JP2013228103A - 合成樹脂製保持器の製造方法並びに製造装置 - Google Patents

合成樹脂製保持器の製造方法並びに製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】射出成形に伴って生じるウェルド13a、13aが、応力が集中し易い、両リム部7a、7bと各柱部8、8との連続部に存在しない様にして、優れた耐久性を有する合成樹脂製の保持器6を、特にコストを高くする事なく実現する。
【解決手段】大径のリム部7bに対応する円環状空間部分への溶融合成樹脂の送り込み量を、小径のリム部7aに対応する円環状空間部分への溶融合成樹脂の送り込み量よりも多くする。そして、各ゲートからキャビティ内に、互いに異なる方向から送り込まれた未固化の合成樹脂がこのキャビティ内で会合する事により生じるウェルド13a、13aの総てを、前記両リム部7a、7bと前記各柱部8,8との連続部から外れた部分に位置させる。
【選択図】図2

Description

この発明は、自動車用変速機(トランスミッション)の回転支持部、自動車用差動装置(デファレンシャルギヤ)の回転支持部、車輪支持用転がり軸受(ハブ軸受ユニット)を構成する複数個の転動体を保持する為の合成樹脂製保持器の改良に関する。具体的には、射出成形に伴って生じるウェルドが、応力が集中し易い部分に存在しない様にして、優れた耐久性を有する合成樹脂製保持器の実現を図るものである。
例えば、自動車の懸架装置に対して車輪を回転自在に支持する為の車輪支持用転がり軸受は、図9に示す様に構成している。即ち、懸架装置に支持された状態で回転しない外輪1の内周面に設けた複列の外輪軌道2、2と、車輪を支持固定した状態でこの車輪と共に回転するハブ3の外周面に設けた複列の内輪軌道4、4との間に、それぞれが転動体である円すいころ5、5を、両列毎に複数個ずつ、それぞれ保持器6、6により保持した状態で、転動自在に設けている。これら両保持器6、6は、籠型保持器と呼ばれるもので、合成樹脂を射出成形する事により一体形成しており、例えば図10に示す様な形状としている。即ち、保持器6は、1対のリム部7a、7bと複数本の柱部8、8とを備える。このうちの両リム部7a、7bは、それぞれが円環状で、互いに同心に、且つ、軸方向に間隔をあけて配置されている。又、前記各柱部8、8は、前記両リム部7a、7b同士の間に掛け渡されている。そして、これら両リム部7a、7bと、円周方向に隣り合う1対ずつの柱部8、8とにより四周を囲まれる部分を、それぞれ前記各円すいころ5、5を保持する為のポケット9、9としている。
この様な合成樹脂製の保持器6は、溶融合成樹脂(加熱溶融させた熱可塑性樹脂)を金型のキャビティ内に、1乃至複数個所のゲート(送り込み口)を通じて送り込んだ(圧力を加えて注入した)後、このキャビティ内で冷却固化させる、射出成形により造る。成形装置を構成する前記金型内のキャビティは、前記両リム部7a、7bを形成すべき円環状空間の円周方向複数個所に、前記各柱部8、8を形成すべき直線状空間の両端部を連続させた構造となっている。そして、前記キャビティ内に溶融合成樹脂を送り込む為のゲートは、前記両リム部7a、7bを形成すべき円環状空間のうちの一方又は双方の空間の1乃至複数個所に設けている。
この様な成形装置で前記保持器6を造る際、前記ゲートから前記キャビティ内に送り込まれた溶融合成樹脂は、前記両円環状空間及び前記各直線状空間をそれぞれの長さ方向に流れて、これら各空間に充満し、これら各空間内で冷却固化される。この場合に、これら各空間内に送り込まれる前記溶融合成樹脂は、必ずしもこれら各空間の一端から他端に向けて、当該空間内で一方向にのみ流れる訳ではない。例えば、前記両円環状空間に何れもゲートを設けた場合、前記各直線状空間には、それぞれの両端から溶融樹脂が流れ込み、これら各直線状空間の中間部で突き当たって(会合して)、当該部分に、ウェルドと呼ばれる、曲げ等の外力に対する強度及び剛性が低い部分が形成される。この様なウェルドが、総ての柱部8、8に関して長さ方向中間部に存在すれば、これら各柱部8、8を備えた前記保持器6に関して、一般的に必要とされる程度の強度を確保できる。
これに対して、上述の様なウェルドが、前記両リム部7a、7bと前記各柱部8、8との連続部に存在すると、前記保持器6の強度が不足する可能性がある。即ち、この保持器6を組み込んだ転がり軸受の運転時に、円すいころ5、5(図9参照)等の転動体が前記各柱部8、8の円周方向側面に衝突すると、この衝突に基づく荷重が、前記連続部に曲げモーメントとして加わる。この為、この連続部にウェルドが存在すると、この連続部に亀裂等の損傷が発生し易くなって、前記保持器6の耐久性が損なわれる。
前記連続部にウェルドが存在する様になる状況の1例に就いて、図2の(B)に示した参考例に基づいて説明する。尚、この図2の(B)に示した参考例は、射出成形後、ゲートに対応する部分から連続する(このゲートと溶融合成樹脂の供給源とを結ぶ供給路の内側部分で形成される)ランナ11を除去する以前の、合成樹脂製の保持器6を示している。前記供給路の内面形状に対応して形成される前記ランナ11のうち、1対のリム部7a、7bの外周面から径方向に連続する下流端部分12a、12bの外径Da、Dbは、これら両リム部7a、7b同士の間で、互いに等しい(D=D)。即ち、図2の(B)の形状を射出成形する場合、金型内のキャビティのうち、前記両リム部7a、7bに対応する部分の円周方向1個所の同位相部分に、同量の合成樹脂を送り込む。
この様に、比較的小径のリム部7aを形成する為の円環状空間と、比較的大径のリム部7bを形成する為の円環状空間とに、同量の溶融合成樹脂を送り込むと、各柱部8、8を形成する為の直線状空間内に前記両円環状空間から流入する溶融合成樹脂の会合位置が、下流側ほど、大径のリム部7bを形成すべき円環状空間側に寄る。即ち、前記両リム部7a、7bのうちで円周方向の位相が一致する部分から同量ずつ送り込まれた溶融合成樹脂は、前記ゲートに対応する部分から前記両リム部7a、7bに対応する部分に、円周方向に関して両側に広がりつつ、前記各柱部8、8に対応する部分に、それぞれの両端部から流入する。そして、これら各柱部8、8に対応する部分の両端部から流入した溶融合成樹脂は、これら各部分の一部で会合し、当該部分がウェルドとなる。このウェルドが、上記各柱部8、8の中間部分に存在すれば、各部の強度が、問題となるほど低下する事はなく、十分な耐久性を有する保持器6を得られる。
但し、前記キャビティのうち、前記両リム部7a、7bに対応する部分の円周方向長さは互いに異なる為、前記各柱部8、8に対応する部分に溶融合成樹脂が、それぞれの両端部から流入するタイミングは必ずしも同じではない。具体的には、前記ゲートから遠い、前記溶融合成樹脂の流れ方向に関して下流側に向かうほど、前記小径のリム部7aに対応する側から流入するタイミングに比べて、前記大径のリム部7bに対応する側から流入するタイミングが遅れる。そして、これら両リム部7a、7bの径差や、前記ゲートから送り込む溶融樹脂の量(単位時間当たりの流量)によっては、前記大径のリム部7bに対応する大径円環状空間側から前記各柱部8、8に対応する直線状空間部分に流入する以前に、前記小径のリム部7aに対応する小径円環状空間側からこれら各柱部8、8に対応する部分に流入した溶融合成樹脂が、前記大径円環状空間部分にまで達してしまう。この結果、図2の(B)に示す様に、得られる保持器6のうちで、前記各柱部8、8と前記大径のリム部7bとの連続部(何れかのポケット9の隅角部)や、このリム部7bの一部に、ウェルド13、13が形成される。この様な保持器6は、前述した通り、これら各ウェルド13、13のうちで、前記連続部に存在するウェルド13、13部分で亀裂等の損傷を発生し易く、必ずしも十分な耐久性を得られない可能性がある。
