JPH10318263A - 合成樹脂製保持器の製造方法 - Google Patents
合成樹脂製保持器の製造方法Info
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Abstract
だけゲート数を増やさず、注入樹脂材料どうしの合流部
分の強度を増大させること。 【解決手段】金型のキャビティ1での注入樹脂材料の合
流個所に対応して樹脂溜め3を設けて、注入樹脂材料の
先頭部分がキャビティ1から出て樹脂溜め3に流入する
ようにしている。多点ゲート方式では、ゲート2A,2
B間の複数の領域d1,d2の円周方向距離に長短の差を
つけて、円周方向距離の長い領域d1内にある合流個所
に接して樹脂溜め3を形成している。
Description
体や一方向クラッチのスプラグ等を保持する合成樹脂製
保持器の製造方法に係り、詳しくは、注入樹脂材料の合
流部分の強度を増すための方法に関する。
図6に示すように、円筒形の本体10の円周数カ所に、
転動体もしくはスプラグを収容するポケット11が設け
られている。なお、図6では、いわゆるもみ抜き型と呼
ばれる保持器を例示しているが、この他にも、図示しな
いが冠形と呼ばれる保持器もある。
出成形により製造される。具体的には、図7に示すよう
に、成形用金型には成形体である保持器に対応して環状
のキャビティ12が形成されており、このキャビティ1
2内にはゲート13から合成樹脂材料が注入される。注
入された合成樹脂材料は、キャビティ12内を左右に分
かれて流動するとともに、ゲート13と対向する反対側
の位置で再び合流して、相互に接合されることになる。
料が合流するまでの距離が比較的長いと、その流動過程
で溶融樹脂が冷却されて温度が低下することになる。こ
のような温度が低下した樹脂材料どうしが合流して接合
すると、この合流接合部分Wには、強度が他の部分より
弱い、いわゆるウェルドが形成されてしまう。このよう
なウェルドが出来ると、使用中、このウェルドを起点と
して破断しやすくなる。そのため、前述の注入樹脂材料
の合流個所を、肉厚の薄い個所に設定している場合は、
その部分の断面積の小さいことと相俟って、強度はさら
に弱くなる。
繊維、金属繊維等の繊維を添加したものでは、合流接合
部分Wにおいて繊維配向に乱れが生じることになって、
この合流接合部分Wの強度が低下しやすくなる。
数個所にそれぞれゲートを設ける、いわゆる多点ゲート
方式がある。この方式では、ゲートから注入される合成
樹脂材料の合流個所までの距離を短くすることにより、
注入樹脂材料をほとんど温度低下させずに合流させるこ
とができるので、合流接合部分の強度を高くすることが
できる。
ると、その増加数に応じてウェルドの数も増加する。ま
た、成形金型の構造が複雑になり、加工も面倒になる。
特に、多数個取りの成形金型においては、多数のキャビ
ティのそれぞれについてゲートを増やさなければならな
いから、成形金型の設計自体が困難となるばかりか、加
工が極めて面倒になり、コストが大幅に上昇する。その
ため、ゲート数を増やすのは容易ではなくなる上、スプ
ルーランナ重量も増加し、また、その増加数にも限度が
ある。
しても、それらのゲート間の円周方向間隔が広くなるこ
とがあり、その場合は、注入樹脂材料が比較的長い距
離、流動することになるから、やはり、強度的に問題の
あるウェルドが出来るおそれがある。
造方法では、金型のゲート数を増やすには困難があり、
また、ゲート数を増やすだけではウェルドの強度低下を
解消できない場合もある。
の製造方法において、できるだけゲート数を増やさず
に、注入樹脂材料どうしの合流部分の強度を増大させる
ことを目的とする。
ラグ等を保持する合成樹脂製保持器の製造方法におい
て、次のように構成する。
