JP2007321926A - 円錐ころ軸受用保持器およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】強化繊維を含有する合成樹脂の射出成形で製造された円錐ころ軸受用保持器において、ポケットのコーナー部の強度と両円環部の強度を高くする。
【解決手段】金型のゲートを、ポケット４０毎に、小径円環部１０の内周面１０Ａの隣り合う柱部３０の中間位置に設ける。符号５０は、その結果生じたゲートマークである。
【選択図】図１
【解決手段】金型のゲートを、ポケット４０毎に、小径円環部１０の内周面１０Ａの隣り合う柱部３０の中間位置に設ける。符号５０は、その結果生じたゲートマークである。
【選択図】図１
Description
この発明は、複数の円錐ころを転動体とする円錐ころ軸受用の保持器に関する。
円錐ころ軸受用の保持器は、軸方向に一定間隔で配置された大小一対の円環部と、両円環部を連結する複数の柱部とからなり、隣接する二つの柱部と両円環部の両柱部の間に存在する部分とで、各円錐ころのポケットが形成されている。このような円錐ころ軸受用の保持器としては、従来より、強化繊維を含有する合成樹脂を射出成形して製造されたものが使用されている。
下記の特許文献１には、合成樹脂製の円錐ころ軸受用保持器として、金型のゲートを、小径円環部の内周面の、全ての柱部の延長上に設けて射出成形されたものが記載されている。この保持器によれば、射出成形で溶融樹脂が合流するウエルド部が、最も負荷のかかるポケットのコーナー部（すなわち、各円環部と柱部とが合わさる部分）ではなく、大径円環部のポケットの中心線の延長上に形成されるため、コーナー部の強度が確保されると記載されている。
特開２００６−７０９２６号公報
しかしながら、上記特許文献１に記載されているように、金型のゲートを、図６に示すように、小径円環部１０の内周面の柱部３０の延長上に設けると、溶融樹脂がゲート（符号５０は、成形品からゲート内で固化した樹脂を切断することで生じた跡：ゲートマーク）から直ぐに柱部３０に入って大径円環部２０に向かうため、ジェッティング（ゲートからキャビティ内に溶融樹脂が噴出する現象）が生じやすい。ジェッティングが生じると、蛇行状の模様が成形品に残されるため外観が不良となるばかりでなく、小径円環部１０と大径円環部２０とで成形圧に差が生じるため、両円環部の強度が異なり、一方が強度不足となる恐れもある。
また、上記特許文献１に記載のゲート配置では、強化繊維を含有する合成樹脂を射出成形する場合、ポケットのコーナー部の強度に関して改善の余地がある。
また、近年、鉄道車両用軸受に対する高速化、高負荷容量化の要求が高くなっており、その保持器に生じる応力も大きくなっている。
本発明の課題は、強化繊維を含有する合成樹脂を射出成形して製造された円錐ころ軸受用保持器であって、鉄道車両用軸受のように、高速、高負荷条件下で使用される円錐ころ軸受用として好適な、ポケットのコーナー部の強度に優れ、両円環部の強度も十分なものを提供することにある。
また、近年、鉄道車両用軸受に対する高速化、高負荷容量化の要求が高くなっており、その保持器に生じる応力も大きくなっている。
本発明の課題は、強化繊維を含有する合成樹脂を射出成形して製造された円錐ころ軸受用保持器であって、鉄道車両用軸受のように、高速、高負荷条件下で使用される円錐ころ軸受用として好適な、ポケットのコーナー部の強度に優れ、両円環部の強度も十分なものを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、軸方向に一定間隔で配置された大小一対の円環部と、両円環部を連結する複数の柱部とからなり、隣接する二つの柱部と両円環部の両柱部の間に存在する部分とで、各円錐ころのポケットが形成されている円錐ころ軸受用保持器において、強化繊維を含有する合成樹脂を用い、金型のゲートを、ポケット毎に、小径円環部の内周面の隣り合う柱部の中間位置に設けて、射出成形することで製造されたことを特徴とする円錐ころ軸受用保持器を提供する。