合成樹脂製保持器の強度がウェルドにより低下するのを防止する為の技術として従来から、特許文献2〜4に記載された技術が知られている。このうちの特許文献2、4に記載された従来技術は、金型内のキャビティのうちでウェルドが発生する部分に樹脂溜めを設け、両側から流れてきた溶融合成樹脂をこの樹脂溜めに流入させる事で、当該部分の強度低下を防止する。但し、この様な従来技術の場合、本発明の対象となる様な、1対のリム部と複数本の柱部とを備えた冠型保持器で、多くのウェルドが形成される構造に関して、総てのウェルドの位置を所望位置に規制する事は難しい。仮にできたとしても、多くの樹脂溜めを設ける必要があり、金型が複雑になる他、各樹脂溜め部分で冷却固化した合成樹脂を切除する手間が面倒になり、しかも、材料の歩留まりが悪化する。
又、特許文献3には、金型のキャビティのうちで各柱部に対応する直線状空間部分よりも内径側又は外径側に、溶融合成樹脂を軸方向に流す為の円筒状のバイパス流路を全周に亙って設け、このバイパス流路を通じて、一方のリム部に対応する円環状空間部分から他方のリム部に対応する円環状空間部分の溶融合成樹脂を送り込む技術が記載されている。この様な従来技術の場合、不適正部にウェルドが形成される事を防止できるが、射出成形後に除去する部分の容積が嵩み、加工作業が面倒になるだけでなく、材料の歩留まりが極端に悪化する為、製造コストが著しく上昇する。
特開2002−227849号公報 特開平10−318263号公報 特開平11−108063号公報 特開2008−95770号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、射出成形に伴って生じるウェルドが、応力が集中し易い、両リム部と各柱部との連続部(各ポケットの隅角部)に存在しない様にして、優れた耐久性を有する合成樹脂製保持器を、特にコストを高くする事なく実現すべく発明したものである。
本発明の対象となる合成樹脂製保持器は、1乃至複数のゲートから金型のキャビティ内に送り込んだ溶融合成樹脂を、このキャビティ内で固化させる射出成形により造られる。そして、互いに同心に、且つ、軸方向に間隔をあけて配置された、それぞれが円環状である1対のリム部と、これら両リム部同士の間に掛け渡された複数本の柱部とを備え、これら両リム部と円周方向に隣り合う1対ずつの柱部とにより四周を囲まれる部分を、それぞれ転動体を保持する為のポケットとしている。
特に、本発明の合成樹脂製保持器に於いては、前記ゲートから前記キャビティ内に、互いに異なる方向から送り込まれた未固化の合成樹脂がこのキャビティ内で会合する事により生じるウェルドの総てが、前記両リム部と前記各柱部との連続部から外れた部分に存在する。
又、請求項2に記載した合成樹脂製保持器の製造方法の発明は、上述の様な合成樹脂製保持器を製造すべく、前記キャビティ内に溶融合成樹脂を送り込む為のゲートを、前記両リム部に対応する円環状空間部分の1乃至複数個所の円周方向に関する位相が互いに一致する部分に設ける。又、一方のリム部に対応する円環状空間部分への溶融合成樹脂の送り込み量と他方のリム部に対応する円環状空間部分への溶融合成樹脂の送り込み量とを異ならせる。そして、前記各ゲートから前記キャビティ内に、互いに異なる方向から送り込まれた未固化の合成樹脂がこのキャビティ内で会合する事により生じるウェルドの総てを、前記両リム部と前記各柱部との連続部から外れた部分に位置させる。
この様な請求項2に記載した合成樹脂製保持器の発明を実施する場合、具体的には、請求項3に記載した発明の様に、上記合成樹脂製保持器を、一方のリム部の直径が他方のリム部の直径よりも大きく、各柱部が軸方向に対し傾斜している、円すいころ軸受用合成樹脂製保持器とする。そして、前記キャビティのうちで前記一方のリム部に対応する(このリム部を形成する為の)大径円環状空間部分に送り込む溶融合成樹脂の量を、前記他方のリム部に対応する小径円環状空間部分に送り込む溶融合成樹脂の量よりも多くする。
又、上述の請求項3に記載した合成樹脂製保持器の製造方法の実施に使用する、合成樹脂製保持器の製造装置のうち、請求項4に記載した合成樹脂製保持器の製造装置は、前記キャビティ内に溶融合成樹脂を送り込む為のゲートを、このキャビティのうちで、前記両リム部に対応する円環状空間部分の1乃至複数個所の円周方向に関する位相が互いに一致する部分に設ける。そして、前記一方のリム部に対応する大径円環状空間部分に溶融合成樹脂を送り込む為のゲート及びランナ部に対応する供給路の断面積を、前記他方のリム部に対応する小径円環状空間部分に溶融合成樹脂を送り込む為のゲート及びランナ部に対応する供給路の断面積よりも大きくする。
一方、請求項5に記載した合成樹脂製保持器の製造方法の発明は、前述の様な合成樹脂製保持器を製造すべく、キャビティ内に溶融合成樹脂を送り込む為のゲートを、前記両リム部のうちの少なくとも何れか一方のリム部に対応する円環状部分の一部に設ける。又、前記キャビティの一部で前記両リム部に対応する円環状空間部分同士の間に、前記各柱部に対応する直線状空間部分とは別に、これら両リム部に対応する円環状空間部分同士の間で前記溶融合成樹脂を流通させる為のバイパス流路を設ける。そして、前記ゲートから前記キャビティのうちで前記各柱部に対応する直線状空間部分に、互いに異なる方向から送り込まれた未固化の合成樹脂がこのキャビティ内で会合する事により生じるウェルドの総てを、前記両リム部と前記各柱部との連続部から外れた部分に位置させる。
更に、上述の請求項5に記載した合成樹脂製保持器の製造方法の実施に使用する、合成樹脂製保持器の製造装置のうち、請求項6に記載した合成樹脂製保持器の製造装置は、前記キャビティ内に溶融合成樹脂を送り込む為のゲートを、このキャビティのうちで、前記両リム部のうちの少なくとも何れか一方のリム部に対応する円環状空間部分に設ける。又、前記キャビティの一部で前記両リム部に対応する円環状空間部分同士の間に、前記各柱部とは別にこれら両リム部同士の間で前記溶融合成樹脂を流通させる為のバイパス流路を設ける。
上述の様に構成する本発明の合成樹脂製保持器及びその製造方法並びに製造装置によれば、射出成形に伴って生じるウェルドが、応力が集中し易い部分に存在しない様にして、優れた耐久性を有する合成樹脂製保持器を、特にコストを高くする事なく実現できる。
先ず、請求項2〜4に記載した合成樹脂製保持器の製造方法並びに製造装置の場合、金型内のキャビティのうちで、1対のリム部に対応する円環状空間部分から、各柱部に対応する直線状空間部分に、これら各直線状空間部分の両端から、ほぼ同じタイミングで流入させられる。そして、各ウェルドを、前記各柱部の中間部に位置させて、請求項1に記載した様に、総てのウェルドが、前記両リム部と前記各柱部との連続部から外れた部分に存在する合成樹脂製保持器を得られる。
