.7ミリモル、シグマ化学会社から
入手できる)をベンゼン中でパラホルムアルデヒド(5g)およびp−トルエン
スルホン酸一水和物(500mg)を使用して実施例1の工程Aに記載の方法と同様に
環化して環化化合物を得た。工程B
スキームVI、工程B;上記で製造した環化化合物(4.7ミリモル)をトルエン(50
ml)中でDIBAL(10ミリモル)を使用して実施例1の工程Bに記載の方法と同様に
還元して表題化合物を得た。
実施例 30
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−3−〔3−メチル−1−オキソ−2−〔〔(フェニ
ルメトキシ)カルボニル〕アミノ〕ペンチル〕−4−(フェニルメチル)−5−オ
キサゾリジニルエステル、4−モルホリンカルボン酸の製造
スキームVII;実施例29で製造した表題化合物(0.59ミリモル)を塩化メチレ
ン(30ml)中で塩化4−モルホリンカルボニル(0.86ミリモル)、DMAP(10mg)お
よびトリエチルアミン(1.2ミリモル)を使用して実施例3に記載の方法と同様に
O−アシル化して表題化合物を得た。
実施例 31
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−〔(4−ヒドロキ
シフェニル)メチル〕−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−3−メチルブチ
ル〕−カルバミン酸フェニルメチルエステルの製造
工程A
スキームVI;工程A;N-Cbz-Leu-Tyr-OH(11.7ミリモル、シグマ化学会社から
入手できる)をベンゼン中でパラホルムアルデヒド(5g)およびp−トルエン
スルホン酸一水和物(500mg)を使用して実施例1の工程Aに記載の方法と同様に
環化して環化化合物を得た。工程B
スキームVI、工程B;上記で製造した環化化合物(4.7ミリモル)をトルエン(50
ml)中でDIBAL(10ミリモル)を使用して実施例1の工程Bに記載の方法と同様に
還元して表題化合物を得た。
実施例 32
〔4S−〔3-(R*),4α,5β〕〕−3−〔4−メチル−1−オキソ−2−〔〔(フェ
ニルメトキシ)カルボニル〕アミノ〕ペンチル〕−4−〔(4−ヒドロ
キシフェニル)メチル〕−5−オキサゾリジニルエステル、4−モルホリンカル
ボン酸の製造
スキームVII;実施例31で製造した表題化合物(0.59ミリモル)を塩化メチレ
ン(30ml)中で塩化4−モルホリンカルボニル(0.86ミリモル)、DMAP(10mg)お
よびトリエチルアミン(1.2ミリモル)を使用して実施例3に記載の方法と同様
にO−アシル化して表題化合物を得た。
実施例 33
の製造工程A
スキームVI、工程A;N-BOC-norLeu-Leu-Phe-OH(11.7ミリモル、シグマ化学
会社から入手できる)をベンゼン中でパラホルムアルデヒド(5g)およびp−ト
ルエンスルホン酸一水和物(500mg)を使用して実施例1の工程Aに記載の方法
と同様に環化して環化化合物を得た。工程B
スキームVI、工程B;上記で製造した環化化合物(4.7ミリモル)をトルエン(50
ml)中でDIBAL(10ミリモル)を使用して実施例1の工程Bに
記載の方法と同様に還元して表題化合物を得た。
実施例 34
の製造
スキームVII;実施例33で製造した表題化合物(0.59ミリモル)を塩化メチレ
ン(30ml)中で塩化4−モルホリンカルボニル(0.86ミリモル)、DMAP(10mg)お
よびトリエチルアミン(1.2ミリモル)を使用して実施例3に記載の方法と同様に
O−アシル化して表題化合物を得た。
実施例 35
の製造工程A
スキームIII、工程B;HCl・Phe-OCH3(4.32g、20ミリモル)をDMF(20ml)に溶
解し、溶液を0℃まで冷却した。トリエチルアミン(6ml)を加え、10分間撹拌
した。次に、N−BOC−N−メチル−L−Ala(19.83ミリモル、150mlのTHFに溶解
した;シグマ化学会社から入手できる)を加え、その後HOBT(2.83g、21ミリモ
ル)およびEDC(4.0g、21ミリモル)を加えた。反応混合物を0℃で3時間、次に
室温で一晩撹拌した。反応
混合物を真空下で濃縮し、残留物を1N HCl(100ml)に取り、酢酸エチル(3×10
0ml)で抽出した。有機抽出物を合一し、飽和重炭酸ナトリウム(100ml)、ブラ
イン(100ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリカゲルの短パ
ッドに通し、真空下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリ
カゲル、ヘキサン/酢酸エチル)により精製してカップリング生成物を得た。工程B
スキームIII、工程C;上記で製造したカップリング生成物(14.3ミリモル)
を水(100ml)およびTHF(100ml)中で水酸化リチウム一水和物(16ミリモル)
を使用して実施例15の工程Bに記載の方法と同様に脱保護して酸を得た。工程C
スキームVI、工程A;上記で製造した酸(5.8ミリモル)をパラホルムアルデヒ
ド(4.0g)、p−トルエンスルホン酸一水和物(200mg)および1,2−ジクロロ
エタン(200ml)を使用して実施例1の工程Aに記載の方法と同様に環化し、フ
ラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル)により処理
して環化化合物を得た。工程D
スキームVI、工程B;上記の環化化合物(4.7ミリモル)をトルエン(60ml)中
でDIBAL(10ミリモル)を使用して実施例1の工程Bに記載の方法と同様に還元
して表題化合物を得た。
実施例 36
の製造
スキームVII;実施例35で製造した表題化合物(0.59ミリモル)を塩化メチレ
ン(30ml)中で塩化4−モルホリンカルボニル(0.86ミリモル)、DMAP(10mg)お
よびトリエチルアミン(1.2ミリモル)を使用して実施例3に記載の方法と同様に
O−アシル化して表題化合物を得た。
実施例 37
の製造工程A
N-BOC-O-エチル-L-Tyr-OH(20ミリモル、シグマ化学会社から商業的に入手で
