JPH10506263A - コンドロイチンリアーゼ酵素 - Google Patents

コンドロイチンリアーゼ酵素

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JPH10506263A
JPH10506263A JP8504422A JP50442296A JPH10506263A JP H10506263 A JPH10506263 A JP H10506263A JP 8504422 A JP8504422 A JP 8504422A JP 50442296 A JP50442296 A JP 50442296A JP H10506263 A JPH10506263 A JP H10506263A
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chondroitinase
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separating
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JP8504422A
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ジョセフ ジマーマン,
ディー. クラーク ベネット,
メリーセ ラリバーテ,
カンフ グ,
アンナ リディア ツカレック,
ドミニク フィンク,
ロバート リンハート,
Original Assignee
アイベックス テクノロジーズ アール アンド ディー,インコーポレイテッド
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    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/88Lyases (4.)

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、コンドロイチン硫酸多糖を分解し得る2つの高度に精製された酵素の産生方法を記載する。細胞破砕、陽イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、高分解能イオン交換クロマトグラフィー、およびサイズ排除を組み込んだ多工程精製法が概説される。コンドロイチン硫酸AおよびCを分解し得る77,000±5,000ダルトンのタンパク質、およびデルマタン硫酸を分解し得る55,000±2,300ダルトンのタンパク質を単離した。これらの酵素(それぞれ、コンドロイチナーゼACおよびコンドロイチナーゼB)をコードする遺伝子がクローン化されており、そしてそれらを使用する方法が記載される。

Description

【発明の詳細な説明】 コンドロイチンリアーゼ酵素 発明の背景 本発明は、Flavobacterium heparinumに見出されたコンドロイチンリアーゼ酵 素(chondroitin lyase enzyme)の精製およびクローニングに関する。 グリコサミノグリカン(glycosaminoglycan)は、異なる位置に硫酸基を保有 する1つおきのヘキソサミン(hexosamine)残基およびヘキスロン(hexuronic )残基からなる非分枝多糖(unbranched polysaccharide)である。このクラス の分子は、二糖骨格(disaccharide backbone)の組成により、3つのファミリ ーに分けられ得る。これらは:ヘパリン/ヘパラン硫酸(heparin/heparan sulfa te)[HexA-GlcNAc(SO4)];コンドロイチン硫酸(chondroitin sulfate)[HexA-G alNAc];およびケラタン硫酸(keratan sulfate)[Gal-GlcNAc]である。コンド ロイチン硫酸ファミリーは、非硫酸化コンドロイチン硫酸(unsulfated chondro itin sulfate)、過硫酸化コンドロイチン硫酸(oversulfated chondroitin sul fate)、およびコンドロイチン硫酸A〜E(chondroitin sulfate A-E)と称され る7つのサブタイプを包含する。コンドロイチン硫酸A〜Eは、硫酸官能基の数お よび位置において異なる。さらに、コンドロイチン硫酸B(デルマタン硫酸(der matan sulfate)とも呼ばれる)は、イズロン酸(iduronic acid)が、1つおき のヘキスロニン酸(hexuronic acid)位置において優勢な残基である点において 異なる。 コンドロイチン硫酸A、B、およびCは、哺乳動物に見出される優勢な形態であ り、そして種々の生物学的活性(細胞分化、接着、酵素的経路、およびホルモン 相互作用を包含する)の調節に関与し得る。コンドロイチン硫酸プロテオグリカ ン(chondroitin sulfate proteoglycan)の存在は、Yeoら、Am.J.Pathol.138:14 37-1450,1991,RichardsonおよびHatton,Exp.Mol.Pathol.58: 77-95,1993お よびForresterら、J.Am.Coll.Cardiol.17:758-769,1991により報告されたよう に、組織および血管損傷に応答する細胞成長のより後期の段階において増大さ れる。コンドロイチン硫酸はまた、Tabasら、J.Biol.Chem.,268(27): 20419-20 432,1993に記載されるように、血管の疾患の進行に関与する事象およびリポタ ンパク質(lipoprotein)取り込みに関連する。 適切な純度および特徴のコンドロイチン酵素は、これらの細胞の事象を調節す ること、および疾患状態の処置のための療法を開発することにおけるコンドロイ チン硫酸の役割を決定することにおいて有用な道具であり得る。 いくつかの細菌種由来のコンドロイチン硫酸分解酵素(コンドロイチナーゼ( chondroitinase)またはコンドロイチン硫酸リアーゼ(chondroitin sulfate ly ase)と称される)が報告されている。Takegawaら、J.Ferm.Bioeng.77(2):128- 131,1991は、81,000ダルトンと83,000ダルトンとの間の分子量を有する、Aureob acterium由来のコンドロイチナーゼAC(chondroitinase AC)(銅イオンにより 阻害される)を報告している。Bacteriodes thetaiotamicronは、Linnら、J.Bac teriol.165:859-866,1985により記載されるように、分子量104,000および108, 000ダルトンの2つのコンドロイチナーゼAC分解酵素を産生する。Flavobacteriu m heparinum,Proteus vulgaris,Arthrobacter aurescensおよびPseudomonas f luorescensを包含する他の細菌は、Linhardtら、Appl.Biochem.Biotechnol.12: 135-177,1986により総説されるように、コンドロイチナーゼACまたはコンドロ イチナーゼABC酵素(これは、十分に特徴づけられていない)を産生する。F.hep arinumは、Linhardt,R.