又、請求項5〜6に記載した合成樹脂製保持器の製造方法並びに製造装置の場合も、金型内のキャビティのうちのバイパス流路を通じて、1対のリム部に対応する円環状空間部分のうち、溶融合成樹脂の供給が遅れる傾向となる部分に、他方のリム部から要求合成樹脂を補給できる。この為、これら両リム部の直径が異なったり、或いは断面積が異なる等の理由により、これら両リム部に溶融合成樹脂が行き渡るタイミングがずれても、これら両リム部に対応する1対の円環状空間部分から各柱部に対応する直線状空間部分に、これら各直線状空間部分の両端から、ほぼ同じタイミングで流入させられる。そして、各ウェルドを、前記各柱部の中間部に位置させて、請求項1に記載した様に、総てのウェルドが、前記両リム部と前記各柱部との連続部から外れた部分に存在する合成樹脂製保持器を得られる。
本発明の実施の形態の第1例を示す、射出成形後、ゲートから連続するランナ部分を除去する以前の合成樹脂製保持器を示す斜視図。 射出成形後、ゲートから連続する供給路部分で形成されたランナ部分を除去する以前の合成樹脂製保持器に関して、本発明の実施の形態の第1例(A)と参考例(B)とを、それぞれ図1の矢印イ方向外方から見た正投影図。 図2の(A)のロ部拡大図。 本発明の実施の形態の第2例を示す、図1と同様の図。 同第3例を示す、射出成形後、バイパス流路部分で成形された杆状部分を除去する以前の合成樹脂製保持器を示す斜視図。 図5のハ部拡大図。 本発明の実施の形態の第4例を示す、図5と同様の図。 図7のニ部拡大図。 本発明の対象となる合成樹脂製保持器を組み込んだ車輪支持用転がり軸受の1例を示す断面図。 本発明の対象となる合成樹脂製保持器の1例を示す斜視図。
[実施の形態の第1例]
図1〜3は、請求項1〜4に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。これら図1〜3は、射出成形直後、成形装置を構成する金型を開いてこの金型から取り出した、ランナ11a、11が付いたままの(ランナ11a、11を切除する以前の)保持器6を示している。このうちの保持器6は、形状そのものに関しては、前述の図10に示した保持器6と同じであり、1対のリム部7a、7bと複数本の柱部8、8とを備える。このうちの両リム部7a、7bは、それぞれが円環状で、互いに同心に、且つ、軸方向に間隔をあけて配置されている。又、前記両リム部7a、7bのうちの一方(図1〜3の上方)のリム部7bの直径を、他方(図1〜3の下方)のリム部7aの直径よりも大きくしている。これら両リム部の断面積に関しては、互いにほぼ同じとしている。更に、前記各柱部8、8は、前記両リム部7a、7b同士の間に掛け渡されている。そして、これら両リム部7a、7bと、円周方向に隣り合う1対ずつの柱部8、8とにより四周を囲まれる部分を、それぞれ円すいころ5、5(図9参照)保持する為のポケット9、9としている。
この様な合成樹脂製の保持器6は、前記成形装置を構成する金型のキャビティ内に前記溶融合成樹脂を、ゲートを通じ、加圧した状態で送り込む事により造る。本例の場合にこのゲートは、前記両リム部7a、7bを形成する為の、小径側、大径側両円環状空間毎に1箇所ずつ、合計2箇所、円周方向に関する位相を互いに一致させた状態で設けている。この構成に就いては、前述の図2の(B)に示した、本発明の技術的範囲からは外れる、参考例の場合と同様である。従って、前記保持器6の本体部分(ランナ11a、11を除く部分)を射出成形する為の金型のキャビティ部分の形状、構造、寸法に関しても、前述した参考例の場合と同様である。
特に、本例の場合には、前記保持器6の射出成形時に、前記キャビティのうちで前記比較的大径である一方のリム部7bに対応する大径側円環状空間部分に送り込む溶融合成樹脂の量を、前記比較的小径である他方のリム部7aに対応する小径側円環状空間部分に送り込む溶融合成樹脂の量よりも多くする。そして、この溶融合成樹脂の会合部に生じるウェルド13a、13aの総てを、前記両リム部7a、7bと前記各柱部8、8との連続部から外れた部分、具体的には、これら各柱部8、8の中間部に存在させている。言い換えれば、前記溶融合成樹脂が、前記キャビティのうちで、前記各柱部8、8を形成する為の直線状空間の中間部で会合する様にしている。
この為に本例の場合には、前記比較的大径である一方のリム部7bを形成する為の前記大径側円環状空間部分に通じるゲート並びに当該ゲートの通じる供給路の内径(この供給路の内周面形状に対応して形成される、前記ランナ11aの下流端部分12bの外径)Dを、前記比較的小径である前記小径のリム部7aを形成する為の前記小径側円環状空間部分に通じるゲート並びに当該ゲートの通じる供給路の内径(この供給路の内周面形状に対応して形成される、前記ランナ11aの下流端部分12a´の外径)dよりも大きく(D>d)している。そして、前記両リム部7a、7bの直径の相違に拘らず、前記両ゲートから、前記小径側、大径側両円環状空間部分に送り込まれた溶融合成樹脂が、これら両円環状空間部分の円周方向に拡がるタイミングに、大きな差が生じない様にしている。言い換えれば、前記両ゲートから前記両円環状空間内に送り込まれた溶融合成樹脂が、これら両円環状空間の直径の相違に拘らず、前記各柱部8、8を形成する為の直線状空間の両端部に、ほぼ同時に達する様にしている。
本例は、この様な構成を採用している為、前記両ゲートから前記キャビティのうちで前記小径側、大径側両円環状空間に、それぞれの円周方向1箇所ずつから送り込まれた未固化の合成樹脂が、これら両円環状空間を、円周方向の位相(角度)に関してほぼ同じタイミングで流れる。そして、前記各柱部8、8を形成する為の直線状空間の両端部から(これら各柱部8、8同士の間では差があっても、これら各柱部8、8毎に)ほぼ同時に流入する。この為、前記キャビティ内で会合する事により生じるウェルド13a、13aの総てを、前記両リム部7a、7bと前記各柱部8、8との連続部から外れた部分に位置させる事ができる。即ち、前記各ウェルド13a、13aを、前記各柱部8、8の中間部と、前記両リム部7a、7bの円周方向中間部のうちで、前記ゲートと径方向反対側部分とに位置させる事ができる。これら両リム部7a、7bの円周方向中間部のウェルド13a、13aの位置に関しても、前記ゲートの位置と前記各柱部8、8の位置とを適切に規制する事により、前記両リム部7a、7bと前記各柱部8、8との連続部から外れた位置に設けられる。
本例の合成樹脂製保持器及びその製造方法並びに製造装置は、以上に述べた様にして、ウェルド13a、13aの総てを、前記両リム部7a、7bと前記各柱部8、8との連続部から外れた部分に位置させる為、合成樹脂製保持器を組み込んだ円すいころ軸受の運転時に、各円すいころが前記各柱部8、8を円周方向に押して、これら各柱部8、8と前記両リム部7a、7bとの連続部に大きな曲げ方向の力が加わっても、この連続部に亀裂等の損傷を生じにくく、優れた耐久性を有する合成樹脂製保持器を得られる。尚、図1〜3の例では、1対のゲートを前記両円環状空間部分の外周面側に設けたが、内周面側に設ける事もできる。
尚、前記両リム部7a、7bの円周方向に関して、前記両ゲートを設ける位置は、前記各柱部8、8及び前記各ポケット9、9の数が偶数の場合には、円周方向に隣り合う柱部8、8同士の中央部(何れかのポケット9の円周方向中央部)の同位相部分とする事が好ましい。これに対して、前記各柱部8、8及び前記各ポケット9、9の数が奇数の場合には、前記両ゲートを、円周方向に関する位相が何れかの柱部8と一致する部分に設ける事が好ましい。又、前記大径側円環状空間部分に通じるゲート並びに当該ゲートの通じる供給路の内径Dと、前記比較的小径である前記小径のリム部7aを形成する為の前記小径側円環状空間部分に通じるゲート並びに当該ゲートの通じる供給路の内径dとの比(D/d)は、計算により求める事ができる。但し、良質の製品をより安定して得る為には、計算により求めた上、実験により修正する事が好ましい。
