JP3185007B2 - 六チタン酸ナトリウム繊維の製造方法 - Google Patents

六チタン酸ナトリウム繊維の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用ブレーキパッ
ド等の摩擦材の基材繊維、プラスチックやアルミニウム
等の補強材、樹脂塗料の充填材等として有用な六チタン
酸ナトリウム多結晶繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】六チタン酸ナトリウム結晶(Na2 Ti
6 13) の繊維は、耐熱性,断熱性,強度,耐摩耗性等
に優れた合成無機化合物繊維であり、近時はアスベスト
繊維代替品として、多方面の工学的応用が試みられてい
る。六チタン酸ナトリウム繊維は、酸化チタン(TiO
2 )または加熱により酸化チタンとなるチタン化合物
と、酸化ナトリウム(Na2 O)または加熱により酸化
ナトリウムとなるナトリウム化合物との混合物を出発原
料として製造され、その工業的製造法として、焼成法,
溶融法等が実施されている。
【0003】焼成法では、出発原料を、TiO 2 / Na2 O
のモル比が約6となるように調合し、焼成反応生成物と
して六チタン酸ナトリウム繊維を含む塊状物を得た後、
塊状物を湿式解繊処理に付して繊維を回収する方法、ま
たは出発原料のTiO 2 / Na2O を約3となる割合に配合
して焼成処理し、初生相として三チタン酸ナトリウム
(Na2 Ti3 7 )を含む塊状物を得、これを湿式解
繊処理に付して初生相繊維を回収し、ついで酸水溶液を
処理液としてNaイオンを溶出して繊維の化学組成を六
チタン酸ナトリウム相当の組成(TiO 2 / Na2 O =約
6)に変換した後、熱処理を施して目的とする六チタン
酸ナトリウム繊維を得る方法が知られている。溶融法で
は、出発原料をTiO 2 / Na2 O が約3となるように調製
して加熱溶融し、溶融生成物を冷却して三チタン酸ナト
リウム繊維を含む塊状物を得た後、塊状物の湿式解繊処
理、解繊された初生相繊維を六チタン酸ナトリウム相当
の化学組成を有する水和チタン酸ナトリウムに変換する
ための酸水溶液によるNaイオン溶出処理、およびその
水和チタン酸ナトリウム繊維を焼成処理する工程を経て
目的とする六チタン酸ナトリウム繊維を得る方法が行わ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記焼成法において、
出発原料のTiO 2 / Na2 O のモル比を約6に調整して焼
成処理する方法では、焼成反応生成物である六チタン酸
ナトリウム繊維を含む塊状物の繊維同士の結合が強固な
ため、解繊が容易でなく、繊維形態・サイズの揃った製
品を収得することが困難であり、かつその収率も低い。
出発原料のTiO 2 / Na2 O のモル比を約3に調製して焼
成処理する方法では、その焼成反応生成物の解繊に困難
はないが、解繊後の脱ナトリウム処理と熱処理を経て収
得される六チタン酸ナトリウム繊維は、極微細の針状単
結晶繊維(繊維径約0.2〜0.8μm,繊維長約1〜
8μm)であるため、例えば、ブレーキング装置の摩擦
材の用途では、摩擦摩耗特性の改善効果に乏しく、しか
も摩擦面から発生する粉塵中に繊維の微細片が混入する
ことにより、アスベスト繊維と同じように安全衛生上の
問題がある。また、防食塗料等の塗膜性能の改善を目的
とする塗料充填材として使用する場合にも、極微細針状
繊維(比表面積が大)であるため、吸油量(JIS K510