きる)を実施例25の工程Aに記載の方法と同様にジアゾメタンで処理してメチル
エステル(N-BOC-O-エチル-L-Tyr-OCH3)を得た。工程B
スキームIV、工程B1;上記で製造したメチルエステルを塩化メチレン(20ml)
中でトリフルオロ酢酸(10ml)を使用して実施例18の工程Bに記載の方法と同様
に脱保護して脱保護化合物(O-エチル-L-Tyr-OCH3)を得た。工程C
スキームIV、工程B2;上記で製造した脱保護化合物(22ミリモル)をトリエチ
ルアミン(44ミリモル)、HOBT(22ミリモル)およびEDC(22ミリモル)を使用
して実施例18の工程Cに記載の方法と同様にN-BOC-L-norVal(22ミリモル、130m
lのDMFに溶解した;シグマ化学会社から商業的に入手できる)とカップリングさ
せてカップリング化合物を得た。工程D
スキームIV、工程C;上記で製造したカップリング化合物(14.3ミリモル)を
水(100ml)およびTHF(100ml)中で水酸化リチウム一水和物(16ミリモル)を
使用して実施例7の工程Cに記載の方法と同様に脱保護して酸を得た。工程E
スキームVI、工程A;上記で製造した酸(5.8ミリモル)を1,2−ジクロロエタ
ン中でパラホルムアルデヒド(4.0g)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(20
0mg)を使用して実施例1の工程Aに記載の方法と同様に環化して環化化合物を得
た。工程F
スキームVI、工程B;上記で製造した環化化合物(4.7ミリモル)をトルエン(
60ml)中でDIBAL(10ミリモル)を使用して実施例1の工程Bに記載の方法と同様
に還元して表題化合物を得た。
実施例 38
の製造
スキームVII;実施例37で製造した表題化合物(0.59ミリモル)を塩化メチレ
ン(30ml)中で塩化4−モルホリンカルボニル(0.86ミリモル)、DMAP(10mg)お
よびトリエチルアミン(1.2ミリモル)を使用して実施例3に記載の方法と同様に
O−アシル化して表題化合物を得た。
実施例 39
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−(プロピオニルオキシ)−4−(フェ
ニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピル〕−
カルバミン酸フェニルメチルエステル(MDL 105,837)の製造
スキームVII;〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−
(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピル
〕−カルバミン酸フェニルメチルエステル(0.375g、0.909ミリモル、実施例1
で製造した)を塩化メチレン(9ml)に溶解した。N−メチルモルホリン(0.276
g、2.73ミリモル)および塩化プロピオニル(0.126g、1.36ミリモル)を加え、そ
してN2下、室温で一晩撹拌した。反応混合物を追加の塩化メチレン(40ml)で希
釈し、1N HCl(2×25ml)、飽和NaHCO3(1×25ml)、ブライン(1×25ml)で
洗浄し、MgSO4上で乾燥した。溶媒を真空下で除去し、残留物をフラッシュクロ
マトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル(2:1)、塩化メチレン
と一緒に充填)により精製して表題化合物(0.299g)を粘稠な透明で無色の油
状物として得た。
実施例 40
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−(エチルスクシニルオキシ)−4
−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロ
ピル〕−カルバミン酸フェニルメチルエステル(MDL 105,608)の製造
スキームVII;〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−
(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピ
ル〕−カルバミン酸フェニルメチルエステル(0.57g、1.38ミリモル、実施例1
で製造した)、塩化エチルスクシニル(0.45g、2.77ミリモル)およびN−メチル
モルホリン(0.306g、3.04ミリモル)を塩化メチレン(5.4ml)に溶解した。反応
混合物を一晩撹拌し、水に注ぎ、ジエチルエーテル(2×150ml)で抽出した。
合一した抽出物を希HCl、希NaHCO3、水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。溶媒を
真空下で除去し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、25%酢
酸エチル/ヘキサンで溶離した)により精製して表題化合物(3つのフラクショ
ンをプールした後の合計=468mg)を得た。
実施例 41
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−(2−エチルヘキサノイルオキシ
)−4−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチ
ルプロピル〕−カルバミン酸フェニルメチルエステル(MDL
104,092)の製造
スキームVII;〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−
(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピ
ル〕−カルバミン酸フェニルメチルエステル(0.5g、1.21ミリモル、実施例1で
製造した)を塩化メチレン(5ml)に溶解した。N−メチルモルホリン(0.27g
、2.67ミリモル)および塩化2−エチルヘキサノイル(0.39g、2.4ミリモル)を