[実施の形態の第2例]
図4は、請求項1〜4に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、小径側のリム部7aを形成する為の小径側円環状空間と、大径側のリム部7bを形成する為の大径側円環状空間との、それぞれの内周面部分の直径方向反対側2箇所位置ずつ、合計4箇所位置に、それぞれゲートを設けている。そして、本例の場合も、前記大径側円環状空間に通じるゲート及び供給路の内径を、前記小径側円環状空間に通じるゲート及び供給路の内径よりも大きく(断面積を広く)している。この様な本例の場合も、前記各ゲート及び供給路の内径の比を適切に規制する事により、各ウェルド13a、13aを、前記各リム部7a、7bと各柱部8、8の両端部との連続部から外れた部分に存在させる事ができる。前記各ゲートの数を増やし、これに合わせてこれら各ゲート及び供給路を保持器6の内径側に設けた点(ランナ11bがこの保持器6の内径側に形成される点)以外の構成は、上述した実施の形態の第1例の場合と同様であるから、重複する説明は省略する。
[実施の形態の第3例]
図5〜6は、請求項1、5、6に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、小径のリム部7aと大径のリム部7bとを複数本の柱部8、8により連続させた円すいころ軸受用の保持器6を、合成樹脂の射出成形により造るべく、キャビティ内に溶融合成樹脂を送り込む為のゲート15を、前記大径側のリム部7bに対応する、大径側円環状空間部分の一部で、前記各柱部8、8に対応する直線状空間部分同士の間部分に設けている。又、前記キャビティの一部で、この大径側円環状空間部分と、前記小径側のリム部7aに対応する円環状小径側空間部分との間にバイパス流路を、前記各柱部8、8に対応する直線状空間部分とは別に設けている。
本例の場合には、前記ゲート15と前記パイパス流路との位相を一致させている。そして、このバイパス流路により、前記ゲート15から前記大径側円環状空間部分に送り込んだ前記溶融合成樹脂の一部を、前記小径側円環状空間部分に送り込める様にしている。この様にして小径側円環状部分に送り込まれた前記溶融合成樹脂は、この小径側円環状部分の側から、前記各直線状空間部分に進入する。そして、前記大径側円環状空間部分の側から、これら各直線状空間部分に進入した溶融合成樹脂と、これら各直線状空間部分の中間部で会合する。例えば、前記バイパス流路を設けない場合、ウェルド13b、13bが図6のP位置、即ち、各柱部8、8とリム部7aとの連続部に形成されるのに対して、このバイパス流路を設ける事で、α方向の溶融合成樹脂の流速を、β方向の溶融合成樹脂の流速よりも速くする事ができ、ウェルド13c、13cを図6のQ位置、即ち、前記各柱部8、8の中間部に移せる。この為、前述した実施の形態の第1〜2例の場合と同様に、合成樹脂製の保持器6の耐久性向上を図れる。
尚、合成樹脂の射出成形により保持器6を形成した直後の状態では、前記バイパス流路に対応して、前記両リム部7a、7b同士の間に、円杆部16が形成される。この円杆部16は、図示しないランナ部分と共に切除されるが、この円杆部16は小径である為、切除作業は容易であり、材料の歩留まり悪化も僅かに止まる。
又、本例の場合には、前記バイパス流路を設ける事により、このバイパス流路に隣接した直線状空間部分への溶融合成樹脂の流入状況、即ち、両端開口から流入するタイミングを調節できる。又、このタイミングは、前記バイパス流路の断面積により任意に調節できる。従って、このバイパス流路により前記各柱部8、8の中間部にウェルドを位置させる技術は、ゲートの位置が何れの部分であっても利用できる。例えば、前述の図2の(B)に示した参考例の技術に関して、溶融合成樹脂の流れ方向下流側となる、ゲートと反対寄り部分{図2の(B)の左寄り部分}にパイパス流路を設ける事で、当該部分に関しても、ウェルドを各柱部8、8の中間部分に位置させる事ができる。要は、1乃至複数のゲート15からの距離、流通抵抗等を考慮した場合に、そのままでは何れかの柱部の端部と何れかのリブ部との連続部にウェルドが形成される場合に、前記バイパス流路を設けて、当該ウェルドの位置をこの連続部からずらせる事ができる。
[実施の形態の第4例]
図7〜8は、請求項1、5、6に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、1対のバイパス流路を、ポケット9を1個あけた位置に設けている。この様な本例の場合も、これら両バイパス流路を設ける事により、ウェルド13c、13cを、各柱部8、8とリム部7aとの連続部であるP位置から、これら各柱部8、8の中間部であるQ位置に移せる。この為、上述した実施の形態の第3例の場合と同様に、コスト上昇を抑えつつ、合成樹脂製の保持器6の耐久性向上を図れる。
以上の説明は、本発明を、1対のリム部の直径が互いに異なる、円すいころ軸受用保持器に適用した場合に就いて行った。但し、本発明は、円筒ころ軸受用保持器や自動調心ころ軸受用保持器で実施する事もできる。円筒ころ軸受用保持器の場合には、1対のリム部の直径が互いに等しいので、これら両リム部の断面形状及び断面積が同じであれば、前述した様な問題を生じる事はない。但し、これら両リム部の断面形状と断面積との少なくとも一方が異なる場合、直径が異なる場合と同様に、これら両リム部毎に設けたゲートから、キャビティのうちで上記両リム部に対応する円環状空間部分に送り込まれた溶融合成樹脂の流動速度が、これら両リム部同士の間で不均一になる可能性がある。そこで、この様な場合に、前記各ゲートから前記キャビティのうちで上記両リム部に対応する円環状空間部分に送り込む溶融合成樹脂の流速(角速度)を一致させるべく、本発明を適用する。
1 外輪
2 外輪軌道
3 ハブ
4 内輪軌道
5 円すいころ
6 保持器
7a、7b リム部
8 柱部
9 ポケット
10a、10b ゲート
11、11a ランナ
12a、12b 下流端部分
13、13a、13b、13c ウェルド
14a、14b 部分
15 ゲート
16 円杆部
この発明は、自動車用変速機(トランスミッション)の回転支持部、自動車用差動装置(デファレンシャルギヤ)の回転支持部、車輪支持用転がり軸受(ハブ軸受ユニット)を構成する複数個の転動体を保持する為の合成樹脂製保持器の製造方法並びに製造装置の改良に関する。具体的には、射出成形に伴って生じるウェルドが、応力が集中し易い部分に存在しない様にして、優れた耐久性を有する合成樹脂製保持器を得る為の製造方法並びに製造装置の実現を図るものである。