本発明は、また、軸方向に一定間隔で配置された大小一対の円環部と、両円環部を連結する複数の柱部とからなり、隣接する二つの柱部と両円環部の両柱部の間に存在する部分とで、各円錐ころのポケットが形成されている円錐ころ軸受用保持器の製造方法において、強化繊維を含有する合成樹脂を用い、金型のゲートを、ポケット毎に、小径円環部の内周面の隣り合う柱部の中間位置に設けて、射出成形することを特徴とする円錐ころ軸受用保持器の製造方法を提供する。
本発明によれば、金型のゲートを、ポケット毎に、小径円環部の内周面の隣り合う柱部の中間位置に設けているため、射出成形で溶融樹脂が合流するウエルド部が、応力集中部であるポケットのコーナー部（各円環部と柱部とが合わさる部分）ではなく、ポケット毎に、大径円環部の隣り合う柱部の中間位置に形成される。
また、溶融樹脂が、ゲートから直ぐに柱部に入るのではなく、小径円環部を円周方向に沿って流れてから柱部に入るため、特許文献１の場合と比較してジェッティングが生じ難い。さらに、溶融樹脂に含まれている繊維が、コーナー部のラインに沿って配向され易くなるため、繊維による強化作用が十分に発揮される。
また、溶融樹脂が、ゲートから直ぐに柱部に入るのではなく、小径円環部を円周方向に沿って流れてから柱部に入るため、特許文献１の場合と比較してジェッティングが生じ難い。さらに、溶融樹脂に含まれている繊維が、コーナー部のラインに沿って配向され易くなるため、繊維による強化作用が十分に発揮される。
本発明のゲート配置によれば、射出成形時にジェッティングが生じ難いとともに、コーナー部で繊維による強化作用が十分に発揮されるため、ポケットのコーナー部の強度に優れ、両円環部の強度も十分な円錐ころ軸受用保持器が提供される。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図１は、この実施形態の円錐ころ軸受用保持器を示す斜視図である。この保持器１は、小径円環部１０と、大径円環部２０と、複数の柱部３０とからなる。両円環部１０，２０は軸方向に一定間隔で配置され、複数の柱部３０が両円環部１０，２０を連結している。そして、隣接する二つの柱部３０と、両円環部１０，２０の両柱部３０の間に存在する部分１１，２１とで、各円錐ころのポケット４０が形成されている。
図１は、この実施形態の円錐ころ軸受用保持器を示す斜視図である。この保持器１は、小径円環部１０と、大径円環部２０と、複数の柱部３０とからなる。両円環部１０，２０は軸方向に一定間隔で配置され、複数の柱部３０が両円環部１０，２０を連結している。そして、隣接する二つの柱部３０と、両円環部１０，２０の両柱部３０の間に存在する部分１１，２１とで、各円錐ころのポケット４０が形成されている。
この保持器１は、強化繊維を含有する合成樹脂を用い、金型のゲートを、ポケット４０毎に、小径円環部１０の内周面１０Ａの隣り合う柱部３０の中間位置に設けて、射出成形することで製造されている。その結果、この保持器１には、ポケット４０毎に、小径円環部１０の内周面１０Ａの隣り合う柱部３０の中間位置に、ゲートマーク（成形品からゲート内で固化した樹脂を切断することで生じた跡）５０が付いている。また、ウエルドライン６０が、ポケット４０毎に、大径円環部２０の隣り合う柱部３０の中間位置に付いている。
図２は、使用した金型の小径円環部１０のキャビティを示す断面図であり、保持器１の一部を示す図３のラインＬに沿った断面に対応する。
この金型は、凸型７１と凹型７２を備え、凸型７１は、小径円環部１０の内周面１０Ａに対応する外周面７１ａと、ゲート７１ｂと、ランナ７１ｃを有する。凹型７２は、小径円環部１０の外周面に対応する内周面７２ａを有する。また、小径円環部１０のキャビティ内に、各柱部３０に対応する溶融樹脂の導入口７３が見える。