1)の増大をきたし、塗料の増粘傾向が顕著となる等、
塗料用充填材としての適性に乏しい。他方、溶融法にお
いて、出発原料のTiO 2 / Na2 O のモル比を約3に調整
し、その加熱溶融物を冷却して得た塊状物を、脱ナトリ
ウム処理と熱処理に付して目的とする六チタン酸ナトリ
ウム繊維を製造する方法では、その加熱溶融処理に約1
300℃もの高温を適用しなければならい。このため、
溶解装置の腐食損傷が著しく、そのメインテナンスの負
担が大きく大量生産に不向きである。しかも、初生相繊
維を含む塊状物の解繊処理が困難なため、得られる繊維
は形状・サイズの均質性に乏しく、収率も低いという難
点がある。本発明は、上記従来の製造工程および繊維品
質に関する問題を解決することを目的としてなされたも
のである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の六チタン酸ナト
リウム繊維の製造方法は、TiO2 または加熱によりT
iO2 を生成するチタン化合物と、Na2 Oまたは加熱
によりNa2 Oを生成するナトリウム化合物とを、TiO
2 / Na2 O のモル比が1.5〜2.5となる比率に混合
すると共に、これにK2 Oまたは加熱によりK2 Oを生
成するカリウム化合物を、 K2 O/ Na 2 O のモル比が
0.05〜0.2となる比率に配合した混合物を加熱溶
融し、加熱溶融生成物を冷却することにより、繊維状の
五チタン酸四ナトリウム結晶を含む塊状物を得、上記塊
状物を水中に浸漬して、五チタン酸四ナトリウムの多結
晶繊維に解繊した後、酸水溶液を処理液としてNaイオ
ンを溶出することにより、六チタン酸ナトリウム相当の
化学組成を有する水和チタン酸ナトリウム繊維に変換
し、ついで上記水和チタン酸ナトリウム繊維を、温度7
00〜1200℃で焼成処理する、ことを特徴としてい
る。
【0006】
【作用】出発原料組成物の加熱溶融処理は、その組成が
TiO 2 / Na2 O(モル比) 1.5〜2.5の範囲に調製さ
れていることにより、約1150℃以下の比較的低い温
度域で達成される。出発原料に、K2 Oまたは加熱によ
りK2 Oを生成するカリウム化合物(「K源」)を配合
した点は本発明の最大の特徴点である。出発原料に、K
源を配合せず、TiO2 または加熱によりTiO2 を生
成するチタン化合物(「Ti源」)とNa2 Oまたは加
熱によりNa2 Oを生成するナトリウム化合物(「Na
源」)のみで調製した場合と異なり、少量のK源を配合
した場合は、その加熱溶融生成物の冷却凝固過程におい
て、初生相として生成する五チタン酸四ナトリウム(N
4 Ti5 12)結晶繊維の生成効率が高まり、その単
独結晶繊維を含む塊状物を得ることが可能となる。すな
わち、Ti源とNa源のみの混合物を出発原料とした場
合の加熱溶融生成物を冷却凝固して得られる塊状物の結
晶相は、そのTiO 2 / Na2 O(モル比) の高低により、五
チタン酸八ナトリウム(Na8 Ti5 14)の単独結
晶、三チタン酸ナトリウム(Na2 Ti3 7 )の単独
結晶、または三チタン酸ナトリウムと五チタン酸八ナト
リウム(Na8 Ti5 14)もしくは五チタン酸四ナト
リウム(Na4 Ti5 12)との混相結晶となり、五チ
タン酸四ナトリウム(Na4 Ti5 12)を生成しない
か、生成しても異相を付随しその生成効率は低い。しか
るに、本発明に従って、TiO 2 / Na2 O(モル比) を前記
所定の範囲に調節し、かつカリウム源を前記所定の範囲
となるように配合することにより、異相の生成が抑制さ