例えば、自動車の懸架装置に対して車輪を回転自在に支持する為の車輪支持用転がり軸受は、図9に示す様に構成している。即ち、懸架装置に支持された状態で回転しない外輪1の内周面に設けた複列の外輪軌道2、2と、車輪を支持固定した状態でこの車輪と共に回転するハブ3の外周面に設けた複列の内輪軌道4、4との間に、それぞれが転動体である円すいころ5、5を、両列毎に複数個ずつ、それぞれ保持器6、6により保持した状態で、転動自在に設けている。これら両保持器6、6は、籠型保持器と呼ばれるもので、合成樹脂を射出成形する事により一体形成しており、例えば図10に示す様な形状としている。即ち、保持器6は、1対のリム部7a、7bと複数本の柱部8、8とを備える。このうちの両リム部7a、7bは、それぞれが円環状で、互いに同心に、且つ、軸方向に間隔をあけて配置されている。又、前記各柱部8、8は、前記両リム部7a、7b同士の間に掛け渡されている。そして、これら両リム部7a、7bと、円周方向に隣り合う1対ずつの柱部8、8とにより四周を囲まれる部分を、それぞれ前記各円すいころ5、5を保持する為のポケット9、9としている。
この様な合成樹脂製の保持器6は、溶融合成樹脂(加熱溶融させた熱可塑性樹脂)を金型のキャビティ内に、1乃至複数個所のゲート(送り込み口)を通じて送り込んだ(圧力を加えて注入した)後、このキャビティ内で冷却固化させる、射出成形により造る。成形装置を構成する前記金型内のキャビティは、前記両リム部7a、7bを形成すべき円環状空間の円周方向複数個所に、前記各柱部8、8を形成すべき直線状空間の両端部を連続させた構造となっている。そして、前記キャビティ内に溶融合成樹脂を送り込む為のゲートは、前記両リム部7a、7bを形成すべき円環状空間のうちの一方又は双方の空間の1乃至複数個所に設けている。
この様な成形装置で前記保持器6を造る際、前記ゲートから前記キャビティ内に送り込まれた溶融合成樹脂は、前記両円環状空間及び前記各直線状空間をそれぞれの長さ方向に流れて、これら各空間に充満し、これら各空間内で冷却固化される。この場合に、これら各空間内に送り込まれる前記溶融合成樹脂は、必ずしもこれら各空間の一端から他端に向けて、当該空間内で一方向にのみ流れる訳ではない。例えば、前記両円環状空間に何れもゲートを設けた場合、前記各直線状空間には、それぞれの両端から溶融樹脂が流れ込み、これら各直線状空間の中間部で突き当たって(会合して)、当該部分に、ウェルドと呼ばれる、曲げ等の外力に対する強度及び剛性が低い部分が形成される。この様なウェルドが、総ての柱部8、8に関して長さ方向中間部に存在すれば、これら各柱部8、8を備えた前記保持器6に関して、一般的に必要とされる程度の強度を確保できる。
これに対して、上述の様なウェルドが、前記両リム部7a、7bと前記各柱部8、8との連続部に存在すると、前記保持器6の強度が不足する可能性がある。即ち、この保持器6を組み込んだ転がり軸受の運転時に、円すいころ5、5(図9参照)等の転動体が前記各柱部8、8の円周方向側面に衝突すると、この衝突に基づく荷重が、前記連続部に曲げモーメントとして加わる。この為、この連続部にウェルドが存在すると、この連続部に亀裂等の損傷が発生し易くなって、前記保持器6の耐久性が損なわれる。
前記連続部にウェルドが存在する様になる状況の1例に就いて、図2の(B)に示した参考例に基づいて説明する。尚、この図2の(B)に示した参考例は、射出成形後、ゲートに対応する部分から連続する(このゲートと溶融合成樹脂の供給源とを結ぶ供給路の内側部分で形成される)ランナ11を除去する以前の、合成樹脂製の保持器6を示している。前記供給路の内面形状に対応して形成される前記ランナ11のうち、1対のリム部7a、7bの外周面から径方向に連続する下流端部分12a、12bの外径Da、Dbは、これら両リム部7a、7b同士の間で、互いに等しい(D=D)。即ち、図2の(B)の形状を射出成形する場合、金型内のキャビティのうち、前記両リム部7a、7bに対応する部分の円周方向1個所の同位相部分に、同量の合成樹脂を送り込む。
この様に、比較的小径のリム部7aを形成する為の円環状空間と、比較的大径のリム部7bを形成する為の円環状空間とに、同量の溶融合成樹脂を送り込むと、各柱部8、8を形成する為の直線状空間内に前記両円環状空間から流入する溶融合成樹脂の会合位置が、下流側ほど、大径のリム部7bを形成すべき円環状空間側に寄る。即ち、前記両リム部7a、7bのうちで円周方向の位相が一致する部分から同量ずつ送り込まれた溶融合成樹脂は、前記ゲートに対応する部分から前記両リム部7a、7bに対応する部分に、円周方向に関して両側に広がりつつ、前記各柱部8、8に対応する部分に、それぞれの両端部から流入する。そして、これら各柱部8、8に対応する部分の両端部から流入した溶融合成樹脂は、これら各部分の一部で会合し、当該部分がウェルドとなる。このウェルドが、上記各柱部8、8の中間部分に存在すれば、各部の強度が、問題となるほど低下する事はなく、十分な耐久性を有する保持器6を得られる。
但し、前記キャビティのうち、前記両リム部7a、7bに対応する部分の円周方向長さは互いに異なる為、前記各柱部8、8に対応する部分に溶融合成樹脂が、それぞれの両端部から流入するタイミングは必ずしも同じではない。具体的には、前記ゲートから遠い、前記溶融合成樹脂の流れ方向に関して下流側に向かうほど、前記小径のリム部7aに対応する側から流入するタイミングに比べて、前記大径のリム部7bに対応する側から流入するタイミングが遅れる。そして、これら両リム部7a、7bの径差や、前記ゲートから送り込む溶融樹脂の量(単位時間当たりの流量)によっては、前記大径のリム部7bに対応する大径円環状空間側から前記各柱部8、8に対応する直線状空間部分に流入する以前に、前記小径のリム部7aに対応する小径円環状空間側からこれら各柱部8、8に対応する部分に流入した溶融合成樹脂が、前記大径円環状空間部分にまで達してしまう。この結果、図2の(B)に示す様に、得られる保持器6のうちで、前記各柱部8、8と前記大径のリム部7bとの連続部(何れかのポケット9の隅角部)や、このリム部7bの一部に、ウェルド13、13が形成される。この様な保持器6は、前述した通り、これら各ウェルド13、13のうちで、前記連続部に存在するウェルド13、13部分で亀裂等の損傷を発生し易く、必ずしも十分な耐久性を得られない可能性がある。
合成樹脂製保持器の強度がウェルドにより低下するのを防止する為の技術として従来から、特許文献2〜4に記載された技術が知られている。このうちの特許文献2、4に記載された従来技術は、金型内のキャビティのうちでウェルドが発生する部分に樹脂溜めを設け、両側から流れてきた溶融合成樹脂をこの樹脂溜めに流入させる事で、当該部分の強度低下を防止する。但し、この様な従来技術の場合、本発明の対象となる様な、1対のリム部と複数本の柱部とを備えた冠型保持器で、多くのウェルドが形成される構造に関して、総てのウェルドの位置を所望位置に規制する事は難しい。仮にできたとしても、多くの樹脂溜めを設ける必要があり、金型が複雑になる他、各樹脂溜め部分で冷却固化した合成樹脂を切除する手間が面倒になり、しかも、材料の歩留まりが悪化する。
又、特許文献3には、金型のキャビティのうちで各柱部に対応する直線状空間部分よりも内径側又は外径側に、溶融合成樹脂を軸方向に流す為の円筒状のバイパス流路を全周に亙って設け、このバイパス流路を通じて、一方のリム部に対応する円環状空間部分から他方のリム部に対応する円環状空間部分の溶融合成樹脂を送り込む技術が記載されている。この様な従来技術の場合、不適正部にウェルドが形成される事を防止できるが、射出成形後に除去する部分の容積が嵩み、加工作業が面倒になるだけでなく、材料の歩留まりが極端に悪化する為、製造コストが著しく上昇する。