この金型は、凸型７１と凹型７２を備え、凸型７１は、小径円環部１０の内周面１０Ａに対応する外周面７１ａと、ゲート７１ｂと、ランナ７１ｃを有する。凹型７２は、小径円環部１０の外周面に対応する内周面７２ａを有する。また、小径円環部１０のキャビティ内に、各柱部３０に対応する溶融樹脂の導入口７３が見える。
射出成形時に、溶融樹脂は、図２に矢印で示すように、ランナ７１ｃを介してゲート７１ｂからキャビティ内に入り、小径円環部１０の内周面１０Ａに対応する外周面７１ａの円周方向に沿って流れた後に、柱部用の導入口７３に入る。そのため、ゲート７１ｂから直ぐに柱部用の導入口７３に入る場合と比較して、ジェッティングが生じ難い。その結果、小径円環部１０および大径円環部２０の成形圧が同じになって、ともに十分な強度に成形できると考えられる。
この保持器１を、強化繊維としてガラス繊維を２５質量％含有するナイロン６６を使用し、図２の金型を用いて射出成形した。そして、図４に示すポケット４０のコーナー部５、すなわち、大径円環部２０と柱部３０とが合わさる部分の状態をＸ線ＣＴで観察した。その観察画像を図５に示す。図５の画像は図４の斜線部５Ａに対応する。
図５の画像から、溶融樹脂に含まれている繊維が、丸みを設けたコーナー部５の円弧のラインに沿って配向していることが分かる。その結果、この保持器１は、繊維による合成樹脂の強化作用が十分に発揮されると考えられる。
図５の画像から、溶融樹脂に含まれている繊維が、丸みを設けたコーナー部５の円弧のラインに沿って配向していることが分かる。その結果、この保持器１は、繊維による合成樹脂の強化作用が十分に発揮されると考えられる。
１ 保持器
１０ 小径円環部
１０Ａ 小径円環部の内周面
１１ 小径円環部の両柱部の間に存在する部分
２０ 大径円環部
２１ 大径円環部の両柱部の間に存在する部分
３０ 柱部
４０ 円錐ころのポケット
５０ ゲートマーク
６０ ウエルドライン
７１ 金型の凸型
７１ａ 小径円環部の内周面に対応する外周面
７１ｂ ゲート
７１ｃ ランナ
７２ 金型の凹型
７２ａ 小径円環部の外周面に対応する内周面
７３ 柱部に対応する溶融樹脂の導入口
５ ポケットのコーナー部
１０ 小径円環部
１０Ａ 小径円環部の内周面
１１ 小径円環部の両柱部の間に存在する部分
２０ 大径円環部
２１ 大径円環部の両柱部の間に存在する部分
３０ 柱部
４０ 円錐ころのポケット
５０ ゲートマーク
６０ ウエルドライン
７１ 金型の凸型
７１ａ 小径円環部の内周面に対応する外周面
７１ｂ ゲート
７１ｃ ランナ
７２ 金型の凹型
７２ａ 小径円環部の外周面に対応する内周面
７３ 柱部に対応する溶融樹脂の導入口
５ ポケットのコーナー部
Claims (2)
- 軸方向に一定間隔で配置された大小一対の円環部と、両円環部を連結する複数の柱部とからなり、隣接する二つの柱部と両円環部の両柱部の間に存在する部分とで、各円錐ころのポケットが形成されている円錐ころ軸受用保持器において、
強化繊維を含有する合成樹脂を用い、金型のゲートを、ポケット毎に、小径円環部の内周面の隣り合う柱部の中間位置に設けて、射出成形することで製造されたことを特徴とする円錐ころ軸受用保持器。 - 軸方向に一定間隔で配置された大小一対の円環部と、両円環部を連結する複数の柱部とからなり、隣接する二つの柱部と両円環部の両柱部の間に存在する部分とで、各円錐ころのポケットが形成されている円錐ころ軸受用保持器の製造方法において、
強化繊維を含有する合成樹脂を用い、金型のゲートを、ポケット毎に、小径円環部の内周面の隣り合う柱部の中間位置に設けて、射出成形することを特徴とする円錐ころ軸受用保持器の製造方法。
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