れ、五チタン酸四ナトリウム(Na4 Ti5 12)の生
成効率が高まり、その単独結晶の生成も容易となる。し
かも、その結晶繊維を含む塊状物の解繊処理において
は、繊維同士の結合を剪断力の作用で強制的に分離させ
るような強い攪拌作用を必要とせず、水中に適当時間浸
漬するだけの緩和な処理条件で五チタン酸四ナトリウム
(Na4 Ti512)の多結晶繊維に解繊することがで
き、かつそのその繊維の脱ナトリウム処理(六チタン酸
ナトリウム結晶相当組成を有する水和チタン酸ナトリウ
ムへの組成変換)も効率よく達成される。
【0007】カリウム源を配合することによる上記効果
の発現のメカニズムは未だ充分に解明してはいないが、
五チタン酸四ナトリウム(Na4 Ti5 12)の生成効
率が向上しその単独結晶を得ることも可能となるのは、
チタン酸カリウム(おそらく二チタン酸カリウム〔K2
Ti2 5 〕)の結晶(その結晶構造は、TiO5 三角
両錐体の連鎖が積層した層間にKイオンが配位した層状
構造である〕が核となり、これと類似の層状構造を有す
る五チタン酸四ナトリウム結晶(層間の配位イオンはN
a)の成長が促されることによるものと推定される。な
おこの五チタン酸四ナトリウム結晶繊維を含む塊状物中
には、チタン酸カリウム結晶の残留は殆ど認められな
い。これは、生成した結晶が層状構造(層間のイオンの
移動が容易)であることにより、五チタン酸四ナトリウ
ム結晶はその層間にNaイオンとKイオンが共存する状
態となるものと推定される。更に、上記塊状物の解繊処
理(五チタン酸四ナトリウム多結晶繊維への解繊)が容
易であるのは、その結晶構造が、水和反応の活発なチタ
ン酸カリウム結晶と類似の層状構造を有することによる
ものと考えられ、また脱ナトリウム処理が効率よく達成
されるのも、その結晶構造が、Kイオン,Naイオンの
移動の容易な層状構造であることによるものであろう。
【0008】以下、本発明について工程順に説明する。 〔出発原料の調製〕出発原料は、Na2 Oまたは加熱に
よりNa2 Oを生成するナトリウム化合物(例えば,Na
2 CO3,NaHCO 3,NaOH等) と、TiO2 または加熱により
TiO2 を生成するチタン化合物(例えば、精製アナタ
ーゼ, 酸化チタン水和物, 天然ルチル鉱石等) を、TiO
2 / Na2 O (モル比)が約1.5〜2.5となる割合に
混合し、これにK2 Oまたは加熱によりK2 Oを生成す
るカリウム化合物(例えば,K 2 CO3,KHCO3,KOH 等) を、
K2 O/ Na 2 O (モル比)が0.05〜0.2となる割
合に配合することにより調製される。TiO 2 / Na2 O
(モル比)を1.5〜2.5とし、かつ K2 O/ Na 2 O
(モル比)を0.05〜0.2の範囲としているのは、
加熱溶融生成物の冷却凝固工程で初生相繊維(五チタン
酸四ナトリウム結晶繊維)を効率よく生成させるためで
あり、 K2 O/ Na 2 O (モル比)が0.05より低い値
では、カリウム分の配合効果(塊状物の解繊容易化,脱
ナトリウムの促進)が不足し、他方0.2を越えると、
チタン酸カリウム結晶が生成して目的とする繊維の収率
が低下する。また、この組成範囲における出発原料の加
熱溶融処理は、約1150℃を越えない比較的低い温度
域で達成することができる。更に、 K2 O/ Na 2 O (モ
ル比)を0.05〜0.2の範囲に限定したのは、0.
05より低い値では、カリウム分の配合効果(塊状物の
解繊容易化,脱ナトリウムの促進)が不足し、他方0.
