JP2946107B2 - 六チタン酸カリウム多結晶繊維の製造方法 - Google Patents

六チタン酸カリウム多結晶繊維の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、六チタン酸カリウム多結晶繊維の製造方法
に関する。
〔従来の技術〕
六チタン酸カリウム繊維〔K2Ti6O13〕は耐摩耗性、耐
火・耐熱性、断熱性、補強性等を有する合成無機繊維で
あり、各種分野においてアスベスト代替品として有望視
されている。
この繊維の代表的な製造法として溶融法と称される方
法が知られている。その製造法は、加熱により二酸化チ
タン(TiO2)となるチタン化合物と、加熱により酸化カ
リウムとなるカリウム化合物とを、TiO2/K2Oのモル比が
約2となるように混合して出発原料とし、これを加熱溶
融する工程、その加熱溶融物を一方向に凝固させ初生相
繊維として二チタン酸カリウム繊維(K2Ti2O5)が束状
に凝集した繊維塊を得る工程、その繊維塊を水洗するこ
とによりK+イオンを溶出させると共に、繊維同士の凝集
を解く工程、その処理を経て回収される水和チタン酸カ
リウム繊維を乾燥し、焼成処理する工程からなる。
上記初生相繊維塊の水洗処理において、二チタン酸カ
リウム繊維は、K+イオンの溶出(脱カリウム)により、
目的とする六チタン酸カリウム相当の化学組成に変換さ
れるが、そこで回収される繊維の結晶構造は、六チタン
酸カリウムの結晶構造と異なって、その先駆体繊維であ
る二チタン酸カリウム繊維の結晶構造となごりをとどめ
ている。その結晶構造を変換するために上記水洗処理の
後、焼成処理が施され、その焼成処理により構造的にも
完全な六チタン酸カリウム繊維となる。
こうして得られた六チタン酸カリウム繊維は、直径約
20〜50μm、長さ約100〜300μmのサイズを有する多結
晶繊維である。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記従来の製造法により得られる六チタン酸カリウム
多結晶繊維は、その表面に多数の筋状のシワが観察され
る。第6図はその例として、六チタン酸カリウム多結晶
繊維を樹脂中に添加混合して形成された複合部材の断面
を示している。(F′)は、マトリックス樹脂中に分散
混在する六チタン酸カリウム繊維(繊維径:約20〜50μ
m)であり、各繊維のそれぞれに多数の筋状のシワが存
在している。この繊維のシワは結晶粒界に沿った線状の
亀裂である。
このような線状の亀裂が存在すると、例えばその繊維
を樹脂と混合し結着成形して自動車の制動装置を構成す
るディスクパッド等の摺動部材として使用する場合、摺
動面に存在する繊維が、相手材との摩擦により、線状亀
裂に沿って剥離し摺動面からの繊維脱落をはやめる原因
となり、それと同時に、摺動面の摩耗粉塵中に、微細な
繊維片が混入する原因となり好ましくない。
また、上記繊維は、強度、可撓性等の点からも線状亀
裂のないことが望まれる。例えば金属やプラスチック等
の補強繊維として使用する場合の分散強化作用を十分に
発揮させるためにも、線状亀裂を有しない繊維が有利な
ことは言うまでもない。
本発明は上記課題を解決するための改良された六チタ
ン酸カリウム繊維の製造方法を提供しようとするもので
ある。
〔課題を解決するための手段および作用〕 本発明に係る六チタン酸カリウム多結晶繊維の製造方
法は、 加熱により二酸化チタン(TiO2)となるチタン化合物
と、加熱により酸化カリウム(K2O)となるカリウム化
合物とを、TiO2/K2Oのモル比が1.5〜2.5となるように混
合した混合物を加熱溶融する工程、 上記加熱溶融物を指向性凝固させて二チタン酸カリウ
