JPH10287424A - 複合チタン化合物の製造方法 - Google Patents

複合チタン化合物の製造方法

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JPH10287424A
JPH10287424A JP9051997A JP9051997A JPH10287424A JP H10287424 A JPH10287424 A JP H10287424A JP 9051997 A JP9051997 A JP 9051997A JP 9051997 A JP9051997 A JP 9051997A JP H10287424 A JPH10287424 A JP H10287424A
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JP
Japan
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compound
alkali metal
tio
titanate
crystal structure
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JP9051997A
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Inventor
Isamu Kobayashi
勇 小林
Kenji Azuma
健司 東
Masafumi Yasuda
雅文 安田
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Kubota Corp
Original Assignee
Kubota Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】自動車用ブレーキパッド等の摩擦材,樹脂補強
材,塗料充填材等として有用な複合チタン化合物の製造
方法を提供する。 【解決手段】この複合化合物は、チタニア,ペロブスカ
イト型構造のチタン酸アルカリ土類金属化合物、トンネ
ル型構造のチタン酸アルカリ金属化合物の2種ないし3
種の結晶からなる混相化合物である。チタン酸化物,ア
ルカリ土類金属酸化物,アルカリ金属酸化物の混合物を
出発原料とし、一次焼成、アルカリ金属イオン溶出処
理,二次焼成を経て製造される。一次焼成で、層状構造
のチタン酸アルカリ金属(およびペロブスカイト型チタ
ン酸アルカリ土類金属化合物)を生成し、溶出処理でチ
タン酸アルカリ金属化合物を水和チタン酸化合物に組成
変換し、二次焼成で水和チタン酸化合物からチタニア,
トンネル構造チタン酸アルカリ金属化合物を析出生成す
ることにより製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブレーキ用摩擦
材,樹脂強化材,塗料充填材等として有用なチタン化合
物、詳しくはチタニア,ペロブスカイト型結晶構造のチ
タン酸アルカリ土類金属化合物,トンネル型結晶構造の
チタン酸アルカリ金属化合物等が分散混在した複合チタ
ン化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】チタン酸アルカリ金属化合物は、一般
式: M2 Tin 2n+1〔M: アルカリ金属〕で表される
合成無機化合物であり、なかでもトンネル型結晶構造を
有する六チタン酸アルカリ金属(M2 Ti6 13)や八
チタン酸アルカリ金属(M2 Ti 8 17)は、耐熱性,
耐摩耗性,補強性等にすぐれ、例えば自動車用ブレーキ
装置の摩擦材,樹脂補強材,耐熱材,耐熱塗料用充填材
等として種々の工学的応用が試みられている。また、チ
タン酸アルカリ土類金属化合物は、一般式: RTiO3
〔R: アルカリ土類金属〕で示されるペロブスカイト型
結晶構造を有し、このものは、高誘電率であることによ
り、誘電体・圧電体等の素材として使用されているが、
耐熱性,強度,耐摩耗性等にもすぐれている化合物であ
り、これらの特性を要求される材料としての有用性をも
備えている。