加え、反応混合物を一晩撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、ジエチルエーテル(
3×50ml)で抽出した。合一した抽出物を希HCl、NaHCO3で洗浄し、Na2SO4上で
乾燥した。溶媒を真空下で除去し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シ
リカゲル、25%酢酸エチル/ヘキサンで溶離した)により精製して表題化合物(1
20mg)を得た。
実施例 42
〔4S-〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−(4−メトキシフェニルアセチルオ
キシ)−4−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−
メチルプロピル〕−カルバミン酸フェニルメチルエステル(MDL 105,236)の製
造
スキームVII;〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−
(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピ
ル〕−カルバミン酸フェニルメチルエステル(0.5g、1.21ミリモル、実施例1で
製造した)を塩化メチレン(5ml)に溶解した。N−メチルモルホリン(0.27g
、2.67ミリモル)および塩化4−メトキシフェニルアセチル(0.44g)を加え、
反応混合物を一晩撹拌した。反応混合物をジエチルエーテルで覆われた水に注い
だ。水層を追加のジエチルエーテル(2×50ml)で抽出し、合一した有機抽出物を
希HCl、NaHCO3で洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。溶媒を真空下で除去し、残留物
をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、25%酢酸エチル/ヘキサンで溶
離した)により精製して表題化合物(580mg)を得た。
本発明の範囲内のあるサブクラスの新規化合物は式(I)〔式中、Rは水素、OH
またはハロゲンであり;R1はイソプロピル、イソブチル、sec−ブチルまたはメ
チルであり;R2はイソブチルであり;R3は水素であり;R4およびR5は互いに独立
して水素またはメチルであり;R6はカルボベンジルオキシまたは
(ここで、ZはNまたはCHであり;Bは式
(式中、R′は水素またはC1-C6アルキル基である)の基である)であり;R7は水
素であり;mは整数の0または1であり、そしてnは整数の0または1である〕
の化合物である。
本発明の範囲内の別のサブクラスの新規化合物は式(I)〔式中、Rは水素、OH
またはハロゲンであり;R1およびR2は互いに独立してC1-C4アルキルであり;R4
およびR5は互いに独立して水素またはメチルであり;R6はカルボベンジルオキシ
であり;mは0であり、そしてnは整数の1である〕の化合物である。
本発明の幾つかの化合物を下記に列挙する:
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−(フェニルメチ
ル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピル〕カルバミン
酸フェニルメチルエステル;
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−(アセチルオキシ)−4−(フ
ェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピル〕
カルバミン酸フェニルメチルエステル;
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−3−〔3−メチル−1−オキソ−2−〔〔(フェ
ニルメトキシ)カルボニル〕アミノ〕ブチル〕−4−(フェニルメチル)−5−
オキサゾリジニルエステル,4−モルホリンカルボン酸;
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−(フェニルメ
チル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピル〕メチルカ
ルバミン酸フェニルメチルエステル;
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−(フェニルメ
チル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−3−メチルブチル〕メチルカル
バミン酸フェニルメチルエステル;
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−(フェニル
メチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−3−メチルブチル〕カルバミ
ン酸フェニルメチルエステル;
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−N−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−(フェニ
ルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピル〕−4
−モルホリンカルボキサミド;
〔4S-〔4α,5β〕〕−5−ヒドロキシ−4−(フェニルメチル)−3−オキサ
ゾリジンカルボン酸フェニルメチルエステル;
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−(ブチリルオキシ)−4−(フェ
ニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピル〕カ
ルバミン酸フェニルメチルエステル;
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4
−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロ
ピル〕カルバミン酸フェニルメチルエステル;
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−(アセチルオキシ)−2,2−ジメ
チル−4−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メ
チルプロピル〕カルバミン酸フェニルメチルエステル;
〔2R−〔2α,3,(S*),4β,5α〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−2−メチル−
4−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプ
ロピル〕カルバミン酸フェニルメチルエステル;
〔2S−〔2α,3,(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−2−メチル−
4−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプ
ロピル〕カルバミン酸フェニルメチルエステル;
〔2R−〔2α,3,(S*),4β,5α〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−2−(フェニ
ルメチル)−4−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−
2−メチルプロピル〕カルバミン酸フェニルメチルエステル;
〔2S−〔2α,3,(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−2−(フェニ
ルメチル)−4−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2
−メチルプロピル〕カルバミン酸フェニルメチルエステル;
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−〔(4−ヒド
ロキシフェニル)メチル〕−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチル
プロピル〕カルバミン酸フェニルメチルエステル;
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−〔(4−メトキ
シフェニル)メチル〕−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロ
ピル〕カルバミン酸フェニルメチルエステル;
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−〔(4−ニトロ
フェニル)メチル〕−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピ
ル〕カルバミン酸フェニルメチルエステル;
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔4−〔(4−アミノフェニル)メチル
〕−5−ヒドロキシ−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピ
ル〕カルバミン酸フェニルメチルエステル;
〔4S−〔3〔R*(1R*,2R*)〕,4α,5β〕〕−〔1−〔〔〔1−〔〔5−ヒドロキ
シ−4−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチ
ルプロピル〕アミノ〕カルボニル〕−2−メチルブチルカルバミン酸フェニルメ
チルエステル;
〔4S-〔3〔R*(1R*,2R*)〕,4α,5β〕〕−〔1−〔〔〔1−〔〔5−(アセチ
ルオキシ)−4−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−
2−メチルプロピル〕アミノ〕カルボニル〕−2−メチルブチルカルバミン酸フ
ェニルメチルエステル;
〔4S−〔3〔R*(1R*)〕,4α,5β〕〕−〔1−〔〔〔1−〔〔5−ヒドロキシ−
4−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メ
チルプロピル〕アミノ〕カルボニル〕−2−メチルプロピルカルバミン酸フェニ
ルメチルエステル;
〔4S−〔3〔R*(1R*)〕,4α,5β〕〕−〔1−〔〔〔1−〔〔5−(アセチルオ
キシ)−4−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−
メチルプロピル〕アミノ〕カルボニル〕−2−メチルプロピルカルバミン酸フェ
ニルメチルエステル;
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−N−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−(フェニ
ルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピル〕メチ
ル−4−モルホリンカルボキサミド;
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔4−〔(4−クロロフェニル)メチル
〕−5−ヒドロキシ−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピ
ル〕カルバミン酸フェニルメチルエステル;
〔4S−〔3-(R*),4α,5β〕〕−3−〔3−メチル−1−オキソ−2−〔〔(フ
ェニルメトキシ)カルボニル〕アミノ〕ブチル〕−4−〔(4−クロロフェニル
)メチル〕−5−オキサゾリジニルエステル,4−モルホリンカルボン酸;
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−(フェニルメ
チル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−エチル〕カルバミン酸フェニル
メチルエステル;
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−3−〔1−オキソ−2−〔〔(フェニルメトキシ