ム繊維の束状集合体である繊維塊を得る工程、 上記繊維塊を洗液で処理してK+イオンを溶出させると
共に解繊することにより、四チタン酸カリウム組成と六
チタン酸カリウム組成の2種の水和チタン酸カリウムか
らなり、四チタン酸カリウム組成相/六チタン酸カリウ
ム組成相の量比(モル比)が0.05/0.95〜0.45/0.55であ
る水和チタン酸カリウム混相多結晶繊維を得る工程、 上記水和チタン酸カリウム混相多結晶繊維を乾燥し、
焼成処理することにより四チタン酸カリウム相と六チタ
ン酸カリウム相とからなる混相多結晶繊維を得る工程、 上記混相多結晶繊維を洗液で処理することにより四チ
タン酸カリウム相からK+イオンを溶出させて六チタン酸
カリウム組成の水和チタン酸カリウムに組成変換し、乾
燥後、焼成処理に付して該水和チタン酸カリウムを六チ
タン酸カリウムに構造変換させる工程、からなる。
本発明により得られる六チタン酸カリウム繊維は、直
径約20〜50μm,長さ約100〜300μmの繊維サイズを有す
る多結晶繊維である。
以下の説明では、本発明の製造工程における「水和チ
タン酸カリウム混相多結晶繊維」,該水和チタン酸カリ
ウム混相多結晶繊維を焼成処理して得られる「混相多結
晶繊維」、その混相多結晶繊維中の四チタン酸カリウム
相が六チタン酸カリウム組成の水和チタン酸カリウムに
変換された混相多結晶繊維(焼成処理直前)のそれぞれ
の「混相多結晶繊維」を単に「混相繊維」と表記してい
る。
本発明は、上記のように初生相繊維(二チタン酸カリ
ウム繊維)の塊状物の洗液によるK+イオン溶出(脱カリ
ウム)および解繊の処理工程において、二チタン酸カリ
ウム繊維が完全に六チタン酸カリウム組成となるまで脱
カリウムを進める従来の製造法と異なって、脱カリウム
を中間段階で一旦停止し、一部を四チタン酸カリウム組
成にとどめることにより、四チタン酸カリウム組成と六
チタン酸カリウム組成の2種の水和チタン酸カリウムか
らなる混相繊維となし、これを焼成処理した後、あらた
めて脱カリウム処理と焼成処理を行うことにより、混相
繊維中の四チタン酸カリウム相を六チタン酸カリウム相
に変換させることとしている。
このように二段階の脱カリウム処理と焼成処理を経由
する本発明方法により得られる六チタン酸カリウム多結
晶繊維は、従来法のそれと異なってシワ(線状亀裂)が
なく、健全な繊維形態を有している。この繊維形態の相
違を生じる機構は未だ十分に解明されていないが、初生
相繊維である二チタン酸カリウム繊維(TiO5三角両錐の
連鎖が積層した層状構造)から、一段階の脱カリウムと
焼成処理によって最終製品である六チタン酸カリウム繊
維(TiO6八面体の連鎖により形成されたトンネル構造)
へ組成変換と構造変換を行なわせる従来の製造法では、
二チタン酸カリウムの層状構造から六チタン酸カリウム
のトンネル構造への構造変換過程で、繊維(多結晶体で
ある)を形成している結晶と結晶との界面に、構造変化
に伴う軸方向の歪みが大きく作用するのに対し、二段階
の脱カリウム処理と焼成処理を行う本発明の繊維変換工
程においては、六チタン酸カリウム結晶と四チタン酸カ
リウム結晶(TiO6八面体の稜と角を共通する連鎖が積層
した層状構造)の混相繊維を中間段階として経由してい
ることにより、構造変換に伴う結晶粒界面の歪みが少な
く、その歪緩和の効果として線状亀裂の発生が回避され
るものと考えられる。
以下、本発明方法を工程順に詳しく説明する。
出発原料を構成する加熱により二酸化チタンとなるチ
タン化合物としては、精製酸化チタン、合成ルチル、チ
タンスラグ、天然ルチルサンドや天然アナターゼサンド
等、各種のチタン化合物が用いられる。
チタン化合物に配合されるカリウム化合物は代表的に
は炭酸カリウム(K2CO3)であり、そのほか、加熱溶融