【0003】更に、複数種のチタン化合物からなる混相
化合物およびその製造方法に関する提案もなされてい
る。その複合チタン化合物の製造法として、特開平6-32
9467号公報には、TiO 2 / K 2 O のモル比>6である組
成を有するチタン酸カリウム(K2 Tin 2n+1)を焼
成処理して、チタニア(TiO2 )とトンネル型結晶構
造の六チタン酸カリウム(K2 Ti6 13)の結晶が分
散混在した複合化合物を得ることが開示されている。ま
た、本出願人は、TiO2 , RO, およびM2 O〔加熱
によりこれらの酸化物を生成する化合物でもよい〕を配
合した混合物を出発原料とし、焼成処理により、チタニ
ア(TiO2 ), ペロブスカイト型結晶構造のチタン酸
アルカリ土類金属化合物(RTiO3 ), チタン酸アル
カリ金属化合物(M2 Tin 2n+1)の2種ないし3種
からなる混相組成を有する複合化合物およびその製造方
法を提供した(特開平8-337420号公報) 。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記複合チタン化合物
は、複数種のチタン化合物の分散混在の効果として、単
一のチタン化合物とは異なる特性を示し、例えば自動車
用ブレーキ装置の摩擦材の基材成分として適用すること
により、改良された摩擦摩耗特性を得ることを可能にす
る。本発明は、複合チタン化合物の製造工程の工夫によ
り、得られる複合チタン化合物に、従来のものとは異な
る結晶形状を付与し、その形状効果として、摩擦材の基
材成分としての機能を更に高めることを可能にした複合
チタン化合物の製造方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、TiO2 また
は加熱によりTiO2 を生成するチタン化合物(以下、
単に「チタン化合物」ともいう)と、RO〔R: アルカ
リ土類金属〕または加熱によりROを生成するアルカリ
土類金属化合物(以下、単に「アルカリ土類金属化合
物」ともいう)と、M2 O〔M: アルカリ金属〕または
加熱によりM2 Oを生成するアルカリ金属化合物(以
下、単に「アルカリ金属化合物」ともいう)、の各酸化
物を、目的物とする複合チタン化合物の構成に応じた量
比に配合して出発原料とし、一次焼成処理、アルカリ金
属イオン溶出処理、および二次焼成を経由して、下記の
複合化合物を得るものである。 チタニア(TiO2 )と、トンネル型結晶構造のチタ
ン酸アルカリ金属化合物(M2 Tin 2n+1)〔M: ア
ルカリ金属,n≧6(=TiO 2 / M 2 O モル比≧6)が
分散混在した混相化合物(以下、「複合チタン化合物
A」)。 チタニア(TiO2 )と、ペロブスカイト型結晶構造
のチタン酸アルカリ土類金属(RTiO3 )〔R: アル
カリ土類金属〕が分散混在した混相化合物(以下、「複
合チタン化合物B」)。 チタニア(TiO2 )、トンネル型結晶構造のチタン
酸アルカリ金属化合物(M2 Tin 2n+1)、およびペ
ロブスカイト型結晶構造のチタン酸アルカリ土類金属
(RTiO3 )が分散混在した混相化合物(以下、「複
合チタン化合物C」)。
【0006】本発明の第1の製造方法は、複合チタン化
合物A〔チタニア/トンネル型構造チタン酸アルカリ金
属化合物〕の製造に係り、チタン酸化物とアルカリ金属
酸化物との混合物を焼成処理し、層状結晶構造を有する
チタン酸アルカリ金属化合物〔1〕を得る工程、 M2 Tin 2n+1 …〔1〕 〔但し, TiO 2 / M 2 O モル比: 2〜4 〕 上記焼成物を液中に浸漬し、チタン酸アルカリ金属
〔1〕からアルカリ金属イオンの一部を溶出することに
より、これを水和チタン酸アルカリ金属化合物〔2〕に
組成変換する工程、 (M,H)2 Tin 2n+1・mH2 O …〔2〕 〔但し, TiO 2 / M 2 O モル比>6, m: 正数 〕 被溶出処理物を、液中から回収し脱水乾燥の後、焼成処
理に付して水和チタン酸アルカリ金属化合物から、チタ
ニアおよびトンネル型結晶構造のチタン酸アルカリ金属
化合物を析出生成する工程、からなることを特徴として
いる。