法は、成形金型のキャビティでの注入樹脂材料の合流個
所に対応して樹脂溜めが設けられている。
法は、成形金型のキャビティの円周方向複数個所にそれ
ぞれゲートが設けられ、これらゲート間の複数の領域の
うち、一部の領域の円周方向距離が他の領域の円周方向
距離より長く設定され、円周方向距離が長い領域内にお
ける注入樹脂材料の合流個所に対応して樹脂溜めが設け
られている。
法は、成形金型のキャビティの円周方向2個所にそれぞ
れゲートが設けられ、これら両ゲート間の2つの領域の
うち、一方の領域の円周方向距離が他方の領域の円周方
向距離より長く設定され、円周方向距離が長い領域内に
おける注入樹脂材料の合流個所に対応して1個の樹脂溜
めが設けられている。
ィの合流個所において注入樹脂材料の先頭部分が温度低
下した状態で合流しても、この合流した注入樹脂材料が
キャビティから出て樹脂溜めに流れ込むことになり、キ
ャビティ内の合流個所では、ウェルドが出来ずに済むこ
とになる。
の円周方向距離が短い領域では注入樹脂材料の先頭部分
が温度低下するまでに早期に合流することになるから、
合流箇所の強度低下は少なく、一方、ゲート間の円周方
向距離が長い領域では、注入樹脂材料の先頭部分が温度
低下した状態で合流しやすくなるものの、この合流した
注入樹脂材料がキャビティ外の樹脂溜めに流れ込むた
め、合流個所にウェルドが出来ずに済むようになる。
す実施の形態を用いて説明する。図1および図2は本発
明の実施形態1に係り、図1は、合成樹脂製保持器の製
造方法の説明図、図2は、使用する成形用金型の断面図
である。
器に対応して成形用金型内に形成された環状のキャビテ
ィであり、符号2は、このキャビティ1内に合成樹脂材
料を注入するゲートである。
方式によるもので、成形用金型においてキャビティ1の
円周方向1個所に1個のゲート2が設けられている。そ
して、キャビティ1内での注入樹脂材料の合流個所、す
なわちゲート2の開口位置を通るキャビティ1の直径線
Lの線上で、ゲート2とは反対側の個所に接して樹脂溜
め3が設けられている。この樹脂溜め3は、キャビティ
1に比べると小容量の空間で、キャビティ1に対して狭
い通路で連通している。
の外径側に、また、樹脂溜め3をキャビティ1の内径側
にそれぞれ配置しているように記載しているが、図2に
示すように、ゲート2および樹脂溜め3の双方とも、キ
ャビティ1の内径側に、一対の金型4,5の分割面に沿
って形成されても、また双方とも外径側に形成されても
よい。図2において符号6は、ゲート2に通じるスプル
ーランナ、7,8はエジェクタピンである。
樹脂溜め3の開口位置は、キャビティ1の内径側で、ポ
ケット間の肉厚部に設定することが望ましい。円筒こ
ろ、ニードルローラ等のころ軸受用の保持器の場合、前
記の開口位置は、キャビティ1の外径側であれば、ポケ
ット間の柱部、リング部のいずれに設定してもよい。
らキャビティ1内に合成樹脂材料が注入されると、その
注入樹脂材料は、キャビティ1内を左右に分かれて流動
するとともに、ゲート2と対向する反対側の位置で合流
することになる。
開口しているから、樹脂材料の先頭部分は合流しながら
キャビティ1から出て樹脂溜め3に流入するため、ウェ
ルドの発生が解消される。そのため、合流部分の接合強
度が大となる。
3に注入樹脂材料が充填された後、その注入樹脂材料が
硬化すると、所要の保持器が成形されるが、この保持器
には、樹脂溜め3内でできた樹脂塊がつながっている。
この樹脂塊は、保持器の本体とともに金型から排出され
るから、排出後、保持器の本体から切り離せばよい。な
お、前述の樹脂塊は、硬化した成形品を成形金型から取
り出すときに、切り離すこともできる。なお、ゲート方
式は、サイドゲート方式、ピンゲート方式などが使用で