)カルボニル〕アミノ〕プロピル〕−4−(フェニルメチル)−5−オキサゾリ
ジニルエステル,4−モルホリンカルボン酸;
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−(フェニルメ
チル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルブチル〕カルバミン
酸フェニルメチルエステル;
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−3−〔3−メチル−1−オキソ−2−〔〔(フェ
ニルメトキシ)カルボニル〕アミノ〕ペンチル〕−4−(フェニルメチル)−5
−オキサゾリジニルエステル,4−モルホリンカルボン酸;
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−〔(4−ヒドロ
キシフェニル)メチル〕−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−3−メチルブ
チル〕カルバミン酸フェニルメチルエステル;
〔4S−〔3-(R*),4α,5β〕〕−3−〔4−メチル−1−オキソ−2−〔〔(フ
ェニルメトキシ)カルボニル〕アミノ〕ペンチル〕−4−〔(4−ヒドロキシフェ
ニル)メチル〕−5−オキサゾリジニルエステル,4−モルホリンカルボン酸。
別の態様において、本発明は治療的に有効な量の式(I)の化合物を患者に投与
することからなる、治療の必要な患者のカルパインを阻害する方法、あるいは急
性または慢性の神経変性疾患で苦しむ患者を治療する方法を提供する。「急性ま
たは慢性の神経変性疾患」なる用語は成人の中枢神経系におけるニューロンの不
適当で好ましくない欠失を特徴とする疾患または症状を意味し、虚血性卒中(原
因は血栓症または塞栓症)、出血性卒中とその後の血管現象、心筋梗塞、冠状バ
イパスおよび移植手術の結果としての神経病、頭部外傷、アルツハイマー病、年
令と関連がある痴呆、血管性痴呆、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症などを
含むがこれらに限定されない。急性または慢性の神経変性疾患の治療に特に好ま
しい式(I)の化合物には、
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−(フェニルメ
チル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピル〕カルバミ
ン酸フェニルメチルエステル;
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−(アセチルオキシ)−4−(フ
ェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピル〕
カルバミン酸フェニルメチルエステル;
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−3−〔3−メチル−1−オキソ−2−〔〔(フェ
ニルメトキシ)カルボニル〕アミノ〕ブチル〕−4−(フェニルメチル)−5−
オキサゾリジニルエステル,4−モルホリンカルボン酸;
〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−(フェニルメチ
ル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピル〕メチルカル
バミン酸フェニルメチルエステル;および
〔4S−〔4α,5β〕〕−5−ヒドロキシ−4−(フェニルメチル)−3−オキ
サゾリジンカルボン酸フェニルメチルエステル
が含まれる。
本明細書で使用される「患者」なる用語は特定の急性または慢性の神経変性疾
患に苦しむ哺乳動物のような温血動物を意味する。この用語の意味の範囲に含ま
れる動物の例はモルモット、イヌ、ネコ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、ヒツジ
およびヒトである。
「治療的に有効な量」なる用語は患者に連続注入、または1回もしくは多数回
投与することにより急性または慢性の神経変性疾患に伴う損傷の程度を縮小し、
未処置の場合に予想される結果と比べて改善された結果および/または病気の進
行の遅延もしくは予防をもたらすのに有効な量を意味する。「治療的に有効な量
」なる用語は必ずしも病気を完全に除く、すなわち治すことを意味しているわけ
ではない。治療的に有効な量、すなわち投与量の決定において、診断医は幾つか
の要因、例えばこれらに限定されないが哺乳動物の種類;その大きさ、年令およ
び全身の健康状態;罹患している病気の種類;その罹患の程度、すなわち病気の
深刻さ;個々の患者の反応;投与する化合物の種類;投与態様;投与す
る製剤の生物学的有効性;選択する投与方法;共働薬剤の使用;および他の関連
した情況などを考慮する。
式(I)の化合物の治療的に有効な量は1日につき体重1キログラムあたり約0.
1ミリグラム(mg/kg/日)〜約100mg/kg/日の範囲である。好ましい量は約0.
5〜約30mg/kg/日の範囲である。
本発明の化合物はカルパインおよびカテプシンBの非常に強力な阻害剤である
。本発明の化合物は酵素カルパインの阻害を通してそれらの阻害作用を発揮し、
それにより虚血性卒中(原因は血栓症または塞栓症)、出血性卒中とその後の血管
現象、心筋梗塞、冠状バイパスおよび移植手術の結果としての神経病、頭部外傷
、アルツハイマー病、年令と関連がある痴呆、血管性痴呆、パーキンソン病、筋
萎縮性側索硬化症などのような急性または慢性の神経変性疾患の進行を遅らせた
り、予防したりすると考えられる。しかしながら、本発明は最終用途におけるそ
の有効性を説明する特定の理論または提案機構によって限定されない。
上記の病気で苦しむ患者の治療を行う場合、式(I)の化合物は経口的および非
経口的経路などのような、本化合物を有効量で生物学的に利用可能なものにする
形態または方法で投与することができる。例えば、式(I)の化合物は経口的、皮