【0007】本発明の第2の製造方法は、複合チタン化
合物B〔チタニア/ペロブスカイト型構造チタン酸アル
カリ土類金属化合物〕の製造に係り、チタン酸化物と、
アルカリ土類金属酸化物と、アルカリ金属酸化物の混合
物を焼成処理し、ペロブスカイト型構造のチタン酸アル
カリ土類金属化合物(RTiO3 )と、層状結晶構造を
有するチタン酸アルカリ金属化合物〔1〕からなる焼成
物を得る工程、上記焼成物を液中に浸漬し、チタン酸ア
ルカリ金属化合物〔1〕からアルカリ金属イオンの全量
を溶出することにより、これを水和チタン酸化合物
〔3〕に組成変換する工程、 H2 Tin 2n+1・mH2 O … 〔3〕 〔但し, m: 正数 〕 被溶出処理物を、液中から回収し脱水乾燥の後、焼成処
理に付して上記水和チタン酸化合物からチタニアを析出
生成する工程、からなることを特徴としている。
【0008】本発明の第3の製造方法は、複合チタン化
合物C〔チタニア/トンネル型構造チタン酸アルカリ金
属化合物/ペロブスカイト型構造チタン酸アルカリ土類
金属化合物〕の製造に係り、チタン酸化物と、アルカリ
土類金属酸化物と、アルカリ金属酸化物の混合物を焼成
処理して、チタン酸アルカリ土類金属(RTiO3
と、層状構造のチタン酸アルカリ金属化合物〔1〕を生
成する工程、上記焼成物を液中に浸漬し、チタン酸アル
カリ金属〔1〕からアルカリ金属イオンを溶出し、アル
カリ金属イオンの一部が水素イオンで置換された、水和
チタン酸アルカリ金属化合物〔2〕に組成変換する工
程、被溶出処理物を、液中から回収し脱水乾燥の後、焼
成処理に付して水和チタン酸アルカリ金属化合物から、
チタニアおよびトンネル型結晶構造のチタン酸アルカリ
金属化合物を析出生成する工程、からなることを特徴と
している。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、上記のように出発原料
の焼成処理(一次焼成)、溶出処理(アルカリ金属イオ
ンの溶出)、溶出処理後の焼成処理(二次焼成)からな
る工程を経由して複合チタン化合物を得るものである。
従来法のように、出発原料配合を、製品複合化合物の混
相構成に対応した組成に調整しておけば、一回の焼成工
程で、直ちに目的とする複合チタン化合物を収得するこ
とが可能ではあるが、本発明は一次焼成で目的物とは組
成・結晶構造の異なる層状構造チタン酸アルカリ金属
〔M2 Tin 2n+1,n=2〜4〕を初生相として生成
させている。このように層状構造のチタン酸アルカリ金
属(一次焼成物)を初生相とし、これを水和チタン酸化
合物に組成変換(アルカリ金属イオン溶出処理)したう
え、再焼成処理(二次焼成)することにより、析出生成
物(チタニア,トンネル型構造チタン酸アルカリ金属化
合物)の結晶成長が促される。この結晶成長により、従
来法による複合化合物(各結晶相はアスペクト比の小さ
い粒形状を呈する)と異なって、柱状結晶(アスペクト
比約3〜10)のチタニア結晶,チタン酸アルカリ金属
化合物結晶を含む複合化合物が得られる。
【0010】出発原料の調製に使用されるチタン化合物
は、精製アナターゼ,精製ルチル、あるいはチタンの塩
化物,弗化物等のハロゲン化合物,硫酸塩,硝酸塩,水
和物等である。アルカリ金属化合物は、K,Na,L
i,Rb等の酸化物,炭酸塩等であり、このほか水酸化
物,ハロゲン化物,硝酸塩等が挙げられる。アルカリ土
類金属化合物は、Ca,Ba,Mg,Sr等の酸化物,
炭酸塩,硝酸塩,ハロゲン化物,水酸化物等が使用され
る。上記化合物として微細粉末(例えば,0.2 〜0.5 μ
m程度のサブミクロン粒子)を用い、これをスプレード
ライヤー(湿式噴霧乾燥処理)に付し、適当な粒径(例
えば,10〜100μm)の造粒粉として使用する場合
は、その二次焼成物を振動ふるい等の軽度の解砕処理に
かけることにより、造粒粉とほぼ同じ粒径の球状粒子か
らなる複合チタン化合物粉末が得られる。各球状粒子は
複合結晶相を有し、その構成結晶相におけるチタニア,
チタン酸アルカリ金属化合物は柱状結晶形状を有してい
る。
【0011】次に、複合チタン化合物A〜Cのそれぞれ
の製造工程について説明する。