きる。また、ゲート位置は、保持器の内、外径側だけで
なく、端面にあっても同じ効果が得られる。
ト方式の製造方法について説明しているが、以下におい
て、多点ゲート方式の製造方法について説明する。
持器を製造する場合、複数のゲートはキャビティの周り
に円周方向等間隔に配置される。キャビティ内への注入
樹脂材料は、これら各ゲート間の各領域の中間位置で合
流するから、注入樹脂材料の合流個所は各領域内に複数
存在する。これら複数の合流個所のすべてについて、実
施形態1で説明したものと同様の樹脂溜めを設ければよ
い。
いては、樹脂溜めの数がゲート数と同数だけ多くなる。
ちなみに、樹脂溜め内にできる樹脂塊は、スプルーラン
ナと同様に破棄されるので、樹脂溜めの数を多くする
と、無駄になる樹脂材料の量が増えることになる。これ
に対して、多点ゲート方式の製造方法については、以下
で説明する実施形態2ないし4のように構成することも
考えている。
法の説明図である。この実施形態2は、2点ゲート方式
によるもので、金型のキャビティ1の円周方向2個所に
ゲート2A,2Bが設けられている。
はなく、これら両ゲート2A,2B間の2つの領域
d1,d2のうち、一方の領域d1の円周方向距離が他方
の領域d2の円周方向距離より長く設定されている。つ
まり、d1>d2の関係である。
ィ1内に注入された樹脂材料は、各領域d1,d2のそれ
ぞれ中間位置で合流するが、この実施形態2では、円周
方向距離が長い方の領域d1内にある注入樹脂材料の合
流個所に対応して1個の樹脂溜め3が設けられている。
2A,2Bから注入された合成樹脂材料が、その注入位
置からキャビティ1内を左右に分かれて流動し、各領域
d1,d2の中間位置でそれぞれ合流する。
向距離の短い領域d2内では注入樹脂材料どうしが合流
するまでの距離が短いので、早期に合流するようにな
る。そのため、この領域d2内では、注入樹脂材料はほ
とんど温度低下することなく合流して接合するから、こ
の合流部分の接合強度が大となる。
1内では、注入樹脂材料どうしが合流する個所までの距
離が長いので、注入樹脂材料の先頭部分が温度低下しや
すくなる。しかしながら、この領域d1での合流個所に
は樹脂溜め3を設けているから、注入樹脂材料の先頭部
分は、合流しながらキャビティ1を出て、樹脂溜め3に
流入する。そのため、従来のようなウェルドが出来ずに
済む。
1と同様に樹脂溜め3が1個なので、無駄になる樹脂の
量が少なくて済む。
法の説明図である。この実施形態3は、3点ゲート方式
で、金型のキャビティ1の円周方向3個所にゲート2
A,2B,2Cが設けられている。これら3個のゲート
2A,2B,2C間の3つの領域d1,d2,d3のう
ち、一つの領域d1の円周方向距離が残りの2つの領域
d2,d3の円周方向距離より長く設定されており(d1
>d2,d3)、円周方向距離の長い領域d1について、
その中間位置にある注入樹脂材料の合流個所に対応して
1個の樹脂溜め3が形成されている。
円周方向距離の短い領域d2,d3内では、注入樹脂材料
どうしが合流するまでの距離が短い。そのため、この領
域d2内では、注入樹脂材料はほとんど温度低下するこ
となく早期に合流して接合するから、この合流部分の接
合強度が大となる。一方、円周方向距離の長い領域d1
内では、注入樹脂材料は、比較的長い距離流動したのち
に合流することになるため、樹脂材料の先頭部分が温度
低下しやすくなる。しかしながら、この領域d1での合
流個所には樹脂溜め3を設けているから、注入樹脂材料
の先頭部分は、合流しながらキャビティ1を出て、樹脂
溜め3に流入する。そのため、従来のようなウェルドが
出来ずに済む。
1,2と同様に樹脂溜め3が1個なので、無駄になる樹
脂の量が少なくて済む。