下的、筋肉内的、静脈内的、経皮的、鼻内的、経腸的、局所的に投与することが
できる。経口的または静脈内的投与が一般に好ましい。製薬分野の熟練した技術
者ならば、治療する病気のために選択した化合物の特定の性質、その病気の時期
、および他の関連した情況に応じて容易に投与の適当な形態および方法を選択す
ることができる。「レミントンの薬学サイエンス」、第18版、Mack出版社(1990
年)を参照。
本化合物は単独で、あるいは薬学的に許容しうる担体または賦形剤と
組み合わせて医薬組成物の形態で投与することができ、その割合および性質は選
択した化合物の溶解度および化学的性質、選択した投与経路、そして標準的な製
薬実務により決定される。本発明の化合物はそれら自体有効であるが、安定性、
結晶化の便宜、溶解度の増大などの目的のために配合し、それらの薬学的に許容
しうる塩、例えば酸付加塩の形態で投与することができる。
別の態様において、本発明は式(I)の化合物を1種以上の不活性担体と混合し
て、または組み合わせて含有する組成物を提供する。これらの組成物は例えばア
ッセイの標準として、ばら積輸送をするのに好都合な手段として、または医薬組
成物として有用である。式(I)の化合物の分析可能な量は当業者に良く知られ、
理解されている標準的なアッセイ法および技術により容易に測定することができ
る量である。式(I)の化合物の分析可能な量は一般に組成物の約0.001重量%〜
約75重量%の範囲である。不活性担体は分解したり、式(I)の化合物と共有結合
的に反応したりすることのない物質である。適当な不活性担体の例は水;一般に
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析で使用されるような緩衝水溶液;有機溶
媒、例えばアセトニトリル、酢酸エチル、ヘキサンなど;および薬学的に許容し
うる担体または賦形剤である。
さらに詳しくは本発明は治療的に有効な量の式(I)の化合物を1種以上の薬学
的に許容しうる担体または賦形剤と混合して、または組み合わせて含有する医薬
組成物を提供する。
医薬組成物は製薬分野で良く知られている方法により製造される。担体または
賦形剤は活性成分に対してビヒクルまたは媒質として働くことのできる固体、半
固体または液体の物質である。適当な担体または賦形剤は当該技術分野で良く知
られている。医薬組成物は経口的、非経口的
または局所的使用に合わせて錠剤、カプセル剤、坐剤、液剤、懸濁剤などの形態
で患者に投与することができる。
本発明の化合物は例えば不活性希釈剤または可食性担体と一緒に経口的に投与
することができる。これらはゼラチンカプセル中に封入したり、圧縮して錠剤と
することができる。治療的経口投与のために本化合物は賦形剤と混合して錠剤、
トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、カシェ剤、チュ
ーインガムなどの形態で使用することができる。これらの製剤は少なくとも4%
の本発明の化合物、すなわち活性成分を含有するが、特定の形態に応じて変動し
、好ましくは単位の重量の4%〜約70%の範囲である。組成物中に存在する本化
合物の量は適当な投与量となるような量である。好ましい本発明の組成物および
製剤は経口投与単位形態が5.0〜300mgの本発明の化合物を含有するように製造さ
れる。
錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などはまた、1種以上の次の補助剤を含
有することができる;微結晶性セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチンの
ような結合剤;スターチまたはラクトースのような賦形剤;アルギン酸、プリモ
ゲル、コーンスターチなどのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはス
テロテックスのような潤滑剤;コロイドシリカのような滑剤;スクロースまたは
サッカリンのような甘味剤、あるいはペパーミント、サリチル酸メチルまたはオ
レンジ風味のような芳香剤を加えることができる。投与単位形態がカプセル剤で
ある場合、それは上記のタイプの物質の他に、ポリエチレングリコールまたは脂
肪油のような液状担体を含有することができる。他の投与単位形態は例えばコー
チングのような、投与単位の物理的形態を変える他の様々な物質を含有すること
ができる。従って、錠剤または丸剤は糖、シェラックま
たは腸溶性コーチング剤で被覆することができる。シロップ剤は本発明の化合物
の他に、甘味剤としてのスクロース、特定の保存剤、染料、着色剤および芳香剤
を含有することができる。これらの種々の組成物を製造するのに使用される物質
はその使用量において薬学的に純粋で非毒性でなければならない。
治療的非経口投与のために、本発明の化合物は溶液または懸濁液中に混入する
ことができる。これらの製剤は少なくとも0.1%の本発明の化合物を含有するが
、その重量の0.1〜約50%の範囲で変動する。このような組成物中に存在する本
発明の化合物の量は適当な投与量となるような量である。好ましい本発明の組成
物および製剤は非経口投与単位が5.0〜100mgの本発明の化合物を含有するように
製造される。
本発明の式(I)の化合物はまた、局所的に投与することができ、その場合担体
は好ましくは溶液、軟膏またはゲル基剤である。基剤は例えば1種以上の次の物
質:ペトロラタム、ラノリン、ポリエチレングリコール、蜜ろう、鉱油、水やア
ルコールのような希釈剤、乳化剤および安定剤を含有してもよい。局所製剤は式
(I)の化合物またはその薬学的に許容しうる塩を約0.1〜約10w/v%(単位容量あ
たりの重量)の濃度で含有する。
液剤または懸濁剤はまた、1種以上の次の補助剤:注射用水、生理的食塩水の
ような無菌の希釈剤、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロ
ピレングリコールまたは他の合成溶媒;ベンジルアルコールまたはメチルパラベ
ンのような抗菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムのような抗酸化剤