らにより報告されるように、デルマタン硫酸に特異的で ある酵素、コンドロイチナーゼB(chondroitinase B)を産生する唯一の微生物 である。しかし、F.heparinum由来のコンドロイチナーゼ分解酵素は、均質に精 製されていないか、または完全に特徴づけられていない。 それ故、本発明の目的は、コンドロイチンリアーゼ酵素を精製する方法を提供 する。 本発明のさらなる目的は、コンドロイチンリアーゼ酵素をコードするDNA配列 を提供することである。 本発明のなおさらなる目的は、薬学試薬として有用である精製されたコンドロ イチンリアーゼ酵素を提供することである。 発明の要旨 グラム陰性生物、Flavobacterium heparinumのような細菌由来のコンドロイチ ンリアーゼ酵素を精製する方法が開発され、これは、精製されたコンドロイチナ ーゼACおよびコンドロイチナーゼBを産生する。細胞は、発酵槽培養により増殖 される。この細胞は、好ましくは、細胞周辺腔からタンパク質を選択的に放出さ せる浸透圧ショック技術(osmotic shock technique)を用いて溶解され、次い で、陽イオン交換クロマトグラフィーにより分画される。コンドロイチナーゼ分 解活性を含有する画分は、コンドロイチナーゼACとコンドロイチナーゼB活性と を分離する、硫酸化セルロースベース樹脂(sulfated cellulose based resin) およびヒドロキシルアパタイト(hydroxylapatite)クロマトグラフィーを用いる アフィニティークロマトグラフィーによりさらに分画される。それぞれの酵素の 高度に精製された調整物は、高分解能の強力な陽イオン交換樹脂を用いるさらな るクロマトグラフィー工程により得られる。コンドロイチナーゼBの純粋な調製 物は、分子のサイズに基づくさらなる分離工程(例えば、ゲル濾過液体クロマト グラフィー)を必要とし得る。 Flavobacterial起源のコンドロイチナーゼACおよびコンドロイチナーゼB酵素 をコードする遺伝子をクローン化した。これらは、適切な発現系と組み合わせて 用いられ得、例えば、過剰発現プロモーターの調節下でFlavobacterium中に、ま たはFlavobacterium以外の生物において酵素を産生する。 図面の簡単な説明 図1は、Flavobacterium heparinum由来のコンドロイチナーゼAC遺伝子を配列 決定するために用いられたプラスミド、pA2C1B、p64BS2-7の構築の模式図である 。制限部位は:S−SaU、B−BamHI、P−PstI、E−EcoRI、H−HindIII、C− ClaI、およびK−KpnIである。 図2は、タンデムtacプロモーター(tandem tac promoter)(2重矢尻)から、E. coliにおいて活性なコンドロイチナーゼACの発現を指揮し得るプラスミド、pGB- ChACの構築の模式図である。 図3は、Flavobacterium heparinum由来のコンドロイチナーゼB遺伝子を配列 決定するために用いられたプラスミド、pCHB300およびpCHB78の構築の模式図で ある。 図4は、タンデムtacプロモーター(2重矢尻)から、E.coliにおいて活性なコ ンドロイチナーゼBの発現を指揮し得るプラスミド、pGB-CHBの構築の模式図であ る。 発明の詳細な説明 F.heparinum 由来のコンドロイチン硫酸分解酵素の精製 細胞は、十分な量の酵素を得るために発酵槽培養において増殖される。コンド ロイチン硫酸Aは、コンドロイチナーゼACおよびコンドロイチナーゼB合成を誘導 するために、0.5g/lと10g/lとの間、好ましくは1.0g/L〜2.0g/lの間の濃度で培 地中に含有される。粗酵素抽出物は、標準的な細胞破砕技術(cell disruption technique)、好ましくは細胞の細胞周辺腔からタンパク質を選択的に放出させ る浸透圧ショックに基づく技術により、細胞から可溶タンパク質を遊離させるこ とにより調製される。例えば、タンパク質は、0.01〜1.0%の範囲の非イオン性 界面活性剤(non-ionic detergent)での処理、細胞を凍結および解凍する工程 、パルスモード(pulsed mode)25/75〜75/25における30〜60%の出力での0.5〜 6.0分間の部分的超音波処理、0.001〜1.0mg/mlでの15〜60分間の4℃と25℃との 間のリゾチーム(lysosyme)処理、0.01〜1.0%クロロホルム(chloroform)また はトルエン(toluene)での有機溶媒処理、またはZimmermannおよびCooneyの米国 特許第5,169,772号に記載の浸透圧ショック法(osmotic shock process)により 、細胞周辺腔から放出され得る。後者では、細胞は、0.5分と4.0分との間、pose r3〜6パルスモード50/50、部分的ホモジナイゼーション250〜500psiで部分的 に超音波処理され、続いて、15分と60分との間で、4℃と23℃との間にて、0.00 1〜1.0mg/mlでリゾチーム(lysozyme)処理され、そして0.01〜1.0%クロロホル ムまたは0.01〜1.0%トルエンで有機溶媒処理される。 好ましい実施態様では、粗抽出物は、6.0と8.5との間のpHで、0.01〜1.0M NaC lに相当する塩グラジエントで、高流速樹脂(例えば、SepharoseTMS Big Beads( Pharmacia)、MonoSTM(Pharmacia)、CBX(J.T.Baker)、SepharoseTMS(Pharma cia)、およびCMセルロース(Bio-RadまたはSigma))を用いる陽イオン交換クロ マトグラフィーにより分画される。結合したタンパク質は、好ましくはpH7.0で の0.25M 塩化ナトリウム(sodium chloride)および1.0M 塩化ナトリウムの段階 グラジエントで溶出される。コンドロイチナーゼ活性は、0.25M 塩化ナトリウム 画分中に溶出する。他の塩(例えば、リン酸ナトリウム(sodium phosphate)また は硫酸ナトリウム(sodium sulfate))が、塩グラジエントを作製するために利 用され得る。あるいは、6.0〜10.0の範囲におけるpHグラジエントが用いられ得 るか、または塩およびpHグラジエントの組み合わせが用いられ得る。 コンドロイチナーゼ分解活性を含有する画分は、0.0〜0.4M NaClの直線グラジ エントで硫酸化セルロースベース樹脂を用いる、アフィニティークロマトグラフ ィーによりさらに分画される。コンドロイチナーゼACは、主に、0.23〜0.26M Na Clで溶出し、一方コンドロイチナーゼBは、0.27〜0.3M NaClで溶出する。これは 、pH7.7で、0.25M NaClの段階グラジエントおよびそれに続く0.25〜1.0M NaClの 直線グラジエントを用いるヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーに続く。 コンドロイチナーゼBは、0.25M NaCl工程で溶出し、一方、コンドロイチナーゼ ACは、0.85〜0.95M NaClで溶出する。それぞれの酵素の高度に精製された調整物 は、上記の陽イオン交換樹脂からの溶出に関して記載されるように、高分解能の 強力な陽イオン交換樹脂を用いて得られ、0.025M リン酸ナトリウム(pH 7.0±0 .1)中の0.125〜0.325M NaClの直線グラジエントで溶出される。