法の説明図である。この実施形態4も、3点ゲート方式
であるが、3個のゲート2A,2B,2Cの間にできる
3つの領域d1,d2,d3のうち、2つの領域d1,d2
の円周方向距離が残りの一つの領域d3の円周方向距離
より長く設定されており(d1,d2>d3)、2つの領
域d1,d2について、その注入樹脂材料の合流個所に対
応してそれぞれ樹脂溜め3A,3Bが形成されている。
d2,d3のうち、円周方向距離の短い領域d3内での注
入樹脂材料の挙動や、円周方向距離が長くて樹脂溜め3
A(3B)がある領域d1,d2内での注入樹脂材料の挙
動は、実施形態3の場合と特に変わらないので、説明は
省略するが、いずれにしても、注入樹脂材料の合流部分
での大きな強度低下やウェルドの発生を解消できる。
め3A,3Bを設けているので、無駄になる樹脂の量が
実施形態1〜3に比べると若干多くなるが、特にゲート
間間隔を狭くできないような大径の保持器を製造する場
合に適する。
点ゲート方式の場合は、要するに、複数のゲートの間に
できるゲートと同数の領域のうち、一部の領域の円周方
向距離を大幅な強度低下が起こらないような短い間隔に
設定し、円周方向距離が長くなってしまう領域内におい
ては注入樹脂材料の合流個所に対応して樹脂溜めを設け
るようにすればよい。このときでも、無駄になる樹脂の
量を少なくするために、樹脂溜めの数をできるだけ少な
くすることが望ましい。
樹脂材料の先頭部分が樹脂溜めに流入してキャビティか
ら排出され、強度的に問題のあるウェルドが形成されず
に済む。したがって、本発明によれば、強度面で信頼性
の高い合成樹脂製保持器を提供できるようになる。
ート間の領域の円周方向距離に長短の差をつけて、円周
方向距離の長い領域に樹脂溜めを設けるようにするか
ら、円周方向距離の短い領域内では注入樹脂材料どうし
が早期に合流することで、大幅な強度低下を防止するこ
とができ、また、円周方向距離の長い領域内では注入樹
脂材料の先頭部分がキャビティから排出されることで、
それぞれ合流部分にウェルドが出来ずに済むという効果
を奏する他、樹脂溜めの数が少数に抑えられるので、無
駄になる樹脂の量が少なくて済むという効果も奏する。
脂溜めを設けることにより、ゲート間の領域の円周方向
距離を、樹脂溜めを設けない場合よりも長くできるか
ら、ゲートの数を可及的に少くすることができ、これに
よって成形金型の構造を簡略化できるようになり、無駄
になる樹脂の量が少なくて済む。
型の断面図
Claims (3)
- 【請求項1】 転動体、スプラグ等を保持する合成樹脂
製保持器の製造方法であって、 成形金型のキャビティでの注入樹脂材料の合流個所に対
応して樹脂溜めが設けられている、ことを特徴とする合
成樹脂製保持器の製造方法。 - 【請求項2】 転動体、スプラグ等を保持する合成樹脂
製保持器の製造方法であって、 成形金型のキャビティの円周方向複数個所にそれぞれゲ
ートが設けられ、これらゲート間の複数の領域のうち、
一部の領域の円周方向距離が他の領域の円周方向距離よ
り長く設定され、円周方向距離が長い領域内における注
入樹脂材料の合流個所に対応して樹脂溜めが設けられて
いる、ことを特徴とする合成樹脂製保持器の製造方法。 - 【請求項3】 転動体、スプラグ等を保持する合成樹脂
製保持器の製造方法であって、 成形金型のキャビティの円周方向2個所にそれぞれゲー
トが設けられ、これら両ゲート間の2つの領域のうち、
一方の領域の円周方向距離が他方の領域の円周方向距離
より長く設定され、円周方向距離が長い領域内における
注入樹脂材料の合流個所に対応して1個の樹脂溜めが設
けられている、ことを特徴とする合成樹脂製保持器の製
造方法。
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