特開2002−227849号公報 特開平10−318263号公報 特開平11−108063号公報 特開2008−95770号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、射出成形に伴って生じるウェルドが、応力が集中し易い、両リム部と各柱部との連続部(各ポケットの隅角部)に存在しない様にして、優れた耐久性を有する合成樹脂製保持器を、特にコストを高くする事なく得る為の製造方法並びに製造装置を実現すべく発明したものである。
本発明の対象となる合成樹脂製保持器は、1乃至複数のゲートから金型のキャビティ内に送り込んだ溶融合成樹脂を、このキャビティ内で固化させる射出成形により造られる。そして、互いに同心に、且つ、軸方向に間隔をあけて配置された、それぞれが円環状である1対のリム部と、これら両リム部同士の間に掛け渡された複数本の柱部とを備え、これら両リム部と円周方向に隣り合う1対ずつの柱部とにより四周を囲まれる部分を、それぞれ転動体を保持する為のポケットとしている。
特に、本発明の合成樹脂製保持器の製造方法は、上述の様な合成樹脂製保持器を製造すべく、前記キャビティ内に溶融合成樹脂を送り込む為のゲートを、前記両リム部に対応する円環状空間部分の1乃至複数個所の円周方向に関する位相が互いに一致する部分に設ける。又、一方のリム部に対応する円環状空間部分への溶融合成樹脂の送り込み量と他方のリム部に対応する円環状空間部分への溶融合成樹脂の送り込み量とを異ならせる。そして、前記各ゲートから前記キャビティ内に、互いに異なる方向から送り込まれた未固化の合成樹脂がこのキャビティ内で会合する事により生じるウェルドの総てを、前記両リム部と前記各柱部との連続部から外れた部分に位置させる。
この様な本発明の合成樹脂製保持器の製造方法を実施する場合、具体的には、請求項2に記載した発明の様に、上記合成樹脂製保持器を、一方のリム部の直径が他方のリム部の直径よりも大きく、各柱部が軸方向に対し傾斜している、円すいころ軸受用合成樹脂製保持器とする。そして、前記キャビティのうちで前記一方のリム部に対応する(このリム部を形成する為の)大径円環状空間部分に送り込む溶融合成樹脂の量を、前記他方のリム部に対応する小径円環状空間部分に送り込む溶融合成樹脂の量よりも多くする。
又、上述の請求項2に記載した合成樹脂製保持器の製造方法の実施に使用する、請求項3に記載した合成樹脂製保持器の製造装置は、前記キャビティ内に溶融合成樹脂を送り込む為のゲートを、このキャビティのうちで、前記両リム部に対応する円環状空間部分の1乃至複数個所の円周方向に関する位相が互いに一致する部分に設ける。そして、前記一方のリム部に対応する大径円環状空間部分に溶融合成樹脂を送り込む為のゲート及びランナ部に対応する供給路の断面積を、前記他方のリム部に対応する小径円環状空間部分に溶融合成樹脂を送り込む為のゲート及びランナ部に対応する供給路の断面積よりも大きくする。
上述の様に構成する本発明の合成樹脂製保持器の製造方法並びに製造装置によれば、射出成形に伴って生じるウェルドが、応力が集中し易い部分に存在しない様にして、優れた耐久性を有する合成樹脂製保持器を、特にコストを高くする事なく製造できる。
即ち、本発明の合成樹脂製保持器の製造方法並びに製造装置の場合、金型内のキャビティのうちで、1対のリム部に対応する円環状空間部分から、各柱部に対応する直線状空間部分に、これら各直線状空間部分の両端から、ほぼ同じタイミングで流入させられる。そして、各ウェルドを、前記各柱部の中間部に位置させて、総てのウェルドが、前記両リム部と前記各柱部との連続部から外れた部分に存在する合成樹脂製保持器を得られる。
本発明の実施の形態の第1例を示す、射出成形後、ゲートから連続するランナ部分を除去する以前の合成樹脂製保持器を示す斜視図。 射出成形後、ゲートから連続する供給路部分で形成されたランナ部分を除去する以前の合成樹脂製保持器に関して、本発明の実施の形態の第1例(A)と参考例(B)とを、それぞれ図1の矢印イ方向外方から見た正投影図。 図2の(A)のロ部拡大図。 本発明の実施の形態の第2例を示す、図1と同様の図。 本発明に関連する参考例の第1例を示す、射出成形後、バイパス流路部分で成形された杆状部分を除去する以前の合成樹脂製保持器を示す斜視図。 図5のハ部拡大図。 本発明に関連する参考例の第2例を示す、図5と同様の図。 図7のニ部拡大図。 本発明の対象となる合成樹脂製保持器を組み込んだ車輪支持用転がり軸受の1例を示す断面図。 本発明の対象となる合成樹脂製保持器の1例を示す斜視図。
[実施の形態の第1例]
図1〜3は、請求項1〜3に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。これら図1〜3は、射出成形直後、成形装置を構成する金型を開いてこの金型から取り出した、ランナ11a、11が付いたままの(ランナ11a、11を切除する以前の)保持器6を示している。このうちの保持器6は、形状そのものに関しては、前述の図10に示した保持器6と同じであり、1対のリム部7a、7bと複数本の柱部8、8とを備える。このうちの両リム部7a、7bは、それぞれが円環状で、互いに同心に、且つ、軸方向に間隔をあけて配置されている。又、前記両リム部7a、7bのうちの一方(図1〜3の上方)のリム部7bの直径を、他方(図1〜3の下方)のリム部7aの直径よりも大きくしている。これら両リム部の断面積に関しては、互いにほぼ同じとしている。更に、前記各柱部8、8は、前記両リム部7a、7b同士の間に掛け渡されている。そして、これら両リム部7a、7bと、円周方向に隣り合う1対ずつの柱部8、8とにより四周を囲まれる部分を、それぞれ円すいころ5、5(図9参照)保持する為のポケット9、9としている。
この様な合成樹脂製の保持器6は、前記成形装置を構成する金型のキャビティ内に前記溶融合成樹脂を、ゲートを通じ、加圧した状態で送り込む事により造る。本例の場合にこのゲートは、前記両リム部7a、7bを形成する為の、小径側、大径側両円環状空間毎に1箇所ずつ、合計2箇所、円周方向に関する位相を互いに一致させた状態で設けている。この構成に就いては、前述の図2の(B)に示した、本発明の技術的範囲からは外れる、参考例の場合と同様である。従って、前記保持器6の本体部分(ランナ11a、11を除く部分)を射出成形する為の金型のキャビティ部分の形状、構造、寸法に関しても、前述した参考例の場合と同様である。
特に、本例の場合には、前記保持器6の射出成形時に、前記キャビティのうちで前記比較的大径である一方のリム部7bに対応する大径側円環状空間部分に送り込む溶融合成樹脂の量を、前記比較的小径である他方のリム部7aに対応する小径側円環状空間部分に送り込む溶融合成樹脂の量よりも多くする。そして、この溶融合成樹脂の会合部に生じるウェルド13a、13aの総てを、前記両リム部7a、7bと前記各柱部8、8との連続部から外れた部分、具体的には、これら各柱部8、8の中間部に存在させている。言い換えれば、前記溶融合成樹脂が、前記キャビティのうちで、前記各柱部8、8を形成する為の直線状空間の中間部で会合する様にしている。
この為に本例の場合には、前記比較的大径である一方のリム部7bを形成する為の前記大径側円環状空間部分に通じるゲート並びに当該ゲートの通じる供給路の内径(この供給路の内周面形状に対応して形成される、前記ランナ11aの下流端部分12bの外径)Dを、前記比較的小径である前記小径のリム部7aを形成する為の前記小径側円環状空間部分に通じるゲート並びに当該ゲートの通じる供給路の内径(この供給路の内周面形状に対応して形成される、前記ランナ11aの下流端部分12a´の外径)dよりも大きく(D>d)している。そして、前記両リム部7a、7bの直径の相違に拘らず、前記両ゲートから、前記小径側、大径側両円環状空間部分に送り込まれた溶融合成樹脂が、これら両円環状空間部分の円周方向に拡がるタイミングに、大きな差が生じない様にしている。言い換えれば、前記両ゲートから前記両円環状空間内に送り込まれた溶融合成樹脂が、これら両円環状空間の直径の相違に拘らず、前記各柱部8、8を形成する為の直線状空間の両端部に、ほぼ同時に達する様にしている。