コンドロイチナ ーゼBは、0.175〜0.225M NaClのタンパク質ピークに溶出する。コンドロイチナ ーゼBは、サイズ排除クロマトグラフィー、限外濾過、または分離用ゲル電気泳 動により、分子のサイズに基づいてさらに精製され得る。5,000〜100,000の範囲 の最大分解能力を有するゲル濾過(サイズ排除)樹脂が好ましい。これらは、Ph armacia由来のSuperoseTM12、SuperoseTM6、SephadexTMG-50、およびSephadexT M G-50、ならびにBioRad由来のBioGelTMP-60およびBioGelTMP-100を包含する。10 ,000〜30,000ダルトンの範囲の分子量カットオフを有する限外濾過または透析膜 は、小さな混入物を除去することにおいて有用であり、一方、70,000〜1,000,00 0ダルトンの範囲の分子量カットオフを有する限外濾過または透析膜は、より大 きな混入物を除去するのに有用である。あるいは、十分な純度(25%純粋以上) のコ ンドロイチナーゼB含有サンプルは、標準的な研究室手順によるゲル電気泳動に サンプルを供し、そして55,000±2,300ダルトンの分子量に現れる主要なバンド を切り出すことにより、さらに精製され得る。 コンドロイチナーゼリアーゼ酵素を産生および精製する方法は、以下に例示さ れる。 F.heparinumを、15Lのコンピューター制御された発酵槽において、Galliher ら、Appl.Environ.Microbiol.41(2):360-365,1981に記載の種々の規定された 栄養培地中で培養した。コンドロイチナーゼACおよびコンドロイチナーゼB合成 の誘導物質として、コンドロイチン硫酸A(Sigma)を、1.0g/Lの濃度で培地中に 含有させた。細胞を遠心分離により収集し、そして所望の酵素を、Zimmermannお よびCooneyの米国特許第5,169,772号に記載の浸透圧ショック法の変法により細 胞周辺腔から放出させた。細胞を、0.01M リン酸ナトリウムおよび0.3M 塩化ナ トリウム(pH 7.0±0.1)中に再懸濁し、600nmで100吸光単位の最終細胞濃度に する。非イオン性界面活性剤NoneditTMP-40を、0.1%の最終濃度で細胞懸濁物に 添加し、そしてこの細胞を、マグネティックスターラーバー装置(magnetic sti r bar device)を用いて1時間室温で撹拌する。次いで細胞および細胞細片を、 JA-10ローターを有するSorvalTMRC5C遠心機を用いる10,000RPMで45分間の遠心分 離により除去した。細胞ペレットを捨て、そしてオスモレート(osmolate)上清 をさらなるプロセシングのために保持した。 コンドロイチン硫酸Aで誘導したF.heparinum発酵物から得たオスモレートを、 遠心分離に供し、細胞および細胞細片を除去し、そして上清を、10cm・分-1の直 線流速で、陽イオン交換カラム(5.0cm×30cm,SepharoseTM S Big Beads,Phar macia)に載せた。結合したタンパク質を、5.1cm・分-1の直線流速にて、0.01M ホスフェート(phosphate)、0.01M ホスフェート/0.25M 塩化ナトリウム、およ び0.01Mホスフェート/1.0M塩化ナトリウム(全てpH7.0±0.1)の段階グラジエン トで溶出させた。コンドロイチナーゼ活性は、0.25M 塩化ナトリウム画分中に溶 出した。 この画分を、コンドロイチナーゼ含有画分を0.01M リン酸ナトリウムで2倍に 希釈し、そしてセルファイン硫酸(cellufine sulfate)を含有するカラム(2.6 cm i.d.×100cm,Amicon)にこの物質を載せ、そして1.88cm・分-1の直線流速 にて、塩化ナトリウムの直線グラジエント(0.0〜0.4M)で溶出させることによ りさらに精製した。コンドロイチナーゼACは、主に、0.23〜0.26M 塩化ナトリウ ムで溶出し、一方コンドロイチナーゼBは、0.27〜0.3M 塩化ナトリウムで溶出し た。 各画分を、0.01M リン酸ナトリウムで2倍希釈し、そしてヒドロキシルアパタ イトカラム(2.6cm i.d.×30cm)に載せた。結合したタンパク質を、全て0.025M リン酸ナトリウム(pH7.7±0.1)中の0.25M 塩化ナトリウムの段階グラジエン ト、およびそれに続く0.25〜1.0M 塩化ナトリウムの直線グラジエントで溶出し た。コンドロイチナーゼBは、0.25M 塩化ナトリウム工程で溶出し、一方、コン ドロイチナーゼACは、0.85〜0.95M 塩化ナトリウムで溶出する。 コンドロイチナーゼB画分を、0.01M リン酸ナトリウム中に2倍希釈し、そし て強力な陽イオン交換カラム(CBX-S,J.T.Baker,1.6cm i.d.×10cm)に載せた 。結合した物質を、1.0cm・分-1の流速にて、0.025M リン酸ナトリウム(pH7.0 ±0.1)中の0.125〜0.325M 塩化ナトリウムの直線グラジエントで溶出した。コ ンドロイチナーゼBは、0.175〜0.225M 塩化ナトリウムのタンパク質ピークに溶 出し、そして分子量20,000ダルトンの微量混入タンパク質を含有した。このタン パク質を、SuperdexTM 200カラム(1.0cm i.d.×30cm,Pharmacia)にコンドロ イチナーゼBサンプルをロードし、そして1.25cm・分-1の直線状流速にて0.05M リン酸ナトリウム(pH7.2)で溶出し、そしてタンパク質含有画分を回収すること によるゲル濾過クロマトグラフィーにより除去した。 ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーから回収したコンドロイチナーゼ AC画分を、0.01M リン酸ナトリウム中に3倍希釈し、そして強力な陽イオン交換 カラム(CBX-S,J.T.Baker,1.6cm i.d.×10cm)に載せた。結合した物質を、1. 0cm・分-1の流速にて、0.025M リン酸ナトリウム(pH7.0±0.1)中の0.125〜0.3 25M 塩化ナトリウムの直線グラジエントで溶出した。コンドロイチナーゼACは、 0.175〜0.225M 塩化ナトリウムの単一のタンパク質ピークに溶出した。コンドロ イチナーゼ酵素についての精製結果を図1に示す。 コンドロイチナーゼ活性を、Yangら、J.Biol.Chem.,160(30): 1849-1857,1985 に記載の分光光度的アッセイの改変法により測定した。コンドロイチナーゼは、 脱離反応によりそれぞれの基質を分解し、232nmの紫外光を吸収する4,5-不飽和 硫酸化二糖の形成を生じる。反応緩衝液は、50mM Tris,pH 8.0および0.5mg/ml 基質;コンドロイチナーゼB活性についてはデルマタン硫酸、コンドロイチナー ゼAC活性についてはコンドロイチン硫酸Aを含有した。連続的な分光光度的アッ セイが、10〜50μlサンプルを石英キュベットに移し、そして反応緩衝液を添加 して1mlの最終容量にすることにより実行される。キュベットは、Beckman DU 6 40分光光度計中に置かれ、30℃の一定温度を維持するために制御され、そして23 2nmでの吸光度における増加が、3〜5分間モニターされる。活性は、コンドロイ チン硫酸に対する分子吸光計数5.1×103M-1を用いて計算され、そして国際単位 、IUで表される。