【複合チタン化合物Aの製造】
〔出発原料および一次焼成処理〕チタン化合物とアルカ
リ金属化合物との混合物を出発原料とする。配合は、Ti
O 2 / M 2 O (モル比)が2〜4となる量比に調整され
る。これを一次焼成に付し、下記の反応: M2 O+nTiO2 →M2 Tin 2n+1 〔式中,n=2〜4 〕 により層状構造チタン酸アルカリ金属化合物〔二チタン
酸アルカリ金属(M2 Ti2 5 ),三チタン酸アルカ
リ金属(M2 Ti3 7 ),四チタン酸アルカリ金属
(M2 Ti4 9 )等〕を生成する。焼成温度は、70
0〜1200℃の範囲が適当である。これより低い温度
では、層状構造チタン酸アルカリ金属化合物の生成が不
十分となり、他方この温度域を越えると、後工程のアル
カリ金属イオンの溶出処理が効率的に行えなくなる。好
ましくは、1000〜1100℃である。
【0012】〔アルカリ金属イオン溶出処理〕一次焼成
物を液中に浸漬し、チタン酸アルカリ金属化合物〔1〕
からアルカリ金属イオンの一部を溶出することにより、
TiO 2 / M 2 O のモル比>6の組成に変換された水和チ
タン酸アルカリ金属化合物〔2〕を得る。製品複合チタ
ン化合物中のチタニアとトンネル型構造チタン酸アルカ
リ金属化合物の量比は、水和チタン酸化合物の組成(Ti
O 2 / M 2 O モル比)により任意に調整される。溶出処
理は、水,温水,または酸水溶液(例えば,0.01〜1 %
硫酸水溶液,0.01 〜1 %塩酸,0.1〜2 %の酢酸水溶液
等)を使用して行うことができ、またアルカリ金属イオ
ンの溶出量は、処理液量,処理液の種類,攪拌の有無,
処理時間等により調整することができる。
【0013】〔二次焼成処理〕被溶出処理物に二次焼成
処理を施すことにより、前記水和チタン酸アルカリ金属
化合物〔2〕から、トンネル型構造チタン酸アルカリ金
属化合物〔六チタン酸アルカリ金属(M2 Ti
6 13),八チタン酸アルカリ金属(M2 Ti8 17
等〕が生成すると共に、余剰のTiO2 成分がチタニア
結晶として析出する。焼成温度は、約700〜1300
℃である。これより低い温度では、水和チタン酸アルカ
リ金属化合物〔2〕からトンネル型構造チタン酸アルカ
リ金属化合物への構造変換が不十分となり、他方この温
度域を越えると、トンネル型構造チタン酸アルカリ金属
化合物の結晶の溶融を生じる。六チタン酸アルカリ金属
を析出生成する場合は、約800〜1100℃、八チタ
ン酸アルカリ金属の場合は、約900〜1200℃の温
度範囲が適当である。
【0014】
【複合チタン化合物Bの製造】
〔出発原料および一次焼成処理〕チタン化合物,アルカ
リ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の混合物を
出発原料とする。原料配合は、目的とする複合チタン化
合物のチタニアとペロブスカイト型構造チタン酸アルカ
リ土類金属化合物の量比に応じて調整される。焼成反応
生成物として、下記の反応によるペロブスカイト型構造
のチタン酸アルカリ土類金属化合物(RTiO3 ) TiO2 + RO → RTiO3 および下記の反応による層状構造チタン酸アルカリ金属
化合物〔1〕 M2 O+nTiO2 →M2 Tin 2n+1 〔但し,TiO 2 / K 2 O モル比: 2〜4 〕を生成す
る。この一次焼成での層状構造チタン酸アルカリ金属化
合物〔1〕の生成反応は、前記複合チタン化合物Aの製
造工程の一次焼成のそれと同じであり、その焼成処理温
度も、約700〜1200℃、好ましくは1000〜1
100℃の範囲に調節される。
【0015】〔アルカリ金属イオン溶出処理〕一次焼成
物を液中に浸漬し、層状構造チタン酸アルカリ金属化合
物〔1〕から、アルカリ金属イオンの全量を溶出して、
これを水和チタン酸化合物〔3〕に組成変換する。チタ
ン酸アルカリ土類金属化合物(RTiO3 )の組成変化
はなく、そのまま残留する。溶出処理液は、前記複合化
合物Aの製造における溶出処理のそれと同様に、水,温
水,または酸水溶液(例えば,0.01〜1 %硫酸水溶液,