本例は、この様な構成を採用している為、前記両ゲートから前記キャビティのうちで前記小径側、大径側両円環状空間に、それぞれの円周方向1箇所ずつから送り込まれた未固化の合成樹脂が、これら両円環状空間を、円周方向の位相(角度)に関してほぼ同じタイミングで流れる。そして、前記各柱部8、8を形成する為の直線状空間の両端部から(これら各柱部8、8同士の間では差があっても、これら各柱部8、8毎に)ほぼ同時に流入する。この為、前記キャビティ内で会合する事により生じるウェルド13a、13aの総てを、前記両リム部7a、7bと前記各柱部8、8との連続部から外れた部分に位置させる事ができる。即ち、前記各ウェルド13a、13aを、前記各柱部8、8の中間部と、前記両リム部7a、7bの円周方向中間部のうちで、前記ゲートと径方向反対側部分とに位置させる事ができる。これら両リム部7a、7bの円周方向中間部のウェルド13a、13aの位置に関しても、前記ゲートの位置と前記各柱部8、8の位置とを適切に規制する事により、前記両リム部7a、7bと前記各柱部8、8との連続部から外れた位置に設けられる。
本例の合成樹脂製保持器の製造方法並びに製造装置は、以上に述べた様にして、ウェルド13a、13aの総てを、前記両リム部7a、7bと前記各柱部8、8との連続部から外れた部分に位置させる為、合成樹脂製保持器を組み込んだ円すいころ軸受の運転時に、各円すいころが前記各柱部8、8を円周方向に押して、これら各柱部8、8と前記両リム部7a、7bとの連続部に大きな曲げ方向の力が加わっても、この連続部に亀裂等の損傷を生じにくくして、優れた耐久性を有する合成樹脂製保持器を得られる。尚、図1〜3の例では、1対のゲートを前記両円環状空間部分の外周面側に設けたが、内周面側に設ける事もできる。
尚、前記両リム部7a、7bの円周方向に関して、前記両ゲートを設ける位置は、前記各柱部8、8及び前記各ポケット9、9の数が偶数の場合には、円周方向に隣り合う柱部8、8同士の中央部(何れかのポケット9の円周方向中央部)の同位相部分とする事が好ましい。これに対して、前記各柱部8、8及び前記各ポケット9、9の数が奇数の場合には、前記両ゲートを、円周方向に関する位相が何れかの柱部8と一致する部分に設ける事が好ましい。又、前記大径側円環状空間部分に通じるゲート並びに当該ゲートの通じる供給路の内径Dと、前記比較的小径である前記小径のリム部7aを形成する為の前記小径側円環状空間部分に通じるゲート並びに当該ゲートの通じる供給路の内径dとの比(D/d)は、計算により求める事ができる。但し、良質の製品をより安定して得る為には、計算により求めた上、実験により修正する事が好ましい。
[実施の形態の第2例]
図4は、請求項1〜3に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、小径側のリム部7aを形成する為の小径側円環状空間と、大径側のリム部7bを形成する為の大径側円環状空間との、それぞれの内周面部分の直径方向反対側2箇所位置ずつ、合計4箇所位置に、それぞれゲートを設けている。そして、本例の場合も、前記大径側円環状空間に通じるゲート及び供給路の内径を、前記小径側円環状空間に通じるゲート及び供給路の内径よりも大きく(断面積を広く)している。この様な本例の場合も、前記各ゲート及び供給路の内径の比を適切に規制する事により、各ウェルド13a、13aを、前記各リム部7a、7bと各柱部8、8の両端部との連続部から外れた部分に存在させる事ができる。前記各ゲートの数を増やし、これに合わせてこれら各ゲート及び供給路を保持器6の内径側に設けた点(ランナ11bがこの保持器6の内径側に形成される点)以外の構成は、上述した実施の形態の第1例の場合と同様であるから、重複する説明は省略する。
本発明に関連する参考例の第1例
図5〜6は、本発明に関連する参考例の第1例を示している。本参考例の場合には、小径のリム部7aと大径のリム部7bとを複数本の柱部8、8により連続させた円すいころ軸受用の保持器6を、合成樹脂の射出成形により造るべく、キャビティ内に溶融合成樹脂を送り込む為のゲート15を、前記大径側のリム部7bに対応する、大径側円環状空間部分の一部で、前記各柱部8、8に対応する直線状空間部分同士の間部分に設けている。又、前記キャビティの一部で、この大径側円環状空間部分と、前記小径側のリム部7aに対応する円環状小径側空間部分との間にバイパス流路を、前記各柱部8、8に対応する直線状空間部分とは別に設けている。
本参考例の場合には、前記ゲート15と前記パイパス流路との位相を一致させている。そして、このバイパス流路により、前記ゲート15から前記大径側円環状空間部分に送り込んだ前記溶融合成樹脂の一部を、前記小径側円環状空間部分に送り込める様にしている。この様にして小径側円環状部分に送り込まれた前記溶融合成樹脂は、この小径側円環状部分の側から、前記各直線状空間部分に進入する。そして、前記大径側円環状空間部分の側から、これら各直線状空間部分に進入した溶融合成樹脂と、これら各直線状空間部分の中間部で会合する。例えば、前記バイパス流路を設けない場合、ウェルド13b、13bが図6のP位置、即ち、各柱部8、8とリム部7aとの連続部に形成されるのに対して、このバイパス流路を設ける事で、α方向の溶融合成樹脂の流速を、β方向の溶融合成樹脂の流速よりも速くする事ができ、ウェルド13c、13cを図6のQ位置、即ち、前記各柱部8、8の中間部に移せる。この為、前述した実施の形態の第1〜2例の場合と同様に、合成樹脂製の保持器6の耐久性向上を図れる。
尚、合成樹脂の射出成形により保持器6を形成した直後の状態では、前記バイパス流路に対応して、前記両リム部7a、7b同士の間に、円杆部16が形成される。この円杆部16は、図示しないランナ部分と共に切除されるが、この円杆部16は小径である為、切除作業は容易であり、材料の歩留まり悪化も僅かに止まる。
又、本参考例の場合には、前記バイパス流路を設ける事により、このバイパス流路に隣接した直線状空間部分への溶融合成樹脂の流入状況、即ち、両端開口から流入するタイミングを調節できる。又、このタイミングは、前記バイパス流路の断面積により任意に調節できる。従って、このバイパス流路により前記各柱部8、8の中間部にウェルドを位置させる技術は、ゲートの位置が何れの部分であっても利用できる。例えば、前述の図2の(B)に示した参考例の技術に関して、溶融合成樹脂の流れ方向下流側となる、ゲートと反対寄り部分{図2の(B)の左寄り部分}にパイパス流路を設ける事で、当該部分に関しても、ウェルドを各柱部8、8の中間部分に位置させる事ができる。要は、1乃至複数のゲート15からの距離、流通抵抗等を考慮した場合に、そのままでは何れかの柱部の端部と何れかのリブ部との連続部にウェルドが形成される場合に、前記バイパス流路を設けて、当該ウェルドの位置をこの連続部からずらせる事ができる。
本発明に関連する参考例の第2例