ここで、1IUは、1分当たりの1μmoleの不飽和産物の形成を 触 媒するのに必要とされる酵素の量である。コンドロイチナーゼ酵素の特性 本明細書に記載される精製方法は、特徴付け研究のための十分な質の精製され たコンドロイチナーゼACおよびコンドロイチナーゼBを入手するのに適切である 。精製された酵素を、Laemmli,Nature,227:680-685,1970の技術を用いるSDS- PAGEにより分析し、そしてゲルを、走査型デンシトメーター(scanning densitom eter)(Bio-Rad,Model GS-670)で数量化した。コンドロイチナーゼACは、77,000 ±5,000ダルトンの分子量および99%よりも高い純度を有することが示され、一 方コンドロイチナーゼBは、55,000±2,300ダルトンの分子量および99%よりも高 い純度を有する。 77,000ダルトンのコンドロイチナーゼACタンパク質の反応速度論的パラメータ ーを、基質としてコンドロイチン硫酸Aおよびコンドロイチン硫酸Cの両方を用い て測定した。コンドロイチナーゼA活性に対するKmおよびKcat値は、それぞれ6 μMおよび230s-1であり、一方コンドロイチナーゼC活性に対するKmおよびKcat値 は、それぞれ9.3μMおよび150s-1であった。55,000ダルトンのコンドロイチナー ゼBタンパク質の反応速度論的パラメーターを、基質としてデルマタン硫酸を用 いて測定した。コンドロイチナーゼB活性に対するKmおよびKcat値は、それぞれ7 .4μMおよび192s-1であった。 添加される試薬の影響 コンドロイチナーゼ酵素のVmaxは、痕跡量の特定のエレメントにより影響され 得る。20mM Tris緩衝液(pH8.0)および0.5mg/ml基質、コンドロイチナーゼACに ついてはコンドロイチン硫酸A、またはコンドロイチナーゼBについてはデルマタ ン硫酸のいずれかの基礎反応緩衝液を用いて、コンドロイチナーゼ酵素の活性に おける二価金属および塩の影響を測定した。結果を表2に示す。 コンドロイチナーゼの安定化 コンドロイチナーゼ酵素活性は、賦形剤(excipient)の添加または凍結乾燥 により安定化され得る。安定化剤(stabilizer)は、炭水化物、アミノ酸、脂肪 酸、および界面活性剤を包含し、そして当業者に公知である。例は、スクロース (sucrose)、ラクトース(lactose)、マンニトール(mannitol)、およびデキ ストラン(dextran)のような炭水化物、アルブミン(albumin)およびプロタミ ン(protamine)のようなタンパク質、アルギニン(arginine)、グリシン(gly cine)、およびスレオニン(threonine)のようなアミノ酸、TweenTMおよびPlur onicTMのような界面活性剤、塩化カルシウムおよびリン酸ナトリウムのような塩 、ならびに脂肪酸(fatty acid)、リン脂質(phospholipid)、胆汁酸塩(bile salt)のような脂質を包含する。安定化剤は、一般に、1:10〜4:1(炭水化物対 タンパク質、アミノ酸対タンパク質、タンパク質安定化剤対タンパク質、および 塩対タンパク質);1:1000〜1:20(界面活性剤対タンパク質);およびl:20〜4: 1(脂質対タンパク質)の比でタンパク質に添加される。他の安定化剤は、ヘパ リナーゼ活性との比較研究に基づく、高濃度の硫酸アンモニウム(ammonium sulf ate)、酢酸ナトリウム(sodium acetate)、または硫酸ナトリウムを包含する。安 定化剤、好ましくは硫酸アンモニウムまたは他の類似した塩が、0.1mg対4.0mg( 硫酸アンモニウム/IU酵素)の比で酵素に添加される。 安定化剤の使用は、以下に示される。精製されたコンドロイチナーゼ酵素を、 2IU/mlの濃度で10mMリン酸ナトリウム(pH7.5)中に透析し、そして1mg/mlウ シ血清アルブミン、1.5M酢酸ナトリウム、0.0025M Tris、または0.15M Trisのい ずれかを補充し、そして加速貯蔵期間(accelerated shelf life)を37℃で実施 した。2IUの精製されたコンドロイチナーゼ酵素をまた、種々の緩衝液中に配置 し、凍結乾燥し、そして加速貯蔵期間を37℃で実施した。結果を表3に示す。 コンドロイチナーゼACおよびコンドロイチナーゼBのクローニング アミノ酸分析 精製されたタンパク質をEdman,Ann.N.Y.Acad.Sci.88:602,1950の技術によ り分析し、N末端のアミノ酸を決定した。しかし、Edman化学は、アミノ酸を遊離 し得なかった。これは、翻訳後修飾が、両方のコンドロイチナーゼタンパク質の N末端のアミノ酸において生じたことを示す。コンドロイチナーゼACおよびBの1 nmolサンプルを、ピログルタミン酸アミノペプチダーゼ(pyroglutamate aminop eptidase)を用いる脱ブロッキング(deblocking)のために用いた。コントロー ルサンプルを、ペプチダーゼを添加しない1nmolサンプルを偽脱ブロッキング( mock deblocking)することにより、作製した。全てのサンプルを、10mMジチ オスレイトール(dithiothreitol)を有する10mM炭酸アンモニウム(ammonium c arbonate)緩衝液(pH 7.5)中に置いた。1mUペプチダーゼをサンプルに添加し 、そして37℃にて8時間インキュベートして反応させた。さらなる0.5mUペプチ ダーゼを添加し、そしてインキュベーションを16時間継続した。反応混合物を、 10,000ダルトンカットオフ限外濾過膜(Centricon,Amicon)を用いるダイアフ ィルトレーションにより、35%蟻酸(formic acid)中に取り替え、そしてサン プルを減圧下で乾燥させた。次いで、脱ブロックされたコンドロイチナーゼ酵素 を、Edman化学により分析し、Applied Biosystems 745A Protein Sequencerを用 いて、N末端配列を決定した。 コンドロイチナーゼACのN末端配列は、QTGTAEL(配列番号2、アミノ酸24〜3 0)であり、そしてコンドロイチナーゼBのN末端配列は、VVASNEL(配列番号4 、アミノ酸27〜34)であった。 コンドロイチナーゼ酵素を、アルギニン特異的プロテアーゼクロストリパイン (clostripain)(EC 3.4.22.8,Sigma)を用いて酵素的断片化に供した。予め活性 化したクロストリパインを、1〜2%w/w比で0.025M リン酸ナトリウム、0.0002 M 酢酸カルシウム、および0.0025M ジチオスレイトール(pH7.5±0.1)中でコン ドロイチナーゼACに添加し、そして37℃にて2〜3時間インキュベートした。反 応混合物をVydac C18逆相HPLCカラム(0.46cm I.D.×30cm)に載せ、そしてペプ チドフラグメントを、1cm-分-1の直線流速にて1%トリフルオロ酢酸(trifluo roacetic acid)中の10〜90%アセトニトリル(acetonitrile)の直線グラジエ ントで溶出した。得られたペプチドフラグメントのうち4つを、アミノ酸配列決 定に供した。 クロストリパインを、1〜2%w/w比で0.025M リン酸ナトリウム、0.0002M 酢 酸カルシウム、および0.0025M ジチオスレイトール(pH7.5±0.1)中でコンドロ イチナーゼBに添加し、そして37℃にて2〜3時間インキュベートした。