工程でK2Oとなるカリウム化合物、例えば水酸化物、硝
酸塩などを使用することもできる。
チタン化合物とカリウム化合物の混合割合を、TiO2/K
2Oモル比で1.5〜2.5の範囲に限定したのは、加熱溶融物
の冷却凝固過程において、初生相二チタン酸カリウム繊
維の効率良い生成・成長を行わせるためである。また、
二チタン酸カリウム繊維を初生相繊維として形成される
こととしたのは、このものが結晶構造上、繊維塊の脱カ
リウムと解繊を比較的容易に行うことができるからであ
る。より好ましいモル比は、1.8〜2.2である。
チタン化合物とカリウム化合物の混合物を、溶解ルツ
ボに装入し、融点以上の温度に加熱して溶解したのち、
一方向または多方向に指向性凝固させる冷却処理によ
り、二チタン酸カリウム繊維〔K2Ti2O5〕の集束繊維塊
を得る。
ついで、上記繊維塊を洗液による処理に付し、解繊と
K+イオンの溶出(脱カリウム)とを行うことにより四チ
タン酸カリウム組成と六チタン酸カリウム組成の2種の
水和チタン酸カリウムからなる混相繊維を回収する。
その混相繊維の2相の量比〔四チタン酸カリウム組成
相/六チタン酸カリウム組成相のモル比〕は、0.05/0.9
5〜0.45/0.55であることを要する。二相の量比の下限を
0.05/0.95としたのは、四チタン酸カリウム組成相の占
める割合がそれより少ないと、四チタン酸カリウムを混
在させることによる線状亀裂の防止効果が不十分となる
からであり、他方二相量比の上限を0.45/0.55としたの
は、それを越えると、四チタン酸カリウム相で微細な線
状亀裂が発生し、その亀裂がそのまゝ最終繊維に残存す
ることとなり、この場合も線状亀裂を防止できなくなる
からである。
上記解繊・脱カリウムのための洗液としては、水(常
温)、熱水(例えば、50〜80℃)、または酸液(例え
ば、0.05〜0.3%の硫酸水溶液、0.05〜0.3%の塩酸、0.
1〜1%の酢酸水溶液)等が使用されるが、通常は水で
十分である。その洗液処理における洗液の使用量や処理
時間等を加減し、K+イオンの溶出量を制御することによ
り、得られる混相繊維の二相の量比を所望の値に調節す
ることができる。例えば、水を洗液とする場合、繊維塊
を約60〜150倍量(重量比)の水に浸漬し、攪拌下に所
定時間(例えば3〜10時間)処理することにより前記所
定の二相量比を有する混相繊維を回収することができ
る。
上記洗液による処理を経て回収される混相繊維を構成
している四チタン酸カリウム組成相と六チタン酸カリウ
ム組成相は、構造的にはその先駆体である初生相二チタ
ン酸カリウムの結晶構造のなごりをとどめている。そこ
で、これを乾燥(例えば風乾)し、適当な温度、好まし
くは、約800〜1050℃で焼成することにより、構造的に
も四チタン酸カリウム相と六チタン酸カリウム相の2相
からなる混相繊維に変換せしめる。
第2図は、上記洗液による処理と焼成処理とを経て得
られた混相繊維のX線回折結果を示している(供試繊維
は後記実施例1の〔III〕参照)。図中、4Tは四チタン
酸カリウム相、6Tは六チタン酸カリウム相を示してい
る。この混相繊維を構成する四チタン酸カリウム相/六
チタン酸カリウム相の量比(モル比)は約0.3/0.7であ
る(化学分析による)。
焼成処理された上記混相繊維を、更に洗液による処理
(二次溶出処理)に付し、洗液のK+濃度の測定等による
脱カリウム量調節下に、四チタン酸カリウム相からK+
オンを溶出することにより、四チタン酸カリウム相を六
チタン酸カリウム組成の水和チタン酸カリウム(構造的
には四チタン酸カリウムと層状構造のなごりをとどめて
いる)に変換する。この二次溶出処理の洗液は、水、熱
水などであってもよいが、脱カリウム促進のためには酸