2を越えると、チタン酸カリウム結晶の生成が増加し、
目的とする繊維の収率が低下するからである。
【0009】〔加熱溶融処理〕出発原料の加熱溶融処理
は、融点以上の温度域(約1000℃以上)に適当時間
(概ね、0.5〜4Hr)加熱保持することにより達成
される。加熱温度は原料の配合組成比により異なるが、
本発明の配合組成範囲では、約1150℃を越える高温
加熱は必要としない。
【0010】〔冷却凝固処理〕加熱溶融生成物を、適当
な容器(例えば,銅製ベセル)に移し冷却凝固すること
により、初生相として繊維状の五チタン酸四ナトリウム
結晶が束状に集合した塊状物を得る。五チタン酸四ナト
リウム結晶繊維(層状の結晶構造を有する)は、その層
間にNaとKイオンを共有する。
【0011】〔解繊処理〕上記塊状物を解繊処理に付し
て、五チタン酸四ナトリウム結晶繊維同士の結合を解
き、多結晶繊維として回収する。解繊処理は、水を処理
液とし、塊状物を適当時間浸漬保持することにより行わ
れる。塊状物を水中に浸漬すると、活発な水和反応を生
じ、その水和反応による膨潤・劈開作用により五チタン
酸四ナトリウム結晶繊維の解繊は効率よく達成される。
解繊処理において緩和な攪拌流を施してもよいが、繊維
同士の結合を強制的に分離するための剪断力を作用させ
るような強い攪拌流を加えることを必要としない。解繊
に要する浸漬時間は、概ね2〜12時間程度である。こ
のように解繊処理に強い攪拌作用を付加することを要し
ないので、繊維の折損等は殆どなく、その効果として高
アスペクト比を有する繊維サイズの揃った五チタン酸四
ナトリウム多結晶繊維を回収することができる。
【0012】〔脱ナトリウム処理〕解繊された五チタン
酸四ナトリウム多結晶繊維を回収した後、結晶中のNa
イオンを溶出してその化学組成を、目的繊維である六チ
タン酸ナトリウム結晶に相当する化学組成に変換するた
めの脱ナトリウム処理を行う。脱ナトリウム処理は、酸
水溶液、例えば濃度約0.1〜1%の塩酸、0.1〜1
%の硫酸水溶液、0.2〜3%の酢酸水溶液等を処理液
とし、液中に適当時間浸漬することにより行われる。そ
の溶出処理時間を短縮する目的で、所望により処理液に
緩和な攪拌を施してNaイオンの溶出を促進することが
できる。五チタン酸四ナトリウム多結晶繊維の結晶層
に共有されるKイオン(Naより大きいイオン半径を有
する)は、溶出容易であり、Naイオンの溶出に優先し
てその全量が溶出し、Kイオンの溶出と共に、Naイオ
ンの溶出が容易となり効率よく脱ナトリウムを達成する
ことができる。所定の水和チタン酸ナトリウム(Na2
Ti6 13・nH2 O)に組成変換するためのNaイオ
ンの溶出量の制御は、処理液のpH測定等により行うこ
とができる。
【0013】〔焼成処理〕脱ナトリウム処理を経て得ら
れる水和チタン酸ナトリウム繊維は、化学組成上は六チ
タン酸ナトリウム(TiO 2 / Na2 O =6)ではあるが、
結晶構造は六チタン酸ナトリウム結晶(TiO6 八面体
の連鎖により形成されたトンネル構造)ではなく、先駆
体である五チタン酸四ナトリウム結晶(層状構造)の名
残をとどめている。そこで、結晶構造を六チタン酸ナト
リウム結晶に変換するための焼成処理を行う。その焼成
処理は、約700〜1200℃に適当時間保持すること
により達成される。処理温度を約700℃以上とするの
は、それより低温度では、結晶構造変換を効率よく達成
することが困難となり、1200℃を上限とするのは、
溶融による繊維形態の損傷を防止するためである。処理
時間は約1〜5時間程度である。
【0014】上記工程を経て得られる六チタン酸ナトリ
ウム繊維は、高アスペクト比を有し、かつウィスカ等の
極微細単結晶繊維と異なる多結晶繊維形態を有する。そ
の繊維サイズは、直径約10〜60μm,長さ約80〜
400μm,アスペクト比約2〜10であり、摩擦材・
摺動部材等の基材繊維、塗料充填材等として好適であ
る。例えば、自動車用ブレーキパッド等の摩擦材の製造
では、本発明の六チタン酸ナトリウム多結晶繊維を基材
繊維とし、これを結合剤樹脂(フェノール樹脂,イポキ
シ樹脂等)に約3〜50重量%配合した混練物を、予備
成形の後、常法に従って金型成形により加熱加圧下(加
圧力:約10〜40MPa,温度:約150〜200
℃)に結着成形し、離型の後、所望により乾燥炉での熱
処理(温度:約150〜200℃,保持時間:約1〜1
2時間)を施すことにより、摩擦摩耗特性の改良された