;エチレンジアミン四酢酸のようなキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリ
ン酸塩のような緩衝剤;および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような張
度調整剤を含有し
てもよい。非経口製剤はガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリ
ンジまたは多数回投与用バイアルに封入することができる。
カルパインおよび/またはカテプシンBを阻害する本発明の化合物の活性、す
なわち虚血性卒中(原因は血栓症または塞栓症)、出血性卒中とその後の血管現
象、心筋梗塞、冠状バイパスおよび移植手術の結果としての神経病、頭部外傷、
アルツハイマー病、年令と関連がある痴呆、血管性痴呆、パーキンソン病、筋萎
縮性側索硬化症などのような急性または慢性の神経変性疾患の進行を遅らせたり
、予防したりする式(I)の化合物の有用性は良く知られた信頼できる生体外およ
び生体内モデルにより証明することができる。
実施例 43
カルパイン阻害剤が存在するカルパインの生体外試験
基質としてt-Boc-Val-Leu-Lys−7−アミド−4−メチル−クマリンを使用し
て、筋肉および赤血球のカルパインを蛍光分析法により試験した〔SasakiらのJ
.Biol.Chem.259,12489〜12494(1984年)〕。酵素カルパインは商業的に入手
でき、シグマ社から購入することができる。試験緩衝剤、pH、試験法および阻害
定数(Ki)の計算はMehdiらのBiochem.Biophys.Res.Commun.157,1117〜1123(
1988年)に記載のものと同様である。表2に選択した本発明の化合物のカルパイ
ンを阻害する能力を示す。
実施例 44
局部的脳虚血モデルにおけるMDL 104,903を用いた生体内での神経保護
虚血性卒中後の神経系損傷を制限し、そして/または生体内でカルパインを阻
害する式(I)の化合物の効力は一般に認められている局部的および全体的虚血モ
デルを使用して、例えばHongらのStroke 25,663〜669(1994年)に記載のよう
な中大脳動脈および同側総頚動脈の永久的なタンデム閉塞により生じる局部的な
虚血;BartusらのStroke 25,2265〜2270(1994年)に記載のような中大脳動脈お
よび両側総頚動脈の永久的および/または可逆的閉塞による局部的な虚血;並び
にLeeらのProc.Natl.Acad.Sci.88,7233〜7237(1991年)に開示されているよ
うな総頚動脈および/または椎骨動脈の可逆的閉塞による全体的な虚血を使用し
て証明することができる。
例えば、12匹の雄の自然に発生した高血圧のラットを2つのグループ:ビヒク
ルで処置するグループおよびカルパイン阻害剤(MDL 104,903;4×30mg/kgの継
続投与)で処置するグループに分けた。右側中大
脳動脈および右側総頚動脈の永久的なタンデム閉塞により虚血を誘発した。動物
を外科的処置の24時間後に致死させ、標準的な組織学的技法および定量的画像分
析法を使用して梗塞量を定量的に測定した。虚血開始後5分から2時間間隔で大
腿静脈を通して4×30mg/kgを静脈内投与したラットについて、観察された梗塞
量の減少は20.5%であった。脳梗塞および浮腫の減少を証明する結果を下記の表
3に示す。
特有の効力を有する構造的に関連する化合物においては、特定の基および配置
が好ましい。好ましい式(I)の化合物は次の基を含有する。
置換基Rに関しては、Rが水素またはOHである式(I)の化合物が好ましく、そ
して水素が特に好ましい。
置換基R1およびR2に関しては、R1およびR2がそれぞれ独立してメチル、n−プ
ロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルまたはsec−ブチルである式(I
)の化合物が好ましく、そしてイソプロピルが特に好ましい。
置換基R3に関しては、R3が水素である式(I)の化合物が特に好ましい。
置換基R4およびR5に関しては、R4およびR5がそれぞれ独立して水素またはメチ
ルである式(I)の化合物が好ましく、そして水素が特に好ましい。
置換基R6に関しては、R6がカルボベンジルオキシまたは
(ここで、ZはNまたはCHであり、そしてBは式
(式中、R′は水素またはC1-C6アルキル基である)の基である)である式(I)の化
合物が好ましい。
本発明を特定の態様と関連させて説明したが、さらに変更することもでき、一
般に本発明の原理に従う変形態様、使用または適合を包含し、また本発明に関す
る技術分野で知られている通常の実務の範囲内であり、前記の基本的な特徴に適
合でき、そして添付した請求の範囲内であるような本発明の開示からの逸脱も包
含することは理解されよう。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1996年11月12日
【補正内容】
請求の範囲
1.式
〔式中、RおよびQは互いに独立して水素、OH、C1-C4アルキル、C1-C4アルコ
キシ、NO2、NH2またはハロゲンであり;
R1およびR2は互いに独立してC1-C4アルキルであり;
R3は水素、C1-C8アルカノイル、
であり;
R4およびR5は互いに独立して水素、C1-C4アルキルまたはベンジルであり;
R6はt−ブチルオキシカルボニル、カルボベンジルオキシ、または
(ここで、ZはNまたはCHであり;
Bは式
(式中、R′は水素またはC1-C6アルキル基である)の基である)であり;
R7は水素またはメチルであり;
R8はC1-C4アルキルであり;
mは0または1の整数であり;
nは0または1の整数であり;
pは0〜3の整数であり;そして
qは0〜3の整数である〕の化合物およびその薬学的に許容しうる塩。
2.R1およびR2が互いに独立してメチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブ
チル、イソブチルまたはsec−ブチルであり、そしてnが整数の1である請求項