0.01 〜1 %塩酸,0.1〜2 %の酢酸水溶液等)を使用し
て行うことがでるが、アルカリ金属イオンの全量溶出の
効率的な遂行のためには酸水溶液を使用するのが好まし
い。
【0016】〔二次焼成処理〕溶出処理物(水和チタン
酸化合物〔3〕とペロブスカイト型構造チタン酸アルカ
リ土類金属の混合物〕に二次焼成を施し、水和チタン酸
化合物〔3〕からチタニア結晶を析出生成する。ペロブ
スカイト型構造のチタン酸アルカリ土類金属(RTiO
3 )の構造変化はなく、そのままである。この二次焼成
物として、チタニア(TiO2 )とペロブスカイト(R
TiO3 )の混相を有する複合化合物Bを得る。焼成温
度は、約900〜1300℃である。これに満たない温
度では、ペロブスカイト型構造のチタン酸アルカリ土類
金属への結晶化が不十分となり、他方これを越える高温
では、ペロブスカイト型化合物の結晶が粗大化し、複合
化合物の品質が低下する(例えば,摩擦材の用途では、
対面損傷性が悪化する等の不具合を生じる)。
【0017】
【複合チタン化合物Cの製造】
〔出発原料および一次焼成処理〕チタン化合物,アルカ
リ金属化合物,およびアルカリ土類金属化合物の混合物
を出発原料とする。配合量比は、目的とする複合チタン
化合物を構成するチタニア,ペロブスカイト型構造チタ
ン酸アルカリ土類金属化合物、およびトンネル型構造チ
タン酸アルカリ金属化合物の量比に応じて調整される。
一次焼成処理は、前記複合チタン化合物Bの製造工程に
おける一次焼成と同様の条件下に行われ、複合チタン化
合物Bにおける一次焼成と同様に、ペロブスカイト型構
造のチタン酸アルカリ土類金属化合物(RTiO3 )と
層状構造チタン酸アルカリ金属化合物〔1〕を生成す
る。
【0018】〔アルカリ金属イオン溶出処理〕一次焼成
物の溶出処理は、前記複合チタン化合物Aの製造工程に
おける溶出処理ど同様の処理条件下に行われる。その溶
出処理により、層状構造チタン酸アルカリ金属化合物
〔1〕は、アルカリ金属イオンの一部が溶出し、水和チ
タン酸アルカリ金属化合物〔2〕に組成変換する。ペロ
ブスカイト型構造のチタン酸アルカリ土類金属化合物
(RTiO3 )は、組成変化を受けずそのままである。
【0019】〔二次焼成処理〕溶出処理物の二次焼成処
理により、水和チタン酸アルカリ金属化合物〔2〕か
ら、トンネル型チタン酸アルカリ金属(M2 Tin
2n+1)〔n=6〜8〕を生成し、余剰のTiO2 はチタ
ニア結晶として析出する。この焼成処理条件および焼成
反応は、前記複合チタン化合物Aの製造工程における二
次焼成と同じである。また、この焼成処理過程で、ペロ
ブスカイト型構造のチタン酸アルカリ土類金属(RTi
3 )の構造変化はなく、そのまま存在する。得られる
複合チタン化合物は、ペロブスカイト型構図チタン酸ア
ルカリ金属と、二次焼成反応で生成したチタニアおよび
トンネル型構造チタン酸アルカリ金属化合物の3種が混
在した混相構造を有する。
【0020】
【実施例】
〔1〕出発原料の調製 チタン化合物として精製アナターゼ粉末,アルカリ土類
金属化合物として炭酸塩粉末,アルカリ金属化合物とし
て炭酸塩粉末を所定の量比に配合し、水(粉末合計重量
の約2倍量)を添加してスラリーとしたうえ、スプレー
ドライヤーで造粒粉(平均粒径: 40μm)を形成す
る。 〔2〕一次焼成処理 造粒粉をアルミナるつぼに入れ、電気炉に装入。 処理温度: 1000℃,処理時間: 2Hr。 〔3〕アルカリ金属溶出処理 水(被処理物の100倍,重量)に硫酸を添加して調製
した硫酸水溶液を処理液とし、一次焼成物を浸漬しプロ
ペラ攪拌下にアルカリ金属イオンを溶出する(処理時
間: 1〜2Hr)。 〔4〕二次焼成処理 溶出処理物を脱水乾燥の後、アルミナるつぼに入れ、電
気炉に装入する。 処理温度: 1100℃,処理時間: 2Hr。 焼成物を振動ふるいで解砕し粉末として回収(平均粒
径: 約40μm)。
【0021】比較例として、従来法による一回の焼成処
理を行って複合チタン化合物を得る。使用した原料粉
末,スラリー調製および造粒処理は実施例と同一であ
る。 焼成処理温度: 1100℃ 処理時間: 2Hr。