溶液を使用するのが好ましい。その場合の酸溶液として
は例えば約0.02〜0.2%の硫酸水溶液、約0.1〜1%の酢
酸水溶液等が好適である。
二次溶出処理後、洗液から回収した繊維を乾燥(例え
ば、風乾)し、温度:700〜1000℃、好ましくは約800℃
前後で焼成処理(二次焼成)することにより六チタン酸
カリウム組成の水和チタン酸カリウム相を、四チタン酸
カリウムの層状構造から六チタン酸カリウムのトンネル
構造に変換する。
上記混相繊維の二次溶出処理および二次焼成処理工程
において、その混相繊維中に六チタン酸カリウムとして
存在している相には組成および構造上の変化はなく、四
チタン酸カリウム相のみ六チタン酸カリウム相への組成
および構造変換が生じ、これにより、最終繊維として六
チタン酸カリウム単相の多結晶繊維が得られる。
第5図は上記工程を経て得られる本発明の六チタン酸
カリウム多結晶繊維(供試繊維は、後記実施例1によ
る)を樹脂に配合して結着成形した複合材料を示してい
る(倍率×100)。マトリックス樹脂中に混在する繊維
(F)は、第6図に示した従来の繊維(F′)に観察さ
れるような線状亀裂は皆無である。
〔実施例〕
各実施例で使用したチタン化合物は天然ルチルサンド
(オーストラリア産、純度95.6%)であり、カリウム化
合物は炭酸カリウム(K2CO3,純度99.5%)である。
実施例1 〔I〕出発原料配合 TiO2/K2Oモル比:2.0。
〔II〕加熱溶融および冷却凝固処理 出発原料混合物を白金ルツボに入れ、1100℃で1時間
を要して加熱溶解したのち、その溶解物を金属製冷却皿
に流し込み、冷却皿の底面から上方に向かう一方向の指
向性凝固により、初生相二チタン酸カリウム繊維の束状
集合体である繊維塊を得た。
〔III〕一次洗液処理および焼成処理 上記繊維塊を120倍量の水中に浸漬し、約6時間を要
して解繊・脱カリウム処理を行った。
洗液から回収した繊維を乾燥後、1000℃で3時間焼成
処理した。
得られた繊維は、直径約20〜50μm・長さ約100〜300
μmの多結晶形態を有し、このものは、X洗回折により
四チタン酸カリウム相と六チタン酸カリウム相とからな
る2相混相繊維であり(第2図)、化学分析によるTiO2
とK2の比から、四チタン酸カリウム相/六チタン酸カリ
ウム相のモル比は0.30/0.70である。
〔V〕二次洗液処理および焼成処理 上記混相繊維を50倍量の硫酸水溶液(濃度0.1%)に
浸漬し1時間を要して脱カリウム処理したのち、洗液か
ら回収し、120℃で乾燥後、800℃×1時間の焼成処理を
施した。
得られた繊維の形態を第1図に示す(倍率×100)。
この繊維は、直径約20〜50μm,長さ約100〜300μmの多
結晶繊維であり、X線回折は、六チタン酸カリウム単相
の繊維であることを示す(第3図)。繊維には線状亀裂
は全く観察されない。
実施例2 〔I〕出発原料配合 実施例1と同じ 〔II〕加熱溶融および冷却凝固処理 実施例1と同じ 〔III〕一次溶出処理および焼成処理 解繊塊を、150倍量の水に浸漬し、7時間処理後、洗
液から回収し、乾燥(120℃)したのち、1050℃で1時
間を要して焼成処理した。
得られた繊維は、四チタン酸カリウム相/六チタン酸
カリウム相のモル比0.10/0.90の二相混相繊維(X線回
折および化学分析による)である。繊維径約20〜50μm,
長さ約100〜300μm。
〔IV〕二次溶出処理および焼成処理 上記混相繊維を50倍量の硫酸水溶液(濃度0.05%)に
浸漬し1時間を要してK+イオンを溶出したのち、乾燥
し、焼成処理(850℃×1時間)を施した。
得られた繊維は前記実施例1のそれと同じく六チタン
酸カリウム単相の多結晶繊維であり、線状亀裂は存在し