摩擦材を得ることができる。その摩擦材の製造において
は、他種繊維を複合使用してよく、また公知の各種添加
剤(摩擦調整剤等)を常法に従って適量配合することが
できる。
【0015】
【実施例】
〔1〕出発原料の調製 精製アナターゼ粉末(純度:99%)87.9g、炭酸
ナトリウム粉末(純度:99%)58.3g、および炭
酸カリウム粉末(純度:99%)3.8gを均一に混合
(TiO 2 / Na2 O =2.2, K2 O/ Na 2 O =0.0
5)。 〔2〕加熱溶融および溶融生成物の冷却凝固処理 出発原料を白金ルツボに入れ、加熱炉内で、温度110
0℃に1時間加熱保持することにより溶融反応を達成す
る。溶融生成物を銅皿に流し込み、そのまま冷却・凝固
させて、塊状物120gを得る。
【0016】〔3〕湿式解繊およびナトリウム溶出処理 塊状物(120g)を水(3600cc)に浸漬し一夜放
置する。塊状物は水和反応に伴う膨潤・劈開により解繊
を達成する。ついで、工業用硫酸(62.5%)を18
0g添加する。溶出促進のため、処理液に緩和な攪拌を
施し、3時間を要して溶出処理を完結した後、処理液か
ら繊維を回収する。 〔5〕焼成処理 回収した繊維を脱水・乾燥し、温度1000℃で熱処理
(処理時間2Hr)を行う。得られた繊維は次のとおり
である。化学組成:Na2 Ti6 13( X線回折によ
る)繊維形態:平均繊維径25μm,平均繊維長150
μm,アスペクト比6(走査型電子顕微鏡による)。
【0017】
【発明の効果】本発明の六チタン酸ナトリウム繊維の製
造法によれば、その出発原料の加熱溶融処理を比較的低
温域で行うことができ、溶融設備の腐食損傷が少なく、
そのメンテナンスの負担が軽減され、大量生産が可能と
なり、製造コストの低減も可能である。また、本発明方
法により製造される六チタン酸ナトリウム繊維は、ウィ
スカ等の極微細繊維と異って多結晶繊維形態を有するの
で、塗料や樹脂等の充填材として使用する場合にも、ウ
ィスカのような不具合(増粘による混練の困難等)はな
く、かつブレーキ等の摩擦材の基材繊維として適用した
場合にも、実使用時の摩擦面から発生する粉塵中に、環
境衛生上有害とされている極微細繊維片(断面径約1μ
m以下)が混在するようなこともない。しかも、その六
チタン酸ナトリウムの多結晶繊維は、高アスペクト比を
有するので、形状異方性による配向性が高く、プラスチ
ックやアルミニウム等の補強材として優れた補強効果を
発揮する。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−57923(JP,A) 特開 昭52−50000(JP,A) 特開 平2−167822(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 23/00 CA(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 TiO2 または加熱によりTiO2 を生
    成するチタン化合物と、Na2 Oまたは加熱によりNa
    2 Oを生成するナトリウム化合物とを、TiO 2 / Na2 O
    のモル比が1.5〜2.5となる比率に混合すると共
    に、これにK2Oまたは加熱によりK2 Oを生成するカ
    リウム化合物を、 K2 O/ Na 2 O のモル比が0.05〜
    0.2となる比率に配合した混合物を加熱溶融し、 加熱溶融生成物を冷却して繊維状の五チタン酸四ナトリ
    ウム結晶を含む塊状物を得、 上記塊状物を水中に浸漬して、五チタン酸四ナトリウム
    の多結晶繊維に解繊した後、酸水溶液を処理液としてN
    aイオンを溶出することにより、六チタン酸ナトリウム
    相当の化学組成を有する水和チタン酸ナトリウム繊維に
    組成変換し、 ついで上記水和チタン酸ナトリウム繊維を、温度700
    〜1200℃で焼成処理することを特徴とする六チタン
    酸ナトリウム繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 得られる六チタン酸ナトリウム多結晶繊
    維のサイズが、直径10〜60μm,長さ80〜400
    μm,アスペクト比2〜10であることを特徴とする請
    求項1に記載の六チタン酸ナトリウム繊維の製造方法。
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