【0022】表1に、出発原料の配合組成,処理条件、
および得られた製品の結晶構成を示す。No.1〜7(発明
例)中、No.1, No.2は複合化合物A(チタニア+トンネ
ル型結晶構造チタン酸アルカリ金属化合物)の製造、N
o.3〜No.5は、複合化合物B(チタニア+ペロブスカイ
ト型結晶構造チタン酸アルカリ土類金属化合物)の製
造、No.6, No.7は、複合化合物C(チタニア+トンネル
型結晶構造チタン酸アルカリ金属化合物+ペロブスカイ
ト型結晶構造チタン酸アルカリ土類金属化合物)の製造
例である。比較例におけるNo.11 の生成物は、No.1(複
合化合物A)と同じ混相構成、No.12 はNo.3(複合化合
物B)と同じ混相構成,No.13 はNo.6(複合化合物C)
と同じ混相構成を有する複合チタン化合物である。
【0023】発明例および比較例の粉末は、いずれもそ
の造粒粉とほぼ同じ形態の球状粒子からなる粉末であ
る。両者の粉末の球状粒子を構成する結晶相を比較する
と、比較例の粉末では、各結晶相がほぼ粒形であるのに
対し、発明例では、チタニア(TiO2 ) およびトンネル型
チタン酸アルカリ金属(M2 Ti6 O 13) が、比較例のそれ
に比し、アスペクト比の大きい柱状結晶形態(アスペク
ト比約3〜10)を有している(走査型電子顕微鏡観
察)。これは、比較例と異なって、層状構造のチタン酸
アルカリ金属化合物を初生相とし、水和チタン酸化合物
への組成変換を経由し、二次焼成物として析出生成させ
たことによる効果である。なお、ペロブスカイト型チタ
ン酸アルカリ土類金属(RTiO 3 ) は、一次焼成工程で生
成し、そのまま最終工程にちこされる結晶相であるの
で、その結晶形態は、比較例のそれと特に異ならない。
【0024】
【表1】
【0025】
【参考例】
〔自動車ブレーキ・ディスク・パッドの製作および摩擦
特性の評価〕 (1)摩擦材(ディスク・パッド)の製作 表2に示す組成に調製された混合物、常法に従って予備
成形(加圧力:15MPa,時間:1分)、および金型
による結着成形(加圧力:15MPa,温度:170
℃,時間:5分)に付し、離型後、熱処理(180℃に
3Hr保持)し、ついで研摩加工を施して供試摩擦材A
〜Dを得る。摩擦材AおよびBは、基材成分として前記
実施例における発明例のNo.3およびNo.6の複合化合物粉
末、摩擦材CおよびDは、比較例のNo.12 およびNo.13
の複合化合物粉末(いずれも平均粒径 40 μm)を使
用。
【0026】(2)摩擦試験 JASO C 406「乗用車ブレーキ装置ダイナモメータ試験方
法」による摩擦性能試験を行う。第2効力試験結果を表
2の下段に示す。 制動初速度…50km/h,100km/h 減速度…0.6G 摩擦材AおよびB(発明例の複合化合物粉末を基材成分
として使用)は、摩擦材CおよびD(比較例の複合化合
物粉末を基材成分として使用)に比し、高い摩擦係数μ
を安定に維持している。
【0027】
【表2】
【0028】
【発明の効果】本発明により製造される複合チタン化合
物は、構成結晶粒の形状効果として、従来法による複合
チタン化合物と同じ混相構成でありながら、それとは異
なる特性を有し、例えば自動車等の制動装置を構成する
摩擦材の基材成分として適用することにより、改良され
た摩擦摩耗特性を得ることができる。本発明の複合チタ
ン化合物粉末は、摩擦材のほか、耐熱材,断熱材,プラ
スチック補強材,塗料用充填材等としても有用である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタニア(TiO2 )と、トンネル型結
    晶構造のチタン酸アルカリ金属化合物(M2 Tin
    2n+1)〔M: アルカリ金属,TiO 2 /M2 O モル比: 6 〜
    8 〕とが分散混在した複合チタン化合物を製造する方法
    において、 TiO2 または加熱によりTiO2 を生成するチタン化
    合物と、M2 Oまたは加熱によりM2 Oを生成するアル
    カリ金属化合物との混合物を焼成処理し、層状結晶構造
    を有するチタン酸アルカリ金属化合物〔1〕を生成する