ない。繊維サイズは、直径約20〜50μm、長さ約100〜3
00μmである。
実施例3 〔I〕出発原料配合 実施例1と同じ 〔II〕加熱溶融および冷却凝固処理 実施例1と同じ 〔III〕一次溶出処理および焼成処理 解繊塊を、70倍量の水に浸漬し、7時間処理後、洗液
から回収し、乾燥(120℃)したのち、950℃で3時間を
要して焼成処理した。
得られた繊維は、四チタン酸カリウム相/六チタン酸
カリウム相のモル比0.42/0.58の二相混相繊維(X線回
折および化学分析)である。繊維径約20〜50μm,長さ約
100〜300μm。
〔IV〕二次溶出処理および焼成処理 上記混相繊維を50倍量の硫酸水溶液(濃度0.15%)に
浸漬し1時間を要してK+イオンを溶出したのち、乾燥
し、焼成処理(800℃×1時間)を施した。
得られた繊維は前記実施例1のそれと同じく六チタン
酸カリウム単相の多結晶繊維であり、線状亀裂は存在し
ない。繊維サイズは、直径約20〜50μm、長さ約100〜3
00μmである。
〔比較例〕
〔I〕出発原料配合 実施例1と同じ 〔II〕加熱溶融および冷却凝固処理 実施例1と同じ 〔III〕洗液による処理および焼成処理 繊維塊を、170倍量の水に浸漬し、24時間処理後、洗
液から回収し、乾燥(110℃×4時間)したのち、1000
℃で4時間を要して焼成処理した。
得られた繊維は、六チタン酸カリウム単相の多結晶繊
維である。繊維径:約20〜50μm、長さ約100〜300μ
m。このものには多数の線状亀裂が観察される。
〔参考例〕
A:ディスクパッド製作および摩擦試験 前記実施例1で得た六チタン酸カリウム多結晶繊維を
基材繊維としてディスクパッド(パッドA)を製作し、
ダイナモテストによる摩擦特性測定結果を、従来の六チ
タン酸カリウム多結晶繊維(前記比較例により製造)を
使用したディスクパッド(パッドB)、およびアスベス
ト繊維を使用したディスクパッド(パッドC)と比較し
た。
供試ディスクパッド 基材繊維、結合剤(フエノール樹脂)、および摩擦調
整剤(硫酸バリウム)の混合物(繊維/フエノール樹脂
/硫酸バリウム=30/20/50,重量比)を予備成形(温
度:常温,加圧力:300kgf/cm2,加圧時間:1分)したの
ち、金型による結着成形(温度170℃,加圧力150kgf/cm
2、加圧時間5分)を行い、成形後180℃×3時間の熱処
理を施して製作。
摩擦試験条件 ディスク摩擦面:FC25ねずみ鋳鉄、面圧:10kgf/cm2
摩擦速度:7m/秒。
第4図〔I〕に摩擦係数測定結果を、同図〔II〕に摩
耗率(cm2/kgm)を示す。各図中、aは供試パッドA、
bは供試パッドB、cは供試パッドCの測定結果であ
る。発明例の繊維を使用した供試パッドAは、従来のチ
タン酸カリウム繊維を用いた供試パッドBおよびアスベ
スト繊維を使用した供試パッドCに比し、摩耗率が低く
耐久性にすぐれていることがわかる。
B:繊維強化プラスチック製作および曲げ試験 前記実施例1で得た六チタン酸カリウム多結晶繊維を
補強材とする繊維強化プラスチック板(供試板A)、お
よび比較例で得た従来の六チタン酸カリウム多結晶繊維
を補強材とする繊維強化プラスチック板(供試板B)を
製作し、曲げ試験を行い、第1表に示す結果を得た。
供試プラスチック板 繊維とフエノール樹脂の混合物(繊維/樹脂=90/10,
重量比)を金型による結着成形(温度:170℃,加圧力:1
50kgf/cm2,加圧時間:5分)に付し、成形後熱処理(180
℃×3時間)して得た板状成形品 曲げ試験 JIS D4311「自動車用クラッチフェーシング」の曲げ
試験方法に準拠。テスピース幅:15mm,スパン距離:40mm,
クロスヘッドスピード:0.5mm/分。