反応混 合物をVydacTMC18逆相HPLCカラムに載せ、そしてペプチドフラグメントを、6.0c m・分-1の直線流速にて1% トリフルオロ酢酸中の10〜90%アセトニトリルの直 線グラジエントで溶出した。得られたペプチドフラグメントのうち3つを、アミ ノ酸配列決定に供した。 Flavobacterium heparinum遺伝子ライブラリーの構築 Flavobacterium heparinum染色体DNAライブラリーを、λファージDASHIIにお いて構築した。0.4μgのF.heparinum染色体DNAを、Maniatisら,Molecular Clon ing,A laboratory Manual,1982に記載されるように、制限酵素Sau3Aを用いて 部分的に消化し、20kb付近のサイズである大多数のフラグメントを生成した。こ のDNAをフェノール/クロロホルム抽出し、エタノール沈澱し、DASHIIアームと 連結し、そしてLambda DASHIITM/BamHI Cloningキット(Stratagene,La Jolla, CA)に由来するパッケージング抽出物を用いてパッケージした。パッケージング 後に、約10-5pfu/mlで滴定したライブラリーを、プレート溶解法(plate lysis method)により10-8pfu/mlに増幅し、そしてSilhavyら,Experiments with Gene Fusions,Cold Spring Harbor Laboratory,1972に記載のように−70℃にて貯 蔵した。 F.heparinum染色体ライブラリーを、約300pfu/プレートに滴定し、E.coliの菌 叢(lawn)に上塗りし、そして細胞を37℃にて一晩トランスフェクトさせ、プラー クを形成させた。ファージプラークを、Maniatisら、同書に記載のように、ニト ロセルロース紙に移し、そしてファージDNAをフィルターに結合させた。 コンドロイチナーゼACをコードする核酸配列 変性プライマーを、ペプチドAC-1、AC-3、およびAC-4(配列番号2、それぞれ アミノ酸395〜413;603〜617;514〜536;および280〜288)から設計した。プラ イマーの増幅を、0.1mlの反応緩衝液中で実行した。この反応緩衝液は、50mM KC l、10mM Tris/HCl pH9、0.1% Triton X-100、2.5mM MgCl2、ならびに200μMの 4種のdNTP、2.5ユニットのTaq Polymerase(Bio/Can,Mississauga,Ont.)、0.1m Mの各プライマー、および10ngのF.heparinumゲノムDNAを含有する。増幅したプ ライマーを、個々の制限消化物においてSalI、NotI、およびXbaIを用いて直線化 し、そして精製後、テンプレートDNAとして用いるために組み合わせた。サンプ ルを、自動化加熱ブロック(DNA ThermocyclerTM,Barnstead/Thermolyne,Dubuq ue,IA)中に配置し、94℃にて1分間の変性温度、50℃にて2分間のアニール温 度、および72℃にて2分間の伸長温度を用い、この一連の工程を35反復行うサイ クルをプログラムした。合成オリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせは:ペ プチドAC-3に対応する5'−TCNGGRAARTARTANCCDATNGCRTCRTG−3'(配列番号5 );およびペプチドAC-4に対応する5'−TAYATGGAYTTYAAYGTNGARGG−3'(配列 番号6);は約750bpのサイズのPCR産物を産生する。このフラグメントを、E.co li FTBI株中のベクターpTZ/PCまたはpCRII(TAクローニングキット,Invitrogen ,San Diego,Ca.)中にクローンする試みは、不成功であった。 E.coli FTB1を以下のように構築した:lac Iqリプレッサー遺伝子を有するE.c oli XL-1 Blue(Stratagene,La Jolla CA)由来のF'エピソームを、Miller,Expe riments in Molecular Genetics,Cold Spring Harbor,1972に記載のように、B akerら,Proc.Natl.Acad.Sci.81:6779-6783,1984に記載されるE.coli TB1に移 動した。FTB1バックグランドは、lacオペレーターを有するプロモーター(例え ば、lacプロモーターおよびtacプロモーター)を有するプラスミドからの転写の よりストリンジェントな抑制を可能にする。 これらのPCR産物のクローン化を容易にするために、制限部位をプライマーの 5'末端に取り込ませた。PCR産物を、プライマーにどの制限部位を加えるべきか 決定するために、pBluescript(Stratagene,La Jolla CA)のマルチクローニング 部位に見出される制限部位の不在について分析した。これは、DNAフラグメント の末端に突出部を形成するために用いられる制限酵素で処理する場合に、PCR産 物が複数のフラグメントに切断されないことを確実にする。BamHIは、この基準 を全ての3つのPCR産物に対して満たす。新しいプライマーを、これらの5'末端 でBamHI部位を合成し、これは、さもなければ上記のものと同一であり、そして 図1の764bpのPCR産物を作製するために用いた。このDNAフラグメントをBamHIを 用いて消化し、Maniatisら、同書に記載のようにアガロースゲルで単離し、そし てGenecleanTMキット(Bio/Can,Mississauga,Ont.)を用いて単離した。pBluescr iptをBamHIで精製し、5'末端をManiatisら、同書に記載のようにアルカリホス ファターゼ処理により脱リン酸化し、そしてGenecleanTMキットを用いてアガロ ースゲルから精製した。処理されたPCRフラグメントおよびpBluescriptプラスミ ドDNAを連結し、FTB1に形質転換し、そして0.2mg/mlのアンピシリンを含有するL Bアガープレートにプレートした。これらのプレート上で増殖したコロニー由来 のプラスミドを、Maniatisら、同書に記載のようにコロニークラッキングにより 単離した。全ての酵素は、New England Biolabs(Mississauga,Ont.)から入手し た。プラスミドをRPMTMキット(Bio/Can,Mississauga,Ont.)を用いて精製した。 クローン化されたPCRフラグメントの配列分析は、逆転写されたコンドロイチナ ーゼACペプチド由来のペプチド配列と相関した。これは、PCRフラグメントが、 コンドロイチナーゼAC遺伝子をコードすることを示す。DNA配列決定を、Sanger ら,Proc.Natl.Acad.Sci.74:5463-5467,1978のダイデオキシチェインターミネ ーション法により行なった。配列決定反応を、SequenaseTMキット(U.S.Biochem ical Corp.,Cleveland,Ohio)およびS-dATP(Amersham Canada Ltd.,Oakville ,Ontario,Canada)を用いて供給者に指定されるように行った。 