    工程、 M2 Tin 2n+1 …〔1〕 〔但し, TiO 2 / M 2 O モル比: 2〜4 〕 上記焼成物を液中に浸漬し、チタン酸アルカリ金属
    〔1〕からアルカリ金属イオンの一部を溶出することに
    より、これを水和チタン酸アルカリ金属化合物〔2〕に
    組成変換する工程、 (M,H)2 Tin 2n+1・mH2 O …〔2〕 〔但し, TiO 2 / M 2 O モル比>6, m: 正数 〕 溶出処理物を、液中から回収し脱水乾燥の後、焼成処理
    に付して上記水和チタン酸アルカリ金属化合物から、チ
    タニアおよびトンネル型結晶構造のチタン酸アルカリ金
    属化合物を析出生成する工程、からなることを特徴とす
    る複合チタン化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】 チタニア(TiO2 )と、ペロブスカイ
    ト型結晶構造のチタン酸アルカリ土類金属化合物(RT
    iO3 )〔R: アルカリ土類金属〕とが分散混在した複
    合チタン化合物を製造する方法において、 TiO2 または加熱によりTiO2 を生成するチタン化
    合物と、ROまたは加熱によりROを生成するアルカリ
    土類金属化合物と、M2 O〔M: アルカリ金属〕または
    加熱によりM2 Oを生成するアルカリ金属化合物とから
    なる混合物を焼成処理し、ペロブスカイト型結晶構造の
    チタン酸アルカリ土類金属化合物(RTiO3 )と、層
    状結晶構造を有するチタン酸アルカリ金属化合物〔1〕
    からなる焼成物を得る工程、 M2 Tin 2n+1 … 〔1〕 〔但し, TiO 2 / M 2 O モル比: 2〜4 〕 上記焼成物を液中に浸漬し、チタン酸アルカリ金属化合
    物〔1〕からアルカリ金属イオンの全量を溶出すること
    により、これを水和チタン酸化合物〔3〕に組成変換す
    る工程、 H2 Tin 2n+1・mH2 O … 〔3〕 〔但し, m: 正数 〕 溶出処理物を、液中から回収し脱水乾燥の後、焼成処理
    に付して上記水和チタン酸化合物からチタニアを析出生
    成する工程、からなることを特徴とする複合チタン化合
    物の製造方法。
  3. 【請求項3】 チタニア(TiO2 )と、ペロブスカイ
    ト型結晶構造のチタン酸アルカリ土類金属化合物(RT
    iO3 )〔R: アルカリ土類金属〕と、トンネル型結晶
    構造のチタン酸アルカリ金属化合物(M2 Ti
    n 2n+1)〔M: アルカリ金属,TIO 2 /M2 O モル比:
    6 〜8 〕が分散混在した複合チタン化合物を製造する方
    法において、 TiO2 または加熱によりTiO2 を生成するチタン化
    合物と、ROまたは加熱によりROを生成するアルカリ
    土類金属化合物と、M2 Oまたは加熱によりM 2 Oを生
    成するアルカリ金属化合物とからなる混合物を焼成処理
    し、ペロブスカイト型結晶構造のチタン酸アルカリ土類
    金属(RTiO3 )と、層状結晶構造を有するチタン酸
    アルカリ金属化合物〔1〕からなる焼成物を得る工程、 M2 Tin 2n+1…〔1〕 〔但し, TiO 2 / M 2 O モル比: 2〜4 〕 上記焼成物を液中に浸漬し、チタン酸アルカリ金属
    〔1〕からアルカリ金属イオンの一部を溶出することに
    より、これを水和チタン酸アルカリ金属化合物〔2〕に
    組成変換する工程、 (M,H)2 Tin 2n+1・mH2 O…〔2〕 〔但し, TiO 2/ K 2 O モル比>6, m: 正数 〕 溶出処理物を、液中から回収し脱水乾燥の後、焼成処理
    に付して上記水和チタン酸アルカリ金属化合物から、チ
    タニアおよびトンネル型結晶構造のチタン酸アルカリ金
    属化合物を析出生成する工程、からなることを特徴とす
    る複合チタン化合物の製造方法。
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