第 1 表 曲げ強さ 供試板A(発明例) 6kgf/mm2 供試板B(比較例) 4kgf/mm2 上記試験結果から本発明による繊維を使用した強化プ
ラスチックは従来の繊維を使用したものに比し著しく高
い曲げ強度を有していることがわかる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、六チタン酸カリウム繊維を、従来の
繊維のような線状亀裂のない健全な形態を有する多結晶
繊維として製造することができる。本発明により製造さ
れる六チタン酸カリウム多結晶繊維は、摩擦材料、耐熱
材料、断熱材料、耐食材料、その他各種の構造部材の構
成材料として有用であり、例えば自動車等の制動装置の
摺動部材構成繊維として使用した場合は、繊維形態が安
定で微細片化・剥離脱落を生じにくいこと等により、そ
の摺動面に改良された摩擦特性をもたらすと共に、摺動
面から生じる粉塵中の微細繊維片の混在が少なくなる等
の効果が得られ、また本発明の繊維を金属やプラスチッ
ク等の補強繊維として使用することにより従来の繊維を
しのぐ分散強化作用が発揮される。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明方法により得られる繊維を示す図面代用
顕微鏡写真(倍率×100)、第2図、第3図は繊維のX
線回折図、第4図〔I〕〔II〕はダイナモテストによる
摩擦特性を示すグラフ、第5図は本発明により製造され
た繊維の断面を示す図面代用顕微鏡写真(倍率×10
0)、第6図は従来の繊維の断面を示す図面代用顕微鏡
写真(倍率×100)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東 健司 兵庫県尼崎市浜1丁目1番1号 株式会 社クボタ技術開発研究所内 (72)発明者 深見 雄介 兵庫県尼崎市浜1丁目1番1号 株式会 社クボタ技術開発研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−260796(JP,A) 特開 昭63−79800(JP,A) 特開 昭63−95116(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加熱により二酸化チタン(TiO2)となるチ
    タン化合物と、加熱により酸化カリウム(K2O)となる
    カリウム化合物とを、TiO2/K2Oのモル比が1.5〜2.5とな
    るように混合した混合物を加熱溶融する工程、 上記加熱溶融物を指向性凝固させて二チタン酸カリウム
    繊維の束状集合体である繊維塊を得る工程、 上記繊維塊を洗液で処理してK+イオンを溶出させると共
    に解繊することにより、四チタン酸カリウム組成と六チ
    タン酸カリウム組成の2種の水和チタン酸カリウムから
    なり、四チタン酸カリウム組成相/六チタン酸カリウム
    組成相の量比(モル比)が0.05/0.95〜0.45/0.55である
    水和チタン酸カリウム混相多結晶繊維を得る工程、 上記水和チタン酸カリウム混相多結晶繊維を乾燥し、焼
    成処理することにより四チタン酸カリウム相と六チタン
    酸カリウム相とからなる混相多結晶繊維を得る工程、 上記混相多結晶繊維を洗液で処理することにより四チタ
    ン酸カリウム相からK+イオンを溶出させて六チタン酸カ
    リウム組成の水和チタン酸カリウムに組成変換し、乾燥
    後、焼成処理に付して該水和チタン酸カリウムを六チタ
    ン酸カリウムに構造変換させる工程からなる六チタン酸
    カリウム多結晶繊維の製造方法。
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