プラスミドpA2C1BS-11に含有される764bpPCRフラグメントは、コンドロイチナ ーゼAC遺伝子の約36%のコード領域を表す。この764bpフラグメント全体を配列 決定し、そしてペプチドAC-3、AC-4、およびAC-1(配列番号2、それぞれアミノ 酸395〜413;603〜617;514〜536;280〜288)をコードする連続するオープンリ ーディングフレームを含有することを見出した。 764bpPCRフラグメントを用いて、ゲノムF.heparinumλライブラリーをプロー ブした。始めに、pA2C1BS-11を、Maniatisら、同書に記載のように沸騰法により 単離した。プラスミドをBamHIを用いて消化し、ベクターから分離し、上記のよ うに精製し、そして放射標識した32P α-dATPを用いてNick TranslationTMキッ ト(Boehringer Mannheim,Montreal,Canada)で標識した。E.coli P2392(Strata gene,La Jolla,CA)を、λライブラリーをプレートするための菌叢として用い た。約6000個のプラークを、Maniatisら、同書に記載のようにBA85ニトロセルロ ースメンブレン(Scheicher & Schuell,Keene,NH)を用いて、プラークハイブリ ダイゼーションによりスクリーニングした。プラークハイブリダイゼーションを 、65℃にて16時間、Tek StarTMハイブリダーゼーションオーブン(Bio-CAN Scien tific,Mississauga,Ontario)中で実行した。引き続く洗浄を65℃にて、2×SS C中で15分間を2回、2×SSC/0.1%SDS中で30分間を1回、そして0.5×SSC/0.1 %SDS中で15分間を1回行った。100個を超えるポジティブクローンを同定および 単 離した。そのうちいくつかはプラークのクラスターであった。これらを、P2392 宿主細胞の菌叢上にλクローンをスポットし、そしてプラークハイブリダイゼー ションにより再プローブすることにより再スクリーニングした。6つのプラーク が再スクリーニングにおいてポジティブであり、そしてこれらのDNAを、Maniati sら、同書に記載のように単離し、そしてλDASH IIアームの末端の部位に対応す る制限酵素で消化した。このDNAを、プラークハイブリダイゼーションについて 上記のハイブリダーゼーションおよび洗浄条件を用いて、HybondTM Nナイロンメ ンブレン(Amersham,Oakville,Canada)上にブロットすることにより、サザン ハイブリダイゼーション分析(Southern,J.Mol.Biol.98:503-517,1975)に用い た。1つのクローンは4.5kb SalIフラグメントを含有しており、そして他方は6 kb BamHIフラグメントを含有しており、これらは両方ともプローブとハイブリダ イズした。これらは、pBluescriptの対応する部位にクローン化されていた。 コンドロイチナーゼACの分子量が約75kDであるため、対応する遺伝子のサイズ は2.05kbである。4.5kb SalIおよび6kb BamHI染色体DNAフラグメントは両方と も、完全なコンドロイチナーゼAC遺伝子を含み得る。完全な遺伝子をコードする DNAフラグメントの分析の確率を増加するために、6kb BamHIフラグメントを配 列分析のために選択した。このBamHIフラグメントを含有するpBluescriptプラス ミド(p64BS2-7と呼ぶ、図1)を、Qiageneキット(Bio/Can,Miss,Ont)を用い て単離した。DNA配列決定の方法であるウォーキングプライマーストラテジー(Vo ssら,Meth.Molec.Cell.Biol.3:153-155(1992))を、合成プライマー(Eppendorf ,モデルECOSYNTMD300,Madison,WI)およびA.L.F.DNAシークエンサー(Pharmaci a LKB,Mtl,Qc)を用いて行った。Pharmacia AutoReadキット中に提供される蛍 光化UniversalプライマーおよびReverseプライマーもまた用いた。蛍光標識dNTP を、Pharmacia AutoRead Fluorescent標識キット(Pharmacia LKB,Mtl,Qc)を用 いる配列決定反応において取り込ませた。2次構造の領域を、2つの方法の内の 一方で決定した。第1に、2次構造の領域および5'に密接にハイブリダイズす る蛍光化プライマーを合成した。これらのプライマー、Pharmacia AutoCyc1eTM キット(Pharmacia LKB,Mtl,Qc)、および自動化ヒートブロック(DNA Thermocyc lerTM,Barnstead/Thermolyne,Dubuque,Iowa)を用いて、95℃にて36秒、 50℃にて36秒、および72℃にて84秒で25回繰り返す工程サイクルでプログラムし て、2次構造領域の配列決定を達成した。第1の方法によりまだ決定されない任 意の不明瞭な領域を、Sangerら,Proc.Natl.Acad.Sci.74: 5463-5467(1978) の方法により、35S a-dATP、およびdGTPがdITPにより置き換えられいるUSB Seq uenaseTMキット(LaJolla,Ca.)を用いて配列決定した。 DNA配列の分析は、700アミノ酸残基に対するコドンを含有する2100bpの単一の 連続するオープンリーディングフレームが存在することを示した。4つ全てのク ロストリパイン(clostropain)誘導ペプチドは、この遺伝子によりコードされ ていた。GeneworksTM(Intelligenetics,Mountain View,Ca.)を用いる、可能性 があるシグナルペプチド配列に対するサーチは、成熟形態へのタンパク質のプロ セシングに対する2つの可能性がある部位:Q-23(グルタミン)およびA-28(ア ラニン)が存在することを示唆した。脱ブロックのプロセシングをされたコンド ロイチナーゼACのN末端アミノ酸配列決定は、成熟タンパク質がQ-23で始まり、 そして計算分子量77,169ダルトンを有する678アミノ酸を含有することを示した 。 E.coliにおけるコンドロイチナーゼACの発現 コンドロイチナーゼACに対する発現ベクターの構築が、図2において示される 。ベクターpGBは、単一のBamHI部位を含有するE.coli発現ベクターである。それ により、この部位に挿入されるDNAフラグメントの発現は、2つのtacプロモータ ーにより駆動される。ベクターはまた、カナマイシン耐性遺伝子およびIPTGでの 転写の誘導を可能にするlac Iq遺伝子を含有する。PCRを用いて、成熟コンドロ イチナーゼAC遺伝子を作製した。 オリゴヌクレオチド5'−GCGGATCCATGCAGCAGACCGGTACTGCAGAA−3'(配列番号 7)を、成熟コンドロイチナーゼACの最初のアミノ酸(Q-23)に対するコドンの直 前にATG開始部位に挿入するために設計し、一方、オリゴヌクレオチド5'−CGCG GATCCCCTAGATTACTACCATCAAAA−3'(配列番号8)を、TAG停止コドンの下流にハ イブリダイズさせるために設計した。両方のオリゴヌクレオチドはまた、BamHI 部位を含有した。プラスミドp64BS2-7を、45℃のアニール温度を用いるPCR反応 においてテンプレートとして用いた。