1記載の化合物。
3.R3が水素である請求項1記載の化合物。
4.Rが水素であり、R4が水素であり、R5が水素であり、そしてR7が水素である
請求項2記載の化合物。
5.Bが式
の基である請求項4記載の化合物。
6.R6がカルボベンジルオキシである請求項4記載の化合物。
7.化合物が〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−(
フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピル
〕カルバミン酸フェニルメチルエステルである請求項1記載の化合物。
8.化合物が〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−(アセチルオキシ)
−4−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチル
プロピル〕カルバミン酸フェニルメチルエステルである請求項1記載の化合物。
9.化合物が〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−3−〔3−メチル−1−オキソ−2
−〔〔(フェニルメトキシ)カルボニル〕アミノ〕ブチル〕−4−(フェニルメチ
ル)−5−オキサゾリジニルエステル,4−モルホリンカルボン酸である請求項
1記載の化合物。
10.化合物が〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−ヒドロキシ−4−(
フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチルプロピル
〕メチルカルバミン酸フェニルメチルエステルである請求項1記載の化合物。
11.化合物が〔4S−〔4α,5β〕〕−5−ヒドロキシ−4−(フェニルメチル)
−3−オキサゾリジンカルボン酸フェニルメチルエステルである請求項1記載の
化合物。
12.化合物が〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−(ブチリルオキシ)
−4−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メチル
プロピル〕−カルバミン酸フェニルメチルエステルである請求項1記載の化合物
。
13.化合物が〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−(プロピオニルオキ
シ)−4−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2−メ
チルプロピル〕−カルバミン酸フェニルメチルエステルである請求項1記載の化
合物。
14.化合物が〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−(エチルスクシニル
オキシ)−4−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル〕−2
−メチルプロピル〕−カルバミン酸フェニルメチルエステルである請求項1記載
の化合物。
15.化合物が〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−(2−エチルヘキサ
ノイルオキシ)−4−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カルボニル
〕−2−メチルプロピル〕−カルバミン酸フェニルメチルエステルである請求項
1記載の化合物。
16.化合物が〔4S−〔3(R*),4α,5β〕〕−〔1−〔〔5−(4−メトキシフェ
ニル−アセチルオキシ)−4−(フェニルメチル)−3−オキサゾリジニル〕カ
ルボニル〕−2−メチルプロピル〕−カルバミン酸フェニルメチルエステルであ
る請求項1記載の化合物。
17.請求項1記載の化合物および担体を含有する組成物。
18.請求項1記載の化合物および薬学的に許容しうる担体を含有する医
薬組成物。
19.カルパインおよび/またはカテプシンBの阻害剤の製造における、場合によ
り薬学的に許容しうる担体と組合わされた請求項1〜16の何れかの項記載の化合
物の使用。
20.急性または慢性の神経変性疾患を治療するための医薬組成物の製造における
、場合により薬学的に許容しうる担体と組合わされた請求項1〜16の何れかの項
記載の化合物の使用。
21.虚血性卒中を治療するための医薬組成物の製造における、場合により薬学的
に許容しうる担体と組合わされた請求項1〜16の何れかの項記載の化合物の使用
。
22.出血性卒中を治療するための医薬組成物の製造における、場合により薬学的
に許容しうる担体と組合わされた請求項1〜16の何れかの項記載の化合物の使用
。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C07K 5/062 A61K 37/02 ABS
// C07M 7:00
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,U
G),AL,AM,AT,AU,BB,BG,BR,B
Y,CA,CH,CN,CZ,DE,DK,EE,ES
,FI,GB,GE,HU,IS,JP,KE,KG,
KP,KR,KZ,LK,LR,LS,LT,LU,L
V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ
,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,
SK,TJ,TM,TT,UA,UG,UZ,VN
(72)発明者 リニク,マシユー・デイー
アメリカ合衆国オハイオ州 45243.シン
シナテイ.メイフイールドアベニユー7132
(72)発明者 アンジエラストロ,マイケル・アール
アメリカ合衆国オハイオ州 45040.メイ
ソン.シーダー ノウルドライブ9853
(72)発明者 キム,ホア−オク
アメリカ合衆国ワシントン州 98004.ベ
ルビユー.ノース イーストサーテイシク
ススプレイス ナンバー118 11322