図7〜8は、本発明に関連する参考例の第2例を示している。本参考例の場合には、1対のバイパス流路を、ポケット9を1個あけた位置に設けている。この様な本参考例の場合も、これら両バイパス流路を設ける事により、ウェルド13c、13cを、各柱部8、8とリム部7aとの連続部であるP位置から、これら各柱部8、8の中間部であるQ位置に移せる。この為、上述した参考例の第1例の場合と同様に、コスト上昇を抑えつつ、合成樹脂製の保持器6の耐久性向上を図れる。
以上の説明は、本発明を、1対のリム部の直径が互いに異なる、円すいころ軸受用保持器に適用した場合に就いて行った。但し、本発明は、円筒ころ軸受用保持器や自動調心ころ軸受用保持器で実施する事もできる。円筒ころ軸受用保持器の場合には、1対のリム部の直径が互いに等しいので、これら両リム部の断面形状及び断面積が同じであれば、前述した様な問題を生じる事はない。但し、これら両リム部の断面形状と断面積との少なくとも一方が異なる場合、直径が異なる場合と同様に、これら両リム部毎に設けたゲートから、キャビティのうちで上記両リム部に対応する円環状空間部分に送り込まれた溶融合成樹脂の流動速度が、これら両リム部同士の間で不均一になる可能性がある。そこで、この様な場合に、前記各ゲートから前記キャビティのうちで上記両リム部に対応する円環状空間部分に送り込む溶融合成樹脂の流速(角速度)を一致させるべく、本発明を適用する。
1 外輪
2 外輪軌道
3 ハブ
4 内輪軌道
5 円すいころ
6 保持器
7a、7b リム部
8 柱部
9 ポケット
10a、10b ゲート
11、11a ランナ
12a、12b 下流端部分
13、13a、13b、13c ウェルド
14a、14b 部分
15 ゲート
16 円杆部

Claims (6)

  1. 1乃至複数のゲートから金型のキャビティ内に送り込んだ溶融合成樹脂を、このキャビティ内で固化させる射出成形により造られて、互いに同心に、且つ、軸方向に間隔をあけて配置された、それぞれが円環状である1対のリム部と、これら両リム部同士の間に掛け渡された複数本の柱部とを備え、これら両リム部と円周方向に隣り合う1対ずつの柱部とにより四周を囲まれる部分を、それぞれ転動体を保持する為のポケットとした合成樹脂製保持器に於いて、前記ゲートから前記キャビティ内に、互いに異なる方向から送り込まれた未固化の合成樹脂がこのキャビティ内で会合する事により生じるウェルドの総てが、前記両リム部と前記各柱部との連続部から外れた部分に存在する事を特徴とする合成樹脂製保持器。
  2. 金型のキャビティ内に送り込んだ溶融合成樹脂をこのキャビティ内で固化させて、互いに同心に、且つ、軸方向に間隔をあけて配置された、それぞれが円環状である1対のリム部と、これら両リム部同士の間に掛け渡された複数本の柱部とを備え、これら両リム部と円周方向に隣り合う1対ずつの柱部とにより四周を囲まれる部分を、それぞれ転動体を保持する為のポケットとした合成樹脂製保持器を造る、合成樹脂製保持器の製造方法であって、前記キャビティ内に溶融合成樹脂を送り込む為のゲートは、前記両リム部に対応する円環状空間部分の1乃至複数個所の円周方向に関する位相が互いに一致する部分に設けられており、一方のリム部に対応する円環状空間部分への溶融合成樹脂の送り込み量と他方のリム部に対応する円環状空間部分への溶融合成樹脂の送り込み量とを異ならせる事により、前記各ゲートから前記キャビティ内に、互いに異なる方向から送り込まれた未固化の合成樹脂がこのキャビティ内で会合する事により生じるウェルドの総てを、前記両リム部と前記各柱部との連続部から外れた部分に位置させる事を特徴とする合成樹脂製保持器の製造方法。
  3. 合成樹脂製保持器が、一方のリム部の直径が他方のリム部の直径よりも大きく、各柱部が軸方向に対し傾斜している、円すいころ軸受用合成樹脂製保持器であり、キャビティのうちで前記一方のリム部に対応する円環状空間部分に送り込む溶融合成樹脂の量を、前記他方のリム部に対応する円環状空間部分に送り込む溶融合成樹脂の量よりも多くする、請求項2に記載した合成樹脂製保持器の製造方法。
  4. 金型のキャビティ内に送り込んだ溶融合成樹脂をこのキャビティ内で固化させて、互いに同心に、且つ、軸方向に間隔をあけて配置された、それぞれが円環状であって、一方のリム部の直径が他方のリム部の直径よりも大きい1対のリム部と、これら両リム部同士の間に掛け渡された、軸方向に対し傾斜した複数本の柱部とを備え、これら両リム部と円周方向に隣り合う1対ずつの柱部とにより四周を囲まれる部分を、それぞれ転動体を保持する為のポケットとした合成樹脂製保持器を造る為の、合成樹脂製保持器の製造装置であって、前記キャビティ内に溶融合成樹脂を送り込む為のゲートは、このキャビティのうちで、前記両リム部に対応する円環状空間部分の1乃至複数個所の円周方向に関する位相が互いに一致する部分に設けられており、一方のリム部に対応する円環状空間部分に溶融合成樹脂を送り込む為のランナ部に対応する部分の断面積を、他方のリム部に対応する円環状空間部分に溶融合成樹脂を送り込む為のランナ部に対応する部分の断面積よりも大きくした事を特徴とする合成樹脂製保持器の製造装置。
  5. 金型のキャビティ内に送り込んだ溶融合成樹脂をこのキャビティ内で固化させて、互いに同心に、且つ、軸方向に間隔をあけて配置された、それぞれが円環状である1対のリム部と、これら両リム部同士の間に掛け渡された複数本の柱部とを備え、これら両リム部と円周方向に隣り合う1対ずつの柱部とにより四周を囲まれる部分を、それぞれ転動体を保持する為のポケットとした合成樹脂製保持器を造る、合成樹脂製保持器の製造方法であって、前記キャビティ内に溶融合成樹脂を送り込む為のゲートは、前記両リム部に対応する円環状空間部分のうちの少なくとも何れか一方のリム部に対応する円環状空間部分の一部に設けられており、前記キャビティの一部で前記両リム部に対応する円環状空間部分同士の間に、前記各柱部に対応する直線状空間部分とは別に、これら両リム部に対応する円環状空間部分同士の間で前記溶融合成樹脂を流通させる為のバイパス流路を設ける事により、前記ゲートから前記キャビティのうちで前記各柱部に対応する直線状空間部分に、互いに異なる方向から送り込まれた未固化の合成樹脂がこのキャビティ内で会合する事により生じるウェルドの総てを、前記両リム部と前記各柱部との連続部から外れた部分に位置させる事を特徴とする合成樹脂製保持器の製造方法。
  6. 金型のキャビティ内に送り込んだ溶融合成樹脂をこのキャビティ内で固化させて、互いに同心に、且つ、軸方向に間隔をあけて配置された、それぞれが円環状である1対のリム部と、これら両リム部同士の間に掛け渡された複数本の柱部とを備え、これら両リム部と円周方向に隣り合う1対ずつの柱部とにより四周を囲まれる部分を、それぞれ転動体を保持する為のポケットとした合成樹脂製保持器を造る為の、合成樹脂製保持器の製造装置であって、前記キャビティ内に溶融合成樹脂を送り込む為のゲートは、このキャビティのうちで、前記両リム部に対応する1対の円環状空間部分のうちの少なくとも何れか一方のリム部に対応する円環状空間部分に設けられており、前記キャビティの一部で前記両リム部に対応する円環状空間部分同士の間に、前記各柱部とは別にこれら両リム部に対応する円環状空間部分同士の間で前記溶融合成樹脂を流通させる為のバイパス流路を設けた事を特徴とする合成樹脂製保持器の製造装置。
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