2034bpの予想サイズの特異的フラグメント を得た。このフラグメントを単離し、そして発現ベクターpGBのBamHI部位に挿入 した。 構築物を、E.coli株F-TB1に形質転換し、そして形質転換した細菌を、75μg/m l カナマイシンを含有するLB培地において37℃にて0.5のOD600まで増殖させ、こ の時点でpGB由来のtacプロモーターを、1mM IPTGの添加により誘導した。培養 物をさらに2〜5.5時間、23℃、30℃、または37℃のいずれかで増殖させた。細 胞を氷上で冷やし、遠心分離により濃縮し、そして元々の培養容量の1/10で冷PB S中に再懸濁した。細胞を超音波処理により溶解し、そして細胞細片を10,000× g、5分の遠心分離により取り出した。ペレットおよび上清画分を、コンドロイ チン硫酸AまたはC分解(コンドロイチナーゼAC)活性について別々に分析した 。1.24×10-2、2.88×10-2、および4.25×10-2IU/ml/ODのコンドロイチン硫酸A 分解活性、ならびに1.57×10-2、2.24×10-2、および6.02×10-2IU/ml/0Dのコン ドロイチン硫酸C分解活性も、それぞれ23、30、および37℃にて増殖させた培養 物から観察した。基質としてコンドロイチン硫酸Aを用いる活性は、基質として コンドロイチン硫酸Cを用いる活性の約2倍てある。この比はまた、これら両方 の基質を用いる野生型コンドロイチナーゼACの活性を測定する場合にも観察され る。 E.coli F-TB1(pGB-ChAC)を、3.5L Braun Biostat Eコンピューター制御発酵 槽においてM9培地中で35g/Lの乾燥細胞重量濃度まで増殖させた。グルコースお よびアンモニアを、増殖およびpH7.0を維持するために必要なだけ添加した。コ ンドロイチナーゼA活性は103.44 IU/mlまで蓄積し、一方、コンドロイチナーゼ C活性は28.26 IU/mlまで蓄積した。 コンドロイチナーゼBをコードする核酸 部分的推測PCRプライマー(partial-guessmer PCR primer)を、コンドロイチ ナーゼBタンパク質由来のクロストリパイン生成ペプチドのアミノ酸配列および Flavobacterium遺伝子に通常見出されるコドン(表4)を用いて設計した。3つ のペプチドを作製し、CHB-1(配列番号4、アミノ酸373〜384)、CHB-2(配列番 号4、アミノ酸41〜50)、およびCHB-3(配列番号4、アミノ酸130〜146)と称 した。 5'−CGG GAT CCC ARA TYG CCG AYG GNA CNT ATA AAG A−3'(配列番号9) は、CHB-2ペプチド(配列番号4、アミノ酸41〜50)に由来し、そして5'−CGG GAT CCG GCN SKA TTG CGT TCR TCA AA−3'(配列番号10)は、CHB-3ペプチド( 配列番号4、アミノ酸130〜146)に由来した。BamHI部位は、各プライマーの5' 末端に存在し、PCR産物のクローン化効率を増大させた。上記の直鎖状F.heparin um染色体DNAをテンプレートとして用いて、単一の300bp DNAフラグメントを増幅 した。増幅のための条件は、以下のようである:94℃にて40秒間の変性、45また は50℃にて1分間のアニーリング、および72℃にて2分間の伸長。このサイクル を35回繰り返した。 図3に示すように、PCRフラグメントをアガロースゲルで精製し、BamHIで消化 し、そしてBamHI消化した脱リン酸化pBluescriptに連結した。連結混合物を用い てE.coli FTB1を形質転換した。得られた50個の形質転換体のうち、1つは、Bam HIで切断した場合に300bpフラグメントを産生した。このプラスミドpCHB300中の 挿入物を、上記のように行われるDNA配列分析に供した。これは、挿入物が、プ ライマー領域の外側にDNA配列を含有することを明らかにした。このDNA配列は、 2つのコンドロイチナーゼBペプチドについて決定されたアミノ酸配列とマッチ するアミノ酸配列をコードする。この挿入物を用いて、上記のように構築された F.heparinum染色体DNAのλライブラリーをスクリーニングした。 λライブラリーを、1皿あたり200プラークの密度でプレートした。20皿のプ レートリフトを行った。プローブの作製のために、500ngのpCHB300を、上記のプ ライマーを用いて以下の30サイクルのPCR増幅に供した;それぞれ1分間の、93 ℃での変性、55℃でのアニーリング、および72℃での伸長。得られたPCRフラグ メントをアガロースゲルで精製し、そしてRandom Primer 標識キット(Boehringe r Mannheim,Laval,Canada)を用いてdATPa32Pで標識した。このプローブにハイ ブリダイズする31個の潜在的なλクローンが、リフトを2×SSC中で58℃にて1 回洗浄に供した後に見出された。これらのプラークの再スクリーニングは、58℃ にて、2×SSC中で15分間を2回、2×SSC/0.1%SDS中で30分間を1回、および0 .5×SSC/0.1%SDS中で20分間を1回の洗浄後に17個のプラークのポジティブシグ ナルを与えた。さらに分析した8クローンの内2個は、プローブとハイブリダイ ズし、そしてF.heparinum染色体DNA由来のHindIIIフラグメント(これもまた、3 00bpプローブとハイブリダイズする)と同時に移動する5.0kb HindIIIフラグメ ントを示した。5.0kbフラグメントを、両方のλクローンからゲル精製し、pBlue scriptのHindIII部位に連結し、そしてFTB1に形質転換した。 44コロニーをつつき、そして20μlの上記と同じPCR混合物を含有する0.5ml PC Rチューブの端に擦り付けた。PCRを以下のように行った:93℃にて30秒間の変性 、58℃にて30秒間のアニーリング、および72℃にて1分間の伸長、35サイクル。 分析において、6個の形質転換体は、300bpのバンドの増幅物を示した。これら のコロニーに由来するDNAを単離し、そしてHindIIIにより消化したところ、5.0k bフラグメントの存在が明らかとなった。6つのクローンの内5つは、300kbフラ グメントのハイブリダイズし、そしてPCR増幅実験の結果を確認した。これらの クローンの内の1つであるpCHB78を選択し、そしてDNA配列決定のためのテンプ レートとして使用した。 ウォーキングプライマーストラテジーを用いて、配列決定反応を、A.L.F.DNA シークエンサーに関する上記のように実行した。配列分析は、506アミノ酸残基 をコードする単一の1.52kbのオープンリーディングフレームを明らかにした。プ レタンパク質(preprotein)が、25アミノ酸のシグナルペプチドを有することを 見出した。成熟コンドロイチナーゼB酵素は、計算分子量53,563ダルトンを有す る481アミノ酸を含有する。 E.coliにおけるコンドロイチナーゼBの発現 コンドロイチナーゼBに対する発現ベクターの構築が、図4に示される。プラ イマーを、コンドロイチナーゼAC遺伝子の発現に関する上記の方法と同様の方法 で、コンドロイチナーゼBのコード領域を増幅するために設計した。コンドロイ チナーゼBコード配列の増幅のために用いられる1つのオリゴヌクレオチド(5' −CGCGGATCCATGCAGGTGTTGCTCAAATGAAACT-3')(配列番号11)は、その5'末端 にBamHI制限部位、および成熟タンパク質の最初のアミノ酸の前に挿入されたATG コドンを含有した。第2のオリゴヌクレオチド(5'−CGGAATCAATTCACCGGGAT− 3')(配列番号12)は、XmnI制限部位および終結コドンが遺伝子のコード配列 の末端に挿入されるように設計された。100ngのpCHB78をテンプレートとして用 いて、52℃のアニール温度で、1.5kbフラグメントを増幅し、ゲル精製し、制限 消化し、そして予めBamHIおよびXmnIで切断されたpGBに挿入した。これにより、 このタンパク質を発現するために用いられる最終的なpGB-CHB構築物を得た。 この構築物を、E.coli株 DH5αに形質転換し、コンドロイチナーゼAC酵素につ いて記載されるように発現させた。細胞をO.D.600=0.5まで増殖させた後、1mM IPTGを培養物に添加し、タンデムtacプロモーターを誘導し、そして細胞を23℃ 、30℃、または37℃のいすれかに移して、それぞれさらに5、3、および2時間 増殖させた。超音波処理後、上清画分をデルマタン硫酸(dermatan sulfate)にお ける活性についてアッセイした。23℃における細胞の増殖は、0.57 IU/ml/ODの 分解活性を有して最良の結果をもたらし、一方、30℃および37℃における細胞の 増殖は、それぞれ0.14および0.01 IU/ml/ODの分解活性を有した。 本発明は、天然の生物であるFlavobacterium heparinumに由来する高度に精製 されたコンドロイチン分解酵素およびこれらの遺伝子をコードする遺伝子を得る ための方法論を記載している。これらの遺伝子の誘導体は、実質的に得られる酵 素活性に影響を与えないこれら遺伝子の保存的置換、付加、および欠失により、 または遺伝子の縮重型を用いることにより調製され得る。本明細書中で用いられ るように、保存的置換は、同じアミノ酸をコードするコドンの置換、および同様 の構造および化学的特性を有するアミノ酸(これは、当業者に周知であり、例え ば、(I,L,V);(F,Y);(K,R);(Q,N);(D,E);および(G,A)を包含する構造的に同 様のアミノ酸のグループである)についてのアミノ酸の置換を包含する。 これらの方法の変形物は、前記の本発明の詳細な記載から当業者に明らかであ る。このような改変は、添付の請求の範囲の範囲内であることが意図される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ラリバーテ, メリーセ カナダ国 ジェイ7ジー 1エル2 ケベ ック, ボイスブライアンド, アベニュ ー コロンビア 252 (72)発明者 グ, カンフ カナダ国 エイチ9ジー 2ピー1 ケベ ック, ダラード デス オーミューク ス, バイキング プレイス 106 (72)発明者 ツカレック, アンナ リディア カナダ国 エイチ1エム 2ビー8 ケベ ック, モントリオール, ランゲリアー 6250 (72)発明者 フィンク, ドミニク カナダ国 ケベック, モントリオール, チャムボード 4548 (72)発明者 リンハート, ロバート アメリカ合衆国 アイオワ 52240, ア イオワ シティ, プラム ストリート 1422

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.Flavobacterium heparinumに由来する、コンドロイチナーゼACおよびコンド ロイチナーゼBからなる群より選択される精製されたコンドロイチナーゼであっ て: 該細菌を溶解する工程; 該溶解した細菌の周辺腔からタンパク質を抽出する工程; 塩またはpHグラジエントを用いて、陽イオン交換クロマトグラフィーにより、 該抽出されたタンパク質を分離する工程; 塩またはpHグラジエントを用いて、硫酸セルロース樹脂におけるクロマトグラ フィーにより、該陽イオン交換クロマトグラフィーのマトリックスの溶出により 得られた酵素活性を有する画分を分離する工程; 塩またはpHグラジエントを用いて、ヒドロキシアパタイトにおいて、該硫酸セ ルロース樹脂の溶出により得られた酵素活性を有する該画分を分離する工程; 塩またはpHグラジエントを用いて、陽イオン交換クロマトグラフィーを用いる クロマトグラフィーにより、該ヒドロキシアパタイトの溶出により得られた酵素 活性を有する該画分を分離する工程;および 分子量に基づいて、酵素活性を有する該画分を分離する工程、 を含むプロセスにより該細菌から99%よりも高度に精製された、コンドロイチナ ーゼ。 2.前記酵素が、コンドロイチナーゼACであり、そして72,000から82,000ダルト ンの間の分子量を有し、そしてコンドロイチン硫酸Aおよびコンドロイチン硫酸 Cを分解し得る、請求項1に記載の酵素。 3.前記酵素が、コンドロイチナーゼBであり、そして52,700から57,300ダルト ンの間の分子量を有し、そしてデルマタン硫酸またはコンドロイチン硫酸Bを分 解し得る、請求項1に記載の酵素。 4.配列番号1のヌクレオチド配列あるいはその保存的な置換または縮重性の置 換を有する配列によりコードされる、組換えコンドロイチナーゼAC。 5.配列番号2のアミノ酸配列またはその保存的な置換を有する配列を有する、 請求項4に記載の酵素。 6.配列番号3のヌクレオチド配列あるいはその保存的な置換または縮重性の置 換を有する配列によりコードされる、組換えコンドロイチナーゼB。 7.配列番号4のアミノ酸配列またはその保存的な置換を有する配列を有する、 請求項6に記載の酵素。 8.薬学的に受容可能なキャリアをさらに含有する、請求項1に記載の酵素。 9.配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する、請求項4に記載のコンドロイ チナーゼ。 10.配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する、請求項6に記載のコンドロ イチナーゼ。 11.以下の工程を含むプロセスにより、Flavobacterium heparinumから、コン ドロイチナーゼACおよびコンドロイチナーゼBからなる群より選択されるコンド ロイチナーゼを精製するための方法: 該細菌を溶解する工程; 該溶解した細菌の周辺腔からタンパク質を抽出する工程; 塩またはpHグラジエントを用いて、陽イオン交換クロマトグラフィーにより、 該抽出されたタンパク質を分離する工程; 塩またはpHグラジエントを用いて、硫酸セルロース樹脂におけるクロマトグラ フィーにより、該陽イオン交換クロマトグラフィーのマトリックスの溶出により 得られた酵素活性を有する画分を分離する工程; 塩またはpHグラジエントを用いて、ヒドロキシアパタイトにおいて、該硫酸セ ルロース樹脂の溶出により得られた酵素活性を有する該画分を分離する工程; 塩またはpHグラジエントを用いて、陽イオン交換クロマトグラフィーを用いる クロマトグラフィーにより、該ヒドロキシアパタイトの溶出により得られた酵素 活性を有する該画分を分離する工程;および 分子量に基づいて、酵素活性を有する該画分を、他の酵素から分離したコンド ロイチナーゼACおよびコンドロイチナーゼBを含む画分に分離する工程。
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